JP2021088145A - 導電性積層体及びその製造方法、並びに還元剤含有水系インク - Google Patents

導電性積層体及びその製造方法、並びに還元剤含有水系インク Download PDF

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Abstract

【課題】導電性めっき層の形成において、製造コスト及び環境的な負荷を低減又は抑制することができる、導電性積層体及びその製造方法、並びに還元剤含有水系インクを提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の導電性積層体は、基材、水酸基を有する有機化合物及び架橋剤の架橋反応生成物、並びに還元剤を含む還元剤含有層、この還元剤含有層上に配置されためっき触媒、並びにこのめっき触媒を覆うように配置された導電性めっき層を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、導電性積層体及びその製造方法、及び水系インクに関する。
プリンテッド・エレクトロニクスの技術分野では、例えば、めっき触媒のような金属ナノ粒子及び有機溶剤を含むインクを用いてプリント配線板などを製造する技術が知られている。
特許文献1(特表2015−532779号公報)には、高精細導電性パターンをフレキソ印刷で製造する方法であって、複数の線を含みその複数の線を構成する各線の幅が1ミクロンから25ミクロンの間である最初のパターンを、水に相溶性のあるポリマーと、パラジウムのようなめっき触媒と、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンのような有機溶剤とを含むインクを用いて基板にフレキソ印刷で印刷し、印刷されたパターンを少なくとも半凝固させることで最初のパターンを硬化させ、最初のパターンをめっきして導電性パターンを形成する方法が記載されている。
この特許文献1に記載されるような従来の方法では、用いるインクが、高価な金属ナノ粒子の銀又はパラジウムなどのめっき触媒を高度に含むものであるため、めっき層の形成において製造コストを上昇させる要因となっていた。また、一般に、従来のインクには有機溶剤が含まれるため、作業環境を悪化させるおそれがあることに加え、このような有機溶剤を除去するには、特別な排気設備が必要となるため、製造コストを上昇させる一要因にもなっていた。
特表2015−532779号公報
本開示は、導電性めっき層の形成において、製造コスト及び環境的な負荷を低減又は抑制することができる、導電性積層体及びその製造方法、並びに還元剤含有水系インクを提供する。
本開示の一実施態様によれば、基材、水酸基を有する有機化合物及び架橋剤の架橋反応生成物、並びに還元剤を含む還元剤含有層、この還元剤含有層上に配置されためっき触媒、並びにこのめっき触媒を覆うように配置された導電性めっき層を備える、導電性積層体が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む還元剤含有水系インクが提供される。
本開示のさらに別の実施態様によれば、水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む還元剤含有水系インクを準備することと、基材上にこの還元剤含有水系インクを適用することと、有機化合物の水酸基と架橋剤とを架橋反応させ、架橋反応生成物を含む還元剤含有層を形成することと、この還元剤含有層にめっき触媒イオンを含む溶液を適用し、還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させることと、並びに無電解めっき液を適用して、めっき触媒を覆う導電性めっき層を形成することとを含む、導電性積層体の製造方法が提供される。
本開示によれば、導電性めっき層の形成において、製造コスト及び環境的な負荷を低減又は抑制することができる、導電性積層体及びその製造方法、並びに還元剤含有水系インクを提供することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の一実施態様による導電性積層体の断面図である。 本開示の一実施態様による導電性積層体の製造方法に関する概略図である。 本開示の別の実施態様による導電性積層体の断面図である。 本開示の別の実施態様による導電性積層体の断面図である。 本開示の別の実施態様による導電性積層体の製造方法に関する概略図である。 本開示の別の実施態様による導電性積層体の製造方法におけるシールド層適用工程に関する概略図である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
本開示において、例えば「基材上に配置された還元剤含有層」における「上」とは、還元剤含有層が基材の上側に直接的に配置されること、又は、還元剤含有層が他の層を介して基材の上方に間接的に配置されることを意味する。
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
以下、図面を参照し、本開示の導電性積層体について説明する。
図1は、平滑な基材2と、パターン化された還元剤含有層4と、パターン化された導電性めっき層8とを備える導電性積層体10の断面図である。析出しためっき触媒は、一般に、還元剤含有層4での担持量が極微量であるため、図1には、めっき触媒を図示していないが、めっき触媒は、図1によれば、還元剤含有層4と導電性めっき層8との間に部分的又は全面に配置されている。
以下、本開示の代表的な実施態様を例示する目的で、上記の各構成要素の詳細について一部符号を省略して説明する。
本開示の導電性積層体は、基材を備えている。
基材としては、絶縁性とめっき液への耐性を有している限り特に制限はなく、例えば、樹脂材料、セラミック材料、ガラス材料などを使用することができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、製造コスト、フレキシブル性、凹部形状の形成のしやすさ等の観点から、樹脂材料が好ましい。
基材に使用し得る樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)等のポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸(PAA)などの(メタ)アクリル樹脂;ポリウレタン(PU);ポリイミド(PI);ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂;ABS樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
本開示の導電性積層体を構成する還元剤含有層は、水系インクを使用して調製することができるため、有機溶剤に対して耐性を有さない基材、例えば、ポリカーボネート基材などを好適に使用することができる。
基材として、その表面に水酸基を有する基材を使用することが有利である。このような水酸基は、基材表面に対し、例えば、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を実施することによって導入することができる。本開示の還元剤含有層は、水酸基を有する有機化合物とこの有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤を含む還元剤含有水系インクを基材に適用した後に、有機化合物の水酸基と架橋剤とを架橋反応させて調製することができる。このとき、基材表面に水酸基が存在していると、この基材の水酸基も水酸基を有する有機化合物とともに架橋剤によって架橋反応するため、還元剤含有層中の架橋反応生成物と基材とが化学結合によって強固に結合するため、基材と還元剤含有層との密着性を向上させることができる。
いくつかの実施態様では、基材は、凹部を有していてもよい。凹部は、還元剤含有層、めっき触媒及び導電性めっき層が適用される箇所、例えば、埋め込み型配線部に相当する箇所であり、凹部の形状及び配置形態等については特に制限はない。例えば、凹部は、パターン状の溝形状を呈していてもよい。パターンの形態は、例えば、要する回路構造に応じて適宜調整することができる。
