JPWO2019172447A1 - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Abstract

摩擦抵抗の増加や製造コストの増大を抑制しつつ、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても焼付きを防止することができる円すいころ軸受を提供する。円すいころ軸受(10)の保持器(14)は、小径側円環部(14c)の軸方向内端面(14d)と円すいころ(13)の小径側端面(13c)との間に第1隙間(S1)を有すると共に、大径側円環部(14a)の軸方向内端面(14b)と円すいころ(13)の大径側端面(13b)との間に第2隙間(S2)を有して、軸方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられ、大径側円環部(14a)には、潤滑油を保持する保油部である保油部材(20)が設けられ、保油部材(20)と円すいころ(13)の大径側端面(13b)との間に第3隙間(S3)を有する。

Description

本発明は、円すいころ軸受に関し、特に、軸受内部に潤滑油が供給される円すいころ軸受に関する。
近年、一部のハイブリッド車のトランスミッションのように、エンジン停止時に潤滑油ポンプを停止する機構が登場しており、軸受の焼付き問題を生じさせやすい。また、自動車の被牽引時には潤滑油ポンプが作動せずにタイヤが空転するため、トランスミッション内の軸受に焼付きが生じることがある。このため、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても焼付きを防止することができる軸受が求められている。
従来の円すいころ軸受として、外輪の内周面に対して所定の間隔を有して保持器の大径側円環部の外周面に固定されると共に、円すいころの端面に接触する円すいころ接触部材を設けるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この円すいころ接触部材は、潤滑油が浸透する性質を有する材料からなる。
また、他の従来の円すいころ軸受として、内輪、外輪及び保持器のうち少なくとも1つの軸受部材において、この軸受部材と転動体との接触表面以外の軸受内部側の表面に植毛部が接着固定されるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。この植毛部は、繊維材又は多孔質材からなる油保持体であり、潤滑油が放出可能な状態で保持又は含浸される。
国際公開第2008/087926号 日本国特開2017−58013号公報
しかしながら、上記特許文献1、2に記載の円すいころ軸受では、軸受の焼付きを防止することができるものの、保油部材(円すいころ接触部材、植毛部)が円すいころに常時接触する構成であるため、摩擦抵抗の増加や保油部材の摩滅の促進により潤滑効果を長期間持続することが困難であった。また、保油部材の円すいころへの押付け力を適切に保つためには、保油部材の寸法や剛性などに高度な管理が求められ、製造コストが増大する可能性があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、摩擦抵抗の増加や製造コストの増大を抑制しつつ、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても焼付きを防止することができる円すいころ軸受を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、外輪軌道面と内輪軌道面との間に転動可能に設けられる複数の円すいころと、複数の円すいころを周方向に略等間隔に保持する保持器と、を備え、保持器は、大径側円環部と、大径側円環部と同軸に配置される小径側円環部と、大径側円環部と小径側円環部とを軸方向に連結し、周方向に略等間隔に設けられる複数の柱部と、周方向に互いに隣り合う柱部間に形成され、円すいころを転動可能に保持するポケットと、を有する円すいころ軸受であって、保持器は、小径側円環部の軸方向内端面と円すいころの小径側端面との間に第1隙間を有すると共に、大径側円環部の軸方向内端面と円すいころの大径側端面との間に第2隙間を有して、軸方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられ、大径側円環部には、潤滑油を保持する保油部が設けられ、保油部と円すいころの大径側端面との間に第3隙間を有し、保持器が円すいころの小径側に軸方向に移動したときに、保油部が円すいころの大径側端面に接触し、保持器が円すいころの大径側に軸方向に移動したときに、保油部が円すいころの大径側端面から離れることを特徴とする円すいころ軸受。
(2)保油部は、毛細管現象により潤滑油を保持可能な部材からなることを特徴とする(1)に記載の円すいころ軸受。
(3)保油部は、潤滑油を保持可能な複数の溝からなることを特徴とする(1)に記載の円すいころ軸受。
(4)第3隙間の軸方向寸法は、第2隙間の軸方向寸法よりも小さく設定されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の円すいころ軸受。
(5)潤滑油が軸受内部に断続的に供給される、或いは、軸受内部の潤滑油が微量である潤滑環境下で使用されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の円すいころ軸受。
