JP2021084191A - 旋盤、及び、旋盤システム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤、及び、旋盤システムを提供する。【解決手段】旋盤1及び旋盤システムSY1は、回転可能な主軸11、内蔵温度センサーS1を有し主軸11を回転させる主軸モーターM1、該主軸モーターM1を冷却する冷却装置40、及び、ワークW1の連続加工を開始してから内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)が定常となったと判断した後に検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が許容範囲(TH2)を超えると冷却装置40が故障していると判定する故障判定部U1を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、主軸モーターを冷却する冷却装置を備える旋盤、及び、旋盤システムに関する。
主軸をビルトインモーターにより高速回転させるNC(数値制御)旋盤が知られている。主軸の温度が上昇し過ぎるとワークの加工精度に影響するため、主軸の温度上昇を抑制する冷却装置が使用されている。例えば、冷却装置は、ビルトインモーターの近くを通る循環経路にポンプで冷却油を循環させ、循環経路に設けられたラジエーターから放熱させる。
特許文献1に開示された工作機械用冷却装置では、冷却油の熱交換を行う冷却タンクから冷却油が出ていく冷却油吐出側パイプに第一の温度センサーが設置され、冷却タンクに冷却油が戻る冷却油戻り側パイプに第二の温度センサーが設置されている。両温度センサーの温度の差が0.5℃以下である場合、冷却装置は、冷却不良と判断して、警報を発し、工作機械を停止させる。
実開平4−122438号公報
上述した冷却装置は、2以上の温度センサーを設置する必要があるため、機械のコストアップに繋がる。
尚、上述のような問題は、種々の旋盤に存在する。
本発明は、冷却油の温度を検出するセンサーといった、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤、及び、旋盤システムを開示するものである。
本発明の旋盤は、
回転可能な主軸と、
内蔵温度センサーを有し、前記主軸を回転させる主軸モーターと、
該主軸モーターを冷却する冷却装置と、
ワークの連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーにより順次得られる検出温度が定常となったと判断した後に前記検出温度の変化が許容範囲を超えると前記冷却装置が故障していると判定する故障判定部と、を備える、態様を有する。
また、本発明の旋盤システムは、旋盤と、該旋盤に接続されたコンピューターと、を含む旋盤システムであって、
前記旋盤は、
回転可能な主軸と、
内蔵温度センサーを有し、前記主軸を回転させる主軸モーターと、
該主軸モーターを冷却する冷却装置と、を備え、
前記旋盤システムは、ワークの連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーにより順次得られる検出温度が定常となったと判断した後に前記検出温度の変化が許容範囲を超えると前記冷却装置が故障していると判定する故障判定部を備える、態様を有する。
本発明によれば、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤、及び、旋盤システムを提供することができる。
旋盤システムの構成例を模式的に示す図である。 主軸台の要部とともに旋盤の冷却装置の構成例を模式的に示す図である。 旋盤の電気回路の構成例を模式的に示すブロック図である。 図4Aはワーク連続加工の途中でポンプが故障した場合における内蔵温度センサーの温度変化の例を示す図であり、図4Bはワーク連続加工の途中でファンが故障した場合における内蔵温度センサーの温度変化の例を示す図である。 検出温度の離散データから旋盤の状態を判定する例を模式的に示す図である。 時間に応じた内蔵温度センサーの温度変化ΔT1(t)の例を模式的に示す図である。 冷却装置故障判定処理の例を示すフローチャートである。 回転工具駆動用の主軸モーター、及び、該主軸モーターの冷却装置を備える旋盤の例を模式的に示す図である。 機械学習部を備える旋盤システムの例を模式的に示す図である。 学習処理の例を示すフローチャートである。 故障部位判定処理の例を示すフローチャートである。 機械学習部を備える旋盤の例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1〜12に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
[態様1]
図1等に例示するように、本技術の一態様に係る旋盤1は、回転可能な主軸11、該主軸11を回転させる主軸モーターM1、該主軸モーターM1を冷却する冷却装置40、及び、故障判定部U1を備える。前記主軸モーターM1は、内蔵温度センサーS1を有している。図5,7等に例示するように、前記故障判定部U1は、ワークW1の連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)が定常となったと判断した後に前記検出温度T1(t)の変化(例えばΔT1(t))が許容範囲(例えば閾値TH2)を超えると前記冷却装置40が故障していると判定する。
主軸モーターは、焼付きを防ぐために温度センサーを内蔵していることがある。この温度センサーを上述の内蔵温度センサーS1として利用することができる。
冷却装置40が正常に動作している時、ワークW1の連続加工を開始すると主軸モーターM1の温度は変化し始め、一定時間経過後に主軸モーターM1の温度が定常となる。ワークW1の連続加工中に冷却装置40が故障すると、主軸モーターM1の温度は再び変化し、許容範囲(TH2)を超える。そこで、ワークW1の連続加工を開始してから内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)が定常となった後に検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が許容範囲(TH2)を超えると、冷却装置40が故障していると判定することができる。従って、上記態様は、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤を提供することができ、コストアップを抑制することができる。冷却装置の故障が判定されることにより、旋盤は、例えば、動作を停止したり、警告を出力したりすることができる。
ここで、主軸には、ワークを把持する主軸や回転工具とともに回転する工具主軸といった、ワークに対して直接又は間接的に作用する主軸が含まれる。
主軸モーターは、冷却装置により冷却されるモーターであればよく、ビルトインモーターでもよいし、主軸に外付けされたモーターでもよい。
冷却装置には、冷却媒体としての冷却油の循環により主軸モーターから熱を排出する油冷式冷却装置、冷却媒体としての冷却水の供給により主軸モーターから熱を排出する水冷式冷却装置、冷却媒体としての空気の流れにより主軸モーターから熱を排出する風冷式冷却装置、等が含まれる。
許容範囲を超える検出温度の変化は、検出温度の上昇による変化に限定されず、検出温度の下降による変化でもよい。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
[態様2]
図5〜7等に例示するように、前記故障判定部U1は、前記検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))に基づいて、前記冷却装置40に含まれる複数の部位(例えばポンプ43とファン44)のうち故障している部位を判別してもよい。冷却に寄与する程度が部位に応じて異なる場合、主軸モーターの温度変化が部位に応じて変わる。従って、本態様は、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障部位を判別することが可能な旋盤を提供することができ、コストアップを抑制することができる。冷却装置の故障部位が判定されることにより、旋盤は、例えば、故障部位を通知することができる。これにより、作業者の利便性が向上し、冷却装置の修理が容易となる。
[態様3]
