JP2021095297A - 光ファイバの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ファイバの断線を防止可能な光ファイバの製造方法を提供する。【解決手段】光ファイバの製造方法は、光ファイバを引き取り装置で引き取るための口出しを行い、口出し後且つ定常線引き前に、定常線引き時の線速に至るまで線引きの線速を上昇させながら線引きを行い、製品取りを行う定常線引きを行う。線速上昇の開始時は、プライマリ樹脂層を設ける第一塗布部3A内の樹脂温度を、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度より低くし、線速上昇の途中で、第一塗布部3A内の樹脂温度を、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度まで上昇させる。【選択図】図4

Description

本開示は、光ファイバの製造方法に関する。
特許文献1は、光ファイバ製造開始時の停止状態から定常線速に至るまでの間、樹脂塗布装置への樹脂供給圧力を増加させることを記載している。線速に対する樹脂供給圧力の関係を、定常線速付近は低線速側より傾きを小さくすることにより、樹脂圧力変動による光ファイバの断線を防止している。
特許文献2は、二酸化ゲルマニウム(GeO)が添加されたコアを含む光ファイバ用の母材を線引きする際の口出し時に、プライマリ樹脂またはセカンダリ樹脂のいずれか一方のみを塗布することを記載している。これにより、光ファイバ内でのルミネセンスによって樹脂が硬化し、樹脂塗布装置のダイスが詰まる問題の発生を抑制している。
特開2001−66476号公報 特開2003−226556号公報
このような光ファイバの製造方法では、線速上昇中にガラスファイバの外周においてプライマリ樹脂の被覆の厚みが増加してセカンダリ樹脂の被覆の厚みが減少する場合がある。この場合には、プライマリ樹脂の被覆が表面に露出して光ファイバの断線を招く恐れがある。
そこで、本開示は、光ファイバの断線を防止可能な光ファイバの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る光ファイバの製造方法は、
加熱炉において光ファイバ母材を加熱して線引きを行いガラスファイバを形成し、樹脂塗布装置により前記ガラスファイバの周囲に第一被覆樹脂層および前記第一被覆樹脂層の周囲に第二被覆樹脂層を設ける光ファイバの製造方法であって、
前記光ファイバを引き取り装置で引き取るための口出しを行うステップと、
前記口出し後且つ定常線引き前に、前記定常線引き時の線速に至るまで前記線引きの線速を上昇させながら線引きを行うステップと、
製品取りを行う前記定常線引きを行うステップと、
を備え、
前記線速上昇の開始時は、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度より低くし、
前記線速上昇の途中で、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度まで上昇させる。
本開示によれば、光ファイバの断線を防止することができる。
図1は、本開示の実施形態に係る光ファイバの製造装置の一例を示す概略構成図である。 図2は、樹脂塗布装置の一部を示す概略構成図である。 図3は、一部のセカンダリ樹脂が塗布切れした光ファイバの断面図である。 図4は、線速と第一塗布部内の樹脂温度の関係を示す図である。 図5は、光ファイバの製造装置により製造された光ファイバの断面図である。
(本開示の実施形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る光ファイバの製造方法は、
(1)加熱炉において光ファイバ母材を加熱して線引きを行いガラスファイバを形成し、樹脂塗布装置により前記ガラスファイバの周囲に第一被覆樹脂層および前記第一被覆樹脂層の周囲に第二被覆樹脂層を設ける光ファイバの製造方法であって、
前記光ファイバを引き取り装置で引き取るための口出しを行うステップと、
前記口出し後且つ定常線引き前に、前記定常線引き時の線速に至るまで前記線引きの線速を上昇させながら線引きを行うステップと、
製品取りを行う前記定常線引きを行うステップと、
を備え、
前記線速上昇の開始時は、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度より低くし、
前記線速上昇の途中で、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度まで上昇させる。
