JP2021092228A - 流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉 - Google Patents

流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉 Download PDF

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Abstract

【課題】疲労耐久性に優れる流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉を提供する。【解決手段】本発明の流体圧式アクチュエータは、ゴムチューブと、コードを編み込んだスリーブとを備え、スリーブが複数層で構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉に関する。
一般に、チューブを膨張及び収縮させるアクチュエータは、流体を用いて膨張、収縮するゴム製のチューブ(管状体)と、チューブの外周面を覆う1層のスリーブ(網組補強構造)とを有する(例えば、特許文献1参照)。
また、チューブの耐久性を向上させたアクチュエータとして、チューブ外周面に、超高分子量ポリエチレンの粒子が塗布されたチューブに、1層のスリーブが覆われた構造のアクチュエータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2018/084122号 特開2019−35483号公報
しかしながら、特許文献1及び2に開示される手法では、チューブの耐久性に改善の余地がある。
本発明は、疲労耐久性に優れる流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉を提供することを目的とし、該目的を解決することを課題とする。
<1> ゴムチューブと、コードを編み込んだスリーブとを備え、前記スリーブが複数層で構成される流体圧式アクチュエータ。
<2> 内圧を付加したときの前記ゴムチューブの露出面積率が、前記ゴムチューブの表面積に対し、0〜4.8%である<1>に記載の流体圧式アクチュエータ。
<3> <1>又は<2>に記載の流体圧式アクチュエータを含む人工筋肉。
本発明によれば、疲労耐久性に優れる流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉を提供することができる。
流体圧式アクチュエータ10の一実施形態の側面図である。 流体圧式アクチュエータ10の一実施形態の一部分解斜視図である。 スリーブ120のコードの角度を説明するための模式図である。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。
なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A〜B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(B<Aの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
<流体圧式アクチュエータ>
本発明の流体圧式アクチュエータは、ゴムチューブと、コードを編み込んだスリーブとを備え、前記スリーブが複数層で構成される。
ゴムチューブは、流体圧式アクチュエータに付加される内圧(例えば、5MPa)によって膨張及び収縮を繰り返す。スリーブは、ゴムチューブの過度の膨張を防止する機能を有し、ゴムチューブが膨張すると、スリーブのコードで覆われているゴムチューブは、コードによって膨張が抑制される。一方、コードの網目に位置するゴムチューブは、膨張を抑える部材がないため、網目に食い込み易い。ゴムチューブの膨張と収縮が繰り返されることで、網目が大きく変形し、ゴムチューブにかかる内圧が不均一になることがあった。
アクチュエータは、主として、液圧式と空気圧式とがある。油圧等に代表される高圧駆動(水圧含む)においては、例えば、5MPaの内圧での膨張と収縮に耐える必要がある。低圧駆動(空気圧式)は長時間耐久が求められる。
従来のアクチュエータでは、液圧式であれ、空気圧式であれ、1層で構成されるスリーブが用いられてきたため、スリーブの網目が大きく、網目にゴムチューブが食い込み易かった。それにより、ゴムチューブ表面が損傷され易かった。
これに対し、スリーブの網目へのゴムチューブの食い込みを抑えるために、ゴムチューブ表面に保護層を塗工することが考えられる。しかし、保護層に伸縮性がないと、ゴムチューブの膨張に保護層が追随しにくく、ゴムチューブの耐久性を十分に補うことができなかった。
これに対し、本発明の流体圧式アクチュエータは、スリーブが複数層で構成されるため、ゴムチューブの過度の膨張を抑制することができ、スリーブの網目による開口面積を小さくすることができる。これにより、流体圧式アクチュエータに内圧を付加したとき、ゴムチューブの露出を小さく、又は露出を無くすことができる。
その結果、ゴムチューブによるスリーブの網目への食い込みを抑え、ゴムチューブの過度の膨張を抑制することができる。また、スリーブの網目の開口面積の不均一化を抑制することができるため、ゴムチューブの局所的な膨らみを抑制することができる。よって、流体圧式アクチュエータの疲労耐久性を向上することができると考えられる。
なお、本発明において、「スリーブが複数層」とは、所定方向に配向されたコードを編み込んだ1つの構造体を1層とし、当該層が複数積層していることをいう。ここで、「積層」とは、上記構造体が平面的に重なった状態を意味し、当該構造体が物理的に互いに密着していてもよいし、密着していなくてもよい。
