JP2021095424A - 抗癌剤結合アルギン酸誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな基材の選択肢となりうる基材としてアルギン酸を用いて、生体内において安定的に有効成分を持続放出しうる、徐放性製剤に使用し得る化合物を提供する。【解決手段】アルギン酸又はその塩とカンプトテシン誘導体とがリンカーを介して共有結合されてなる構造を有する、アルギン酸誘導体に関し、好ましくは、式(A)−L−(D)で表される構造(式中、(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、Lは、(A)とアミド結合で結合しうる官能基を有し、かつ(D)とエステル結合で結合しうる官能基を有するリンカーである)を有する、アルギン酸誘導体に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、アルギン酸とカンプトテシン誘導体とがリンカーを介して共有結合されてなるアルギン酸誘導体等、及びこれを含む徐放性医薬組成物に関する。
アルギン酸は、褐藻類から抽出されるβ−D−マンヌロン酸とα−L−グルロン酸からなる天然の高分子多糖であり、毒性はなく、生体内に特定の分解酵素がないため分解されにくく、生体適合性があり、また非免疫原性である。さらにアルギン酸はイオン交換によって物性変化を起こす特性を有しており、ナトリウム等の1価金属イオン存在下では水に可溶であるが、カルシウム等の2価金属イオン存在下では架橋することによりゲルを形成する。このようなアルギン酸の性質を利用して、工業用や食品用、さらには医薬品添加物として広く利用されている。近年、さらに医薬の主剤として創傷被覆用途(特開2007−75425号公報(特許文献1))、軟骨疾患治療用途(国際公開第2008/102855号公報(特許文献2))、関節リウマチ治療用途(国際公開第2009/54181号公報(特許文献3))及び椎間板治療用途(国際公開第2017/163603号公報(特許文献4))が提案されている。特に、アルギン酸のイオン交換による物性変化の特性は有用であり、医薬の適応疾患、投与経路や剤形等に応じて、水溶液、ゾル又はゲル状態を選択することが可能であり、医薬組成物としての応用範囲が広がることが期待されている。
一方、悪性腫瘍の治療方法として抗癌剤化学療法が実施されているが、効果の増強は様々な副作用を引き起こすことがある。カンプトテシンはトポイソメラーゼI阻害作用を有するアルカロイドの一種であり、抗癌作用を有することが知られているが、溶解性の悪さや重篤な副作用を示すことから、様々なそのアナログ化合物が開発され、抗癌剤として検討されてきた。それらカンプトテシンアナログ化合物の一つとしてSN−38が見出されたが、難溶性の問題を克服するものとして、プロドラッグのイリノテカンが医薬品として開発された。イリノテカンの活性型は代謝物のSN−38であり、強力な抗癌作用をもたらすためには肝臓等の生体内における代謝活性化ステップが必要である。結果として、作用有効量を得るためには高用量の投与が必要となり、副作用の増大につながることから、使用に制限を受けることとなる。
また、癌性腹膜炎(腹膜転移)は癌細胞が主に播種性に腹膜に転移した病態であり、卵巣癌、胃癌、大腸癌等の腹腔内臓器癌が進行した状態で認められることが多く、予後は極めて悪い。腹膜転移に対する腹腔内化学療法が治療方法の一つとして行なわれているが、多くの水溶性低分子抗癌剤は毛細血管を介して速やかに血中に吸収されてしまい、腹腔内の滞留時間が短く、有効な濃度を維持させることが困難である。一方で、高分子化合物やミセル形成分子はリンパ系を介して吸収されることから、腹腔内における吸収は緩徐であり、それらの特性を利用した腹腔内化学療法が検討されてきたが、充分な効果を示すには至っていない。
このような問題点を解決するために、近年、抗癌剤のドラッグ・デリバリー方法が検討されており、抗癌剤へ高分子物質を化学的に結合させる方法が試みられている。例えば、国際公開第94/19376号公報(特許文献5)には、カルボキシル基を有する多糖にドキソルビシン等の化合物を導入した誘導体が開示されており、結合部は酵素によって解離されうるアミノ酸又はペプチド鎖からなる。特開平10−72467号公報(特許文献6)には、カルボキシ基を有する多糖類に特定のカンプトテシンアナログをアミノ酸又はペプチドを介して導入した誘導体が開示されている。特開平8−24325号公報(特許文献7)には、酵素が産生される病巣部位においてのみ、治療に有効な量の薬剤を放出させることが可能な医療用高分子ゲルを提供することが記載されており、薬剤は酵素反応で主鎖が切断され得る分解性基(ペプチド等)を介して結合されることが開示されている。特表平8−502053号公報(特許文献8)には、pH7.4では安定であるが酸に不安定な生物分解性スペーサー結合を介して接続されたアルジネート‐生物活性剤配合体が開示されており、具体的にはシス−アコニチル基が生物分解性スペーサーとして示されている。国際公開第2004/039869号公報(特許文献9)には、ポリエチレングリコール類とポリカルボン酸との重合体のカルボン酸基とフェノール性カンプトテシン類の水酸基とが結合した誘導体が開示されており、24時間後までの薬物徐放作用が示されている。さらに、国際公開第2011/049042号公報(特許文献10)には、特許文献9で示された誘導体から形成されるミセル調製物を腹腔内投与に用いた治療法が開示されている。
また、抗癌剤関連の開示ではないが、国際公開第2005/066214号公報(特許文献11)には、ヒアルロン酸に抗炎症化合物を生体内分解性スペーサーを介して結合させた誘導体が開示されており、関節症に伴う疼痛の抑制効果等が示され、持続的効果も示唆されている。国際公開第2015/005458号公報(特許文献12)には、グリコサミノグリカンに生理活性物質をスペーサーを介して結合させた誘導体において、生理活性物質の遊離速度に応じてスペーサーが選択される誘導体及びその遊離速度制御方法が示されている。また、国際公開第2007/004675号公報(特許文献13)には、非ステロイド性抗炎症剤等の薬剤と光反応性基が導入されたヒアルロン酸誘導体及び光架橋されたヒアルロン酸誘導体ゲルが開示されており、薬剤徐放性を高めた製剤を提供することが記載されている。
特開2007−75425号公報 国際公開第2008/102855号公報 国際公開第2009/54181号公報 国際公開第2017/163603号公報 国際公開第94/19376号公報 特開平10−72467号公報 特開平8−24325号公報 特表平8−502053号公報 国際公開第2004/039869号公報 国際公開第2011/049042号公報 国際公開第2005/066214号公報 国際公開第2015/005458号公報 国際公開第2007/004675号公報
このように、抗癌剤の開発において、様々な高分子物質を基材としたコンジュゲート化合物を用いたドラッグ・デリバリー方法が検討されてきており、薬物との結合部位であるリンカー構造の検討も進められてきたが、低分子化合物の徐放性製剤としては実用化にまで至っていない。例えば、ヒアルロン酸を基材として用いた徐放性製剤が提案されているが、ヒアルロン酸は生体内に存在する酵素(ヒアルロニダーゼ)によって速やかに分解されてしまい、その半減期の短さから薬剤の放出に影響を与える懸念がある。また、複雑な修飾を施した基材は生体内で異物として認識され、毒性や免疫原性等の懸念がある。患部(腫瘍局所)における薬物の放出は効果発現に重要なステップであるが、ペプチドリンカー等は生体内の酵素分布に依存した分解機構を要する。
このような課題を踏まえて、本発明の目的は、新たな基材の選択肢となりうる基材としてアルギン酸を用いて、生体内において安定的に有効成分を持続放出しうる、徐放性製剤に使用し得る化合物を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、アルギン酸又はその塩とカンプトテシン誘導体とを特定のリンカーで共有結合させた構造を有するアルギン酸誘導体を提供できることを見出し、これを徐放性製剤として使用することで、予想外に長期間にわたり安定してカンプトテシン誘導体を患部(腫瘍局所)に届けることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のように構成される:
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕アルギン酸又はその塩とカンプトテシン誘導体とがリンカーを介して共有結合されてなる構造を有する、アルギン酸誘導体。
〔2〕下記式(1)で表される構造を有する、前記〔1〕に記載のアルギン酸誘導体:
(A)−L−(D) (1)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
Lは、(A)とアミド結合で結合しうる官能基を有し、かつ(D)とエステル結合で結合しうる官能基を有するリンカーである)。
〔3〕下記式(2)で表される構造を有する、前記〔1〕に記載のアルギン酸誘導体:
(A)−NH−(CH2n1−[X1n2−(CR12n3−[Y]n4−(CH2n5−(CR34n6−[X2n7−(CH2n8−(CR56n9−C(=O)−(D) (2)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
1及びX2は、ヘテロ原子を示し、
1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基又はC1-10アルコキシカルボニル基を示すか、又は、R1及びR2若しくはR3及びR4が一緒になって=Oを示し、
Yは、シクロアルカン環、芳香族環又は複素環(前記シクロアルカン環、芳香族環又は複素環は、ハロゲン原子又はC1-10アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
n1は0〜10のいずれかの整数を示し、n2、n4及びn7は独立して0または1を示し、n3、n5、n6、n8及びn9は独立して0〜3のいずれかの整数を示すが、n1〜n9の全てが0になることはない)。
