JP2021085431A - 転がり軸受装置 - Google Patents

転がり軸受装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021085431A
JP2021085431A JP2019213127A JP2019213127A JP2021085431A JP 2021085431 A JP2021085431 A JP 2021085431A JP 2019213127 A JP2019213127 A JP 2019213127A JP 2019213127 A JP2019213127 A JP 2019213127A JP 2021085431 A JP2021085431 A JP 2021085431A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bearing device
holding member
rolling bearing
oil
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019213127A
Other languages
English (en)
Inventor
村田 順司
Junji Murata
順司 村田
徹 神谷
Toru Kamiya
徹 神谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2019213127A priority Critical patent/JP2021085431A/ja
Publication of JP2021085431A publication Critical patent/JP2021085431A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

【課題】転がり軸受装置において、潤滑性を長期にわたって維持することが可能であると共に、回転抵抗が増加するのを防ぐ。【解決手段】転がり軸受装置10は、外周に軌道を有する内方部材14と、内周に軌道を有する外方部材12と、内方部材14と外方部材12との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体16と、内方部材14と外方部材12とのうちの一方の軌道部材に設けられ半固体状である潤滑剤を収容する収容部51と、収容部51を覆うようにして前記軌道部材に取り付けられ収容部51の前記潤滑剤の油を通過可能とする貫通穴63を少なくとも一つ有する取り付け部材52と、取り付け部材52に固定され貫通穴63を通過する前記油を浸透させて保持する保持部材53とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受装置に関する。
各種回転機器の軸受部の潤滑方式として、グリースのような半固体状である潤滑剤による方式が用いられている。グリースによる潤滑方式の場合、油を吐出するポンプ及び油を溜めるタンク等の付帯設備が不要であり、軸受部及びその周囲の構成の簡素化及びコンパクト化が可能となる。グリースによる潤滑が行われる回転機器の例として、ハブベアリング(ハブユニットともいう。)が挙げられる。ハブベアリングは、自動車において車輪を支持する車輪用の転がり軸受装置である。
グリースにより軸受部の潤滑を行うために、例えば外輪の肩部に繊維材又は多孔質材からなる油保持体が取り付けられている発明が提案されている。例えば、特許文献1には、前記のような油保持体に、油の他に、グリースを含浸させることが開示されている。
特開2017−58013号公報
特許文献1に開示の転がり軸受装置では、油保持体に油が含浸されていて、その油が油保持体から滲み出ることで、転動体及び軌道の潤滑性が確保される。しかし、油保持体の油が枯渇すると、潤滑性が損なわれる。
また、油保持体にグリースを含浸させる場合、そのグリースに含まれる増ちょう剤又はグリース自体が油保持体から放出されることがある。すると、軌道と転動体との間で増ちょう剤の噛み込みが生じたり、グリースの撹拌による回転抵抗が大きくなったりする。
そこで、本開示は、潤滑性を長期にわたって維持することが可能であると共に、回転抵抗が増加するのを防ぐことが可能となる転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本開示の転がり軸受装置は、外周に軌道を有する内方部材と、内周に軌道を有する外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材とのうちの一方の軌道部材に設けられ半固体状である潤滑剤を収容する収容部と、前記収容部を覆うようにして前記軌道部材に取り付けられ前記収容部の前記潤滑剤の油を通過可能とする貫通穴を少なくとも一つ有する取り付け部材と、前記取り付け部材に固定され前記貫通穴を通過する前記油を浸透させて保持する保持部材と、を備える。
