JP6934735B2 - 円すいころ軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、円すいころ軸受に関する。
自動車のトランスミッションやディファレンシャル機構には、ラジアル荷重とアキシアル荷重を同時に支持することが可能な軸受である円すいころ軸受が多く用いられる。円すいころ軸受は、外輪と、その外輪の内側に同軸に配置された内輪と、外輪と内輪の間に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の円すいころと、その複数の円すいころの周方向の間隔を保持する環状の保持器とを有する。内輪の外周には、円すいころの大端面を案内する大鍔が形成されている。軸受回転時、円すいころの大端面と内輪の大鍔は、滑りを伴う接触によりアキシアル荷重の一部を支持する。
上記円すいころ軸受の潤滑は、ギヤの回転により跳ね上げられる潤滑油の飛沫や、オイルポンプから圧送される潤滑油によって行なわれる。ここで、軸受が回転しているときは、外部から円すいころ軸受に潤滑油が継続して供給されるが、軸受が停止しているときは、外部から円すいころ軸受への潤滑油の供給が停止する。そのため、円すいころ軸受が長時間にわたって停止すると、円すいころ軸受に付着していた潤滑油の多くが流れ落ち、その後、円すいころ軸受が始動するときに、潤滑不足が生じやすい。
特に、近年、潤滑油の攪拌抵抗により発生するエネルギー損失を抑えるため、自動車のトランスミッションやディファレンシャル機構において低粘度の潤滑油を使用したり、潤滑油の量を少なくしたりする傾向にある。そのため、円すいころ軸受が長時間にわたって停止したときに、円すいころ軸受に残存する潤滑油の量が過少となりやすく、その後、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面と内輪の大鍔との間に焼き付きが生じるおそれがあった。
国際公開第2011/062188号
ところで、外部から円すいころ軸受への潤滑油の供給が停止したときにも、円すいころの大端面と内輪の大鍔の間を潤滑可能とした円すいころ軸受として、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1の円すいころ軸受の保持器は、円すいころの大端面に沿って周方向に延びる大径側環状部と、各円すいころの小端面に沿って周方向に延びる小径側環状部と、大径側環状部と小径側環状部を連結する複数の柱部とを有し、大径側環状部の内周には、周方向に間隔をおいて複数の保油凹部が形成されている。
この特許文献1の円すいころ軸受は、外部から円すいころ軸受に潤滑油が継続して供給されているときは、その潤滑油の一部を、保持器の大径側環状部の内周の保油凹部に溜め、その後、何らかの原因で、外部から円すいころ軸受への潤滑油の供給が停止したときは、保持器の大径側環状部の内周の保油凹部から流出する潤滑油で、円すいころの大端面と内輪の大鍔との間を潤滑する。
本願の発明者は、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面と内輪の大鍔との間に焼き付きが生じるのを防止するため、上記特許文献1のように、保持器の大径側環状部の内周に潤滑油を溜める複数の保油凹部を周方向に間隔をおいて形成することを検討した。
すなわち、保持器の大径側環状部の内周に、潤滑油を溜める複数の保油凹部を周方向に間隔をおいて形成すると、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、保持凹部に溜まった潤滑油によって、円すいころの大端面と内輪の大鍔との間を潤滑することができる。
しかしながら、保持器の大径側環状部の内周に、潤滑油を溜める複数の保油凹部を周方向に間隔をおいて形成しても、以下の問題がある。すなわち、回転軸が水平となる向きに円すいころ軸受を配置し、その円すいころ軸受が停止しているときに、保持器の大径側環状部の内周に形成された全ての保油凹部のうち、潤滑油を保持することができるのは、軸受停止時に下側にくる1/4程度の保油凹部(すなわち保油凹部の開口する向きが上向きとなるもの)に過ぎず、残りの3/4程度の保油凹部は、保油凹部の開口する向きが水平あるいは下向きとなるため、保油凹部内の潤滑油が重力で落下し、潤滑油を保油凹部内に保持することができない。
