次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
最初に、本実施形態に係る大口径撮像光学系Cの基本的な構成(必須構成)について、図1を参照して説明する。なお、図1は、後述する実施例1に係る大口径撮像光学系Cの構成を兼ねている。本実施形態に係る大口径撮像光学系Cは、デジタルカメラ用交換レンズに適用することを想定できる。図1中、OBJは物体(被写体)を示し、IMGは像(撮像素子)を示している。したがって、物体OBJ側が光軸Dc方向の前方となり、像IMG側が光軸Dc方向の後方となる。なお、符号31は、撮像素子の前面に配したフェイスプレート,赤外線カットフィルタ,ローパスフィルタ等の平行平面板の総厚を、光学的に等価な厚さとして与えたガラス平面板フェイスプレートとして示す。このガラス平面板フェイスプレートは本実施形態に係る大口径撮像光学系Cの構成に影響を与えるものではない。
この大口径撮像光学系Cは、図1に示すように、大別して、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備え、基本的には、第2レンズ群102と第3レンズ群103により、変形ガウス型光学系を構成するとともに、この構成に対して物体OBJ側の第1レンズ群101を付加することにより全体の光学系、即ち、大口径撮像光学系Cを構成する。
第2レンズ群102は、物体OBJ側より二枚の正レンズL4,L5と、一枚の負レンズL6による三枚のレンズにより構成するとともに、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=12)は凹面に形成する。
第3レンズ群103は、二枚の負レンズL7,L10と二枚の正レンズL8,L9を含む五枚以下のレンズにより構成するとともに、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=13)は凹面に形成する。なお、図1は、最終レンズL11を付加した5枚のレンズにより構成した場合を例示する。第3レンズ群103を構成するレンズ枚数は多くなるほど収差補正を行いやすい。したがって、3−4枚のレンズ構成とした縮小型リアコンバージョンレンズを付加すれば構成可能となるが、ガウス型光学系における開口絞りSTOに対して像IMG側は3枚のレンズが必要であり、更に3−4枚のレンズを付加した場合には、全長の長い光学系になるため、ガウス型光学系を構成する像IMG側のレンズ群を、(負)−(正)―(正)のパワーとなる三枚のレンズを二つに分解又は追加することにより最大のレンズ枚数を5枚以下にした。第3レンズ群103は開口絞りSTO側に負レンズL7と正レンズL8の接合レンズJaを用いる場合が多く、第2レンズ群102と組合わせてガウス型光学系を構成する。
第1レンズ群101は、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から少なくとも1枚の正レンズL2,L3を有するとともに、最大レンズ枚数を上述した第2レンズ群102と第3レンズ群103の合計枚数以下に設定し、かつ正レンズL2,L3と負レンズL1の枚数差を1枚以下に設定する。図1は、三枚のレンズにより構成した例を示す。したがって、第1レンズ群101のレンズ枚数3枚は、上述した第2レンズ群102と第3レンズ群103におけるレンズの合計枚数(=8枚)以下になるため、第1レンズ群101の枚数条件を満たすとともに、正レンズL2,L3が2枚、負レンズL1が1枚となり、その枚数差は1枚になるため、第1レンズ群101の枚数差条件を満たす。第1レンズ群101により、広角から中望遠における撮影域の光学系をカバーすることができる。
一方、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に第2レンズ群102の前後の一方又は双方の空気間隔S1,S2を変化させるフォーカス調整機能部51を設ける。図1に示すフォーカス調整機能部51は、第1レンズ群101をFm方向に移動可能に構成するとともに、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を一体としてFm方向に移動可能に構成する場合を示している。さらに、Fナンバーは0.9乃至1.0の範囲に設定するとともに、撮影倍率は0.2以上に設定する。
フォーカス調整機能部51を構成する場合、合焦時に可変する空気間隔S1,S2は、開口絞りSTOの空間(S2)又は第1レンズ群101と第2レンズ群102の空気間隔S1の一方又は双方であり、最大三つのレンズ群101,102,103を合焦時に移動させることができる。全長を不動にする場合、最大二つのレンズ群が移動するフォーカス方式、即ち、第1レンズ群101を固定とし、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を移動させる。また、広角タイプ及び望遠タイプの第1レンズ群101におけるレンズ間隔は比較的長い個所があるため、一定の長さに収まるレンズ構成は、第2レンズ群102以降を構成するレンズ枚数より少なくする。大口径により第1レンズ群101の枚数が多く(重く)なった場合であっても第1レンズ群101を合焦時の固定群に設定することにより鏡筒機構に無用なストレスが付加される不具合を回避できる。フォーカス調整機能部51は、組立に有利になるように、全長が変化する光学系では二つの各レンズ群101と102(及び103)が移動し、全長を不動にする光学系では一つのレンズ群102(及び103)が移動するタイプを採用できる。
このように、本実施形態に係る大口径撮像光学系Cは、基本構成として、物体OBJ側より二枚の正レンズL4,L5と一枚の負レンズL6による三枚のレンズにより構成するとともに、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=12)を凹面に形成した第2レンズ群102と、二枚の負レンズL7,L10と二枚の正レンズL8,L9を含む五枚以下のレンズにより構成するとともに、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=13)を凹面に形成した第3レンズ群103と、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から少なくとも1枚の正レンズL2,L3を有するとともに、最大レンズ枚数を第2レンズ群102と第3レンズ群103の合計枚数以下に設定し、かつ正レンズL2,L3と負レンズL1の枚数差を1枚以下に設定した第1レンズ群101と、を備え、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に第2レンズ群102の前後の一方又は双方の空気間隔S1…を変化させるフォーカス調整機能部51を設けるとともに、Fナンバーを0.9乃至1.0の範囲に設定し、かつ撮影倍率を0.2以上に設定してなるため、ガウス型或いは変形ガウス型を用いた大口径撮像光学系Cを構成する場合であっても、Fナンバーを1.0以下に小さくし、かつ撮影倍率が0.2以上となる光学性能を確保しつつ、全長を短くして小型化を図ることができるとともに、諸収差を良好かつ十分に補正することができる。これにより、準広角域から中望遠域の撮影において十分な光学性能をカバーするとともに、大型高精細撮像素子に対応し、かつ小型コンパクト化を図るデジタルカメラ等に使用する最適な交換レンズ等に利用可能な大口径撮像光学系Cを構築することができる。
さらに、本実施形態に係る大口径撮像光学系Cは、次の光学条件1−3を満たすように考慮することが望ましい。
第一に、全系の撮影距離が無限物点時において、全系の焦点距離をAFL,第1レンズ群101の焦点距離をFL1,C1=FL1/AFL,としたとき、
1.0<C1<4.5 … (光学条件1)
の光学条件を満たすように設定する。このように設定すれば、C1(=FL1/AFL)値の大きさを適切範囲に確保できるため、特に、第2レンズ群102以降の光学系における収差補正不足及び一部のレンズ径が無用に大きくなる不具合を回避できるとともに、開口絞りSTOの前後のレンズ面で発生するガウス型光学系特有のサジタルコマ補正が不足する不具合を回避できる。