前記転がり軸受装置によれば、収容部に収容されている潤滑剤から油が取り付け部材の貫通穴を通過し、その油は保持部材に保持される。そして、保持部材から滲み出た油が軌道及び転動体に供給される。保持部材から油が滲み出て消費されても、保持部材には収容部の潤滑剤から油が補充されるため、転がり軸受装置の潤滑性を長期にわたって維持することが可能となる。また、半固体状である潤滑剤そのものが軌道及び転動体に供給されるのではなく、潤滑剤に含まれる油が供給される。このため、潤滑剤の撹拌及び潤滑剤の噛み込み等により回転抵抗が増加するのを防ぐことが可能となる。
また、好ましくは、前記取り付け部材は、前記軌道部材に密着して取り付けられている円筒部と、当該円筒部から径方向に延びて設けられている凸部と、を有し、前記保持部材は前記凸部と嵌合する凹部を有する。
この構成によれば、保持部材の凹部が取り付け部材の凸部に嵌合し、これにより、保持部材と取り付け部材とが一体となる。そして、その取り付け部材の円筒部は軌道部材に密着して取り付けられるため移動不能である。このような取り付け部材によれば、保持部材が比較的弾性変形しやすい構造であったとしても、その保持部材は移動しないようにして取り付け部材を介して軌道部材に取り付けられる。
また、好ましくは、前記凸部は、前記円筒部に沿って略全周にわたって設けられていて、前記保持部材は環状であり、前記凹部は前記凸部に嵌合する環状溝である。
この構成によれば、環状である保持部材は略全周にわたって取り付け部材に固定され、保持部材が取り付け部材から脱落するのを防ぐ機能がより一層高まる。
また、好ましくは、前記転動体は、前記内方部材と前記外方部材との間に形成される環状空間に二列となって設けられていて、前記収容部、前記取り付け部材、及び前記保持部材は、一方の前記転動体の列と他方の前記転動体の列との間に設けられている。
この場合、収容部と取り付け部材と保持部材とによって構成される一つの給油部から、一方の転動体の列及び他方の転動体の列それぞれに対して油の供給が可能となる。
また、好ましくは、前記潤滑剤は、前記油としての基油、及び増ちょう剤を含むグリースである。この場合、保持部材に浸透した基油が滲み出ると、その基油が軌道に供給される。
本開示の転がり軸受装置によれば、潤滑性を長期にわたって維持することが可能であると共に、回転抵抗が増加するのを防ぐことが可能となる。
転がり軸受装置の一例を示す断面図である。 給油部及びその周囲を示す断面図である。 取り付け部材の製造を説明する断面図である。 取り付け部材の製造を説明する断面図である。 取り付け部材の一部を径方向内側から径方向に見た図である。 取り付け部材(変形例)の一部を径方向内側から径方向に見た図である。 取り付け部材を軸方向から見た図である。 給油部を主に示す断面図である。
〔転がり軸受装置について〕
図1は、転がり軸受装置の一例を示す断面図である。図1に示す転がり軸受装置10は、車輪用軸受装置である。車輪用軸受装置は、ハブベアリング又はハブユニットとも称され、車両(自動車)の車体に設けられている懸架装置に取り付けられ、車輪7を回転可能に支持する。図1に示す転がり軸受装置10が車体(懸架装置)に取り付けられた状態で、図1の右側が、車輪7側であり、車両アウタ側と称される。図1の左側が、車体中央側であり、車両インナ側と称される。
本開示の転がり軸受装置10において、転がり軸受装置10の中心線Cに沿った方向が「軸方向」と定義される。この軸方向には、転がり軸受装置10の中心線Cに平行な方向も含まれる。本開示の転がり軸受装置10では、車両アウタ側が軸方向一方側となり、車両インナ側が軸方向他方側となる。また、中心線Cに直交する方向が「径方向」と定義され、中心線Cを中心とする周回方向が「周方向」と定義される。
転がり軸受装置10は、外方部材(外輪部材ともいう。)12と、内方部材(内軸部材ともいう。)14と、外方部材12と内方部材14との間に設けられている複数の転動体16とを備える。本開示の転動体16は、玉である。
外方部材12は、円筒形状である外輪本体部22と、外輪本体部22から径方向外方に向かって延びて設けられている固定用のフランジ部24とを有する。外輪本体部22の内周の軸方向一方側及び他方側それぞれに、外側軌道面26が形成されている。外側軌道面26は、転動体16が転動(転がり接触)する軌道である。フランジ部24が車体側部材である懸架装置の一部に取り付けられる。これにより、外方部材12を含む転がり軸受装置10が車体に固定される。
内方部材14は、軸状のハブ軸32(内軸)と、ハブ軸32の軸方向他方側に固定されている内輪34とを有する。ハブ軸32は、外方部材12の径方向内方に設けられている軸本体部36と、フランジ部38とを有する。軸本体部36は、軸方向に長い部分である。フランジ部38は、軸本体部36の軸方向一方側から径方向外方に向かって延びて設けられている部分である。フランジ部38に、ボルト穴39が形成されている。このボルト穴39に取り付けられるボルト8によって車輪7がフランジ部38に固定される。内輪34は、環状の部材であり、軸本体部36の軸方向他方側の一部40に外嵌して固定されている。
