JP2021087926A - 浸透圧発生剤及びそれを用いた水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】(セミ)相互侵入構造を有する浸透圧発生剤を用いた水処理装置の水処理効率の低下を抑制する方法を提供する。【解決手段】 正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤であって、該浸透圧発生剤は、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とを含み、該親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩を有し、重量平均分子量が100,000以上であり、該親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが(セミ)相互侵入高分子網目構造を形成している正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤。【選択図】なし

Description

本発明は、浸透圧発生剤及びそれを用いた水処理装置に関する。より詳しくは、浸透圧差を利用して溶媒と溶質とを分離する処理に使用することができる浸透圧発生剤及びそれを用いた水処理装置に関する。
濃度の異なる2つの溶液を半透膜を介して接触させ、浸透圧の低い側から高い側へ溶媒が移動する現象を利用して溶液の成分を分離する正浸透膜法は、自然に発生する浸透圧差を利用するものであるため、溶液に圧力をかけて強制的に液を膜透過させる逆浸透膜法に比べて省エネルギー化がしやすく、浄水処理、プロセス水製造、下水処理、工業排水処理、海水の淡水化等の水処理や発電への応用が期待されている。
正浸透膜法を用いて水処理を行う場合、処理の対象となる溶液よりも浸透圧の高い溶液が必要である。また、その浸透圧の高い溶液は、処理の対象となる溶液側から膜透過してきた溶媒を容易に分離することができなければならない。そのような浸透圧の高い溶液を調整するための浸透圧発生剤(Draw solute)について研究がされており、温度応答性重合体と親水性重合体とを含むセミ相互侵入を有し、温度によって水との親和性が変化するハイドロゲルを含む浸透圧発生剤及びそのような浸透圧発生剤を溶媒に溶解したドロー溶液を利用した正浸透膜法により水処理を行う方法(特許文献1、非特許文献1参照)が提案されている。また、温度応答性のポリイオン液体ハイドロゲルを正浸透膜法のドロー液として使用すること(非特許文献2参照)が提案されている。
国際公開第2014/175834号
「ウォーターリサーチ(WATER RESEARCH)」、2013年、第47巻、p.3773−3781 「アールエスシーアドバンシス(RSC Advances)」、2015年、第5巻、118号、p.97143−97150
特許文献1に記載の温度応答性重合体と親水性重合体とを含むセミ相互侵入ハイドロゲルを浸透圧発生剤として使用すると、温度の変化によって浸透圧発生剤の水との親和性を変化させ、水の吸収、放出をコントロールすることができる点で有利であるが、この浸透圧発生剤を用いた水処理装置は水処理の効率が低いという課題があり、水処理効率の向上が求められていた。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来の(セミ)相互侵入構造を有する浸透圧発生剤を用いた水処理装置の水処理効率を向上する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、(セミ)相互侵入構造を有する浸透圧発生剤を用いた水処理装置の水処理効率が低い原因について検討したところ、浸透圧発生剤を水に漬けた際に親水性樹脂の一部が溶出し、これにより水の吸水倍率が低くなることが原因であることを見出した。そしてこの吸水倍率を向上させる方法について検討したところ、親水性樹脂として所定の重量平均分子量を有するものを用い、この親水性樹脂と刺激応答性樹脂が(セミ)相互侵入高分子網目構造を形成している組成物を浸透圧発生剤として用いると、水への親水性樹脂の溶出を抑制することができ、これにより水の吸水倍率が向上することを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤であって、該浸透圧発生剤は、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とを含み、該親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩を有し、重量平均分子量が100,000以上であり、該親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが(セミ)相互侵入高分子網目構造を形成していることを特徴とする正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤である。
上記浸透圧発生剤は、親水性樹脂と架橋構造を有する刺激応答性樹脂とがセミ相互侵入高分子網目構造を形成していることが好ましい。
上記浸透圧発生剤は、ともに架橋構造を有する親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが相互侵入高分子網目構造を形成していることが好ましい。
上記親水性樹脂は、エチレン性不飽和基を有する単量体を含む単量体成分の重合物を含むことが好ましい。
上記刺激応答性樹脂は、温度応答性樹脂であることが好ましい。
上記刺激応答性樹脂は、ポリ(N−アルキル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)、ポリビニルアルキルエーテル、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ポリ(オキシエチレンビニルエーテル)、セルロース誘導体、及びこれらのポリマーの共重合体のいずれか1種以上を含むことが好ましい。
上記浸透圧発生剤に含まれる親水性樹脂と刺激応答性樹脂との質量比は1/99〜70/30であることが好ましい。
本発明はまた、本発明の浸透圧発生剤を用いることを特徴とする水処理装置でもある。
本発明の浸透圧発生剤は、刺激を与えることで水の吸収、放出をコントロールすることができるため、効率的な水処理を可能とする材料であり、また従来の浸透圧発生剤に比べて水処理の効率が高いため、水処理装置の浸透圧発生剤として好適に用いることができる。
実施例において、本発明の浸透圧発生剤のFO膜を用いた吸水評価に使用した装置の模式図である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
1.浸透圧発生剤
本発明の浸透圧発生剤は、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とを含み、該親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが(セミ)相互侵入高分子網目構造を形成していることを1つの特徴とする。
(セミ)相互侵入高分子網目構造は、架橋構造を有する重合体の網目構造に別の重合体が侵入し、相互に絡み合った構造であり、別の重合体も架橋構造を有する重合体である場合に形成される構造を相互侵入高分子網目構造、別の重合体が架橋構造を有さない重合体である場合に形成される構造をセミ相互侵入高分子網目構造という。
本発明の浸透圧発生剤は、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが相互侵入高分子網目構造を形成しているものであってもよく、セミ相互侵入高分子網目構造を形成しているものであってもよく、いずれも本発明の実施形態の1つである。セミ相互侵入高分子網目構造を形成しているものである場合、親水性樹脂、刺激応答性樹脂のいずれが架橋構造を有さない重合体であってもよい。
