JP2021091644A - 多量体化合物 - Google Patents

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Takuji Hatakeyama
琢次 畠山
敬太 田端
Keita Tabata
敬太 田端
靖宏 近藤
Yasuhiro Kondo
靖宏 近藤
笹田 康幸
Yasuyuki Sasada
康幸 笹田
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Abstract

【課題】有機EL素子に用いられる材料としては種々の化合物が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。【解決手段】下記一般式(1)で表される、多量体化合物。【化260】(上記一般式(1)中、nは2〜10の整数であり、Aは特定の多環芳香族構造であり、L1は、特定の基(I)、基(II)および基(III)から選ばれるn価の連結基であり、そして、前記多量体化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)【選択図】なし

Description

本発明は、多量体化合物、当該多量体化合物を含む有機デバイス用材料および発光層形成用組成物、当該多量体化合物を用いた有機電界発光素子、ならびに、表示装置および照明装置に関する。
従来、電界発光する発光素子を用いた表示装置は、小電力化や薄型化が可能なことから、種々研究され、さらに、有機材料から成る有機電界発光素子は、軽量化や大型化が容易なことから活発に検討されてきた。特に、光の三原色の一つである青色などの発光特性を有する有機材料の開発、および正孔、電子などの電荷輸送能(半導体や超電導体となる可能性を有する)を備えた有機材料の開発については、高分子化合物、低分子化合物を問わずこれまで活発に研究されてきた。
有機EL素子は、陽極および陰極からなる一対の電極と、当該一対の電極間に配置され、有機化合物を含む一層または複数の層とからなる構造を有する。有機化合物を含む層には、発光層や、正孔、電子などの電荷を輸送または注入する電荷輸送/注入層などがあるが、これらの層に適当な種々の有機材料が開発されている。
発光層用材料としては、例えばベンゾフルオレン系化合物などが開発されている(国際公開第2004/061047号公報)。また、正孔輸送材料としては、例えばトリフェニルアミン系化合物などが開発されている(特開2001-172232号公報)。また、電子輸送材料としては、例えばアントラセン系化合物などが開発されている(特開2005-170911号公報)。
また、近年では有機EL素子や有機薄膜太陽電池に使用する材料としてトリフェニルアミン誘導体を改良した材料も報告されている(国際公開第2012/118164号公報)。この材料は既に実用化されていたN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)を参考にして、トリフェニルアミンを構成する芳香環同士を連結することでその平面性を高めたことを特徴とする材料である。このような化合物の例は他にも見られる(国際公開第2011/107186号公報、国際公開第2012/118164号公報、国際公開第2015/102118号公報)。例えば、三重項励起子のエネルギー(T1)が大きい共役構造を有する化合物は、より短い波長の燐光を発することができるため、青色の発光層用材料として有益である。また、発光層を挟む電子輸送材料や正孔輸送材料としてもT1が大きい新規共役構造を有する化合物が求められている。
また、同様に芳香環同士を連結することでその平面性を高めた構造を有する多量体の例が報告されている(国際公開第2015/102118号公報、韓国出願公開第10-2019-0037174号公報)。
有機EL素子のホスト材料は、一般に、ベンゼンやカルバゾールなどの既存の芳香環を単結合やリン原子やケイ素原子で複数連結した分子である。これは、比較的共役系の小さな芳香環を多数連結することで、ホスト材料に必要とされる大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)が担保されるからである。さらに、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料を用いた有機EL素子のホスト材料には、高い三重項励起エネルギー(E)も必要となるが、分子にドナーあるいはアクセプター性の芳香環や置換基を連結することで、三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2を局在化させ、両軌道間の交換相互作用を小さくすることで、三重項励起エネルギー(E)を向上させることが可能となる。しかし、共役系の小さな芳香環はレドックス安定性が十分ではなく、既存の芳香環を連結していった分子をホスト材料として用いた素子は寿命が十分ではない。一方、拡張π共役系を有する多環芳香族化合物は、一般に、レドックス安定性は優れているが、HOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)や三重項励起エネルギー(E)が低いため、ホスト材料に不向きと考えられてきた。
国際公開第2004/061047号公報 特開2001-172232号公報 特開2005-170911号公報 国際公開第2012/118164号公報 国際公開第2011/107186号公報 国際公開第2015/102118号公報 韓国出願公開第10-2019-0037174号公報
上述するように、有機EL素子に用いられる材料としては種々の化合物が開発されているが、有機EL素子用材料の選択肢を増やすために、従来とは異なる化合物からなる材料の開発が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ホウ素原子と酸素原子などで複数の芳香族環を連結した多環芳香族構造を、特定の連結基を介して多量体化合物にすることで、より優れた有機デバイス用材料となり得ることを見出し、本発明を完成させた。すなわち本発明は、以下のような多量体化合物、さらには当該多量体化合物を含む有機EL素子用材料などを提供する。
なお、本明細書において化学構造や置換基を炭素数で表すことがあるが、化学構造に置換基が置換した場合や、置換基にさらに置換基が置換した場合などにおける炭素数は、化学構造や置換基それぞれの炭素数を意味し、化学構造と置換基の合計の炭素数や、置換基と置換基の合計の炭素数を意味するものではない。例えば、「炭素数Xの置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「炭素数Xの置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。また例えば、「置換基Aで置換された炭素数Yの置換基B」とは、「炭素数Yの置換基B」に「(炭素数限定がない)置換基A」が置換することを意味し、炭素数Yは置換基Aおよび置換基Bの合計の炭素数ではない。
項1.
下記一般式(1)で表される、多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記一般式(1)中、
nは2〜10の整数であり、
Aは、下記一般式(2)
Figure 2021091644
で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基であって、
上記一般式(2)中、
A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−Rおよび前記Ge−RのRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>C(−R)または>Si(−R)であるが、XおよびXが共に>C(−R)となることはなく、前記>C(−R)および前記>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよく、
式(1)中の複数のAは、同じ構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよく、
また、式(1)中のLはn価の連結基であり、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびケイ素原子から選ばれる1つの原子から構成された基(I)、
炭素数6〜30の芳香族化合物、炭素数2〜30の複素環式化合物、炭素数1〜24の鎖式炭化水素化合物、炭素数3〜24の脂環式炭化水素化合物、アミン化合物およびケイ素化合物から選ばれる化合物からn個の水素を除いたn価の基(II)、もしくは、
基(I)および基(II)から選ばれる2種以上を組み合わせてなる基(III)であり、
連結基Lの少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよく、
ただし、連結基Lが、基(II)として、前記芳香族化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−a)である場合、基(ii−a)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されており、そして、
前記多量体化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
項2.
前記基(ii−a)は、下記一般式(ii−a1)〜式(ii−a6)のいずれかで表される芳香族化合物からn個の水素を除いたn価の基である、項1に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルであり、
p1〜p14は0以上の整数であって、1≦p1≦4、0≦p2≦4、0≦p3≦4、1≦p2+p3≦8、1≦p4+p5≦6、1≦p6+p7+p8≦8、1≦p9+p10+p11≦8、1≦p12+p13+p14≦8を満たす。)
項3.
連結基Lが、基(II)として、前記複素環式化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−b)である場合、基(ii−b)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されている、項1に記載の多量体化合物。
項4.
前記基(ii−b)は、下記一般式(ii−b1)〜式(ii−b2)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基である、項3に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルであり、
q1〜q4は0以上の整数であって、1≦q1+q2≦6、1≦q3+q4≦6を満たし、
は、それぞれ独立に、>O、>S、>Si(−R)または>N(−R)であり、Zは、それぞれ独立に、>O、>S、>C(−R)、>Si(−R)または>N(−R)であり、ZおよびZとして選択し得る、前記>C(−R)、前記>Si(−R)および前記>N(−R)のRは、それそれ独立して、水素、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルである。)
項5.
前記基(II)は、下記一般式(II−a)〜式(II−h)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基である、項1に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
また、式(II−a)〜式(II−h)中のベンゼン環に有する少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
項6.
前記基(II)は、下記一般式(II−1)〜式(II−22)のいずれかで表される鎖式炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物、アミン化合物もしくはケイ素化合物からn個の水素を除いたn価の基である、項1に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、m1は1〜24の整数、m2は1〜10の整数であり、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
また、式(II−8)〜式(II−15)および式(II−17)〜式(II−19)中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
項7.
前記基(III)は、下記一般式(III−1)〜式(III−18)のいずれかで表される基である、項1に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、*はAとの結合位置を示し、また、上記構造中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
項8.
連結基Lが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびケイ素原子から選ばれる1つの原子から構成された基(I)である、項1に記載の多量体化合物。
項9.
前記一般式(1)中のAは、下記一般式(3)で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基である、項1〜8のいずれか一項に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式(3)中、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11は、それぞれ、隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−Rおよび前記Ge−RのRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>C(−R)または>Si(−R)であるが、XおよびXが共に>C(−R)となることはなく、前記>C(−R)および前記>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよい。)
項10.
前記式(3)において、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリールであり、これらは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、
また、R〜R11は、それぞれ、隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共に、炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリールであり、これらは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置換されていてもよい、
項9に記載の多量体化合物。
項11.
前記式(3)において、YはBである、項9または10に記載の多量体化合物。
項12.
前記式(3)において、XおよびXは>Oである、項9〜11のいずれか一項に記載の多量体化合物。
項13.
前記式(1)において、nは2〜4の整数である、項1〜12のいずれか一項に記載の多量体化合物。
項14.
下記いずれかの化学構造式で表される、項1に記載の多量体化合物。
Figure 2021091644
(上記式中、Meはメチルを示す。)
項15.
項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物を含有する、有機デバイス用材料。
項16.
前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、項15に記載する有機デバイス用材料。
項17.
前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子の発光層用材料である、項15または16に記載する有機デバイス用材料。
項18.
項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種を含む、発光層形成用蒸着材料。
項19.
項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種、および溶媒を含む、発光層形成用組成物。
項20.
前記溶媒が、沸点130℃以上の有機溶剤を含む、項19に記載の発光層形成用組成物。
項21.
前記溶媒が、前記多量体化合物に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)を含む混合溶媒であり、前記良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が、前記貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低い、項19または20に記載の発光層形成用組成物。
項22.
陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層を有し、
前記発光層は、第1成分として、項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種を含む、有機電界発光素子。
項23.
前記発光層は、さらに第2成分として、下記一般式(4)〜式(7)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を含む、項22に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021091644
(上記一般式(4)中、
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
また、R〜R11のうちの隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、XおよびXは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよく、そして、
一般式(4)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
Figure 2021091644
(上記一般式(5)中、
〜R14は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
また、R〜R14のうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環、c環またはd環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
〜Xは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、X〜Xは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環、c環およびd環の少なくとも1つと結合していてもよく、そして、
一般式(5)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
Figure 2021091644
(上記式(6)中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、また、R、RおよびRのうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
は、それぞれ独立して、NまたはC−Rであり、前記C−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合していてもよく、
がNのとき、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合してもよく、
nは1以上の整数であり、そして、
式(6)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
Figure 2021091644
(上記式(7)中、
a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra31、Ra32、Ra33、Rb11、Rb12、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24、Rc11、Rc12、Rc31、Rc32、Rc33およびRc34は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
また、Ra11、Ra12、Ra13のうちの隣接する基同士が結合してa11環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra21、Ra22、Ra23のうちの隣接する基同士が結合してa21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra31、Ra32、Ra33のうちの隣接する基同士が結合してa31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24のうちの隣接する基同士が結合してb21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rc31、Rc32、Rc33、Rc34のうちの隣接する基同士が結合してc31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらの形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、

11、X12、X21、X22、X31およびX32は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により、前記a11環、a21環、a31環、b11環、b21環、c11環およびc31環の少なくとも1つと結合していてもよく、
式(7)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
項24.
前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、項23に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021091644
(上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
項25.
前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021091644
(上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
項26.
前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
(上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
項27.
前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
(上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
項28.
前記陰極と前記発光層との間に配置される、電子輸送層および電子注入層の少なくとも一方を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ボラン誘導体およびベンゾイミダゾール誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項22〜27のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
項29.
前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも一方は、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、項28に記載の有機電界発光素子。
項30.
請求項22〜29のいずれか一項に記載する有機電界発光素子を備えた、表示装置または照明装置。
本発明の好ましい態様によれば、例えば有機EL素子用材料として用いることができる、優れた多量体化合物を提供することができ、この多量体化合物を用いることで優れた有機EL素子等の有機デバイスを提供することができる。
具体的には、本発明者らは、芳香環をホウ素、リン、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ元素で連結した多環芳香族構造を、特定の連結基を介して、複数有する多量体化合物が、大きなHOMO−LUMOギャップ(薄膜におけるバンドギャップEg)と高い三重項励起エネルギー(E)を有することを見出した。これは、ヘテロ元素を含む6員環は芳香族性が低いため、共役系の拡張に伴うHOMO−LUMOギャップの減少が抑制されること、ヘテロ元素の電子的な摂動により三重項励起状態(T1)のSOMO1およびSOMO2が局在化することが原因となっていると考えられる。また、本発明に係るヘテロ元素を含有する多環芳香族系多量体化合物は、三重項励起状態(T1)におけるSOMO1およびSOMO2の局在化により、両軌道間の交換相互作用が小さくなるため、三重項励起状態(T1)と一重項励起状態(S1)のエネルギー差が小さく、熱活性型遅延蛍光を示すため、有機EL素子の蛍光材料としても有用である。また、高い三重項励起エネルギー(E)を有する材料は、燐光有機EL素子や熱活性型遅延蛍光を利用した有機EL素子の電子輸送層や正孔輸送層としても有用である。更に、これらの多量体化合物は、置換基の導入により、HOMOとLUMOのエネルギーを任意に動かすことができるため、イオン化ポテンシャルや電子親和力を周辺材料に応じて最適化することが可能である。加えて、前述の特許文献に記載されたような、芳香環同士を連結し平面性を高めた材料は、結晶性が高い傾向にあり、薄膜を形成する場合、凝集により、細孔が生じるなど欠陥が現れやすいという問題がある。一方で、これらの多量体化合物は、平面性の高さと結晶性の低さを両立した材料となり得る。
本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。 化合物(1−740)の吸収、蛍光および燐光スペクトルである。 化合物(1−67)の吸収、蛍光および燐光スペクトルである。 化合物(1−58)の吸収、蛍光および燐光スペクトルである。 化合物(1−56)の吸収、蛍光および燐光スペクトルである。 化合物(1−2−61)の吸収、蛍光および燐光スペクトルである。
1.多量体化合物
本発明の多量体化合物は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2021091644
上記一般式(1)中、nは2〜10の整数であり、2〜8の整数であることが好ましく、2〜6の整数であることがより好ましく、2〜4の整数であることがさらに好ましく、2が特に好ましい。
1−1.一般式(1)中の多環芳香族構造Aについて
上記一般式(1)中の多環芳香族構造Aは、下記一般式(2)で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基である。なお、本発明は、好ましくは、多環芳香族構造Aは、下記一般式(3)で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基である。なお、以降の説明で用いる全ての構造式中の各符号の定義は上述した定義と同じである。また、複数の多環芳香族構造Aは、同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Figure 2021091644
一般式(2)におけるA環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換基で置換されていてもよい。この置換基は、置換または無置換のアリール、置換または無置換のヘテロアリール、置換または無置換のジアリールアミノ、置換または無置換のジヘテロアリールアミノ、置換または無置換のアリールヘテロアリールアミノ(アリールとヘテロアリールを有するアミノ基)、置換または無置換のジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、置換または無置換のアルキル、置換または無置換のシクロアルキル、置換または無置換のアルコキシまたは置換または無置換のアリールオキシ(以上、「第1置換基」ともいう)が好ましい。これらの基が置換基を有する場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、「第2置換基」ともいう)があげられる。また、上記アリール環またはヘテロアリール環は、Y、XおよびXから構成される一般式(2)中央の縮合2環構造(以下、この構造を「D構造」とも言う)と結合を共有する5員環または6員環を有することが好ましい。
ここで、「縮合2環構造(D構造)」とは、一般式(2)の中央に示した、Y、XおよびXを含んで構成される2つの飽和炭化水素環が縮合した構造を意味する。また、「縮合2環構造と結合を共有する6員環」とは、例えば上記一般式(3)で示すように前記D構造に縮合したa環(ベンゼン環(6員環))を意味する。また、「(A環である)アリール環またはヘテロアリール環がこの6員環を有する」とは、この6員環だけでA環が形成されるか、または、この6員環を含むようにこの6員環にさらに他の環などが縮合してA環が形成されることを意味する。言い換えれば、ここで言う「6員環を有する(A環である)アリール環またはヘテロアリール環」とは、A環の全部または一部を構成する6員環が、前記D構造に縮合していることを意味する。「B環(b環)」、「C環(c環)」、また「5員環」についても同様の説明が当てはまる。
一般式(2)におけるA環(またはB環、C環)は、一般式(3)におけるa環とその置換基R〜R(またはb環とその置換基R〜R11、c環とその置換基R〜R)に対応する。すなわち、一般式(3)は、一般式(2)のA〜C環として「6員環を有するA〜C環」が選択された構造式に対応する。その意味で、一般式(3)の各環を小文字のa〜cで表した。
一般式(3)では、a環、b環およびc環の置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、第1置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、第2置換基である、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。したがって、一般式(3)で表される部分構造は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記式(3−1)および式(3−2)に示すように、部分構造を構成する環構造が変化する。各式中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(2)におけるそれぞれA環、B環およびC環に対応する。
Figure 2021091644
上記式(3−1)および式(3−2)中のA’環、B’環およびC’環は、一般式(3)で説明すれば、置換基R〜R11のうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがA’環、B’環およびC’環に変化した部分構造もある。また、上記式(3−1)および式(3−2)から分かるように、例えば、b環のRとc環のR、b環のR11とa環のR、c環のRとa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
上記式(3−1)や式(3−2)で表される部分構造は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環などが縮合して形成されるA’環(またはB’環またはC’環)を有する部分構造であり、形成されてできた縮合環A’(または縮合環B’または縮合環C’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環などである。
一般式(2)におけるYは、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−RおよびGe−RのRは、それぞれ独立して、水素、もしくは、第2置換基である、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。Yは、B、P、P=O、P=SまたはSi−Rが好ましく、BまたはP=Oがより好ましく、Bが特に好ましい。この説明は一般式(3)におけるYでも同じである。
一般式(2)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>C(−R)または>Si(−R)であるが、XおよびXが共に>C(−R)となることはない。なお、XおよびXは共に>Oであることが好ましい。
前記>C(−R)および前記>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、もしくは、第2置換基である、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよい。この説明は一般式(3)におけるXおよびXでも同じである。
ここで、一般式(2)における「前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよく」との規定は、一般式(3)では「前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよい」との規定に対応する。
この規定は、下記式(3−3−1)で表される、XやXが縮合環B’および縮合環C’に取り込まれた環構造を有する部分構造で表現できる。すなわち、例えば一般式(3)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるB’環(またはC’環)を有する化合物である。形成されてできた縮合環B’(または縮合環C’)は例えば9,10−ジヒドロアントラセン環、キサンテン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(3−3−2)や式(3−3−3)で表される、XおよびXの少なくとも1つが縮合環A’に取り込まれた環構造を有する部分構造でも表現できる。すなわち、例えば一般式(3)におけるa環であるベンゼン環に対してX(XおよびXの少なくとも1つ)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるA’環を有する部分構造である。形成されてできた縮合環A’は例えば9,10−ジヒドロアントラセン環、キサンテン環またはアクリジン環である。
Figure 2021091644
一般式(2)のA環、B環およびC環である「アリール環」としては、例えば、炭素数6〜30のアリール環があげられ、炭素数6〜16のアリール環が好ましく、炭素数6〜12のアリール環がより好ましく、炭素数6〜10のアリール環が特に好ましい。なお、この「アリール環」は、一般式(3)で規定された「R〜R11のうちの隣接する2つの基が互いに結合してa環、b環またはc環と共に形成されたアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となる。
具体的な「アリール環」としては、単環系であるベンゼン環、二環系であるビフェニル環、縮合二環系であるナフタレン環、三環系であるテルフェニル環(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環、縮合四環系であるトリフェニレン環、ピレン環、ナフタセン環、縮合五環系であるペリレン環、ペンタセン環などがあげられる。
一般式(2)のA環、B環およびC環である「ヘテロアリール環」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリール環があげられ、炭素数2〜25のヘテロアリール環が好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリール環がより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリール環がさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリール環が特に好ましい。また、「ヘテロアリール環」としては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などがあげられる。なお、この「ヘテロアリール環」は、一般式(3)で規定された「R〜R11のうちの隣接する2つの基が互いに結合してa環、b環またはc環と共に形成されたヘテロアリール環」に対応し、また、a環(またはb環、c環)がすでに炭素数6のベンゼン環で構成されているため、これに5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
具体的な「ヘテロアリール環」としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、1H−ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キナゾリン環、キノキサリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、プリン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、フェナジン環、フェナザシリン環、インドリジン環、フラン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ナフトベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトベンゾチオフェン環、ベンゾホスホール環、ジベンゾホスホール環、ベンゾホスホールオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、フラザン環、チアントレン環、インドロカルバゾール環、ベンゾインドロカルバゾール環およびベンゾベンゾインドロカルバゾール環などがあげられる。
上記「アリール環」または「ヘテロアリール環」における少なくとも1つの水素は、第1置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」で置換されていてもよいが、この第1置換基としての「アリール」や「へテロアリール」、「ジアリールアミノ」のアリール、「ジヘテロアリールアミノ」のヘテロアリール、「アリールヘテロアリールアミノ」のアリールとヘテロアリール、「ジアリールボリル」のアリール、および「アリールオキシ」のアリールとしては上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」から任意の1つの水素を除いて表される一価の基があげられる。
また第1置換基としての「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜30の直鎖アルキルまたは炭素数3〜30の分岐鎖アルキルがあげられる。炭素数1〜24のアルキル(炭素数3〜24の分岐鎖アルキル)が好ましく、炭素数1〜20のアルキル(炭素数3〜20の分岐鎖アルキル)がより好ましく、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)がさらに好ましく、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)がよりさらに好ましく、炭素数1〜5のアルキル(炭素数3〜5の分岐鎖アルキル)が特に好ましい。
具体的なアルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル(t−アミル)、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル(1,1,3,3−テトラメチルブチル)、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどがあげられる。
また、例えば、1−エチル−1−メチルプロピル、1,1−ジエチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1−エチル−1−メチルブチル、1,1,4−トリメチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,1−ジメチルオクチル、1,1−ジメチルペンチル、1,1−ジメチルヘプチル、1,1,5−トリメチルヘキシル、1−エチル−1−メチルヘキシル、1−エチル−1,3−ジメチルブチル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、1−ブチル−1−メチルペンチル、1,1−ジエチルブチル、1−エチル−1−メチルペンチル、1,1,3−トリメチルブチル、1−プロピル−1−メチルペンチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1,2,2−トリメチルプロピル、1−プロピル−1−メチルブチル、1,1−ジメチルヘキシルなどもあげられる。
また第1置換基としての「シクロアルキル」としては、炭素数3〜24のシクロアルキル、炭素数3〜20のシクロアルキル、炭素数3〜16のシクロアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキル、炭素数5〜10のシクロアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数5〜6のシクロアルキル、炭素数5のシクロアルキルなどが挙げられる。
具体的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、およびこれらの炭素数1〜5のアルキル(特にメチル)置換体や、ノルボルネニル、ビシクロ[1.0.1]ブチル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、ジアマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
また第1置換基としての「アルコキシ」としては、例えば、炭素数1〜24の直鎖または炭素数3〜24の分岐鎖のアルコキシがあげられる。炭素数1〜18のアルコキシ(炭素数3〜18の分岐鎖のアルコキシ)が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ(炭素数3〜12の分岐鎖のアルコキシ)がより好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ(炭素数3〜6の分岐鎖のアルコキシ)がさらに好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ(炭素数3〜5の分岐鎖のアルコキシ)が特に好ましい。
具体的なアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、t−アミルオキシ、n−ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、t−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1−メチルペンチルオキシ、4−メチル−2−ペンチルオキシ、3,3−ジメチルブトキシ、2−エチルブトキシ、n−ヘプチルオキシ、1−メチルヘキシルオキシ、n−オクチルオキシ、t−オクチルオキシ、1−メチルヘプチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、2−プロピルペンチルオキシ、n−ノニルオキシ、2,2−ジメチルヘプチルオキシ、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ、n−デシルオキシ、n−ウンデシルオキシ、1−メチルデシルオキシ、n−ドデシルオキシ、n−トリデシルオキシ、1−ヘキシルヘプチルオキシ、n−テトラデシルオキシ、n−ペンタデシルオキシ、n−ヘキサデシルオキシ、n−ヘプタデシルオキシ、n−オクタデシルオキシ、n−エイコシルオキシなどがあげられる。