軸本体部36の外周側に、転動体16が転動する軌道として軸軌道面42が形成されている。内輪34の外周面に、転動体16が転動する軌道として内輪軌道面44が形成されている。軸方向一方側の外側軌道面26と軸軌道面42との間に複数の転動体16が設けられている。軸方向他方側の外側軌道面26と内輪軌道面44との間に複数の転動体16が設けられている。つまり、転がり軸受装置10は、二列の転動体16を備える。各列において、複数の転動体16は保持器18によって保持されている。
以上のように、本開示の転がり軸受装置10は、外周に軌道として軸軌道面42及び内輪軌道面44を有する内方部材14と、内周に軌道として外側軌道面26,26を有する外方部材12と、これら内方部材14と外方部材12との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体16とを備える。外方部材12と内方部材14とは同心状に配置され、外方部材12に対して内方部材14が中心線Cを中心として回転する。
本開示の転がり軸受装置10は、半固体状の潤滑剤であるグリース56に含まれる基油によって潤滑される。特に、転動体16と各軌道との間、及び、転動体16と保持器18との摺接部が、給油対象となり、基油によって潤滑される。そのため、転がり軸受装置10は、潤滑機能を高めるための給油部50を更に備える。
給油部50は、外方部材12と内方部材14との内の一方の軌道部材に設けられる。本開示では、固定輪となる外方部材12の内周部に給油部50は設けられる。給油部50の具体的構成については後に説明するが、給油部50は、グリース56に含まれる基油を、軸方向一方側の外側軌道面26及び軸方向他方側の外側軌道面26それぞれに供給可能である。外側軌道面26に供給された基油は、転動体16に付着し、更に、軸軌道面42及び内輪軌道面44に供給される。また、転動体16に付着した基油は、保持器18にも供給される。
グリース56は、基油に増ちょう剤を分散させた半固体状の潤滑剤である。グリース56には、基油及び増ちょう剤の他に添加剤が含まれる。グリース56として、従来より転がり軸受の潤滑に用いられる一般的なグリースが採用される。
〔給油部50について〕
図2は、給油部50及びその周囲を示す断面図である。給油部50は、収容部51と、取り付け部材52と、保持部材53とを有する。
収容部51は、外方部材12に設けられていて、グリース56を収容する。収容部51は、外輪本体部22のうち外側軌道面26が形成されている内周部に設けられていて、溝により構成される。その溝は外輪本体部22の全周にわたって設けられている。つまり、外方部材12の内周側の全周にわたってグリース56が収容部51に収容される。
外方部材12のうち、軸方向一方側の外側軌道面26と軸方向他方側の外側軌道面26との間の面は、給油部50が設けられる対象面54である。対象面54は転がり軸受装置10の中心線C(図1参照)を中心とする円筒面である。その対象面54に収容部51が設けられている。図2に示すように、収容部51の断面形状は矩形であるが、その形状は変更可能であり、矩形以外に円弧形状であってもよい。収容部51となる溝は、外輪本体部22に対して旋削等の機械加工を行うことで形成されてもよいが、外輪本体部22を鍛造で成形する際にあわせて鍛造により形成されてもよい。
外方部材12のうち、軸方向一方側の外側軌道面26と軸方向他方側の外側軌道面26とに対しては熱処理として部分焼入れ処理を行っており、両側の外側軌道面26,26は焼入れ面となっている。これに対して、特に対象面54に機械加工で収容部51として溝を形成する場合、対象面54のうち収容部51が形成される領域は焼入れ面となっていない(非焼入れ面である)のが好ましい。
取り付け部材52は、全体として環状である。取り付け部材52は、収容部51を覆うようにして外方部材12の内周部に取り付けられている。図2に示す取り付け部材52は、円筒部60及び凸部62を有する。円筒部60は、円筒形状を有する。凸部62は、円筒部60から径方向内方に延びて設けられている。円筒部60の外径は、前記対象面54の内径よりも大きく設定されている。つまり、円筒部60は、外方部材12に対して、しまりばめの公差を有し、取り付け部材52は、対象面54に圧入により取り付けられる。これにより、円筒部60は、外方部材12に密着して取り付けられた状態となり、取り付け部材52は外方部材12に対して移動不能となる。円筒部60が収容部51を覆うようにして取り付け部材52は外方部材12に取り付けられている。
