JP2021095522A - 加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法 - Google Patents

加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、銀ナノ粒子を含有する加飾用金属光沢膜インクにおいて、保管安定性に優れる加飾用金属光沢膜インクを提供することである。また、該加飾用金属光沢膜インクを用いて形成された光沢性の良好な金属光沢膜を具備する積層体の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の加飾用金属光沢膜インクは、銀ナノ粒子(A)と化合物(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、かつ前記化合物(B)が、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、加飾用金属光沢膜インク及び積層体の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、保管安定性に優れる加飾用金属光沢膜インク及び、該加飾用金属光沢膜インクを用いて形成された光沢性の良好な金属光沢膜を具備する積層体の製造方法に関する。
銀ナノ粒子を含有するインクを用いて加飾用金属光沢膜を作製する場合、得られる金属光沢膜の光沢性が求められるだけでなく、上記銀ナノ粒子を含有するインクの保管安定性が求められている。該インクは、通常、銀ナノ粒子が水系溶媒に分散した分散液の形態をとる。該インクにおいて、保管中に銀ナノ粒子が凝集してしまうと、インクジェットヘッドからの吐出不良となる等基材へのインクの塗布が困難となる、印刷された金属光沢膜において十分な光沢が得られない等の問題があった。
一方、金属性被膜形成用の組成物として、特許文献1には、高濃度の銀コロイド粒子とともに高分子顔料分散剤を含有する高濃度金属コロイド粒子溶液が記載されている。特許文献1によれば、固形分30質量%の銀コロイド粒子と高分子顔料分散剤のエタノール溶液を、室温で3カ月以上貯蔵しても、色の変化や沈殿、金属性被膜形成後の電気的特性の変化もなく、極めて安定であったと報告がなされている。
しかしながら、インクジェットのインクを想定した場合、揮発性有機化合物(VOC)対策の観点から銀ナノ粒子を、水を含む水系溶媒に分散させたインクにおける保管安定性と、インクジェットの安定吐出濃度の観点から、より低濃度での保管安定性が必要とされる。特許文献1に記載の高分子顔料分散剤を含有する銀コロイド粒子溶液を、インクジェットインクを想定した銀コロイド粒子水系溶媒分散液とした場合、保管安定性が十分でないことが問題であった。
より具体的には、特許文献1の実施例において用いられている高分子顔料分散剤は、芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤であって、疎水性の芳香族部位と親水性のカルボキシ部位が銀ナノ粒子表面の疎水性と親水性部位へそれぞれ吸着して複合体を形成している。そのため、水系溶媒中において、初期は非常に、銀ナノ粒子の分散を安定化する働きがある。しかし、水系溶媒中で、その銀ナノ粒子を長期保管すると、水系溶媒中の水と、その溶媒に溶けている溶存酸素と、銀ナノ粒子との相互作用により、銀がイオン化する。その際、過酸化水素が発生し(非特許文献1を参照)、高分子分散剤、特にはその芳香族部位を切断することで、高分子特有の多点吸着が失われ、結果として銀ナノ粒子が凝集沈殿してしまうという問題があった。
特開2003−103158号公報
JINGYU LIU AND ROBERTH. HURT, Ion Release Kinetics and Particle Persistence in Aqueous Nano-Silver Colloids. Environ. Sci. Technol., 2010, 44 (6), pp 2169-2175
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、銀ナノ粒子を含有する加飾用金属光沢膜インクにおいて、保管安定性に優れる加飾用金属光沢膜インクを提供することである。また、該加飾用金属光沢膜インクを用いて形成された光沢性の良好な金属光沢膜を具備する積層体の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、銀ナノ粒子を含有する水系溶媒を用いた加飾用金属光沢膜インクを、銀ナノ粒子の表面が芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤で被覆された複合体と、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物と、水系溶媒を含有する組成とすることで、該インクが良好な保管安定性を有することを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.銀ナノ粒子(A)と化合物(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、かつ前記化合物(B)が、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする加飾用金属光沢膜インク。
2.前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であることを特徴とする第1項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
3.前記化合物(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28〜10.00モル%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
4.前記化合物(B)が、グリシン、システイン、セリン、及びβ−アラニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
5.前記芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、前記芳香族部位以外にポリアルキレンオキサイド基を有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
6.基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、前記基材上に、第1項から第5項までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インクを塗布して、前記金属光沢膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
7.前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することを特徴とする第6項に記載の積層体の製造方法。
本発明の上記手段により、銀ナノ粒子を含有する加飾用金属光沢膜インクにおいて、保管安定性に優れる加飾用金属光沢膜インクを提供することができる。また、該加飾用金属光沢膜インクを用いた、光沢性の良好な金属光沢膜を具備する積層体の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
