以下、本発明に係る電力変換装置、及び電力変換制御装置の実施の形態を、図を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の構成例を示す図である。この電力変換装置10は、供給する電力量が変動する電源に対応して、その電源から供給された電力の変換を行うものである。図1では、その電源として、計n個の熱電変換モジュールTMG1〜TMGnを直列に接続した熱電変換モジュール群TMGが電力変換装置10に接続されている。任意の1つの熱電変換モジュールには、符号として、「TMGz」を付すこととする。
図2は、1つの熱電変換モジュールの温度差により変化する発電特性例を説明する図であり、図3は、複数の熱電変換モジュールを直列に接続した熱電変換モジュール群の温度差により変化する発電特性例を説明する図である。図2及び図3ともに、横軸に電圧、左側縦軸に電流、右側縦軸に電力をそれぞれ採っている。図1の説明を行う前に、熱電発電モジュールTMGz、及び熱電発電モジュール群TMGの温度差により変化する発電特性について具体的に説明する。
図2において、201は、温度差が90度であった場合の熱電変換モジュールTMGzの電圧−電力特性を示している。同様に、202及び203は、それぞれ、温度差が80度、及び70度であった場合の電圧−電力特性を示している。また、205は、温度差が90度であった場合の熱電変換モジュールTMGzの電圧−電流特性を示している。同様に、206及び207は、それぞれ、温度差が80度、及び70度であった場合の電圧−電流特性を示している。
図3では、211は、温度差が90度であった場合の熱電変換モジュール群TMGの電圧−電力特性を示している。同様に、212及び213は、それぞれ、温度差が80度、及び70度であった場合の電圧−電力特性を示している。また、215は、温度差が90度であった場合の熱電変換モジュール群TMGの電圧−電流特性を示している。同様に、216及び217は、それぞれ、温度差が80度、及び70度であった場合の電圧−電流特性を示している。
熱電変換モジュールTMGz、及び熱電変換モジュール群TMGの発電量は、高温側と低温側との間の温度差の二乗に比例し、開放起電圧は、温度差に比例して変化する。温度差に応じた発電量の変化量は、図2及び図3に示すように、比較的に大きい。温度差は、設置環境の変化、温度差を発生させる熱源の状態等によって大きく変化することがある。そのため、想定できる最大の温度差に単に対応可能にする場合、その温度差に応じた高定格の電力変換装置を用意しなければならず、電力変換装置のコストが増大する。より具体的には、電力変換装置が大型化、高重量化、及び高価格化する。また、開放起電圧は、最大負荷点の電圧の2倍になる。このことから、電力変換装置には、比較的に高い定格電圧が求められる。
本実施の形態1では、電力変換装置10の定格電圧を超える入力電圧の変化に対して、定格電圧を超えないように供給電力の電圧を抑制するために、入力電流量を制御し、より幅広い入力電力量に対応させる。言い換えれば、供給電力の電圧値、或いは電流値に着目して、その供給電力を操作し、その操作によって得られる電力を変換して外部に供給する。そのような対応により、電力変換装置10としては、より低コストのものを使用することができる。このために、電力変換装置10のコストに対し、対応可能な入力電力量の範囲がより広くなる。また、電源である熱電変換モジュール群TMGが定格電力以上に発電した場合でも、定格内に抑制し変換した供給電力を外部に供給できる。
なお、本実施の形態1では、電源として熱電変換モジュール群TMGを電力変換装置10に接続しているが、電力変換装置10と接続する電源は、熱電変換モジュール群TMGに限定されない。これは、供給する電力が変動する電源は、熱電変換モジュール群TMG、及びそれを構成する熱電変換モジュールTMGzだけではないからである。例えば、特許文献1に記載の太陽電池も環境により、発電量が比較的に大きく変動する。
図1の説明に戻る。電力変換装置10は、図1に示すように、コンバータ1、インバータ2、マイクロコンピュータ3、ゲートパルス発生器4、2つの電圧センサ5及び6、2つの電流センサ7及び8を備えている。マイクロコンピュータ3は、本実施の形態1における制御部に相当し、本実施の形態1に係る電力変換制御装置として機能する。マイクロコンピュータ3は、以降「マイコン3」と略記する。
コンバータ1は、電圧の昇降圧が可能なコンバータであり、図1に示すように、2つの平滑用コンデンサCin及びCout、2つのスイッチ素子Q1及びQ2、2つのダイオードD1及びD2、インダクタLを備える。本実施の形態1では、スイッチ素子Q1は第1のスイッチ素子に相当し、スイッチ素子Q2は第2のスイッチ素子に相当する。2つのスイッチ素子Q1及びQ2は、共にIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
平滑用コンデンサCinは、熱電変換モジュール群TMGの両端の間に接続されている。それにより、平滑用コンデンサCinには、熱電変換モジュール群TMGが発生させた電圧が印加されて、熱電変換モジュール群TMGからコンバータ1に印加された電圧の平滑化を行う。
スイッチ素子Q1のコレクタは、平滑用コンデンサCinの正側の端子と接続されている。スイッチ素子Q1のエミッタは、ダイオードD1のカソード、及びインダクタLと接続されている。そのため、スイッチ素子Q1のオンオフ駆動により、熱電発電モジュールTMG群が発電により発生させた電力の供給、及び供給の遮断を行うことができる。スイッチ素子Q1は、主に、供給された電力の電圧を降圧させるためにオンオフ駆動される。
