JP2021083368A - 卵黄様加工食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本物の生卵黄のような、非常にくちどけの良い卵黄様加工食品及びこれを用いた食品を提供する。【解決手段】0〜15℃でゲル状であり、40℃で全体が液状となる卵黄様加工食品において、前記卵黄様加工食品の40℃のときの粘度が30Pa・s以下かつ、付着性が40g・sec以下であることを特徴とする卵黄様加工食品及びこれを用いた食品。【選択図】なし

Description

本発明は、品温0〜15℃ではゲル状であり、電子レンジなどで温めた熱々の状態ばかりでなく、少し冷めた状態であっても全体が液状となる卵黄様加工食品であって、加熱喫食時に口中にまとわりつかず、くちどけの良い物性であることを特徴とする卵黄様加工食品及びこれを用いた食品に関する。
近年、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等では様々な種類の弁当や惣菜が販売されているが、中でも生卵黄のような形状をした卵黄様加工食品がトッピングされた弁当は特に見栄えが良く、人気である。
従来の卵黄様加工食品としては、例えば、チルド温度帯では平板上に割卵した生卵黄に酷似した扁平球形状の外観を有し、且つゲル状であり、喫食する際に電子レンジ等により温めると流動性を有するソースとなる生卵黄様冷凍ボールであって、冷凍保存後チルド温度帯で解凍した際に生じる離水が抑制された生卵黄様冷凍ボール(特許文献1)が用いられていた。
しかしながら、従来の卵黄様加工食品では、加熱直後の熱々の状態から少し冷めた状態になると、さっと口中に溶け広がるような、くちどけのよいソースとは言い難いものであった。
特開2012−44903号公報
そこで、本発明の目的は、品温0〜15℃ではゲル状であり、電子レンジ等で温めた直後の熱々の状態ばかりでなく、少し冷めた状態であっても全体が液状となる卵黄様加工食品であって、喫食時に口中にまとわりつかず、くちどけの良い物性であることを特徴とする卵黄様加工食品及びこれを用いた食品を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、品温0〜15℃でゲル状であり、少し冷めた40℃であっても全体が液状となる卵黄様加工食品であって、品温40℃のときの粘度や付着性をコントロールする、あるいは、卵黄量やゲル化剤等の種類及び含有量を調整することで、本物の生卵黄のような、非常にくちどけの良い卵黄様加工食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)0〜15℃でゲル状であり、40℃で全体が液状となる卵黄様加工食品であって、前記卵黄様加工食品の40℃のときの粘度が30Pa・s以下かつ、付着性が40g・sec以下である、ことを特徴とする卵黄様加工食品、
(2)卵黄を生換算で1〜20%、加工澱粉を1〜10%、ゼラチン及び増粘多糖類(澱粉は除く)を含有し、前記ゼラチンと増粘多糖類の合計量が1〜4%であり、前記ゼラチンと増粘多糖類の合計量に対するゼラチンの割合が75%以上であることを特徴とする、(1)記載の卵黄様加工食品、
(3)前記加工澱粉のうち、少なくとも1つはヒドロキシプロピル澱粉であることを特徴とする、(2)に記載の卵黄様加工食品、
(4)(1)乃至(3)に記載の卵黄様加工食品を用いた食品
である。
本発明によれば、今までにない本物の生卵黄のような外観と食感を楽しめる卵黄様加工食品を作ることが出来るため、卵加工食品市場の更なる拡大が期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。また、特にことわりのない限り、「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。
<本発明の特徴>
本発明は、品温0〜15℃ではゲル状であり、40℃で全体が液状となる卵黄様加工食品であって、品温40℃のときの粘度が30Pa・s以下かつ、付着性を40g・sec以下にすることで、本物の生卵黄のような、非常にくちどけの良い卵黄様加工食品が得られることを特徴とする。
<卵黄様加工食品>
本発明の卵黄様加工食品は、品温0〜15℃ではゲル状であり、喫食する際に電子レンジ等で40℃以上に加熱すると全体が流動性を有する液状又はペースト状になるものである。
ゲル状のときの形状は限定されないが、好ましくは、平板上に割卵した生卵黄に酷似した扁平球形状であると良い。また、成形手段も特に限定するものではなく、例えば、半球状の型や略楕円球状等の型を用いて成型すれば良い。
また、本発明の卵黄様加工食品を用いる食品は特に限定しないが、例えば、親子丼、ビビンバ丼、カルボナーラパスタ、つくね等、卵黄がトッピングされる食品に用いると好適である。
<粘度>
本発明の卵黄様加工食品の粘度は、くちどけが良くなることから、40℃のとき30Pa・s以下であり、25Pa・s以下であると良く、20Pa・s以下であるとより良い。下限は特に限定しないが、より生卵黄らしい物性になることから、2Pa・s以上であると良く、3Pa・s以上であるとより良い。
粘度の測定方法は、VISCOMETER BH型粘度計(TOKIMEC社製)を用い、品温:40℃、ローター:No.4、回転数:4rpmの条件で測定し、3回転後の示度により算出する。
<付着性>
