以下、本発明の実施形態に係る太陽光発電システムその制御方法ならびに電圧制御ユニットについて、図面を用いて詳細に説明する。
まず、本実施形態の基本構成および基本制御について説明する。太陽光発電システムは、互いに並列に接続されている、第1太陽電池(例えば、太陽電池素子、太陽電池ストリング、太陽電池モジュールまたは太陽電池アレイとすることができる。)と該第1太陽電池よりも最大出力電力が小さい第2太陽電池(例えば、太陽電池素子、太陽電池ストリング、太陽電池モジュールまたは太陽電池アレイとすることができる。)とを、MPPT制御を行なうパワーコンディショナを介して商用電力系統に系統連系させるためのものである。ここで、前記第2太陽電池と前記パワーコンディショナとの間には、前記第2太陽電池の出力に対してMPPT制御を行なう電圧制御ユニットを接続しており、この電圧制御ユニットは、この電圧制御ユニットでMPPT制御された出力電圧V0が前記第1太陽電池の出力電圧よりも低い場合に、前記出力電圧V0から前記第1太陽電池の出力電圧まで上げた昇圧電圧Vuを前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行なう。そしてその後、前記出力電圧V0が所定時間以上同一電圧である場合に、前記出力電圧V0から所定電圧分だけ下げた降圧電圧Vdを基に前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行なうものである。
ここで、上記電圧制御ユニットは、太陽電池(例えば、太陽電池素子、太陽電池ストリング、太陽電池モジュールまたは太陽電池アレイ)とパワーコンディショナとの間に設けられて、前記太陽電池の出力に対してMPPT制御を行なう電圧制御ユニットであって、MPPT制御された出力電圧V0が比較用電圧よりも低い場合に、前記出力電圧V0から前記比較用電圧まで上げた昇圧電圧Vuを前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行ない、その後、前記出力電圧V0が所定時間以上同一電圧である場合に、前記出力電圧V0から所定電圧分だけ下げた降圧電圧Vdを基に前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行なうものでよい。
また、上記太陽光発電システムの制御方法は、互いに並列に接続されている、第1太陽電池と該第1太陽電池よりも最大出力電力が小さい第2太陽電池とが、パワーコンディショナに接続されている太陽光発電システムの制御方法であって、以下の2つのステップを有する。すなわち、前記第2太陽電池の出力に対してMPPT制御を行ない、MPPT制御された出力電圧V0が前記第1太陽電池の出力電圧よりも低い場合に、前記出力電圧V0から前記第1太陽電池の出力電圧まで上げた昇圧電圧Vuを前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行なう第1ステップと、該第1ステップの後に、前記出力電圧V0が所定時間以上同一電圧である場合に、前記出力電圧V0から所定電圧分だけ下げた降圧電圧Vdを基に前記パワーコンディショナ側への供給電圧とする電圧制御を行なう第2ステップとを有している。
以下に具体的な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1に示す太陽光発電システム11の概要について説明する。太陽光発電システム11は、互いに並列に接続されている、第1太陽電池である第1太陽電池ストリング2Aと第1太陽電池ストリング2Aよりも最大出力電力が小さい第2太陽電池である第2太陽電池ストリング2Bとを、MPPT制御を行なうパワーコンディショナ6を介して商用電力系統3に系統連系させるためのものである。
そして、第2太陽電池ストリング2Bとパワーコンディショナ6との間に、第2太陽電池ストリング2B出力電圧を制御してパワーコンディショナ6への供給電圧とする電圧制御ユニット1を備えており、この電圧制御ユニット1は、第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧よりも第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧が低い場合に、前記供給電圧を第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧まで上げる昇圧制御を行ない、その後、第2太陽電池ストリング側が単独昇圧運転になっていると判定したら、電圧制御ユニット1の供給電圧を下げる制御を行なう。
ここで、電圧制御ユニット1は、第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御の電圧値を下げる(該電圧値を作るための指令値を下げる)ことで前記供給電圧を下げる制御を行なう。このMPPT制御の電圧値は、一気に大きく下げてもよいし、小さな値で段階的に下げてもよい。このように電圧値を下げることによる前記供給電圧を下げる制御方法であれば、第2太陽電池ストリング2Bの発電状況が良好で昇圧制御の停止のみで電圧が下げられない場合にも容易に電圧を下げることができる。また、電圧制御ユニット1は、前記供給電圧を下げた後、供給電圧を段階的に上げていき最終的に第1太陽電池ストリング2Aの供給電圧と同一電圧にあわせる。
このように、太陽光発電システム11の制御方法は、互いに並列に接続されている、第1太陽電池ストリング2Aと第1太陽電池ストリング2Aよりも最大出力電力が小さい第2太陽電池ストリング2Bとが、MPPT制御を行なうパワーコンディショナ6に接続されている制御方法であって、第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧よりも第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧が低い場合に、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧まで上げてパワーコンディショナ6への供給電圧とする昇圧制御を行なう第1ステップと、この第1ステップの後に、第2太陽電池ストリング側が単独昇圧運転になっていると判定したら、電圧制御ユニット1の供給電圧を下げる制御を行なう第2ステップとを有する。
また、電圧制御ユニット1は、第2太陽電池ストリング2Bとパワーコンディショナ6との間に設けられて、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を制御してパワーコンディショナ6への供給電圧とするものであって、第2太陽電池ストリング2Bの出力を最大電力値にする第2MPPT制御回路7と、前記第2MPPT制御回路7の後段に電気的に直列に配置されて昇圧動作を行なう昇圧制御回路8とから構成され、第2太陽電池ストリング側が単独昇圧運転になっていると判定したら、電圧制御ユニット1の供給電圧を下げる制御を行なうものである。
さらに、本実施形態では、第1太陽電池ストリング2Aの出力と、第2太陽電池ストリング2Bの電圧制御ユニット1を通した出力は、接続箱10で並列接続されており、第1太陽電池ストリング2Aの出力側には逆流防止ダイオード9が配置されている。接続箱10で並列接続された各太陽電池の出力はパワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5でMPPT制御される。第1MPPT制御回路及び第2MPPT制御回路の詳細については後述する。
以上のように構成されている太陽光発電システム11では、パワーコンディショナ6の交流出力は、商用電力系統3側に供給されるとともに、交流負荷4側にも供給されて消費される。