2つのスイッチ素子Q1及びQ2の各ゲートは、ゲートパルス発生器4と接続されている。そのため、2つのスイッチ素子Q1及びQ2は、ゲートパルス発生器4が発生するパルスにより、オンオフ駆動するようになっている。図1中に表記の「Q1_gate」及び「Q1_gate」は、それぞれ、スイッチ素子Q1及びQ2のゲートに供給されるオンオフ駆動用のパルス信号を表している。本実施の形態1では、PWM(Pulse Width Modulation)制御によりパルス信号をゲートパルス発生器4に発生させるようにしている。なお、2つのスイッチ素子Q1及びQ2は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等の別のパワーデバイスであっても良い。
インダクタLの他方は、スイッチ素子Q2のコレクタ、及びダイオードD2のアノードに接続されている。スイッチ素子Q2のエミッタは、2つの平滑用コンデンサCin及びCoutの負側の端子、ダイオードD1のアノード、及び熱電変換モジュール群TMGの負側にそれぞれ接続されている。そのため、スイッチ素子Q2のオンオフ駆動により、スイッチ素子Q1のオン駆動期間中での熱電変換モジュール群TMGの両端の短絡、及び短絡の解除が可能となっている。スイッチ素子Q2は、主に、供給された電力の電圧を昇圧させるためにオンオフ駆動される。
平滑用コンデンサCoutの一方の端子は、ダイオードD2のカソードに接続され、他方の端子は、スイッチ素子Q2のエミッタに接続されている。それにより、平滑用コンデンサCoutは、コンバータ1から出力として供給される電力の電圧の平滑化を行う。
平滑化コンデンサCinの両端、つまり熱電変換モジュール群TMGの両端には、電圧センサ5が接続されている。そのため、電圧センサ5は、電圧の検出結果として、平滑化コンデンサCinの両端間の電圧値を示す信号を出力する。ここでは、その電圧値を「入力電圧値Vin」と表記する。便宜的に、入力電圧値Vinは、電圧センサ5が出力する情報の意味でも用いる。同様に、電圧センサ6が出力する信号が示す電圧値は「出力電圧値Vout」、電流センサ7が出力する信号が示す電流値を「入力電流値IL」、電流センサ8が出力する信号が示す電流値を「出力電流値Iout」と表記する。電圧センサ5は、本実施の形態1における第1の電圧検出器に相当する。
平滑化コンデンサCoutの両端にも、電圧センサ6が接続されている。そのため、電圧センサ6は、平滑化コンデンサCoutの両端間の電圧値を示す信号を出力する。ここでは、その電圧値を「出力電圧値Vout」と表記する。電圧センサ6は、本実施の形態1における第2の電圧検出器に相当する。
電流センサ7は、インダクタLを流れる電流を検出し、検出した電流の値を示す信号を出力する。ここでは、その電流値を「入力電流値IL」と表記する。電流センサ8は、ダイオードD2を流れる電流を検出し、検出した電流の値を示す信号を出力する。ここでは、その電流値を「出力電流値Iout」と表記する。電流センサ7及び8は、それぞれ、本実施の形態1における第1の電流検出器、及び第2の電流検出器に相当する。
上記のような構成のコンバータ1は、直流(DC)−直流変換を行う変換回路である。インバータ2は、直流−交流変換を行う変換回路である。インバータ2は、図1に示すように、平滑化コンデンサCD、及びインバータ本体21を備えている。
平滑化コンデンサCDは、コンバータ1から印加される電圧の平滑化を行う。インバータ本体21は、平滑化コンデンサCDの両端に接続されている。このインバータ本体21は、例えば3つのハーフブリッジ、或いはフルブリッジを備えたものである。インバータ本体21によって交流に変換された電力が負荷に供給される。インバータ本体21の回路構成は、特に限定されない。
本実施の形態1では、上記のように、電力変換装置10は、コンバータ1及びインバータ2の2つの変換回路を備えている。しかし、変換回路としては、最低限、コンバータ1、つまり電圧の昇降圧が可能な変換回路を備えていれば良い。その変換回路は、電圧の昇降圧が可能なように、用途が異なる2種類のスイッチ素子をそれぞれ1つ以上、備えた構成となる。
マイコン3上には、図1に示すように、最大負荷抵抗設定部31、入力電力算出部32、制御状態判定部33、コンバータ状態判定部34、出力電圧制御部35、及び目標設定部36が実現されている。それにより、マイコン3は、本実施の形態1に係る電力変換制御装置として機能する。
最大負荷抵抗設定部31は、熱電変換モジュール群TMGの内部抵抗の合成値Roを設定する。合成値Roの設定は、外部からデータとして入力した値を合成値Roとして設定することで行っても良い。或いはスイッチ素子Q1及びQ2を共にオンさせて、その状態で得られた入力電圧値Vin及び入力電流値ILを用いて算出した値を合成値Roとしても良い。この場合、合成値Roは、Ro=Vin/IL−(Rq1+Rq2)、により算出することができる。Rq1、Rq2は、スイッチ素子Q1、Q2の各オン抵抗値である。これらオン抵抗値Rq1、Rq2は、合成値Roと比較して十分、小さいことから、無視しても良い。
入力電力算出部32は、最大負荷抵抗設定部31が設定した合成値Ro及び入力電圧値Vinを用いて、入力電力値Pinを算出する。入力電力値Pinは、例えばPin=Vin2/Ro、により算出することができる。この入力電力算出部32、及び最大負荷抵抗設定部31は、本実施の形態1における入力電力算出部に相当する。
本実施の形態1では、コンバータ1の定格を考慮し、コンバータ1を制御する上での複数の設定値を設けている。目標設定部36は、設けた複数の設定値を反映した制御を実現させるための構成要素である。目標設定部36は、各種設定値を示すデータを制御状態判定部33、コンバータ状態判定部34及び出力電圧制御部35に出力する。
図1には、目標設定部36により設定される設定値として、「Vco」「Vch」「VH」「IH」「Pco1」「Pco2」及び「PH」を表記している。それら設定値は、それぞれ以下のようなものである。
