JP2021089541A - 診断群分類推定システム、診断群分類推定プログラム、及び診断群分類推定方法 - Google Patents

診断群分類推定システム、診断群分類推定プログラム、及び診断群分類推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ユーザが適切な診断群分類を決定しやすい診断群分類の候補を提示する。【解決手段】診断群分類推定システム10は、対象患者の対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得部11と、過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、対象患者の診断群分類を推定する推定部12と、推定された診断群分類を表示する表示部13とを備える。推定部12は、対象診療行為群と、実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて対象患者の診断群分類を推定する。【選択図】図1

Description

本発明は、コンピュータを用いて、診療行為に応じた診断群分類を推定するためのシステム、プログラム、及び方法に関する。
近年、急性期入院医療に関する診療報酬の包括評価制度が導入され、この制度の対象となる特定の病院では、包括評価部分の報酬額と出来高評価部分の報酬額とを合計することによって急性期入院医療の診療報酬が算出されている。包括評価部分の報酬額は、医療資源を最も多く投入した傷病名に基づいて患者の診断群分類を決定し、この診断群分類に対応する1日当たりの点数に在院日数及び医療機関別係数を乗じることによって算出される。このため、包括評価制度の対象となる各病院では、診断群分類を適切に決定することが重要視されている。
このような状況に鑑み、特許文献1では、患者に設定されている診断群分類が正しいか否かを検証するシステムが提案されている。このシステムは、入院していた患者が退院する際、この患者に対して入院期間中に施された治療、検査、及び薬剤等の点数を診断群分類毎に集計し、集計後の点数が最も大きい診断群分類を最適診断群分類とする。そして、この最適診断群分類と患者が入院する際の診察結果に基づいて医師が登録した仮診断群分類とが一致する場合、仮診断群分類がそのまま診療報酬の算出に使用され、最適診断群分類と仮診断群分類とが一致しない場合、最適診断群分類が診療報酬の算出に使用される。
また、特許文献2には、診断群分類を検証するための検証システムが開示されている。この検証システムでは、標準化された規則に準じて各診療行為に対応付けられる標準傷病情報、及び、病院によって各診療行為に対応付けられる個別傷病情報が記憶部に記憶される。これらの情報を用いて、患者に施された診療行為情報に対応する標準推定傷病情報及び個別推定傷病情報が決定され、患者の現在傷病情報とともに表示される。
上記の検証システムでは、医師や医療事務員等のユーザは、現在の傷病、標準推定傷病、及び個別推定傷病のいずれに基づいて診断群分類を決定するべきか検討することができる。結果として、ユーザは、適切な診断群分類を決定することができる。
特許第4986986号公報 特許第5968809号公報
上記のシステムでは、診断群分類と傷病の対応関係を示す情報が予め記憶部に記憶される。この予め記憶された対応関係に基づいて、患者の傷病に対応する診断群分類が推定される。推定された診断群分類は、可能性のある候補として、医師や医療事務員等のユーザに提示される。このように、予め決められた診断群分類と傷病の対応関係に基づいて、患者に施された診療行為に対する診療報酬を請求するための診断群分類の候補を提示する場合、可能性のある診断群分類の候補が多く提示される場合がある。この場合、ユーザは多くの可能性のある診断群分類から適切な診断群分類を決定する必要が生じる。
可能性のある診断群分類からユーザが適切なものを決定できるようにするため、例えば、特許文献1のように、診療行為の点数が最も大きくなる候補を最適診断群分類としてユーザに提示することが考えられる。或いは、特許文献2に記載のように、推定された傷病の明細金額情報や仮請求金額情報を計算して、候補とともに表示することも考えられる。
発明者らは、従来とは異なる方法で、ユーザが適切な診断群分類を決定できるような診断群分類の候補を提示できる仕組みを検討した。検討の結果、過去の診断群分類及び診療行為の実績を示すデータを用いることで、ユーザがより適切な診断群分類を決定できる推定結果を提示する構成に想到した。
本発明は、ユーザが適切な診断群分類を決定しやすい診断群分類の候補を提示できる診断群分類推定システム、診断群分類推定プログラム及び診断群分類推定方法を提供することを課題とする。
本発明の一実施形態における診断群分類推定システムは、対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得部と、過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定部と、前記推定部で推定された前記診断群分類を表示する表示部と、を備える。前記推定部は、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する。
上記診断群分類推定システムにおいて、推定部は、実績データで示される過去の複数の診断群分類それぞれの診療行為群と、対象患者に施された対象診療行為群との類似度に基づいて、診断群分類を推定する。そのため、対象診療行為群と類似する過去の診療行為群に付与された診断群分類を基に、診断群分類を推定することができる。すなわち、推定される診断群分類は、過去に実績のある診断群分類との類似の度合いに基づくものとなる。従来技術では、予め決められた傷病と診断群分類との対応関係に基づいて推定されるが、上記構成では、これとは異なる観点で、診断群分類が推定される。すなわち、実績のある診療行為群と対象診療行為群とがどの程度近いかと言う観点からの推定結果が、ユーザに提示される。これにより、ユーザは、対象診療行為と似ている過去の診療行為に付与された診断群分類を候補として検討することができる。その結果、ユーザが適切な診断群分類を決定しやすい診断群分類の候補を提示できる。
例えば、表示部が、類似度の高い診断群分類を推定結果として表示したり、類似度順に推定された診断群分類を表示したりすることで、ユーザは、推定された診断郡分類の類似度に関する情報を得る。これにより、推定された診断群分類の診療行為が、対象診療行為とどの程度近いのかを把握することができる。そのため、ユーザは、適切な診断群分類をより決定しやすくなる。このように、表示部は、推定部によって推定された診断群分類に加えて、診断群分類の推定の基になった類似度に関する情報も表示してもよい。類似度に関する情報は、例えば、類似度を直接的に示す態様で表示されてもよいし、推定された複数の診断群分類を類似度順に表示する等の態様で、間接的に表示されてもよい。
