JP2021083683A - 転写用フィルム、転写用積層体、及び転写用積層体の転写方法 - Google Patents

Abstract

【課題】転写時の操作性を低下させることなく密着性を向上できる転写用フィルム、転写用積層体、及びその転写方法を提供する。【解決手段】転写層１１は、厚さが５０ｎｍ以上３０００ｎｍ以下であって、突刺し試験における破断時押込み量が０.６ｍｍ以上であり、突刺し試験における０.４ｍｍ押込み時の荷重が２０ｍＮ以上２５０ｍＮ以下である。【選択図】図１

Description

本発明は、転写用フィルム、転写用積層体、及び転写用積層体の転写方法に関する。

近年、医療用や化粧用として、皮膚や臓器表面に転写用積層体を転写する方法が注目されている。このような転写用積層体としては、例えば基材層上に転写用フィルム層（転写層）を積層した構造をしており、転写層と被転写体とが接触するように転写用積層体を配置した後、基材層を剥離することで転写層が被転写体に転写して用いられる。転写層の皮膚や臓器表面に対する転写性は、転写層が薄いことにより得られる。特許文献１では、数十ｎｍから数μｍの膜厚の転写用フィルムが転写層として使用される。特許文献２では、支持基材上に転写用フィルムを形成した積層体が提案されている。

国際公開第２０１４／０５８０６６号 特開２０１７−１９１１６号公報

転写層は薄膜になるほど破れやすく、また転写する際に皺や縒れが生じやすくなり、操作性が低下する。破れや皺、縒れといった転写不良は、外観や装着感に違和感を生じさせる。
本発明は、転写時の操作性を低下させることなく密着性を向上できる転写用フィルム、転写用積層体、及びその転写方法を提供することを目的とする。

本発明の一態様に係る転写用フィルムは、厚さが５０ｎｍ以上３０００ｎｍ以下である転写用フィルムであって、突刺し試験における破断時押込み量が０.６ｍｍ以上であり、突刺し試験における０.４ｍｍ押込み時の荷重が２０ｍＮ以上２５０ｍＮ以下である。
本発明の他の態様に係る転写用積層体は、転写用フィルムと、転写用フィルムの少なくとも一方の面に積層された基材層と、を備え、基材層は、一部又は全部が、吸液性フィルム、織物、編物、不織布、及び紙の何れかで構成されている。
本発明の他の態様に係る転写用積層体の転写方法は、転写用積層体を転写用フィルム側が被転写体と対向するように被転写体上に配置する配置工程と、基材層に液状体を吸液させる吸液工程と、転写用積層体の基材層側を押圧して、転写用フィルムを被転写体に転写する転写工程と、を含む。

本発明によれば、転写時の操作性を低下させることなく密着性を向上できる。

転写用積層体を示す断面図である。 突刺し試験の概略図である。 保護層を設けた転写用積層体を示す断面図である。

次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。

（転写用積層体）
図１に示す本実施形態の転写用積層体１は、転写層１１と、基材層１２と、が積層されてなる構造を有する。以下、転写用積層体１を構成する各層について詳細に説明する。
（転写層）
転写層１１（転写用フィルム）は、基材層１２の一方の面上に形成される。転写層１１は、被転写体上に配置し（配置工程）、基材層１２に液状体を吸液させ（吸液工程）、転写用積層体１の基材層１２側を押圧することにより被転写体に転写される（転写工程）。
転写層１１の厚さは、追従性や吸液時の浸透性等から５０ｎｍ以上３０００ｎｍ（３μｍ）以下である。５０ｎｍ未満では、破れやすく作製や取扱いが困難となり、３０００ｎｍ以上では被転写体への追従性が低下する恐れがある。なお、転写層１１の厚さが、１００ｎｍ以上５００ｎｍ以下であることがより好ましく、１２０ｎｍ以上２００ｎｍ以下であることが更に好ましい。

転写層１１の厚さは、直接膜厚計等で測定してもよく、単位面積当たりの重量から平均厚さを換算してもよい。凹凸や厚さの勾配がある場合には、単位面積当たりの重量から密度より換算した平均厚さを採用する。転写層１１の重量は、例えば１００ｃｍ^２程度の面積形状に切り出した検体から測定できる。転写層１１の重量は、例えば転写層１１を構成する材料の密度が１ｇ／ｃｍ^３以上１.５ｇ／ｃｍ^３以下であれば、０.０５ｇ／ｍ^２以上４.５ｇ／ｍ^２以下であると好ましい。

