JP2021093920A - 油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 - Google Patents
油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2021093920A JP2021093920A JP2019225502A JP2019225502A JP2021093920A JP 2021093920 A JP2021093920 A JP 2021093920A JP 2019225502 A JP2019225502 A JP 2019225502A JP 2019225502 A JP2019225502 A JP 2019225502A JP 2021093920 A JP2021093920 A JP 2021093920A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wheat bran
- fat
- oils
- fats
- crushing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Cereal-Derived Products (AREA)
Abstract
【課題】吸水性が抑制されているだけでなく、食感に優れた小麦ふすまの製造方法に関する。【解決手段】小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する、油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法に関する。
小麦ふすまは、小麦の約15%を占めており、食物繊維やビタミンを豊富に含むため、健康食品としての利用が期待されている。しかし、小麦ふすまは、食感・風味に劣り、食用に殆んど使用されていないのが現状である。
従来から、小麦粉製造の際に生じる小麦ふすまを食用として用いる際の課題を解決する試みがされてきた。例えば、特許文献1では、生地の成形性などに不都合を生じさせることのない、焼成食品に配合するのに適した小麦ふすまを提供し、また、該小麦ふすまを含有する食感や風味に優れた焼成食品を提供することを目的として、融点20〜38℃の油脂で被覆された小麦ふすまが開示されている。
更に、特許文献2では、食味が顕著に向上し、なおかつ有用成分が保持された小麦ふすま加工技術を開発することを目的として、原料である小麦ふすまを、メカノケミカル効果を有する媒体ミルを用いて、100℃以下の条件下において、平均粒子径を20μm以下、かつ水溶性タンパク質の抽出率が未粉砕と比べ70%以下になるように粉砕することを特徴とする、小麦ふすま微粉の製造方法が開示されている。
従来から、小麦粉製造の際に生じる小麦ふすまを食用として用いる際の課題を解決する試みがされてきた。例えば、特許文献1では、生地の成形性などに不都合を生じさせることのない、焼成食品に配合するのに適した小麦ふすまを提供し、また、該小麦ふすまを含有する食感や風味に優れた焼成食品を提供することを目的として、融点20〜38℃の油脂で被覆された小麦ふすまが開示されている。
更に、特許文献2では、食味が顕著に向上し、なおかつ有用成分が保持された小麦ふすま加工技術を開発することを目的として、原料である小麦ふすまを、メカノケミカル効果を有する媒体ミルを用いて、100℃以下の条件下において、平均粒子径を20μm以下、かつ水溶性タンパク質の抽出率が未粉砕と比べ70%以下になるように粉砕することを特徴とする、小麦ふすま微粉の製造方法が開示されている。
特許文献1では、油脂で被覆することで吸水性を抑制し、取り扱い性をよくし、また、それを焼成した食品の食感や風味をよくすることが記載されているが、小麦ふすまそのものの粉っぽさ(食感)という点では、十分ではない。
特許文献2では、メカノケミカル処理により、舌触りだけでなく、食味が向上することが記載されているが、粉っぽさ(食感)という点では、十分ではない。
本発明は、吸水性が抑制されているため、取り扱い性がよくなるだけでなく、食感に優れた(口に含んだ時に粉っぽさがない)油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法を提供することに関する。
なお、本発明において、食感に優れるとは、口に含んだ時の粉っぽさが抑制されることを意味する。
特許文献2では、メカノケミカル処理により、舌触りだけでなく、食味が向上することが記載されているが、粉っぽさ(食感)という点では、十分ではない。
本発明は、吸水性が抑制されているため、取り扱い性がよくなるだけでなく、食感に優れた(口に含んだ時に粉っぽさがない)油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法を提供することに関する。
なお、本発明において、食感に優れるとは、口に含んだ時の粉っぽさが抑制されることを意味する。
本発明者らは、小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを乾式で混合粉砕することにより、上記の課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕に関する。
〔1〕 小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する、油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
すなわち、本発明は、次の〔1〕に関する。
〔1〕 小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する、油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