また、表示部は、推定部で推定された診断郡分類に対応する傷病、手術及び処置に関する情報を、診断郡分類と対応付けて表示してもよい。また、表示部は、推定された診断群分類の傷病が、すでに対象患者に対して付与されている診断群分類の傷病と一致するか否かを示す情報を、表示してもよい。これにより、ユーザは、推定された診断群分類の妥当性を判断しやすくなる。
前記推定部は、前記実績データとして、前記複数の過去の診断群分類のうち複数の同じ診断群分類において実施された過去の診療行為群を集計した標準診療行為群を、前記診断群分類と対応付けて記録した実績データを参照してもよい。この場合、前記推定部は、前記標準診療行為群と、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の標準診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する。
これにより、複数の同じ診断群分類において実施された過去の診療行為群を集計した標準診療行為群と、対象診療行為群との類似度を計算する構成とすることで、計算効率を向上させることができる。また、複数の同じ診断群分類の診療行為群を集計した標準診療行為群が実績データとして用いられることで、例えば、複数の同じ診断群分類において実施された診療行為の傾向を示す統計的情報を類似度に反映させることも可能になる。
前記標準診療行為群は、前記複数の同じ診断群分類おいて実施された診療行為群の各診療行為について、前記複数の同じ診断群分類における頻度を示す値を含んでもよい。前記推定部は、前記頻度を示す値を用いて、前記類似度を計算することができる。これにより、過去の診断群分類における各診療行為の頻度を考慮して、類似度を計算できる。例えば、頻度が高い程、類似度が高くなるよう計算することができる。その結果、ユーザが適切な診断群分類をより決定しやすい診断群分類の候補を提示することができる。
前記実績データにおける診療行為群は、前記診療行為群の少なくとも一部の診療行為に対して重み付けした値を含んでもよい。前記推定部は、前記診療行為に対して重み付けした値を用いて、前記類似度を計算することができる。これにより、診療行為の診断群分類を決定する要素としての重要度を考慮して、類似度を計算できる。例えば、重みが大きい程、類似度が高くなるよう計算することができる。その結果、ユーザが適切な診断群分類をより決定しやすい診断群分類の候補を提示することができる。
上記の診断群分類の推定に用いられる実績データを生成する集計システムも、本発明の実施形態の1つである。集計システムは、過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群を示す実績元データを、例えば、1又は複数の病院のシステムから取得する。集計システムは、複数の過去の診断群分類と、前記複数の過去の診断群分類のうち複数の同じ診断群分類において実施された過去の診療行為群を集計して標準診療行為群を生成し、標準診療行為群を診断群分類と対応付けて記憶部に保存する。
上記推定部は、上記の類似度に基づく推定を行う構成に代えて、対象診療行為のうち、診断群分類を決定する要素として重要と判断される診療行為を抽出して、抽出された診療行為により決定され得る診断群分類を推定結果とする構成とすることができる。この場合、推定部は、診療行為と診療行為により決定される診断群分類との対応を示す診断群分類決定行為データを参照し、対象診療行為に相当する診療行為を抽出することで、診断群分類を決定する要素として重要と判断される診療行為及び診断群分類を抽出することができる。診断群分類決定行為データは、過去の複数の診断群分類及びこれら複数の診断群分類の各々の診療行為群に基づいて生成することができる。
上記推定部は、推定した診断群分類と、前記対象患者の傷病とを比較し、表示部は、比較結果を、推定した診断群分類と対応付けて表示してもよい。ここで、前記対象患者の傷病は、対象診療行為を施すにあたって判断された傷病である。例えば、対象診療行為取得部が、前記対象患者の傷病を示す情報を取得することができる。表示される比較結果は、推定された診断群分類に対応する傷病と、対象患者の傷病が一致するか否かを示す情報とすることができる。
診断群分類推定プログラムは、対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得処理と、過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定処理と、前記推定処理で推定された前記診断群分類を表示する表示処理と、をコンピュータに実行させる。前記推定処理は、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する。
診断群分類推定方法は、コンピュータが、対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得工程と、過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定工程と、前記推定処理で推定された前記診断群分類を表示する表示工程と、実行する。前記推定工程では、前記コンピュータが、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する。
本発明によれば、ユーザが適切な診断群分類を決定しやすい診断群分類の候補を提示できる。
本発明の一実施形態に係る診断群分類推定システムを含むシステムの機能ブロック図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる診療録情報の一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる出来高レセプト情報の一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる包括レセプト情報の一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる傷病情報の一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる実績データの元になる実績元データの一例を示す図である。 上記実績データの元になる集計データの一例を示す図である。 上記実績データの元になる集計データの一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる実績データの一例を示す図である。 上記実績データの元になる集計データの一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる重み付けデータの例を示す図である。 上記診断群分類推定システムにおいて用いられる、診断群分類決定行為データの一例を示す図である。 上記診断群分類推定システムの動作例を示すフローチャートである。 図13のS5で用いられるベクトルデータの一例を示す図である。 図13のS5で計算される類似度の一例を示す図である。 図13に示す動作例で表示される画面の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(システム構成例)
