JP2021082836A - 絶縁銅線および電気コイル - Google Patents
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Description
このような構成されている本発明の電気コイルは、上述の絶縁銅線を巻回して形成したものであり、コイル状に巻回する際に、銅線と絶縁皮膜とが剥離しにくいので、絶縁皮膜の浮きやシワが発生しにくい。
図1は、本発明の一実施形態である絶縁銅線の横断面図である。図2は、図1に示す絶縁銅線の絶縁皮膜を引き剥した状態を示す横断面図である。
平角銅線11は、断面が矩形であって、短辺で形成されたエッジ面と長辺で形成されたフラット面とを有する。平角銅線11の材料としては、銅および銅合金を用いることができる。銅および銅合金としては特に制限はなく、従来の絶縁銅線で用いられているものを使用することができる。平角銅線11の表面には、酸素を10原子%以上含有する酸素含有層13が形成されている。酸素含有層13の酸素は、主としてCuOあるいはCu2Oとして含有されている。
本実施形態の絶縁銅線10は、例えば、平角銅線11の表面にポリアミドイミド膜を形成するポリアミドイミド膜形成工程と、加熱により、ポリアミドイミド膜を平角銅線11に焼き付けて絶縁銅線を得る絶縁銅線作製工程と、絶縁銅線10を加熱処理する加熱処理工程とを含む方法により製造することができる。
例えば、本実施形態の絶縁銅線10においては、銅線として平角銅線11を用いているが、銅線の種類はこれに限定されるものではない。銅線として、断面が円状の丸銅線を用いてもよい。また、絶縁皮膜12の材料としてポリアミドイミドを用いているが、絶縁皮膜12の材料はこれに限定されるものではない。絶縁皮膜12の材料は、銅原子と結合できるアミド結合を有する高分子材料であればよい。
(1)ポリアミドイミド膜付き平角銅線の作製
銅線として、短辺の長さが1.5mmであって、長辺の長さが6.5mmの平角銅線を用意した。
ポリアミドイミド粒子を2質量%含有する電着液に、上記の平角銅線と電極とを浸漬し、平角銅線を正極とし、電極を負極として直流電圧を印加して、平角銅線の表面に、加熱によって生成する絶縁皮膜の厚さが40μmとなるようにPAI粒子を電着させて、ポリアミドイミド膜を形成した。
上記(1)で得られたポリアミドイミド膜付き平角銅線を、焼付炉(電気炉)に投入し、300℃で5分間加熱して、ポリアミドイミド膜を平角銅線に焼き付けて絶縁銅線を作製した。その後、焼付炉の炉内温度を2℃/分の降温速度で降下させながら、40分間加熱処理を行った後に、絶縁銅線を焼付炉から取り出して、室温まで放冷した。
前記(2)の絶縁銅線の作製において、ポリアミドイミド膜付き平角銅線を300℃で5分間加熱して作製した絶縁銅線を、焼付炉の炉内温度を3℃/分の降温速度で降下させながら、25分間加熱処理を行った後に、絶縁銅線を焼付炉から取り出して、室温まで放冷したこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁銅線を得た。
前記(2)の絶縁銅線の作製において、ポリアミドイミド膜付き平角銅線を300℃で5分間加熱して作製した絶縁銅線を、250℃に保持された電気炉に移して、その電気炉内で10分間保持し、次いで、200℃に保持された電気炉に移して、その電気炉内で10分間保持した後、絶縁銅線を電気炉から取り出して、室温まで放冷したこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁銅線を得た。
前記(2)の絶縁銅線の作製において、ポリアミドイミド膜付き平角銅線を300℃で5分間加熱して作製した絶縁銅線を、直ちに焼付炉から取り出して、室温まで放冷したこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁銅線を得た。
前記(2)の絶縁銅線の作製において、ポリアミドイミド膜付き平角銅線を300℃で5分間加熱して作製した絶縁銅線を、焼付炉の炉内温度を2℃/分の降温速度で降下させながら、120分間加熱処理を行った後に、絶縁銅線を焼付炉から取り出して、室温まで放冷したこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁銅線を得た。
前記(2)の絶縁銅線の作製において、ポリアミドイミド膜付き平角銅線を300℃で5分間加熱して作製した絶縁銅線を、250℃に保持された電気炉に移して、その電気炉内で20分間保持し、次いで、200℃に保持された電気炉に移して、その電気炉内で30分間保持した後、絶縁銅線を電気炉から取り出して、室温まで放冷したこと以外は、本発明例1と同様にして絶縁銅線を得た。
本発明例1〜3および比較例1〜3で得られた絶縁銅線について、JIS C5012:1993(プリント配線板試験方法)に準拠して、絶縁皮膜を引き剥がして剥離面を形成した。そして、絶縁銅線の剥離面に対して、CuC2N2 −イオンの二次イオン強度とCuO−イオンとCu2O−イオンの合計二次イオン強度との比(CuC2N2 −/CuxO−比)、および酸素含有層の膜厚を、下記の方法により測定した。また、絶縁銅線の剥離面が形成されていない部分について、コイル状に巻回したときの密着性を、下記の方法により評価した。これらの結果を、下記の表1に示す。