上記のとおり、芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤は、芳香族部位が銀ナノ粒子へ吸着して複合体を形成し、優れた初期分散性を有している。しかしながら、銀ナノ粒子に水溶性高分子分散剤が吸着した部位は、銀の仕事関数が変動し、銀のイオン化が促進すると同時に、発生した過酸化水素により、水溶性高分子分散剤の芳香族部位が特異的に切断される。これにより、水溶性高分子分散剤の銀ナノ粒子への吸着力が弱まり、水溶性高分子分散剤が銀ナノ粒子から脱離することで、銀ナノ粒子が凝集沈降すると考えられる。なお、芳香族部位が切断されることは、側鎖にベンゼン環を有する水溶性高分子分散剤(例えば、ビックケミー社製、DISPERBYK−190)との複合体となっている銀ナノ粒子において、長期保管で銀ナノ粒子の凝集と安息香酸の発生が起こることで確認されている。
芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤が銀ナノ粒子に吸着した複合体が、水系溶媒中に分散したインクに、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物を添加すると、上記複合体において水溶性高分子分散剤が吸着した銀ナノ粒子表面の隙間に該脂肪族化合物が吸着することで、イオン化された銀を銀ナノ粒子表面に維持、銀の仕事関数の変動を抑えて、過酸化水素の発生が抑制されると考えている。それにより、銀ナノ粒子に吸着して優れた分散性を確保している水溶性高分子分散剤の分解が抑制されることから、銀ナノ粒子の凝集が抑制されて、良好な保管安定性を有するインクが得られたものと推察される。
なお、カルボキシ基とアミノ基を有する化合物が、芳香族部位を有しない脂肪族化合物であることで、銀の仕事関数の変動を抑えて、過酸化水素の発生を抑制する効果が得られていると考えている。カルボキシ基とアミノ基を有する化合物が芳香族部位を有する化合物である場合、芳香族部位が銀ナノ粒子に吸着することで、より銀の仕事が変動して銀のイオン化が促進してしまい、過酸化水素の発生を抑制する効果が少ないと考えられる。さらに、過酸化水素の発生により、水溶性高分子分散剤の分解に加えて、該化合物自体の分解により、安息香酸の発生量が増加し、銀ナノ粒子(A)の分散性に負の影響を及ぼすと考えられる。
本発明の加飾用金属光沢膜インクは、銀ナノ粒子(A)と化合物(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、かつ前記化合物(B)が、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、加飾用金属光沢膜インクの保管安定性の観点から、前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、前記化合物(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28〜10.00モル%の範囲内であることが好ましい。
加飾用金属光沢膜インクにおける化合物(B)の含有量は、銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28モル%以上であれば、過酸化水素の発生が十分に抑制され、上記機構による銀ナノ粒子(A)の凝集が十分に抑制できる。化合物(B)の含有量は、銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して10.00モル%以下であれば、得られる金属光沢膜は塗膜体積当たりの銀の割合を大きくでき、該金属光沢膜の反射率を向上させることが可能となる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、化合物(B)が、グリシン、システイン、セリン、及びβ−アラニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、前記芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、前記芳香族部位以外にポリアルキレンオキサイド基を有することが好ましい。
本発明の積層体の製造方法は、基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、前記基材上に、本発明の加飾用金属光沢膜インクを塗布して、前記金属光沢膜を形成することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法における実施態様において、前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することが、得られる金属光沢膜の平坦性の確保の観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[加飾用金属光沢膜インクの概要]
本発明に係る加飾用金属光沢膜インク(以下、単に「インク」ともいう。)は、銀ナノ粒子(A)と化合物(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、かつ前記化合物(B)が、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする。
本発明に係るインクは加飾用の金属光沢膜を形成するためのインクである。本発明のインクを用いた金属光沢膜の形成方法は後述の積層体の製造方法において説明する。その際のインクの塗工方法は限定されないが、好ましくはインクジェット法が用いられる。このような点から、本発明のインクは、インクジェット法に好適なインクであることが好ましい。
(銀ナノ粒子(A))
本発明で用いる銀ナノ粒子(A)は、銀ナノ粒子(A)とその表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)(以下、単に「水溶性高分子分散剤(P)」ともいう。)とを含む複合体として、インク中に含有される。
銀ナノ粒子(A)は、銀を主成分とする粒子である。なお、本明細書において、銀を主成分とするとは、銀ナノ粒子(A)全体に対して銀を50質量%以上含むものとする。銀ナノ粒子(A)における銀の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、99質量%以上がさらに好ましい。
銀ナノ粒子(A)において、銀は銀の合金として含有されていてもよい。銀を含む合金の例には、銀マグネシウム、銀銅、銀パラジウム、銀パラジウム銅、銀インジウム、銀ビスマス等が含まれる。さらに、銀ナノ粒子(A)は、不可避的に含まれる他の成分を微量に含んでいてもよいし、銀の酸化物を含有してもよい。また、銀ナノ粒子(A)は、コア部がシリカ等の銀以外から構成され、シェル部が銀や銀合金等の銀含有成分から構成されるコアシェル構造の銀ナノ粒子や、コア部が中空の中空銀ナノ粒子等でもよい。
銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、インク中での銀ナノ粒子(A)の分散性及びインクの保管安定性を高める観点から、150nm以下であることが好ましく、3nm以上100nm以下であることが好ましく、5nm以上80nm以下であることがより好ましく、10nm以上60nm以下であることがさらに好ましく、15nm以上55nm以下であることが特に好ましい。
銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、小角X線散乱法で体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。小角X線散乱法による銀ナノ粒子(A)の体積平均粒子径の測定は、例えば、小角X線散乱装置としてNANOPIX mini(リガク製)を用いて行うことができる。なお、銀ナノ粒子(A)の平均粒子径は、以下の銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)で被覆された複合体を用いて上記同様に測定した場合においても、銀ナノ粒子(A)の平均粒子径として測定可能である。
本発明で用いる銀ナノ粒子(A)の製造方法としては、特に制限はなく、従来公知の種々の方法を用いて製造することが可能であり、例えば、低真空ガス中蒸発法などの気相法を用いて製造してもよいし、液相で銀化合物を還元して、銀ナノ粒子(A)の分散液を調製してもよい。気相、液相法のうち、インク中での安定性や製造工程の簡便さから、液相法を特に好適に用いることができる。なお、後述のとおり、銀ナノ粒子(A)の形成と銀ナノ粒子(A)表面への水溶性高分子分散剤(P)の被覆を同時に行うこともでき、生産性の観点から同時に行うことが好ましい。
本発明のインクにおける銀ナノ粒子(A)の含有量は、インクの全質量に対して1.0〜12.00質量%の範囲内にあるのが好ましく、2.00〜10.00質量%の範囲内にあるのがより好ましく、4.00〜8.00質量%の範囲内にあるのがさらに好ましい。銀ナノ粒子(A)の含有量が1.00質量%以上であれば、得られる金属光沢膜の膜厚を十分に確保でき、例えば、4.00質量%以上であれば、金属光沢膜の膜厚を100nm以上とすることができる。これにより、ドットの表面形状が正反射光の割合に対して与える影響をより小さくして、正反射光の割合をより多くすることができる点で好ましい。銀ナノ粒子(A)の含有量が、12.00質量%以下であれば、インクジェットの安定吐出の点で好ましい。
本発明に係る銀ナノ粒子(A)は水溶性高分子分散剤(P)によって表面が被覆されて複合体を形成している。銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されているとは、銀ナノ粒子(A)の表面の少なくとも一部に、水溶性高分子分散剤(P)が付着していることをいう。すなわち、銀ナノ粒子(A)の表面全体が水溶性高分子分散剤(P)によって覆われていてもよく、銀ナノ粒子(A)の表面のうち、一部の領域のみが水溶性高分子分散剤(P)によって覆われていてもよい。水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されている領域は、銀ナノ粒子(A)の表面の全領域の半分以上であることが好ましい。
銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)によって被覆されているか否かは、銀ナノ粒子(A)がインクに含まれている状態では、銀ナノ粒子(A)濃度を高めたときに凝集するか否かによって確認できる。また、得られる金属光沢膜中の銀ナノ粒子(A)が水溶性高分子分散剤(P)で被覆されているかを確認する場合には、NMRや、熱重量分析などにより確認することができる。
(水溶性高分子分散剤(P))
水溶性高分子分散剤(P)は、芳香族部位を有する水溶性の高分子化合物であれば特に制限なく使用できる。水溶性高分子分散剤(P)は、芳香族部位を有することで銀ナノ粒子(A)の表面に吸着する。水溶性高分子分散剤(P)は、水溶性を呈するために、親水基を有する。親水基としては、カルボキシル基、酸無水物基、ポリアルキレンオキサイド基等が挙げられる。なお、ポリアルキレンオキサイド基は1価であってもよく、2価であってもよい。
水溶性高分子分散剤(P)の重量平均分子量は、銀ナノ粒子への吸着や、インクジェットの吐出安定性の観点から1000以上100000以下が好ましく、2000以上50000以下がより好ましい。当該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される値(スチレン換算)である。
水溶性高分子分散剤(P)は、例えば、芳香族部位を有するモノマーと親水性モノマーの共重合体として作製できる。また、水溶性高分子分散剤(P)は、芳香族部位を有するモノマーとそれ以外の疎水性モノマーと親水性モノマーの共重合体として作製してもよい。
芳香族部位を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマーが挙げられる。芳香族部位を有するモノマー以外の疎水性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィン系モノマー;酢酸ビニルや酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル系モノマー;等が含まれる。
親水性モノマーの例には不飽和カルボン酸(例えば、(メタ)アクリル酸やマレイン酸等)や無水マレイン酸等のカルボキシル基または酸無水物基を含有するモノマー;エチレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸アルキルエステル等のアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリル酸エステルモノマー;等が含まれる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの双方またはいずれか一方を意味する。
水溶性高分子分散剤(P)が共重合体である場合、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びくし型共重合体のいずれの構造であってもよい。中でも、銀ナノ粒子(A)のインク中での分散性を高める観点から、水溶性高分子分散剤(P)は、くし型共重合体であることが好ましく、特にくし型ブロック共重合体であることが好ましい。
くし型ブロック共重合体とは、略直鎖上の主鎖と、当該主鎖にグラフト重合した別の種類のモノマーもしくはポリマー由来の側鎖と、を有する共重合体を意味する。水溶性高分子分散剤(P)は、芳香族部位とともにポリアルキレンオキサイド基を有するくし型ブロック共重合体でありことが好ましい。くし型ブロック共重合体の好ましい例には、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を含み、側鎖に親水基としてポリアルキレンオキサイド基、例えば、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合基等を含む長鎖ポリアルキレンオキサイド基、を含む共重合体が含まれる。このようなくし型ブロック共重合体で銀ナノ粒子(A)を被覆すると、芳香族部位やカルボキシル基が銀ナノ粒子(A)側、グラフト重合した親水基を有する側鎖がその外側に配置される。そのため、インク中で、側鎖同士の立体障害によって、銀ナノ粒子(A)が凝集し難く、金属光沢膜に均一に銀ナノ粒子(A)が配置されやすくなる。
これらの共重合体は、ラジカル開始剤により溶液重合もしくは塊状重合で合成しても構わないし、市販品を使用しても構わない。なお、必要に応じて上記(共)重合体の塩を使用してインクを作製することができる。すなわち、塩の形でインクに配合して、インク中では水溶性高分子分散剤(P)として機能させることができる。
塩を形成するための化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ金属類、及びジエチルアミン、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、モルホリンなどが挙げられる。これらの塩を形成するための化合物の使用量は、上記共重合体の中和当量以上であることが好ましい。