即ち、第1レンズ群101は、正の屈折力により大きな径の軸上光束を集光状態にして以降の光学系に入射させる機能を備えている。全系の軸上入射光束径に対する第1レンズ群101のFナンバーは、ほぼ同じ値となり、収差補正(特に球面収差)の目安となる。この値が大きい場合、以降の光学系でFナンバーを小さくさせるには、軸上光束径を大きくする必要がある。特に、第3レンズ群103の最も物体OBJ側のレンズ面の曲率を強くした場合、ガウス型光学系特有のサジタルコマが発生する。このため、第3レンズ群103の物体OBJ側の負レンズを両凹レンズを採用したり厚いレンズを採用し、最も物体OBJ側のレンズ面の曲率を緩めながら、軸上光束径を大きくしたり非球面レンズにより収差バランスを改善させている。
第1レンズ群101の物体OBJ側に負の屈折力を持たせた広角タイプの撮影レンズは軸外光束が軸上光束の外側から入射し、第1レンズ群101の像IMG側以降において軸外光束と軸上光束を合わせるため、光学条件1を満たす範囲ではFナンバーを小さくすることができる。この値が小さい場合、全系のレンズ全長を短くできるが、第1レンズ群101のFナンバーも小さいため、収差の発生が多くなる。これを補正するため、特に第2レンズ群102内で正パワーを強くしたり空気レンズを用いている。また、光学条件1を満たす望遠側の撮影レンズの場合、第1レンズ群101の物体OBJ側に正パワーを配置させ、望遠比を小さくするのに有利となる。
したがって、光学条件1のC1値の大きさが1.0以下の場合、第1レンズ群101のFナンバーが小さくなるため、それに伴う収差発生が過剰であれば、第2レンズ群102以降の光学系で収差補正不足になるとともに、一部のレンズ径が大きくなり光学系の全体が太くなる。即ち、第1レンズ群101のパワーが強過ぎるため、正レンズの曲面がきつくなり、レンズ群内の収差の発生が増加する。これに対して、光学条件1のC1値の大きさが4.5以上の場合、開口絞りSTO前後のレンズ面で発生するガウス型光学系特有のサジタルコマ補正が不足になる。しかも、第2レンズ群102をフォーカシング移動させた場合、これらの悪化が顕著となるため、撮影倍率を低下させてしまう。また、第2レンズ群102に入射する光束が十分に収斂されないため、第2レンズ群102が大型化しやすい。
第二に、全系の撮影距離が無限物点時のときの第1レンズ群101と第2レンズ群102の空気間隔S1の長さをD11,全系の撮影距離が撮影倍率0.2倍時のときの第1レンズ群101と第2レンズ群102の空気間隔S1の長さをD12,全系の撮影距離が無限物点時のときの第1レンズ群101の最も像IMG側のレンズ面(i=6…)からの第1レンズ群101の像点位置をOP1,全系の撮影距離が撮影倍率0.2倍時のときの第1レンズ群101の最も像IMG側のレンズ面(i=6…)からの第1レンズ群101の像点位置をOP2,ΔOP=(D12−D11)−(OP2−OP1),C2=ΔOP/(D11−OP1),としたとき、
0.3<C2<2.5 … (光学条件2)
の光学条件を満たすように設定する。このように設定すれば、C2(=ΔOP/(D11−OP1))値の大きさを適切範囲に確保できるため、特に、結像位置の範囲を大きくしつつ収差変動を、より小さくすることができる。OP1及びOP2は、第1レンズ群101の焦点距離に比例し、C2の大きさもそれに伴った値をとる。したがって、C2の大きさはC1の影響と同様となる。
本実施形態に係る大口径撮像光学系Cは、マクロレンズではないが、近距離撮影が可能なことに特長を有するため、光学条件2の設定は重要である。特に、通常の大口径タイプの撮影レンズは、至近距離0.1倍程度であり、物体距離が遠いため、撮像倍率が0.2倍は本発明を特徴付ける重要な条件となる。第2レンズ群102以降の光学系における物点に関する光学条件2の中で、ΔOPは全系の撮影距離が無限遠と撮像倍率が0.2倍時の第2レンズ群102以降の物点の変化量となり、(D11−OP1)は全系の撮影距離が無限遠の第2レンズ群102以降の、第2レンズ群102の最も物体OBJ側のレンズ面からの物点距離である。第1レンズ群101の焦点距離は、正であり全系の焦点距離より長くなり、像IMGの位置は第2レンズ群102以降に位置する。第2レンズ群102以降の光学系は、第1レンズ群101の像点が物点となる。
したがって、光学条件2における像範囲は、撮影レンズの場合、無限物点から撮像倍率0.2倍の撮影距離範囲が圧縮された範囲となり、像側のレンズに近づくにつれて1点になれば理想的であるが、諸条件の制約により一定の範囲となる。この一定の物点距離範囲は、焦点距離にとって遠い場合、結像位置範囲は小さくなり、近い場合、結像位置範囲は大きくなり収差変動も大きくなる。
第三に、全系の撮影距離が無限物点時において、第1レンズ群101の光軸Dc上の長さをTL1,第2レンズ群102から第3レンズ群103の光軸Dc上の長さをTL23,C3=TL1/TL23としたとき、
0.01<C3<1.0 … (光学条件3)
の光学条件を満たすように設定する。このように設定すれば、C3(=TL1/TL23)値の大きさを適切範囲に確保できるため、特に、第1レンズ群101を構成するレンズ中心の厚みや周辺の厚みを薄くすることができる。この結果、加工が困難になる弊害を回避することができるとともに、全系が長くなり重量バランスが悪化する不具合を回避することができる。
本実施形態に係る大口径撮像光学系Cの場合、第2レンズ群102のレンズ枚数は3枚、第3レンズ群103のレンズ枚数は最小4枚から最大5枚、第1レンズ群101のレンズ枚数は最小1枚から最大8枚になる。したがって、大口径撮像光学系Cを最もコンパクト化するには、第1レンズ群101を1枚、第2レンズ群102を3枚、第3レンズ群103を4枚の合計8枚で構成し、合焦時の可変間隔を無限物点から近距離に変化させる際に、拡大方向へレンズ群を移動させればよい。
光学条件3において、C3値が0.01の場合、第1レンズ群101に一枚程度のレンズが入る大きさとなる。C3値の大きさが0.01を下回る場合、第1レンズ群101は正レンズが1枚の構成となり、レンズの中心厚や周辺厚が薄過ぎて加工が困難になる。これに対して、C3値の大きさが1.0以上の場合、多くのレンズや空間により自由に構成できるが、全径の長さが大きくなり重量バランスが悪化してしまう。なお、C3値の大きさが1.0以上とは、第1レンズ群101のレンズ枚数が、第2レンズ群102と第3レンズ群103の合計枚数以上になることを意味する。望遠レンズの場合、このような構成になることは多いが、Fナンバーが1.0以下の光学系では長さ及び直径の双方共に大きくなりすぎてしまう。
次に、本実施形態における各種実施例(実施例1−9)について、図1−図20を参照して説明する。
まず、実施例1に係る大口径撮像光学系Cについて、図1−図4及び表1−表2を参照して説明する。
図1は、実施例1に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例1は、上述した実施形態における説明のとおり、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103からなる基本構成を備える。
第1レンズ群101は、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL1,物体OBJ側のレンズ面(i=3)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L2,物体OBJ側のレンズ面(i=5)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L3の計3枚のレンズにより構成する。したがって、正レンズL2,L3に対する負レンズL1の枚数差は1枚(1枚以下)となる。
