JP2021080136A - 飛散防止剤用原液 - Google Patents

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Abstract

【課題】各種性能に優れ、過酷な環境下でも好適に使用し得る飛散防止剤組成物が求められている。【解決手段】基油(A)、界面活性剤(B)及び酸化防止剤(C)を含有する、飛散防止剤を調製する原液であって、酸化防止剤(C)の含有量が、前記原液の全量基準で、0.5質量%以上である飛散防止剤用原液、並びに、当該飛散防止剤用原液を、希釈水で希釈してなる、飛散防止剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、飛散防止剤用原液、飛散防止剤用原液を希釈水で希釈してなる飛散防止剤組成物、当該飛散防止剤組成物を用いて製造された断熱材又は防音材、並びに、当該飛散防止剤組成物の使用方法に関する。
一般住宅やビル等の建築物、車体、ダクトや配管等の設備等には、断熱材や防音材として、グラスウールやロックウールにバインダーと呼ばれる接着剤を浸透させた後、焼成して成形した材料が用いられる。グラスウールやロックウールは、極細のガラス繊維から構成された綿状の素材であり加工時に周囲へ飛散し易い。バインダーのみでは、均一にグラスウールやロックウールを浸透させることも難しい。そのため、グラスウールやロックウールを用いた断熱材や防音材の製造工程においては、バインダーと共に、飛散防止剤が用いられる。飛散防止剤は、バインダーが均一にグラスウールやロックウールに浸透し易くすると共に、グラスウールやロックウールの周囲への飛散を抑制する効果を有する。
グラスウールやロックウールの焼成に適した飛散防止剤について、様々な検討が行われている。例えば、特許文献1には、吸湿性残滓を残さないグラスウ−ル飛散防止剤の提供を目的として、界面活性剤を用いずに、所定の基油に、炭素数6〜24の脂肪酸のアミン塩を所定量配合してなるグラスウール飛散防止剤に関して開示されている。
特開平7−10611号公報
このような状況において、各種性能に優れ、過酷な環境下でも好適に使用し得る飛散防止剤組成物が求められている。
本発明は、基油及び界面活性剤と共に、所定量の酸化防止剤を含有する飛散防止剤用原液、当該原液を希釈水で希釈してなる飛散防止剤組成物、当該飛散防止剤組成物を用いて製造された断熱材又は防音材、並びに、当該飛散防止剤組成物の使用方法を提供する。
具体的には、本発明としては、下記[1]〜[15]の態様を含む。
[1]基油(A)、界面活性剤(B)及び酸化防止剤(C)を含有する、飛散防止剤を調製する原液であって、酸化防止剤(C)の含有量が、前記原液の全量基準で、0.5質量%以上である、飛散防止剤用原液。
[2]前記原液の引火点が280℃以上である、上記[1]に記載の飛散防止剤用原液。
[3]前記原液の40℃における動粘度が、250mm/s以上である、上記[1]又は[2]に記載の飛散防止剤用原液。
[4]基油(A)が、ブライトストック(A1)を含有する、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[5]界面活性剤(B)が、非イオン性界面活性剤(B1)を含む、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[6]酸化防止剤(C)の含有量が、前記原液の全量基準で、1.0質量%超である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[7]さらに乳化助剤(D)を含有する、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[8]乳化助剤(D)が、重合脂肪酸(D1)を含有する、上記[7]に記載の飛散防止剤用原液。
[9]重合脂肪酸(D1)の平均分子量が、300以上である、上記[8]に記載の飛散防止剤用原液。
[10]乳化助剤(D)中の脂肪酸のアミン塩の含有割合が、前記飛散防止剤用原液中の乳化助剤(D)の全量に対して、10質量%未満である、上記[7]〜[9]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[11]さらに金属系清浄剤(E)を含有する、上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
[12]金属系清浄剤(E)が、カルシウム系清浄剤及びナトリウム系清浄剤から選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[11]に記載の飛散防止剤用原液。
[13]上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液を、希釈水で希釈してなる、飛散防止剤組成物。
[14]上記[13]に記載の飛散防止剤組成物を適用した、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種を含む、断熱材又は防音材。
[15]上記[13]に記載の飛散防止剤組成物を、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種に適用する、使用方法。
本発明の好適な一態様の飛散防止剤用原液を希釈水で希釈した飛散防止剤組成物は、焼成温度が高温となってもグラスウールやロックウールへの焦げの発生を抑制し得る。
〔飛散防止剤用原液〕
本発明の飛散防止剤用原液は、基油(A)、界面活性剤(B)及び酸化防止剤(C)を含有し、酸化防止剤(C)の含有量を前記原液の全量基準で0.5質量%以上に調製したものである。
なお、本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、希釈水で希釈して飛散防止剤組成物とした上で、グラスウールやロックウール等の飛散し易い素材を加工する際の飛散防止剤として使用されるものである。つまり、当該飛散防止剤用原液は、飛散防止剤組成物の原液であり、そのまま飛散防止剤として使用されるものではない。
