JP7345167B2 - ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート、ポリ(カルバメート)核酸医薬コンジュゲートの凝集粒子、及び凝集粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
非特許文献2に記載のポリマーでは、分解性の末端基が分解されて主鎖末端にアミノ基が生成することをトリガーとして、分子鎖内での電子移動によって、主鎖の連鎖的な分解による自己崩壊が生じ得る。
R2-(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-R3-Nuc・・・(1)
(式(1)中、Nucは、核酸医薬の5’末端からリン酸基を除いた残基であり、
R1は、下記式(2):
nは、2以上の整数であり、
式(2)で表される2価の基において、R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが薬理活性を有する化合物に由来する構造を含む有機基であるか、
R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが、式(2)中のフェニレン基とともに薬理活性を有する化合物の構造を形成しており、
R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの、薬理活性を有する化合物に由来する構造を含まないか、薬理活性を有する化合物の構造の形成に関与しない基が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、
R2は、刺激により-CO-と-NH-との間での加水分解を生じさせる、R2-CO-NH-で表される刺激応答性分解性基を与える基であり、
R3は、-CO-NH-、-P(=O)(OH)-O-、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-で表される基であり、R6は、1価の有機基であり、R7は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基であり、-CO-NH-における炭素原子、並びに-P(=O)(OH)-O-、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-におけるリン原子が式(1)におけるオキシメチレン基中の酸素原子と結合する。)
で表される、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
で表される基である、(1)~(3)のいずれか1つに記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートは、下記式(1):
R2-(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-R3-Nuc・・・(1)
で表される化合物である。
また、R1は、下記式(2):
式(2)で表される2価の基において、R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが薬理活性を有する化合物に由来する構造を含む有機基であるか、R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが、式(2)中のフェニレン基とともに薬理活性を有する化合物の構造を形成している。
式(2)において、R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの、薬理活性を有する化合物に由来する構造を含まないか、薬理活性を有する化合物の構造の形成に関与しない基が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。
つまり、式(1)中の(-CO-NH-R1-CH2-O-)nで表されるポリ(カルバメート)部分では、-NH-R1-CH2-O-で表される、フェニレン基上に所定の置換基を有してもよい4-アミノベンジルアルコールの残基が、カルボニル基を介して、カルバメート結合(-O-CO-NH-)を形成しながら繰り返し連結されている。
式(1)中の(-CO-NH-R1-CH2-O-)nで表されるポリ(カルバメート)部分は、非特許文献2のScheme 2に示されるように、R2-CO-NH-で表される刺激応答性分解性基が分解されてアミノ基に変換されることをトリガーとして、電子移動が生じることに起因して、カルバメート結合(-O-CO-NH-)の分解によって自己崩壊する。
ここで、薬理活性を有する化合物は、核酸医薬以外の化合物であってもよく、核酸医薬であってもよい。R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つとしての有機基が、核酸医薬に由来する構造を含む場合、当該核酸医薬は、式(1)中のNucを与える核酸医薬とは異なる核酸医薬であるのが好ましい。
-X1-X2-PAC・・・(2-1)
で表される基が好ましい。式(2-1)において、X1は、単結合、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基、又は炭素原子数2以上6以下のアルケニレン基である。X2は、-O-、-S-、-CO-、-SO-、-SO2-、-NH-、-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-O-、-NH-CO-NH-、又は-O-CO-O-である。PACは、薬理活性を有する化合物から1つの水素原子を除いた残基である。
PACにおける、X2に結合する結合手の位置は、H2N-R1-CH2-OHで表される化合物が所望する薬理活性を有する限り特に限定されない。PACにおける、X2に結合する結合手の位置は、実験的手法やコンピューターを用いたシミュレーション等の手法によって、H2N-R1-CH2-OHで表される化合物の薬理活性が、PACを与える化合物の薬理活性に対して極力低下しない位置として選択されるのが好ましい。
