JP2021076668A - トナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤 - Google Patents

トナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】トナーの低温定着性と帯電性を高めることができるトナー用結着樹脂を提供する。【解決手段】主鎖及び前記主鎖に結合する2種以上の側鎖を有し、前記主鎖が、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有し、前記側鎖として、結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を有し、前記結晶性ポリエステルユニット及び前記非晶性ポリエステルユニットが、前記不飽和カルボン酸無水物の酸無水環が開環したカルボン酸とエステル結合を形成しているトナー用結着樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー用結着樹脂、静電荷像現像用トナー及び静電荷像現像剤に関する。
静電潜像(静電荷像)を経る画像形成方法においては、通常、結着樹脂及び着色剤を含むトナー粒子と、当該トナー粒子を撹拌及び搬送するためのキャリア粒子とを含有する二成分現像剤(トナー)が用いられている。
上記画像形成方法では、画像形成の高速化、環境への負荷軽減等の目的で、トナー定着時の熱エネルギーの低減が求められている。そのため、トナー粒子には低温定着化が求められており、シャープメルト性に優れる結晶性樹脂をトナー粒子の結着樹脂に配合することが一般的に行われている。
トナー粒子の結着樹脂が、結晶性樹脂部位と非晶性樹脂部位の両方を同時に含む結着樹脂であれば、定着時の加熱により前記結晶性樹脂部位の融点を超えた際に、結着樹脂中の結晶性樹脂部位の結晶部分が融解し、その結果、結晶性樹脂部位と非晶性樹脂部位とが相溶して、トナー粒子の低温定着化を実現することができる。
前記結晶性樹脂部位と非晶性樹脂部位の両方を含む結着樹脂としては、結晶性樹脂と非晶性樹脂とがエステル交換反応で直接連結した樹脂(例えば特許文献1)、結晶性樹脂と非晶性樹脂とをブロック化剤を介して連結した樹脂(例えば特許文献2)等が提案されている。
特開2014−77887号公報 特開2017−58604号公報
結晶性樹脂と非晶性樹脂とをエステル交換反応で直接連結させる、又は結晶性樹脂と非晶性樹脂とをブロック化剤を介して連結させるのいずれの場合も、一般に200℃以上の高温で反応を進行させる必要があるため、製造時に結晶性樹脂の結晶性が低下して、トナーの低温定着性が不十分となる問題があった。また、結着樹脂には、画像不良を防ぐためのトナーの帯電性向上機能も求められるが、結着機能を有する樹脂は一般に帯電性が悪いという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、トナーの低温定着性と帯電性を高めることができるトナー用結着樹脂を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位とを有する主鎖、及び前記主鎖に結合する側鎖として結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を有する結着樹脂であれば上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、主鎖及び前記主鎖に結合する2種以上の側鎖を有し、前記主鎖が、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有し、前記側鎖として、結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を有し、前記結晶性ポリエステルユニット及び前記非晶性ポリエステルユニットが、前記不飽和カルボン酸無水物の酸無水環が開環したカルボン酸とエステル結合を形成しているトナー用結着樹脂に関するものである。
本発明により、トナーの低温定着性と帯電性を高めることができるトナー用結着樹脂が提供できる。
以下、本発明の一実施形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[トナー用結着樹脂]
本発明のトナー用結着樹脂は、主鎖及び前記主鎖に結合する2種以上の側鎖を有し、前記主鎖は、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有し、前記側鎖として、結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を有し、前記結晶性ポリエステルユニット及び前記非晶性ポリエステルユニットは、前記不飽和カルボン酸無水物の酸無水環が開環したカルボン酸とエステル結合を形成している。
本発明のトナー用結着樹脂は、構造中に結晶性ポリエステルユニットと非晶性ポリエステルユニットの両方を含むハイブリッド樹脂である。
本発明のトナー用結着樹脂(以下、単に「本発明の結着樹脂」という場合がある)は、主鎖に芳香族ビニル化合物由来の構造単位を有する。芳香族ビニル化合物は高い電気誘電率を示すことができるので、トナーの帯電性を高めることができる。
尚、芳香族ビニル化合物由来の構造単位とは、芳香族ビニル化合物が有するビニル基が単結合になった構造を含む構造単位である。
本発明の結着樹脂は、主鎖に不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する。カルボン酸無水物構造はポリエステル樹脂に対する高い反応性を有するので、結晶性ポリエステルユニットの結晶性を損なわない温度で結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を主鎖に連結させることができる。
尚、不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位とは、不飽和カルボン酸無水物が有する炭素炭素不飽和二重結合が単結合になった構造を含む構造単位である。
本発明の結着樹脂は、主鎖に含まれる不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位の酸無水環がポリエステルが含む水酸基で開環し、側鎖である結晶性ポリエステルユニット及び/又は非晶性ポリエステルユニットとエステル結合を形成している。
前記主鎖は、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位と前記不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位(酸無水環が開環した構造単位も含む)のみからなると好ましく、前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位と前記不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位の存在比率[芳香族ビニル化合物由来の構造単位/不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位](モル比)は、1〜8であると好ましい。
前記結晶性ポリエステルユニットは、結晶性ポリエステルに由来する構造であり、前記非晶性ポリエステルユニットは、非晶性ポリエステルに由来する構造である。
本発明の結着樹脂の側鎖を構成する結晶性ポリエステルは1種単独でもよく、2種以上でもよい。同様に、本発明の結着樹脂の側鎖を構成する非晶性ポリエステルは1種単独でもよく、2種以上でもよい。
