JP2021096139A - 細胞観察標本作製用細胞保持基材 - Google Patents

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卓哉 岩佐
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Abstract

【課題】視野に写る各細胞が不鮮明となることを防止できる、及び/又は、細胞観察が困難となることを防止できる細胞観察標本作製用の細胞保持基材を提供する。【解決手段】前記の細胞観察標本作製用細胞保持基材は、無機系繊維シートを含み、前記無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さが35μm未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞観察標本作製用細胞保持基材に関する。
本発明者らは無機系繊維シートを含む細胞観察標本作製用の細胞保持基材(以下、基材と称することがある)として、例えば、特開2017−58152号公報(特許文献1)に開示されている技術などについて検討してきた。前記特許文献1には、静電紡糸法により調製した無機系繊維不織布を用いる検鏡標本の作製方法が開示されている。
しかし、従来の基材を用いて検鏡標本を作製したところ、検鏡標本を顕微鏡へ供した際に、視野に写る各細胞(例えば、ヒト肝がん由来細胞株)がなお不鮮明なことがあり細胞観察が困難なことがあった。具体的には、各細胞に対し均一的に同時にピントを合わせるのが困難であった。
また、視野に写る細胞の上に無機系繊維シートを構成する無機系繊維が乗っていることが多くあり、細胞観察が困難なこともあった。
特開2017−58152号公報
従って、本発明の課題は、視野に写る各細胞が不鮮明となることを防止できる、細胞観察標本作製用の細胞保持基材を提供することにある。また、本発明の別の課題は、細胞観察が困難となることを防止できる、細胞観察標本作製用の細胞保持基材を提供することにある。
本発明者らは検討の結果、無機系繊維シートを含む基材における主面の「うねり曲線の最大断面高さWt(μm)」と、上述の細胞観察が困難となることの相関関係を見出した。そして、うねり曲線の最大断面高さWtを35μm未満に調整することで、視野に写る各細胞が不鮮明となることを防止できることを見出した。更に、視野に写る細胞の上に無機系繊維シートを構成する無機系繊維が乗るのを抑制できることを見出した。
本発明は、無機系繊維シートを含む細胞観察標本作製用の細胞保持基材であり、前記無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さが35μm未満である、細胞観察標本作製用の細胞保持基材に関する。
本発明の細胞観察標本作製用の細胞保持基材によれば、各細胞に対し均一的に同時にピントを合わせることができるため、視野に写る各細胞が不鮮明となることを防止できる。また、本発明の細胞観察標本作製用の細胞保持基材によれば、視野に写る細胞の上に無機系繊維シートを構成する無機系繊維が乗り難いため、前記無機系繊維により細胞観察が困難となることを防止できる。
従来公知の無機系繊維シートからなる細胞観察標本作製用の細胞保持基材では、無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さWt(μm)に着目していなかったため、標準的な細胞の直径(10〜30μm)よりもWtが高くなることが一般的であり、うねりの高い位置の細胞と、うねりの低い位置の細胞に同時にピントを合わせることを難しくさせ、細胞観察を妨げる要因であったと思われる。
また、充分に平滑処理されていないため、無機系繊維シートを構成する無機系繊維の毛羽が細胞に乗り易く、細胞観察を妨げる要因であったと思われる。
それに対して、本発明の細胞観察標本作製用の細胞保持基材では、無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さWt(μm)が35μm未満であり、標準的な細胞の直径(10〜30μm)と比べWtが近いあるいは低いため、各細胞に対し均一的に同時にピントを合わせることが容易であり、視野全体にわたって鮮明な細胞像を得ることができる。
また、充分に平滑処理されているため、無機系繊維シートを構成する無機系繊維の毛羽が細胞に乗り難く、観察しやすい細胞像を得ることができる。