次に、太陽光発電システム11における各構成の詳細について説明する。まず、複数の太陽電池ストリング2について説明する。太陽電池ストリング2を構成する第1太陽電池ストリング2Aおよび第2太陽電池ストリング2Bは、それぞれ互いに直列に接続された複数の太陽電池素子または互いに直列に接続された太陽電池モジュールを有している。本実施形態では、第2太陽電池ストリング2Bにおける太陽電池素子または太陽電池モジュールの数は、第1太陽電池素子2Aにおける太陽電池素子または太陽電池モジュールの数よりも少ない。換言すれば、第2太陽電池ストリング2Bにおける最大発電容量(最大出力電力)は、第1太陽電池ストリング2Aにおける最大発電容量(最大出力電力)よりも小さい。このような第1太陽電池ストリング2Aおよび第2太陽電池ストリング2Bは、互いに並列に接続されている。なお、これら太陽電池ストリング2を構成する太陽電池素子としては、バルク型の太陽電池素子または薄膜型の太陽電池素子等の各種太陽電池素子を用いることができる。
次に、パワーコンディショナ6について説明する。パワーコンディショナ6は、上述したように、複数の太陽電池ストリング2の発電電力を交流電力に変換する電力変換装置である。パワーコンディショナ6としては、出力側に家電製品などの交流負荷を接続して商用電力系統と連系して負荷に電力を供給する系統連系型を用いることができる。
パワーコンディショナ6は、DC/DC変換部およびインバータ部等を含むが簡単のためこれらを図示しない。DC/DC変換部は、特に限定されないが、例えば、スイッチング素子と、コンデンサと、リアクトルと、ダイオードとを備えている。DC/DC変換部は、太陽電池ストリング2で発電した直流電力から200〜300Vの直流電圧を作りインバータ部へ供給する。このDC/DC変換部としては、入力電圧の変化に対応して出力電圧を調節できるように、スイッチング素子を変換電圧に応じてパルスのデューティをコントロールするPWM方式によって制御するものが望ましい。また、インバータ部は直流電力を交流電力に変換するものである。
インバータ部は、例えば、トランジスタ、FETまたはトライアック等を用いたブリッジ回路によって直流をスイッチングして交流に変換するスイッチング部と、スイッチング部のスイッチング周波数およびデューティをコントロールする周波数制御部と、スイッチングによって交流化された電力波形を商用電力系統の交流波形に近い曲線に鈍らせるフィルター回路とで構成される。フィルター回路は、リアクトルと呼ばれるコイルとコンデンサが組み合わされたもので、高周波成分除去フィルターとして機能する。
本実施形態では、パワーコンディショナ6はMPPT制御される。すなわち、パワーコンディショナ6は、第1太陽電池ストリング2Aを最大出力電力で動作させるMPPT(最大電力点追従(Maximum Power-Point Tracking))制御回路5が設けられている。MPPT制御回路の詳細については後述するが、パワーコンディショナ6の入力側電圧は図6の波形のように脈動が観測される。この脈動波形は、主にMPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点となる最適動作電圧を確認するために動作電圧値を増減させていることによって生じたものである。すなわち、その振幅や周期(周波数)は、パワーコンディショナ6の設計思想によって異なる値を有する。
なお、このMPPT制御回路5によるMPPT制御における振幅および周期(周波数)は、例えば、電圧変動幅は2〜6V、変化周期は6秒〜12秒周期などである。本実施形態では、例えば電圧変動幅が4V、変化周期が10秒のMPPT制御を行なってもよい。この場合、例えば、第1太陽電池ストリング2Aの最適出力電圧が200Vであるとすると、脈動電圧検知回路8の演算素子が8ビットのCPUであれば、0.78Vの分解能があるので、4Vの電圧変動を十分に検出することが可能である。
次に、電圧制御ユニット1について説明する。電圧制御ユニット1は、上述したように、第2太陽電池ストリング2Bの出力側とパワーコンディショナ6の入力側の間に設けられている。本実施形態では、パワーコンディショナ6の入力端子は接続箱10を介して電圧制御ユニット1に接続されており、電圧制御ユニット1は第2太陽電池ストリング2Bと接続箱10との間に設けられている。
電圧制御ユニット1はMPPT制御回路と昇圧制御回路で構成される。図3に示すように第2MPPT制御回路7は、分圧回路13で第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を、電流センサ16で出力電流を測定し、制御部12で電力を計算する。制御部12はスイッチング素子14をスイッチングさせることで第2太陽電池ストリング2Bの入力電圧および電流をスイッチングのデューティを変更することで調整しており、この電圧値がMPPT制御の動作電圧である。デューティを変更して電圧を増減させると電力が増減するので、この電力が最大値となった動作電圧点が最大出力動作点(最大出力点)である。以降、この動作電圧を作り出す制御部12がスイッチング制御するための値(デューティ比の値、もしくは目標とする電圧値)を指令値と称することとする。このように、第2MPPT制御回路7は第2太陽電池ストリング2Bを最大電力点で発電が行なわれるように制御するものである。本実施形態においては前述した制御部12の指令値を強制的に変更させる指令部30を有しており、制御部12が行なうMPPT制御の値を指令部30から与えられたデューティ比の値、もしくは目標とする電圧値に置き換えてMPPT制御させるものである。なお、指令部30は指令値の変更の必要があるかを制御部12から電流・電圧のデータを取得して判定する。この判定方法の詳細については後述する。
図4は昇圧制御回路8のブロック構成図である。昇圧制御回路8は電圧昇圧のためのスイッチング素子22と、スイッチング素子22をスイッチングする昇圧制御部20と、コイル17と、コンデンサ24とから構成される。そして、入力側電圧の測定部(不図示。電圧測定部13)と、出力側電圧を測定する電圧測定部23を設け、出力電圧を決定する昇圧比を算出する情報を昇圧制御部20に入力する。上述したMPPT制御回路と組み合わせて構成される場合が多いので、この場合であればコンデンサ15やコイル17および昇圧制御回路8は第2MPPT回路7の部品と兼用すれば部品削減が可能である。なお、本実施例においては、昇圧制御部20への入力電圧の情報を第2MPPT制御回路7の電圧測定部13から得ることとしている。
昇圧制御部20は電圧測定部13から第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧の情報を、電圧測定部23から昇圧出力側の電圧の情報を基に昇圧比を計算し、目的の出力電圧になるようスイッチング素子22にスイッチングのデューティ(スイッチングのON時間と周期)を決定し信号を送る。スイッチング素子22はその信号に従ってスイッチングを行ない、コンデンサ15とコイル17とダイオード26によって電圧の昇圧が行なわれる。コンデンサ24は出力安定用に配置される。なお、例えば第2MPPT制御回路7の電流センサ16の情報を電圧制御部20に入力して過電流が流れたときには昇圧動作を停止するといったセーフティ機能を持たせてもよい。