本発明の浸透圧発生剤は、親水性樹脂、刺激応答性樹脂としてそれぞれ異なる樹脂を用いるが、親水性樹脂、刺激応答性樹脂をそれぞれ1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本発明の浸透圧発生剤が含む親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩を側鎖又は主鎖に有する。このような親水性基並びに/又はその塩を有することで、本発明の浸透圧発生剤が水の吸収性に優れたものとなる。
親水性樹脂はこれら親水性基並びに/又はその塩のうちのいずれか1種以上を含むものであればよいが、カルボキシル基、スルホン酸基並びに/又はその塩のいずれか1種以上を含むものであることが好ましい。より好ましくは、カルボキシル基並びに/又はその塩を含むものである。
上記親水性樹脂は、上記親水性基並びに/又はその塩を側鎖又は主鎖に有するものであればよいが、親水性樹脂がエチレン性不飽和基を有する単量体を含む単量体成分の重合物であることは本発明の好適な実施形態の1つである。
エチレン性不飽和基を有する単量体の具体例としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、イソプレノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するアルコール;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸化合物又はカルボン酸無水物;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するスルホン酸化合物;ビニルリン酸、アリルリン酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するリン酸化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基と水酸基を有するリン酸化合物;ビニルアミン、アリルアミン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するアミン化合物;メルカプタン基含有不飽和単量体等のエチレン性不飽和基と親水性基並びに/又はその塩とを有する水溶性単量体が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記では親水性樹脂の原料としてエチレン性不飽和基と親水性基並びに/又はその塩とを有する水溶性単量体を挙げたが、本発明における親水性樹脂は上記エチレン性不飽和基と親水性基並びに/又はその塩とを有する水溶性単量体を含む単量体成分を重合して得られるものに限られず、エチレン性不飽和基を有し、親水性基やその塩を有さない単量体のみからなる単量体成分を重合した後、得られた重合体に上記親水性基並びに/又はその塩を付与する反応を行って得られるものであってもよい。
また上記親水性樹脂は、アルキレンオキシドの重合物であるポリアルキレンオキシドであってもよい。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記親水性樹脂が有する水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基は、反応して塩の形態となっていてもよく、反応していなくてもよい。上記親水性基のうち、酸基と反応(中和)して塩を生成する化合物としては、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ金属の水酸化物、アンモニア、有機アミン等が挙げられる。中でも、親水性樹脂の吸水性能の観点から、強塩基性の化合物が選択される。従って、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の化合物が好ましく、上記親水性基の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩が好ましい。
本発明の親水性樹脂における酸基の中和率は適宜設定できるが、親水性樹脂が有する酸基全体に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは75モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
本発明の浸透圧発生剤が含む親水性樹脂は、重量平均分子量が100,000以上である。親水性樹脂がこのような重量平均分子量を有するものであると、浸透圧発生剤を水に漬けた際に親水性樹脂の一部が溶媒中に溶出することを効果的に抑制することができる。
親水性樹脂の重量平均分子量は、150,000以上であることが好ましい。より好ましくは、500,000以上である。また親水性樹脂の重量平均分子量は、5,000,000以下であることが好ましく、より好ましくは、3,000,000以下である。
なお、ここでいう「親水性樹脂の重量平均分子量」は、親水性樹脂が架橋構造を有するものである場合は、架橋構造を形成する前の親水性樹脂の重量平均分子量(親水性樹脂(重合体)に架橋剤を反応させて架橋構造を形成したものである場合)、又は、重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤除いた単量体成分を重合反応させて得られた親水性樹脂の重量平均分子量(親水性基又はその塩を有する単量体と重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤とを含む単量体成分を重合反応させて架橋構造を有する親水性樹脂を形成した場合)を意味する。
親水性樹脂の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記親水性樹脂は、親水性基並びに/又はその塩を有する構造単位、親水性樹脂が架橋構造を有するものである場合の架橋構造を形成している構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよいが、樹脂が充分な親水性を発揮する点から、その他の構造単位の割合は、全構造単位100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、0質量%、すなわち、親水性樹脂が親水性基並びに/又はその塩を有する構造単位、及び、親水性樹脂が架橋構造を有するものである場合の架橋構造を形成している構造単位のみからなることである。
上記親水性樹脂は、上記の親水性基並びに/又はその塩を有するいずれの樹脂であってもよく、ポリアルキレンオキシド、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールや、ポリアクリル酸(塩)、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリビニルアルコールや、これらの共重合体等が挙げられるが、これらの中でもポリアクリル酸(塩)が好ましい。
ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
本発明の浸透圧発生剤は、刺激に応じて水との親和性が変化する刺激応答性樹脂を含む。これにより、刺激によって浸透圧発生剤への水の吸収、吸収した水の放出を制御することが可能となり、このような浸透圧発生剤を使用することで効率的な水処理が可能となる。
刺激応答性樹脂は、温度、pH、電場、磁場等のいずれの刺激に対して応答するものであってもよいが、水処理装置への適用のしやすさの点から、温度応答性樹脂であることが好ましい。