Vco、及びVchは、コンバータ1に生成させる電圧の制御に用いられる設定値である。Vchは、Vcoより大きい値であり、生成させる電圧の抑制制御を開始する電圧値を示す。以降、Vcoは「第1設定電圧値Vco」、Vchは「第2設定電圧値Vch」とそれぞれ表記する。第1設定電圧値Vco、及び第2設定電圧値Vchは共に、本実施の形態1における設定出力電圧値に相当する。より具体的には、第1設定電圧値Vcoは第1の設定出力電圧値、第2設定電圧値Vchは第2の設定出力電圧値にそれぞれ相当する。
VHも、例えばコンバータ1の定格を考慮して設定される電圧値であり、コンバータ1を保護する制御を開始する基準となる。それにより、熱電変換モジュール群TMGから供給された電力の変換は、その電力の電圧値がVH以下であることを条件に行われる。その電圧値がVHを越えた場合、コンバータ1に電力の変換は行わせない。つまり、コンバータ1は停止される。このようなことから、第1設定電圧値Vco、及び第2設定電圧値Vchを含め、それらの間の大小関係は、Vco<Vch<VH、となっている。以降、VHは「設定上限電圧値VH」と表記する。
上記のように、コンバータ1は、熱電変換モジュール群TMGから供給される電力の電圧の昇降圧を行う変換回路である。そのため、各設定電圧値Vco、及びVchは、コンバータ1に生成させる電圧の目標値となると共に、供給される電力の電圧に対する昇圧、及び降圧のうちの何れを行うべきかを判定するうえでの基準ともなる。設定上限電圧値VHは、供給される電力によって電力変換装置10が損傷する恐れから、供給される電力を遮断するか否かの判定に用いられる。
電力変換装置10は、過大な電流が供給された場合であっても損傷する。IHは、過大な電流の供給によって電力変換装置10を損傷させないために設定される電流値である。そのため、IHも設定上限電圧値VHと同様に、供給される電力を遮断するか否かの判定に用いられる。以降、IHは「設定上限電流値IH」と表記する。
電力は、電圧と電流の乗算によって求めることができる。電力は、電圧、及び電流の何れにも依存する。このことから、本実施の形態1では、入力電力値Pinは、コンバータ1の制御方法を選択する、言い換えれば制御方法を切り換えるために用いている。Pco1、Pco2及びPHは、何れも制御方法を選択するうえでの閾値となる電力値であり、例えば定格を考慮して設定される。
Pco1は、コンバータ1に供給される電力量から、制御方法を切り換えるために設定された閾値である。Pco2は、コンバータ1から出力させる電力量の上限として設定された閾値であり、例えば定格値である。PHは、過大な電力量の供給からコンバータ1を保護するために設定された閾値である。それらの間の大小関係は、Pco2<Pco1<PH、である。Pco2<Pco1、となっているのは、コンバータ1での損失等を考慮しているためである。以降、Pco1は「設定入力電力値Pco1」、Pco2は「設定出力電力値Pco2」、PHは「入力上限電力値PH」とそれぞれ表記する。
コンバータ1から供給させる電力の値は、例えば出力電圧値Voutに出力電流値Ioutを乗算することにより算出できる。設定出力電力値Pco2は、そのようにして得られる値と比較される。以降、その値は「出力電力値Pout」と表記する。
本実施の形態1では、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2以下に抑えるように、コンバータ1を制御する。そのために、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1、及び入力上限電力値PHとそれぞれ比較され、それらの比較結果に応じて、制御内容が切り換えられる。電力を供給する場合、基本的に、出力電圧値Voutが第1設定電圧Vcoになることを優先しつつ、出力電力値Poutを最大化することで、出力電力値Poutが設定出力電力値Pco2となるように制御する。入力電力値Pinが設定上限電力値PH以上であった場合、スイッチ素子Q1、Q2が共にオフとされる。それにより、コンバータ1は、停止され、供給される電力から保護される。
本実施の形態1では、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上となっている状況の場合、熱電変換モジュール群TMGに流れる電流を増大させることにより、入力電力値Pinを設定入力電力値Pco1以下に抑制する。熱電変換モジュール群TMGに流れる電流の増大は、第1及び第2のスイッチ素子Q1、Q2を共にオンする短絡期間をより長くすることで実現できる。結果、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2にそれぞれ維持したまま運転継続することができる。熱電変換モジュール群TMGを構成する各熱電変換モジュールTMGzの特性によると、電流値を大きくさせることで、電圧値を抑制することができる。以降、熱電変換モジュール群TMGから供給される電流の値は「入力電流値Iin」と表記し、入力電流値ILと区別する。
このように、本実施の形態1では、入力電力値Pinを設定入力電力値Pco1及び入力上限電力値PHと比較して、スイッチ素子Q1及びQ2を駆動するうえでの制御方法を状況に応じて変更し、出力電圧値Vout、及び出力電流値Ioutを制御する。入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上となる状況時では、入力電流値Iinを増大させ、入力電力値Pinを抑制する。このように入力電力値Pinを抑制するために電流を増大させるのは、入力電圧を増大させた場合、より高耐圧な部品を採用する必要があるからである。より高耐圧な部品ほど、サイズは大きくなる。そのため、部品に要求される耐圧を抑えることにより、コンバータ1、更には電力変換装置10をより小型化させることができる。