本発明によれば、保持器の大径側円環部に、潤滑油を保持する保油部が設けられ、保持器が円すいころの小径側に軸方向に移動したときに、保油部が円すいころの大径側端面に接触するため、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても軸受の焼付きを防止することができる。また、保持器が円すいころの大径側に軸方向に移動したときに、保油部が円すいころの大径側端面から離れて、保油部が円すいころに常時接触しないため、軸受回転時の摩擦抵抗の増加を抑制することができ、さらに、保油部の摩耗を抑制することができる。また、高度な部品寸法精度などの管理が不要であり、製造コストの増大を抑制することができる。
本発明に係る円すいころ軸受の第1実施形態を説明する断面図である。 図1の円すいころ軸受を円すいころの大径側から見た拡大側面図である。 図1に示す保持器を径方向外側から見た模式図である。 図1に示す保持器を径方向内側から見た模式図である。 図1に示す保持器が円すいころの大径側に軸方向に移動したときを説明する断面図である。 図1に示す保持器が円すいころの小径側に軸方向に移動したときを説明する断面図である。 第1実施形態の保油部材の第1変形例を説明する模式図である。 図7の保油部材を有する円すいころ軸受を円すいころの大径側から見た拡大側面図である。 第1実施形態の保油部材の第2変形例を説明する断面図である。 本発明に係る円すいころ軸受の第2実施形態を説明する断面図である。 第2実施形態の保油部材の変形例を説明する断面図である。 本発明に係る円すいころ軸受の第3実施形態を説明する断面図である。 第3実施形態の保油部材の変形例を説明する断面図である。 本発明に係る円すいころ軸受の第4実施形態を説明する断面図である。 図14に示す保持器を径方向内側から見た模式図である。 第4実施形態の複数の溝の第1変形例を説明する断面図である。 第4実施形態の複数の溝の第2変形例を説明する断面図である。 第4実施形態の複数の溝の第3変形例を説明する断面図である。 第4実施形態の複数の溝の第4変形例を説明する模式図である。 第4実施形態の複数の溝の第5変形例を説明する模式図である。 第4実施形態の複数の溝の第6変形例を説明する模式図である。 第4実施形態の複数の溝の第7変形例を説明する模式図である。 溝の周方向の溝端部と円すいころの大径側端面との接触位置関係を示す模式図である。 溝端部が円すいころと接する状態を示す説明図である。 溝端部が円すいころと接しない状態を示す説明図である。 潤滑油ポンプによる軸受への給油を説明する断面図である。 歯車の跳ね掛けによる軸受への給油を説明する断面図である。
以下、本発明に係る円すいころ軸受の各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図9を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第1実施形態について説明する。
本実施形態の円すいころ軸受10は、図1に示すように、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に転動可能に設けられる複数の円すいころ13と、複数の円すいころ13を周方向に略等間隔に保持する保持器14と、を備える。なお、本実施形態では、潤滑油が不図示の潤滑油ポンプなどにより軸受内部に適宜供給される。
内輪12は、内輪12の大径側端部に設けられる大鍔部12bと、内輪12の小径側端部に設けられる小鍔部12cと、を有する。内輪12の外周面は、略円すい状に形成されている。また、円すいころ13は、円すいころ13の周面に設けられる転動面13aと、円すいころ13の大径側端部に設けられる大径側端面13bと、円すいころ13の小径側端部に設けられる小径側端面13cと、を有する。
保持器14は、金属製であり、プレス塑性加工などにより成形されており、大径側円環部14aと、大径側円環部14aと同軸配置される小径側円環部14cと、大径側円環部14aと小径側円環部14cとを軸方向で連結し、周方向に略等間隔に設けられる複数の柱部14eと、周方向に互いに隣り合う柱部14e間で、大径側円環部14a及び小径側円環部14cとにより囲まれて形成され、円すいころ13を転動可能に保持するポケット14fと、を有する。
また、保持器14は、保持器14の小径側円環部14cの軸方向内端面14dと円すいころ13の小径側端面13cとの間に第1隙間S1を有する。また、保持器14は、保持器14の大径側円環部14aの軸方向内端面(以下、単に「ポケット面」とも言う)14bと円すいころ13の大径側端面13bとの間に第2隙間S2を有する。これにより、保持器14は、軸方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられる。
保持器14の大径側円環部14aには、図1〜図4に示すように、保持器14とは別部材である筒状の保油部材(保油部)20が周方向に亘って設けられる。なお、保油部材20は、毛細管現象で潤滑油を保持可能な部材からなる保油部である。
保油部材20は、断面略矩形状に形成されており、保持器14の大径側円環部14aの内周面に取り付けられる油貯蓄部20aと、油貯蓄部20aの軸方向内端から大径側円環部14aの軸方向内端面14bを基準として軸方向内側に突出する給油部20bと、を有する。
具体的には、保油部材20の油貯蓄部20aは、潤滑油を内部に蓄えると共に、蓄えた潤滑油を給油部20bに供給する。保油部材20の給油部20bは、円すいころ13の大径側端面13bに接触した際に、保持する潤滑油を円すいころ13の大径側端面13bに給油する。
