JP2021080345A - 樹脂組成物、平板状成形体、多層体および反射防止フィルム - Google Patents

樹脂組成物、平板状成形体、多層体および反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 屈折率および硬度が高く、耐熱性に優れた平板状成形体を提供可能な樹脂組成物、ならびに、樹脂組成物から形成された平板状成形体、多層体および反射防止フィルムの提供。【解決手段】(a−1)脂肪族(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Aに由来する樹脂(A)10〜99質量部と、(b−1)脂肪族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−2)芳香族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−3)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Bに由来するランダム共重合体(B)90〜1質量部とを含む、樹脂組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂組成物、平板状成形体、多層体および反射防止フィルムに関する。
アクリル樹脂は、優れた透明性と成形加工性を有し、表面硬度に優れることから光学材料として多くの用途に使用されている。一方で、アクリル樹脂は材料靭性に劣るため、透明性と材料靭性に優れたポリカーボネート樹脂との共押出により多層フィルムや多層シートを作製することが知られている(特許文献1)。
また、さらにアクリル樹脂層の表面にハードコート層を積層することで、耐薬品性を向上させるとともに、より優れた表面硬度を示す多層体を作製する方法が知られている(特許文献2)。
しかしながら、アクリル樹脂とポリカーボネート樹脂は屈折率の差が大きく、光学部品などに使用する際に「虹ムラ」と呼ばれる不良を発生させてしまう。
加えて、ポリカーボネート樹脂/アクリル樹脂/ハードコートの多層体は熱曲げ加工などの三次元加工時にクラックや割れが発生しやすいという問題がある。これはアクリル樹脂層の耐熱性が低いことに起因している。
特開昭55−059929号公報 特開2006−035519号公報 特開2018−103518号公報
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、平板状成形体を形成可能な樹脂組成物であって、屈折率および硬度が高く、耐熱性に優れた平板状成形体を提供可能な樹脂組成物、ならびに、前記樹脂組成物から形成された平板状成形体、多層体および反射防止フィルムを提供することを目的とする。
上記課題のもと、所定の樹脂のブレンド物を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>(a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Aに由来する樹脂(A)10〜99質量部と、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−2)芳香族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−3)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Bに由来するランダム共重合体(B)90〜1質量部とを含む、樹脂組成物。
式(a1)
Figure 2021080345
(式(a1)中、Ra1は、水素原子またはメチル基であり、Ra2は、脂肪族基である。)
式(b1)
Figure 2021080345
(式(b1)中、Rb1は、水素原子またはメチル基であり、Rb2は、脂肪族基である。)
<2>前記(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートがアルキルメタクリレートを含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが芳香族メタクリレートを含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが、式(b21)で表される(メタ)アクリレートを含む、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(b21)
Figure 2021080345
(式(b21)中、Rb21は、水素原子またはメチル基であり、Rb22は、置換基であり、nb1は、0〜6の整数である。)
<5>前記モノマー組成物B中、前記(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートの比率が40質量%以上85質量%未満である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<6>前記(a−2)芳香族ビニル化合物が式(a2)で表される芳香族ビニル化合物を含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(a2)
Figure 2021080345
(式(a2)中、Ra3は、置換基であり、naは、0〜6の整数である。)
<7>前記(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物が、下記式(a3)で表される不飽和ジカルボン酸無水物である、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(a3)
Figure 2021080345
(式(a3)中、Ra4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。)
<8>さらに、樹脂組成物100質量部に対して、酸化防止剤を0.001〜0.5質量部含む、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>さらに、樹脂組成物100質量部に対して、離型剤を0.001〜0.5質量部含む、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9−1>前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが、式(b22)で表される(メタ)アクリレートを含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(b22)
Figure 2021080345
(式(b22)中、Rb23は、水素原子またはメチル基であり、Rb24は、芳香環含有基であり、nb2は、1〜4の整数である。)
<9−2>前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが、式(b23)で表される(メタ)アクリレートを含む<1>〜<9−1>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(b23)
Figure 2021080345
(式(b23)中、Rb25は、水素原子またはメチル基であり、nb3は、1〜4の整数であり、Rb26は、置換基であり、Rb26の少なくとも1つは、アリール基であり、nb4は、1〜6の整数である。)
<10><1>〜<9−2>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された平板状成形体。
<11>基材と、<10>に記載の平板状成形体を有する、多層体。
<12>前記基材が、ポリカーボネート樹脂を含む、<11>に記載の多層体。
<13>さらに、平板状成形体および/または基材上にハードコート層を有する、<11>または<12>に記載の多層体。
<14>さらに、前記ハードコート層上に、反射防止層を有する、<13>に記載の多層体。
<15>さらに、多層体の少なくとも一方の面上に、耐指紋処理、防眩処理、耐候性処理、帯電防止処理、防汚染処理およびアンチブロッキング処理のいずれか一つ以上が施されている、<11>〜<14>のいずれか1つに記載の多層体。
<16><11>〜<15>のいずれか1つに記載の多層体を含む、反射防止フィルム。
本発明により、平板状成形体を形成可能な樹脂組成物であって、屈折率および硬度が高く、耐熱性に優れた平板状成形体を提供可能な樹脂組成物、ならびに、前記樹脂組成物から形成された平板状成形体、多層体および反射防止フィルムを提供可能になった。