取り付け部材52は、例えば圧延鋼板(SPCC)により製造される。本開示の取り付け部材52は、図3A及び図3Bに示すように、円筒状の部材55を、金型を用いてプレス加工することで製造される。円筒状の部材55の中央部55aを径方向内方に向かうように塑性変形させ、その中央部55aが二つの円環状である径方向部55b,55bとなる。二つの径方向部55b,55b同士は近接した状態にあり、内周側端部でつながっている。二つの径方向部55b,55bにより円環状の凸部62が構成される。円筒状の部材55のうち、中央部55aを除く軸方向両側の側部55c,55cにより円筒部60が構成される。このように、円筒状の部材55をプレス加工することで、円筒部60及び凸部62を有する取り付け部材52が容易に製造される。
図4Aは、取り付け部材52の一部を径方向内側から径方向に見た図である。取り付け部材52には、貫通穴63が設けられている。図4Aに示す形態では、貫通穴63は、円筒部60の一部及び凸部62の一部を切り欠くことで形成された穴である。貫通穴63は、少なくとも円筒部60に設けられていればよく、図4Bに示すように、円筒部60のみに設けられていてもよい。つまり、貫通穴63は、円筒部60を貫通する穴であればよい。貫通穴63が、円筒部60のみに設けられる場合、図5に示すように、凸部62は、円筒部60に沿って全周にわたって設けられた構成となる。
これに対して、図4Aに示すように、貫通穴63が凸部62の一部にも設けられる場合、凸部62は、円筒部60に沿って、貫通穴63の部分を除いた全周(略全周)にわたって設けられた構成となる。貫通穴63の形状は、径方向から見て円形である以外に、長円形、楕円形、矩形であってもよい。貫通穴63は、取り付け部材52の周方向に沿って少なくとも一つ設けられていればよい。貫通穴63は、例えば、周方向に間隔をあけて4箇所に設けられる。貫通穴63は、複数設けられる場合、周方向に等間隔で配置される。
取り付け部材52が対象面54に取り付けられた状態で(図2参照)、収容部51の径方向内方に貫通穴63が位置する。これにより、収容部51のグリース56の基油は、貫通穴63を通過することができる。
本開示の保持部材53は、多孔質材からなり、グリース56に含まれている基油の浸透、及び、周囲の面への基油の滲み出しが可能である。図6は、給油部50を主に示す断面図である。保持部材53は、取り付け部材52に固定されている。保持部材53は、貫通穴63を覆うようにして取り付け部材52に取り付けられた状態となる。保持部材53は、貫通穴63を通過するグリース56の基油を浸透させて保持することができる。
保持部材53は、全体として環状である。保持部材53は、軸方向一方側の第一部53aと、軸方向他方側の第二部53bと、第一部53aと第二部53bとを連結している連結部53cとを有する。第一部53a及び第二部53bは円環状である。連結部53cは、第一部53a及び第二部53bそれぞれよりも径方向寸法が小さい円環状である。第一部53aと第二部53bとの間に隙間が形成されるようにして、連結部53cは第一部53aと第二部53bとを連結している。前記隙間に、取り付け部材52の凸部62が嵌る。つまり、前記隙間は、凸部62と嵌合する凹部65となる。前記のとおり、凸部62は、全周(略全周)にわたって設けられている。保持部材53が有する凹部65は、周方向に連続していて、凸部62に嵌合する環状溝である。
このように、本開示の保持部材53は、第一部53aと、第二部53bと、連結部53cとを有する。連結部53cによって第一部53aと第二部53bとが分離不能となる。また、連結部53cが第一部53aと第二部53bとを連結しかつ凸部62を軸方向に跨ぐことから、保持部材53が全体として取り付け部材52に対して軸方向に移動不能となる。この構成により、保持部材53は取り付け部材52から脱落しない。保持部材53が取り付け部材52に取り付けられている状態で、保持部材53は円筒部60及び凸部62と接触した状態にある。
以上より、保持部材53は、取り付け部材52を介して外方部材12(外輪本体部22)に取り付けられている。なお、取り付け部材52へ保持部材53を取り付ける作業は、保持部材53を弾性変形させることによって行われる。保持部材53は、多孔質材からなるため、比較的弾性変形しやすい。
保持部材53に、油が予め含浸されている。保持部材53に含浸させる油は、グリース56に含まれる基油と同じ種類であればよい。これにより、収容部51のグリース56から保持部材53への基油の移動が行われやすい。
取り付け部材52が有する円筒部60は、円筒状の部分であり、円筒部60の軸方向寸法は、保持部材53の軸方向寸法よりも大きい。つまり、円筒部60の軸方向一方側の端部66aは、保持部材53よりも、軸方向一方の外側軌道面26側に位置している。また、円筒部60の軸方向他方側の端部66bは、保持部材53よりも、軸方向他方の外側軌道面26側に位置している。円筒部60の軸方向の寸法は、対象面54の軸方向の寸法よりもわずかに小さいが、対象面54の軸方向の寸法と略同じである。
