JP2021094656A - 把持装置 - Google Patents

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Shotaro Miyawaki
昌太郎 宮脇
征真 舟杉
Yukimasa Funasugi
征真 舟杉
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Abstract

【課題】低コストでバラツキの小さいカムを備えた把持装置を提供すること。【解決手段】実施形態の把持装置は、爪保持部と、カムと、ピンとを備える。前記爪保持部は、レールにスライド移動可能に支持される。前記カムは、回転中心の周囲に渦巻き状の溝または曲孔が設けられ、焼結材から構成される。前記ピンは、一端が前記爪保持部側に係合し、他端が前記カムの溝または曲孔に係合する。【選択図】図5

Description

本発明は、把持装置に関する。
従来、生産コスト削減や品質安定化等のため、生産ラインの自動化が進められており、ロボットによる自動化は、その汎用性から多くの生産ラインに導入されている。かかるロボットにおいて部品などのワークを把持する把持装置は、複数の爪部を有する把持部と、かかる複数の爪部を駆動する駆動部とを備える(たとえば、特許文献1等を参照)。
対向する2つの爪部がスライド移動して接離するタイプの把持部を備える把持装置では、爪部にスライド移動を行わせるために、渦巻き状の溝または曲孔が設けられたカムが用いられる場合がある。このような構成では、カムの回転により、カムの溝または曲孔に係合されたピンが回転軸に対して近づいたり遠ざかったりすることで、爪部にスライド移動を行わせることができる。
特開2016−144863号公報
しかしながら、上述のようなカムは、切削やワイヤーカット等の機械加工によって1個ずつ作製されるものであったため、加工に要するコストが高いとともに、寸法のバラツキが大きく、動作にバラツキを生じさせてしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、低コストでバラツキの小さいカムを備えた把持装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る把持装置は、爪保持部と、カムと、ピンとを備える。前記爪保持部は、レールにスライド移動可能に支持される。前記カムは、回転中心の周囲に渦巻き状の溝または曲孔が設けられ、焼結材から構成される。前記ピンは、一端が前記爪保持部側に係合し、他端が前記カムの溝または曲孔に係合する。
本発明の一態様に係る把持装置は、低コストでバラツキの小さいカムを備えた把持装置を提供することができる。
図1は、実施形態に係るロボットの説明図である。 図2は、実施形態に係る把持装置の構成を示す正面図である。 図3は、実施形態に係る把持装置の構成を示す側面図である。 図4は、実施形態に係る固定部の構成を示す斜視図である。 図5は、実施形態に係る把持装置の駆動機構を説明するための図(1)である。 図6は、把持部の要部の分解図である。 図7は、実施形態に係る把持装置の駆動機構を説明するための図(2)である。 図8は、実施形態に係るカムの構成を示す斜視図である。 図9は、カムの作製工程を示す流れ図である。 図10は、把持装置の組立工程を示す流れ図である。 図11は、把持装置の各組立工程における状態を示す斜視図である。 図12は、駆動部のモータのシャフトにカムの固定を行う際の縦断面図である。 図13は、駆動部および固定部に把持部の固定を行う際の縦断面図である。 図14は、レール保持部の斜視図(1)である。 図15は、レール保持部の斜視図(2)である。
以下、実施形態に係る把持装置について図面を参照して説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態や変形例に記載された内容は、原則として他の実施形態や変形例にも同様に適用される。
<ロボットの概要>
最初に、実施形態に係る把持装置10が取り付けられるロボット1の概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るロボット1の説明図である。ロボット1は、把持装置10を所望の位置に移動させる移動機構の一例である。なお、把持装置10を所望の位置に移動させる移動機構は、ロボットに限られず、たとえばリニアアクチュエータなどであってもよい。
ロボット1は、関節部(ロボットモジュールともいう)3を複数備えるいわゆる多関節ロボットであり、たとえば、製品の組立ラインや製造ラインに設置される。なお、図1には、説明の便宜上、鉛直上向きを正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。かかる直交座標系は、他の図においても示している場合がある。