本発明によれば、吸水性が抑制されているため、取り扱い性がよくなるだけでなく、食感に優れた油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法が提供される。
[油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法]
本発明の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法は、小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂(以下、単に「油脂」ともいう)とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する。
本発明によれば、吸水性が抑制されているだけでなく、食感に優れた小麦ふすま粉末が得られる。
上記の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕することによって、小麦ふすまと油脂とが複合化し、吸水性が抑制されたものと考えられる。また、融点が40℃以上の油脂と小麦ふすま粉末とを乾式で混合粉砕することで、油脂が小麦ふすまの表面に、比較的均一に薄く付着し、口にふくんだ時に油脂の口溶け性に優れることで、粉っぽさを抑制し、食感が向上したものと考えられる。
以下、本発明の製造方法で用いられる各成分、及び各工程等について順次説明する。
本発明の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法は、小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂(以下、単に「油脂」ともいう)とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する。
本発明によれば、吸水性が抑制されているだけでなく、食感に優れた小麦ふすま粉末が得られる。
上記の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕することによって、小麦ふすまと油脂とが複合化し、吸水性が抑制されたものと考えられる。また、融点が40℃以上の油脂と小麦ふすま粉末とを乾式で混合粉砕することで、油脂が小麦ふすまの表面に、比較的均一に薄く付着し、口にふくんだ時に油脂の口溶け性に優れることで、粉っぽさを抑制し、食感が向上したものと考えられる。
以下、本発明の製造方法で用いられる各成分、及び各工程等について順次説明する。
<小麦ふすま>
小麦ふすまとしては、小麦の外皮を粉砕したものを用いることが好ましい。小麦ふすまは商業的に入手可能であり、例えば、ウィートブラン(商品名、日清ファルマ株式会社製)、小麦ふすま(商品名、日本製粉株式会社製)を用いることができる。小麦ふすまは、脱脂処理したものや、蒸煮処理等に付し、次いで乾燥したもの等を用いることも好ましい。
また、特に小麦の種類は限定されものではなく、コムギ属(Triticum)に属する植物であれば、如何なる種、品種、系統のものも用いることができる。
原料の小麦ふすまの水分量は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。小麦ふすまの水分量は実施例に記載の方法により測定される。
小麦ふすまとしては、小麦の外皮を粉砕したものを用いることが好ましい。小麦ふすまは商業的に入手可能であり、例えば、ウィートブラン(商品名、日清ファルマ株式会社製)、小麦ふすま(商品名、日本製粉株式会社製)を用いることができる。小麦ふすまは、脱脂処理したものや、蒸煮処理等に付し、次いで乾燥したもの等を用いることも好ましい。
また、特に小麦の種類は限定されものではなく、コムギ属(Triticum)に属する植物であれば、如何なる種、品種、系統のものも用いることができる。
原料の小麦ふすまの水分量は、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。小麦ふすまの水分量は実施例に記載の方法により測定される。
原料として使用する小麦ふすまの体積中位粒径(D50)は、混合粉砕工程を容易にする観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、そして、粉砕効率の観点から、好ましくは1000μm以下、より好ましくは600μm以下、更に好ましくは300μm以下である。
<油脂>
本発明において、融点が40℃以上の油脂を使用する。融点が40℃以上の油脂を使用することにより、吸水性が抑制されているだけでなく、食感を向上することができる。
油脂の融点は、吸水性の抑制及び食感向上の観点から、40℃以上であり、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは105℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
本発明において、融点が40℃以上の油脂を使用する。融点が40℃以上の油脂を使用することにより、吸水性が抑制されているだけでなく、食感を向上することができる。
油脂の融点は、吸水性の抑制及び食感向上の観点から、40℃以上であり、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上であり、そして、好ましくは105℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは75℃以下である。
油脂としては、動物性油脂、植物性油脂、及び、多価アルコールと脂肪酸とのエステルから選ばれる、1種又は2種以上が例示される。