以下に、本発明の流体圧式アクチュエータを、その実施形態に基づき、図面を参照しつつ、詳細に例示説明する。なお、同一の機能及び構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)流体圧式アクチュエータの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る流体圧式アクチュエータ10の側面図である。図1に示すように、流体圧式アクチュエータ10は、流体圧式アクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を具える。また、流体圧式アクチュエータ10の両端には、連結部20がそれぞれ設けられる。
流体圧式アクチュエータ本体部100は、ゴムチューブ110とスリーブ120とによって構成される。流体圧式アクチュエータ本体部100には、フィッティング400及び通過孔410を介して作動流体が流入する。
ここで、本発明のアクチュエータは、液圧式であっても、空気圧式であってもよい。
液圧式の場合、作動流体として液体が用いられ、該液体としては、油、水等が挙げられる。本発明のアクチュエータを液圧式アクチュエータとして用いる場合、液圧式アクチュエータは、油圧式でも、水圧式でもよい。油圧式の場合、作動油としては、従来より油圧駆動システムに使用されている作動油を使用することができる。
空気圧式の場合、作動流体として圧縮空気が用いられる。
流体圧式アクチュエータ本体部100は、ゴムチューブ110内へ作動流体が流入することによって、流体圧式アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに収縮し、径方向Dに膨張する。また、流体圧式アクチュエータ本体部100は、ゴムチューブ110から作動流体が流出することによって、流体圧式アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに膨張し、径方向Dに収縮する。このような流体圧式アクチュエータ本体部100の形状変化によって、流体圧式アクチュエータ10は、流体圧式アクチュエータとしての機能を発揮する。
また、このような流体圧式アクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、介護用機器、福祉用機器等の人工筋肉として適用できることは勿論のこと、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢や下肢など)用としても好適に用い得る。連結部20には、当該体肢を構成する部材などが連結される。
封止機構200及び封止機構300は、軸方向DAXにおける流体圧式アクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめ部材230を含む。封止部材210は、流体圧式アクチュエータ本体部100の軸方向DAXの端部を封止する。また、かしめ部材230は、流体圧式アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230の外周面には、治具によってかしめ部材230がかしめられた痕である圧痕231が形成される。
封止機構200と封止機構300との相違点は、フィッティング400(及び通過孔410)が設けられているか否かである。
フィッティング400は、流体圧式アクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、作動流体のコンプレッサと接続されたホース(管路)を取り付けられるように突出している。フィッティング400を介して流入した作動流体は、通過孔410を通過して流体圧式アクチュエータ本体部100の内部、具体的には、ゴムチューブ110の内部に流入する。
図2は、流体圧式アクチュエータ10の一部分解斜視図である。図2に示すように、流体圧式アクチュエータ10は、流体圧式アクチュエータ本体部100及び封止機構200を具える。
流体圧式アクチュエータ本体部100は、ゴムチューブ110とスリーブ120とによって構成される。
ゴムチューブ110は、液圧によって膨張及び収縮し、円筒状の筒状体であることが好ましい。ゴムチューブ110は、作動流体による収縮及び膨張を繰り返すため、スリーブ120との接触を繰り返すが、スリーブ120が2層以上の複層構造であることから、スリーブ120の網目への食い込みが抑えられ、疲労耐久性に優れる。
ゴムチューブ110は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
作動流体が液体であると、空気である場合に比べ、付加される内圧が大きいことから、ゴムチューブ110は、複層構造にすることが好ましい。例えば、流動液体に接触する内層を耐水性または耐油性の層とすることで、流動液体に対する耐久性を有することができる。
ゴムチューブ110を複層構造とする場合は、内層と最外層との間に1層以上の中間層を備えていてもよい。中間層は、例えば、内層と最外層との接着性を向上する接着層等、種々の機能性成分を含む機能層が挙げられる。接着層には、内層及び最外層の性質に応じて適切な接着剤を用いればよく、例えば、株式会社東洋化学研究所製の「メタロックR−17」等が好適に使用できる。
ゴムチューブ110を構成するゴムは、合成ジエン系ゴム及び天然ゴムの少なくとも一方のゴム成分、充填剤、加硫剤等を含むゴム組成物の加硫ゴムを用いることができる。