ここで、水溶性高分子分散剤(P)の酸価は、1mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が1mgKOH/g以上であると、インク中の水系溶媒(C)と水溶性高分子分散剤(P)との親和性が高まりやすい。
なお、H−NMRやガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC/MS)によって水溶性高分子分散剤(P)の構造等を特定してもよい。
水溶性高分子分散剤(P)の市販品としては、例えば、ビックケミー社製のDISPERBYK−190、DISPERBYK−194N、DISPERBYK−2015、EVONIC社製のTEGO Dispers 750W、TEGO Dispers 755W、共栄社化学社製のフローレンGW1500、フローレンGW1640、日油製のマリアリムAFB−1521、AKM−0531、マリアリムSC−1015F、マリアリムSC−0505K、マリアリムFA−1160等が挙げられる。
本発明のインクにおける水溶性高分子分散剤(P)の量は、インク中での銀ナノ粒子(A)の分散性及びインクの保管安定性を高める観点から、銀ナノ粒子(A)の100質量%に対して、1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることがさらに好ましい。
銀ナノ粒子(A)を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法、すなわち銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の製造方法としては、銀ナノ粒子(A)を得た後、その表面を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法、銀ナノ粒子(A)を製造しつつ同時に銀ナノ粒子(A)の表面を水溶性高分子分散剤(P)で被覆する方法が挙げられ、生産性の観点から後者が好ましい。該方法の一例として、以下の方法が挙げられる。ただし、銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の製造方法は当該方法に限定されない。
まず、水、もしくは水と親水性溶媒とを含む溶媒(本明細書では、これらをまとめて「水系溶媒」とも称する。)中に、水溶性高分子分散剤(P)を溶解させる。その後、当該溶液に、銀を含む塩(銀塩)を分散させる。そして、還元剤をさらに加えて撹拌し、銀塩中の銀イオンを還元して銀ナノ粒子(A)を析出させつつ、当該銀ナノ粒子(A)を水溶性高分子分散剤(P)によって被覆する。
ここで、用いる水系溶媒としては、本発明のインクが含有する水系溶媒(C)と同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。異なる組成である場合、インクとする際に水系溶媒を、入れ替える、成分を追加する等により本発明のインクが含有する水系溶媒(C)と同じ組成とする。
銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体の平均粒子径は、上記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径と略同様であり、150nm以下が好ましい。上記複合体の平均粒子径は、例えば、以下の手順で測定することができる。まず、ガラス基板上に複合体の分散液を塗布した後、加熱せずに真空脱気して溶媒成分を揮発させて、試料を得る。得られた試料を、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製)により観察し、任意の300個の金属ナノ粒子の一次粒子の粒子径を測定する。得られた粒子径の平均値を、平均粒子径とする。
(水系溶媒(C))
本発明のインクは、水系溶媒(C)を含有する。水系溶媒(C)は、水を必須の溶媒として含有し、粘度調整などのために任意に公知の親水性溶媒を含んでいてもよい。
水系溶媒(C)が含む水の量は、水系溶媒(C)の総量に対して20〜80質量%の範囲内であることが好ましく、30〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。水の量が当該範囲であると、上記銀ナノ粒子(A)と銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体が均一に分散されやすく、さらにインクの粘度が適度な範囲となりやすい。インク中の水系溶媒(C)の含有量は、インクの総量に対して、86〜98質量%の範囲内の量であることが好ましく、90〜96質量%の範囲内であることがより好ましい。
上記親水性溶媒の例には、一価又は多価のアルコール、アミン、アミド、含窒素複素環化合物、スルホキシド、グリコールエーテル等が含まれる。
一価のアルコールの例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール等が含まれる。
多価アルコールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘプタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等が含まれる。
アミンの例には、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等が含まれる。
アミドの例には、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が含まれる。
含窒素複素環化合物の例には、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が含まれる。
スルホキシドの例には、ジメチルスルホキシド等が含まれる。
グリコールエーテルの例には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が含まれる。
(化合物(B))
本発明のインクが含有する化合物(B)は、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物である。化合物(B)は該構造を有することで、上記のとおり水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A)において、水溶性高分子分散剤(P)の隙間から銀ナノ粒子(A)に作用して、銀ナノ粒子(A)の凝集が抑制される。化合物(B)として、具体的には、脂肪族アミノ酸が挙げられる。脂肪族アミノ酸の分子量としては、上記水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A)に作用する観点から、70〜500の範囲内が好ましく、70〜300の範囲内がより好ましい。
化合物(B)が有するカルボキシ基(−COOH)及びアミノ基(−NH)の数は、それぞれ独立に、1〜4の範囲内にあるのが好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。なお、化合物(B)におけるアミノ基は、活性水素が置換されていない−NHで示される基のみを意味する。化合物(B)における、カルボキシ基及びアミノ基の結合位置は、α位、β位、γ位又はδ位が好ましく、α位又はβ位がより好ましい。本発明のインクが含有する化合物(B)として、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ酸には光学異性体を有するものがある。例えば、グリシン以外のα−アミノ酸がその例であり、D型とL型が存在する。本発明において、特に断らない限り、D型とL型の表記がない場合は、D型とL型の両方を含むものとして扱う。例えば、「システイン」の表記は、D−システイン、L−システイン、又はこれらの混合物を示す。光学異性体を有する他のアミノ酸についても同様である。