また第1置換基の「ジアリールボリル」中の「アリール」としては、上述したアリールの説明を引用できる。また、この2つのアリールは単結合または連結基(例えば>C(−R)、>O、>Sまたは>N−R)を介して結合していてもよい。ここで、>C(−R)および>N−RのRは、それぞれ独立して、水素(>C(−R)のRに限る)、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ(以上、第1置換基)であり、当該第1置換基にはさらにアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキル(以上、第2置換基)が置換していてもよく、これらの基の具体例としては、上述した第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシの説明を引用できる。
第1置換基である、置換または無置換の「アリール」、置換または無置換の「ヘテロアリール」、置換または無置換の「ジアリールアミノ」、置換または無置換の「ジヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「アリールヘテロアリールアミノ」、置換または無置換の「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、置換または無置換の「アルキル」、置換または無置換の「シクロアルキル」、置換または無置換の「アルコキシ」、または、置換または無置換の「アリールオキシ」は、置換または無置換と説明されているとおり、それらにおける少なくとも1つの水素が第2置換基で置換されていてもよい。この第2置換基としては、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルがあげられ、それらの具体例としては、上述した「アリール環」または「ヘテロアリール環」から任意の1つの水素を除いて表される一価の基、また第1置換基としての「アルキル」または「シクロアルキル」の説明を参照することができる。また、第2置換基としてのアリールやヘテロアリールには、それらにおける少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリール(具体例は上述した基)やメチルなどのアルキル(具体例は上述した基)やシクロヘキシルなどのシクロアルキル(具体例は上述した基)で置換された基も第2置換基としてのアリールやヘテロアリールに含まれる。その一例としては、第2置換基がカルバゾリルの場合には、9位における少なくとも1つの水素がフェニルなどのアリールやメチルなどのアルキルやシクロヘキシルなどのシクロアルキルで置換されたカルバゾリルも第2置換基としてのヘテロアリールに含まれる。
一般式(3)のR〜R11におけるアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノのアリール、ジヘテロアリールアミノのヘテロアリール、アリールヘテロアリールアミノのアリールとヘテロアリール、ジアリールボリルのアリール、およびアリールオキシのアリールとしては、一般式(2)で説明した「アリール環」または「ヘテロアリール環」から任意の1つの水素を除いて表される一価の基があげられる。また、R〜R11におけるアルキル、シクロアルキルまたはアルコキシとしては、上述した一般式(2)の説明における第1置換基としての「アルキル」や「シクロアルキル」や「アルコキシ」の説明を参照することができる。さらに、これらの基への置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルも同様である。また、R〜R11のうちの隣接する2つの基が互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成した場合の、これらの環への置換基であるヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシ、および、さらなる置換基であるアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルについても同様である。
具体的には、第1置換基の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、第1置換基としては、好ましくは以下の構造式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表す。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(2)のYにおけるSi−RおよびGe−RのRは、それぞれ独立して、水素、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロアリール、置換されてもよいアルキルまたは置換されてもよいシクロアルキルであるが、このアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルとしては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。YにおけるSi−RおよびGe−RのRとしては、特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜5のアルキル(例えばメチル、エチル、t−アミルなど)、炭素数3〜16のシクロアルキル(例えばビシクロオクチル、アダマンチルなど)が好ましい。この説明は一般式(3)におけるYでも同じである。
一般式(2)のXおよびXにおける>C(−R)および>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであるが、このアリール、ヘテロアリール、アルキルおよびシクロアルキルとしては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。XおよびXにおける>C(−R)および>Si(−R)のRとしては、特に炭素数6〜10のアリール(例えばフェニル、ナフチルなど)、炭素数2〜15のヘテロアリール(例えばカルバゾリルなど)、炭素数1〜4のアルキル(例えばメチル、エチルなど)、炭素数3〜16のシクロアルキル(例えばビシクロオクチルやアダマンチル等)が好ましい。この説明は一般式(3)におけるXおよびXでも同じである。
1−2.一般式(1)中の連結基L について
一般式(1)中のLはn価の連結基であり、以下の基(I)、基(II)もしくは基(III)のいずれかである。
・基(I):酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびケイ素原子から選ばれる1つの原子から構成された基。
・基(II):炭素数6〜30の芳香族化合物、炭素数2〜30の複素環式化合物、炭素数1〜24の鎖式炭化水素化合物、炭素数3〜24の脂環式炭化水素化合物、アミン化合物およびケイ素化合物から選ばれる化合物からn個の水素を除いたn価の基。
・基(III):基(I)および基(II)から選ばれる2種以上を組み合わせてなる基。
なお、連結基Lの少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
ただし、連結基Lが有してもよいこれらの置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。つまり、置換基は連結基としての役割は担わない。例えば、基(II)であれば、前記芳香族化合物、前記複素環式化合物、前記鎖式炭化水素化合物、前記脂環式炭化水素化合物、前記アミン化合物および前記ケイ素化合物から選ばれる化合物のn個の水素に代えて、多環芳香族構造Aと連結するのであって、当該化合物が任意に有する置換基の水素に代えて多環芳香族構造Aと連結されることはない。
1−2−1.基(I)について
基(I)は、1つの原子から構成された基であり、当該原子の結合手は直接多環芳香族構造Aと結合する。つまり、基(I)において、1つの酸素原子から構成された基および1つの硫黄原子から構成された基は2価の連結基となり、2つの多環芳香族構造Aとそれぞれ直接結合する。同様に、1つの窒素原子から構成された基は3価の連結基となり、3つの多環芳香族構造Aとそれぞれ直接結合する。また、1つのケイ素原子から構成された基は4価の連結基となり、4つの多環芳香族構造Aとそれぞれ直接結合する。
基(I)としては、酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から選ばれる1つの原子から構成された基であることが好ましく、酸素原子から構成された基であることがより好ましい。
1−2−2.基(II)について
基(II)を構成する前記芳香族化合物の炭素数は、6〜30であるが、好ましくは6〜24、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12である。
基(II)を構成する前記芳香族化合物としては、例えば、単環系であるベンゼン、二環系であるビフェニル、縮合二環系であるナフタレン、三環系であるテルフェニル(m−テルフェニル、o−テルフェニル、p−テルフェニル)、縮合三環系である、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、縮合四環系であるトリフェニレン、ピレン、ナフタセン、縮合五環系であるペリレン、ペンタセンなどがあげられる。
ここで、連結基Lが、基(II)として、前記芳香族化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−a)である場合、基(ii−a)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換された基となる。つまり、連結基Lが1種の芳香族化合物に由来のn価の基(ii−a)である場合、基(ii−a)は置換基を有することを要する。なお、当該置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。基(ii−a)が置換基を有することで、平面性の高さと結晶性の低さを両立した材料となり得る。
ここで、基(ii−a)が有する置換基である「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
具体的な基(ii−a)としては、下記一般式(ii−a1)〜式(ii−a6)のいずれかで表される芳香族化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましく、下記一般式(ii−a1)、式(ii−a2)および式(ii−a5)のいずれかで表される芳香族化合物からn個の水素を除いたn価の基であることがより好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルである。各式中のRは、上述の基(ii−a)が有する置換基に対応する。そのため、各式中のRが多環芳香族構造Aと連結されることはない。Rとして選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
p1〜p14は0以上の整数であって、1≦p1≦4、0≦p2≦4、0≦p3≦4、1≦p2+p3≦8、1≦p4+p5≦6、1≦p6+p7+p8≦8、1≦p9+p10+p11≦8、1≦p12+p13+p14≦8を満たす。
基(II)を構成する前記複素環式化合物の炭素数は、2〜30であるが、好ましくは2〜25、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10である。また、当該複素環式化合物は、環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄、窒素およびケイ素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環構造を有する化合物などがあげられる。
基(II)を構成する前記複素環式化合物としては、例えば、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、アクリジン、フェノキサチイン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェナザシリン、インドリジン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、ナフトベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ナフトベンゾチオフェン、ベンゾホスホール、ジベンゾホスホール、ベンゾホスホールオキシド、ジベンゾホスホールオキシド、フラザン、チアントレン、インドロカルバゾール、ベンゾインドロカルバゾール、ベンゾベンゾインドロカルバゾールなどがあげられる。
連結基Lが、基(II)として、前記複素環式化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−b)である場合、基(ii−b)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていることが好ましい。つまり、連結基Lが1種の複素環式化合物に由来のn価の基(ii−b)である場合、基(ii−b)は置換基を有することが好ましい。なお、当該置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。基(ii−b)が置換基を有することで、平面性の高さと結晶性の低さを両立した材料となり得る。
ここで、基(ii−b)が有する置換基である「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
具体的な基(ii−b)としては、下記一般式(ii−b1)〜式(ii−b2)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルである。各式中のRは、上述の基(ii−b)が有する置換基に対応する。そのため、各式中のRが多環芳香族構造Aと連結されることはない。Rとして選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
q1〜q4は0以上の整数であって、1≦q1+q2≦6、1≦q3+q4≦6を満たす。
は、それぞれ独立に、>O、>S、>Si(−R)または>N(−R)であり、Zは、それぞれ独立に、>O、>S、>C(−R)、>Si(−R)または>N(−R)である。ZおよびZとして選択し得る、前記>C(−R)、前記>Si(−R)および前記>N(−R)のRは、それそれ独立して、水素、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルである。ここで、前記>C(−R)、前記>Si(−R)および前記>N(−R)のRとして選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。なお、ZおよびZとして選択し得る、前記>C(−R)、前記>Si(−R)および前記>N(−R)のRが水素である場合にはR(水素)に代えて多環芳香族構造AがRと結合するC、SiまたはNと連結される。一方、Rがアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルである場合には、当該Rが多環芳香族構造Aと連結されることはない。
連結基Lが、基(II)として、下記一般式(II−a)〜式(II−h)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基であってもよい。これらの中では、下記一般式(II−b)および式(II−e)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましく、下記一般式(II−b)で表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基であることがより好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。
また、式(II−a)〜式(II−h)中のベンゼン環に有する少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。なお、上記式中のRおよびベンゼン環が有してもよい置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。
また、上記式中のRおよびベンゼン環が有してもよい置換基である「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられ、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
上記式(II−c)〜式(II−h)において、2つのカルバゾール構造が結合する形態としては、1−1結合(一方のカルバゾールの1位と他方のカルバゾールの1位との結合、以下同じ)、1−2結合、1−3結合、1−4結合、2−2結合、2−3結合、2−4結合、3−3結合、および3−4結合から選ばれる結合形態であればよい。
基(II)を構成する前記鎖式炭化水素化合物の炭素数は、1〜24であるが、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜5である。
基(II)を構成する前記鎖式炭化水素化合物としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。また、前記鎖式炭化水素化合物は、アルカン等の飽和鎖式炭化水素化合物であってもよく、アルケンやアルキン等の不飽和鎖式炭化水素化合物であってもよい。
また、前記鎖式炭化水素化合物の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。なお、これらの置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。
具体的な飽和鎖式炭化水素化合物としては、アルカンである、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、イソブタン、s−ブタン、t−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、t−ペンタン、n−ヘキサン、1−メチルペンタン、4−メチル−2−ペンタン、3,3−ジメチルブタン、2−エチルブタン、n−ヘプタン、1−メチルヘキサン、n−オクタン、t−オクタン、1−メチルヘプタン、2−エチルヘキサン、2−プロピルペンタン、n−ノナン、2,2−ジメチルヘプタン、2,6−ジメチル−4−ヘプタン、3,5,5−トリメチルヘキサン、n−デカン、n−ウンデカン、1−メチルデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、1−ヘキシルヘプタン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−エイコサンなどがあげられる。
また、具体的な不飽和鎖式炭化水素化合物としては、アルケンである、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−2−ブテン、1,3−ペンタジエン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、アセチレン、プロピン、1−ブチン、2−ブチン、1,3−ブタジイン、1−ペンチン、2−ペンチン、1,3−ペンタジイン、1−ヘキシン、2−ヘキシン、3−ヘキシン、1,3−ヘキサジイン、1,4−ヘキサジインなどがあげられ、また、アルキンである、エチン(アセチレン)、プロピン(メチルアセチレン)、ブチン、ペンチン、ヘキシン、ペプチン、オクチン、ノニン、デシン、ウンデシン、ドデシン、トリデシン、イコシン、ヘンイコシン、ドコシンなどもあげられる。
これらの中でも、連結基Lが、基(II)として、下記一般式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される鎖式炭化水素化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、m1は1〜24の整数であり、好ましくは1〜18、より好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜10、よりさらに好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。
Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。なお、上記式中のRが多環芳香族構造Aと連結されることはない。また、上記式中のRとして選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては第2置換基としての上述する基があげられ、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
基(II)を構成する前記脂環式炭化水素化合物の炭素数は、3〜24であるが、好ましくは3〜18、より好ましくは3〜15、特に好ましくは5〜12である。
前記脂環式炭化水素化合物は、シクロアルカン等の飽和鎖式炭化水素化合物であってもよく、シクロアルケン等の不飽和鎖式炭化水素化合物であってもよい。
また、前記脂環式炭化水素化合物の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。なお、これらの置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。
具体的な飽和脂環式炭化水素化合物としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、ビシクロ[1.0.1]ブタン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、ビシクロ[2.0.1]ペンタン、ビシクロ[1.2.1]ヘキサン、ビシクロ[3.0.1]ヘキサン、ビシクロ[2.1.2]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、アダマンタン、ジアマンタン、デカヒドロナフタレン、デカヒドロアズレンなどがあげられる。
また、具体的な不飽和脂環式炭化水素化合物としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロブタジエン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ノルボルネンなどがあげられる。
これらの中でも、連結基Lが、基(II)として、下記一般式(II−8)〜式(II−15)のいずれかで表される脂環式炭化水素化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましい。
Figure 2021091644
なお、上記式(II−8)〜式(II−15)中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。なお、これらの置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。
基(II)を構成する前記アミン化合物は、アミノ構造を有する化合物であればよく、モノアミンやジアミンであってもよく、トリアミン等のポリアミンであってもよい。また、基(II)を構成する前記ケイ素化合物は、ケイ素原子Siを有する化合物であればよい。
これらの中でも、連結基Lが、基(II)として、下記一般式(II−16)〜式(II−19)のいずれかで表されるアミン化合物、および、下記一般式(II−20)〜式(II−22)のいずれかで表されるケイ素化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが好ましく、下記一般式(II−16)〜式(II−19)のいずれかで表されるアミン化合物からn個の水素を除いたn価の基であることがより好ましく、下記一般式(II−17)で表されるアミン化合物からn個の水素を除いたn価の基であることが特に好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、m2は1〜10の整数であり、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1〜3の整数、さらに好ましくは1〜2の整数である。
Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。また、式(II−17)〜式(II−19)中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。なお、これらの置換基が多環芳香族構造Aと連結されることはない。
1−2−3.基(III)について
基(III)は、基(I)および基(II)から選ばれる2種以上を組み合わせてなる基であり、その組み合わせは特に制限されず、例えば、以下の組み合わせからなる基があげられる。
・態様(i):2種以上の基(I)の組み合わせからなる基。
・態様(ii):2種以上の基(II)の組み合わせからなる基(例えば、後述の式(III−5)、式(III−8)、式(III−11)〜式(III−13)および式(III−16)で表される基)。
・態様(iii):少なくとも1種の基(I)と少なくとも1種の基(II)の組み合わせからなる基(例えば、後述の式(III−1)〜式(III−4)、式(III−6)、式(III−7)、式(III−9)、式(III−10)、式(III−14)、式(III−15)、式(III−17)および式(III−18)で表される基)。
なお、上記態様(ii)および態様(iii)において、選択される基(II)が基(ii−a)である場合、置換基は必ずしも有さなくてもよい。つまり、連結基Lが、基(ii−a)のみから構成される場合には、当該基(ii−a)は置換基を有する必要があったが、上記態様(ii)および態様(iii)として、基(ii−a)が選択された場合には、置換基を有する必要はない。同様に、基(II)が基(ii−b)である場合も置換基は必ずしも有さなくてもよい。
これらの中でも、連結基Lが、基(III)として、下記一般式(III−1)〜式(III−18)のいずれかで表される基であることが好ましい。
Figure 2021091644
上記式中、*はAとの結合位置を示し、また、上記構造中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。これらの「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」としては、第2置換基としての上述する基があげられる。また、これらの基に置換し得る置換基としては、例えばアルキル(例えば炭素数1〜5のアルキル)またはシクロアルキル(例えば炭素数3〜16のシクロアルキル)があげられる。
1−3.多量体化合物の具体例
一般式(1)において、連結基Lと多環芳香族構造Aとの結合箇所は任意である。具体的な結合箇所は、後述する具体的化合物において例示する。
また、本発明の多量体化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、多環芳香族構造Aを示す式(2)においては、A環、B環、C環(A〜C環はアリール環またはヘテロアリール環)、A〜C環への置換基、YがSi−RまたはGe−RであるときのR(=アルキル、アリール、シクロアルキル)、ならびに、XおよびXが>C(−R)または>Si(−R)あるときのR(=アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル)における水素が置換されうるが、これらの中でもアリールやヘテロアリールにおける全てまたは一部の水素が置換された態様が挙げられる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素である。
本発明の多量体化合物のさらに具体的な例としては、例えば以下の化学構造式で表される化合物があげられる。なお、化学構造式中、Meはメチルである。
Figure 2021091644
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本発明の多量体化合物は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物(この高分子化合物を得るための前記モノマーは重合性置換基を有する)、もしくは当該高分子化合物をさらに架橋させた高分子架橋体(この高分子架橋体を得るための前記高分子化合物は架橋性置換基を有する)、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物(このペンダント型高分子化合物を得るための前記反応性化合物は反応性置換基を有する)、もしくは当該ペンダント型高分子化合物をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体(このペンダント型高分子架橋体を得るための前記ペンダント型高分子化合物は架橋性置換基を有する)としても、有機デバイス用材料、例えば、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料に用いることができる。
上述した反応性置換基(前記重合性置換基、前記架橋性置換基、および、ペンダント型高分子を得るための反応性置換基を含み、以下、単に「反応性置換基」とも言う)としては、上記多環芳香族化合物を高分子量化できる置換基、そのようにして得られた高分子化合物をさらに架橋化できる置換基、また、主鎖型高分子にペンダント反応し得る置換基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Figure 2021091644
Lは、それぞれ独立して、単結合、>O、>S、>C=O、−O−C(=O)−、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数1〜12のオキシアルキレンおよび炭素数1〜12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS−1)、式(XLS−2)、式(XLS−3)、式(XLS−9)、式(XLS−10)または式(XLS−17)で表される基が好ましく、式(XLS−1)、式(XLS−3)または式(XLS−17)で表される基がより好ましい。
このような高分子化合物、高分子架橋体、ペンダント型高分子化合物およびペンダント型高分子架橋体(以下、単に「高分子化合物および高分子架橋体」とも言う)の用途の詳細については後述する。
1−4.一般式(1)で表される多量体化合物の製造方法
本発明の多量体化合物は、一般式(2)や一般式(3)で表される多環芳香族構造Aに相当する多環芳香族化合物を製造した後に、少なくとも2つの多環芳香族化合物を公知の方法により、連結基Lとなる化合物で結合するか、多環芳香族化合物を形成するための複数の中間体を、連結基Lとなる化合物と結合しておき、この連結基Lで結合した複数の中間体部分を多環芳香族構造Aとすることで製造することができる。
一般式(2)や(3)で表される多環芳香族構造Aに相当する多環芳香族化合物の製造方法は既に公知であり、国際公開第2015/102118号公報(特許文献6)に記載の方法を参考にすることができる。以下に、基本的な製造方法を説明する。多環芳香族化合物は、基本的には、まずA環(a環)とB環(b環)およびC環(c環)とを結合基(XやXを含む基)で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合基(Yを含む基)で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えばエーテル化反応であれば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的反応が利用でき、アミノ化反応で有ればブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的反応が利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応、以下同様)が利用できる。
第2反応は、下記スキーム(1)や(2)に示すように、A環(a環)、B環(b環)およびC環(c環)を結合するYを導入する反応であり、例としてYがホウ素原子、XおよびXが>N−Rの場合を以下に示す。まず、XとXの間の水素原子をn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム等でオルトメタル化する。次いで、三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等を加え、リチウム−ホウ素の金属交換を行った後、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等のブレンステッド塩基を加えることで、タンデムボラフリーデルクラフツ反応させ、目的物を得ることができる。第2反応においては反応を促進させるために三塩化アルミニウム等のルイス酸を加えてもよい。
Figure 2021091644
上述の製造法を適宜選択し、使用する原料も適宜選択することで、所望の位置に置換基を有し、Yがホウ素原子、XおよびXが>N−Rである多環芳香族化合物を製造することができる。また、XおよびXが>O、>Sまたは>Seである化合物についても、原料を適宜変更することで同様に製造することができる。
が、リンスルフィド(P=S)、リンオキサイド(P=O)またはリン原子(P)である化合物については、スキーム(1)や(2)において三塩化ホウ素や三臭化ホウ素等の代わりに、三塩化リン(PCl)および硫黄(S)を反応させることで、Yがリンスルフィドである化合物を得ることができる。また、得られたリンスルフィド化合物をm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)で処理することでYがリンオキサイドである化合物を得ることができ、トリエチルホスフィンで処理することでYがリン原子である化合物を得ることができる。
また、Yが、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rである化合物についても、原料を適宜変更することで同様に製造することができる。
以上のようにして製造した一般式(2)や一般式(3)で表される多環芳香族構造Aに相当する多環芳香族化合物を、連結基Lとなる化合物と結合する方法は、公知の方法を利用することができる。また、多環芳香族化合物を形成するための中間体の段階において連結基Lとなる化合物と結合する方法についても、公知の方法を利用することができる。
また、本発明の多量体化合物には、少なくとも一部の水素原子がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されている化合物も含まれるが、このような化合物は所望の箇所がシアノ化、ハロゲン化、または重水素化された原料を用いることで、上記と同様に製造することができる。
2.有機デバイス用材料
本発明の多量体化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイス材料としては、例えば、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料などがあげられる。これらの中でも、本発明の多量体化合物は、有機電界発光素子の発光層用材料として用いられることが好ましい。
本発明の多量体化合物を発光層用材料として用いる場合、当該多量体化合物の少なくとも1種を含む、蒸着法に使用される発光層形成用蒸着材として用いてもよく、当該多量体化合物の少なくとも1種および溶媒を含む、湿式成膜法に使用される発光層形成用組成物としてもよい。発光層形成用組成物の詳細は後述する。
3.有機デバイス
本発明の多量体化合物は、有機デバイス用材料として用いることができる。有機デバイスとしては、例えば、有機電界発光素子、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などが挙げられる。
3−1.有機電界発光素子
本発明の多量体化合物は、例えば、有機電界発光素子の材料として用いることができる。
具体的な有機電界発光素子(以下「有機EL素子」ともいう)としては、陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層を有し、前記発光層は、第1成分として、上述の本発明に係る多量体化合物の少なくとも1種を含む構成があげられる。さらに当該発光層には、第2成分であるホウ素を含有する多環芳香族化合物をドーパントとして含むことが好ましい。当該構成において、第1成分である本発明に係る多量体化合物はホストとしての役割を担う。
ここで、第2成分としては、遅延蛍光体であっても非遅延蛍光体であってもよく、遅延蛍光体が好ましく、熱活性化型遅延蛍光体がより好ましい。
「熱活性化型遅延蛍光体」とは、熱エネルギーを吸収して励起三重項状態から励起一重項状態への逆項間交差を起こし、その励起一重項状態から放射失活して遅延蛍光を放射しうる化合物のことを意味する。ただし、「熱活性化型遅延蛍光」とは、励起三重項状態から励起一重項状態への励起過程で高次三重項を経るものも含む。
例えば、Durham大学のMonkmanらによる論文(NATURE COMMUNICATIONS,7:13680,DOI: 10.1038/ncomms13680)、産業技術総合研究所の細貝らによる論文(Hosokai et al., Sci. Adv. 2017;3: e1603282)、京都大学の佐藤らによる論文(Scientific Reports,7:4820, DOI:10.1038/s41598-017-05007-7)および、同じく京都大学の佐藤らによる学会発表(日本化学会第98春季年会、発表番号:2I4-15、DABNAを発光分子として用いた有機ELにおける高効率発光の機構、京都大学大学院工学研究科)などが挙げられる。本発明では、対象化合物を含むサンプルについて、300Kで蛍光寿命を測定したとき、遅い蛍光成分が観測されたことをもって該対象化合物が「熱活性化型遅延蛍光体」であると判定することとする。ここで、遅い蛍光成分とは、蛍光寿命が0.1μsec以上であるもののことを言う。蛍光寿命の測定は、例えば蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス社製、C11367−01)を用いて行うことができる。
第2成分であるホウ素原子を含有する多環芳香族化合物は、分子軌道計算より、励起三重項状態から励起一重項状態への順方向および逆方向の項間交差に関与する励起三重項エネルギーが、リン光スペクトルにより観測される励起三重項エネルギーではなく、より高次の励起三重項エネルギーである可能性が指摘されている(日本化学会第98春季年会、発表番号:2I4-15、DABNAを発光分子として用いた有機ELにおける高効率発光の機構、京都大学大学院工学研究科の佐藤徹教授による発表)。発表によれば、ホウ素原子を分子中に有するDABNA2での逆項間交差は高次三重項軌道を用いるFvHT(Fluorescence via Higher Triplet)機構であり、高次三重項軌道から基底状態への遷移が抑えられているために高次三重項軌道より励起一重項軌道への遷移が起きることが示唆されている。
第2成分の蛍光スペクトルの短波長側のピークトップより求められる励起一重項エネルギー準位をE(2,S,PT)、第2成分の燐光スペクトルの短波長側のピークトップより求められる励起三重項エネルギー準位をE(2,T,PT)としたとき、これらから求められる一重項三重項エネルギー差(ΔE(2,ST,PT))が以下の関係にあることが好ましい。
ΔE(2,ST,PT)=E(2,S,PT)−E(2,T,PT)≦0.20eV
つまり、第2成分においては、TADF活性の指標としてΔE(ST)の大きさを用いる。ΔE(ST)が小さければ小さいほどTADF活性を示すには有利になる。
ここで、ΔE(2,ST,PT)は、好ましくは0.20eV以下であり、より好ましくは0.15eV以下であり、さらに好ましくは0.10eV以下である。
逆項間交差速度
逆項間交差速度は、励起三重項から励起一重項への逆項間交差の速度を示す。第2成分の逆項間交差速度は、過渡蛍光分光測定により、Nat. Commun. 2015, 6, 8476.またはOrganic Electronics 2013, 14, 2721-2726に記載の方法を用いて算出することができ、具体的には、アシスティングドーパントの逆項間交差速度は、好ましくは10−1以上であり、より好ましくは10−1以上である。
発光速度
発光速度は、TADF過程を経ないで励起一重項から基底状態へ蛍光発光を経て遷移する速度を示す。第2成分の発光速度は、逆項間交差速度と同様にNat. Commun. 2015, 6, 8476.またはOrganic Electronics 2013, 14, 2721-2726に記載の方法を用いて算出することができ、具体的には、第2成分の逆項間交差速度は、好ましくは10−1以上であり、より好ましくは、10−1以上である。
ドーパントである多環芳香族化合物としては、式(1)で表される多量体化合物以外の化合物であればよいが、以下、好適な多環芳香族化合物について詳述する。
3−1−2.一般式(4)で表される多環芳香族化合物
第2成分であるドーパントの一態様としては、下記一般式(4)で表される多環芳香族化合物が好ましい。
Figure 2021091644
上記式(4)において、R〜R11(以下、「R等」ともいう)は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
また、R〜R11のうちの隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、XおよびXは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよい。
そして、一般式(4)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
等の第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「アルコキシ」および「アリールオキシ」、ならびに、当該第1置換基に置換し得る第2置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのこれらの基の説明を引用することができる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜5のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−アミルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリi−プロピルシリル、トリブチルシリル、トリsec−ブチルシリル、トリt−ブチルシリル、トリt−アミルシリル、エチルジメチルシリル、プロピルジメチルシリル、i−プロピルジメチルシリル、ブチルジメチルシリル、sec−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−アミルジメチルシリル、メチルジエチルシリル、プロピルジエチルシリル、i−プロピルジエチルシリル、ブチルジエチルシリル、sec−ブチルジエチルシリル、t−ブチルジエチルシリル、t−アミルジエチルシリル、メチルジプロピルシリル、エチルジプロピルシリル、ブチルジプロピルシリル、sec−ブチルジプロピルシリル、t−ブチルジプロピルシリル、t−アミルジプロピルシリル、メチルジi−プロピルシリル、エチルジi−プロピルシリル、ブチルジi−プロピルシリル、sec−ブチルジi−プロピルシリル、t−ブチルジi−プロピルシリル、t−アミルジi−プロピルシリルなどがあげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、トリシクロペンチルシリル、トリシクロヘキシルシリルなどがあげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「ジアルキルシクロアルキルシリル」としては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したシリル基であり、「アルキルジシクロアルキルシリル」としては、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したシリル基である。これらの具体例としては、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」および「シクロアルキル」から選択される基が置換したシリルがあげられる。