ゴムチューブ110を、内層と最外層とを含む複層構造とする場合は、内層を構成するゴム組成物は、耐水性及び耐油性を向上する観点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(水素化NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロロヒドリンゴム等のゴム成分を含むことが好ましい。
また、本発明において、ゴムチューブ110の層厚は、流体圧式アクチュエータ10の耐久性と動作長の観点から、0.2〜10.0mmであることが好ましい。ゴムチューブ110の層厚が0.2mm以上であることで、ゴムチューブ110の耐久性に優れ、ゴムチューブ110の層厚が10.0mm以下であることで、ゴムチューブ110の膨張性に優れ、微小入力に対する入力応答性に優れる。また、ゴムチューブ110の直径(外径)は、目的とする用途に応じて、適宜選択できる。
なお、ゴムチューブ110の層厚は、ゴムチューブ110の総厚みを意味し、ゴムチューブ110が複層で構成される場合は、全層合計の層厚を意味する。ゴムチューブ110の層厚は、流体圧式アクチュエータの入力応答性と耐摩耗性をより向上する観点から、0.3〜9.0mmであることがより好ましい。
スリーブ120はゴムチューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、コードを編み込んだ構造体であり、コードは、所定方向に配向されている。スリーブ120は、複数層で構成される。このとき、スリーブ120の各層は、断面が同心円状になるよう積層された構造であってもよいし、断面が渦巻き状になるようゴムチューブ110に巻きつけられた構造のものでもよい。
スリーブ120が複数層であることで、流体圧式アクチュエータ10に内圧を付加したときのゴムチューブ110の露出面積が小さく、又は、露出していない。具体的には、例えば、5.0MPaの内圧をかけたとき、ゴムチューブ110の露出面積率が、前記ゴムチューブ110の表面積に対し、0〜4.8%であることが好ましい。ここで、ゴムチューブ110の表面積とは、流体圧式アクチュエータ10において、スリーブ120が装着されていない状態でのゴムチューブ110の露出表面積を意味する。つまり、流体圧式アクチュエータ10にスリーブ120が装着されていない状態で、視認されるゴムチューブ110の表面積を100%とする。流体圧式アクチュエータ10にスリーブ120が装着された状態で、視認されるゴムチューブ110の表面積を、ゴムチューブ110の露出面積率(%)と称する。
流体圧式アクチュエータ10に、例えば、5MPaの内圧をかけたとき、ゴムチューブ110の露出面積が、小さく(4.8%以下)又は露出していない(0%)ことで、ゴムチューブ110が膨張しても、スリーブ120の網目への食い込みが抑制される。よって、ゴムチューブ110及びスリーブ120の疲労耐久性が抑制され、流体圧式アクチュエータ10は疲労耐久性に優れる。
なお、ゴムチューブ110の露出面積率(%)は、次のようにして求めることができる。
液圧5MPaで写真撮影を行い、コードの間隙の総面積(S2)を測定する。該値(S2)を用いて、流体圧式アクチュエータ本体部100の外表面の面積(S1)の値から、比(S2/S1)を算出し、パーセント表示を付記する。
スリーブ120においては、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、ゴムチューブ110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
図3に示すコードの模式図によって、スリーブ120のコードの角度を説明する。図3に示す破線の方向は、図1に示す軸方向DAX及び径方向Dと同じである。図3では、リーブ120が備えるコードの一部に着目している。コードCa1〜コードCa3がコードCb1〜コードCb3と交差している。図3では、便宜上、コードCa1〜コードCa3及びコードCb1〜コードCb3は、それぞれ平行しているものとして説明するが、実際には平行しているとは限らない。
コードCa1〜コードCa3をまとめてコードCと、コードCb1〜コードCb3をまとめてコードCと、それぞれ称することがある。
θ及びθは、それぞれ、軸方向DAXに対するコードCa1及びCb1の角度であり、θ=θ+θである。
θ及びθが小さいとき「コードが立っている」と称し、θ及びθが大きいとき、「コードが寝ている」と称する。
内圧を付加していないときのコードC及びCの配向角度θ及びθが小さくなり、コードが立っている場合には、ゴムチューブ110の露出面積大きくなる傾向にある。また、内圧を付加していないときのコードC及びCの配向角度θ及びθが、大きくなり、コードが寝ている場合には、ゴムチューブ110の露出面積は小さくなる傾向にある。
一方、コードC及びCが寝ていると、ゴムチューブ110の膨張に合わせて膨張しにくい代わりに、収縮する力も弱いのに対し、コードC及びCが立っていると、変化量が大きいため、膨張後に収縮する力が大きい。そのため、コードC及びCの配向角度θ及びθを鋭角として、コードを立たせたスリーブは、ゴムチューブ110の膨張を抑制しやすい。
従って、例えば、スリーブ120が2層構造である場合、ゴムチューブ110の露出面積をより小さくするには、内層のスリーブ120のコードC及びCを寝かせ、外層のスリーブ120のコードC及びCを立たせて配向することが好ましい。これにより、ゴムチューブ110の露出面積を小さく抑えつつ、ゴムチューブ110の膨張を抑制することができるため、ゴムチューブ110とスリーブ120の疲労耐久性をより向上し、その結果、流体圧式アクチュエータの疲労耐久性をより向上することができる。