そのため、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、全ての円すいころのうち1/4程度の円すいころの大端面と内輪の大鍔との間は、保油凹部に溜まった潤滑油で潤滑することができても、残りの3/4程度の円すいころの大端面と内輪の大鍔との間は潤滑することができず、そのため、円すいころの大端面と内輪の大鍔の間に焼き付きが生じるおそれがあった。
この発明が解決しようとする課題は、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面と内輪の大鍔の間に焼き付きが生じにくい円すいころ軸受を提供することである。
上記の課題を解決するため、この発明では、以下の構成の円すいころ軸受を提供する。
外輪と、
前記外輪の内側に同軸に配置された内輪と、
前記外輪と前記内輪の間に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の円すいころと、
前記複数の円すいころの周方向の間隔を保持する環状の保持器と、を備え、
前記内輪は、前記各円すいころの大端面に接触する大鍔を有し、
前記保持器は、前記各円すいころの大端面に沿って周方向に延びる大径側環状部と、前記各円すいころの小端面に沿って周方向に延びる小径側環状部と、前記大径側環状部と前記小径側環状部を連結する複数の柱部とを有し、前記大径側環状部と前記小径側環状部と前記複数の柱部は、前記複数の円すいころをそれぞれ収容する複数のポケットを区画し、前記大径側環状部に、前記各円すいころの大端面に対向する大径側ポケット面が形成されている円すいころ軸受において、
前記大径側環状部に、前記大径側ポケット面に開口し、潤滑油を毛細管現象で導入して保持する保油穴が形成されていることを特徴とする円すいころ軸受。
このようにすると、円すいころ軸受が回転しているときに、毛細管現象で保油穴に潤滑油が導入され、その後、円すいころ軸受が停止したときは、保油穴内の潤滑油が重力で落下せずに、毛細管現象で保油穴内に保持される。さらにその後、円すいころ軸受が始動すると、保油穴内の潤滑油が、遠心力によって保油穴から流出し、円すいころの大端面に供給される。そのため、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面と内輪の大鍔の間の焼き付きを効果的に防止することができる。
前記保油穴は、前記大径側環状部を保持器軸方向に貫通して形成すると好ましい。
このようにすると、保油穴が、円すいころの大端面と対向する側の端部開口と、その反対側の端部開口とを有し、毛細管現象によって潤滑油が保油穴の一方の端部開口に流入するときに、保油穴の内部の空気が、保油穴の他方の端部開口から排出される。そのため、潤滑油が毛細管現象によって保油穴に入り込みやすくなる。
前記保油穴は、保持器径方向に沿った保油穴の内寸が最大で2mm以下となるように形成すると好ましい。
このようにすると、保油穴の内部において潤滑油の表面張力が支配的となるため、効果的に潤滑油を保油穴内に保持することが可能となる。
前記保油穴は、保油穴の内面のうち保持器径方向内側を向く部分が、前記円すいころの大端面に近づくほど保持器外径側に変位するように傾斜して形成すると好ましい。
このようにすると、軸受が始動したときに、保油穴の内部の潤滑油が、遠心力によって保持穴の内面の傾斜に沿って円すいころの大端面に近づく方向に流動する。そのため、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面を効果的に潤滑することが可能となる。
前記保油穴は、保持器径方向に沿った保油穴の内寸が、前記円すいころの大端面に近づくにしたがって次第に大きくなるテーパ形状とすることができる。
このようにすると、保油穴の内部の潤滑油が遠心力によって流動するときに、円すいころの大端面に近づく方向に円滑に流動し、円すいころの大端面をより効果的に潤滑することが可能となる。また、保持器を金型で樹脂成形する場合、その保持器の金型で保油穴を同時に成形することが可能となる。
前記保油穴は、断面円形の丸穴とすると好ましい。
このようにすると、丸穴は表面張力が壊れにくい形状なので、表面張力によって、効果的に潤滑油を保油穴に保持することが可能となる。
前記大径側ポケット面を、前記円すいころの大端面と面接触するように保持器の軸直角方向に対して傾斜して形成し、前記保油穴を、前記複数の円すいころの中心線の交点から前記大径側ポケット面に下ろした垂線の位置に開口させると好ましい。