本発明の卵黄様加工食品の付着性とは、液状の卵黄様加工食品を喫食した際の、口中での広がりやすさ、くちどけの良さを表したものであり、その範囲は40g・sec以下であり、5〜38g・secであると良く、10〜30g・secであるとより良い。
付着性の測定方法は、Texture Analyzer TA.XT. plus(Stable Micro System社製)、プランジャー:P20mmを用いる。卵黄様加工食品のサンプル(品温40℃)は、直径40mm、高さ15mmの容器に14g入れ、ステージから3mmの高さまでプランジャーを下降させる。その後、プランジャーを上昇させ、サンプルがプランジャーを下方に引く力を測定し、付着性を算出する。なお、プランジャーを下降させる速度は5mm/secであり、プランジャーを上昇させる速度は1mm/secに設定する。
<卵黄>
本発明の卵黄様加工食品に用いる卵黄は、食用として用いられるものであればいずれのものでも良く、例えば、殻付卵を割卵し、卵黄と卵白を分離して得られる液卵黄をはじめ、当該液卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼ又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施した液卵黄等が挙げられる。
さらに、本発明の卵黄は、全卵に由来するものも含まれ、全卵は殻付卵を割卵して得られる液全卵、あるいは液卵黄と液卵白とを任意の割合で混合したもの、これらに上記処理を施したもの等が挙げられる。
<卵黄の含有量>
本発明の卵黄様加工食品中の卵黄の含有量は、生換算で1〜20%であると良く、2〜15%であるとより良い。前述の範囲であると、卵の風味やくちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすくなる。
なお、全卵を用いた場合は、一般的に全卵中に含まれる卵黄と卵白の比率は1:2であることから、液全卵の配合量を1/3にした量を卵黄の含有量とする。
<加工澱粉>
本発明の卵黄様加工食品に用いる加工澱粉は、未加工澱粉に物理的、酵素的、及び化学的な加工を加えたものをいう。例えば、ヒドロキシプロピル澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、アセチル化アジビン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、リン酸化澱粉等が挙げられ、さらにこれらを複数組み合わせて使用しても良い。
特に、くちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすいことから、加工澱粉のうち少なくとも1種類はヒドロキシプロピル澱粉を用いると良い。
また、加工澱粉の配合量は、卵黄様加工食品中に1〜10%が良く、2〜8%であるとより良く、更に3〜6%であると良い。前述の範囲であるとくちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすい。
<ヒドロキシプロピル澱粉の含有量>
前述の加工澱粉にヒドロキシプロピル澱粉を含む場合、ヒドロキシプロピル澱粉の含有量は加工澱粉全体の5%以上に調整すると良く、10〜70%であるとより良い。前述の範囲にすることでくちどけのよい卵黄様加工食品が得られやすい。
<ゼラチン>
本発明の卵黄様加工食品に用いるゼラチンは、アルカリ処理や酸処理等の処理方法や、豚、魚等の原料の由来によって各種のものがあるが、いずれの処理方法、原料由来であっても構わない。
ゼラチンの配合量は卵黄様加工食品中に1〜3.8%であると良く、2〜3.5%であるとより良い。前述の範囲であるとくちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすい。
<増粘多糖類>
本発明の卵黄様加工食品に用いる増粘多糖類は、前述の加工澱粉及びゼラチンを除いたものであれば、特に種類は限定しない。
例えば、キサンタンガム、カラギナン、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、タラガム、寒天、マンナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、セルロース、アラビノガラクタン、プルラン等が挙げられ、さらにこれらを複数組み合わせて使用しても良い。
特に、くちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすいことから、増粘多糖類のうち少なくとも1種類はキサンタンガムを用いると良い。
また、増粘多糖類の含有量は、卵黄様加工食品中に0.05〜1%が良く、0.1〜0.7%であるとより良い。前述の範囲であるとくちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすい。
<キサンタンガムの含有量>
さらにキサンタンガムの含有量は増粘多糖類全体の5%以上に調整すると良く、30%以上であるとより良い。
<ゼラチンと増粘多糖類の合計量>
本発明の卵黄様加工食品に用いられるゼラチンと増粘多糖類は、その合計量を1〜4%に調整すると良く、2〜3.5%にするとより良い。前述の範囲に調整することで、くちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすい。
<ゼラチンと増粘多糖類の合計量に対するゼラチンの割合>