凹部の断面形状については特に制限はなく、例えば、図3に示されるような略正方形、或いは、略長方形、略逆台形、略逆三角形、略U字形などを採用することができる。
凹部断面における最上部の幅間隔については特に制限はなく、例えば、5,000マイクロメートル以下、3,000マイクロメートル以下、1,000マイクロメートル以下、700マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下の範囲で適宜調整することができる。例えば、高精細な回路パターンを要する場合には、かかる幅間隔を、10マイクロメートル以下、5マイクロメートル以下、3マイクロメートル以下、又は1マイクロメートル以下にすることができる。このような狭い幅間隔は、その後に形成される導電性めっき層の視認性の低減に寄与することができる。幅間隔の下限値については特に制限はなく、例えば、0.1マイクロメートル以上、0.5マイクロメートル以上、0.8マイクロメートル以上、又は1マイクロメートル以上にすることができる。ここで、凹部断面における最上部の幅間隔は、走査型電子顕微鏡又は光学顕微鏡を用いて測定することができる。
凹部断面におけるアスペクト比としては特に制限はなく、例えば、5.0以下、3.0以下、2.0以下、又は1.0以下にすることができる。例えば、線幅の狭い高精細な配線が望まれる場合、抵抗値の損失を抑制するために、導電性めっき層の深さを深くして断面積を大きくする場合がある。このような高精細な配線を得る場合には、アスペクト比としては、例えば、1.5以下、1.0以下、又は0.8以下にすることができる。アスペクト比の下限値については特に制限はなく、例えば、0.1以上、0.2以上、又は0.3以上にすることができる。ここで、凹部断面におけるアスペクト比は、以下の式1によって定義される:
アスペクト比=凹部断面における最上部の幅間隔/凹部断面における最大深さ …式1
例えば、底面部の一方向のみからめっき層を成長させる手段では、アスペクト比が低く厚さ方向に細長い高精細な導電性めっき層を形成するには、成長速度が遅くなるため、生産性に劣り、また、異物等に基づく欠陥の発生確率が高くなる。いくつかの実施態様における本開示の導電性積層体は、凹部の上部以外の多方向、例えば、凹部が略正方形の断面形状を有する溝形状の場合には、三方向から導電性めっき層を形成することができるため、一方向からめっき層を成長させる手段に比べて、生産性をより向上させることができるとともに、欠陥の発生をより低減又は防止することができる。
基材の厚さとしては特に制限はなく、例えば、5ミリメートル以下、3ミリメートル以下、1ミリメートル以下、700マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、400マイクロメートル以下、又は200マイクロメートル以下にすることができ、10マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、又は100マイクロメートル以上にすることができる。例えば、ロール・ツー・ロールでの製造を考えた場合には、基材の厚さは500マイクロメートル以下であることが好ましい。ここで、基材の厚さとは、基材が凹部を有さない場合には、高精度デジマチックマイクロメータ(MDH−25MB、株式会社ミツトヨ製)を使用し、かかる基材の任意の部分の厚さを少なくとも5回測定して算出した平均値として定義することができる。基材が凹部を有する場合には、基材の厚さは、凹部を除く、基材の最大厚さを意図し、高精度デジマチックマイクロメータ(MDH−25MB、株式会社ミツトヨ製)を使用し、かかる基材の任意の部分、例えば、凹部を有さない部分、或いはできるだけ凹部の少ない部分の厚さを少なくとも5回測定して算出した平均値として定義することができる。
基材は、上述したコロナ処理、プラズマ処理以外に、例えば、還元剤含有層及び存在する場合はシールド層と基材との間の層間密着性を向上させる目的で、その表面に対し、プライマー処理を適用してもよい。
基材は、一般には、略平坦な形状であるが、基材の形状はこれに限定されず、例えば、曲面形状、又は三次元形状であってもよい。
いくつかの実施態様では、本開示の基材は、スルーホールを有していてもよい。ここで、本開示における「スルーホール」には、ビアホールと称するホールも包含する。スルーホールは、基材の任意の箇所に形成することができる。例えば、基材が凹部を有するような場合には、図3の凹部の底面部に形成してもよく、或いは、凹部以外の基材の厚み方向に対して形成してもよい。スルーホールの数、大きさ、形状などについては、導電性積層体の使用用途等に応じて適宜調整することができる。スルーホールの適用手段としては特に制限はないが、例えば、生産性等の観点から、本開示の導電性めっき層の形成手段を同様に採用することができる。
本開示の導電性積層体は、還元剤含有層が基材上に配置されている。この還元剤含有層は、水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む還元剤含有水系インクを用いて調製することができるため、作業環境の改善、製造設備の簡略化に貢献することができる。
かかるインクを用いて調製した還元剤含有層には、少なくとも、水酸基を有する有機化合物及び架橋剤の架橋反応生成物、並びに還元剤が含まれている。還元剤含有層が、このような架橋反応生成物を含むことによって、例えば、還元剤含有層の調製工程に続く、めっき触媒イオンを含む溶液の適用工程又はめっき浴への浸漬工程において、水酸基を有する有機化合物、例えば、ポリビニルアルコールの還元剤含有層からの溶出を低減又は防止することができる。その結果、架橋反応生成物を含む本開示の還元剤含有層は、例えば、かかる層のパターン形状の保持、即ち、高精細な回路パターンの調製に貢献することができる。
還元剤含有層は、基材の片面又は両面の全面若しくは一部に適用することができる。例えば、基材の全面に対して還元剤含有層を適用し、パターン状の導電性めっき層を得る場合には、後述するシールド層を用いることによってこのような導電性めっき層を調製することができる。例えば、略平坦な基材の全面に対して還元剤含有層を適用した後に、シールド層をパターン状に適用し、シールド層が形成されていない部分に導電性めっき層を形成することによってパターン状の導電性めっき層を得ることができる。あるいは、例えば、図4に示すように、パターン状の凹部を有する基材202の全面に対して還元剤含有層204を適用した後に、凹部の底面部及び壁面部以外の基材表面に対してシールド層206を適用し、パターン状の凹部内に導電性めっき層208を形成することによってパターン状の導電性めっき層を得ることができる。
基材の一部に対して還元剤含有層を適用し、パターン状の導電性めっき層を得る場合には、例えば、図1に示すように、還元剤含有層をパターン状に適用し、その還元剤含有層に対して導電性めっき層を形成することによってパターン状の導電性めっき層を得ることができる。あるいは、例えば、図3に示すように、基材102のパターン状の凹部の底面部及び壁面部に対して還元剤含有層104を適用し、任意に、凹部の底面部及び壁面部以外の基材表面に対してシールド層106を適用した後に、パターン状の凹部内に導電性めっき層108を形成することによってパターン状の導電性めっき層を得ることができる。
本開示の還元剤含有水系インクに配合し得る水酸基を有する有機化合物としては特に制限はなく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、架橋反応性、基材又はめっき触媒との密着性若しくは親和性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)の使用が有利である。ポリビニルアルコールを用いて調製した還元剤含有層は、水酸基を有する基材との密着性に優れるため、基材にプライマー層が形成されていなくても良好な密着力を得ることができる。