近年、断熱性や防音性をより向上させた素材とするため、原材料となるグラスウールやロックウール等の微細化が進んでおり、それに伴い焼成温度をより高温とする必要が生じている。しかしながら、特許文献1に記載されたようなグラスウール等の加工に用いられる飛散防止剤では、焼成温度を例えば210℃超えの高温とした場合、グラスウールやロックウール等に焦げが発生し易くなる。つまり、これまでの飛散防止剤は、焼成温度の高温化に対応し得る耐焦げ性が不十分であった。
これに対して、本発明の飛散防止剤用原液では、酸化防止剤の含有量を所定値以上とすることで、焼成温度を高温化しても、グラスウールやロックウール等への焦げの発生を効果的に抑制し、焼成温度を高温化に対応し得る耐焦げ性を備えた飛散防止剤組成物となり得る。
なお、本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、さらに乳化助剤(D)及び金属系清浄剤(E)から選ばれる1種以上を含有することが好ましく、さらに乳化助剤(D)及び金属系清浄剤(E)を共に含有することが好ましい。
また、本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分(A)〜(E)以外の他の成分をさらに含有してもよい。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、成分(A)、(B)及び(C)の合計含有量としては、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜99.9質量%、更に好ましくは70〜99.0質量%、より更に好ましくは80〜98.5質量%、特に好ましくは90〜98.0質量%である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の合計含有量としては、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは55〜100質量%、より好ましくは65〜100質量%、更に好ましくは75〜100質量%、より更に好ましくは85〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。
以下、本発明の一態様の飛散防止剤用原液に含まれる各成分の詳細について説明する。
<基油(A)>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液に含まれる基油(A)としては、鉱油及び合成油から選ばれる1種以上が挙げられる。
鉱油としては、例えば、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留して得られる常圧残油;これらの常圧残油を減圧蒸留して得られる留出油;当該留出油を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、及び水素化精製等の精製処理を1つ以上施して得られる精製油;等が挙げられる。
また、パラフィン系原油、中間基系原油、ナフテン系原油等の原油を常圧蒸留もしくは減圧蒸留して得られる蒸留塔の塔底に蓄積する残渣油を、上述の精製処理を施して得られるブライトストックを用いてもよい。
合成油としては、例えば、α−オレフィン単独重合体、又はα−オレフィン共重合体(例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体等の炭素数8〜14のα−オレフィン共重合体)等のポリα−オレフィン;イソパラフィン;ポリアルキレングリコール;ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル等のエステル系油;ポリフェニルエーテル等のエーテル系油;アルキルベンゼン;アルキルナフタレン;天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる合成油(GTL)等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、基油(A)が、ブライトストック(A1)を含有することが好ましい。
ブライトストック(A1)を含有することで、引火点を高い飛散防止剤用原液とすることができ、安全性に優れた飛散防止剤用原液とすることができる。
また、引火点を高くすると共に、乳化安定性の調整や所望の動粘度の飛散防止用原液とする観点から、ブライトストック(A1)と共に、API(米国石油協会)基油カテゴリーのグループ2及びグループ3に分類される鉱油、並びに合成油から選ばれる1種以上をさらに含有してもよい。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、基油(A)中のブライトストック(A1)の含有割合としては、原液の動粘度を所望の範囲となるように適宜調整されるが、当該飛散防止剤用原液中の基油(A)の全量(100質量%)に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、より更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
また、ブライトストック(A1)の含有割合としては、上限の制限は特になく、例えば、100質量%以下、98質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下としてもよい。
本発明の一態様で用いる基油(A)の40℃における動粘度としては、好ましくは50〜1000mm/s、より好ましくは100〜800mm/s、更に好ましくは150〜600mm/s、より更に好ましくは200〜500mm/s、特に好ましくは250〜450mm/sである。