図1は、反射防止フィルムの一例の構成を示す模式図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、23℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。本発明では、特記しない限り、各基は置換基を有さない方が好ましい。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表す。
本明細書における平板状成形体および多層体は、それぞれ、フィルムまたはシートの形状をしているものを含む趣旨である。「フィルム」および「シート」とは、それぞれ、長さと幅に対して、厚さが薄く、概ね、平らな成形体をいう。また、本明細書における「フィルム」は、単層であっても多層であってもよい。
なお、本明細書における「質量部」とは成分の相対量を示し、「質量%」とは成分の絶対量を示す。
本発明の樹脂組成物は、(a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Aに由来する樹脂(A)10〜99質量部と、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−2)芳香族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−3)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Bに由来するランダム共重合体(B)90〜1質量部とを含むことを特徴とする。
式(a1)
Figure 2021080345
(式(a1)中、Ra1は、水素原子またはメチル基であり、Ra2は、脂肪族基である。)
式(b1)
Figure 2021080345
(式(b1)中、Rb1は、水素原子またはメチル基であり、Rb2は、脂肪族基である。)
このような構成とすることにより、屈折率および硬度が高く、耐熱性に優れた平板状成形体を提供可能な樹脂組成物となる。さらに、得られる平板状成形体の透明性を向上させることができる。
<樹脂(A)>
本発明の樹脂組成物は、(a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Aに由来する樹脂(A)を含む。
モノマー組成物A1は、(a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成される。ここで、「構成される」とは、実質的に両末端を除く全構成単位を構成するモノマーが(a−1)(メタ)アクリレート、(a−2)芳香族ビニル化合物、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物または(a−4)他のモノマーであることをいう。ここでの「実質的に両末端を除く全構成単位」とは、両末端を除く全構成単位の99.0モル%以上であることを意味し、99.5モル%以上が好ましく、99.9モル%以上がより好ましい。末端基としては、連鎖移動剤由来の基などが例示される。
モノマー組成物A1における(a−1)(メタ)アクリレートの含有量は、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、12質量%であることがさらに好ましく、14質量%以上であることが一層好ましい。モノマー組成物A1において、(a−1)(メタ)アクリレートの含有量の上限値は、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。
モノマー組成物A1における(a−2)芳香族ビニル化合物の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、35質量%であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましく、50質量%超であることがより一層好ましい。モノマー組成物A1において、(a−2)芳香族ビニル化合物の含有量の上限値は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、68質量%以下であってもよい。
モノマー組成物A1における(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物の含有量は、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%であることがさらに好ましく、18質量%以上であることが一層好ましい。モノマー組成物A1において、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物の含有量の上限値は、40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、26質量%以下であってもよい。
モノマー組成物A1における(a−4)他のモノマーの含有量の上限値は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましく、3質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。
モノマー組成物A1において、(a−1)(メタ)アクリレート、(a−2)芳香族ビニル化合物、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物および(a−4)他のモノマーは、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
樹脂(A)は、(a−1)(メタ)アクリレート、(a−2)芳香族ビニル化合物および(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物、ならびに、任意成分として配合される(a−4)他のモノマーのランダム共重合体であることが好ましい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、10,000以上であることが好ましく、30,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることがさらに好ましく、10,000以上であってもよい。また、樹脂(A)の重量平均分子量は、500,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、250,000以下であることがさらに好ましく、200,000以下であることが一層好ましい。2種以上の樹脂(A)を含む場合、混合物の重量平均分子量とする。
次に、モノマー組成物A1を構成する各モノマーについて説明する。
まず、(a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートの詳細について説明する。
上記式(a1)において、Ra1は、水素原子またはメチル基であり、メチル基が好ましい。Ra2は、脂肪族基であり、直鎖または分岐の脂肪族基であることが好ましく、直鎖の脂肪族基であることがより好ましい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルキニル基(シクロアルキニル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)等が例示され、アルキル基が好ましく、直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、直鎖のアルキル基がさらに好ましい。Ra2である脂肪族基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1または2であることが一層好ましく、1であることがより一層好ましい。
式(a1)で表される(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート(好ましくはアルキルメタクリレート)であることが好ましく、メチル(メタ)アクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)であることが特に好ましい。
次に、(a−2)芳香族ビニル化合物について説明する。
(a−2)芳香族ビニル化合物としては、ビニル基と芳香環基を有する化合物であり、(メタ)アクリレートと共重合可能な化合物を広く採用できる。(a−2)芳香族ビニル化合物は、CH2=CH−L1−Ar1で表される化合物であることが好ましい。ここで、L1は単結合または2価の連結基であり、単結合または式量100〜500の2価の連結基であることが好ましく、単結合または式量100〜300の2価の連結基であることがより好ましい。L1が2価の連結基の場合、脂肪族炭化水素基または、脂肪族炭化水素基と−O−との組み合わせからなる基であることが好ましい。ここで、式量とは、(a−2)芳香族ビニル化合物のL1に相当する部分の1モル当たりの質量(g)を意味する。以下、「式量」について同様に考える。Ar1は芳香環基であり、置換または無置換の、ベンゼン環基またはナフタレン環(好ましくはベンゼン環)であることが好ましく、無置換のベンゼン環基であることがさらに好ましい。