このようにすると、大径側ポケット面の、円すいころの大端面と接触する位置に保油穴が開口することとなる。そのため、円すいころの大端面を効果的に潤滑することが可能となる。
前記保持器は、樹脂で形成したものを採用することができる。このようにすると、保持器を金型で樹脂成形するときに、その保持器の金型で保油穴を同時に成形することができるので、低コストである。
この発明の円すいころ軸受を使用すると、円すいころ軸受が回転しているときに、毛細管現象で保油穴に潤滑油が導入され、その後、円すいころ軸受が停止したときは、保油穴内の潤滑油が重力で落下せずに、毛細管現象で保油穴内に保持される。さらにその後、円すいころ軸受が始動すると、保油穴内の潤滑油が、遠心力によって保油穴から流出し、円すいころの大端面に供給される。そのため、円すいころ軸受が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受が始動するときに、円すいころの大端面と内輪の大鍔の間の焼き付きを効果的に防止することができる。
この発明の実施形態の円すいころ軸受のアキシアル平面に沿った断面図 図1の保油穴の近傍の拡大断面図 図1に示す保持器を外径側から見た部分断面図 図3に示す保持器の斜視図 図1に示す円すいころの中心線の交点から大径側ポケット面に下ろした垂線の位置に保油穴を配置した状態を説明する図 図5に示す円すいころ軸受の保油穴の近傍の拡大断面図 (a)は、図1に示す保持器を射出成形する一対の金型を閉じた状態を示す図、(b)は、(a)に示す一対の金型を開いた状態を示す図 図1に示す円すいころ軸受を用いたトランスミッションの一例を示す図 図1に示す円すいころ軸受を用いたディファレンシャル機構の一例を示す図
図1に、この発明の実施形態の円すいころ軸受1を示す。この円すいころ軸受1は、外輪2と、外輪2の内側に同軸に配置された内輪3と、外輪2と内輪3の間に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の円すいころ4と、複数の円すいころ4の周方向の間隔を保持する環状の保持器5とを有する。
外輪2の内周には、テーパ状の外輪軌道面6が形成されている。内輪3の外周には、外輪軌道面6と径方向に対向するテーパ状の内輪軌道面7と、内輪軌道面7の小径側に位置する小鍔8と、内輪軌道面7の大径側に位置する大鍔9とが形成されている。円すいころ4は、外輪軌道面6と内輪軌道面7に転がり接触している。
小鍔8は、円すいころ4の小端面10に対向するように内輪軌道面7から外径側に突出して形成されている。小鍔8は、円すいころ4が小径側に移動するのを規制し、円すいころ4が内輪軌道面7から脱落するのを防止する。大鍔9は、円すいころ4の大端面11に対向するように内輪軌道面7から外径側に突出して形成されている。軸受回転時、円すいころ4の大端面11と内輪3の大鍔9は、滑りを伴う接触により、アキシアル荷重の一部を支持する。
保持器5は、各円すいころ4の大端面11に沿って周方向に延びる大径側環状部12と、各円すいころ4の小端面10に沿って周方向に延びる小径側環状部13と、周方向に隣り合う円すいころ4の間を通って大径側環状部12と小径側環状部13を連結する複数の柱部14とを有する。
図3、図4に示すように、大径側環状部12と小径側環状部13と複数の柱部14は、複数の円すいころ4をそれぞれ収容する複数のポケット15を区画している。ここで、大径側環状部12と小径側環状部13はポケット15の保持器軸方向の両端を区画し、柱部14はポケット15の保持器周方向の両端を区画している。大径側環状部12には、円すいころ4の大端面11に対向する大径側ポケット面16が形成され、小径側環状部13には、円すいころ4の小端面10に対向する小径側ポケット面17が形成されている。柱部14は、円すいころ4の外周と対向する位置に、円すいころ4の外周に接触するころ案内面18と、ころ案内面18に対して窪んだ三角凹部19とを有する。
図2に示すように、三角凹部19は、保持器5の周方向に見て、大径側ポケット面16と柱部14とが交差する隅部を一辺とし、その一辺から小径側環状部13に近づくにしたがって保持器径方向の高さが次第に低くなる三角形状の凹部である。保持器5の周方向に見て、三角凹部19の保持器外径側の一辺は、保持器5の外周に一致し、三角凹部19の保持器内径側の一辺は、保持器軸方向と平行に延びている。
