JP7171993B2 - アクチュエータ用ゴム組成物、アクチュエータ用加硫ゴム及びアクチュエータ - Google Patents

アクチュエータ用ゴム組成物、アクチュエータ用加硫ゴム及びアクチュエータ Download PDF

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本発明は、アクチュエータ用ゴム組成物、アクチュエータ用加硫ゴム及びアクチュエータに関する。
従来、チューブを膨張及び収縮させるアクチュエータとしては、流体として空気を用いて膨張、収縮するゴム製のチューブ(管状体)と、チューブの外周面を覆うスリーブ(網組補強構造)とを有する空気圧式アクチュエータ(いわゆるマッキベン型)が広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
また、チューブの耐久性を向上させたアクチュエータとして、SP値の異なる極性ゴム層と非極性ゴム層からなる2層以上の積層構造を有するチューブを備えたアクチュエータが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61-236905号公報 国際公開第2018/084123号
チューブ及びスリーブによって構成されるアクチュエータ本体部の両端は、金属で形成された封止部材を用いてかしめられる。
スリーブは、ポリアミド繊維などの高張力繊維または金属のコードを編み込んだ筒状の構造体であり、チューブの膨張運動を所定範囲に規制する。
このような空気圧式アクチュエータは、様々な分野で用いられ、特に、介護・福祉用機器の人工筋肉として好適に用いられているが、初期の入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に関しては改善の余地があった。
本発明は、作業性に優れ、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを製造可能なアクチュエータ用ゴム組成物、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを製造可能なクチュエータ用加硫ゴム、並びに、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを提供することを目的とし、該目的を解決することを課題とする。
<1> ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上100質量%未満含むゴム成分と、窒素吸着比表面積が75~180m/gであり、DBP給油量が100~140cm/100gであるカーボンブラックと、加硫促進剤と、硫黄とを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して30~80質量部であり、加硫ゴム特性として、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満であるアクチュエータ用ゴム組成物。
<2> 前記ジエン系ゴムがブタジエンゴムである<1>に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
<3> 前記ゴム成分が、天然ゴムを含む<1>または<2>に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
<4> 前記ゴム成分100質量部に対して0.1~1.4質量部の加硫促進剤を含む<1>~<3>のいずれか1つに記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
<5> 加硫促進剤と硫黄の合計量が、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
<6> 前記硫黄の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部未満である<1>~<5>のいずれか1つに記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載のアクチュエータ用ゴム組成物を用いたアクチュエータ用加硫ゴム。
<8> 液圧又は空気圧によって膨張及び収縮する筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ筒状の構造体であって前記チューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成されるアクチュエータ本体部を備え、前記チューブに、<7>に記載のアクチュエータ用加硫ゴムを用いたアクチュエータ。
<9> 前記チューブが単層構造である<8>に記載のアクチュエータ。
<10> 前記チューブの層厚が、0.2~10.0mmである<8>又は<9>に記載のアクチュエータ。
<11> 前記チューブが複層構造である<8>に記載のアクチュエータ。
<12> <7>に記載のアクチュエータ用加硫ゴムを、前記チューブの最外層に用いた<11>に記載のアクチュエータ。
本発明によれば、作業性に優れ、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを製造可能なアクチュエータ用ゴム組成物、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを製造可能なクチュエータ用加硫ゴム、並びに、入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れるアクチュエータを提供することができる。
アクチュエータ10の一実施形態の側面図である。 アクチュエータ10の一実施形態の一部分解斜視図である。 チューブ110の一実施形態の部分断面図である。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。
なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(B<Aの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
<アクチュエータ>
本発明のアクチュエータは、液圧又は空気圧によって膨張及び収縮する筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ筒状の構造体であって前記チューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成されるアクチュエータ本体部を備え、前記チューブに、本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを用いたアクチュエータである。
本発明のアクチュエータ用加硫ゴムは、本発明のアクチュエータ用ゴム組成物の加硫ゴムである。アクチュエータ用ゴム組成物とアクチュエータ用加硫ゴムの詳細は後述する。
