JP2021088677A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

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みずほ 永田
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Keisuke Hirano
敬祐 平野
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Abstract

【課題】微小で、かつ、剥離したい被着体のみを正確に剥離できる粘着剤組成物および粘着シートを提供すること。【解決手段】粘着剤組成物は、粘着成分と、粘着成分中に分散するガス発生粒子とを含有する。ガス発生粒子を粒度分布測定し、ガス発生粒子の粒度分布において、小粒度側からの体積基準の累積値が90%となる累積粒子径(D90)が、10.0μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤組成物および粘着シートに関する。
従来、被着体に対して必要な期間だけ粘着性(感圧接着性)を示し、その後は被着体を容易に剥がせることができる粘着剤層が知られている。
例えば、アゾジカルボンアミドなどの気体発生剤と、アクリルポリマーとを含有する粘着剤層が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
特許文献1の粘着剤層は、被着体に粘着した後、気体発生剤から気体が発生させ、これにより、粘着剤層と被着体との接触面積が減少して、粘着剤層の被着体に対する粘着力が低下して、被着体が粘着剤層から剥離する。
特開2018−138682号公報
しかるに、粘着剤層は、複数の微小な被着体を粘着した後、任意の被着体を剥離する場合において、剥離したい微小な被着体のみを剥離し、その周辺の被着体を残したい要求がある。しかし、特許文献1の粘着剤層では、上記した要求を満足できない場合がある。
本発明は、微小で、かつ、剥離したい被着体のみを正確に剥離できる粘着剤組成物および粘着シートを提供する。
本発明(1)は、粘着成分と、前記粘着成分中に分散するガス発生粒子とを含有し、前記ガス発生粒子を粒度分布測定し、前記ガス発生粒子の粒度分布において、小粒度側からの体積基準の累積値が90%となる累積粒子径(D90)が、10.0μm以下である、粘着剤組成物を含む。
本発明(2)は、前記ガス発生粒子の粒度分布において、前記累積値が50%となる累積粒子径(D50)が、1.0μm以下である、(1)に記載の粘着剤組成物を含む。
本発明(3)は、前記粘着剤組成物の25℃における引張弾性率が、5MPa以下である、(1)または(2)に記載の粘着剤組成物を含む。
本発明(4)は、前記ガス発生粒子が発生するガス発生量が、前記粘着剤組成物において、0℃、1013hPaにおけるデカン換算で、5mL/g以上である、(1)〜(3)のいずれか一項に記載の粘着剤組成物を含む。
本発明(5)は、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を備える、粘着シートを含む。
本発明の粘着剤組成物では、ガス発生粒子の累積粒子径(D90)が10.0μm以下と小さいので、微小で、かつ、剥離したい被着体のみを正確に剥離できる。
図1A〜図1Bは、本発明の粘着シートの一実施形態を説明する断面図であり、図1Aが、粘着剤層および第2粘着剤層を備える粘着シート、図1Bが、複数の被着体のうち、剥離したい被着体のみを粘着剤層から剥離する態様を示す。 図2A〜図2Bは、本発明の粘着シートの変形例を説明する断面図であり、図2Aが、第2粘着剤層を備えず、粘着剤層を備える粘着シート、図2Bが、複数の被着体のうち、剥離したい被着体のみを粘着剤層から剥離する態様を示す。 図3は、本発明の粘着シートの一実施形態における照射エリアおよび剥離可能エリアを示す平面図である。 図4は、比較例の粘着シートにおける照射エリア、ガス発生粒子および剥離可能エリアを示す平面図である。
本発明の粘着剤組成物を説明する。
この粘着剤組成物は、粘着成分と、ガス発生粒子とを含有する。
粘着成分は、粘着剤組成物に粘着性(初期粘着性あるいは感圧接着性とも言う)を付与して、複数の被着体(後述する図1Bの符号10参照)に対する粘着力(初期粘着力、または、感圧接着力とも言う)を発現する。粘着成分は、粘着剤組成物中、ガス発生粒子を分散するマトリックスである。
粘着成分としては、上記した機能(作用)を奏することができれば、特に限定されない。粘着成分としては、例えば、ゴム系ポリマー、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、スチレン−ジエンブロック系ポリマーなどの粘着ポリマー(ベースポリマー)などが挙げられる。
なお、これら粘着ポリマーは、特開2008−266455号公報などにおいて粘着性のベースポリマーとして詳説されており、これらの中から適宜選択することができる。好ましくは、アクリル系ポリマーが挙げられる。