上記植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油等の硬化油、これらのエステル交換油もしくはこれらの分別油等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
動物性油脂としては、ラード、牛脂等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
これらの油脂は、バター、マーガリン、ファットスプレッド等の乳化油脂であってもよい。
上記植物性油脂としては、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、米油、ひまわり油、胡麻油等の硬化油、これらのエステル交換油もしくはこれらの分別油等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
動物性油脂としては、ラード、牛脂等が挙げられ、これらの油脂から選ばれる1種又は2種以上の油脂を用いることができる。
これらの油脂は、バター、マーガリン、ファットスプレッド等の乳化油脂であってもよい。
上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する多価アルコールは、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ショ糖、ソルビトール及びソルビタンから選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
また、上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸は、食用可能な動植物性油脂を起源とする脂肪酸であることが好ましく、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルは、例えば公知のエステル化反応により調製することができる。
また、上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルを構成する脂肪酸は、食用可能な動植物性油脂を起源とする脂肪酸であることが好ましく、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。上記の多価アルコールと脂肪酸とのエステルは、例えば公知のエステル化反応により調製することができる。
これらの中では、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上であることが、食感向上の観点から好ましい。グリセリン脂肪酸エステルは、トリアシルグリセロールが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸酸エステルを構成するポリグリセリンのグリセリン単位の数に特に制限はなく、食感向上の観点から、グリセリン重合度(平均重合度)は4〜6であることが好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸酸エステルを構成するポリグリセリンのグリセリン単位の数に特に制限はなく、食感向上の観点から、グリセリン重合度(平均重合度)は4〜6であることが好ましい。
<混合粉砕工程>
本発明の製造方法、小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する。
なお、混合粉砕とは、油脂の存在下で、小麦ふすまを粉砕することを意味する。
また、乾式とは、油脂の融点以下の温度にて粉砕すること、及び、水等を含む溶媒を添加せずに混合粉砕を行うことを意味する。なお、原料である小麦ふすまや、油脂が、若干の水分、有機溶媒等を含有することを排除するものではない。
本発明の製造方法、小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを、乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する。
なお、混合粉砕とは、油脂の存在下で、小麦ふすまを粉砕することを意味する。
また、乾式とは、油脂の融点以下の温度にて粉砕すること、及び、水等を含む溶媒を添加せずに混合粉砕を行うことを意味する。なお、原料である小麦ふすまや、油脂が、若干の水分、有機溶媒等を含有することを排除するものではない。
前記混合粉砕工程で使用する粉砕機としては、媒体式粉砕機が好ましい。媒体式の粉砕機には容器駆動式媒体式粉砕機(容器駆動式媒体ミル)と媒体撹拌式粉砕機とがある。
容器駆動式媒体式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。また、媒体撹拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。これらの粉砕機においては、ローターの周速度やサンプル供給スピード、撹拌時間等を適宜調整することで得られる油脂含有小麦ふすま粉末の粒径を制御することができる。これらの粉砕機は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、小麦ふすまの粉砕効率の観点から、媒体式粉砕機が好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
粉砕処理に用いる粉砕機の材質、媒体の材質としては、小麦ふすまの粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、鉄又はステンレスがより好ましい。