上記のような制御方法の動的な変更により、コンバータ1は、定格の範囲内で入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上となっても、一定の出力電圧値Vcoであり、且つ出力電力値Pco2となる電力を供給できる。以降、入力電流値Iinを増大させ、入力電力値Pinを抑制する制御を「入力電力抑制制御」、設定出力電力値Pco2を得ることを重視する制御を[最大電力制御」とそれぞれ表記する。保護のためにコンバータ1を停止させる制御は、「保護停止制御」と表記する。
熱電変換モジュールTMGzは、内部を流れる電流が大きくなるほど、自身の電気抵抗により発熱量も大きくなる。この内部発熱、及び通電に伴って生じるペルチェ効果は、熱電変換モジュールTMGzの温度差が小さくなる方向に作用する。その結果、熱電変換モジュールTMGzの発電量は抑制される。入力電流値Iinが大きくなるほど、熱電変換モジュールTMGzに流れる電流も大きくなる。電源として熱電変換モジュールTMGzを用いた場合、入力電力値Pinにおける電流値を、最大電力点での短絡電流の値の1/2よりも大きくすることで、熱電変換モジュールTMGzの発電電力量をより抑えられるという利点がある。この利点により、熱電変換モジュール群TMGが定格以上の電力を発生させた場合であっても、電流の制御によってその電力を定格電力内に抑制できる。この結果、電力変換装置10の大型化、製造コストもより抑制することができる。最大電力点での短絡電流の値は、以降「短絡電流値Is」と表記する。
制御状態判定部33は、入力電力算出部32から入力した入力電力値Pinを、設定入力電力値Pco1及び設定上限電力値VHと比較し、コンバータ1の現在の状態にとって望ましい制御方法を判定する。この判定により、起動制御、入力電力抑制制御、最大電力制御、及び保護停止制御のうちの1つが選択される。その判定結果は、コンバータ状態判定部34に出力される。コンバータ状態判定部34には、この判定結果の他に、入力電圧値Vin、出力電圧値Vout、出力電流値Iout、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、設定上限電圧値VH、設定出力電力値Pco1、Pco2、及び入力上限電力値PHが入力される。制御状態判定部33は、本実施の形態1における判定部に相当する。
本実施の形態1では、スイッチ素子Q1及びQ2のオンオフ駆動を行うモードを複数、設けている。コンバータ状態判定部34は、制御状態判定部33からの判定結果、入力電圧値Vin、入力電流値IL、出力電圧値Vout、出力電流値Iout、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、設定上限電圧値VH、設定入力電力値Pco1及び入力上限電力値PHを用いて、スイッチ素子Q1及びQ2のオンオフ駆動用のモードを選択する。この選択結果は、出力電圧制御部35に通知される。出力電圧制御部35には、他に、入力電圧値Vin、入力電流値IL、出力電圧値Vout、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、設定上限電圧値VH、設定上限電流値IH、設定出力電力値Pco1、Pco2、及び入力上限電力値PHが入力される。
出力電圧制御部35は、コンバータ状態判定部34が選択したモードでスイッチ素子Q1及びQ2を駆動する。制御状態判定部33、或いはコンバータ状態判定部34が保護停止制御を選択した場合、出力電圧制御部35は、スイッチ素子Q1及びQ2を共にオフさせる。保護停止制御が選択されていない場合、出力電圧制御部35は、スイッチ素子Q1及びQ2のうちの少なくとも一方をオン駆動させるか、或いはオンオフ駆動させる。スイッチ素子Q1及びQ2のうちの少なくとも一方をオンオフ駆動させる場合、出力電圧制御部35は、入力電圧値Vin、入力電流値IL、出力電圧値Vout、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、設定上限電圧値VH、設定上限電流値IH、及び設定出力電力値Pco2を参照してオン期間を決定する。オフ期間は、オン期間により自動的に決定される。ゲートパルス発生器4は、この決定に沿って出力電圧制御部35により駆動され、各スイッチ素子Q1及びQ2のゲートに出力すべき信号を生成する。本実施の形態1では、PWM制御の単位となる周期は一定としている。
スイッチ素子Q1及びQ2の各駆動内容は、モードにより変化する。スイッチ素子Q1は、保護停止制御の非選択時にはオンされるか、或いはオンオフ駆動される。スイッチ素子Q2は、保護停止制御の非選択時にはオン、オフ、或いはオンオフ駆動される。このようなことから、スイッチ素子Q1及びQ2は共に、保護停止制御の非選択時全体ではオンオフ駆動されることになる。スイッチ素子Q1及びQ2のうちでオンオフ駆動するスイッチ素子のオン期間、つまり各デューティ比は、出力電圧制御部35によって決定される。このようなことから、出力電圧制御部35、及コンバータ状態判定部34、及び制御状態判定部33は、本実施の形態1における制御部に相当する。
図4は、各スイッチ素子をオンオフ駆動するうえで設けられた各モード、及びその内容の例を説明する図である。図5は、各モードが設定される範囲の例を説明する図である。図5では、横軸に入力電圧値Vin、つまり熱電変換モジュール群TMGが発生させる電圧、縦軸に入力電力値Pin、つまり熱電変換モジュール群TMGから供給される電力量をそれぞれ採っている。それにより、図5は、入力電圧値Vin、及び入力電力値Pinによって選択される各モードの範囲を示している。図5では、縦軸に、設定入力電力値Pco1を1とした比を併せて示している。
図5に表記の「450W」は、設定入力電力値Pco1の具体例である。また、「350V」「450V」「540V」は。それぞれ、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、設定上限電圧値VHの具体例である。このような場合、設定出力電力値Pco2、入力上限電力値PHの各具体例は、例えば「440W」「540W」である。