化合物(B)として、具体的には、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、β−アラニン、メチオニン、プロニン、スレオニン等が挙げられる。
化合物(B)としては、本発明の効果をより高く発現できる観点から、グリシン、システイン、セリン、及びβ−アラニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のインクにおける化合物(B)の含有量は、上記理由から銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28〜10.00モル%の範囲内であることが好ましい。化合物(B)の含有量は、銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28〜7.18モル%の範囲内がより好ましい。
(その他成分)
本発明のインクは、上記複合体(水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A))、化合物(B)、水系溶媒(C)以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、公知のバインダ樹脂、界面活性剤(表面調整剤)、増粘剤、レベリング剤、pH調整剤及び防腐剤が挙げられる。本発明のインクは、さらに、その他の成分として、上記複合体以外のその他の無機粒子、有機粒子、離型剤、帯電防止剤等の添加剤を含有してもよい。
バインダ樹脂としては、アニオン性樹脂が好ましい。アニオン性樹脂はエマルションとしてインクに配合されるのが好ましい。アニオン性樹脂は、銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する水溶性高分子分散剤(P)と相互に作用して、得られる金属光沢膜の基材への密着性や耐水性を高める機能を有する。
上記アニオン性樹脂は、水溶性高分子分散剤(P)との親和性が高い樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体)、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)、及び酢酸ビニル共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等)などから適宜選択して使用することができる。
本発明のインクを用いて得られる金属光沢膜の耐水性をより高める観点からは、上記アニオン性樹脂は、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリシロキサン樹脂、フッ素樹脂、スチレン共重合体、及び酢酸ビニル共重合体などから選択されることが好ましく、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から選択されることが好ましい。
アニオン性樹脂のエマルションは、市販の水分散樹脂のエマルションでもよい。上記市販の水分散樹脂のエマルションの例には、アクリル樹脂のエマルションであるSE841E及びSE1658(大成ファインケミカル株式会社製)、ポリエステル樹脂のエマルションであるバイロナールMD1200、バイロナールMD1245及びバイロナールMD2000(いずれも東洋紡株式会社製、「バイロナール」はいずれも同社の登録商標)、ポリウレタン樹脂のエマルションであるスーパーフレックス210(第一工業製薬株式会社製、「スーパーフレックス」は同社の登録商標)などが含まれる。
エマルションにおけるアニオン性樹脂粒子の平均粒径は、10nm以上200nm以下であることが好ましく、30nm以上100nm以下であることがより好ましい。アニオン性樹脂粒子の平均粒子径は、動的光散乱法に基づく粒子径分布測定装置を使用して求めた体積平均粒子径とすることができる。
本発明のインクがバインダ樹脂のエマルションを含有する場合、該エマルションの固形分含有量、すなわち、バインダ樹脂の含有量は、上記複合体(水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A))の全質量に対して、10.00〜15.00質量%の範囲内であることが好ましい。上記固形分含有量が10.00質量%以上だと、得られる金属光沢膜の耐擦性を高めることができる。上記固形分含有量が15.00質量%以下だと、得られる金属光沢膜の光輝性(反射率)を高めることができる。上記観点から、インク中の上記エマルションの固形分含有量は、10.00〜15.00質量%の範囲内であることがより好ましい。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類及び脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類及びポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類及び第四級アンモニウム塩類等、又は、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642及びX−22−4272(信越化学工業社製)、BYKシリーズ(ビッグケミー社製(「BYK」は同社の登録商標))、又は、TSF4452(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)が含まれる。
フッ素系の界面活性剤の市販品の例には、FC−4430、FC−4432(3M社製)、フタージェントシリーズ(ネオス社製)、F−477等のメガファックシリーズ(DIC社製)、サーフロンシリーズ(AGCセイケミカル社製)が含まれる。
界面活性剤、増粘剤、レベリング剤及び防腐剤並びに添加剤等の含有量は、例えば、インクの全質量に対して、それぞれ0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
ただし、金属光沢膜の反射率をより高める観点からは、インクは、実質的に、上記複合体(水溶性高分子分散剤(P)で被覆された銀ナノ粒子(A))、化合物(B)、水系溶媒(C)、及び任意に含有される界面活性剤からなることが好ましい。上記複合体、化合物(B)、水系溶媒(C)の含有量の合計は、インクの全質量に対して90〜100質量%の範囲内であることが好ましく、95〜100質量%の範囲内であることがより好ましい。
(インクの物性)
本発明のインクの粘度は、25℃で測定される粘度として、1mPa・s以上100mPa・s未満であることが、金属光沢膜を、インクジェット法を用いて形成する場合に、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性をより高める観点から好ましい。インクの粘度(25℃)は、1〜50mPa・sの範囲内であることがより好ましく、1〜15mPa・sの範囲内であることがさらに好ましい。