また、高引火点の飛散防止剤用原液とする観点から、基油(A)の40℃における動粘度は、好ましくは250mm/s以上、より好ましくは260mm/s以上、更に好ましくは270mm/s以上、より更に好ましくは280mm/s以上、特に好ましくは290mm/s以上である。
また、本発明の一態様で用いる基油(A)の粘度指数としては、好ましくは60以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは90以上、特に好ましくは95以上である。
なお、本発明の一態様において、基油(A)として、2種以上の基油を組み合わせた混合油を用いる場合、当該混合油の動粘度及び粘度指数が上記範囲であればよい。
また、本明細書において、動粘度及び粘度指数は、JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出された値を意味する。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、基油(A)の含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは50〜99.0質量%、より好ましくは60〜97.0質量%、更に好ましくは70〜95.0質量%、より更に好ましくは80〜93.0質量%である。
<界面活性剤(B)>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液に含まれる界面活性剤(B)としては、希釈水で希釈した際に乳化し得る成分であればよい。
本発明の一態様で用いる界面活性剤(B)としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルフアオレフィンスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;非イオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる界面活性剤(B)としては、非イオン性界面活性剤(B1)を含むことが好ましい。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、界面活性剤(B)中の非イオン性界面活性剤(B1)の含有割合としては、当該飛散防止剤用原液中の界面活性剤(B)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。
本発明の一態様で用いる非イオン性界面活性剤(B1)のHLBは、好ましくは3.0〜18.0、より好ましくは5.0〜16.0、更に好ましくは7.0〜15.0、より更に好ましくは7.5〜14.0、特に好ましくは8.0〜13.0である。
なお、本明細書において、HLBは、グリフィン法により算出された値を意味する。
本発明の一態様で用いる非イオン性界面活性剤(B1)は、例えば、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルケニルアミン、ポリオキシアルキレンアリールアミン、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミド等のHLBが上記範囲の化合物が挙げられる。
なお、上記の列挙された非イオン性界面活性剤のオキシアルキレン鎖は、オキシエチレン又はオキシプロピレンであることが好ましい。
これらの中でも、非イオン性界面活性剤(B1)としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルから選ばれる1種以上の化合物(B11)であることが好ましく、下記一般式(b−1)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2021080136
前記一般式(b−1)中、Rは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基、もしくは、直鎖又は分岐鎖のアルケニル基である。
当該アルキル基及び当該アルケニル基の炭素数は、好ましくは4〜24であり、より好ましくは6〜20、更に好ましくは8〜18である。
また、p及びqは0以上の数であって、HLBが上述の範囲となるように適宜調整される。ただし、p+qは1以上であり、好ましくは1〜200である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、界面活性剤(B)の含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1.0〜12質量%、より更に好ましくは1.5〜10質量%、特に好ましくは2.0〜7.5質量%である。
<酸化防止剤(C)>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液に含まれる酸化防止剤(C)としては、例えば、アミン系酸化防止剤;フェノール系酸化防止剤;ホスファイト等のリン系酸化防止剤;三酸化モリブデン及び/又はモリブデン酸とアミン化合物とを反応させてなるモリブデンアミン錯体等のモリブデン系酸化防止剤;ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等の硫黄系酸化防止剤;等が挙げられる。
これらの酸化防止剤(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、本発明の一態様で用いる酸化防止剤(C)としては、アミン系酸化防止剤及びフェノール系酸化防止剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、少なくともフェノール系酸化防止剤(C1)を含むことがより好ましい。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、酸化防止剤(C)中の前記フェノール系酸化防止剤(C1)の含有割合としては、当該飛散防止剤用原液中の酸化防止剤(C)の全量(100質量%)に対して、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%、より更に好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは90〜100質量%である。