より具体的には、(a−2)芳香族ビニル化合物は式(a2)で表される芳香族ビニル化合物を含むことが好ましい。
式(a2)
Figure 2021080345
(式(a2)中、Ra3は、置換基であり、naは、0〜6の整数である。)
式(a2)中、Ra3は、置換基であり、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、フッ素原子または臭素原子)、水酸基、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜5のアルケニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ基)が例示される。naが2以上のとき、Ra3は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
naは、5以下の整数であることが好ましく、4以下の整数であることがより好ましく、3以下の整数であることがさらに好ましく、2以下の整数であることが一層好ましく、1以下の整数であることがより一層好ましく、0であることがさらに一層好ましい。
(a−2)芳香族ビニル化合物は、分子量104〜600の化合物であることが好ましく、分子量104〜400の化合物であることがより好ましい。
(a−2)芳香族ビニル化合物は、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、トリブロモスチレン等のスチレン誘導体が挙げられ、特にスチレンが好ましい。
次に、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物について説明する。
(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物は、(a−1)(メタ)アクリレートおよび(a−2)芳香族ビニル化合物と共重合しうる、不飽和ジカルボン酸無水物であれば、特に、定めるものではない。
具体的には、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物は、式(a3)で表される不飽和ジカルボン酸無水物が好ましい。
式(a3)
Figure 2021080345
(式(a3)中、Ra4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。)
式(a3)中、Ra4が置換基の場合、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子(好ましくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子)が好ましく、脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキル基またはアルケニル基がさらに好ましい。脂肪族炭化水素基の炭素原子数は1〜5が好ましい。Ra4は、同一であってもよく、異なっていてもよい。またRa4同士が結合して環を形成していてもよい。Ra4は、水素原子が好ましい。
(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水アコニット酸等が挙げられ、無水マレイン酸が好ましい。また、これらのハロゲン化物も好ましい。
次に、(a−4)他のモノマーについて説明する。(a−4)他のモノマーは(a−1)(メタ)アクリレート、(a−2)芳香族ビニル化合物、および、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物以外のアクリル樹脂やスチレン樹脂の原料モノマーとして公知のものを広く採用できる。具体的には、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート(置換または無置換の芳香環基に(メタ)アクリロイルオキシ基が結合したものが好ましい)、アルコキシ(メタ)アクリレート、アリールオキシ(メタ)アクリレート、非芳香族ビニル化合物等が例示される。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチル等が例示され、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂(A)を10質量%以上の割合で含むことが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましく、40質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以上であることがより一層好ましく、60質量%以上であることがさらに一層好ましく、65質量%以上であることが特に一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、より高い屈折率およびより高い耐熱性を有する樹脂組成物が得られる。本発明の樹脂組成物における、樹脂(A)の含有量の上限値は、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下、75質量%以下であってもよい。前記上限値以下とすることにより、より硬度に優れた樹脂組成物が得られる。
本発明の樹脂組成物には、樹脂(A)が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。2種以上含まれている場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<ランダム共重合体(B)>
本発明の樹脂組成物は、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−2)芳香族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−3)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Bに由来するランダム共重合体(B)を含む。
式(b1)
Figure 2021080345
(式(b1)中、Rb1は、水素原子またはメチル基であり、Rb2は、脂肪族基である。)
ランダム共重合体(B)を含むことにより、得られる樹脂組成物の硬度を高く維持しつつ、屈折率を高くすることができる。さらに、ランダム共重合体(B)を採用することにより、樹脂(A)との相溶性に優れ、透明性により優れた平板状成形体が得られる。
ここで、「構成される」とは、実質的に両末端を除く全構成単位を構成するモノマーが(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート、(b−2)芳香族(メタ)アクリレートまたは(b−3)他のモノマーであることをいう。ここでの「実質的に両末端を除く全構成単位」とは、両末端を除く全構成単位の99.0モル%以上であることを意味し、99.5モル%以上が好ましく、99.9モル%以上がより好ましい。
モノマー組成物Bにおける(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが一層好ましく、65質量%以上であることがより一層好ましく、70質量%以上であることがさらに一層好ましく、75質量%以上であることが特に一層好ましい。また、前記(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートの含有量の上限値は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、85質量%未満であることがさらに好ましく、82質量%以下が一層好ましい。
モノマー組成物Bにおける(b−2)芳香族(メタ)アクリレートの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、15質量%超であることがさらに好ましく、18質量%以上であることが一層好ましい。また、前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートの含有量の上限値は、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が一層好ましく、35質量%以下がより一層好ましく、30質量%以下がさらに一層好ましく、25質量%以下が特に一層好ましい。