このように、第1レンズ群101を構成するに際し、最も物体OBJ側のレンズ面(i=1)が、物体OBJ側に凹面となる負レンズL1と、最も像IMG側に配した正レンズL3を含ませて構成すれば、第1レンズ群101を構成するに際し、最も物体OBJ側に配したレンズ面が物体OBJ側に凹面となる負レンズL1により、歪曲収差の補正を有利に行うことができるとともに、最も像IMG側に配した正レンズL3により、発散する光束を収束させることができる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=7)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L4,物体OBJ側のレンズ面(i=9)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L5,開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=12)を曲率の強い凹面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L6の計3枚のレンズにより構成する。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凹面を有する負レンズL7と両凸面を有する正レンズL8を接合した接合レンズJa,両凸面を有する正レンズL9と両凹面を有する負レンズL10を接合した接合レンズJb,像IMG側のレンズ面(i=22)を凹面に形成した正メニスカスレンズ(最終レンズ)L11の計5枚(5枚以下)のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=13)は曲率の強い凹面になる。なお、実施例1の最終レンズL11は球面形状であるが、少なくとも像IMG側のレンズ面(i=22)を非球面形状に形成した最終レンズL11とすれば、より容易に収差補正を行うことができる。
また、フォーカス調整機能部51は、無限遠から近距離への物点移動における合焦時には、第2レンズ群102の前方の空気間隔S1を変化させる。この場合、第1レンズ群101をFm方向へ移動させるとともに、第2レンズ群102及び第3レンズ群103を一体としてFm方向へ移動させる合焦方式となる。即ち、実施例1のフォーカス調整機能部51は、合焦時に、第2レンズ群102と第1レンズ群101間の空気間隔S1が変化する点が特徴となる。
表1に、実施例1の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:58.50mm,Fナンバー:0.93,半画角:10.75゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。なお、光学的な横倍率では、物体高に対して像高は倒置するので負の値となるが、この撮影倍率は、像高/(−物体高)として表した。
表1の「面データ」は、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiで示し、この面番号iは、図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、硝材の屈折率nd(i)、硝材のアッベ数νd(i)をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(586.56〔nm〕)に対する数値である。軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。また、FL(i)は、空気中に置いた単体レンズ(接合レンズは複数として扱う)の焦点距離を示す。曲率半径R(i),面間隔D(i),焦点距離FL(i)の単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは像の位置を示す。曲率半径R(i)のInfinityは平面であり、面番号iの後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
表1及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは58.50mm,FL1は102.50mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「1.75」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は4.60mm,D12は0.20mm,OP1は95.65mm,OP2は155.54mmとなる。したがって、ΔOPは−64.29となり、C2、即ち、ΔOP/(D11−OP1)は「0.71」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は18.55mm,TL23は53.95mmとなる。したがって、TL1/TL23、即ち、C3は「0.34」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。
一方、図4には、実施例1の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)とした縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。図4に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.20」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例1の大口径撮像光学系Cは、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
さらに、実施例1は、全系の撮影距離が無限物点時であって、無限物体距離の撮影半画角ωが20゜より小さく、かつ第3レンズ群103に平行光線の光束が入射したときの入射瞳径より、無限物体距離の全系における軸上入射瞳径が大きいときにおいて、第3レンズ群103の焦点距離をFL3,全系のFナンバーをFNO,全レンズにおける第1面(i=1)から像IMG面までの距離をTL,DS=FL3/FNO,D0=AFL/FNO,C4=TL/D0,C5=DS/D0,としたとき、
1.3<C4<3.0 … (光学条件4)
0.4<C5<1.0 … (光学条件5)
の光学条件を満たすように設定される。このように設定すれば、C4,C5の各値の大きさを適切範囲に確保できるため、特に、レンズ系におけるパワーバランスを安定化させ、収差の発生を抑えることができるとともに、光学系の全長をより短くしてコンパクト性を高めることができる。
即ち、標準レンズより狭い撮影画角の撮影レンズは、ほぼ全系の物体側のレンズ径が最大となる。特に、Fナンバーが1.0より小さい撮影レンズは、その大きさが顕著となり、レトロフォーカスタイプ(逆望遠タイプ)のようにラッパ状になる。前述した実施形態に記載したように、必須構成によるレンズ枚数により、収差補正を良好に行うとともに、光学系のコンパクト化を図るには、光学条件5を満足させる。これにより、Fナンバーが1.0より小さい平行光線の光束が撮影レンズに入射し(D0)、第1レンズ群101から第2レンズ群102により開口絞りSTO付近で光学条件5の範囲に収束し(DS)、レンズ全長(TL)は光学条件4の範囲となる。したがって、C4値の大きさが1.0以下,又はC5値の大きさが0.5以下の場合、レンズ系のパワーバランスが崩れて収差の発生が多くなるとともに、C4値の大きさが3.0以上,又はC5値の大きさが1.0以上の場合、レンズ全長が長くなる。
全系におけるFナンバーは、第3レンズ群103の通過後、像IMG面に入射する光軸Dcからの軸上光束の最大角度で決まり、この場合、D0は全系の入射瞳径、DSはほぼ開口絞りSTOの径となる(第2レンズ群102までの像点が無限遠ではないので実際とは異なる)。したがって、無限物体距離の撮影半画角ωが20゜より小さい場合、即ち、標準撮影画角より望遠側においては、D0>DSとなり第1レンズ群101の最大レンズ径に影響する。特に、Fナンバーが1.0以下になった場合、第1レンズ群101の最大レンズ径は大口径になる。このため、C4値が1.3以下の場合、レンズ全長が短かくなり過ぎることになり、Fナンバーが1.0以下の大口径撮像光学系の像性能を保つ(収差補正する)ための必要なレンズ枚数により構成することができなくなる。一方、C4値が3.0以上の場合、不必要に大型化を招いてしまう。
C5値は、開口絞りSTOの大きさを適切な値にするため、0.4以下の場合、入射光束を第2レンズ群102までに収斂させる必要から第2レンズ群102の正レンズパワーを強くすることになる。したがって、レンズ面の曲率がきつくなり、加工性が悪くなるとともに、その面に生じる収差発生に対する補正が困難になる。また、C5値が、1.0以上の場合には、第3レンズ群103が大型化し、特にカメラとの接続マウントのある交換レンズの場合、後玉の小型化が困難になる。 実施例1の場合、図3に示すように、AFLは58.50mm、ωは10.75゜、FNOは0.93、FL3は38.00mm、TLは95.07mm、DSは40.86、D0は62.90となる。したがって、C4値は1.51となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5値は0.65となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