アクリル系ポリマーとしては、例えば、炭素数1以上、18以下のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主モノマーとして含有し、極性基含有ビニルモノマーを副モノマーとして含有するモノマー成分のコポリマーなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルおよび/またはアクリル酸アルキルエステルである。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどの、アルキル部分が炭素数1以上、18以下の直鎖または分岐アルキルである(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらは、単独使用または2種以上併用することができる。
好ましくは、炭素数6以上、18以下の高級アルキル部分を有する(メタ)アクリル酸高級アルキルエステルと、炭素数1以上、4以下の低級アルキル部分を有する(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとの組合せが挙げられる。
副モノマーである極性基含有ビニルモノマーは、主モノマーと共重合できる共重合性モノマーである。極性基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのヒドロキシル基含有ビニルモノマーが挙げられる。他にも、極性基含有ビニルモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチルなどのアミノ基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有ビニルモノマー、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニルモノマー、例えば、N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビニルモノマーなども挙げられる。好ましくは、ヒドロキシル基含有ビニルモノマーが挙げられる。
モノマー成分における主モノマーおよび副モノマーの配合割合は、上記した機能(作用)を奏するように適宜選択される。モノマー成分における主モノマーの割合は、80質量%以上、99%質量以下であり、副モノマーの割合は、上記の残部である。
粘着成分は、例えば、架橋剤、粘着付与剤などの公知の添加剤を含有することができる。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属イオン系架橋剤などが挙げられ、好ましくは、イソシアネート系架橋剤が挙げられる。架橋剤の配合割合は、粘着成分のベースポリマー100質量部に対して、例えば、0.001質量部以上、10質量部以下である。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂が挙げられ、好ましくは、ロジンフェノール系樹脂が挙げられる。粘着付与剤の配合割合は、粘着成分のベースポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、15質量部以下である。
粘着成分の配合割合は、粘着剤組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上また、例えば、99質量%以下、好ましくは、90質量%以下である。
ガス発生粒子は、粘着剤組成物に付与される刺激により、ガスを発生するように構成される粒子である。刺激としては、例えば、加熱、振動、加圧などが挙げられ、好ましくは、加熱が挙げられる。ガス発生粒子は、粘着剤組成物に上記した刺激が付与される前には、ガスを発生しないように構成される潜在性ガス発生粒子である。
また、ガス発生粒子は、粘着剤組成物中、粘着成分に対して分散する。詳しくは、ガス発生粒子は、粘着剤組成物中、粘着成分に溶解せず、粒子状に分散している。
ガス発生粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、略球形状、略板(扁平)形状、略針形状、不定形形状などが挙げられる。
ガス発生粒子を粒度分布測定し、ガス発生粒子の粒度分布において、小粒度側からの体積基準の累積値が90%となる累積粒子径(D90)は、10.0μm以下である。ガス発生粒子の累積粒子径(D90)が10.0μmを超過すれば、図4に示すように、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の微小なエリア21のみを刺激するときに、剥離可能エリア22が過度に広くなる。そのため、剥離可能エリア22に接触し、剥離したくない被着体を剥離してしまう。
換言すれば、ガス発生粒子の累積粒子径(D90)が10.0μm以下であれば、図3に示すように、粘着剤組成物から形成される粘着剤層の微小なエリア21のみを刺激するときに、剥離可能エリア22が過度に広くなることを抑制できる。そのため、剥離可能エリア22に接触せず、剥離したくない被着体を剥離することを抑制でき、剥離可能エリア22に接触し、剥離したい被着体のみを剥離できる。