上記方法によれば、線速が小さい間は、樹脂塗布装置内の樹脂温度を下げて第一被覆樹脂層を構成する第一樹脂の粘度を増加させることで第一被覆樹脂層の外径増加を抑制できる。その結果、第二被覆樹脂層の厚みを確保することができ、光ファイバの断線を防止することができる。
(2)前記定常線引き時の線速が2000m/分以上であっても良い。
高線速で製品取りを行う場合(すなわち、定常線引き時の線速が高い場合)は、特に口出し終了後、線速を大きく上昇させることになる。このため、第一被覆樹脂層を設ける樹脂塗布装置内の樹脂温度を低線速時と高線速時で同じ樹脂温度とすると第二被覆樹脂層を構成する第二樹脂が塗布されないことがあり、光ファイバの断線が発生することがあった。本開示の態様を適用することにより、定常線引きの線速が高い場合でも線速上昇中に発生する光ファイバの断線を抑制することができる。
(3)前記線速上昇の開始時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度と、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度の差が、5℃以上30℃以下であり、
前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度まで上昇させる際の線速が200m/分以上1500m/分以下であっても良い。
上記方法によれば、この温度範囲とタイミング(線速)で、第一被覆樹脂層を設ける樹脂塗布装置内の樹脂温度を上昇する場合には、より光ファイバの断線を抑制することができる。
(4)前記ガラスファイバの直径が124μm以上126μm以下であり、前記第二被覆樹脂層の直径が190μm以上210μm以下であっても良い。
被覆樹脂層(第一被覆樹脂層および第二被覆樹脂層)の厚みが小さい光ファイバを製造する際に、第二被覆樹脂層を構成する第二樹脂の塗布切れが起きやすい。このため、本開示の態様を適用することにより、被覆樹脂層の厚みが小さい場合でも線速上昇中に発生する光ファイバの断線を抑制することができる。
(本開示の実施形態の詳細)
本開示の実施形態に係る光ファイバの製造方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。
なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
図1は、本開示の実施形態に係る光ファイバの製造装置1の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、光ファイバの製造装置1は、線引炉2と、樹脂塗布装置3と、樹脂硬化装置4と、ガイドローラ5と、引取り部6と、巻取りドラム7と、線引制御装置8と、温度制御装置9とを備えている。なお、本実施形態の光ファイバの製造装置1は、プライマリ樹脂およびセカンダリ樹脂を連続して塗布し、一挙に硬化させるデュアルコーティング方式の製造装置である。
線引炉2は、ヒータにより光ファイバ母材Gの下端部を加熱して軟化させるように構成されている。線引炉2は、加熱炉の一例である。光ファイバ母材Gの下端部は下方に細く引き伸ばされ、引取り部6の張力により線引きが行われてガラスファイバG1が形成される。
樹脂塗布装置3は、ガラスファイバG1の走行方向(図1中の矢印Aの方向)において線引炉2の下流に設けられている。樹脂塗布装置3は、線引きにより形成されたガラスファイバG1の周囲に樹脂を塗布するように構成されている。
樹脂塗布装置3は、ガラスファイバG1の走行方向において、上流側に配置された第一塗布部3Aと、下流側に配置された第二塗布部3Bとを備えている。第一塗布部3Aは、プライマリ樹脂(第一樹脂)をガラスファイバG1の周囲に塗布する。第二塗布部3Bは、ガラスファイバG1の周囲に塗布されたプライマリ樹脂の周囲にセカンダリ樹脂(第二樹脂)を塗布する。
樹脂硬化装置4は、ガラスファイバG1の走行方向において樹脂塗布装置3の下流に設けられている。樹脂硬化装置4は、樹脂塗布装置3によりガラスファイバG1に塗布された樹脂を硬化させるように構成されている。樹脂硬化装置4は、例えば、紫外線照射装置であり、紫外線を照射することにより樹脂を硬化させる。樹脂が硬化することにより形成された光ファイバG2は、ガイドローラ5および引取り部6を経由して巻取りドラム7に巻き取られる。