大径側ポケット面16には、潤滑油を毛細管現象で導入して保持する保油穴20が開口している。保油穴20は、大径側環状部12を保持器軸方向(図の左右方向)に貫通して形成され、円すいころ4の大端面11と対向する側の端部開口21と、その反対側の端部開口22とを有する。
図4に示すように、保油穴20は、断面円形の丸穴である。保油穴20は、1つの大径側ポケット面16ごとに保持器周方向に間隔をおいて複数(図では3つ)設けられている。また、保油穴20は、大径側環状部12の全周にわたって設けられた全ての大径側ポケット面16に設けられている。
図5、図6に示すように、大径側ポケット面16は、ころの大端面11と面接触するように保持器5の軸直角方向(図の上下方向)に対して傾斜して形成されている。保油穴20は、複数の円すいころ4の中心線Lの交点Oから大径側ポケット面16に下ろした垂線Hの位置に開口している。図6に示す例では、垂線Hが保油穴20(断面円形の丸穴)の中心を通っている。
図6に示すように、保油穴20は、保持器5の径方向(図の上下方向)に沿った保油穴20の内寸dが、円すいころ4の大端面11に近づくにしたがって次第に大きくなるテーパ形状である。ここで、保油穴20は、保油穴20の内面のうち保持器5の径方向内側を向く部分23は、円すいころ4の大端面11に近づくほど保持器5の外径側に変位するように傾斜して形成されている。また、保油穴20は、保油穴20の内面のうち保持器5の径方向外側を向く部分24が、保持器5の軸方向と平行(すなわち円すいころ軸受1の中心軸の方向と平行)に形成されている。図では、保油穴20の内面のうち保持器5の径方向外側を向く部分24を、保持器5の軸方向と平行に形成した例を示したが、保油穴20の内面のうち保持器5の径方向外側を向く部分24を、円すいころ4の大端面11に近づくほど保持器5の内径側に変位するように傾斜して形成することも可能である。
保油穴20は、保油穴20の円すいころ4の大端面11と対向する側の端部開口21の保持器径方向の内寸d1が2mm以下(好ましくは1.5mm以下)に設定されている。すなわち、保油穴20は、保持器5の径方向に沿った保油穴20の内寸dが、最大で2mm以下(好ましくは1.5mm以下)となるように形成されている。
また、保油穴20は、保油穴20の円すいころ4の大端面11と対向する側とは反対側の端部開口22の保持器径方向の内寸d2が0.5mm以上(好ましくは1.0mm以上)に設定されている。すなわち、保油穴20は、保持器5の径方向に沿った保油穴20の内寸dが、最小で0.5mm以上(好ましくは1.0mm以上)となるように形成されている。保油穴20は、端部開口21の内寸d1が端部開口22の内寸d2より大きく形成されている(d1>d2)。
保持器5は、合成樹脂で継ぎ目のない一体に形成されている。保持器5を構成する合成樹脂としては、ポリアミド(例えばPA66やPA46)を採用することができる。ポリアミドを採用すると、ポリアミドは親油性が比較的高いことから、保油穴20の内面に潤滑油が馴染みやすく、潤滑油の表面張力によって潤滑油を保油穴20に効果的に保持することが可能となる。ポリアミドに代えて、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を採用することも可能である。また、保持器5を構成する合成樹脂には、繊維強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等)が添加されている。
図7(a)、図7(b)に示すように、保持器5は、保持器5の軸方向に分離できる2つの金型25,26で樹脂成形することができる。ここで、図3、図4に示す保持器5の小径側ポケット面17ところ案内面18は、図7(a)、図7(b)に示す第1の金型25で形成され、図3、図4に示す保持器5の大径側ポケット面16と三角凹部19と保油穴20は、図7(a)、図7(b)に示す第2の金型26で形成される。第2の金型26には、大径側ポケット面16に対応する面27に、保油穴20と同一形状の軸方向突起28が形成されている。軸方向突起28は、保油穴20の端部開口の内寸の寸法関係d1>d2に合わせて先細りの形状を有するので、保持器5を樹脂成形した後に、保持器5を金型25,26から抜き出すのが容易である。