ロボット1は、ベース部2と、複数の関節部3と、複数のアーム部4と、把持装置10とを備える。なお、図1には、ロボット1が、6つの関節部3と、2つのアーム部4とを備える例を示している。
6つの関節部3は、ロボット1における動力伝達の上流側となるベース部2から下流側となる把持装置10までの間に、第1関節部3A、第2関節部3B、第3関節部3C、第4関節部3D、第5関節部3E、第6関節部3Fの順に配置される。また、2つのアーム部4は、ロボット1における動力伝達の上流側に第1アーム部4Aが配置され、下流側に第2アーム部4Bが配置される。
ベース部2は、第1関節部3Aを支持することで、ロボット1を全体的に支持する。6つの関節部3のうち、第1関節部3Aは、ベース部2に対して仮想軸である軸AX1の軸まわりに回転する。第1関節部3Aは、X−Y平面において回転(旋回ともいう)する。第2関節部3Bは、第1関節部3Aに連結され、第1関節部3Aに対して軸AX2の軸まわりに回転する。
また、第2関節部3Bは、第1アーム部4Aの一端部と連結される。第3関節部3Cは、第1アーム部4Aの他端部と連結される。第4関節部3Dは、第3関節部3Cに連結され、第3関節部3Cに対して仮想軸である軸AX3の軸まわりに回転する。また、第4関節部3Dは、第2アーム部4Bの一端部と連結され、第2アーム部4Bに対して仮想軸である軸AX4の軸まわりに回転する。
第5関節部3Eは、第2アーム部4Bの他端部と連結される。第6関節部3Fは、第5関節部3Eに連結され、第5関節部3Eに対して仮想軸である軸AX5の軸まわりに回転する。第6関節部3Fには、把持装置10が連結される。把持装置10は、軸AX6の軸まわりに回転する。
把持装置10は、ロボット1の先端部に位置する第6関節部3Fに取り付けられ、部品などのワークを把持する。かかる把持装置10の構成については後述する。
なお、6つの関節部3によるロボット1の回転構成は上記に限定されない。ロボット1は、たとえば、第2関節部3Bと第1アーム部4Aとの間や、第4関節部3Dと第2アーム部4Bとの間が回転可能に構成されてもよい。
また、6つの関節部3は、図示しない回転アクチュエータをそれぞれ備える。ロボット1は、かかる回転アクチュエータによって多軸動作を行うことができる。
<把持装置の構成>
つづいて、実施形態に係る把持装置10の構成について、図2〜図4を参照しながら説明する。図2は、実施形態に係る把持装置10の構成を示す正面図であり、図3は、実施形態に係る把持装置10の構成を示す側面図である。図4は、実施形態に係る固定部40の構成を示す斜視図である。
図2および図3に示されるように、把持装置10は、把持部20と、駆動部30と、固定部40と、エンコーダ50とを備える。把持部20は、部品などのワークを把持する。把持部20は、爪部21a、21bと、爪保持部22a、22bと、レール23a、23bと、レール保持部24とを有する。
爪部21a、21bは、それぞれ所定の方向に移動可能に構成され、ワークを挟み込むことでかかるワークを把持する。なお、図2および図3では、爪部21a、21bの形状を先端部が徐々に細くなるような形状で図示しているが、爪部21a、21bの形状はかかる形状に限られず、把持されるワークの種類に応じて適宜変更されてもよい。
爪保持部22aは爪部21aを保持し、爪保持部22bは爪部21bを保持する。爪保持部22a、22bは、それぞれ爪部21a、21bとともに所定の方向に移動可能に構成される。レール23a、23bは、それぞれ所定の方向に延在する。たとえば、レール23aおよびレール23bは略平行に並んで延在する。
レール保持部24は、平板状の基部24aと、かかる基部24aから略垂直に延びる一対の壁部24bとを有する。そして、かかる一対の壁部24bでレール23a、23bをそれぞれ保持する。なお、把持部20の詳細な構成については後述する。
駆動部30は、爪部21a、21bを駆動する。駆動部30は、モータ31と、シャフト32(図5参照)とを有する。モータ31は、爪部21a、21bを駆動する駆動力を発生させる。シャフト32は、モータ31で発生させた駆動力を把持部20に伝達する。
なお、実施形態ではモータ31の種類は問わないが、たとえば、ハイブリッドステッピングモータやDCモータなどを用いることができる。また、駆動部30による爪部21a、21bの駆動機構の詳細については後述する。
固定部40は、上述の把持部20および駆動部30をロボット1の第6関節部3Fに固定する。図4に示されるように、固定部40は略コの字形状を有し、支持部41と、連結部42と、梁部43とを有する。固定部40は、たとえば、板金の折り曲げ加工や、金属ブロックを削り出すことにより製造することができる。