還元剤含有水系インク中における水酸基を有する有機化合物の含有量としては特に制限はなく、例えば、インクの総重量(固形分)に基づき、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、又は3質量%以上とすることができ、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下とすることができる。
かかるインクによって形成された還元剤含有層中の架橋反応生成物の含有量としては、還元剤含有層の総重量(乾燥塗工量)に基づき、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は85質量%以上とすることができ、97質量%以下、95質量%以下、93質量%以下、90質量%以下、87質量%以下、又は85質量%以下とすることができる。
上述した有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤としては特に制限はなく、例えば、ウレタン結合を呈し得るイソシアネート系架橋剤、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、架橋反応性、耐候性、或いは、基材、めっき触媒又はめっき層との密着性若しくは親和性の観点から、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の使用が有利である。
かかる架橋剤は、インク中での架橋反応を抑制して保存安定性を向上させる観点から、ブロック化されていることが好ましい。脱ブロック化の温度は、インクの安定性、架橋反応性等の観点から、例えば、80℃以上、85℃以上、又は90℃以上とすることができ、140℃以下、130℃以下、又は120℃以下とすることができる。
このようなブロック化したイソシアネート系架橋剤は、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤によって乳化させた水系エマルジョンの形態で使用することができる。
還元剤含有水系インク中における架橋剤の含有量としては特に制限はなく、例えば、基材に対する密着性、架橋反応生成物のめっき浴への耐溶解性などを考慮して適宜配合することができる。例えば、架橋剤がイソシアネート系架橋剤である場合には、基材又はめっき触媒との密着性若しくは親和性、インクの保存安定性などの観点から、イソシアネート系架橋剤は、上述の有機化合物の水酸基に対するイソシアネート系架橋剤のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.005以上、0.010以上、0.030以上、又は0.050以上、0.50以下、0.45以下、0.40以下、0.35以下、又は0.30以下となるようにインク中に配合することが好ましい。このような割合で水酸基を有するポリマー及び架橋剤を含むインクは、架橋反応生成物として、有機化合物の水酸基の少なくとも一部が残存している部分架橋反応生成物を提供することができる。かかる部分架橋反応生成物は、めっき浴などへの耐溶解性に優れることに加え、めっき触媒との親和性にも優れるため、部分架橋反応生成物を含む還元剤含有層と、その上に配置されるめっき触媒を介して成長させた導電性めっき層との密着性をより向上させることができる。ここで、架橋反応生成物の水酸基の存在は、例えば、赤外吸収分光法によって確認することができる。
還元剤としては、めっき触媒のイオンを還元してめっき触媒を析出し得る性能を有する剤であれば特に制限はない。このような還元剤としては、例えば、低原子価の無機金属化合物、水素化ホウ素ナトリウムなどの金属水素化物(ヒドリド還元剤)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、アスコルビン酸塩、及びシュウ酸塩、又はそれらの遊離酸、ホルムアルデヒド、並びにヒドラジン及びその誘導体を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
低原子価の無機金属化合物としては、例えば、無水塩化スズ(II)、塩化スズ(II)2水和物などの無機スズ(II)化合物、又はヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムなどの無機鉄(II)化合物を挙げることができる。中でも、インク中の各成分との親和性、水への溶解性等の観点から、塩化スズ(II)2水和物の使用が好ましい。ここで、本開示において「低原子価」とは、2以上の原子価を取り得る原子において、相対的に低い原子価を有し、酸化されて相対的に高い原子価を取り得る状態を意味する。
還元剤含有水系インク中における還元剤の含有量としては特に制限はなく、例えば、めっき触媒の析出性の観点から、インクの総重量(固形分)に基づき、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上とすることが好ましい。還元剤の含有量の上限値としては特に制限はないが、後述する導電性めっき層のアンカー効果の発現性等の観点から、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、又は5質量%以下とすることが好ましい。
かかるインクによって形成された還元剤含有層中の還元剤の含有量としては、還元剤含有層の総重量(乾燥塗工量)に基づき、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、9質量%以上、又は10質量%以上とすることができ、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、17質量%以下、15質量%以下、13質量%以下、又は10質量%以下とすることができる。
本開示の還元剤含有水系インクは、製造コスト及び環境的な負荷を低減又は抑制する観点から、溶媒として、水、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水、水道水を主に使用し得るが、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、水以外の水溶性の溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコールを含んでもよい。
いくつかの実施態様では、本開示の還元剤含有水系インクは、例えば、還元剤に配位可能な官能基を有するポリマーをさらに含むことができる。理論に束縛されるものではないが、このようなポリマーは、還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させたときに、還元剤含有層とめっき触媒との結合性の向上に寄与すると考えられる。
このようなポリマーを構成するポリマーの種類としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステルを挙げることができる。これらのポリマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
ポリ(メタ)アクリレートの例としては、ポリメチルメタクリレート(MMA)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ポリエチルアクリレート(EA)、ポリブチルアクリレート(BA)、ポリアクリロニトリル(AN)などが挙げられる。
ポリエステルの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。
このようなポリマーにおいて、還元剤に配位可能な官能基は、ポリマーの主鎖に直接結合していてもよく、或いはポリマーの主鎖に結合した分岐鎖(ペンダント鎖)上に存在していてもよい。還元剤に配位可能な官能基とは、例えば、還元剤が無機塩化スズ(II)のような金属化合物(金属塩)である場合、Sn2+イオンのような金属カチオンに配位可能な官能基を意味する。
還元剤に配位可能な官能基の例としては、水への溶解性、配位のしやすさ等の観点から、アミノ基、カルボニル基が好ましく、アミノ基がより好ましく、1級アミノ基が特に好ましい。すなわち、還元剤に配位可能な官能基を有するポリマーとしては、アミノ基含有ポリマーであることが好ましい。アミノ基含有ポリマーとしては、例えば、アミノアルキル鎖を側鎖に有するポリ(メタ)アクリレート、具体的には、アミノエチル化されたポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
