JP2021032271A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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JP2021032271A JP2019150238A JP2019150238A JP2021032271A JP 2021032271 A JP2021032271 A JP 2021032271A JP 2019150238 A JP2019150238 A JP 2019150238A JP 2019150238 A JP2019150238 A JP 2019150238A JP 2021032271 A JP2021032271 A JP 2021032271A
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Toru Kamiya
徹 神谷
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Abstract

【課題】転がり軸受装置において、潤滑性能を確保すると共に、トルクが増大するのを防止する。【解決手段】転がり軸受装置10は、外周に軌道を有する内方部材14と、内周に軌道を有する外方部材12と、内方部材14と外方部材12との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体16と、外方部材12に設けられ半固体状である潤滑剤に含まれる油を前記軌道に供給可能である給油部50とを備える。給油部50は、外方部材12に取り付けられていると共に前記油の浸透及び滲み出しが可能である保持部材51と、前記潤滑剤を前記保持部材51に接した状態として溜める溜め部52とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受装置に関する。
各種回転機器の軸受部の潤滑方式として、グリースのような半固体状である潤滑剤による方式が用いられている。グリースによる潤滑方式の場合、油を吐出するポンプ及び油を溜めるタンク等の付帯設備が不要であり、軸受部及びその周囲の構成の簡素化及びコンパクト化が可能となる。グリースによる潤滑が行われる回転機器の例として、ハブベアリング(ハブユニットともいう。)が挙げられる。ハブベアリングは、自動車において車輪を支持する車輪用の転がり軸受装置である。
グリースにより軸受部の潤滑を行うために、例えば外輪の肩部に繊維材又は多孔質材からなる油保持体が取り付けられている発明が提案されている。例えば、特許文献1には、前記のような油保持体に、油の他に、グリースを含浸させることが開示されている。
特開2017−58013号公報
グリース潤滑の場合、転がり軸受が回転すると、グリースの撹拌抵抗が大きくなることがある。また、グリースに含まれる増ちょう剤が転がり軸受の転動体と軌道との間に噛み込むと、トルク(回転抵抗)が一時的に増大したり、音又は振動が発生したりする。また、高速回転時の発熱が問題となることもある。特に、ハブベアリングの場合、トルクの増大は、自動車の燃料消費に影響を及ぼす。このため、トルクの増大を抑制することが望まれている。
特許文献1に開示の発明において、外輪の肩部に取り付けられた繊維材又は多孔質材にグリースを含浸させた場合、そのグリースに含まれる増ちょう剤が、繊維材又は多孔質材から離脱して、軌道に付着することがある。すると、増ちょう剤の噛み込みにより、トルクが増大する。
そこで、本開示は、潤滑性能を確保することが可能であると共に、トルクが増大するのを防止することが可能となる転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本開示の転がり軸受装置は、外周に軌道を有する内方部材と、内周に軌道を有する外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体と、前記外方部材と前記内方部材との内の一方の軌道部材に設けられ半固体状である潤滑剤に含まれる油を前記軌道に供給可能である給油部と、を備え、前記給油部は、前記軌道部材に取り付けられていると共に前記油の浸透及び滲み出しが可能である保持部材と、前記潤滑剤を前記保持部材に接した状態として溜める溜め部と、を有する。