図1は、本実施形態に係る診断群分類推定システム10を含むシステム全体の構成を示す機能ブロック図である。図1に示す例では、診断群分類推定システム10は、記憶部51、52にアクセス可能である。記憶部51には、会計システム30及び登録システム20で生成されたデータが記憶される。登録システム20は、病院における診療実績の登録を行う。会計システム30は、病院における診療報酬の会計を行う。記憶部52には、集計システム40により収集された実績データが記憶される。
集計システム40は、複数の病院で得られた実績元データに基づく実績データを記憶部52に記憶する。実績データは実績元データと同じでもよいし、実績元データを加工したものであってもよい。実績データは、複数の過去の診断群分類の各々と、これら複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群との対応を示すデータである。ここで、実績データの基になる複数の過去の診断群分類は、1又は複数の病院において、実際に行われた診療報酬請求で用いられた診断群分類である。診断群分類に対応付けられる診療行為群は、実際に行われた診療行為群であり、対応する診断群分類の決定の基になった診療行為群である。すなわち、対応する診断群分類に関連して実際に実施された診療行為群である。
診断群分類推定システム10は、過去の診断群分類と実際に施された診療行為群との対応を示す実績データを用いて、対象患者に対して施された診療行為に対する診断群分類を推定するシステムである。診断群分類推定システム10は、対象診療行為取得部11、推定部12、及び表示部13を備える。
対象診療行為取得部11は、対象診療行為データを取得する。対象診療行為データは、対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示すデータである。対象診療行為取得部11は、記憶部51に記憶された対象診療行為データにアクセスすることで対象診療行為データを取得することができる。記憶部51には、会計システム30によって生成された出来高レセプト情報が記憶される。出来高レセプト情報が、対象診療行為データの一例である。
推定部12は、記憶部52の実績データを参照して、対象診療行為データが示す対象診療行為群に対する診断群分類を推定する。具体的には、推定部12は、対象診療行為データが示す対象診療行為群と、実績データにおける複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算する。推定部12は、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて、対象患者の診断群分類を推定する。
推定部12が参照する実績データは、複数の同じ診断群分類において実施された診療行為群を集計した標準診療行為群と、この同じの診断群分類とを対応付けるデータであってもよい。標準診療行為群は、例えば、集計システム40によって生成される。この場合、集計システム40は、過去の複数の診断群分類と、複数の診断郡分類の各々において実施された診療行為群とを示す実績データを、1又は複数の病院システムから収集する。
集計システム40は、収集された実績データに含まれる複数の過去の診断群分類のうち、同じ診断群分類において実施された診療行為群の各診療行為の件数をカウントすることができる。集計システム40は、例えば、複数の同じ診断群分類において実施された各診療行為の件数に基づき、その診断群分類における各診療行為の発生の頻度を示す値を算出することができる。
また、集計システム40は、複数の診療行為群の各診療行為に対応する診断群分類の件数をカウントしてもよい。集計システム40は、例えば、1つの診療行為に対応する診断群分類の件数に基づき、その診療行為に対する重み付けの値を算出することができる。
表示部13は、推定部で推定された診断群分類を表示する。表示部13は、例えば、診断群分類推定システム10にアクセス可能なユーザ端末の表示装置に、推定された診断群分類を表示させる。表示部13は、例えば、推定された複数の診断群分類を、類似度が分かる態様で表示することができる。
診断群分類推定システム10は、例えば、サーバマシンのように、プロセッサとメモリを有するコンピュータによって構成される。対象診療行為取得部11、推定部12、及び表示部13の処理は、プロセッサがプログラムを実行することで実現される。このようなプログラム及びプログラムを記録した非一時的(non-transitory)な記録媒体も本発明の実施形態に含まれる。診断群分類推定システム10は、複数のコンピュータで構成されてもよい。また、診断群分類推定システム10、会計システム30、登録システム20、及び集計システム40の少なくとも2つが同じコンピュータで構成されてもよい。記憶部51、52は、診断群分類推定システム10を構成するコンピュータからアクセス可能なデータ記憶装置により構成することができる。
なお、システムの構成は、図1に示す例に限られない。例えば、診断群分類推定システム10は、集計システム40を含む構成であってもよい。また、診断群分類推定システム10は、登録システム20又は会計システム30の一部であってもよい。また、集計システム40及び、コンピュータを集計システム40として機能させるプログラム、及び、集計システム40による実績データを生成する方法も、本発明の実施形態に含まれる。
(データ例)
登録システム20は、会計システム30から入院中の患者の基本情報を受信する。医師等は、例えば、患者の傷病名情報、及び患者に対して投入された医療資源情報を登録システム20に登録する。なお、「医療資源」とは、患者に施される薬剤、手術、及びその他検査等の処置である。登録システム20は、登録された傷病名及び各医療資源情報に基づいて、患者の診断群分類情報及び診療録情報を生成する。登録システム20は、傷病名及び各医療資源情報、並びに診断群分類情報を会計システム30に送信する。診断群分類情報、及び診療録情報は、記憶部51に記憶される。ここで、「診断群分類」は、傷病等に基づいて患者毎に決定される分類であり、「DPC(Diagnosis Procedure Combination)」とも称される。「診療録情報」は、一般に「様式1ファイル」と称されるファイルに記憶される情報である。診療録情報の内容については、後で詳細に説明する。
