JP2021084737A - 搬送ベルト、および、印刷装置。 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトを駆動する装置によって磁気リニアエンコーダーによりベルトの位置検出を行う場合に、磁気スケールの配置の乱れ等があっても、ベルトの位置を精度よく検出できるようにする。【解決手段】帯状のベルト74の第1方向D1における両端を接合して形成された無端形状の搬送ベルト70であって、ベルト74の第1方向D1に沿って配置された第1磁気スケール71および第2磁気スケール72を備え、第1磁気スケール71は、第1方向D1におけるベルト74の接合位置が第1位置P1である第1領域A1に配置され、第2磁気スケール72は、第1方向D1におけるベルト74の接合位置が第1位置P1とは異なる第2位置P2である第2領域A2に配置されている。【選択図】図2
Description
本発明は、搬送ベルト、および、印刷装置に関する。
従来、ベルトを駆動する装置において、ベルトに磁気マーカーを配置し、検出器によって磁気マーカーを検出することによりベルトの位置を決定する磁気リニアエンコーダーが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ベルトの製造過程でベルトの端部を接合する処理を行った場合、磁気マーカーが接合部で途切れてしまうことがあった。磁気マーカーが途切れた箇所では、磁気マーカーを検出できないため、位置検出の精度を維持することが困難である。また、ベルトの損傷により磁気マーカーの配置が乱れた場合も、位置検出の精度が低下することが懸念される。
上記課題を解決する一態様は、帯状のベルトの第1方向における両端を接合して形成された無端形状の搬送ベルトであって、前記ベルトの第1方向に沿って配置された第1磁気スケールおよび第2磁気スケールを備え、前記第1磁気スケールは、前記第1方向における前記ベルトの接合位置が第1位置である第1領域に配置され、前記第2磁気スケールは、前記第1方向における前記ベルトの接合位置が前記第1位置とは異なる第2位置である第2領域に配置されている、搬送ベルトである。
上記搬送ベルトにおいて、前記第2磁気スケールは、前記第1方向における前記第1位置で連続して配置されており、前記第1磁気スケールは、前記第1方向における前記第2位置で連続して配置されている構成であってもよい。
上記搬送ベルトにおいて、前記第1磁気スケールは、前記第1方向と直交する第2方向において一方の端部に配置されており、前記第2磁気スケールは、前記第2方向において他方の端部に配置されている構成であってもよい。
上記搬送ベルトにおいて、前記ベルトの両端が接合された接合部が前記第2方向に延びている構成であってもよい。
上記搬送ベルトにおいて、前記ベルトの両端が接合された接合部が、前記第2方向に対して傾いた方向に延びている構成であってもよい。
上記課題を解決する別の一態様は、上記の搬送ベルトと、前記第1磁気スケールと対向して配置され、前記第1磁気スケールを読み取る第1読取部と、前記第2磁気スケールと対向して配置され、前記第2磁気スケールを読み取る第2読取部と、前記搬送ベルトと対向して配置された印刷部と、を備えた印刷装置である。
上記印刷装置において、前記第1読取部及び前記第2読取部は、前記搬送ベルトの前記第1方向における前記第1読取部の位置と、前記第2読取部の位置とが重なるよう配置されている構成であってもよい。
上記印刷装置において、前記第1読取部及び前記第2読取部は、前記搬送ベルトの前記第1方向において前記印刷部から所定範囲内に配置されている構成であってもよい。
上記課題を解決するさらに別の一態様は、帯状のベルトの第1方向における両端を接合して形成された無端形状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトにおいて、前記第1方向と交差する第2方向の一端に配置された第1磁気スケールと、前記搬送ベルトにおいて、前記第2方向の他端に配置された第2磁気スケールと、前記第1磁気スケールと対向して配置され、前記第1磁気スケールを読み取る第1読取部と、前記第2磁気スケールと対向して配置され、前記第2磁気スケールを読み取る第2読取部と、前記搬送ベルトと対向する位置に配置された印刷部と、を備え、前記第1方向における前記第1読取部の位置と前記第2読取部の位置とが異なる、印刷装置である。
上記印刷装置において、前記搬送ベルトを循環させるベルト駆動部と、前記第1読取部および前記第2読取部の少なくともいずれかの出力に基づき、前記搬送ベルトの位置を示す位置信号を出力する信号出力部と、を備え、前記搬送ベルトは、前記ベルトの両端が接合された接合部を有し、前記信号出力部は、前記接合部で前記第1読取部の出力または前記第2読取部の出力の乱れが生じた場合に、前記出力を補正して前記位置信号を出力する構成であってもよい。
上記印刷装置において、前記搬送ベルトを循環させるベルト駆動部と、前記第1読取部および前記第2読取部の少なくともいずれかの出力に基づき、前記搬送ベルトの位置を示す位置信号を出力する信号出力部と、を備え、前記搬送ベルトは、前記ベルトの両端が接合された接合部を有し、前記信号出力部は、前記第1読取部の出力または前記第2読取部の出力の異常値を補正して前記位置信号を出力する構成であってもよい。
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態について説明する。なお、各図においては、理解の便宜のため、実物とは異なる尺度で各部材を図示する。
図1および図12では、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸及びZ軸を図示する。印刷装置100の設置状態において、Z軸は鉛直方向に相当し、X軸およびY軸は水平面に沿った方向である。
図1および図12では、説明の便宜上、互いに直交する三軸として、X軸、Y軸及びZ軸を図示する。印刷装置100の設置状態において、Z軸は鉛直方向に相当し、X軸およびY軸は水平面に沿った方向である。
[1.第1実施形態]
[1−1.印刷装置の全体構成]
図1は、第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
印刷装置100は、印刷媒体に対してインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット式の印刷装置である。印刷装置100で使用される印刷媒体95は、紙や合成樹脂製のシート等、各種の材料を用いることができ、例えば、普通紙、上質紙、及び光沢紙等のインクジェット記録用専用紙を利用できる。以下の説明では、印刷媒体95として、綿やウール等の天然繊維や、ポリエステル等の合成繊維、あるいはこれらを混紡した繊維で構成された布帛を用いる構成を示す。印刷装置100は、印刷媒体95の印刷面にインクを付着させて印刷媒体95の捺染を行う捺染印刷機として機能する。印刷媒体95は被捺染材に相当する。
[1−1.印刷装置の全体構成]
図1は、第1実施形態に係る印刷装置の概略構成図である。
印刷装置100は、印刷媒体に対してインクを吐出することにより画像を形成するインクジェット式の印刷装置である。印刷装置100で使用される印刷媒体95は、紙や合成樹脂製のシート等、各種の材料を用いることができ、例えば、普通紙、上質紙、及び光沢紙等のインクジェット記録用専用紙を利用できる。以下の説明では、印刷媒体95として、綿やウール等の天然繊維や、ポリエステル等の合成繊維、あるいはこれらを混紡した繊維で構成された布帛を用いる構成を示す。印刷装置100は、印刷媒体95の印刷面にインクを付着させて印刷媒体95の捺染を行う捺染印刷機として機能する。印刷媒体95は被捺染材に相当する。
印刷装置100は、媒体搬送部20、媒体密着部60、印刷部40、乾燥ユニット27、洗浄ユニット50などを備え、これらの各部はフレーム部90に取り付けられる。印刷装置100は、上記の各部を制御する制御装置1を有する。
媒体搬送部20は、媒体供給部10、搬送ローラー21,22、ベルト回転ローラー24、ベルト駆動ローラー25、搬送ローラー26,28、媒体回収部30、及び、搬送ベルト70を備え、印刷媒体95を搬送方向に搬送する。媒体搬送部20が印刷媒体95を搬送する搬送方向は、図に矢印で示す搬送方向Fであり、印刷部40において+X軸方向に相当する。
媒体供給部10は、印刷媒体95を印刷部40側に供給する。媒体供給部10は、円筒状又は円柱状の供給軸部11と、供給軸部11を回転可能に支持する軸受部12とを有する。媒体供給部10は、制御装置1の制御に従って供給軸部11を動かす不図示の回転駆動部を有する。供給軸部11には帯状の印刷媒体95がロール状に巻かれており、供給軸部11の回転により印刷媒体95が繰り出される。供給軸部11は軸受部12に着脱可能である。
搬送ローラー21,22は、供給軸部11から繰り出された印刷媒体95を搬送ベルト70まで中継する。
搬送ベルト70は、印刷媒体95を搬送方向Fに搬送する。搬送ベルト70は、帯状のベルトの両端部が接続された無端形状であり、ベルト回転ローラー24及びベルト駆動ローラー25に巻き掛けられている。搬送ベルト70は、例えば、ベルト回転ローラー24とベルト駆動ローラー25との間の部分が床面99に対して平行になるように、所定の張力が作用した状態で保持される。搬送ベルト70の表面23aには、印刷媒体95を粘着させる粘着層29が設けられる。
印刷媒体95は、搬送ローラー22を経由して搬送ベルト70まで搬送され、粘着層29の粘着力により表面70aに密着し、搬送ベルト70に支持或いは保持される。これにより、伸縮性のある布帛などを印刷媒体95として扱うことができる。