以上述べたように、電圧制御ユニット1は、MPPT制御回路7と昇圧制御回路8とから成り、第1太陽電池ストリング2Aの最大出力電力の電圧よりも第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧が低い場合に、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を第1太陽電池ストリング2Aの最大出力電力の電圧まで高めて供給電圧として出力する機能を有する。すなわち、1つのパワーコンディショナ6に互いに並列に接続された複数の太陽電池ストリング2のうち、最大発電容量(最大出力電力)がより少ない第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を第1太陽電池ストリング2Aの最大出力電力の電圧まで高めて出力する機能を有する。
具体的な例として図2に基本的なMPPT制御の制御フローチャートを示す。以下、制御フローチャートの詳細について説明する。STEP1で電圧制御ユニット1は、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧V7と電流I7を測定して、STEP2で電力P7を計算し、STEP3でV7の電圧をΔ8[V]増やし、STEP4で第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧V8と電流I8を測定して得た電力P8がP7よりも増加しているか判定する。もし、電力が増加していればP7は最大電力点ではないのでSTEP6で最大電力点の電圧をV8に置き換える。もし、電力が減少もしくは変化なければSTEP7で電圧V7をΔV9[V]減らして、STEP8で出力電圧V9と電流I9から電力P9がP7よりも増加しているか判定し、電力が増加していればSTEP10で最大電力点の電圧をV9に置き換える。なお、ΔV8とΔV9はV7を中心値として同じ値を増減するのが一般的であるが、細やかな制御を目的として増減幅を異なるものにする場合もある。STEP9で電力P9が減少もしくは変化なければ最大電力点の電圧をV7に戻してSTEP1に戻る。本実施形態では電圧制御ユニット1とパワーコンディショナ6にそれぞれ第2MPPT制御回路7と第1MPPT制御回路5を設けており、第2MPPT制御回路7は第2太陽電池ストリング2Bの出力のみをMPPT制御し、第1MPPT制御回路5は第1太陽電池ストリング2Aの供給電力と電圧制御ユニット1からの供給電力の合成電力に対してMPPT制御を行なう。なお、このとき電圧制御ユニット1の昇圧制御回路8は昇圧動作してもしなくても影響ない。
一般に、電圧制御ユニット1を用いて第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧にまで昇圧する場合、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を何倍に昇圧するかがポイントになる。電圧制御ユニット1の構造にもよるが、例えば、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を一定電圧に昇圧して出力すると、第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧は、電圧制御ユニット1によって昇圧された第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧よりも高い電圧になるまで、パワーコンディショナ6に発電電力を供給することができない。この状態を単独昇圧運転というが、P7が最大電力点であると判定(図中STEP9でNo判定の場合)されたとき、実際には第1太陽電池ストリング2Aではなく第2太陽電池ストリング2Bの最大電力値が、2つの太陽電池を合成した電力の最大電力値であると誤認された単独昇圧運転の状態の場合がある。このような状態の場合、第1MPPT制御回路5の動作および第2MPPT制御回路7の動作が干渉し合って最大電力と判定した電圧点が移動しなくなり、正常な合成最大電力が得られなくなるだけでなく、その影響で昇圧動作も昇圧電圧が移動しなくなる状態が生じ、いずれかの太陽電池の出力が極端に低下しない限り正常なMPPT制御状態に復帰できず、発電電力量の損失が生じるといった問題がある。例えば日射急変による電圧変動程度では発電電流は大きく低下するが、電圧は小さな低下しかせず、自己回復ができない。
そこで、本実施形態では、第2MPPT制御回路7の最大電力点の判定において、最大電力点の動作電圧が所定の電圧範囲内の変動が所定時間継続した場合、第2MPPT制御回路7の動作電圧(MPPT制御電圧)を下げて干渉のバランスを崩し、第1MPPT制御回路5の動作電圧が第1MPPT制御回路5自身のMPPT制御によって上昇できるようにして電圧制御ユニット1が単独運転状態になることを抑制できる。
また、自動的に第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧に最大電力点を修正できるので、電圧制御ユニットの出力電圧の昇圧比を第1太陽電池ストリング2Aの開放電圧よりも大きくしておいて第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧に自動的に電圧が降下して合わせるような自動電圧調整方式とすることも可能であり、出力電圧を何倍にするかの昇圧比の設定を現場で作業者が太陽電池素子または太陽電池モジュールの枚数および電圧規格に基づいて最適電圧を計算する必要がなく、ロータリースイッチ等を手動で設定する必要もなく、その際の計算ミスおよび作業ミス等によるトラブルも生じないので、信頼性が高く、施工が容易で、且つ複数の太陽電池ストリングによる効率的な電力変換が可能な太陽光発電システムを提供できる。
なお、第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧を昇圧する電圧制御ユニット1の出力電圧値(昇圧比)は、例えば、パワーコンディショナ6の入力運転電圧範囲であって、且つその入力運転電圧範囲の最大定格値以下とするのがよい。これにより、最大定格以上の電圧をパワーコンディショナに入力して破損を回避できる。住宅用パワーコンディショナの入力運転電圧範囲の一例としては、例えば150V〜300Vが挙げられる。また、産業用パワーコンディショナ等では、入力運転電圧範囲の上限値が600Vを超えるものもあり、本実施形態では、種々のパワーコンディショナを用いることができる。
なお、本実施形態における所定の電圧範囲内の変動が所定時間継続した場合、第2MPPT制御回路7の動作電圧(MPPT制御電圧)を下げる制御についての詳細、本実施形態における電圧制御ユニット1による第2太陽電池ストリング2Bの昇圧動作、およびその際の各太陽電池ストリングの電圧プロファイルについての詳細は後述する。
なお、「パワーコンディショナの入力運転電圧範囲」とは、JIS C8960に規定されているように、「出力電圧、周波数などの定格緒量を満足し、安定に運転できる直流入力電圧の範囲」であり、換言すれば、「パワーコンディショナが安定に運転できる直流入力電圧範囲」のことである。
本実施形態では、MPPT制御回路5を含むパワーコンディショナ6を例示したが、パワーコンディショナ6の構成は特にこれに限定されない。例えば、パワーコンディショナ6の主要回路部とは別にMPPT制御回路5を設けてもよい。
次に、図5を用いて、第1実施形態に係る太陽光発電システム11における第2MPPT制御回路7の動作電圧(MPPT制御電圧)を下げる制御について詳細に説明する。
例えば、本実施形態において日射が十分あって第1太陽電池ストリング2Aと第2太陽電池ストリング2Bが正常に発電を行ない、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力が電圧制御ユニット1で昇圧された電圧でパワーコンディショナ6に給電されている場合の、第1太陽電池ストリング2Aの系統の最大電力点Vm8と第2太陽電池ストリング2Bの系統の最大電力点Vm6の合成電力の最大電力点はVm14となり、このときのパワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5の動作電圧(MPPT制御電圧)はV8[V]である。