〔4〕カンプトテシン誘導体がカンプトテシン;7−エチルカンプトテシン;10−ヒドロキシカンプトテシン;SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);イリノテカン(CPT−11);9−(ジメチルアミノ)メチルカンプトテシン;トポテカン(ノギテカン);エキサテカン;T−2513(10−(3−アミノプロピロキシ)−7−エチルカンプトテシン);10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−エチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−アミノ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−クロロ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;10,11−エチレンジオキシカンプトテシン;ルルトテカン(7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−エチレンジオキシカンプトテシン);ギマテカン(7−(tert−ブトキシイミノメチル)カンプトテシン);9−アミノカンプトテシン;ルビテカン(9−ニトロカンプトテシン);ベロテカン(7−(2−(N−イソプロピルアミノ)エチル)−カンプトテシン);コシテカン(7−(2−(トリメチルシリル)エチル)−カンプトテシン)及びシラテカン(7−(tert−ブチルジメチルシリル)−10−ヒドロキシカンプトテシン)からなる群から選ばれる、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体。
〔5〕カンプトテシン誘導体がSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)、イリノテカン(CPT−11)又はトポテカン(ノギテカン)である、前記〔4〕に記載のアルギン酸誘導体。
〔6〕カンプトテシン誘導体がSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)である、前記〔5〕に記載のアルギン酸誘導体。
〔7〕カンプトテシン誘導体がフェノール性水酸基を有し、前記水酸基がリンカーと結合されてなる、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体を架橋してなる、アルギン酸誘導体ゲル。
〔9〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体、又は、前記〔8〕に記載のアルギン酸誘導体ゲルを含む、徐放性医薬組成物。
〔10〕抗癌剤としての、前記〔9〕に記載の徐放性医薬組成物。
〔11〕カンプトテシン誘導体を徐放するための、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体、又は、前記〔8〕に記載のアルギン酸誘導体ゲルの使用。
本発明は、安定的にカンプトテシン誘導体を持続放出することにより、徐放性製剤に使用し得る化合物を提供できる。また、ゲル化させることにより、その化合物の徐放性をさらに高めることが可能な化合物を提供できる。
<アルギン酸誘導体>
本発明は、アルギン酸又はその塩とカンプトテシン誘導体とがリンカーを介して共有結合されてなる構造を有する、アルギン酸誘導体に関する。リンカーは、アルギン酸又はその塩のカルボキシル基、及び、カンプトテシン誘導体の水酸基と、共有結合により結合されることが好ましい。結合様式は本発明の目的が達成される限り特に限定されないが、アルギン酸誘導体において、アルギン酸とリンカーとの結合はアミド結合であり、カンプトテシン誘導体とリンカーとの結合はエステル結合であることが好ましい。アルギン酸又はその塩における、リンカーとの結合部位(アルギン酸又はその塩の官能基)は、水酸基又はカルボキシル基が挙げられるが、アミド結合を形成しうるカルボキシル基がより好ましい。
したがって、本発明の一形態としては、アルギン酸誘導体は、下記式(1)で表される構造を有する:
(A)−L−(D) (1)
式(1)中、(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示す。また、式(1)中、Lは、(A)とアミド結合で結合しうる官能基を有し、かつ(D)とエステル結合で結合しうる官能基を有するリンカーである。また、式(1)中、(D)は、カンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示すが、当該(D)の水酸基は、カンプトテシン骨格の20位の水酸基であってもよいし、任意の位置に置換導入されている水酸基であってもよく、好ましくは、フェノール性水酸基である。
さらに、本発明の一形態としては、アルギン酸誘導体は、下記式(2)で表される構造を有する:
(A)−NH−(CH2n1−[X1n2−(CR12n3−[Y]n4−(CH2n5−(CR34n6−[X2n7−(CH2n8−(CR56n9−C(=O)−(D) (2)
式(2)中では、(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、X1及びX2は、ヘテロ原子を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基又はC1-10アルコキシカルボニル基を示すか、又は、R1及びR2若しくはR3及びR4が一緒になって=Oを示し、Yは、シクロアルカン環、芳香族環又は複素環(前記シクロアルカン環、芳香族環又は複素環は、ハロゲン原子又はC1-10アルキル基で置換されていてもよい)を示し、n1は0〜10のいずれかの整数を示し、n2、n4及びn7は独立して0または1を示し、n3、n5、n6、n8及びn9は独立して0〜3のいずれかの整数を示すが、n1〜n9の全てが0になることはない。n3、n5、n6、n8及びn9は合計して1〜12が好ましく、1〜10がより好ましい。
式(2)のうち、好ましいアルギン酸誘導体は、下記式(3)〜(6)で表される構造を有する:
(A)−NH−(CH2n1−(CR12n3−(CH2n5−C(=O)−(D) (3)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
1及びR2は、R1が水素若しくはハロゲン原子を示し、R2が、水素、ハロゲン原子、メチル基若しくはエチル基を示すか、或いは、R1及びR2が一緒になって=Oを示し、
n1、n3及びn5は合計して1〜4のいずれかの整数を示す)。
(A)−NH−(CH2n1−[X1]−(CR12n3−(CR34n6−[X2]−(CH2n8−(CR56n9−C(=O)−(D) (4)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
1及びX2は、それぞれ独立してOまたはNHを示し、好ましくは共にOであり、
1及びR2は、R1が水素を示し、R2が、水素、ハロゲン原子、メチル基若しくはエチル基を示すか、或いは、R1及びR2が一緒になって=Oを示し、
1がOの場合は、R1は水素が好ましく、R2は水素、メチル基又はエチル基が好ましく、
1がNHの場合は、R1は水素が好ましく、R2は水素、メチル基又はエチル基が好ましく、または、R1及びR2が一緒になって=Oを示すのが好ましく、
3及びR4は、R3が水素を示し、R4が、水素、ハロゲン原子、メチル基若しくはエチル基を示すか、或いは、R3及びR4が一緒になって=Oを示し、
5及びR6は、R5が水素を示し、R6が、水素、ハロゲン原子、メチル基若しくはエチル基を示し、
n1は1〜3のいずれかの整数を示し、n3及びn6は合計して1〜3のいずれかの整数を示し、n8及びn9は合計して1〜3のいずれかの整数を示す)。
(A)−NH−(CH2n1−[Y]−(CH2n5−C(=O)−(D) (5)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
Yは、シクロアルカン環を示し、
n1及びn5は合計して1〜4のいずれかの整数を示す)。
(A)−NH−(CH2n1−(CR12n3−(CH2n5−(CR34n6−(CH2n8−C(=O)−(D) (6)
(式中、
(A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
(D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
1及びR2は、R1が水素を示し、R2が、水素、メトキシ基、エトキシ基、メトキシカルボニル基またはエトキシカルボニル基を示すか、或いは、R1及びR2が一緒になって=Oを示し、
3及びR4は、R3が水素を示し、R4が、水素、メチル基若しくはエチル基を示すか、或いは、R3及びR4が一緒になって=Oを示し、
n1、n3、n5、n6及びn8は合計して1〜4のいずれかの整数を示す)。
なお、本発明のアルギン酸誘導体のリンカー構造については、≪リンカー≫の項で後述する。
また、本発明のアルギン酸誘導体において、体内において副作用を生じにくく、適切に薬理作用を発現し得る濃度で、例えば腫瘍の減少や増殖抑制し得る濃度で、カンプトテシン誘導体を放出させ続けることができるカンプトテシン誘導体の導入率であることが好ましい。例えば導入率(モル%)が、0.2モル%以上であることが好ましい。より好ましくは0.5モル%以上、さらに好ましくは1.0モル%以上、特に好ましくは2.0モル%以上である。ここで、本発明における導入率(モル%)とは、例えば、アルギン酸を構成するL−グルロン酸又はD−マンヌロン酸のカルボキシル基にリンカーを介してカンプトテシン誘導体を導入する場合において、導入率10モル%とは、アルギン酸を構成するL−グルロン酸又はD−マンヌロン酸の単糖を1単位(個)とし、単糖100個にカンプトテシン誘導体が10個の割合で導入されていることを示す。したがって、隣り合う単糖各々のカルボキシル基にそれぞれカンプトテシン誘導体がリンカーを介して導入されていてもかまわない。