具体的には、R等(第1置換基)の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、一般式(4)中のR〜R11の少なくとも1つは、好ましくは以下の式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。また、合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表す。
Figure 2021091644
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Figure 2021091644
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一般式(4)におけるR〜R11のうちの隣接する基同士は結合してa環、b環およびc環の少なくとも1つと共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、一般式(4)で表される多環芳香族化合物は、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記一般式(4−L1)および下記一般式(4−L2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中の符号の定義は一般式(4)の定義と同じである。
Figure 2021091644
式(4−L1)および式(4−L2)中のa’環、b’環およびc’環は、置換基R〜R、置換基R〜R11および置換基R〜Rのうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがa’環、b’環およびc’環に変化した化合物もある。また、式(4−L1)および式(4−L2)から分かるように、例えば、a環のRとc環のR、b環のR11とa環のRなどは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。つまり、b環のRおよびc環のRは隣接する基と結合することはなく、形成された上記アリール環またはヘテロアリール環の一部を構成することはない。
形成された「アリール環」(a’環、b’環またはc’環)または「ヘテロアリール環」(a’環、b’環またはc’環)は、上述した第1置換基としてのアリールまたはヘテロアリールの、無価の環である。ただし、a’環(またはb’環またはc’環)の一部を構成するa環(またはb環またはc環)がすでに炭素数6のベンゼン環であるため、「アリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となり、「ヘテロアリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
式(4−L1)や式(4−L2)で表される化合物は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対して例えばベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるa’環(またはb’環またはc’環)を有する化合物であり、形成された縮合環a’(または縮合環b’または縮合環c’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
形成されたアリール環またはヘテロアリール環に置換する、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)、ならびに、当該第1置換基にさらに置換し得るアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)としては、上述したR等(第1置換基)および上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアリールオキシ、ならびに、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としてのトリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリルの説明を引用できる。
一般式(4)におけるXおよびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、XおよびXは、同時に>C(−R)になることはない。
およびXは、共に>Oであるか、共に>N−Rであるか、もしくは、一方が>Oであり他方が>N−Rであることが好ましく、共に>Oであるか、もしくは、共に>N−Rがより好ましく、共に>N−Rであることがさらに好ましい。
なお、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、当該アリール、当該ヘテロアリール、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの説明を引用できる。
また、これらに置換し得る置換基としては、上述の第2置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよい。
この規定は、下記式(4−L3)で表される、例えば、XおよびXが縮合環b’および縮合環c’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(4)におけるb環(またはc環)であるベンゼン環に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるb’環(またはc’環)を有する化合物である。形成された縮合環b’(または縮合環c’)は例えばX(またはX)が>N−Rである場合にはフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(4−L4)や式(4−L5)で表される、XもしくはXおよびXが縮合環a’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(4)におけるa環であるベンゼン環に対してXもしくはXおよびXがを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるa’環を有する化合物である。形成された縮合環a’は例えばX(またはX)が>N−Rである場合にはフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。なお、式(4−L3)〜式(4−L5)における各符号は式(4)における定義と同じである。
Figure 2021091644
また、一般式(4)で表される多環芳香族化合物の化学構造中の少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、一般式(4)においては、a環、b環、c環、これらの環への置換基、ならびに、XおよびXが>N−Rまたは>C(−R)であるときのRにおける少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されうる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
一般式(4)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物があげられる。
Figure 2021091644
上記式(4−a)〜式(4−aa)で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。当該アリール、当該ヘテロアリール、当該ジアリールアミノ、当該ジヘテロアリールアミノ、当該アリールヘテロアリールアミノ、当該ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての各基の説明を引用できる。また、当該トリアルキルシリル、当該トリシクロアルキルシリル、当該ジアルキルシクロアルキルシリルおよび当該アルキルジシクロアルキルシリルは、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としての各基の説明を引用できる。
より具体的な一般式(4)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、以下に示す化合物があげられる。ただし、化学構造式中、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「D」は重水素である。
Figure 2021091644
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Figure 2021091644
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Figure 2021091644
Figure 2021091644
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Figure 2021091644
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Figure 2021091644
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一般式(4)で表される多環芳香族化合物は、国際公開第2015/102118号公報に記載された製造方法に従って製造することができる。また、上記式(1)で表される多量体化合物の製造方法を参考にして、第1反応においてエーテル化反応ではなく、ブッフバルト−ハートウィッグ反応などの一般的アミノ化反応を用いて製造することができる。
3−1−2.一般式(5)で表される多環芳香族化合物
第2成分であるドーパントの一態様として、下記一般式(5)で表される多環芳香族化合物が好ましい。なお、一般式(5)で表される多環芳香族化合物は、上述した一般式(4)で表される単位構造を2つ有する多環芳香族化合物の2量体に該当する。
Figure 2021091644
上記式(5)中、R〜R14(以下、「R等」ともいう)は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
また、R〜R14のうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環、c環またはd環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
〜Xは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、X〜Xは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環、c環およびd環の少なくとも1つと結合していてもよい。
そして、一般式(5)で表される化合物における少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
等の第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「アルコキシ」および「アリールオキシ」、ならびに、当該第1置換基に置換し得る第2置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのこれらの基の説明を引用することができる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜5のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−アミルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「ジアルキルシクロアルキルシリル」としては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したシリル基であり、「アルキルジシクロアルキルシリル」としては、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したシリル基である。これらの具体例としては、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」および「シクロアルキル」から選択される基が置換したシリルがあげられる。
具体的には、R等(第1置換基)の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、一般式(5)中のR〜R14の少なくとも1つは、好ましくは以下の式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。また、合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表す。
Figure 2021091644
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一般式(5)におけるR〜R14のうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環、c環またはd環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。一般式(5)で表される多環芳香族化合物は、例えば、b環およびd環における置換基の相互の結合形態によって、下記一般式(5−L1)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。式(5−L1)中のb’環およびd’環は、一般式(5)におけるそれぞれb環およびd環に対応する。また、式(5−L1)中の各符号の定義は一般式(5)における符号と同じである。
Figure 2021091644
上記式(5−L1)中のb’環およびd’環は、b環の置換基R〜R11およびd環の置換基R〜Rのうちの隣接する基同士が結合して、それぞれb環およびd環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(b環またはd環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。
また、上記式(5−L1)から分かるように、式(5)におけるb環のRとd環のRは「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
なお、a環の置換基R12〜R14およびc環の置換基R〜Rのうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環およびc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成してもよく、結合した場合には上記b’環およびd’環と同様に環構造が変化することになる。
形成された「アリール環」(b’環またはd’環)または「ヘテロアリール環」(b’環またはd’環)は、上述した第1置換基としてのアリールまたはヘテロアリールの、無価の環である。ただし、b’環またはc’環の一部を構成するb環またはc環がすでに炭素数6のベンゼン環であるため、「アリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となり、「ヘテロアリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
式(5−L1)で表される化合物は、b環またはd環であるベンゼン環に対して例えばベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるb’環またはd’環を有する化合物であり、形成された縮合環b’または縮合環d’はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
形成されたアリール環またはヘテロアリール環に置換する、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)、ならびに、当該第1置換基にさらに置換し得るアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)としては、上述したR等(第1置換基)および上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアリールオキシ、ならびに、上述した式(5)におけるR等の第1置換基としてのトリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリルの説明を引用できる。
一般式(5)におけるX〜Xは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、X〜Xは、同時に>C(−R)になることはない。
なお、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、当該アリール、当該ヘテロアリール、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの説明を引用できる。
また、これらに置換し得る置換基としては、上述の第2置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環、c環およびd環の少なくとも1つと結合していてもよい。
この規定は、下記式(5−L2)で表される、XおよびXが縮合環b’および縮合環d’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(5)におけるb環(またはd環)であるベンゼン環に対してX(またはX)を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるb’環(またはd’環)を有する化合物である。
形成された縮合環b’(または縮合環d’)は例えばカルバゾール環、フェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環などである。なお、式(5−L2)中の各符号の定義は一般式(5)における定義と同じである。
また、縮合環b’および縮合環d’と同様に、XおよびXについても、a環またはc環であるベンゼン環に対してXまたはXを取り込むようにして他の環が縮合して形成された環構造を有する化合物とすることができる。
Figure 2021091644
一般式(5)におけるRおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、炭素数2〜15のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただしアリールは炭素数6〜12のアリール)またはジアリールボリル(ただしアリールは炭素数6〜12のアリールであり、2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであることが好ましく、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3〜14のシクロアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであることがより好ましい。
なお、これらの置換基は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノまたはジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、ならびに、上述した式(5)における第1置換基としてのトリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリルの説明を引用できる。
また、一般式(5)で表される多環芳香族化合物の化学構造中の少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、一般式(5)においては、a環、b環、c環、d環、これらの環への置換基、X〜Xが>N−Rまたは>C(−R)であるときのRにおける少なくとも1つの水素がシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されうる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
一般式(5)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物があげられる。
Figure 2021091644
上記式(5−a)〜式(5−q)で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。当該アリール、当該ヘテロアリール、当該ジアリールアミノ、当該ジヘテロアリールアミノ、当該アリールヘテロアリールアミノ、当該ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての各基の説明を引用できる。また、当該トリアルキルシリル、当該トリシクロアルキルシリル、当該ジアルキルシクロアルキルシリルおよび当該アルキルジシクロアルキルシリルは、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としての各基の説明を引用できる。
より具体的な一般式(5)で表される多環芳香族化合物としては、国際公開第2018/212169号公報の明細書に記載の化合物があげられ、以下に示す化合物が好ましい。ただし、化学構造式中、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチルである。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(5)で表される多環芳香族化合物は、国際公開第2015/102118号公報に記載された製造方法を応用する、および上記式(2)および式(3)で表される多環芳香族構造Aの製造方法を参考にして製造することができる。
一般式(5)で表される多環芳香族化合物は、基本的には、それぞれの環構造同士で結合させることで中間体を製造し(第1反応)、その後に、それぞれの環構造をホウ素原子で結合させることで最終生成物を製造することができる(第2反応)。第1反応では、例えば、求核置換反応、ウルマン反応といった一般的なエーテル化反応や、ブッフバルト−ハートウィッグ反応といった一般的なアミノ化反応などが利用できる。また、第2反応では、タンデムヘテロフリーデルクラフツ反応(連続的な芳香族求電子置換反応)が利用できる。
3−1−3.一般式(6)で表される多環芳香族化合物
第2成分であるドーパントの一態様として、下記一般式(6)で表される多環芳香族化合物が好ましい。なお、一般式(6)で表される多環芳香族化合物は、上述した一般式(4)で表される単位構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体に該当する。
Figure 2021091644
上記式(6)中、R、RおよびR(以下、「R等」ともいう)は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
また、R、RおよびRのうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
は、それぞれ独立して、NまたはC−Rであり、前記C−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。
は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合していてもよい。
また、XがNのとき、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合してもよい。
nは1以上の整数である。
そして、一般式(6)で表される化合物における少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
等の第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「アルコキシ」および「アリールオキシ」、ならびに、当該第1置換基に置換し得る第2置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのこれらの基の説明を引用することができる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜5のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−アミルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
等の第1置換基および第2置換基としての「ジアルキルシクロアルキルシリル」としては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したシリル基であり、「アルキルジシクロアルキルシリル」としては、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したシリル基である。これらの具体例としては、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」および「シクロアルキル」から選択される基が置換したシリルがあげられる。
具体的には、R等(第1置換基)の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、一般式(6)中の複数のR、RおよびRの少なくとも1つは、好ましくは以下の式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。また、合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表す。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(6)において、a環、b環およびc環の置換基R、RおよびRのうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。一般式(6)で表される多環芳香族化合物は、例えば、a環、b環およびc環における置換基の相互の結合形態によって、下記一般式(6−L1)および下記一般式(6−L2)に示すように、化合物を構成する環構造が変化する。各式中の符号の定義は一般式(6)の定義と同じである。
Figure 2021091644
式(6−L1)および式(6−L2)中のa’環、b’環およびc’環は、置換基R、RおよびRのうちの隣接する基同士が結合して、それぞれa環、b環およびc環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す(a環、b環またはc環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる)。なお、式では示してはいないが、a環、b環およびc環の全てがa’環、b’環およびc’環に変化した化合物もある。また、式(6−L1)および式(6−L2)から分かるように、a環のRとb環のR、b環のRとc環のR、c環のRとa環のR、また異なるa環のR同士(異なるb環のR同士、異なるc環のR同士)は「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
形成された「アリール環」(a’環、b’環またはc’環)または「ヘテロアリール環」(a’環、b’環またはc’環)は、上述した第1置換基としてのアリールまたはヘテロアリールの、無価の環である。ただし、a’環(またはb’環またはc’環)の一部を構成するa環(またはb環またはc環)がすでに炭素数6のベンゼン環であるため、「アリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となり、「ヘテロアリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
式(6−L1)や式(6−L2)で表される化合物は、例えばa環(またはb環またはc環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるa’環(またはb’環またはc’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環a’(または縮合環b’または縮合環c’)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
形成されたアリール環またはヘテロアリール環に置換する、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)、ならびに、当該第1置換基にさらに置換し得るアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)としては、上述したR等(第1置換基)および上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアリールオキシ、ならびに、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としてのトリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリルの説明を引用できる。
一般式(6)におけるXは、それぞれ独立して、NまたはC−Rであり、前記C−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルである。C−Rの場合には、a環およびb環と結合する原子はCである。XはNが特に好ましい。
一般式(6)におけるXは、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリル(ただし、2つのXが>N−Rである場合には、置換シリル以外の置換基が好ましい)であり、前記>C(−R)のRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリル(ただし、2つのXが>N−Rである場合には、置換シリル以外の置換基が好ましい)であり、前記>N−RのRおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−、−C(−R)−または−Si(−R)−が好ましい。なお、前記「−C(−R)−」または前記「−Si(−R)−」のRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリル(ただし、2つのXが>N−Rである場合には、置換シリル以外の置換基が好ましい)である。
特に、2つのXが>N−Rである化合物、2つのXが>Oである化合物、および一方のXが>N−Rで他方のXが>Oである化合物がより好ましく、2つのXが>Oである化合物がさらに好ましい。
としての前記「C−R」のR、Xとしての前記「>N−R」および「>C(−R)」のR、ならびに、連結基としての前記「−C(−R)−」および「−Si(−R)−」のRについて、選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの説明を引用でき、「置換シリル」としては、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル等があげられ、これらは式(4)における第1置換基としての説明を引用できる。
また、これらに置換し得る置換基としては、上述の第2置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
ここで、一般式(6)における「>N−RのRおよび>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合している」との規定は、下記式(6−L3)で表される、Xが縮合環c’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。すなわち、例えば一般式(6)におけるc環であるベンゼン環に対してXを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるc’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環c’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
また、上記規定は、下記式(6−L4)で表される、Xが縮合環a’に取り込まれた環構造を有する化合物でも表現できる。すなわち、例えば一般式(6)におけるa環であるベンゼン環に対してXを取り込むようにして他の環が縮合して形成されるa’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環a’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
なお、下記式中の符号の定義は特に断りがない限り上述した定義と同じである。
Figure 2021091644
一般式(6)において、XがNのとき、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合していてもよく、このように結合する場合には、全ての隣接する2つのA環同士が単結合により結合していることが好ましい。「一部または全て」とは、nが2以上の場合には、a環が3以上となって、隣接する2つのa環同士は2箇所以上存在することになるため、この複数箇所における「一部の箇所」または「全ての箇所」を意味する。
以下は、一般式(6)において、XがNのとき、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合した構造式の例を示している。各構造式中の各符号は上述した定義と同じであり、RおよびR、一部のRは省略している。
Figure 2021091644
一般式(6)におけるnは、1以上の整数であるが、1〜10の整数、1〜5の整数、1〜3の整数、もしくは、1または2であってもよい。これらの中でも、nとしては、好ましくは1または2であり、特に好ましくは1である。
一般式(6)においてnが1の場合には、例えば以下の構造があげられる。各構造式中の各符号は上述した定義と同じであり、R、RおよびR、さらに>N−RのR(式中ではフェニル基)への置換基は省略している。また、以下の例では、XがN、Xが>Oまたは>N−Rの例を示したが、他の選択肢の組み合わせも同様に存在する。また、隣接する2つのa環同士(nが1の場合には「全ての隣接する2つのa環同士」)が単結合により結合した例も同様に存在する。
Figure 2021091644
以下は、>N−RのR(式中ではフェニル基)がc環(a環でもよい)と結合した例を示している。結合のための連結基としては単結合または−O−を示したが、その他の選択肢も同様に存在する。
Figure 2021091644
一般式(6)においてnが2の場合には、例えば以下の構造があげられる。各構造式中の各符号は上述した定義と同じであり、R、RおよびR、さらに>N−RのR(式中ではフェニル基)への置換基は省略している。また、以下の例では、XがN、Xが>Oまたは>N−Rの例を示したが、他の選択肢の組み合わせも同様に存在する。また、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合した例も同様に存在する。
Figure 2021091644
以下は、>N−RのR(式中ではフェニル基)がc環(a環でもよい)と結合した例を示している。結合のための連結基としては単結合または−O−を示したが、その他の選択肢も同様に存在する。
Figure 2021091644
また、一般式(6)で表される多環芳香族化合物の化学構造中の少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、一般式(6)においては、a環、b環、c環、これらの環が有する置換基、XがC−RであるときのR(=アリール、アルキル、シクロアルキル)、Xが>N−Rや>C(−R)であるときのR(=アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル)、ならびに、連結基における少なくとも1つの水素が、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されうる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
一般式(6)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物があげられる。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
上記式(6−a)〜式(6−ee)で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。当該アリール、当該ヘテロアリール、当該ジアリールアミノ、当該ジヘテロアリールアミノ、当該アリールヘテロアリールアミノ、当該ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての各基の説明を引用できる。また、当該トリアルキルシリル、当該トリシクロアルキルシリル、当該ジアルキルシクロアルキルシリルおよび当該アルキルジシクロアルキルシリルは、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としての各基の説明を引用できる。
より具体的な一般式(6)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、以下に示す化合物があげられる。ただし、化学構造式中、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチルである。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(6)で表される多環芳香族化合物は、特願2019−152555号に記載された製造方法に従って製造することができる。また、上記式(1)で表される多量体化合物の製造方法を参考にして、第1反応においてエーテル化反応ではなく、ブッフバルト−ハートウィッグ反応などの一般的アミノ化反応を用いて製造することができる。
3−1−4.一般式(7)で表される多環芳香族化合物
第2成分であるドーパントの一態様として、下記一般式(7)で表される多環芳香族化合物が好ましい。なお、一般式(7)で表される多環芳香族化合物は、上述した一般式(4)で表される単位構造を3つ有する多環芳香族化合物の三量体に該当する。
Figure 2021091644
上記式(7)中、Ra11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra31、Ra32、Ra33、Rb11、Rb12、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24、Rc11、Rc12、Rc31、Rc32、Rc33およびRc34(以下、「Ra11等」ともいう)は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)であり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
また、Ra11、Ra12、Ra13のうちの隣接する基同士が結合してa11環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra21、Ra22、Ra23のうちの隣接する基同士が結合してa21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra31、Ra32、Ra33のうちの隣接する基同士が結合してa31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24のうちの隣接する基同士が結合してb21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rc31、Rc32、Rc33、Rc34のうちの隣接する基同士が結合してc31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。これらの形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)で置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)で置換されていてもよい。
11、X12、X21、X22、X31およびX32(以下、「X11等」ともいう)は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により、前記a11環、a21環、a31環、b11環、b21環、c11環およびc31環の少なくとも1つと結合していてもよい。
そして、式(7)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
a11等の第1置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」、「シクロアルキル」、「アルコキシ」および「アリールオキシ」、ならびに、当該第1置換基に置換し得る第2置換基としての「アリール」、「ヘテロアリール」、「ジアリールアミノ」、「ジヘテロアリールアミノ」、「アリールヘテロアリールアミノ」、「ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのこれらの基の説明を引用することができる。
a11等の第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してアルキルで置換された基があげられ、このアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいアルキルは、炭素数1〜5のアルキルであり、具体的にはメチル、エチル、プロピル、i−プロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−アミルなどがあげられる。
具体的なトリアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
a11等の第1置換基および第2置換基としての「トリシクロアルキルシリル」としては、シリル基における3つの水素がそれぞれ独立してシクロアルキルで置換された基があげられ、このシクロアルキルは上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「シクロアルキル」として説明した基を引用することができる。置換するのに好ましいシクロアルキルは、炭素数5〜10のシクロアルキルであり、具体的にはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.0.1]ペンチル、ビシクロ[1.2.1]ヘキシル、ビシクロ[3.0.1]ヘキシル、ビシクロ[2.1.2]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル、デカヒドロナフタレニル、デカヒドロアズレニルなどがあげられる。