ベルト回転ローラー24及びベルト駆動ローラー25は、搬送ベルト70の内周面70bに接し、内周面70bとの摩擦により搬送ベルト70を駆動する。なお、搬送方向Fにおいて、ベルト回転ローラー24とベルト駆動ローラー25との間に、搬送ベルト70を支持する支持部を設けてもよい。
ベルト駆動ローラー25、および、ベルト駆動ローラー25を含む媒体搬送部20は、ベルト駆動部の一例に対応する。
ベルト駆動ローラー25、および、ベルト駆動ローラー25を含む媒体搬送部20は、ベルト駆動部の一例に対応する。
ベルト駆動ローラー25は、ベルト駆動ローラー25を回転駆動させる不図示のモーターを有する。ベルト回転ローラー24は従動ローラーであり、モーターの動力によりベルト駆動ローラー25が回転し、この回転により搬送ベルト70が回転すると、ベルト回転ローラー24が回転する。搬送ベルト70の回転により、印刷媒体95が印刷部40に向けて、搬送方向Fに搬送される。
印刷部40は、搬送ベルト70上方に位置し、搬送ベルト70の表面70aと対向する搬送ベルト70の下方には洗浄ユニット50が配置される。搬送ベルト70は、印刷部40に対向する位置では印刷媒体95とともに搬送方向Fに移動し、洗浄ユニット50と対向する位置では搬送方向Fとは反対方向に移動する。
印刷部40は、印刷媒体95に画像を形成する。搬送ローラー26は、搬送方向Fにおいて印刷部40の下流に位置し、印刷媒体95を粘着層29から剥離させる。印刷媒体95は、搬送ローラー26および搬送ローラー28を経て、媒体回収部30に搬送される。
媒体回収部30は、印刷媒体95を回収する。媒体回収部30は、円筒状又は円柱状の巻取り軸部31と、巻取り軸部31を回転可能に支持する軸受部32とを有する。媒体回収部30は、巻取り軸部31を回転駆動させる不図示の回転駆動部を有する。巻取り軸部31の回転により、印刷媒体95は巻取り軸部31に巻き取られる。巻取り軸部31は軸受部32に対して着脱可能である。
媒体密着部60は、搬送方向Fにおいて印刷部40の上流に位置し、印刷媒体95を搬送ベルト70に密着させる。媒体密着部60は、押圧ローラー61、押圧ローラー駆動部62及びローラー支持部63を有する。押圧ローラー61は、円筒状又は円柱状に形成され、円周方向に回転可能である。ローラー支持部63は、搬送ベルト70を挟んで押圧ローラー61と対向するように、搬送ベルト70の内周面70b側に配置される。
押圧ローラー駆動部62は、押圧ローラー61を下向きに押圧しながら、押圧ローラー61を搬送方向F、および搬送方向Fと反対方向に移動させる。押圧ローラー駆動部62の押圧力により、印刷媒体95は、押圧ローラー61とローラー支持部63との間で搬送ベルト70に押し付けられる。
印刷部40は、印刷媒体95にインクを吐出する吐出ヘッド42、吐出ヘッド42が搭載されるキャリッジ43、及び、キャリッジ43を搬送方向Fと交差する方向に移動させるキャリッジ移動部41を有する。吐出ヘッド42は、複数のノズル列45が形成されたノズルプレート44を有する。例えば、ノズルプレート44には、4つのノズル列45が形成され、ノズル列45毎に異なる色のインクが吐出され、これにより印刷媒体95にカラー印刷が施される。
キャリッジ43は、Y軸方向に沿って配置された不図示のガイドレールに支持され、キャリッジ移動部41によって、Y軸方向に往復移動する。キャリッジ移動部41の機構としては、例えば、ボールねじとボールナットとを組み合わせた機構や、リニアガイド機構などを採用できる。
搬送ローラー26と搬送ローラー28との間には、乾燥ユニット27が設けられる。乾燥ユニット27は、IRヒーター等の加熱手段を備え、印刷媒体95を加熱することにより、印刷媒体95のインクを乾燥させる。
洗浄ユニット50は、洗浄部51、押圧部52及び移動部53を有する。洗浄部51は、洗浄液を貯留する洗浄槽54、搬送ベルト70に当接して回転する第1洗浄ブラシ68、第2洗浄ブラシ69、および、ブレード55を備える。第1洗浄ブラシ68および第2洗浄ブラシ69は、表面70aに当接するブラシであり、図4に示す駆動モーター66の動力により回転して、洗浄液により表面70aを洗浄する。ブレード55は、例えば、シリコンゴムなどの可撓性の材料で形成され、搬送ベルト70の回転方向において第2洗浄ブラシ69の下流に配置される。ブレード55は、表面70aから洗浄液を掻き落とし、表面70aを、印刷媒体95が密着可能な状態に整える。移動部53は、洗浄ユニット50を床面99に対して移動可能に支持する。押圧部52は、例えば、エアーシリンダー56とボールブッシュ57とで構成された昇降装置であり、洗浄部51の高さの調整および保持を可能とする。
[1−2.搬送ベルトの構成]
図2は、搬送ベルト70の製造過程および構成を示す図であり、ベルト74の平面図、および、ベルト74を加工して形成される搬送ベルト70の斜視図である。図2に示す搬送ベルト70およびベルト74は一構成例である。図2の円内には第1磁気スケール71の一部を拡大して示す。
図2は、搬送ベルト70の製造過程および構成を示す図であり、ベルト74の平面図、および、ベルト74を加工して形成される搬送ベルト70の斜視図である。図2に示す搬送ベルト70およびベルト74は一構成例である。図2の円内には第1磁気スケール71の一部を拡大して示す。
ベルト74は帯状のシートで構成される。ここで、ベルト74の長さ方向を第1方向D1とし、第1方向D1と交差する方向を第2方向D2とする。本実施形態では、第2方向D2は第1方向D1に直交し、ベルト74の幅方向に相当する。
第1方向D1におけるベルト74の端部E1と端部E2とを重ね合わせて接合することにより、無端形状の搬送ベルト70が形成される。第1方向D1は無端形状の搬送ベルト70においてベルト74が連続する方向ともいえる。端部E1と端部E2とは、接着剤や加熱加工により相互に接合される。図2の例では、端部E1および端部E2は接合に好適なようにギザギザ形状を有するように加工されているが、例えば、互いに重ねて接合するために薄肉に加工されていてもよいし、無加工の断端であってもよい。
端部E1は、第1方向D1における位置が異なる端部E11と端部E12を有し、これに対応するように、端部E2は、端部E21と端部E22とを有する。端部E11と端部E21とが接合された位置を第1位置P1とし、端部E12と端部E22とが接合された位置を第2位置P2とすると、第1位置P1と第2位置P2は第1方向D1において異なる位置にある。
ベルト74には、第1方向D1に沿って第1磁気スケール71、および、第2磁気スケール72が配置される。第1磁気スケール71は、第2方向D2においてベルト74の一端側の第1領域A1に、第1方向D1に沿って配置され、第2磁気スケール72は、第2方向D2においてベルト74の他端側の第2領域A2に、第1方向D1に沿って配置される。第1領域A1は、第2方向D2において端部E11および端部E21に重なり、第2領域A2は端部E12および端部E22に重なる。本実施形態では一例として、第1領域A1はベルト74の一方端部に配置され、第2領域A2はベルト74の他方端部に配置されているが、第1領域A1及び第2領域A2の位置はこの例に限定されない。第1領域A1は第2方向D2において端部E11および端部E21に重なる位置にあればよく、第2領域A2は端部E12および端部E22に重なる位置に配置されていればよい。
第1磁気スケール71は、異なる磁気状態を有する部分が第1方向D1に交互に並んだ構成を有する。本実施形態では一例として、磁性体71a、71bが第1方向D1に交互に並んだ構成を示す。磁性体71a、および、磁性体71bは、ベルト74の一面における磁極が異なっており、例えば、表面70aで磁性体71aはN極を示し、磁性体71bはS極を示す。磁性体71aと磁性体71bの極は反対であってもよいし、磁性体71aと磁性体71bのいずれか一方が磁力を示さない構成であってもよい。第1磁気スケール71は、例えば、一続きの磁性体のテープやフィルムを磁化することで形成されるが、磁性体71a、71bとなる部品を並べて配置してもよい。第2磁気スケール72も同様に、第1方向D1において、異なる磁極を示す部分が交互に並べて配置された構成である。
第1磁気スケール71および第2磁気スケール72は、それぞれ、ベルト74の表面に露出してもよいし、ベルト74の裏側の面に露出してもよく、ベルト74に埋設されてもよい。図2に示す例では、第1磁気スケール71と第2磁気スケール72の両方が、ベルト74を結合した搬送ベルト70の表面70aに露出する。
印刷装置100は、後述するように、搬送ベルト70の第1磁気スケール71を読み取る読取ヘッド81、および、第2磁気スケール72を読み取る読取ヘッド82を備える。読取ヘッド81、82は、磁気を検出して、後述する検出信号DSを出力する。読取ヘッド81は第1読取部の一例に対応し、読取ヘッド82は第2読取部の一例に対応する。
搬送ベルト70がベルト駆動ローラー25の回転に伴って移動する際に、磁性体71aと磁性体71bとの境界において、読取ヘッド81が検出する磁極が反転し、検出信号DSが変動する。制御装置1は、読取ヘッド81の検出信号DSに基づき、磁極の反転をカウントすることで、搬送ベルト70の移動量を求めることができる。同様に、制御装置1は、読取ヘッド82の検出信号DSに基づき、搬送ベルト70の移動量を求めることができる。以下では、搬送ベルト70の移動量を、搬送量と呼ぶ。