本発明の結着樹脂における前記結晶性ポリエステルユニットと前記非晶性ポリエステルユニットの質量比は、結晶性ポリエステルユニット:非晶性ポリエステルユニット=95:5〜30:70であると好ましく、結晶性ポリエステルユニット:非晶性ポリエステルユニット=90:10〜40:60であるとより好ましい。
本発明の結着樹脂は、好ましくは下記式(1)で表される構造を有する樹脂である。
Figure 2021076668
(前記式(1)中、
xは1〜8の整数であり、yは0〜5の整数であり、nは8〜12の整数である。
は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。
は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。
及びUは、それぞれ独立に、前記結晶性ポリエステルユニット又は非晶性ポリエステルユニットである。U及びUは、n個の繰り返し単位中に少なくとも1つの前記結晶性ポリエステルユニットと少なくとも1つの非晶性ポリエステルユニットを含む。)
及びRの炭素原子数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
は無い(yが0である)と好ましい。
は水素原子であると好ましい。
前記式(1)において、R及びRは、x個の繰り返し単位ごとに同じでも異なってもよい。
また、前記式(1)において、xで囲まれた繰り返し単位は、n個の繰り返し単位ごとに同じでも異なってもよい。
前記式(1)において、U及びUは、n個の繰り返し単位ごとに同じでも異なってもよい。
本発明の結着樹脂は、好ましくは結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体とを反応原料とする共重合体である。ここで反応原料とは、本発明の結着樹脂を構成する原料という意味であり、本発明の結着樹脂を構成しない溶媒や触媒を含まない意味である。
芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物の構造単位を有する重合体はグラフト化剤として機能することができ、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂中の水酸基と非晶性ポリエステル樹脂中の水酸基が、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体のカルボン酸無水物と反応してグラフト共重合体となる。
以下、本発明の結着樹脂の各成分について説明する。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性のポリエステル樹脂である。ここで「結晶性の」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、ポリエステル樹脂が階段状の吸熱量変化を示すのではなく、明確な吸熱ピークを示すことを意味する。具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定をした場合に、明確な吸熱ピークを示すポリエステル樹脂が結晶性ポリエステル樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、好ましくは55〜90℃であり、より好ましくは61〜88℃であり、さらに好ましくは64〜85℃である。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、実施例に記載の方法で測定する。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば5,000〜100,000であり、好ましくは10,000〜60,000であり、より好ましくは15,000〜40,000であり、さらに好ましくは19,000〜38,000である。
結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、例えば1,000〜50,000であり、好ましくは2,000〜10,000であり、より好ましくは3,000〜8,000であり、さらに好ましくは4,300〜6,700である。
結晶性ポリエステルの重量平均分子量と数平均分子量は実施例に記載の方法で測定する。
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、脂肪族二塩基酸(c1)と、脂肪族ジオール(c2)とを必須の反応原料として得られる結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂は通常は非晶性ポリエステル樹脂として得られるが、脂肪族二塩基酸(c1)と脂肪族ジオール(c2)の組み合わせを反応原料とすることで結晶性のポリエステル樹脂が得られる。脂肪族二塩基酸(c1)と脂肪族ジオール(c2)は、いずれも対称性が高い及び/又は炭化水素鎖が長いものであるとより好ましい。
脂肪族二塩基酸(c1)としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノニルデカン二酸等の脂肪族二塩基酸等が挙げられる。これらのうち、炭素原子数6〜18の脂肪族二塩基酸が好ましく、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸がより好ましい。
これら脂肪族二塩基酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジオール(c2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−イコサンジオール等の直鎖のアルキレンジオール;ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のエーテルグリコール;前記直鎖のアルキレンジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記直鎖のアルキレンジオールと、ε−カプロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられる。
これらの脂肪族ジオール(c2)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
脂肪族ジオール(c2)は、炭素原子数4〜18の直鎖のアルキレンジオールが好ましく、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−へプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールがより好ましい。これらはいずれも対称性が高い脂肪族ジオールである。
結晶性ポリエステル樹脂は、反応原料として多官能エポキシ化合物(c3)を用いてもよい。