支持部41は、略平板状であり、把持部20および駆動部30の間でかかる把持部20および駆動部30を支持する。たとえば、支持部41は、一方の面側(図2および図3ではZ軸負方向側)で把持部20のレール保持部24を支持し、他方の面側(図2および図3ではZ軸正方向側)で駆動部30を支持する。支持部41には、駆動部30の軸方向の一方の端面にシャフト32を囲んで設けられた環状突起部38(図5)が嵌り込む開口部44が設けられている。
連結部42は、略平板状であり、ロボット1の第6関節部3Fに連結される。たとえば、図4に示されるように、連結部42における所定の位置にねじ孔42aが形成され、かかるねじ孔42aを用いてネジやボルトなどで螺合することにより、連結部42を第6関節部3Fに連結することができる。連結部42は、たとえば、支持部41と略平行で向かい合う位置に設けられる。
なお、連結部42の略中央には、孔42bが設けられている。この孔42bは、後述する駆動部30のシャフト32にカム27を固定(圧入)する際に治具の押圧棒92が挿通される貫通孔である。カム27は、爪部21a、21bにスライド移動を行わせるためのものである。なお、連結部42に固定される駆動部30の底部(モータケース33の底部)にも、孔42bに対応する位置に、同様に孔が設けられており、外部から治具のシャフトが固定部40の連結部42を通し、駆動部30の底部(モータケース33の底部)を通して、駆動部30のシャフト32を押圧できるようになっている。
梁部43は、略平板状であり、支持部41と連結部42とをつないでいる。梁部43は、たとえば、支持部41および連結部42と略垂直である。
このように、実施形態の把持装置10では、固定部40を介して把持部20がロボット1に固定されている。すなわち、実施形態では、把持部20が駆動部30を介さずにロボット1に固定されている。
エンコーダ50は、モータ31の回転位置を検出する。エンコーダ50は、固定部40の支持部41よりモータ31側に設けられる。たとえば、エンコーダ50は、モータ31に対して支持部41の反対側に設けられる。なお、実施形態ではエンコーダ50の種類は問わないが、たとえば、光学式エンコーダや磁気式エンコーダなどを用いることができる。エンコーダ50の情報に基づいて、爪部21a、21bの距離や速度を正確に制御することができる。なお、爪部21a、21bの距離や速度を正確に制御する必要がない場合には、エンコーダ50を省略してもよい。
<把持装置の駆動機構>
つづいて、把持装置10の駆動機構の詳細について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5および図7は、実施形態に係る把持装置10の駆動機構を説明するための図である。図6は、把持部20の要部の分解図である。図8は、実施形態に係るカム27の構成を示す斜視図である。なお、図5および図7では、理解の容易のため、爪部21a、21bと、レール保持部24と、固定部40との図示を省略している。図6では、爪保持部22a、22b、レール23a、23b、スライド移動部25a、25b、ピン26a、26b以外については図示を省略している。
図5〜図7に示されるように、スライド移動部25aは、レール23aにガイドされてスライド移動可能に構成され、スライド移動部25bは、レール23bにガイドされてスライド移動可能に構成される。すなわち、スライド移動部25aは、レール23aの延在方向に沿ってスライド移動し、スライド移動部25bは、レール23bの延在方向に沿ってスライド移動する。
また、スライド移動部25aには爪保持部22aが固定され、スライド移動部25bには爪保持部22bが固定される。また、図5に示されるように、ピン26aは爪保持部22aに固定され、ピン26bは爪保持部22bに固定される。なお、ピン26a、26bの先端には、ベアリングが設けられている。したがって、爪保持部22aおよびピン26aはスライド移動部25aと一体でスライド移動し、爪保持部22bおよびピン26bはスライド移動部25bと一体でスライド移動する。
カム27は、モータ31からの駆動力をピン26a、26bに伝達する。図8に示されるように、カム27は略円板状であり、渦巻き状の溝27a、27bと、円孔27cとが形成される。溝27a、27bは、旋回するにつれてカム27の中心から徐々に遠ざかる(または近づく)ように形成される。円孔27cは、カム27の回転中心に形成されており、モータ31のシャフト32との嵌合部である。なお、溝27a、27bは、片面に渦巻き状の凹部が設けられ、底を有するものであり、カム27の強度を保つためには有利であるが、強度的に許容される場合には、底がなく貫通孔となった曲孔としてもよい。