会計システム30は、上述したように、患者の基本情報を登録システム20に送信し、登録システム20から、傷病名及び各医療資源情報、並びに診断群分類情報を受信する。会計システム30は、これらの情報に基づき、出来高レセプト情報及び包括レセプト情報を生成して記憶部51に記憶する。また、会計システム30は、出来高レセプト情報及び包括レセプト情報に基づいて請求書を発行する。ここで、「出来高レセプト情報」は、一般に「EF統合ファイル」と称されるファイルに記憶される情報である。「包括レセプト情報」は、一般に「Dファイル」と称されるファイルに記憶される情報である。出来高レセプト情報及び包括レセプト情報の内容については、後で詳細に説明する。
会計システム30及び登録システム20は、実績元データを、集計システム40に提供される。実績元データは、例えば、上記の出来高レセプト情報、包括レセプト情報、及びに、診療録情報の情報を含むことができる。出来高レセプト情報は、各患者に施された診療行為群を示す情報を含む。包括レセプト情報は、各患者の傷病に基づいて付与された診断群分類を含む。診療録情報は、各患者の傷病を示す情報を含む。また、対象診療行為取得部11は、出来高レセプト情報から、対象患者に施された診療行為を示す対象診療行為群データを取得することができる。
図2は、診療録情報の一例である診療録テーブルT1の例を示す図である。診療録テーブルT1は、診療年月情報d01、病院等の施設を一意に識別するための施設コード情報d02、患者を一意に識別するためのデータ識別番号情報d03、及びこれらに対応づけられた傷病情報d04を格納している。特に図示しないが、診療録テーブルT1は、これらの情報以外にも、例えば、厚生労働省が定める解釈番号(KCD)情報や、手術名及びその回数等を含む手術情報等、一般に様式1ファイルに記憶される情報を格納している。
図2の例では、傷病情報d04は、複数の傷病名情報d04a、及び各傷病名情報d04aに対応づけられたICD情報d04bを含んでいる。傷病名情報d04aとしては、例えば、主たる傷病名(主傷病名)の情報、入院の契機となった傷病名(入院契機傷病名)の情報、最も多くの医療資源が投入された傷病名(資源最投傷病名)の情報、及び入院時においてこれらと併存していた傷病名(併存傷病名1及び2)の情報等が挙げられる。ここで、「ICD」は、傷病を一意に識別するコードであり、世界保健機関(WHO)が作成した国際疾病分類に準じて定められている。
図3は、出来高レセプト情報の一例である出来高レセプトテーブルT2の例を示す図である。出来高レセプトテーブルT2は、診療年月情報d01、施設コード情報d02、データ識別番号情報d03、及びこれらに対応付けられた診療行為情報d05を格納している。出来高レセプトテーブルT2は、患者の識別情報(データ識別番号)と、患者に施された診療行為を示す情報とを対応付けて記録するデータの例である。特に図示しないが、出来高レセプトテーブルT2は、これらの情報以外にも、一般にEF統合ファイルに記憶される情報を格納している。
図3の例では、診療行為情報d05は、明細番号情報d05a、データ区分情報d05b、RCD情報d05c、KCD情報d05d、診療明細名称情報d05e、明細金額情報d05f、行為回数d05g、及び実施年月日情報d05hを含んでいる。ここで、「データ区分」は、例えば、検査、薬剤、及び手術等の診療区分を表すものである。「RCD」は、レセプト電算処理システム用コードと称されるものであり、厚生労働省のレセプト電算処理システムに参加する医療機関が、審査支払機関に提出する磁気レセプトにおいて使用する9桁のコードである。RCDは、診療行為を識別するコード(識別子)である。なお、以下の説明では、明細金額情報d05fを点数情報d05fという。「点数」は、診療行為毎に定められた診療報酬点数である。
対象診療行為取得部11は、出来高レセプトテーブルT2から、対象患者の対象診療行為を示す対象診療行為データを取得することができる。例えば、データ識別番号情報d03が、対象患者の識別番号と一致し、且つ、診療年月及び施設コードが、診療報酬請求の対象の範囲内であるレコードのRCDを、対象診療行為データとして、出来高レセプトテーブルT2から抽出することができる。これにより、例えば、対象患者(データ識別番号=19167)の入院中に実施された診療行為群を示す情報が得られる。
図4は、包括レセプト情報の一例である包括レセプトテーブルT3の例を示す図である。包括レセプトテーブルT3は、診療年月情報d01、施設コード情報d02、データ識別番号情報d03、及びこれらに対応づけられた請求診断群分類情報d06を格納している。包括レセプトテーブルT3は、患者の識別情報(データ識別番号)、診療時期を示す情報(診療年月情報)及び、請求診断群分類情報を対応付けて記録するデータの例である。ここで、請求診断群分類情報は、診療報酬の包括評価部分の請求に用いる診断群分類として設定された診断群分類を示す情報である。請求診断群分類は、医療資源を最も多く投入した傷病名に基づいて決定される。特に図示しないが、包括レセプトテーブルT3は、これらの情報以外にも、一般にDファイルに記憶される情報を格納している。
図5は、患者の傷病情報の一例である傷病テーブルT4の例を示す図である。傷病情報は、例えば、登録システム20において、医師等から入力された患者の傷病名情報、及び患者に対して投入された医療資源情報に基づいて生成される。傷病情報は、記憶部51に記憶される。傷病テーブルT4は、患者及び入院毎に付与される入院ID情報d07、診療年月情報d01、及び種別情報d08を格納している。ここで、入院ID情報d07は、入院年月(YYMM)と任意の4桁の数字を組み合わせたコードで表されている。種別情報d08は、後述の傷病名情報d09の種別を表すコード情報であり、例えば、請求用の診断群分類の傷病には「0」、主傷病には「1」、入院契機傷病名には「2」、資源最投傷病名には「3」、資源2番目投傷病名には「4」、併存傷病名1及び2にはそれぞれ「6」及び「7」が割り当てられている。
また、傷病テーブルT4は、入院ID情報d07及び種別情報d08に対応づけられた傷病名情報d09と、傷病名情報d09に対応するICD情報d10と、ICD情報d10に対応する診断群分類(6桁)情報d11と、を格納している。診断群分類(6桁)は、診断群分類に含まれる情報のうち傷病に関する情報の部分である。具体的には、診断群分類(6桁)情報d11は、厚生労働省が定める14桁の診断群分類コードの先頭6桁の文字列である。傷病名情報d09及び診断群分類(6桁)情報d11は、ICD情報d10に対して一意に決めることができる。ICD情報、傷病名情報及び診断群分類(6桁)の対応関係を示すデータが記憶部51に記憶されてもよい。
さらに、傷病テーブルT4は、傷病名情報d09に対応する金額情報d12を格納している。金額情報d12には、薬剤の金額情報d12a、手術の金額情報d12b、及びその他の処置の金額情報d12cが含まれる。