アミン系酸化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン、炭素数3〜20のアルキル基を有するアルキル化ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;α−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、炭素数3〜20のアルキル基を有する置換フェニル−α−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(C1)としては、酸化防止性能を有し、フェノール構造を有する化合物であればよく、単環フェノール系化合物であってもよく、多環フェノール系化合物であってもよい。
単環フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられる。
多環フェノール系化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
本発明の一態様で用いるフェノール系酸化防止剤(C1)としては、ヒンダードフェノール化合物(C11)が好ましい。ヒンダードフェノール化合物(C11)としては、一分子中に下記式(c)で表される構造を少なくとも一つ有する化合物であって、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
Figure 2021080136
(上記式中、*は結合位置を示す。)
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、乳化安定性をより良好とする観点から、界面活性剤(B)として、非イオン性界面活性剤(B1)を含み、且つ、酸化防止剤(C)として、フェノール系酸化防止剤(C1)を含むことが好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルケニルエーテルから選ばれる1種以上の化合物(B11)を含み、且つ、ヒンダードフェノール化合物(C11)を含むことがより好ましい。
上述のとおり、本発明の飛散防止剤用原液は、酸化防止剤(C)の含有量を前記原液の全量基準で0.5質量%以上に調製している。酸化防止剤(C)の含有量を0.5質量%以上とすることで、飛散防止剤組成物として、グラスウールやロックウール等に適用し、焼成した際にも、焼成温度を210℃超えの高温としても、焦げの発生を効果的に抑制することができる。つまり、従来の焼成温度をより高温化しても、優れた耐焦げ性を発現することができる。また、耐焦げ性を向上させつつも、原液安定性及び乳化安定性を良好に維持し得る飛散防止剤用原液とすることができる。
上記観点から、本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、酸化防止剤(C)の含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは1.0質量%超、より好ましくは1.5質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、特に好ましくは2.8質量%以上であり、また、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下、より更に好ましくは7.0質量%以下、特に好ましくは6.0質量%以下であり、つまり、好ましくは1.0質量%超10.0質量%以下、より好ましくは1.5〜9.0質量%、更に好ましくは2.0〜8.0質量%、より更に好ましくは2.5〜7.0質量%、特に好ましくは2.8〜6.0質量%である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、原液安定性及び乳化安定性を良好に維持しつつ、耐焦げ性をより向上させた飛散防止剤用原液とする観点から、界面活性剤(B)と酸化防止剤(C)の含有量比〔(B)/(C)〕としては、好ましくは0.05〜2.8、より好ましくは0.1〜2.3、更に好ましくは0.2〜2.0、より更に好ましくは0.35〜1.8、特に好ましくは0.5〜1.6である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、原液安定性及び乳化安定性を良好に維持しつつ、耐焦げ性をより向上させた飛散防止剤用原液とする観点から、非イオン性界面活性剤(B1)とフェノール系酸化防止剤(C1)の含有量比〔(B1)/(C1)〕としては、好ましくは0.05〜2.8、より好ましくは0.1〜2.3、更に好ましくは0.2〜2.0、より更に好ましくは0.35〜1.8、特に好ましくは0.5〜1.6である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、原液安定性及び乳化安定性を良好に維持しつつ、耐焦げ性をより向上させた飛散防止剤用原液とする観点から、前記化合物(B11)とヒンダードフェノール化合物(C11)の含有量比〔(B11)/(C11)〕としては、好ましくは0.05〜2.8、より好ましくは0.1〜2.3、更に好ましくは0.2〜2.0、より更に好ましくは0.35〜1.8、特に好ましくは0.5〜1.6である。
<乳化助剤(D)>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、さらに乳化助剤(D)を含有することが好ましい。乳化助剤(D)を含有することで乳化安定性をより向上させた飛散防止剤用原液とすることができる。