多孔質材からなる保持部材53は、焼結又は発泡により製造される。保持部材53は、連続する多数の微細空孔を有する。保持部材53の空孔の直径(平均径)及び空孔率は、グリース56に含まれる基油の種類及び粘度、並びに、グリース56に含まれる増ちょう剤の種類及び量に応じて設定される。
例として、空孔の直径(平均径)は、例えば、20マイクロメートル以上、200マイクロメートル以下に設定されるのが好ましい。空孔の直径が20マイクロメートル以上であることにより、基油の浸透及び滲み出しについて、保持部材53は所望の性能を有することができる。空孔の直径が200マイクロメートル以下であることにより、グリース56に含まれる増ちょう剤等を空孔に侵入し難くする機能が高まる。基油の保有量を確保するために、例えば、空孔率(体積率)は、50%以上、90%以下に設定されるのが好ましい。
本開示の保持部材53は多孔質材であるが、羊毛等の繊維材料を圧縮して所定形状に成型して得られた繊維体であってもよい。この場合においても、その保持部材53は、油の浸透及び滲み出しが可能である。しかし、保持部材53の脱落及び品質安定性の観点から、保持部材53は多孔質材であるのが好ましく、焼結体又は発泡材により構成される。多孔質材からなる保持部材53の材質は、ポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等の高分子材、又は、金属材である。耐熱性を考慮すると、保持部材53は金属製の多孔質材であるのが好ましい。連続空孔を多数形成するために、保持部材53は、金属粉末を焼結によって成形した金属焼結材であるのが好ましい。
収容部51のグリース56に含まれる基油が、取り付け部材52の貫通穴63を通過すると、保持部材53に毛細管現象によって浸透する。保持部材53に浸透した基油は、取り付け部材52の円筒部60の内周面67に、基油の表面張力によって、滲み出ることができる。そして、保持部材53から滲み出た基油は、円筒部60の内周面67を通じて、外側軌道面26に供給される。
これに対して、収容部51のグリース56に含まれる基油以外の成分、つまり、増ちょう剤(及び添加剤)については、保持部材53への侵入が阻害される。このため、油以外の成分が外側軌道面26に到達するのを防止することができる。基油が保持部材53において詰まり難くなり、グリース56から外側軌道面26への基油の供給経路において、安定した給油性能が維持される。なお、増ちょう剤等の基油以外の成分が外側軌道面26と転動体16との間に噛み込むと、一時的にトルクが増大する場合がある。
円筒部60のうち、保持部材53側の周面、つまり、円筒部60の内周面67は、研削面又は研磨面であるのが好ましい。内周面67が研削面又は研磨面であることにより、保持部材53から滲み出た基油は、内周面67を経由して外側軌道面26に向けて誘導されやすくなる。仮に、内周面67が切削面である場合、基油は、螺旋状となる切削溝に沿って流れやすくなる。つまり、基油は周方向に流れやすくなる。しかし、本開示では、内周面67が、研削面又は研磨面である。このため、内周面67が切削面である場合と比較して、基油が保持部材53から内周面67を通じて外側軌道面26に向かう方向(軸方向)に流れ易くなる。
円筒部60の内周面67のうち、保持部材53から端部66a(66b)までの間の表面は、研削面又は研磨面であると共に(又は、研削面又は研磨面である代わりに)親油性コーティングを有していてもよい。親油性コーティング以外として、前記表面に、テクスチャ加工又は静電植毛処理等による油誘導処理が施されていてもよい。この場合、前記表面は、テクスチャ面又は静電植毛処理面等による油誘導面を有する。
これに対して、円筒部60の外周面68は、旋盤による旋削面、又は、ブラスト面(ブラスト加工面)であるのが好ましい。これは、外方部材12に対する円筒部60のアンカー作用による固定力を高めるためである。
内周面67のうち、保持部材53から端部66a(66b)までの間の表面には、油が塗布されている。前記表面に塗布されている油は、グリース56に含まれる基油と同じ種類であればよい。これにより、保持部材53と円筒部60との間において、基油の移動が行われやすい。
また、内周面67の軸方向端部は傾斜面69となっている。傾斜面69は、軸方向の端に向かうにしたがって内径が大きくなる形状を有する。傾斜面69によれば、円筒部60の内周面67と外側軌道面26との間で、基油が流れやすくなる。
以上より、本開示の転がり軸受装置10によれば、グリース56の基油を外側軌道面26に供給することができ、潤滑性能を確保することが可能である。グリース56の増ちょう剤(及び添加剤)等の油以外の成分は、外側軌道面26に到達するのを防ぎ、トルクが増大するのを防止することが可能となる。