本発明の浸透圧発生剤が温度応答性樹脂を含む場合、28〜80℃に水との親和性が変化する下限臨界溶液温度(LCST)を有する樹脂が好ましい。LCSTがこのような温度であると、浸透圧発生剤が吸収した水を放出させたり、水を放出した後の浸透圧発生剤に再び水を吸収させたりするための加熱や冷却に大きなエネルギーを必要としないため、水処理装置に使用する浸透圧発生剤としてより好適なものとなる。より好ましくは、30〜60℃にLCSTを有する樹脂であり、更に好ましくは、35〜50℃にLCSTを有する樹脂である。
上記温度応答性樹脂としては、例えば、ポリ(N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ノルマルプロピル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−メチル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−エチル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ノルマルブチル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−イソブチル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド)等のポリ(N−アルキル(メタ)アクリルアミド);ポリ(N−ビニルイソプロピルアミド)、ポリ(N−ビニルノルマルプロピルアミド)、ポリ(N−ビニルノルマルブチルアミド)、ポリ(N−ビニルイソブチルアミド)、ポリ(N−ビニル−t−ブチルアミド)等のポリ(N−ビニルアルキルアミド);ポリ(N−ビニルピロリドン);ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)、ポリ(2−ノルマルプロピル−2−オキサゾリン)等のポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン);ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル等のポリビニルアルキルエーテル;ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体;ポリ(オキシエチレンビニルエーテル);メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体等、および上記のポリマーの共重合体を挙げることができる。
また上記温度応答性樹脂が架橋構造を有する架橋体である場合、架橋体としては、例えば、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニルノルマルプロピルアミド、N−ビニルノルマルブチルアミド、N−ビニルイソブチルアミド、N−ビニル−t−ブチルアミド等のN−ビニルアルキルアミド;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルアルキルエーテル;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド;2−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ノルマルプロピル−2−オキサゾリン等の2−アルキル−2−オキサゾリン等のモノマーまたはこれらのモノマーの2種類以上を、架橋剤の存在下で重合して得られる高分子を挙げることができる。
これらの中でも、本発明の浸透圧発生剤が含む温度応答性樹脂は、ポリ(N−アルキル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)、ポリビニルアルキルエーテル、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ポリ(オキシエチレンビニルエーテル)、セルロース誘導体、及びこれらのポリマーの共重合体のいずれか1種以上が好ましい。中でも、N−イソプロピルアクリルアミド構造単位を有する樹脂がより好ましい。N−イソプロピルアクリルアミド構造単位を有する樹脂は、LCSTが40℃程度であることから扱いやすく、水処理装置に使用する温度応答性樹脂として特に適している。
なお、「N−イソプロピルアクリルアミド構造単位」とは、N−イソプロピルアクリルアミドのビニル構造部分の炭素−炭素二重結合が重合反応することで単結合となった構造単位を意味する。
上記刺激応答性樹脂は、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する構造単位、刺激応答性樹脂が架橋構造を有するものである場合の架橋構造を形成している構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよいが、樹脂が刺激に応じて水との親和性が変化する特性を充分に発揮する点から、その他の構造単位の割合は、全構造単位100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、0質量%、すなわち、刺激応答性樹脂が、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する構造単位、及び、刺激応答性樹脂が架橋構造を有するものである場合の架橋構造を形成している構造単位のみからなることである。
本発明の浸透圧発生剤における親水性樹脂と刺激応答性樹脂との質量比は1/99〜70/30であることが好ましい。このような質量比であると、浸透圧発生剤が溶媒を吸収する能力と刺激に応じて溶媒の吸収、放出を変化させる能力の両方をバランスよく発揮することができる。親水性樹脂と刺激応答性樹脂との質量比は、より好ましくは、5/95〜40/60であり、更に好ましくは、10/90〜30/70である。
なお、樹脂の中には、親水性樹脂と刺激応答性樹脂の両方に該当する樹脂がある。そのような両方に該当する樹脂と、親水性樹脂のみに該当する樹脂とを用いる場合、両方に該当する樹脂を刺激応答性樹脂とみなした場合に上記質量比を満たすことが好ましい。また、両方に該当する樹脂と、刺激応答性樹脂のみに該当する樹脂とを用いる場合、両方に該当する樹脂を親水性樹脂とみなした場合に上記質量比を満たすことが好ましい。両方に該当する樹脂を2種以上用いる場合には、いずれの樹脂も親水性樹脂としても機能し、また刺激応答性樹脂としても機能するため、それらの樹脂の質量比は任意の割合でよい。
なお、ここでいう親水性樹脂と刺激応答性樹脂との質量比とは、親水性樹脂の原料となる単量体の合計質量と、刺激応答性樹脂の原料となる単量体の合計質量との比を意味する。
また、親水性樹脂や刺激応答性樹脂が架橋構造を有する場合、架橋構造部分も含めた樹脂全体が親水性樹脂や刺激応答性樹脂となるため、架橋剤の質量(重合体である場合は当該重合体の原料となる単量体の質量)もそれぞれ親水性樹脂や刺激応答性樹脂の原料の質量に加える。
本発明の浸透圧発生剤における親水性樹脂の含有量は、浸透圧発生剤全体100質量%に対して、70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、40質量%以下であり、更に好ましくは30質量%以下である。また親水性樹脂の含有量は、浸透圧発生剤全体100質量%に対して、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、5質量%以上であり、更に好ましくは10質量%以上である。
本発明の浸透圧発生剤における刺激応答性樹脂の含有量は、浸透圧発生剤全体100質量%に対して、99質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、95質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。また刺激応答性樹脂の含有量は、浸透圧発生剤全体100質量%に対して、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