読取ヘッド81、82は、表面70aにおいて第1磁気スケール71、および第2磁気スケール72をそれぞれ読み取るので、図1に示すように、搬送ベルト70の上方に配置されている。Z軸方向において、読取ヘッド81、82は表面70aに近い位置にあることが好ましい。読取ヘッド81、82は、粘着層29に接触しないように、表面70aから離隔していることが好ましいが、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72が印刷媒体95に重なる位置にある場合、読取ヘッド81、82は印刷媒体95に接触してもよい。
第1磁気スケール71における磁性体71aと磁性体71bの長さ、すなわち、読取ヘッド81が読み取る磁気が反転する長さの単位を、ピッチと呼ぶ。第1磁気スケール71および第2磁気スケール72のピッチは、読取ヘッド81、82の出力信号に基づいて制御装置1が搬送量を算出する処理の基準となる。搬送ベルト70では、第1磁気スケール71のピッチと第2磁気スケール72のピッチが同一、または、同一と見なせる範囲内であることが好ましい。
図3は、印刷装置100にセットされた搬送ベルト70の要部平面図であり、搬送ベルト70における第1磁気スケール71および第2磁気スケール72と、読取ヘッド81、82との相対位置を示している。
読取ヘッド81および読取ヘッド82は第2方向D2において並べて配置されている。詳細には、読取ヘッド81が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置と、読取ヘッド82が第2磁気スケール72の磁気を検出する位置は、いずれも搬送方向Fにおいて同じ位置である。この位置を検出位置P3とする。検出位置P3は、読取位置と呼ぶこともできる。ここで、読取ヘッド81、82の検出位置は完全に一致している必要はなく、許容される範囲で近接していれば、搬送方向Fにおいてずれた位置であってもよい。
搬送ベルト70において、第1接合領域A11および第2接合領域A12は、端部E1と端部E2が接合された接合部に相当する。第1接合領域A11の少なくとも一部では、第1磁気スケール71が欠落している。これは、端部E11と端部E21とを接合する工程で、第1磁気スケール71における磁性体71aと磁性体71bの配列が乱れる可能性があるためである。磁性体71a、71bの配列の乱れは、ピッチの不適切な変化を生じ、搬送量の検出精度を低下させる可能性がある。そこで、本実施形態の搬送ベルト70においては、第1接合領域A11において、第1磁気スケール71を欠落させた磁気空白部B1を設けている。同様に、端部E12と端部E22との接合部を含む第2接合領域A12の少なくとも一部で、第2磁気スケール72を欠落させた磁気空白部B2が設けられている。磁気空白部B1で欠落した第1磁気スケール71の長さ、および、磁気空白部B2で欠落した第2磁気スケール72の長さは適宜に変更可能である。
読取ヘッド81は、搬送方向Fに移動する第1磁気スケール71の磁気を検出し、検出信号DSを制御装置1に出力する。磁気空白部B1が検出位置P3に到達すると、読取ヘッド81の検出信号DSは、磁性体71a、71bを検出した場合とは明らかに異なる波形となる。このため、磁気空白部B1が検出位置P3に位置している状態では読取ヘッド81の検出信号DSに基づき搬送量を算出できない。同様に、磁気空白部B2が検出位置P3に位置している状態では、読取ヘッド81の検出信号DSに基づき搬送量を算出できない。
本実施形態の構成では、ベルト74の端部E1、E2を段付き形状とし、第2方向D2において第1領域A1に重なる結合部である第1位置P1と、第2領域A2に重なる結合部である第2位置P2とを、第1方向D1において異なる位置とした。このため、磁気空白部B1が検出位置P3に到達するタイミングと、磁気空白部B2が検出位置P3に到達するタイミングとが重複しない。また、第1磁気スケール71は第2位置P2で連続しており、第2磁気スケール72は第1位置P1で連続している。従って、読取ヘッド81及び読取ヘッド82が同時に磁気を検出できなくなるという事態を回避できる。つまり、読取ヘッド81、82の少なくともいずれかが、磁気を正常に検出可能である。
このため、制御装置1は、読取ヘッド81、82の検出信号DSを組み合わせることにより、第1接合領域A11および第2接合領域A12を有する搬送ベルト70の移動量を、搬送ベルト70の全体において高精度で求めることができる。
図1に示すように、読取ヘッド81、82は、印刷部40の近傍に配置される。搬送ベルト70の搬送量に基づいて印刷部40による印刷を制御する場合、搬送ベルト70の搬送量を印刷部40に近い位置で検出することが、より高精度に印刷を制御するために有用である。ここで、吐出ヘッド42がY軸方向に移動する範囲を印刷ヘッド移動領域A51とし、印刷ヘッド移動領域A51を基準として上流および下流における所定距離以内を、印刷ヘッド近傍領域A52とする。読取ヘッド81、82は、印刷ヘッド近傍領域A52に配置されることが好ましい。読取ヘッド81、82は、印刷部40の上流および下流にどちらに配置してもよいが、印刷媒体95に付着したインクの影響を受けにくいことから、搬送方向Fにおいて印刷部40の上流に位置することが、好ましい。さらに、読取ヘッド81、82を設置するスペースを確保可能な場合は、読取ヘッド81、82を印刷ヘッド移動領域A51に配置することが、より好ましい。上記の説明において、読取ヘッド81、82の設置位置は、検出位置P3と読み替えることができる。
[1−3.印刷装置の制御系]
図4は、印刷装置100の制御系を示すブロック図である。
印刷装置100は、入力装置7、および、表示装置8を備え、これらは制御装置1に接続される。入力装置7は、印刷装置100を操作するオペレーターが印刷条件等を入力する装置であり、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスである。入力装置7は、デスクトップ型あるいはラップトップ型のパーソナルコンピューター、タブレット型端末、携帯型端末等であってもよく、印刷装置100と別体で設けられていてもよい。入力装置7は、オペレーターが入力した情報を制御装置1に出力する。表示装置8は、液晶表示パネル等の表示画面を備え、制御装置1の制御に従って各種情報を表示する。
図4は、印刷装置100の制御系を示すブロック図である。
印刷装置100は、入力装置7、および、表示装置8を備え、これらは制御装置1に接続される。入力装置7は、印刷装置100を操作するオペレーターが印刷条件等を入力する装置であり、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスである。入力装置7は、デスクトップ型あるいはラップトップ型のパーソナルコンピューター、タブレット型端末、携帯型端末等であってもよく、印刷装置100と別体で設けられていてもよい。入力装置7は、オペレーターが入力した情報を制御装置1に出力する。表示装置8は、液晶表示パネル等の表示画面を備え、制御装置1の制御に従って各種情報を表示する。
制御装置1は、インターフェイス部2、制御部3、駆動回路4、記憶部5、および、信号出力部6を備える。制御部3は、CPU等のプロセッサーを備え、プロセッサーによりプログラムを実行して、ソフトウェアとハードウェアとの協働により印刷装置100の各部を制御する。CPUはCentral Processing Unitの略である。
インターフェイス部2は、入力装置7及び表示装置8に接続され、これら各装置との間でデータを送受信する。駆動回路4は、媒体搬送部20、キャリッジ移動部41、吐出ヘッド42、および駆動モーター66に接続される。記憶部5は、半導体記憶デバイスや磁気的記録装置を備え、制御部3のプロセッサーにより実行されるプログラムや、制御部3により処理されるデータを記憶する。記憶部5は、例えば、補正データ5a、および、搬送位置データ5bを記憶する。
制御装置1は、駆動回路4を制御して、駆動回路4から制御信号を出力させることにより、媒体搬送部20、キャリッジ移動部41、吐出ヘッド42、および、駆動モーター66を動作させる。制御装置1は、媒体搬送部20が備える各モーターを駆動し、印刷媒体95を搬送方向Fに移動させる。制御装置1は、キャリッジ移動部41が備えるモーターを駆動して、キャリッジ43をY軸方向に移動させる。制御装置1は、吐出ヘッド42を駆動して、印刷媒体95に向かってインクを吐出させる。制御装置1は、キャリッジ移動部41及び吐出ヘッド42を制御して、吐出ヘッド42からインクを吐出させながらキャリッジ43を移動させる主走査と、媒体搬送部20を制御して印刷媒体95を搬送方向に搬送させる副走査と、を繰り返す。この制御により、印刷媒体95に画像が形成される。
制御装置1は、駆動モーター66を駆動して第1洗浄ブラシ68および第2洗浄ブラシ69を回転させる。なお、図示を省略した印刷装置100の各部が制御装置1に接続され、これらの各部を制御装置1が制御する構成としてもよい。
信号出力部6は、読取ヘッド81、および読取ヘッド82に接続され、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSに基づき、搬送ベルト70の位置を示す位置信号PSを出力する。信号出力部6が出力する位置信号PSは、搬送方向Fにおける絶対的な位置を示す信号であってもよいし、指定されたタイミングまたは位置を起点とする搬送ベルト70の相対的な位置を示す信号であってもよく、搬送量を示す信号であってもよい。信号出力部6が出力する位置信号PSは、アナログ信号であってもよいし、搬送ベルト70の絶対位置、相対位置、或いは移動量を示すデジタルデータであってもよい。