以下、コードの符号は省略する。
スリーブ120を構成するコードとしては、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)繊維、ポリカプロラクタム(ナイロン6)繊維等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維等のポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維材料からなる繊維コードを用いることが好ましい。
スリーブ120の各層のコードは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記の中でも、スリーブ120の強度の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維及びアラミド繊維を用いることがより好ましく、アラミド繊維からなるコードを用いることが特に好ましい。
但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などの高強度繊維、及び、極細のフィラメントによって構成される金属製のコードを用いてもよい。
また、上述の繊維コード及び金属製のコードは、その表面を、ゴムや、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物等で被覆してもよい。これらの材料でコードの表面が被覆されている場合、コードの耐久性を向上させつつ、コードの表面の摩擦係数を適度に低下させることができる。
なお、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物中の固形分率は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下が更に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、ラテックスとしては、ビニルピリジン(VP)ラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)ラテックス等が挙げられる。
図2において、封止機構200は、流体圧式アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、係止リング220及びかしめ部材230によって構成される。
封止部材210は、胴体部211及び鍔部212を有する。封止部材210としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
胴体部211は、円管状であり、胴体部211には、作動流体が通過する通過孔215が形成される。通過孔215は、通過孔410(図1参照)に連通する。胴体部211には、ゴムチューブ110が挿通される。
鍔部212は、胴体部211に連なっており、胴体部211よりも流体圧式アクチュエータ10の軸方向DAXにおける端部側に位置する。鍔部212は、胴体部211よりも径方向Dに沿った外径が大きい。鍔部212は、胴体部211に挿通されたゴムチューブ110及び係止リング220を係止する。
胴体部211の外周面には、凹凸部213が形成される。凹凸部213は、胴体部211に挿通されたゴムチューブ110の滑り抑制に寄与する。凹凸部213による凸部分が3つ以上形成されることが好ましい。
また、胴体部211の鍔部212寄りの位置には、胴体部211よりも外径が小さい小径部214が形成される。
係止リング220は、スリーブ120を係止する。スリーブ120は、係止リング220を介して径方向D外側に折り返されてもよい。
係止リング220の外径は、胴体部211の外径よりも大きい。係止リング220は、胴体部211の小径部214の位置においてスリーブ120を係止する。つまり、係止リング220は、胴体部211の径方向D外側であって、鍔部212に隣接する位置において、スリーブ120を係止する。
係止リング220は、胴体部211よりも小さい小径部214に係止させるため、本実施形態では、二分割の形状としている。なお、係止リング220は、二分割に限らず、より多くの部分に分割してもよいし、一部の分割部分が回動可能に連結されていてもよい。
係止リング220としては、封止部材210と同様の金属や硬質プラスチック材料などを用いることができる。
かしめ部材230は、流体圧式アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄などの金属を用いることができる。かしめ部材230には、かしめ用の治具によってかしめ部材230がかしめられると、図1に示したような圧痕231が形成される。
以下、具体的な実施形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施形態は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<第一の実施形態>
(ゴムチューブの製造)
天然ゴム20質量部とポリブタジエンゴム80質量部とのゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック50質量部と、加硫剤及び加硫促進剤を含む加硫パッケージと、老化防止剤等の添加剤とを混合し、ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を押出し成形機で加工することにより、長さ300mmの円筒形状の単層チューブを作製した。
(内層用スリーブの製造)