モノマー組成物Bにおける(b−3)他のモノマーの含有量は、上限値が、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下が一層好ましく、1質量%以下がより一層好ましい。
モノマー組成物Bにおいて、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート、(b−2)芳香族(メタ)アクリレートおよび(b−3)他のモノマーは、それぞれ、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
ランダム共重合体(B)の重量平均分子量は、5,000以上であることが好ましく、8,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。また、ランダム共重合体(B)の重量平均分子量は、100,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、30,000以下であることがさらに好ましく、20,000以下であることが一層好ましい。2種以上のランダム共重合体(B)を含む場合、混合物の重量平均分子量とする。
次に、モノマー組成物Bを構成する各モノマーについて説明する。
まず、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートの詳細について説明する。
上記式(b1)において、Rb1は、水素原子またはメチル基であり、メチル基が好ましい。Rb2は、脂肪族基であり、直鎖または分岐の脂肪族基であることが好ましく、直鎖の脂肪族基であることがより好ましい。脂肪族基は、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルキニル基(シクロアルキニル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)等が例示され、アルキル基が好ましく、直鎖または分岐のアルキル基がより好ましく、直鎖のアルキル基がさらに好ましい。Rb2である脂肪族基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1または2であることが一層好ましく、1であることがより一層好ましい。
式(b1)で表される(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート(好ましくはアルキルメタクリレート)であることが好ましく、メチル(メタ)アクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)であることが特に好ましい。
次に、(b−2)芳香族(メタ)アクリレートの詳細について説明する。
(b−2)芳香族(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリロイルオキシ基と芳香環基を有する化合物である。(b−2)芳香族(メタ)アクリレートは、芳香族メタクリレートを含むことが好ましい。
(b−2)芳香族(メタ)アクリレートは、アクリロイルオキシ基−L2−Ar2で表される化合物であることが好ましい。ここで、L2は単結合または2価の連結基であり、単結合または式量100〜500の2価の連結基であることが好ましく、単結合または式量100〜300の2価の連結基であることがより好ましい。L2が2価の連結基の場合、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。Ar2は芳香環基であり、置換または無置換の、ベンゼン環基またはナフタレン環(好ましくはベンゼン環)であることが好ましく、無置換のベンゼン環基であることがさらに好ましい。
(b−2)芳香族(メタ)アクリレートは、また、分子量148〜600の化合物であることが好ましい。
本発明における(b−2)芳香族(メタ)アクリレートの第一の実施形態は、式(b21)で表される(メタ)アクリレートである。
式(b21)
Figure 2021080345
(式(b21)中、Rb21は、水素原子またはメチル基であり、Rb22は、置換基であり、nb1は、0〜6の整数である。)
上記式(b21)において、Rb21は、メチル基が好ましい。
上記式(b21)において、Rb22は、置換基であり、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、フッ素原子または臭素原子)、水酸基、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜5のアルケニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ基)が例示される。nb1が2以上のとき、Rb22は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
nb1は、5以下の整数であることが好ましく、4以下の整数であることがより好ましく、3以下の整数であることがさらに好ましく、2以下の整数であることが一層好ましく、1以下の整数であることがより一層好ましく、0であることがさらに一層好ましい。
本発明における(b−2)芳香族(メタ)アクリレートの第二の実施形態は、式(b22)で表される(メタ)アクリレートである。
式(b22)
Figure 2021080345
(式(b22)中、Rb23は、水素原子またはメチル基であり、Rb24は、芳香環含有基であり、nb2は、1〜4の整数である。)
上記式(b22)において、Rb23は、メチル基が好ましい。
上記式(b22)において、Rb24は、芳香環含有基であり、ベンゼン環を1つまたは2つ以上含む基であることがより好ましい。また、置換基を有していてもよい。本発明では、式(b22)の(CH2nb2基にRb24に含まれる芳香環が直結していることが好ましい。
置換基としては、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、フッ素原子または臭素原子)、水酸基、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜5のアルケニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ基)が例示される。
上記式(b22)において、nb2は、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1がさらに好ましい。
式(b22)で表される(メタ)アクリレートは、式(b23)で表される(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
式(b23)
Figure 2021080345
(式(b23)中、Rb25は、水素原子またはメチル基であり、nb3は、1〜4の整数であり、Rb26は、置換基であり、Rb26の少なくとも1つは、アリール基であり、nb4は、1〜6の整数である。)
式(b23)において、Rb25は、メチル基が好ましい。
式(b23)において、Rb26は、置換基であり、ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、フッ素原子または臭素原子)、水酸基、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜5のアルケニル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ基)が例示される。nb4が2以上のとき、Rb26は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、Rb26の少なくとも1つは、アリール基であり、1つがアリール基であることが好ましい。前記アリール基は、置換または無置換のフェニル基であることが好ましく、無置換のフェニル基であることがより好ましい。
式(b23)において、nb3は、1〜4の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1がさらに好ましい。
式(b23)において、nb4は、1〜6の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1がさらに好ましい。
具体的には、芳香族(メタ)アクリレートとしては、以下の化合物が例示される。
Figure 2021080345
次に、モノマー組成物Bにおける(b−3)他のモノマーの詳細について説明する。