本発明の浸透圧発生剤は、親水性樹脂、刺激応答性樹脂とをそれぞれ少なくとも1種含むものであれば、その他の成分を含んでいてもよいが、その他の成分の含有量は、浸透圧発生剤全体100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下である。
本発明の浸透圧発生剤は、質量平均粒子径(D50)が5μm〜3mmの粒子形状であることが好ましい。このような質量平均粒子径を有する粒子形状であると、取扱い性に優れ、また充分な表面積を有することから、吸水速度に優れたものとなり、水処理装置に使用する浸透圧発生剤としてより適したものとなる。浸透圧発生剤の質量平均粒子径は、より好ましくは、10μm〜500μmであり、更に好ましくは、15μm〜300μmである。
このような質量平均粒子径を有する浸透圧発生剤は、後述する実施例に記載の方法により製造することができる。
2.浸透圧発生剤の製造方法
本発明の、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが(セミ)相互侵入高分子網目構造を有する浸透圧発生剤の製造方法は特に制限されないが、架橋構造を有さない親水性樹脂又は架橋構造を有さない刺激応答性樹脂のいずれかの一方の樹脂の水溶液中で、もう一方の樹脂の原料となる単量体の重合反応を行う工程、及び、いずれか一方又は両方の樹脂の架橋反応を行う工程を含む方法が挙げられる。ここでいずれか一方の樹脂のみの架橋反応を行うと、セミ相互侵入高分子網目構造を有する浸透圧発生剤が得られ、両方の樹脂の架橋反応を行うと、相互侵入高分子網目構造を有する浸透圧発生剤が得られる。
本発明の浸透圧発生剤の製造方法として好ましくは、架橋構造を有さない親水性樹脂の水溶液中で、刺激応答性樹脂の原料となる単量体の重合反応を行う工程、及び、刺激応答性樹脂又は親水性樹脂と刺激応答性樹脂の両方の樹脂の架橋反応を行う工程を含む方法である。
上記浸透圧発生剤の製造方法において、架橋構造を有さない親水性樹脂又は架橋構造を有さない刺激応答性樹脂のいずれかの一方の樹脂の水溶液中で、もう一方の樹脂の原料となる単量体の重合反応を行う工程と、いずれか一方又は両方の樹脂の架橋反応を行う工程とは、同時に行われてもよく、これら2つの工程の一部が重複して行われてもよく、別々に行われてもよい。
上記親水性樹脂の原料としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩とエチレン性不飽和基とを有する水溶性の単量体や、アルキレンオキシドを用いることができる。
水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基とエチレン性不飽和基とを有する水溶性の単量体の具体例としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、イソプレノール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するアルコール;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸化合物又はカルボン酸無水物;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するスルホン酸化合物;ビニルリン酸、アリルリン酸等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するリン酸化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基と水酸基を有するリン酸化合物;ビニルアミン、アリルアミン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数2〜8のエチレン性不飽和基を有するアミン化合物;メルカプタン基含有不飽和単量体が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩が好ましい。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の炭素数2〜8のアルキレンオキシドが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、親水性樹脂の原料としては、ビニルアルコールや(メタ)アクリル酸(塩)が好ましく、より好ましくは、アクリル酸ナトリウムである。
上記親水性樹脂の原料における、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩とエチレン性不飽和基とを有する水溶性の単量体や、アルキレンオキシドの含有量は、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100質量%に対して、70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。更に好ましくは、99質量%以上である。
また上記親水性樹脂の原料における、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩とエチレン性不飽和基とを有する水溶性の単量体や、アルキレンオキシドの含有量は、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、70モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、90モル%以上であり、更に好ましくは、95モル%以上である。更に好ましくは、99モル%以上である。
上記親水性樹脂に架橋構造を形成する場合、架橋構造の形成に使用することができる架橋剤としては、架橋構造を形成することができるものである限り特に制限されないが、重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤を用いることは本発明の好適な実施形態の1つである。
重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤としては、メチレンビスアクリルアミド等の多価アクリルアミド;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ) アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等の多価アリル化合物等が挙げられる。
上記架橋剤としてはまた、親水性基並びに/又はその塩と反応する官能基を二つ以上有する架橋剤も好ましい。親水性基並びに/又はその塩と反応する官能基をニつ以上有する架橋剤には、親水性基並びに/又はその塩との反応が可能であり、該反応によって更に親水性基並びに/又はその塩との反応する官能基が生成する化合物も含まれる。
また親水性基並びに/又はその塩と反応する官能基を二つ以上有する架橋剤で、共有結合が形成される有機化合物としては(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル等の多価エポキシ化合物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1 ,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリグリセリン、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の多価アルコール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物;ハロエポキシ化合物;多価アミン化合物とハロエポキシ化合物との縮合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;オキサゾリジノン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン(エチレンカーボネート)、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オンなどのアルキレンカーボネート化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシド−ルなどの多価グリシジル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有カルボン酸化合物;オキセタン化合物;ビニルエーテル化合物;環状尿素化合物が挙げられる。