具体的なトリシクロアルキルシリルとしては、式(4)における第1置換基および第2置換基としての「トリアルキルシリル」として例示した基があげられる。
a11等の第1置換基および第2置換基としての「ジアルキルシクロアルキルシリル」としては、2つのアルキルと1つのシクロアルキルが置換したシリル基であり、「アルキルジシクロアルキルシリル」としては、1つのアルキルと2つのシクロアルキルが置換したシリル基である。これらの具体例としては、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての「アルキル」および「シクロアルキル」から選択される基が置換したシリルがあげられる。
具体的には、Ra11等(第1置換基)の構造の立体障害性、電子供与性および電子吸引性により発光波長を調整することができ、一般式(7)中の複数のR、RおよびRの少なくとも1つは、好ましくは以下の式で表される基であり、より好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、シクロヘキシル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリル、3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルおよびフェノキシであり、さらに好ましくは、メチル、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、フェニル、o−トリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジフェニルアミノ、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、カルバゾリル、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルである。また、合成の容易さの観点からは、立体障害が大きい方が選択的な合成のために好ましく、具体的には、t−ブチル、t−アミル、t−オクチル、アダマンチル、o−トリル、p−トリル、2,3−キシリル、2,4−キシリル、2,5−キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−メシチル、ジ−p−トリルアミノ、ビス(p−(t−ブチル)フェニル)アミノ、3,6−ジメチルカルバゾリルおよび3,6−ジ−t−ブチルカルバゾリルが好ましい。
下記構造式において、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「tAm」はt−アミル、「tOct」はt−オクチルを表す。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(7)において、Ra11、Ra12、Ra13のうちの隣接する基同士が結合してa11環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra21、Ra22、Ra23のうちの隣接する基同士が結合してa21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra31、Ra32、Ra33のうちの隣接する基同士が結合してa31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24のうちの隣接する基同士が結合してb21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rc31、Rc32、Rc33、Rc34のうちの隣接する基同士が結合してc31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよい。
つまり、一般式(7)で表される多環芳香族化合物は、例えば、a11環、a21環、a31環、b21環およびc31環の少なくとも1つの環における置換基の相互の結合形態によって、下記一般式(7−L1)に示すように化合物を構成する環構造が変化する。式(7−L1)中の符号の定義は一般式(7)の定義と同じである。
Figure 2021091644
式(7−L1)中、a11’環は、Ra11〜Ra13のうちの隣接する基同士が結合して、a11環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す。同様に、a21’環は、Ra21〜Ra23のうちの隣接する基同士が結合して、a21環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示し、a31’環は、Ra31〜Ra33のうちの隣接する基同士が結合して、a31環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示し、b21’環は、Rb21〜Rb24のうちの隣接する基同士が結合して、b21環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示し、c31’環は、Rc31〜Rc34のうちの隣接する基同士が結合して、c31環と共に形成したアリール環またはヘテロアリール環を示す。
11環、a21’環、a31’環、b21’環およびc31’環は、それぞれ、a11環、a21環、a31環、b21環およびc31環に他の環構造が縮合してできた縮合環ともいえる。
なお、上記式では、a11環、a21環、a31環、b21環およびc31環のすべてが変化した化合物を示しているが、a11環、a21環、a31環、b21環およびc31環の少なくとも1つの環における置換基の相互の結合形態によって変化した化合物もある。
また、式(7−L1)から分かるように、例えば、a11環のRa11とb11環のRb11、b11環のRb11とa21環のRa23、a21環のRa21とb21環のRb21、b21環のRb22〜Rb24のいずれかとc31環のRc32〜Rb34のいずれか、c31環のRc31とa31環のRa33、a31環のRa31とc11環のRc11、ならびに、c11環のRc11とa11環のRa13は「隣接する基同士」には該当せず、これらが結合することはない。すなわち、「隣接する基」とは同一環上で隣接する基を意味する。
形成された「アリール環」(a11’環、a21’環、a31’環、b21’環またはc31’環)または「ヘテロアリール環」(a11’環、a21’環、a31’環、b21’環またはc31’環)は、上述した第1置換基としてのアリールまたはヘテロアリールの、無価の環である。ただし、a11’環(もしくはa21’環、a31’環、b21’環またはc31’環)の一部を構成するa11環(もしくはa21環、a31環、b21環またはc31環)がすでに炭素数6のベンゼン環であるため、「アリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数9が下限の炭素数となり、「ヘテロアリール環」については当該ベンゼン環に5員環が縮合した縮合環の合計炭素数6が下限の炭素数となる。
式(7−L1)で表される化合物は、例えばa11環(もしくはa21環、a31環、b21環またはc31環)であるベンゼン環に対してベンゼン環、インドール環、ピロール環、ベンゾフラン環またはベンゾチオフェン環が縮合して形成されるa11’環(もしくはa21’環、a31’環、b21’環またはc31’環)を有する化合物であり、形成されてできた縮合環a11’環(もしくはa21’環、a31’環、b21’環またはc31’環)はそれぞれナフタレン環、カルバゾール環、インドール環、ジベンゾフラン環またはジベンゾチオフェン環である。
形成されたアリール環またはヘテロアリール環に置換する、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第1置換基)、ならびに、当該第1置換基にさらに置換し得るアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル(以上、第2置換基)としては、上述したR等(第1置換基)および上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシおよびアリールオキシ、ならびに、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としてのトリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルおよびアルキルジシクロアルキルシリルの説明を引用できる。
一般式(7)におけるX11等は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、または置換シリルであり、前記>C(−R)のRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルである。前記>N−RのRおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合していてもよく、連結基としては、−O−、−S−、−C(−R)−または−Si(−R)−が好ましい。なお、前記「−C(−R)−」または前記「−Si(−R)−」のRは水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルである。
特に、一般式(7)において、X11、X12、X21およびX32が、それぞれ独立して、>N−R(Rは、上述のとおりであるが、置換されていてもよいアリールが好ましく、置換されていてもよいフェニルがより好ましい)であることが好ましい。
また、一般式(7)において、X11、X12、X21およびX32が、それぞれ独立して、>N−Rである化合物である場合、X22およびX31は、それぞれ独立して、>Oまたは>N−R(Rは、上述のとおりであるが、置換されていてもよいアリールが好ましく、置換されていてもよいフェニルがより好ましい)であることがより好ましい。
11等としての前記「>N−R」および「>C(−R)」のR、ならびに、連結基としての前記「−C(−R)−」および「−Si(−R)−」のRについて、選択し得る「アリール」、「ヘテロアリール」、「アルキル」および「シクロアルキル」は、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としてのアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルの説明を引用でき、「置換シリル」としては、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリル等があげられ、これらは式(4)における第1置換基としての説明を引用できる。
また、これらに置換し得る置換基としては、上述の第2置換基である、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルがあげられる。
ここで、一般式(7)における「>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により、前記a11環、a21環、a31環、b11環、b21環、c11環およびc31環の少なくとも1つと結合している」との規定について、「a11環」を例にすると、下記式(7−L2)で表される、X12が縮合環a11’に取り込まれた環構造を有する化合物、ならびに、下記式(7−L3)で表される、X11およびX12が縮合環a11’に取り込まれた環構造を有する化合物で表現できる。
なお、下記式中の符号の定義は特に断りがない限り上述した定義と同じである。
Figure 2021091644
上記式(7−L2)で表される化合物は、一般式(7)におけるa11環であるベンゼン環に対してX12を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるa11’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環a11’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
上記式(7−L2)中の縮合環a11’と同様に、一般式(7)における、a11環であるベンゼン環に対してX11を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、b11環であるベンゼン環に対してX12またはX21を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、a21環であるベンゼン環に対してX21またはX22を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、b21環であるベンゼン環に対してX22を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、c31環であるベンゼン環に対してX31を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、a31環であるベンゼン環に対してX31またはX32を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、c11環であるベンゼン環に対してX32またはX11を取り込むようにして縮合環を形成してもよい。
また、下記式(7−L3)で表される化合物は、一般式(7)におけるa11環であるベンゼン環に対してX11およびX12を取り込むようにして他の環が縮合して形成されるa11’環を有する化合物である。形成されてできた縮合環a11’は例えばフェノキサジン環、フェノチアジン環またはアクリジン環である。
上記式(7−L3)中の縮合環a11’と同様に、一般式(7)における、b11環であるベンゼン環に対してX12およびX21を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、a21環であるベンゼン環に対してX21およびX22を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、a31環であるベンゼン環に対してX31およびX32を取り込むようにして縮合環を形成してもよく、c11環であるベンゼン環に対してX32およびX11を取り込むようにして縮合環を形成してもよい。
また、一般式(7)で表される多環芳香族化合物の化学構造中の少なくとも1つの水素はシアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。例えば、一般式(7)においては、Ra11等、Ra11等が有する第2置換基、X11等が>N−Rや>C(−R)であるときのR(=アリール、ヘテロアリール、アルキル、シクロアルキル)、ならびに、連結基における少なくとも1つの水素が、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されうる。ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、好ましくはフッ素、塩素または臭素、より好ましくはフッ素である。
一般式(7)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物があげられる。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
上記式(7−a)〜式(7−z)で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。当該アリール、当該ヘテロアリール、当該ジアリールアミノ、当該ジヘテロアリールアミノ、当該アリールヘテロアリールアミノ、当該ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、当該アルキルおよび当該シクロアルキルは、上述した式(2)および式(3)における第1置換基としての各基の説明を引用できる。また、当該トリアルキルシリル、当該トリシクロアルキルシリル、当該ジアルキルシクロアルキルシリルおよび当該アルキルジシクロアルキルシリルは、上述した式(4)におけるR等の第1置換基としての各基の説明を引用できる。
より具体的な一般式(7)で表される多環芳香族化合物としては、例えば、以下に示す化合物があげられる。ただし、化学構造式中、「Me」はメチル、「tBu」はt−ブチル、「Mes」は2,4,6−メシチル、「o−Xyl」は2,3−キシリルである。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
一般式(7)で表される多環芳香族化合物は、特願2019−151120号に記載された製造方法に従って製造することができる。また、上記式(1)で表される多量体化合物の製造方法を参考にして、第1反応においてエーテル化反応ではなく、ブッフバルト−ハートウィッグ反応などの一般的アミノ化反応を用いて製造することができる。
3−1−5.第2成分の多環芳香族化合物を高分子化させた高分子化合物
一般式(4)〜式(7)のいずれかで表される多環芳香族化合物は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、発光層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多量体化合物での説明を引用できる。また、このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
なお、一般式(1)で表される多量体化合物に反応性置換基が置換した反応性化合物(H)に由来する第1の構成単位と、第2成分のホウ素を含有する多環芳香族化合物(一般式(4)〜式(7)のいずれかで表される多環芳香族化合物)に反応性置換基が置換した反応性化合物(D)に由来する第2の構成単位とを有する共重合体である高分子化合物(HD)としてもよい。また、当該高分子化合物(HD)をさらに架橋させた高分子架橋体(HD)としてもよい。
高分子化合物(HD)および高分子架橋体(HD)は、同一の主鎖中に、ホストに対応する第1の構成単位と、ドーパントに対応する第2の構成単位を有する構造となる。
さらに、主鎖型高分子に、反応性化合物(H)および反応性化合物(D)を置換させたペンダント型高分子化合物(HD)としてもよく、当該ペンダント型高分子化合物(HD)をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体(HD)としてもよい。
ペンダント型高分子化合物(HD)およびペンダント型高分子架橋体(HD)は、主鎖に対して、ホストおよびドーパントに対応する側鎖が置換したペンダント型構造を有する。
3−2.有機電界発光素子のより詳細な説明
以下に、本実施形態に係る有機EL素子について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る有機EL素子を示す概略断面図である。
3−2−1.有機電界発光素子の構造
図1に示された有機EL素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた陰極108とを有する。
なお、有機EL素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子注入層107と、電子注入層107の上に設けられた電子輸送層106と、電子輸送層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。
上記各層すべてがなくてはならないわけではなく、最小構成単位を陽極102と発光層105と陰極108とからなる構成として、正孔注入層103、正孔輸送層104、電子輸送層106、電子注入層107は任意に設けられる層である。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
有機EL素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/発光層/電子注入層/陰極」の構成態様であってもよい。
3−2−2.有機電界発光素子における基板
基板101は、有機EL素子100の支持体であり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
3−2−3.有機電界発光素子における陽極
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たす。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および正孔輸送層104の少なくとも1つが設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーなどがあげられる。その他、有機EL素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/□、好ましくは50〜5Ω/□の低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常50〜300nmの間で用いられることが多い。
3−2−4.有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たす。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の1種または2種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機EL素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなど)、ビス(N−アリールカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミノを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N4’−ジフェニル−N,N4’−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、N,N,N4’,N4’−テトラ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体など)、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニンなど)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、キノキサリン誘導体(例えば、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリルなど)、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシランなどである。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されない。
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」および文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005-167175号公報)。
上述した正孔注入層用材料および正孔輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、正孔層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多量体化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
3−2−5.有機電界発光素子における発光層
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光する層である。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光(蛍光)効率を示す化合物であるのが好ましい。
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光層用材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成される。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ1種であっても、複数種の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。
なお、本発明の有機電界発光素子が有する発光層は、第1成分として、式(1)で表される多量体化合物をホスト材料として含み、第2成分として、ホウ素を含有する多環芳香族化合物をドーパント材料として含むことが好ましい。
ホスト材料の使用量はホスト材料の種類によって異なり、そのホスト材料の特性に合わせて決めればよい。ホスト材料の使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の50〜99.999重量%であり、より好ましくは70〜99.9重量%であり、さらに好ましくは80〜99.9重量%であり、特に好ましくは90〜99.9重量%である。
ドーパント材料の使用量はドーパント材料の種類によって異なり、そのドーパント材料の特性に合わせて決めればよい。ドーパントの使用量の目安は、好ましくは発光層用材料全体の0.001〜50重量%であり、より好ましくは0.1〜30重量%であり、さらに好ましくは0.1〜20重量%であり、特に好ましくは0.1〜10重量%である。上記の範囲であれば、例えば、濃度消光現象を防止できるという点で好ましい。
一方で、TADFの発現の観点からは、ドーパントは多いほうが好ましい。また、発光層以外の層によっても影響を受けるため、発光層のホストおよびドーパントだけでなく素子構成によって、ドーパントの濃度が決定される。
式(1)で表される多量体化合物と併用することができるホスト材料としては、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
また、ホウ素を含有する多環芳香族化合物と併用することができるドーパント材料としては、特に限定されず、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレン、ルブレンおよびクリセンなどの縮合環誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1-245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2-247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンゾチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンゾオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンゾアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体、デアザフラビン誘導体、フルオレン誘導体およびベンゾフルオレン誘導体などがあげられる。
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデン、クリセンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などがあげられる。
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などがあげられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体などあげられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール、ヘテロアリール、アリールビニル、アミノ、シアノなど長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例としてあげられる。
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
スチルベン構造を有するアミンは、例えば、下記式で表される。
Figure 2021091644
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールからさらに任意のm−1個の水素原子を除いて表されるm価の基であり、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであるが、Ar〜Arの少なくとも1つはスチルベン構造を有し、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、mは1〜4の整数である。
スチルベン構造を有するアミンは、下記式で表されるジアミノスチルベンがより好ましい。
Figure 2021091644
当該式中、ArおよびArは、それぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、ArおよびArは置換されていてもよい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、スチルベン、ジスチリルベンゼン、ジスチリルビフェニル、ジスチリルフルオレンなどがあげられる。
スチルベン構造を有するアミンの具体例は、N,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(1−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(2−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、N,N’−ジ(9−フェナントリル)−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ビス[4”−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ビフェニル、1,4−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−ベンゼン、2,7−ビス[4’−ビス(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−ジメチルフルオレン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニル、4,4’−ビス(9−フェニル−3−カルバゾビニレン)−ビフェニルなどがあげられる。
また、特開2003-347056号公報、および特開2001-307884号公報などに記載されたスチルベン構造を有するアミンを用いてもよい。
ペリレン誘導体としては、例えば、3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン、3,10−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ペリレン、3,10−ジフェニルペリレン、3,4−ジフェニルペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、3,4,9,10−テトラフェニルペリレン、3−(1’−ピレニル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3−(9’−アントリル)−8,11−ジ(t−ブチル)ペリレン、3,3’−ビス(8,11−ジ(t−ブチル)ペリレニル)などがあげられる。
また、特開平11-97178号公報、特開2000-133457号公報、特開2000-26324号公報、特開2001-267079号公報、特開2001-267078号公報、特開2001-267076号公報、特開2000-34234号公報、特開2001-267075号公報、および特開2001-217077号公報などに記載されたペリレン誘導体を用いてもよい。
ボラン誘導体としては、例えば、1,8−ジフェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−フェニル−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、4−(9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、4−(10’−フェニル−9’−アントリル)ジメシチルボリルナフタレン、9−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−ビフェニリル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセン、9−(4’−(N−カルバゾリル)フェニル)−10−(ジメシチルボリル)アントラセンなどがあげられる。
また、国際公開第2000/40586号パンフレットなどに記載されたボラン誘導体を用いてもよい。
芳香族アミン誘導体は、例えば、下記式で表される。
Figure 2021091644
当該式中、Arは炭素数6〜30のアリールからさらに任意のn−1個の水素原子を除いて表されるn価の基であり、ArおよびArはそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは1〜4の整数である。
特に、Arがアントラセン、クリセン、フルオレン、ベンゾフルオレンまたはピレンから任意の2つの水素原子を除いて表される2価の基であり、ArおよびArがそれぞれ独立して炭素数6〜30のアリールであり、Ar〜Arは置換されていてもよく、そして、nは2である、芳香族アミン誘導体がより好ましい。
炭素数6〜30のアリールの具体例は、ベンゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フルオレンフェナレン、フェナントレン、アントラセン、フルオランテン、トリフェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ペリレン、ペンタセンなどがあげられる。
芳香族アミン誘導体としては、クリセン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルクリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレン−2−イル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)クリセン−6,12−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)クリセン−6,12−ジアミンなどがあげられる。
また、ピレン系としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)ピレン−1,6−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3,4−ジメチルフェニル)−3,8−ジフェニルピレン−1,6−ジアミン、N,N,N,N−テトラフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N’−ビス(ビフェニル−4−イル)−N,N’−ジフェニルピレン−1,8−ジアミン、N,N−ジフェニル−N,N−ビス−(4−トリメチルシラニル−フェニル)−1H,8H−ピレン−1,6−ジアミンなどがあげられる。
また、アントラセン系としては、例えば、N,N,N,N−テトラフェニルアントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−エチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N,N’,N’−テトラ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジ−t−ブチル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ジ(p−トリル)アントラセン−9,10−ジアミン、2,6−ジシクロヘキシル−N,N’−ビス(4−イソプロピルフェニル)−N,N’−ビス(4−t−ブチルフェニル)アントラセン−9,10−ジアミン、9,10−ビス(4−ジフェニルアミノ−フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(1−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、9,10−ビス(4−ジ(2−ナフチルアミノ)フェニル)アントラセン、10−ジ−p−トリルアミノ−9−(4−ジ−p−トリルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(4−ジフェニルアミノ−1−ナフチル)アントラセン、10−ジフェニルアミノ−9−(6−ジフェニルアミノ−2−ナフチル)アントラセンなどがあげられる。
また、他には、[4−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−1−イル]−ジフェニルアミン、[6−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)ナフタレン−2−イル]−ジフェニルアミン、4,4’−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]ビフェニル、4,4’−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]ビフェニル、4,4”−ビス[4−ジフェニルアミノナフタレン−1−イル]−p−テルフェニル、4,4”−ビス[6−ジフェニルアミノナフタレン−2−イル]−p−テルフェニルなどがあげられる。
また、特開2006-156888号公報などに記載された芳香族アミン誘導体を用いてもよい。
クマリン誘導体としては、クマリン−6、クマリン−334などがあげられる。
また、特開2004-43646号公報、特開2001-76876号公報、および特開平6-298758号公報などに記載されたクマリン誘導体を用いてもよい。
ピラン誘導体としては、下記のDCM、DCJTBなどがあげられる。
Figure 2021091644
また、特開2005-126399号公報、特開2005-097283号公報、特開2002-234892号公報、特開2001-220577号公報、特開2001-081090号公報、および特開2001-052869号公報などに記載されたピラン誘導体を用いてもよい。
上述した発光層用材料(ホスト材料およびドーパント材料)は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、発光層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多量体化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
<高分子ホスト材料の一例>
Figure 2021091644
式(SPH−1)において、
MUはそれぞれ独立して2価の芳香族化合物、ECはそれぞれ独立して1価の芳香族化合物であり、MU中の2つの水素がECまたはMUと置換され、kは2〜50000の整数である。
より具体的には、
MUは、それぞれ独立して、アリーレン、ヘテロアリーレン、ジアリーレンアリールアミノ、ジアリーレンアリールボリル、オキサボリン−ジイル、アザボリン−ジイルであり、
ECは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノまたはアリールオキシであり、
MUおよびECにおける少なくとも1つの水素はさらに、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、アルキルおよびシクロアルキルで置換されていてもよく、
kは2〜50000の整数である。
kは20〜50000の整数であることが好ましく、100〜50000の整数であることがより好ましい。
式(SPH−1)中のMUおよびECにおける少なくとも1つの水素は、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜24のシクロアルキル、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよく、さらに、前記アルキルにおける任意の−CH−は−O−または−Si(CH−で置換されていてもよく、前記アルキルにおける式(SPH−1)中のECに直結している−CH−を除く任意の−CH−は炭素数6〜24のアリーレンで置換されていてもよく、前記アルキルにおける任意の水素はフッ素で置換されていてもよい。
MUとしては、例えば、以下のいずれかの化合物から任意の2つの水素原子を除いて表される2価の基が挙げられる。
Figure 2021091644
より具体的には、以下のいずれかの構造で表される2価の基が挙げられる。これらにおいて、MUは*において他のMUまたはECと結合する。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
また、ECとしては、例えば以下のいずれかの構造で表される1価の基が挙げられる。これらにおいて、ECは*においてMUと結合する。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
式(SPH−1)で表される化合物は、溶解性および塗布成膜性の観点から、分子中のMU総数(k)の10〜100%のMUが炭素数1〜24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30〜100%のMUが炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましく、分子内のMU総数(k)の50〜100%のMUが炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)を有することがさらに好ましい。一方、面内配向性および電荷輸送の観点からは、分子中のMU総数(k)の10〜100%のMUが炭素数7〜24のアルキルを有することが好ましく、分子中のMU総数(k)の30〜100%のMUが炭素数7〜24のアルキル(炭素数7〜24の分岐鎖アルキル)を有することがより好ましい。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
3−2−6.有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層
電子注入層107は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内または電子輸送層106内に注入する役割を果たす。電子輸送層106は、陰極108から注入された電子または陰極108から電子注入層107を介して注入された電子を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たす。電子輸送層106および電子注入層107は、それぞれ、電子輸送・注入材料の一種または二種以上を積層、混合するか、電子輸送・注入材料と高分子結着剤の混合物により形成される。
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することをつかさどる層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
電子輸送層106または電子注入層107を形成する材料(電子輸送材料)としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機EL素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