前記転がり軸受装置によれば、溜め部の潤滑剤に含まれる油が、保持部材に浸透し、保持部材に浸透した油は、軌道部材の表面に滲み出ることができる。そして、その油は、軌道部材の表面を通じて軌道に供給される。
これに対して、溜め部の潤滑剤に含まれる油以外の成分については、保持部材への侵入が阻害され、油以外の成分が軌道に到達するのを防ぐことができる。
以上のように、油を軌道に供給することができ、潤滑性能を確保することが可能であると共に、油以外の成分が軌道に到達するのを防ぎ、トルクが増大するのを防止することが可能となる。
また、好ましくは、前記保持部材は、前記軌道部材の周面に固定される固定部と、当該固定部から径方向に延びて設けられている壁部と、を有し、前記溜め部は、前記壁部を挟んで前記転動体と反対側に設けられている。
この構成によれば、固定部と壁部とによって区画される領域が前記溜め部となる。つまり、保持部材が外方部材の内周面に取り付けられる場合、固定部の内周面側であって、壁部の転動体と反対側の領域が、前記溜め部となる。そして、固定部の内周面、及び、壁部の転動体と反対側の側面に、潤滑剤が接することができる。保持部材が内方部材の外周面に取り付けられる場合、固定部の外周面側であって、壁部の転動体と反対側の領域が、前記溜め部となる。そして、固定部の外周面、及び、壁部の転動体と反対側の側面に、潤滑剤が接することができる。
また、好ましくは、前記転動体は、前記内方部材と前記外方部材との間に形成される環状空間に二列となって設けられていて、前記給油部は、一方の前記転動体の列と他方の前記転動体の列との間に設けられている。
この場合、一つの給油部から、一方の転動体の列及び他方の転動体の列それぞれに対して油の供給が可能となる。
また、好ましくは、前記潤滑剤は、前記油としての基油、及び増ちょう剤を含むグリースである。
この場合、溜め部のグリースの基油が、保持部材に浸透し、浸透した基油が、軌道部材の表面に滲み出る。そして、その基油は、軌道部材の表面を通じて軌道に供給される。これに対して、溜め部のグリースの増ちょう剤については、保持部材への侵入が阻害され、軌道に到達しない。
また、好ましくは、前記給油部が設けられている前記軌道部材の内の、前記保持部材から前記軌道までの間の表面は、研削面又は研磨面である。
仮に、軌道部材の内の保持部材から軌道までの間の表面が、切削面である場合、油は、切削溝に沿って流れやすくなる。つまり、油は周方向に流れやすくなる。これに対して、前記表面が、研削面又は研磨面であれば、切削面である場合と比較して、油が保持部材から軌道に向かう方向に流れ易くなる。
本開示の転がり軸受装置によれば、潤滑性能を確保することが可能であると共に、トルクが増大するのを防止することが可能となる。
転がり軸受装置の一例を示す断面図である。 給油部及びその周囲を示す断面図である。
〔転がり軸受装置について〕
図1は、転がり軸受装置の一例を示す断面図である。図1に示す転がり軸受装置10は、車輪用軸受装置である。車輪用軸受装置は、ハブベアリング又はハブユニットとも称され、車両(自動車)の車体に設けられている懸架装置に取り付けられ、車輪7を回転可能に支持する。図1に示す転がり軸受装置10が車体(懸架装置)に取り付けられた状態で、図1の右側が、車輪7側であり、車両アウタ側と称される。図1の左側が、車体中央側であり、車両インナ側と称される。
本開示の転がり軸受装置10において、転がり軸受装置10の中心線Cに沿った方向が「軸方向」と定義される。この軸方向には、転がり軸受装置10の中心線Cに平行な方向も含まれる。本開示の転がり軸受装置10では、車両アウタ側が軸方向一方側となり、車両インナ側が軸方向他方側となる。また、中心線Cに直交する方向が「径方向」と定義され、中心線Cを中心とする周回方向が「周方向」と定義される。
転がり軸受装置10は、外方部材(外輪部材ともいう。)12と、内方部材(内軸部材ともいう。)14と、外方部材12と内方部材14との間に設けられている複数の転動体16とを備える。本開示の転動体16は、玉である。