図4に示すように、本実施の形態1では、スイッチ素子Q1及びQ2のオンオフ駆動するモードとして、モード1〜9を設けている。各モードは、行で分けることにより、モード毎に、そのモードが選択される条件内容を表記させている。各列には、異なる種類の条件内容、制御内容等を表記させている。
図4中、「スイッチ素子」を表記した欄を2分割した欄には「Q1」「Q2」をそれぞれ表記している。「Q1」「Q2」は、それぞれスイッチ素子Q1、Q2を表している。「Q1」「Q2」を表記した欄の列に表記の「ON」「OFF」「SW」は、それぞれ対応するスイッチ素子の駆動内容を表している。具体的には、「ON」「OFF」「SW」は、それぞれ、PWM制御の1周期内、常にオン、その1周期中、常にオフ、その1周期内でのオンオフ駆動、を表している。また、この列に「SW」と共に表記の「電流制御」「電圧制御」は、それぞれ、入力電力抑制制御のための電流の制御用、最大電力制御のための電圧の制御用のオンオフ駆動であることを示している。
動作状態は、コンバータ1の動作状態を意味している。「起動(高電圧)」「起動(低電圧)」「第1の昇圧」「バイパス」等は、何れも動作状態の一つを表している。「起動(高電圧)」「起動(低電圧)」は、起動時の入力電圧値Vinにより制御内容を異ならせることを示している。「START」「Bst」「BYP」等は、日本語表記の動作状態に対応するシンボルである。
「Pin」を表記した欄の列には、「制御状態判定部」が併せて表記されている。この列には、入力電力値Pinに応じて制御状態判定部33が判定する制御方法を示している。
「Vin」を表記した欄の列には、「コンバータ状態判定部」が併せて表記されている。この列には、入力電圧値Vinに対し、第1設定電圧値Vco、第2設定電圧値Vch、及び設定上限電圧値VHを用いたコンバータ状態判定部34による比較結果を示している。コンバータ状態判定部34は、この比較結果、及び制御状態判定部33が判定した制御方法から、モード選択を行う。
上記のように、最終的なモードは、通常、コンバータ状態判定部34によって確定される。例え入力電力値Pinが入力上限電力値PH未満であり、且つ入力電圧値Vinが設定上限電圧値VH以下であっても、入力電流値ILが設定上限電流値IHを越えている場合、コンバータ状態判定部34によってモード9が設定される。入力電力値Pinが入力上限電力値PH以上であった場合、制御状態判定部33は、保護停止制御を選択する。その選択により、入力電圧値Vinの値に係わらず、モード9が確定する。
「Vout」を表記した欄の列には、「出力電圧制御部」が併せて表記されている。出力電圧値Voutは、出力電圧制御部35によって制御される。このことから、この列には、出力電圧制御部35が出力電圧値Voutとして目標とする電圧値を示している。その列に表記の「Vout=0」は、出力電圧値Voutが「Vout=Vco」等は、基本的に、出力電圧制御部35が出力電圧値Voutとして目標とする電圧値を表している。「Vout≒Vin<Vch」は、出力電圧値Voutが第2設定電圧値Vch未満の範囲内で、出力電圧値Voutが入力電圧値Vinに応じて変動することを示している。出力電圧値Voutは、入力電圧値Vinと略等しい値である。そのため、ここでは出力電圧値Voutの目標値は存在せず、上限のみ存在する。
出力電力値Poutは、コンバータ1の制御結果として得られる値である。「Pout」「制御結果」を表記の欄の列には、モード毎に、出力電力値Poutの範囲、その出力電力値Poutを得るための入力電流値ILの変動内容を示している。例えばモード3で表記の「Pout<Pco2 IL減」は、出力電圧値Voutが第1設定電圧値Vcoに一致するように昇圧を行う結果、入力電流値ILをより減少させ、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2未満に抑えることを意味している。モード5で表記の「Pout≦Pco2 IL減」は、出力電圧値Voutを入力電圧値Vinに応じて変化させる結果、入力電流値ILは出力電圧値Voutの増大に伴い減少し、出力電圧値Poutは設定出力電力値Pco2以下に抑えられることを意味している。
上記各モードが選択される範囲は、図5に示すように、横軸に平行な一辺、及び縦軸に平行な一辺のうちの少なくとも一つと接している。範囲が接するモード間では、双方向で遷移が可能である。図5中に表記の矢印は、そのことを表している。
図5に表記の「a:Vin>VH」は、入力電圧値Vinが設定上限電圧値VHを越えることが条件aであることを表している。モード1或いはモード7の設定時、この条件aが成立した場合、モード9に遷移する。「b:IL>IH(3.0A)」は、入力電流値ILが、設定上限電流値IHとして設定された3.0Aを越えることが条件bであることを表している。モード8の設定時、この条件bの成立により、モード9に遷移する。この結果、入力電力値Pinが入力上限電力値PH未満であり、且つ入力電圧値Vinが設定上限電圧値VH以下であっても、入力電流値ILが設定上限電流値IHを越えている場合、モード9が設定される。「c:Pin≧PH」は、入力電力値Pinが入力上限電力値PH以上となることが条件cであることを表している。モード7或いはモード8の設定時、この条件cの成立により、モード9に遷移する。
以降、図6〜図9に示す各説明図も参照しつつ、各モードについて更に詳細に説明する。
モード1及び2は、コンバータ1の起動時に選択されるモードである。コンバータ1の起動時、入力電力値Pinは算出されていない。そのため、起動時には、制御状態判定部33によってモード1及び2が選択候補と判定される。コンバータ状態判定部34は、入力電圧値Vinによってモード1或いはモード2を選択する。入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vcoの1/2未満、つまりVin<0.5Vco、の関係が成立している場合、コンバータ状態判定部34は、モード2を選択する。その関係が成立せずに、0.5Vco≦Vin≦VH、の関係が成立している場合、コンバータ状態判定部34は、モード1を選択する。