リンカーの種類およびカンプトテシン誘導体の導入率は、後述する当該化合物を含む医薬組成物の最終投与形態(ゲル状、ゾル状、マイクロビーズ状など)、あるいは生体に投与するときのカンプトテシン誘導体の患部(腫瘍局所)における必要量あるいは徐放効率などを考慮して適宜調整されうる。
ここで、本発明のアルギン酸誘導体は、カンプトテシン誘導体を含む高分子化合物であるが、水溶性であることに特徴を有する。すなわち、一般に疎水性であると知られているカンプトテシン誘導体のアルギン酸誘導体における導入率が高い場合であっても、例えば3モル%以上であっても、水に溶解可能である。例えば、水100質量部に対し、アルギン酸誘導体を0.1質量部添加し、室温にて振とう又は撹拌した場合、24時間以内にゲル状にならず溶解することが示され、すなわち、アルギン酸誘導体は0.1%以上の濃度で水性溶媒に溶解することが示される。
また、本発明における水溶性であるアルギン酸誘導体は、後述する用途に応じたゲル化又はゾル化のハンドリングが容易であるとの利点がある。よって、本発明のアルギン酸誘導体の溶液はフィルター濾過が可能であり、フィルター濾過による除塵、除菌、滅菌が可能となる。すなわち、5μm〜0.45μmのフィルターを通過させることにより除塵、除菌が可能となり、更に望ましくは0.22μmのフィルターを通過させることにより滅菌することも可能となる。
なお、本発明の水溶性であるアルギン酸誘導体は、水、薬学的に許容される金属塩若しくはpH調整剤等を含む水溶液、緩衝液等の水性溶媒に溶解可能である。具体的には注射用水、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水等に溶解可能である。
また、本発明におけるアルギン酸誘導体は、単独ではカンプトテシン誘導体が有する強力な抗癌効果をもたらさないが、例えばそれを生体内に投与した場合において、生体内の状況に応じてリンカーからカンプトテシン誘導体が適宜切断されることにより、カンプトテシン誘導体が放出され、効果を発揮する。カンプトテシン誘導体が腫瘍の減少や増殖抑制するのに必要な量が放出し続けるため、結果として患部(腫瘍局所)で抗癌効果をもたらすことができる。アルギン酸誘導体は、その構成成分であるリンカーの構造によって、カンプトテシン誘導体の徐放速度を所望の態様に調整することができる。そのような調整に加え、求める効果に応じて、カンプトテシン誘導体の導入率とリンカーの種類との組み合わせを最適化することで、生体内に注射した場合、例えば腹腔内注射した場合、代謝・排泄の影響を受けにくくなり、腹腔内にて長期持続可能な抗癌作用をもたらしうる。
また、アルギン酸は生体内の酵素によって分解されないため、本発明におけるアルギン酸誘導体は、リンカー部位の切断以外の要因では、カンプトテシン誘導体の放出速度に影響を受けにくく、安定的に有効成分を持続放出しうる。
本発明のアルギン酸誘導体において、アルギン酸又はその塩とリンカーとの結合様式とカンプトテシン誘導体とリンカーとの結合様式を変えることにより、生体内における分解性や分解順序を変えることができ、その結果、カンプトテシン誘導体の遊離率や遊離速度を制御することも可能となる。具体的には、生体内において、アミド結合よりもエステル結合は加水分解を受けやすいことが知られている。本発明のアルギン酸誘導体は、最終的にカンプトテシン誘導体が遊離されれば、その分解順序は問わないが、カンプトテシン誘導体とリンカーの結合が先に加水分解を受け、カンプトテシン誘導体が遊離することが好ましい。具体的には、アルギン酸又はその塩とリンカーはアミド結合で結合し、カンプトテシン誘導体とリンカーはエステル結合で結合することで、エステル結合が先に加水分解を受け、カンプトテシン誘導体がリンカーから先に遊離する。
また、アルギン酸は、適用した生体に悪影響を及ぼさず、生体内においてアルギン酸と結合する特定の受容体は同定されていないことから、カンプトテシン誘導体を放出した後のアルギン酸又はその塩は体内において毒性をもたらさずに分解される。
本発明のアルギン酸誘導体は、中性の条件下で徐放が期待される局面では、ゆっくり遊離されることが好ましい。例えば、本発明のアルギン酸誘導体を0.1質量%濃度水溶液に調製し、37℃で3日間インキュベートした場合において、カンプトテシン誘導体が、pH7.0では遊離率4%〜25%で放出される挙動を示すことが好ましい。同様に、使用する環境のpHに対応した条件下にて遊離率の測定を行なうことで、適する本発明の各アルギン酸誘導体を選択することができる。
また、本発明のアルギン酸誘導体を架橋剤によってゲル化させることにより、徐放効果をさらに強めることも可能である。
例えば、本発明のアルギン酸誘導体を抗癌剤として患部(腫瘍局所、例えば腹腔内)に注射等により投与した際に、7日間以上、好ましくは15日間以上、より好ましくは30日間以上、更に好ましくは60日間以上、カンプトテシン誘導体を徐放し続けることが期待される。ここで、遊離率とは、アルギン酸誘導体に含まれるカンプトテシン誘導体総量に対する、放出されたカンプトテシン誘導体量の比率を示す。
本発明のアルギン酸誘導体を用いることにより、薬剤の単独投与よりも、腹腔内等の患部(腫瘍局所)又はその近縁部位に投与した場合において、患部(腫瘍局所)に有効な薬剤量が効率的に保持され、少ない薬剤の量であっても強力な治療効果が期待できる。また、徐放性および持続性の調整により、臨床において投与回数の減少等につなげることもできる。
以下、本発明のアルギン酸誘導体の構成を説明するために、各構成成分である、アルギン酸、リンカー及びカンプトテシン誘導体について説明した後、アルギン酸誘導体ゲルやこれらの用途等について詳述する。
≪アルギン酸又はその塩≫
本発明において、アルギン酸又はその塩としては、「アルギン酸の1価金属塩」であるアルギン酸のD−マンヌロン酸またはL−グルロン酸のカルボン酸の水素原子を、Na+やK+などの1価金属イオンとイオン交換することでつくられる水溶性の塩が好ましい。アルギン酸の1価金属塩としては、具体的には、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウムなどを挙げることができるが、特には、アルギン酸ナトリウムが好ましい。後述するようにアルギン酸の1価金属塩の溶液は、架橋剤と混合したときにゲルを形成する性質を利用して、本発明のアルギン酸誘導体の形態を調整することもできる。
アルギン酸は、褐藻類の海藻から抽出し、精製して製造される天然多糖類の一種である。又、D−マンヌロン酸(M)とL−グルロン酸(G)が重合したポリマーである。アルギン酸のD−マンヌロン酸とL−グルロン酸の構成比(M/G比)は、主に海藻等の由来となる生物の種類によって異なり、また、その生物の生育場所や季節による影響を受け、M/G比が約0.4の高G型からM/G比が約5の高M型まで高範囲にわたる。アルギン酸のM/G比、MとGの配列の仕方等によってアルギン酸の物理化学的性質が異なり、また好ましい用途が異なる場合がある。本発明で使用するアルギン酸又はその塩としては、その最終使用用途に応じて、適切なM/G比のものを用いるのがよい。
アルギン酸の工業的な製造方法には、酸法とカルシウム法などがあるが、本発明ではいずれの製法で製造されたものも使用することができる。精製により、HPLC法による定量値が80〜120質量%の範囲に含まれるものが好ましく、90〜110質量%の範囲に含まれるものがより好ましく、95〜105質量%の範囲に含まれるものがさらに好ましい。本発明においては、HPLC法による定量値が前記の範囲に含まれるものを高純度アルギン酸と称する。本発明で使用するアルギン酸又はその塩は、高純度アルギン酸であることが好ましい。市販品としては、例えば、キミカアルギンシリーズとして、(株)キミカより販売されているもの、好ましくは、高純度食品・医薬品用グレードのものを購入して使用することができる。市販品を、さらに適宜精製して使用することも可能である。例えば、低エンドトキシン処理することが好ましい。精製法や低エンドトキシン処理方法は、例えば特開2007−75425(特許文献1)に記載されている方法を採用することができる。
本発明で使用するアルギン酸又はその塩としては、その最終使用用途に応じて、適切な重量平均分子量のものを用いるのがよい。例えば、腹腔内投与用の抗癌剤として用いる場合には、重量平均分子量が1万〜1,000万のものを用いるのが好ましく、より好ましくは10万以上500万以下、さらに好ましくは20万以上300万以下である。より具体的には、例えば重量平均分子量が169万Da(±20%)であるような物性を有するアルギン酸又はその塩を用いることが好ましい。
ここで、一般に天然物由来の高分子物質は、単一の分子量を持つのではなく、種々の分子量を持つ分子の集合体であるため、ある一定の幅を持った分子量分布として測定される。代表的な測定手法はゲルろ過クロマトグラフィーである。ゲルろ過クロマトグラフィーにより得られる分子量分布の代表的な情報としては、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散比(Mw/Mn)があげられる。
分子量の大きい高分子の平均分子量への寄与を重視したのが重量平均分子量であり、下記式で表される。
Mw=Σ(WiMi)/W=Σ(HiMi)/Σ(Hi)
数平均分子量は、高分子の総重量を高分子の総数で除して算出される。
Mn=W/ΣNi=Σ(MiNi)/ΣNi=Σ(Hi)/Σ(Hi/Mi)
ここで、Wは高分子の総重量、Wiはi番目の高分子の重量、Miはi番目の溶出時間における分子量、Niは分子量Miの個数、Hiはi番目の溶出時間における高さである。