傷病テーブルT4は、診療報酬請求の対象となっている患者の現在の傷病情報だけでなく、過去に入院した際の傷病情報も格納している。図5に示す例では、入院ID情報d07が「12090029」であるレコード群r41は、患者の現在の傷病情報であり、入院ID情報d07が「12060028」であるレコード群r42は、過去に入院した際の傷病情報である。
図6は、各病院のシステムから集計システム40へ提供される実績元データの例を示す図である。実績元データには、診断群分類、RCD、及び診療明細名称等が互いに対応付けられたレコードが複数含まれる。実績元データは、各病院において、実際に請求が行われた件の診断群分類と、診断群分類に関連して実施された診療行為とを対応付けて記録したデータである。実績元データの形式は、特に限定されないが、例えば、DPCファイル(様式1ファイル、EF統合ファイル及びDファイル)を実績元データとすることができる。すなわち、上記の診療録情報、出来高レセプト情報及び包括レセプト情報を、実績元データとすることができる。
図7及び図8は、1又は複数の病院から取得した実績元データを集計した集計データの例を示す図である。図7及び図8に示す集計データは、例えば、集計システム40で生成される。図7に示す集計データは、各診断群分類の事例数を含む。各診断群分類の事例数は、各診断群分類の発生件数と言える。
図8に示す集計データは、各診断群分類における各RCDの件数を含む。ここでは、実績元データに含まれる複数の診断群分類のうち同じ診断群分類における診療行為群それぞれの件数が、各診断群分類における各RCDの件数となる。例えば、図7では、集計した診断群分類「060150xx03xx0x」の事例数が482件であることを示す。図8では、(482件の)診断群分類「060150xx03xx0x」のうち、471件で、「末梢血液一般検査」が実施されていることを示している。
図9は、実績データの例を示す図である。図9に示す実績データは、図7及び図8の集計データに基づいて生成される。図9の実績データは、各診断群分類における各診療行為の実施率を含む。例えば、診断群分類「060150xx03xx0x」の事例数482件(図7)の中で、「末梢血液一般検査」は、471件実施されている(図8)。この場合、診断群分類「060150xx03xx0x」における「末梢血液一般検査」の実施率は、471/482=0.977と計算される(図9)。この実施率は、実績元データに含まれる複数の診断群分類のうち同じ診断群分類における診療行為群それぞれについて同じ診断群分類における頻度を示す値の一例である。
図9に示す実績データは、複数の診断群分類のうち同じ診断群分類において実施された診療行為群を集計した標準診療行為群を、診断群分類と対応付けて記録した実績データの一例である。図9において、同一の診断群分類に対応付けられたRCD、診療明細名称及び実施率が、標準診療行為群の一例に相当する。標準診療行為群は、各診断群分類における診療行為群の標準型と言うこともできる。すなわち、標準診療行為群は、診断群分類毎の診療行為モデルと言うことができる。なお、標準診療行為群は、図9に示す例に限られない。例えば、図8に示すように、各診断群分類に対応付けられたRCD、診療明細名称及び、対応する診断群分類における件数を示すデータを標準診療行為群としてもよい。
図10は、図8と同様に各診断群分類における各RCDの件数を含む集計データの例である。図10に示す例では、集計データは、診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」が、診断群分類「120170xx01x0xx」で4件、「120170xx99x0xx」で24件、「120170xx97x0xx」で2件、合計で30件、実施されたことを示している。この集計データは、診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」が実施されている診断群分類は3つに絞られることを示している。この事から、この診療行為は、診断群分類を決定する要素として意味があるため、重視できると考えられる。そこで、この各診断群分類における各診療行為(RCD)の件数、及び各診療行為に対する診断群分類の件数に応じて、診療行為に重み付けすることが考えられる。
図11は、診療行為に対して重み付けした値を示す重み付けデータの例を示す図である。図11に示す例では、RCDが「150337610」「150181610」「150277810」の3つの診療行為は、固定値の2.50の重みが付与されている。これらの3つの診療行為は、手術の診療行為である。手術は、診断群分類を決定する要素として重要であり、診断群分類との関係で特徴的な行為である。そのため、手術の診療行為に対して一定の重みが付与されている。このように、診療行為に対して、診療行為の種類に応じて重み付け値を決定することができる。
図11に示す診療行為のうち、RCDが「160163150」「620000328」の2つの診療行為に対する重み付けの値は、図10に示す集計データに基づいて計算される。例えば、図10の例では、診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」(RCD=160163150)の診断群分類「120170xx99x0xx」における件数が24件であり、全件数(30件)に対する割合(24/30)が、70%を超えている。この割合を用いて、重み付けの値を、下記のように計算できる。
重み=2.5×(24/30)=2.0
このように、ある診療行為に対応する複数の診断群分類のうち件数の割合が高いものを抽出し、その割合を用いて、重み付けの値を計算することができる。上記の例では、診療行為に対応する複数の診断群分類のうち、最も件数が多い診断群分類が抽出される。抽出された診断群分類の割合が、閾値(上記例では70%)を超える場合に、その割合を用いて、その診療行為に対する重み付けの値が計算される。
なお、実績データに含まれる全ての診療行為に対して重み付けをしなくてもよい。例えば、重み付けのない診療行為については、重み付けの値を「1」とすることができる。
図12は、図10に示す集計データに基づいて生成される診断群分類決定行為情報の一例である診断群分類決定行為マスタテーブルの例である。診断群分類決定行為情報は、診療行為と、その診療行為により決定される可能性のある診断群分類とを対応付ける情報が含まれる。すなわち、診断群分類決定行為情報は、診断群分類を決定する要素として重要であると判断された診療行為と、その診断群分類との対応を示す情報である。図12の例では、診療行為を識別するRCD、診断群分類、その診断群分類に関連して実施された診断群分類の件数、及び、実施された診療行為の全件数(RCD全実績件数)が対応付けられて記録される。