なお、乳化助剤(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる乳化助剤(D)としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸のアミン塩、重合脂肪酸等が挙げられる。
これらの中でも、本発明の一態様で用いる乳化助剤(D)は、重合脂肪酸(D1)を含有することが好ましい。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、乳化助剤(D)中の重合脂肪酸(D1)の含有割合としては、当該飛散防止剤用原液中の乳化助剤(D)の全量(100質量%)に対して、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%、より更に好ましくは90〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%である。
また、本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、乳化助剤(D)中の脂肪酸のアミン塩の含有割合は、当該飛散防止剤用原液中の乳化助剤(D)の全量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0.1質量%未満、特に好ましくは0.01質量%未満である。
重合脂肪酸(D1)を構成するモノマーとなる脂肪酸としては、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。
脂肪酸の炭素数としては、好ましくは12〜30、より好ましくは14〜24、更に好ましくは16〜20である。
飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、ペラルゴン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンニ酸等が挙げられる。
不飽和脂肪酸としては、例えば、ドデセン酸、ドコセン酸、オレイン酸、リノール酸、トール油脂肪酸、リシノール酸、リノレン酸、ウンデシレン酸、エライジン酸、エルカ酸等が挙げられ、また、リシノール酸(12−ヒドロキシオクタデカ−9−エノン酸)等のようなヒドロキシ不飽和脂肪酸も含まれる。
本発明の一態様で用いる重合脂肪酸(D1)は、飽和脂肪酸の重合体を含むことが好ましく、ヒドロキシ不飽和脂肪酸の重合体(D11)を含むことがより好ましい。
ヒドロキシ不飽和脂肪酸の重合体(D11)としては、以下の縮合脂肪酸(D11−1)及び(D11−2)の態様が挙げられる。
・ヒドロキシ不飽和脂肪酸の脱水重縮合物である縮合脂肪酸(D11−1)。
・ヒドロキシ不飽和脂肪酸の脱水重縮合物である縮合脂肪酸のアルコール性水酸基と、モノカルボン酸とを脱水縮合した縮合脂肪酸(D11−2)。
縮合脂肪酸(D11−1)及び(D11−2)のモノマーとなるヒドロキシ不飽和脂肪酸としては、リシノール酸を含むことが好ましい。
縮合脂肪酸(D11−2)を構成するモノカルボン酸としては、炭素数4〜30(好ましくは10〜24、より好ましくは12〜20)の脂肪族モノカルボン酸が好ましい。なお、脂肪族モノカルボン酸は、飽和脂肪族モノカルボン酸であってもよく、不飽和脂肪族モノカルボン酸であってもよい。
飽和脂肪族モノカルボン酸としては、上述の飽和脂肪酸として例示したもののうち飽和脂肪族モノカルボン酸に該当するものが挙げられ、不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、上述の不飽和脂肪酸として例示したもののうち不飽和脂肪族モノカルボン酸に該当するものが挙げられる。
なお、縮合脂肪酸(D11−2)としては、リシノール酸の脱水重縮合物のアルコール性水酸基とオレイン酸とを脱水縮合した縮合脂肪酸が好ましい。
本発明で用いる重合脂肪酸(D1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、更に好ましくは700以上、より更に好ましくは800以上、特に好ましくは900以上であり、また、好ましくは5000以下、より好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下、より更に好ましくは2500以下、特に好ましくは2000以下である。
なお、本明細書において、重合脂肪酸(D1)の重量平均分子量は、例えば、ゲル浸透クロマトグラフ装置(アジレント社製、「1260型HPLC」)を用いて、下記の条件下で、標準ポリスチレン換算にて測定することができる。
(測定条件)
・カラム:「Shodex LF404」を2本、順次連結したもの。
・カラム温度:35℃
・展開溶媒:クロロホルム
・流速:0.3mL/min
乳化助剤(D)の酸価としては、好ましくは0〜110mgKOH/g、より好ましくは10〜100mgKOH/g、更に好ましくは20〜90mgKOH/g、より更に好ましくは30〜80mgKOH/gである。
乳化助剤(D)の水酸基価としては、上記観点から、好ましくは0〜80mgKOH/g、より好ましくは0〜60mgKOH/g、更に好ましくは0〜40mgKOH/g、より更に好ましくは0〜20mgKOH/gである。
乳化助剤(D)の酸価と水酸基価との比〔酸価/水酸基価〕は、上記観点から、好ましくは1.5〜15、より好ましくは2.0〜10、更に好ましくは2.5〜9.5である。
なお、本明細書において、酸価は、JIS K2501:2003(指示薬光度滴定法)に準拠して測定した値を意味し、水酸基価は、JIS K0070:1992に準拠して測定した値を意味する。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、乳化助剤(D)の含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1〜15.0質量%、より好ましくは0.2〜12.0質量%、更に好ましくは0.3〜10.0質量%、より更に好ましくは0.5〜8.0質量%、特に好ましくは0.7〜6.0質量%である。