以下に、本発明のアクチュエータを、その実施形態に基づき、図面を参照しつつ、詳細に例示説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
(1)アクチュエータの全体概略構成
図1は、本実施形態に係るアクチュエータ10の側面図である。図1に示すように、アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100、封止機構200及び封止機構300を具える。また、アクチュエータ10の両端には、連結部20がそれぞれ設けられる。
アクチュエータ本体部100は、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。アクチュエータ本体部100には、フィッティング400及び通過孔410を介して作動流体が流入する。ここで、本発明のアクチュエータは、液圧式であっても、空気圧式であってもよい。
液圧式の場合、作動流体として液体が用いられ、該液体としては、油、水等が挙げられる。本発明のアクチュエータを液圧式アクチュエータとして用いる場合、液圧式アクチュエータは、油圧式でも、水圧式でもよい。油圧式の場合、作動油としては、従来より油圧駆動システムに使用されている作動油を使用することができる。
空気圧式の場合、作動流体として圧縮空気が用いられる。
アクチュエータ10は、本発明のアクチュエータ用ゴム組成物を加硫して得られる本発明のアクチュエータ用加硫ゴムをチューブ110に備えている。アクチュエータ用加硫ゴムは、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満であるため、微小入力でも膨張し易く、入力応答性に優れる。そのため、アクチュエータ10は、空気圧式であることが好ましい。空気圧式アクチュエータは、様々な分野で用いられているが、特に、介護用機器、福祉用機器等の人工筋肉として好適に用いられている。
アクチュエータ本体部100は、チューブ110内へ作動流体が流入することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに収縮し、径方向DRに膨張する。また、アクチュエータ本体部100は、チューブ110から作動流体が流出することによって、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXに膨張し、径方向DRに収縮する。このようなアクチュエータ本体部100の形状変化によって、アクチュエータ10は、アクチュエータとしての機能を発揮する。
また、このようなアクチュエータ10は、いわゆるマッキベン型であり、人工筋肉用として適用できることは勿論のこと、より高い能力(収縮力)が要求されるロボットの体肢(上肢や下肢など)用としても好適に用い得る。連結部20には、当該体肢を構成する部材などが連結される。
封止機構200及び封止機構300は、軸方向DAXにおけるアクチュエータ本体部100の両端部を封止する。具体的には、封止機構200は、封止部材210及びかしめ部材230を含む。封止部材210は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXの端部を封止する。また、かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230の外周面には、治具によってかしめ部材230がかしめられた痕である圧痕231が形成される。
封止機構200と封止機構300との相違点は、フィッティング400(及び通過孔410)が設けられているか否かである。
フィッティング400は、アクチュエータ10の駆動圧力源、具体的には、作動流体のコンプレッサと接続されたホース(管路)を取り付けられるように突出している。フィッティング400を介して流入した作動流体は、通過孔410を通過してアクチュエータ本体部100の内部、具体的には、チューブ110の内部に流入する。
図2は、アクチュエータ10の一部分解斜視図である。図2に示すように、アクチュエータ10は、アクチュエータ本体部100及び封止機構200を具える。
アクチュエータ本体部100は、前述したように、チューブ110とスリーブ120とによって構成される。
チューブ110は、液圧によって膨張及び収縮する円筒状の筒状体である。チューブ110は、作動流体による収縮及び膨張を繰り返すため、スリーブ120との接触を繰り返すが、チューブ110に本発明のアクチュエータ用加硫ゴムが用いられるため、チューブ110は、耐摩耗性に優れる。
チューブ110は、単層構造であってもよいし、複層構造であってもよい。
アクチュエータ10を液圧式アクチュエータとして用いる場合、チューブ110を複層構造にすることが好ましい。流動液体に接触する内層を耐水性または耐油性の層とし、スリーブ120と接触する最外層に本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを用いることで、流動液体に対する耐久性を有すると同時に、スリーブ120に対する耐摩耗性を有することができる。
図3は、チューブ110の一実施形態の部分断面図である。
図3に示すチューブ110は、チューブの内面側に位置する内層111と、該内層111の径方向DR外側に隣接して、チューブ110の外面側に位置する最外層112とからなる2層構造を有する。
内層111と最外層112は、少なくとも一方が本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを含んでいればよく、両方に本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを含んでいてもよい。内層111と最外層112の両方に本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを用いる場合は、例えば、引張弾性率の異なる2種の本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを各々の層に用いればよい。
中でも、既述のように、流動液体に接触する内層を耐水性または耐油性の層とし、スリーブ120と接触する最外層に本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを用いることが好ましい。換言すると、最外層112が、内層111の径方向D外側であって、チューブ110の最外側に配置されていることが好ましい。最外層112が、内層111の径方向D外側に配置されることで、耐摩耗性に優れる最外層112がスリーブ120側からの負荷に耐え、内層111が保護され、チューブ110全体としての強度が向上し、チューブ110の耐久性が更に向上する。
具体的には、内層111を、例えば、極性ゴムを含むゴム層とすることで、耐液性、特には、耐油性に優れ、例えば、作動流体が油であっても、高い耐久性を有する。
一方、最外層112を、本発明のアクチュエータ用加硫ゴムを含むゴム層とすることで、スリーブ120側からの負荷に耐え、例えば、スリーブ120と接触しても、高い耐久性を有する。