(b−3)他のモノマーは、(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートおよび(b−2)芳香族(メタ)アクリレート以外のアクリル樹脂の原料モノマーとして公知のものを広く採用できる。具体的には、アルコキシ(メタ)アクリレート、アリールオキシ(メタ)アクリレート、ビニル化合物等が例示される。具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシメチル等が例示され、(メタ)アクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、ランダム共重合体(B)を、樹脂(A)10〜99質量部に対し、1質量部以上の割合で含み、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることにより、屈折率のさらなる向上が期待できる。本発明の樹脂組成物は、また、ランダム共重合体(B)を、樹脂(A)10〜99質量部に対し、90質量部以下の割合で含み、80質量部以下の割合で含むことが好ましく、70質量部以下の割合で含むことがより好ましく、60質量部以下の割合で含むことがさらに好ましく、50質量部以下の割合で含むことが一層好ましく、40質量部以下の割合で含むことがより一層好ましく、35質量部以下の割合であってもよい。前記上限値以下とすることにより、材料の靭性が向上し、成形がより容易になる傾向にある。特に、樹脂(A)とランダム共重合体(B)の合計を100質量部としたときに上記比率を満たすことが好ましい。
本発明の樹脂組成物には、ランダム共重合体(B)が1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。2種以上含まれている場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
本発明では、上記樹脂(A)およびランダム共重合体(B)が樹脂組成物に含まれる樹脂成分の90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、98質量%以上を占めることがさらに好ましい。上限値としては、樹脂成分の100質量%であってもよい。
また、本発明では、上記樹脂(A)およびランダム共重合体(B)が樹脂組成物の90質量%以上を占めることが好ましく、94質量%以上を占めることがより好ましく、97質量%以上を占めることがさらに好ましい。上限値としては、樹脂組成物の99.9質量%であってもよい。
<酸化防止剤(D)>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤(D)を含有することが好ましい。
酸化防止剤(D)としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。中でも本発明においては、リン系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤(より好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤)が好ましい。リン系酸化防止剤は、成形体の色相に優れることから特に好ましい。
リン系酸化防止剤は、ホスファイト系酸化防止剤が好ましく、以下の式(1)または(2)で表されるホスファイト系酸化防止剤がより好ましい。
Figure 2021080345
(式(1)中、R11およびR12はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜30のアルキル基または炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
Figure 2021080345
(式(2)中、R13〜R17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数6〜20のアリール基または炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。)
上記式(1)中、R11、R12で表されるアルキル基は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基であることが好ましい。R11、R12がアリール基である場合、以下の式(1−a)、(1−b)、または(1−c)のいずれかで表されるアリール基が好ましい。式中の*は結合位置を表す。
Figure 2021080345
(式(1−a)中、RAは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。式(1−b)中、RBは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特開2018−090677号公報の段落0063、特開2018−188496号公報の段落0076の記載を参照でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
酸化防止剤(D)は、上記の他、特開2017−031313号公報の段落0057〜0061の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
酸化防止剤(D)の含有量は、樹脂組成物中100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.008質量部以上であることがより好ましい。また、酸化防止剤(D)の含有量の上限値としては、樹脂組成物100質量部に対して、0.5質量部以下が好ましく、0.3質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下がさらに好ましく、0.15質量部以下であることが一層好ましく、0.10質量部以下であることがさらに一層好ましく、0.08質量部以下であることが特に一層好ましい。
酸化防止剤(D)の含有量を上記の下限値以上とすることにより、色相、耐熱変色性がより良好な成形体を得ることができる。また、酸化防止剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、耐熱変色性を悪化させることなく、湿熱安定性が良好な成形体を得ることができる。
酸化防止剤(D)は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は合計量が上記範囲となることが好ましい。
<離型剤(E)>
本発明の樹脂組成物は、離型剤(E)を含むことが好ましい。
離型剤(E)を含むことにより、フィルム状またはシート状の成形体(平板状成形体)を巻き取る際の巻取性を向上させることができる。
離型剤(E)の種類は特に定めるものではないが、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、数平均分子量100〜5,000のポリエーテル、ポリシロキサン系シリコーンオイル等が挙げられる。
離型剤(E)の詳細は、国際公開第2015/190162号の段落0035〜0039の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
離型剤(E)の含有量は、樹脂組成物100質量部に対して、0.001質量部以上であることが好ましく、0.005質量部以上であることがより好ましく、0.01質量部以上であることがさらに好ましい。上限値としては、0.5質量部以下であることが好ましく、0.3質量部以下であることがより好ましく、0.2質量部以下であることがさらに好ましい。
離型剤(E)は、1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の樹脂組成物は、上記成分の他、上記以外の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、防曇剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤、アンチブロッキング剤、衝撃改良剤、摺動改良剤、色相改良剤、酸トラップ剤等を含んでいてもよい。これらの成分は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記成分の含有量は、含有する場合、合計で樹脂組成物の0.1〜5質量%であることが好ましい。
<用途>
本発明の樹脂組成物は、例えば、平板状に成形して用いることができる。すなわち、本発明は、本発明の樹脂組成物から形成された平板状成形体に関する。