外方部材12は、円筒形状である外輪本体部22と、外輪本体部22から径方向外方に向かって延びて設けられている固定用のフランジ部24とを有する。外輪本体部22の内周の軸方向一方側及び他方側それぞれに、外側軌道面26が形成されている。外側軌道面26は、転動体16が転動(転がり接触)する軌道である。フランジ部24が車体側部材である懸架装置の一部に取り付けられる。これにより、外方部材12を含む転がり軸受装置10が車体に固定される。
内方部材14は、軸状のハブ軸32(内軸)と、ハブ軸32の軸方向他方側に固定されている内輪34とを有する。ハブ軸32は、外方部材12の径方向内方に設けられている軸本体部36と、フランジ部38とを有する。軸本体部36は、軸方向に長い部分である。フランジ部38は、軸本体部36の軸方向一方側から径方向外方に向かって延びて設けられている部分である。フランジ部38に、ボルト穴39が形成されている。このボルト穴39に取り付けられるボルト8によって車輪7がフランジ部38に固定される。内輪34は、環状の部材であり、軸本体部36の軸方向他方側の一部40に外嵌して固定されている。
軸本体部36の外周側に、転動体16が転動する軌道として軸軌道面42が形成されている。内輪34の外周面に、転動体16が転動する軌道として内輪軌道面44が形成されている。軸方向一方側の外側軌道面26と軸軌道面42との間に複数の転動体16が設けられている。軸方向他方側の外側軌道面26と内輪軌道面44との間に複数の転動体16が設けられている。つまり、転がり軸受装置10は、二列の転動体16を備える。各列において、複数の転動体16は保持器18によって保持されている。以上より、外方部材12と内方部材14とは同心状に配置され、外方部材12に対して内方部材14が中心線Cを中心として回転する。
本開示の転がり軸受装置10は、半固体状の潤滑剤であるグリース56に含まれる基油によって潤滑される。特に、転動体16と各軌道との間、及び、転動体16と保持器18との摺接部が、給油対象となり、基油によって潤滑される。そのため、転がり軸受装置10は、更に、給油部50を備える。給油部50は、外方部材12と内方部材14との内の一方の軌道部材に設けられる。本開示では、固定輪となる外方部材12に給油部50は設けられている。給油部50は、グリース56に含まれる基油を軸方向一方側及び軸方向他方側の外側軌道面26に供給可能である。外側軌道面26に供給された基油は、転動体16に付着し、更に、軸軌道面42及び内輪軌道面44に供給される。また、転動体16に付着した基油は、保持器18にも供給される。なお、給油部50は回転輪(内方部材14側)に設けられていてもよい。
グリース56は、基油及び増ちょう剤の他に添加剤を含む。グリース56の種類は、従来より転がり軸受の潤滑に用いられる種類が採用される。
〔給油部50について〕
図2は、給油部50及びその周囲を示す断面図である。給油部50は、保持部材51と、溜め部52とを有する。溜め部52は、グリース56を溜める領域である。保持部材51は、外方部材12(外輪本体部22)に取り付けられている。本開示の保持部材51は、多孔質材からなり、溜め部52のグリース56に含まれている基油の浸透、及び、外輪本体部22の表面45への基油の滲み出しが可能である。
本開示の保持部材51は、円環状であり、外輪本体部22の内周面23の一部に密着して嵌合している。内周面23は、軸方向一方側の外側軌道面26と、軸方向他方側の外側軌道面26との間に設けられている面であり、中心線Cを中心とする円筒面により構成されている。前記表面45は、内周面23の軸方向両側の部分であり、保持部材51によって覆われておらず、露出している面である。
図2に示す保持部材51は、円筒状の固定部54と、一対の円環状の壁部55とを有する。固定部54は、外輪本体部22の内周面23に固定されている。固定部54の外周面53の一部又は全部が、外輪本体部22の内周面23に直接的に接触している。固定部54と外輪本体部22とは接着剤によって接着されていてもよい。この場合、固定部54の外周面53と外輪本体部22の内周面23との間に接着剤による接着層が介在する。壁部55は、固定部54の軸方向両側の端部それぞれから径方向に延びて設けられている。軸方向一方側の壁部55と、軸方向他方側の壁部55とは同じ構成である。保持部材51の断面形状は、図2に示すようにU字状である。