ガス発生粒子の累積粒子径(D90)は、好ましくは、8μm以下、より好ましくは、5μm以下、さらに好ましくは、3μm以下、とりわけ好ましくは、2μm以下であり、また、例えば、0.1μm以上である。
また、ガス発生粒子の粒度分布において、累積値が50%となる累積粒子径(D50)は、例えば、8μm以下、より好ましくは、3μm以下、さらに好ましくは、1.0μm以下、とりわけ好ましくは、0.5μm以下、最も好ましくは、0.4μm以下であり、また、例えば、0.01μm以上である。
ガス発生粒子の累積粒子径(D50)が上記した上限以下であれば、剥離したい被着体のみをより一層正確に剥離できる。
粘着剤組成物から形成される粘着剤層の厚み方向に沿う断面を走査型電子顕微鏡で撮影し、撮影した画像に基づくソフトウェアの演算によって、ガス発生粒子の累積粒子径(D90)、および、累積粒子径(D50)を求める。または、粘着剤組成物の調製前におけるガス発生粒子を含む液(後述)をレーザー回折−散乱式粒度分布計で測定して、ガス発生粒子の累積粒子径(D90)および累積粒子径(D50)を求めることもできる。
また、ガス発生粒子は、例えば、刺激(加熱など)の付与前の粘着剤組成物において粘着成分に対して、不溶性である。
ガス発生粒子としては、例えば、加熱によりガスを発生する加熱型発泡剤(熱分解型発泡剤)などが挙げられる。
加熱型発泡剤としては、例えば、有機系発泡剤、無機系発泡剤が挙げられる。
有機系発泡剤は、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、バリウムアゾジカルボキシレート、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼンなどのアゾ系発泡剤、例えば、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DTP)、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、トリニトロソトリメチルトリアミンなどのN−ニトロソ系発泡剤、例えば、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、2,4−トルエンジスルホニルヒドラジド、p,p−ビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)エーテル、ベンゼン−1,3−ジスルホニルヒドラジド、アリルビス(スルホニルヒドラジド)などのヒドラジド系発泡剤、例えば、p−トルイレンスルホニルセミカルバジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)などのセミカルバジド系発泡剤、例えば、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタンなどのフッ化アルカン系発泡剤、例えば、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールなどのトリアゾール系発泡剤などが挙げられる。また、有機系発泡剤として、グリシジルアジドポリマーなどのポリマータイプの発泡剤(例えば、特許4238037号公報に記載)も挙げられる。
無機系発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸水素塩、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの炭酸塩、例えば、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸アンモニウムなどの亜硝酸塩、例えば、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化ホウ素塩などが挙げられる。
加熱型発泡剤は、単独使用または複数併用することができる。
加熱型発泡剤として、好ましくは、有機系発泡剤、より好ましくは、アゾ系発泡剤、さらに好ましくは、ADCA(具体的には、ADCA粒子)が挙げられる。
ガス発生粒子のガス発生量は、0℃、1013hPa(標準状態)で、例えば、50mL/g以上、好ましくは、100mL/g以上、より好ましくは、125mL/g以上であり、また、例えば、1000mL/g以下である。ガス発生粒子のガス発生量は、公知の方法で求められ、例えば、カタログ値である。
ガス発生粒子の配合割合は、ガス発生成分の配合割合が、粘着成分のベースポリマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、80質量部以下となるように、調整される。
また、粘着剤組成物は、分散剤、レーザー光吸収剤をさらに含有することができる。