図8に、上記の円すいころ軸受1を、自動車のトランスミッション30の回転軸(ここでは入力軸31および出力軸32)を回転可能に支持する転がり軸受として使用した例を示す。このトランスミッション30は、エンジンの回転が入力される入力軸31と、入力軸31と平行に設けられた出力軸32と、入力軸31から出力軸32に回転を伝達する複数のギヤ列33と、これらのギヤ列33と入力軸31または出力軸32との間に組み込まれた複数のクラッチ34とを有し、そのクラッチ34を選択的に係合させることで使用するギヤ列33を切り替え、これにより、入力軸31から出力軸32に伝達する回転の変速比を変化させるものである。出力軸32の回転は出力ギヤ35に出力され、その出力ギヤ35の回転がディファレンシャル機構36に伝達される。ディファレンシャル機構36は、トランスミッション30の出力ギヤ35と噛み合うリングギヤ37を有し、出力ギヤ35からリングギヤ37に入力される回転を、図示しない左右の車輪にそれぞれ接続された一対のアクスル38に分配して伝達する。入力軸31と出力軸32は、それぞれ円すいころ軸受1で回転可能に支持されている。円すいころ軸受1の潤滑は、ハウジング39内に溜められた潤滑油がリングギヤ37の回転により跳ね上げられて生じる潤滑油の飛沫により行なわれる。
ここで、円すいころ軸受1が回転しているときは、リングギヤ37も回転しているため、円すいころ軸受1に潤滑油が継続して供給されるが、円すいころ軸受1が停止しているときは、リングギヤ37も停止しているため、円すいころ軸受1への潤滑油の供給が停止する。そのため、円すいころ軸受1が長時間にわたって停止すると、円すいころ軸受1に付着していた潤滑油の多くが流れ落ち、その後、円すいころ軸受1が始動するときに、潤滑不足が生じやすい。
特に、近年、潤滑油の攪拌抵抗により発生するエネルギー損失を抑えるため、自動車のトランスミッション30やディファレンシャル機構36において低粘度の潤滑油を使用したり、潤滑油の量を少なくしたりする傾向にある。そのため、円すいころ軸受1が長時間にわたって停止したときに、円すいころ軸受1に残存する潤滑油の量が過少となりやすく、その後、円すいころ軸受1が始動するときに、円すいころ4の大端面11と内輪3の大鍔9との間に焼き付きが生じる可能性がある(図1参照)。
この問題に対し、この実施形態の円すいころ軸受1においては、円すいころ軸受1が回転しているときに、毛細管現象で保油穴20に潤滑油が導入される。その後、円すいころ軸受1が停止したときは、図2に示すように、保油穴20内の潤滑油が重力で落下せずに、毛細管現象で保油穴20内に保持される。さらにその後、円すいころ軸受1が始動すると、図2の鎖線矢印に示すように、保油穴20内の潤滑油が、遠心力によって保油穴20から流出し、円すいころ4の大端面11に供給される。そのため、円すいころ軸受1が長時間にわたって停止し、その後、円すいころ軸受1が始動するときに、円すいころ4の大端面11と内輪3の大鍔9の間の焼き付きを効果的に防止することができる。
また、この円すいころ軸受1は、潤滑油を毛細管現象によって保持する保油穴20として、大径側環状部12を保持器軸方向に貫通する貫通孔を採用しているので、毛細管現象によって潤滑油が保油穴20の一方の端部開口21に流入するときに、保油穴20の内部の空気が、保油穴20の他方の端部開口22から排出される。そのため、潤滑油が毛細管現象によって保油穴20に入り込みやすい。
また、この円すいころ軸受1は、保持器5の径方向に沿った保油穴20の内寸dが最大で2mm以下(好ましくは1.5mm以下)に設定されているので、保油穴20の内部において潤滑油に作用する重力に対して、潤滑油の表面張力が支配的であり、効果的に潤滑油を保油穴20内に保持することが可能となっている。
また、この円すいころ軸受1は、保油穴20の内面のうち保持器5の径方向内側を向く部分23が、円すいころ4の大端面11に近づくほど保持器5の外径側に変位するように傾斜しているので、円すいころ軸受1が始動したときに、保油穴20の内部の潤滑油が、遠心力によって保油穴20の内面の傾斜に沿って円すいころ4の大端面11に近づく方向に流動する。そのため、円すいころ軸受1が始動するときに、円すいころ4の大端面11を効果的に潤滑することが可能となっている。