電子輸送層または電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香族環または複素芳香族環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香族環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香族環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントロリン誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体(1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなど)、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体(N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなど)、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体(2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなど)、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体(トリス(N−フェニルベンゾイミダゾール−2−イル)ベンゼンなど)、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、テルピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、テルピリジン誘導体(1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−テルピリジニル))ベンゼンなど)、ナフチリジン誘導体(ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなど)、アルダジン誘導体、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、リンオキサイド誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
また、電子受容性窒素を有する金属錯体を用いることもでき、例えば、キノリノール系金属錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。
上述した材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。
上述した材料の中でも、ボラン誘導体、ピリジン誘導体、フルオランテン誘導体、BO系誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾフルオレン誘導体、ホスフィンオキサイド誘導体、ピリミジン誘導体、カルバゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、およびキノリノール系金属錯体が好ましい。
<ボラン誘導体>
ボラン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−1)で表される化合物であり、詳細には特開2007-27587号公報に開示されている。
Figure 2021091644
上記式(ETM−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよいアリーレンであり、Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール、置換されているボリル、または置換されていてもよいカルバゾリルであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
上記一般式(ETM−1)で表される化合物の中でも、下記一般式(ETM−1−1)で表される化合物や下記一般式(ETM−1−2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021091644
式(ETM−1−1)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、R21およびR22は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
Figure 2021091644
式(ETM−1−2)中、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル、置換されていてもよいアリール、置換されているシリル、置換されていてもよい窒素含有複素環、またはシアノの少なくとも一つであり、R13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル、または置換されていてもよいアリールであり、Xは、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレンであり、そして、nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。また、「置換されていてもよい」または「置換されている」場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
の具体的な例としては、下記式(X−1)〜式(X−9)のいずれかで表される2価の基が挙げられる。
Figure 2021091644
(各式中、Rは、それぞれ独立してアルキル基または置換されていてもよいフェニル基である。)
このボラン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このボラン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリジン誘導体>
ピリジン誘導体は、例えば下記式(ETM−2)で表される化合物であり、好ましくは式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)で表される化合物である。
Figure 2021091644
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
上記式(ETM−2−1)において、R11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。
上記式(ETM−2−2)において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、R11およびR12は結合して環を形成していてもよい。
各式において、「ピリジン系置換基」は、下記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであり、ピリジン系置換基はそれぞれ独立して炭素数1〜4のアルキルで置換されていてもよい。また、ピリジン系置換基はフェニレン基やナフチレン基を介して各式におけるφ、アントラセン環またはフルオレン環に結合していてもよい。
Figure 2021091644
ピリジン系置換基は、上記式(Py−1)〜式(Py−15)のいずれかであるが、これらの中でも、下記式(Py−21)〜式(Py−44)のいずれかであることが好ましい。
Figure 2021091644
各ピリジン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよく、また、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における2つの「ピリジン系置換基」のうちの一方はアリールで置き換えられていてもよい。
11〜R18における「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。
具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシル、n−オクチル、t−オクチル、1−メチルヘプチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、n−ノニル、2,2−ジメチルヘプチル、2,6−ジメチル−4−ヘプチル、3,5,5−トリメチルヘキシル、n−デシル、n−ウンデシル、1−メチルデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、1−ヘキシルヘプチル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−エイコシルなどが挙げられる。
ピリジン系置換基に置換する炭素数1〜4のアルキルとしては、上記アルキルの説明を引用することができる。
11〜R18における「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。
具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
11〜R18における「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、単環系アリールであるフェニル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜30のアリール」は、フェニル、ナフチル、フェナントリル、クリセニルまたはトリフェニレニルなどが挙げられ、さらに好ましくはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはフェナントリルが挙げられ、特に好ましくはフェニル、1−ナフチルまたは2−ナフチルが挙げられる。
上記式(ETM−2−2)におけるR11およびR12は結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このピリジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このピリジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フルオランテン誘導体>
フルオランテン誘導体は、例えば下記一般式(ETM−3)で表される化合物であり、詳細には国際公開第2010/134352号公報に開示されている。
Figure 2021091644
上記式(ETM−3)中、X12〜X21は水素、ハロゲン、直鎖、分岐もしくは環状のアルキル、直鎖、分岐もしくは環状のアルコキシ、置換もしくは無置換のアリール、または置換もしくは無置換のヘテロアリールを表す。ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
このフルオランテン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
<BO系誘導体>
BO系誘導体は、例えば下記式(ETM−4)で表される多環芳香族化合物、または下記式(ETM−4)で表される構造を複数有する多環芳香族化合物の多量体である。
Figure 2021091644
〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、R〜R11のうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよい。
また、式(ETM−4)で表される化合物または構造における少なくとも1つの水素がハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。
式(ETM−4)における置換基や環形成の形態、また式(ETM−4)の構造が複数合わさってできる多量体の説明については、上記一般式(2)および式(3)で表される多環芳香族構造Aの説明を引用することができる。
このBO系誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このBO系誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<アントラセン誘導体>
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−1)で表される化合物である。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンであり、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールである。
Arは、それぞれ独立して、2価のベンゼンまたはナフタレンから適宜選択することができ、2つのArが異なっていても同じであってもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じであることが好ましい。Arはピリジンと結合して、「Arおよびピリジンからなる部位」を形成しており、この部位は例えば下記式(Py−1)〜式(Py−12)のいずれかで表される基としてアントラセンに結合している。
Figure 2021091644
これらの基の中でも、上記式(Py−1)〜式(Py−9)のいずれかで表される基が好ましく、上記式(Py−1)〜式(Py−6)のいずれかで表される基がより好ましい。アントラセンに結合する2つの「Arおよびピリジンからなる部位」は、その構造が同じであっても異なっていてもよいが、アントラセン誘導体の合成の容易さの観点からは同じ構造であることが好ましい。ただし、素子特性の観点からは、2つの「Arおよびピリジンからなる部位」の構造が同じであっても異なっていても好ましい。
〜Rにおける炭素数1〜6のアルキルについては直鎖および分岐鎖のいずれでもよい。すなわち、炭素数1〜6の直鎖アルキルまたは炭素数3〜6の分岐鎖アルキルである。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、または2−エチルブチルなどが挙げられ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、またはt−ブチルが好ましく、メチル、エチル、またはt−ブチルがより好ましい。
〜Rにおける炭素数3〜6のシクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
〜Rにおける炭素数6〜20のアリールについては、炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。
「炭素数6〜20のアリール」の具体例としては、単環系アリールであるフェニル、(o−,m−,p−)トリル、(2,3−,2,4−,2,5−,2,6−,3,4−,3,5−)キシリル、メシチル(2,4,6−トリメチルフェニル)、(o−,m−,p−)クメニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アントラセン−(1−,2−,9−)イル、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、テトラセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イルなどが挙げられる。
好ましい「炭素数6〜20のアリール」は、フェニル、ビフェニリル、テルフェニリルまたはナフチルであり、より好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチル、2−ナフチルまたはm−テルフェニル−5’−イルであり、さらに好ましくは、フェニル、ビフェニリル、1−ナフチルまたは2−ナフチルであり、最も好ましくはフェニルである。
アントラセン誘導体の一つは、例えば下記式(ETM−5−2)で表される化合物である。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、単結合、2価のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、またはフェナレンである。
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
〜Rは、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル、炭素数3から6のシクロアルキルまたは炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における説明を引用することができる。
これらのアントラセン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
これらのアントラセン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾフルオレン誘導体>
ベンゾフルオレン誘導体は、例えば下記式(ETM−6)で表される化合物である。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、炭素数6〜20のアリールであり、上記式(ETM−5−1)における「炭素数6〜20のアリール」と同じ説明を引用することができる。炭素数6〜16のアリールが好ましく、炭素数6〜12のアリールがより好ましく、炭素数6〜10のアリールが特に好ましい。具体例としては、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テルフェニリル、アントラセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、テトラセニル、ペリレニルなどが挙げられる。
Arは、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)であり、2つのArは結合して環を形成していてもよい。
Arにおける「アルキル」としては、直鎖および分岐鎖のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜24の直鎖アルキルまたは炭素数3〜24の分岐鎖アルキルが挙げられる。好ましい「アルキル」は、炭素数1〜18のアルキル(炭素数3〜18の分岐鎖アルキル)である。より好ましい「アルキル」は、炭素数1〜12のアルキル(炭素数3〜12の分岐鎖アルキル)である。さらに好ましい「アルキル」は、炭素数1〜6のアルキル(炭素数3〜6の分岐鎖アルキル)である。特に好ましい「アルキル」は、炭素数1〜4のアルキル(炭素数3〜4の分岐鎖アルキル)である。具体的な「アルキル」としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「シクロアルキル」としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキルが挙げられる。好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜10のシクロアルキルである。より好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜8のシクロアルキルである。さらに好ましい「シクロアルキル」は、炭素数3〜6のシクロアルキルである。具体的な「シクロアルキル」としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル、シクロヘプチル、メチルシクロヘキシル、シクロオクチルまたはジメチルシクロヘキシルなどが挙げられる。
Arにおける「アリール」としては、好ましいアリールは炭素数6〜30のアリールであり、より好ましいアリールは炭素数6〜18のアリールであり、さらに好ましくは炭素数6〜14のアリールであり、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「炭素数6〜30のアリール」としては、フェニル、ナフチル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナレニル、フェナントリル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、ペリレニル、ペンタセニルなどが挙げられる。
2つのArは結合して環を形成していてもよく、この結果、フルオレン骨格の5員環には、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、フルオレンまたはインデンなどがスピロ結合していてもよい。
このベンゾフルオレン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このベンゾフルオレン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ホスフィンオキサイド誘導体>
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2013/079217号公報にも記載されている。
Figure 2021091644
は、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は、CN、置換または無置換の、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のヘテロアルキル、炭素数6〜20のアリール、炭素数5〜20のヘテロアリール、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数6〜20のアリールオキシであり、
およびRは、それぞれ独立して、置換または無置換の、炭素数6〜20のアリールまたは炭素数5〜20のヘテロアリールであり、
は酸素または硫黄であり、
jは0または1であり、kは0または1であり、rは0〜4の整数であり、qは1〜3の整数である。
ここで、置換されている場合の置換基としては、アリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルなどが挙げられる。
ホスフィンオキサイド誘導体は、例えば下記式(ETM−7−2)で表される化合物でもよい。
Figure 2021091644
〜Rは、同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、複素環基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、および隣接置換基との間に形成される縮合環の中から選ばれる。
Arは、同じでも異なっていてもよく、アリーレン基またはヘテロアリーレン基である。Arは、同じでも異なっていてもよく、アリール基またはヘテロアリール基である。ただし、ArおよびArのうち少なくとも一方は置換基を有しているか、または隣接置換基との間に縮合環を形成している。nは0〜3の整数であり、nが0のとき不飽和構造部分は存在せず、nが3のときR1は存在しない。
これらの置換基の内、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。置換されている場合の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、アリール基、複素環基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、通常、1〜20の範囲である。
また、シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキル基部分の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。
また、アラルキル基とは、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基などの脂肪族炭化水素を介した芳香族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素はいずれも無置換でも置換されていてもかまわない。脂肪族部分の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルケニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセン基などの二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。
また、アルキニル基とは、例えば、アセチレニル基などの三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。アルキニル基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜20の範囲である。
また、アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基などのエーテル結合を介した脂肪族炭化水素基を示し、脂肪族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、通常、1〜20の範囲である。
また、アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基などのエーテル結合を介した芳香族炭化水素基を示し、芳香族炭化水素基は無置換でも置換されていてもかまわない。アリールエーテル基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換された基である。
また、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、テルフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示す。アリール基は、無置換でも置換されていてもかまわない。アリール基の炭素数は特に限定されないが、通常、6〜40の範囲である。
また、複素環基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、オキサゾリル基、ピリジル基、キノリニル基、カルバゾリル基などの炭素以外の原子を有する環状構造基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。複素環基の炭素数は特に限定されないが、通常、2〜30の範囲である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示す。
アルデヒド基、カルボニル基、アミノ基には、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環などで置換された基も含むことができる。
また、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、複素環は無置換でも置換されていてもかまわない。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基などのケイ素化合物基を示し、これは無置換でも置換されていてもかまわない。シリル基の炭素数は特に限定されないが、通常、3〜20の範囲である。また、ケイ素数は、通常、1〜6である。
隣接置換基との間に形成される縮合環とは、例えば、ArとR、ArとR、ArとR、ArとR、RとR、ArとAr等の間で形成された共役または非共役の縮合環である。ここで、nが1の場合、2つのR同士で共役または非共役の縮合環を形成してもよい。これら縮合環は、環内構造に窒素、酸素、硫黄原子を含んでいてもよいし、さらに別の環と縮合してもよい。
このホスフィンオキサイド誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このホスフィンオキサイド誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ピリミジン誘導体>
ピリミジン誘導体は、例えば下記式(ETM−8)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−8−1)で表される化合物である。詳細は国際公開第2011/021689号公報にも記載されている。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜4の整数であり、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このピリミジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このピリミジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<カルバゾール誘導体>
カルバゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−9)で表される化合物、またはそれが単結合などで複数結合した多量体である。詳細は米国公開公報2014/0197386号公報に記載されている。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは独立して0〜4の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0または1である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
カルバゾール誘導体は、上記式(ETM−9)で表される化合物が単結合などで複数結合した多量体であってもよい。この場合、単結合以外に、アリール環(好ましくは多価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)で結合されていてもよい。
このカルバゾール誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このカルバゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<トリアジン誘導体>
トリアジン誘導体は、例えば下記式(ETM−10)で表される化合物であり、好ましくは下記式(ETM−10−1)で表される化合物である。詳細は米国公開公報2011/0156013号公報に記載されている。
Figure 2021091644
Arは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよいヘテロアリールである。nは1〜3の整数であり、好ましくは2または3である。
「置換されていてもよいアリール」の「アリール」としては、例えば、炭素数6〜30のアリールが挙げられ、好ましくは炭素数6〜24のアリール、より好ましくは炭素数6〜20のアリール、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールである。
具体的な「アリール」としては、単環系アリールであるフェニル、二環系アリールである(2−,3−,4−)ビフェニリル、縮合二環系アリールである(1−,2−)ナフチル、三環系アリールであるテルフェニリル(m−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−4’−イル、m−テルフェニル−5’−イル、o−テルフェニル−3’−イル、o−テルフェニル−4’−イル、p−テルフェニル−2’−イル、m−テルフェニル−2−イル、m−テルフェニル−3−イル、m−テルフェニル−4−イル、o−テルフェニル−2−イル、o−テルフェニル−3−イル、o−テルフェニル−4−イル、p−テルフェニル−2−イル、p−テルフェニル−3−イル、p−テルフェニル−4−イル)、縮合三環系アリールである、アセナフチレン−(1−,3−,4−,5−)イル、フルオレン−(1−,2−,3−,4−,9−)イル、フェナレン−(1−,2−)イル、(1−,2−,3−,4−,9−)フェナントリル、四環系アリールであるクアテルフェニリル(5’−フェニル−m−テルフェニル−2−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−3−イル、5’−フェニル−m−テルフェニル−4−イル、m−クアテルフェニリル)、縮合四環系アリールであるトリフェニレン−(1−,2−)イル、ピレン−(1−,2−,4−)イル、ナフタセン−(1−,2−,5−)イル、縮合五環系アリールであるペリレン−(1−,2−,3−)イル、ペンタセン−(1−,2−,5−,6−)イルなどが挙げられる
「置換されていてもよいヘテロアリール」の「ヘテロアリール」としては、例えば、炭素数2〜30のヘテロアリールが挙げられ、炭素数2〜25のヘテロアリールが好ましく、炭素数2〜20のヘテロアリールがより好ましく、炭素数2〜15のヘテロアリールがさらに好ましく、炭素数2〜10のヘテロアリールが特に好ましい。また、ヘテロアリールとしては、例えば環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する複素環などが挙げられる。
具体的なヘテロアリールとしては、例えば、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェナザシリニル、インドリジニル、フラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ナフトベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、ナフトベンゾチオフェニル、ベンゾホスホーリル、ジベンゾホスホーリル、ベンゾホスホールオキシド環の1価の基、ジベンゾホスホールオキシド環の1価の基、フラザニル、チアントレニル、インドロカルバゾリル、ベンゾインドロカルバゾリルおよびベンゾベンゾインドロカルバゾリルなどがあげられる。
また、上記アリールおよびヘテロアリールにおける少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、それぞれ例えば上記アリールやヘテロアリールで置換されていてもよい。
このトリアジン誘導体の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
Figure 2021091644
このトリアジン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<ベンゾイミダゾール誘導体>
ベンゾイミダゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−11)で表される化合物である。
Figure 2021091644
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「ベンゾイミダゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がベンゾイミダゾール基に置き換わった基であり、ベンゾイミダゾール誘導体における少なくとも1つの水素は重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021091644
上記ベンゾイミダゾール基におけるR11は、水素、炭素数1〜24のアルキル、炭素数3〜12のシクロアルキルまたは炭素数6〜30のアリールであり、上記式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)におけるR11の説明を引用することができる。
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)の構造を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをベンゾイミダゾール系置換基に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをベンゾイミダゾール系置換基で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
このベンゾイミダゾール誘導体の具体例としては、例えば1−フェニル−2−(4−(10−フェニルアントラセン−9−イル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(3−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(10−(ナフタレン−2−イル)アントラセン−9−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、2−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、1−(4−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)フェニル)−2−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール、5−(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン−2−イル)−1,2−ジフェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾールなどが挙げられる。
Figure 2021091644
このベンゾイミダゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<フェナントロリン誘導体>
フェナントロリン誘導体は、例えば下記式(ETM−12)または式(ETM−12−1)で表される化合物である。詳細は国際公開2006/021982号公報に記載されている。
Figure 2021091644
φは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数である。
各式のR11〜R18は、それぞれ独立して、水素、アルキル(好ましくは炭素数1〜24のアルキル)、シクロアルキル(好ましくは炭素数3〜12のシクロアルキル)またはアリール(好ましくは炭素数6〜30のアリール)である。また、上記式(ETM−12−1)においてはR11〜R18のいずれかがアリール環であるφと結合する。
各フェナントロリン誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
11〜R18におけるアルキル、シクロアルキルおよびアリールとしては、上記式(ETM−2)におけるR11〜R18の説明を引用することができる。また、φは上記した構造のほかに、例えば、以下の構造式が挙げられる。なお、下記構造式中のRは、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、イソプロピル、シクロヘキシル、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリルまたはテルフェニリルである。
Figure 2021091644
このフェナントロリン誘導体の具体例としては、例えば4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオロ−ビ(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼンなどが挙げられる。
Figure 2021091644
このフェナントロリン誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<キノリノール系金属錯体>
キノリノール系金属錯体は、例えば下記一般式(ETM−13)で表される化合物である。
Figure 2021091644
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素、フッ素、アルキル、アラルキル、アルケニル、シアノ、アルコキシまたはアリールであり、MはLi、Al、Ga、BeまたはZnであり、nは1〜3の整数である。
キノリノール系金属錯体の具体例としては、8−キノリノールリチウム、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(3,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,5−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、トリス(4,6−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(フェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−メチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,3−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,4−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,6−ジフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリフェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,6−トリメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2,4,5,6−テトラメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(2−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(2−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(4−フェニルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジメチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)(3,5−ジ−t−ブチルフェノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2,4−ジメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−エチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−4−メトキシ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム−μ−オキソ−ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウムなどが挙げられる。
このキノリノール系金属錯体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
<チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体>
チアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−1)で表される化合物である。
Figure 2021091644
ベンゾチアゾール誘導体は、例えば下記式(ETM−14−2)で表される化合物である。
Figure 2021091644
各式のφは、n価のアリール環(好ましくはn価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環またはトリフェニレン環)であり、nは1〜4の整数であり、「チアゾール系置換基」や「ベンゾチアゾール系置換基」は、上記式(ETM−2)、式(ETM−2−1)および式(ETM−2−2)における「ピリジン系置換基」の中のピリジル基がチアゾール基やベンゾチアゾール基に置き換わった基であり、チアゾール誘導体およびベンゾチアゾール誘導体における少なくとも1つの水素が重水素で置換されていてもよい。
Figure 2021091644