平板状成形体としては、プレート、フィルム、シート等が例示される。平板状成形体は単独の成形体であってもよいし、他の基材に積層された多層体であってもよい。平板状成形体の厚さは、下限値が5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、100μm以上であってもよい。前記下限値以上とすることにより、成形がより容易となるとともに、硬度が向上する傾向にある。また、平板状成形体の厚さの上限に特に制限は無いが、10,000μm以下であることが実際的である。
本発明の平板状成形体は、射出成形やTダイによる押出成形などにより成形される。
本発明の平板状成形体の示差走査熱量測定(DSC)に従ったガラス転移温度が120℃以上であることが好ましく、121℃以上であることがより好ましく、122℃以上であることがさらに好ましく、123℃以上であることが一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、多層体としたときの耐熱性がより向上する傾向にある。さらに、熱曲げ成形性が向上する傾向にある。また、前記ガラス転移温度の上限値については、例えば、180℃以下であることが好ましい。前記上限値以下とすることにより、曲げ加工などが容易になる傾向にある。
ガラス転移温度は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本発明の平板状成形体の全光線透過率は、90.0%以上であることが好ましい。前記全光線透過率の上限は、100%が理想であるが、95.0%以下が実際的である。
全光線透過率は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本発明の平板状成形体の屈折率は、例えば、1.500以上であることが好ましく、1.530以上であることがより好ましく、1.550以上であることがさらに好ましく、1.552以上であることが一層好ましい。上限値としては、例えば、1.590以下であることが好ましい。前記下限値以上とすることにより、例えば、ポリカーボネート樹脂を含む基材との屈折率の差を小さくでき、虹ムラを効果的に抑制できる。
屈折率は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本発明の平板状成形体の鉛筆硬度は、HB以上であることが好ましく、F以上であることが好ましい。また、前記鉛筆硬度の上限値は、例えば、3H以下であり、2H以下であっても必要な要求性能を満たすものである。
鉛筆硬度は、後述する実施例の記載に従って測定される。
本発明の多層体は、さらに、平板状成形体および/または基材上にハードコート層を有することがより好ましく、平板状成形体上にハードコート層を有することがより好ましい。さらに、本発明の多層体は、前記ハードコート層上に、反射防止層(例えば、低屈折率層)を有することも好ましい。すなわち、上記多層体は、反射防止フィルムとして用いることができる。
上記多層体は、反射防止フィルムとして用いることができる。図1は、反射防止フィルムの一例を示す模式図であって、1は基材を、2は平板状成形体を、3はハードコート層を、4は反射防止層を示している。図1では、基材1、平板状成形体2、ハードコート層3および反射防止層4が、前記順に積層しているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の層を有していてもよい。また、ハードコート層は、基材1側にも設けられていてもよい。
次に、基材1について説明する。
基材1は、その種類について特に定めるものではなく、本発明の多層体に求められる性能を満たす限り、公知の基材を採用できる。具体的には、樹脂基材が好ましい。具体的には、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられ、ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。これらは、1種単独でも、2種以上による複合基材を構成していてもよい。
ポリカーボネート樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂とは、ビスフェノールAおよびその誘導体由来のカーボネート構成単位を有する樹脂をいい、下記式(B−1)で表される構成単位を有していることが好ましい。式中の*は結合位置を表す。
Figure 2021080345
式(B−1)中、X1は下記構造を表す。
Figure 2021080345
5およびR6は、アルキル基または水素原子であり、少なくとも一方がメチル基であることが好ましく、両方がメチル基であることがより好ましい。
式(B−1)は下記式(B−2)で表されることが好ましい。
Figure 2021080345
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂における、式(B−1)で表される構成単位の含有量は、両末端を除く全構成単位中、70モル%以上であることが好ましく、80モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。上限値は特に限定されず、100モル%が式(B−1)で表される構成単位であってもよい。ビスフェノールA型ポリカーボネートとして特に好ましくは実質的に両末端を除く全構成単位が式(B−1)の構成単位で構成された樹脂が挙げられる。ここでの実質的に両末端を除く全構成単位とは、両末端を除く全構成単位の99.0モル%以上であることを意味し、99.5モル%以上が好ましく、99.9モル%以上がより好ましい。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂は、ビスフェノールAおよびその誘導体由来のカーボネート構成単位以外の他の構成単位を有していてもよい。このような他の構成単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、例えば、特開2018−154819号公報の段落0014に記載の芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の末端構造としては、アルキル基置換フェノキシ基およびアルコキシカルボニルフェノキシ基などが挙げられる。
前記アルキル基置換フェノキシ基が有するアルキル基の炭素原子数は1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、2〜5であることがさらに好ましい。アルキル基置換フェノキシ基としては、m−メチルフェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、m−プロピルフェノキシ基、p−プロピルフェノキシ基、p−tert−ブチルフェノキシ基が例示される。
前記アルコキシカルボニルフェノキシ基が有するアルコキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましい。アルコキシカルボニルフェノキシ基としては、耐熱性の観点からは、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニルフェノキシ基が好ましく、p−tert−ブチルフェノキシ基がより好ましい。また、熱曲げ成形用途向けには、炭素原子数11〜20のアルコキシカルボニルフェノキシ基が好ましく、p−ヘキサデシルオキシカルボニルフェノキシ基が熱曲げ加工温度の観点からより好ましい。
基材1に含まれるポリカーボネート樹脂(好ましくは、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂)の含有量は、耐熱性や機械的特性の観点から、基材1の総質量の80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
基材1には、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂や各種樹脂添加剤を含有していてもよい。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂以外の樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる。
樹脂添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、滴下防止剤、染料および顔料(カーボンブラックを含む)、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
その他、ポリカーボネート樹脂の詳細は、特開2019−035001号公報の段落0040〜0073の記載、特開2018−103518号公報の段落0016〜0043の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、基材1は単層であってもよいが、多層であってもよい。