また、保油部材20は、保油部材20の給油部20bと円すいころ13の大径側端面13bとの間に、第2隙間S2よりも小さい第3隙間S3を有する。つまり、第3隙間S3の軸方向寸法D3は、第2隙間S2の軸方向寸法D2よりも小さく設定されている。そのため、保油部材20の給油部20bは、その先端面で円すいころ13の大径側端面13bに接触可能に設けられる。
保油部材20の材質としては、毛細管現象を生じるものであればよく、例えば、ポリエステル製フェルトなどの不織布の繊維材、発泡させた樹脂やゴム、又は焼結させた金属やセラミックなどの多孔質材を挙げることができる。これにより、保油部材20は、軸受内に供給される潤滑油を毛細管現象で保持することが可能である。
そして、本実施形態の円すいころ軸受10では、図1に示すように、第1隙間S1の軸方向寸法をD1、第2隙間S2の軸方向寸法をD2、第3隙間S3の軸方向寸法をD3、保油部材20の給油部20bの突出量(軸方向寸法)をDp、円すいころ13の長さ寸法をLR、保持器14のポケット14fの長さ寸法をLP、隙間全体の総和寸法をDtとしたとき、Dt=D1+D3=LP−LR−Dp=D1+D2−Dpの関係となる。なお、軸方向寸法D1〜D3、給油部20bの突出量Dp、円すいころ13の長さ寸法LR、及びポケット14fの長さ寸法LPは、円すいころ13の中心軸(自転軸)方向に沿った寸法である。
このように、円すいころ13、保持器14、及び保油部材20の間には軸方向の隙間が設けられるため、保持器14は、軸方向に沿って隙間の総和寸法Dtの範囲で自由に移動可能である。なお、本実施形態では、隙間の総和寸法Dtは、厳密な寸法管理は不要で、保持器の一般的な加工精度を考慮して、0.1mmから円すいころ13の長さ寸法LRの1/10以下の範囲に設定される。また、給油部20bの突出量Dpは、0.01mmから円すいころ13の長さ寸法LRの1/5以下が好ましい。
このように構成された円すいころ軸受10では、軸受に潤滑油が供給され軸受内が潤滑油で満たされている場合、軸受回転のポンプ作用により潤滑油が内輪12の小径側から大径側へ流れる現象が起きる。従って、本実施形態では、図5に示すように、上記ポンプ作用による潤滑油の流れの力を受けて、保持器14が円すいころ13の大径側に軸方向に移動し、保持器14の保油部材20は円すいころ13から離れる側に移動する(Dt=D3、D1=0)。これにより、保油部材20の給油部20bは円すいころ13に常時接触しないため、軸受回転時の摩擦抵抗の増加が抑制される。
その一方、軸受に潤滑油が供給されず軸受内の潤滑油が微量である場合、ポンプ作用による潤滑油の流れは発生せず、図6に示すように、保持器14は自重の分力により円すいころ13の小径側に軸方向に移動し、保持器14の保油部材20の給油部20bが円すいころ13の大径側端面13bに接触する(Dt=D1、D3=0)。これにより、保油部材20に蓄えられた潤滑油が円すいころ13の大径側端面13bに供給される。つまり、軸受内の潤滑油が微量である場合にのみ、保油部材20が円すいころ13の大径側端面13bに接触し、潤滑油が円すいころ13に供給される。なお、本発明の円すいころ軸受10は、保持器14の自重の分力を利用して保持器14を移動させるものであるため、水平に設けられる軸(横軸)を支持する構造に用いるのが好適である。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、保持器14の大径側円環部14aに、毛細管現象で潤滑油を保持可能な保油部材20が設けられ、保持器14が円すいころ13の小径側に軸方向に移動したときに、保油部材20が円すいころ13の大径側端面13bに接触するため、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても軸受10の焼付きを防止することができる。また、保持器14が円すいころ13の大径側に軸方向に移動したときに、保油部材20が円すいころ13の大径側端面13bから離れて、保油部材20が円すいころ13に常時接触しないため、軸受回転時の摩擦抵抗の増加を抑制することができ、さらに、保油部材20の摩耗を抑制することができる。また、高度な部品寸法精度などの管理が不要であり、製造コストの増大を抑制することができる。
更に詳細に説明すると、保油部材20は、事前に接触力(押付け力)が設定されているわけではなく、保持器14の自重の分力により円すいころ13に接触するため、摩擦抵抗を殆ど発生させず、保油部材20の摩耗劣化を最小限に抑えることができる。また、保油部材20の寸法や剛性、設置位置などの高度な管理をしなくても適切な接触力が得られるため、製造コストの増大を抑制することができる。
また、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、潤滑油量を大幅に減らすことができるので、潤滑油の攪拌抵抗を低減することができる。また、例えば、跳ね掛けなどによって潤滑油を微量でも供給できる構造とすれば、潤滑油ポンプや給油路を廃止することもでき、これにより、システム全体の軽量コンパクト化、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、潤滑油が軸受内に断続的に供給される、或いは、軸受内の潤滑油が微量である潤滑環境下でも、焼付きを防止して軸受性能や潤滑効果を長期間に亘って維持することができる。このため、本実施形態の円すいころ軸受10は、例えば、一部のハイブリッド車のトランスミッションのようにエンジン停止時に潤滑油ポンプが一時的に停止する機構に好適に用いることができ、また、自動車の被牽引時に潤滑油ポンプが作動せずに潤滑油の十分な供給が困難な状況などに対応することができる。