φは、さらに、アントラセン環またはフルオレン環であることが好ましく、この場合の構造は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)の構造を引用することができ、各式中のR11〜R18は上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)での説明を引用することができる。また、上記式(ETM−2−1)または式(ETM−2−2)では2つのピリジン系置換基が結合した形態で説明されているが、これらをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)に置き換えるときには、両方のピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えてもよいし(すなわちn=2)、いずれか1つのピリジン系置換基をチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて他方のピリジン系置換基をR11〜R18で置き換えてもよい(すなわちn=1)。さらに、例えば上記式(ETM−2−1)におけるR11〜R18の少なくとも1つをチアゾール系置換基(またはベンゾチアゾール系置換基)で置き換えて「ピリジン系置換基」をR11〜R18で置き換えてもよい。
これらのチアゾール誘導体またはベンゾチアゾール誘導体は公知の原料と公知の合成方法を用いて製造することができる。
電子輸送層または電子注入層には、さらに、電子輸送層または電子注入層を形成する材料を還元できる物質を含んでいてもよい。この還元性物質は、一定の還元性を有する物質であれば、様々な物質が用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを好適に使用することができる。
好ましい還元性物質としては、Na(仕事関数2.36eV)、K(同2.28eV)、Rb(同2.16eV)またはCs(同1.95eV)などのアルカリ金属や、Ca(同2.9eV)、Sr(同2.0〜2.5eV)またはBa(同2.52eV)などのアルカリ土類金属が挙げられ、仕事関数が2.9eV以下の物質が特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性物質は、K、RbまたはCsのアルカリ金属であり、さらに好ましくはRbまたはCsであり、最も好ましいのはCsである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が高く、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への比較的少量の添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が2.9eV以下の還元性物質として、これら2種以上のアルカリ金属の組み合わせも好ましく、特に、Csを含んだ組み合わせ、例えば、CsとNa、CsとK、CsとRb、またはCsとNaとKとの組み合わせが好ましい。Csを含むことにより、還元能力を効率的に発揮することができ、電子輸送層または電子注入層を形成する材料への添加により、有機EL素子における発光輝度の向上や長寿命化が図られる。
上述した電子輸注入層用材料および電子輸送層用材料は、これらに反応性置換基が置換した反応性化合物をモノマーとして高分子化させた高分子化合物、もしくはその高分子架橋体、または、主鎖型高分子と前記反応性化合物とを反応させたペンダント型高分子化合物、もしくはそのペンダント型高分子架橋体としても、電子層用材料に用いることができる。この場合の反応性置換基としては、式(1)で表される多量体化合物での説明を引用できる。
このような高分子化合物および高分子架橋体の用途の詳細については後述する。
3−2−7.有機電界発光素子における陰極
陰極108は、電子注入層107および電子輸送層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たす。
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様の材料を用いることができる。なかでも、スズ、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は一般に大気中で不安定であることが多い。この点を改善するために、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウムをドーピングして、安定性の高い電極を使用する方法が知られている。その他のドーパントとしては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩も使用することができる。ただし、これらに限定されない。
さらに、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、スズ、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例としてあげられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
3−2−8.各層で用いてもよい結着剤
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層および電子注入層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶媒可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
3−3.有機電界発光素子の作製方法
有機EL素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などの方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造などにより異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度+50〜+400℃、真空度10−6〜10−3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
このようにして得られた有機EL素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機EL素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
次に、有機EL素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法について説明する。
3−3−1.蒸着法
適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法などにより形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上にホスト材料とドーパント材料を共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上に電子輸送層、電子注入層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法などにより形成させて陰極とすることにより、目的の有機EL素子が得られる。なお、上述の有機EL素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。
3−3−2.湿式成膜法
湿式成膜法は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物を液状の有機層形成用組成物として準備し、これを用いることによって実施される。この低分子化合物を溶解する適当な有機溶媒がない場合には、当該低分子化合物に反応性置換基を置換させた反応性化合物として溶解性機能を有する他のモノマーや主鎖型高分子と共に高分子化させた高分子化合物などから有機層形成用組成物を準備してもよい。
湿式成膜法は、一般的には、基板に有機層形成用組成物を塗布する塗布工程および塗布された有機層形成用組成物から溶媒を取り除く乾燥工程を経ることで塗膜を形成する。上記高分子化合物が架橋性置換基を有する場合(これを架橋性高分子化合物ともいう)には、この乾燥工程によりさらに架橋して高分子架橋体が形成される。塗布工程の違いにより、スピンコーターを用いる方法をスピンコート法、スリットコーターを用いる方法をスリットコート法、版を用いる方法をグラビア、オフセット、リバースオフセット、フレキソ印刷法、インクジェットプリンタを用いる方法をインクジェット法、霧状に吹付ける方法をスプレー法と呼ぶ。乾燥工程には、風乾、加熱、減圧乾燥などの方法がある。乾燥工程は1回のみ行なってもよく、異なる方法や条件を用いて複数回行なってもよい。また、例えば、減圧下での焼成のように、異なる方法を併用してもよい。
湿式成膜法とは溶液を用いた成膜法であり、例えば、一部の印刷法(インクジェット法)、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法などである。湿式成膜法は真空蒸着法と異なり高価な真空蒸着装置を用いる必要が無く、大気圧下で成膜することができる。加えて、湿式成膜法は大面積化や連続生産が可能であり、製造コストの低減につながる。
一方で、真空蒸着法と比較した場合には、湿式成膜法は積層化が難しい場合がある。湿式成膜法を用いて積層膜を作製する場合、上層の組成物による下層の溶解を防ぐ必要があり、溶解性を制御した組成物、下層の架橋および直交溶媒(Orthogonal solvent、互いに溶解し合わない溶媒)などが駆使される。しかしながら、それらの技術を用いても、全ての膜の塗布に湿式成膜法を用いるのは難しい場合がある。
そこで、一般的には、幾つかの層だけを湿式成膜法を用い、残りを真空蒸着法で有機EL素子を作製するという方法が採用される。
例えば、湿式成膜法を一部適用し有機EL素子を作製する手順を以下に示す。
(手順1)陽極の真空蒸着法による成膜
(手順2)正孔注入層用材料を含む正孔注入層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順3)正孔輸送層用材料を含む正孔輸送層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順4)ホスト材料とドーパント材料を含む発光層形成用組成物の湿式成膜法による成膜
(手順5)電子輸送層の真空蒸着法による成膜
(手順6)電子注入層の真空蒸着法による成膜
(手順7)陰極の真空蒸着法による成膜
この手順を経ることで、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ホスト材料とドーパント材料からなる発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子が得られる。
もちろん、下層の発光層の溶解を防ぐ手段があったり、また上記手順とは逆に陰極側から成膜する手段などを用いることで、電子輸送層用材料や電子注入層用材料を含む層形成用組成物として準備して、それらを湿式成膜法により成膜できる。
3−3−3.その他の成膜法
有機層形成用組成物の成膜化には、レーザー加熱描画法(LITI)を用いることができる。LITIとは基材に付着させた化合物をレーザーで加熱蒸着する方法で、基材へ塗布される材料に有機層形成用組成物を用いることができる。
3−3−4.任意の工程
成膜の各工程の前後に、適切な処理工程、洗浄工程および乾燥工程を適宜入れてもよい。処理工程としては、例えば、露光処理、プラズマ表面処理、超音波処理、オゾン処理、適切な溶媒を用いた洗浄処理および加熱処理等が挙げられる。さらには、バンクを作製する一連の工程も挙げられる。
バンクの作製にはフォトリソグラフィ技術を用いることができる。フォトリソグラフィの利用可能なバンク材としては、無機系材料および有機系材料のいずれも用いることができる。無機系材料としては、例えば、SiN、SiOおよびその混合物等があげられる。一方で、有機系材料としては、例えば、ポジ型レジスト材料およびネガ型レジスト材料等があげられる。また、インクジェット法、グラビアオフセット印刷、リバースオフセット印刷、スクリーン印刷などのパターン可能な印刷法も用いることができる。その際には永久レジスト材料を用いることもできる。
バンクに用いられる材料としては、多糖類およびその誘導体、ヒドロキシルを有するエチレン性モノマーの単独重合体および共重合体、生体高分子化合物、ポリアクリロイル化合物、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合ポリマー(ABS)、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム、ポリフルオロビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ化ポリマー、フルオロオレフィン−ヒドロカーボンオレフィンの共重合ポリマー、フルオロカーボンポリマーが挙げられるが、それだけに限定されない。
例えば、バンクのフォトリソグラフィ技術での有機系材料を用いた形成方法としては、
電極が形成された素子基板に、有機層形成用組成物に対して撥液性を示す材料を塗布し、乾燥することにより、有機層を形成する。この有機層に対して露光用マスクを用いて露光工程および現像工程を行うことにより、電極が形成された素子基板上にバンクが形成できる。この後、必要に応じて、有機層形成用組成物をムラなく広げるため、バンクの表面の不純物を取り除くための、溶媒による洗浄・乾燥工程や紫外線処理等の工程を行ってもよい。
また、バンクを有する基板にインクジェット法を用いて有機EL素子を作製することもでき、具体的には、電極が形成された素子基板にバンクを設けた上、インクジェットヘッドより、バンク間に、有機層形成用組成物の液滴を滴下し、乾燥させることで膜を形成することができる。そして、これを繰り返し、順次膜を積層し、真空蒸着法を用いて電子輸送層、電子注入層および電極を成膜すれば、バンク材で発光部位が区切られた有機EL素子を作製することができる。
なお、このように作製した有機EL素子は、水分や酸素から保護するために、封止層によって覆うことが好ましい。例えば、外部から水分や酸素などが浸入すると、発光機能が阻害され、発光効率の低下や、発光しない暗点(ダークスポット)が発生する。また、発光寿命が短くなる可能性がある。
封止層としては、例えば、水分や酸素などの透過性が低い、酸窒化シリコン(SiON)などの無機絶縁材料を用いることができる。また、透明なガラスや不透明なセラミックなどの封止基板を、有機EL素子が形成された素子基板に接着剤を介して貼り付けることにより、有機EL素子を封止してもよい。
3−3−5.湿式成膜法に使用される有機層形成用組成物
有機層形成用組成物は、有機EL素子の各有機層を形成し得る低分子化合物、または当該低分子化合物を高分子化させた高分子化合物を有機溶媒に溶解させて得られる。例えば、発光層形成用組成物は、第1成分として、ホスト材料である、上記一般式(1)で表される多量体化合物(またはその高分子化合物)と、第2成分として、ドーパント材料である、上述のホウ素を含有する多環芳香族化合物(またはその高分子化合物)と、第3成分として少なくとも1種の有機溶媒とを含有することが好ましい。第3成分は、組成物中の第1成分と第2成分を溶解する溶媒として機能し、塗布時には第3成分自身の制御された蒸発速度により平滑で均一な表面形状を与える。
なお、上記高分子化合物には、上述の一般式(1)で表される多量体化合物に反応性置換基が置換した反応性化合物(H)に由来する第1の構成単位と、第2成分のホウ素を含有する多環芳香族化合物(一般式(4)〜式(7)のいずれかで表される多環芳香族化合物)に反応性置換基が置換した反応性化合物(D)に由来する第2の構成単位とを有する共重合体である高分子化合物(HD)および当該高分子化合物(HD)をさらに架橋させた高分子架橋体(HD)、ならびに、主鎖型高分子に、反応性化合物(H)および反応性化合物(D)を置換させたペンダント型高分子化合物(HD)および当該ペンダント型高分子化合物(HD)をさらに架橋させたペンダント型高分子架橋体(HD)も含まれる。
つまり、高分子化合物(HD)、高分子架橋体(HD)、ペンダント型高分子化合物(HD)およびペンダント型高分子架橋体(HD)から選ばれる少なくとも1つと、有機溶媒とを含む有機層形成用組成物とすることができる。
なお、高分子化合物(HD)、高分子架橋体(HD)、ペンダント型高分子化合物(HD)およびペンダント型高分子架橋体(HD)は、第1成分であるホストと、第2成分であるドーパントとが同一分子内に組み込まれた構造を有する。
<有機溶媒>
有機層形成用組成物は少なくとも一種の有機溶媒を含む。成膜時に有機溶媒の蒸発速度を制御することで、成膜性および塗膜の欠陥の有無、表面粗さ、平滑性を制御および改善することができる。また、インクジェット法を用いた成膜時は、インクジェットヘッドのピンホールでのメニスカス安定性を制御し、吐出性を制御・改善することができる。加えて、膜の乾燥速度および誘導体分子の配向を制御することで、該有機層形成用組成物より得られる有機層を有する有機EL素子の電気特性、発光特性、効率、および寿命を改善することができる。
(1)有機溶媒の物性
少なくとも1種の有機溶媒の沸点は、130〜350℃であり、好ましくは140〜300℃、更に好ましくは150〜250℃である。沸点が130℃以上であれば、インクジェットの吐出性の観点から好ましい。また、沸点が350℃以下であれば、塗膜の欠陥、表面粗さ、残留溶媒および平滑性の観点から好ましい。有機溶媒は、良好なインクジェットの吐出性、成膜性、平滑性および低い残留溶媒の観点から、2種以上の有機溶媒を含む構成がより好ましい。一方で、場合によっては、運搬性などを考慮し、有機層形成用組成物中から溶媒を除去することで固形状態とした組成物であってもよい。
さらに、有機溶媒が第1成分のホストおよび第2成分のドーパントの少なくとも1種に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)とを含み、良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低いことが好ましい。
高沸点の貧溶媒を加えることで成膜時に低沸点の良溶媒が先に揮発し、組成物中の含有物の濃度と貧溶媒の濃度が増加し速やかな成膜が促される。これにより、欠陥が少なく、表面粗さが小さい、平滑性の高い塗膜が得られる。
溶解度の差(SGS−SPS)は、1%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることがさらに好ましい。沸点の差(BPPS−BPGS)は、10℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、50℃以上であることがさらに好ましい。
有機溶媒は、成膜後に、真空、減圧、加熱などの乾燥工程により塗膜より取り除かれる。加熱を行う場合、塗布成膜性改善の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移温度(Tg)+30℃以下で行うことが好ましい。また、残留溶媒の削減の観点からは、溶質の少なくとも1種のガラス転移点(Tg)−30℃以上で加熱することが好ましい。加熱温度が有機溶媒の沸点より低くても膜が薄いために、有機溶媒は十分に取り除かれる。また、異なる温度で複数回乾燥を行ってもよく、複数の乾燥方法を併用してもよい。
(2)有機溶媒の具体例
有機層形成用組成物に用いられる有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒、フェニルエーテル系溶媒、アルキルエーテル系溶媒、環状ケトン系溶媒、脂肪族ケトン系溶媒、単環性ケトン系溶媒、ジエステル骨格を有する溶媒および含フッ素系溶媒などがあげられ、具体例として、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサン−2−オール、ヘプタン−2−オール、オクタン−2−オール、デカン−2−オール、ドデカン−2−オール、シクロヘキサノール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオール、δ−テルピネオール、テルピネオール(混合物)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、p−キシレン、m−キシレン、o−キシレン、2,6−ルチジン、2−フルオロ−m−キシレン、3−フルオロ−o−キシレン、2−クロロベンゾ三フッ化物、クメン、トルエン、2−クロロ−6−フルオロトルエン、2−フルオロアニソール、アニソール、2,3−ジメチルピラジン、ブロモベンゼン、4−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、3−トリフルオロメチルアニソール、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、2−メチルアニソール、フェネトール、ベンゾジオキソール、4−メチルアニソール、s−ブチルベンゼン、3−メチルアニソール、4−フルオロ−3−メチルアニソール、シメン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、2−フルオロベンゾニトリル、4−フルオロベラトロール、2,6−ジメチルアニソール、n−ブチルベンゼン、3−フルオロベンゾニトリル、デカリン(デカヒドロナフタレン)、ネオペンチルベンゼン、2,5−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール、ベンゾニトリル、3,5−ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、1−フルオロ−3,5−ジメトキシベンゼン、安息香酸メチル、イソペンチルベンゼン、3,4−ジメチルアニソール、o−トルニトリル、n−アミルベンゼン、ベラトロール、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、安息香酸エチル、n−ヘキシルベンゼン、安息香酸プロピル、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、安息香酸ブチル、2−メチルビフェニル、3−フェノキシトルエン、2,2’−ビトリル、ドデシルベンゼン、ジペンチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、トリメトキシベンゼン、トリメトキシトルエン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、1−メチル−4−(プロポキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ブチルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ペンチルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ヘキシルオキシメチル)ベンゼン、1−メチル−4−(ヘプチルオキシメチル)ベンゼンベンジルブチルエーテル、ベンジルペンチルエーテル、ベンジルヘキシルエーテル、ベンジルヘプチルエーテル、ベンジルオクチルエーテル、ニトロベンゼン、ジメチルニトロベンゼン、アミノビフェニル、ジフェニルアミンなどが挙げられるが、それだけに限定されない。また、溶媒は単一で用いてもよく、混合してもよい。
これらの中でも、有機溶媒としては、アルキルベンゼン系溶媒およびフェニルエーテル系溶媒から選ばれる1種以上が好ましく、3−フェノキシトルエンとシクロヘキシルベンゼンとの混合溶媒がより好ましい。
<任意成分>
有機層形成用組成物は、その性質を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、バインダーおよび界面活性剤等が挙げられる。
(1)バインダー
有機層形成用組成物は、バインダーを含有していてもよい。バインダーは、成膜時には膜を形成するとともに、得られた膜を基板と接合する。また、該有機層形成用組成物中で他の成分を溶解および分散および結着させる役割を果たす。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合体(AES)樹脂、アイオノマー、塩素化ポリエーテル、ジアリルフタレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、テフロン(R)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、および、上記樹脂およびポリマーの共重合体、が挙げられるが、それだけに限定されない。
有機層形成用組成物に用いられるバインダーは、1種のみであってもよく複数種を混合して用いてもよい。
(2)界面活性剤
有機層形成用組成物は、例えば、有機層形成用組成物の膜面均一性、膜表面の親溶媒性および撥液性の制御のために界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、親水性基の構造からイオン性および非イオン性に分類され、さらに、疎水性基の構造からアルキル系およびシリコン系およびフッ素系に分類される。また、分子の構造から、分子量が比較的小さく単純な構造を有する単分子系および分子量が大きく側鎖や枝分かれを有する高分子系に分類される。また、組成から、単一系、二種以上の界面活性剤および基材を混合した混合系に分類される。該有機層形成用組成物に用いることのできる界面活性剤としては、全ての種類の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−35 8、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF−477、メガファックF−479、メガファックF−553、メガファックF−554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤は1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<有機層形成用組成物の組成および物性>
有機層形成用組成物における各成分の含有量は、有機層形成用組成物中の各成分の良好な溶解性、保存安定性および成膜性、ならびに、該有機層形成用組成物から得られる塗膜の良質な膜質、また、インクジェット法を用いた場合の良好な吐出性、該組成物を用いて作製された有機層を有する有機EL素子の、良好な電気特性、発光特性、効率、寿命の観点を考慮して決定される。例えば、発光層形成用組成物の場合には、第1成分のホスト材料が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.0999〜8.0質量%、第2成分であるドーパント材料が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.0001〜2.0質量%、第3成分である有機溶媒が発光層形成用組成物の全質量に対して、90.0〜99.9質量%であることが好ましい。
より好ましくは、第1成分であるホスト材料が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.095〜4.0質量%、第2成分が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.005〜1.0質量%、第3成分である有機溶媒が発光層形成用組成物の全質量に対して、95.0〜99.9質量%である。
さらに好ましくは、第1成分であるホスト材料が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.25〜2.5質量%、第2成分であるドーパント材料が発光層形成用組成物の全質量に対して、0.05〜0.5質量%、第3成分である有機溶媒が発光層形成用組成物の全質量に対して、97.0〜99.7質量%である。
有機層形成用組成物は、上述した成分を、公知の方法で攪拌、混合、加熱、冷却、溶解、分散等を適宜選択して行うことによって製造できる。また、調製後に、ろ過、脱ガス(デガスとも言う)、イオン交換処理および不活性ガス置換・封入処理等を適宜選択して行ってもよい。
有機層形成用組成物の粘度としては、高粘度である方が、良好な成膜性とインクジェット法を用いた場合の良好な吐出性が得られる。一方、低粘度である方が薄い膜を作りやすい。このことから、該有機層形成用組成物の粘度は、25℃における粘度が0.3〜3mPa・sであることが好ましく、1〜3mPa・sであることがより好ましい。本発明において、粘度は円錐平板型回転粘度計(コーンプレートタイプ)を用いて測定した値である。
有機層形成用組成物の表面張力としては、低い方が良好な成膜性および欠陥のない塗膜が得られる。一方、高い方が良好なインクジェット吐出性を得られる。このことから、該有機層形成用組成物の粘度は、25℃における表面張力が20〜40mN/mであることが好ましく、20〜30mN/mであることがより好ましい。本発明において、表面張力は懸滴法を用いて測定した値である。
3−3−6.架橋性高分子化合物:一般式(XLP−1)で表される化合物
次に、上述した高分子化合物が架橋性置換基を有する場合について説明する。このような架橋性高分子化合物は例えば下記一般式(XLP−1)で表される化合物である。
Figure 2021091644
式(XLP−1)において、
MUx、ECxおよびkは上記式(SPH−1)におけるMU、ECおよびkと同定義であり、ただし、式(XLP−1)で表される化合物は少なくとも1つの架橋性置換基(XLS)を有し、好ましくは架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、分子中0.1〜80質量%である。
架橋性置換基を有する1価または2価の芳香族化合物の含有量は、0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
架橋性置換基(XLS)としては、上述した高分子化合物をさらに架橋化できる基であれば特に限定されないが、以下の構造の置換基が好ましい。各構造式中の*は結合位置を示す。
Figure 2021091644
Lは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、>C=O、−O−C(=O)−、炭素数1〜12のアルキレン、炭素数1〜12のオキシアルキレンおよび炭素数1〜12のポリオキシアルキレンである。上記置換基の中でも、式(XLS−1)、式(XLS−2)、式(XLS−3)、式(XLS−9)、式(XLS−10)または式(XLS−17)で表される基が好ましく、式(XLS−1)、式(XLS−3)または式(XLS−17)で表される基がより好ましい。
架橋性置換基を有する2価の芳香族化合物としては、例えば下記部分構造を有する化合物が挙げられる。各構造式中の*は結合位置を示す。
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
Figure 2021091644
3−3−7.高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法
高分子化合物および架橋性高分子化合物の製造方法について、上述した式(SPH−1)で表される化合物および式(XLP−1)で表される化合物を例にして説明する。これらの化合物は、公知の製造方法を適宜組み合わせて合成することができる。
反応で用いられる溶媒としては、芳香族溶媒、飽和/不飽和炭化水素溶媒、アルコール溶媒、エーテル系溶媒などがあげられ、例えば、ジメトキシエタン、2−(2−メトキシエトキシ)エタン、2−(2−エトキシエトキシ)エタン等があげられる。
また、反応は2相系で行ってもよい。2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。
式(SPH−1)の化合物および式(XLP−1)の化合物を製造する際、一段階で製造してもよいし、多段階を経て製造してもよい。また、原料を反応容器に全て入れてから反応を開始する一括重合法により行ってもよいし、原料を反応容器に滴下し加える滴下重合法により行ってもよいし、生成物が反応の進行に伴い沈殿する沈殿重合法により行ってもよく、これらを適宜組み合わせて合成することができる。例えば、式(SPH−1)で表される化合物を一段階で合成する際、モノマーユニット(MU)およびエンドキャップユニット(EC)を反応容器に加えた状態で反応を行うことで目的物を得る。また、一般式(SPH−1)で表される化合物を多段階で合成する際、モノマーユニット(MU)を目的の分子量まで重合した後、エンドキャップユニット(EC)を加えて反応させることで目的物を得る。多段階で異なる種類のモノマーユニット(MU)を加え反応を行えば、モノマーユニットの構造について濃度勾配を有するポリマーを作ることができる。また、前駆体ポリマーを調製した後、あと反応により目的物ポリマーを得ることができる。
また、モノマーユニット(MU)の重合性基を選べばポリマーの一次構造を制御することができる。例えば、合成スキームの1〜3に示すように、ランダムな一次構造を有するポリマー(合成スキームの1)、規則的な一次構造を有するポリマー(合成スキームの2および3)などを合成することが可能であり、目的物に応じて適宜組み合わせて用いることができる。さらには、重合性基を3つ以上有するモノマーユニットを用いれば、ハイパーブランチポリマーやデンドリマーを合成することができる。
Figure 2021091644
本発明で用いることのできるモノマーユニットとしては、特開2010-189630号公報、国際公報第2012/086671号、国際公開第2013/191088号、国際公開第2002/045184号、国際公開第2011/049241号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2005/049546号、国際公開第2015/145871号、特開2010-215886号、特開2008-106241号公報、特開2010-215886号公報、国際公開第2016/031639号、特開2011-174062号公報、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2002/045184号に記載の方法に準じて合成することができる。
また、具体的なポリマー合成手順については、特開2012-036388号公報、国際公開第2015/008851号、特開2012-36381号公報、特開2012-144722号公報、国際公開第2015/194448号、国際公開第2013/146806号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/031639号、国際公開第2016/125560号、国際公開第2015/145871号、国際公開第2011/049241号、特開2012-144722号公報に記載の方法に準じて合成することができる。
3−4.有機電界発光素子の応用例
また、本発明は、有機EL素子を備えた表示装置または有機EL素子を備えた照明装置などにも応用することができる。有機EL素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機EL素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどが挙げられる(例えば、特開平10-335066号公報、特開2003-321546号公報、特開2004-281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクス方式およびセグメント方式の少なくとも1つなどが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
マトリクスは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されており、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が、構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
セグメント方式(タイプ)では、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどが挙げられる(例えば、特開2003-257621号公報、特開2003-277741号公報、特開2004-119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式では蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
また現在、色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明などへ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換(波長変換)することであり、たとえば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。この波長変換機能を有する組成物をフィルム化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と波長変換機能を有するフィルムを組み合わせた白色光源を光源ユニットとし、液晶駆動部分と、カラーフィルターと組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、たとえばLED照明などの白色光源として応用できる。また、青色有機EL素子を光源として、緑色および赤色に変換するフィルムと組み合わせて用いることでメタルマスクを用いないフルカラー有機ELディスプレイの作製が可能になる。さらに、青色マイクロLEDを光源として、緑色および赤色に変換するフィルムと組み合わせて用いることで低コストのフルカラーマイクロLEDディスプレイの作製が可能になる。
上記一般式(1)で表される多量体化合物は、励起光によって色純度の高い青色発光あるいは緑色発光を与える蛍光材料として有用であり、このような波長変換機能を有する材料としても用いることができる。具体的には、式(1)で表される多量体化合物は、例えば波長300nm〜449nmの光を450nm〜500nmに極大値を有する狭い半値幅(25nm以下、さらには20nm以下)の青色発光に変換する波長変換材料として使用することができる。また、例えば波長300nm〜499nmの光を500nm〜570nmに極大値を有する狭い半値幅(25nm以下、さらには20nm以下)の緑色発光に変換する波長変換材料として使用することができる。
波長変換機能を有する組成物は、式(1)で表される多量体化合物のほか、バインダー樹脂、その他の添加剤、および溶媒を含んでいてもよい。バインダー樹脂としては、例えば国際公開第2016/190283号の段落[0173]〜[0176]に記載の樹脂を用いることができる。その他の添加剤としては、国際公開第2016/190283号の段落[0177]〜[0181]に記載の化合物を用いることができる。また、溶媒としては、これらの材料を適切に溶解し得る溶媒を用いればよい。
波長変換フィルムは波長変換機能を有する組成物を硬化させることにより形成される波長変換層を含む。組成物から波長変換層を作製する方法としては公知のフィルム形成方法を参照することができる。波長変換フィルムは式(1)で表される多量体化合物を含む組成物から形成される波長変換層のみからなっていてもよく、他の波長変換層(例えば、青色光を緑色光や赤色光に変換する波長変換層、青色光や緑色光を赤色光に変換する波長変換層)を含んでいてもよい。さらに波長変換フィルムは基材層や、色変換層の酸素、水分や熱による劣化を防ぐためのバリア層を含んでいてもよい。
3−5.その他の有機デバイス
本発明に係る多量体化合物は、上述した有機電界発光素子の他に、有機電界効果トランジスタまたは有機薄膜太陽電池などの作製に用いることができる。
有機電界効果トランジスタは、電圧入力によって発生させた電界により電流を制御するトランジスタのことであり、ソース電極とドレイン電極の他にゲート電極が設けられている。ゲート電極に電圧を印加すると電界が生じ、ソース電極とドレイン電極間を流れる電子(あるいはホール)の流れを任意にせき止めて電流を制御することができる。電界効果トランジスタは、単なるトランジスタ(バイポーラトランジスタ)に比べて小型化が容易であり、集積回路などを構成する素子としてよく用いられている。
有機電界効果トランジスタの構造は、通常、本発明に係る多量体化合物を用いて形成される有機半導体活性層に接してソース電極およびドレイン電極が設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば以下の構造があげられる。
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極
(3)基板/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極
(4)基板/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層/絶縁体層/ゲート電極
このように構成された有機電界効果トランジスタは、アクティブマトリックス駆動方式の液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイの画素駆動スイッチング素子等として適用できる。
有機薄膜太陽電池は、ガラスなどの透明基板上にITOなどの陽極、ホール輸送層、光電変換層、電子輸送層、陰極が積層された構造を有する。光電変換層は陽極側にp型半導体層を有し、陰極側にn型半導体層を有している。本発明に係る多量体化合物は、その物性に応じて、ホール輸送層、p型半導体層、n型半導体層、電子輸送層の材料として用いることが可能である。本発明に係る多量体化合物は、有機薄膜太陽電池においてホール輸送材料や電子輸送材料として機能しうる。有機薄膜太陽電池は、上記の他にホールブロック層、電子ブロック層、電子注入層、ホール注入層、平滑化層などを適宜備えていてもよい。有機薄膜太陽電池には、有機薄膜太陽電池に用いられる既知の材料を適宜選択して組み合わせて用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されない。まず、多量体化合物の合成例について、以下に説明する。
合成例(1)
化合物(1−740):3,3’−オキシビス(4−メチル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン)の合成
Figure 2021091644
[第1段]
窒素雰囲気下、室温で、3−フェノキシフェノール(2.80g、15mmol)、1,3−ジブロモ−2−メチルベンゼン(2.10ml、15mmol)、ヨウ化銅(0.290g、1.5mmol)、2−ピコリン酸(0.186g、1.5mmol)および炭酸カリウム(4.16g、30mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)50mlに加えた後、130℃で64時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を室温まで冷却し、6N塩酸100mlを加えた後、トルエン400mlを用いて抽出を行った。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサンからトルエン/ヘキサン=1/5の混合溶媒へグラジェントをかけた)で精製し、無色オイル状の1−ブロモ−2−メチル−3−(3−フェノキシフェノキシ)ベンゼン(2.63g、収率49%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):2.31 (s, 3H), 6.58-6.60 (m, 2H), 6.68 (ddd, 1H), 6.90 (dd, 1H), 7.03 (dd, 2H), 7.03 (t, 1H), 7.12 (tt, 1H), 7.22 (dd, 1H), 7.32-7.37 (m, 3H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):16.2 (1C), 108.0 (1C), 111.8 (1C), 112.7 (1C), 119.0 (1C), 119.2 (2C), 123.7 (1C), 126.2 (1C), 127.6 (1C), 128.4 (1C), 129.8 (2C), 130.4 (1C), 130.6 (1C), 154.7 (1C), 156.5 (1C), 158.8 (1C), 158.9 (1C).