<金属系清浄剤(E)>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、さらに金属系清浄剤(E)を含有することが好ましい。金属系清浄剤(E)を含有することで、原液安定性及び乳化安定性をより向上させた飛散防止剤用原液とすることができる。また、金属系清浄剤(E)を含む飛散防止剤原液を希釈した飛散防止剤組成物は、断熱材や防音材を製造する過程で、グラスウールやロックウールに浸透させるバインダーとの相溶性を向上させ得るという性質もある。
本発明の一態様で用いる金属系清浄剤(E)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の一態様で用いる金属系清浄剤(E)を構成する金属原子としては、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子が好ましく、カルシウム、マグネシウム、バリウム又はナトリウムがより好ましく、カルシウム又はナトリウムが更に好ましい。
つまり、本発明一態様で用いる金属系清浄剤(E)は、カルシウム系清浄剤及びナトリウム系清浄剤から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
また、本発明の一態様で用いる金属系清浄剤としては、例えば、金属サリシレート、金属スルホネート、及び金属フェネート等が挙げられる。金属サリシレートとしては、下記一般式(e−1)で表される化合物が好ましく、金属スルホネートとしては、下記一般式(e−2)で表される化合物が好ましく、金属フェネートとしては、下記一般式(e−3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021080136
上記一般式(e−1)〜(e−3)中、Mは、金属原子であり、pは、当該金属原子Mの価数である。当該金属原子としては、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子が好ましく、カルシウム、マグネシウム、バリウム又はナトリウムがより好ましく、カルシウム又はナトリウムが更に好ましい。
Rは、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜18の炭化水素基である。
Rとして選択し得る炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖のアルケニル基、環形成炭素数3〜18のシクロアルキル基、環形成炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアルキルアリール基、炭素数7〜18のアリールアルキル基等が挙げられる。
また、上記一般式(e−3)中、yは、0以上の整数であり、好ましくは0〜3の整数である。
金属系清浄剤(E)の塩基価としては、好ましくは0〜600mgKOH/g、より好ましくは5〜500mgKOH/g、更に好ましくは10〜400mgKOH/gである。
なお、本明細書において、金属清浄剤(E)の「塩基価」は、JIS K2501「石油製品および潤滑油−中和価試験方法」の7.に準拠して測定される「過塩素酸法」による塩基価を意味する。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、金属系清浄剤(E)の金属原子換算での含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.010〜0.200質量%、より好ましくは0.015〜0.100質量ppm、更に好ましくは0.020〜0.070質量ppm、より更に好ましくは0.025〜0.050質量ppmである。
なお、本明細書において、金属原子の含有量は、JPI−5S−38−92に準拠して測定された値を意味する。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、酸化防止剤(C)の含有量(単位:質量%)と、金属系清浄剤(E)の金属原子換算での含有量(単位:質量%)との含有量比〔(C)/(E)〕は、原液安定性、乳化安定性及び耐焦げ性をバランス良く向上させると共に、グラスウールやロックウールに浸透させるバインダーとの相溶性を良好とする飛散防止剤の原液とする観点から、好ましくは20〜500、より好ましくは30〜400、更に好ましくは40〜300、より更に好ましくは50〜250、特に好ましくは70〜200である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、金属系清浄剤(E)の含有量は、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.1〜10.0質量%、より好ましくは0.2〜8.0質量%、更に好ましくは0.3〜6.0質量%、より更に好ましくは0.5〜4.5質量%である。
<他の各種成分>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分(A)〜(E)以外の他の各種成分をさらに含有してもよい。
そのような他の各種成分としては、例えば、油性剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
油性剤としては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、メチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、ポリアクリレート等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、トリアジン系防腐剤、アルキルベンゾイミダゾール系防腐剤等が挙げられる。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液において、これらの他の各種成分のそれぞれの含有量は、各成分の種類及び機能によって適宜設定されるが、当該飛散防止剤用原液の全量(100質量%)基準で、好ましくは0.001〜15質量%、より好ましくは0.005〜10質量%、更に好ましくは0.01〜5質量%である。