線引制御装置8は、所望の線引きの速度(以下、線速と称する)になるように線引条件(ヒータの加熱温度、光ファイバ母材Gの送り速度、引取り部6の引取り速度、等)を制御するように構成されている。具体的には、線引制御装置8は、線速が口出し後に上昇し定常線引きの線速に達したら一定の線速になるように線引条件を制御する。また、線引制御装置8は、線速情報を温度制御装置9へ出力する。
温度制御装置9は、第一塗布部3A内の樹脂温度および第二塗布部3B内の樹脂温度をそれぞれ所定の温度に制御するように構成されている。本実施形態の温度制御装置9は、配管9A,9Bを介して第一塗布部3Aおよび第二塗布部3Bの内部に流体を流して第一塗布部3Aおよび第二塗布部3Bの温度を制御している。第一塗布部3Aおよび第二塗布部3Bの温度を制御することにより、第一塗布部3A内の樹脂温度および第二塗布部3B内の樹脂温度が制御される。さらに、温度制御装置9は、線引制御装置8から線速情報を取得し、線速に応じて第一塗布部3A内の樹脂温度を所定の温度に制御している。具体的には、温度制御装置9は、線速が小さい間は、第一塗布部3A内の樹脂温度を定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度より低くし、線速が上昇している途中で、第一塗布部3A内の樹脂温度を定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度まで上昇させている。
図2は樹脂塗布装置3の一部を示す概略構成図である。樹脂塗布装置3内を通過するガラスファイバG1の外周には、第一塗布部3Aの流路30Aから開口32Aを通って下流へ流れるプライマリ樹脂Pが塗布される。そして、ガラスファイバG1に塗布されたプライマリ樹脂Pの外周には、第二塗布部3Bの流路30Bから開口32Bを通って下流へ流れるセカンダリ樹脂Sが塗布される。ところで、ガラスファイバG1に塗布される樹脂は、温度が高くなるとその粘度が下がる特性を有する。線速がある程度大きい場合は、ガラスファイバG1に塗布されたプライマリ樹脂Pは、図2中に破線で示すように開口32Aから下流に行くほどその塗布量が少なくなる。これにより、第二塗布部3Bの開口32Bとプライマリ樹脂Pの外周との間には所定の隙間を確保することができ、セカンダリ樹脂Sを良好に塗布することができる。一方、線速が小さい場合は、ガラスファイバG1に塗布されたプライマリ樹脂Pは、図2中に一点鎖線で示すように開口32Aから下流に進んでもその塗布量がほぼ変わらない状態になる。このため、第二塗布部3Bの開口32Bとプライマリ樹脂Pの外周との間の隙間は、線速が大きい場合に比べて小さくなる。特に、第一塗布部3Aの開口32Aの半径と第二塗布部3Bの開口32Bの半径の差が小さい場合(例えば50μm以下)には、セカンダリ樹脂Sを十分に塗布することができずセカンダリ樹脂Sの塗布が途中で切れる場合がある。
図3は、一部のセカンダリ樹脂Sが塗布切れした光ファイバG2の断面図である。図3に示すように、光ファイバG2の表面においてセカンダリ樹脂Sの塗布が途中で切れた箇所にはプライマリ樹脂Pが露出した状態になる。このため、光ファイバG2において、特にプライマリ樹脂Pが露出した箇所は十分な厚さの樹脂被覆を得ることができずに断線が発生する場合がある。
温度制御装置9は、上述のように線速に応じてプライマリ樹脂Pを塗布する第一塗布部3A内の樹脂温度が所定の温度になるように制御している。例えば、温度制御装置9は、線速に応じて流体の温度を変更し、変更した温度に設定された流体を第一塗布部3Aの内部に循環させている。これにより、線速が小さい間は、樹脂塗布装置3内の樹脂温度を下げてプライマリ樹脂Pの粘度を増加させることでプライマリ樹脂Pによる被覆層(第一被覆樹脂層)の外径増加を抑制できる。その結果、セカンダリ樹脂Sによる被膜層(第二被覆樹脂層)の厚みを確保することができ、光ファイバG2の断線を防止することができる。
次に、光ファイバの製造装置1を用いて製造される光ファイバの製造方法について説明する。
まず、線引炉2で光ファイバ母材Gの下端部を加熱してその一部(ガラスの塊)を自重により落下させ、線引炉2から垂れてきたガラスの塊を、樹脂塗布装置3および樹脂硬化装置4内に通して、ガイドローラ5および引取り部6に掛けて、巻取りドラム7まで導く(口出し工程)。そして、ガラスの端を巻取りドラム7に巻き付けた後、線速を徐々に上昇させながら、線引きを行いガラスファイバG1を形成する(線速上昇工程)。線速が定常線引きの線速に達したら線速の上昇を終了し、その線速を保った状態(定常線速)で線引きを行う(定常線引き工程)。定常線引きにより形成された光ファイバは製品として使用される(製品取り)。例えば、定常線引き時の線速は、2000m/分以上である。線引きにより形成されたガラスファイバG1は、樹脂塗布装置3内を通過し、その外周に二層の樹脂(プライマリ樹脂Pとセカンダリ樹脂S)が一括して塗布される。