また、本実施形態の第1変形例として、図7及び図8に示すように、保油部材20は、筒状の1つの部材ではなく、湾曲した複数の板状部材により構成されていてもよい。この場合、保持器14の全てのポケット14fに対して保油部材20を配置してもよいし、保持器14の一部のポケット14fに対して保油部材20を配置してもよい。そして、保油部材20は、その周方向端部が保持器14の柱部14e内に入るように、保持器14の大径側円環部14aに取り付けられる。このため、保油部材20の角部がポケット14f内に露出しないので、その角部の欠けなどを防止することができ、保油部材20の耐久性を高めることができる。
また、本実施形態の第2変形例として、図9に示すように、保油部材20は、保持器14の大径側円環部14aの外周面に取り付けられていてもよい。この場合、保油部材20は、保油部材20の外周面と外輪11の外輪軌道面11aとの間に第4隙間S4を有して取り付けられる。そして、保油部材20が潤滑油を効果的に吸着するために、第4隙間S4の径方向寸法D4は、0.1mm以上、円すいころ13の大径側端部の外径Drの1/5以下に設定されている。なお、径方向寸法D4は、柱部14eの長さ方向に直交する方向に沿った寸法である。
また、殆どの軸受の用途では保持器14の内周面に保油部材20を設けた方が遠心力による潤滑油の飛散を防止することができ、高い潤滑油の保有性能を長期間に亘って維持することができる。しかし、潤滑油の流れは保持器14の外周面側の方が多いため、潤滑油の枯渇度合いが厳しく、軸受の回転速度が比較的低い用途では、本変形例のように、保持器14の外周面に保油部材20を設けた方が効果を発揮することもある。
(第2実施形態)
次に、図10及び図11を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第2実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態の保油部材40は、図10に示すように、断面略L字状に形成されており、保持器14の大径側円環部14aの内周面に取り付けられる筒状の油貯蓄部40aと、油貯蓄部40aの軸方向内端から径方向外側に延び、大径側円環部14aの軸方向内端面14bに取り付けられる複数の給油部40bと、を有する。なお、給油部40bは、全てのポケット14fに対して設けられてもよいし、一部のポケット14fに対して設けられてもよい。
本実施形態の保油部材40の材質は、発泡させた樹脂やゴム、又は焼結させた金属やセラミックなどの多孔質材である。そして、多孔質材からなる保油部材40は、保持器14の大径側円環部14aに対して、接着剤により接着しても、成形機で成形して嵌め込ませてもよい。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、保油部材40が断面略L字状に形成されるため、保油部材40の結合強度と保油量を高めることができる。
また、本実施形態の変形例として、図11に示すように、保油部材41は、断面略U字状に形成されており、保持器14の大径側円環部14aの内周面に取り付けられる筒状の内側油貯蓄部41aと、内側油貯蓄部41aの軸方向内端から径方向外側に延び、大径側円環部14aの軸方向内端面14bに取り付けられる複数の給油部41bと、給油部41bの径方向外端から軸方向外側に延び、大径側円環部14aの外周面に取り付けられる外側油貯蓄部41cと、を有する。なお、給油部41b及び外側油貯蓄部41cは、全てのポケット14fに対して設けられてもよいし、一部のポケット14fに対して設けられてもよい。
本変形例によれば、保油部材41が断面略U字状に形成されるため、結合強度と保油量を高めることができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
ここで、本明細書における潤滑油が微量である潤滑環境下について説明する。例えば、自動車などのトランスミッションの場合、潤滑油の供給方法として、図25に示す潤滑油ポンプPによる潤滑油の圧送と、図26に示す歯車Gによる潤滑油の跳ね掛けとの2通りが一般的に知られている。
潤滑油ポンプPにより潤滑油を圧送する構造としては、図25に示すように、円すいころ軸受10の外輪11がハウジングHに内嵌され、内輪12が回転軸Aに外嵌されており、ハウジングHに軸受10に連通する給油路Rが設けられ、この給油路Rに潤滑油ポンプPが接続される構造が一般的に知られている。この構造の場合、潤滑油ポンプPから圧送された潤滑油が給油路Rを介して軸受10に供給される。
また、歯車Gにより潤滑油を跳ね掛ける構造としては、図26に示すように、円すいころ軸受10の外輪11がハウジングHに内嵌され、内輪12が回転軸Aに外嵌されており、回転軸Aに内輪12と隣接して歯車Gが設けられる構造が一般的に知られている。この構造の場合、歯車Gに付着している潤滑油が軸回転に伴う遠心力により飛散し、飛散した潤滑油が軸受10に付着して給油される。
上記した2通りの構造では、軸受の焼付きを防止するため、50cc/minから1000cc/min程度の潤滑油量が供給されている。そして、この潤滑油量が10cc/minを下回ると潤滑油不足に伴う油膜不足により発熱や焼付きが起こりやすくなり、0cc/min(無潤滑油)では焼付きが生じる。本発明は、無潤滑状態ではなく希薄潤滑状態への対応であり、潤滑油が微量である潤滑環境下、具体的には、0.01cc/min〜10cc/min程度の希薄潤滑状態で大きな効果を発揮する。