[第2段]
窒素雰囲気下、室温で、2−メチルベンゼン−1,3−ジオール(13.7ml、110mmol)、1−ブロモ−3−フェノキシベンゼン(19.9g、80mmol)、ヨウ化銅(1.54g、8.0mmol)、2−ピコリン酸(0.986g、8.0mmol)、および炭酸カリウム(44.2g、320mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)300mlに加えた後、120℃で8時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を室温まで冷却し、6N塩酸500mlを加えた後、トルエン400mlを用いて抽出を行った。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサンからトルエン/ヘキサン=1/10の混合溶液そしてトルエンへグラジェントをかけた)で精製し、褐色オイル状の2−メチル−3−(3−フェノキシフェノキシ)フェノール(8.39g、収率36%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):2.12 (s, 3H), 4.89 (s, 1H), 6.56-6.67 (m, 5H), 7.00-7.05 (m, 3H), 7.11 (tt, 4H), 7.21 (dd, 1H), 7.33 (dd, 2H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):8.7 (1C), 108.0 (1C), 111.0 (1C), 111.8 (1C), 112.4 (1C), 112.5 (1C), 116.5 (1C), 119.1 (2C), 123.5 (1C), 126.8 (1C), 129.7 (2C), 130.2 (1C), 154.9 (1C), 155.1 (1C), 156.7 (1C), 158.6 (1C), 159.2 (1C).
[第3段]
窒素雰囲気下、室温で、1−ブロモ−2−メチル−3−(3−フェノキシフェノキシ)ベンゼン(2.05g、5.8mmol)、2−メチル−3−(3−フェノキシフェノキシ)フェノール(1.74g、6.0mmol)、ヨウ化銅(0.114g、0.58mmol)、2−ピコリン酸(72.7mg、0.58mmol)および炭酸カリウム(1.61g、12mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)10mlに加えた後、160℃で24時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を室温まで冷却し、1N塩酸70mlを加えた後、トルエン100mlを用いて抽出を行った。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサンからトルエン/ヘキサン=1/5の混合溶媒へグラジェントをかけた)で精製し、無色オイル状の3,3’−オキシビス(2−メチル−1−(3−フェノキシフェノキシ)ベンゼン)(2.51g、収率77%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):2.17 (s, 6H), 6.58 (d, 2H), 6.63 (t, 2H), 6.67-6.69 (m, 4H), 6.74 (d, 2H), 7.04 (d, 4H), 7.06-7.13 (m, 4H), 7.24 (t, 2H), 7.34 (t, 4H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):9.3 (2C), 108.0 (2C), 111.9 (2C), 112.5 (2C), 113.7 (2C), 114.9 (2C), 119.2 (4C), 121.5 (2C), 123.6 (2C), 126.8 (2C), 129.8 (4C), 130.3 (2C), 155.2 (2C), 156.4 (2C), 156.7 (2C), 158.7 (2C), 159.1 (2C).
[第4段]
窒素雰囲気下、0℃で、3,3’−オキシビス(2−メチル−1−(3−フェノキシフェノキシ)ベンゼン)(0.56g、0.99mmol)、およびt−ブチルベンゼン(2.0ml)に、ブチルリチウム(1.34ml、2.1mmol)を加え、70℃で3時間加熱撹拌を行った。続いて、窒素雰囲気下、室温で、テトラヒドロフラン(THF)(6.0ml)および2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(iPrOBpin)(0.733ml、3.6mmol)を加え、24時間撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液に、1N塩酸100mlを加えた後、トルエン100mlを用いて抽出を行った。溶媒を減圧留去して得られた粗生成物をGPCで精製することで、淡黄色オイル状の2,2’−(((オキシビス(2−メチル−3,1−フェニレン))ビス(6−フェノキシ−2,1−フェニレン))ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキササボロラン(0.291g、収率36%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):1.13 (s, 24H), 2.26 (s, 6H), 6.53 (d, 2H), 6.61 (d, 2H), 6.63 (d, 2H), 6.69 (d, 2H), 6.99-7.06 (m, 8H), 7.26-7.32 (m, 6H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):9.2 (2C), 24.5 (8C), 84.0 (4C), 112.6 (2C), 112.9 (2C), 113.2 (2C), 114.1 (2C), 118.1 (4C), 120.2 (2C), 122.6 (2C), 126.5 (2C), 129.5 (4C), 131.9 (2C), 156.2 (2C), 156.9 (2C), 158.0 (2C), 160.7 (2C), 161.1 (2C).
[第5段]
窒素雰囲気下、室温で、2,2’−(((オキシビス(2−メチル−3,1−フェニレン))ビス(6−フェノキシ−2,1−フェニレン))ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキササボロラン(0.289g、0.35mmol)、および塩化アルミニウム(0.282g、2.1mmol)を1,2−ジクロロベンゼン3.0mlに加えた後、120℃で7時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を室温まで冷却し、減圧下で反応溶液中のヨウ化水素を留去した。ジクロロメタン(30mL)を加えて反応溶液を薄めた後に、リン酸緩衝溶液(pH=7、100mL)を加え、ジクロロメタン(150ml)および酢酸エチル(150ml)で水層をそれぞれ三回抽出した後、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を酢酸エチルで洗浄することで、目的とする化合物(1−740)である3,3’−オキシビス(4−メチル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン)(19.5mg、収率10%)を赤褐色固体として得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):2.71 (s, 6H), 7.02 (d, 2H), 7.32 (d, 2H), 7.37-7.43 (m, 4H), 7.62 (d, 2H), 7.74 (ddd, 2H), 7.86 (t, 2H), 8.57 (d, 2H), 8.67 (dd, 2H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):8.9 (2C), 108.3 (2C), 108.5 (2C), 113.4 (2C), 117.7 (2C), 118.4 (2C), 122.6 (2C), 132.6 (2C), 133.2 (2C), 134.2 (2C), 134.3 (2C), 157.4 (2C), 157.6 (2C), 158.9 (2C), 160.2 (2C), 160.6 (2C).
合成例(2)
化合物(1−67):N,N−ビス(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−2,4,6−トリメチルアニリンの合成
Figure 2021091644
[第1段]
N,N−ビス(3,5−ジフェノキシフェニル)−2,4,6−トリメチルアニリン(1.97g、3.0mmol)およびN−ブロモスクシンイミド(NBS)(1.12ml、6.3mmol)をジクロロメタン30mLに加えた後、室温で2時間攪拌した。
反応終了後の反応溶液に水60mlを加えた後、ジクロロメタン60mlを用いて抽出を行った。得られた有機層を水120mlで洗浄した後、溶媒を減圧留去して粗生成物をシリカゲルカラムカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/8の混合溶媒から酢酸エチル/ヘキサン=1/5の混合溶媒へグラジェントをかけた)により精製した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することで、白色固体のN,N−ビス(4−ブロモ−3,5−ジフェノキシフェニル)−2,4,6−トリメチルアニリン(2.06g、収率84%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):1.88 (s, 6H), 2.21 (s, 3H), 6.39 (s, 4H), 6.77 (s, 2H), 6.86 (d, 8H), 7.04 (t, 4H), 7.26 (t, 8H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):18.1 (2C), 20.9 (1C), 100.5 (2C), 107.9 (4C), 117.1 (8C), 123.1 (4C), 129.7 (8C), 130.1 (2C), 136.5 (2C), 137.8 (1C), 138.2 (1C), 145.6 (2C), 155.1 (4C), 156.7 (4C).
[第2段]
窒素雰囲気下,−42℃で、N,N−ビス(4−ブロモ−3,5−ジフェノキシフェニル)−2,4,6−トリメチルアニリン(0.163g、0.20mmol)およびt−ブチルベンゼン(2.0ml)に、t−ブチルリチウム(0.420ml、0.80mmol)を加え、0℃で2時間撹拌を行った。続いて,窒素雰囲気下、−42℃で、三臭化ホウ素(0.150ml、1.6mmol)を加え、80℃で1時間撹拌を行った後、室温まで冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(5.25ml、30.2mmol)を加え、160℃で18時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を、フロリジール(展開溶媒:トルエン)を用いて濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物を、GPCを用いて精製し、ヘキサンで洗浄することで、目的とする化合物(1−67)であるN,N−ビス(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−2,4,6−トリメチルアニリン(2.26mg、収率2%)を黄色固体として得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):2.15 (s, 6H), 2.41 (s, 3H), 6.98 (s, 4H), 7.05 (s, 2H), 7.32 (t, 4H), 7.40 (d, 4H), 7.64 (t,4H), 8.52 (d, 4H).
HRMS (DART) m/z [M]+ calcd for C45H31B2N1O4672.2532, observed 672.2550.
合成例(3)
化合物(1−58):N,N−ビス(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−2−イル)−アニリンの合成
Figure 2021091644
窒素雰囲気下、室温で、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(8.83mg、0.009mmol)、2−ジシクロヘキシルフォスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)(7.89mg、0.018mmol)、およびt−ブトキシナトリウム(0.174g、1.8mmol)を、2−クロロ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(0.219g、2.4mmol)のトルエン(4.0ml)溶液に加え、さらにアニリン(27.5μl、0.30mmol)を加えて、110℃で6時間加熱撹拌を行った。
反応終了後の反応溶液を室温まで冷却し、1N塩酸80mlを加えた後、トルエン250mlを用いて抽出を行った。溶媒を留去して得られた粗生成物をGPCで精製し、目的とする化合物(1−58)であるN,N−ビス(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−2−イル)−アニリン(75.5mg、収率40%)を黄色固体として得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.06 (t, 1H), 7.15 (dt, 2H), 7.21-7.26 (m, 6H), 7.33 (dt, 2H), 7.49 (dd, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.59-7.62 (m, 4H), 7.80 (t, 2H), 8.28 (dd, 2H), 8.52 (d, 2H).
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):108.4 (2C), 108.4 (2C), 118.4 (2C), 119.7 (2C), 122.3 (1C), 122.7 (2C), 122.9 (2C), 129.4 (2C), 129.5 (2C), 131.0 (2C), 133.6 (2C), 134.2 (2C), 134.7 (2C), 142.8 (2C), 148.4 (2C), 156.9 (2C), 157.6 (2C), 160.5 (2C).
合成例(4)
化合物(1−56):N−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−N−フェニル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−アミンの合成
Figure 2021091644
[第1段]
窒素雰囲気下、−20℃で、((2,5−ジブロモ−1,3−フェニレン)ビス(オキシ))ジベンゼン(6.30g、15mmol)およびテトラリン(150mL)に、ブチルリチウム(11.5mL、18mmol)を加え、3時間攪拌した。続いて、反応溶液に0℃で三臭化ホウ素(5.70mL、60mmol)を加え、220℃で60時間加熱撹拌した。
反応終了後に反応溶液を室温まで冷却し、臭化水素および未反応の三臭化ホウ素を室温で減圧留去し、反応溶液内に析出した固体を濾過した。得られた固体をメタノール(100mL)で洗浄することで、淡黄色固体として7−ブロモ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(1.07g)を得た。また、ろ液に対してリン酸緩衝液(pH=7.80mL)を加え、有機層を分離後、水層をトルエン(50mL)で3回抽出した。その後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をメタノール(100mL)で洗浄することで淡黄色固体として7−ブロモ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(0.63g)をろ液中から回収した。以上の操作により、7−ブロモ−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンを合計1.70g、収率33%にて得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz):7.37-7.40 (m, 4H), 7.51 (d, 2H), 7.68-7.72 (m, 2H), 8.65 (dd, 2H)
13C-NMR (CDCl3, 126 MHz):112.3 (2C), 118.6 (2C), 123.2 (2C), 128.5 (1C), 133.9 (2C), 134.6 (2C), 157.8 (2C), 160.5 (2C).
[第2段]
窒素雰囲気下、室温で、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(11.6mg、0.013mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)(10.7mg、0.026mmol)、t−ブトキシカリウム(0.225g、2.0mmol)、7−ブロモ−5、9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(0.436g、1.3mmol)、アニリン(46.0μL、0.50mmol)およびメシチレン(5.0mL)を加え、90℃で2時間、120℃で2時間、140℃で1時間、160℃で2時間加熱撹拌を行った。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、飽和食塩水溶液(80mL)を加え、酢酸エチル(30mL)で8回抽出し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をクロロホルム(200mL)で洗浄して得た固体をo−ジクロロベンゼン(80mL)に溶かして濾過することにより無機塩を除去し、溶媒を留去した。得られた固体に対してo−ジクロロベンゼン(15mL)を用いた再結晶を行うことで、白色固体として化合物(1−56)であるN−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−N−フェニル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−アミン(15.7mg、収率5%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR ((CDCl)2, 500 MHz); 6.99 (s, 4H), 7.30 (t, 1H), 7.34-7.38 (m, 6H), 7.42-7.47 (m, 6H), 7.66 (t, 4H), 8.62 (d,4H)
合成例(5)
化合物(1−2−61):3,9−ジ(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−9H−カルバゾールの合成
Figure 2021091644
窒素雰囲気下、室温で、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(3.45mg、3.8μmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(SPhos)(3.06mg、7.5μmol)、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)(0.185mL、0.29mmol)、7−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン(72.5mg、0.18mmol)、9−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−3−ブロモ−9H−カルバゾール:9−(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)9H−カルバゾール=89:11の混合物(81.0mg、0.14mmol)およびトルエン:水=5:1の混合溶液(1.8mL)を加え、60℃で3時間および90℃で12時間加熱撹拌を行った。
反応終了後、反応溶液を室温まで冷却し、飽和食塩水溶液(30mL)を加え、トルエン(10mL)で8回抽出し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。その後、得られた粗生成物をアセトニトリルによって洗浄を行うことで、白色固体として化合物(1−2−61)である3,9−ジ(5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン−7−イル)−9H−カルバゾール(45.6mg、収率46%)を得た。
Figure 2021091644
NMRスペクトルにより得られた化合物の構造を確認した。
1H-NMR ((CDCl2), 500 MHz):7.42-7.46 (m, 3H), 7.49 (t, 2H), 7.54 (t, 1H), 7.58 (s, 2H), 7.65 (t, 4H), 7.69 (s, 2H), 7.72 (d, 1H), 7.74-7.81 (m, 5H), 7.94 (dd, 1H), 8.31 (d, 1H), 8.61 (s, 1H), 8.74 (d, 2H), 8.79 (d, 2H).