図4は、線速と第一塗布部3A内の樹脂温度の関係を示す図である。図4において、縦軸は第一塗布部3A内の樹脂温度(℃)または線速(m/分)、横軸は製造開始からの経過時間を示す。図4に示すように、定常線引き工程においては、線速および第一塗布部3A内の樹脂温度は温度Tおよび線速Sになるように制御されている。温度制御装置9は、口出しから定常線引きまでの間の線速上昇工程において、線速上昇の開始時は第一塗布部3A内の樹脂温度(図4中の温度T)が樹脂温度Tよりも低くなるように、第一塗布部3A内の樹脂温度の制御を行う。また、温度制御装置9は、線速上昇の途中で第一塗布部3A内の樹脂温度が樹脂温度Tまで上昇するように、第一塗布部3A内の樹脂温度の制御を行う。すなわち、温度制御装置9は、線速が所定の線速(図4中の線速S)に達したら、第一塗布部3A内の樹脂温度の上昇を開始し、第一塗布部3A内の樹脂温度が樹脂温度Tになるまで上昇させる。例えば、温度Tと温度Tの差は5℃以上30℃以下であり、好ましくは5℃以上20℃以下である。線速Sは200m/分以上1500m/分以下である。
なお、樹脂温度Tから樹脂温度Tまでの樹脂温度の上昇は、一回で上昇しても良いし、複数回に分けて上昇しても良い。また、線速の増加に応じて徐々に上昇させても良い。特に、温度Tと温度Tの差が大きい場合は、複数回に分けて上昇するか、線速の増加に応じて徐々に上昇することが好ましい。
樹脂が塗布されたガラスファイバG1は、樹脂硬化装置4を通過し、樹脂が硬化され光ファイバG2となる。光ファイバG2は、ガイドローラ5および引取り部6を経由して巻取りドラム7に巻き取られる。図5は光ファイバの製造装置1により製造された光ファイバ10の断面図である。光ファイバ10は、コア層とクラッド層とからなるガラスファイバ11の外周にプライマリ樹脂P及びセカンダリ樹脂Sからなる第一被覆樹脂層12および第二被覆樹脂層13が同心円状に形成されている。光ファイバ10は、例えば、ガラスファイバ11の直径D1が124μm以上126μm以下であり、第二被覆樹脂層13の直径D2が190μm以上210μm以下となるように形成されている。
このように、本実施形態の光ファイバの製造方法によれば、線速上昇の開始時は、プライマリ樹脂層を設ける第一塗布部3A内の樹脂温度を、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度より低くし、線速上昇の途中で、第一塗布部3A内の樹脂温度を、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度まで上昇させる。これにより、線速が小さい間は、第一塗布部3A内の樹脂温度を下げてプライマリ樹脂Pの粘度を増加させることで第一被覆樹脂層12の外径増加を抑制できる。その結果、第二被覆樹脂層13の厚みを確保することができ、光ファイバ10の断線を防止することができる。
また、定常線引き時の線速は2000m/分以上でもよい。高線速で製品取りを行う場合は、特に口出し終了後、線速を大きく上昇させることになる。第一塗布部3A内の樹脂温度を低線速時と高線速時で同じ樹脂温度に設定する場合は、セカンダリ樹脂層が塗布されないことがあり、光ファイバの断線が発生することがあった。本実施形態によれば、定常線引きの線速が高い場合でも線速上昇中に発生する光ファイバの断線を抑制することができる。
また、線速上昇の開始時における第一塗布部3A内の樹脂温度Tと、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度Tの差が、5℃以上30℃以下であり、第一塗布部3A内の樹脂温度を、定常線引き時における第一塗布部3A内の樹脂温度まで上昇させる際の線速が200m/分以上1500m/分以下でもよい。この温度範囲とタイミングで第一塗布部3A内の樹脂温度を上昇させる場合には、より光ファイバの断線を抑制することができる。
また、ガラスファイバ11の直径が124μm以上126μm以下であり、セカンダリ被覆層13の直径が190μm以上210μm以下でもよい。被覆樹脂層の厚みが小さい光ファイバG2を製造する際に、セカンダリ被覆層93の塗布切れが起きやすい。本実施形態によれば、被覆層の厚みが小さい光ファイバG2を製造する際に、セカンダリ被覆層13の塗布切れを抑制することができる。