図2に例示するように、前記冷却装置40は、前記主軸モーターM1を冷却する冷却流体F1の循環経路41を有していてもよい。前記複数の部位は、前記循環経路41において前記冷却流体F1を循環させるポンプ43、及び、前記循環経路41の放熱を促進させるファン44を含んでいてもよい。図5〜7等に例示するように、前記故障判定部U1は、前記許容範囲(TH2)を超えた前記検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が所定の判別基準を超える場合(例えばΔT1max>TH3である場合)に前記ポンプ43が故障していると判定し、前記検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が前記判別基準を超えない場合に前記ファン44が故障していると判定してもよい。
試験を行ったところ、ポンプ43が故障した場合の検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))は、ファン44が故障した場合の検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))よりも大きいことが分かった。そこで、許容範囲(TH2)を超えた検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が所定の判別基準を超える場合にポンプ43が故障していると判定することができ、検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が判別基準を超えない場合にファン44が故障していると判定することができる。従って、上記態様は、ポンプやファンの故障を検出するセンサーを別途取り付けなくてもポンプが故障しているのかファンが故障しているのかを判定することが可能な旋盤を提供することができる。
ここで、冷却流体には、冷却油や冷却水といった液体、空気といった気体、等が含まれる。この付言は、以下の態様においても適用される。
[態様4]
図1,12等に例示するように、本旋盤1は、外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーS2をさらに備えていてもよい。また、本旋盤1は、機械学習部U2をさらに備えていてもよい。該機械学習部U2は、前記内蔵温度センサーS1により順次に得られた前記検出温度T1(t)、前記第二温度センサーS2により順次に得られた第二検出温度T2(t)、及び、前記冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位を表す故障部位情報IN1に基づいた機械学習により、前記内蔵温度センサーS1により順次得られる前記検出温度T1(t)、及び、前記第二温度センサーS2により順次得られる前記第二検出温度T2(t)に基づいて前記冷却装置40において故障している部位を判別する学習モデルLMを生成する。この学習モデルLMを用いることにより、主軸モーターM1に設けられた内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)、及び、外気温により影響される温度として順次得られる第二検出温度T2(t)に基づいて冷却装置40において故障している部位を判別することができる。従って、本態様は、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障部位を判別することが可能な旋盤を提供することができ、コストアップを抑制することができる。
ここで、検出温度T1(t)の変化(例えばΔT1(t))等といった検出温度T1(t)から求められる値を機械学習に用いることや、第二検出温度T2(t)の変化等といった第二検出温度T2(t)から求められる値を機械学習に用いることも、上記態様の機械学習に含まれる。また、学習モデルに使用される公知のニューラルネットワーク等に入力する値は、検出温度そのものや第二検出温度そのものに限定されない。上記態様の学習モデルには、検出温度T1(t)の変化(例えばΔT1(t))等といった検出温度T1(t)から求められる値をニューラルネットワーク等に入力する場合や、第二検出温度T2(t)の変化等といった第二検出温度T2(t)から求められる値をニューラルネットワーク等に入力する場合も、含まれる。これらの付言は、以下の態様においても適用される。
[態様5]
前記学習モデルは、前記内蔵温度センサーS1により順次得られる前記検出温度T1(t)、および、前記第二温度センサーS2により順次得られる前記第二検出温度T2(t)が入力されることで、前記冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位(例えばポンプ43とファン44)の判別結果を出力してもよい。本態様は、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障部位を判別することが可能な旋盤を提供することができ、コストアップを抑制することができる。
[態様6]
ところで、本技術の一態様に係る旋盤システムSY1は、旋盤1、及び、該旋盤1に接続されたコンピューター100を含む。前記旋盤1は、回転可能な主軸11、該主軸11を回転させる主軸モーターM1、及び、該主軸モーターM1を冷却する冷却装置40を備える。前記主軸モーターM1は、内蔵温度センサーS1を有している。本旋盤システムSY1は、前記旋盤1と前記コンピューター100の少なくとも一方に故障判定部U1を備えている。該故障判定部U1は、ワークW1の連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)が定常となったと判断した後に前記検出温度T1(t)の変化(ΔT1(t))が許容範囲(TH2)を超えると前記冷却装置40が故障していると判定する。従って、本態様は、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤システムを提供することができ、コストアップを抑制することができる。
[態様7]
図1等に例示するように、前記旋盤1は、外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーS2をさらに備えていてもよい。図9に例示するように、前記旋盤システムSY1は、機械学習部U2をさらに備えていてもよい。該機械学習部U2は、図10に例示するように、前記内蔵温度センサーS1により順次に得られた前記検出温度T1(t)、前記第二温度センサーS2により順次に得られた第二検出温度T2(t)、及び、前記冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位を表す故障部位情報IN1に基づいた機械学習により、前記内蔵温度センサーS1により順次得られる前記検出温度T1(t)、及び、前記第二温度センサーS2により順次得られる前記第二検出温度T2(t)に基づいて前記冷却装置40において故障している部位を判別する学習モデルLMを生成する。従って、本態様は、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障部位を判別することが可能な旋盤システムを提供することができ、コストアップを抑制することができる。
(2)旋盤システムの構成の具体例:
図1は、旋盤1とコンピューター100を含む旋盤システムSY1の構成を模式的に例示している。図1に示す旋盤1は、ワークW1の加工の数値制御を行うNC(数値制御)装置70を備えるNC旋盤であり、主軸台10、刃物台28、駆動装置30、冷却装置40、外装2に埋め込まれた温度センサー3、等を備えている。図1に示す旋盤1の制御軸は、「X」で示されるX軸、「Y」で示されるY軸、及び、「Z」で示されるZ軸を含んでいる。Z軸方向は、ワークW1の回転中心となる主軸中心線AX1に沿った水平方向である。X軸方向は、Z軸と直交する水平方向である。Y軸方向は、Z軸と直交する鉛直方向である。尚、Z軸とX軸とは交差していれば直交していなくてもよく、Z軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよく、X軸とY軸とは交差していれば直交していなくてもよい。また、本明細書において参照される図面は、本技術を説明するための例を示しているに過ぎず、本技術を限定するものではない。また、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右を逆にしたり、回転方向を逆にしたり等することも、本技術に含まれる。また、方向や位置等の同一は、厳密な一致に限定されず、誤差により厳密な一致からずれることを含む。