容器駆動式媒体式粉砕機としては転動ミル、振動ミル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられる。また、媒体撹拌式粉砕機としてはタワーミル等の塔型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビスコミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流通管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が挙げられる。これらの粉砕機においては、ローターの周速度やサンプル供給スピード、撹拌時間等を適宜調整することで得られる油脂含有小麦ふすま粉末の粒径を制御することができる。これらの粉砕機は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、小麦ふすまの粉砕効率の観点から、媒体式粉砕機が好ましく、容器駆動式媒体ミルがより好ましく、振動ボールミル、振動ロッドミル又は振動チューブミル等の振動ミルが更に好ましく、振動ロッドミルがより更に好ましい。粉砕方法としては、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
粉砕処理に用いる粉砕機の材質、媒体の材質としては、小麦ふすまの粉砕効率の観点から、鉄、ステンレス、ジルコニア、炭化珪素、窒化珪素が好ましく、更に工業的な利用の観点から、鉄又はステンレスがより好ましい。
処理時間としては、粉砕機の種類及び媒体の種類、大きさ、充填率等により、一概に決定できないが、好ましくは1分間以上、より好ましくは2分間以上、更に好ましくは4分間以上であり、生産性の観点から、好ましくは5時間以下、更に好ましくは2時間以下、更に好ましくは1時間以下、より更に好ましくは30分間以下である。
処理温度(粉体の温度)は、乾式で粉砕する観点から、油脂が溶融しない融点未満の温度が好ましく、生産性の観点から、好ましくは0〜38℃、より好ましくは5〜35℃である。
処理温度(粉体の温度)は、乾式で粉砕する観点から、油脂が溶融しない融点未満の温度が好ましく、生産性の観点から、好ましくは0〜38℃、より好ましくは5〜35℃である。
混合粉砕する際の小麦ふすまに対する油脂の質量比(油脂/小麦ふすま)は、食感向上の観点から、好ましくは1/100以上、より好ましくは3/100以上、更に好ましくは5/100以上であり、小麦ふすまを主原料として使用する観点から、好ましくは40/100以下、より好ましくは20/100以下、更に好ましくは15/100以下である。
粉砕後の油脂含有小麦ふすま粉末の粒径については、原料の小麦ふすまの種類にもよるが、後述する測定方法において、体積中位粒径(D50)が生産性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上である。また、油脂含有小麦ふすま粉末の食感向上の観点から、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。また、粉砕後の油脂含有小麦ふすま粉末の体積中位粒径は、好ましくは原料の小麦ふすまの体積中位粒径の90%以下、より好ましくは80%以下であり、生産効率の観点から好ましくは1%以上、より好ましくは30%以上である。
粉砕の終点は、油脂の均一付着の観点から、得られる油脂含有小麦ふすま粉末の体積中位粒径が、原料の小麦ふすまの体積中位粒径から、10%以上低下した点を、目安とする。
粉砕の終点は、油脂の均一付着の観点から、得られる油脂含有小麦ふすま粉末の体積中位粒径が、原料の小麦ふすまの体積中位粒径から、10%以上低下した点を、目安とする。
<油脂含油小麦ふすま粉末>
本発明の製造方法により得られた油脂含有小麦ふすま粉末は、原料である小麦ふすまに比べて、吸水性が抑制されていることが好ましい。吸水性は、油脂含有小麦ふすま粉末をペレット化し、水滴接触3秒後の接触角を測定することが評価できる。接触角が大きいほど吸水性が抑制されていることを意味する。
本発明の製造方法により得られた油脂含有小麦ふすま粉末を打錠してペレット化し、該ペレットにおける水滴接触3秒後の接触角は、吸水抑制の観点から、好ましくは50°以上、より好ましくは65°以上、更に好ましくは80°以上であり、そして、製造容易性の観点から、好ましくは150°以下、より好ましくは135°以下、更に好ましくは110°以下である。
前記接触角は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の製造方法により得られた油脂含有小麦ふすま粉末は、原料である小麦ふすまに比べて、吸水性が抑制されていることが好ましい。吸水性は、油脂含有小麦ふすま粉末をペレット化し、水滴接触3秒後の接触角を測定することが評価できる。接触角が大きいほど吸水性が抑制されていることを意味する。
本発明の製造方法により得られた油脂含有小麦ふすま粉末を打錠してペレット化し、該ペレットにおける水滴接触3秒後の接触角は、吸水抑制の観点から、好ましくは50°以上、より好ましくは65°以上、更に好ましくは80°以上であり、そして、製造容易性の観点から、好ましくは150°以下、より好ましくは135°以下、更に好ましくは110°以下である。
前記接触角は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の製造方法により得られた油脂含有小麦ふすま粉末は、例えば、錠剤等にして、そのまま食してもよく、また、粉のままで、種々の食品(ヨーグルト、ご飯、みそ汁、スープ等)に振りかける等して、食することで、食物繊維、ミネラル、ビタミン等を強化することができる。