なお、下記構造式では、中央のベンゼン環上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基が導入されているが、薬理活性が許容できない程度に低下しない限りにおいて、3-トリフルオロメチル-4-クロロフェニル基上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基を導入することも可能である。
また、下記の4-ヒドロキシベンジルアルコールの構造と、薬理活性を有する化合物としてのソラフェニブの構造とを併せ持つ化合物において、R1a、及びR4aは以下に示す基であり、R2a、及びRa3は水素原子である。
イデラリシブにおいては、無置換のフェニル基上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基を導入可能である。
イマチニブにおいては、無置換のp-フェニレン基、又は2-メチルベンゼン-1,5-ジイル基上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基を導入可能であり、無置換のp-フェニレン基上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基を導入するのが好ましい。
ミドスタウリンにおいては、無置換のフェニル基上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基を導入可能である。
なお、薬理活性が許容できない程度に低下しない限りにおいて、オシメルチニブの構造中のメトキシ基で置換されたベンゼン環上にヒドロキシメチル基、及びアミノ基が導入されてもよい。
エルロチニブ、アファチニブ、及びゲフィチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)である。ラパチニブは、上皮成長因子受容体(EGFR)とHer2/neuとの双方を阻害する二重チロシンキナーゼ阻害剤である。スニチニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ、血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)キナーゼ、及びKITキナーゼを阻害する阻害剤である。ボルテゾミブ、及びカルフィルゾミブは、プロテアソーム阻害剤である。ベムラフェニブは、B-Raf酵素阻害剤である。イブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤である。
また、その他の好ましい構造としては、テルペンドールE(Terpenedole E)、パクリタキセル(Paclitaxel)、リンコフィリン(Rhynchophylline)、ジヒドロコリナンテオール(Dihydrocorynantheol)、エメチン(Emetine)、メリファラン(Melphalan)、ベンダムスチン(Bendamustine)、レナリドミド(Lenalidomide)、タモキシフェン(Tamoxifen)、レトロゾール(Letrozole)、タミバロテン(Tamibaroten)、ドネペジル(Donepezil)、エナラプリル(Enalapril)、アムロジピン(Amlodipine)、アトルバスタチン(Atorvastatin)、及びロフェコキシブ(Rofecoxib)等のベンゼン環を含む医薬化合物の構造が挙げられる。
好ましい方法の一例としては、以下の方法が挙げられる。
まず、H2N-R1-CH2-OHで表されるベンジルアルコール誘導体を、クロロギ酸フェニルと反応させ、Ph-O-CO-NH-R1-CH2-OHで表されるベンジルアルコール誘導体を得る。なお、Phは、フェニル基である。
次に、Ph-O-CO-NH-R1-CH2-OHで表されるベンジルアルコール誘導体を、ジラウリン酸ジブチル錫(IV)やビス(ドデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン等の重合触媒の存在下に重合して、Ph-O-(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-Hで表される、(-CO-NH-R1-CH2-O-)nで表されるポリ(カルバメート)部分を含むポリ(カルバメート)が得られる。
ポリ(カルバメート)部分の繰り返し数nは、重合反応の時間や、重合反応温度等を調製することによって調整できる。
ここで、R2-CO-NH-で表される刺激応答性分解性基は、その構造に応じた適切な刺激を与えられた場合に、-CO-と-NH-との間での加水分解される。
刺激応答性分解性基を分解させるための刺激としては、例えば、pHの変化、酵素による刺激、光照射、酸化性雰囲気への雰囲気の変化、及び還元性雰囲気への雰囲気の変化等が好ましく、pHの変化がより好ましく、酸性側へのpHの変化が特に好ましい。
ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートを刺激により分解させる際に、細胞や生物組織への悪影響が少ない点から、刺激応答性基は、pH6以下へのpH値の低下により分解する基であるのが好ましく、pH6.8以下へのpH値の低下により分解する基であるのがより好ましい。
上記の刺激応答性分解性基は、前述のPh-O-(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-Hで表されるポリ(カルバメート)を、Ar-R5-OHで表されるアルコールと反応させることにより形成できる。
で表される基であるのが好ましい。R4としては、メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記式(3-1)で表される刺激応答性分解性基は、pH6.8以下へのpH値の低下により分解し得る。