多官能エポキシ化合物(c3)としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、2,2’−(2,6−ジオキサヘプタン−1,7−ジイル)ビスオキシラン、1,4−ビス(グリシジルオキシ)ブタン、2,3−ブチレングリコールジグリシジルエーテル、1,5−ペンチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ビス(グリシジルオキシ)へキサン、1,7−へプチレングリコールジグリシジルエーテル、1,8−オクチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジグリシジルエーテル;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の分子構造中に3個以上のエポキシ基を有する脂肪族ポリグリシジルエーテル;(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有化合物と、ブタジエン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、フマル酸ジメチル等のビニル基を含有する脂肪族化合物とを重合させて得られるエポキシ基含有ビニル重合体;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールBジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、1,5−ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、2,6−ナフタレンジオールジグリシジルエーテル、ナフタレン−2,6−ジメタノールジグリシジルエーテル等の芳香族ジグリシジルエーテル;4,4’,4’’−メチリジントリスフェノールトリグリシジルエーテル等の分子構造中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族ポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール類のノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;(メタ)アクリル酸グリシジルやα−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有化合物と、スチレン等のビニル基を含有する芳香族化合物と、必要に応じてブタジエン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、フマル酸ジメチル等のビニル基を含有する脂肪族化合物とを重合させて得られるエポキシ基及び芳香環を含有するビニル重合体等が挙げられる。これらのうち、ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
これら多官能エポキシ化合物(c3)は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてメタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸等の脂肪族モノカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸を用いてもよい。
これら脂肪族二塩基酸(c1)以外の酸成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
脂肪族二塩基酸(c1)以外の酸成分を用いることにより結晶性ポリエステル樹脂の融点を調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてヘキサノール、オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール、n−ノナデカノール、エイコサノール等のモノアルコール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の3官能以上の脂肪族ポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール;前記ビスフェノールにエチレンオキサイド、プロプレンオキサイド等を付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物などを用いてもよい。
これら脂肪族ジオール(c2)以外のアルコール成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジオール(c2)以外のアルコール成分を用いることにより結晶性ポリエステル樹脂の融点を調整することができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてモノエポキシ化合物を用いてもよい。
前記モノエポキシ化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エトキシエチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル等の脂肪族モノグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、4−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジル−2−ナフチルエーテル等の分子構造中に芳香環を有するモノグリシジルエーテル;2,2−ジメチルプロピオン酸シクロプロピルメチル、ネオデカン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル等の脂肪族モノグリシジルエステル;スチレンオキサイド等の芳香族α−オレフィンオキサイド等が挙げられる。
これらモノエポキシ化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂が、脂肪族二塩基酸(c1)と脂肪族ジオール(c2)とを必須の反応原料として得られる結晶性ポリエステル樹脂である場合、当該結晶性ポリエステル樹脂は、脂肪族二塩基酸(c1)が含むカルボキシル基のモル数(NCOOH)と、脂肪族ジオール(c1)が含む水酸基のモル数(NOH)との比[(NCOOH)/(NOH)]が1.00/0.90〜1.00/0.99の範囲となるように脂肪族二塩基酸(c1)と脂肪族ジオール(c2)とを用い、180〜260℃の温度で、ジブチル錫オキサイド等のエステル化触媒の存在下で反応させた結晶性ポリエステル樹脂であると好ましい。
(非晶性ポリエステル樹脂)
本発明の結着樹脂の非晶性ポリエステルユニットを構成する非晶性ポリエステル樹脂は、非晶性のポリエステル樹脂である。ここで「非晶性の」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークを示さないことを意味する。具体的には、実施例に記載の示差走査熱量測定をした場合に、明確な吸熱ピークを示さないポリエステル樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂は、低温環境下では分子運動性が低く流動性のないガラス状態であるが、温度が上がると分子運動性が大きくなり、剛性と粘度が低下して流動性を増したゴム状態となる性質を有する。このとき、ガラス状態からゴム状態に転移する温度をガラス転移温度(Tg)と言う。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、例えば45〜100℃であり、好ましくは50〜90℃であり、より好ましくは54〜80℃であり、さらに好ましくは55〜62℃である。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定する。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば3,000〜150,000であり、好ましくは4,000〜80,000であり、より好ましくは10,000〜60,000であり、さらに好ましくは10,500〜44,000である。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、例えば1,000〜50,000であり、好ましくは2,000〜10,000であり、より好ましくは2,500〜8,000であり、さらに好ましくは3,000〜5,200である。