また、本発明の製造方法により得られた油脂含油小麦ふすま粉末は、焼成食品、例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、パン、カステラ、スポンジケーキ、ホットケーキ等の生地の原料として使用してもよく、特に限定されない。
また、本発明の製造方法により得られた油脂含油小麦ふすま粉末は、焼成食品、例えば、ビスケット、クッキー、クラッカー、パン、カステラ、スポンジケーキ、ホットケーキ等の生地の原料として使用してもよく、特に限定されない。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。
[原料]
実施例及び比較例で使用した各原料は、以下の通りである。
・小麦ふすま:ウィートブランMP(日清ファルマ株式会社製)(水分量3.5%、体積中位粒径(D50)45μm)
・菜種極度硬化油:トリアシルグリセロール、横関油脂工業株式会社製、融点68℃
・GRINDSTED PGE55:ポリグリセリン脂肪酸エステル、デュポン社製、融点57℃、脂肪酸=ステアリン酸、パルミチン酸
・アマニ油:アマニ油(和光一級)、富士フイルム和光純薬株式会社製、融点−19℃
実施例及び比較例で使用した各原料は、以下の通りである。
・小麦ふすま:ウィートブランMP(日清ファルマ株式会社製)(水分量3.5%、体積中位粒径(D50)45μm)
・菜種極度硬化油:トリアシルグリセロール、横関油脂工業株式会社製、融点68℃
・GRINDSTED PGE55:ポリグリセリン脂肪酸エステル、デュポン社製、融点57℃、脂肪酸=ステアリン酸、パルミチン酸
・アマニ油:アマニ油(和光一級)、富士フイルム和光純薬株式会社製、融点−19℃
[製造方法]
実施例1〜4
バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「振動ミル、FV−10」、粉砕室の容量:33L、ステンレス製)を用いて混合粉砕した。粉砕室には、直径30mm、長さ510mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体(ロッド)を63本収容した。小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表1に記載の油脂とを、表1に示す量仕込み、表1に記載の時間、23℃以上32℃以下(粉体温度)にて混合粉砕した。また、振動ミルは振動数20Hz、振幅8mmの条件とした。
実施例1〜4
バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「振動ミル、FV−10」、粉砕室の容量:33L、ステンレス製)を用いて混合粉砕した。粉砕室には、直径30mm、長さ510mmのステンレス製の丸棒状の粉砕媒体(ロッド)を63本収容した。小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表1に記載の油脂とを、表1に示す量仕込み、表1に記載の時間、23℃以上32℃以下(粉体温度)にて混合粉砕した。また、振動ミルは振動数20Hz、振幅8mmの条件とした。
比較例1
小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)をそのまま用いた。
小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)をそのまま用いた。
比較例2、3
小麦ふすまを表2に示す量仕込み、油脂を添加せずに、表2に記載の時間、粉砕処理を行った以外は、実施例1と同様にして粉砕した。
小麦ふすまを表2に示す量仕込み、油脂を添加せずに、表2に記載の時間、粉砕処理を行った以外は、実施例1と同様にして粉砕した。
比較例4
ポリエチレン製の袋に、小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、密封状態で袋を手で1分間振とうさせ、混合した。
ポリエチレン製の袋に、小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、密封状態で袋を手で1分間振とうさせ、混合した。
比較例5
ポリエチレン製の袋に、比較例2で得られた、粉砕処理を施した小麦ふすま粉砕物と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、密封状態で袋を1分間振とうさせ、混合した。
ポリエチレン製の袋に、比較例2で得られた、粉砕処理を施した小麦ふすま粉砕物と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、密封状態で袋を1分間振とうさせ、混合した。
比較例6
バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器内径142mm、容器内部の円柱形の空間の軸方向長さ220mm、容器容量3.6L)の容器内部に、直径30mm、長さ211mmのステンレス製の円柱状媒体を13本配置した。小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、表2に記載の時間、23℃以上32℃以下にて混合粉砕した。振動ミルは振動数20Hz、振幅8mmの条件とした。
バッチ式振動ミル(中央化工機株式会社製、「MB−1」、容器内径142mm、容器内部の円柱形の空間の軸方向長さ220mm、容器容量3.6L)の容器内部に、直径30mm、長さ211mmのステンレス製の円柱状媒体を13本配置した。小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、表2に記載の時間、23℃以上32℃以下にて混合粉砕した。振動ミルは振動数20Hz、振幅8mmの条件とした。
比較例7