原糸として、2200dtexのアラミド繊維を2本用い、12回/10cmの下撚りをかけ、更に12回/10cmの上撚りをかけて、直径0.7mmのアラミド繊維コードを作製した。
該アラミド繊維コード64本を編み込んで作製した網目状の内層用スリーブを用意した。このスリーブは、横断面において円周上にアラミド繊維コードが64本観察される網目状筒状体であった。具体的には、このスリーブは、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された32本のアラミド繊維コードと、この32本のアラミド繊維コードと斜交するとともに、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された他の32本のアラミド繊維コードとが交互に編み込まれてなる網目状筒状体であり、各コードのスリーブの軸方向に対する角度(θINa、θINb)は30度であった。
(外層用スリーブの製造)
原糸として、2200dtexのアラミド繊維を2本用い、12回/10cmの下撚りをかけ、更に12回/10cmの上撚りをかけて、直径0.7mmのアラミド繊維コードを作製した。
該アラミド繊維コード64本を編み込んで作製した網目状の内層用スリーブを用意した。このスリーブは、横断面において円周上にアラミド繊維コードが64本観察される網目状筒状体であった。具体的には、このスリーブは、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された32本のアラミド繊維コードと、この32本のアラミド繊維コードと斜交するとともに、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された他の32本のアラミド繊維コードとが交互に編み込まれてなる網目状筒状体であり、各コードのスリーブの軸方向に対する角度(θOUTa、θOUTb)は25度であった。
(流体圧式アクチュエータの製造)
製造したゴムチューブ、内層用スリーブ、及び外層用スリーブを用いて、図1及び図2に示す構造の流体圧式アクチュエータを作製した。なお、封止機構200と封止機構300との間の長さは250mmである。流体圧式アクチュエータに組み込まれたチューブの作動流体としては、水を用いた。
<第二の実施形態>
第一の実施形態の外層用スリーブの製造において、アラミド繊維の代わりに、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を用いた他は同様にして、第二の実施形態の外層用スリーブを製造した。更に、第一の実施形態の流体圧式アクチュエータの製造において、アラミド繊維の外層用スリーブに代えて、PET繊維の第二の実施形態の外層用スリーブを用いた他は、第一の実施形態と同様にして、第二の実施形態の流体圧式アクチュエータを製造した。
<評価>
1.ゴムチューブの露出面積
第一及び第二の実施形態の実施形態の流体圧式(油圧式)アクチュエータに、5MPaの内圧(油圧)を付加した状態でのゴムチューブの露出面積を測定した。第一の実施形態において、露出面積は9%であった。また、第二の実施形態において、露出面積は0%であった。
なお、ゴムチューブの表面積に対する露出面積率(%)は、油圧5MPaでスリーブ外観の写真撮影を行い、コードの間隙の総面積(S2)を測定した。該値(S2)を用いて、アクチュエータ本体部の外表面の面積(S1)の値から、比(S2/S1)を算出し、パーセント表示を付記した。
2.疲労耐久性
作動水をチューブ内に注入して、チューブ内の空気を作動水で十分に置換した。チューブ内の作動水の圧力が0MPaと5MPaとをそれぞれ3秒ごとに繰り返すように作動水の注入操作を行った。それと同時に、かつ加圧前の伸縮部が基準長(加圧前)の20%分収縮となるように、片側に空気圧シリンダーにて引張負荷を掛けた状態で、加減圧を繰り返した。チューブに亀裂が入り、該亀裂が進展して、アクチュエータの機能を発現できなくなるまでの回数、或いは、スリーブが破断して、アクチュエータの機能を発現できなくなるまでの回数を測定した。
第一の実施形態において、当該回数は9764回、第二の実施形態において、当該回数は28741回であった。
以上のように、第一及び第二の実施形態の流体圧式アクチュエータは、いずれも複数層のスリーブを備えているため、内圧を付加した場合であってもゴムチューブの露出面積が小さい。その結果、第一及び第二の実施形態の流体圧式アクチュエータは、いずれも疲労耐久性に優れた。
10:流体圧式アクチュエータ
20:連結部
100:流体圧式アクチュエータ本体部
110:チューブ
120:スリーブ
200:封止機構
210:封止部材
211:胴体部
212:鍔部
213:凹凸部
214:小径部
215:通過孔
220:係止リング
230:かしめ部材
231:圧痕
300:封止機構
400:フィッティング
410:通過孔
a1〜Ca3、Cb1〜Cb3:コード
θ、θ:軸方向に対するコードの角度
AX:軸方向
:径方向

Claims (3)

  1. ゴムチューブと、コードを編み込んだスリーブとを備え、前記スリーブが複数層で構成される流体圧式アクチュエータ。
  2. 内圧を付加したときの前記ゴムチューブの露出面積率が、前記ゴムチューブの表面積に対し、0〜4.8%である請求項1に記載の流体圧式アクチュエータ。
  3. 請求項1又は2に記載の流体圧式アクチュエータを含む人工筋肉。
JP2019221367A 2019-12-06 2019-12-06 流体圧式アクチュエータ及び人工筋肉 Active JP7394608B2 (ja)

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