制御装置1は、信号出力部6が出力する位置信号PSに基づいて、搬送ベルト70の搬送方向Fにおける位置を算出する。制御装置1が求める搬送量は、媒体搬送部20の駆動制御に反映される。また、制御装置1には、その他の各種センサーを含む検出器群85が接続され、制御装置1は、検出器群85の検出値を取得して、駆動回路4による制御に反映させる。
[1−4.印刷装置の動作]
図5および図6は、印刷装置100の動作を示すフローチャートである。図5及び図6では、印刷装置100の動作および印刷装置100に係る作業や操作を、理解の便宜のために一連のフローとして示している。実際の印刷装置100の動作で、図5及び図6に含まれる複数のステップが並列的に実行される例、一部の処理がハードウェアにより実行される例、一部の処理が割り込み処理として図5及び図6とは異なる順序で実行される例等を包含してもよい。
図5および図6は、印刷装置100の動作を示すフローチャートである。図5及び図6では、印刷装置100の動作および印刷装置100に係る作業や操作を、理解の便宜のために一連のフローとして示している。実際の印刷装置100の動作で、図5及び図6に含まれる複数のステップが並列的に実行される例、一部の処理がハードウェアにより実行される例、一部の処理が割り込み処理として図5及び図6とは異なる順序で実行される例等を包含してもよい。
図5は、印刷装置100に搬送ベルト70をセットする場合の動作を示す。
まず、印刷装置100の製造または設置に係る作業者によって印刷装置100に搬送ベルト70が設置される(ステップS11)。その後、入力装置7が操作され、制御装置1が媒体搬送部20を制御して、搬送ベルト70の駆動を開始する(ステップS12)。さらに、制御装置1は、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSの取得を開始する(ステップS13)。ステップS13の処理により、信号出力部6は、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSに基づいて搬送量を検出し、位置信号PSを出力する処理を開始する。
まず、印刷装置100の製造または設置に係る作業者によって印刷装置100に搬送ベルト70が設置される(ステップS11)。その後、入力装置7が操作され、制御装置1が媒体搬送部20を制御して、搬送ベルト70の駆動を開始する(ステップS12)。さらに、制御装置1は、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSの取得を開始する(ステップS13)。ステップS13の処理により、信号出力部6は、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSに基づいて搬送量を検出し、位置信号PSを出力する処理を開始する。
制御装置1は、第1磁気スケール71に基づく検出信号DSを用いて搬送量を算出する処理(ステップS14)、および、第2磁気スケール72に基づく検出信号DSを用いて搬送量を算出する処理(ステップS15)を実行する。ステップS14では、信号出力部6が、読取ヘッド81の検出信号DSをもとに搬送量を求め、ステップS15では、信号出力部6が読取ヘッド82の検出信号DSをもとに搬送量を求める。
ステップS14およびステップS15では、同じ区間において読取ヘッド81および読取ヘッド82が出力する検出信号DSを用いて搬送量が算出される。例えば、信号出力部6が、制御部3の制御に従ってステップS14およびステップS15を並列的に実行してもよい。また、制御装置1が、読取ヘッド81、82の検出信号DSを一時的に保持しておいて、保持した検出信号DSを順に信号出力部6が処理することで、搬送量を算出してもよい。
制御装置1は、ステップS14で求めた搬送量とステップS15で求めた搬送量との差を算出する(ステップS16)。ステップS16で算出される差は、搬送ベルト70の第2方向D2における搬送量のムラに相当する。搬送量のムラは、搬送ベルト70の第1方向D1におけるサイズが第2方向D2において均一でない場合に発生する。また、第1磁気スケール71と第2磁気スケール72の状態に差がある場合も、搬送量のムラが発生する。
制御装置1は、ステップS16で求めた搬送量の差が、予め設定された許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS17)。
搬送量の差が許容範囲内でない場合(ステップS17;NO)、制御装置1は、ステップS16で算出した搬送量の差を表示装置8により表示させ(ステップS18)、搬送ベルト70を停止させる(ステップS19)。ここで、作業者によって、第2方向D2における搬送ベルト70の搬送量のムラを解消または縮小するため、アライメント調整が行われる(ステップS20)。アライメント調整が完了したことを示す入力操作等に基づき、制御装置1は、ステップS12に戻って搬送ベルト70を駆動する。
搬送量の差が許容範囲内でない場合(ステップS17;NO)、制御装置1は、ステップS16で算出した搬送量の差を表示装置8により表示させ(ステップS18)、搬送ベルト70を停止させる(ステップS19)。ここで、作業者によって、第2方向D2における搬送ベルト70の搬送量のムラを解消または縮小するため、アライメント調整が行われる(ステップS20)。アライメント調整が完了したことを示す入力操作等に基づき、制御装置1は、ステップS12に戻って搬送ベルト70を駆動する。
搬送量の差が許容範囲内である場合(ステップS17;YES)、制御装置1は、搬送ベルト70を停止させる(ステップS21)。制御装置1は、ステップS14で求めた搬送量とステップS15で求めた搬送量とに基づき補正データ5aを生成する(ステップS22)。補正データ5aは、読取ヘッド81の検出信号DSをもとに求められる搬送量と、読取ヘッド82の検出信号DSをもとに求められる搬送量との差を補正するための補正値を含む。例えば、補正データ5aは、読取ヘッド81の検出信号DSと、読取ヘッド82の検出信号DSとの差を補正して、読取ヘッド81、82の検出信号DSを同一の信号として処理可能とする補正値を含む。この場合、補正データ5aは、読取ヘッド81の検出信号DSを読取ヘッド82の検出信号DSに合わせるための補正値を含んでも良いし、その逆でもよい。制御装置1は、補正データ5aを用いることにより、読取ヘッド81の検出信号DSと、読取ヘッド82の検出信号DSのどちらを使用しても高精度で搬送量を求めることができる。例えば、制御装置1は、補正データ5aにより補正した読取ヘッド81、82の検出信号DSの平均値を算出し、求めた平均値に基づき搬送量を求めることができる。また、例えば、制御装置1は、読取ヘッド81の検出信号DSと読取ヘッド82の検出信号DSとを随時切り替えて、搬送量を求めることができる。
補正データ5aを生成した後、制御装置1は、搬送ベルト70に関する調整が完了したことを示すメッセージや画像を表示装置8により表示させ(ステップS23)、本処理を終了する。
図6は、制御装置1の動作を示しており、特に、印刷装置100の動作中に搬送ベルト70の搬送量を算出する動作を示す。
本実施形態では、信号出力部6の動作の一例として、信号出力部6が、読取ヘッド81、82の両方の検出信号DSを用いる場合を説明する。詳細には、信号出力部6が、読取ヘッド81および読取ヘッド82の両方から検出信号DSを取得し、取得した2つの検出信号DSを合成して、搬送ベルト70の位置や搬送量を求める。
本実施形態では、信号出力部6の動作の一例として、信号出力部6が、読取ヘッド81、82の両方の検出信号DSを用いる場合を説明する。詳細には、信号出力部6が、読取ヘッド81および読取ヘッド82の両方から検出信号DSを取得し、取得した2つの検出信号DSを合成して、搬送ベルト70の位置や搬送量を求める。
制御装置1は、入力装置7により入力される指示等に従って、印刷等の動作を開始し(ステップS31)、搬送ベルト70の駆動を開始する(ステップS32)。制御装置1は、信号出力部6によって読取ヘッド81、82の検出信号DSを取得する処理を開始する(ステップS33)。
信号出力部6は、読取ヘッド81の検出信号DS、および、読取ヘッド82の検出信号DSのいずれも、予め設定された正常範囲内の信号であるか否かを判定する(ステップS34)。信号出力部6は、設定されたサンプリング周波数で検出信号DSを取得する。例えば、信号出力部6は、取得した検出信号DSを蓄積し、蓄積した検出信号DSを設定された周期毎に切り出して、ステップS34以後の処理を行う。
読取ヘッド81、82が出力した検出信号DSがいずれも正常範囲内である場合(ステップS34;YES)、信号出力部6は、補正データ5aに基づいて検出信号DSを補正する(ステップS35)。ステップS35では、例えば、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSのいずれか一方が、他方に合わせて補正される。
信号出力部6は、読取ヘッド81の検出信号DSと読取ヘッド82の検出信号DSとに基づいて合成信号を生成する(ステップS36)。合成信号は、例えば、2つの検出信号DSを重ね合わせて平均化した信号である。また、合成信号は、他の統計的な処理により2つの検出信号DSを1つの信号としたものであってもよい。
一方、読取ヘッド81、82が出力した検出信号DSのいずれかが、正常範囲内でない信号であった場合(ステップS34;NO)、信号出力部6は、正常範囲内でない検出信号DSを破棄する(ステップS41)。これにより、信号出力部6が利用可能な検出信号DSは、正常範囲内であった信号のみとなる。