基材1の厚みは、特に制限はないが、30μm以上であることが好ましく、35μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましく、50μmであることが一層好ましい。また、基材1の厚みは、10,000μm以下であることが好ましく、5,000μm以下であることがより好ましく、3,000μm以下であってもよい。
基材1の屈折率は、例えば、1.610以下であることが好ましく、1.600以下であることがより好ましい。下限値としては、例えば、1.500以上、さらには1.510以上、特には1.520以上のものも用いることができる。
本発明では、基材1と平板状成形体2の屈折率差が0.050以下であることが好ましい。このような屈折率差とすることにより、虹ムラをより効果的に抑制できる。前記屈折率差の下限値は、0が理想であるが、例えば0.010以上、さらには0.030以上であっても十分に要求性能を満たすものとなる。
基材1の示差走査熱量測定(DSC)に従ったガラス転移温度が70〜180℃であることが好ましく、100〜160℃であることがより好ましく、110〜140℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度をこの範囲内とすることで優れた熱曲げ加工性を有する。
次に、ハードコート層3について説明する。
ハードコート層3は、主に、耐擦傷性を向上させる目的で設けられる。
ハードコート層は、JIS K5600−5−4:1999で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましい。
ハードコート層3は、その種類について特に定めるものではなく、平板状成形体2の表面に施すハードコート処理により形成されるものが好ましい。具体的には、熱硬化または活性エネルギー線による硬化が可能なハードコート材料を塗布後、硬化させることにより、ハードコート層3を積層することが好ましい。
活性エネルギー線を用いて硬化させる塗料の一例としては、単官能あるいは多官能の(メタ)アクリレートモノマーあるいはオリゴマーなどの単独あるいは複数からなる樹脂組成物、より好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物等が挙げられる。これらの樹脂組成物には、硬化触媒として光重合開始剤が加えられることが好ましい。
ハードコート層3としては、特開2013−020130号公報の段落0045〜0055の記載、特開2018−103518号公報の段落0073〜0076の記載、特開2017−213771号公報の段落0062〜0082の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、熱硬化型樹脂塗料としてはポリオルガノシロキサン系、架橋型アクリル系などのものが挙げられる。この様な樹脂組成物は、アクリル樹脂またはポリカーボネート用ハードコート剤として市販されているものもあり、塗装ラインとの適正を加味し、適宜選択すればよい。
また、ハードコート層3は単層であってもよいが、多層であってもよい。
ハードコート層3の厚みは、特に制限されないが、好ましくは1〜10μmであり、より好ましくは2〜8μm、さらに好ましくは3〜7μmである。
ハードコート層3の屈折率は、例えば、1.550未満であることが好ましく、1.545以下であることがより好ましい。下限値としては、1.450以上であることが好ましく、1.470以上であることがより好ましく、特には1.490以上であることがさらに好ましい。
本発明では、ハードコート層3と平板状成形体2の屈折率差が0.050以下であることが好ましい。このような屈折率差とすることにより、虹ムラをより効果的に抑制できる。前記屈折率差の下限値は、0が理想であるが、例えば0.010以上、さらには0.030以上であっても十分に要求性能を満たすものとなる。
次に、反射防止層4について説明する。
反射防止層4としては、低屈折率の単層(低屈折率層のみ)または低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した多層が例示される。このような反射防止層4を、多層体に積層させることによって、反射防止フィルムとして用いることができる。低屈折率層は、反射防止機能を発現させるために、反射防止層4の最も外側に配置されることが好ましい。
低屈折率層は、その種類について特に定めるものではないが、一例として、含フッ素ウレタンアクリレートと(メタ)アクリレートとを含む樹脂材料を硬化、重合させて形成することが好ましく挙げられる。また、低屈折率層は、屈折率を低下させるための部材を含んでいてもよい。屈折率を低下させるための部材としては、シリカ、金属フッ化物微粒子などが好ましく、特に中空シリカが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、通常、隣接する基材、平板状成形体、ハードコート層、および高屈折率層よりも低い。低屈折率層の屈折率は、好ましくは1.31〜1.40であり、より好ましくは1.32〜1.39である。
高屈折率層は、その種類について特に定めるものではないが、一例として、フルオレン系ジオール、イソシアネート、および(メタ)アクリレートの三成分を脱水縮合反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリレートの混合物を含む樹脂材料を硬化、重合させて形成することが好ましく挙げられる。また、高屈折率層は、屈折率を増加させるための部材を含んでいてもよい。屈折率を増加させるための部材としては、酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの金属酸化物が好ましく、特に酸化ジルコニウムが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、隣接する基材(層)、平板状成形体(層)、ハードコート層、低屈折率層よりも高い。高屈折率層の屈折率は、このましくは1.68〜1.75であり、より好ましくは1.69〜1.74である。
本発明の多層体には、上記の他、他の層を有していてもよい。具体的には、接着層、粘着層、防汚層等が例示される。
また、多層体の表面には、耐指紋処理、防眩処理、耐候性処理、帯電防止処理、防汚染処理およびアンチブロッキング処理のいずれか一つ以上が施されていてもよい。また、アンチブロッキング処理とは、フィルム同士が密着しても容易に剥離できるようにする処理をいい、アンチブロッキング剤を添加すること、多層体の表面に凹凸を設けることなどが例示される。
本発明の多層体は、ポリカーボネート樹脂などの基材を押出するメイン押出機と、本発明の樹脂組成物を押出するサブ押出機とを用い、各々用いる樹脂の条件にて樹脂を溶融し押し出しダイに導き、ダイ内部で積層しシート状に成形する、もしくはシート状に成形した後に積層することで多層体を形成することができる。
本発明の多層体は、光学部品や意匠製品、反射防止フィルムなどに好適に用いることができる。
本発明の多層体は、表示装置、電気電子機器、OA機器、携帯情報末端、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、各種ディスプレイ、電気電子機器、OA機器、携帯情報末端および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルム、光学材料、光学ディスクに好適に用いられる。特に、本発明の成形体は、タッチパネルのセンサー用フィルムや各種ディスプレイの反射防止フィルムとして好ましく用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[原料]
・樹脂(A)
(A1)三元共重合体:デンカ社製 R100(スチレン:MMA(メチルメタクリレート):無水マレイン酸の質量比=65:15:20、重量平均分子量:160,000)
(A2)三元共重合体:デンカ社製 R200(スチレン:MMA:無水マレイン酸の質量比=55:26:19、重量平均分子量:120,000)
・ランダム共重合体(B)
(B1)メチルメタクリレート/フェニルメタクリレートランダム共重合体:三菱ケミカル社製、H−880(メチルメタクリレート/フェニルメタクリレートの質量比=80:20、重量平均分子量15,000)
・その他のポリマー(C)
(C1)メチルメタクリレート重合体:アルケマ社製 V020(重量平均分子量130,000)
(C2)二元共重合体:東洋スチレン社製 MS−500(スチレン:MMAの質量比=50:50、重量平均分子量:160,000)
・酸化防止剤(D)