そして、図5に示されるように、カム27の溝27aにピン26aが摺動可能に挿入され、溝27bにピン26bが摺動可能に挿入される。また、円孔27cにモータ31から延びるシャフト32が挿通され、シャフト32にカム27が固定される。
かかるシャフト32は、モータ31で発生させた駆動力で回転する。したがって、カム27は、シャフト32を介してモータ31の駆動力で回転する。
ここで、モータ31でカム27を所定の回転方向R1に回転させた場合、渦巻き状の溝27a、27bにガイドされたピン26a、26bには、カム27の中心に近づく方向に力が加わる。
ここで、ピン26aはスライド移動部25aと一体でレール23aに沿ってスライド移動可能に構成されている。これにより、ピン26aは、カム27の中心に近づく方向かつレール23aの延在方向である所定の方向D1に移動する。
さらに、ピン26aは爪保持部22aに固定されていることから、爪保持部22aおよび図示しない爪部21aは、上述の方向D1と同じ方向である方向D2に移動する。
同様に、ピン26bはスライド移動部25bと一体でレール23bに沿ってスライド移動可能に構成されている。これにより、ピン26bは、カム27の中心に近づく方向かつレール23bの延在方向である所定の方向D3に移動する。
さらに、ピン26bは爪保持部22bに固定されていることから、爪保持部22bおよび図示しない爪部21bは、上述の方向D3と同じ方向である方向D4に移動する。
そして、レール23aとレール23bとはたがいに略平行に配置されていることから、駆動部30は、カム27を回転方向R1に回転させることにより、爪部21a、21bをそれぞれ近づく方向である方向D2、D4に移動させることができる。また逆に、駆動部30は、カム27を回転方向R1とは反対方向に回転させることにより、爪部21a、21bをそれぞれ遠ざかる方向に移動させることができる。
ここまで説明した機構により、実施形態では、モータ31を回転させて爪部21a、21bの距離を適宜制御することにより、かかる爪部21a、21bでワークを把持することができる。
また、実施形態では、モータ31が支持部41とエンコーダ50との間に設けられる。これにより、ワークから把持部20に応力が加わった際に、かかる応力は支持部41を介して固定部40で吸収されることから、かかる応力によりエンコーダ50が振動することを抑制することができる。その結果、エンコーダ50の検出精度を向上させることができる。
<カムの作製>
図9は、カム27の作製工程を示す流れ図である。図9において、先ず、金型成型用の焼結材により、金型成型によって焼結前のカム27が作製される(ステップS11)。金型成型用の焼結材としては、たとえば、鉄系の焼結材が用いられる。鉄系の焼結材とすることで、強度の高いカム27を得ることができる。次工程の焼結によって外形が縮むため、焼結前のカム27を成型する金型は、縮む分を考慮して設計されている。
次いで、焼結前のカム27は、焼結が行われる(ステップS12)。焼結により、カム27は硬化する。焼結前のカム27は金型成型によって均一なサイズに成形され、焼結においても縮む分は正確に管理される。そのため、切削やワイヤーカット等の機械加工によって1個ずつ作製される場合に比べ、低コストで作製が行われるとともに、寸法のバラツキが小さいものとすることができる(寸法精度の確保)。
次いで、焼結後のカム27は、浸炭焼入れが行われる(ステップS13)。浸炭焼入れは、ガス浸炭等によってカム27の表面に炭素が添加された後に、焼入れ・焼き戻しが行われることにより、炭素が表面に浸透するものである。浸炭焼入れにより、カム27の表面に浸炭層が形成され、表面の硬度を高めることができる。すなわち、カム27の溝27a、27bは、ピン26a、26bに設けられたベアリングが摺動する部分であり、ベアリングと同等以上の硬度とすることで耐摩耗性を向上させることができる。
次いで、カム27は、樹脂含侵が行われる(ステップS14)。樹脂含侵は、例えば、焼結用シール材としてのアクリル系熱硬化樹脂等の液体の中に浸され、樹脂が浸み込んだ後に加熱等が行われて固化させたものである。焼結後のカム27は、表面に多数の微小なポーラス(孔)が形成されており、樹脂含侵により表面のポーラスに充填された樹脂材を含むことになる。カム27は、把持装置10に組み込まれた状態では、ピン26a、26bの摺動に対する潤滑のためにグリスが塗布される。樹脂含侵が行われない場合、グリスのベースオイルがカム27のポーラスに毛細管現象にて取り込まれることで、グリスが劣化し、動作に支障をきたすおそれがあるが、樹脂含侵が予め行われることで、ベースオイルの取り込みが抑えられ、グリスの劣化を防止することができる。