信号出力部6は、ステップS36で生成した検出信号DS、または、ステップS41で破棄されなかった検出信号DSに基づき、搬送ベルト70の搬送量を算出する(ステップS37)。制御装置1は、信号出力部6により算出した搬送量に基づき、搬送ベルト70の位置を示す搬送位置データ5bを更新する(ステップS38)。搬送位置データ5bは、搬送方向Fにおける搬送ベルト70の位置を示すデータである。例えば、搬送位置データ5bは、印刷開始時等の基準となるタイミングにおける位置を起点として、搬送ベルト70の位置を示すデータである。搬送ベルト70の搬送が継続されている間、制御装置1は、搬送位置データ5bを随時更新する。搬送位置データ5bは、例えば、印刷部40による印刷の制御に利用される。
制御装置1は、印刷装置100の動作を停止する条件が成立したか否かを判定し(ステップS39)、条件が成立していない場合は(ステップS39;NO)、ステップS34に戻る。停止条件が成立した場合(ステップS39;YES)、搬送ベルト70を停止させて(ステップS40)、本処理を終了する。停止条件とは、例えば、印刷媒体95への印刷が完了すること、入力装置7により停止の指示が入力されること、等である。
図7は、読取ヘッド81、82が出力する検出信号DSの例を示す図である。図7において、(a)は通常の検出信号DSの例を示し、(b)は検出信号DSの欠落が発生した例を示し、(c)は検出信号DSの異常値が発生した例を示す。
図7に示す例では、正常範囲の閾値として、閾値TH1、TH2が設定されている。閾値TH1は正常範囲の下限であり、閾値TH2は上限である。検出信号DSの値が閾値TH1以上閾値TH2以下であれば、正常範囲内と判定される。
図7(a)に示すように、検出信号DSは閾値TH1−閾値TH2間で変化する信号である。例えば、読取ヘッド81が出力する検出信号DSは、第1磁気スケール71の磁性体71aと磁性体71bの境界で読取ヘッド81が検出する磁性が反転するため、検出値の上下動を含む波形となる。読取ヘッド82の検出信号DSも同様である。
読取ヘッド81の読取り位置に第1磁気スケール71の磁気空白部B1が重なっているとき、および、読取ヘッド82の読取り位置に第2磁気スケール72の磁気空白部B2が重なっているときには、検出信号DSは空白となる。この場合、検出信号DSには、例えば図7(b)に示す無信号区間SBが発生する。無信号区間SBでは検出信号DSが閾値TH1を下回るため、制御装置1により、正常範囲内でないと判定される。
第1磁気スケール71または第2磁気スケール72に磁性体の異物が付着した場合、異物が検出位置P3に達すると、読取ヘッド81または読取ヘッド82が異物の影響を受け、検出信号DSに変動を生じる。例えば、図7(c)に示す検出信号DSには、閾値TH2を超えるピークSPが生じている。磁性体の異物は、読取ヘッド81、82に対し、しばしば磁性体71a、71bの磁力を超える影響を与える。検出信号DSのピークSPが閾値TH2を超える場合、制御装置1により、正常範囲内でないと判定される。
このように、印刷装置100では、第1磁気スケール71を読取ヘッド81により読み取り、第2磁気スケール72を読取ヘッド82によって読み取り、制御装置1が2つの読取ヘッド81、82の検出信号DSを利用して搬送量を算出する。このため、磁気空白部B1、B2に起因する無信号区間SBや、異物に起因するピークSPが発生しても、搬送ベルト70の搬送量を高精度で求めることができる。
以上説明したように、本発明を適用した実施形態に係る搬送ベルト70は、帯状のベルト74の第1方向D1における両端部E1、E2を接合して形成された無端形状の搬送ベルトである。搬送ベルト70は、第1方向D1に沿って配置された第1磁気スケール71および第2磁気スケール72を備える。第1磁気スケール71は、第1方向D1におけるベルト74の接合位置が第1位置P1である第1領域A1に配置されている。第2磁気スケール72は、第1方向D1におけるベルト74の接合位置が第1位置P1とは異なる第2位置P2である第2領域A2に配置されている。
これにより、搬送ベルト70の製造工程で形成される第1接合領域A11および第2接合領域A12において、磁気スケールが欠落する磁気空白部B1、B2が存在していても、第1方向D1における搬送ベルト70の位置を常に高精度で検出できる。例えば、検出位置P3に磁気空白部B1、B2のいずれか一方が重なっている状態であっても、他方は重なっていない状態となる。このため、検出位置P3では、第1磁気スケール71の磁気を検出する読取ヘッド81、および、第2磁気スケール72の磁気を検出する読取ヘッド82のいずれかが、磁気を正常に検出できる。従って、搬送ベルト70の搬送方向Fにおける位置に関わらず、搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出できる。
換言すれば、位置や移動量について高い検出精度が要求される用途で使用される搬送ベルト70を、ベルト74の端部E1、E2を接合する方法により製造できる。
換言すれば、位置や移動量について高い検出精度が要求される用途で使用される搬送ベルト70を、ベルト74の端部E1、E2を接合する方法により製造できる。
この構成は、第1磁気スケール71を読み取る読取ヘッド81と、第2磁気スケール72を読み取る読取ヘッド82を、搬送方向Fにおいて同じ位置、或いは近接する位置に配置する構成に、特に好適である。
搬送ベルト70において、第2磁気スケール72は、第1方向D1における第1位置P1で連続して配置されており、第1磁気スケール71は、第1方向D1における第2位置P2で連続して配置されている。このため、第1位置P1が検出位置P3に重なっているときは第2位置P2が検出位置P3に重なっておらず、逆も同様である。このため、読取ヘッド81、82の両方が磁気を正常に検出しない状態を回避することができ、高精度で搬送ベルト70の第1方向D1における位置を検出できる。
搬送ベルト70において、第1磁気スケール71は、第1方向D1と直交する第2方向D2において一方の端部側である第1領域A1に配置されており、第2磁気スケール72は、第2方向D2において他方の端部側である第2領域A2に配置されている。このため、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72の磁気を読み取ることにより、搬送ベルト70の位置や移動量を、第1方向D1に対して両端で検出できる。例えば、搬送ベルト70の両端部の移動量の差をもとに、搬送ベルト70の設置状態や第1方向D1における長さの差を検出できる。
本発明を適用した実施形態に係る印刷装置100は、搬送ベルト70を備える。印刷装置100は、第1磁気スケール71と対向して配置され、第1磁気スケール71を読み取る読取ヘッド81と、第2磁気スケール72と対向して配置され、第2磁気スケール72を読み取る読取ヘッド82と、を備える。印刷装置100は、搬送ベルト70と対向して配置された印刷部40を備える。
これにより、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72の磁気を読み取ることにより、搬送ベルト70の搬送方向Fにおける位置や移動量を検出できる。このため、印刷部40によって印刷媒体95に印刷する場合等に、搬送ベルト70の位置や移動量に基づいて高精度の制御を行うことができ、高品質で印刷を行うことができる。
印刷装置100が備える読取ヘッド81及び読取ヘッド82は、搬送ベルト70の第1方向D1における読取ヘッド81の位置と、読取ヘッド82の位置とが重なるよう配置されている。このため、第1方向D1において第1接合領域A11と第2接合領域A12とが異なる位置になるよう製造された搬送ベルト70を用いた場合に、搬送ベルト70の位置や移動量を、高精度で検出できる。
読取ヘッド81及び読取ヘッド82は、搬送ベルト70の第1方向D1において印刷部40から所定範囲内に配置されている。例えば、読取ヘッド81は、印刷ヘッド移動領域A51、または、印刷ヘッド近傍領域A52に配置される。このため、印刷媒体95に印刷する印刷位置の近傍において搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出でき、より高い品質で印刷を行うことができる。
印刷装置100は、搬送ベルト70を循環させる媒体搬送部20と、読取ヘッド81および読取ヘッド82の少なくともいずれかの出力に基づき、搬送ベルト70の位置を示す位置信号PSを出力する信号出力部6と、を備える。搬送ベルト70は、ベルト74の両端が接合された第1接合領域A11、第2接合領域A12を有する。信号出力部6は、第1接合領域A11または第2接合領域A12で読取ヘッド81の出力または読取ヘッド82の出力の乱れが生じた場合に、出力を補正して位置信号PSを出力する。
例えば、信号出力部6は、図6に示したように、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSのうち正常範囲内でない信号を破棄し、正常範囲内の信号を利用して搬送ベルト70の位置や移動量を求める。このため、磁気空白部B1、B2や異物の影響によって検出信号DSに乱れを生じても搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出できる。
印刷装置100は、搬送ベルト70を循環させる媒体搬送部20と、読取ヘッド81および読取ヘッド82の少なくともいずれかの出力に基づき、搬送ベルト70の位置を示す位置信号PSを出力する信号出力部6と、を備える。搬送ベルト70は、ベルト74の両端が接合された第1接合領域A11、第2接合領域A12を有する。信号出力部6は、読取ヘッド81の出力または読取ヘッド82の出力の異常値を補正して位置信号PSを出力する。