集計システム40は、実績元データを集計した集計データから、同じ診断群分類で実施された各診療行為の件数と、各診療行為に対応する診断群分類の件数を基に、診断群分類が、診断群分類を決定する要素として重要か否かを判断することができる。集計システム40は、診断群分類を決定する要素として重要と判断した診療行為を、診断群分類と対応付けて、診断群分類決定行為マスタテーブルに記録する。
例えば、図10に示す集計データでは、診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」に対応する診断群分類は、「120170xx01x0xx」、「120170xx99x0xx」及び「120170xx97x0xx」の3種類である。これらの3種類の診断群分類のうち「120170xx99x0xx」に対応する診療行為の件数は、24件であり、最も件数が多い。診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」の全実績件数(4+24+2=30件)において、診断群分類「120170xx99x0xx」で診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」が実施された件数(24件)の割合は、24/30=80%である。この診療行為「顆粒球エラスターゼ(子宮頸管粘液)」のRCDが、図12に示す診断群分類決定行為マスタテーブルに記録されている。
このように、集計システム40は、対応する診断群分類の数が所定の第1閾値以下(上記例では、例えば、5)である診療行為を、診断群分類を決定する要素として重要と判断することができる。また、ある診療行為の前実績件数に対する特定の診断群分類に対応する割合が、所定の第2閾値(上記例では、例えば、70%)を超える場合に、その診療行為を、診断群分類を決定する要素として重要と判断することができる。
(動作例)
図13は、診断群分類推定システム10の動作例を示すフローチャートである。図13に示す例では、まず、診断群分類推定システム10は、対象患者を決定する(S1)。対象患者は、ユーザからの入力に基づき決定される。例えば、診断群分類推定システム10は、ユーザ端末2に、対象患者を選択するための画面(図示略)を表示し、対象患者のユーザからの入力を受け付ける。S1で、診断群分類の推定の対象となる対象患者が決定される。S1では、対象患者の他、推定の対象となる診療時期等をユーザの入力に基づいて決定してもよい。
対象診療行為取得部11は、対象患者に対して施された対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する(S2)。対象診療行為データは、例えば、図2に示す出来高レセプトテーブルT2から取得できる。具体例として、データ識別番号情報d03が、S1で決定した対象患者の識別番号(例えば、データ識別番号=19167)と一致し、且つ、診療年月が、診療報酬請求の対象の範囲内(例えば、診療年月が対象患者の入院期間内)であるレコードのRCDを、対象診療行為データとして、出来高レセプトテーブルT2から抽出する。また、対象診療行為取得部11は、対象診療行為以外の対象患者に関する情報を、記憶部51から取得してもよい。例えば、図2の診療録テーブルT1から対象患者の傷病に関する情報、図5の傷病テーブルから対象患者の各傷病に対応する診断群分類及び請求金額を示す情報を取得してもよい。
推定部12は、S2で取得された対象診療行為データが示す診療行為の件数が、下限値を超えるか否かを判断する(S3)。下限値は、例えば、0とすることができる。取得した対象診療行為の件数が下限値を超える(S3でYes)場合に、推定部12は、推定処理を実行する。このように、推定部は、取得した対象診療行為の件数が、推定を実行するために十分であるか否かを判断する。対象診療行為の件数が下限値以下(S3でNo)の場合は、推定ステータスを「推定不可能」に設定して処理を終了する。なお、推定部12は、下限値より大きい基準値を設け、対象診療行為の件数が、基準値を下回る場合は、推定精度が悪くなる可能性があると判断することができる。この場合、推定ステータスを「診療行為が不十分」に設定する。例えば、後の推定結果の表示とともに、推定ステータスを表示することができる。
推定部12は、実績データから、診断群分類ごとの標準診療行為群を取得する(S4)。実績データは、例えば、図9に示すように、過去に実績のある複数の診断群分類と、各診断群分類で実施された診療行為群を集計した標準診療行為群とが対応付けられた記録されたデータである。各診断群分類に対する標準診療行為群の各々には、診断群分類における診療行為の発生頻度を示す実施率が含まれる。また、実績データの診療行為群の少なくとも一部には、例えば、図11に示すような思い付けの値が付与されている。
推定部12は、図9に示す実績データの各診断群分類の標準診療行為群の実施率、及び図11に示す標準診療行為群に対する重み付けの値を取得する。一例として、推定部12は、診断群分類ごとに、診療行為群を特徴量としたベクトルを生成する。ベクトルは、診断群分類に含まれる診療行為群の各々の値を含む。各診療行為の値は、例えば、図9に示す実施率に、図11に示す重みの値を掛けた値(実施率×重み)とすることができる。図14は、図9に示す診断群分類「060150xx03xx0x」について生成されたベクトルの値の例を示す図である。図14の例では、標準診療行為群の各診療行為の実施率×重みの値が、ベクトルの要素となる。図11に示す診療行為重みデータで重みの値が示されていない診療行為については、重み=1として、実施率×重みが計算される。
本例では、S4において、推定部12が、実績データに基づいて各診断群分類のベクトルを生成しているが、ベクトルを示すデータを実績データとして記憶しておき、推定部12が実績データを読み込むことで、各診断群分類のベクトルデータを取得する態様であってもよい。
また、推定部12は、S2で取得した対象診療行為群のベクトルを生成する。このベクトルも、対象診療行為群の各々を特徴量としたベクトルとする。ベクトルの要素の各対象診療行為の値は、例えば、「1」とする。
推定部12は、S2で取得した対象診療行為群と、S4で取得した実績データの各診断群分類の標準診療行為群との類似度を計算する(S5)。類似度の計算は、実績データの1つの診断群分類の標準診療行為群のベクトルと、対象診療行為群のベクトルを用いて計算することができる。例えば、下記式により、類似度を計算できる。
Figure 2021089541
推定部12は、実績データに含まれる複数の診断群分類について、上記の類似度の計算を繰り返す。図15は、各診断群分類の標準診療行為群と対象診療行為群との類似度の計算結果の一例を示す図である。類似度は、対象診療行為群が、各診断群分類とどの程度近いかを表す値と言える。