天然物由来の高分子物質の分子量測定では、測定方法により値に違いが生じうることが知られている(ヒアルロン酸の例:Chikako YOMOTA et.al. Bull.Natl.Health Sci., Vol.117, pp135−139(1999)、Chikako YOMOTA et.al. Bull.Natl.Inst. Health Sci., Vol.121, pp30−33(2003))。アルギン酸の分子量測定については、固有粘度(Intrinsic viscosity)から算出する方法、SEC−MALLS(Size Exclusion Chromatography with Multiple Angle Laser Light Scattering Detection)により算出する方法が記載された文献がある(ASTM F2064−00(2006),ASTM International発行)。なお、当該文献では、サイズ排除クロマトグラフィー(=ゲルろ過クロマトグラフィー)により分子量を測定するにあたっては、プルランを標準物質として用いた較正曲線により算出するだけでは不十分とし、多角度光散乱検出器(MALLS)を併用すること(=SEC−MALLSによる測定)を推奨している。また、SEC−MALLSによる分子量を、アルギン酸のカタログ上の規格値として用いている例もある(FMC Biopolymer社、PRONOVATM sodium alginates catalogue)。
なお、通常高分子多糖類の分子量を上記のような手法で算出する場合、10〜20%の測定誤差を生じうる、例えば、40万であれば32〜48万、100万であれば80〜120万程度の範囲で値の変動が生じうる。
本明細書中においてアルギン酸又はその塩の分子量を特定する場合は、特段のことわりがない限り、ゲルろ過クロマトグラフィーにより算出される重量平均分子量である。ゲルろ過クロマトグラフィーの条件としては、例えば、後述する本実施例の条件を採用することができる。
また、本発明で使用するアルギン酸又はその塩としては、その最終使用用途に応じて、適切な粘度のものを用いるのがよい。
また、本発明で使用するアルギン酸又はその塩としては、その最終使用用途に応じて、適切な物性の組み合わせのものを用いるのがよく、具体的には、適切なM/G比、適切な重量平均分子量、適切な粘度等を有するものを用いるのがよい。
また、本発明で使用するアルギン酸又はその塩は、エンドトキシンレベルを低下させたものを使用することが好ましい。日局エンドトキシン試験により測定したエンドトキシン値が、100EU/g未満のものを用いるのが好ましく、より好ましくは75EU/g未満、さらに好ましくは50EU/g未満である。本発明において、「実質的にエンドトキシンを含まない」とは、日局エンドトキシン試験により測定したエンドトキシン値が前記の数値範囲にあるものを意味する。
≪リンカー≫
本発明のアルギン酸誘導体のリンカーは、上述したように、アルギン酸又はその塩由来の1残基とアミド結合で結合しうる官能基を有し、かつ、カンプトテシン誘導体の1残基とエステル結合で結合しうる官能基を有し、アルギン酸誘導体を形成しうる構造を有するものであれば、特に限定はされないが、例えば、以下の式(7)に示される構造を有することが好ましい。
−NH−(CH2n1−[X1n2−(CR12n3−[Y]n4−(CH2n5−(CR34n6−[X2n7−(CH2n8−(CR56n9−C(=O)− (7)
式(7)中、−NHは、アルギン酸又はその塩の1残基とアミド結合を形成する末端を示し、C(=O)−は、カンプトテシン誘導体の1残基とエステル結合を形成する末端を示す。 式(7)中、X1及びX2は、ヘテロ原子を示し、好ましくはO、S、及びNから選択されるいずれかの原子を示し(Nの場合には、厳密にはN(H)を示し)、より好ましくはO又はNを示し、更に好ましくはOを示す。
式(7)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基又はC1-10アルコキシカルボニル基を示すか、又は、R1及びR2若しくはR3及びR4が一緒になって=Oを示し、好ましくは、水素、フッ素、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルコキシカルボニル基を示す。
式(7)中、Yは、シクロアルカン環、芳香族環又は複素環(前記シクロアルカン環、芳香族環又は複素環は、ハロゲン原子又はC1-10アルキル基で置換されていてもよい)を示し、好ましくはシクロアルカン環、芳香族環又は複素環、より好ましくはシクロアルカン環を示す。
式(7)中、n1は0〜10のいずれかの整数を示し、n2、n4及びn7は独立して0または1を示し、n3、n5、n6、n8及びn9は独立して0〜3のいずれかの整数を示す。ただし、n1〜n9の全てが0になることはない。好ましくは、n3、n5、n6、n8及びn9は合計して1〜12であり、1〜10がより好ましい。
本明細書、特に断りのない限り、「ヘテロ原子」としては、例えば、O、S、及びNまたはP等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1-10アルキル(基)」としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、1−シクロプロピルエチル、2−シクロプロピルエチル、2−シクロブチルエチル、および2−メチルシクロプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、1,1−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、シクロヘプチル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、4−メチルシクロヘキシル、4,4−ジメチルシクロヘキシル及び3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1-10アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、1−メチルブトキシ、2−メチルブトキシ、1,2−ジメチルプロポキシ、1−エチルプロポキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、1,1−ジメチルブチルオキシ、1,2−ジメチルブチルオキシ、2,2−ジメチルブチルオキシ、1,3−ジメチルブチルオキシ、2,3−ジメチルブチルオキシ、3,3−ジメチルブトキシ、1−エチルブチルオキシ、2−エチルブチルオキシ、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ、1,2,2−トリメチルプロピルオキシ、1−エチル−1−メチルプロピルオキシ、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、1−シクロプロピルエトキシ、2−シクロプロピルエトキシ、2−シクロブチルエトキシ、2−メチルシクロプロピルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロヘキシルメトキシ、2−シクロヘキシルエトキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、4,4−ジメチルシクロヘキシルオキシ、及び3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシルオキシ等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「C1-10アルコキシカルボニル基」とは、−C(=O)−R(RはC1-10アルコキシ基)である。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルカン環」としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン及びシクロデカン等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族環」としては、ベンゼン環、1−ナフタレン環、2−ナフタレン環、2−、3−、4−ビフェニルアントロン環、フェナントレン環及びアセナフテン環等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環」とは、窒素原子、硫黄原子または酸素原子のヘテロ原子を1〜5個含有する3〜14員環の単環式もしくは縮環式の環を意味する。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環」には、「部分的に水素化された縮環式複素環」、「非芳香族複素環」が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環」としては、環員数5〜7のものが好ましく、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、2H−1,2,3−チアジアジン、4H−1,2,4−チアジアジン、6H−1,3,4−チアジアジン、1,4−ジアゼピン、1,4−オキサゼピン等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、前記「縮環式の環」としては、環員数8〜12のものが好ましく、例えば、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンズイミダゾール、1H−インダゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2,1,3−ベンゾチアジアジン、クロメン、イソクロメン、4H−1,4−ベンゾオキサジン、4H−1,4−ベンゾチアジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、アクリジニン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェノキサチイン、チアンスレン、チアントレン、フェナンスリジン、フェナンスロリン、インドリジン、チエノ[3,2−c]ピリジン、チアゾロ[5,4−c]ピリジン、ピロロ[1,2−b]ピリダジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、イミダゾ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−b]ピリダジン、イミダゾ[1,5−a]ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ[4,3−a]ピリジン、1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン、1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン等が挙げられる。