次に、実施例2に係る大口径撮像光学系Cについて、図5,図2−図3,図13及び表2を参照して説明する。
図5は、実施例2に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例2も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。実施例2の、実施例1に対する主たる相違点は、フォーカス調整機能部51を変更した点にある。
第1レンズ群101は、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL1,両凸レンズを用いた正レンズL2,物体OBJ側のレンズ面(i=5)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L3の計3枚のレンズにより構成する。したがって、正レンズL2,L3に対する負レンズL1の枚数差は1枚(1枚以下)となり、その基本構成は、実施例1と同じになる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=7)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L4,物体OBJ側のレンズ面(i=9)を凸面に形成した正レンズL5,開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=12)を曲率の強い凹面に形成した負レンズL6の計3枚のレンズにより構成する。この場合、基本構成は、実施例1と同じになるが、正レンズL5と負レンズL6は接合レンズJcにより構成する点が異なる。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJに凹面を有する負レンズL7と像IMG側に凸面を有する正レンズL8を接合した接合レンズJa,両凹面を有する負レンズL10と両凸面を有する正レンズL9を接合した接合レンズJb,像IMG側のレンズ面(i=22)を凹面に形成した正メニスカスレンズ(最終レンズ)L11の計5枚(5枚以下)のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=13)は曲率の強い凹面となる。また、最終レンズL11は、実施例1と同様、正の屈折力を有し、かつ球面形状に形成したレンズ面を有している。
したがって、実施例2におけるレンズ系の全体構成には、物体OBJ側から一枚の両凹レンズL1と二枚の正レンズL2,L3を含む三枚のレンズにより構成した第1レンズ群101と、二枚の正レンズL4,L5と像IMG側が曲率の強い負レンズL6を有するとともに、像IMG側の正レンズL5と負レンズL6を接合レンズJcにより構成した第2レンズ群102と、物体OBJ側に曲率の強い負レンズL7と正レンズL8を接合した接合レンズJa,負レンズL9と正レンズL10を接合した接合レンズJb,及び正レンズL11の五枚のレンズにより構成した第3レンズ群103が含まれる。このようなレンズ系により構成すれば、特に、大口径撮像光学系Cを、球面レンズのみにより構成する場合において最適となる最少のレンズ枚数により構築することができる。
そして、フォーカス調整機能部51は、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に、第1レンズ群101と第2レンズ群102を一体としてFm方向へ移動させるとともに、第3レンズ群103を単独によりFm方向へ移動させる合焦方式となる。したがって、実施例2は、合焦時に、特に、第2レンズ群102と第3レンズ群103間の空気間隔S2を変化させる点が特徴となる。その他、実施例2の構成において、実施例1と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表2に、実施例2の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:58.15mm,Fナンバー:0.93,半画角:10.79゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
表2及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは58.15mm,FL1は93.19mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「1.60」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は1.30mm,D12は1.30mm,OP1は88.50mm,OP2は129.29mmとなる。したがって、ΔOPは−40.79となり、C2は「0.47」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は17.56mm,TL23は60.50mmとなる。したがって、TL1/TL23、即ち、C3は「0.29」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。さらに、実施例2は、AFLが58.15mm、ωは10.79゜、FNOは0.93、FL3は34.81mm、TLは97.57mm、DSは37.43、D0は62.53となる。したがって、C4は1.56となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.60となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
一方、図13には、実施例2の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)とした縦収差図を示す。図13に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.20」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例2の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例3に係る大口径撮像光学系Cについて、図6,図2−図3,図14及び表3を参照して説明する。
図6は、実施例3に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例3も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。実施例3の、実施例1に対する主たる相違点は、フォーカス調整機能部51を変更、特に、リアフォーカス方式にした点にある。
第1レンズ群101は、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL1,物体OBJ側のレンズ面(i=3)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L2,物体OBJ側のレンズ面(i=5)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L3の計3枚のレンズにより構成する。したがって、正レンズL2,L3に対する負レンズL1の枚数差は1枚(1枚以下)となり、その基本構成は、実施例1と同じになる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=7)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L4,物体OBJ側のレンズ面(i=9)を凸面に形成した正レンズL5,開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=12)を曲率の強い凹面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L6の計3枚のレンズにより構成する。この場合、基本構成は、実施例1と同じになる。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、物体OBJに凹面を有する負レンズL7と像IMG側に凸面を有する正レンズL8を接合した接合レンズJa,両凸面を有する正レンズL9と物体OBJ側のレンズ面を凹面に形成した負レンズL10を接合した接合レンズJb,物体OBJ側のレンズ面(i=21)を凸面に形成した正レンズ(最終レンズ)L11の計5枚(5枚以下)のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=13)は曲率の強い凹面となる。