分散剤は、ガス発生粒子の分散性を向上させて、さらには、ガス発生粒子を所望の寸法にするために配合される。なお、分散性は、次の製造方法で説明するガス発生粒子分散液におけるガス発生粒子の分散性、および、粘着剤組成物におけるガス発生粒子の分散性を含む。分散剤の種類は、特に限定されず、例えば、ポリマー型分散剤が挙げられる。分散剤は、市販品を用いることができ、具体的には、フローレンDOPAシリーズ(共栄社化学社製)、ソルスパースシリーズ(日本ルーブリゾール社製)、EFKAシリーズ(エフカアディディブズ社製)、DisperBYKシリーズ(ビックケミー・ジャパン社製)、ディスパロンシリーズ(楠本化成社)などが挙げられる。
分散剤の配合割合は、ガス発生粒子100質量部に対して、例えば、10質量部以上、好ましくは、30質量部以上であり、また、例えば、100質量部以下、好ましくは、70質量部以下である。
レーザー光吸収剤は、粘着剤層に加熱するために粘着剤層に照射されるレーザー光を吸収可能であって吸収エネルギーを熱に変えて放出可能な成分である。レーザー光として紫外線レーザーを使用する場合には、レーザー光吸収剤は、好ましくは、紫外線吸収剤である。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外吸収剤が挙げられ、好ましくは、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられる。レーザー光吸収剤は、市販品を用いることができ、具体的には、KEMISORシリーズ(ケミプロ化成社製)などが用いられる。
レーザー光吸収剤の配合割合は、粘着成分のベースポリマー100質量部に対して、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、50質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
粘着剤組成物を調製(製造)するには、上記した粘着成分と、ガス発生粒子とを配合する。
具体的には、粘着成分を準備する。
別途、ガス発生粒子を準備する。例えば、累積粒子径(D90)が上記した上限を超えるガス発生粒子を粉砕することにより、累積粒子径(D90)が上記した上限以下のガス発生粒子を準備する。
具体的には、累積粒子径(D90)が上記した上限を超えるガス発生粒子を有機溶媒(分散媒)に分散剤とともに分散して、ガス発生粒子、分散剤および有機溶媒を含有するガス発生粒子液(具体的には、ガス発生粒子分散液)を調製する。累積粒子径(D90)が上記した上限を超えるガス発生粒子としては、例えば、ビニホールシリーズ、FEシリーズ(以上、永和化成工業社製)などの市販品が用いられる。
有機溶媒としては、ガス発生粒子を粒子状に分散できる分散媒であれば特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアルキレングリコール−エステル系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒、例えば、ミネラルスピリットなどの石油系溶媒などが挙げられる。好ましくは、エステル系溶媒が挙げられる。
有機溶媒の配合割合は、ガス発生粒子液におけるガス発生粒子の含有割合が、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、30質量%以下となるように、調整される。
その後、ガス発生粒子分散液中のガス発生粒子を、例えば、ビーズミルなどのミルなどの粉砕機を用いて、累積粒子径(D90)(さらには、累積粒子径(D50))を上記した上限以下に調整する。粉砕の条件(時間等)は、特に限定されない。
次いで、粘着成分と、ガス発生粒子とを配合する。
具体的には、粘着成分と、ガス発生粒子液とを配合して、それらを混合する。この混合においても、ガス発生粒子は、粘着成分および有機溶媒に対して、粒子状に分散している。これにより、粘着剤組成物および有機溶媒を含有する溶液を調製する。溶液は、ワニス(塗布液)である。なお、粘着剤組成物は、溶液における固形分である。
なお、上記した上限以下の累積粒子径(D90)を予め有するガス発生粒子をガス発生粒子液に配合し、ガス発生粒子を粉砕せずに、粘着剤組成物を調製してもよい。
その後、粘着剤組成物(好ましくは、ワニス)を基材シートに塗布し、その後、乾燥して、有機溶媒を除去することにより、粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成する。
この粘着剤層においても、ガス発生粒子は、粘着成分に対して粒子状に分散している。
粘着剤層(粘着剤組成物)の25℃における引張弾性率は、例えば、5MPa以下、好ましくは、1MPa以下、より好ましくは、500kPa以下であり、また、例えば、0.1kPa以上である。
粘着剤層(粘着剤組成物)の引張弾性率が上記した上限以下であれば、粘着剤層(粘着剤組成物)が過度に硬くなることを抑制し、良好な初期粘着性を発現できる。粘着剤層(粘着剤組成物)の引張弾性率が上記した下限以上であれば、保形性に優れる。粘着剤層(粘着剤組成物)の引張弾性率は、JIS K6922−2(2018年)に従って測定される。
また、粘着剤層の初期粘着力は、例えば、0.5N/20mm以上、好ましくは、1N/20mm以上であり、また、例えば、5N/20mm以下である。