突刺し試験における転写層１１の破断時押込み量は、０.６ｍｍ以上である。転写層１１の破断時押込み量が０.６ｍｍ未満の場合、転写層１１は変形しにくく、被転写体への追従性が低下し密着性が得られにくい。また、使用時に破れやすくなり操作性が低下する。なお、転写層１１の破断時押込み量は０.８ｍｍ以上であることがより好ましい。転写層１１の押込み量の上限は特に設けられないが、過度に高い場合は転写層１１の膜強度が低くなるため、２ｍｍ以下程度であることが好ましい。

突刺し試験における転写層１１の０.４ｍｍ押込み時の荷重は２０ｍＮ以上２５０ｍＮ以下である。転写層１１の０.４ｍｍ押込み時の荷重が２０ｍＮ未満の場合、転写層１１は破れやすくなり、操作性が低下する。転写層１１の０.４ｍｍ押込み時の荷重が２５０ｍＮ超過の場合、転写層１１は変形しにくくなり、被転写体への追従性が低下し密着性が得られにくい。なお、転写層１１の０.４ｍｍ押込み時の荷重は、４０ｍＮ以上１２０ｍＮ以下であることがより好ましい。

突刺し試験における転写層１１の破断時荷重は、２５ｍＮ以上８００ｍＮ以下である。転写層１１の破断時荷重が２５ｍＮ未満の場合、転写層１１は外部より力が加わった際に破れやすくなり、操作性が低下する。転写層１１の破断時荷重が８００ｍＮ超過の場合、転写層１１は変形しにくくなり、被転写体への追従性が低下し密着性が得られにくい。なお、転写層１１の破断時荷重は、４０ｍＮ以上４００ｍＮ以下であることがより好ましい。

本発明における突刺し試験は、下記の方法で実施し、破断時押込み量、０.４ｍｍ押込み時の荷重、破断時押込み量を測定する。図２に示すように、所定の形状（例えば２ｃｍ×２ｃｍ）の転写層１１の試験片を、ジグを用いて転写層１１の試験部１０２が、直径６ｍｍの円形状で単独に存在するように固定部１０１で固定する。ジグは試験時に転写層１１が滑らないように保持でき、またジグ自体は試験時に変形しないものとする。固定した試験片は、ＪＩＳ Ｋ ７１００に規定される標準温湿度状態２級（温度２３±２℃、相対湿度（５０±１０）％）において、試験片を１６時間以上状態調節したのち、状態調節と同じ環境で試験を行う。

試験は直径３ｍｍの円柱形上の圧子を試験速度１０±１ｍｍ／ｍｉｎで、転写層１１が単独に存在する円形状の試験部１０２の中心突刺し部１０３に試験部１０２と同心円となるように突刺し、圧子が貫通するまでの荷重を測定する。試験に使用する圧縮試験機にはＪＩＳ Ｂ ７７２１の０.５級に適合する試験機（例えば島津製作所社製のＥＺＴｅｓｔシリーズ）を使用する。試験片の数は５個以上としその平均値を算出する。
本発明における突刺し試験の押込み量は、圧子が転写層１１に触れた位置からの圧子の移動量を指す。転写層１１の破断時荷重は、突刺し試験により転写層１１を圧子が貫通又は破れた際の荷重の最大値を指す。また転写層１１の破断時押込み量は、荷重が破断時に最大となるときの押込み量を指す。

転写層１１の破断時荷重、破断時押込み量、及び０.４ｍｍ押込み時荷重は、転写層１１を形成する材料の種類や分子量、転写層１１の厚さ等により調整できる。
転写層１１を構成する材料は特に限定されない。転写層１１の材料としては、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリ（メタ）アクリル酸、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリシロキサン、及びこれらの変性体や共重合体、セルロース、ヒアルロン酸、キトサン、等の多糖類、カゼイン、フィブロイン等のたんぱく質、及びこれらの変性体や共重合体等が使用できる。これら材料は一種単独又は、二種以上を組み合わせて用いることができる。

転写層１１を形成する材料の分子構造により、破断時荷重、破断時押込み量、及び０.４ｍｍ押込み時荷重を調整することが可能となる。
単結合やエーテル結合、エステル結合等を主鎖に含む材料を使用すると、屈曲性が増すため分子が延伸しやすくなり、転写層１１も伸びやすくなり、破断時押込み量が大きくすることが可能となる。単結合やエーテル結合、エステル結合等を主鎖に含む材料としては、鎖状ポリオレフィン、ポリエステル、多糖類等があげられる。