本発明の卵黄様加工食品のゼラチンと増粘多糖類の合計量に対するゼラチンの割合は、75%以上に調整すると良く、75〜99%であるとより良く、さらに79〜97%であるとよい。前述の範囲内であるとくちどけの良い卵黄様加工食品が得られやすい。
<その他の原料>
本発明の卵黄様加工食品は、前記記載の原料以外に、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し配合することができる。
例えば、還元水あめ、ソルビトール、マルチトール等の糖アルコール類、とうもろこし澱粉、湿熱処理澱粉等、加工澱粉以外の澱粉類、デキストリン、ブドウ糖果糖液糖、ショ糖、オリゴ糖、スクラロース等の糖質類、大豆油、菜種油、コーン油、パーム油、卵黄油、MCT等の食用油脂類、酵素的処理等を施して得られる油脂等グルタミン酸ナトリウム、アミノ酸等の旨味調味料、魚、野菜等を使用した出汁又はエキス類、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、乳酸等の有機酸及びその塩、リン酸等の無機酸及びその塩、色素、香料、pH調整剤が挙げられる。
<製造方法>
本発明の卵黄様加工食品の製造方法は、常法に則り製造すれば良く、例えば、以下のように製造することができる。
液卵黄、デキストリン、還元水あめ、食用油脂、加工澱粉、ゼラチン、増粘多糖類を二重釜に投入し、80℃に達温するまで加熱攪拌を行ない、半球状の耐熱性容器に充填密封後、−18℃の冷凍庫で凍結させて本発明の卵黄様加工食品を製造することができる。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[実施例1]
表1に記載の配合に従って、全ての原料を二重釜に投入し、80℃達温まで加熱攪拌を行った。次に、半球状の耐熱性プラスチック容器に充填密封後、
−18℃の冷凍庫で凍結させ、本発明の卵黄様加工食品を得た。
[試験例1]
配合の違いによる卵黄様加工食品の粘度と付着性への影響を調べた。
具体的には、表1の配合に置き換えた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2〜11及び、比較例1〜3の卵黄様加工食品を製した。
そして、得られた実施例1〜11及び比較例1〜3の卵黄様加工食品を半球状のプラスチック容器からトレイに移しラップフィルムで覆い、4℃の冷蔵庫で解凍した。このときいずれの卵黄様加工食品も、ゲル状であり、割卵した生卵黄に酷似した扁平球形状の外観を有していた。
なお、実施例1〜11及び比較例1〜3の卵黄様加工食品を15℃の恒温器でも解凍し、状態を確認したところ、いずれもゲル状を維持していた。
次に、4℃の冷蔵庫で解凍した卵黄様加工食品をナイロンポリ袋に入れ、40℃の恒温水槽で加熱し、ソース状にした後、40℃のときの卵黄様加工食品の粘度と付着性を測定した。併せて、ソースの一部を試食し、くちどけの官能評価も行った。
結果は表1に示す。
<官能評価方法>
訓練されたパネラー5名により、実施例1〜11及び比較例1〜3の卵黄様加工食品を以下の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
◎:本物の生卵黄のように、適度に口中に残りながら、くちどけも大変良かった。
〇:口中に残りながら、くちどけも良かった。
△:若干口中に残りにくかった、または、若干くちどけが良くなかったが、問題のない範囲であった。
×:口中にまとわりつき、非常にくちどけが悪かった。
[表1]
Figure 2021083368
<結果>
表1より、40℃のときの粘度が30Pa・s以下であり、付着性が40g・sec以下であると、くちどけの良い卵黄様加工食品が得られ(実施例1〜11)、特に粘度が3〜20Pa・sであり、付着性が10〜30g・secであると(実施例1〜3、6、8、10〜11)、本物の生卵黄に非常に近い物性の卵黄様加工食品が得られることがわかる。

Claims (4)

  1. 0〜15℃でゲル状であり、40℃で全体が液状となる卵黄様加工食品であって、
    前記卵黄様加工食品の40℃のときの粘度が30Pa・s以下かつ、
    付着性が40g・sec以下である、
    ことを特徴とする卵黄様加工食品
  2. 卵黄を生換算で1〜20%、
    加工澱粉を1〜10%、
    ゼラチン及び増粘多糖類(澱粉は除く)を含有し、
    前記ゼラチンと増粘多糖類の合計量が1〜4%であり、
    前記ゼラチンと増粘多糖類の合計量に対するゼラチンの割合が75%以上であることを特徴とする、
    請求項1記載の卵黄様加工食品
  3. 前記加工澱粉のうち、少なくとも1つはヒドロキシプロピル澱粉であることを
    特徴とする、
    請求項2に記載の卵黄様加工食品
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の卵黄様加工食品を用いた食品
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中村良, シリーズ<食品の科学>卵の科学, JPN6020010708, 25 January 1998 (1998-01-25), ISSN: 0004236698 *

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