(D1)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(ADEKA製、PEP−36)
・離型剤(E)
(E1)グリセリンモノステアレート(理研ビタミン製、リケマールS−100A)
[共重合体の組成比の算出]
共重合体(樹脂(A)、ランダム共重合体(B)、その他のポリマー(C))の組成比は、重クロロホルムにサンプルを溶解させ、1H−NMRもしくは13C−NMRによりモル比率を求め、質量比率を算出した。
[重量平均分子量の測定方法]
樹脂(A)、ランダム共重合体(B)およびその他のポリマー(C)の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにて測定した。具体的には以下のようにして行った。
ゲル浸透クロマトグラフィー装置には、LC−20AD system(島津製作所社製)を用い、カラムとして、LF−804(Shodex社製)を接続して用いた。カラム温度は40℃とした。検出器はRID−10A(島津製作所社製)のRI検出器を用いた。溶離液として、クロロホルムを用い、検量線は、東ソー社製の標準ポリスチレンを使用して作成した。
上記ゲル浸透クロマトグラフィー装置、カラム、検出器が入手困難な場合、同等の性能を有する他の装置等を用いて測定する(以下、他の測定方法についても同じ)。
実施例1〜4、比較例1〜4
[樹脂ペレットの製造]
上に記載した各成分を、表1に記載の添加量(表1は質量比である)となるように計量した。その後、タンブラーにて15分間混合した後、スクリュー径32mmのベント付二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30α」)により、シリンダー温度270℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを得た。
[ガラス転移温度の測定]
上記で得られたペレットを約10mgになるようはさみでカットし、ガラス転移温度を測定するサンプルを用意した。ガラス転移温度は、下記のDSCの測定条件のとおりに、昇温、降温を2サイクル行い、2サイクル目の昇温時のガラス転移温度を測定した。低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、変曲点の接線の交点を開始ガラス転移温度とし、高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、変曲点の接線の交点を終了ガラス転移温度とし、開始ガラス転移温度と終了ガラス転移温度の中間地点をガラス転移温度(Tg、単位℃)とした。
1サイクル目
測定開始温度:30℃、昇温速度:20℃/分、到達温度:300℃、降温速度:20℃/分
2サイクル目
測定開始温度:30℃、昇温速度:10℃/分、到達温度:300℃、降温速度:30℃/分
測定装置は、示差走査熱量計(DSC、(株)日立ハイテクサイエンス社製、「DSC7020」)を使用した。
[平板状成形体の製造]
得られたペレットを、80〜100℃で4〜7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、射出成形機により、シリンダー温度240℃、金型温度40℃、成形サイクル55秒の条件にて平板状試験片(100×100×3mm)を成形した。
[全光線透過率の測定]
ヘイズメーターを用いて、D65光源10°視野の条件にて、上記で得られた平板状試験片の全光線透過率(%)を測定した。
射出成形機は、Sodick社製「PE100」を用いた。ヘイズメーターは、村上色彩技術研究所社製「HM−150」を用いた。
[屈折率の測定]
上記で得られた平板状試験片について、自動薄膜計測装置を用いて波長589nmの光の屈折率を求めた。
屈折率の測定に際し、自動薄膜計測装置として、分光エリプソメーター Auto SE(HORIBA社製)を用いた。
[鉛筆硬度の測定]
上記得られた平板状試験片について、JIS K5600−5−4:1999に準拠し、鉛筆硬度試験機を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
Figure 2021080345
表1における各成分は質量比である。
1 基材
2 平板状成形体
3 ハードコート層
4 反射防止層

Claims (16)

  1. (a−1)式(a1)で表される(メタ)アクリレートを5〜90質量%と、(a−2)芳香族ビニル化合物5〜90質量%と、(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物5〜50質量%と、(a−4)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Aに由来する樹脂(A)10〜99質量部と、
    (b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−2)芳香族(メタ)アクリレート5〜95質量%と、(b−3)他のモノマー0〜20質量%とから構成されるモノマー組成物Bに由来するランダム共重合体(B)90〜1質量部とを含む、樹脂組成物。
    式(a1)
    Figure 2021080345
    (式(a1)中、Ra1は、水素原子またはメチル基であり、Ra2は、脂肪族基である。)
    式(b1)
    Figure 2021080345
    (式(b1)中、Rb1は、水素原子またはメチル基であり、Rb2は、脂肪族基である。)
  2. 前記(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートがアルキルメタクリレートを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが芳香族メタクリレートを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記(b−2)芳香族(メタ)アクリレートが、式(b21)で表される(メタ)アクリレートを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(b21)
    Figure 2021080345
    (式(b21)中、Rb21は、水素原子またはメチル基であり、Rb22は、置換基であり、nb1は、0〜6の整数である。)
  5. 前記モノマー組成物B中、前記(b−1)式(b1)で表される(メタ)アクリレートの比率が40質量%以上85質量%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(a−2)芳香族ビニル化合物が式(a2)で表される芳香族ビニル化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(a2)
    Figure 2021080345
    (式(a2)中、Ra3は、置換基であり、naは、0〜6の整数である。)
  7. 前記(a−3)不飽和ジカルボン酸無水物が、下記式(a3)で表される不飽和ジカルボン酸無水物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    式(a3)
    Figure 2021080345
    (式(a3)中、Ra4は、それぞれ独立に、水素原子または置換基である。)
  8. さらに、樹脂組成物100質量部に対して、酸化防止剤を0.001〜0.5質量部含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. さらに、樹脂組成物100質量部に対して、離型剤を0.001〜0.5質量部含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された平板状成形体。
  11. 基材と、請求項10に記載の平板状成形体を有する、多層体。
  12. 前記基材が、ポリカーボネート樹脂を含む、請求項11に記載の多層体。
  13. さらに、平板状成形体および/または基材上にハードコート層を有する、請求項11または12に記載の多層体。
  14. さらに、前記ハードコート層上に、反射防止層を有する、請求項13に記載の多層体。
  15. さらに、多層体の少なくとも一方の面上に、耐指紋処理、防眩処理、耐候性処理、帯電防止処理、防汚染処理およびアンチブロッキング処理のいずれか一つ以上が施されている、請求項11〜14のいずれか1項に記載の多層体。
  16. 請求項11〜15のいずれか1項に記載の多層体を含む、反射防止フィルム。
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