非晶性ポリエステルの重量平均分子量と数平均分子量は実施例に記載の方法で測定する。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、二塩基酸(a1)と、ジオール(a2)とを必須の反応原料として得られる非結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
前記非晶性ポリエステル樹脂の反応原料は、前記結晶性ポリエステルの反応原料である脂肪族二塩基酸(c1)と脂肪族ジオール(c2)の組み合わせ以外の二塩基酸とジオールの組み合わせであると好ましい。
二塩基酸(a1)としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ドデシルコハク酸、ドデシル無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸、オクテニル無水コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸;マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、ジメチルマレイン酸、シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸、フマル酸、メサコン酸、イタコン酸、グルタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、前記芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸及びイソフタル酸がより好ましい。
これら二塩基酸は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジオール(a2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2,2−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−3−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン等の脂肪族ジオール;ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のエーテルグリコール;前記脂肪族ジオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記脂肪族ジオールと、ε−カプロラクトン等の種々のラクトンとの重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール;前記ビスフェノールにエチレンオキサイド、プロプレンオキサイド等を付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらのうち、前記ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
これらジオールは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてメタン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、安息香酸、パラ−t−ブチル安息香酸等のモノカルボン酸;1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸等の3官能以上のポリカルボン酸等を用いてもよい。
これら二塩基酸(a1)以外の酸成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
二塩基酸(a1)以外の酸成分を用いることにより非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点を調整することができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノール、n−デカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール、n−ノナデカノール、エイコサノール、5−エチル−2−ノナノール、トリメチルノニルアルコール、2−ヘキシルデカノール、3,9−ジエチル−6−トリデカノール、2−イソヘプチルイソウンデカノール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール等のモノアルコール;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の3官能以上のポリオール等を用いてもよい。
これらジオール(a2)のアルコール成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ジオール(a2)以外のアルコール成分を用いることにより非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点を調整することができる。
非晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料として多官能エポキシ化合物を用いてもよい。非晶性ポリエステル樹脂に用いることができる多官能エポキシ化合物としては、結晶性ポリエステル樹脂に使用することができる多官能エポキシ化合物(c3)と同じものが使用できる。
非晶性ポリエステル樹脂は、必要に応じて、反応原料としてモノエポキシ化合物を用いてもよい。
前記モノエポキシ化合物としては、例えば、ブチルグリシジルエーテル、2−エトキシエチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル等の脂肪族モノグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、4−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジル−2−ナフチルエーテル等の分子構造中に芳香環を有するモノグリシジルエーテル;2,2−ジメチルプロピオン酸シクロプロピルメチル、ネオデカン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル等の脂肪族モノグリシジルエステル;スチレンオキサイド等の芳香族α−オレフィンオキサイド等が挙げられる。
これらモノエポキシ化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂が、二塩基酸(a1)とジオール(a2)とを必須の反応原料として得られる非晶性ポリエステル樹脂である場合、当該非晶性ポリエステル樹脂は、二塩基酸(a1)が含むカルボキシル基のカルボキシル基のモル数(NCOOH)と、ジオール(a2)が含む水酸基のモル数(NOH)との比[(NCOOH)/(NOH)]が1.00/0.90〜1.00/0.99の範囲となるように二塩基酸(a1)とジオール(a2)とを用い、180〜260℃の温度で、ジブチル錫オキサイド等のエステル化触媒の存在下で反応させた非晶性ポリエステル樹脂であると好ましい。
(芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体)
芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体としては、例えば芳香族ビニル化合物とカルボン酸無水物構造を有する不飽和化合物との共重合体を用いることができる。当該共重合体について、共重合形式は特に限定されず、ブロックであってもランダムであってもよい。