図1に示す主軸台10は、正面主軸台である主軸台10A、及び、背面主軸台である主軸台10Bを総称している。従って、主軸台10の説明は、主軸台10Aと主軸台10Bの両方に当てはまる。
主軸台10には、主軸11及びビルトインモーター20が組み込まれている。ビルトインモーター20は、主軸モーターM1の例である。図1に示す旋盤1は主軸移動型旋盤であり、主軸台10はZ軸方向へ移動可能とされている。むろん、旋盤は主軸台10Aが移動しない主軸固定型旋盤でもよいし、主軸台10Bが移動せずに主軸台10AがZ軸方向へ移動してもよい。
主軸11は、コレット等といった把持部12を有し、該把持部12によりワークW1を解放可能に把持する。加工前のワークW1が例えば円柱状(棒状)の長尺な材料である場合、主軸台10Aの主軸11の後端から把持部12にワークW1が供給されてもよい。この場合、主軸台10Aの主軸11の前側には、ワークW1をZ軸方向へ摺動可能に支持するガイドブッシュが配置されてもよい。加工前のワークW1が短い材料である場合、主軸台10Aの主軸11の前端から把持部12にワークW1が供給されてもよい。ワークW1を把持した主軸11は、ワークW1とともに主軸中心線AX1を中心として回転可能である。正面加工後のワークW1は、主軸台10Aの主軸11から主軸台10Bの主軸11に引き渡され、背面加工により製品となる。
図2は、ビルトインモーター20を含む主軸台10の要部とともに旋盤1の冷却装置40の構成を模式的に例示している。図2に示すビルトインモーター20は、主軸台10に取り付けられた回転しないステーター21、主軸11に取り付けられた回転するローター22、及び、ステーター21の外側を覆うジャケット23を有している。ローター22は、ステーター21の内側において主軸中心線AX1を中心として主軸11とともに回転可能である。ビルトインモーター20は、NC装置70の制御に従ったタイミングでローター22を回転駆動することにより主軸11を高速回転させる。ビルトインモーター20には、ローター22の高速回転による熱が発生する。ジャケット23には、冷却流体F1としての冷却油F2の循環経路41が接続されている。従って、ジャケット23の中には、冷却油F2が入っている。
図1に示すように、ビルトインモーター20は、焼付きを防ぐために自らの温度を検出する温度センサー25を内蔵している。温度センサー25は、主軸モーターM1に設けられた内蔵温度センサーS1の例である。温度センサー25は、サーミスターとも呼ばれる。本具体例では、冷却装置40の故障を判定するために内蔵温度センサーS1である温度センサー25を利用することにしている。
図1に示す刃物台28は、ワークW1を加工するための複数の工具TO1が取り付けられ、Y軸方向へ移動可能である。むろん、刃物台28は、X軸方向やZ軸方向へ移動してもよい。刃物台28は、タレット刃物台でもよいし、くし形刃物台等でもよい。複数の工具TO1には、突っ切りバイトを含むバイト、ドリルやエンドミルといった回転工具、等が含まれる。
図1に示す駆動装置30は、主軸台10Aの駆動装置30A、主軸台10Bの駆動装置30B、及び、刃物台28の駆動装置30Cを総称している。従って、駆動装置30の説明は、駆動装置30A,30B,30Cのいずれにも当てはまる。
駆動装置30は、NC装置70の制御に従って回転するサーボモーター31を備え、サーボモーター31からの回転力を例えばボールねじ機構により直進する力に変換する。サーボモーター31は、自らの温度を検出する温度センサー32を内蔵している。駆動装置30Aは、NC装置70の制御に従って、主軸11及びビルトインモーター20とともに主軸台10AをZ軸方向へ移動させる。駆動装置30Bは、NC装置70の制御に従って、主軸11及びビルトインモーター20とともに主軸台10BをZ軸方向へ移動させる。駆動装置30Cは、NC装置70の制御に従って、刃物台28をY軸方向へ移動させる。
図2に示す冷却装置40は、油冷式であり、ラジエーター42及びポンプ43が設けられた循環経路41、並びに、ラジエーター42の放熱を促進させるファン44を有している。冷却油F2は、循環経路41を流れ、主軸モーターM1を冷却する。ラジエーター42は、循環経路41のうち広がった部分を形作る構造物であり、冷却油F2の単位体積当たりの循環経路41の内面の面積が大きいことにより冷却油F2の熱を放出させ易い。ポンプ43は、循環経路41において冷却油F2を循環させる。図2に示す冷却油F2は、ポンプ43から出た後にビルトインモーター20のジャケット23に入ってビルトインモーター20の熱を奪い、ラジエーター42の上部からラジエーター42に入り、熱を奪われた後にラジエーター42の下部から出てポンプ43に戻る。ファン44は、ラジエーター42に風を当てることにより冷却油F2から熱を奪う。従って、ファン44は、循環経路41の放熱を促進させる。
図3は、旋盤1の電気回路の構成を模式的に例示している。図3に示す旋盤1において、NC装置70には、操作部80、サーボモーター31、温度センサー25を内蔵しているビルトインモーター20、外装2に埋め込まれた温度センサー3、等が接続されている。NC装置70は、プロセッサーであるCPU(Central Processing Unit)71、半導体メモリーであるROM(Read Only Memory)72、半導体メモリーであるRAM(Random Access Memory)73、タイマー回路74、I/F(インターフェイス)75、等を備えている。従って、NC装置70は、コンピューターの一種である。図3では、操作部80、サーボモーター31、ビルトインモーター20、温度センサー3、外部のコンピューター100、等のI/FをまとめてI/F75と示している。ROM72には、加工プログラムPR2を解釈して実行したり冷却装置40の故障を判定したりするための制御プログラムPR1が書き込まれている。ROM72は、データを書き換え可能な半導体メモリーでもよい。RAM73には、オペレーターにより作成された加工プログラムPR2が書き換え可能に記憶される。加工プログラムは、NCプログラムとも呼ばれる。CPU71は、RAM73をワークエリアとして使用し、ROM72に記録されている制御プログラムPR1を実行することにより、NC装置70の機能を実現させる。制御プログラムPR1を実行するNC装置70は、故障判定部U1の例である。むろん、制御プログラムPR1により実現される機能の一部又は全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった他の手段により実現させてもよい。
操作部80は、入力部81及び表示部82を備え、NC装置70のユーザーインターフェイスとして機能する。入力部81は、例えば、オペレーターから操作入力を受け付けるためのボタンやタッチパネルから構成される。表示部82は、例えば、オペレーターから操作入力を受け付けた各種設定の内容や旋盤1に関する各種情報を表示するディスプレイで構成される。オペレーターは、操作部80や外部コンピューターを用いて加工プログラムPR2をRAM73に記憶させることが可能である。
サーボモーター31は、NC装置70からの指令に従って主軸台10や刃物台28を移動させる。ビルトインモーター20は、NC装置70からの指令に従って主軸11を回転駆動する。
図1に示すように、外部のコンピューター100は、CPU101、ROM102、RAM103、記憶装置104、入力装置105、表示装置106、音声出力装置107、I/F108、時計回路109、等を備えている。コンピューター100の制御プログラムは、記憶装置104に記憶され、CPU101によりRAM103に読み出され、CPU101により実行される。記憶装置104には、フラッシュメモリーといった半導体メモリー、ハードディスクといった磁気記録媒体、等を用いることができる。入力装置105には、ポインティングデバイス、キーボード、表示装置106の表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。I/F108は、NC装置70のI/F75に有線又は無線で接続され、NC装置70からデータを受信したりNC装置70にデータを送信したりする。I/F108,75の接続は、インターネットやイントラネット等のネットワーク接続でもよい。コンピューター100には、タブレット型端末を含むパーソナルコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、等が含まれる。