また、フォーカス調整機能部51は、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に、第1レンズ群101を像IMG面に対して固定し、第2レンズ群102と第3レンズ群103を一体としてFm方向へ移動させる合焦方式となる。したがって、実施例3は、基本的に、全長の変化しないリアフォーカス方式となり、合焦時に、第2レンズ群102の前方、即ち、物体OBJ側の空気間隔S1を変化させることができる。このように機能するフォーカス調整機能部51を設ければ、基本的に、全長の変化しないリアフォーカス方式とすることができるため、特に、広角レンズや望遠レンズを構築する際に、撮影画角域で大きく重い物体OBJ側の第1レンズ群101を移動させることがなく、鏡筒機構の構造簡略化を図ることができる。その他、実施例3の構成において、実施例1(及び実施例2)と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表3に、実施例3の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:58.50mm,Fナンバー:0.95,半画角:10.69゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
表3及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは58.50mm,FL1は137.15mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「2.34」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は16.30mm,D12は3.60mm,OP1は132.13mm,OP2は276.70mmとなる。したがって、ΔOPは−157.27となり、C2は「1.36」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は16.14mm,TL23は53.37mmとなる。したがって、C3は「0.30」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。加えて、実施例3は、AFLが58.50mm、ωは10.69゜、FNOは0.95、FL3は38.92mm、TLは103.60mm、DSは40.97、D0は61.58となる。したがって、C4は1.68となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.67となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
他方、図14には、実施例3の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)とした縦収差図を示す。図14に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.20」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例3の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例4に係る大口径撮像光学系Cについて、図7,図2−図3,図15及び表4を参照して説明する。
図7は、実施例4に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例4も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。実施例4の、実施例1に対して異なる点は、第1レンズ群101のレンズ枚数を2枚とした点、第3レンズ群103のレンズ枚数を4枚とした点、最終レンズL10の像IMG側のレンズ面を非球面形状にした点にあり、これにより、実施例1に対して、より広角可能にすることができる。
第1レンズ群101は、正の屈折力を有し、最も物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=1)を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L1,物体OBJ側のレンズ面(i=3)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L2の計2枚のレンズにより構成する。したがって、正レンズL2に対する負レンズL1の枚数差は0(1枚以下)となる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=5)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L4,物体OBJ側のレンズ面(i=7)を凸面に形成した正メニスカスレンズL5,開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=10)を曲率の強い凹面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L6の計3枚のレンズにより構成する。したがって、基本構成は、実施例1と同じになる。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL7と両凸レンズを用いた正レンズL8を接合した接合レンズJa,両凸レンズを用いた正レンズL9と像IMG側に凸面を有する負メニスカスレンズ(負レンズ:最終レンズ)L10を接合した接合レンズJbの計4枚(5枚以下)のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=11)は曲率の強い凹面となる。
また、最終レンズL10の像IMG側のレンズ面(i=18)は非球面形状となる。このように、第3レンズ群103に、少なくとも像IMG側のレンズ面を、非球面形状に形成した最終レンズL10を含ませれば、より容易に収差補正を行うことができる。しかも、非球面形状にすることにより、交換レンズ等におけるマウント径による制約に対して容易に適合させることができるとともに、ガウス型の欠点であるサジタルコマの補正を負担させることができるため、他のレンズにおける収差補正の負担を軽減することができる。
一方、フォーカス調整機能部51は、実施例1と同様に機能させることができる。その他、実施例4の構成において、実施例1と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表4に、実施例4の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:42.00mm,Fナンバー:0.97,半画角:14.84゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」,「0.25」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
表4の「非球面係数」は、面の中心を原点とし、光軸Dc方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは数1により表される。数1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10は、それぞれ4次,6次,8次,10次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表4において、「E」は「×10」を意味する。