本発明の化合物は、リンカーとカンプトテシン誘導体とのエステル結合が加水分解され、カンプトテシン誘導体が遊離される。エステル結合は周辺環境により加水分解の速度が変わる。そのため、エステル結合の形態で、より長期の徐放効果が得られるものもある。例えば、リンカーのC(=O)末端の近傍に、電子供与基や嵩高い基を導入、若しくは置換基として導入することにより、加水分解の速度が遅くなることがあり、例えば、アルキル基、特に分枝状のアルキル基が挙げられる。またその反対に、リンカーのC(=O)末端の近傍に、電子吸引基を導入、若しくは置換基として導入することにより、加水分解の速度が速くなることがあり、例えば、ハロゲン原子、ハロアルキル基及びアルコキシカルボニル基等が挙げられる。このようにして、目的とする加水分解速度、すなわち徐放効果に応じて、リンカー内への基の導入若しくはリンカーへの置換基の導入を選択することが可能である。
より好ましくは、以下に示す一群のリンカーのいずれかでアルギン酸又はその塩と、カンプトテシン誘導体が結ばれていることが好ましい。なお、以下のリンカーにおいて、−NHは、アルギン酸又はその塩1残基とアミド結合を形成する末端を示し、−C(=O)は、カンプトテシン誘導体の水酸基とエステル結合を形成する末端を示す。
Figure 2021095424
<カンプトテシン誘導体>
カンプトテシン誘導体としては、その化学構造中に下記式のカンプトテシン骨格を有しているものを使用する。
Figure 2021095424

また、カンプトテシン誘導体は塩の形態であっても構わない。本発明におけるカンプトテシン誘導体としては、特に限定されないが、中でも特に抗癌作用を有するものが望ましく、リンカーとの結合の観点から、水酸基を少なくとも有しているカンプトテシン誘導体が好ましい。水酸基の位置は特に限定されないが、カンプトテシン骨格の20位の水酸基又は任意の位置に置換導入されている水酸基が挙げられる。水酸基が置換導入されているカンプトテシン誘導体として、フェノール性水酸基を有しているカンプトテシン誘導体がより好ましく、カンプトテシン骨格の10位に水酸基を有しているものが更に好ましい。すなわち、カンプトテシン誘導体がフェノール性水酸基を有し、当該水酸基がリンカーと結合されてなることがより好ましく、カンプトテシン骨格の10位に水酸基を有し、当該水酸基がリンカーと結合されてなることが更に好ましい。
水酸基を有するカンプトテシン誘導体としては、例えばカンプトテシン;7−エチルカンプトテシン;10−ヒドロキシカンプトテシン;SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);イリノテカン(CPT−11);9−(ジメチルアミノ)メチルカンプトテシン;トポテカン(ノギテカン);エキサテカン;T−2513(10−(3−アミノプロピロキシ)−7−エチルカンプトテシン):10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−エチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−アミノ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−クロロ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;10,11−エチレンジオキシカンプトテシン;ルルトテカン(7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−エチレンジオキシカンプトテシン);ギマテカン(7−(tert−ブトキシイミノメチル)カンプトテシン);9−アミノカンプトテシン;ルビテカン(9−ニトロカンプトテシン);ベロテカン(7−(2−(N−イソプロピルアミノ)エチル)−カンプトテシン);コシテカン(7−(2−(トリメチルシリル)エチル)−カンプトテシン)またはシラテカン(7−(tert−ブチルジメチルシリル)−10−ヒドロキシカンプトテシン)等が挙げられ、SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)、イリノテカン(CPT−11)又はトポテカン(ノギテカン)であることが好ましく、カンプトテシン誘導体がSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)であることがより好ましい。
フェノール性水酸基を有するカンプトテシン誘導体としては、10−ヒドロキシカンプトテシン;SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);トポテカン(ノギテカン);シラテカン(7−(tert−ブチルジメチルシリル)−10−ヒドロキシカンプトテシン)などが挙げられ、SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)又はトポテカン(ノギテカン)であることが好ましく、SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)であることがより好ましい。
<アルギン酸誘導体の合成方法>
アルギン酸誘導体の合成において、リンカーへのカンプトテシン誘導体の結合、及び、リンカーへのアルギン酸又はその塩の結合は、どちらが先でも構わないが、水溶媒中でエステル化を行うことは難しいなどの理由から、リンカーへのカンプトテシン誘導体の結合を先にするほうが好ましい。このような結合を達成する方法としては、DCC、EDCI、DMT−MMなどの縮合剤を使用する方法、HOSu、HOBtなどの縮合補助剤と前記縮合剤とを使用する縮合反応、求核置換反応、活性エステル法、酸無水物法等が挙げられ、縮合反応、及び、求核置換反応を用いて結合させるのが副反応を抑えるなどの理由で好ましい。
より具体的には、例えば以下のような概念を示すスキームのように、縮合反応(エステル化反応)を利用する方法で合成することができる。下記の反応スキームにおいては、便宜上、リンカーを「CO−Linker−NH」として解釈し、ALをアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基として解釈し、Bocをブトキシカルボニル基(保護基)として解釈すると、反応の概略を理解し得る。なお、CPTはカンプトテシン誘導体の略を示すが、これは例示であって、本発明においてカンプトテシン誘導体がカンプトテシンに限定されることを意味するわけではない。
Figure 2021095424
また、本発明におけるアルギン酸誘導体におけるカンプトテシン誘導体の導入率は、本発明のアルギン酸誘導体の合成工程において、縮合剤、縮合補助剤、リンカー結合カンプトテシン誘導体の投入量を変えることなどにより調整可能である。なお、導入率は、吸光度の測定やHPLC、NMR等を用いる方法で測定することができる。リンカーの構造、導入率によって、アルギン酸誘導体の水溶性を適宜調整することも可能である。
<アルギン酸誘導体ゲル>
本発明のアルギン酸誘導体は、一般的にアルギン酸の架橋剤として使用される物質と混合することによってアルギン酸誘導体ゲルを形成することができる。そのような架橋剤としては、アルギン酸の1価金属塩の溶液を架橋することにより、その表面を固定化することができるものであれば、特に限定されないが、Ca2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+などの2価以上の金属イオン化合物、分子内に2〜4個のアミノ基を有する架橋性試薬などが挙げられる。より具体的には、2価以上の金属イオン化合物として、CaCl2、MgCl2、CaSO4、BaCl2等を、分子内に2〜4個のアミノ基を有する架橋性試薬として、窒素原子上にリジル(lysyl)基(−COCH(NH2)−(CH24−NH2)を有することもあるジアミノアルカン、すなわちジアミノアルカンおよびそのアミノ基がリジル基で置換されてリジルアミノ基を形成している誘導体が包含され、具体的にはジアミノエタン、ジアミノプロパン、N−(リジル)−ジアミノエタン等を挙げることができるが、入手しやすいこと、ゲルの強度等の理由から、特に、CaCl2溶液とするのが好ましい。
ここで、架橋剤にカルシウムが含まれる場合、カルシウムの濃度が高い方が、ゲル化が早く、また、より硬いゲルを形成することができることが知られている。しかし、カルシウムには細胞毒性があるため、濃度が高すぎると、これを体内に投与した場合に体内(幹部)に悪影響を及ぼすおそれもあり、アルギン酸の量に応じて、適量を使用することがよい。
本発明のアルギン酸誘導体を架橋してなるアルギン酸誘導体ゲルは、形状を加工し、ビーズやスポンジ状にすることが可能である。例えば、腹腔内投与用あるいは手術時留置用の抗癌剤として、ビーズ状のアルギン酸誘導体ゲルを用いることができる。
<徐放性医薬組成物>
本発明のアルギン酸誘導体又はアルギン酸誘導体ゲルは、生体内においてカンプトテシン誘導体を徐放する挙動を示すため、徐放性医薬組成物として使用することができる。さらに、本発明の徐放性医薬組成物は、その徐放基材としてアルギン酸又はその塩が用いられている。アルギン酸又はその塩は高分子化合物であるが、一般的に腹腔内投与された高分子化合物やミセル形成分子はリンパ系を介して穏やかに吸収されることが知られている。一方で、腹膜転移の形成過程における癌細胞の腹膜への接着経路の一つとして、乳斑やストマータ等のリンパ系組織への選択的な癌細胞の接着がある。よって、腹膜転移の初期転移巣であるリンパ系において、高分子化合物であるアルギン酸又はその塩が吸収されることから、アルギン酸のターゲッティング効果が期待される。すなわち、本発明の徐放性医薬組成物は、徐放されるカンプトテシン誘導体の抗腫瘍作用と、アルギン酸のリンパ吸収性によるターゲッティング作用が、合わせて期待されるものである。本発明の徐放性医薬組成物の対象疾患、投与ルートは特に限定されるものでは無いが、腹膜転移の治療、予防や緩和などを目的とすることが好ましく、腹腔内へ直接注入する投与ルートで投与されることが好ましい。