1周期の間、モード1では、スイッチ素子Q1、Q2は常にオンとされ、モード2では、スイッチ素子Q1はオンオフ駆動、スイッチ素子Q2はオンとされる。この結果、モード1では、スイッチ素子Q2のオンにより、出力電力値Voutは0であっても、入力電流値ILは増大させるように操作される。モード2では、スイッチ素子Q2のオンにより、実際の出力電力値Voutは0であっても、スイッチ素子Q1のオンオフ駆動により、
入力電圧値Vinがより大きくなるように操作される。以降、特に断らない限り、スイッチ素子Q1、Q2の駆動内容は、1周期を想定した表現とする。
モード3は、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1未満であり、且つ入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vcoの1/2以上、第1設定電圧値Vco未満であった場合に選択される最大電力制御用のモードである。基本的にモード3では、昇圧により出力電圧値Voutが第1設定電圧値Vcoに一致させることを優先し、スイッチ素子Q1はオン、スイッチ素子Q2がオンオフ駆動される。昇圧により、入力電流値ILが増大し、入力電圧値Vinは低下するが、入力電力値Pinは増大する。
図6は、モード3の設定時におけるコンバータの各種状態例、及び各スイッチ素子の駆動内容例を説明する図である。ここでは、各種状態として、入力電圧値Vin、平滑化コンデンサCinの両端間電圧値、入力電流値Iin、入力電力値Pin、及び出力電圧値Voutの各時間変化例を示している。スイッチ素子Q1及びQ2のオンオフは、H(High)がオン、L(Low)がオフをそれぞれ表している。これらは、図7〜図9でも同様である。
熱電変換モジュール群TMGの開放起電圧は、スイッチ素子Q1をオフ状態としたときに得られる入力電圧値Vinに相当する。ここでは、以降、便宜的に開放起電圧は「開放起電圧Vin0」と表記する。
図4及び図6に示すように、モード3では、スイッチ素子Q1は常にオンとされ、スイッチ素子Q2はオンオフ駆動される。それにより、基本的には、出力電圧値Voutが第1設定電圧値Vcoとなるように維持される。図6では、平滑化コンデンサCoutにより平滑化された後の出力電圧値Voutを実線、平滑化される前の出力電圧値Voutを破線で示している。それにより、出力電圧値Voutは、模式的に示している。これは、図7〜図9でも同様である。
モード4は、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1未満であり、且つ入力電圧値Vinと第1設定電圧値Vcoとの間の差が狭い設定範囲内であった場合に選択される最大電力制御用のモードである。図4及び図7に示すように、基本的にモード4では、出力電圧値Voutが第1設定電圧値Vcoに一致するように、スイッチ素子Q1はオン、スイッチ素子Q2はオフ、或いはオンオフ駆動される。この結果、入力電圧値Vinに応じた昇降圧、つまり入力電圧値Vinの昇圧、或いは降圧が行われる。しかし、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに一致させても最大電力が得られないような場合、モード3と同様に、入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vcoより低い値になるように入力電流値ILを増大させて、最大電力が得られる最大電力点に追従させる制御が行われるとともに、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに昇圧させる制御が行われる。このモード4は、本実施の形態1における特有のモードである。
モード5は、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上であり、且つ入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vco以上、第2設定電圧値Vch未満であった場合に選択される入力電力抑制制御用のモードである。モード5では、スイッチ素子Q1はオン、スイッチ素子Q2はオフされる。そのため、出力電力値Poutが設定出力電力値Pco2以下の範囲内であり、且つ出力電圧値Voutが第2設定電圧値Vch未満であることを条件に、出力電圧値Voutは入力電圧値Vinに応じて変化する。この条件が成立しているか否かの判定は、コンバータ状態判定部34によって行われる。入力電流値ILは、入力電流値Iinに応じて変化する。入力電流値ILは、入力電流値Iinと略等しい値である。
モード6は、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1未満であり、且つ入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vco以上、第2設定電圧値vch未満であった場合に選択される最大電力制御用のモードである。図4及び図8に示すように、モード6では、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに一致させる降圧のために、スイッチ素子Q1はオンオフ駆動、スイッチ素子Q2はオフされる。それにより、入力電流値ILが増大し、入力電圧値Vinが低下して、最大電力点に近づき、入力電力値Pinを増加させることができる。