原料の化合物を適宜変更することにより、上述した合成例に準じた方法で、本発明の他の多量体化合物を合成することができる。次に、多量体化合物の基礎物性の評価と、有機EL素子の作製例について詳述する。
(1)基礎物性の評価方法
サンプルの準備
評価対象の化合物の吸収特性と発光特性(蛍光と燐光)を評価する場合、評価対象の化合物を溶媒に溶解して溶媒中で評価する場合と薄膜状態で評価する場合がある。さらに、薄膜状態で評価する場合は、評価対象の化合物の有機EL素子における使用の態様に応じて、評価対象の化合物のみを薄膜化し評価する場合と評価対象の化合物を適切なマトリックス材料中に分散して薄膜化して評価する場合がある。ここでは、評価対象化合物のみを蒸着して得た薄膜を「単独膜」といい、評価対象化合物とマトリックス材料を含む塗工液を塗布、乾燥して得た薄膜を「塗膜」という。
マトリックス材料としては、市販のPMMA(ポリメチルメタクリレート)などを用いることができる。本実施例では、PMMAと評価対象の化合物をトルエン中で溶解させた後、スピンコーティング法により石英製の透明支持基板(10mm×10mm)上に薄膜を形成してサンプルを作製した。
また、マトリックス材料がホスト化合物である場合の薄膜サンプルの作製方法を以下に記載する。石英製の透明支持基板(10mm×10mm×1.0mm)を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、ホスト化合物を入れたモリブデン製蒸着用ボート、ドーパント材料を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した後、真空槽を5×10−4Paまで減圧する。次に、ホスト化合物が入った蒸着用ボートとドーパント材料が入った蒸着用ボートを同時に加熱して、ホスト化合物とドーパント材料を適切な膜厚になるように共蒸着してホスト化合物とドーパント材料の混合薄膜(サンプル)を形成した。ここで、ホスト化合物とドーパント材料の設定重量比に応じて蒸着速度を制御する。
吸収特性と発光特性の評価
サンプルの吸収スペクトルの測定は、紫外可視近赤外分光光度計((株)島津製作所、UV−2600)を用いて行った。また、サンプルの蛍光スペクトルまたは燐光スペクトルの測定は、分光蛍光光度計(日立ハイテク(株)製、F−7000)を用いて行った。
蛍光スペクトルの測定に対しては、室温で適切な励起波長で励起しフォトルミネッセンスを測定した。燐光スペクトルの測定に対しては、付属の冷却ユニットを使用して、前記サンプルを液体窒素に浸した状態(温度77K)で測定した。燐光スペクトルを観測するため、光学チョッパを使用して励起光照射から測定開始までの遅れ時間を調整した。サンプルは適切な励起波長で励起しフォトルミネッセンスを測定した。
また、絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株)製、C9920−02G)を用いて蛍光量子収率(PLQY)を測定する。
蛍光寿命(遅延蛍光)の評価
蛍光寿命測定装置(浜松ホトニクス(株)製、C11367−01)を用いて300Kで蛍光寿命を測定する。具体的には、適切な励起波長で測定される極大発光波長において蛍光寿命の早い発光成分と遅い発光成分を観測する。蛍光を発光する一般的な有機EL材料の室温における蛍光寿命測定では、熱による3重項成分の失活により、燐光に由来する3重項成分が関与する遅い発光成分が観測されることはほとんどない。評価対象の化合物において遅い発光成分が観測された場合は、励起寿命の長い3重項エネルギーが熱活性化により1重項エネルギーに移動して遅延蛍光として観測されたことを示すことになる。
エネルギーギャップ(Eg)の算出
前述の方法で得られた吸収スペクトルの長波長末端A(nm)からEg=1240/Aで算出する。
イオン化ポテンシャル(Ip)の測定
ITO(インジウム・スズ酸化物)の蒸着された透明支持基板(28mm×26mm×0.7mm)を市販の蒸着装置(長州産業(株)製)の基板ホルダーに固定し、対象化合物を入れたモリブデン製蒸着用ボートを装着した後、真空槽を5×10−4Paまで減圧する。次に、蒸着用ボートを加熱して対象化合物を蒸発させ、対象化合物の単独膜(Neat膜)を形成する。
得られた単独膜をサンプルとし、光電子分光計(住友重機械工業株式会社 PYS−201)を用いて対象化合物のイオン化ポテンシャルを測定する。
電子親和力(Ea)の算出
前述の方法で測定したイオン化ポテンシャルと前述の方法で算出したエネルギーギャップとの差より、電子親和力を見積ることができる。
励起一重項エネルギー準位E(S,Sh)、励起三重項エネルギー準位E(T,Sh)の測定
ガラス基板上に形成した対象化合物の単独膜について、77Kで、吸収スペクトルの蛍光ピークが重ならない程度に長波長側のピークを励起光に蛍光スペクトルを観測し、その蛍光スペクトルのピーク短波長側の肩より励起一重項エネルギー準位E(S,Sh)を求める。
また、ガラス基板上に形成した対象化合物の単独膜に、77Kで、吸収スペクトルの蛍光ピークが重ならない程度に長波長側のピークをnm励起光に燐光スペクトルを観測し、その燐光スペクトルのピーク短波長側の肩より励起三重項エネルギー準位E(T,Sh)を求める。
(1−1)化合物(1−740)の基礎物性の評価
吸収スペクトルの測定は、化合物(1−740)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し吸収スペクトルの測定を行った。その結果、可視光領域での極大吸収波長は377nmであった。
蛍光スペクトルの測定は、化合物(1−740)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は392nm、その半値幅は32nm、Eは3.16eVと算出された。
燐光スペクトルの測定は、化合物(1−740)を溶解した飽和エタノール溶液を準備し、励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は413nmであり、Eは3.00eVと算出された。
以上の各スペクトルを図2に示す。
(1−2)化合物(1−67)の基礎物性の評価
吸収スペクトルの測定は、化合物(1−67)を溶解した濃度8.2×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し吸収スペクトルの測定を行った。その結果、可視光領域での極大吸収波長は389nmであった。
蛍光スペクトルの測定は、化合物(1−67)を溶解した濃度8.2×10−5mol/Lの2−メチルテトラヒドロフラン溶液を準備し励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は405nm、その半値幅は26nm、Eは3.06eVと算出された。
燐光スペクトルの測定は、化合物(1−67)を溶解した濃度8.2×10−5mol/Lの2−メチルテトラヒドロフラン溶液を準備し、励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は426nmであり、Eは2.91eVと算出された。
以上の各スペクトルを図3に示す。
(1−3)化合物(1−58)の基礎物性の評価
吸収スペクトルの測定は、化合物(1−58)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し吸収スペクトルの測定を行った。その結果、可視光領域での極大吸収波長は417nmであった。
蛍光スペクトルの測定は、化合物(1−58)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し励起波長405nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は484nm、その半値幅は47nm、Eは2.56eVと算出された。
燐光スペクトルの測定は、化合物(1−58)を溶解した飽和エタノール溶液を準備し、励起波長405nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は536nmであり、Eは2.31eVと算出された。
以上の各スペクトルを図4に示す。
(1−4)化合物(1−56)の基礎物性の評価
吸収スペクトルの測定は、化合物(1−56)を溶解した飽和トルエン溶液を準備し吸収スペクトルの測定を行った。その結果、可視光領域での極大吸収波長は381nmであった。
蛍光スペクトルの測定は、化合物(1−56)を溶解した飽和トルエン溶液を準備し励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は416nm、その半値幅は30nm、Eは2.98eVと算出された。
燐光スペクトルの測定は、化合物(1−56)を溶解した飽和2−メチルテトラヒドロフラン溶液を準備し、励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は438nmであり、Eは2.83eVと算出された。
以上の各スペクトルを図5に示す。
(1−5)化合物(1−2−61)の基礎物性の評価
吸収スペクトルの測定は、化合物(1−2−61)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し吸収スペクトルの測定を行った。その結果、可視光領域での極大吸収波長は372nmであった。
蛍光スペクトルの測定は、化合物(1−2−61)を溶解した濃度2.0×10−5mol/Lのトルエン溶液を準備し励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は399nm、その半値幅は34nm、Eは3.11eVと算出された。
燐光スペクトルの測定は、化合物(1−2−61)を溶解した飽和2−メチルテトラヒドロフラン溶液を準備し、励起波長365nmで励起してフォトルミネッセンスを測定した。その結果、極大発光波長は459nmであり、Eは2.70eVと算出された。
以上の各スペクトルを図6に示す。
以上のように、合成例(1)〜(5)で合成した化合物(1−740)、化合物(1−67)、化合物(1−58)、化合物(1−56)および化合物(1−2−61)は、深い青色の蛍光スペクトル、高い蛍光量子収率および適切なエネルギー(Es、E)を有しているため、特に発光層への適用が期待できる。
(2)有機EL素子の評価
有機EL素子の評価項目としては、駆動電圧(V)、発光波長(nm)、CIE色度(x,y)、外部量子効率(%)、発光スペクトルの最大波長(nm)および半値幅(nm)などがある。これらの評価項目は、適切な発光輝度時の値を用いることができる。
発光素子の量子効率には、内部量子効率と外部量子効率とがあるが、内部量子効率は、発光素子の発光層に電子(または正孔)として注入される外部エネルギーが純粋に光子に変換される割合を示している。一方、外部量子効率は、この光子が発光素子の外部にまで放出された量に基づいて算出され、発光層において発生した光子は、その一部が発光素子の内部で吸収されたりあるいは反射され続けたりして、発光素子の外部に放出されないため、外部量子効率は内部量子効率よりも低くなる。
分光放射輝度(発光スペクトル)と外部量子効率の測定方法は次の通りである。アドバンテスト社製電圧/電流発生器R6144を用いて、電圧を印加することにより素子を発光させた。TOPCON社製分光放射輝度計SR−3ARを用いて、発光面に対して垂直方向から可視光領域の分光放射輝度を測定した。発光面が完全拡散面であると仮定して、測定した各波長成分の分光放射輝度の値を波長エネルギーで割ってπを掛けた数値が各波長におけるフォトン数である。次いで、観測した全波長領域でフォトン数を積算し、素子から放出された全フォトン数とした。印加電流値を素電荷で割った数値を素子へ注入したキャリア数として、素子から放出された全フォトン数を素子へ注入したキャリア数で割った数値が外部量子効率である。また、発光スペクトルの半値幅は、極大発光波長を中心として、その強度が50%になる上下の波長間の幅として求められる。
<蒸着法による有機EL素子の作製>
本実施例では、Adv. Mater. 2016, 28, 2777-2781)に記載された構造に準じて、蒸着法により有機EL素子を作製した。作成した有機EL素子の層構成を表1に示す。なお、本発明の多量体化合物の適用は下記層構成に限定されず、各層の膜厚や構成材料は本発明の多量体化合物の基礎物性によって適宜変更することができる。
Figure 2021091644
表1において、「NPD」はN,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニルであり、「TcTa」は4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミンであり、「mCP」は1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼンであり、「2CzBN」は3,4−ジカルバゾリルベンゾニトリルであり、「BPy−TP2」は2,7−ジ([2,2’−ビピリジン]−5−イル)トリフェニレンである。
「化合物(4−1)」は、2,12−ジ−t−ブチル−5,9−ビス(4−(t−ブチル)フェニル)−7−メチル−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセンであり、「化合物(5−1)」は、N,N,N’,N’,5,9,11,15−オクタフェニル−5H,9H,11H,15H−[1,4]ベンズアザボリニノ[4’’,3’’,2’’:4’,5’][1,4]ベンズアザボリニノ[3’,2’:6,7][1,4]ベンズアザボリニノ[4,3,2−de]ベンゾ[b][1,4]ベンズアザボリニン−7,13−ジアミンである。
これらの化合物の化学構造を以下に示す。
Figure 2021091644
実施例1
<構成A:化合物(1−67)をホストとして用いた素子1の作製と評価>
厚さ50nmのITO(インジウム・スズ酸化物)からなる陽極が形成されたガラス基板(26mm×28mm×0.7mm)の上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5×10−4Paで積層する。
まず、ITO上に、NPDを膜厚40nmになるように蒸着し、その上に、TcTaを膜厚15nmになるように蒸着して2層からなる正孔注入輸送層を形成する。続いて、mCPを膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成する。次に、ホストとしての合成例(2)で得た化合物(1−67)、ドーパントとしての化合物(4−1)を異なる蒸着源から共蒸着し、膜厚20nmの発光層を形成する。このとき、ホストおよびドーパントの重量比は99:1とする。次に、2CzBNを膜厚10nmとなるように蒸着し、次いで、BPy−TP2を膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。続いて、LiFを膜厚1nmになるように蒸着し、その上に、アルミニウムを膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得る。
実施例2
<構成A:化合物(1−58)をホストとして用いた素子の作製と評価>
ホストとして用いた、化合物(1−67)を、合成例(3)で得た化合物(1−58)へ変更する以外は、実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得られる。
実施例3
<構成A:化合物(1−67)をホスト、化合物(5−1)をドーパントとして用いた素子の作製と評価>
ドーパントとして用いた、化合物(4−1)を化合物(5−1)へ変更する以外は、実施例1と同様の手順および構成にて有機EL素子を得られる。
Figure 2021091644
表2において、「NPD」、「TcTa」、「化合物(5−1)」、「2CzBN」および「BPy−TP2」は表1と同じであり、「2PXZ−TAZ」は10,10’−((4−フェニル−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(10H−フェノキサジン)である。「2PXZ−TAZ」の化学構造を以下に示す。
Figure 2021091644
実施例4
<構成B:化合物(1−67)をホスト、2PXZ−TAZをアシスティングドーパント(AD)、化合物(5−1)をエミッティングドーパント(ED)として用いた素子>
厚さ50nmのITO(インジウム・スズ酸化物)からなる陽極が形成されたガラス基板(26mm×28mm×0.7mm)の上に、各薄膜を真空蒸着法にて、真空度5×10−4Paで積層する。
まず、ITO上に、NPDを膜厚40nmになるように蒸着し、その上に、TcTaを膜厚15nmになるように蒸着して2層からなる正孔注入輸送層を形成する。続いて、mCPを膜厚15nmになるように蒸着して電子阻止層を形成する。次に、ホストとしての合成例(2)で得た化合物(1−67)を、アシスティングドーパント(AD)としての2PXZ−TAZを、エミッティングドーパント(ED)としての化合物(5−1)を異なる蒸着源から共蒸着し、膜厚20nmの発光層を形成する。このとき、ホスト:アシスティングドーパント:エミッティングドーパント=90:9:1(重量比)とする。次に、2CzBNを膜厚10nmとなるように蒸着し、次いで、BPy−TP2を膜厚20nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。続いて、LiFを膜厚1nmになるように蒸着し、その上に、アルミニウムを膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成し、有機EL素子を得られる。
<発光層形成用組成物の調製>
発光層形成用組成物の調製に際し、以下の化合物を使用した。
・「化合物(4−144)」:3,11−ジ−o−トリル−5,9−ジオキサ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン。
・「化合物(4−145)」:2,12−ジ−tert−ブチル−5,9−ビス(4−(tert−ブチル)フェニル)−7−(9H−カルバゾール−9−イル)−5,9−ジヒドロ−5,9−ジアザ−13b−ボラナフト[3,2,1−de]アントラセン。
化合物(4−144)および化合物(4−145)の化学構造を以下に示す。
Figure 2021091644
実施例5
下記成分を均一な溶液になるまで撹拌することで発光層形成用組成物を調製した。
化合物(4−145) 0.01 重量%
化合物(1−67) 0.99 重量%
トルエン 70.00 重量%
デカリン 29.00 重量%
調製した発光層形成用組成物をガラス基板にスピンコートすることによって得られた塗布膜は、膜欠陥がなく塗布製膜性が優れていた。また、塗布膜の蛍光スペクトル(日立蛍光分光光度計F−7000、励起波長360nm)を測定したところ、ピーク波長465nmおよび半値全幅(FWHM)28nmの深い青色発光が見られた。また、石英基板上に作製した塗布膜を用いて蛍光量子収率の測定を行ったところ、高い蛍光量子収率が得られた。
比較例1
下記成分を撹拌したが、白色沈殿物が溶け残り、発光層形成用組成物を調製できなかった。
化合物(4−145) 0.01 重量%
化合物(4−144) 0.99 重量%
トルエン 70.00 重量%
デカリン 29.00 重量%
Figure 2021091644
表3における、「PEDOT:PSS」、「OTPD」、「PCz」、「ET1」の構造を以下に示す。
Figure 2021091644
<PEDOT:PSS溶液>
市販のPEDOT:PSS溶液(Clevios(TM) P VP AI4083、PEDOT:PSSの水分散液、Heraeus Holdings社製)を用いる。
<OTPD溶液の調製>
OTPD(LT−N159、Luminescence Technology Corp社製)およびIK−2(光カチオン重合開始剤、サンアプロ社製)をトルエンに溶解させ、OTPD濃度0.7質量%、IK−2濃度0.007質量%のOTPD溶液を調製する。
<PCz溶液の調製>
PCz(ポリビニルカルバゾール)をジクロロベンゼンに溶解させ、0.7質量%PCz溶液を調製する。
実施例6
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、PEDOT:PSS溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのPEDOT:PSS膜を成膜し、正孔注入層を形成する。次いで、OTPD溶液をスピンコートし、80℃のホットプレート上で10分間乾燥する。露光機で露光強度100mJ/cmで露光し、100℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚30nmの溶液に不溶なOTPD膜を成膜し、正孔輸送層を形成する。次いで、実施例5で調製した発光層形成用組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜する。
作製した多層膜を市販の蒸着装置(昭和真空(株)製)の基板ホルダーに固定し、ET1を入れたモリブデン製蒸着用ボート、LiFを入れたモリブデン製蒸着用ボート、アルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着する。真空槽を5×10−4Paまで減圧した後、ET1が入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して電子輸送層を形成する。電子輸送層を形成する際の蒸着速度は1nm/秒とする。その後、LiFが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚1nmになるように0.01〜0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着する。次いで、アルミニウムの入ったボートを加熱して膜厚100nmになるように蒸着して陰極を形成する。このようにして有機EL素子を得られる。
実施例7
ITOが150nmの厚さに蒸着されたガラス基板上に、PEDOT:PSS溶液をスピンコートし、200℃のホットプレート上で1時間焼成し、膜厚40nmのPEDOT:PSS膜を成膜し、正孔注入層を形成する。次いで、PCz溶液をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚30nmのPCz膜を成膜し、正孔輸送層を形成する。次いで、実施例5で調製した発光層形成用組成物をスピンコートし、120℃のホットプレート上で1時間焼成することで、膜厚20nmの発光層を成膜する。次に、電子輸送層および陰極を実施例6と同様の方法で蒸着し、有機EL素子を得られる。
本発明の多量体化合物は、優れた溶解性、成膜性、湿式塗布性、熱安定性および面内配向性を有するため、湿式成膜法で良好な成膜性を有する発光層形成用組成物を提供することができる。さらに、この多量体化合物を含む組成物を用いることで優れた有機EL素子を提供することができると考えられる。
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 電子輸送層
107 電子注入層
108 陰極

Claims (30)

  1. 下記一般式(1)で表される、多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記一般式(1)中、
    nは2〜10の整数であり、
    Aは、下記一般式(2)
    Figure 2021091644
    で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基であって、
    上記一般式(2)中、
    A環、B環およびC環は、それぞれ独立して、アリール環またはヘテロアリール環であり、これらの環における少なくとも1つの水素は置換されていてもよく、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−Rおよび前記Ge−RのRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>C(−R)または>Si(−R)であるが、XおよびXが共に>C(−R)となることはなく、前記>C(−R)および前記>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記A環、B環およびC環の少なくとも1つと結合していてもよく、
    式(1)中の複数のAは、同じ構造であってもよく、互いに異なる構造であってもよく、
    また、式(1)中のLはn価の連結基であり、
    酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびケイ素原子から選ばれる1つの原子から構成された基(I)、
    炭素数6〜30の芳香族化合物、炭素数2〜30の複素環式化合物、炭素数1〜24の鎖式炭化水素化合物、炭素数3〜24の脂環式炭化水素化合物、アミン化合物およびケイ素化合物から選ばれる化合物からn個の水素を除いたn価の基(II)、もしくは、
    基(I)および基(II)から選ばれる2種以上を組み合わせてなる基(III)であり、
    連結基Lの少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよく、
    ただし、連結基Lが、基(II)として、前記芳香族化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−a)である場合、基(ii−a)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されており、そして、
    前記多量体化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  2. 前記基(ii−a)は、下記一般式(ii−a1)〜式(ii−a6)のいずれかで表される芳香族化合物からn個の水素を除いたn価の基である、請求項1に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルであり、
    p1〜p14は0以上の整数であって、1≦p1≦4、0≦p2≦4、0≦p3≦4、1≦p2+p3≦8、1≦p4+p5≦6、1≦p6+p7+p8≦8、1≦p9+p10+p11≦8、1≦p12+p13+p14≦8を満たす。)
  3. 連結基Lが、基(II)として、前記複素環式化合物から選ばれる1種の化合物からn個の水素を除いたn価の基(ii−b)である場合、基(ii−b)の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されている、請求項1に記載の多量体化合物。
  4. 前記基(ii−b)は、下記一般式(ii−b1)〜式(ii−b2)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基である、請求項3に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルであり、
    q1〜q4は0以上の整数であって、1≦q1+q2≦6、1≦q3+q4≦6を満たし、
    は、それぞれ独立に、>O、>S、>Si(−R)または>N(−R)であり、Zは、それぞれ独立に、>O、>S、>C(−R)、>Si(−R)または>N(−R)であり、ZおよびZとして選択し得る、前記>C(−R)、前記>Si(−R)および前記>N(−R)のRは、それそれ独立して、水素、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルである。)
  5. 前記基(II)は、下記一般式(II−a)〜式(II−h)のいずれかで表される複素環式化合物からn個の水素を除いたn価の基である、請求項1に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
    また、式(II−a)〜式(II−h)中のベンゼン環に有する少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
  6. 前記基(II)は、下記一般式(II−1)〜式(II−22)のいずれかで表される鎖式炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物、アミン化合物もしくはケイ素化合物からn個の水素を除いたn価の基である、請求項1に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、m1は1〜24の整数、m2は1〜10の整数であり、Rは、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
    また、式(II−8)〜式(II−15)および式(II−17)〜式(II−19)中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
  7. 前記基(III)は、下記一般式(III−1)〜式(III−18)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、*はAとの結合位置を示し、また、上記構造中の少なくとも1つの水素は、置換基を有してもよいアリール、置換基を有してもよいヘテロアリール、置換基を有してもよいアルキルまたは置換基を有してもよいシクロアルキルによって置換されていてもよい。)
  8. 連結基Lが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、およびケイ素原子から選ばれる1つの原子から構成された基(I)である、請求項1に記載の多量体化合物。
  9. 前記一般式(1)中のAは、下記一般式(3)で表される化合物から1個の水素を除いた、Lと結合する1価の基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式(3)中、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、また、R〜R11は、それぞれ、隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシまたはアリールオキシで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、アルキルまたはシクロアルキルで置換されていてもよく、
    は、B、P、P=O、P=S、Al、Ga、As、Si−RまたはGe−Rであり、前記Si−Rおよび前記Ge−RのRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>C(−R)または>Si(−R)であるが、XおよびXが共に>C(−R)となることはなく、前記>C(−R)および前記>Si(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>C(−R)および前記>Si(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよい。)
  10. 前記式(3)において、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリールであり、これらは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルであり、
    また、R〜R11は、それぞれ、隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共に、炭素数9〜16のアリール環または炭素数6〜15のヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は炭素数6〜10のアリールで置換されていてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、炭素数6〜30のアリール、炭素数2〜30のヘテロアリール、ジアリールアミノ(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリール)、ジアリールボリル(ただし各アリールは炭素数6〜12のアリールであり、これらは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、炭素数1〜24のアルキルまたは炭素数3〜24のシクロアルキルで置換されていてもよい、
    請求項9に記載の多量体化合物。
  11. 前記式(3)において、YはBである、請求項9または10に記載の多量体化合物。
  12. 前記式(3)において、XおよびXは>Oである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の多量体化合物。
  13. 前記式(1)において、nは2〜4の整数である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の多量体化合物。
  14. 下記いずれかの化学構造式で表される、請求項1に記載の多量体化合物。
    Figure 2021091644
    (上記式中、Meはメチルを示す。)
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物を含有する、有機デバイス用材料。
  16. 前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子用材料、有機電界効果トランジスタ用材料または有機薄膜太陽電池用材料である、請求項15に記載する有機デバイス用材料。
  17. 前記有機デバイス用材料が、有機電界発光素子の発光層用材料である、請求項15または16に記載する有機デバイス用材料。
  18. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種を含む、発光層形成用蒸着材料。
  19. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種、および溶媒を含む、発光層形成用組成物。
  20. 前記溶媒が、沸点130℃以上の有機溶剤を含む、請求項19に記載の発光層形成用組成物。
  21. 前記溶媒が、前記多量体化合物に対する良溶媒(GS)と貧溶媒(PS)を含む混合溶媒であり、前記良溶媒(GS)の沸点(BPGS)が、前記貧溶媒(PS)の沸点(BPPS)よりも低い、請求項19または20に記載の発光層形成用組成物。
  22. 陽極および陰極からなる一対の電極と、該一対の電極間に配置された発光層を有し、
    前記発光層は、第1成分として、請求項1〜14のいずれか一項に記載の多量体化合物の少なくとも1種を含む、有機電界発光素子。
  23. 前記発光層は、さらに第2成分として、下記一般式(4)〜式(7)のいずれかで表される化合物の少なくとも1種を含む、請求項22に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021091644
    (上記一般式(4)中、
    〜R11は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    また、R〜R11のうちの隣接する2つの基が、互いに結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    およびXは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、XおよびXは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環およびc環の少なくとも1つと結合していてもよく、そして、
    一般式(4)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
    Figure 2021091644
    (上記一般式(5)中、
    〜R14は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    また、R〜R14のうちの隣接する2つの基が、互いに結合して、a環、b環、c環またはd環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素は、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    〜Xは、それぞれ独立して、>O、>N−Rおよび>C(−R)から選ばれるが、X〜Xは、同時に>C(−R)になることはなく、前記>N−Rおよび>C(−R)のRは、それぞれ独立して、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも1つのRは、前記a環、b環、c環およびd環の少なくとも1つと結合していてもよく、そして、
    一般式(5)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
    Figure 2021091644
    (上記式(6)中、
    、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、また、R、RおよびRのうちの隣接する基同士が結合してa環、b環またはc環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    は、それぞれ独立して、NまたはC−Rであり、前記C−RのRは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキルまたは置換されていてもよいシクロアルキルであり、
    は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により前記a環およびc環の少なくとも一方と結合していてもよく、
    がNのとき、一部または全ての、隣接する2つのa環同士が単結合により結合してもよく、
    nは1以上の整数であり、そして、
    式(6)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
    Figure 2021091644
    (上記式(7)中、
    a11、Ra12、Ra13、Ra21、Ra22、Ra23、Ra31、Ra32、Ra33、Rb11、Rb12、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24、Rc11、Rc12、Rc31、Rc32、Rc33およびRc34は、それぞれ独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルであり、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    また、Ra11、Ra12、Ra13のうちの隣接する基同士が結合してa11環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra21、Ra22、Ra23のうちの隣接する基同士が結合してa21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Ra31、Ra32、Ra33のうちの隣接する基同士が結合してa31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rb21、Rb22、Rb23、Rb24のうちの隣接する基同士が結合してb21環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、Rc31、Rc32、Rc33、Rc34のうちの隣接する基同士が結合してc31環と共にアリール環またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらの形成された環における少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、これらにおける少なくとも1つの水素はアリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよく、
    11、X12、X21、X22、X31およびX32は、それぞれ独立して、>O、>N−R、>C(−R)、>Sまたは>Seであり、前記>N−RのRは、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、前記>C(−R)のRは、水素、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキルまたは置換シリルであり、また、前記>N−Rおよび前記>C(−R)の少なくとも一方のRは連結基または単結合により、前記a11環、a21環、a31環、b11環、b21環、c11環およびc31環の少なくとも1つと結合していてもよく、
    式(7)で表される化合物における少なくとも1つの水素は、シアノ、ハロゲンまたは重水素で置換されていてもよい。)
  24. 前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021091644
    (上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
  25. 前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021091644
    (上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
  26. 前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021091644
    Figure 2021091644
    (上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
  27. 前記発光層は、さらに第2成分として、下記式のいずれかで表される構造を有する化合物を含む、請求項23に記載の有機電界発光素子。
    Figure 2021091644
    Figure 2021091644
    (上記式で表される構造の少なくとも1つの水素は、ハロゲン、シアノ、重水素、アリール、ヘテロアリール、ジアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、ジアリールボリル(ただし2つのアリールは単結合または連結基を介して結合していてもよい)、アルキル、シクロアルキル、トリアルキルシリル、トリシクロアルキルシリル、ジアルキルシクロアルキルシリルまたはアルキルジシクロアルキルシリルで置換されていてもよい。)
  28. 前記陰極と前記発光層との間に配置される、電子輸送層および電子注入層の少なくとも一方を有し、該電子輸送層および電子注入層の少なくとも1つは、キノリノール系金属錯体、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ボラン誘導体およびベンゾイミダゾール誘導体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項22〜27のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  29. 前記電子輸送層および電子注入層の少なくとも一方は、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物、希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体および希土類金属の有機錯体からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、請求項28に記載の有機電界発光素子。
  30. 請求項22〜29のいずれか一項に記載する有機電界発光素子を備えた、表示装置または照明装置。
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