粘着剤層の初期粘着力が上記した下限以上であれば、優れた初期粘着力を得ることができる。
粘着剤層の初期粘着力が上記した上限以下であれば、初期粘着力が過大となることに起因して、刺激付与後の剥離性が発現しないことを抑制することができる。
粘着剤層の粘着力の測定方法は、後の実施例で詳述する。なお、粘着剤層の粘着力は、加熱前の粘着剤層が有する粘着力である。
粘着剤層(粘着剤組成物)においてガス発生粒子が発生するガス発生量は、0℃、1013hPaにおけるデカン換算で、例えば、5mL/g以上、好ましくは、10mL/g以上、より好ましくは、15mL/g以上であり、また、例えば、100mL/g以下である。
ガス発生量が上記した下限以上であれば、粘着剤層(粘着剤組成物)に刺激を付与したときのガス発生量が十分となり、粘着剤層が良好な剥離性を発現する。
ガス発生量が上記した上限以下であれば、粘着剤組成物に刺激を付与するときに、粘着剤組成物からガスが勢いよく発生して、被着体を汚染することを抑制することができる。
粘着剤層(粘着剤組成物)においてガス発生粒子が発生するガス発生量の求め方は、後の実施例で詳述するが、例えば、250℃に加熱したときに発生するガスを質量分析装置で、0℃、1013hPa(1気圧)のデカン換算体積として求める。
次に、上記した粘着剤層を備える本発明の粘着シートの一実施形態について、図1Aを参照して説明する。
図1Aに示すように、粘着シート1は、厚み方向に対向する一方面および他方面を有しており、面方向(厚み方向に直交する方向)に延びる略シート(板)形状を有する。
粘着シート1は、上記した粘着剤組成物からなる粘着剤層2と、第2粘着剤層3とを、厚み方向一方側から他方側に向かって順に備える。
粘着剤層2は、厚み方向に対向する一方面および他方面を有しており、面方向に延びる略シート(板)形状を有する。
粘着剤層2の厚みは、特に限定されず、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、100μm以下である。
第2粘着剤層3は、ガス発生剤を含有しない第2粘着剤組成物からなる。第2粘着剤組成物は、第2粘着剤層3の材料であって、刺激によりガスを発生するように構成されるガス発生剤を含有しない。第2粘着剤組成物は、ガス発生剤を含有しない以外は、第1粘着剤組成物と同様の組成である。
第2粘着剤層3は、粘着剤層2の厚み方向他方面に配置されている。具体的には、第2粘着剤層3は、粘着剤層2の厚み方向他方面全面に接触している。つまり、この粘着シート1は、第2粘着剤層3と、粘着剤層2とが、厚み方向一方側に向かうに従って順に配置されている。第2粘着剤層3の形状および厚みは、粘着剤層2と同様である。
この第2粘着剤層3の25℃における引張弾性率および初期粘着力は、例えば、粘着剤層2におけるそれらと同程度である。一方、第2粘着剤層3のガス発生量は、0℃、1013hPaにおけるデカン換算で、実質的に0mL/gである。
また、粘着シート1は、仮想線で示す基材シート11、および、仮想線に示す第2基材シート12をさらに備えることができる。
この粘着シート1では、基材シート11と、粘着剤層2と、第2粘着剤層3と、第2基材シート12とが厚み方向一方側から他方側に向かって順に配置されている。
基材シート11は、粘着剤層2が複数の被着体10(図1B参照)に粘着されるまでは、粘着剤層2の一方面を保護し、粘着剤層2が複数の被着体10に粘着される前に、粘着剤層2の一方面から剥離される剥離シート(セパレータ)である。基材シート11は、粘着剤層2の一方面全面に接触している。基材シート11としては、例えば、ポリエステルシート(ポリエチレンテレフタレート(PET)シートなど)、ポリオレフィンシート(ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなど)、ポリ塩化ビニルシート、ポリイミドシート、ポリアミドシート(ナイロンシート)、レーヨンシートなどのプラスチック系基材シート(合成樹脂シート)、例えば、紙類などが挙げられる。好ましくは、プラスチック系基材シートが挙げられる。基材シート11の厚みは、例えば、1μm以上、1000μm以下である。
第2基材シート12は、第2粘着剤層3が後述する基材8(図1B参照)に粘着されるまでは、第2粘着剤層3の他方面を保護し、第2粘着剤層3が基材8に粘着される前に、第2粘着剤層3の他方面から剥離される剥離シート(セパレータ)である。第2基材シート12は、第2粘着剤層3の他方面全面に接触している。第2基材シート12は、基材シート11と同様の構成を有する。
粘着シート1を製造するには、例えば、粘着剤組成物(あるいはワニス)を基材シート11の表面に塗布し、その後、粘着剤組成物がワニスであれば、乾燥して、有機溶媒を除去する。これにより、粘着剤層2を、基材シート11の表面に形成する。
別途、第2粘着剤組成物(あるいはワニス)を第2基材シート12の表面に塗布し、その後、第2粘着剤組成物がワニスであれば、乾燥して、有機溶媒を除去する。これにより、第2粘着剤層3を、第2基材シート12の表面に形成する。