なお、表1における熱処理条件には、上記絶縁銅線作製工程および加熱処理工程における熱処理の条件を合わせて記載した。
剥離面に対して、飛行時間型二次イオン質量分析装置(PHI nanoTOFII、UlVAC−PHI社製)を用い、一次イオンをBi3 +(30kV)、分析エリアを50μmの測定条件にて、負のフラグメントイオンを検出した。検出された負のフラグメントイオンのうち、m/z=78.9のピークをCuO−イオン、m/z=114.9のピークをCuC2N2 −イオン、m/z=141.8のピークをCu2O−イオンとして、その二次イオン強度を読み取って、CuC2N2 −/CuxO−比を算出した。
オージェ電子分光分析装置(PHI700、アルバック・ファイ株式会社製)を用いて、剥離面をArイオンでエッチングしながら、15秒毎にオージェ電子スペクトルを得た。Arイオンの加速電圧1kV、電子ビームの加速電圧は3kVとし、ステーのTilt角は30°とした。得られたオージェ電子スペクトルの強度から、元素相対感度係数を用いた相対感度係数法により、検出された元素の原子%を算出した。また、エッチング時間を、あらかじめ測定したオージェ電子分光分析装置のエッチングレート(1nm/分)を用いて剥離面からの深さに換算して、横軸を剥離面からの深さとし、縦軸を検出された元素の含有量(原子%)とした組成分布図を作成した。そして、得られた組成分布図から酸素濃度が10原子%を連続して超えている部分の深さを読み取り、これを酸素含有層の膜厚とした。なお、オージェ電子分光分析装置のエッチングレートは、膜厚20nmのSiO2膜を用いて測定した。
絶縁銅線を、直径が6.5mmの丸棒に添ってエッジワイズ曲げ加工にて、曲げ半径が3.25mmとなるようにL字状(90度)に折り曲げて、直線部とL字状折り曲げ部を持つコイル(エッジワイズコイル)を作製した。
平角銅線と絶縁皮膜との密着性は、コイル内側のL字状折り曲げ部の絶縁皮膜の表面状態により評価した。まず、コイル内側のL字状折り曲げ部の絶縁皮膜の表面を、光学顕微鏡を用いて20倍の倍率で観察して、凹凸の有無を確認した。次に、絶縁皮膜の表面に凹凸が確認されたものは、曲げ方向に対して垂直方向から、凹凸が確認された部分を拡大観察(300倍)して、凹凸がない部分を通るベースラインを引き、凸部の高さ(凸部の最も高い位置とベースラインとの距離)を測定した。絶縁皮膜の表面に凹凸が確認されなかった場合を「◎」、絶縁皮膜の表面に凹凸が確認されたが、凸部の高さが5μm未満の場合を「○」、凸部の高さが5μm以上の場合を「×」と評価した。
これに対して、剥離面のCuC2N2 −/CuxO−比が本発明の範囲よりも低く、かつ酸素含有層の膜厚が本発明の範囲よりも薄い比較例1の絶縁銅線はエッジワイズ曲げ加工によりコイル状に巻回したときに、絶縁皮膜の表面に5μm以上の凸部が確認され、平角銅線と絶縁皮膜との密着性が低くなった。また、剥離面のCuC2N2 −/CuxO−比は本発明の範囲内にあるが、酸素含有層の膜厚が本発明の範囲よりも厚い比較例2、3の絶縁銅線についてもエッジワイズ曲げ加工によりコイル状に巻回したときに、絶縁皮膜の表面に5μm以上の凸部が確認され、平角銅線と絶縁皮膜との密着性が低くなった。
11 平角銅線
12 絶縁皮膜
13 酸素含有層
14 剥離面
Claims (5)
- 平角銅線と、前記平角銅線の表面を被覆する絶縁皮膜とを有する絶縁銅線であって、
前記絶縁皮膜は、アミド結合を有する高分子材料を含み、
前記絶縁皮膜を引き剥すことによって前記絶縁銅線の表面に形成された剥離面において、窒素原子または炭素原子と結合した銅原子が、酸素原子と結合した銅原子よりも多く存在し、かつ剥離面から深さ方向に酸素を10原子%以上含有する酸素含有層が形成されていて、
前記絶縁銅線をエッジワイズ曲げ加工にて、90度に折り曲げて作製した直線部とL字状折り曲げ部を持つコイルの前記L字状折り曲げ部の前記絶縁皮膜の表面を、光学顕微鏡を用いて20倍の倍率で観察したときに、凹凸の有無が確認されないことを特徴とする絶縁銅線。 - 酸素含有層の酸素含有量の最大値が、剥離面から1nm以上10nm以下の位置にある請求項1に記載の絶縁銅線。
- 剥離面から13nmの位置の酸素含有量が10原子%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の絶縁銅線。
- 前記剥離面は、飛行時間型二次イオン質量分析法によって測定されるCuC2N2 −イオンの二次イオン強度とCuO−イオンとCu2O−イオンの合計二次イオン強度との比が10以上50以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の絶縁銅線。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載の絶縁銅線を巻回して形成した電気コイル。
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