推定部12は、S5で計算した類似度を、高い順(降順)にソートして、上位から所定件数を抽出する(S6)。抽出する所定件数は、例えば、推定結果としての表示に必要な診断群分類の数とすることができる。或いは、推定部12は、類似度が閾値を超える診断群分類を、推定結果として抽出してもよい。推定部12は、類似度が予め設定された条件を満たす診断群分類を推定結果とする。
表示部13は、S6で抽出した診断群分類を推定結果として表示する(S7)。表示部13は、例えば、ユーザ端末2の表示装置に、推定結果の診断群分類を表示させる。表示態様は、特に限定されないが、例えば、推定結果の診断群分類をリスト形式で表示する。表示部13は、診断群分類を類似度の高い順に並べて表示してもよい。また、各診断群分類に類似度の値を対応付けて表示してもよい。
推定部12は、S6の推定結果として抽出した各診断群分類と、対象患者の傷病情報とを比較し、比較結果を表示する(S8)。例えば、推定部12は、対象患者の現在の傷病を取得し、推定された診断群分類の各々と比較する。対象患者の現在の傷病は、例えば、図5に示す傷病テーブルT4から取得することができる。診断群分類は、傷病に対応付けられている。例えば、診断群分類の6桁は、対応する傷病によって決まる。傷病(例えば、ICD)と診断群分類(6桁)との対応関係を示すマスタデータ(図示略)が記憶部51に予め記憶されていてもよい。この場合、推定部12は、対象患者の現在の傷病を示すICDを、マスタデータを用いて、診断群分類に変換し、推定結果の診断群分類と比較することができる。
現在の傷病の診断群分類と、推定された診断群分類とがマッチする場合には、現在の傷病と推定された診断群分類の傷病が合っていることを示す情報を、表示部13が表示する。例えば、マッチする傷病の種別を、推定された診断群分類と対応付けて表示することができる。
なお、対象患者の現在の傷病と、推定された診断群分類との比較処理は、現在の傷病を診断群分類に変換したものを推定された診断群分類と比較してもよいし、或いは、推定された診断群分類を傷病に変換したものを現在の傷病と比較してもよい。
図16は、表示部13により表示される推定結果の表示画面の一例を示す図である。図16に示す例では、画面は、病院登録情報フィールドf21、第1推定結果フィールドf22、検証フィールドf23、及び第2推定結果フィールドを含む。
図16に示す例では、病院登録情報フィールドf21には、対象患者についての診療報酬請求に関する情報が表示される。病院登録情報フィールドf21には、種別、診断群分類、請求金額、及び、傷病名が表示される。これらの情報は、例えば、S2において、傷病テーブルT4(図5参照)から取得される。この例では、診療報酬請求の対象とする対象患者の現在の傷病と、各傷病の請求に関する情報が表示される。種別は、傷病の種別を表す。種別の「請求」は、請求用の診断群分類に対応する傷病であることを示す。「併存1」及び「併存2」は、併存傷病であることを示す。種別のその他の例としては、「主傷病」、「契機」、及び「最投」等が挙げられる。病院登録情報フィールドf21には、必要に応じて、傷病名情報、診断群分類情報、及び請求金額情報以外の情報を表示してもよい。例えば、請求金額を出来高金額に換算した出来高金額情報や、請求金額と出来高金額との差額情報等を表示することもできる。
第1推定結果フィールドf22には、S7及びS8の表示処理で表示される推定結果が含まれる。第1推定結果フィールドf22には、推定された診断群分類が類似度の高い順に上から並べて表示される。各診断群分類には、傷病名、類似度、及び備考が対応付けられて表示される。備考には、S8の比較結果が表示される。すなわち、推定された診断群分類にマッチする対象患者の現在の傷病の種別が表示される。例えば、1番目の診断群分類の備考にある「請求、主病名、契機、最投」は、推定された診断群分類の傷病が、対象患者の現在の請求用の診断群分類に対応する傷病、主たる傷病名(主病名)、入院の契機となった傷病名(契機)、最も多くの医療資源が投入された傷病名(最投)にマッチすることを示している。なお、備考が空欄になっている診断群分類は、対象患者の現在の傷病にマッチするものがないことを示している。
このように、推定された複数の診断群分類を、類似度が視認可能な態様で表示することで、ユーザは、推定された診断群分類が、過去の事例に対してどの程度近いのかを迅速に把握することができる。これにより、ユーザは、推定された診断群分類の妥当性を判断しやすくなる。結果として、ユーザは、推定結果を基に、適切な診断群分類を決定することができる。
また、推定された診断群分類と現在の傷病との比較結果を表示することで、推定された診断群分類と対象患者の現在の傷病との整合性を把握できる。そのため、ユーザは、適切な診断群分類の決定をより行いやすくなる。
再び、図13を参照し、推定部12は、診断群分類決定行為情報から、対象診療行為群にマッチする診断群分類を抽出して表示する(S9)。診断群分類決定行為情報は、図12に例示されるように、診療行為と、この診療行為によって決定される可能性が高い診断群分類との対応を示すデータである。例えば、推定部12は、S2で取得した対象診療行為群に、RCDが、図12示す診断群分類決定マスタテーブルのRCDと一致するものがあれば、そのRCDに対応する診断群分類を取得し、表示する。
推定部12は、S9において、診断群分類に加えて、診療行為が診断群分類を決定する可能性の度合い(例えば、確率)を示す情報を、表示してもよい。診断群分類決定行為情報は、対応する診断群分類における診療行為の実績件数に関する情報を含んでもよい。図12に示す例では、このような情報として、対応する診断群分類において実施された件数(件数)と、各診療行為の全実績件数(RCD全実績件数)が記録されている。推定部12は、この情報に基づいて、診療行為が診断群分類を決定する確率を計算し、表示する。図12に示す例において、例えば、RCD=160163150が、対象患者の対象診療行為のRCDと一致する場合、24/30=80%が、このRCDの診療行為によって診断群分類(120170xx99x0xx)が決定される確率として、表示される。
図16の第2推定結果フィールドf24は、S9における表示の例である。図16に示す例では、対象診療行為群に含まれる診療行為、この診療行為により決定され得る診断群分類及び傷病名、及び、その決定確率が、対応付けられて表示される。これにより、ユーザは、対象診療行為群の中で特徴的な診療行為と、これにより決定される可能性の高い診断群分類を把握することができる。そのため、ユーザは、適切な診断群分類の決定をより行いやすくなる。
再び、図13を参照し、表示部13は、推定結果として表示した診断群分類の選択を受け付ける(S10)。診断群分類が選択されると(S10でYES)、表示部13は、選択された診断群分類の仮請求金額を表示する(S11)。仮請求金額は、選択された診断群分類を請求用の診断群分類とした場合の対象診療行為についての請求金額である。仮請求金額は、選択された診断群分類に基づいて計算できる。例えば、取得した診断群分類に対応する1日当たりの点数に対象患者の在院日数及び医療機関別係数を乗じ、これを金額に換算することによって、選択された診断群分類に対応する仮請求金額を算出できる。なお、各診断群分類情報に対応づけられた1日当たりの点数は、予め記憶部51に記憶しておくことができる。推定部12又は表示部13が、記憶部51のデータを用いて、仮請求金額を計算してもよい。