<飛散防止剤用原液の製造方法>
本発明の一態様の飛散防止剤用原液の製造方法としては、特に制限はなく、上述の成分(A)〜(C)、並びに、必要に応じて、成分(D)〜(E)及び他の各種成分を配合する工程を有する、方法であることが好ましい。各成分の配合の順序は適宜設定することができる。
〔飛散防止剤用原液の性状〕
本発明の一態様の飛散防止剤用原液の40℃における動粘度は、好ましくは50〜1000mm/s、より好ましくは100〜800mm/s、更に好ましくは150〜600mm/s、より更に好ましくは200〜500mm/s、特に好ましくは250〜450mm/sである。また、高引火点の飛散防止剤用原液とする観点から、当該飛散防止剤用原液の40℃における動粘度は、好ましくは250mm/s以上、より好ましくは260mm/s以上、更に好ましくは270mm/s以上、より更に好ましくは280mm/s以上、特に好ましくは290mm/s以上である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液の粘度指数は、好ましくは60以上、より好ましくは70以上、更に好ましくは80以上、より更に好ましくは90以上、特に好ましくは95以上である。
本発明の一態様の飛散防止剤用原液の引火点は、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上、更に好ましくは295℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは305℃以上である。
なお、本明細書において、引火点は、JIS K2265−4:2007(引火点の求め方−第4部:クリーブランド開放法)に準拠して、クリーブランド開放法により測定された値を意味する。
〔飛散防止剤組成物〕
本発明の飛散防止剤組成物は、上述の本発明の一態様の飛散防止剤用原液を、希釈水で希釈したものである。希釈水としては、特に制限は無く、例えば、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水等のいずれであってもよい。
本発明の一態様の飛散防止剤組成物の原液濃度としては、好ましくは1〜90体積%、より好ましく10〜80体積%、更に好ましくは30〜75体積%、より更に好ましくは40〜70質量%である。
なお、本明細書において、上記の「原液濃度」は、下記式から算出された値を意味する。
・「原液濃度(体積%)」=〔飛散防止剤用原液の体積量〕/[〔飛散防止剤用原液の体積量〕+〔希釈水の体積量〕]×100
〔飛散防止剤組成物の用途、飛散防止剤組成物の使用方法〕
本発明の好適な一態様の飛散防止剤組成物は、耐焦げ性に優れている。そのため、本発明の一態様の飛散防止剤組成物は、グラスウールやロックウール等の素材を焼成させて得られる断熱材や防音材の製造工程において、当該素材の周囲への飛散を防止し、バインダーを均一に浸透させ得る飛散防止剤として用いられることが好ましい。このような用途に用いた場合において、焼成温度が高温となっても、グラスウールやロックウールへの焦げの発生を効果的に抑制し得る。
このような本発明の飛散防止剤組成物の特徴を考慮すると、本発明は、下記〔1〕及び〔2〕も提供し得る。
〔1〕上述の本発明の一態様の飛散防止剤組成物を適用した、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種を含む、断熱材又は防音材。
〔2〕上述の本発明の一態様の飛散防止剤組成物を、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種に適用する、使用方法。
上記〔1〕及び〔2〕に記載の飛散防止剤組成物は、上述の本発明の一態様の飛散防止剤用原液を希釈水で希釈したものであり、当該飛散防止剤用原液の詳細は上述のとおりである。
また、上記〔1〕及び〔2〕に記載のグラスウール及びロックウールは、断熱材及び防音材を構成する素材として一般的に用いられるものを使用し得る。なお、本発明の一態様の飛散防止剤組成物は、耐焦げ性に優れているため、焼成温度を210℃超えの高温(好ましくは220℃以上、より好ましくは230℃以上、更に好ましくは240℃以上)とすることを要する、微細化されたグラスウール及びロックウールに対しても好適に使用し得る。
なお、上記〔1〕及び〔2〕において、本発明の一態様の飛散防止剤組成物をグラスウール及びロックウールへの適用方法としては、例えば、当該飛散防止剤組成物をグラスウール等への含浸、塗布、及びスプレー等による噴射による方法等が挙げられる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、各種物性の測定法は、下記のとおりである。
(1)動粘度及び粘度指数
JIS K2283:2000に準拠して測定及び算出した。
(2)HLB
グリフィン法により算出した。
(3)塩基価
JIS K2501:2003(過塩素酸法)に準拠して測定した。
(4)カルシウム原子の含有量
JPI−5S−38−92に準拠して測定した。
(5)引火点
JIS K2265−4:2007(引火点の求め方−第4部:クリーブランド開放法)に準拠して、クリーブランド開放法により測定した。
また、以下の実施例及び比較例での飛散防止剤用原液の調製に使用した各成分の詳細は以下のとおりである。
<基油>
・「ブライトストック」:パラフィン系原油を用いた蒸留後に蒸留塔の塔底に蓄積する残渣油を溶剤精製及び水素化精製をして得られたブライトストック。40℃動粘度=486.2mm/s、粘度指数=95。
・「GTL」:天然ガスからフィッシャー・トロプシュ法等により製造されるワックス(GTLワックス(Gas To Liquids WAX))を異性化することで得られる合成油(GTL)。40℃動粘度=43.75mm/s、粘度指数=143。