そのため、チューブ110が、内層111及び最外層112からなる2層以上の積層構造を有することで、繰り返し伸縮しても、高い耐液性と耐久性を兼ね備えた、アクチュエータを実現できる。
内層111に用いる極性ゴムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR、「ニトリルゴム」とも呼ぶ)、水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴム(水素化NBR、「水素化ニトリルゴム」とも呼ぶ)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロロヒドリンゴム等が挙げられる。これらの極性ゴムは、1種単独で用いてもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
内層111は、アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムを含むことが好ましい。アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび水素化アクリロニトリルブタジエンゴムは、前記極性ゴムの中でも、耐油性が特に高く、また、加工性が優れる。従って、内層111がアクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムを含む場合、内層111の耐油性が更に向上する。また、アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび水素化アクリロニトリルブタジエンゴムは、ニトリル含量、すなわちアクリロニトリル単位の含有量が20質量%~50質量%であると、耐油性が更に高くなるため好ましい。アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムは、一般的に、アクリロニトリル単位の含有量が25質量%未満の低ニトリルタイプ、アクリロニトリルの含有量が25質量%以上35質量%未満の中ニトリルタイプ、アクリロニトリル単位の含有量が35質量%以上の高ニトリルタイプに分類される。
前記アクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムは、アクリロニトリル単位の含有量が異なる2種類以上のアクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムを含むことが好ましい。2種類以上のアクリロニトリル-ブタジエンゴムおよび/または水素化アクリロニトリルブタジエンゴムを使用することで、所望のニトリル含量を容易に達成できる。
前記アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)及び水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(水素化NBR)の、内層111のゴム成分中の含有割合は、50~100質量%であることが好ましく、60~90質量%であることがより好ましい。
水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、アクリロニトリル-ブタジエンゴムに水素を添加したものである。水素化アクリロニトリル-ブタジエンゴムは、通常、アクリロニトリル-ブタジエンゴムと同様の耐油性を有し、かつアクリロニトリル-ブタジエンゴムに比較して耐熱性等が優れる点で好ましい。
クロロプレンゴムは、前記極性ゴム中でも、引張強さ、伸び等の機械的特性や加工性に優れる点で好ましい。
エピクロロヒドリンゴムは、前記極性ゴム中でも、耐オゾン性及び接着性に優れる点で好ましい。
図3に示すチューブ110は、内層111と最外層112のみからなるが、内層111と最外層112との間に1層以上の中間層を備えていてもよい。中間層は、例えば、内層111と最外層112との接着性を向上する接着層等、種々の機能性成分を含む機能層が挙げられる。接着層には、内層111及び最外層112の性質に応じて適切な接着剤を用いればよく、例えば、株式会社東洋化学研究所製の「メタロックR-17」等が好適に使用できる。
また、本発明において、チューブ110の層厚は、アクチュエータの耐久性と動作長の観点から、0.2~10.0mmであることが好ましい。チューブ110の層厚が0.2mm以上であることで、チューブ110の耐久性に優れ、チューブ110の層厚が10.0mm以下であることで、チューブ110の膨張性に優れ、微小入力に対する入力応答性に優れる。また、チューブ110の直径(外径)は、目的とする用途に応じて、適宜選択できる。
なお、チューブ110の層厚は、チューブ110の総厚みを意味し、チューブ110が複層である場合は、全層合計の層厚を意味する。例えば、チューブ110が、図3に示す内層111と最外層112とからなる2層構造である場合、内層111と最外層112の径方向(D方向)の層厚を、チューブ110の層厚とする。
チューブ110の層厚は、アクチュエータの入力応答性と耐摩耗性をより向上する観点から、0.3~9.0mmであることがより好ましい。
チューブ110が複層構造である場合、内層111の総厚みは、チューブ110の総厚みの10%~90%であることが好ましく、20%~80%の範囲が更に好ましく、また、最外層112の総厚みは、チューブ110の総厚みの90%~10%であることが好ましく、80%~20%の範囲が更に好ましい。この場合、チューブ110の耐液性と耐久性が向上し、スリーブ120に対する耐摩耗性が更に向上する。
スリーブ120は、円筒状であり、チューブ110の外周面を覆う。スリーブ120は、所定方向に配向されたコードを編み込んだ構造体であり、配向されたコードが交差することによって菱形の形状が繰り返されている。スリーブ120は、このような形状を有することによって、パンタグラフ変形し、チューブ110の収縮及び膨張を規制しつつ追従する。
スリーブ120を構成するコード121としては、アラミド繊維(芳香族ポリアミド繊維)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6,6)繊維、ポリカプロラクタム(ナイロン6)繊維等のポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維等のポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維から選ばれる少なくとも1種の繊維材料からなる繊維コードを用いることが好ましい。これらの中でも、スリーブ120の強度の観点から、アラミド繊維からなるコードを用いることが特に好ましい。
但し、このような種類の繊維コードに限定されるものではなく、例えば、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などの高強度繊維や、極細のフィラメントによって構成される金属製のコードを用いてもよい。