図16に示す例では、第1推定結果フィールドf22及び第2推定結果フィールドf24において、推定された各診断群分類が、選択可能な状態で表示される。検証フィールドf23に、選択された診断群分類の検証情報が表示される。図16の例では、検証情報は、選択された診断群分類、診断群分類に基づく仮請求金額(請求金額)、及び診断群分類の傷病名を含む。検証フィールドf23に表示される情報によって、ユーザは、推定された診断群分類が適切か否かをより正確に判断することができる。なお、検証フィールドf23には、上記の例の他、請求金額を出来高金額に換算した出来高金額情報や、請求金額と出来高金額との差額情報等、その他の検証を行うための情報を表示することができる。
本実施形態では、診断群分類推定システム10は、過去に実績のある診療行為群と、対象患者に施された対象診療行為群との類似度に基づいて、診断群分類を推定する。推定結果を見たユーザは、例えば、推定された診断群分類が、過去の診断群分類が付与された診療行為群とどの程度近いかを合わせて知ることができる。そのため、ユーザは、適切な診断群分類の決定がしやすくなる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。上記実施形態では、16桁のDPCコードで表される診断群分類を推定する形態であるが、16桁で表される情報の一部、例えば、傷病名、手術及び処置に関する情報を、診断群分類として推定することもできる。
また、上記例では、過去の複数の診断群分類と、診断群分類それぞれの診療行為群との対応を示す実績元データを集計して得られた実績データを用いて推定処理が実行される。これに対して、推定部は、推定処理において、実績元データを集計し、上記の実績データに想到するデータを生成して、これを用いて診断群分類を推定してもよい。また、集計して得られる実績データの形式や内容は、上記の図9に示す標準型に限られない。例えば、図8に示す集計データを、実績データとしてもよい。
また、診断群分類を推定する処理は、図13のフローチャートに示す例に限られない。図13において、各処理ステップの実行の順番を変更してもよい。また、図13に示す処理ステップの一部を省略してもよい。例えば、S8、S9、並びに、S10及びS11のうち、少なくとも1つを省略してもよい。
また、推定結果を表示する画面も図16の例に限られない。例えば、病院登録情報フィールドf21、第1推定結果フィールドf22、検証フィールドf23及び第2推定結果フィールドf24には、様々な情報を表示することができるが、少なくとも傷病名情報が表示されていればよい。
10 診断群分類推定システム
11 対象診療行為取得部
12 推定部
13 表示部
2 ユーザ端末
20 登録システム
30 会計システム
40 集計システム
51、52 記憶部

Claims (6)

  1. 対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得部と、
    過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定部と、
    前記推定部で推定された前記診断群分類を表示する表示部と、を備え、
    前記推定部は、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する、診断群分類推定システム。
  2. 請求項1に記載の診断群分類推定システムであって、
    前記推定部は、前記実績データとして、前記複数の過去の診断群分類のうち複数の同じ診断群分類において実施された過去の診療行為群を集計した標準診療行為群を、前記診断群分類と対応付けて記録した実績データを参照し、
    前記標準診療行為群と、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の標準診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する、診断群分類推定システム。
  3. 請求項2に記載の診断群分類推定システムであって、
    前記標準診療行為群は、前記同じ診断群分類における過去の診療行為群それぞれについて前記同じ診断群分類における頻度を示す値を含み、
    前記推定部は、前記頻度を示す値を用いて、前記類似度を計算する、診断群分類推定システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断群分類推定システムであって、
    前記実績データにおける診療行為群は、前記診療行為群の少なくとも一部の診療行為に対して重み付けした値を含み、
    前記推定部は、前記診療行為に対して重み付けした値を用いて、前記類似度を計算する、診断群分類推定システム。
  5. 対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得処理と、
    過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定処理と、
    前記推定処理で推定された前記診断群分類を表示する表示処理と、をコンピュータに実行させ、
    前記推定処理は、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する、診断群分類推定プログラム。
  6. コンピュータが、
    対象患者に対して施された診療行為であって診療報酬請求の対象となる対象診療行為群を示す対象診療行為データを取得する対象診療行為取得工程と、
    過去の複数の診療報酬請求に用いた複数の過去の診断群分類の各々と、当該複数の過去の診断群分類の各々において実施された過去の診療行為群とを対応付けて記録した実績データを参照して、前記対象患者に施された前記対象診療行為群に対する診断群分類を推定する推定工程と、
    前記推定処理で推定された前記診断群分類を表示する表示工程と、実行し、
    前記推定工程では、前記コンピュータが、前記対象診療行為データが示す前記対象診療行為群と、前記実績データにおける前記複数の診断群分類に対応する過去の診療行為群との類似度を計算し、計算した類似度が所定の条件を満たす過去の診療行為群に対応付けられた過去の診断群分類に基づいて前記対象患者の診断群分類を推定する、診断群分類推定方法。
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