また、環構造や不飽和結合等を主鎖に含む材料を使用すると、転写層１１が剛直になり破断時荷重が大きくすることが可能となる。環構造や不飽和結合等を主鎖に含む材料の例としては、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシクロオレフィン、多糖類等があげられる。
また、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド結合、ウレタン結合等の様に分子間で水素結合等の相互作用しやすい官能基を含む材料を使用すると、強度が高くなり破断時荷重や破断時押込み量は大きくなる。分子間で相互作用しやすい官能基を含む材料としては、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリウレタン、多糖類等が挙げられる。

さらに、分子量は高くなると転写層１１が延伸に強くなり、破断時押込み量や破断時荷重は大きくなる。材料の種類にもよるが、重量平均分子量が８万以上５０万以下であることが好ましい。前述のように、転写層１１の厚さは薄い程、被転写体に追従しやすくなり密着性は向上するが、破れやすくなり操作性も低下する。一方、転写層１１の厚さが熱くなると、膜強度は得られやすく破れにくくなるが、被転写体への追従性が低下する密着性が得られなくなる恐れがある。これらの調整は転写層１１の密着性や使用時の操作性、作成条件等により適宜選択することができる。

転写層１１は、皮膚や臓器等、被転写体上で所定の機能を発揮する機能性物質を含有していてもよい。機能性物質としては、例えば光学特性を調整するための色素や高屈折率材料、低屈折率材料、光吸収剤や濡れ性を調整するための改質剤や導電性材料、保湿クリーム、美容液等のスキンケアに用いられる化粧料あるいは化粧料成分、色素、薬剤、及び酵素等が挙げられる。機能性物質は一種単独又は、二種以上を組み合わせて用いることができる。
転写層１１は、単一の層からなる単層構造でもよく、二層以上の層からなる複層構造でもよい。

（基材層）
基材層１２は、転写層１１に一方の面で接触するように形成され、転写用積層体１の製造や流通、使用の際に転写層１１の被転写体以外との接触による傷や破れを防止する役割を果たす。また、転写層１１の転写時には転写用積層体１の持ち手としての役割を持つ。また転写層１１を被転写体に転写する際には、基材層１２は転写層１１から剥離される。
基材層１２は、吸液性を有する。吸液の対象となる液状体は、転写層１１を被転写体に転写する際に転写用積層体１に供給される。液状体は、基材層１２に浸透する流体であれば、特に限定されない。液状体は、例えば水、アルコール、及びオイルの少なくとも１つを含有する。被転写体が生体の皮膚である場合、液状体は、例えば水、アルコール類、化粧水、乳液、化粧用のクリーム類、軟膏、オイル、ローション、及びこれらの混合物から、転写層１１の用途等に応じて適宜選択される。

基材層１２の材料は特に限定されず、吸液性を有する基材層１２を構成可能な材料を適宜選択して用いればよい。基材層１２における吸液性の的確な発現のためには、基材層１２は、その少なくとも一部が、吸液性フィルム、織物、編物、不織布、及び紙の何れかで構成されていることが好ましい。
上述の吸液性フィルムの材料としては、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリシロキサン類、セルロース、カゼイン等の各種のたんぱく質、ゴム、これらの高分子化合物の変性体や共重合体や混合物が挙げられる。吸液性フィルムは、エンボス加工、穴あけ加工、発泡等による多孔質化等の加工が施されたフィルムであってもよい。

また、織物、編物、不織布を構成する繊維としては、例えば綿、麻、絹、毛等の天然繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアクリル酸等の合成繊維等が挙げられる。基材層１２は、一種類の繊維から構成されていてもよいし、二種類以上の繊維から構成されていてもよい。
基材層１２の目付けは、３ｇ／ｍ^２以上２００ｇ／ｍ^２以下である。この範囲であれば適度に水分を吸収し、また転写層１１と剥離しやすくなる。基材層１２の目付けが３ｇ／ｍ^２未満の場合、基材層１２が破断しやすく取扱が困難となり、２００ｇ／ｍ^２超過の場合、過剰の吸液が必要となる。なお、基材層１２の目付けは、１０ｇ／ｍ^２以上１００ｇ／ｍ^２以下であることがより好ましい。