また、上述の繊維コードや金属製のコードは、その表面を、ゴムや、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物等で被覆してもよい。これらの材料でコードの表面が被覆されている場合、コードの耐久性を向上させつつ、コードの表面の摩擦係数を適度に低下させることができる。
なお、熱硬化性樹脂とラテックスとの混合物中の固形分率は、15質量%以上50質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下が更に好ましい。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、ラテックスとしては、ビニルピリジン(VP)ラテックス、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)ラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)ラテックス等が挙げられる。
なお、スリーブは単層構造であっても、複数層構造であってもよく、後者の場合は断面が同心円状になるよう積層されたものであっても、断面が渦巻き状になるよう巻きつけられた構造のものでもよい。
図2において、封止機構200は、アクチュエータ本体部100の軸方向DAXにおける端部を封止する。封止機構200は、封止部材210、係止リング220及びかしめ部材230によって構成される。
封止部材210は、胴体部211及び鍔部212を有する。封止部材210としては、ステンレス鋼などの金属を好適に用い得るが、このような金属に限定されず、硬質プラスチック材料などを用いてもよい。
胴体部211は、円管状であり、胴体部211には、作動流体が通過する通過孔215が形成される。通過孔215は、通過孔410(図1参照)に連通する。胴体部211には、チューブ110が挿通される。
鍔部212は、胴体部211に連なっており、胴体部211よりもアクチュエータ10の軸方向DAXにおける端部側に位置する。鍔部212は、胴体部211よりも径方向DRに沿った外径が大きい。鍔部212は、胴体部211に挿通されたチューブ110及び係止リング220を係止する。
胴体部211の外周面には、凹凸部213が形成される。凹凸部213は、胴体部211に挿通されたチューブ110の滑り抑制に寄与する。凹凸部213による凸部分が3つ以上形成されることが好ましい。
また、胴体部211の鍔部212寄りの位置には、胴体部211よりも外径が小さい小径部214が形成される。
係止リング220は、スリーブ120を係止する。スリーブ120は、係止リング220を介して径方向D外側に折り返されてもよい。
係止リング220の外径は、胴体部211の外径よりも大きい。係止リング220は、胴体部211の小径部214の位置においてスリーブ120を係止する。つまり、係止リング220は、胴体部211の径方向D外側であって、鍔部212に隣接する位置において、スリーブ120を係止する。
係止リング220は、胴体部211よりも小さい小径部214に係止させるため、本実施形態では、二分割の形状としている。なお、係止リング220は、二分割に限らず、より多くの部分に分割してもよいし、一部の分割部分が回動可能に連結されていてもよい。
係止リング220としては、封止部材210と同様の金属や硬質プラスチック材料などを用いることができる。
かしめ部材230は、アクチュエータ本体部100を封止部材210と共にかしめる。かしめ部材230としては、アルミニウム合金、真鍮及び鉄などの金属を用いることができる。かしめ部材230には、かしめ用の治具によってかしめ部材230がかしめられると、図1に示したような圧痕231が形成される。
<アクチュエータ用ゴム組成物>
本発明のアクチュエータ用ゴム組成物は、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上100質量%未満含むゴム成分と、窒素吸着比表面積(NSA)が75~180m/gであり、DBP給油量が100~140cm/100gであるカーボンブラックと、加硫促進剤と、硫黄とを含み、前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して30~80質量部であり、加硫ゴム特性として、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満である。
以下、アクチュエータ用ゴム組成物を単に「ゴム組成物」と称することがある。
アクチュエータ用ゴム組成物が上記構成であることで、ゴム組成物は作業性に優れ、加硫ゴムは耐摩耗性に優れると共に、空気圧のような微小入力に対しても敏感に膨張し、入力応答性に優れる。
かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
加硫ゴムを低弾性率に設計することで、入力に対する応答性が早くなる上、加硫ゴムを構成するゴム組成物が-85℃のジエン系ゴムを多く含むことで、摩耗粉が小さくなることで、一定量摩耗させるためには時間を要するものと推定している。よって、アクチュエータ用ゴム組成物の加硫ゴムをアクチュエータ(特に、チューブ)に用いることで、アクチュエータは入力応答性及びスリーブに対する耐摩耗性に優れると考えられる。
〔ゴム成分〕
本発明ゴム組成物は、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上100質量%未満含むゴム成分を含有する。
ゴム成分が、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上100質量%未満含まないと、加硫ゴムが耐摩耗性に優れない。
加硫ゴムの耐摩耗性の観点から、ゴム成分中の、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムの含有量は、65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、75質量%以上であることが更に好ましい。また、混練時の作業性(ゴムの纏まり性)の観点から、ゴム成分中の、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムの含有量は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が-85℃以下のジエン系ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR;Tg=-110℃~-95℃)が挙げられる。
ポリブタジエンゴムは、ブタジエン系単量体の重合体であれば特に制限されず、複数種のブタジエン系単量体を用いて製造したものでも構わない。
ブタジエン系単量体としては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-クロロ-1,3-ブタジエンなどが挙げられる。