なお、カム27の溝27a、27bや円孔27cについては、研磨等により平滑度を高める追加加工を行ってもよい。
<把持装置10の組立>
図10は、把持装置10の組立工程を示す流れ図であり、図11は、把持装置10の各組立工程における状態を示す斜視図である。図10および図11において、先ず、モータ31を含む駆動部30が用意される(ステップS21)。次いで、駆動部30と固定部40とが固定される(ステップS22)。このとき、固定部40の開口部44とモータ31の環状突起部38とで互いの位置が規定される。なお、固定部40の駆動部30と固定部40との固定については、例えば、固定部40に設けられた貫通孔と、モータ31のモータケース33に設けられたねじ孔とを、ねじで固定する方法などがある。
次いで、駆動部30のモータ31のシャフト32にカム27が圧入される(ステップS23)。図12は、駆動部30のモータ31のシャフト32にカム27の固定を行う際の縦断面図であり、図11に対して駆動部30等が倒置された状態(カム27が下側になる状態)で示されている。
図12において、モータ31のシャフト32は、ベアリング34、35によって回転可能に支持されている。また、シャフト32にはロータ36が固定され、ロータ36の外周面と軸方向で対向するモータケース33側の位置にはステータ37が固定されている。
一方、圧入用治具の平坦な載置台91には、円形の凹部91aが設けられており、カム27とモータ31のシャフト32との固定前にあっては、カム27の中心が載置台91の凹部91aに位置合わせされて、カム27の溝27a、27bが形成された面が載置台91に接した状態で載置される。
この状態で、駆動部30および固定部40がカム27の上に移動され、モータ31のシャフト32がカム27の円孔27cの上に位置合わせされる。そして、駆動部30の底部側(図における上方)から、固定部40の孔42b、モータケース33の孔33aを通して、圧入用治具の押圧棒92が挿入され、シャフト32のカム27と固定される側と反対側の端部に圧入用治具の押圧棒92の端部が接触し、押圧棒92に図の上方から力が加えられることで、シャフト32はカム27の円孔27cに圧入される。カム27から突出したシャフト32の凸部32aは、載置台91の凹部91aに収容される。
モータ31のシャフト32とカム27とは圧入により固定されるため、固体と固体との接触による緊密な固定となり、接着による固定のように、大きな負荷がかかった場合に接着強度が耐えられず空転する不具合が発生してしまうということがほとんどなくなる。モータ31のシャフト32とカム27とが確実に固定されることで、把持動作時の信頼性を向上することができる。
また、接着による固定の場合、接着部分から溢れた接着剤を拭き取る作業が必要になるが、圧入による固定ではそのような作業は不要となり、作業の簡略化が図れる。更に、カム27にシャフト32を圧入する際、押圧棒92からシャフト32に加えられた力は載置台91によって直接に受け止められるため、モータ31に不適切な負荷がかかることがなく、モータ31が損傷することもない。
図10および図11に戻り、駆動部30側とは別に、レール保持部24にレール23a、23b、スライド移動部25a、25b、ピン26a、26b(図11では見えていない)、爪保持部22a、22bが組み付けられる(ステップS24)。
次いで、シャフト32にカム27が圧入された駆動部30および固定部40(ステップS23)と、レール23a、23b等が組み付けられたレール保持部24(ステップS24)とから、固定部40とレール保持部24とが固定される(ステップS25)。固定部40とレール保持部24との固定については、例えば、固定部40に設けた貫通孔と、レール保持部24に設けたねじ孔とを、ねじで固定する方法などがある。
図13は、駆動部30および固定部40に把持部20の固定を行う際の縦断面図であり、図11に対して駆動部30等が倒置された状態(カム27が下側になる状態)で示されている。図13において、組立用治具の平坦な載置台93からは、先端に凹部94aが設けられた支持棒94が垂直に立設されている。
この状態で、載置台93上の支持棒94を中心にして、レール23a、23b等が組み付けられたレール保持部24が、爪保持部22a、22bを載置台93側にして載置される。この際、支持棒94の先端は、その外周面が、レール保持部24に設けられた円孔24eの内周面に接触した状態で挿入される。このとき、円孔24eと支持棒94とは取り外すことが可能な程度の僅かなクリアランス(隙間)をもって接触する。例えば、この時のクリアランスは10μmである。