まず、図4A,4Bを参照して、ワークW1の連続加工中に冷却装置40が故障した場合のビルトインモーター20の温度変化を説明する。
図4Aは、ワーク連続加工の途中でポンプ43が故障した場合におけるビルトインモーター20の温度センサー25の温度変化を模式的に例示している。図4Bは、ワーク連続加工の途中でファン44が故障した場合におけるビルトインモーター20の温度センサー25の温度変化を模式的に例示している。図4A,4Bにおいて、横軸はワーク加工開始からの時間tを示し、縦軸は温度センサー25の検出温度T1を示している。
t=0においてワークW1の連続加工が開始すると、図4A,4Bに示すように、温度センサー25の検出温度T1が上昇していく。これは、動作していなかったビルトインモーター20がワーク連続加工開始により頻繁に動作することでビルトインモーター20の温度が上昇していくことによる。一方、ワークW1の連続加工中に冷却装置40も動作するので、冷却装置40により循環する冷却油F2によりビルトインモーター20の熱が奪われ、ビルトインモーター20の温度上昇が止まっていく。従って、t=t1のタイミングで検出温度T1が定常になると、その後、検出温度T1はほとんど変わらない。
検出温度T1が定常となった後、図4Aに示すように、t=t2のタイミングでポンプ43が故障した場合、検出温度T1が急激に上昇していく。これは、ポンプ43の停止により冷却油F2の循環が止まり、これによりビルトインモーター20の熱が放出されなくなることによる。検出温度T1の上昇は時間tが経つにつれ緩やかになるものの、検出温度T1は上昇し続ける。従って、ワークW1の連続加工を停止することによりビルトインモーター20の温度上昇を抑える必要がある。
検出温度T1が定常となった後、図4Bに示すように、t=t2のタイミングでファン44が故障した場合、ポンプ43が故障した場合よりも緩やかであるが、検出温度T1が急に上昇していく。これは、冷却油F2の循環が継続することによりビルトインモーター20の熱がある程度は放出されるものの、ラジエーター42を流れる冷却油F2からの熱の放出がファン44の停止により抑えられることによる。検出温度T1の上昇は時間tが経つにつれ緩やかになるものの、検出温度T1は上昇し続ける。従って、ワークW1の連続加工を停止することによりビルトインモーター20の温度上昇を抑える必要がある。
本具体例のNC装置70は、ワークW1の連続加工を開始してからビルトインモーター20の温度センサー25により順次得られる検出温度T1が定常となったと判断した後に検出温度T1の変化が許容範囲を超えると冷却装置40が故障していると判定することにしている。また、NC装置70は、検出温度T1の変化に基づいて、冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位を判別することにしている。本具体例のNC装置70は、検出温度T1の変化が所定の判別基準を超えたか否かに応じてポンプ43が故障したのかファン44が故障したのかを判定することにしている。
図5は、温度センサー25の検出温度T1(t)の離散データから旋盤1の状態を判定する例を模式的に示している。図5においても、横軸はワーク加工開始からの時間tを示し、縦軸は温度センサー25の検出温度T1を示している。
NC装置70は、ビルトインモーター20の温度センサー25から定期的に検出温度T1(t)を取得することにしている。検出温度T1(t)を取得する間隔Δtは、1分間隔程度でよいが、30秒間隔程度と短くしてもよいし、5分間隔程度と長くしてもよい。検出温度T1(t)の分解能は、1℃程度でよいが、判定の精度を高めるために0.1℃程度に細かくしてもよい。
検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)は、誤差を少なくするため、時間t以前の所定期間P1における検出温度T1の最大値と検出温度T1の最小値との差としている。以下、検出温度の変化ΔT1(t)を温度変化ΔT1(t)とも呼ぶことにする。所定期間P1に含まれる検出温度T1のデータ数をn(nは3以上の整数)とし、変数iを0からn−1までの整数とすると、所定期間P1に含まれる検出温度T1(i)は、
T1(i)=T1(t),…,T1(t−i×Δt),…,T1(t−(n−1)×Δt)
と表される。よって、所定期間P1に含まれる検出温度T1のデータ数nが6である場合、所定期間P1に含まれる検出温度T1(i)は、
T1(i)=T1(t−0×Δt),T1(t−1×Δt),T1(t−2×Δt),T1(t−3×Δt),T1(t−4×Δt),T1(t−5×Δt)
と表される。検出温度T1(i)の最大値をMAX(T1(i))とし、検出温度T1(i)の最小値をMIN(T1(i))とすると、温度変化ΔT1(t)は、t≧P1において、
ΔT1(t)=MAX(T1(i))−MIN(T1(i)) …(1)
で表される。
図5に示すように所定期間P1に含まれる検出温度T1のデータ数nが6である場合、温度変化ΔT1(t)は、所定期間P1=5×Δtの検出温度T1(i)=T1(t),…,T1(t−5×Δt)における最大値MAX(T1(i))と最小値MIN(T1(i))の差となる。
t=0においてワークW1の連続加工が開始すると、図4A,4Bに示すように、しばらくの間、検出温度T1(t)が上昇し、その後、定常のタイミングt1となる。そこで、NC装置70は、時間tが所定期間P1に到達してから温度変化ΔT1(t)が所定の閾値TH1(TH1>0)を超えていると検出温度T1(t)が定常となっていないと判断し、温度変化ΔT1(t)が閾値TH1以下になると検出温度T1(t)が定常となったと判断することにしている。
尚、閾値TH1に微小量加えた閾値をTH1+αとすると、上述の判断はΔT1(t)≧TH1+αであるか否かの判断に置き換えることができる。この場合も、ΔT1(t)が閾値TH1を超えているか否かの判断に含まれる。
図6は、時間tに応じた温度変化ΔT1(t)の例を模式的に示している。図6において、横軸はワーク加工開始からの時間tを示し、縦軸は温度センサー25の温度変化ΔT1(t)を示している。
図6に示すように、時間tが所定期間P1に到達してから温度変化ΔT1(t)は、しばらくの間減少し、やがて閾値TH1以下となるタイミングt1となる。
ワーク連続加工中に検出温度T1(t)が定常となった後、冷却装置40が故障すると、図4A,4Bに示すタイミングt2のように、温度センサー25の検出温度T1(t)が急に上昇する。NC装置70は、図5に示すようにΔT1(t)≦TH1となった後に温度変化ΔT1(t)が閾値TH2(TH2>TH1)を超えると冷却装置40が故障していると判定し、温度変化ΔT1(t)が閾値TH2を超えなければ冷却装置40に故障が無いと判定することにしている。閾値TH2は、温度変化ΔT1(t)の許容範囲の例である。図6に示すように、閾値TH1以下であった温度変化ΔT1(t)は、冷却装置40が故障したタイミングt2の後、閾値TH2を超えるまで急に大きくなる。図6には、ΔT1(t)=TH2となったタイミングt3が示されている。
尚、閾値TH2に微小量加えた閾値をTH2+αとすると、上述の判断はΔT1(t)≧TH2+αであるか否かの判断に置き換えることができる。この場合も、ΔT1(t)が閾値TH2を超えているか否かの判断に含まれる。