架橋剤は、これらの化合物の中から、浸透圧発生剤の製造方法や親水性樹脂が有する官能基等に応じて適切なものを選択して用いることができる。架橋剤は1種又は2種以上を用いることができる。
上記親水性樹脂に架橋構造を形成する架橋剤を使用する場合、その使用量は、親水性樹脂の原料として使用され、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、0.01モル%以上となる量であることが好ましい。このような量であると、得られる親水性樹脂の水への溶出をより効果的に抑制することができる。架橋剤の使用量は、より好ましくは、全単量体の合計100モル%に対して、0.1モル%以上となる量であり、更に好ましくは、0.5モル%以上となる量である。また、架橋剤の使用量は、親水性樹脂の原料として使用する全単量体の合計100モル%に対して、10モル%以下となる量であることが好ましく、より好ましくは、5モル%以下となる量である。
なお、架橋剤のうち、重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤は、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する単量体にも該当し、ここでいう「全単量体」に含まれる。この場合、上記架橋剤の使用量は、架橋剤が重合体であるか否かに関わらず、架橋剤として機能する化合物のモル数に基づき計算する。
上記架橋剤は、単量体水溶液の作製時に予め添加して重合反応と同時に架橋反応が行われてもよいし、架橋剤を添加せずに重合反応を開始し、当該重合反応中または当該重合反応後に架橋剤を添加して架橋反応が行われてもよい。また、架橋反応は乾燥工程中に進行してもよいし、これら手法を併用してもよい。
上記親水性樹脂の原料は、上記親水性基並びに/又はその塩とエチレン性不飽和基とを有する単量体やアルキレンオキシド、及び、上記架橋剤のうち、構造中にエチレン性不飽和結合を有する単量体以外のその他の単量体を含んでいてもよい。
上記親水性樹脂の原料における上記その他の単量体の含有量は、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、0質量%、すなわち、その他の単量体を含まないことである。
また上記親水性樹脂の原料における上記その他の単量体の含有量は、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、10モル%以下であり、更に好ましくは、5モル%以下であり、最も好ましくは、0モル%、すなわち、その他の単量体を含まないことである。
上記刺激応答性樹脂として温度応答性樹脂を用いる場合、その原料としては、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する単量体を用いることができる。
そのような単量体の具体例としては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニルノルマルプロピルアミド、N−ビニルノルマルブチルアミド、N−ビニルイソブチルアミド、N−ビニル−t−ブチルアミド等のN−ビニルアルキルアミド;N−ビニルピロリドン;2−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−ノルマルプロピル−2−オキサゾリン等の2−アルキル−2−オキサゾリン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、オキシエチレンビニルエーテル等のビニルアルキルエーテル;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド;グルコース誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、刺激応答性樹脂の原料としては、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアルキルアミド、2−アルキル−2−オキサゾリン、ビニルアルキルエーテル、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキシエチレンビニルエーテル、グルコース誘導体が好ましく、より好ましくは、N−アルキル(メタ)アクリルアミドであり、特に好ましくは、イソプロピルアクリルアミドである。
上記刺激応答性樹脂の原料における、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する単量体の含有量は、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100質量%に対して、70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、90質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。更に好ましくは、99質量%以上である。
また上記刺激応答性樹脂の原料における、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する単量体の含有量は、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、70モル%以上であることが好ましい。より好ましくは、90モル%以上であり、更に好ましくは、95モル%以上である。更に好ましくは、99モル%以上である。
上記刺激応答性樹脂の架橋構造の形成に使用することができる架橋剤としては、架橋構造を形成することができるものである限り特に制限されないが、例えば、上述した親水性樹脂に架橋構造を形成する架橋剤の具体例と同様の化合物が挙げられ、それらの化合物の中から、浸透圧発生剤の製造方法や刺激応答性樹脂が有する官能基等に応じて適切な架橋剤を選択して用いることができる。架橋剤は1種又は2種以上を用いることができる。
上記刺激応答性樹脂に架橋構造を形成する架橋剤を使用する場合、その使用量は、刺激応答性樹脂の原料として使用され、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、0.01モル%以上となる量であることが好ましい。より好ましくは、全単量体の合計100モル%に対して、0.1モル%以上となる量であり、更に好ましくは、0.5モル%以上となる量であり、特に好ましくは、1モル%以上となる量である。また架橋剤の使用量は、刺激応答性樹脂の原料として使用する全単量体の合計100モル%に対して、10モル%以下となる量であることが好ましい。より好ましくは、5モル%以下となる量である。
なお、架橋剤のうち、重合性不飽和基を二つ以上有する架橋剤は、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する単量体にも該当し、ここでいう「全単量体」に含まれる。この場合、上記架橋剤の使用量は、架橋剤が重合体であるか否かに関わらず、架橋剤として機能する化合物のモル数に基づき計算する。