これにより、例えば、信号出力部6は、図6に示したように、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSが異常値を含む場合に、この信号を破棄し、異常値を含まない側の信号を利用して搬送ベルト70の位置や移動量を求める。このため、磁気空白部B1、B2や異物の影響によって検出信号DSに乱れを生じても搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出できる。
第1実施形態では、搬送方向Fにおいて、第1接合領域A11が第2接合領域A12よりも上流に位置する構成を例示したが、第1接合領域A11が第2接合領域A12の下流にあってもよい。
[2.第2実施形態]
図8は、本発明を適用した第2実施形態の搬送ベルト75の要部平面図であり、搬送ベルト76を印刷装置100に設置した状態を示す。第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
図8は、本発明を適用した第2実施形態の搬送ベルト75の要部平面図であり、搬送ベルト76を印刷装置100に設置した状態を示す。第2実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第2実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
搬送ベルト75は、搬送ベルト70と同様に構成される無端形状の搬送ベルトであり、図示はしないが、粘着層29等の搬送ベルト70と共通する構成を有する。搬送ベルト75には第1方向D1に沿って第1磁気スケール71および第2磁気スケール72が配置される。第1磁気スケール71は第2方向D2における一端側に配置され、第2磁気スケール72は他方端側に配置される。
搬送ベルト75は、第1方向D1と交差する方向に延びる接合領域A13を有する。接合領域A13は、ベルト74と同様に第1磁気スケール71および第2磁気スケール72を有するベルトの両端を接合した接合部である。搬送ベルト75では、接合部である接合領域A13が、第2方向D2に対して傾いた方向に延びている。
搬送ベルト75は、例えば、ベルト74と同様のベルトの第1方向D1における両端部を、第2方向D2に対し傾いた形状に切断し、ギザギザ形状を設ける加工などを行い、これを接合する工程により製造される。搬送ベルト70の製造工程でベルト74に端部E11、E12、E21、E22を形成する加工と比較して、工数が少なくて済むという利点がある。
搬送ベルト75では、第1磁気スケール71において接合領域A13をまたぐ位置に磁気空白部B1があり、第2磁気スケール72には磁気空白部B2がある。磁気空白部B1、B2は、第1実施形態で説明したように、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72の磁気を検出する際に、検出不能な、空白期間となる。
接合領域A13は第2方向D2に対し傾いている。このため、第1方向D1において、接合領域A13と第1磁気スケール71とが交差する第1位置P11は、接合領域A13と第2磁気スケール72とが交差する第2位置P21とは異なる位置にある。従って、磁気空白部B1と磁気空白部B2とは、第1方向D1において異なる位置にある。
搬送ベルト75を印刷装置100にセットした場合、読取ヘッド81および読取ヘッド82は、いずれも検出位置P3で磁気を検出する。
印刷装置100では、第1実施形態と同様に、読取ヘッド81の読取り位置である検出位置P3に磁気空白部B1が重なるタイミングと、読取ヘッド82の読取り位置である検出位置P3に磁気空白部B2が重なるタイミングとが重複しない。このため、搬送ベルト70の移動中は、常に、読取ヘッド81と読取ヘッド82のいずれか一方は正常に磁気を検出できる。従って、制御装置1は、接合領域A13の影響を回避し、搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出できる。搬送ベルト75を搬送ベルト70に代えて設置した構成においては、第1実施形態と同様の各種の効果が期待できる。
印刷装置100では、第1実施形態と同様に、読取ヘッド81の読取り位置である検出位置P3に磁気空白部B1が重なるタイミングと、読取ヘッド82の読取り位置である検出位置P3に磁気空白部B2が重なるタイミングとが重複しない。このため、搬送ベルト70の移動中は、常に、読取ヘッド81と読取ヘッド82のいずれか一方は正常に磁気を検出できる。従って、制御装置1は、接合領域A13の影響を回避し、搬送ベルト70の位置や移動量を高精度で検出できる。搬送ベルト75を搬送ベルト70に代えて設置した構成においては、第1実施形態と同様の各種の効果が期待できる。
第2実施形態では、搬送方向Fにおいて、第1位置P11が第2位置P21よりも上流に位置する構成を例示したが、第1位置P11が第2位置P21の下流にあってもよい。すなわち、第2方向D2に対する接合領域A13の傾きが、図8とは逆であってもよい。
[3.第3実施形態]
図9は、本発明を適用した第3実施形態の搬送ベルト76の要部平面図であり、搬送ベルト76を印刷装置に設置した状態を示す。第3実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第3実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
図9は、本発明を適用した第3実施形態の搬送ベルト76の要部平面図であり、搬送ベルト76を印刷装置に設置した状態を示す。第3実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第3実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
搬送ベルト76は、搬送ベルト70と同様に構成される無端形状の搬送ベルトであり、図示はしないが、粘着層29等の搬送ベルト70と共通する構成を有する。搬送ベルト76には第1方向D1に沿って第1磁気スケール71および第2磁気スケール72が配置される。第1磁気スケール71は第2方向D2における一端側に配置され、第2磁気スケール72は他方端側に配置される。
搬送ベルト76は、第2方向D2に延びる接合領域A14を有する。接合領域A14は、ベルト74と同様に第1磁気スケール71および第2磁気スケール72を有するベルトの両端を接合した接合部である。
搬送ベルト76は、例えば、ベルト74と同様のベルトの第1方向D1における両端部を、第2方向D2に沿って切断し、ギザギザ形状を設ける加工などを行い、これを接合する工程により製造される。搬送ベルト70の製造工程でベルト74に端部E11、E12、E21、E22を形成する加工と比較して、工数が少なくて済むという利点がある。また、材料のベルトの断端が第2方向D2に沿っているため、搬送ベルト75と比較しても製造がより容易である。
搬送ベルト76では、第1磁気スケール71において接合領域A14をまたぐ位置に磁気空白部B1があり、第2磁気スケール72には磁気空白部B2がある。磁気空白部B1、B2は、第1実施形態で説明したように、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72の磁気を検出する際に、検出不能な、空白期間となる。
接合領域A14は第2方向D2に沿っているため、磁気空白部B1、B2は第1方向D1において重なる位置にある。この位置を接合位置P5とする。
第3実施形態の搬送ベルト76を用いる場合、印刷装置100では、読取ヘッド81および読取ヘッド82の位置を、第1実施形態とは変更することが好ましい。
すなわち、図9に示すように、読取ヘッド81と読取ヘッド82は搬送方向Fにおいて異なる位置に配置される。読取ヘッド81が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P41とし、読取ヘッド82が第2磁気スケール72の磁気を検出する位置を検出位置P42とすると、検出位置P41と検出位置P42は一致しない。上述のように搬送方向Fは第1方向D1と同じ方向であるため、磁気空白部B1が検出位置P41に重なるタイミング期間と、磁気空白部B2が検出位置P42に重なるタイミングとは重複しない。このため、読取ヘッド81が磁気空白部B1の影響により磁気を検出しない期間と、読取ヘッド82が磁気空白部B2の影響により磁気を検出しない期間とは重ならない。このため、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSの少なくともいずれかは、正常に磁気スケールを読み取った信号である。従って、接合領域A14が検出位置P41または検出位置P42を通過するタイミングにおいても、搬送ベルト70の位置や移動量を、常に高精度で検出できる。また、第1実施形態と同様の各種の効果を得ることができる。
すなわち、図9に示すように、読取ヘッド81と読取ヘッド82は搬送方向Fにおいて異なる位置に配置される。読取ヘッド81が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P41とし、読取ヘッド82が第2磁気スケール72の磁気を検出する位置を検出位置P42とすると、検出位置P41と検出位置P42は一致しない。上述のように搬送方向Fは第1方向D1と同じ方向であるため、磁気空白部B1が検出位置P41に重なるタイミング期間と、磁気空白部B2が検出位置P42に重なるタイミングとは重複しない。このため、読取ヘッド81が磁気空白部B1の影響により磁気を検出しない期間と、読取ヘッド82が磁気空白部B2の影響により磁気を検出しない期間とは重ならない。このため、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSの少なくともいずれかは、正常に磁気スケールを読み取った信号である。従って、接合領域A14が検出位置P41または検出位置P42を通過するタイミングにおいても、搬送ベルト70の位置や移動量を、常に高精度で検出できる。また、第1実施形態と同様の各種の効果を得ることができる。