また、この円すいころ軸受1は、保持器5の径方向に沿った保油穴20の内寸dが、円すいころ4の大端面11に近づくにしたがって次第に大きくなるテーパ形状とされているので、保油穴20の内部の潤滑油が遠心力によって流動するときに、円すいころ4の大端面11に近づく方向に円滑に流動し、円すいころ4の大端面11をより効果的に潤滑することが可能となっている。また、保持器5を金型25,26で樹脂成形するときに、その保持器5の金型25,26で保油穴20を同時に成形することが可能となっている。
また、この円すいころ軸受1は、保油穴20として、表面張力が壊れにくい形状である断面円形の丸穴を採用しているので、表面張力によって効果的に潤滑油を保油穴20に保持することが可能となっている。
また、この円すいころ軸受1は、保油穴20が、複数の円すいころ4の中心線Lの交点Oから大径側ポケット面16に下ろした垂線Hの位置に開口しているので、大径側ポケット面16の、円すいころ4の大端面11と接触する位置に保油穴20が開口することとなり、円すいころ4の大端面11を効果的に潤滑することが可能となっている。
また、この円すいころ軸受1は、保持器5を金型25,26で樹脂成形するときに、その保持器5の金型25,26で保油穴20を同時に成形することができるので、低コストである。
図8では、リングギヤ37の回転により跳ね上げられる潤滑油の飛沫によって円すいころ軸受1を潤滑したが、エンジンで駆動されるオイルポンプから潤滑油を圧送し、その潤滑油を図示しないノズルからハウジング39内に噴射し、その噴射される潤滑油で円すいころ軸受1を潤滑することも可能である。
上記の円すいころ軸受1は、図9に示すディファレンシャル機構40の入力軸を回転可能に支持する転がり軸受として使用することも可能である。このディファレンシャル機構40は、エンジンの回転を伝達する図示しないプロペラシャフトに接続される入力軸41と、入力軸41に固定して設けられたドライブピニオン42と、軸方向に間隔をおいて配置された一対の軸受43で回転可能に支持されたデフケース44と、デフケース44の回転中心と同軸にデフケース44に固定され、ドライブピニオン42に噛合するリングギヤ45と、デフケース44の回転中心と直角な方向にデフケース44に固定されたピニオン軸46と、ピニオン軸46に回転可能に支持された一対のピニオン47と、その一対のピニオン47に噛合する左右一対のサイドギヤ48とからなる。左側のサイドギヤ48には、左側の車輪に接続されたアクスル49が接続され、右側のサイドギヤ48には、右側の車輪に接続されたアクスル49が接続されている。このディファレンシャル機構40は、プロペラシャフトから入力軸41に入力される回転を、左右一対のアクスル49に分配して伝達する。ディファレンシャル機構40の入力軸41は、リングギヤ45の回転の中心線と直交する向きに配置され、この入力軸41が、円すいころ軸受1で回転可能に支持されている。円すいころ軸受1の潤滑は、ハウジング50内に溜められた潤滑油がリングギヤ45の回転により跳ね上げられて生じる潤滑油の飛沫により行なわれる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 円すいころ軸受
2 外輪
3 内輪
4 円すいころ
5 保持器
9 大鍔
10 小端面
11 大端面
12 大径側環状部
13 小径側環状部
14 柱部
15 ポケット
16 大径側ポケット面
20 保油穴
23 保油穴の内面のうち保持器径方向内側を向く部分
d 保油穴の内寸
L 円すいころの中心線
O 交点
H 垂線

Claims (11)

  1. 外輪(2)と、
    前記外輪(2)の内側に同軸に配置された内輪(3)と、
    前記外輪(2)と前記内輪(3)の間に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の円すいころ(4)と、
    前記複数の円すいころ(4)の周方向の間隔を保持する環状の保持器(5)と、を備え、
    前記内輪(3)は、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に接触する大鍔(9)を有し、
    前記保持器(5)は、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に沿って周方向に延びる大径側環状部(12)と、前記各円すいころ(4)の小端面(10)に沿って周方向に延びる小径側環状部(13)と、前記大径側環状部(12)と前記小径側環状部(13)を連結する複数の柱部(14)とを有し、前記大径側環状部(12)と前記小径側環状部(13)と前記複数の柱部(14)は、前記複数の円すいころ(4)をそれぞれ収容する複数のポケット(15)を区画し、前記大径側環状部(12)に、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に対向する大径側ポケット面(16)が形成されている円すいころ軸受において、