共重合する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン等を挙げることができる。これら芳香族ビニル化合物は1種単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、共重合するカルボン酸無水物構造を有する不飽和化合物としては、例えば無水マレイン酸を挙げることができる。
芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物の構造単位を有する重合体は、好ましくは下記式(G−1)で表される重合体である。
Figure 2021076668
(前記式(G−1)中、
xは1〜8の整数であり、yは0〜5の整数であり、nは8〜12の整数である。
は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。
は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
前記式(G−1)中のR、R、x、y及びnは、前記式(1)のR、R、x、y及びnと同じである。
芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体としては、市販品を用いることができる。当該市販品としては、SMA(登録商標)1000(スチレン/無水マレイン酸=1、Mw=5500)、SMA(登録商標)2000(スチレン/無水マレイン酸=2、Mw=7500)、SMA(登録商標)3000(スチレン/無水マレイン酸=3、Mw=9500)、SMA(登録商標)EF30(スチレン/無水マレイン酸=3、Mw=9500)、SMA(登録商標)EF40(スチレン/無水マレイン酸=4、Mw=11000)、SMA(登録商標)EF60(スチレン/無水マレイン酸=6、Mw=11500)、SMA(登録商標)EF80(スチレン/無水マレイン酸=8、Mw=14400)(いずれもクレイバレー社製)等が挙げられる。
これら市販品はいずれも前記式(G−1)で表される化合物である。
[トナー用結着樹脂の製造方法]
本発明の結着樹脂の製造方法では、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体とを必須に含む反応原料を130℃以上200℃未満で反応させる。反応温度は、140℃以上170℃未満であると好ましく、140℃以上160℃以下であるとより好ましい。
カルボン酸無水物構造はポリエステル樹脂との反応性が高い構造であるため、200℃未満であっても結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体とを反応させることができる。本発明の結着樹脂の製造を200℃未満で行うことにより結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が損なわれることがなく、得られる結着樹脂の低温定着性を高めることができる。
尚、カルボン酸無水物構造を含まない化合物を用いた場合、200℃未満では非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂との反応を進行させることはできず、結着樹脂は得られない。
結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体を含む反応原料は、結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体のみでよく、任意にこれら以外の反応原料を用いてもよい。
本発明の結着樹脂の製造に用いる前記結晶性ポリエステル樹脂と前記非晶性ポリエステル樹脂の質量比は、結晶性ポリエステル樹脂:非晶性ポリエステル樹脂=95:5〜30:70であると好ましく、結晶性ポリエステル樹脂:非晶性ポリエステル樹脂=90:10〜40:60であるとより好ましい。
本発明の結着樹脂の製造に用いる芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体の量は、前記結晶性ポリエステル樹脂と前記非晶性ポリエステル樹脂の合計量を100質量部とした場合に、当該合計量100質量部に対して例えば0.1〜20質量部であり、好ましくは1.0〜15質量部であり、より好ましくは1.0〜10質量部である。
結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体を含む反応原料の反応は、無溶剤で実施することができる。溶剤を必要としないので、製造コストを抑えることができる。
前記反応は、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で、反応で生じる水を除去しながら行うと好ましい。
本発明の製造方法により得られる結着樹脂の主鎖及び側鎖の構造は、例えば結着樹脂又はその加水分解物をNMRやエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)などの公知の機器分析法により確認又は推定することができる。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナーは、本発明のトナー用結着樹脂を含む。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「本発明のトナー」という場合がある)は、本発明の結着樹脂を含むことにより、帯電性及び低温定着性に優れる。
本発明のトナーにおける、本発明の結着樹脂の含有量としては、特に制限はないが、トナーの全質量に対して、10〜95質量%であることが好ましく、25〜90質量%であることがより好ましく、45〜85質量%であることがさらに好ましい。
本発明の結着樹脂の含有量が上記範囲にあることで、優れた帯電性及び低温定着性が得られる。
(その他の結着樹脂)
本発明のトナーは、本発明の結着樹脂を含めばよく、本発明の結着樹脂以外のその他の結着樹脂を含んでもよい。
前記その他の結着樹脂としては、特に限定されず、例えばポリスチレン、スチレンブタジエン系ポリマー、スチレンアクリル系ポリマー、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらその他の結着樹脂は、ウレタン、ウレア、エポキシ等でさらに変性されていてもよい。
本発明のトナーにおける本発明の結着樹脂の含有量は、トナー中の結着樹脂の全質量に対して、20〜100質量%であることが好ましく、50〜100質量%であることがより好ましい。
(着色剤)
本発明のトナーは、得られる画像を着色する目的で、着色剤を含むと好ましい。
前記着色剤は、目的に応じて公知の着色剤を適宜選択して用いるとよく、各色の顔料及び染料を用いることができる。
前記顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等の黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等の黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等の橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウォッチングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、ピラゾロンレッド、ローダミンレーキB、レーキレッドC、ローズベンガル、エオシンレッド、アリザリンレーキ等の赤色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の青色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の紫色顔料;酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等の緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等の白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等の体質顔料等を挙げることができる。