本発明のインクの表面張力は、25℃で測定される表面張力として、20〜50mN/mの範囲内であることが、インクジェットヘッドのノズルからの吐出安定性を高める観点から好ましい。基材に対する濡れ性を高めて、形成される画像をより高精細にする観点からは、本発明のインクの表面張力(25℃)は20〜35mN/mの範囲内であることがより好ましい。本発明のインクの表面張力は、上記有機溶媒又は界面活性剤の種類又は量を変更することで、上記範囲に調整することができる。
また、本発明のインクのpH(25℃)は、インク保管安定性や、インクジェットヘッド部材安定性の観点から6.00〜11.00の範囲内が好ましく、7.00〜10.00の範囲内がより好ましい。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、前記基材上に、本発明の加飾用金属光沢膜インクを塗布する工程(以下、「インク塗布工程」ともいう。)を有することを特徴とする。基材上に塗布されたインクに、通常、乾燥が施されること(以下、「乾燥工程」ともいう。)により、インクから水系溶媒(C)が除去されて金属光沢膜が形成される。また、インクがバインダ樹脂を含有する場合は、インクを加熱すること(以下、「加熱工程」ともいう。)により、バインダ樹脂が融着する。
本発明の積層体の製造方法においては、必要に応じてインク塗布工程及び乾燥工程、加熱工程以外の工程を有してもよい。例えば、インク塗布工程の前に、基材の表面にプライマー層を形成する工程(以下、「プライマー層形成工程」ともいう。)を有してもよい。この場合、本発明の加飾用金属光沢膜インクはプライマー層上に塗布された後、加熱により硬化されて、基材上に、プライマー層及び金属光沢膜がその順に積層された積層体が製造される。基材と金属光沢膜の間にプライマー層を形成することにより、金属光沢膜の平坦性が向上し良好な光沢が得られる。
(基材)
本発明の積層体の製造方法に用いられる基材は、特に制限されず、その用途に応じて適宜選択される。基材の例には、塗工紙(例えばアート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙、キャスト紙等)や非塗工紙等の吸収性の媒体;ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等のプラスチックで構成される非吸収性の記録媒体(プラスチック基材);金属類やガラス等の非吸収性の無機記録媒体;が含まれる。
基材の厚さや形状等は、積層体の用途に応じて適宜選択される。基材は、平板状に限定されず、例えば立体的な構造を有していてもよい。
(プライマー層形成工程)
プライマー層は、樹脂と、溶媒とを含むプライマーインクを基材上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。また、活性エネルギー重合型化合物と、重合開始剤とを含むプライマーインクを塗布し、塗膜に活性エネルギーを照射させることにより形成してもよい。
プライマーインクの塗布方法は特に制限されず、ロールコート法、スピンコート法、スプレー塗布法、浸漬法、スクリーン印刷法、インクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法等、いずれの方法であってもよい。これらの中でも、基材の表面粗さを細かく制御したりする場合には、スクリーン印刷法又はインクジェット法であることが好ましく、特にインクジェット法であることが好ましい。
インクジェット法によるインクジェットヘッドからの吐出方式は、オンデマンド方式及びコンティニュアス方式のいずれでもよい。オンデマンド方式のインクジェットヘッドは、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型及びシェアードウォール型等の電気−機械変換(ピエゾ)方式、又は、サーマルインクジェット型及びバブルジェット(バブルジェットはキヤノン社の登録商標)型等の電気−熱変換(サーマル)方式等のいずれでもよい。
また、プライマーインクの塗布後、塗膜を硬化もしくは乾燥させる方法は、プライマーインクの種類に応じて適宜選択され、例えば、加熱したり、活性エネルギーを照射する方法とすることができる。
(インク塗布工程)
加飾用金属光沢膜インクを基材上又はプライマー層上に塗布する方法としては、インクジェット法を用いることが好ましい。なお、加飾用金属光沢膜インクの塗布方法は、必要に応じてプライマーインクの塗布方法で説明した、インクジェット法以外の方法であってもよい。インクジェット法については、上記プライマーインクの場合と同様に行うことができる。
(乾燥工程)
基材上又はプライマー層上に塗布された加飾用金属光沢膜インクを乾燥させる際の乾燥温度は、30℃以上140℃未満であることが好ましく、30℃以上100℃未満であることがより好ましい。本工程により、インクから水系溶媒(C)が除去されて金属光沢層が形成される。
(加熱工程)
さらに乾燥されたインクを加熱してもよい。特に使用したインクにバインダ樹脂が含まれる場合には、加熱によってバインダ樹脂を熱融着させることが好ましい。
インクの加熱温度は、バインダ樹脂が熱融着しうる温度であればよく、バインダ樹脂のガラス転移温度以上とすることが好ましい。具体的には、加熱温度は、例えば40℃以上とすることが好ましく、上限温度は、基材とバインダ樹脂の耐熱温度以下である必要がある。また、インクに造膜助剤をさらに添加することで、バインダ樹脂のTg以下で造膜させることも可能となる。加熱温度の上限は、基材の変形などが生じない範囲であれば特に限定されないものの、例えば100℃以下とすることができる。
なお、乾燥工程と加熱工程とは、別工程で行ってもよいし、同時に行ってもよい。乾燥と加熱とを同時に行う場合、乾燥温度兼加熱温度は、バインダ樹脂のガラス転移温度以上とすることが好ましい。加飾用金属光沢膜インクを加熱する方法は、インクを所定の温度以上に加熱できる方法であれば、特に制限されない。具体的には、恒温層による加熱、電気ヒーターによる加熱、赤外線照射による加熱等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[金属光沢膜インクの調製]
1.銀ナノ粒子の複合体分散液の調製
以下の方法で、銀ナノ粒子と、銀ナノ粒子の表面を被覆する水溶性高分子分散剤とからなる複合体(以下、「銀ナノ粒子複合体」という。)の分散液(銀ナノ粒子複合体分散液1)を調製した。
2Lのコルベンに、12gのDISPERBYK−190(ビックケミー社製、芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)に相当する、芳香族部位と共に側鎖にポリアルキレンオキサイド基を有する高分子量くし型ブロック共重合体(酸価;10mgKOH/g、以下、「化合物(P1)」という。)の水溶液。固形分40質量%)、及び420gのイオン交換水を投入した。上記コルベンをウォーターバスに入れ、DISPERBYK−190が溶解するまで50℃で撹拌した。その後、上記コルベンに、420gのイオン交換水に溶解させた100gの硝酸銀を撹拌しながら投入した。次に銀に対して2.8当量となるようにアンモニア水100gを入れた後、70℃に昇温して10分間撹拌した。その後、上記コルベンに、262gのジメチルアミノエタノールを加え、70℃を保ちながら2時間撹拌を続け、銀ナノ粒子の表面が化合物(P1)で被覆された銀ナノ粒子複合体1を含む反応液を得た。