モード7は、入力電力値Pinが入力上限電力値PH未満であり、且つ入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vco以上、設定上限電圧値VH以下であった場合に選択される入力電力抑制制御用のモードである。図4及び図9に示すように、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上、且つ入力電圧値Vinが第2設定電圧値Vch以上となった場合、モード5からモード7に移行する。
モード7では、入力電圧値Vinを設定上限電圧値VH以下に抑制しつつ、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに一致させ、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2に維持させるように、スイッチ素子Q1はオン、スイッチ素子Q2はオンオフ駆動される。このような駆動により、入力電圧値Vinはより小さく、入力電流値ILはより大きくなるように操作される。このため、入力電圧値Vinを設定上限電圧値VH以下に抑制しつつ、出力電力値Poutも設定出力電力値Pco2付近を維持できる。
入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vco未満になるまで、入力電流値ILを増加させるように動作した場合、モード7からモード8に移行する。つまり、設定入力電力値Pco1以上で第2設定電圧値Vch未満では、モード5の選択が優先されるが、一度、入力電圧値Vinが第2設定電圧値Vch以上となると、モード5、及び8のうちの移行先は、モード8となる。入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1未満、且つ入力電圧値Vinが第2設定電圧値Vch未満になった場合、モード7からモード6に移行して、最大電力制御に切り替わる。
モード8は、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上であり、且つ入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vcoの1/2以上、第1設定電圧値Vco未満であった場合に選択される入力電力抑制制御用のモードである。モード8では、モード7と同様に、出力電圧値Voutを第1設定電圧値Vcoに一致させつつ、出力電力値Poutも設定出力電力値Pco2と一致させるように、スイッチ素子Q1はオン、スイッチ素子Q2はオンオフ駆動される。モード8は、モード7と比較し、想定する入力電圧値Vinが小さい。そのため、入力電力値Pinの設定入力電力値Pco1以下への抑制を図りつつ、入力電圧値Vinを第1設定電圧値Vcoに近づけるように、入力電流値ILが小さくなるように操作される。
図9では、1周期毎に、「第2降圧駆動」「第3昇圧駆動」を表記している。それにより、図9は、1周期毎に、第2降圧駆動→第3昇圧駆動→第3昇圧駆動、の順序でスイッチ素子Q1、Q2が駆動されることを表している。第2降圧駆動は、モード7でスイッチ素子Q1、Q2が駆動されることを表している。第3昇圧駆動は、モード8でスイッチ素子Q1、Q2が駆動されることを表している。それにより、図9は、モード7及びモード8の各設定時におけるコンバータの各種状態例、及び各スイッチ素子の駆動内容例を示している。
モード9は、停止させることでコンバータ1を保護するためのモードである。そのため、スイッチ素子Q1、Q2は共にオフとなる。
モード9は、入力電力値Pinが入力上限電力値PHを越える、入力電圧値Vinが設定上限電圧値VHを越える、或いは入力電流値ILが設定上限電流値IHを越える場合、無条件で選択される。
上記モード1〜9のうちからのモード選択は、上記のように、制御状態判定部33、及びコンバータ状態判定部34によって行われる。つまり、制御状態判定部33は、入力電力値Pinが0、或いは0に近い値であった場合、実行すべき制御は起動制御と判定する。このときのコンバータ状態判定部34での選択肢はモード1、及びモード2となる。Pin<Pco1の関係が成立している場合、制御状態判定部33は、実行すべき制御は最大電力制御と判定する。このときのコンバータ状態判定部34での選択肢は、モード3、4、6、及び9となる。Pco1≦Pin、より正確には、Pco1≦Pin<PHの関係が成立している場合、制御状態判定部33は、実行すべき制御は入力電力抑制制御と判定する。このときのコンバータ状態判定部34での選択肢は、モード5、7〜9となる。ただし、モード7は、上記のように、モード5の選択後の選択肢である。Pin≧PHの関係が成立している場合、制御状態判定部33は、実行すべき制御は保護停止制御と判定する。この判定により、モード9が確定する。
コンバータ状態判定部34は、制御状態判定部33が判定した制御方法に対応するモード範囲に限定し、入力電圧値Vin、或いは入力電流値ILからモード選択を行う。つまり、コンバータ状態判定部34は、起動制御が判定されていた場合、0.5Vch≦Vin≦VHの関係の成立により、モード1を選択する。同様に、Vin<0.5Vcoの関係の成立により、モード2を選択する。
最大電力制御が判定されていた場合、コンバータ状態判定部34は、0.5Vco≦Vin<Vcoの関係の成立により、モード3を選択する。同様に、コンバータ状態判定部34は、Vin≒Vcoの関係の成立によりモード4、Vco≦Vin<Vchの関係の成立によりモード6、Vin>VHの関係の成立によりモード9をそれぞれ選択する。モード9は、IL>IHの関係の成立によっても選択される。
入力電力抑制制御が判定されていた場合、コンバータ状態判定部34は、Vco≦Vin<Vchの関係の成立により、モード5を選択する。同様に、コンバータ状態判定部34は、モード5の選択時でのVch≦Vin<VHの関係の成立によりモード7、0.5Vco≦Vin<Vcoの関係の成立によりモード8、Vin>VHの関係の成立によりモード9をそれぞれ選択する。入力電力抑制制御が判定されていた場合であっても、モード9は、IL>IHの関係の成立によって選択される。