図14および図15は、レール保持部24の斜視図であり、図14は把持部20側から見た状態(図5に近い視点)、図15は駆動部30側から見た状態であり、図15におけるY−Y断面が図13のレール保持部24部分に相当する。
図14および図15において、レール保持部24は、平板状の基部24aの一方の面に、レール23a、23b(図5等)を固定するための2つの壁部24bが形成されている。基部24aの裏面には、円形の凹部24cが設けられている。基部24aの2つの壁部24bの間には、中央に円孔24eが設けられ、円孔24eを挟んで2つの長孔24dが設けられている。円孔24eには、前述のように、組立用治具の支持棒94が挿入される。2つの長孔24dは、2つのピン26a、26bがスライド移動する空間を提供している。
図13に戻り、組立用治具の支持棒94にレール保持部24の円孔24eが挿入されることで、レール23a、23b等が組み付けられたレール保持部24は、載置台93上で中央が位置決めされる。すなわち、爪保持部22a、22bの先端(図では下端)が載置台93に接することで上下方向が位置決めされ、載置台93の平面内では、支持棒94の外周面とレール保持部24の円孔24eの内周面との接触によって位置決めされる。
この状態で、シャフト32にカム27が圧入された駆動部30および固定部40が、カム27側を支持棒94側にし、シャフト32の先端の凸部32aが支持棒94の先端の凹部94aに係合される。ピン26a、26bと連結している爪保持部22a、22bはスライド移動部25a、25b(図5)に固定され、スライド移動部25a、25bはレール23a、23b(図5)と噛み合い、レール23a、23bはレール保持部24に固定されている。一方、カム27はモータ31のシャフト32に固定されていることから、カム27とピン26a、26bとの位置関係については、レール保持部24とシャフト32との位置関係(同軸度)が重要となる。そこで、レール保持部24側と駆動部30側を組み立てる際、レール保持部24とシャフト32を共通の位置合わせ用の組立用治具(載置台93、支持棒94)を基準に位置決めし、レール保持部24と固定部40とを固定することで、簡潔に精度よく位置決めを行うことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
たとえば、2つの爪部がスライド移動する実施形態について説明したが、一方の爪部のみをスライド移動し、スライド移動しない爪部との間でワークを把持するようにしてもよい。
以上のように、実施形態に係る把持装置は、レールにスライド移動可能に支持された爪保持部と、回転中心の周囲に渦巻き状の溝または曲孔が設けられ、焼結材から構成されたカムと、一端が爪保持部側に係合し、他端がカムの溝または曲孔に係合するピンとを備える。これにより、低コストでバラツキの小さいカムを備えた把持装置を提供することができる。
また、焼結材は、鉄系の金型成型用の焼結材である。これにより、強度の高いカムを得ることができる。
また、カムは、表面に形成された浸炭層を有する。これにより、表面の硬度が高まり、耐摩耗性を向上させることができる。
また、カムは、表面のポーラスに充填された樹脂材を含む。これにより、グリスのベースオイルの取り込みが抑えられ、グリスの劣化を防止することができる。
また、樹脂材は、焼結用シール材としてのアクリル系熱硬化樹脂である。これにより、樹脂含侵を容易に行うことができる。
また、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
10 把持装置,20 把持部,22a、22b 爪保持部,23a、23b レール,24 レール保持部,26a、26b ピン,27 カム,27a、27b 溝,30 駆動部,40 固定部

Claims (5)

  1. レールにスライド移動可能に支持された爪保持部と、
    回転中心の周囲に渦巻き状の溝または曲孔が設けられ、焼結材から構成されたカムと、
    一端が前記爪保持部側に係合し、他端が前記カムの溝または曲孔に係合するピンと、
    を備える把持装置。
  2. 前記焼結材は、鉄系の金型成型用の焼結材である、
    請求項1に記載の把持装置。
  3. 前記カムは、表面に形成された浸炭層を有する、
    請求項1または2に記載の把持装置。
  4. 前記カムは、表面のポーラスに充填された樹脂材を含む、
    請求項1〜3のいずれか一つに記載の把持装置。
  5. 前記樹脂材は、焼結用シール材としてのアクリル系熱硬化樹脂である、
    請求項4に記載の把持装置。
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