次に、本明細書における潤滑油が断続的に供給される環境について説明する。例えば、ハイブリッド車では、エンジンを停止したまま電動モータで走行するモードがある。このモード中は、エンジンと直結した潤滑油ポンプだけの構造では、軸受に潤滑油が給油されない状態で走行が行われる。このため、数分程度までの無給油走行状態が発生するが、軸受はこの間に焼付きを起こしてはならない。この電動走行時間はバッテリーの進化と共に延長させたいニーズがある。現状では焼付き防止のために一定間隔毎にエンジンを回し、潤滑油ポンプを作動させる制御を行っている車種もある。この課題を解決するには、電動潤滑油ポンプをシステムに追加するか、本発明のような無潤滑で焼付きにくい軸受の採用が必要となる。本発明では、焼付きまでの時間は保油部に蓄えられる保油量と関連があることから、保油量を増やすことで無潤滑適用時間を数十分から数時間と大幅に延長させることが可能である。保油量の拡大には、例えば、気孔率拡大や保油部体積の拡大で対応できる。
また、乗用車は、故障時やキャンピングカーなどの大型車両での移動先での補助用車両として牽引されることがある。このようなときは、車両の駆動輪を台車などに載せることで空転を防止することが可能であるが、現実には、駆動輪を空転させながら牽引される事例が起こっている。この場合、駆動伝達はなく無負荷空転のため軸受の負担も軽微であるが、円すいころ軸受の場合、一般的に予圧をかけて使用されるため、予圧分の負荷が常に作用している。そして、この空転状態では、エンジンや電動潤滑油ポンプが稼働せず、潤滑油ポンプは停止しているため、軸受は焼付きを起こしやすい。この対策のために、跳ね掛け給油が起こるように駆動装置に工夫を施している車種もある。本発明では、潤滑油ポンプが停止しても、保油部に蓄えられた潤滑油がなくなるまで軸受に給油を行えるため、跳ね掛けが不十分又は跳ね掛けがないような被牽引状態でも耐焼付き性を大幅に向上することができる。
次に、保油部材の材料について説明する。保油部材は、潤滑油を吸い込みやすく、且つ円すいころへ塗油しやすいものが好ましい。これは保油部材が親油性(撥油ではない)を持ち、微小な空間で区切られている場合に生じる毛細管現象(表面張力)の働く原理を利用できる。これにより、保油部材に触れた潤滑油は速やかに保油部材へと吸い込まれる。吸い込まれた潤滑油は、円すいころ端面と接触する給油部(塗油部)にて円すいころ端面との間にも表面張力が働き、円すいころ端面へ潤滑油を油性マーカーのごとく少しずつ時間をかけて塗布することができる。このため、円すいころ端面への給油が数十分〜数時間と長時間持続するため、その間の焼付きを防止することができる。
例えば、親油性(撥油ではない)を持つ繊維の集合体で気孔を確保しつつ樹脂で固めた素材を、接着剤を用いて保持器に貼り付けることで保油と塗油の機能を発揮させることができる(繊維を絡ませただけの不織布では耐久性が低い可能性があるので、ある程度樹脂を含浸させて繊維の結合強度を高めた方が好ましい)。材質は、有機・無機を問わず親油性(撥油ではない)を持った繊維であれば同じ効果を発揮できる。但し、保油させるためには潤滑油を蓄えるための気孔部が必要で、気孔率が高いほど同じ保油部材の体積での保油量を高めることができる。このため、気孔率は20%〜90%程度が適している。また、円すいころ端面と接する給油部は、硬質でも機能を発揮するが、塗油性を向上させるためには柔軟性を持たせた方が好ましい。これは、硬質な素材では接触面積が小さくなってしまうが、柔軟な素材ならば、塗油面全体で円すいころと接触して塗油できるためである。この保油部材は、保持器の強度に関与しないため、上記第3隙間S3の軸方向寸法D3が第2隙間S2の軸方向寸法D2となるまで(即ち、給油部の突出量が全て圧縮されてポケット面と同一面となる状態まで)圧縮可能な柔軟性があってもよい。もし、繊維に含浸させる樹脂が硬質で柔軟性が低い場合には、成形後に適度な変形をさせて樹脂組織を微細に破砕させることで、繊維に近い柔軟性を発揮させることができる。ここで述べた製法は広く普及している一般的な技術で、安価に大量の生産を容易に実現可能である。また、特に繊維を基材とする多孔質体を金属表面に接着する場合には、熱硬化性の樹脂を接着剤として、熱と圧力により接着させる手法があり、テーパー状の本保持器に対しても有効な手段である。
また、保油部材に繊維ではなく多孔質素材を用いることもできる。これは、例えば、保持器を芯金として親油性(撥油ではない)を持つ発泡樹脂や発泡ゴム等をインサート成形させることで、別途接着工程を行わずに製造することができる。また、潤滑油を浸透させる必要があるため、この発泡樹脂又はゴムは、貫通気孔を有し、気泡が隔膜で区切られずに繋がった状態に成形させ、保油部材内を潤滑油が自由に浸透できるようにする。気孔気泡は微細な方が表面張力に有利なため、気泡径は0.005mm〜0.5mm程度が好ましい。硬さは硬質でも機能を発揮するが、塗油性を向上させるためには、柔軟性を持たせた方が好ましい。これは、硬質な素材では接触面積が小さくなってしまうが、柔軟な素材ならば、塗油面全体で円すいころと接触して塗油できるためである。この保油部材は、保持器の強度に関与しないため、上記第3隙間S3の軸方向寸法D3が第2隙間S2の軸方向寸法D2となるまで(即ち、給油部の突出量が全て圧縮されてポケット面と同一面となる状態まで)圧縮可能な柔軟性があってもよい。また、この発泡樹脂又はゴムも、表面張力による潤滑油の吸着を利用しているため、親油性(撥油ではない)のある素材を選ぶ必要があるが、有機・無機等は特に問わない。ここで述べた製法は広く普及している一般的な技術で、安価に大量の生産を容易に実現可能である。
また、高度な耐熱性や耐薬品性が要求される等の過酷な使用環境に曝される場合には、多孔質素材に焼結金属や発泡セラミックスを保油部材に使うことができる。但し、これら部材は保持器とは別に成形した後に接合する必要がある。