これら顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記染料としては、塩基性染料、酸性染料、分散染料、直接染料等の各種染料が挙げられる。
前記染料の具体例としては、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー等が挙げられる。
これら染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記着色剤は、例えば、着色剤粒子の分散液としてから用いてもよい。
着色剤粒子の分散液の調製方法としては、回転剪断型ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機;高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液とする、又は、極性を有する界面活性剤を添加してホモジナイザーで着色剤粒子の分散液とする等が挙げられる。
本発明のトナーの着色剤の含有量は、定着時の発色性を確保するために、トナーの固形分総質量の0.1〜40質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましい。ただし、黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、当該黒色着色剤の含有量は、トナーの固形分総質量の12〜48質量%であると好ましく、15〜40質量%であとより好ましい。
前記着色剤の種類を適宜選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等の各色トナーが得られる。
(離型剤)
本発明のトナーは、離型性を向上させる目的で離型剤を含むと好ましい。
前記離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックス等が挙げられる。
これら離型剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記離型剤の添加量としては、トナー粒子の全量に対して、0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることがさらに好ましい。
本発明のトナーは、本発明の効果を損なわない範囲で、結着樹脂、着色剤、離型剤以外のその他成分を含んでもよく、当該その他の成分としては、無機粒子、有機粒子、内添剤、帯電制御剤等の公知の添加剤が挙げられる。
前記無機粒子は、一般にトナーの流動性を向上させる目的で使用される。
前記無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の粒子が挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子が好ましく、疎水化処理されたシリカ粒子が特に好ましい。
前記有機粒子は、クリーニング性、転写性、帯電性等を向上させる目的で使用される。
前記有機粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン−アクリル共重合体等の粒子が挙げられる。
前記内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
前記帯電制御剤は、例えば、サリチル酸金属塩、含金属アゾ化合物、ニグロシンや第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
本発明のトナーは、公知の方法により製造することができ、例えば混錬粉砕法、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法が挙げられ、乳化凝集法が好ましい。
前記混錬粉砕法とは、結着樹脂と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等とを混練し、得られた混錬物を粉砕及び分級してトナー母粒子を製造する方法である。得られたトナー母粒子は、さらに機械的衝撃力又は熱エネルギーを加えて形状を変化させてもよい。
前記乳化凝集法とは、結着樹脂を乳化して分散した分散液と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー母粒子を製造する方法である。
前記懸濁重合法とは、結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させてトナー母粒子を製造する方法である。
前記溶解懸濁法とは、結着樹脂と、着色剤、離型剤、帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させてトナー母粒子を造粒する方法である。
上記方法で得られたトナー母粒子をコアにして、コア表面に凝集粒子を付着させ、加熱融合してコアシェル構造のトナーとしてもよい。
[静電荷像現像剤]
本発明のトナーは、静電荷像現像剤として好適に使用される。
本発明の静電荷像現像剤は、本発明のトナーを含めばよい。例えば静電荷像現像剤として本発明のトナーを単独で用いると、本発明の静電荷像現像剤は、一成分系の静電荷像現像剤となり、静電荷像現像剤として、本発明のトナーと公知のキャリアとを組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤となる。
前記キャリアの芯材としては、例えば、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属;前記磁性金属とマンガン、クロム、希土類等との合金;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
前記キャリアの芯材表面は樹脂で被覆されていてもよい。芯材表面を被覆する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル及びポリビニルケトン等のポリビニル系樹脂及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂;シリコーン樹脂;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
これら樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記キャリアが、樹脂で被覆された芯材からなるキャリアである場合、当該樹脂被覆層中に樹脂粒子及び/又は導電性粒子が分散していると好ましい。
前記樹脂粒子としては、熱可塑性樹脂粒子、熱硬化性樹脂粒子が挙げられる。当該樹脂粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属粒子;カーボンブラック粒子;酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の表面をカーボンブラック又は金属で覆った粒子が挙げられる。これら導電性粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