また、表4及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは42.00mm,FL1は117.80mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「2.80」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は6.23mm,D12は0.58mm,OP1は126.49mm,OP2は275.34mmとなる。したがって、ΔOPは−154.50となり、C2は「1.28」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は26.25mm,TL23は46.80mmとなる。したがって、C3は「0.56」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。加えて、実施例4は、AFLが42.00mm、ωは14.84゜、FNOは0.97、FL3は31.41mm、TLは98.57mm、DSは32.38、D0は43.30となる。したがって、C4は2.28となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.75となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
他方、図15には、実施例4の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.25」)とした縦収差図を示す。図15に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.25」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例4の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例5に係る大口径撮像光学系Cについて、図8,図2−図3,図16及び表5を参照して説明する。
図8は、実施例5に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例5も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。
また、実施例5の具体的構成は実施例4と同じである。実施例5の、実施例4に対して異なる点は、フォーカス調整機能部51を、実施例3と同様のリアフォーカス方式により機能させる点、第3レンズ群103に、実施例2と同様の、接合レンズJbの像IMG側に最終レンズL11を追加した点である。
即ち、実施例5のフォーカス調整機能部51は、無限遠から近距離への物点移動におけ
る合焦時に、第1レンズ群101を像IMG面に対して固定し、第2レンズ群102と第3レンズ群103を一体としてFm方向へ移動させる合焦方式となる。したがって、実施例5は、基本的に、全長の変化しないリアフォーカス方式となり、合焦時に、第2レンズ群102の前方、即ち、物体OBJ側の空気間隔S1を変化させることができる。
一方、第3レンズ群103の最終レンズL11は、実施例2と同様、接合レンズJbの像IMG側に追加した。即ち、像IMG側のレンズ面を凹面に形成した正メニスカスレンズを接合レンズJbの像IMG側に追加した。したがって、この最終レンズL11におけるレンズ面の形状は球面形状である。その他、実施例5の構成において、実施例4(及び実施例1,2)と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表5に、実施例5の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:42.00mm,Fナンバー:0.96,半画角:14.87゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
表5及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは42.00mm,FL1は124.70mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「2.97」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は10.25mm,D12は1.45mm,OP1は138.21mm,OP2は322.76mmとなる。したがって、ΔOPは−193.36となり、C2は「1.51」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は27.89mm,TL23は52.46mmとなる。したがって、C3は「0.56」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。加えて、実施例5は、AFLが42.00mm、ωは14.87゜、FNOは0.96、FL3は31.72mm、TLは108.37mm、DSは33.04、D0は43.75となる。したがって、C4は2.48となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.76となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
他方、図16には、実施例5の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」)とした縦収差図を示す。図16に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.20」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例5の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例6に係る大口径撮像光学系Cについて、図9,図2−図3,図17及び表6を参照して説明する。
図9は、実施例6に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例6も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。
また、実施例6の具体的な構成は実施例5と同じである。実施例6の、実施例5に対して異なる点は、フォーカス調整機能部51を実施例5と同様のリアフォーカス方式により機能させるも、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に、第1レンズ群101を像IMG面に対して固定し、第2レンズ群102と第3レンズ群103をそれぞれ独立してFm方向へ移動させる合焦方式となる。したがって、実施例6は、基本的に、全長の変化しないリアフォーカス方式になるとともに、合焦時には、第2レンズ群102の前後の空気間隔S1,S2をそれぞれ変化させることができる。その他、実施例6の構成において、実施例5と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表6に、実施例6の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:42.00mm,Fナンバー:0.93,半画角:14.73゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「.20」,「0.24」)としたデータ(フォーカス可変間隔)を示す。
表6及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは42.00mm,FL1は148.04mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「3.52」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は12.34mm,D12は1.60mm,OP1は164.96mm,OP2は475.95mmとなる。したがって、ΔOPは−321.72となり、C2は「2.11」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は29.13mm,TL23は49.33mmとなる。したがって、C3は「0.