5Lハイスピードミキサー(株式会社アーステクニカ製、「FSVDGS−5JED」)に小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、アジテーター回転数450r/m、チョッパー回転数1100r/mで撹拌しながら昇温(ジャケット温水80℃)し、ミキサー内温が70℃となってから5分間溶融混合した。
5Lハイスピードミキサー(株式会社アーステクニカ製、「FSVDGS−5JED」)に小麦ふすま(日清ファルマ株式会社製、「ウィートブランMP」)と、表2に記載の油脂とを、表2に示す量仕込み、アジテーター回転数450r/m、チョッパー回転数1100r/mで撹拌しながら昇温(ジャケット温水80℃)し、ミキサー内温が70℃となってから5分間溶融混合した。
[測定及び評価]
<油脂の融点の測定>
基準油脂分析試験法(2.2.4.1−1996)により測定した。
<油脂の融点の測定>
基準油脂分析試験法(2.2.4.1−1996)により測定した。
<体積中位粒径(D50)の測定>
体積中位粒径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA−920」)を用いて測定した。測定時の分散媒としてエタノールを使用し、粒径測定前に超音波で1分間処理し、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
体積中位粒径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製、「LA−920」)を用いて測定した。測定時の分散媒としてエタノールを使用し、粒径測定前に超音波で1分間処理し、体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定した。
<水分量の測定>
小麦ふすまの水分量は、以下の方法で求めた。平底皿(内径60mm、高さ40mm)を用い、試料を2g精秤した。その後、105℃の乾燥機に2時間入れて乾燥させた。乾燥後はデシケータ内で30分間、室温まで放冷させて、乾燥後の質量を精密に測定した。乾燥減量を以下の計算式(1)より求めた。乾燥減量と水分量は同一とした。
乾燥減量(%)=
〔(乾燥前の質量(g)−乾燥後の質量(g))/乾燥前の質量(g)〕×100
(1)
小麦ふすまの水分量は、以下の方法で求めた。平底皿(内径60mm、高さ40mm)を用い、試料を2g精秤した。その後、105℃の乾燥機に2時間入れて乾燥させた。乾燥後はデシケータ内で30分間、室温まで放冷させて、乾燥後の質量を精密に測定した。乾燥減量を以下の計算式(1)より求めた。乾燥減量と水分量は同一とした。
乾燥減量(%)=
〔(乾燥前の質量(g)−乾燥後の質量(g))/乾燥前の質量(g)〕×100
(1)
<吸水性評価>
実施例及び比較例において製造した油脂含有小麦ふすま粉末を、打錠機(株式会社堀場製作所製、「オイルミニプレス」)を用いてペレット化し、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、「全自動接触角計DMo−701」)を用いて水滴接触3秒後の接触角を測定した。
なお、水滴接触3秒後の接触角は、吸水性の指標として測定した。接触角が大きいほど、吸水性が抑制されていることを意味する。
実施例及び比較例において製造した油脂含有小麦ふすま粉末を、打錠機(株式会社堀場製作所製、「オイルミニプレス」)を用いてペレット化し、接触角測定装置(協和界面科学株式会社製、「全自動接触角計DMo−701」)を用いて水滴接触3秒後の接触角を測定した。
なお、水滴接触3秒後の接触角は、吸水性の指標として測定した。接触角が大きいほど、吸水性が抑制されていることを意味する。
<食感評価>
口に含んだ際に舌上で粉っぽさを感じない度合いを、5段階で絶対評価した。評価は、4人の専門パネラーの評価の平均値とし、小数第2位を四捨五入した。
評価基準は、以下の通りである。
5:粉っぽさがある
4:粉っぽさがややある
3:どちらともいえない
2:粉っぽさがほとんどない
1:粉っぽさがない
口に含んだ際に舌上で粉っぽさを感じない度合いを、5段階で絶対評価した。評価は、4人の専門パネラーの評価の平均値とし、小数第2位を四捨五入した。
評価基準は、以下の通りである。
5:粉っぽさがある
4:粉っぽさがややある
3:どちらともいえない
2:粉っぽさがほとんどない
1:粉っぽさがない
比較例2〜3より、小麦ふすまを粉砕するだけでは、吸水性は抑制されず、食感も向上しなかった。
比較例4〜5より、融点が高いPGE55を用いても、混合粉砕しなければ、吸水性は十分に抑制されなかった。
比較例6より、融点が低いアマニ油と、小麦ふすまとを混合粉砕して得られる小麦ふすま粉末では吸水性は抑制されなかった。これは、小麦ふすまが油脂を速やかに吸収したためと推定される。
比較例7より、融点が高いPGE55を用い、溶融混合法で製造した油脂含有小麦ふすま粉末は、吸水性は抑制されたが、食感は向上しなかった。これは、溶融した油脂が小麦ふすまに不均一に付着してしまったためと推定される。
これらより、吸水性を抑制し、食感を向上させるには、融点が40℃以上の油脂と、小麦ふすまとを、乾式で混合粉砕することが必要であることがわかる。
比較例4〜5より、融点が高いPGE55を用いても、混合粉砕しなければ、吸水性は十分に抑制されなかった。
比較例6より、融点が低いアマニ油と、小麦ふすまとを混合粉砕して得られる小麦ふすま粉末では吸水性は抑制されなかった。これは、小麦ふすまが油脂を速やかに吸収したためと推定される。
比較例7より、融点が高いPGE55を用い、溶融混合法で製造した油脂含有小麦ふすま粉末は、吸水性は抑制されたが、食感は向上しなかった。これは、溶融した油脂が小麦ふすまに不均一に付着してしまったためと推定される。