ここで、もし第1太陽電池ストリング2Aの一部に影が落ちる等の要因で発電電圧が低下すると、最初は第2太陽電池ストリング2B側の昇圧後の電圧も第1太陽電池ストリング2A側の電圧に合わせて昇圧電圧を低下させるが、昇圧比が1倍を下回る電圧まで低下すると合成電力の最大電力点が複数(本例では第1太陽電池ストリングと第2太陽電池ストリングの2箇所)現われ、パワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5は第2太陽電池ストリング2B側に最大電力があるとして動作点をVm6’(第2太陽電池ストリング2Bの、MPPT制御されているが昇圧はされない出力電力)に移動させてMPPT制御を継続する。この状態になると、影等の影響が解消され第1太陽電池ストリング2Aの発電状態が復帰しても、パワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5が最大電力点Vm6’の動作電圧V6[V]でMPPT制御を行なおうとするため、第1太陽電池ストリング2Aの発電電圧もV6[V]以上には上がらず、本来の最大電力点であるVm8よりも発電電力の少なくなるVm8’点で動作することになる。通常、この損失の生じた状態は、パワーコンディショナ6側でMPPT制御の電圧の振り幅を一時的に大きくするなどの対応策が設けられていないと、第2太陽電池ストリング2Bの系統側の出力が大きく低下するまで自然には解除されず、損失が長時間に渡って蓄積され、年間総発電量を低下させてしまう。また、パワーコンディショナ6側でMPPT制御の動作電圧点を大きく移動させるということは全ての太陽電池ストリングの最大電力点を外させるということなので、正常時に何度も実行すると発電電力の損失が多くなってしまう。さらに本例のようにV6電圧まで下がってしまう場合には昇圧動作も行なえないため、パワーコンディショナ6への入力電圧が低くなり、パワーコンディショナ6の変換効率が低下するなどの弊害も生じる可能性がある。
そこで、本実施形態では電圧制御ユニット1に第2太陽電池ストリング2Bの最大電力点だけを移動させる制御を行なわせることで、第1太陽電池ストリング2Aの系統が最大電力点に復帰できるようにするとともに、正常発電時において合成最大電力点への復帰制御を行なっても、第1太陽電池ストリング2Aおよび第2太陽電池ストリング2Bの双方ともに電力損失が最小限になるようにする。
具体的には、合成最大電力点がVm14’にあるとしたとき、第1MPPT制御回路5の動作電圧はV6[V]であるので、このV6[V]の電圧が所定時間継続した場合に第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧をV4[V]に下げる。実際にはV6[V]の電圧は第1MPPT制御回路5のMPPT制御によって数ボルトの幅で上下に振られているので、V6[V]を中心にMPPT制御の電圧幅分の範囲とするのが望ましい。例えば第1MPPT制御回路5のMPPT電圧の振り幅がプラス側に4V、マイナス側に4Vであれば、動作電圧が190Vのときには186〜194[V]の範囲の電圧値が連続して測定されれば、MPPT制御の動作電圧点が移動し難い状態に陥っている可能性があるので、第2太陽電池ストリング2Bの第2MPPT制御回路7の動作電圧点をV4[V]に下げる制御を行なう。この動作電圧点を下げる指示は図3で説明した指令部3によって行なう。指令部3は先にも述べたように制御部12に対し指令値(デューティ比の値、もしくは目標とする電圧値)を与え、強制的に数値を変えさせることによって第2MPPT制御回路7のMPPT制御電圧(動作電圧)を移動させるのであるが、このとき、変化させる電圧値の幅はパワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5のMPPT制御の電圧の振り幅以上の値となるようにしておく。これは、第1MPPT制御回路5のMPPT制御の電圧の振り幅以内の電圧変化であれば、第1MPPT制御回路5のMPPT制御が第2MPPT制御回路7の動作電圧の移動を検知できるので追従してくるからである。先の例で第1MPPT制御回路5のMPPT制御の電圧振り幅を4[V]としたが、この場合であれば4Vよりも大きい電圧幅で下げればよい。
以下、第2MPPT制御回路7が動作電圧を下げる制御による合成電力の最大電力点への復帰の様子を説明する。
図5に示すように(1)ではV6[V]が所定時間継続したと指令部3が判定して制御部12へ指令値を送り、動作電圧をV4[V]に低下させている。これにより第2太陽電池ストリング2Bの動作電力点はVm4に移動するため、パワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5が最大電力点を探してMPPT制御の電圧を増減させると、それまでV6[V]にあった第1太陽電池ストリング2Aの動作電力点Vm8’が電圧を上昇させるほど電力が増えるので、図中(2)のように第1MPPT制御回路5は第1太陽電池ストリング2Aの本来の最大電力点であるVm8に向けてMPPT制御電圧を上げていく。
一方、V4[V]に低下させた第2MPPT制御回路7は、図中(3)のように第2MPPT制御回路7のMPPT制御によって徐々に本来の最大電力点Vm6’に戻っていくので、最後に、図中(4)のように最大出力点がVm6’に到達した時点で昇圧制御回路8を動作させて電力点をVm6(動作電圧をV8[V])にすることで、第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点の動作電圧で第2太陽電池ストリング2Bの給電電力を合成することができるようになる。
上記動作を第2MPPT制御回路7の電圧制御として表したものが図6である。図中において第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧が脈動しているのは、前述したパワーコンディショナ6のMPPT制御と同様の理由なので説明は省略する。第2MPPT制御回路7の指令部30は、V6[V]で動作していた状態が所定時間継続したと判定すると所定時間経過後のP1点で電圧をV4[V]のP2点に下げる。その後、第2MPPT制御回路7は通常のMPPT制御の動作を再開し、まず第1周期t1〜t2ではV4[V]の電圧を基点として電圧を上下させて電力の増減を確認する。このとき、電圧を上げたほうが電力が増加するので、次の周期t2〜t3では基点となる電圧をV4[V]に加算した位置として同様に電力の増減を確認する。このようにして順次MPPT制御の基点とする動作電圧をV4[V]から上げていき、最終的にV6[V]まで上昇していく。