(第3実施形態)
次に、図12及び図13を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第3実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態の保油部材60は、図12に示すように、保持器14の大径側円環部14aの内周面及び軸方向内端面14bに、毛細管現象で潤滑油を保持可能な繊維を植毛したものであり、大径側円環部14aの内周面に設けられる部分を油貯蓄部60aとし、軸方向内端面14bに設けられる部分を給油部60bとする。なお、繊維としては、例えば、合成樹脂繊維、無機繊維、天然繊維などを挙げることができる。また、植毛方法としては、吹き付けや静電植毛などを適宜採用することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
また、本実施形態の変形例として、保油部材60は、図13に示すように、保持器14の大径側円環部14aの外周面及び軸方向内端面14bに、毛細管現象で潤滑油を保持可能な繊維を植毛したものであってもよい。この場合、大径側円環部14aの外周面に設けられる部分を油貯蓄部60aとし、軸方向内端面14bに設けられる部分を給油部60bとする。そして、保油部材60が潤滑油を効果的に保持するために、第4隙間S4の径方向寸法D4は、0.1mm以上、円すいころ13の大径側端部の外径Drの1/5以下に設定されている(第1実施形態の第2変形例と同様)。
なお、本実施形態の植毛による保油部材の形成としては、例えば、接着剤を保持器の大径側円環部に塗布し、これに電圧をかけて短繊維を植え付ける静電植毛法で製品実現が可能である。植毛部は、使用時に潤滑油に曝されるため、耐久性の高い溶剤型を使うのが好ましい。パイル材は親油性(撥油ではない)を持つパイルを用い、例えば、太さ8μm、長さ0.5mmのナイロン製パイルなどを植毛させる。なお、静電植毛は、乾燥後に余剰パイルを除毛する必要があるが、僅かに除毛残材が残り、これが潤滑油中に浮遊する可能性がある。軸受が使用される装置の制約からこの余剰パイルの浮遊が許容できない場合には、除毛後に皮膜の柔らかい樹脂を薄く植毛面に塗布するアフターコーティングを施すことで、余剰パイルの抜け出しを抑えることができる。ここで述べた製法は広く普及している一般的な技術で、安価に大量の生産を容易に実現可能である。
(第4実施形態)
次に、図14〜図22を参照して、本発明に係る円すいころ軸受の第4実施形態について説明する。なお、上記第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
本実施形態では、図14及び図15に示すように、保持器14と別体の上記保油部材の代わりに、溝加工等により、保持器14の大径側円環部14aに複数の微細な溝(保油部)80が形成される。なお、複数の溝80は、毛細管現象で潤滑油を保持可能な複数の溝からなる保油部である。また、複数の溝80は、全てのポケット14fに対して設けられてもよいし、一部のポケット14fに対して設けられてもよい。また、本実施形態では、第2隙間S2の軸方向寸法D2は、第3隙間S3の軸方向寸法D3と等しい(D2=D3)。
複数の溝80は、保持器14の大径側円環部14aの内周面に形成される油貯蓄溝80aと、油貯蓄溝80aに連通し、保持器14の大径側円環部14aの軸方向内端面14bに形成される給油溝80bと、をそれぞれ有する。
油貯蓄溝80aは、大径側円環部14aの軸方向内端面14bから軸方向外端面まで軸方向に貫通して形成される。給油溝80bは、大径側円環部14aの内周面から外周面まで径方向に貫通して形成される。
溝80は、その全体として断面略L字状に形成される。また、溝80の深さは、一定に設定されており、本実施形態では、溝80の潤滑油の保油性及び保持器14の強度を考慮して、溝80の深さは0.1mm〜4.0mm、溝80の幅は0.05mm〜2.0mmに設定される。
以上説明したように、本実施形態の円すいころ軸受10によれば、保持器14の大径側円環部14aに、毛細管現象で潤滑油を保持可能な複数の溝80が設けられ、保持器14が円すいころ13の小径側に軸方向に移動したときに、複数の溝80が円すいころ13の大径側端面13bに接触するため、微量な潤滑油の潤滑環境下であったとしても軸受10の焼付きを防止することができる。また、保持器14が円すいころ13の大径側に軸方向に移動したときに、複数の溝80が円すいころ13の大径側端面13bから離れて、複数の溝80が形成された大径側円環部14aが円すいころ13に常時接触しないため、軸受回転時の摩擦抵抗の増加を抑制することができ、さらに、複数の溝80が形成された大径側円環部14aの摩耗を抑制することができる。また、高度な部品寸法精度などの管理が不要であり、製造コストの増大を抑制することができる。
また、本実施形態の第1変形例として、図16に示すように、溝80の深さは一定ではなく、溝80の底面は、加工性を考慮して保持器14の大径側円環部14aの内周面から軸方向内端面14bに亘って断面曲線状に形成されていてもよい。
また、本実施形態の第2変形例として、図17に示すように、溝80の深さは一定ではなく、溝80の底面は、加工性を考慮して保持器14の大径側円環部14aの内周面から軸方向内端面14bに亘って断面直線状に形成されていてもよい。