アミノ基含有ポリマーは、配位のしやすさ等の観点から、含有するアミノ基のうちの1級アミノ基の割合が、モル基準で、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、又は100%であることが好ましい。
還元剤含有水系インクが還元剤に配位可能な官能基を有するポリマーを含む場合、還元剤は、例えば、次のような割合で還元剤含有水系インク中に配合することができる。めっき触媒への還元性等の観点から、還元剤含有水系インク中の、かかる全てのポリマーが有する還元剤に配位可能な官能基(以下単に「ポリマー官能基」と称する場合がある。)の総モル数に対する還元剤のモル数のモル比(還元剤のモル数/ポリマー官能基の総モル数)は、1.5以上、1.7以上、1.9以上、2.1以上、2.3以上、2.5以上、2.7以上、又は2.9以上であることが好ましい。ポリマーによる還元剤含有層及びめっき触媒の結合性等の観点から、かかるモル比の上限値としては、20.0以下、19.0以下、18.0以下、17.0以下、16.0以下、又は15.0以下であることが好ましい。後述する導電性めっき層は、例えば、その断面積を少なくして極細の線とすることで、導電性めっき層の目視による視認性を低減することができる。このような導電性めっき層を、例えば、透明な基材に適用した場合、積層体全体としての光(例えば可視光)の透過率を上げることができる。そのため、例えば、光透過率を上げることが求められる用途の場合、還元剤含有層の光透過率向上の観点から、かかるモル比の上限値は、7.0以下、6.0以下、5.0以下、4.0以下、又は3.0以下であることがより好ましい。光透過性能に優れる還元剤含有層は、導電性積層体全体としての光透過率の向上に寄与することができる。ここで、「還元剤のモル数」とは、例えば、還元剤が低原子価の無機金属化合物である場合、金属イオンのモル数を意味する。
還元剤含有水系インクは、任意に、その他の成分を単独で又は二種以上組み合わせて配合することができる。その他の成分としては、例えば、シリカ(例えばフュームドシリカ)のようなフィラー、分散剤、粘度調整剤、界面活性剤を挙げることができる。
還元剤含有水系インクにフィラーを配合すると、形成される還元剤含有層の表面を粗面にすることができるため、その上に形成される導電性めっき層と還元剤含有層との層間密着性を向上させることができる。光透過性能に優れる還元剤含有層を得る場合には、還元剤含有水系インクにフィラーを配合しなくてもよい。
いくつかの実施態様では、還元剤含有水系インクは、水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、還元剤に配位可能な官能基を有するポリマー、及び溶媒以外の成分を実質的に含有しなくてもよい。好ましい実施態様では、還元剤含有水系インクは、還元剤に由来する金属ナノ粒子以外の金属ナノ粒子を含まないことが有利である。このような場合に、基材上に適用された還元剤含有水系インクを乾燥させた後に、架橋反応を進行させて還元剤含有層を形成すると、形成される還元剤含有層は、少なくとも還元剤及び架橋反応生成物、存在する場合は上述の還元剤に配位可能な官能基を有するポリマーを含んでいるが、還元剤によって還元されて析出しためっき触媒、及び還元剤に由来する金属以外の金属ナノ粒子、例えば、導電性インクに配合されるような金属ナノ粒子を含まない。
還元剤含有層は、その表面上にめっき触媒を析出し得る層である限り、その厚さとしては特に制限はなく、例えば、50マイクロメートル以下、30マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、15マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、8マイクロメートル以下、又は6マイクロメートル以下とすることができる。還元剤含有層の厚さの下限値については特に制限はなく、例えば、0.1マイクロメートル以上、0.5マイクロメートル以上、又は1マイクロメートル以上とすることができる。ここで、還元剤含有層の厚さは、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−7800)にて導電性積層体の断面を観察し、還元剤含有層における任意の10箇所の膜厚を測定し、その膜厚から算出した平均値である。
本開示の導電性積層体は、還元剤含有層上にめっき触媒が配置されている。
めっき触媒としては、無電解めっき反応を進行させ得る触媒であれば特に制限はない。めっき触媒として、例えば、パラジウム、銀、及び銅から選択される少なくとも一種の金属成分を含む触媒が挙げられる。中でも、めっき反応の進行性等の観点から、パラジウムを含む触媒、例えば、パラジウム、又はパラジウム−スズが好ましく、パラジウムがより好ましい。
めっき触媒は、基材に対して還元剤含有層を適用した後に、めっき触媒のイオンを含む溶液(以下「触媒イオン溶液」と称する場合がある。)をさらに適用して還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させて調製することができる。このような還元剤含有層及び触媒イオン溶液を用いてめっき触媒を析出させる方法は、高価なめっき触媒を還元剤含有層の全体、例えば少なくとも層の中心部に対して配置する必要がなく、又は、めっき触媒の結合性を向上させることができるため有利である。
めっき触媒は、還元剤含有層表面の全面に配置されていてもよく、或いは部分的に配置されていてもよい。めっき触媒が、例えば、還元剤含有層の表面に対して点在するように部分的に配置されていたとしても、めっき触媒を介して成長しためっき部位は、隣接するめっき触媒を介して成長しためっき部位と、成長に伴って接触して合一することができるため、導電性積層体における導電性めっき層を形成することができる。めっき触媒を部分的に配置するときの配置割合としては特に制限はなく、導電性めっき層の成長速度に伴う生産性、製造コスト等を考慮して適宜調整することができる。
還元剤含有層に対して触媒イオン溶液を接触させると、還元剤含有層に含まれる還元剤と、めっき触媒イオンとの間で酸化還元反応が生じ、還元剤含有層の少なくとも表面にめっき触媒が析出する。本開示の還元剤含有層には、PVAのような水酸基を有する有機化合物に基づく架橋反応生成物が含まれている。このような架橋反応生成物は、親水性を有し、触媒イオン溶液中の水分などによって膨潤することがあるため、還元剤含有層の表面より内部側に位置する膨潤部分においてもめっき触媒が析出する場合がある。このような状態でめっき工程を適用してめっき層を成長させると、めっきの一部が還元剤含有層に侵入するように成長し、所謂、アンカー効果を発現させることができる。すなわち、本開示の還元剤含有層に含まれる、PVAのような水酸基を有する有機化合物に基づく架橋反応生成物は、還元剤含有層と導電性めっき層との密着性の向上に対しても貢献することができる。
触媒イオン溶液としては、上述しためっき触媒を析出可能なめっき触媒イオン、及び溶媒を含む溶液であれば特に制限はない。例えば、かかる触媒イオン溶液として、還元剤の還元作用によって上述しためっき触媒となり得るめっき触媒イオン、例えば、パラジウムイオン、銀イオン、及び銅イオンから選択される少なくとも一種、並びに任意にスズイオンを含む溶液を使用することができる。具体的には、塩化パラジウム(II)、硝酸銀(I)、又は酢酸銅(II)及び溶媒を用いて調製した溶液が挙げられる。このような触媒イオン溶液は、例えば、無電解めっきの技術分野においてアクチベーターとして知られている溶液を使用することができる。
触媒イオン溶液の溶媒としては、塩化パラジウム(II)などの化合物をイオン化することができ、かつ、基材を侵食したり、還元剤含有層を溶解したりするものでない限り特に制限はなく、例えば、水などを使用することができる。
例えば、還元剤含有層に含まれる還元剤が、無機スズ(II)化合物であり、触媒イオン溶液中のめっき触媒イオンがパラジウムイオンである場合、下記式2の酸化還元反応により、還元剤含有層の表面にパラジウムを析出することができる:
Sn2++Pd2+→Sn4++Pd …式2
本開示の導電性積層体は、導電性めっき層を備えており、この導電性めっき層は、還元剤含有層上に配置されためっき触媒を覆うように配置されている。導電性めっき層は、パターン形状を呈することができ、例えば、基材の凹部内に配置された導電性めっき層は、埋め込み型配線として使用され得る。この場合、導電性めっき層は、基材の凹部内の全域に形成されてもよく、或いは、凹部の底面部及び壁面部を含む一部の領域において形成されてもよい。
導電性めっき層は、無電解めっき反応のみで形成してもよく、或いは、無電解めっき反応に続いて電解めっき反応を併用して形成してもよい。
導電性めっき層を構成する材料としては特に制限はなく、例えば、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、コバルト、パラジウム、及びこれらの合金、並びに酸化亜鉛から選択される少なくとも一種を使用することができる。導電性めっき層が、無電解めっき反応と電解めっき反応の両方を用いて形成される場合には、両反応によって形成されるめっき層は、同一の材料から構成されていてもよく、或いは異なる材料から構成されていてもよい。
導電性めっき層の厚さとしては特に制限はなく、用途に応じた要求性能、例えば、導電性、光透過率等に応じて適宜調整することができる。導電性めっき層の厚さとして、例えば、0.1マイクロメートル以上、0.5マイクロメートル以上、1.0マイクロメートル以上、5.0マイクロメートル以上、10マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以上、300マイクロメートル以上、又は500マイクロメートル以上にすることができる。厚さの上限値についても特に制限はないが、例えば、1,000マイクロメートル以下、800マイクロメートル以下、500マイクロメートル以下、300マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下にすることができる。このような範囲の中から、用途に応じた要求性能などに基づいて、導電性めっき層の厚さを適宜選択することができる。ここで、導電性めっき層の厚さは、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−7800)にて導電性積層体の断面を観察し、導電性めっき層における任意の10箇所の膜厚を測定し、その膜厚から算出した平均値である。基材の凹部に配置された導電性めっき層の場合には、その厚さは、凹部における導電性めっき層の最下端部から、基材底面に対して垂直方向上方に位置する導電性めっき層の最上部までの距離を意図することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の導電性積層体は、シールド層を備えることができる。シールド層が配置された箇所では、無電解めっき工程及び電解めっき工程における導電性めっき層の形成を抑制することができる。したがって、このシールド層を使用することによって、不要な導電性めっき層の形成を防止することができるため、例えば、高精細な導電性めっき層のパターンを形成することができる。
例えば、凹部を有する基材を採用する場合、かかるシールド層は、基材上の凹部以外の部分に配置し、かつ、基材上の少なくとも凹部の周囲に対して配置することができる。製造工程の簡略化等の観点から、還元剤含有層を、図4に示されるように、基材凹部の底面部及び壁面部以外の部分に対しても適用する場合がある。このような場合、シールド層が、少なくとも、基材凹部の底面部及び壁面部以外の還元剤含有層の適用箇所を覆うように配置されることによって、そこからの導電性めっき層の形成を抑制することができる。その結果、このような場合においても、高精細な導電性めっき層のパターンを形成することができる。シールド層は還元剤含有層に比べて傷つきにくい層であるため、還元剤含有層上にシールド層を適用することによって、耐傷つき性を向上させることもできる。
シールド層を構成する材料としては、絶縁性とめっき液への耐性を有しており、かつ、導電性めっき層の形成を抑制し得る性能(以下「シールド性」と称する場合がある。)を奏する材料であれば特に制限はない。シールド層の材料として、様々な樹脂、例えば、ポリ(メタ)アクリル(例えば、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、及びポリアクリロニトリル)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート(PEN)、及びポリカーボネート(PC))、フェノール樹脂、クレゾールホルムアルデヒド(例えばNovolacs(商標))、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、多硫化物、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、及び環状オレフィン)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、セルロース誘導体、シリコーン及び他のシリコーン含有ポリマー(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM)、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はポリヘキサフルオロプロピレン)、フルオロオレフィン及び炭化水素オレフィンのコポリマー(例えばLumiflon(商標))、非晶質フッ化炭素ポリマー若しくはコポリマー(例えば、AGC製のCYTOP(商標)、又はDuPont製のTeflon(商標)AF)を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。シールド性、生産性等の観点から、シールド層は、電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂の硬化物を含むことが好ましく、電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含むことがより好ましい。
シールド層の厚さは、例えば、1マイクロメートル以上、3マイクロメートル以上、又は5マイクロメートル以上にすることができる。シールド層の厚さの上限値については特に制限はなく、例えば、100マイクロメートル以下、50マイクロメートル以下、又は30マイクロメートル以下にすることができる。シールド層の厚さは、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−7800)にて導電性積層体の断面を観察し、シールド層における任意の10箇所の膜厚を測定し、その膜厚から算出した平均値である。
いくつかの実施態様では、本開示の導電性積層体は、表面保護層を備えることができる。この表面保護層は、例えば、還元剤含有層、導電性めっき層及び任意のシールド層を保護する目的で、これらの層を覆うように配置することができる。例えば、パターン状に形成された還元剤含有層又は導電性めっき層の密着性が悪い場合であっても、これらの層を覆うように表面保護層を形成すると、基材と表面保護層との密着力により、還元剤含有層又は導電性めっき層の密着不良を補完することができる。表面保護層は、略平滑な表面を有してもよく、エンボスパターンなどの凹凸形状を表面に有してもよい。