例えば、本発明の徐放性医薬組成物を腹腔内投与用の抗癌剤として使用したときに、患部(腫瘍局所)に注射等により投与した際に、7日間以上、好ましくは15日間以上、より好ましくは30日間以上、更に好ましくは60日間以上、安定してカンプトテシン誘導体を徐放し続けることが期待される。
また、本発明の徐放性医薬組成物の投与量は、含まれるカンプトテシン誘導体の量、投与ルート、投与形態、使用目的、投与対象となる動物の具体的症状、年齢、体重等に応じて、治療効果が最も適切に発揮される様に個別に決定され、特に限定されない。
本発明の徐放性医薬組成物の適用部位は非経口投与により投与可能な部位であれば特に限定されないが、中でも腫瘍局所への投与が好ましく、より好ましくは腹腔内投与である。また、動脈化学塞栓療法、特に肝動脈化学塞栓療法に用いることも好ましく、本発明のアルギン酸誘導体ゲルを含む徐放性医薬組成物を塞栓物質として動脈内投与することも好ましい。
本発明では、例えばアルギン酸誘導体を腹膜転移の患部(腫瘍局所)である腹腔内に適用してもよい。また適用後、適度な粘度が保たれない場合には、適用した誘導体の表面に架橋剤を添加しても良い。誘導体表面をゲル化して、表面を固めることで、腹腔から漏れ出すのを効果的に防ぐことができる。
先にアルギン酸誘導体を患部(腫瘍局所)に投与し、あとから架橋剤を添加する場合、架橋剤は、適用した組成物の表面から徐々に内部に浸透し、架橋をすすめるのが望ましい。患部(腫瘍局所)との接触部分に、架橋剤の影響を強く及ぼさないためには、架橋剤の適用量を過剰にならないよう調節する。2価以上の金属イオンの適用量としては、アルギン酸の1価金属塩を含有する組成物の表面を固めることができる量であれば、特に限定されない。
本発明のアルギン酸誘導体を患部(腫瘍局所)に適用する際に、架橋剤により表面をゲル化させ、あるいは全体がゲル化するようあらかじめ架橋剤と混合して適用すると、本発明のアルギン酸誘導体は患部(腫瘍局所)で硬化し、適用した患部(腫瘍局所)に密着した状態で局在させることができる。
また、アルギン酸誘導体ゲルを徐放性医薬組成物に使用する場合には、時間差、温度差、あるいは生体内のカルシウムイオンとの接触などの環境の変化によりゲル化を進める架橋剤の濃度を調整し、例えば投与前は液体状態を維持し、生体内への投与後に自己ゲル化する組成物とすることもできる。このような架橋剤としては、グルコン酸カルシウム、CaSO4、アルギン酸カルシウム塩などを挙げることができる。
また、アルギン酸誘導体を含む医薬組成物に2価以上の金属イオンを加える方法としては、特に限定されないが、例えば、シリンジ、噴射器(スプレー)などで、2価以上の金属イオンの溶液を組成物表面にかける方法などを挙げることができる。本発明の組成物の表面に架橋剤を適用するタイミングは、患部(腫瘍局所)に本発明の組成物を適用した後でもよいし、同時でもよい。
また、本発明のアルギン酸誘導体ゲルを含む徐放性医薬組成物においては、例えば500μm未満の平均粒径を有するマイクロビーズの形態で含んでいてもよい。
次に、本発明をさらに詳細に説明するために実施例、試験例をあげるが、これらの例は単なる実施であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、JEOL JNM−ECX400 FT−NMR(日本電子)を用いた。
1H−NMRデータ中、NMRシグナルのパターンで、sはシングレット、dはダブレット、tはトリプレット、qはカルテット、mはマルチプレット、brはブロード、Jはカップリング定数、Hzはヘルツ、CDCl3は重クロロホルム、D2Oは重水を意味する。1H−NMRデータ中、水酸基(OH)、アミノ基(NH2)、カルボキシル基(COOH)のプロトン等、ブロードバンドであるため確認ができないシグナルについては、データに記載していない。
実施例中の「室温」は、通常約0℃から約35℃の温度を示すものとする。
実施例中の薬剤(カンプトテシン誘導体)導入率(モル%)は、1H−NMR(D2O)から算出されたアルギン酸を構成するD−マンヌロン酸又はL−グルロン酸の単糖を1単位(モル)とし、アルギン酸を構成する単糖100単位(モル)に対する導入された薬剤のモル数の割合を示すものとする。
分子量の測定は、以下の方法にて行なった。実施例中で得られた本発明に係るアルギン酸誘導体固体を秤量し、10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.7)を加え室温で1時間以上撹拌・溶解後、希釈し、0.05%溶液を調製した。この溶液を孔径0.22μmの親水性PVDF製ろ過フィルター(MylexGV33 フィルター、Merck Millipore社)に通し不溶物を除いた後、この200μLをSuperose6 Increase 10/300 GLカラム(GEヘルスケアサイエンス社)に供しゲルろ過を実施した。ゲルろ過は、クロマトグラフ装置としてAKTA Explorer10Sを、展開溶媒として10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.7)を使用し、室温で流速0.8mL/minの条件で実施した。各試料のクロマトグラムは、波長220nmの吸光度をモニターし作製した。得られたクロマトグラムは、Unicorn 5.31ソフトウエア(GEヘルスケアサイエンス社)にて解析し、ピークの溶出範囲を決定した。
本発明に係るアルギン酸誘導体の分子量は、以下の方法にて求めた。ブルーデキストラン(分子量200万Da、SIGMA社)、チログロブリン(分子量66.9万Da、GEヘルスケアサイエンス社)、フェリチン(分子量44万Da、GEヘルスケアサイエンス社)、コンアルブミン(分子量7.5万Da、GEヘルスケアサイエンス社)、及びリボヌクレアーゼA(分子量1.37万Da、GEヘルスケアサイエンス社)を標準品として用い、試料と同じ条件でゲルろ過を行い、各成分の溶出液量を決定した。各成分の溶出液量を横軸に、分子量の対数値を縦軸にそれぞれプロットし、2次回帰し、検量線を作成した。この検量線を用いて、先に得られた試料のクロマトグラムの溶出時間iにおける分子量(Mi)を計算した。次いで、溶出時間iにおける吸光度を読み取り、Hiとした。これらのデータから重量平均分子量(Mw)を以下の式から求めた。
Figure 2021095424
原料のアルギン酸又はその塩の分子量は、以下の方法にて求めた。各アルギン酸を、乾燥減量を考慮して秤量し、超純水を加えて1%水溶液を調製した。次いで、終濃度10mmol/Lリン酸緩衝液(pH7.7)となるように、100mmol/Lリン酸緩衝液と超純水により希釈し、0.05%溶液を調製した。不溶物を孔径0.22μmの親水性PVDF製ろ過フィルター(MylexGV33 フィルター、Merck Millipore社)により除いた後、200μLをゲルろ過に供し、本発明に係るアルギン酸誘導体と同様の条件でゲルろ過を実施した。検出は示差屈折計により実施し、本発明に係るアルギン酸誘導体と同様の方法で重量平均分子量(Mw)を求めた。
なお、本実施例のスキームにおける「AL」とは、アルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖の−C(=O)基を有する残基を意味する。
(実施例1)(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 3−アミノプロパン酸基導入アルギン酸(化合物1−4)の合成
スキーム1
Figure 2021095424
<工程1>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 3−アミノプロパン酸塩酸塩(化合物1−3)の合成
市販の3−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)プロパン酸(53.0mg)とトリエチルアミン(39.1μL)をテトラヒドロフラン(3.0mL)に溶解させた。続いて、氷水冷撹拌下、クロロギ酸イソブチル(36.8μL)を加えた。この溶液を室温で30分撹拌した。この反応液に対し、(S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−14H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H)−ジオン(化合物1−1,100mg)とトリエチルアミン(39.1μL)のテトラヒドロフラン(2.0mL)溶液を、氷水冷撹拌下加え、室温で18時間撹拌した。反応液を濾過し、生じた濾液を減圧下留去し、化合物1−2の粗生成物(172mg)を得た。
化合物1−2の粗生成物(172mg)を含む容器に対して、氷冷下撹拌下で、4規定−塩化水素/1,4−ジオキサン(2.0mL)を加えた。この溶液に対し、更に、1,4−ジオキサン(2.0mL)を加えた。反応液を室温で16時間攪拌し、ジイソプロピルエーテル(20mL)を加えた。析出した固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥することにより化合物1−1と標記化合物1−3を含む混合物(131.9mg)を黄色固体として得た。
NMRデータ(D2O)(δ:ppm): 7.66 (1H, d, J = 8.8 Hz), 7.49 (1H, s), 7.27 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.11 (1H, s), 5.41 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.26 (1H, d, J = 16.0 Hz), 4.52 (2H, s), 3.29 (2H, t, J = 6.6 Hz), 3.04 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.87−2.75 (2H, m), 1.89−1.84 (2H, m), 1.09 (3H, t, J = 7.6 Hz), 0.87 (3H, t, J = 7.3 Hz).