<界面活性剤>
・「非イオン性界面活性剤(1)」:ポリオキシエチレンオレイルエーテル、HLB=8.8。
・「非イオン性界面活性剤(2)」:ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、HLB=11.7。
<酸化防止剤>
・「ヒンダードフェノール系酸化防止剤」:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、分子量=526。
<乳化助剤>
・「重合脂肪酸」:リシノール酸を窒素気流下、200℃で加熱脱水縮合し、さらにオレイン酸を加え、加熱脱水縮合することにより得られた重合脂肪酸。リシノール酸/オレイン酸=85/15(モル比)、酸価=55.0mgKOH/g、水酸基価=6.9mgKOH/g、分子量=1020、平均重合度=3.39。
<金属系清浄剤>
・「Caスルホネート」:塩基価=23mgKOH/gのカルシウムスルホネート50質量%を、鉱油50質量%に溶解させた溶液。Ca原子の含有量=2.35質量%。
実施例1〜7、比較例1
表1に示す種類及び配合量にて、基油及び各種添加剤を配合して、飛散防止剤用原液をそれぞれ調製した。調製した飛散防止剤用原液について、動粘度、粘度指数及び引火点を測定又は算出すると共に、以下の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
(1)原液安定性
調製した飛散防止剤用原液の外観を目視で観察し、以下の基準により原液安定性を評価した。
・A:曇りや分離が生じておらず、透明である。
・F:曇り及び分離の少なくとも一方が確認される。
(2)乳化安定性
飛散防止剤用原液を水道水で希釈し、十分に撹拌して、原液濃度50質量%の飛散防止剤組成物を調製した。調製後24時間静置し、外観を目視で観察し、以下の基準により乳化安定性を評価した。
・A:油水分離が生じていない。
・F:油水分離が生じている。
(3)耐焦げ性
アルミカップの上に敷いた市販の細径グラスウール1g上に、上記(2)で調製した原液濃度50質量%の飛散防止剤組成物を約2g滴下した。次いで、恒温槽(株式会社二葉科学製、型番「DH−45A型」、回転テーブル付高温度恒温槽)にて210℃、220℃、230℃及び240℃のそれぞれの焼成温度にて30分間で焼成し、グラスウールの表面を目視で観察し、焦げの有無を確認した。そして、各焼成温度における耐焦げ性を、以下の基準により評価した。
A:焦げが確認されない。
F:焦げが確認される。
Figure 2021080136
表1より、実施例1〜7で調製した飛散防止剤用原液は、原液安定性が良好であった。また、これらの飛散防止剤用原液を希釈した飛散防止剤組成物においても、優れた乳化安定性を有し、焼成温度が210℃超えの高温となってもグラスウールへの焦げの発生を抑制し得る結果となった。
一方で、比較例1で調製した飛散防止剤組成物は、焼成温度が210℃を超えた場合にはグラスウールへの焦げが生じ、実施例1〜7に比べて、耐焦げ性が劣る結果となった。

Claims (15)

  1. 基油(A)、界面活性剤(B)及び酸化防止剤(C)を含有する、飛散防止剤を調製する原液であって、酸化防止剤(C)の含有量が、前記原液の全量基準で、0.5質量%以上である、飛散防止剤用原液。
  2. 前記原液の引火点が280℃以上である、請求項1に記載の飛散防止剤用原液。
  3. 前記原液の40℃における動粘度が、250mm/s以上である、請求項1又は2に記載の飛散防止剤用原液。
  4. 基油(A)が、ブライトストック(A1)を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  5. 界面活性剤(B)が、非イオン性界面活性剤(B1)を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  6. 酸化防止剤(C)の含有量が、前記原液の全量基準で、1.0質量%超である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  7. さらに乳化助剤(D)を含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  8. 乳化助剤(D)が、重合脂肪酸(D1)を含有する、請求項7に記載の飛散防止剤用原液。
  9. 重合脂肪酸(D1)の平均分子量が、300以上である、請求項8に記載の飛散防止剤用原液。
  10. 乳化助剤(D)中の脂肪酸のアミン塩の含有割合が、前記飛散防止剤用原液中の乳化助剤(D)の全量に対して、10質量%未満である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  11. さらに金属系清浄剤(E)を含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液。
  12. 金属系清浄剤(E)が、カルシウム系清浄剤及びナトリウム系清浄剤から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項11に記載の飛散防止剤用原液。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の飛散防止剤用原液を、希釈水で希釈してなる、飛散防止剤組成物。
  14. 請求項13に記載の飛散防止剤組成物を適用した、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種を含む、断熱材又は防音材。
  15. 請求項13に記載の飛散防止剤組成物を、グラスウール及びロックウールから選ばれる少なくとも1種に適用する、使用方法。
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