得られた反応液を1Lのポリ瓶に移し換え、60℃の恒温室で18時間静置した。その後、上記反応液をステンレスカップに入れて、更に2Lのイオン交換水を投入してから、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。その後、濃縮して銀ナノ粒子の平均粒子径が30nmで、固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体1の分散液(銀ナノ粒子複合体分散液1)を得た。なお、銀ナノ粒子における構成金属は銀100%である。また、銀ナノ粒子の平均粒子径は、銀ナノ粒子複合体分散液1について、NANOPIX mini(リガク製)で、小角X線散乱法により体積基準の粒度分布を求め、そのD50(メジアン径)を体積換算の平均粒子径とした体積平均粒子径である。さらに、上記仕込み量から算出される銀ナノ粒子複合体1における銀に対する化合物(P1)の割合は7.6質量%である。
上記限外濾過装置としては、限外濾過モジュールAHP1010(旭化成株式会社製、分画分子量:50000、使用膜本数:400本)、マグネットポンプ、及び下部にチューブ接続口のある3リットルのステンレスカップをシリコンチューブでつないだものを使用した。
2.金属光沢膜インクの調製
(金属光沢膜インク1)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク1を得た。得られた金属光沢膜インク1における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるグリシンの割合は、7.18mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
グリシン 0.20質量部
水 85.45質量部
(金属光沢膜インク2)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク2を得た。得られた金属光沢膜インク2における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるグリシンの割合は、3.59mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
グリシン 0.10質量部
水 85.55質量部
(金属光沢膜インク3)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク3を得た。得られた金属光沢膜インク3における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるグリシンの割合は、0.29mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
グリシン 0.008質量部
水 85.642質量部
(金属光沢膜インク4)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク4を得た。得られた金属光沢膜インク4における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるβ−アラニンの割合は、3.60mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
β−アラニン 0.119質量部
水 85.531質量部
(金属光沢膜インク5)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク5を得た。得られた金属光沢膜インク5における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるL−システインの割合は、0.29mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
L−システイン 0.013質量部
水 86.637質量部
(金属光沢膜インク6)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク6を得た。得られた金属光沢膜インク6における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるL−セリンの割合は、0.28mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
L−セリン 0.011質量部
水 85.639質量部
(金属光沢膜インク7)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク7を得た。なお、SF210は、スーパーフレックス210(第一工業製薬社製、ウレタン樹脂エマルション、固形分35質量%)であり、以下同様に示す。得られた金属光沢膜インク7における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるグリシンの割合は、0.57mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
SF210 1.14質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
グリシン 0.016質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.25質量部
1,2−ヘキサンジオール 4.15質量部
水 34.994質量部
(金属光沢膜インク8)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク8を得た。得られた金属光沢膜インク8における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるL−システインの割合は、0.54mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
SF210 1.14質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
L−システイン 0.026質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.25質量部
1,2−ヘキサンジオール 4.15質量部
水 34.984質量部
(金属光沢膜インク9)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク9を得た。得られた金属光沢膜インク9における銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対する化合物(B)であるL−セリンの割合は、0.54mol%である。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
SF210 1.14質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
L−セリン 0.022質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.25質量部
1,2−ヘキサンジオール 4.15質量部
水 34.988質量部
(金属光沢膜インク10)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク10を得た。金属光沢膜インク10は化合物(B)を含有しないインクである。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
水 85.65質量部