なお、図5の(5)の工程は動作電圧をV4[V]に移した直後から第1太陽電池ストリング2Aの動作電圧まで昇圧を開始するようにすれば、動作電圧がV6[V]に達するまでの時間に発電した第2太陽電池ストリング2Bの電力をパワーコンディショナ6に給電することができるが、第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2A側にMPPT制御を移す前に昇圧された第2太陽電池ストリング2Bの給電電力を検知して再び第2太陽電池ストリング2B側にMPPT制御を戻してしまう可能性もあるので、昇圧動作の開始は第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2AにMPPT制御の動作電圧を合わせるに十分な時間を取ってから行なうようにするのが好ましい。例えば、パワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5のMPPT制御の1周期が6秒、動作電圧の1回の移動幅が4V、第1太陽電池ストリング2Aと第2太陽電池ストリング2Bとの開放電圧の出力差が20Vであれば、MPPT制御が第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧から第1太陽電池ストリング2Aの動作電圧に移動するのに最低5周期が必要であるから、30秒以上の一定時間は昇圧を開始しないように設定すればよい。この設定は昇圧制御回路8の昇圧制御部20に昇圧開始条件としてプログラムしておいてもよいし、第2MPPT制御回路7の指令部30で昇圧制御回路8の昇圧制御部20に指令を送れるようにして制御させるのでもよい。また、図中の例ではP2点に下げた次の第2周期のt2において基点となる電圧V4をいきなりV3’に相当する電圧まで上げずに緩やかに上げて誤判定し難いようにしているが、日射強度の情報を別途入手できるなど誤判定し難い環境が整っていればV4電圧をV3’相当まで急速に上昇させることも可能である。
図7は上述した制御工程をフローチャートにしたものである。STEP11からSTEP21までのステップは図2で説明した制御と同様であり、STEP12が追加されている点が異なる。なお、便宜上、本例のフローチャートは既にMPPT制御が動作中であるものとして説明する。STEP11で電圧測定部13は第2太陽電池ストリング2Bの電圧V0と電流I0を測定し制御部12に送る。ここで電圧V0とは第2MPPT制御回路7によってMPPT制御された動作電圧であり、STEP12で指令部30は制御部12から電圧情報を取得して、電圧V0の値が電圧範囲内に無い場合にはSTEP13に移り、通常のMPPT制御を継続し、所定時間継続して所定の電圧範囲内にある場合にはSTEP22に進む。指令部30はSTEP22で電圧V0が所定時間以上継続するか、もしくは所定時間内に所定電圧範囲内に留まる割合が閾値を超えるかを確認し、所定時間連続しなければSTEP13に戻し、所定時間以上継続したと判定したときにはSTEP23で制御部12に指令値を送り動作電圧V0をΔV3下げさせる。動作電圧を下げた後、規定時間経過していなければSTEP11に戻るが、STEP24は時間カウントを継続しており、例えばSTEP24を指令部30で行なわせているとしたならば、第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点にMPPT制御を合わせるまでに必要な時間を規定時間として、規定時間を経過したらSTEP25で昇圧制御部20に昇圧開始の指令を送り、第2太陽電池ストリング2Bの昇圧制御回路8の昇圧動作を開始させる。なお、第2太陽電池ストリング2Bの定格電圧(太陽電池モジュールの定格出力電圧の枚数倍)が第1太陽電池ストリング2Aの定格電圧が近い場合には昇圧動作が開始されていなくても、第2太陽電池ストリング2Bの開放電圧が第1太陽電池ストリング2Aのパワーコンディショナ6への給電電圧を上回っていれば、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力も合成可能である。
以上述べたように、第2MPPT制御回路7で第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧を大きく下げることによって、パワーコンディショナ6の第1MPPT制御回路5が第2太陽電池ストリング2Bの系統側の最大電力点を見失い、代わりに第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点が正常な位置に現れるので、第1MPPT制御回路5はMPPT制御を行ないながら合成電力の最大電力点に向けて動くことができるようになり、第2太陽電池ストリング2Bの系統側も昇圧動作を開始してパワーコンディショナ6の変換効率低下を最小限にすることができる。また、所定時間以上にMPPT制御の動作電圧が一定範囲内に無いときには第2MPPT制御回路7の動作電圧の変更を行なわないので、定期的に単独昇圧運転状態を解除するための制御を行なうのに較べ、発電電力の損失を少なくできる。
このようにすることで、日射低下や局所的な影によって第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧が第2太陽電池ストリング2Bを下回るような場合があっても、第1太陽電池ストリング2A側の出力電圧が復帰すれば、一定時間内に第1太陽電池ストリング2A側の出力電圧にMPPT制御が戻ることができて、電圧制御ユニット1による単独運転状態を自動的に解消することができる。なお、電圧を低下させる所定期間は長いほど第1太陽電池ストリング2Aの復帰に確実に対応できるが、第2太陽電池ストリング2Bの出力が最大電力点以外になる時間が長くなり発電電力量の損失が増えることになるので、第1太陽電池ストリング2Aの復帰までに失われる発電電力量と第2太陽電池ストリング2Bの最大電力点復帰までの発電電力量の損失のバランスをとるのがよい。
<第2実施形態>
図8は、第1実施形態の太陽光発電システム11において、電圧制御ユニット1の電圧を下げる動作を段階的に行なう制御方法を示すフローチャートである。
なお、太陽光発電システムの構成は図1と同一である。また、STEP11からSTEP21までは第1実施形態と同一であるので説明は省略する。
図8はSTEP26からSTEP30が追加されている点で第1実施形態と異なる。
STEP11で電圧測定部は13第2太陽電池ストリング2Bの電圧V0と電流I0を測定し制御部12に送る。STEP12で指令部30は制御部12から電圧情報を取得して、電圧V0の値が所定時間継続して所定の電圧範囲内にある場合にはSTEP22に進む。指令部30はSTEP22で電圧V0が所定時間以上継続するか、もしくは所定時間内に所定電圧範囲内に留まる割合が閾値を超えるかを確認し、所定時間連続しなければSTEP13に戻し、所定時間以上継続したと判定したときにはSTEP23で制御部12に指令値を送り動作電圧V0をΔV3下げさせる。以下、このΔV3下げさせたときの電圧をVdと称する。動作電圧をVd[V](不図示)に下げた後、STEP26で一定時間経過してからSTEP27で再度V0(この時点ではVd[V]と同一)の電圧を測定し、V0の変化幅が所定範囲で、且つ所定時間連続したかを確認し、連続していればSTEP28でV0をさらにVd[V]よりΔV5下げさせる。このとき、ΔV3とΔV5の電圧を下げる大きさは同一でなくてもよく、例えばΔV3で10[V]下げ、ΔV5で5[V]下げるようにすれば、段階的に下げつつも、電圧の下げ幅の総量が必要以上に大きくならないようにして、第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御された出力電圧が第1太陽電池ストリング2Aの正常な動作電圧に追い着くまでの時間を最小限にして発電電力量の損失を最小限とすることができる。また、一定時間とは第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御電圧を移動させた直後の不安定な電圧で電圧測定を行なわないためのものであり、数秒程度でよい。一方、電圧をVdからΔV5下げた後にSTEP26に戻すが、一定時間経過してから再度STEP27でV0の電圧を測定し、変化幅が所定範囲で、且つ所定時間連続していた場合には、再びSTEP28でVd[V]からΔV5下げた電圧値から更にΔV5下げる動作を繰り返し、V0の変化幅が所定範囲よりも大きくなるか、所定時間連続しなくなったところでSTEP29に移動し、第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点にMPPT制御を合わせるまでに必要な時間を規定時間として、規定時間を経過したらSTEP30で昇圧制御部20に昇圧開始の指令を送り、第2太陽電池ストリング2Bの昇圧制御回路8の昇圧動作を開始させる。