<工程2>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 3−アミノプロパン酸基導入アルギン酸(化合物1−4)の合成
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製、分子量:326万Da〜25.3万Da(ブロード)、重量平均分子量:164万Da)水溶液(10.9mL)に、4−(4、6−ジメトキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(55.8mg)、1モル濃度−重曹水(151.3μL)を加えた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、(実施例1)<工程1>で得られた化合物1−1と化合物1−3の混合物(50.4mg)のエタノール(2mL)溶液を加え、室温で4時間攪拌した。塩化ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノール(21.8mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物1−4(99mg)を淡黄色粉体として得た。薬剤導入率は1.2モル%であった。分子量は、291万Daから6.6万Daまでブロードな溶出ピークを示し、重量平均分子量は133万Daであった。
(実施例2)(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸基導入アルギン酸(化合物2−6)の合成
スキーム2
Figure 2021095424
<工程1>8−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3,6−ジオキサオクタン酸(化合物2−2)の合成
2−[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]酢酸(化合物2−1、300mg)の1,4−ジオキサン(3000μL)及び水(1200μL)溶液に対して、氷冷撹拌下、重曹(308.9mg)を加えた。続いて、二炭酸ジ−tert−ブチル(633.6μL)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応液に水(3mL)を加え、室温で1時間撹拌した。続いて、1規定−塩酸(10mL)で反応を停止させ、酢酸エチル(10mL、3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去することで、化合物2−2(446mg)を無色オイル状物質として得た。
NMRデータ(CDCl3)(δ:ppm):4.95 (1H, br s), 4.17 (2H, s), 3.78−3.76 (2H, m), 3.67−3.66 (2H, m), 3.59−3.58 (2H, m), 3.35−3.34 (2H, m), 1.45 (9H, s).
<工程2>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸 塩酸塩(化合物2−5)の合成
(S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−14H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H)−ジオン(化合物2−3,100mg)、(実施例2)<工程1>で得られた化合物2−2(70.5mg)、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩(118.4mg)のジクロロメタン(5000μL)溶液に、氷冷撹拌下トリエチルアミン(74.6μL)を滴下し、室温で17時間撹拌した。この溶液を濾過し、得られた濾液を減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル/n−ヘプタン〜100%酢酸エチル〜10%メタノール/酢酸エチル)で精製し、化合物2−4を含む画分(127.4mg)を得た。
化合物2−4を含む画分(127.4mg)を1,4−ジオキサン(0.86mL)に溶解させた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、4規定−塩化水素/1,4−ジオキサン(0.86mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を濾過し、回収した固体をジイソプロピルエーテル(10mL)でトリチュレートした。得られた固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄後、減圧乾燥して、化合物2−5(123mg)を黄色固体として得た。
NMRデータ(D2O)(δ:ppm):7.68 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.46 (1H, s), 7.27 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.11 (1H, s), 5.40 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.26 (1H, d, J = 16.6 Hz), 4.55 (2H, s), 4.44 (2H, s), 3.77−3.76 (2H, m), 3.67−3.66 (4H, m), 3.10 (2H, t, J = 4.8 Hz), 2.87−2.76 (2H, m), 1.85−1.83 (2H, m), 1.09 (3H, t, J = 7.6 Hz), 0.86 (3H, t, J = 7.6 Hz).
<工程3>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)酢酸基導入アルギン酸(化合物2−6)の合成
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製、分子量:326万Da〜25.3万Da(ブロード)、重量平均分子量:164万Da)水溶液(10.9mL)と4−(4、6−ジメトキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(55.8mg)の混合物に対し、1モル濃度−重曹水(100.9μL)を加えた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、(実施例2)<工程2>で得られた化合物2−5(57.9mg)のエタノール(2mL)溶液を加えた。更に、エタノール(2mL)を加え、室温で17時間攪拌した。塩化ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノール(21.8mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物2−6(102mg)を淡黄色粉体として得た。薬剤導入率は3.0モル%であった。分子量は、309万Daから31.3万Daまでブロードな溶出ピークを示し、重量平均分子量は183万Daであった。
(実施例3)(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 4−(アミノメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸基導入アルギン酸(化合物3−4)の合成
スキーム3
Figure 2021095424
<工程1>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 4−(((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)メチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸(化合物3−2)の合成
(S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−14H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H)−ジオン(化合物3−1,150mg)及び市販のトランス−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸(103.3mg)のジクロロメタン(9000μL)溶液に、氷冷撹拌下、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリスジメチルアミノホスホニウム塩(177.5mg)及びトリエチルアミン(111.9μL)を加え、室温で17時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%酢酸エチル/n−ヘプタン〜100%酢酸エチル)により精製し、化合物3−2(182mg)を淡黄色固体として得た。
NMRデータ(CDCl3)(δ:ppm):8.23 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.80 (1H, d, J = 2.4 Hz), 7.64 (1H, s), 7.53 (1H, dd, J = 9.2, 2.0 Hz), 5.76 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.31 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.26 (2H, s), 4.62 (1H, br s), 3.72 (1H, s), 3.16 (2H, q, J = 7.6 Hz), 3.05−3.04 (2H, m), 2.63−2.56 (1H, m), 2.26 (2H, d, J = 11.4 Hz), 1.95−1.82 (4H, m), 1.67−1.61 (2H, m), 1.46−1.38 (13H, m), 1.14−1.02 (5H, m).
<工程2>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 4−(アミノメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸 塩酸塩(化合物3−3)の合成
(実施例3)<工程1>で得られた化合物3−2(182mg)を1,4−ジオキサン(1.8mL)に溶解させた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、4規定−塩化水素/1,4−ジオキサン(1.8mL)を加え、反応液を室温で17時間攪拌し、ジイソプロピルエーテル(30mL)を加えた。析出した固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥することにより化合物3−3(171.5mg)を黄色固体として得た。
NMRデータ(D2O)(δ:ppm):7.51 (1H, br s), 7.31−7.25 (1H, br m), 7.10−7.02 (2H, br m), 5.39 (1H, d, J = 15.6 Hz), 5.23 (1H, d, J = 15.6 Hz), 2.81−2.71 (4H, m), 2.39 (1H, br s), 1.98 (2H, br s), 1.84−1.81 (4H, br m), 1.60 (1H, br s), 1.36−1.33 (2H, br m), 1.07−1.00 (7H, m), 0.86 (3H, t, J = 7.2 Hz).