さらに、印刷装置100では、印刷部40の近傍である印刷ヘッド近傍領域A52の中、或いは、印刷ヘッド移動領域A51の中に読取ヘッド81、82を設けることが好ましい。図9に示したように、読取ヘッド81と読取ヘッド82とを搬送方向Fにおいて異なる位置に配置する場合、読取ヘッド81と読取ヘッド82を設置するスペースの確保が容易であるという利点がある。
本第3実施形態では、搬送方向Fにおいて、読取ヘッド81が読取ヘッド82より上流に位置する構成を図9に例示したが、読取ヘッド81が読取ヘッド82の下流にあってもよく、また、読取ヘッド81と読取ヘッド82とが、搬送方向Fにおいて接合位置P5を挟んで配置されてもよい。
[4.第4実施形態]
図10は、本発明を適用した第4実施形態の搬送ベルト77の要部平面図である。第4実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第4実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
図10は、本発明を適用した第4実施形態の搬送ベルト77の要部平面図である。第4実施形態において、上記第1実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。また、第4実施形態の印刷装置100の動作は第1実施形態と共通である。
搬送ベルト77は、搬送ベルト70と同様に構成される無端形状の搬送ベルトであり、図示はしないが、粘着層29等の搬送ベルト70と共通する構成を有する。搬送ベルト77には第1方向D1に沿って第1磁気スケール71が配置される一方、搬送ベルト70、75、76のような第2磁気スケール72を有しない。第1磁気スケール71は第2方向D2における一端に配置される。本実施形態では一例として、第1磁気スケール71は第2方向D2における一端に配置されているが、第1方向D1に沿って配置されていれば第2方向D2における位置はこれに限らない。
搬送ベルト77は、第2方向D2に延びる接合領域A15を有する。接合領域A15は、搬送ベルト76の接合領域A14と同様に、ベルトの両端を接合した接合部である。接合領域A15は第2方向D2に沿っている。
搬送ベルト77は、例えば、搬送ベルト77の材料となるベルトの第1方向D1における両端部を、第2方向D2に沿って切断し、ギザギザ形状を設ける加工などを行い、これを接合する工程により製造される。ここで、搬送ベルト77の材料となるベルトは、例えば、図9に示したベルト76から第2磁気スケール72を除いた構成である。搬送ベルト77の製造工程は、搬送ベルト70の製造工程でベルト74に端部E11、E12、E21、E22を形成する加工と比較して、工数が少ないという利点がある。また、材料のベルトの断端が第2方向D2に沿っているため、搬送ベルト75と比較しても製造がより容易である。
搬送ベルト77では、第1磁気スケール71において接合領域A15をまたぐ位置に磁気空白部B1がある。磁気空白部B1は、第1実施形態で説明したように、第1磁気スケール71の磁気を検出する際に、検出不能な、空白期間となる。接合領域A15における磁気空白部B1の位置を接合位置P5とする。
第4実施形態の搬送ベルト77を用いる場合、印刷装置100では、読取ヘッド81および読取ヘッド82の位置を、第1実施形態とは変更する必要がある。
すなわち、図10に示すように、読取ヘッド81と読取ヘッド82は、第2方向D2においては第1磁気スケール71に重なる位置に配置され、搬送方向Fにおいては異なる位置に配置される。読取ヘッド81が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P43とし、読取ヘッド82が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P44とすると、検出位置P43と検出位置P44は一致しない。
すなわち、図10に示すように、読取ヘッド81と読取ヘッド82は、第2方向D2においては第1磁気スケール71に重なる位置に配置され、搬送方向Fにおいては異なる位置に配置される。読取ヘッド81が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P43とし、読取ヘッド82が第1磁気スケール71の磁気を検出する位置を検出位置P44とすると、検出位置P43と検出位置P44は一致しない。
従って、磁気空白部B1が検出位置P43に重なるタイミング期間と、磁気空白部B1が検出位置P44に重なるタイミングとは重複しない。このため、読取ヘッド81が磁気空白部B1の影響により磁気を検出しない期間と、読取ヘッド82が磁気空白部B1の影響により磁気を検出しない期間とは重ならない。このため、読取ヘッド81の検出信号DSおよび読取ヘッド82の検出信号DSの少なくともいずれかは、正常に磁気スケールを読み取った信号である。従って、接合領域A15が検出位置P43または検出位置P44を通過するタイミングにおいて、搬送ベルト70の位置や移動量を、常に高精度で検出できる。また、第1実施形態と同様の各種の効果を得ることができる。
さらに、印刷装置100では、読取ヘッド81と読取ヘッド82とを搬送方向Fにおいて異なる位置に配置するので、読取ヘッド81と読取ヘッド82を設置するスペースの確保が容易であるという利点がある。このため、より容易に、読取ヘッド81、82を印刷ヘッド移動領域A51または印刷ヘッド近傍領域A52に配置できる。
また、第4実施形態の構成では、搬送ベルト77は1本の第1磁気スケール71を有する構成であればよく、搬送ベルト77のコストを抑えることができる。
本第4実施形態では、搬送方向Fにおいて、読取ヘッド81が読取ヘッド82より上流に位置する構成を図10に例示したが、読取ヘッド81が読取ヘッド82の下流にあってもよく、また、読取ヘッド81と読取ヘッド82とが、搬送方向Fにおいて接合位置P5を挟んで配置されてもよい。
[5.第5実施形態]
図11は、本発明を適用した第5実施形態において印刷装置100が実行する動作を示すフローチャートである。第5実施形態の動作は、第1実施形態−第4実施形態の各構成を適用した印刷装置100により実行可能である。上記第1−第4実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明を適用した第5実施形態において印刷装置100が実行する動作を示すフローチャートである。第5実施形態の動作は、第1実施形態−第4実施形態の各構成を適用した印刷装置100により実行可能である。上記第1−第4実施形態と共通する構成部には、同符号を付して説明を省略する。
図11は、図6に示したステップS34、S35、S36、S37およびステップS41の動作を含まず、代わりにステップS51、S52、S53、S54を実行する。その他のステップの動作は図6と共通である。
図11に示す動作で、制御装置1には、読取ヘッド81の検出信号DS、および、読取ヘッド82の検出信号DSのいずれかが優先側の信号として設定され、他方は非優先側の信号である。以下では、読取ヘッド81の検出信号DSが優先側の信号に設定され、読取ヘッド82の検出信号DSが非優先側の信号である場合を例にするが、逆の設定であってもよい。
ステップS33で検出信号DSの取得を開始した後、信号出力部6は、優先側の信号である読取ヘッド81の検出信号DSが、予め設定された正常範囲内の信号であるか否かを判定する(ステップS51)。読取ヘッド81が出力した検出信号DSが正常範囲内である場合(ステップS51;YES)、信号出力部6は、優先側の信号である読取ヘッド81の検出信号DSを取得し(ステップS52)、制御装置1はステップS54に移行する。
一方、読取ヘッド81が出力した検出信号DSが正常範囲内でない信号であった場合(ステップS51;NO)、信号出力部6は、非優先側の信号である読取ヘッド82の検出信号DSを取得し(ステップS53)、制御装置1はステップS54に移行する。
ステップS53では、ステップS51で判定した読取ヘッド81の検出信号DSと同じ期間に出力された、読取ヘッド82の検出信号DSが取得される。また、ステップS53では、補正データ5aに基づいて、読取ヘッド82の検出信号DSを補正してもよい。
ステップS53では、ステップS51で判定した読取ヘッド81の検出信号DSと同じ期間に出力された、読取ヘッド82の検出信号DSが取得される。また、ステップS53では、補正データ5aに基づいて、読取ヘッド82の検出信号DSを補正してもよい。
ステップS54で、信号出力部6は、正常範囲内であると判定された読取ヘッド81の検出信号DS、または、ステップS53で取得した検出信号DSに基づき、搬送ベルト70の搬送量を算出する(ステップS54)。
第5実施形態の動作によれば、印刷装置100は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、読取ヘッド81の検出信号DSと読取ヘッド82の検出信号DSとの平均を求める処理等を行わないため、制御装置1の処理負荷が軽いという利点がある。
[6.第6実施形態]