また、本実施形態の第3変形例として、図18に示すように、油貯蓄溝80aを保持器14の大径側円環部14aの外周面に形成してもよい。つまり、複数の溝80は、保持器14の大径側円環部14aの外周面に形成される油貯蓄溝80aと、油貯蓄溝80aに連通し、保持器14の大径側円環部14aの軸方向内端面14bに形成される給油溝80bと、をそれぞれ有する。そして、複数の溝80が潤滑油を効果的に保持するために、第4隙間S4の径方向寸法D4は、0.1mm以上、円すいころ13の大径側端部の外径Drの1/5以下に設定されている(第1実施形態の第2変形例と同様)。
また、本実施形態の第4変形例として、図19に示すように、複数の溝80は、保持器14の大径側円環部14aの内周面及び軸方向内端面14bの全面に亘って形成されるのではなく、その一部の面に亘って形成されていてもよい。つまり、複数の溝80は、貫通する溝ではなく、止まり溝であってもよい。具体的には、油貯蓄溝80aは、大径側円環部14aの軸方向外端面(軸方向内端面14bと反対側の端面)に開口しておらず、給油溝80bは、大径側円環部14aの外周面に開口していない。
また、本実施形態の第5変形例として、図20に示すように、複数の溝80は、大径側円環部14aの軸方向内端面14b内(ポケット14f内)で略U字状に周回するように形成されていてもよい。この場合、複数の溝80が大径側円環部14aの外周面に開口(貫通)していないので、複数の溝80の保油性を向上することができる。また、大径側円環部14aの軸方向内端面14bに半円状に形成される給油溝80bは、その中央部で分断されるような形状に形成されている。また、給油溝80bの分断された溝端部は、後述する円すいころ13の大径側端面13bの円環状の接触面13eに半数以上が収まるように配置されている。
また、本実施形態の第6変形例として、図21に示すように、複数の溝80は、大径側円環部14aの軸方向内端面14b内(ポケット14f内)で略V字状に周回するように形成されていてもよい。この場合、複数の溝80が大径側円環部14aの外周面に開口(貫通)していないので、複数の溝80の保油性を向上することができる。また、油貯蓄溝80aは、大径側円環部14aの軸方向外端面に開口していない。
また、本実施形態の第7変形例として、図22に示すように、複数の溝80に加えて、大径側円環部14aの内周面に、複数の溝80の油貯蓄溝80aを周方向に連通する複数の周溝(保油部)81を全周に亘って形成すると共に、大径側円環部14aの軸方向内端面14bに、複数の溝80の給油溝80bを周方向に連通する複数の連通溝(保油部)82を形成してもよい。この場合、保持器14の保油量を増やすことができる。また、油貯蓄溝80aは、大径側円環部14aの軸方向外端面に開口していない。また、複数の連通溝82の一部は、周方向の2か所で分断されるような形状に形成されている。また、連通溝82の分断された溝端部は、後述する円すいころ13の大径側端面13bの円環状の接触面13eに半数以上が収まるように配置されている。
また、本実施形態の第8変形例として、図23に示すように、保持器14の大径側円環部14aの軸方向内端面(ポケット面)14bに、複数(本実施形態では5つ)の溝(保油部)83が周方向に沿って形成されていてもよい。5つの溝83は、有底溝であり、2列(外径側に2つ、内径側に3つ)に並べられて配置されている。なお、図23及び図24中の符号Lは潤滑油(ドット模様を付与した部分)である。
図23は、溝83の周方向の溝端部83aと円すいころ13の大径側端面13bとの接触位置関係を示す模式図である。円すいころ13の大径側端面13bには、通常中心部に逃げ凹部13dが設けられ、逃げ凹部13dの周囲に円環状の接触面13eが設けられている。この円環状の接触面13eとポケット面14bとの投影面(円すいころ13の長手方向に見たとき重なり合う面、図23の斜線部分参照)が、円すいころ13と保持器14が接触可能な面である。そして、5つの溝83のそれぞれの溝端部83aの少なくとも一方は、この扇状の接触面13eに収まるように設けられる。これにより、後述のメカニズムにより溝端部83aに集まった潤滑油を余す事なく、円すいころ13との毛管力によって円すいころ13に給油することが可能となる。
図24A及び図24Bは、溝83の長手方向(周方向)と円すいころ13との位置関係を示す説明図であり、例えば、図23の線Bに沿った断面図である。なお、図24A及び図24Bでは、説明の理解を容易にするため、溝83の深さを実際よりも拡大して表している。保持器14は、毛管力によって溝83の内部に蓄えられた潤滑油を、同じくころ表面との毛管力の作用によって円すいころ13の大径側端面13bに供給することを特徴としている。この作用を効果的にさせるためには、溝83は、円すいころ13とポケット面14bが接する部分に高い毛管力を発生させることが重要である。そして、その手法の1つとして、本変形例では、図24Aに示すように、溝83の中間部分よりも毛管力が高い溝端部83aが円すいころ13と接するように構成している。これにより、溝83の内部の潤滑油を、溝端部83aから円すいころ13の大径側端面13bとの毛管力で吸い上げることができる。なお、図24Bでは、溝端部83aが円すいころ13と接しないため、潤滑油を吸い上げる量が少なくなる。また、溝端部83aの毛管力を更に向上させるためには、溝83の径方向断面の溝底すみの円弧形状の半径、溝83の径方向幅、及び溝83の軸方向深さの内の1つ以上を、溝83の周方向の溝中央部83bから溝端部83aに向かって小さくすることが望ましい。
ここで、本説明で述べる毛管力とは、固体が液体を引き寄せようとする力のことである。固体(保持器)の表面張力が液体(潤滑油)の表面張力よりも大きなときに毛管力が生じ、液体は固体表面に引き寄せられる。また、液体は表面張力により空気と触れる面を減らそうともする。つまり、潤滑油は空気と接する面積が減少させながら、保持器と接する面積を増そうとする。このため、保持器の溝は、細く狭いほど毛管力が高まる。この原理を利用し、本発明では、ポケット面14bに、細く狭い形状の溝83を形成している。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