実施例8の細胞観察標本作製用の細胞保持基材を用いて作成したSNU−1細胞(ヒト胃癌細胞株)の検鏡標本の光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。 比較例1の細胞観察標本作製用の細胞保持基材を用いて作成したSNU−1細胞(ヒト胃癌細胞株)の検鏡標本の光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。 実施例16の細胞観察標本作製用の細胞保持基材を用いて作成したRT112細胞(ヒト膀胱癌細胞株)の検鏡標本の光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。 比較例1の細胞観察標本作製用の細胞保持基材を用いて作成したRT112細胞(ヒト膀胱癌細胞株)の検鏡標本の光学顕微鏡写真(倍率:400倍)である。
本発明の細胞観察標本作製用の細胞保持基材(以下、本発明の基材と称することがある)で用いる無機系繊維シートは特に限定されるものではないが、剛性に富み細胞懸濁液のろ過時や培養液中で膨潤・変形し難いこと、細胞を可視化するために行う細胞染色によって基材自体が染色され難いものであること、という物性を満たし得ることから無機系繊維不織布であるのが好ましい。
本発明の基材は繊維シート(より好ましくは不織布)であるため、表面の微細な凹凸(繊維による凹凸)によって細胞が保持され易い。
無機系繊維シートの構成繊維の材料としては、適宜選択できるが、例えば、SiO、Al、B、TiO、ZrO、CeO、FeO、Fe、Fe、VO、V、SnO、CdO、LiO、WO、Nb、Ta、In、GeO、PbTi、LiNbO、BaTiO、PbZrO、KTaO、Li、NiFe、SrTiOなどを挙げることができ、これらの一成分の酸化物から構成されていても、二成分以上の酸化物から構成されていても良い。例えば、SiO−Alの二成分から構成することができる。また、市販のケイ素酸化物繊維(シリカ繊維など)の繊維シートを採用することもできる。
無機系繊維シートとしては、特開2017−58152号公報に開示されているように、静電紡糸法により調製した無機系繊維シートがより好ましい。
本発明で用いる無機系繊維シートは、その主面におけるうねり曲線の最大断面高さWt(μm)が35μm未満である。
本明細書において「主面」とは、無機系繊維シートにおける最も面積の広い面を意味する。
本明細書において「うねり曲線の最大断面高さ(Wt)」とは、JIS B 0601に定義される表面性状パラメータの一つであり、評価長さにおける輪郭曲線の山高さZpの最大値と谷深さZvの最大値の和を意味する。なお、JIS B0601:2001以前の測定でいう「ろ波中心線うねり曲線」は、本明細書でいう「うねり曲線」と同一の物性を意味するものである。
「うねり曲線の最大断面高さ」は、例えば、接触針式あるいは非接触式の表面粗さ測定器により決定することができる。具体的には、例えば、接触針式表面粗さ形状測定機(SURFCOM130A、東京精密)を用いて決定することができる。
無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さは、35μm未満であれば特に限定されるものではないが、標準的な細胞の直径(10〜30μm)の以下であるときに、よりピントが合い易くなるため、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは10μm以下である。うねり曲線の最大断面高さの下限は、理想的には0μmであるが、現実的には1μmである。なお、前記の各下限および上限は、所望に応じて、適宜組み合わせることができる。
うねり曲線の最大断面高さWtを35μm未満に調整する方法は、適宜選択できるが、例えば、以下の方法で表面平滑処理を施す製造方法により調整することができる。
なお、従来技術(例えば、特表2003−532845号公報、特開2005−220954号公報など)として、石英グラス繊維不織布などの無機系繊維シートを、変形可能となる温度以上で加熱成形することで賦形する方法が知られている。しかし、石英グラス繊維不織布などの無機系繊維シートは、当該温度で意図しない収縮を生じることがある。意図しない収縮が発生するのを防止して、構造体を望む形状で提供できることから次に説明する方法を採用するのが好ましい。
前記製造方法は、
(1)無機系繊維シートを用意する工程、
(2)無機系繊維シートの熱変形可能温度以上の温度条件のもと、無機系繊維シートの主面を平滑化処理へ供する工程、
(3)工程(2)を経た無機系繊維シートを、熱変形可能温度よりも低い温度になるまで冷却する工程、
を備える製造方法であって、
前述した工程(1)と工程(2)の間に、