(金属光沢膜インク11)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク11を得た。金属光沢膜インク11は、化合物(B)の代わりに、化合物(B)に該当しない芳香族部位を有するアミノ酸であるL(−)−フェニルアラニンを、銀ナノ粒子(A)の構成金属(銀)に対して、3.59mol%含有するインクである。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
L(−)−フェニルアラニン 0.22質量部
水 85.43質量部
(金属光沢膜インク12)
以下の成分を以下の組成で混合して、金属光沢膜インク12を得た。金属光沢膜インク12は化合物(B)を含有しないインクである。
固形分30質量%の銀ナノ粒子複合体水分散液1 14.35質量部
SF210 1.14質量部
NaCO 0.01M水溶液(pH調整剤) 8.00質量部
F−477(DIC社製、界面活性剤) 0.10質量部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 37.25質量部
1,2−ヘキサンジオール 4.15質量部
水 35.01質量部
[評価]
(1)安息香酸生成量(保管安定性評価1)
上記で得られた金属光沢膜インク1〜6及び金属光沢膜インク10、11を45℃で保管し、2週間、4週間、8週間の保管試験を実施した。初期と保管試験後のインクを5mLずつ採取して、11000rpmで遠心分離を実施した。上澄み液を分離し、沈降物を採取し、該沈降物について凍結乾燥後、GC/MS測定を実施して安息香酸量[mg/kg]を測定した。結果を各金属光沢膜インクが含有する化合物(アミノ酸)の種類及び銀ナノ粒子の銀に対する該化合物(アミノ酸)の量(mol%)とともに表Iに示す。
Figure 2021095522
(2)IJ吐出安定性(保管安定性評価2)
金属光沢膜インク7〜9、12のそれぞれについて、初期、室温(25℃)で2週間保管した後、及び室温(25℃)で4週間保管した後に以下の画像形成を行い、初期画像、2週間後画像、4週間後画像を得た。
(画像形成)
1.プライマーインクの調製
紫外線重合型化合物としてA−DCP(新中村化学工業社製、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)の96質量部及び重合開始剤としてIRGACURE819(BASF社製、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルホスフィンオキサイド)の4質量部を混合して、プライマーインクを得た。
2.画像形成
基材(コート紙:ラミーコーポレーション製、WRG3−36)に、上述のプライマーインク、金属光沢膜インクを、基材表面に対してこの順番で用いて、それぞれ以下の条件で画像形成を行った。
2−1.画像形成条件
ピエゾ型インクジェットノズル(印字幅72.12mm、ノズル数4×256、ノズル解像度360npi(90npi×4))を有するインクジェット記録装置を用いて、上述の基材上に各層を形成した。インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、及びピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有するものを用いた。
また、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを使用するインクに合わせて断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分がUV系インク(プライマーインク)を使用する場合は80℃±2℃、水系インク(金属光沢膜インク)を使用する場合は25℃±2℃、温度制御を行った。インクジェットヘッドはインク液滴(吐出)量14±1plのものを用い、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHzの条件で駆動して、インクの液滴を1回から複数回吐出して、被塗布物上に着弾させた。
プライマー層については、プライマーインクを基材上に着弾後、ドライ窒素下で、Phoseon Technology社製水冷ユニット付きのLEDランプから紫外線(395nm、350mJ/cm)を照射し、プライマーインクを硬化させてプライマー層を得た。
金属光沢膜については、金属光沢膜インクをプライマー層上に着弾後、Adphos社製のNIRヒーターから、赤外線(3.2kW、4.95sec(1.65sec×3passes))を照射し、金属光沢膜インクを硬化させて金属光沢膜を得た。
2−2.画像形成
90npiに対応させて、縦2mmの細線を横幅72.2mm中に、256本とし、それが4段で合計1024本の細線がある画像(プライマー層と金属光沢膜の積層画像)を形成した。
各金属光沢膜インクについて得られた3種の画像を、以下の基準で評価した。Aが実用上問題ないレベルである。
(評価基準)
A:画像形成部に吐出欠なし。
B:画像形成部の半分未満で吐出欠あり。
C:画像形成部の半分以上で吐出欠あり。
結果を金属光沢膜インク7〜9、12が含有する化合物(アミノ酸)の種類及び銀ナノ粒子の銀に対する該化合物(アミノ酸)の量(mol%)とともに表IIに示す。
Figure 2021095522
表I、IIから、本発明の金属光沢膜インクである金属光沢膜インク1〜6においては、2週間〜8週間保管後において、水溶性高分子分散剤(P)の分解の進行が抑制されていることがわかる。金属光沢膜インク7〜9においては、少なくとも2週間のIJ吐出安定性を有し、保管安定性に優れることがわかる。

Claims (7)

  1. 銀ナノ粒子(A)と化合物(B)と水系溶媒(C)を含有する加飾用金属光沢膜インクであって、
    前記銀ナノ粒子(A)が、前記銀ナノ粒子(A)と前記銀ナノ粒子(A)の表面を被覆する芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)とを含む複合体として含有され、かつ
    前記化合物(B)が、カルボキシ基とアミノ基を有する脂肪族化合物であることを特徴とする加飾用金属光沢膜インク。
  2. 前記銀ナノ粒子(A)の平均粒子径が、150nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  3. 前記化合物(B)の含有量が、前記銀ナノ粒子(A)が含有する構成金属に対して0.28〜10.00モル%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  4. 前記化合物(B)が、グリシン、システイン、セリン、及びβ−アラニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  5. 前記芳香族部位を有する水溶性高分子分散剤(P)が、くし型ブロック共重合体であり、前記芳香族部位以外にポリアルキレンオキサイド基を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インク。
  6. 基材と前記基材上に形成された金属光沢膜を有する積層体の製造方法であって、
    前記基材上に、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の加飾用金属光沢膜インクを塗布して、前記金属光沢膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  7. 前記基材は表面にプライマー層を有し、前記プライマー層上に前記金属光沢膜を形成することを特徴とする請求項6に記載の積層体の製造方法。
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