出力電圧制御部35には、コンバータ状態判定部34からモードの選択結果が出力される。その結果、出力電圧制御部35は、選択されたモードに従って、スイッチ素子Q1、及びQ2の駆動を行う。なお、スイッチ素子Q1及びQ2のオンオフ駆動を行ううえでのモードは、図4に示すようなものに限定されない。また、各モードの選択条件も、図4に示すようなものに限定されない。
次に、図10〜図12を参照し、コンバータ1が、温度差が90度以上で入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上になり、かつ開放起電圧Vin0が第2設定電圧値Vch以上になった場合の制御について、更に説明する。図10は、温度差に応じた出力電力の制御例を説明する図である。図11は、温度差に応じた出力電圧の制御例を説明する図である。図12は、温度差に応じた出力電流の制御例を説明する図である。図10〜図12共に、横軸に温度差を採っている。図10では、縦軸に電力、図11では、縦軸に電圧、図12では、縦軸に電流をそれぞれ採っている。
入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上になると、モード5に移行する。その後、さらに温度差が大きくなる場合は、入力電圧値Vinが設定上限電圧値VHを超えることを予防し、出力電力値Poutが設定出力電力値Pco2と等しくなるように動作を継続するために、入力電圧値Vinが第2設定電圧値Vchを超えると、モード7に移行する。モード7では、上記のように、入力電流値ILを大きくし、入力電圧値Vinを抑制する。この結果、入力電圧値Vinが第1設定電圧値Vco未満に抑制された場合、モード8に移行し、温度差が大きくなっても入力電力値Pinを設定入力電力値Pco1付近に維持する。
図10において、折れ線221は、入力電力値Pinが最大となるように制御した場合の温度差−電力特性例を示し、折れ線222は、入力電力値Pinを抑制し、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2に一致させた場合の温度差−電力特性例を示している。それにより、折れ線222は、本実施の形態1に相当するケースを表している。本実施の形態1では、図10に示すように、入力電力値Pinが設定入力電力値Pco1以上となった場合、出力電力値Poutを設定出力電力値Pco2以下に維持できる範囲で入力電力値Pinを抑制している。
図11において、折れ線231は、スイッチ素子Q1をオフさせている場合の温度差−入力電圧特性例を示している。折れ線232は、入力電圧値Vinが開放起電圧Vin0の1/2になるように制御した場合の温度差−入力電圧特性例を示している。折れ線233は、折れ線232のケースより大きい電圧を発生させる場合の温度差−入力電圧特性例、折れ線234は、折れ線232のケースより小さい電圧を発生させる場合の温度差−入力電圧特性例をそれぞれ示している。
図10では、入力電力値Pinを抑制していると説明したが、その実現例として、図11の折れ線233は入力電流を抑制した場合、折れ線234は入力電圧を抑制した場合の温度差―入力電圧特性を示している。図11では折れ線234が、入力電圧抑制制御を行った場合に得られる特性であり、図10の折れ線222に対応して、本実施の形態1での操作内容を示している。
図12において、折れ線241は、スイッチ素子Q1、Q2を共にオンさせて熱電変換モジュール群TMGの両端を短絡させた場合の温度差−電流特性例を示している。折れ線242は、入力電流値ILが短絡電流値Isの1/2になるように制御した場合の温度差−電流特性例を示している。図10では、入力電力値Pinを抑制していると説明したが、その実現例として、図12の折れ線243は入力電流を抑制した場合、折れ線244は入力電圧を抑制した場合の温度差―電流特性を示している。図12では折れ線244が、入力電圧抑制制御を行った場合に得られる特性であり、図10の折れ線222に対応して、本実施の形態1での操作内容を示している。
図10〜図12において、折れ線232及び242は、同じケースで最大電力制御を行った場合の異なる特性の変化を示している。その最大電力制御から、温度差に伴って変化する入力電力値Pin、入力電圧値Vinにより、入力電圧を抑制する入力電力抑制制御に切り換えるようにした場合、各特性は、折れ線222、234、及び244に示すように変化する。そのため、折れ線222では、図11の折れ線234に示すように、温度差が90度を超える状況時には温度差が大きくなるほど、入力電圧値Vinを抑制することで、入力電力値Pinを定格内に保っている。このときコンバータ1は、昇圧動作を行い、出力電圧値Voutは第1設定電圧値Vcoを保っている。入力電流を抑制するようにした場合には、各特性は、折れ線222、233、及び243に示すように変化する。
図10〜図12に示すように、本実施の形態1では、設定入力電力値Pco1より入力電力値Pinが小さい領域の場合、入力電力値Pinを最大化する。Pin≧Pco1となる領域では、入力電流値ILが増加すると、入力電圧値Vinが低下する熱電変換モジュールTMGzの特性を利用して、入力電力値Pinを抑制する。このようにして、設定入力電力値Pco1より大きい発電量を熱電変換モジュールTMGが発生させる状態であっても保護停止させることなく、コンバータ1の定格に近い出力電力値Poutを維持させることができる。
図10〜図12に示す例では、モード7には、温度差が90度以上となることで移行する。最大電力制御から入力電力抑制制御に切り換わった後のモード7への移行により、入力電圧値Vinは、入力電流値ILをより大きくさせる操作が行われ、温度差が大きくなるほど大きくはならない。この結果、折れ線222、234、及び244に示すような特性の変化が発生することになる。