(1’)工程(2)において無機系繊維シートへ採用させる温度以上の温度で、前記繊維集合体を非加圧状態で事前加熱する工程、
を備える、製造方法である。
無機系繊維シートの熱変形可能温度とは、その温度以上であることによって無機系繊維シートを効率よく変形可能にできる温度を指し、無機系繊維シートを以下の測定へ供し求められる温度をいう。
(熱変形可能温度の測定方法)
1.無機系繊維シートを非加圧状態で大型電気マッフル炉(Advantec社、FUW253PA、加熱対象へ送風や圧力などを作用させることなく非加圧状態で加熱できる加熱装置)へ供し、800℃の雰囲気下(一気圧)で3時間加熱する。
2.大型電気マッフル炉から無機系繊維シートを取り出し、無機系繊維シートを室温雰囲気下(温度:25℃、湿度:40%、一気圧)で25℃になるまで放冷する。
3.放冷後の無機系繊維シートの厚さを測定し(n=10以上)その平均値を算出する。なお、測定にはマイクロメーター(株式会社ミツトヨ製、測定荷重:0.5N(測定面積:直径14.3mm))を使用する。
4.放冷後の無機系繊維シートにおける重力方向と反対側の主面に対し、当該主面上から重力方向へ10g/cmの荷重をかけ賦形した状態のまま大型電気マッフル炉へ供し、熱変形可能温度か否かを判断する温度雰囲気下(一気圧、室温(25℃)以上の温度)で3時間加熱する。
5.大型電気マッフル炉から無機系繊維シートを荷重がかかった状態のまま取り出し、室温雰囲気下(温度:25℃、湿度:40%、一気圧)で25℃になるまで放冷する。
6.放冷後に無機系繊維シートへかかる荷重を取り除く。そして、荷重を取り除いた状態で1日静置した後の無機系繊維シートに対し、上述の工程3と同方法で厚さを再度測定し(工程3と同数)、その平均値を算出する。
7.工程3で測定された厚さの平均値[A]と、工程6で測定された厚さの平均値[B]を、以下の式へ代入し変化率(単位:%)を算出する。
変化率=100×(厚さの平均値[A]−厚さの平均値[B])/厚さの平均値[A]
8.熱変形可能温度か否かを判断する温度を変更する毎に、上述した工程1〜工程7の測定を別個に行う。そして、各温度(各熱変形可能温度か否かを判断する温度)における変化率を、各々算出する。なお、熱変形可能温度か否かを判断する温度は、25℃から0℃より高く100℃以下の温度ずつ昇温した温度とする。具体例として、熱変形可能温度か否かを判断する温度を25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃とすることができる。
9.各温度(各熱変形可能温度か否かを判断する温度)と当該温度において算出された変化率(単位:%)をまとめ、低い温度から高い温度の順に算出された変化率を並べる。
10.次に説明するようにして、測定を行った温度のうち最も低い温度から始め順に、室温(25℃、T0)雰囲気下で測定し算出された変化率と、熱変形可能温度か否かを判断した温度(T1)において算出された変化率の差を求める。なお、変化率の差が負の値であった場合、変化率の差は0%であるとみなす。つまり、熱変形可能温度か否かを判断する温度(T1)雰囲気下で測定し算出された変化率から室温(25℃、T0)雰囲気下で測定し算出された変化率を差し引いた差Δ1、そして、温度(T1)より高い温度(T2)雰囲気下で測定し算出された変化率から温度(T0)雰囲気下で測定し算出された変化率を差し引いた差Δ2、以下同様にして差Δ1と差Δ2を各々求める。
11.差(Δ1)および差(Δ2)がいずれも4.00%以上であると共に、差(Δ1)<差(Δ2)であるとき、当該無機系繊維シートは温度T1以上の温度で熱変形可能であり、熱変形可能温度は温度T1であると判断する。なお、無機系繊維シートが溶融して繊維構造が消失した場合、当該温度未満に、当該無機系繊維シートの熱変形可能温度が存在すると判断する。
なお、上述の測定を行っても変形可能温度が得られなかった場合、工程1で無機系繊維シートを加熱した温度を引き上げて(例えば1000℃)測定を行う。また、工程1で布帛を加熱した際に、無機系繊維シートの構成繊維が溶解するなどして無機系繊維シートの形状が保てなかった場合には、工程1で無機系繊維シートを加熱した温度を引き下げて(例えば600℃)測定を行う。
無機系繊維シートの熱変形可能温度は、無機系繊維シートの種類によって変化し得るものである。具体例として、テトラエトキシシランを加水分解させ調製した紡糸液を静電紡糸してなるシリカ繊維ウエブや石英ガラス繊維で構成された無機系繊維シートは、700℃以上の温度で熱変形可能であり、熱変形可能温度は700℃であると判断できた。