その後、粘着剤層2および第2粘着剤層3を互いに貼り合わせる。
これにより、基材シート11と、粘着剤層2と、第2粘着剤層3と、第2基材シート12とを厚み方向他方側に向かって順に備える粘着シート1を得る。
次に、粘着シート1を用いて、複数の被着体10を粘着剤層2に初期粘着させ、その後、所望の被着体10を粘着剤層2から剥離する方法を、図1Bを参照して説明する。
粘着シート1が第2基材シート12(図1A参照)を備える場合には、第2基材シート12を粘着シート1から除去する。具体的には、第2基材シート12を第2粘着剤層3の他方面から剥離する。
続いて、図1Bに示すように、第2粘着剤層3の他方面を基材8に貼着する。具体的には、粘着剤層2の他方面を、基材8の表面に対して、感圧接着(初期粘着)(仮固定)させる。
基材8は、粘着剤層2の載置される載置面である表面を有するキャリア部材などである。キャリア部材は、ガラス板を含む。また、基材8は、レーザー光を粘着剤層2の厚み方向他方側から照射する場合には、好ましくは、レーザー光透過性を有する。例えば、基材8の波長355nmのレーザー光に対する透過率が、例えば、80%以上、好ましくは、90%以上である。
続いて、粘着シート1が基材シート11(図1A参照)を備える場合には、基材シート11を粘着シート1から除去する。具体的には、基材シート11を粘着剤層2の一方面から剥離する。
その後、複数の被着体10を粘着剤層2の一方面に貼着する。具体的には、複数の被着体10のそれぞれの裏面を、粘着剤層2の一方面に対して、感圧接着(初期粘着)させる。なお、1つの大きな被着体シートを粘着剤層2の一方面に粘着した後、被着体シートを切断加工して、被着体シートを複数の被着体10に分割して、これによって、複数の被着体10を、粘着剤層2の一方面において準備することもできる。
複数の被着体10は、基材8に対して必要な期間(例えば、検査工程の期間など)だけ、初期粘着(感圧接着)され、その期間経過後には、所定の刺激を粘着剤層2(および第2粘着剤層3)に付与することにより、基材8から剥離される部材が挙げられる。複数の被着体10は、特に限定されず、例えば、半導体部品(ウエハチップ)などの電子部品などが挙げられる。
複数の被着体10は、粘着剤層2の厚み方向一方面において、面方向において整列配置されている。複数の被着体10は、面方向において互いに接触する。なお、図1Bで図示しないが、複数の被着体10は、面方向において互いに間隔が隔てられてもよい。
被着体10の寸法は、例えば、面方向における最大長さが、例えば、3mm以下、好ましくは、2mm以下、より好ましくは、1mm以下であり、また、例えば、0.01mm以上である。被着体10の裏面の面積は、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下、より好ましくは、1mm以下であり、また、例えば、0.001mm以上である。被着体10の厚みは、特に限定されず、例えば、1mm以下であり、また、0.01mm以上である。
被着体10の平面視形状は、その用途および目的に応じて適宜設定され、例えば、略多角形状(矩形状を含む)、略円形状(楕円形状を含む)などが挙げられる。
これによって、複数の被着体10を基材8に、粘着剤層2を介して、初期粘着(感圧接着)させる。
その後、粘着剤層2に刺激を付与する。
刺激としては、例えば、加熱、振動、加圧などが挙げられ、好ましくは、加熱が挙げられる。
粘着剤層2を加熱するには、剥離したい被着体10に対応する粘着剤層2(および第2粘着剤層3)にレーザー光を照射する。レーザー光は、指向性が高く、具体的には、紫外線レーザーであり、好ましくは、波長351nmのレーザー光、または、波長355nmのレーザー光である。
厚み方向一方側または他方側から粘着剤層2にレーザー光を照射する。これにより、照射されたエリア21(平面視略円形状のスポット)(照射エリア)が、加熱され、図3に示すように、照射エリア21に重複する(少なくとも一部が重複する)ガス発生粒子25がガスを発生する。
すると、ガス発生粒子25を包含するエリア21であって、上記した照射エリア21より広いエリアの粘着力が低減して、かかるエリアが剥離可能エリア22となる。これにより、図1Bに示すように、剥離可能エリア22に接触していた被着体10が粘着剤層2から剥離する。剥離可能エリア22は、レーザー光の照射に基づき被着体10を剥離可能なエリアである。
なお、第2粘着剤層3は、粘着剤層2の他方面から剥離せず、密着した状態を維持する。第2粘着剤層3および粘着剤層2の界面では、密着状態が維持される。
(作用効果)
粘着剤組成物からなる粘着剤層2を備える粘着シート1では、ガス発生粒子の累積粒子径(D90)が10.0μm以下と小さいので、微小で、かつ、剥離したい被着体10のみを正確に剥離できる。
詳しくは、累積粒子径(D90)のサイズに相当するガス発生粒子25は、累積粒子径(D50)のサイズに相当するガス発生粒子に比べて、多量のガスを局所的に発生できるので、被着体10の剥離性の向上に大きく寄与する。そのため、却って、剥離したい被着体10の周囲に位置する、剥離したくない被着体10までもを剥離し易くなってしまう。