ポリブタジエンゴムの重量平均分子量は、加硫ゴムの強度とゴム組成物の作業性の観点から、40万以上であることが好ましく、45万以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、200万以下であることが好ましい。
なお、本願において重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算で求めたものである。
ポリブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は-65℃以下であることが好ましく、-90℃以下であることがより好ましい。ポリブタジエンゴムのTgの下限は特に制限されないが、通常、-130℃以上である。ポリブタジエンゴムのTgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定し、中点法にて算出したものである。
ゴム成分は、更に、ガラス転移温度(Tg)が-85℃を超えるジエン系ゴムを含んでいてもよい。
Tgが-85℃を超えるジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR;Tg=-79℃~-69℃)、ポリイソプレンゴム(IR;Tg=-79℃~-69℃)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR;Tg=-55℃)、クロロプレンゴム(CR;Tg=-45℃~-43℃)、ブチルゴム(IIR;Tg=-75℃~-67℃)、ハロゲン化ブチルゴム(Br-IIR、Cl-IIR)、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR;Tg=-50℃)等が挙げられる。
Tgが-85℃を超えるジエン系ゴムは、以上の中でも、天然ゴム、及びポリイソプレンゴムが好ましく、天然ゴムがより好ましい。
Tgが-85℃を超えるジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
ゴム成分中のTgが-85℃を超えるジエン系ゴムの含有量は、加硫ゴムの耐摩耗性の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが更に好ましく、また、50質量%未満であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
ゴム成分は、加硫ゴムの耐摩耗性の観点から、ブタジエンゴム及び天然ゴムを含むことが好ましく、ブタジエンゴム及び天然ゴムからなることがより好ましい。
ゴム成分は、非ジエン系ゴムを含んでいてもよい。非ジエン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM(EPMとも称する))、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマーとの共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー等が挙げられる。
〔カーボンブラック〕
本発明のゴム組成物は、充填剤として、窒素吸着比表面積(NSA)が75~180m/gであり、DBP給油量が100~140cm/100gであるカーボンブラックを、ゴム成分100質量部に対して30~80質量部含む。
以下「窒素吸着比表面積(NSA)が75~180m/gであり、DBP給油量が100~140cm/100gであるカーボンブラック」を、「本発明のカーボンブラック」と称することがある。
ゴム組成物中の本発明のカーボンブラックの含有量が、ゴム成分100質量部に対して30質量部未満であると、加硫ゴムが耐摩耗性に優れず、80質量部を超えると、混練時の作業性が大幅に悪化する。
ゴム組成物中の本発明のカーボンブラックの含有量は、加硫ゴムの耐摩耗性とアクチュエータの入力応答性をより向上する観点から、ゴム成分100質量部に対して30~70質量部であることが好ましく、40~70質量部であることがより好ましく、50~70質量部であることが更に好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積が75m/g未満であると加硫ゴムが耐摩耗性に優れない。窒素吸着比表面積が180m/gを超えると、混練時の作業性が大幅に悪化する。また、ゴム組成物のムーニー粘度が高まり、作業性に優れない。加硫ゴムの耐摩耗性をより向上しつつ、弾性率を抑え、ゴム組成物の作業性をより向上する観点から、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、85m/g以上であることが好ましく、95m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、170m/g以下であることが好ましく、160m/g以下であることがより好ましく、150m/g以下であることが更に好ましい。
窒素吸着比表面積(NSA)は、ASTM-D3037-86に記載の方法により測定することができる。
カーボンブラックのDBP給油量が100cm/100g未満であると加硫ゴムが耐摩耗性に優れない。DBP給油量が140cm/100gを超えると、混練時の作業性が大幅に悪化する。また、ゴム組成物のムーニー粘度が高まり、作業性に優れない。加硫ゴムの耐摩耗性をより向上しつつ、弾性率を抑え、ゴム組成物の作業性をより向上する観点から、カーボンブラックのDBP給油量は、105~135g/kgであることが好ましく、110~130g/kgであることがより好ましい。
DBP(ジブチルフタレート)吸油量は、ASTM-D-3493に記載の方法により測定され、カーボンブラック100g当りに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の体積cmで表示される。
本発明のカーボンブラックは、加硫ゴムの耐摩耗性とアクチュエータの入力応答性をより向上する観点から、ヨウ素吸着量(IA)が100~170g/kgであることが好ましく、110~150g/kgであることがより好ましく、115~140g/kgであることが更に好ましい。
ヨウ素吸着量は、JIS K6221-1982に準拠した方法により測定することができる。
以上のような物性を満足するカーボンブラックとしては、例えば、SAF、ISAFなどが挙げられ、特にISAFが好ましい。これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(他の充填剤)
本発明のゴム組成物は、他の充填剤を含んでいてもよいが、加硫ゴムの耐摩耗性とアクチュエータの入力応答性をより向上する観点から、全充填剤中の本発明のカーボンブラックの含有量は、50質量%を超えることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