ワーク連続加工中にΔT1(t)>TH2となった後、図4Aに示すようにポンプ43が故障した場合は検出温度T1(t)が急激に上昇し、図4Bに示すようにファン44が故障した場合は検出温度T1(t)の上昇がポンプ43の故障の場合と比べて少ない。故障部位を判別するため、NC装置70は、まず、ΔT1(t)>TH2となってから順次得られる温度変化ΔT1(t)の極大値ΔT1maxを探すことにしている。極大値ΔT1maxは、温度変化ΔT1(t)がΔT1(t)>TH2の範囲で最初にグラフの山となる値を意味する。その後、NC装置70は、極大値ΔT1maxが閾値TH3(TH3>TH2)を超えている場合にポンプ43が故障していると判定し、極大値ΔT1maxが閾値TH3を超えなかった場合にファン44が故障していると判定することにしている。ΔT1max>閾値TH3であるか否かは、温度変化ΔT1(t)の判別基準の例である。図6には、ポンプ43が故障した場合の時間tに応じた温度変化ΔT1(t)が実線で示され、ファン44が故障した場合の時間tに応じた温度変化ΔT1(t)が二点鎖線で示されている。ポンプ43が故障した場合、タイミングt3の後に温度変化ΔT1(t)が閾値TH3を超えるタイミングt4があり、その後、温度変化ΔT1(t)が極大値ΔT1maxとなるタイミングt5があることが示されている。ファン44が故障した場合、タイミングt3の後に温度変化ΔT1(t)が閾値TH3以下の極大値ΔT1maxとなるタイミングがあることが示されている。
尚、閾値TH3に微小量加えた閾値をTH3+αとすると、上述の判断はΔT1max≧TH3+αであるか否かの判断に置き換えることができる。この場合も、ΔT1maxが閾値TH3を超えているか否かの判断に含まれる。
(3)冷却装置故障判定処理の具体例:
図7は、上述した故障判定方法を実現させる冷却装置故障判定処理の例を示している。この処理は、制御プログラムPR1を実行するNC装置70により行われ、ワークW1の連続加工を開始する時に開始する。以下、図1〜6も参照して、図7に示す冷却装置故障判定処理を説明する。
冷却装置故障判定処理が開始すると、NC装置70は、図1〜3に示すビルトインモーター20の温度センサー25から一定の間隔Δtとなるように検出温度T1(t)を取得する(ステップS102)。以下、「ステップ」の記載を省略する。NC装置70は、ワーク加工開始からの時間tが所定期間P1となるまではS102の処理を繰り返す。検出温度T1(t)の取得後、NC装置70は、上述した式(1)に従って、所定期間P1の検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)を算出する(S104)。温度変化ΔT1(t)の算出後、NC装置70は、温度変化ΔT1(t)が閾値TH1以下となったか否かに応じて処理を分岐させる(S106)。ΔT1(t)>TH1である場合、NC装置70は、検出温度T1(t)が定常になっていないと判断し、検出温度T1(t)を取得するS102の処理、温度変化ΔT1(t)を算出するS104の処理、及び、S106の判断処理を繰り返す。一方、ΔT1(t)≦TH1となった場合、NC装置70は、検出温度T1(t)が定常となったと判断し、処理をS108に進める。
S108において、NC装置70は、さらに、温度センサー25から一定の間隔Δtとなるように検出温度T1(t)を取得する。検出温度T1(t)の取得後、NC装置70は、上述した式(1)に従って、所定期間P1の検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)を算出する(S110)。温度変化ΔT1(t)の算出後、NC装置70は、温度変化ΔT1(t)が閾値TH2を超えたか否かに応じて処理を分岐させる(S112)。ΔT1(t)≦TH2である場合、NC装置70は、冷却装置40に故障が無いと判定し、検出温度T1(t)を取得するS108の処理、温度変化ΔT1(t)を算出するS110の処理、及び、S112の判断処理を繰り返す。S108〜S112の繰り返し処理は、温度変化ΔT1(t)が閾値TH2を超えない限り、ワークW1の連続加工が終了するまで続けられる。一方、ΔT1(t)>TH2となった場合、NC装置70は、冷却装置40が故障していると判定し、処理をS114に進める。
S114において、NC装置70は、冷却装置40の故障をオペレーターに通知する。S114の通知処理は、例えば、図1,3に示す旋盤1の表示部82に冷却装置40が故障した旨を表示させる処理、不図示の警告灯を点灯又は点滅させる処理、コンピューター100の表示装置106に冷却装置40が故障した旨を表示させる処理、コンピューター100の音声出力装置107に警告音又は冷却装置40が故障した旨を音声出力させる処理、これらの処理の少なくとも一部の組合せ、等とすることができる。コンピューター100が携帯端末である場合、工場から離れたオペレーターに冷却装置40の故障を通知することが可能である。
また、故障の通知とともに、NC装置70は、今までに得られた検出温度T1(t)のリストを旋盤1の表示部82、コンピューター100の表示装置106、等に表示させてもよい。また、NC装置70は、故障部位の通知とともに、時間tに対する検出温度T1(t)や温度変化ΔT1(t)を示すグラフを表示部82、表示装置106、等に表示させてもよい。これにより、検出温度T1(t)や温度変化ΔT1(t)を見たオペレーターは、故障部位が通知される前に故障部位を予測することが可能となる。
NC装置70は、冷却装置40の故障が判定された時点でワークW1の加工を停止させるワーク加工停止指令を出すことによりワークW1の加工を停止させてもよい。この場合も本技術に含まれるが、本具体例では、冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位を判別するため、もう少しワークW1の連続加工を継続することにしている。
S114の通知処理の後、NC装置70は、極大値ΔT1maxを探すため、変数としてのΔT1maxに現在の温度変化ΔT1(t)を代入する(S116)。ΔT1(t)の代入後、NC装置70は、さらに、温度センサー25から一定の間隔Δtとなるように検出温度T1(t)を取得する(S118)。検出温度T1(t)の取得後、NC装置70は、上述した式(1)に従って、所定期間P1の検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)を算出する(S120)。温度変化ΔT1(t)の算出後、NC装置70は、温度変化ΔT1(t)がΔT1maxを下回ったか否かに応じて処理を分岐させる(S122)。ΔT1(t)≧ΔT1maxである場合、NC装置70は、温度変化ΔT1(t)の極大値が決まらないと判断し、ΔT1maxに現在の温度変化ΔT1(t)を代入するS116の処理、検出温度T1(t)を取得するS118の処理、温度変化ΔT1(t)を算出するS120の処理、及び、S122の判断処理を繰り返す。一方、ΔT1(t)<ΔT1maxとなった場合、NC装置70は、変数としてのΔT1maxが極大値になったと判断し、処理をS124に進める。
S124において、NC装置70は、極大値ΔT1maxが閾値TH3を超えているか否かに応じて処理を分岐させる。ΔT1max>TH3である場合、NC装置70は、ポンプ43が故障していると判定し、ポンプ43の故障をオペレーターに通知する(S126)。一方、ΔT1max≦TH3である場合、NC装置70は、ファン44が故障していると判定し、ファン44の故障をオペレーターに通知する(S128)。S126,S128の通知処理は、例えば、図1,3に示す旋盤1の表示部82に故障部位(ポンプ43又はファン44)を示す情報を表示させる処理、故障部位に対応する不図示の警告灯を点灯又は点滅させる処理、コンピューター100の表示装置106に故障部位の情報を表示させる処理、コンピューター100の音声出力装置107に故障部位の情報を音声出力させる処理、これらの処理の少なくとも一部の組合せ、等とすることができる。コンピューター100が携帯端末である場合、工場から離れたオペレーターに故障部位の情報を通知することが可能である。
また、故障部位の通知とともに、NC装置70は、今までに得られた検出温度T1(t)のリストを旋盤1の表示部82、コンピューター100の表示装置106、等に表示させてもよい。また、NC装置70は、故障部位の通知とともに、時間tに対する検出温度T1(t)や温度変化ΔT1(t)を示すグラフを表示部82、表示装置106、等に表示させてもよい。これにより、検出温度T1(t)や温度変化ΔT1(t)を見たオペレーターは、故障部位の通知が正しいか否かを判断することが可能となる。
S126又はS128の処理後、NC装置70は、ワークW1の加工を停止させるワーク加工停止指令を出すことによりワークW1の加工を停止させ(S130)、図7に示す冷却装置故障判定処理を終了させる。これにより、冷却装置40の故障時にワークW1の連続加工が停止し、ビルトインモーター20の温度上昇が抑えられる。