そして、本発明では、無機系繊維シートを熱変形可能温度以上の温度(かつ、後述する事前加熱温度以下の温度)で加熱成形する。加熱成形する温度は、無機系繊維シートの組成や諸物性、あるいは、その形状や賦形する形状などによって適宜調整できるが、加熱成形する温度は700℃以上の温度であることができる。高い温度であるほどうねり曲線の最大断面高さが小さくなり易いことから、800℃以上とするのが好ましい。なお、加熱成形する温度の上限は本発明が実施できるよう調整するものであり、無機系繊維シートが溶融して繊維構造が消失しない温度以下である。
なお、無機系繊維シートを加熱成形する際に使用する加熱装置の種類は、適宜選択するものであるが、例えば、ロールにより加熱または加熱加圧する装置、オーブンドライヤー、遠赤外線ヒーター、乾熱乾燥機、熱風乾燥機、赤外線を照射し加熱できる装置、流気式の電気炉などを用いた方法を採用できる。なお、加熱装置はバッチ式のものであっても連続式のものであっても良い。
加熱成形に際し無機系繊維シートの主面を平滑化処理する方法は、求める構造体の態様によって適宜選択するが、例えば、平板やローラで圧縮成形する方法などを挙げることができる。無機系繊維シートへ与える外力の大きさは適宜調整する。
次いで、無機系繊維シートは熱変形可能温度よりも低い温度となるまで冷却される。当該温度は、無機系繊維シートの組成や諸物性、あるいは、その形状や賦形する形状などによって適宜調整できるが、無機系繊維シートが実際に使用される温度となるまで、冷却されるのが好ましい。また、冷却に要する時間も適宜調整できる。つまり、冷却装置へ供し短時間で無機系繊維シートを冷却しても、室温(25℃)雰囲気下に静置し自然に放冷させるなど長時間をかけ無機繊維シートを冷却してもよい。
なお、上述した平板やローラを作用させたままで無機系繊維シートを冷却しても、上述した平板やローラを取り外した状態の無機系繊維シートを冷却しても良い。
本発明にかかる製造方法では、上述した平滑化処理する工程の前に、無機系繊維シートを加熱成形する温度以上の温度(熱変形可能温度以上の温度でもある)で、かつ非加圧状態で事前加熱する。
事前加熱する際の温度は、収縮が充分発生した後の無機系繊維シートを調製できるよう適宜選択するが、加熱成形時に大きな収縮が発生し難い状態にした無機系繊維シートを提供し易いように、当該温度は700℃以上の温度であることができる。高い温度であるほど、加熱成形時に収縮が発生し難い状態にした無機系繊維シートを提供し易いことから、当該温度は800℃以上とするのが好ましい。
本発明でいう非加圧状態とは、無機系繊維シートに対し重力や大気圧といった自然環境下で通常作用し得る外力以外に、加圧装置や冶具により発生する圧力などの人工的な外力を作用させない状態を意味する。つまり、大気圧のもと室温条件下(温度:25℃)に無機系繊維シートを静置し、その状態のまま、無機系繊維シートを加熱装置へ供することで、無機系繊維シートを非加圧状態のまま加熱工程へ供することができる。
無機系繊維シートを非加圧状態のまま加熱工程へ供する方法は適宜調整するが、無機系繊維シートを重力方向側から手や支持具などで支持し加熱装置へ運び入れる方法を採用できる。支持具の種類は無機系繊維シートへ人工的な外力を作用させないものであれば適宜選択でき、例えば、金属のメッシュやセラミックの平板であることができる。
なお、無機系繊維シートを事前加熱する際に使用する加熱装置の種類は、適宜選択するものであるが、不要な収縮が発生するほどの人工的な外力を作用させ難いよう、例えば、大型電気マッフル炉などを選択するのが好ましい。なお、加熱装置はバッチ式のものであっても連続式のものであっても良い。
なお、事前加熱することで熱変形可能温度以上の温度に熱せられた無機系繊維シートを一旦冷却することなく加熱成形する工程へ供しても、あるいは、事前加熱した後の無機系繊維シートを一旦熱変形可能温度未満の温度となるまで冷却した後、冷却した後の無機系繊維シートを加熱成形する工程へ供してもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(比較例1)
市販の石英グラス繊維不織布シートA(平均繊維径:841μm、目付:7.7g/m)を用意し、そのまま基材とした。
(実施例1〜13)
比較例1の石英グラス繊維不織布Aに、既述の熱変形可能温度以上の熱処理による成形法により加重成形を施したものを実施例1〜13の基材とした。具体的には、比較例1の石英グラス繊維不織布Aに以下の手順を施して製造した。