以上、本開示を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本開示の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本開示を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
上記実施形態では、光ファイバの製造装置1は、デュアルコーティング方式の製造装置であるが、これに限られない。光ファイバの製造装置1は、一層ごとに樹脂の塗布および硬化を行うタンデムコーティング方式の製造装置でもよい。タンデムコーティング方式の製造装置では、第一塗布部3Aと第二塗布部3Bは離れて配置される。樹脂硬化装置4は、第一塗布部3Aの下流且つ第二塗布部3Bの上流に配置された第一硬化部と、第二塗布部3Bの下流に配置された第二硬化部とから構成される。第一硬化部は、第一塗布部3Aにより塗布されたプライマリ樹脂を硬化させる。第二硬化部は、第二塗布部3Bにより塗布されたセカンダリ樹脂を硬化させる。この場合でも、線速が小さい間は、第一塗布部3A内の樹脂温度を下げてプライマリ樹脂Pの粘度を増加させることにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、温度制御装置9は、第一塗布部3Aおよび第二塗布部3Bの内部に流体を流して第一塗布部3Aおよび第二塗布部3B内の樹脂温度を制御しているが、これに限定されない。例えば、温度制御装置9は、第一塗布部3Aに樹脂を供給する配管や第一塗布部3A内等に加熱装置や冷却装置が設けられて加熱装置や冷却装置の動作を制御することにより、樹脂温度を制御してもよい。
上記実施形態では、温度制御装置9は、線引制御装置8より線速情報を得ていたが、これに限られない。例えば、光ファイバG2の線速を計測する測定器を配置し、測定器から線速情報を得てもよい。
1:光ファイバの製造装置
2:線引炉
3:樹脂塗布装置
3A:第一塗布部
3B:第二塗布部
4:樹脂硬化装置
5:ガイドローラ
6:引取り部
7:巻取りドラム
8:線引制御装置
9:温度制御装置
9A、9B:配管
10:光ファイバ
11:ガラスファイバ
12:第一被覆樹脂層
13:第二被覆樹脂層
30A:流路
30B:流路
32A:開口
32B:開口
G:光ファイバ母材
G1:ガラスファイバ
G2:光ファイバ
P:プライマリ樹脂
S:セカンダリ樹脂

Claims (4)

  1. 加熱炉において光ファイバ母材を加熱して線引きを行いガラスファイバを形成し、樹脂塗布装置により前記ガラスファイバの周囲に第一被覆樹脂層および前記第一被覆樹脂層の周囲に第二被覆樹脂層を設ける光ファイバの製造方法であって、
    前記光ファイバを引き取り装置で引き取るための口出しを行うステップと、
    前記口出し後且つ定常線引き前に、前記定常線引き時の線速に至るまで前記線引きの線速を上昇させながら線引きを行うステップと、
    製品取りを行う前記定常線引きを行うステップと、
    を備え、
    前記線速上昇の開始時は、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度より低くし、
    前記線速上昇の途中で、前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度まで上昇させる、光ファイバの製造方法。
  2. 前記定常線引き時の線速が2000m/分以上である、請求項1に記載の光ファイバの製造方法。
  3. 前記線速上昇の開始時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度と、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度の差が、5℃以上30℃以下であり、
    前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度を、前記定常線引き時における前記第一被覆樹脂層を設ける前記樹脂塗布装置内の樹脂温度まで上昇させる際の線速が200m/分以上1500m/分以下である、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
  4. 前記ガラスファイバの直径が124μm以上126μm以下であり、前記第二被覆樹脂層の直径が190μm以上210μm以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
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