<工程3>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−9−イル 4−(アミノメチル)シクロヘキサン−1−カルボン酸基導入アルギン酸(化合物3−4)の合成
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製、分子量:326万Da〜25.3万Da(ブロード)、重量平均分子量:164万Da)水溶液(10.9mL)に、4−(4、6−ジメトキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(55.8mg)、1モル濃度−重曹水(302.6μL)を加えた。この溶液に対し、(実施例3)<工程2>で得られた化合物3−3(57.3mg)のエタノール(1mL)及び水(1mL)溶液を加え、室温で19時間攪拌した。塩化ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノール(21.8mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物3−4(104mg)を淡黄色固体として得た。薬剤導入率は1.4モル%であった。分子量は、321万Daから6.8万Daまでブロードな溶出ピークを示し、重量平均分子量は132万Daであった。
(実施例4)(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−4−イル 5−アミノペンタン酸基導入アルギン酸(化合物4−5)の合成
スキーム4
Figure 2021095424
<工程1>(S)−tert−ブチル(4,11−ジエチル4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−4−イル 炭酸エステル(化合物4−2)の合成
(S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1,12−ジヒドロ−14H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H)−ジオン(化合物4−1,0.5g)をピリジン(4mL)及びジクロロメタン(12.5mL)に懸濁させた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.44mL)を加え、室温で1時間10分撹拌した。この反応液に対し、水(10mL)を室温で加え、同温で15時間撹拌した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で溶媒を留去した。生じた残渣に対し、メチル tert−ブチルエーテル(20mL)を加え、トリチュレートした。得られた固体を濾過し、減圧下で乾燥させることで、化合物4−2(0.59g)を淡黄色粉体として得た。
NMRデータ(CDCl3)(δ:ppm):8.23 (1H, d, J = 9.2 Hz), 7.90 (1H, d, J = 2.4 Hz),7.66 (1H, dd, J = 9.2, 2.4 Hz), 7.64 (1H, s), 5.76 (1H, d, J = 16.4 Hz),5.31 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.26 (2H, s), 3.71 (1H, s), 3.16 (2H, q, J = 7.6 Hz),1.95−1.84 (2H, m), 1.61 (9H, s), 1.40 (3H, t, J = 7.8 Hz), 1.04 (3H, t, J = 7.2 Hz)
<工程2>(S)−9−((tert−ブトキシカルボニル)オキシ)−4,11−ジエチル−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−4−イル 5−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン酸 塩酸塩(化合物4−4)の合成
(実施例4)<工程1>で得られた化合物4−2(100mg)及び市販の5−((tert−ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタン酸(61.8mg)のジクロロメタン(2500μL)溶液に対し、氷冷撹拌下、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(58.4mg)及びN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(9.9mg)を加え、室温で19時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(16%酢酸エチル/n−ヘプタン〜100%酢酸エチル)により精製し、化合物4−3(91mg)を含む画分を得た。
化合物4−3を含む画分(91mg)を1,4−ジオキサン(1.8mL)に溶解させた。この溶液に対し、氷冷撹拌下、4規定−塩化水素/1,4−ジオキサン(1.8mL)を加え、反応液を室温で15時間攪拌し、ジイソプロピルエーテル(30mL)を加えた。析出した固体をろ取し、ジイソプロピルエーテルで洗浄した後、減圧下乾燥することにより化合物4−4(69mg)を黄色固体として得た。
NMRデータ(D2O)(δ:ppm):7.65 (1H, d, J = 9.1 Hz), 7.12 (1H, d, J = 9.6 Hz), 6.98 (1H, s), 6.40 (1H, s), 5.49 (1H, d, J = 16.0 Hz), 5.30 (1H, d, J = 16.0 Hz), 3.80 (1H, d, J = 19.6 Hz), 3.68−3.64 (1H, m), 2.91 (2H, t, J = 6.8 Hz), 2.69−2.62 (2H, m), 2.35 (2H, d, J = 6.9 Hz), 2.13−2.11 (2H, m), 1.68−1.67 (4H, m), 0.96 (3H, t, J = 7.6 Hz), 0.90 (3H, t, J = 7.6 Hz)
<工程3>(S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−3,14−ジオキソ−3,4,12,14−テトラヒドロ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−4−イル 5−アミノペンタン酸基導入アルギン酸(化合物4−5)の合成
1重量%に調製したアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製、分子量:326万Da〜25.3万Da(ブロード)、重量平均分子量:164万Da)水溶液(10.9mL)に、4−(4、6−ジメトキシ−1、3、5−トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド(55.8mg)、1モル濃度−重曹水(302.6μL)を加えた。この溶液に対し、(実施例4)<工程2>で得られた化合物4−4(53.3mg)のエタノール(3mL)及び水(1mL)溶液を加え、40度で3時間攪拌した。塩化ナトリウム(100mg)を加えた後、エタノール(21.8mL)を加え、30分間室温で攪拌した。得られた沈殿をろ取し、エタノールで洗浄後、減圧乾燥して、標記化合物4−5(104mg)を淡黄色粉体として得た。薬剤導入率は3.5モル%であった。分子量は、281万Daから4.1万Daまでブロードな溶出ピークを示し、重量平均分子量は113万Daであった。
(実施例5)実施例1から4で作製した化合物のリリース試験
実施例1から4で作製した各コンジュゲート1mgに、各コンジュゲートの濃度がそれぞれ0.1%w/w濃度となるように20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)または1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、マグネティックスターラー(ASONE REMIX RS−6A、750r.p.m.)を用いて、6時間撹拌した。ゲル状になっていないことを確認し、この溶液を分注した。溶解直後に初期状態(保存0日)として各溶液に存在した遊離SN−38量をLC−MS/MSにて測定した。また、それ以外の分注液は37℃で3日間インキュベートしたのちに遊離SN−38量を測定した。各時点において、1N水酸化ナトリウム水溶液中の強制分解による遊離SN−38量との比を用いて遊離率(%)を算出した。
LC条件は以下の通り
温度:40℃
流速:0.7mL/min
カラム:ODS−4:3μm(2.1×30mm)
溶媒:(A)0.1% ギ酸水溶液、(B)100% アセトニトリル
グラジエント:

Figure 2021095424
MS条件は以下の通り
イオン化モード:ESI−positive
リリース試験における遊離率
Figure 2021095424
上記リリース試験の結果から、リンカーの構造によって徐放速度を調整でき、かつ、リンカーの種類と薬剤導入率とを合わせて調整することで、長期持続可能な抗癌作用を期待できることが分かった。例えば実施例3で得られた化合物3−4は3日間で5%の遊離率であり、理論上は、充分に30日間以上にわたる薬剤の放出を期待できる。

Claims (11)

  1. アルギン酸又はその塩とカンプトテシン誘導体とがリンカーを介して共有結合されてなる構造を有する、アルギン酸誘導体。
  2. 下記式(1)で表される構造を有する、請求項1に記載のアルギン酸誘導体:
    (A)−L−(D) (1)
    (式中、
    (A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
    (D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
    Lは、(A)とアミド結合で結合しうる官能基を有し、かつ(D)とエステル結合で結合しうる官能基を有するリンカーである)。
  3. 下記式(2)で表される構造を有する、請求項1に記載のアルギン酸誘導体:
    (A)−NH−(CH2n1−[X1n2−(CR12n3−[Y]n4−(CH2n5−(CR34n6−[X2n7−(CH2n8−(CR56n9−C(=O)−(D) (2)
    (式中、
    (A)はアルギン酸又はその塩由来の残基であって、アルギン酸を構成するL−グルロン酸及びD−マンヌロン酸のいずれか一方の単糖のC(=O)−基を有する1残基を示し、
    (D)はカンプトテシン誘導体の水酸基から水素原子を除いた基を示し、
    1及びX2は、ヘテロ原子を示し、
    1、R2、R3、R4、R5及びR6はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、C1-10アルキル基、C1-10アルコキシ基又はC1-10アルコキシカルボニル基を示すか、又は、R1及びR2若しくはR3及びR4が一緒になって=Oを示し、
    Yは、シクロアルカン環、芳香族環又は複素環(前記シクロアルカン環、芳香族環又は複素環は、ハロゲン原子又はC1-10アルキル基で置換されていてもよい)を示し、
    n1は0〜10のいずれかの整数を示し、n2、n4及びn7は独立して0または1を示し、n3、n5、n6、n8及びn9は独立して0〜3のいずれかの整数を示すが、n1〜n9の全てが0になることはない)。
  4. カンプトテシン誘導体がカンプトテシン;7−エチルカンプトテシン;10−ヒドロキシカンプトテシン;SN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン);イリノテカン(CPT−11);9−(ジメチルアミノ)メチルカンプトテシン;トポテカン(ノギテカン);エキサテカン;T−2513(10−(3−アミノプロピロキシ)−7−エチルカンプトテシン);10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−エチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−アミノ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;9−クロロ−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−メチレンジオキシカンプトテシン;10,11−エチレンジオキシカンプトテシン;ルルトテカン(7−(4−メチル−1−ピペラジニル)メチル−10,11−エチレンジオキシカンプトテシン);ギマテカン(7−(tert−ブトキシイミノメチル)カンプトテシン);9−アミノカンプトテシン;ルビテカン(9−ニトロカンプトテシン);ベロテカン(7−(2−(N−イソプロピルアミノ)エチル)−カンプトテシン);コシテカン(7−(2−(トリメチルシリル)エチル)−カンプトテシン)及びシラテカン(7−(tert−ブチルジメチルシリル)−10−ヒドロキシカンプトテシン)からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体。
  5. カンプトテシン誘導体がSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)、イリノテカン(CPT−11)又はトポテカン(ノギテカン)である、請求項4に記載のアルギン酸誘導体。
  6. カンプトテシン誘導体がSN−38(7−エチル−10−ヒドロキシカンプトテシン)である、請求項5に記載のアルギン酸誘導体。
  7. カンプトテシン誘導体がフェノール性水酸基を有し、前記水酸基がリンカーと結合されてなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体を架橋してなる、アルギン酸誘導体ゲル。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体、又は、請求項8に記載のアルギン酸誘導体ゲルを含む、徐放性医薬組成物。
  10. 抗癌剤としての、請求項9に記載の徐放性医薬組成物。
  11. カンプトテシン誘導体を徐放するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルギン酸誘導体、又は、請求項8に記載のアルギン酸誘導体ゲルの使用。
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