他の充填剤としては、本発明のカーボンブラック以外のカーボンブラック;シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;水酸化アルミニウム等が挙げられる。
他の充填剤を用いる場合は、上記の中でもシリカが好ましく、具体的には、湿式シリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、無水微粉ケイ酸、含水微粉ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム等、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、湿式シリカを用いることが好ましい。
本発明のゴム組成物がシリカを含む場合、本発明のゴム組成物は更にシランカプリング剤を含んでいてもよい。
〔硫黄〕
本発明のゴム組成物は、硫黄を含有する。
加硫ゴムの耐摩耗性とアクチュエータの入力応答性を向上する観点から、本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、0.05~1.8質量部の硫黄を含むことが好ましい。
ゴム組成物中の硫黄の含有量がゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上であることで、加硫ゴムの耐摩耗性を高めることができる。また、ゴム組成物中の硫黄の含有量がゴム成分100質量部に対して1.8質量部以下であることで、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率をより小さくすることができ、空気圧のような微小入力でも応答性の高いアクチュエータが得られ易い。
本発明のゴム組成物中の硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.05~1.5質量部であることがより好ましく、0.1~1.0質量部であることが更に好ましく、1質量部未満であることが特に好ましい。
更に、硫黄と加硫促進剤の合計量は、ゴム成分100質量部に対して、2.3質量部以下が好ましい。硫黄と加硫促進剤の合計量が、ゴム成分100質量部に対して、2.3質量部以下であることで、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率をより小さくすることができ、空気圧のような微小入力でも応答性の高いアクチュエータが得られ易い。硫黄と加硫促進剤の合計量は、ゴム成分100質量部に対して、2質量部以下であることがより好ましい。
一方、加硫ゴムの耐摩耗性を高める観点から、硫黄と加硫促進剤の合計量は、ゴム成分100質量部に対して、0.15質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましい。
〔加硫促進剤〕
本発明のゴム組成物は、加硫促進剤を含有する。
加硫ゴムの耐摩耗性を向上する観点から、本発明のゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して0.1~1.4質量部の加硫促進剤を含むことが好ましい。
ゴム組成物中の加硫促進剤の含有量がゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上であることで、加硫ゴムの耐摩耗性を高めることができる。また、ゴム組成物中の加硫促進剤の含有量がゴム成分100質量部に対して1.4質量部以下であることで、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率をより小さくすることができ、空気圧のような微小入力でも応答性の高いアクチュエータが得られ易い。
本発明のゴム組成物中の加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.2~1.2質量部であることがより好ましく、0.3~0.9質量部であることが更に好ましい。
加硫促進剤としては特に制限されないが、例えば、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオカルバミン酸塩系等の加硫促進剤が挙げられる。これらの中で、特に、スルフェンアミド系の加硫促進剤が好ましい。
アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ヘキサメチレンテトラミン(H)等が挙げられる。
グアニジン系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。
チオウレア系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、エチレンチオウレア等が挙げられる。
チアゾール系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、ジベンゾチアジルジスルフィド(DM)、2-メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CZ)、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(NS)等が挙げられる。
チウラム系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤としては、具体的には、例えば、Na-ジメチルジチオカーバメート、Zn-ジメチルジチオカーバメート、Te-ジエチルジチオカーバメート、Cu-ジメチルジチオカーバメート、Fe-ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等が挙げられる。
加硫促進剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
過加硫時にリバージョンの発生を抑制でき、加硫ゴムの耐摩耗性を向上しつつ、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率を8.0MPa未満以下とし易くする観点から、ゴム組成物中の硫黄の含有量(s)と、加硫促進剤の含有量(a)との質量比(s/a比)は、0.1以上0.95未満であることが好ましい。同様の観点から、s/a比は0.2~0.9であることがより好ましく、0.3~0.8であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記成分とともに、必要に応じて、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
本発明のゴム組成物は、Tgが-85℃以下のジエン系ゴム、本発明のカーボンブラック、硫黄、加硫促進剤等の各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練機を用いて混練することによって、製造することができる。本発明のゴム組成物の製造で配合する各成分は、本発明のゴム組成物中の各成分の含有量として示した量を配合量として配合することが好ましい。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