    前記大径側環状部(12)に、前記大径側ポケット面(16)に開口し、潤滑油を毛細管現象で導入して保持する保油穴(20)が形成され
    前記保油穴(20)は、保油穴(20)の内面のうち保持器径方向内側を向く部分(23)が、前記円すいころ(4)の大端面(11)に近づくほど保持器外径側に変位するように傾斜して形成されていることを特徴とする円すいころ軸受。
  2. 前記保油穴(20)は、前記大径側環状部(12)を保持器軸方向に貫通して形成されている請求項1に記載の円すいころ軸受。
  3. 前記保油穴(20)は、保持器径方向に沿った保油穴(20)の内寸(d)が最大で2mm以下となるように形成されている請求項1または2に記載の円すいころ軸受。
  4. 前記保油穴(20)は、保持器径方向に沿った保油穴(20)の内寸(d)が、前記円すいころ(4)の大端面(11)に近づくにしたがって次第に大きくなるテーパ形状とされている請求項1から3のいずれかに記載の円すいころ軸受。
  5. 前記保油穴(20)は、断面円形の丸穴とされている請求項1からのいずれかに記載の円すいころ軸受。
  6. 前記大径側ポケット面(16)は、前記円すいころ(4)の大端面(11)と面接触するように保持器(5)の軸直角方向に対して傾斜して形成され、
    前記保油穴(20)は、前記複数の円すいころ(4)の中心線(L)の交点(O)から前記大径側ポケット面(16)に下ろした垂線(H)の位置に開口している請求項1からのいずれかに記載の円すいころ軸受。
  7. 外輪(2)と、
    前記外輪(2)の内側に同軸に配置された内輪(3)と、
    前記外輪(2)と前記内輪(3)の間に周方向に間隔をおいて組み込まれた複数の円すいころ(4)と、
    前記複数の円すいころ(4)の周方向の間隔を保持する環状の保持器(5)と、を備え、
    前記内輪(3)は、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に接触する大鍔(9)を有し、
    前記保持器(5)は、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に沿って周方向に延びる大径側環状部(12)と、前記各円すいころ(4)の小端面(10)に沿って周方向に延びる小径側環状部(13)と、前記大径側環状部(12)と前記小径側環状部(13)を連結する複数の柱部(14)とを有し、前記大径側環状部(12)と前記小径側環状部(13)と前記複数の柱部(14)は、前記複数の円すいころ(4)をそれぞれ収容する複数のポケット(15)を区画し、前記大径側環状部(12)に、前記各円すいころ(4)の大端面(11)に対向する大径側ポケット面(16)が形成されている円すいころ軸受において、
    前記大径側環状部(12)に、前記大径側ポケット面(16)に開口し、潤滑油を毛細管現象で導入して保持する保油穴(20)が形成され
    前記大径側ポケット面(16)は、前記円すいころ(4)の大端面(11)と面接触するように保持器(5)の軸直角方向に対して傾斜して形成され、
    前記保油穴(20)は、前記複数の円すいころ(4)の中心線(L)の交点(O)から前記大径側ポケット面(16)に下ろした垂線(H)の位置に開口していることを特徴とする円すいころ軸受。
  8. 前記保油穴(20)は、前記大径側環状部(12)を保持器軸方向に貫通して形成されている請求項に記載の円すいころ軸受。
  9. 前記保油穴(20)は、保持器径方向に沿った保油穴(20)の内寸(d)が最大で2mm以下となるように形成されている請求項7または8に記載の円すいころ軸受。
  10. 前記保油穴(20)は、断面円形の丸穴とされている請求項7から9のいずれかに記載の円すいころ軸受。
  11. 前記保持器(5)は、樹脂で形成されている請求項1から10のいずれかに記載の円すいころ軸受。
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