以上説明したように、ワークW1の連続加工中にビルトインモーター20の温度センサー25の検出温度T1(t)が定常となってから冷却装置40が故障すると、やがて検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)が許容範囲である閾値TH2を超える。上述したS112の処理においてΔT1(t)>TH2であることを判断することにより、冷却装置40が故障していると判定することができる。
また、温度変化ΔT1(t)はファン44が故障した場合よりもポンプ43が故障した場合の方が大きいので、ポンプ43が故障した場合、温度変化ΔT1の極大値ΔT1maxが判別基準である閾値TH3を超える。ファン44が故障した場合、極大値ΔT1maxは閾値TH3を超えない。上述したS124の処理において極大値ΔT1maxが閾値TH3を超えたか否かを判断することにより、ポンプ43が故障したのかファン44が故障したのかを判別することができる。
従って、本具体例の旋盤は、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても、冷却装置の故障を判定することができ、冷却装置の故障部位を判別することができ、コストアップを抑制することができる。また、冷却装置の故障部位が分かるので、冷却装置の修理が容易となり、本旋盤は便利である。
尚、以上は冷却装置40の故障によりビルトインモーター20が定常の温度から急に上昇することを前提にして説明したが、冷却油F2が冷却され過ぎる等によりビルトインモーター20が定常の温度から急に下降する場合も冷却装置40の故障と判定される。検出温度T1(t)が定常となった後に検出温度T1(t)が急に下降しても、ΔT1(t)>TH2となるためである。従って、本具体例は、高い信頼性を有する旋盤を提供することができる。
また、図7に示す冷却装置故障判定処理は、図1に示すコンピューター100が行ってもよい。この場合、冷却装置故障判定処理を実行する制御プログラムPR1をコンピューター100の記憶装置104に記憶させることにより、コンピューター100が制御プログラムPR1を記憶装置104からRAM103に読み出して実行することができる。旋盤1は、一定の間隔Δt毎に温度センサー25から検出温度T1(t)を取得してコンピューター100に送信し、コンピューター100からワーク加工停止指令を受信するとワークW1の加工を停止させるものとする。コンピューター100は、S102,S108,S118において、旋盤1から検出温度T1(t)を取得する処理を行えばよい。コンピューター100は、S112において温度変化ΔT1(t)が閾値TH2を超えたと判断することにより、冷却装置40が故障していると判定することができる。また、コンピューター100は、S124において極大値ΔT1maxが閾値TH3を超えているか否かを判断することにより、ポンプ43が故障したのかファン44が故障したのかを判別することができる。S130において、コンピューター100は、旋盤1にワーク加工停止指令を送信すればよい。
さらに、冷却装置故障判定処理は、NC装置70とコンピューター100とが協働して行ってもよい。例えば、冷却装置40の故障を通知するまでのS102〜S114の処理をNC装置70が行い、故障の通知を受信したコンピューター100がS116〜S130の処理により故障箇所を判別することが考えられる。この場合、故障検出部U1は、NC装置70とコンピューター100との協働により実現される。
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、検出温度T1(t)の時間間隔は、一定間隔に限定されず、変化してもよい。
所定期間P1の温度変化ΔT1(t)は、t−T1平面において所定期間P1における各検出温度T1(t)の座標から求められる近似直線の傾きでもよく、当該傾きの絶対値でもよい。従って、旋盤やコンピューターは、前述の傾きの絶対値が閾値TH1以下になったことを検出温度T1(t)が定常となったことと判断してもよく、前述の傾きの絶対値が閾値TH2を超えると冷却装置40が故障していると判定してもよく、前述の傾きの絶対値の極大値に基づいて故障部位を判別してもよい。
上述した処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。例えば、図7の冷却装置故障判定処理において、ワーク加工停止指令を出すS130の処理は、S124の判断処理の前において行うことが可能である。
主軸モーターにより回転する主軸は、ワークを把持する主軸に限定されず、ワークを加工する回転工具とともに回転する工具主軸(ツールスピンドル)でもよい。また、主軸モーターは、ビルトインモーターに限定されず、主軸に外付けされたモーターでもよい。さらに、冷却流体は、冷却油に限定されず、冷却水でもよいし、気体でもよく、気体と液体とに状態が変化する冷媒でもよい。
図8は、回転工具駆動用の主軸モーターM1、及び、該主軸モーターM1の冷却装置40Bを備える旋盤1の例を模式的に示している。冷却装置40Bは、本技術の冷却装置40に含まれる。図8に示す旋盤1は、ワークを加工する複数の回転工具TO2を保持している刃物台28Bを備えている。刃物台28Bは、各回転工具TO2とともに回転する工具主軸11B、及び、主軸中心線AX1を中心として工具主軸11Bを回転させる主軸モーターM1を備えている。工具主軸11Bは、本技術の主軸11に含まれる。主軸モーターM1は、内蔵温度センサーS1を有し、制御プログラムPR1を実行するNC装置70により制御される。図8に示す主軸モーターM1は、工具主軸11Bに外付けされ、刃物台28Bの外に露出している。冷却装置40Bは、風冷式であり、主軸モーターM1に空気F3を送るファン45を備えている。空気F3は、冷却流体F1の例である。ファン45は、主軸モーターM1に風を当てることにより主軸モーターM1から熱を奪う。
ワーク連続加工の途中でファン45が故障した場合、主軸モーターM1の温度は図4Bに例示するように変化する。そこで、NC装置70は、図7に示すS102〜S114,S130の処理を行うことにより、冷却装置40Bの故障を判定し、ワークの加工を停止させることができる。むろん、図7に示すS102〜S114,S130の処理は、コンピューター100が行ってもよい。
さらに、図1に示す外装2に設けられた温度センサー3等を利用して、冷却装置40の故障部位を判別する精度を向上させることが可能である。温度センサー3は、外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーS2の例である。故障部位の判別精度を向上させるために、機械学習を利用してもよい。
図9は、機械学習部U2をコンピューター100に備える旋盤システムSY1の例を模式的に示している。図9において、図1,3と一部重複する要素については記載及び説明を省略している。図9の下部には、データベースDBの構造例が示されている。
図9に示すコンピューター100の記憶装置104は、機械学習部U2に対応する機械学習プログラムPR3、及び、故障判定部U1に対応する故障部位判定プログラムPR4を記憶している。これらのプログラム(PR3,PR4)は、CPU101によってRAM103に読み出されることにより実行される。コンピューター100のRAM103には、データベースDB、及び、該データベースDBに基づいて生成される学習モデルLMが格納されている。学習モデルLMは、内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)、及び、第二温度センサーS2により順次得られる第二検出温度T2(t)に基づいて冷却装置40において故障している部位を判別するようにコンピューター100を機能させるためのプログラムである。生成された学習モデルLMは、コンピューター100からNC装置70に送信されてNC装置70のRAM73に格納されてもよい。これにより、NC装置70は、学習モデルLMに従って冷却装置40の故障部位を判別することができる。
データベースDBには、レコードを識別する識別情報である識別番号jに、検出温度T1(t)、第二検出温度T2(t)、及び、故障部位を表す故障部位情報IN1が紐付けられている状態で格納されている。故障部位情報IN1は、冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位を表している。図9には、識別番号jに紐付けられている検出温度T1(t)がT1−j(t)で示され、識別番号jに紐付けられている第二検出温度T2(t)がT2−j(t)で示され、識別番号jに紐付けられている故障部位情報IN1が部位jで示されている。