なお、この実施形態においても、第1実施形態と同様に昇圧動作が開始されていなくても、第2太陽電池ストリング2Bの開放電圧が第1太陽電池ストリング2Aのパワーコンディショナ6への給電電圧を上回る場合には第2太陽電池ストリング2Bの発電電力も合成可能である。
<第3実施形態>
図9は、第1実施形態および第2実施形態において電圧制御ユニット1の電圧制御動作を、一旦電圧を下げた後に、第2MPPT制御回路7のMPPT制御で上昇する電圧以上の変化幅でMPPT制御の基準電圧(図6のV4が相当)を上げる制御方法を示すフローチャートである。
なお、太陽光発電システムの構成は図1と同一である。また、STEP11からSTEP21までは第1および第2実施形態と同一であるので説明は省略する。
図9はSTEP31からSTEP33が追加されている点で第1実施形態と異なる。
STEP11で電圧測定部は13第2太陽電池ストリング2Bの電圧V0と電流I0を測定し制御部12に送る。STEP12で指令部30は制御部12から電圧情報を取得して、電圧V0の値が所定時間継続して所定の電圧範囲内にある場合にはSTEP22に進む。指令部30はSTEP22で電圧V0が所定時間以上継続するか、もしくは所定時間内に所定電圧範囲内に留まる割合が閾値を超えるかを確認し、所定時間連続しなければSTEP13に戻し、所定時間以上継続したと判定したときにはSTEP23で制御部12に指令値を送り動作電圧V0をΔV3下げさせる。このΔV3下げさせたときの電圧をVd[V]とすると、動作電圧をVd[V](不図示)に下げた後、STEP24で一定時間経過して第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御電圧が安定したところで、STEP31で動作電圧V0(この時点ではVd[V]と同一)をΔV6上げる。ΔV6の値としては第2MPPT制御回路7のMPPT制御の電圧の振り幅よりも大きくするのが好ましいが、前記振り幅よりも小さくても段階的に複数回電圧上昇させて最終的に前記電圧の振り幅よりも大きくするのでもよい。また、ΔV6を上昇させることで到達させる電圧値は、STEP24の経過時間内にMPPT制御されて基準電圧V4(図6を参照)が上昇した電圧分を加算した電圧値以上であればよい。具体的には、例えばMPPT制御の周期が6秒で、振り幅がプラス側に2V、マイナス側に2Vであれば、規定時間が30秒であったとすると、STEP31で電圧を上昇させる直前ではMPPT制御によって最大で10[V]上昇しているので、STEP11で測定した電圧V0に対してであれば10[V]よりも大きい電圧値をΔV6の値とすればよい。また、STEP24と31の間に電圧V0の測定を行なうステップを追加したならば、その測定値と目的とする電圧上昇の電圧値との差をΔV6の値として加算するようにすればよい。なお、ΔV6で電圧を上げる変化幅の上限としては、STEP24で規定時間経過するのを待つ間に第1太陽電池ストリング2Aの第1MPPT制御回路5がMPPT制御によって電圧を上昇させることができる電圧よりも小さい電圧値とすればよい。また、例えば、図5で説明したように第1太陽電池ストリング2Aと第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧はもともと同一であったから、規定時間経過して時間が経てば第1太陽電池ストリング2Aの動作電圧はVm6’よりも上昇している筈なので、ΔV6はVm4まで下がった第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧をVm6’まで一気に上げる制御であってもよい。いずれの方法においても、電圧をΔV6上げた後は第2MPPT制御回路7の通常のMPPT制御が再開され、第2太陽電池ストリング2Bの最大電力点となる動作電圧へ合わせる制御が続けられる。
STEP31後、STEP32で第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点にMPPT制御を合わせるまでに必要な時間を規定時間として、規定時間を経過したらSTEP33で昇圧制御部20に昇圧開始の指令を送り、第2太陽電池ストリング2Bの昇圧制御回路8の昇圧動作を開始させる。このとき、STEP31でMPPT制御の基準電圧値を上げていたことによって、第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御電圧を第1太陽電池ストリング2Aの動作電圧に合わせるまでに必要な時間が短縮され、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力をより早く合算させて発電電力の損失量を少なくできる。
なお、以上述べた第2MPPT制御回路7による動作電圧V0の電圧値の変化は、第1実施形態でも述べたように、制御部12に指令値を送り動作電圧V0を上下させることで行なわれる。
<第4実施形態>
図10を用いて、本発明の第4実施形態に係る太陽光発電システム41について説明する。本実施形態では、パワーコンディショナ6に並列に接続される太陽電池ストリング2の数において、上述した実施形態とは異なる。
具体的には、図10に示すように、太陽光発電システム41は、第1太陽電池ストリング2Aおよび第2太陽電池ストリング2Bに加えて、第3太陽電池ストリング2Cの系統が存在する。この第3太陽電池ストリング2Cは、第2太陽電池ストリング2Bと同様の構成とすることができる。すなわち、第3太陽電池ストリング2Cも昇圧系統であり、第3太陽電池ストリング2Cにおける太陽電池素子の数は、第1太陽電池ストリング2Aにおける太陽電池素子の数よりも少なくて、第3太陽電池ストリング2Cの出力は電圧制御ユニット1によって昇圧されてパワーコンディショナ6で電力変換される。つまり、本実施形態では、電圧制御ユニット1が複数個存在するシステムである。なお、本例では便宜上、第3太陽電池ストリング2Cにおける太陽電池素子の数は、第2太陽電池ストリング2Bにおける太陽電池素子の数と同じ場合を例示している。
本実施形態によれば、第2太陽電池ストリング2Bには第1電圧制御ユニット1B、第3太陽電池ストリング2Cには第2電圧制御ユニット1Cが配置されている。そして、第1電圧制御ユニット1Bと第2電圧制御ユニット1Cには各々第2MPPT制御回路7(7B、7C)と昇圧制御回路8(8B、8C)が設けられている。
本実施形態では、第1電圧制御ユニット1Bと第2電圧制御ユニット1Cとの間には情報を交換する通信手段は設けられておらず各々が独立して動作する。この状態では第2太陽電池ストリング2Bの系統もしくは第3太陽電池ストリング2Cの系統のいずれか、または両方による単独昇圧運転が生じたとすると、第2MPPT制御回路7Bか7Cのいずれかが先にMPPT制御の動作電圧を下げ、それでも動作電圧に変化が無ければ残った一方もMPPT制御の動作電圧を下げる。具体的な例を用いて説明すると、例えば第3太陽電池ストリング2Cの系統の動作電圧でパワーコンディショナ6のMPPT制御回路5がMPPT制御を行なっていたとすると、仮に機器に個体差があったとして、第1電圧制御ユニット1Bの第2MPPT制御回路7Bがまず第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧を下げるが、第1MPPT制御回路5のMPPT制御電圧は動かない。よって次に第2電圧制御ユニット1Cの第2MPPT制御回路7Cが第3太陽電池ストリング2Cの動作電圧を下げるので第1MPPT制御回路5の動作電圧は第1太陽電池ストリング2Aの側に戻ることができる。