本発明のトナー又は本発明の静電荷像現像剤は、例えばカートリッジに収容された状態で用いられる。本発明のトナー又は本発明の静電荷像現像剤をカートリッジに収容させることで、画像形成装置に対して着脱可能となり、トナー又は静電荷像現像剤の画像形成装置への供給を容易とすることができる。
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
実施例における各種評価は下記方法で行った。
(数平均分子量及び重量平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用い、下記の条件により評価した。
測定装置:東ソー株式会社製 HLC−8120GPC
カラム :東ソー株式会社製 TSK−GUARDCOLUMN HXL−H
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSK−GEL G2000HXL
検出器 :RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 マルチステーションGPC−8020modelII
カラム温度:40℃
溶媒 :テトラヒドロフラン
流速 :1.0ml/分
標準 :単分散ポリスチレン
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
(融点)
樹脂の融点は、示差走査熱量分析(DSC)法を用い、下記の条件により求めた。
測定装置 :セイコーインスツル株式会社製 DSC−220C
データ処理:EXSTAR6000 PCステーション
測定条件 :(1)20℃から150℃まで昇温(10℃/分)
(2)150℃にて10分間保持
(3)150℃から0℃まで降温(10℃/分)
(4)0℃にて10分間保持
(5)0℃から150℃まで昇温(10℃/分)
解析:(5)において、融解熱の最大吸熱ピーク温度を融点とした。
(ガラス転移温度)
樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)法を用い、下記の条件により求めた。
測定装置 :セイコーインスツル株式会社製 DSC−220C
データ処理:EXSTAR6000 PCステーション
測定条件 :(1)20℃から150℃まで昇温(10℃/分)
(2)150℃にて10分間保持
(3)150℃から0℃まで降温(10℃/分)
(4)0℃にて10分間保持
(5)0℃から150℃まで昇温(10℃/分)
解析:(5)において、低温側のベースラインの延長線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点をガラス転移点とした。
合成例1(結晶性ポリエステルユニットの調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、1,6−ヘキサンジオール568.4質量部、ドデカン二酸1103.5質量部を原料として仕込んだ。原料の仕込み後、生成する水を除去しながら窒素気流下、6時間かけて220℃まで昇温し、220℃で10時間反応し、結晶性ポリエステルユニットC−1を得た。
得られた結晶性ポリエステルユニットC−1について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表1に示す。
合成例2−3(結晶性ポリエステルユニットの調製)
原料として表1に示すものを用いた他は合成例1と同様にして結晶性ポリエステルユニットC−2及び結晶性ポリエステルユニットC−3を調製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021076668
表1において、各略号は以下を表す。
EG :エチレングリコール
HD :1,6−ヘキサンジオール
SeA :セバシン酸
DDDA:ドデカン二酸
合成例4(非晶性ポリエステルユニットの調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物144.7質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物912.3質量部、テレフタル酸365.4質量部、及びドデセニル無水コハク酸195.4質量部を原料として仕込み、触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.8部を加えた。原料の仕込み後、生成する水を除去しながら窒素気流下、240℃で3時間反応させた後、220℃、5kPa減圧下で8時間さらに反応させて、非晶性ポリエステルユニットA−1を得た。
得られた非晶性ポリエステルユニットA−1について、数平均分子量、重量平均分子量及びガラス転移点を評価した。結果を表2に示す。
合成例5−6(非晶性ポリエステルユニットの調製)
原料として表2に示すものを用いた他は合成例4と同様にして非晶性ポリエステルユニットA−2及び非晶性ポリエステルユニットA−3を調製し、評価した。結果を表2に示す。
Figure 2021076668
表2において、各略号は以下を表す。
BPAEO:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物
BPAPO:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物
FuA :フマル酸
TPA :テレフタル酸
TMAn :無水トリメリット酸
DSA :ドデセニル無水コハク酸
合成例7(カルボン酸無水物構造を含まないグラフト化剤の調製)
スチレン35質量部、ブチルアクリレート9質量部、メチルメタクリレート4質量部及び2−ブテン−1,4−ジオール4質量部、アゾビスイソブチルニトリル7質量部を滴下ロートに入れ、攪拌下で90分間かけて110℃のトルエン50質量部の中へ滴下した。60分間熟成を行ったのち、減圧下で未反応のモノマーを除去し、グラフト化剤S−1を得た。
実施例1−7(ハイブリッド樹脂の調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の1Lステンレスフラスコに、表3に示す結晶性ポリエステルユニット及び非晶性ポリエステルユニットを仕込み、150℃で加熱溶融した。この溶融物に表3に示すグラフト化剤を加え、150℃で4時間反応させ、ハイブリッド樹脂H−1〜ハイブリッド樹脂H−7をそれぞれ得た。
得られたハイブリッド樹脂について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表3に示す。
Figure 2021076668
表3において、各略号は以下を表す。
SMA1000 :スチレン−無水マレイン酸共重合体(スチレン/マレイン酸=1、ガラス転移点155℃、酸価465−495、重量平均分子量5500、クレイバレー社製)
SMA EF60:スチレン−無水マレイン酸共重合体(スチレン/マレイン酸=6、ガラス転移点106℃、酸価141−171、重量平均分子量11500、クレイバレー社製)
比較例1(ハイブリッド樹脂の調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の1Lステンレスフラスコに、表5の結晶性ポリエステルユニットおよび非晶性ポリエステルユニット及びアジピン酸を仕込み、窒素雰囲気下、150℃で8時間反応し、ハイブリッド樹脂H’−1を得た。
得られたハイブリッド樹脂について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表4に示す。