上記刺激応答性樹脂の原料は、刺激に応じて水との親和性が変化する特性を樹脂に付与する単量体、及び、上記架橋剤のうち、構造中にエチレン性不飽和結合を有する単量体以外のその他の単量体を含んでいてもよい。
上記刺激応答性樹脂の原料における上記その他の単量体の含有量は、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、更に好ましくは、5質量%以下であり、最も好ましくは、0質量%、すなわち、その他の単量体を含まないことである。
また上記刺激応答性樹脂の原料における上記その他の単量体の含有量は、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体の合計100モル%に対して、30モル%以下であることが好ましい。より好ましくは、10モル%以下であり、更に好ましくは、5モル%以下であり、最も好ましくは、0モル%、すなわち、その他の単量体を含まないことである。
本発明の浸透圧発生剤の製造に使用する、親水性樹脂の原料と刺激応答性樹脂の原料との質量比、すなわち、親水性樹脂の原料として使用され、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体と、刺激応答性樹脂の原料として使用され、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体との質量比は、1/99〜70/30であることが好ましい。このような質量比であると、得られる浸透圧発生剤が溶媒を吸収する能力と刺激に応じて溶媒の吸収、放出を変化させる能力の両方をバランスよく発揮することができる。親水性樹脂の原料と刺激応答性樹脂の原料との質量比は、より好ましくは、5/95〜40/60であり、更に好ましくは、10/90〜30/70である。
なお、樹脂の中には、親水性樹脂と刺激応答性樹脂の両方に該当する樹脂がある。そのような両方に該当する樹脂と、親水性樹脂のみに該当する樹脂とを製造する場合、両方に該当する樹脂を刺激応答性樹脂とみなした場合に上記質量比を満たすことが好ましい。また、両方に該当する樹脂と、刺激応答性樹脂のみに該当する樹脂とを製造する場合、両方に該当する樹脂を親水性樹脂とみなした場合に上記質量比を満たすことが好ましい。両方に該当する樹脂を2種以上製造する場合には、いずれの樹脂も親水性樹脂としても機能し、また刺激応答性樹脂としても機能するため、それらの樹脂の原料の質量比は任意の割合でよい。
また本発明の浸透圧発生剤の製造に使用する、親水性樹脂の原料と刺激応答性樹脂の原料とのモル比、すなわち、親水性樹脂の原料として使用され、親水性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体と、刺激応答性樹脂の原料として使用され、刺激応答性樹脂の主鎖骨格を形成する全単量体とのモル比は、1/99〜70/30であることが好ましい。このようなモル比であると、得られる浸透圧発生剤が溶媒を吸収する能力と刺激に応じて溶媒の吸収、放出を変化させる能力の両方をバランスよく発揮することができる。親水性樹脂の原料と刺激応答性樹脂の原料とのモル比は、より好ましくは、5/95〜40/60であり、更に好ましくは、10/90〜30/70である。
なお、製造する樹脂の中に親水性樹脂と刺激応答性樹脂の両方に該当する樹脂がある場合の考え方は、上記親水性樹脂の原料と刺激応答性樹脂の原料との質量比の場合と同様である。
上記親水性樹脂や刺激応答性樹脂を製造する重合反応に使用する重合開始剤は、重合反応が進行する限り特に制限されないが、熱分解型重合開始剤、光分解型重合開始剤、または、これら重合開始剤の分解を促進する還元剤を併用したレドックス系重合開始剤が挙げられる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、酸化性ラジカル重合開始剤を用いる場合には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の還元剤を併用してレドックス重合を行ってもよい。
本発明に適用される重合形態としては、水溶液重合、逆相懸濁重合、噴霧重合、液滴重合、バルク重合、沈澱重合等が挙げられる。中でも、重合の制御の容易性から、好ましくは水溶液重合が選択される。
上記単量体の重合反応を行う温度は、重合反応が進行する限り特に制限されないが、架橋構造を有さない親水性樹脂の水溶液中で、温度応答性樹脂の原料となる単量体の重合反応を行う場合には、得られる温度応答性樹脂が親水性となる温度領域で重合反応を行うことが好ましい。そのような温度で重合反応を行うことで温度応答性樹脂の構造中に親水性樹脂が充分に取り込まれ、親水性樹脂と温度応答性樹脂とが相互に充分に絡み合った構造の浸透圧発生剤が得られる。
温度応答性樹脂の原料となる単量体として、その浸透圧発生剤の相転移温度以下で重合反応を行うことが好ましく、例えば、N−イソプロピルアクリルアミドを用いる場合、20℃以下の温度で重合反応を行うことが好ましい。より好ましくは、15℃以下の温度で重合反応を行うことであり、更により好ましくは、10℃以下の温度で重合反応を行うことである。また、重合反応の効率の点から、重合反応は0℃以上で行うことが好ましい。
本発明の浸透圧発生剤の製造方法は更に、単量体の重合反応を行う工程(重合工程)で得られた含水ゲルを粉砕して、粒子状の含水ゲルを得る工程(ゲル粉砕工程)を含むことが好ましい。
ゲル粉砕は重合工程と同時に実施されてもよい。また、逆相懸濁重合、噴霧重合または液滴重合等、粒子状含水ゲルが重合工程で得られる場合には、ゲル粉砕工程が当該重合工程と同時に実施されているとみなす。
本発明の浸透圧発生剤の製造方法は更に、前記重合工程及び/又はゲル粉砕工程で得られた含水ゲル及び/又は粒子状含水ゲルを所望する樹脂固形分まで乾燥させて乾燥重合体を得る工程を含むことが好ましい。
上記乾燥重合体の樹脂固形分は、乾燥重合体1gを180℃で3時間加熱した際の質量変化から求められ、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは97質量%以下である。
生成物を加熱乾燥する場合、刺激応答吸水性樹脂の色調や乾燥効率の観点から、乾燥温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。なお、熱風乾燥における乾燥温度は熱風の温度で規定される。
本発明の浸透圧発生剤の製造方法は更に、上記乾燥工程を経て得られる乾燥重合体を、粉砕工程で粉砕し、所望する範囲の粒度に分級工程で調整して、刺激応答吸水性樹脂を得る工程を含むことが好ましい。
本発明の浸透圧発生剤の製造方法は、更にこれら以外の工程を含んでいてもよい。
上記のとおり、本発明の浸透圧発生剤は、親水性の溶媒を吸収する能力と刺激に応じて溶媒の吸収、放出を変化させる能力とに優れ、更に親水性樹脂の水への溶出も充分に抑制されたものであることから、水処理装置に好適に使用することができる。このような、本発明の浸透圧発生剤を用いることを特徴とする水処理装置もまた、本発明の1つである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例、比較例において、重合体の重量平均分子量、浸透圧発生剤における親水性樹脂と刺激応答性樹脂の質量比は、以下の方法により測定、算出した。
<重量平均分子量の測定方法>
重合体の分子量をGPCにより、以下の測定条件で測定した。
ポンプ :L−7110((株)日立製作所製)
キャリヤー液:リン酸水素2ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸2水素ナトリウム2水和物46.2gに超純水を加えて全量を5,000gにした水溶液
流速 :0.5ml/min
カラム :水系GPCカラム GF−7MHQ 1本(昭和電工(株)製)
検出器 :UV検出器 波長214nm L−7400((株)日立製作所製)