まず、比較例1の石英グラス繊維不織布Aの熱変形可能温度を求めた。その結果、既述の測定法より700℃であると求められた。熱変形可能温度を求める際に用いた、熱変形可能温度か否かを判断した温度は、25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃であった。
次いで、石英グラス繊維不織布Aを非加圧状態のまま、加熱温度を800℃に調整した大型電気マッフル炉(Advantec社、FUW253PA)へ供し、3時間加熱(事前加熱)した。
さらに、事前加熱した石英グラス繊維不織布Aを大型電気マッフル炉から取り出し、次いで、石英グラス繊維不織布Aを主面が平滑なアルミナ板間に挟み込むことで、石英グラス繊維不織布Aにおける重力方向と反対側の主面に対し、当該主面上から重力方向へ10g/cmの荷重をかけた状態のまま、加熱温度を800℃に調整した大型電気マッフル炉へ供し3時間加熱(加熱成形)した。
最後に、アルミナ板間に挟み込まれた石英グラス繊維不織布Aを大型電気マッフル炉から取り出し、アルミナ板間に挟み込んだ状態のまま室温(25℃)雰囲気下に静置することで放冷した後、アルミナ板を取り外して実施例1〜13の基材を製造した。
(実施例14〜18)
比較例1とは異なる石英グラス繊維不織布シートB(平均繊維径:799μm、目付:7.7g/m)を用意した。
石英グラス繊維不織布Aの替わりに、石英グラス繊維不織布シートBを用いたこと以外は(実施例1〜13)と同様にして、実施例14〜18の基材を製造した。
なお、石英グラス繊維不織布Bの熱変形可能温度は700℃であると求められた。熱変形可能温度を求める際に用いた、熱変形可能温度か否かを判断した温度は、25℃、100℃、200℃、300℃、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃であった。
(うねり曲線の最大断面高さWt(μm)の測定)
表面粗さ形状測定機SURFCOM130A(東京精密)を用い、実施例1〜18及び比較例1の基材(シート状で測定)の主面を以下の設定で測定した。結果を表1、表2に示す。
測定種別:ろ波中心線うねり測定
測定速度:0.3mm/sec
カットオフ値:0.25〜2.5mm
測定長:5mm
(検鏡標本の作製)
実施例1〜18及び比較例1の基材を直径19mmの円形にカットし、特願2016−114067に示される細胞観察標本作製用細胞保持基材ホルダーにセットした。
続いて、ホルダーの窓部に、液状化細胞診用の細胞固定試薬(サイトコレクト液、武藤化学#11902)であらかじめ固定したSNU−1細胞(ヒト胃癌細胞株)又はRT112細胞(ヒト膀胱癌細胞株)の生理食塩水分散液(1.5×10cells/mL)1mLを滴下し、重力により濾過した。
続いて、パパニコロウ染色を、パパニコロウ・ヘマトキシリン染色液(和光純薬#168−18941)、パパニコロウ EA100染色液(同#164−18921)、パパニコロウ OG100染色液(同#161−18931)の各染色試薬を使用し、添付の説明書の手順に従い、染色かご及び染色槽を使用して実施した。染色後の透徹においても同説明書の手順に従い、キシレン槽を使用して実施した。その後、封入剤(ネオマウント、メルク、#109016、屈折率:1.46)にて封入し、検鏡標本を作製した。
固定後のSNU−1の平均直径は18.8μmであり、固定後のヒト膀胱癌細胞株RT112の平均直径は15.1μmであった。
(比較結果)
実施例1〜18及び比較例1の基材を用いて作成した検鏡標本を光学顕微鏡(倍率:400倍)で観察することにより得られた観察評価を表1、表2に示す。
Figure 2021096139
実施例1〜13は視野内の90%以上の細胞を鮮明に観察できた。比較例1は視野内の40%の細胞しか観察できず、60%の細胞はピントが合わない、あるいは繊維が乗っていて観察できなかった。
Figure 2021096139
実施例14〜18は視野内の100%の細胞を鮮明に観察できた。比較例1は視野内の55%の細胞しか鮮明に観察できず、45%の細胞はピントが合わない(細胞ごとに調整する必要がある)、あるいは繊維同士が重なり合い鮮明に観察できなかった。
本発明の細胞観察標本作製用の細胞保持基材は、細胞診等の病理診断の分野に利用することができる。

Claims (1)

  1. 無機系繊維シートを含む細胞観察標本作製用の細胞保持基材であり、前記無機系繊維シートの主面におけるうねり曲線の最大断面高さが35μm未満である、細胞観察標本作製用の細胞保持基材。
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