尚、冷却装置40は頻繁に故障するものではないため、コンピューター100は、複数の旋盤から検出温度(T1(t),T2(t))を受信してデータベースDBに格納してもよい。
図10は、学習モデルLMを生成する学習処理の例を示している。この処理は、機械学習プログラムPR3を実行するコンピューター100により行われる。
学習処理が開始すると、コンピューター100は、内蔵温度センサーS1(例えば温度センサー25)により順次に得られた検出温度T1(t)、及び、第二温度センサーS2(例えば温度センサー3)により順次に得られた第二検出温度T2(t)を取得する(S202)。コンピューター100は、ワーク連続加工中の旋盤1から一定の間隔Δt毎に検出温度(T1(t),T2(t))を取得してもよいし、ワーク連続加工後に旋盤1からまとめて検出温度(T1(t),T2(t))を取得してもよい。
次に、コンピューター100は、冷却装置40の故障部位の入力を受け付ける(S204)。例えば、旋盤1のオペレーターは、冷却装置40が故障した場合に故障部位を突き止めると、当該故障部位を入力装置105によりコンピューター100に入力する操作を行えばよい。また、冷却装置40が故障していない場合の検出温度(T1(t),T2(t))もデータベースDBに有った方がよいので、冷却装置40が故障していない場合、オペレーターは、冷却装置40が故障していないことをコンピューター100に入力する操作を行えばよい。コンピューター100は、故障部位、又は、故障していないことを入力する操作を入力装置105により受け付ける処理を行えばよい。
さらに、コンピューター100は、検出温度(T1(t),T2(t))、及び、故障部位又は故障していないことを表す故障部位情報IN1をレコードの識別番号jに紐付けてデータベースDBに格納する(S206)。データベースDBのレコードは多い方がよいため、S202〜S206の処理は繰り返し行われる。
データベースDBに情報が蓄積された後、コンピューター100は、データベースDBに格納されている情報に基づいた教師有り機械学習により、学習モデルLMをRAM103に生成する(S208)。学習モデルLMには、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、これらの少なくとも一方を主要部として換算式を組み合わせた学習モデル、等を用いることができる。学習モデルLMにニューラルネットワークが含まれる場合には深層学習の手法により学習を進めるようにしてもよい。尚、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、深層学習、等の詳細については公知であるため説明を省略する。得られる学習モデルLMは、内蔵温度センサーS1により順次得られる検出温度T1(t)、及び、第二温度センサーS2により順次得られる第二検出温度T2(t)が入力されることで、冷却装置40に含まれる複数の部位のうち故障している部位の判別結果を出力する。すなわち、学習モデルLMは、順次得られる検出温度(T1(t),T2(t))に基づいて冷却装置40の故障部位を判別する学習済みモデルである。
学習モデルLMの生成後、コンピューター100は、学習モデルLMを記憶し(S210)、学習処理を終了させる。旋盤1が学習モデルLMを使用する場合、コンピューター100は、学習モデルLMを旋盤1に送信すればよい。学習モデルLMを受信した旋盤1は、学習モデルLMをRAM73に格納することにより、冷却装置40の故障部位を判別する処理を行うことができる。
図11は、冷却装置40において故障している部位を判別する故障部位判定処理の例を示している。この処理は、例えば、学習モデルLMをRAM103に保持しているコンピューター100により行われ、ワークW1の連続加工が開始した時に開始する。
まず、コンピューター100は、内蔵温度センサーS1の検出温度T1(t)、及び、第二温度センサーS2の第二検出温度T2(t)を旋盤1から順次に取得する(S302)。
次に、コンピューター100は、順次に得られた検出温度(T1(t),T2(t))を学習モデルLMに入力することにより、学習モデルLMに故障部位の判別結果、又は、故障していないことの判定結果を出力させる(S304)。S304の処理は、図7のS112において冷却装置40が故障していると判定した時に行われてもよい。この場合、コンピューター100は、S304において、検出温度(T1(t),T2(t))を学習モデルLMに入力することにより冷却装置40の故障部位を判別する処理を行うことになる。なお、S304において、故障していないことの判定結果が出力されたときには、これ以降の処理は行わず、再度学習モデルLMに検出温度(T1(t),T2(t))が入力されるまで待機することとしてもよい。
故障部位が判別されると、コンピューター100は、冷却装置40の故障部位をオペレーターに通知し(S306)、故障部位判定処理を終了させる。S306の通知処理は、例えば、図1,3に示す旋盤1の表示部82に故障部位を示す情報を表示させる処理、故障部位に対応する不図示の警告灯を点灯又は点滅させる処理、コンピューター100の表示装置106に故障部位の情報を表示させる処理、コンピューター100の音声出力装置107に故障部位の情報を音声出力させる処理、これらの処理の少なくとも一部の組合せ、等とすることができる。
むろん、NC装置70が故障部位判定処理を行ってもよく、NC装置70とコンピューター100とが協働して故障部位判定処理を行ってもよい。
図9〜11に示す例は、内蔵温度センサーの検出温度に外気温の影響が加味されて冷却装置の故障部位が判別されるので、故障部位の判別精度が向上する。また、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付ける必要が無いので、コストアップが抑制される。
尚、図10のS208において機械学習を行う際、検出温度T1(t)の代わりに検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)を使用してもよく、第二検出温度T2(t)の代わりに第二検出温度T2(t)の変化(ΔT2(t)とする。)を使用してもよい。ここで、所定期間P1に含まれる第二検出温度は、
T2(i)=T2(t),…,T2(t−i×Δt),…,T2(t−(n−1)×Δt)
と表される。第二検出温度T2(i)の最大値をMAX(T2(i))とし、第二検出温度T2(i)の最小値をMIN(T2(i))とすると、温度変化ΔT2(t)は、t≧P1において、
ΔT2(t)=MAX(T2(i))−MIN(T2(i)) …(2)
で表される。
温度変化(ΔT1(t),ΔT2(t))を機械学習に使用すると、順次得られる温度変化(ΔT1(t),ΔT2(t))に基づいて故障箇所を判別する暫定的な学習モデルが生成される。検出温度(T1(t),T2(t))から温度変化(ΔT1(t),ΔT2(t))を求める換算式を暫定的な学習モデルに組み合わせると、順次得られる検出温度(T1(t),T2(t))から故障箇所を判別する学習モデルLMが得られる。
また、データベースDBも、検出温度T1(t)の代わりに検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)を保持していてもよく、第二検出温度T2(t)の代わりに第二検出温度T2(t)の変化ΔT2(t)を保持していてもよい。
さらに、外気温に影響される第二検出温度T2(t)は、図1に示す外装2に設けられた温度センサー3の検出温度に限定されず、駆動装置30のサーボモーター31が内蔵している温度センサー32の検出温度等でもよい。この場合、温度センサー32は、外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーS2の例である。また、機械学習部は、学習モデルLMを生成するために、温度センサー3,32を含む複数の温度センサーのうち2以上の温度センサーの検出温度を第二検出温度として使用してもよい。加えて、機械学習部は、学習モデルLMを生成するために、ワークW1のサイズ等といった検出温度以外の情報を追加で利用してもよい。これにより、ワークW1のサイズ等といった情報を加味した機械学習を行うことができる。