（保護層）
また、図３に示す転写用積層体２のように、転写層１１の基材層１２とは反対の面に保護層１３を備えてもよい。
保護層１３は、転写用積層体２のように構成することで、転写層１１の保護層１３側の面の、被転写体以外との接触による傷や破れの発生を防止することができる。保護層１３としては、多孔質基材、内部に間隙を有さない樹脂シートや金属箔等を使用できる。多孔質基材としては、基材層１２で例示した材料が使用できる。樹脂シートとしては、例えばポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ（メタ）アクリル酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、及びこれらの共重合体等の延伸又は未延伸フィルム等が使用できる。金属箔の材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金、ステンレス鋼、無酸素銅、タフピッチ銅、りん脱酸銅、黄銅、りん青銅、電解銅、ニッケル、鉄ニッケル合金、チタン等が使用できる。保護層１３は単一の層から構成されてもよく、二層以上の複数層から構成されてもよい。
転写用積層体２は被転写体へ転写する際に、被転写体へ配置する前に保護層１３を転写層１１から剥離して使用する。

（転写用積層体の製造方法）
以下、上述の転写用積層体１の製造方法について説明する。
転写用積層体１の製造方法としては、例えば下記工程（１−１）〜（１−２）の方法が挙げられる。
（１−１）成膜用基材の表面上に転写層１１を形成する工程。
（１−２）成膜用基材上に形成した転写層１１を基材層１２に転写する工程。
工程（１−１）
薄膜の形成方法としては、一般に、溶融押出法と溶液キャスト法とが知られている。溶融押出法は、溶融させた材料をインフレーション法やＴダイ押出法等で押し出して薄膜化する。溶液キャスト法は、材料を溶かした塗工液を薄膜状に成形した後に溶液を蒸発させる。
本発明においては、成膜用基材上に転写層１１の材料を溶解させた溶液を塗工し、溶剤を乾燥させることで転写層１１を形成する。成膜用基材としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等から構成された樹脂シートが用いられる。水や溶剤により離型、溶解する材料からなる樹脂シートを用いてもよい。転写層１１の塗工方法は特に限定されず、例えばグラビアコート、リバースグラビアコート、ロールコート、リバースロールコート、ダイコート、バーコート、キスコート、コンマコート、カーテンコート、スピンコート、スプレーコート等が挙げられる。

工程（１−２）
成膜用基材上の転写層１１の成膜用基材とは反対の面に基材層１２を配置し、成膜用基材から基材層１２へ転写層１１を転写させる。転写方法としては、吸引による剥離を利用する方法や犠牲膜を利用する方法等、公知の転写方法が用いられる。
以上の工程（１−１）〜（１−２）により、転写用積層体１が得られる。なお、転写用積層体１の製造方法は、工程（１−１）〜（１−２）を順次実施する方法に限定されない。例えば必要に応じて、型抜き等の方法により、転写用積層体１の外形が所望の形状に整えてもよい。工程（１−２）の後、転写層１１の基材層１２とは反対の面に保護層１３を積層してもよい。

（転写層の被転写体への転写方法）
以下、転写層１１の被転写体への転写方法について説明する。
転写層１１の転写法方としては、例えば下記工程（２−１）〜（２−３）の方法が挙げられる。
（２−１）被転写体における転写層１１の転写箇所に、液状体を供給する工程。
（２−２）転写層１１側が被転写体と対向するように被転写体上に転写用積層体１を配置する工程。
（２−３）転写層１１から基材層１２を剥離する工程。

工程（２−１）
被転写体における転写層１１の転写箇所に、液状体を供給する。供給する液状体は基材層１２が吸収すれば良く、水、化粧水、マッサージオイル、クリーム等を用途に合わせて使用すればよい。
工程（２−２）
転写層１１側が被転写体と対向するように被転写体上に転写用積層体１を配置する。転写用積層体１を基材層１２側から押圧することにより、転写層１１を被転写体に転写できる。
工程（２−３）
転写層１１から基材層１２を剥離する。本発明の転写用積層体ならば、容易に転写層１１から基材層１２を剥離することができる。剥離は基材層１２の外周部からでもよく、切込１２１から行ってもよい。

以上の工程（２−１）〜（２−３）により、転写層１１を被転写体へ転写できる。なお、転写層１１の被転写体への転写方法は、工程（２−１）〜（２−３）を順次実施する方法に限定されない。例えば工程（２−１）の替わりに工程（２−２）の押圧前に、転写用積層体１の基材層１２側から液状体を供給してもよい。