表面保護層を構成する材料として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含むポリ(メタ)アクリル、ポリウレタン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート−フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂、シリコーン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの共重合体を使用することができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。透明性、耐傷つき性、耐衝撃性、密着性などの観点から、表面保護層としてポリ(メタ)アクリル、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びポリカーボネートが有利に使用できる。生産性等の観点から、表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂を用いて調製されることが好ましく、電離放射線硬化型樹脂を用いて調製されることがより好ましい。
表面保護層の厚みは、例えば、1マイクロメートル以上、5マイクロメートル以上、又は10マイクロメートル以上にすることができ、200マイクロメートル以下、100マイクロメートル以下、又は80マイクロメートル以下にすることができる。表面保護層の厚さは、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−7800)にて導電性積層体の断面を観察し、表面保護層における任意の10箇所の膜厚を測定し、その膜厚から算出した平均値である。
いくつかの実施態様では、本開示の導電性積層体は、例えば、層間密着性を向上させるための接合層(プライマー層)、導電性積層体を被着体に貼り付けるための接着層を適用してもよい。これらの接合層及び接着層としては、公知の材料を使用することができる。
上述したシールド層、表面保護層、接合層、及び接着層には、任意に、各種の添加剤を、単独で又は二種以上組み合わせて配合することができる。適当な添加剤として、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定化剤、光安定化剤、難燃剤、フィラー、着色剤を挙げることができる。
いくつかの実施態様の導電性積層体は、導電性めっき層と基材との間の密着性に優れている。この密着性能は、後述する90度剥離試験によって評価することができる。本開示の一実施態様の導電性積層体は、密着性に関し、1.5N/cm以上、2.0N/cm以上、又は2.5N/cm以上を達成することができる。かかる密着性の上限値については特に制限はないが、例えば、8.0N/cm以下、7.0N/cm以下、6.0N/cm以下、又は5.0N/cm以下とすることができる。いくつかの実施態様では、かかる密着性能は、プライマー処理が施されていない基材を使用した場合に達成することができる。
本開示の導電性積層体の製造方法を、図2、図5及び図6を用いて説明するが、導電性積層体の製造方法はこれらの実施態様に限定されない。導電性積層体を製造するときに使用される各種の材料については、上述した材料を同様に使用することができる。
図2の工程(A)は、基材を用意する工程である。
図2の工程(B)は、水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む還元剤含有水系インクを準備し、かかるインクを基材表面に適用し、必要に応じて乾燥させて未架橋状態の還元剤含有層を形成する工程である。還元剤含有水系インクの適用方法としては、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、反転オフセット印刷などの公知の印刷技術を採用することができ、或いは、スプレーコート法、ナイフコート法、バーコート法、浸漬法などを採用することもできる。
図2の工程(C)は、有機化合物の水酸基と架橋剤とを架橋反応させ、架橋反応生成物を含む還元剤含有層を形成する工程である。架橋反応としては、例えば、電離放射線又は熱による架橋反応を採用し得るが、熱架橋反応を採用することが好ましい。熱架橋反応させる温度としては特に制限はなく、例えば、80℃以上、90℃以上、又は100℃以上とすることができる。かかる温度の上限値は特に制限はないが、例えば、150℃以下、140℃以下、又は130℃以下とすることができる。還元剤含有層を形成した後に、必要に応じ、洗浄工程、乾燥工程、後述するシールド層形成工程を適宜適用してもよい。
図2の工程(D)は、還元剤含有層に触媒イオン溶液を適用し、還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させた後、無電解めっき液を適用して、めっき触媒を覆う導電性めっき層を形成する工程である。
還元剤含有層と触媒イオン溶液との接触は、例えば、還元剤含有層を形成した基材を触媒イオン溶液に浸漬させることにより実施してもよく、或いは、還元剤含有層の上に触媒イオン溶液を塗布して実施してもよい。還元剤含有層と触媒イオン溶液との接触は、めっき触媒の析出に十分な時間、例えば、1分以上、2分以上、又は3分以上行うことができる。このとき、触媒イオン溶液は、必要に応じて加温してもよい。
無電解めっき液の適用方法としては、例えば、めっき触媒を析出させた基材を無電解めっき液中に浸漬させる方法を採用してもよく、或いは、めっき触媒が析出している箇所に対して無電解めっき液をスプレー等によって塗布する方法を採用してもよい。無電解めっき液は、必要に応じて加温してもよい。無電解めっき層を形成した後に、必要に応じ、洗浄工程、乾燥工程及び表面保護層形成工程を適宜適用してもよい。
めっき触媒が析出している還元剤含有層と無電解めっき液との接触は、所望の無電解めっき層が形成されるのに十分な時間実施すればよく、例えば、1分以上、2分以上、又は3分以上実施すればよい。
導電性めっき層は、無電解めっき反応のみによって形成してもよいが、一般に、無電解めっき反応よりも電解めっき反応の方が、めっきの成長速度が速いため、生産性の観点から、無電解めっき反応に続いて、電解めっき反応を実施することが有利である。電解めっき反応は、無電解めっき反応によって形成された無電解めっき層を備える基材に対し、電解めっき液を適用することで実施される。かかる基材への電解めっき液の適用方法は、上述した無電解めっき液の適用方法と同様の方法を採用することができる。電解めっき液も、必要に応じて加温してもよく、また、電解めっき液を、無電解めっき層を備える基材に接触させて電解めっき層をさらに形成した後に、必要に応じ、洗浄工程、乾燥工程及び表面保護層形成工程を適宜適用してもよい。
図5の工程(A)及び(B)は、凹部を有する基材を用意する工程である。基材の凹部の形成は、例えば、図5(A)の(a)に示されるような、エンボス加工又は熱プレス加工によって実施してもよい。例えば、樹脂シートの表面に凹凸面を有するロールで熱エンボス成形して凹部を調製してもよく、或いは、溶融した樹脂を押し出しつつ、凹凸面を有するロールと平滑面を有するロールとの間で溶融樹脂を挟み込みながら成形し、必要に応じて冷却して巻き取るなどして凹部を調製してもよい。
あるいは、基材の凹部の形成は、図5(A)の(b)に示されるような、略平坦な基材に対し、熱硬化性又は電離放射線硬化性樹脂を所定の間隔をあけて塗布し、加熱又は電離放射線照射により硬化させて形成してもよい。
この他、例えば、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工を用いて凹部を形成してもよく、或いは、凹凸形状を有する離型フィルム上に熱硬化性又は放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱若しくは放射線照射により硬化して、離型フィルムを取り除くことにより凹部を形成することもできる。
図5の工程(C)は、基材の少なくとも凹部の底面部及び壁面部に還元剤含有水系インクを適用して、還元剤含有層を形成する工程である。還元剤含有水系インクの適用方法としては、上述と同様の方法を採用することができる。
図5の工程(C)では、還元剤含有水系インクが、凹部以外の基材部分にも適用されているが、基材の凹部の底面部及び壁面部のみに適用されてもよい。すなわち、いくつかの実施態様では、還元剤含有層は、シールド層及び基材との間、並びに導電性めっき層及び基材との間に配置されてもよく、或いは、導電性めっき層及び基材との間のみに配置されてもよい。生産性の観点から、還元剤含有層は、シールド層及び基材との間、並びに導電性めっき層及び基材との間に配置されていることが有利である。