むろん、検出温度(T1(t),T2(t))の時間間隔は、一定間隔に限定されず、変化してもよい。
さらに、図12に例示するように、旋盤1が機械学習プログラムPR3を実行することにより学習モデルLMを生成してもよい。図12は、機械学習部U2を備える旋盤1の例を模式的に示している。図12において、図3と一部重複する要素については記載及び説明を省略している。図12の下部には、データベースDBの構造例が示されている。図12に示すデータベースDBは、図9に示すデータベースDBと同じであるので、説明を省略する。
図12に示すNC装置70のROM72には、故障判定部U1に対応する制御プログラムPR1、及び、機械学習部U2に対応する機械学習プログラムPR3が書き込まれている。NC装置70のRAM73には、加工プログラムPR2、データベースDB、及び、学習モデルLMが格納されている。学習モデルLMは、順次得られる検出温度(T1(t),T2(t))に基づいて冷却装置40において故障している部位を判別するようにNC装置70を機能させるためのプログラムである。
NC装置70は、図10に示すフローチャートに従って学習処理を行うことができる。
学習処理が開始すると、NC装置70は、内蔵温度センサーS1の検出温度T1(t)、及び、第二温度センサーS2の第二検出温度T2(t)を順次、取得する(S202)。検出温度(T1(t),T2(t))を順次に取得した後、NC装置70は、冷却装置40の故障部位の入力を入力部81により受け付ける(S204)。さらに、NC装置70は、検出温度(T1(t),T2(t))、及び、故障部位又は故障していないことを表す故障部位情報IN1を識別番号jに紐付けてデータベースDBに格納する(S206)。S202〜S206の処理は、繰り返し行われる。データベースDBに情報が蓄積された後、NC装置70は、データベースDBに格納されている情報に基づいた教師有り機械学習により、学習モデルLMをRAM73に生成する(S208)。学習モデルLMの生成後、NC装置70は、必要に応じて学習モデルLMを記憶し(S210)、学習処理を終了させる。学習モデルLMの記憶場所は、ROM72、旋盤1内の記憶装置(不図示)、コンピューター100の記憶装置104、等のいずれでもよい。尚、上述した故障部位判定処理(図11参照)をNC装置70が行う場合、学習モデルLMがRAM73に格納されている状態で故障部位判定処理が行われる。
図12に示す例は、コストアップを抑制しながら故障部位の判別精度を向上させる旋盤を提供することができる。
上述した機械学習部U2はNC装置70とコンピューター100との協働により実現されてもよく、上述した故障検出部U1もNC装置70とコンピューター100との協働により実現されてもよい。
尚、機械学習を利用しないで、第二温度センサーS2の第二検出温度T2(t)を内蔵温度センサーS1の検出温度T1(t)の補正に使用することも可能である。例えば、0<a<1である補正係数aを用い、検出温度T1(t)からa×T2(t)を差し引いた温度を新たな検出温度T1(t)とすることにより、図7に示す冷却装置故障判定処理を行ってもよい。例えば、内蔵温度センサーS1の検出温度T1(t)の変化ΔT1(t)と第二温度センサーS2の第二検出温度T2(t)の変化ΔT2(t)との関係から補正係数aを決めることにより、冷却装置40の故障判定、及び、故障箇所の判別を行うことができる。この場合も、冷却装置の各部位の故障を検出するセンサーを別途取り付ける必要が無いので、コストアップが抑制される。また、内蔵温度センサーの検出温度に外気温の影響が加味されて冷却装置の故障部位が判別されるので、故障部位の判別精度が向上する。
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、冷却装置の故障を検出するセンサーを別途取り付けなくても冷却装置の故障を判定することが可能な旋盤、旋盤システム、等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
1…旋盤、2…外装、3…温度センサー、
10…主軸台、11…主軸、11B…工具主軸、12…把持部、
20…ビルトインモーター、23…ジャケット、25…温度センサー、
28,28B…刃物台、
30…駆動装置、31…サーボモーター、32…温度センサー、
40…冷却装置、
41…循環経路、42…ラジエーター、43…ポンプ、44,45…ファン、
70…NC装置、
100…コンピューター、
F1…冷却流体、F2…冷却油、F3…空気、
IN1…故障部位情報、
LM…学習モデル、
M1…主軸モーター、
S1…内蔵温度センサー、S2…第二温度センサー、
SY1…旋盤システム、
TO1…工具、TO2…回転工具、
U1…故障判定部、U2…機械学習部、
W1…ワーク。

Claims (7)

  1. 回転可能な主軸と、
    内蔵温度センサーを有し、前記主軸を回転させる主軸モーターと、
    該主軸モーターを冷却する冷却装置と、
    ワークの連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーにより順次得られる検出温度が定常となったと判断した後に前記検出温度の変化が許容範囲を超えると前記冷却装置が故障していると判定する故障判定部と、を備える、旋盤。
  2. 前記故障判定部は、前記検出温度の変化に基づいて、前記冷却装置に含まれる複数の部位のうち故障している部位を判別する、請求項1に記載の旋盤。
  3. 前記冷却装置は、前記主軸モーターを冷却する冷却流体の循環経路を有し、
    前記複数の部位は、前記循環経路において前記冷却流体を循環させるポンプ、及び、前記循環経路の放熱を促進させるファンを含み、
    前記故障判定部は、前記許容範囲を超えた前記検出温度の変化が所定の判別基準を超える場合に前記ポンプが故障していると判定し、前記検出温度の変化が前記判別基準を超えない場合に前記ファンが故障していると判定する、請求項2に記載の旋盤。
  4. 外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーと、
    前記内蔵温度センサーにより順次に得られた前記検出温度、前記第二温度センサーにより順次に得られた第二検出温度、及び、前記冷却装置に含まれる複数の部位のうち故障している部位を表す故障部位情報に基づいた機械学習により、前記内蔵温度センサーにより順次得られる前記検出温度、及び、前記第二温度センサーにより順次得られる前記第二検出温度に基づいて前記冷却装置において故障している部位を判別する学習モデルを生成する機械学習部と、をさらに備える、請求項1に記載の旋盤。
  5. 前記学習モデルは、前記内蔵温度センサーにより順次得られる前記検出温度、および、前記第二温度センサーにより順次得られる前記第二検出温度が入力されることで、前記冷却装置に含まれる複数の部位のうち故障している部位の判別結果を出力する、請求項4に記載の旋盤。
  6. 旋盤と、該旋盤に接続されたコンピューターと、を含む旋盤システムであって、
    前記旋盤は、
    回転可能な主軸と、
    内蔵温度センサーを有し、前記主軸を回転させる主軸モーターと、
    該主軸モーターを冷却する冷却装置と、を備え、
    前記旋盤システムは、ワークの連続加工を開始してから前記内蔵温度センサーにより順次得られる検出温度が定常となったと判断した後に前記検出温度の変化が許容範囲を超えると前記冷却装置が故障していると判定する故障判定部を備える、旋盤システム。
  7. 前記旋盤は、外気温に影響される温度を検出する第二温度センサーをさらに備え、
    前記旋盤システムは、前記内蔵温度センサーにより順次に得られた前記検出温度、前記第二温度センサーにより順次に得られた第二検出温度、及び、前記冷却装置に含まれる複数の部位のうち故障している部位を表す故障部位情報に基づいた機械学習により、前記内蔵温度センサーにより順次得られる前記検出温度、及び、前記第二温度センサーにより順次得られる前記第二検出温度に基づいて前記冷却装置において故障している部位を判別する学習モデルを生成する機械学習部をさらに備える、請求項6に記載の旋盤システム。
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