固定部54と、2つの壁部55,55とによって囲まれる環状の空間が、溜め部52となる。溜め部52は、グリース56を溜める領域である。グリース56は、保持部材51の一部に接した状態となって、溜め部52に溜められている。図2に示すように、グリース56は、壁部55及び固定部54に接触した状態となって、溜め部52に装填されている。溜め部52は、軸方向一方側の壁部55を挟んで、軸方向一方側の転動体16と反対側に設けられている。また、溜め部52は、軸方向他方側の壁部55を挟んで、軸方向他方側の転動体16と反対側に設けられている。保持部材51及び溜め部52のグリース56は、内方部材14と非接触の状態にある。保持部材51は、保持器18と非接触の状態にある。
保持部材51に、グリース56が接触していると共に、油が予め含浸されている。保持部材51に予め含浸させる油は、グリース56に含まれる基油と同じ種類であればよい。これにより、溜め部52のグリース56と保持部材51との間において、基油の移動が行われやすい。
多孔質材からなる保持部材51は、焼結又は発泡により製造される。保持部材51は、連続する多数の微細空孔を有する。その空孔の直径(平均径)は、例えば、20マイクロメートル以上、200マイクロメートル以下に設定されるのが好ましい。空孔の直径が20マイクロメートル以上であることにより、基油の浸透及び滲み出しについて、保持部材51は所望の性能を有することができる。空孔の直径が200マイクロメートル以下であることにより、グリース56に含まれる増ちょう剤等を空孔に侵入し難くする機能が高まる。基油の保有量を確保するために、例えば、空孔率(体積率)は、50%以上、90%以下に設定されるのが好ましい。
保持部材51が取り付けられる外輪本体部22の内周面23は、機械加工面となっている。その内周面23の内、保持部材51が取り付けられている面(取り付け面46)から、軸方向一方側の外側軌道面26までの間の表面45は、研削面又は研磨面である。また、取り付け面46から、軸方向他方側の外側軌道面26までの間の表面45は、研削面又は研磨面である。取り付け面46は、研削面又は研磨面であってもよいが、本開示では、切削面(旋削面)である。切削面は、周方向に沿って連続する小溝(旋削溝)により構成される。これに対して、研削面又は研磨面は、周方向に沿って連続する小溝は形成されていない。
旋削面の表面粗さRaは、6.3〜25程度である。研削面の表面粗さRaは、1.6以下である。研磨面の表面粗さRaは、0.1以下である。取り付け面46から外側軌道面26までの間の表面45が、研削面又は研磨面であることで、保持部材51から外側軌道面26に向けて、基油を誘導する機能が高くなる。取り付け面46が切削面であることで、外方部材12に対する保持部材51の固定力が高まる。
外輪本体部22の内周面23の内の、保持部材51から外側軌道面26までの間の表面45には、油が塗布されている。表面45に塗布されている油は、グリース56に含まれる基油と同じ種類であればよい。これにより、保持部材51と外側軌道面26との間において、基油の移動が行われやすい。
外輪本体部22の内周面23の内の、保持部材51から外側軌道面26までの間の表面45は、研削面又は研磨面であると共に(又は、研削面又は研磨面である代わりに)親油性コーティングを有していてもよい。親油性コーティング以外として、表面45に、テクスチャ加工又は静電植毛処理等による油誘導処理が施されていてもよい。この場合、前記表面45は、テクスチャ面又は静電植毛処理面等による油誘導面を有する。
保持部材51について更に説明する。保持部材51の厚さtは、強度確保、及び基油の浸透性能及び滲み出し性能を考慮して、例えば、2ミリメートル以上、15ミリメートル以下に設定されるのが好ましい。本開示では、軸方向一方側の転動体16の列と、軸方向他方側の転動体16の列との間の狭い領域に、保持部材51が設けられる。このため、保持部材51の厚さtは薄いのが好ましく、2ミリメートル以上、5ミリメートル以下とされる。
本開示の保持部材51は多孔質材であるが、羊毛等の繊維材料を圧縮して所定形状に成型して得られた繊維体であってもよい。この場合においても、その保持部材51は、油の浸透及び滲み出しが可能である。しかし、保持部材51の一部の脱落及び品質安定性の観点から、保持部材51は多孔質材であるのが好ましく、焼結体又は発泡材により構成される。多孔質材からなる保持部材51の材質は、ポリエチレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド等の高分子材、又は、金属材である。耐熱性を考慮すると、保持部材51は金属製の多孔質材であるのが好ましい。連続空孔を多数形成するために、保持部材51は、金属粉末を焼結によって成形した金属焼結材であるのが好ましい。