本開示の転がり軸受装置10では、グリース56から保持部材53への毛細管現象による基油の移動と、保持部材53から取り付け部材52側への基油の表面張力による移動とが、調和して生じる。例えば、軸方向一方側の外側軌道面26側に基油が充分に存在する場合、保持部材53から取り付け部材52(内周面67)へは基油の供給が行われ難く、また、グリース56から保持部材53へ基油の移動は行われ難い。このため、給油対象である外側軌道面26等に対して、基油の微量供給が可能となる。つまり、外側軌道面26及び転動体16において基油が多くなりすぎず、適切な潤滑が可能となり、軸受回転による基油の撹拌抵抗の増加が抑えられる。
〔本開示の転がり軸受装置10について〕
以上のように、本開示の転がり軸受装置10は、内方部材14と、外方部材12と、これら内方部材14と外方部材12との間に介在している複数の転動体16とを備える。更に、転がり軸受装置10は、外方部材12に設けられグリース56を収容する収容部51と、収容部51を覆うようにして外方部材12に取り付けられている取り付け部材52と、取り付け部材52に固定されている保持部材53とを有する。取り付け部材52は、収容部51のグリース56の基油を通過可能とする貫通穴63を少なくとも一つ有する。保持部材53は、貫通穴63を通過する基油を浸透させて保持する。
このような転がり軸受装置10によれば、保持部材53から基油が滲み出て消費されても、保持部材53には収容部51のグリース56から基油が補充される。このため、転がり軸受装置10の潤滑性を長期にわたって維持することが可能となる。また、グリース56そのもの及び増ちょう剤が外側軌道面26,26及び転動体16に供給されるのではなく、グリース56に含まれる基油が供給される。このため、グリース56の撹拌及びグリース56の噛み込み等により回転抵抗が増加するのを防ぐことが可能となる。
また、本開示の転がり軸受装置10では、取り付け部材52は、外方部材12に密着して取り付けられている円筒部60と、円筒部60から径方向内方に延びて設けられている凸部62とを有する。保持部材53は、凸部62と嵌合する凹部65を有する。この構成により、保持部材53と取り付け部材52とが一体となる。そして、取り付け部材52の円筒部60は外方部材12に密着して取り付けられるため移動不能である。このような取り付け部材52によれば、保持部材53が比較的弾性変形しやすい構造であったとしても、その保持部材53は移動しないようにして取り付け部材52を介して外方部材12に取り付けられる。
更に、凸部62は、円筒部60に沿って略全周にわたって設けられている。環状である保持部材53の凹部65は凸部62に嵌合する環状溝である。この構成により、保持部材53は略全周にわたって取り付け部材52に固定され、保持部材53が取り付け部材52から脱落するのを防ぐ機能がより一層高まる。
本開示では、転動体16は、内方部材14と外方部材12との間に形成される環状空間15に二列となって設けられている。給油部50、つまり、収容部51、取り付け部材52、及び保持部材53は、一方の転動体16の列と他方の転動体16の列との間に設けられている。このため、一つの給油部50から、一方の転動体16の列及び他方の転動体16の列それぞれに対して基油の供給が可能となる。
〔その他〕
前記実施形態では、外方部材12に給油部50が設けられているが、内方部材14に給油部50が設けられていてもよい。特に、転がり軸受装置10が車輪用転がり軸受装置ではなく、外方部材12が回転輪となり、内方部材14が固定輪となる転がり軸受装置の場合、内方部材14に給油部50が設けられる。つまり、図示しないが(図2を参考に説明すると)、内方部材14に収容部51が設けられ、その収容部51を覆うようにして取り付け部材52が内方部材14に取り付けられる。その取り付け部材52に保持部材53が固定される。
前記の形態では、転動体16は、玉であるが、ころであってもよい。
また、潤滑剤としてグリース56が用いられる場合について説明したが、油を含む半固体状である潤滑剤は、グリース56以外であってもよい。
前記給油部50を、転がり軸受装置10に適用する他に、滑り軸受又は歯車にも適用可能である。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10:転がり軸受装置 12:外方部材 14:内方部材
16:転動体 26:外側軌道面 42:軸軌道面
44:内輪軌道面 51:収容部 52:取り付け部材
53:保持部材 56:グリース(潤滑剤) 60:円筒部
62:凸部 63:貫通穴 65:凹部

Claims (5)

  1. 外周に軌道を有する内方部材と、
    内周に軌道を有する外方部材と、
    前記内方部材と前記外方部材との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体と、
    前記内方部材と前記外方部材とのうちの一方の軌道部材に設けられ半固体状である潤滑剤を収容する収容部と、
    前記収容部を覆うようにして前記軌道部材に取り付けられ前記収容部の前記潤滑剤の油を通過可能とする貫通穴を少なくとも一つ有する取り付け部材と、
    前記取り付け部材に固定され前記貫通穴を通過する前記油を浸透させて保持する保持部材と、