これらより、吸水性を抑制し、食感を向上させるには、融点が40℃以上の油脂と、小麦ふすまとを、乾式で混合粉砕することが必要であることがわかる。
本発明の製造方法により得られる油脂含有小麦ふすま粉末は、食品に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 小麦ふすまと、融点が40℃以上の油脂とを乾式で混合粉砕する混合粉砕工程を有する、
油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。 - 前記混合粉砕工程が、媒体式粉砕機を用いて粉砕する工程である、請求項1に記載の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
- 前記混合粉砕工程が、混合粉砕工程前の小麦ふすまの体積中位粒径の90%以下の体積中位粒径となるように混合粉砕する工程である、請求項1又は2に記載の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
- 油脂が、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
- 小麦ふすまに対する油脂の質量比(油脂/小麦ふすま)が1/100以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019225502A JP2021093920A (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | 油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019225502A JP2021093920A (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | 油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021093920A true JP2021093920A (ja) | 2021-06-24 |
Family
ID=76429676
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019225502A Pending JP2021093920A (ja) | 2019-12-13 | 2019-12-13 | 油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021093920A (ja) |
-
2019
- 2019-12-13 JP JP2019225502A patent/JP2021093920A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4662974B2 (ja) | 機能性食品添加物を含有する粒状体及びその製造方法 | |
CN111182797B (zh) | 用于生产脂质-纤维粉末的制造方法 | |
WO2021182315A1 (ja) | 練り込み用油中水型乳化組成物 | |
JP2017184632A (ja) | 亜麻仁ペースト及びその製造方法 | |
SE512089C2 (sv) | Sätt att framställa ett malt torrfoder med förutbestämd vattenhalt | |
JP2021093920A (ja) | 油脂含有小麦ふすま粉末の製造方法 | |
DK2521458T3 (en) | Edible product composed of a plurality of single fat parts | |
TW202011996A (zh) | 軟膠囊填充用組成物、填充了該組成物的軟膠囊以及它們的製造方法 | |
JP2016163566A (ja) | 焼き菓子用粉末油脂組成物 | |
JP4856042B2 (ja) | 加熱殺菌済みパスタソース | |
JP6731967B2 (ja) | 油脂組成物、ココア粉末組成物およびココア粉末組成物の製造方法 | |
JP6595350B2 (ja) | 麺皮用粉末油脂組成物 | |
JP4772761B2 (ja) | 乾燥卵白加工品の製造方法 | |
WO2016136285A1 (ja) | L-アスコルビン酸脂肪酸エステル製剤 | |
EP3496554B1 (en) | Powdered beef fat | |
JP6762652B2 (ja) | パン類用粉末油脂組成物 | |
EP3742902B1 (en) | Manufacturing process for the production of a powder from fat and fiber | |
WO2012132752A1 (ja) | 水中油型艶出し材 | |
JP6779575B2 (ja) | 無洗米、および無洗米の製造方法 | |
JP7102864B2 (ja) | 被覆粉末形成用膜材および被覆粉末 | |
JP7490300B2 (ja) | 可塑性油脂組成物 | |
JP2017127249A (ja) | 麺類用粉末油脂組成物 | |
Singh et al. | Development of rice bran oil and flaxseed oil based oleogels using beeswax for food application | |
JP6951820B1 (ja) | 油脂含有組成物及びその製造方法 | |
JP2004329154A (ja) | ケーキ生地用の粉末状乳化起泡剤、ケーキ用ミックス粉、及びこれを用いたケーキ |