また、太陽電池の発電状態にもよるが、昇圧制御回路8Bと8C、もしくはいずれか一方が昇圧動作を行なわなくなると、昇圧動作を継続している側の系統に第1MPPT制御回路5の制御が移行して単独昇圧運転が続くなど、最初に単独昇圧運転が生じた系統と異なる系統が単独昇圧運転を継続してしまう場合がある。このような場合においても、第2MPPT制御回路7(7B,7C)が次々と動作電圧を落としていくので、最終的には第1太陽電池ストリング2A側へ第1MPPT制御回路5のMPPT制御を移すことができる。
なお、例えば、第1電圧制御ユニット1Bの第2MPPT制御回路7Bが動作電圧を下げた後、元の電圧に戻るまでには時間がかかるので、第2電圧制御ユニット1Cの第2MPPT制御回路7Cが次に動作電圧を下げる前に第2太陽電池ストリング2B側に再び第1MPPT制御回路5の制御が戻ることはほとんど無いが、第2MPPT制御回路の動作電圧の下げ幅が小さかった場合などに対処できるよう、例えば図7のSTEP24の規定時間を長めに取ったり、第2MPPT制御回路のMPPT制御開始までにインターバルタイムを設けるなどの時間を設けて誤検知が起こり難くすればよい。
以上説明したように、本実施形態においては、複数の昇圧系統を有する形態であっても、電圧制御ユニットを有する太陽電池ストリングの系統が順次動作電圧を下げていくことによって、第1太陽電池ストリング2Aの出力電力がパワーコンディショナ6でMPPT制御され、昇圧系統の単独運転を防ぐことができる。そのため、複数の太陽電池ストリング2の効率的な電力変換が可能となる。
また、本実施形態では、電圧制御ユニット1を有する昇圧系統の数が2であるシステムを例示したが、昇圧系統の数はこれに限らず、昇圧系統の数が3系統以上であっても構わない。
<第5実施形態>
図11は、第3実施形態と同様に、第1実施形態および第2実施形態において電圧制御ユニット1の電圧制御動作において、一旦電圧を下げた後に、第2MPPT制御回路7の通常のMPPT制御で上昇する電圧以上の変化幅でMPPT制御の基準電圧(図6におけるV4が相当)を上げる制御方法を示すフローチャートである。なお、太陽光発電システムの構成は図1と同一である。また、STEP11からSTEP21までは第1および第2実施形態と同一であるので説明は省略する。
図11において、STEP34からSTEP38までの流れが第1実施形態と異なる。STEP22からSTEP23までの流れは第2および第3実施形態と同一であるので説明は省略する。
指令部30はSTEP22で電圧V0が所定時間以上継続するか、もしくは所定時間内に所定電圧範囲内に留まる割合が閾値を超えるかを確認し、所定時間以上継続したと判定したときには、STEP23で指令部30から制御部12に指令値を送り、動作電圧V0をΔV3下げさせる。
第2実施形態および第3実施形態では、この後の第2MPPT制御回路7のMPPT制御は徐々に本来の最大電力点Vm6’に向けて動作電圧を上昇させていくが、この時の動作は、例えば図6における周期t1とt2の2回連続して最大電力点が上昇方向であれば、動作電圧点V4のP2を1Vだけ上昇させるという緩やかなものである。これは動作電圧点を安定させるという点ではよいが、本実施形態のように、意図的に動作電圧を大きく低下させた場合には復帰に要する時間が長くなる。
そこで、STEP34では第2MPPT制御回路7の指令部30が制御部12に対してMPPT制御における動作電圧点の上昇条件を変更するよう指令を送る。ここで、動作電圧点の上昇条件とは動作電圧点の移動条件を指す。具体的には、先に述べた例のように、最大電力点が上昇方向で2回連続したら1回動かすといった場合には、1回で移動させるようにしたり、1回の移動電圧を1[V]から2[V]にするといったように、電圧上昇の値を大きくして第2太陽電池ストリング2Bの本来の最大電力点の動作電圧に早く復帰できるようにする制御の方法のことである。また、変更する条件判断の数値などは予め指令部30か制御部12のメモリーに格納させておく。
ただし、図5において述べたように、あまり早くに第2MPPT制御回路7の動作電圧点を上昇させてしまうと、第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2A側にMPPT制御を移す前に昇圧された第2太陽電池ストリング2Bの給電電力を検知して、再び第2太陽電池ストリング2B側にMPPT制御を戻す可能性がある。このため、上昇の値の設定(例えば電圧値の1回の上昇幅)は極端に大きくしないように配慮する。または、STEP34の前に時間経過をカウントするフローを設けて、第1MPPT制御回路5が最大電力点に合わせるのに必要な時間経過後にSTEP34に移るようにしてもよい。
STEP35では第2MPPT制御回路7が第2太陽電池ストリング2Bの最大電力点に動作電圧点を近づける動作の時間経過をカウントして、一定時間経過した後にSTEP36で指令部30が制御部12へのMPPT制御の上昇条件変更の指令を解除する。このため、第2MPPT制御回路7は通常時のMPPT制御へ復帰する。
その後、STEP37で第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2Aの最大電力点にMPPT制御を合わせるまでに必要な時間を規定時間として、規定時間を経過した後に、STEP38で昇圧制御部20に昇圧開始の指令を送り、第2太陽電池ストリング2Bの昇圧制御回路8の昇圧動作を開始させる。
以上説明したように、本実施形態においては、第2MPPT制御回路7のMPPT制御の動作電圧の上昇制限を緩和してやることで、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力が早期に最大電力値に復帰して、発電電力の損失を最小限に抑えることができる。
また、復帰に指令値を用いずにMPPT制御の値の変更のみで処理できるので、指令値による動作電圧点を降下させる電圧幅が小さい場合(システム電圧が低い太陽光発電装置)などに好適である。
<第6実施形態>
図12は、第3実施形態と同様に、第1実施形態および第2実施形態において電圧制御ユニット1の電圧制御動作を、一旦電圧を下げた後に、第2MPPT制御回路7の通常のMPPT制御で上昇する電圧以上の変化幅でMPPT制御の基準電圧(図6のV4が相当)を上げる他の制御方法を示すフローチャートである。
なお、太陽光発電システムの構成は図1と同一である。また、STEP11からSTEP24までは第3実施形態と同一であるので説明は省略する。
図12において、STEP39からSTEP43が第3実施形態と異なる。STEP23で動作電圧V0をΔV3下げ、STEP24で規定時間が経過した後、STEP39で指令部30から制御部12に指令値を送り、第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧V0をΔV4だけ上昇させる。ΔV4は先に述べた第3実施形態におけるΔV6と同一値でもよいし、それよりも大きくてもよいが、本実施形態においてはΔV6のように大きく動かさなくても同様の効果が得られるので、ΔV4は第2MPPT制御回路7のMPPT制御における電圧の増減(振り幅)よりも大きい電圧であれば特に制限はない。