しかし、この一実施形態では、累積粒子径(D90)が上記した上限以下と小さいことから、図3に示すように、かかるガス発生粒子25を包含する剥離可能エリア22を可及的に狭く設定できる。そのため、上記した微小な被着体10を粘着剤層2から選択的に剥離できる。
対して、累積粒子径(D90)が10μmを越える場合には、かかる累積粒子径(D90)のサイズに相当するガス発生粒子25は、一実施形態における累積粒子径(D90)が10μm以下相当のガス発生粒子25に比べて大きいことから、図4に示すように、これによって形成される剥離可能エリア22が広くなる。そうすると、上記した所望の被着体10の周囲の被着体10までもを、粘着剤層2から剥離してしまい、所望の被着体10のみを粘着剤層2から剥離できない。
変形例
以下の各変形例において、上記した一実施形態と同様の部材および工程については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。また、各変形例は、特記する以外、一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。さらに、一実施形態およびその変形例を適宜組み合わせることができる。
図2Aに示すように、変形例の粘着シート1は、第2粘着剤層3を備えない。粘着シート1は、基材シート11と、粘着剤層2と、第2基材シート12とを厚み方向他方側に向かって順に備える。図2Bに示すように、この粘着シート1では、粘着剤層2の厚み方向一方面が基材8に粘着する。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
調製例1
<アクリル系コポリマー(粘着性のベースポリマー)Aの調製>
アクリル酸エチル70質量部、アクリル酸2エチルヘキシル30質量部、アクリル酸ヒドロキシエチル4質量部、メタクリル酸メチル5質量部を含有するモノマー成分を、溶液重合法により共重合して、アクリル系コポリマーAを調製した。なお、アクリル系コポリマーAは、反応溶媒である酢酸エチル中に分散している。
調製例2
<アクリル系ポリマー(粘着性のベースポリマー)Bの準備>
アクリル系ポリマーBとして、綜研化学社製のSK1811Lを準備した。
調製例3
<ガス発生粒子分散液Iの調製>
ガス発生粒子としてのADCA粒子(永和化成工業社製 FE−788、ガス発生量135mL/g(0℃、1013hPa))100質量部、分散剤(共栄社化学社製 フローレンDOPA−100)50質量部、酢酸エチル350質量部を配合した後、ビーズミルにて30分間処理して、ガス発生粒子分散液Iを調製した。
調製例4
ビーズミルの処理時間を60分間に変更した以外は、調製例3と同様に処理して、ガス発生粒子分散液IIを調製した。
調製例5
ビーズミルの処理時間を90分間に変更した以外は、調製例3と同様に処理して、ガス発生粒子分散液IIIを調製した。
比較調製例1
ビーズミルで、ガス発生粒子、分散剤および酢酸エチルを含有する液を処理せず、液を収容する密閉容器を手で振って、液を攪拌した以外は、調製例3と同様に処理して、ガス発生粒子分散液IVを調製した。
実施例1
<粘着シートの製造>
調製例1のアクリル系コポリマーA 100質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業社製、コロネートL)1.4質量部、調製例3のガス発生粒子分散液I 125質量部(ガス発生粒子25質量部含有)、ロジンフェノール系樹脂(住友ベークライト社製、スミライトレジンPR−12603、粘着付与剤)10質量部、紫外線吸収剤(商品名「KEMISOR B 111」、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ケミプロ化成社製)5質量部、および、酢酸エチル(アクリル系コポリマーの反応溶媒を含む)を均一に混合して、固形分量が20質量%の塗布液(ワニス)を調製した。次いで、塗布液を、基材シート(PET製セパレータ、厚み38μm)11の表面に乾燥後の厚みが10μmになるように塗布および乾燥して、粘着剤層2を調製した。
別途、ガス発生粒子分散液Iを配合しなかったこと、および、厚みを20μmに変更した以外は、上記同様に操作して、第2粘着剤層3を調製した。なお、第2粘着剤層3は、第2基材シート(PET製セパレータ、厚み38μm)12の表面に形成した。
その後、粘着剤層2および第2粘着剤層3を互いに貼り合わせた。これにより、図1Aに示す粘着シート1を作製した。
実施例2〜実施例4および比較例1〜比較例2
表1に従って、ベースポリマーまたはガス発生粒子分散液の処方を変更した以外は、実施例1と同様に処理して、粘着シートを作製した。
<評価>
各実施例および各比較例について、下記の項目を評価した。それらの結果を表1に記載する。
[粒度分布測定(1)]
レーザー回折−散乱式粒度分布計(Microtrac MT3000II、マイクロトラックベル社製)を用いてガス発生粒子分散液の粒度分布を測定した。