なお、本発明は、上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、保油部材は、毛細管現象を生じるものであれば、その材質に限定はなく、自動車のオートマチックトランスミッションなどに使われる湿式摩擦材とその接合技術を用いれば、十分な耐久性と結合強度を得ることができる。
本発明の作用効果を確認するため、保油部材を有する円すいころ軸受(本発明例、上記第1実施形態相当品)と保油部材を有さない円すいころ軸受(比較例、従来品)と、を用意して、それぞれに対して焼付試験を行った。試験条件は以下の通りである。
試験条件は、かご形プレス保持器付き単列円すいころ軸受(φ25×φ55×17)を水平軸(横軸)に取り付け、保油部材にポリエステル製フェルト(厚さ:1mm)を使用し、試験荷重をアキシャル荷重4kNとし、回転速度を5,000rpmとし、潤滑油に作動油(VG32)を使用し、潤滑油を試験開始前に5ml滴下し、試験中は無給油とした。
試験の結果、比較例では、3回試験を実施し、1回目は130.7秒、2回目は146.5秒、3回目は149.3秒で焼付きが発生した。これに対して、本発明例では、2回試験を実施し、2回とも焼付きが発生することなく、目標時間の3,600秒を達成することができた。従って、本発明の保油部(保油部材)の有効性が実証された。
なお、本出願は、2018年3月9日出願の日本特許出願(特願2018−043513)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
10 円すいころ軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
12 内輪
12a 内輪軌道面
13 円すいころ
13a 転動面
13b 大径側端面
13c 小径側端面
14 保持器
14a 大径側円環部
14b 軸方向内端面(ポケット面)
14c 小径側円環部
14d 軸方向内端面
14e 柱部
14f ポケット
20 保油部材(保油部)
20a 油貯蓄部
20b 給油部
40 保油部材(保油部)
40a 油貯蓄部
40b 給油部
41 保持部材(保油部)
41a 内側油貯蓄部
41b 給油部
41c 外側油貯蓄部
60 保油部材(保油部)
60a 油貯蓄部
60b 給油部
80 複数の溝(保油部)
80a 油貯蓄溝
80b 給油溝
81 周溝(保油部)
82 連通溝(保油部)
83 複数の溝(保油部)
S1 第1隙間
S2 第2隙間
S3 第3隙間
S4 第4隙間
D1 第1隙間の軸方向寸法
D2 第2隙間の軸方向寸法
D3 第3隙間の軸方向寸法
D4 第4隙間の径方向寸法
Dt 隙間全体の総和寸法
Dp 保油部材の給油部の突出量
Dr 円すいころの大径側端部の外径
LR 円すいころの長さ寸法
LP ポケットの長さ寸法

Claims (5)

  1. 内周面に外輪軌道面を有する外輪と、外周面に内輪軌道面を有する内輪と、前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動可能に設けられる複数の円すいころと、前記複数の円すいころを周方向に略等間隔に保持する保持器と、を備え、
    前記保持器は、大径側円環部と、前記大径側円環部と同軸に配置される小径側円環部と、前記大径側円環部と前記小径側円環部とを軸方向に連結し、周方向に略等間隔に設けられる複数の柱部と、周方向に互いに隣り合う前記柱部間に形成され、前記円すいころを転動可能に保持するポケットと、を有する円すいころ軸受であって、
    前記保持器は、前記小径側円環部の軸方向内端面と前記円すいころの小径側端面との間に第1隙間を有すると共に、前記大径側円環部の軸方向内端面と前記円すいころの大径側端面との間に第2隙間を有して、軸方向に沿って所定の範囲で移動可能に設けられ、
    前記大径側円環部には、潤滑油を保持する保油部が設けられ、
    前記保油部と前記円すいころの大径側端面との間に第3隙間を有し、
    前記保持器が前記円すいころの小径側に軸方向に移動したときに、前記保油部が前記円すいころの大径側端面に接触し、前記保持器が前記円すいころの大径側に軸方向に移動したときに、前記保油部が前記円すいころの大径側端面から離れることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記保油部は、毛細管現象により潤滑油を保持可能な部材からなることを特徴とする請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記保油部は、潤滑油を保持可能な複数の溝からなることを特徴とする請求項1に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記第3隙間の軸方向寸法は、前記第2隙間の軸方向寸法よりも小さく設定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
  5. 潤滑油が軸受内部に断続的に供給される、或いは、軸受内部の潤滑油が微量である潤滑環境下で使用されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の円すいころ軸受。
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