保持部材51の空孔の直径(平均径)及び空孔率は、前記のとおり設定されるのが好ましい。しかし、グリース56に含まれる基油の種類及び粘度、並びに、グリース56に含まれる増ちょう剤の種類及び量に応じて、空孔の直径(平均径)及び空孔率は設定される。空孔の直径(平均径)及び空孔率、基油の種類及び粘度、並びに、増ちょう剤の種類及び量の少なくとも1つのパラメータを調整することで、グリース56から保持部材51へ基油が浸透する量、及び、その基油が保持部材51から外輪本体部22へ滲み出る量の調整が可能となる。つまり、外側軌道面26への給油量の調整が可能となる。
〔本開示の転がり軸受装置10について〕
以上のように、本開示の転がり軸受装置10は、外方部材12に設けられている給油部50を備える。給油部50は、グリース56に含まれる基油を外側軌道面26に供給可能とする機能を有する。給油部50は、保持部材51と溜め部52とを有する。保持部材51は、外方部材12に取り付けられていると共に、グリース56の基油の浸透、及びその基油の外方部材12の表面45への滲み出しが可能である。そして、溜め部52は、グリース56を保持部材51に接した状態として溜める。
このような構成を備える転がり軸受装置10によれば、溜め部52のグリース56に含まれる基油が、保持部材51に毛細管現象によって浸透する。保持部材51に浸透した基油は、外方部材12の内周面の一部(表面45)に、基油の表面張力によって、滲み出ることができる。そして、その基油は、内周面の一部(表面45)を通じて外側軌道面26に供給される。
これに対して、溜め部52のグリース56に含まれる油以外の成分、つまり、増ちょう剤(及び添加剤)については、保持部材51への侵入が阻害される。このため、油以外の成分が外側軌道面26に到達するのを防止することができる。よって、基油が保持部材51において詰まり難くなり、グリース56から外側軌道面26への基油の供給経路において、安定した給油性能が維持される。
本開示の保持部材51は、前記のとおり、外方部材12の内周面23に固定されている固定部54と、固定部54から径方向に延びて設けられている壁部55とを有する。そして、溜め部52は、軸方向一方の壁部55を挟んで軸方向一方の転動体16と反対側に設けられている。また、溜め部52は、軸方向他方の壁部55を挟んで軸方向他方の転動体16と反対側に設けられている。この構成により、固定部54と壁部55とによって区画される領域が、溜め部52となる。つまり、固定部54の内周面側であって、壁部55の転動体16と反対側の領域が、溜め部52となる。そして、固定部54の内周面、及び、壁部55の転動体16と反対側の側面に、グリース56が接する。
前記のとおり、外方部材12の表面45にも基油が予め塗布されている。そして、保持部材51に基油が予め浸透している。保持部材51は多孔質材からなる。このため、壁部55及び固定部54に接した状態にある溜め部52のグリース56から、毛細管現象によってグリース56の基油が保持部材51に浸透する。そして、外方部材12の表面45に存在する基油の表面張力によって、保持部材51から基油を滲み出させることができる。
本開示の転がり軸受装置10では、グリース56から保持部材51への毛細管現象による基油の移動と、保持部材51から外方部材12の表面45への基油の表面張力による移動とが、調和して生じる。よって、給油対象である外側軌道面26等に対して、基油の微量供給が可能となる。つまり、基油が多くなりすぎず、適切な潤滑が可能となり、軸受回転による基油の撹拌抵抗の増加が抑えられる。
前記のとおり、外方部材12の内の、保持部材51から外側軌道面26までの間の表面45は、研削面又は研磨面である。
仮に、前記表面45が切削面である場合、基油は、切削溝に沿って流れやすくなる。つまり、基油は周方向に流れやすくなる。しかし、本開示では、前記表面45が、研削面又は研磨面である。このため、前記表面45が切削面である場合と比較して、基油が保持部材51から外側軌道面26に向かう方向(軸方向)に流れ易くなる。