具体的には、ガス発生粒子分散液を、ガス発生粒子の割合が約1質量%となるように、酢酸エチルで希釈して、希釈液を調製した。希釈液におけるガス発生粒子の粒度分布を得た。具体的には、レーザー回折−散乱式粒度分布計を用いて、希釈液を、30秒間、3回測定した。これにより、累積粒子径(D90)、および、累積粒子径(D50)のそれぞれを測定した。
[粒度分布測定(2)]
実施例1の粘着シート1の粘着剤層2の断面をサーモフィッシャーサイエンティフィック社製の卓上走査型電子顕微鏡で撮影し、パーティクルメトリックソフトウェアによってガス発生粒子の累積粒子径(D90)、および、累積粒子径(D50)のそれぞれを測定した。
その結果、実施例1において、粒度分布測定(1)に基づく累積粒子径(D90)と、粒度分布測定(2)に基づく累積粒子径(D90)とが、一致することを確認した。また、実施例1において、粒度分布測定(1)に基づく累積粒子径(D50)と、粒度分布測定(2)に基づく累積粒子径(D50)とも、一致することを確認した。
[引張弾性率]
加熱前の粘着剤層(粘着組成物の固形物)2の25℃における引張弾性率を、JISK6922−2に従って測定した。
[粘着力]
第2基材シート12を粘着剤層2の他方面から剥離し、次いで、粘着剤層2に、厚み25μmのPETシートからなる被着体シートを貼り合わせた後、幅20mm、長さ100mmに切断し、サンプルを作製した。
その後、当該サンプルから、基材シート11を剥離し、23℃雰囲気下で、粘着剤層2の一方面をSUS304からなる被着体10の表面に2Kgローラー1往復で圧着し、室温で30分間養生した。その後、剥離試験機を用いて23℃下、剥離角度180°、剥離速度300mm/minにてサンプルを剥離する際の粘着力(粘着強度)を測定した。
[ガス発生量]
粘着剤層2を試料カップに入れた後、加熱炉型パイロライザー(DSP)で加熱した。加熱条件においては、昇温速度が2℃/分で、最終温度を250℃とした。
DSPで発生したガスは、質量分析装置に導入し、質量分析装置でガス発生量を測定した。別途、0℃、1013hPaにおける体積が既知のデカンで検量線を作製した。この検量線に、上記測定結果を当てはめて、DSPで発生したガスの体積を、0℃、1013hPaにおけるデカン換算量として求めた。
[剥離性]
まず、粘着シート1を3cm角のサイズに切り出して粘着シートサンプルを得た。次に、粘着シートサンプルにおける第2粘着剤層3から第2基材シート12を剥離した後、第2粘着剤層3の他方面にガラス板(商品名「大型スライドグラス S9111」、厚さ1mm、松浪硝子工業社製)に貼り合わせ、2kgのハンドローラーを1往復させる圧着作業によってガラスと粘着シートサンプルとを圧着させた。次に、粘着シートサンプルにおける粘着剤層2から第1基材シート11を剥離した後、粘着剤層2の一方面に、複数の被着体としてウエハチップ(サイズ:縦50μm、横50μm、厚み50μm、シリコン製)を貼り付けた。
続いて、レーザー照射装置(商品名「5335XI」、ESI製)を使用して、厚み方向他方側から、紫外線レーザーパルス(波長355nm)を、ウエハチップに対向する照射エリア21に照射した。狙い位置のウエハチップ1つに対応する照射エリア21に対し1パルス(パルス照射直径40μm、エネルギー量0.4W)を照射した。ウエハチップの剥離性を下記の基準に従って、評価した。
○:狙い位置のウエハチップの周囲のウエハチップは、剥離せず、狙い位置のウエハチップのみが剥離した。
×:狙い位置のウエハチップの周囲のウエハチップが、狙い位置のウエハチップとともに剥離した。
Figure 2021088677
1 粘着シート
2 粘着剤層
25 ガス発生粒子
D90 体積基準の累積値が90%となる累積粒子径
D50 体積基準の累積値が50%となる累積粒子径

Claims (5)

  1. 粘着成分と、
    前記粘着成分中に分散するガス発生粒子とを含有し、
    前記ガス発生粒子を粒度分布測定し、前記ガス発生粒子の粒度分布において、小粒度側からの体積基準の累積値が90%となる累積粒子径(D90)が、10.0μm以下であることを特徴とする、粘着剤組成物。
  2. 前記ガス発生粒子の粒度分布において、前記累積値が50%となる累積粒子径(D50)が、1.0μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記粘着剤組成物の25℃における引張弾性率が、5MPa以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記ガス発生粒子が発生するガス発生量が、前記粘着剤組成物において、0℃、1013hPaにおけるデカン換算で、5mL/g以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
    粘着剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を備えることを特徴とする、粘着シート。
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