<アクチュエータ用加硫ゴム>
本発明のアクチュエータ用ゴム組成物を加硫することにより、アクチュエータ用加硫ゴムが得られる。本発明のアクチュエータ用ゴム組成物は、加硫ゴム特性として、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満であり、従って、本発明のアクチュエータ用加硫ゴムは、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満である。
加硫ゴムの25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率(M300)が8.0MPa未満であることで、アクチュエータは、空気圧のような微小入力でも応答性が高く、入力応答性に優れる。
加硫ゴムの25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率(M300)は、アクチュエータの入力応答性とスリーブに対する耐摩耗性をより向上する観点から、1.5~7.5MPaであることが好ましく、3.0~5.0MPaであることがより好ましい。また、加硫ゴムの25℃で200%伸長した時のモジュラス引張弾性率(M200)は、アクチュエータの入力応答性とスリーブに対する耐摩耗性をより向上する観点から、4.5MPa未満であることが好ましい。
加硫ゴムは、本発明のゴム組成物を、例えば、140~200℃の加硫温度で加硫することにより得られる。また、加硫時間としては、例えば、5~60分が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム組成物の調製及び加硫ゴム試験片の作製>
表1の配合に従って各成分を配合し、バンバリーミキサーで混練りしてゴム組成物を調製した。
得られたゴム組成物を3インチロールにより押出し、さらに加硫プレスすることにより、幅75mm、長さ150mm、厚さ2mmの加硫ゴム試験片を作製した。
表1中の成分の詳細は次のとおりである。
(1)ゴム成分
・NR:天然ゴム、RSS#4
・BR:ポリブタジエンゴム、宇部興産(株)製、商品名「UBEPOL-BR150L」
(2)カーボンブラック
・カーボンブラック1:窒素吸着表面積(NSA):119m/g、DBP吸油量:114cm/100g
・カーボンブラック2:窒素吸着表面積(NSA):42m/g、DBP吸油量:121cm/100g
・カーボンブラック3:窒素吸着表面積(NSA):29m/g、DBP吸油量:89cm/100g
・カーボンブラック4:窒素吸着表面積(NSA):71m/g、DBP吸油量:103cm/100g
(3)ステアリン酸:新日本理化(株)製、商品名「ステアリン酸50S」
(4)酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製、商品名「銀嶺SR」
(5)ワックス:精工化学(株)製、商品名「サンタイトS」
(6)老化防止剤:N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、住友化学(株)製、商品名「ANTIGENE6C」
(7)加硫促進剤:NS、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーNS-F」
(8)硫黄:鶴見化学工業(株)製、商品名「サルファックス5」
<アクチュエータの作製>
(1)実施例3、6、及び7については、下記のとおりアクチュエータを作製した。
1.チューブの作製
得られたゴム組成物を押出し成形機で加工することにより、長さ300mmの円筒形状の単層チューブを作製した。
2.スリーブの作製
原糸として、2200dtexのアラミド繊維を2本用い、12回/10cmの下撚りをかけ、更に12回/10cmの上撚りをかけて、直径0.7mmのアラミド繊維コードを作製した。該アラミド繊維コード64本を編み込んで作製した網目状のスリーブを用意した。このスリーブは、横断面において円周上にアラミド繊維コードが64本観察される網目状筒状体であった。具体的には、このスリーブは、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された32本のアラミド繊維コードと、この32本のアラミド繊維コードと斜交するとともに、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された他の32本のアラミド繊維コードとが交互に編み込まれてなる網目状筒状体であり、各コードのスリーブの軸方向に対する角度は25度であった。
3.アクチュエータの作製
前記チューブと前記網目状のスリーブとを用いて、図1及び図2に示す構造のアクチュエータを作製した。なお、封止機構200と封止機構300との間の長さは250mmである。アクチュエータに組み込まれたチューブの作動油としては、コスモスーパーエポック株式会社製UF46を用いた。
(2)実施例1、2、4、5、8及び比較例1~9については、下記のとおりアクチュエータを作製する。
1.チューブの作製
得られたゴム組成物を押出し成形機で加工することにより、長さ300mmの円筒形状の単層チューブを作製する。
2.スリーブの作製
原糸として、2200dtexのアラミド繊維を2本用い、12回/10cmの下撚りをかけ、更に12回/10cmの上撚りをかけて、直径0.7mmのアラミド繊維コードを作製する。該アラミド繊維コード64本を編み込んで作製した網目状のスリーブを用意する。このスリーブは、横断面において円周上にアラミド繊維コードが64本観察される網目状筒状体である。具体的には、このスリーブは、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された32本のアラミド繊維コードと、この32本のアラミド繊維コードと斜交するとともに、等間隔、平行かつ螺旋状に配置された他の32本のアラミド繊維コードとが交互に編み込まれてなる網目状筒状体であり、各コードのスリーブの軸方向に対する角度は25度である。
3.アクチュエータの作製
前記チューブと前記網目状のスリーブとを用いて、図1及び図2に示す構造のアクチュエータを作製する。なお、封止機構200と封止機構300との間の長さは250mmである。アクチュエータに組み込まれたチューブの作動油としては、コスモスーパーエポック株式会社製UF46を用いる。
<評価>
1.引張応力(M300)
加硫ゴム試験片をダンベル状8号形の試験片に加工し、JIS K 6251(2017年)に基づき、測定温度25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率を求めた。
2.耐摩耗性
加硫ゴム試験片について、ランボーン式摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%での摩耗量を測定した。