還元性雰囲気への雰囲気の変化の刺激により分解され得る刺激応答性分解性基としては、R2-CO-NH-で表される基であって、R2がアリルオキシ基である基が挙げられる。
ここで、R3は、-CO-NH-、-P(=O)(OH)-O-、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-である。R6は、1価の有機基であり、例えば、炭素原子数1以上8以下のアルキル基が好ましい。R7は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基である。これらの基において、-CO-NH-における炭素原子、及びリン原子が式(1)におけるオキシメチレン基中の酸素原子と結合する。
かかる構造は、ポリ(カルバメート)の(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-Hで表される構造中の水酸基末端に、イミダゾール-1-イルカルボニル基等の活性な基を導入した後に、活性化された末端と、5’末端のリン酸基がアミノ基に変換されたH2N-Nucで表される核酸医薬誘導体を反応させることにより形成される。
なお、活性化された末端に反応させる、5’末端のリン酸基がアミノ基に変換されたH2N-Nucで表される核酸医薬における塩基部分に含まれるアミノ基は、ベンゾイル基、アセチル基、イソブチリル基、ジメチルホルムアミジル基、フェノキシアセチル基、4-イソプロピルフェノキシアセチル基によって保護されているのが好ましい。また、H2N-Nucで表される核酸医薬においてホスホジエステル結合に含まれるリン原子に結合する水酸基は、2-シアノエチル基等により保護されているのが好ましい。さらに、H2N-Nucで表される核酸医薬誘導体は3’末端で、核酸の固相合成用の担体等に担持されていてもよい。前述の担体としては、例えば、CPG(Controlled Pore Glass)等が挙げられる。
保護基や単体の除去は、刺激応答性分解性基が分解しない条件で行われるのが好ましい。例えば、刺激応答性分解性基が、酸性側へのpHの変化により分解される場合、塩基性条件で、保護基や単体を除去させるのが好ましい。
かかる構造は、核酸の固相合成で多用されているホスホロアミダイト法により形成できる。具体的には、まず、ポリ(カルバメート)誘導体の有機溶媒溶液において、2-シアノエチル-N,N,N’,N’-テトライソプロピルホスホロジアミダイトを作用させて、ホスホルアミダイト基をポリ(カルバメート)の末端に導入する。続いて、得られたホスホルアミダイト化ポリ(カルバメート)誘導体をCPG固定化核酸医薬誘導体と混和させて、1H-テトラゾール、2-エチルチオテトラゾール、2-ベンジルチオテトラゾール等の存在下で反応させる。その後、ピリジンを含むヨウ素溶液(水-THF混合溶媒)を用いた酸化及び脱保護反応を経て、ホスホジエステル結合を含む上記の構造が形成される。
なお、上記の方法は一例であり、種々の公知のホスホジエステル結合形成方法を採用することができる。R3が、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-である場合についても、種々の公知のホスホトリエステル結合形成方法、ホスホロチオエート結合形成方法、ホスホロジチオエート形成方法、H-ホスホネート結合形成方法、又はアルキルホスホネート結合形成方法を適宜採用できる。
Nucを与える核酸医薬の好適な例としては、siRNA、shRNA、dsRNA、miRNA、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイム、アプタマー、及びデコイ核酸等が挙げられる。
核酸医薬におけるホスホジエステル結合は、必要に応じて、ホスホトリエステル結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、H-ホスホネート結合、又はアルキルホスホネート結合等の結合に置換されてもよい。
Nucを与える核酸医薬の塩基配列は、治療対象の疾患の種類に応じて、公知の核酸医薬の配列の中から適宜選択される。
核酸医薬が1本鎖である場合の塩基数と、核酸医薬が2本鎖である場合の塩基対数とは、特に限定されないが、5以上200以下が好ましく、10以上50以下がより好ましい。
核酸医薬の生体内での安定性等の点から、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートは、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートの凝集粒子として投与されるのが好ましい。かかる凝集体の形状は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートの凝集粒子の体積平均粒子径は、前述の式(1)におけるnの値や、核酸医薬の塩基数を調整することにより調整できる。
されるものではない。
フェニル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(3)の合成
炭酸水素ナトリウムと、含水THF(テトラヒドロフラン)15mLと、4-アミノベンジルアルコール(1)1.0gとを混合して懸濁液を調製した。懸濁液における、THFと、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、水との体積の比率は、THF:飽和炭酸水素ナトリウム水溶液:水として2:2:1であった。得られた懸濁液に、クロロギ酸フェニル(2)1.04mL(8.29mmol)を5分かけて滴下した。滴下後、反応液を室温(RT)で撹拌した。撹拌後、薄層クロマトグラフ(展開溶媒、酢酸エチルとヘキサンとの1:1(体積比)混合液)により反応の進行を確認した。反応終了後、反応液を酢酸エチルで希釈した後、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液により2回洗浄した。洗浄後、有機層に酢酸エチルとヘキサンとの3:7(体積比)混合液を加えて、再結晶を行った。析出した結晶をろ過により回収した後、減圧乾燥させて、フェニル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(3)1.16g(収率59%)を白色固体として得た。