59」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。加えて、実施例6は、AFLが42.00mm、ωは14.73゜、FNOは0.93、FL3は33.42mm、TLは108.57mm、DSは35.94、D0は45.16となる。したがって、C4は2.40となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.80となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
他方、図17には、実施例6の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.24」)とした縦収差図を示す。図17に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.24」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例6の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例7に係る大口径撮像光学系Cについて、図10,図2−図3,図18及び表7を参照して説明する。
図10は、実施例7に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例7も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。
実施例7の、実施例1に対して異なる点は、第1レンズ群101のレンズ枚数を4枚とした点、第3レンズ群103のレンズ枚数を4枚とした点、最終レンズL10の像IMG側のレンズ面を非球面形状にした点、フォーカス調整機能部51をリアフォーカス方式により機能させる点にある。これにより、実施例7は、実施例1−6に対して更に広角化が可能になる。
第1レンズ群101は、最も物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=1)を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L1,両凹レンズを用いた負レンズL1a,両凸レンズを用いた正レンズL2,物体OBJ側のレンズ面(i=7)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L3の計4枚のレンズにより構成する。したがって、正レンズL2,L3に対する負レンズL1,L1aの枚数差は0(1枚以下)になるとともに、第2レンズ群102と第3レンズ群103を構成するレンズの合計枚数は7枚であり、第1レンズ群101におけるレンズ枚数(4枚)は、第2レンズ群102と第3レンズ群103を構成するレンズの合計枚数以下となる。
また、実施例7の第1レンズ群101には、二枚以上の負レンズL1,L1aにより構成する第1負レンズ群Gnと、二枚以上の正レンズL2,L3により構成する第1正レンズ群Gpが含まれる。このように、第1レンズ群101を構成するに際し、二枚以上の負レンズL1,L1aにより構成する第1負レンズ群Gnと、二枚以上の正レンズL2,L3により構成する第1正レンズ群Gpを含めて構成すれば、第1負レンズ群Gnの存在により、広角の撮像画角になるほど、軸上光束に対して軸外光束をより発散させることができるため、コマ収差,歪曲収差及び像面湾曲等の軸外の諸収差の補正を有利に行うことができるとともに、第1正レンズ群Gpの存在により、発散した光束を収束させる際に、軸外光束の径を軸上光束の径にほぼ一致させることができる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、両凸レンズを用いた正レンズL4,物体OBJ側のレンズ面(i=11)を凸面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L5,像IMG側のレンズ面を凹面に形成した負レンズL6の計3枚のレンズにより構成する。したがって、第2レンズ群102の基本構成は、実施例6と同じになる
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL7と両凸レンズを用いた正レンズL8を接合した接合レンズJa,両凸レンズを用いた正レンズL9と像IMG側に凸面を有する負メニスカスレンズ(負レンズ:最終レンズ)L10を接合した接合レンズJbの計4枚(5枚以下)のレンズにより構成する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=15)は曲率の強い凹面となる。また、最終レンズL10の像IMG側のレンズ面(i=22)は非球面形状となる。
一方、実施例7のフォーカス調整機能部51は、実施例5と同様に機能させることができる。即ち、無限遠から近距離への物点移動における合焦時に、4枚のレンズにより構成した第1レンズ群101を像IMG面に対して固定し、第2レンズ群102と第3レンズ群103を一体としてFm方向へ移動させる合焦方式となる。したがって、実施例7は、基本的に、全長の変化しないリアフォーカス方式となり、合焦時に、第2レンズ群102の前方、即ち、物体OBJ側の空気間隔S1を変化させることができる。その他、実施例7の構成において、実施例1と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表7に、実施例7の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:26.87mm,Fナンバー:0.98,半画角:22.68゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」,「0.25」)としたデータ(フォーカス可変隔)を示す。
表7及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは26.87mm,FL1は95.89mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「3.57」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は9.23mm,D12は3.67mm,OP1は137.56mm,OP2は288.42mmとなる。したがって、ΔOPは−156.43となり、C2は「1.22」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は34.75mm,TL23は45.61mmとなる。したがって、C3は「0.76」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。なお、実施例7の場合、撮影画角が20゜以上のため、光学条件4,5に係わるC4,C5に関係するデータは未収得である。
一方、図18には、実施例7の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.25」)とした縦収差図を示す。図18に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.25」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例7の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例8に係る大口径撮像光学系Cについて、図11,図2−図3,図19及び表8を参照して説明する。
図11は、実施例8に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例8も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。
実施例8の、実施例7に対する主たる相違点は、第2レンズ群102を構成する正レンズL5と負レンズL6を接合レンズJcにより構成した点、第3レンズ群103にレンズ面の双方を非球面形状に形成した最終レンズL11を追加した点にある。これにより、実施例8は、実施例1−7に対して、更に広角化を可能にすることができる。