実施例2の加硫ゴム試験片の摩耗量の逆数を100として指数表示した。指数値が大きい程、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れることを示す。
3.作業性
調製したゴム組成物について、JIS-K6300-1:2001に準拠して、ムーニー粘度計(モンサント社製RPA)によって、L型ローターを用い、130℃の条件下で、ゴム組成物のムーニー粘度[ML1+4/130℃]を測定した。
ゴム組成物のムーニー粘度の値は、実施例2の値を100として各実施例及び比較例の指数化し、下記基準にて評価した。
(評価基準)
○:指数が100以上であり、ゴム組成物の流れ性が良く、作業性に優れる。
×:指数が100未満であり、ゴム組成物の流れ性が悪く、作業性に優れない。
4.入力応答性
(1)実施例3、6、及び7については、次のようにして、入力応答性を評価した。
実施例3、6、及び7のアクチュエータを用い、アクチュエータに内圧を付加した際の発生力を測定した。測定方法は、アクチュエータを自然長(初期長さ)で固定し、内圧を徐々に付加させた。内圧が一定以上になるとアクチュエータに力が発生した。その力が発生し始めた時の圧力を初期応答性メジャーとして規定した。用いたチューブ厚肉は1.0mmであった。
〇:0.02MPa以下の内圧で力を発生した場合
×:0.02MPa以下の内圧では力を発生しない場合
(2)実施例1、2、4、5、8及び比較例1~9については、次のようにして、入力応答性を評価する。
実施例1、2、4、5、8及び比較例1~9のアクチュエータを用い、アクチュエータに内圧を付加した際の発生力を測定する。測定方法は、アクチュエータを自然長(初期長さ)で固定し、内圧を徐々に付加させる。内圧が一定以上になるとアクチュエータに力が発生する。その力が発生し始める時の圧力を初期応答性メジャーとして規定する。用いるチューブ厚肉は1.0mmとする。
〇:0.02MPa以下の内圧で力を発生した場合
×:0.02MPa以下の内圧では力を発生しない場合
Figure 0007171993000001
Figure 0007171993000002
表1及び2からわかるように、ゴム成分が、ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上含まない比較例1のゴム組成物、並びに、ゴム組成物中の本発明のカーボンブラックを含まないか、含んでも含有量がゴム成分100質量部に対して30質量部未満である比較例2及び5~7のゴム組成物は、加硫ゴムの耐摩耗性が優れない。
ゴム組成物中の本発明のカーボンブラックの含有量がゴム成分100質量部に対して80質量部を超える比較例3、ゴム成分中のガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムの含有量が100質量%となる比較例8及び、加硫促進剤を含まない比較例9のゴム組成物は、作業性に優れない。
更に、加硫ゴム特性として、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa以上となる比較例4においては、微小入力では膨張しにくく、アクチュエータの入力応答性に優れない。
一方、実施例のゴム組成物は、加硫ゴムの耐摩耗性が優れると共に、微小入力でも膨張し易く、アクチュエータの入力応答性にも優れることがわかる。
10:アクチュエータ
20:連結部
100:アクチュエータ本体部
110:チューブ
111:内層
112:最外層
120:スリーブ
200:封止機構
210:封止部材
211:胴体部
212:鍔部
213:凹凸部
214:小径部
215:通過孔
220:係止リング
230:かしめ部材
231:圧痕
300:封止機構
400:フィッティング
410:通過孔
AX:軸方向
:径方向

Claims (11)

  1. ガラス転移温度が-85℃以下のジエン系ゴムを60質量%以上100質量%未満含むゴム成分と、
    窒素吸着比表面積が75~180m/gであり、DBP給油量が100~140cm/100gであるカーボンブラックと、
    加硫促進剤と、
    硫黄と
    を含み、
    前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して30~80質量部であり、加硫ゴム特性として、25℃で300%伸長した時のモジュラス引張弾性率が8.0MPa未満であるアクチュエータ用ゴム組成物であって、
    前記加硫促進剤と前記硫黄の合計量が、前記ゴム成分100質量部に対して2質量部以下である アクチュエータ用ゴム組成物。
  2. 前記ジエン系ゴムがブタジエンゴムである請求項1に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分が、天然ゴムを含む請求項1又は2に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
  4. 前記ゴム成分100質量部に対して0.1~1.4質量部の加硫促進剤を含む請求項1~3のいずれか1項に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
  5. 前記硫黄の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部未満である請求項1~のいずれか1項に記載のアクチュエータ用ゴム組成物。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載のアクチュエータ用ゴム組成物を用いたアクチュエータ用加硫ゴム。
  7. 液圧又は空気圧によって膨張及び収縮する筒状のチューブと、所定方向に配向されたコードを編み込んだ筒状の構造体であって前記チューブの外周面を覆うスリーブと、によって構成されるアクチュエータ本体部を備え、前記チューブに、請求項に記載のアクチュエータ用加硫ゴムを用いたアクチュエータ。
  8. 前記チューブが単層構造である請求項に記載のアクチュエータ。
  9. 前記チューブの層厚が、0.2~10.0mmである請求項に記載のアクチュエータ。
  10. 前記チューブが複層構造である請求項に記載のアクチュエータ。
  11. 請求項に記載のアクチュエータ用加硫ゴムを、前記チューブの最外層に用いた請求項10に記載のアクチュエータ。
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シーストのデータシート,東海カーボン株式会社,[online],2022年04月21日,Retrieved from the Internet:<http://www.tokaicarbon.co.jp/products/carbon_b/pdf/SEAST.pdf>
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