末端にフェニルブチル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(5)の合成
調製例1で得たフェニル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(3)300mmg(1.24mmol)と、フェニル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(3)に対して5モル%のジラウリン酸ジブチル錫(IV)(DBTL)を、脱水されたジメチルスルホキシド(DMSO)620μLに溶解させた。得られた溶液を110℃で15分間撹拌して、フェニル(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)カルバメート(3)の重合を行った。
重合体を含む得られた反応液に、4-フェニル-1-ブタノール(4)188μL(1.24mmol)を加えた。次いで、反応液を110℃で30分間撹拌した。その後、反応液を室温まで冷却させた後、反応液にメタノール30mLを滴下して、末端にフェニルブチル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(5)を沈殿させた。末端にフェニルブチル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(5)の沈殿をろ過により回収した後、メタノールで洗浄した。洗浄された、沈殿物を減圧乾燥して、末端にフェニルブチル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(5)147mg(収率24%)を白色粉末として得た。
末端にイミダゾール-1-イルカルボニル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(7)の合成
窒素雰囲気化、調製例3で得たポリ(カルバメート誘導体)(5)60mg(0.0154mmol)と、カルボニルジイミダゾール(6)25.0mg(0.154mmol)を脱水されたジメチルホルムアミド(DMF)1mLに溶解させた。得られた溶液を室温で3時間撹拌して反応を行った。次いで、反応液からDMFを留去し、残渣をメタノール40mLと混合して、末端にイミダゾール-1-イルカルボニル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(7)を沈殿させた。沈殿物をろ過により回収した後にメタノールで洗浄し、減圧乾燥させて、末端にイミダゾール-1-イルカルボニル基を有するポリ(カルバメート)誘導体(7)18.3mg(収率30%)を白色粉末として得た。
得られた、ポリ(カルバメート)誘導体(7)の1H-NMRスペクトルを、図1に示す。
ポリ(カルバメート)-DNAコンジュゲートの合成とナノ構造体の作製
容量1.5mLのマイクロチューブ内に、調製例3で得たポリ(カルバメート)誘導体(7)4.3mg(1μmol)を加え、ポリ(カルバメート)誘導体(7)を脱水されたDMSO(50μL)中に溶解させた。得られた溶液を、担体(CPG(Controlled Pore Glass)上に固定化されたオリゴDNA(17塩基、0.1μmol)が入った別のマイクロチューブに加え、ポリカルバメート誘導体(7)とオリゴDNAとを室温で24時間反応させた。なお、下記の反応式において、オリゴDNAに結合する丸で示される物質が担体である。オリゴDNAのアミノ基は、アデニン(A)及びシトシン(C)のときベンゾイル基で保護され、グアニン(G)についてはイソブチリル基あるいはジメチルホルムアミジル基で保護されていた。また、リン原子に結合するOH基は2-シアノエチル基により保護されていた。次いで、反応液に脱水されたDMSO(500μL)を加えて洗浄した後に上澄みを除去する洗浄操作を3回繰り返して行った。
洗浄後に残った、ポリ(カルバメート)誘導体と保護されたオリゴDNAとのコンジュゲート(8)に、メチルアミン溶液500μL(40%メチルアミン水溶液:メチルアミンエタノール溶液(体積比1:1))を加えた後、混合液全量を耐圧ミニバイアルへ移し替えた。バイアル内の混合液の全量を1mLとし、ドラフト内で12時間静置させることで、CPGからのポリ(カルバメート)-DNAコンジュゲート(8)の脱離と、オリゴDNA部分の脱保護とを行った。次に、バイアル内の混合液の上澄みをガラスチューブに移し、脱水されたDMSOに溶解させた。得られた溶液を透析膜(分画分子量:1,000)内に移し、純水に対して24時間の透析を行うことによって、透析膜内でポリ(カルバメート)-DNAコンジュゲート(8)を凝集させて、ナノスケールの凝集粒子を得た。
得られた凝集粒子の25℃において動的光散乱法により測定された体積平均粒子径は、107nmであった。
(Z)-4-((4-(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)-2-メチル-4-オキソ-2-ブテン酸(10)の合成
窒素雰囲気下、シトラコン酸無水物(9)0.089mL(1mmol)を含むジエチルエーテル(Et2O)-THF混合溶液10.5mL(Et2O:THF(体積比20:1))に加えた。得られた溶液に、4-アミノベンジルアルコール(1)123mg(1mmol)を含むEt2O-THF混合溶液10.5mL(Et2O:THF(体積比20:1))を滴下した。混合溶液の温度を10~15℃に保ち、30分撹拌した。生成した沈殿物をろ過により回収し、回収された沈殿物を減圧下で乾燥させることで(Z)-4-((4-(ヒドロキシメチル)フェニル)アミノ)-2-メチル-4-オキソ-2-ブテン酸(10)0.16g(収率73%)を黄色い粉末として得た。