基材に適用した還元剤含有水系インクを、例えば、乾燥させて溶媒を揮発させ、電離放射線又は熱などで架橋させることにより、還元剤含有層を形成することができる。還元剤含有層を形成した後に、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を適用してもよい。
図5の工程(D)は、基材上の凹部以外の部分であり、かつ、基材上の少なくとも凹部の周囲に対してシールド層調製用インクを適用して、シールド層を形成する工程である。かかる工程で使用されるシールド層調製用インクは、例えば、上述したシールド層を構成し得る樹脂成分(例えば、紫外線硬化型(メタ)アクリルモノマー)と、この樹脂成分を溶解又は分散させ得る溶媒を用いて調製することができる。溶媒としては、例えば、製造コスト及び環境的な負荷の低減又は抑制の観点から、水などの水系溶媒を採用することが好ましい。
シールド層調製用インクの適用方法としては、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、反転オフセット印刷などの公知の印刷技術を採用することができ、或いは、刷毛などを用いる塗布方法を採用してもよい。
中でも、生産性及び導電性パターンの高精細化の観点から、図6に示されるような、反転オフセット印刷を利用する方法が有利である。この方法は、インク吐出部401からシールド層調製用インク405を吐出して、ブランケット403に対してシールド層調製用インク405を塗布する工程(A)に続いて、還元剤含有層を形成した凹部を有する基材407の凹部以外の部分(凸部)に対し、シールド層調製用インク405をブランケット403から転写する工程(B)を備えている。他の方法で、シールド層を調製すると、インクが凹部内へ流れ込む場合があるが、図6に示される方法を用いた場合には、このようなインクの凹部内へ流れ込みを低減又は抑制することができるため、他の方法を用いる場合よりも高精細な導電性パターンを調製することができる。
曲面形状又は三次元形状の基材に対してシールド層調製用インクを適用する場合には、柔軟なブランケットを採用することが有利である。
基材に適用したシールド層調製用インクを、例えば、乾燥させて溶媒を揮発させ、必要に応じて電離放射線若しくは熱などで硬化させることにより、シールド層を形成することができる。シールド層を形成した後に、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を適用してもよい。
図5では、シールド層調製用インクを適用する工程が例示されているが、例えば、図3に示すように、還元剤含有層を基材の凹部内にのみ形成した場合には、かかる工程を省略してもよい。
図5の工程(E)は、触媒イオン溶液を還元剤含有層に適用して、めっき触媒を析出させた後に、めっき液を適用してめっき触媒を覆う導電性めっき層を形成する工程である。還元剤含有層と触媒イオン溶液との接触方法及び接触条件、並びに導電性めっき層の形成方法及び形成条件としては、上述と同様の方法及び条件を採用することができる。
本開示の導電性積層体の製造方法は、任意の工程として、図5の工程(F)として示される、表面保護層を適用する工程を備えることができる。
表面保護層の適用手段としては、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、反転オフセット印刷などの公知の印刷技術を採用することができ、或いは、スプレーコート法、ナイフコート法、バーコート法、押出しコート法などを採用することもできる。また、シート状の表面保護層でラミネートしてもよい。
表面保護層は、単層構成であってもよく、或いは、多層構成であってもよい。表面保護層には、必要に応じて、エンボス加工又は熱プレス加工を施して、エンボスパターンを付与してもよい。
プリンテッド・エレクトロニクスの技術分野では、従来、高価な金属ナノ粒子を高度に含むインク(以下「従来インク」と称する場合がある。)を用いて導電回路等のパターンを調製していた。本開示の導電性積層体の製造方法は、このような従来の製造方法に比べ、例えば、以下の(1)〜(6)に記載されるような有利性を有していると考えている。
(1)例えば、パラジウムナノ粒子を含むインクを用いた従来の手法と比較すると、めっき技術を採用する本開示の製造方法によれば、単位面積あたりの製造コストを数百分の一にまで抑えることが可能である。
(2)従来インクは、製造コストの観点から、インクのロスが多くなりがちなロール・ツー・ロール方式への使用は不向きであるが、本開示の製造方法で使用する還元剤含有水系インクは、比較的安価であるため、ロール・ツー・ロール方式に適用することが可能である。
(3)従来インクを使用する製造方法では、一般に、高温での焼成工程を経る必要があるが、本開示の製造方法は、このような焼成工程を経ることなく、例えば、基材への印刷、めっき溶液等への浸漬、必要に応じ、洗浄及び乾燥を繰り返すだけで実施可能であるため、ロール・ツー・ロール方式への適用に好適である。
(4)本開示の製造方法は、焼成工程を採用する必要がないため、ガラス転移温度(Tg)を考慮せずに基材を自由に選択することができる。
(5)従来インクを使用し、焼成工程を経て製造された導電性パターンは、気泡等に基づく欠陥(ボイド)が発生しやすいが、本開示の製造方法は、このような焼成工程を経ることがないため、得られる導電性パターンの欠陥は、従来インクを使用する製造方法に比べて大幅に低減することができる。
(6)従来インクを使用して製造される導電性パターンは、かかるパターンの視認性を低減させることが困難であったが、本開示の製造方法によれば、例えば、還元剤含有水系インク、めっき触媒イオンを含む溶液の組成を調整したり、めっき浴への浸漬時間又は導電性めっき層の線幅を調整することによって、肉眼では視認しにくい導電性パターンを作製することも可能である。
本開示の導電性積層体の使用用途としては特に制限はなく、例えば、ソーラーパネル、照明機器、ディスプレイパネル(例えばフレキシブルディスプレイ)、ディスポーザブル電子機器、スマートカード、スマートパッケージング、薄膜トランジスタ(TFT)、回路基材(例えばフレキシブルプリント回路基材)、センサー(例えばフレキシブルセンサー、ウェアラブルセンサー)、アンテナ(例えば透明アンテナ)、ヒーター(例えば透明ヒーター)、又はインタラクティブウォール等の構成要素として利用することができる。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
本実施例で使用した原料などを以下の表1に示す。
Figure 2021088145
表1に示す材料を表2に示す配合割合で混合し、還元剤含有水系インクを作製した。ここで、表2における数値は全て質量部を意味する。また、得られたインクの透明性及び沈殿状態について目視で観察し、その結果を表2にまとめる。
Figure 2021088145
〈物性評価〉
以下に示す実施例1〜13の試験サンプルの物性について、以下の方法を用いて評価した。その結果を表3〜5にまとめる。ここで、表4及び5中の「NCO/OHのモル比」は、表1の水酸基を有する有機化合物の水酸基(OH)量、架橋剤のイソシアネート基(NCO)量、及び表2のインク中に含まれる水酸基を有する有機化合物と架橋剤の量に基づいて算出することができる。例えば、還元剤含有インク5の場合、ポリビニルアルコールであるGH−17Rが0.35g使用され、GH−17Rの水酸基量が20.36mmol/gであるから、インク中におけるポリビニルアルコールの水酸基のモル量は、7.126mmol(=0.35×20.36)と算出でき、また、架橋剤であるSU−315Vのエマルジョンが0.025g使用され、かかるエマルジョン1g当たりのイソシアネート基量が1.52mmol/gであるから、インク中における架橋剤のイソシアネート基のモル量は、0.038mmol(=0.25×1.52)と算出できる。したがって、還元剤含有インク5におけるNCO/OHのモル比は、約0.005(=0.038/7.126)と算出することができる。
(無電解めっき層の析出性)
還元剤含有層上に、導電性めっき層である無電解めっき層が形成されているか否かを目視で観察し、無電解めっき層が形成されている場合を「良」、無電解めっき層が形成されていない場合を「不良」と評価した。