分子量標準サンプル:ポリアクリル酸ナトリウム(創和科学(株)製)
<浸透圧発生剤における親水性樹脂と刺激応答性樹脂の質量比(wt%)>
浸透圧発生剤における親水性樹脂と刺激応答性樹脂の質量比(wt%)は、浸透圧発生剤に対して、後述するポリクリル酸ナトリウムの溶出量測定を行った場合に水に溶出する成分を考慮して算出した。例えば、親水性樹脂の溶出率を測定した場合、浸透圧発生剤における親水性樹脂と刺激応答性樹脂の質量比(wt%)は、樹脂粉末に含まれる親水性樹脂量×0.01×(100−親水性樹脂溶出率(wt%))と刺激応答性樹脂量の質量比(wt%)となる。
実施例1
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)27.2部、カルボキシル基を含む樹脂である15質量%ポリアクリル酸ナトリウム(PSA)水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)、刺激応答性樹脂の架橋剤である2質量%メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液37.0部及びイオン交換水188.0部をポリエチレン製容器に入れ、マグネティックスターラーを用いて十分混合し、単量体水溶液を作製した。続いて、単量体水溶液の温度を10℃に制御しながら、窒素ガスを毎分3Lの流量で30分間単量体水溶液中に導入した。この操作によって単量体水溶液の溶存酸素を除去した。一方、重合開始剤として以下の2種類の重合開始剤水溶液を作製した。つまり、0.47部の過硫酸アンモニウムを4.19部のイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液と、0.28部のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを5.30部のイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液をそれぞれ作製した。次に、内表面がテフロン(登録商標)コーティングされたステンレス製容器に、窒素導入口、排気口及び水溶液投入口が設置されたポリエチレン製フィルムで上記ステンレス製容器の上部を窒素シールした後、10℃に温度設定したウォーターバスに、上記ステンレス製容器を浸漬した。
上記重合開始剤水溶液の全量を、単量体水溶液にそれぞれ個別に注入した。その後、マグネティックスターラーを用いて1分混合した後、上記ステンレス製容器に直ちに投入した。5分経過後に水溶液のゲル化が開始し、4時間保持して含水ゲル状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂(以下「含水ゲル」という。)を得た。
次に、目開き2mmの金属メッシュに上記含水ゲルを投入してゲル粉砕し、粒子状の含水ゲルを得た。続いて、目開き300μm(50メッシュ)の金網上に、上記粒子状の含水ゲルを積載した後、105℃の熱風を3時間通気させることで乾燥し、乾燥重合体を得た。当該乾燥重合体をボールミルで粉砕した後、目開き850μm及び200μm及び45μmのJIS標準篩で分級して粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例2
15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)及びイオン交換水188.0部の代わりに、30質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液18.8部(重量平均分子量170,000)及びイオン交換水206.8部を用いたこと以外は実施例1と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例3
30質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液18.8部(重量平均分子量170,000)及びイオン交換水206.8部の代わりに、30質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液28.2部(重量平均分子量170,000)、イオン交換水197.4部を用いたこと以外は実施例2と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例4
15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)及びイオン交換水188.0部の代わりに、15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液56.4部(重量平均分子量800,000)、イオン交換水169.2部を用いたこと以外は実施例1と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例5
15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)、2質量%メチレンビスアクリルアミド水溶液37.0部及びイオン交換水188.0部の代わりに、15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液75.2部(重量平均分子量800,000)、2質量%メチレンビスアクリルアミド水溶液9.3部及びイオン交換水178.1部を用いたこと以外は実施例1と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例6
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)27.2部、カルボキシル基を含む樹脂である15質量%ポリアクリル酸ナトリウム(PSA)水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)、刺激応答性樹脂の架橋剤である2質量%メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液74.0部、親水性樹脂の架橋剤である10質量%エチレングリコールジグリシジルエーテル(EGDE)水溶液2.71部及びイオン交換水148.3部をポリエチレン製容器に入れ、マグネティックスターラーを用いて十分混合し、単量体水溶液を作製した。続いて、単量体水溶液の温度を10℃に制御しながら、窒素ガスを毎分3Lの流量で30分間単量体水溶液中に導入した。この操作によって単量体水溶液の溶存酸素を除去した。一方、重合開始剤として以下の2種類の重合開始剤水溶液を作製した。つまり、0.47部の過硫酸アンモニウムを4.19部のイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液と、0.28部のN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを5.30部のイオン交換水に溶解した重合開始剤水溶液をそれぞれ作製した。次に、内表面がテフロン(登録商標)コーティングされたステンレス製容器に、窒素導入口、排気口及び水溶液投入口が設置されたポリエチレン製フィルムで上記ステンレス製容器の上部を窒素シールした後、10℃に温度設定したウォーターバスに、上記ステンレス製容器を浸漬した。
上記重合開始剤水溶液の全量を、単量体水溶液にそれぞれ個別に注入した。その後、マグネティックスターラーを用いて1分混合した後、上記ステンレス製容器に直ちに投入した。5分経過後に水溶液のゲル化が開始し、4時間保持して含水ゲル状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂がセミ相互侵入網目構造を形成している樹脂(以下「含水ゲル」という。)を得た。