なお、外方部材12の内の、保持部材51が接触する領域(取り付け面46)は、切削面であってもよい。この場合、外方部材12と保持部材51との間の摩擦抵抗が高くなり、外方部材12に対する保持部材51の固定力が強くなる。
本開示では、転動体16は、内方部材14と外方部材12との間に形成される環状空間15に、二列となって設けられている。一つの給油部50が、一方の転動体16の列と他方の転動体16の列との間に設けられている。よって、一つの給油部50から、軸方向一方側の転動体16の列、及び、軸方向他方側の転動体16の列それぞれに対して、基油の供給が可能となる。
以上のように、本開示の転がり軸受装置10によれば、基油を外側軌道面26等に供給することができ、潤滑性能を確保することが可能である。しかも、油以外の成分(増ちょう剤)が外側軌道面26に到達するのを防ぎ、トルクが増大するのを防止することが可能となる。
〔その他〕
前記の形態では、転動体16は、玉であるが、ころであってもよい。
また、潤滑剤としてグリース56が用いられる場合について説明したが、油を含む半固体状である潤滑剤は、グリース56以外であってもよい。
前記給油部50を、以上のように転がり軸受装置10に適用する他に、滑り軸受又は歯車にも適用可能である。つまり、その給油部50は、半固体状である潤滑剤(グリース)に含まれる油を、給油対象に供給可能であって、その給油部50は、前記給油対象の近傍に取り付けられていると共に前記油の浸透及び滲み出しが可能である保持部材と、前記潤滑剤を前記保持部材に接した状態として溜める溜め部とを有する。これにより、油を給油対象に供給することができ、潤滑性能を確保することが可能であると共に、油以外の成分が給油対象に到達するのを防ぐことが可能となる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は前述の実施形態に限定されるものではなく、この技術的範囲には特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
10:転がり軸受装置 12:外方部材(軌道部材) 14:内方部材(軌道部材) 15:環状空間 16:転動体 26:外側軌道面(軌道) 42:軸軌道面(軌道) 44:内輪軌道面(軌道) 45:表面 50:給油部 51:保持部材 52:溜め部 54:固定部 55:壁部 56:グリース

Claims (5)

  1. 外周に軌道を有する内方部材と、内周に軌道を有する外方部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に介在し前記軌道を転動する複数の転動体と、前記外方部材と前記内方部材との内の一方の軌道部材に設けられ半固体状である潤滑剤に含まれる油を前記軌道に供給可能である給油部と、を備え、
    前記給油部は、
    前記軌道部材に取り付けられていると共に前記油の浸透及び滲み出しが可能である保持部材と、
    前記潤滑剤を前記保持部材に接した状態として溜める溜め部と、
    を有する、転がり軸受装置。
  2. 前記保持部材は、前記軌道部材の周面に固定される固定部と、当該固定部から径方向に延びて設けられている壁部と、を有し、
    前記溜め部は、前記壁部を挟んで前記転動体と反対側に設けられている、請求項1に記載の転がり軸受装置。
  3. 前記転動体は、前記内方部材と前記外方部材との間に形成される環状空間に二列となって設けられていて、
    前記給油部は、一方の前記転動体の列と他方の前記転動体の列との間に設けられている、請求項1又は2に記載の転がり軸受装置。
  4. 前記潤滑剤は、前記油としての基油、及び増ちょう剤を含むグリースである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
  5. 前記給油部が設けられている前記軌道部材の内の、前記保持部材から前記軌道までの間の表面は、研削面又は研磨面である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受装置。
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