(無電解めっき層の均一性)
還元剤含有層上に形成した無電解めっき層の均一性について目視で観察し、無電解めっき層が均一に形成されている場合を「良」、僅かな膨れなどが生じている場合を「可」、明らかな膨れなどが生じている場合を「不可」と評価した。
(密着性:90度剥離試験)
一般社団法人の日本電子回路工業会によって策定された「デザインガイドマニュアル片面及び両面フレキシブルプリント配線板」(JPCA−DG02、2006)の規格に準拠し、試験サンプルにおける導電性めっき層と基材との密着性を、90度剥離試験によって評価した。
(密着性:引きはがし試験)
JIS H8504:1999に規定された「引きはがし試験方法」に準拠し、予めクロスカットを施しためっき層の密着性について評価した。ここで、めっき層の剥がれが生じなかった場合を「良」、端部などにめっき層の剥がれが僅かに生じていた場合を「可」、めっき層の剥がれが明らかに生じていた場合を「不可」と評価した。なお、仮に評価が「不可」であったとしても、例えば、基材に接合層(プライマー層)を適用したり、或いは、表面保護層でめっき層全体を被覆することによって、密着性を改善することは可能である。
〈実施例1〉
コロナ処理を施した厚さ約100マイクロメートルの透明なETFEフィルム基材(アフレックス(商標)100N 300S、AGC株式会社製)の片側表面に、還元剤含有水系インク1を#8のワイヤーバーで塗工した後、40℃のオーブン中で4分間乾燥し、続いて、130℃のオーブン中で3分間配置して架橋反応を進行させて、厚さ約2.3マイクロメートルの還元剤含有層を備える基材を調製した。
得られた基材から約100mm×約100mmのサイズの試験片を切り出し、水に浸漬して洗浄し、次いで、300mLのアクチベーターであるレッドシューマー(商標)に3分間浸漬して、還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させた。その後、試験片を水で洗浄した後、試験片に対して余分に付着したパラジウムイオンを洗浄するために2%の塩酸水溶液に3分間浸漬し、その後、さらに試験片を水で洗浄し、室温下で乾燥させた。
この試験片を、約55℃に加温したOPCカッパーMICを含む無電解銅めっき浴に3分間浸漬して無電解めっき処理に供し、無電解めっき層(導電性めっき層)を調製し、実施例1の導電性積層体の試験サンプルを調製した。
〈実施例2〜4〉
還元剤含有水系インク1を、表3に示すインクに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4の導電性積層体の試験サンプルを調製した。
Figure 2021088145
〈実施例5〜10〉
還元剤含有水系インク1を、表4に示すインクに変更したこと以外は、実施例1と同様にして実施例5〜10の導電性積層体を調製した。ここで、実施例5〜9の導電性積層体についてはさらに、以下のようにして約20マイクロメートル厚の電解めっき層も形成した。
硫酸銅バージン液を含む約25℃の硫酸銅電解めっき浴に、3ml/Lの濃度でエパック(商標)KS−A(3ml/L)及びエパック(商標)KS−Bを添加した。無電解めっき層を有する導電性積層体を水で洗浄し、室温下で乾燥させた後、調製した電解めっき浴に、電流密度3A/dmの条件で30分間浸漬して電解めっき処理に供し、無電解めっき層及び電解めっき層から構成される導電性めっき層を備える導電性積層体の試験サンプルを調製した。ここで、導電性積層体の断面を、電子顕微鏡(株式会社キーエンス製、VE−7800)で観察した結果、導電性めっき層の厚さは、約20マイクロメートルであった。
Figure 2021088145
〈実施例11〜13〉
還元剤含有水系インク1を、還元剤含有水系インク7に変更したこと、及びワイヤーバーを#8から、実施例11では#4に、実施例12では#12に、実施例13では#16に変更して塗工したこと以外は、実施例7と同様にして、無電解めっき層及び電解めっき層から構成される導電性めっき層を備える実施例11〜13の導電性積層体の試験サンプルを調製した。
Figure 2021088145
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
2 平滑性を有する基材
4 パターン化された還元剤含有層
8 パターン化された導電性めっき層
10、100、200 導電性積層体
102、202 凹部を有する基材
104、204 還元剤含有層
106、206 シールド層
108、208 導電性めっき層
110、210 表面保護層
401 インク吐出部
403 ブランケット
405 シールド層調製用インク
407 還元剤含有層を形成した凹部を有する基材

Claims (14)

  1. 基材、
    水酸基を有する有機化合物及び架橋剤の架橋反応生成物、並びに還元剤を含む還元剤含有層、
    前記還元剤含有層上に配置されためっき触媒、並びに
    前記めっき触媒を覆うように配置された導電性めっき層、
    を備える、導電性積層体。
  2. 前記架橋剤が、イソシアネート系架橋剤である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記架橋反応生成物は、前記有機化合物の水酸基の少なくとも一部が残存している部分架橋反応生成物である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記還元剤が、無機スズ(II)化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記めっき触媒が、パラジウム、銀、及び銅から選択される少なくとも一種の金属成分を含む触媒である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記導電性めっき層が、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、コバルト、パラジウム、及びこれらの合金、並びに酸化亜鉛から選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記導電性めっき層が、パターン形状を呈している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体。
  8. 前記基材が、パターン状の凹部を有し、かつ、当該凹部内に、前記還元剤含有層、前記めっき触媒、及び前記導電性めっき層が配置されている、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記凹部のアスペクト比が、1.5以下である、請求項8に記載の積層体。
  10. シールド層及び表面保護層から選択される少なくとも一種の層をさらに備える、請求項1〜9のいずれか一項に記載の積層体。
  11. 水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む、還元剤含有水系インク。
  12. 前記架橋剤が、イソシアネート系架橋剤であり、かつ、前記有機化合物の水酸基に対する前記イソシアネート系架橋剤のイソシアネート基のモル比が、0.005以上、0.50以下である、請求項11に記載のインク。
  13. 水酸基を有する有機化合物、当該有機化合物の水酸基と架橋反応し得る架橋剤、還元剤、及び水を含む還元剤含有水系インクを準備することと、
    基材上に前記還元剤含有水系インクを適用することと、
    前記有機化合物の水酸基と前記架橋剤とを架橋反応させ、架橋反応生成物を含む還元剤含有層を形成することと、
    前記還元剤含有層にめっき触媒イオンを含む溶液を適用し、前記還元剤含有層の表面にめっき触媒を析出させることと、並びに
    無電解めっき液を適用して、前記めっき触媒を覆う導電性めっき層を形成することと、
    を含む、導電性積層体の製造方法。
  14. 前記架橋反応が、熱架橋反応である、請求項13に記載の製造方法。
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