STEP39で第2太陽電池ストリング2Bの発電電圧をΔV4上げた後、STEP40で第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧と第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧を測定する。第2太陽電池ストリング2Bの出力電圧の情報は第2MPPT制御回路7の電圧測定部13から、第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧の情報は昇圧制御回路8の電圧測定部23から得ることができる。指令部30(もしくは指令部30から指令を受けた制御部12)は第2太陽電池ストリング2Bと第1太陽電池ストリング2Aの電圧差を算出する。そして、第2太陽電池ストリング2Bの電圧が第1太陽電池ストリング2Aよりも小さければSTEP24に戻して、再度V0をΔV4上げる。
なお、STEP24に戻しているのは2回目のΔV4上昇を行なうまでにインターバルタイムを設けて第2太陽電池ストリング2Bの出力の安定を図っているからであるが、STEP40で電圧測定を行なう前に出力安定のインターバルタイムを設けているのであればSTEP39に戻すようにしてもよい。また、2回目のΔV4は1回目のΔV4と同一値でなければならない制約はない。このため、例えば1回目のΔV4は6[V]としていても、STEP40で算出した電圧差が5[V]であれば2回目のΔV4(例えばΔV4’とする)は3[V]として、第1太陽電池ストリング2Aの電圧以上にならないようにすればよい。さらに、STEP41では必ずしも第1太陽電池ストリング2Aと第2太陽電池ストリング2Aの出力電圧が同一になるまでSTEP24に戻す判定としなくてもよく、第1太陽電池ストリング2Aにある程度近づけたならSTEP42に進めて、第2MPPT制御回路7のMPPT制御で電圧を細かく上昇させていくのに任せるようにしてもよい。
その後、STEP42で第2MPPT制御回路7が第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御を行って、出力が安定するまでに必要な時間を規定時間として待機する。そして、規定時間を経過したらSTEP43で昇圧制御部20に昇圧開始の指令を送り、第2太陽電池ストリング2Bの昇圧制御回路8の昇圧動作を開始させる。
このように、第2MPPT制御回路7のMPPT制御の動作電圧の上昇制限を緩和してやることで、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力が早期に最大電力値に復帰し、発電電力の損失を最小限に抑えることができる。
以上説明したように、本実施形態においては、ΔV6下げた後のV0を段階的に上昇させる制御とすることによって、第2太陽電池ストリング2BのMPPT制御電圧を第1太陽電池ストリング2Aの動作電圧に合わせるまでに必要な時間が短縮され、第2太陽電池ストリング2Bの発電電力をより早く合算させて発電電力の損失量を少なくできる。また、ΔV5の値を固定値とせず、第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧以上にはならない値を適宜算出し適用することによって、第1MPPT制御回路5が第2太陽電池ストリング2B側に再びMPPT制御を移すことを抑制できる。
<第7実施形態>
図13は、前述した第3実施形態において電圧制御ユニット1の電圧制御動作を、一旦電圧を下げた後に、昇圧制御回路8の昇圧動作を開始するとともに、第2MPPT制御回路7の通常のMPPT制御で上昇する電圧以上の変化幅でMPPT制御の基準電圧(図6のV4が相当)を上げる他の制御方法を示すフローチャートである。なお、STEP11からSTEP23までは第1実施形態と同一であるので説明は省略する。
また、図14に示す太陽光発電システムの構成は図1と同一であるが、第2MPPT制御回路7の指令部30から昇圧制御回路8の昇圧制御部20に信号を送れるように通信線を設ける点で異なる。
図13は第1実施形態のフローチャートにおけるSTEP25(昇圧動作の開始)の後に、第3実施形態のSTEP31のように動作電圧V0をΔV6上昇させるSTEPとした点で、第1実施形態および第3実施形態と異なる。
具体的には、STEP23で動作電圧V0をΔV3下げ、STEP44で規定時間(第1MPPT制御回路5が第1太陽電池ストリング2A側にMPPT制御が移れるように設けたインターバルタイム)が経過した後、STEP46で指令部30から昇圧制御部20に昇圧動作開始の指令を送り(図14中の二点破線)、第2太陽電池ストリング2Bの出力電力を第1太陽電池ストリング2Aの出力電圧まで昇圧させる。指令部30から昇圧制御部20への指令を送る信号線は専用の通信線を配線するのでもよいが、第2MPPT制御回路7と昇圧制御回路8とが一体となった回路基盤であればプリント基板の配線でもよく、専用配線材を削減できる。また、前記2つが別体であれば赤外線通信や微弱電波を用いた非接触通信としてもよく、配線の手間や電源ノイズによる影響を少なくできる。また、図4で示すように、昇圧制御回路8の昇圧制御部20が第2MPPT制御回路7の分圧回路13から電圧情報を得ている場合には、図14に示すように、制御部12を介して同じ通信経路(図中一点破線)を用いて指令を送れば、新たな配線は不要である。
最後に、STEP46で第2太陽電池ストリング2Bの動作電圧V0をΔV6だけ上昇させる。このようにすることで、第2太陽電池ストリング2Bの出力が最大電力点に戻るまでの発電電力も第1太陽電池ストリング2Aの出力電力に電力合成できて、発電電力の損失を最小限に抑えることができる。
なお、本例は第3実施形態を基に昇圧動作開始の位置を変更して説明したが、第5実施形態および第6実施形態の方法においても適用可能である。その場合、昇圧動作開始のフロー(STEP38、STEP43)をSTEP23の次に行なうように配置すればよい。
<第8実施形態>
図15は、昇圧動作の動作中に、電圧制御ユニット1の電圧制御動作を、一旦電圧を下げた後に、第2MPPT制御回路7のMPPT制御で基準電圧(図6のV4が相当)を上げる制御方法を示すフローチャートである。なお、太陽光発電システムの構成は図14と同一である。また、STEP11からSTEP21までの流れは第1および第2実施形態と同一であるので説明は省略する。
図15はSTEP47からSTEP48までの流れが第1実施形態と異なる。本実施形態では他の実施形態とは異なり、STEP11以前に昇圧制御回路8は第2太陽電池ストリング2Bの出力電力の昇圧動作を行っている(図中では便宜上STEP0として記載)。
STEP12でV0の変化幅が所定範囲であると判断すると、STEP47へ進み、予め設定された時間であれば、指令部30から制御部12へ指令値を送り、STEP48で動作電圧V0をΔV3下げる。ここで、予め設定された時間とは、例えばパワーコンディショナ6、第2MPPT制御回路7または昇圧制御回路8が起動後、何時間経ったら要件を満たすと判定させる時間、または、指定された時刻を指す。例えば、V0の変化幅が所定範囲で留まっていても、1時間毎に5分間しかSTEP48には進ませず、STEP13に戻す、といった時間による条件分岐を行なう。他に、例えば午前10時から午後4時までの間で、且つ10分以上、V0の変化幅が所定範囲で留まっている場合、といった時間条件にしてもよい。
このようにすることで、第2太陽電池ストリング2B側で第1MPPT制御回路5のMPPT制御が行なわれているかどうか不明な場合であっても、時間を分岐条件として強制的に第2MPPT制御回路7の動作電圧点を移動させる、このため、昇圧動作の状態に関わらず、第1MPPT制御回路5の動作電圧を第1太陽電池ストリング2A側にすることができる。
また、本実施形態は第1実施形態〜第7実施形態の全てに適用可能であり、各実施形態において、STEP25、30、33、43、46の後(昇圧動作を開始後、STEP11に戻る際)に、本実施形態の制御フローに移るようにすればよい。また、併用も可能であり、併用の場合には昇圧動作の有無によって優先するフロー制御を選択する制御フローを追加すればよい。