以下、実施例によって本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
（使用材料）
実施例及び比較例に使用した材料を示す。
（転写層１１）
転写用材料Ａ−１：ポリ−ＤＬ−乳酸（武蔵野化学研究所製、重量平均分子量１０万）
転写用材料Ａ−２：ポリ−ＤＬ−乳酸（武蔵野化学研究所製、重量平均分子量３５万）
転写用材料Ａ−３：セルロースアセテートプロピオネート（イーストマンケミカル製、数平均分子量７.５万）
転写用材料Ａ−４：ポリビニルアルコール（三菱ケミカル製、重量平均分子量１０万）
（基材層１２）
基材Ｂ−１：パルプ系不織布
（転写用積層体１の作製）
成膜用基材ポリプロピレンフィルム上に、転写用材料Ａ−１〜Ａ−４を各樹脂が溶解するように溶媒を選択して調製した溶液をグラビアコートにて塗工し転写層１１が所定の厚さとなるように、転写層１１を形成した。次いで、転写層１１に、基材層として基材Ｂ−１を積層し、成膜用基材を剥離して転写用積層体１を作製した。

（評価方法）
以下の方法によって評価を行った。評価結果を表２に示す。
（操作性の評価）
実施例１〜１１、及び比較例１〜４について、被転写体であるヒトの皮膚に、供給液として吸水量分の水を２５０μＬ供給し、水を指で軽く引き伸ばした。その後、転写用積層体を、転写層と皮膚が対向するように、皮膚上に配置した（配置工程）。このとき、転写層を介して基材層に水が吸液される（吸液工程）。次いで、各実施例及び比較例について転写用積層体を基材層側から、３Ｎの荷重で３秒間押圧した後、基材層を角部から指で支持しながら転写層から剥離し、皮膚上に転写層を転写した（転写工程）。基材層の剥離後、皮膚上の転写層を目視によって観察した。評価は以下の基準に従って行い、評価Ｃを不適とした。
「Ａ」：検体５個中、転写の行程中において転写層の破れや皺、縒れが生じた検体が０個。
「Ｂ」：検体５個中、転写の行程中において転写層の破れや皺、縒れが生じた検体が１個又は２個。
「Ｃ」：検体５個中、転写の行程中において転写層の破れや皺、縒れが生じた検体が３個以上、又は皮膚に転写しなかった検体が１個以上。

（密着性の評価）
実施例１〜１１、及び比較例１〜４について、操作性の評価と同様に皮膚に転写層を転写した。転写後５分経過後に、転写層を指で触り密着状態を評価した。評価は以下の基準に従って行い、評価Ｃを不適とした。
「Ａ」：検体５個中、指で触り皮膚からの剥離や皮膚上で移動が生じた検体が０個。
「Ｂ」：検体５個中、指で触り皮膚からの剥離や皮膚上で移動が生じた検体が１個または２個。
「Ｃ」：検体５個中、指で触り皮膚からの剥離や皮膚上で移動が生じた検体が３個以上。

表２に示すように、実施例１〜１１では使用時の破れや転写時の操作性を低下させることなく、密着性を向上させることができた。一方、比較例１及び３では転写時に破れや皺が生じた。比較例２及び４では密着性が不十分であった。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。

１…転写用積層体、２…転写用積層体、１１…転写層、１２…基材層、１３…保護層、１０１…固定部、１０２…試験部、１０３…突刺し部

Claims (7)

1. 厚さが５０ｎｍ以上３０００ｎｍ以下である転写用フィルムであって、
   突刺し試験における破断時押込み量が０.６ｍｍ以上であり、前記突刺し試験における０.４ｍｍ押込み時の荷重が２０ｍＮ以上２５０ｍＮ以下であることを特徴とする転写用フィルム。
2. 前記突刺し試験における破断時荷重が２５ｍＮ以上８００ｍＮ以下であることを特徴とする請求項１に記載の転写用フィルム。
3. エーテル結合又はエステル結合を主鎖に有する材料が使用されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の転写用フィルム。
4. 環構造を主鎖に有する材料が使用されていることを特徴とする請求項１〜３の何れか一項に記載の転写用フィルム。
5. ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド結合、及びウレタン結合のうち、少なくとも一つを有する材料が使用されていることを特徴とする請求項１〜４の何れか一項に記載の転写用フィルム。
6. 請求項１〜５の何れか一項に記載の転写用フィルムと、
   前記転写用フィルムの少なくとも一方の面に積層された基材層と、を備え、
   前記基材層は、一部又は全部が、吸液性フィルム、織物、編物、不織布、及び紙の何れかで構成されていることを特徴とする転写用積層体。
7. 請求項６に記載の転写用積層体を、前記転写用フィルム側が被転写体と対向するように前記被転写体上に配置する配置工程と、
   前記基材層に液状体を吸液させる吸液工程と、
   前記転写用積層体の前記基材層側を押圧して、前記転写用フィルムを前記被転写体に転写する転写工程と、を含むことを特徴とする転写用積層体の転写方法。
   

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