第1レンズ群101は、最も物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=1)を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L1,物体OBJ側のレンズ面(i=3)を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L1a,物体OBJ側のレンズ面(i=5)を凹面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L2,両凸レンズを用いた正レンズL3の計4枚のレンズにより構成する。したがって、実施例7と同様、正レンズL2,L3に対する負レンズL1,L1aの枚数差は0(1枚以下)になるとともに、第2レンズ群102と第3レンズ群103を構成するレンズの合計枚数は8枚であり、第1レンズ群101におけるレンズ枚数(4枚)は、第2レンズ群102と第3レンズ群103を構成するレンズの合計枚数以下となる。したがって、実施例8の第1レンズ群101には、二枚以上の負レンズL1,L1aにより構成する第1負レンズ群Gnと、二枚以上の正レンズL2,L3により構成する第1正レンズ群Gpが含まれる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、両凸レンズを用いた正レンズL4,両凸レンズを用いた正レンズL5,両凹レンズを用いた負レンズL6の計3枚のレンズにより構成し、正レンズL5と負レンズL6は接合レンズJcにより構成する。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL7と両凸レンズを用いた正レンズL8を接合した接合レンズJa,物体OBJ側のレンズ面を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L9と両凸レンズを用いた正レンズL10を接合した接合レンズJbを有するとともに、更に、接合レンズJbの像IMG側には、像IMG側のレンズ面を凸面に形成した正レンズ(最終レンズ)L11を有する。この場合、開口絞りSTOに対向するレンズ面(i=15)は曲率の強い凹面となる。また、最終レンズL11の双方のレンズ面(i=23,24)は非球面形状に形成する。一方、実施例8のフォーカス調整機能部51は、実施例7と同様に機能させることができる。その他、実施例8の構成において、実施例7(及び実施例1)と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表8に実施例8の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:16.52mm,Fナンバー:0.95,半画角:34.43゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」,「0.25」)としたデータ(フォーカス可変隔)を示す。
表8及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは16.52mm,FL1は50.74mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「3.07」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は5.85mm,D12は2.33mm,OP1は89.41mm,OP2は144.78mmとなる。したがって、ΔOPは−58.89となり、C2は「0.70」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は40.27mm,TL23は43.66mmとなる。したがって、C3は「0.92」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。なお、実施例8の場合、撮影画角が20゜以上のため、光学条件4,5に係わるC4,C5に関係するデータは未収得である。
一方、図19には、実施例8の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.25」)とした縦収差図を示す。図19に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.25」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例7の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
次に、実施例9に係る大口径撮像光学系Cについて、図12,図2−図3,図20及び表9を参照して説明する。
図12は、実施例9に係る大口径撮像光学系Cの構成を示す。実施例9も、基本構成として、開口絞りSTOに対して物体OBJ側に配した第2レンズ群102,この第2レンズ群102に対して物体OBJ側に配した第1レンズ群101,及び開口絞りSTOに対して像IMG側に配した第3レンズ群103を備える。
実施例9は、前述した光学条件4,5のいわば限界例となる。また、例示した実施例1−9中、レンズ枚数を最も少なくし、最もコンパクトに構成した大口径撮像光学系Cとなる。したがって、実施例9の、実施例1に対する主たる相違点は、第1レンズ群101を1枚の正レンズL2により構成した点、第3レンズ群103を4枚のレンズにより構成した点にある。
第1レンズ群101は、物体OBJ側のレンズ面(i=1)を凸面に形成した一枚の正メニスカスレンズ(正レンズ)L2により構成した。この場合、正レンズL2のレンズ面の双方を非球面形状にする。このように、第1レンズ群101を、非球面形状を有する一枚の正レンズL2により構成すれば、非球面形状により球面収差をはじめとする諸収差補正を強化しつつ、大口径撮像光学系Cを構成するレンズ枚数を最少にすることができる。また、第1レンズ群101における正レンズL2は1枚,負レンズの枚数は0枚になるため、その枚数差(1枚)は1枚以下になる。
第2レンズ群102は、物体OBJ側から、物体OBJ側のレンズ面(i=3)を凸面に形成した正レンズL4,両凸レンズを用いた正レンズL5,両凹レンズを用いた負レンズL6の計3枚のレンズにより構成し、正レンズL5と負レンズL6は接合レンズJcにより構成する。
第3レンズ群103は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた負レンズL7と両凸レンズを用いた正レンズL8を接合した接合レンズJa,物体OBJ側のレンズ面を凸面に形成した負メニスカスレンズ(負レンズ)L9と像IMG側のレンズ面を凹面に形成した正メニスカスレンズ(正レンズ)L10を接合した接合レンズJbを有する。また、最終レンズL10となる正レンズL10の像IMG側のレンズ面(i=16)は非球面形状にする。一方、実施例9のフォーカス調整機能部51は、実施例2と同様に機能させることができる。その他、実施例9の構成において、実施例1と同一部分及び同一機能部分には、同一符号を付して、その構成を明確にするとともに、その詳細な説明は省略する。
表9に、実施例9の大口径撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の大口径撮像光学系Cは、焦点距離:42.02mm,Fナンバー:0.98,半画角:14.98゜である。また、撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.20」,「0.25」)としたデータ(フォーカス可変隔)を示す。
表9及び図2に示すように、前述した光学条件1におけるAFLは42.02mm,FL1は150.00mmとなる。したがって、FL1/AFL、即ち、C1は「3.57」となるため、1.0<C1<4.5の光学条件1を満たす。また、光学条件2におけるD11は2.00mm,D12は2.00mm,OP1は144.22mm,OP2は436.41mmとなる。したがって、ΔOPは−292.19となり、C2は「2.05」となるため、0.3<C2<2.5の光学条件2を満たす。さらに、光学条件3におけるTL1は4.18mm,TL23は49.68mmとなる。したがって、C3は「0.08」となるため、0.01<C3<1.0の光学条件3を満たす。加えて、実施例9は、AFLが42.02mm、ωは14.98゜、FNOは0.98、FL3は40.85mm、TLは73.65mm、DSは41.72、D0は42.92となる。したがって、C4は1.72となり、1.3<C4<3.0の光学条件4を満たすとともに、C5は0.97となり、0.4<C5<1.0の光学条件5を満たす。
一方、図20には、実施例9の大口径撮像光学系Cにおける撮影倍率をパラメータ(「0.00」,「0.10」,「0.25」)とした縦収差図を示す。図20に示すように、撮影倍率が「0.00」,「0.10」,「0.25」のいずれの場合であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。したがって、実施例7の大口径撮像光学系Cも、Fナンバーが0.9乃至1.0の範囲に設定され、かつ撮影倍率は0.2以上に設定可能となる。
以上、実施例1−9を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、光学条件1−5は、全てを満たすことが望ましいが、光学条件1−5の一又は二以上のみを満たす場合やいずれも満たさない場合を排除するものではない。第1レンズ群101に、最も物体OBJ側のレンズ面が、物体OBJ側に凹面となる負レンズL1と、最も像IMG側に配した正レンズL3を含ませる構成、第1レンズ群101に、二枚以上の負レンズL1,L1aを用いる第1負レンズ群Gnと、二枚以上の正レンズL2,L3を用いる第1正レンズ群Gpを含ませる構成、は、任意に実施可能であり、必須の構成要素になるものではない。フォーカス調整機能部51の構成は、第1レンズ群101を像IMG面に対して固定し、第2レンズ群102と第3レンズ群103を移動させるなど、例示した各種方式をはじめ、例示以外の他のフォーカス方式により実施する場合を排除するものではない。