Claims (8)
- 下記式(1):
R2-(-CO-NH-R1-CH2-O-)n-R3-Nuc・・・(1)
(式(1)中、Nucは、核酸医薬の5’末端からリン酸基を除いた残基であり、
R1は、下記式(2):
nは、2以上の整数であり、
式(2)で表される2価の基において、R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが薬理活性を有する化合物に由来する構造を含む有機基であるか、
R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの少なくとも1つが、式(2)中のフェニレン基とともに薬理活性を有する化合物の構造を形成しており、
R1a、R2a、R3a、及びR4aのうちの、薬理活性を有する化合物に由来する構造を含まないか、薬理活性を有する化合物の構造の形成に関与しない基が、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、又はシアノ基であり、
R2は、刺激により-CO-と-NH-との間での加水分解を生じさせる、R2-CO-NH-で表される刺激応答性分解性基を与える基であり、
R 2 は、Ar-R 5 -O-(式中Arはアリール基であり、R 5 は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。)で表される基、4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)フェニルメチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、2-(2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチルオキシカルボニル)エテニルオキシ基、下記式(3):
で表される基、9H-フルオレン-9-イルメトキシ基、2-ニトロフェニルメトキシ基、2-ニトロ-4,5-ジメトキシフェニルメトキシ基、4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキソボロラン-2-イル)フェニルメトキシ基、アリルオキシ基、3-オキソブチルオキシ基、又はフェニルアセトアミド基であり、
R3は、-CO-NH-、-P(=O)(OH)-O-、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-表される基であり、R6は、1価の有機基であり、R7は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基であり、-CO-NH-における炭素原子、並びに-P(=O)(OH)-O-、-P(=O)(OR6)-O-、-P(=S)(OH)-O-、-P(=O)(SH)-O-、-P(=S)(SH)-O-、-P(=O)H-O-、又は-P(=O)R7-O-におけるリン原子が式(1)におけるオキシメチレン基中の酸素原子と結合する。)
で表される、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。 - 前記刺激が、pHの変化、酵素による刺激、光照射、酸化性雰囲気への雰囲気の変化、又は還元性雰囲気への雰囲気の変化である、請求項1に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
- 前記刺激応答性分解性基が、pH6.8以下へのpH値の低下により分解する基である、請求項2に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
- 前記R2が、前記式(3)で表される基である、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
- 前記核酸医薬が、siRNA、shRNA、dsRNA、miRNA、アンチセンスDNA、アンチセンスRNA、リボザイム、アプタマー、又はデコイ核酸である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートからなる、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートの凝集粒子。
- 25℃において動的光散乱法により測定される体積平均粒子径が50nm以上150nm以下である、請求項6に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートの凝集粒子。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートの有機溶媒溶液において、有機溶媒の少なくとも一部を水に置換させることにより、前記ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲートを凝集させることを含む、ポリ(カルバメート)-核酸医薬コンジュゲート凝集粒子の製造方法。
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2019
- 2019-09-10 JP JP2019164912A patent/JP7345167B2/ja active Active
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秋山好嗣,核酸医薬をDNA密生層としたナノ構造体の作製とキャリアフリーDDSの創製,科学研究費助成事業 研究成果報告書,2019年06月15日 |
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