図12は、本発明を適用した第6実施形態としての印刷装置101の概略構成を示す図である。印刷装置101は、印刷装置100における読取ヘッド81、82の配置を変更したものであり、その他の構成部は第1実施形態で説明した印刷装置100と共通である。また、印刷装置101には、第2−第4実施形態で説明した搬送ベルト75、76、77を適用することも可能である。印刷装置101の動作は、第1実施形態で説明した印刷装置100と共通の動作とすることができ、第5実施形態で説明した動作を実行させてもよい。
図12は、本発明を適用した第6実施形態としての印刷装置101の概略構成を示す図である。印刷装置101は、印刷装置100における読取ヘッド81、82の配置を変更したものであり、その他の構成部は第1実施形態で説明した印刷装置100と共通である。また、印刷装置101には、第2−第4実施形態で説明した搬送ベルト75、76、77を適用することも可能である。印刷装置101の動作は、第1実施形態で説明した印刷装置100と共通の動作とすることができ、第5実施形態で説明した動作を実行させてもよい。
上述のように、第1実施形態の印刷装置100では、読取ヘッド81、82が搬送ベルト70の上方に位置し、搬送ベルト70の表面70aに対向して配置された構成である。これに対し、印刷装置101は、読取ヘッド81、82を内周面70bに対向して配置した構成を有する。読取ヘッド81、82は、ベルト回転ローラー24とベルト回転ローラー24との間において、循環する搬送ベルト70の間に位置する。
読取ヘッド81、82は、内周面70bに接していてもよいし、内周面70bから離隔して配置されてもよい。内周面70bは粘着層29のような粘着剤を有しない。例えば、内周面70bが低摩擦のテクスチャーで構成される場合には、読取ヘッド81、82を内周面70bに接触させてもよい。この場合、読取ヘッド81、82は、より高感度で第1磁気スケール71および第2磁気スケール72の磁気を検出できる。
読取ヘッド81、82の検出感度が十分であれば、第1磁気スケール71および第2磁気スケール72は、内周面70bに露出している必要はない。すなわち、図12に示す構成は、第1磁気スケール71および/または第2磁気スケール72が表面70aに露出した構成や、搬送ベルト70に埋め込まれた構成であっても、適用可能である。
印刷装置101は、第1実施形態の印刷装置101と同様の効果を得ることができる。また、印刷装置101の構成では、読取ヘッド81、82が吐出ヘッド42に衝突や干渉する懸念がないため、読取ヘッド81、82の位置に関する自由度が高い。例えば、読取ヘッド81、82を、搬送ベルト70を挟んで印刷部40に対向する位置に設けることができる。具体的には、印刷部40に対向して、図示しないプラテンが配置される場合に、プラテンに読取ヘッド81、82を埋設設置できる。このように、印刷ヘッド移動領域A51や印刷ヘッド近傍領域A52に、読取ヘッド81、82を設置するスペースを容易に確保できる。
[7.他の実施形態]
上記各実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
上記各実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
例えば、搬送ベルト70は、印刷媒体95を密着させる粘着層29を備える構成として説明したが、本発明はこれに限定されず、印刷媒体95を静電気で搬送ベルト70に吸着させる静電吸着式の搬送ベルトであってもよい。搬送ベルト75、76、77についても同様である。
また、上記各実施形態では、吐出ヘッド42として、可動のキャリッジに搭載されて±Y軸方向に移動しながらインクを吐出するシリアルヘッド式を例示したが、印刷媒体95の幅を含むY軸方向に延在し、固定して配列されたラインヘッド式であってもよい。
また、上記各実施形態では、吐出ヘッド42として、可動のキャリッジに搭載されて±Y軸方向に移動しながらインクを吐出するシリアルヘッド式を例示したが、印刷媒体95の幅を含むY軸方向に延在し、固定して配列されたラインヘッド式であってもよい。
また、印刷装置100、101において、無端形状の搬送ベルト70、75、76、77を搬送する機構におけるローラーやモーターの数や配置は任意であり、搬送ベルト70や印刷媒体95のサイズに合わせて適宜に変更可能である。
図4に示した機能ブロックのうち少なくとも一部は、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよい。図5、6、11のフローチャートの処理単位は、印刷装置100、101の動作を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであって、図示した処理単位の分割の仕方や名称によって実施形態が制限されることはない。
1…制御装置、3…制御部、5…記憶部、5a…補正データ、5b…搬送位置データ、6…信号出力部、10…媒体供給部、20…媒体搬送部(ベルト駆動部)、25…ベルト駆動ローラー(ベルト駆動部)、29…粘着層、30…媒体回収部、40…印刷部、50…洗浄ユニット、60…媒体密着部、70、75、76、77…搬送ベルト、70a…表面、70b…内周面、71…第1磁気スケール、71a…磁性体、71b…磁性体、72…第2磁気スケール、74…ベルト、81…読取ヘッド(第1読取部)、82…読取ヘッド(第2読取部)、85…検出器群、90…フレーム部、95…印刷媒体、99…床面、100、101…印刷装置、A1…第1領域、A2…第2領域、A11…第1接合領域(接合部)、A12…第2接合領域(接合部)、A13、A14、A15…接合領域(接合部)、B1、B2…磁気空白部、D1…第1方向、D2…第2方向、DS…検出信号、E1、E2…端部、E11、E12、E21、E22…端部、F…搬送方向、P1、P11…第1位置、P2、P21…第2位置、P3、P41、P42、P43、P44…検出位置、P5…接合位置。
Claims (11)
- 帯状のベルトの第1方向における両端を接合して形成された無端形状の搬送ベルトであって、
前記ベルトの第1方向に沿って配置された第1磁気スケールおよび第2磁気スケールを備え、
前記第1磁気スケールは、前記第1方向における前記ベルトの接合位置が第1位置である第1領域に配置され、
前記第2磁気スケールは、前記第1方向における前記ベルトの接合位置が前記第1位置とは異なる第2位置である第2領域に配置されている、搬送ベルト。 - 前記第2磁気スケールは、前記第1方向における前記第1位置で連続して配置されており、
前記第1磁気スケールは、前記第1方向における前記第2位置で連続して配置されている、請求項1記載の搬送ベルト。 - 前記第1磁気スケールは、前記第1方向と直交する第2方向において一方の端部に配置されており、前記第2磁気スケールは、前記第2方向において他方の端部に配置されている、請求項1または2記載の搬送ベルト。
- 前記ベルトの両端が接合された接合部が前記第2方向に延びている、請求項3記載の搬送ベルト。
- 前記ベルトの両端が接合された接合部が、前記第2方向に対して傾いた方向に延びている、請求項3記載の搬送ベルト。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送ベルトと、
前記第1磁気スケールと対向して配置され、前記第1磁気スケールを読み取る第1読取部と、
前記第2磁気スケールと対向して配置され、前記第2磁気スケールを読み取る第2読取部と、
前記搬送ベルトと対向して配置された印刷部と、
を備えた印刷装置。 - 前記第1読取部及び前記第2読取部は、前記搬送ベルトの前記第1方向における前記第1読取部の位置と、前記第2読取部の位置とが重なるよう配置されている、請求項6記載の印刷装置。
- 前記第1読取部及び前記第2読取部は、前記搬送ベルトの前記第1方向において前記印刷部から所定範囲内に配置されている、請求項7記載の印刷装置。
- 帯状のベルトの第1方向における両端を接合して形成された無端形状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトにおいて、前記第1方向と交差する第2方向の一端に配置された第1磁気スケールと、
前記搬送ベルトにおいて、前記第2方向の他端に配置された第2磁気スケールと、
前記第1磁気スケールと対向して配置され、前記第1磁気スケールを読み取る第1読取部と、
前記第2磁気スケールと対向して配置され、前記第2磁気スケールを読み取る第2読取部と、
前記搬送ベルトと対向する位置に配置された印刷部と、を備え、
前記第1方向における前記第1読取部の位置と前記第2読取部の位置とが異なる、印刷装置。 - 前記搬送ベルトを循環させるベルト駆動部と、
前記第1読取部および前記第2読取部の少なくともいずれかの出力に基づき、前記搬送ベルトの位置を示す位置信号を出力する信号出力部と、を備え、
前記搬送ベルトは、前記ベルトの両端が接合された接合部を有し、
前記信号出力部は、前記接合部で前記第1読取部の出力または前記第2読取部の出力の乱れが生じた場合に、前記出力を補正して前記位置信号を出力する、請求項6または9記載の印刷装置。 - 前記搬送ベルトを循環させるベルト駆動部と、
前記第1読取部および前記第2読取部の少なくともいずれかの出力に基づき、前記搬送ベルトの位置を示す位置信号を出力する信号出力部と、を備え、
前記搬送ベルトは、前記ベルトの両端が接合された接合部を有し、
前記信号出力部は、前記第1読取部の出力または前記第2読取部の出力の異常値を補正して前記位置信号を出力する、請求項6または9記載の印刷装置。
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