次に、目開き2mmの金属メッシュに上記含水ゲルを投入してゲル粉砕し、粒子状の含水ゲルを得た。この粒子状の含水ゲルを目開き300μm(50メッシュ)の金網上に、上記粒子状の含水ゲルを積載した後、105℃の熱風を3時間通気させることで乾燥し、乾燥重合体を得た。当該乾燥重合体は、ボールミルで粉砕された後、目開き850μm及び200μm及び45μmのJIS標準篩で分級されて、粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂が相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例7
2質量%メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液74.0部及びイオン交換水148.3部の代わりに、2質量%メチレンビスアクリルアミド水溶液37.0部及びイオン交換水185.3部を用いたこと以外は実施例6と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂が相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
実施例8
2質量%メチレンビスアクリルアミド(MBAA)水溶液74.0部及びイオン交換水148.3部の代わりに、2質量%メチレンビスアクリルアミド水溶液9.3部及びイオン交換水213.0部を用いたこと以外は実施例6と同様にして粉末状の親水性樹脂と刺激応答性樹脂が相互侵入網目構造を形成している樹脂を得た。
比較例1
15質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液37.6部(重量平均分子量800,000)及びイオン交換水188.0部の代わりに、42.5質量%ポリアクリル酸ナトリウム水溶液13.3部(重量平均分子量6,000)及びイオン交換水212.3部を用いた以外は実施例1と同様にして樹脂の製造を行った。
[樹脂物性評価]
実施例1〜8、比較例1で得られた樹脂粉末の23℃での吸水倍率、50℃での水回収率、及び、ポリアクリル酸ナトリウム溶出率を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
<23℃での吸水倍率>
不織布製の袋に入れた樹脂粉末を23℃の十分な量の純水に16時間含浸させて重量変化を測定し、以下の計算式で吸水倍率を求めた。
吸水倍率(g/g)=(含水ゲル重量−含水ゲル中の樹脂重量)/(含水ゲル中の樹脂重量)
<50℃での水回収率>
不織布製の袋に入れた樹脂粉末に飽和量まで水を吸収させて飽和膨潤ゲルとして重量を測定した後、飽和膨潤ゲルを50℃の純水に1時間浸漬させて放水させ、放水後のゲルの重量を測定した。測定終了後のゲルを180℃のオーブンで3時間乾燥させた残存重量を乾燥樹脂重量とし、以下の計算式で水回収率を求めた。
水回収率(wt%)=100×(1−(放水ゲル重量−乾燥樹脂重量)/(飽和膨潤ゲル重量−乾燥樹脂重量))
<ポリアクリル酸ナトリウム(PSA)溶出率>
樹脂粉末1gを200mLの純水中で16時間撹拌後、濾液を酸塩基中和滴定して、純水中に溶出したポリアクリル酸ナトリウム(PSA)率を以下の計算式で求めた。
PSA溶出率(wt%)=100×PSA溶出量/樹脂粉末に含まれるPSA量
[FO膜評価]
実施例1〜8、比較例1で得られた樹脂粉末を用いて下記のようにして中空糸型正浸透膜(FO膜)を作製し、吸水性、脱水性を評価した。結果を表1に示す。
<FO膜を用いる吸水評価>
図1に示す装置を用い、円形状の上下の固定装置1、2を用いてシリコンOリング3によりFO膜4(FTSH2O:STERLITECH社製FO膜、有効面積がφ25mmになるようにカットした。)を固定した。この時、FO膜上に活性層がくるように設置して、その活性層の上に45μm以下に分級された樹脂粉末5を0.3グラム均一に撒いた。装置に接続された目盛付のシリンダー6から0.2wt%NaCl水溶液を充填するとともに、装置反対側の、シリンジに接続されたニードル7で装置内部に気泡が残らないようにパージした後、すぐに目盛を読み取った。3時間後に再度目盛を読み取り、減少した0.2wt%NaCl水量を比重1として求めた。この時の吸水倍率は以下の式で示される。
吸水倍率(g/g)=(減少した0.2wt%NaCl水量)/(樹脂粉末重量)
<脱水評価>
15倍以上純水膨潤させたヒドロゲル(樹脂粉末換算0.3グラム)を、アルミニウムホイル上にφ25mmで均等に広げてそのヒドロゲルの重量を秤量した後、40℃に保たれたホットプレート上に置いてその上からキプワイプを被せた。3時間後にヒドロゲルの重量を再度測定した。この時の水回収率は以下の式で示される。
水回収率(wt%)=100×(1−(3時間後ゲル重量−樹脂粉末重量)/(開始時の膨潤ゲル重量−樹脂粉末重量))
Figure 2021087926
1、2:固定装置
3:シリコンOリング
4:FO膜
5:樹脂粉末
6:目盛付のシリンダー
7:シリンジに接続されたニードル
8:NaCl水溶液

Claims (8)

  1. 正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤であって、
    該浸透圧発生剤は、親水性樹脂と刺激応答性樹脂とを含み、
    該親水性樹脂は、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基及びアミノ基からなる群より選択される少なくとも1種の親水性基並びに/又はその塩を有し、重量平均分子量が100,000以上であり、
    該親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが(セミ)相互侵入高分子網目構造を形成している
    ことを特徴とする正浸透膜法に用いる浸透圧発生剤。
  2. 前記浸透圧発生剤は、親水性樹脂と架橋構造を有する刺激応答性樹脂とがセミ相互侵入高分子網目構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の浸透圧発生剤。
  3. 前記浸透圧発生剤は、ともに架橋構造を有する親水性樹脂と刺激応答性樹脂とが相互侵入高分子網目構造を形成していることを特徴とする請求項1に記載の浸透圧発生剤。
  4. 前記親水性樹脂は、エチレン性不飽和基を有する単量体を含む単量体成分の重合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浸透圧発生剤。
  5. 前記刺激応答性樹脂は、温度応答性樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の浸透圧発生剤。
  6. 前記刺激応答性樹脂は、ポリ(N−アルキル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)、ポリ(2−アルキル−2−オキサゾリン)、ポリビニルアルキルエーテル、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ポリ(オキシエチレンビニルエーテル)、セルロース誘導体、及びこれらのポリマーの共重合体のいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の浸透圧発生剤。
  7. 前記浸透圧発生剤に含まれる親水性樹脂と刺激応答性樹脂との質量比は1/99〜70/30であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浸透圧発生剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の浸透圧発生剤を用いることを特徴とする水処理装置。
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