    を備える、転がり軸受装置。
  2. 前記取り付け部材は、前記軌道部材に密着して取り付けられている円筒部と、当該円筒部から径方向に延びて設けられている凸部と、を有し、
    前記保持部材は前記凸部と嵌合する凹部を有する、請求項1に記載の転がり軸受装置。
  3. 前記凸部は、前記円筒部に沿って略全周にわたって設けられていて、
    前記保持部材は環状であり、前記凹部は前記凸部に嵌合する環状溝である、請求項2に記載の転がり軸受装置。
  4. 前記転動体は、前記内方部材と前記外方部材との間に形成される環状空間に二列となって設けられていて、
    前記収容部、前記取り付け部材、及び前記保持部材は、一方の前記転動体の列と他方の前記転動体の列との間に設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
  5. 前記潤滑剤は、前記油としての基油、及び増ちょう剤を含むグリースである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
JP2019213127A 2019-11-26 2019-11-26 転がり軸受装置 Pending JP2021085431A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019213127A JP2021085431A (ja) 2019-11-26 2019-11-26 転がり軸受装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019213127A JP2021085431A (ja) 2019-11-26 2019-11-26 転がり軸受装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021085431A true JP2021085431A (ja) 2021-06-03

Family

ID=76087189

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019213127A Pending JP2021085431A (ja) 2019-11-26 2019-11-26 転がり軸受装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021085431A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8523449B2 (en) Rolling bearing
JPH0579045U (ja) 転がり軸受
US2569531A (en) Ball-bearing structure
US6799896B2 (en) Separator grease retention and feed system for wheel spindle bearings
US2029445A (en) Bearing
JP2017025931A (ja) 転がり軸受
JP4732301B2 (ja) 転がり軸受
JP2021085431A (ja) 転がり軸受装置
US5399026A (en) Bearing with lubricating ring for providing supplemental lubrication
WO2021106722A1 (ja) 転がり軸受装置
JP2021085427A (ja) 転がり軸受装置
JP3495077B2 (ja) ころ軸受及び円錐ころ軸受並びに自動調心ころ軸受
JP2021032271A (ja) 転がり軸受装置
JP2021032273A (ja) 転がり軸受装置
WO2021033470A1 (ja) 転がり軸受装置
CA1191182A (en) Tapered roller bearing capable of sustained operation without lubricant replenishment
US3574425A (en) Fabrication of hollow balls, for use as ball bearings, from powder
JP2021032272A (ja) 転がり軸受装置
US20170356497A1 (en) Bearing race
JP6759838B2 (ja) ころ軸受
JPH11280772A (ja) 給油手段付転がり軸受装置
JP2004108544A (ja) ころ軸受
US11674551B2 (en) Lubricant supply device, method for manufacturing the same, and rolling sliding device
JPH0635659U (ja) 転がり軸受潤滑装置
JP2022108999A (ja) 転がり軸受