比較例2(ハイブリッド樹脂の調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の1Lステンレスフラスコに、表5の結晶性ポリエステルユニットおよび非晶性ポリエステルユニットを仕込み、窒素雰囲気下、230℃で7時間反応し、ハイブリッド樹脂H’−2を得た。
得られたハイブリッド樹脂について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表4に示す。
比較例3(ハイブリッド樹脂の調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の1Lステンレスフラスコに、表5の結晶性ポリエステルユニットおよび非晶性ポリエステルユニットを仕込み、窒素雰囲気下、230℃で7時間反応し、ハイブリッド樹脂H’−3を得た。
得られたハイブリッド樹脂について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表4に示す。
比較例4(ハイブリッド樹脂の調製)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の1Lステンレスフラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物74質量部、テレフタル酸17質量部、フマル酸12質量部、トリメリット酸2質量部を仕込み、窒素雰囲気下、170℃に加熱し溶解させた。触媒Ti(OBu)(多価カルボン酸単量体全量に対し、0.003質量%)を投入し、235℃まで昇温し、235℃常圧下で5時間、さらに減圧下で1時間反応を行った後に200℃まで冷却した。次いで、セバシン酸277質量部、ドデカンジオール283質量部およびグラフト化剤S−1を上記四つ口フラスコに入れ、170℃に加熱し溶解させた。Ti(OBu)を0.8質量部投入し、235℃まで昇温し、235℃常圧下で5時間、さらに減圧下で1時間反応し、ハイブリッド樹脂H’−4を得た。尚、グラフト化剤S−1では200℃未満では反応は十分に進行しなかった。
得られたハイブリッド樹脂について、数平均分子量、重量平均分子量及び融点を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2021076668
表4において、各略号は以下を表す。
AdA:アジピン酸
実施例8
(分散用樹脂の合成)
撹拌機、窒素ガス導入口、温度計を備えた4つ口の3Lステンレスフラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物281.7質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物828.6質量部、テレフタル酸400.6質量部、アジピン酸72.4質量部、無水トリメリット酸23.8質量部を仕込み、触媒としてチタンテトライソプロポキシド0.8質量部を加えた。原料の仕込み後、生成する水を除去しながら窒素気流下、240℃で7時間反応し、分散用樹脂を得た。
(顔料分散液の調製)
ファーストゲンブルーTGR(β型銅フタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー15:3、DIC株式会社製)200質量部と前記分散用樹脂200質量部とを二本ロールで混練した。得られた混練物とメチルエチルケトン740質量部とをボールミルに仕込んで6時間撹拌し、メチルエチルケトンで固形分を20質量%に調整し、顔料分散液を得た。
(離型剤分散液の調製)
カルナバワックス1号(融点83.1℃、加藤洋行株式会社製、植物系ワックス)200質量部と前記分散用樹脂200質量部とを加圧ニーダーで混練した。得られた混練物とメチルエチルケトン740質量部とをボールミルに仕込んで6時間撹拌し、メチルエチルケトンで固形分を20質量%に調整し、離型剤分散液を得た。
(湿式混錬ミルベースの調製)
実施例1のハイブリッド樹脂H−1を250質量部、前記顔料分散液を62.5質量部、及び前記離型剤分散液を62.5質量部をデスパーで混合した。得られた混合物をメチルエチルケトンで固形分を55質量%に調整し、ミルベースMB−1を得た。
(トナーの製造)
マックスブレンド翼を有する2Lセパラブルフラスコに、ミルベースMB−1を545.5質量部、及び1規定アンモニア水23.8質量部を加えて、スリーワンモーターにより350rpmにて十分に撹拌した後、温度を30℃に調整し、脱イオン水266質量部を滴下して転相乳化した。転相乳化後、脱イオン水333質量部を加えて、微粒子分散体を調製した。
次いで、ノニオン型乳化剤であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(エパン450、第一工業製薬社製)4.1質量部を添加し、温度を30℃に保ちながら回転数を250rpmに調整し、3%硫酸アンモニウム水溶液410質量部を滴下し、5分間撹拌して合一を行い、スラリーを得た。
得られたスラリーについて、遠心分離機で固液分離し、洗浄を行い、真空乾燥機で乾燥して、トナー粒子を得た。ヘンシェルミキサーを用いて、トナー粒子100質量部に疎水性シリカ(H−2018、クラリアント株式会社製)0.5質量部と酸化チタン(JMT−150AO、テイカ株式会社製)0.5質量部とを外添し、トナーT−1を得た。
得られたトナーについて以下の評価を行った。結果を表5に示す。
(低温定着性)
トナーを複写機に充填し、熱ロールの設定温度を5℃きざみに80℃から140℃まで変化させ、ベタ印刷を行った。ベタ印刷部分に堅牢度試験を行い、試験前後の画像濃度をマクベス濃度計(RD−918)で測定し、その試験前の値に対する剥離後の濃度値の比率を%で表示した場合に、その値が80%以上となる温度を定着開始温度とした。この温度が低いほど低温定着性が良好であることを示す。
トナーの低温定着性の評価基準は下記の通りとした。尚、堅牢度試験は学振型摩擦堅牢度試験機(荷重:200g、擦り操作:5ストローク)を用いて行った。
◎:定着開始温度が110℃未満の場合
○:定着開始温度が110℃以上、115℃未満の場合
△:定着開始温度が115℃以上、120℃未満の場合
×:定着開始温度が120℃以上の場合
(耐熱保存性)
40℃50%RHの環境下で66g/cmの負荷をかけて48時間放置したトナーをサンプルとして用いた。このサンプル400gを目開き45μmの篩いをセットした振動篩い装置で振幅1mm30秒間振動させた。篩いに残った凝集物の割合を下記の基準で評価した。凝集物の割合が小さいものほど耐熱保存性は良好であることを示す。
◎:10質量%未満の場合
○:10〜20質量%未満の場合
△:20〜30質量%未満の場合
×:30質量%以上の場合
(帯電量及び帯電安定性)
吸引ブローオフ型帯電量測定機器(210HS−2A、トレックジャパン株式会社製)を用い、トナー1.5gとフェライトキャリア(MF−1008、日本鉄粉株式会社製)48.5gとの混合物を50mlのポリ容器にて1分間、10分間、30分間及び60分間ターブラシェイカーミキサーにてそれぞれ混合し、得られた混合物それぞれを前記帯電量測定機器によって帯電量を測定した。測定して得られた帯電量の平均値をトナーの帯電量とした。帯電量の評価基準は下記の通りとした。
◎ :−45μC/g以上
○ :−40μC/g以上−45μC/g未満
△ :−35μC/g以上−40μC/g未満
× :−30μC/g以上−35μC/g未満
××:−30μC/g未満
また、前記10分間、30分間及び60分間混合した混合物の帯電量について、最大帯電量と最小帯電量の差を求め、この値を帯電安定性の評価とした。この値が小さいほど帯電安定性に優れることを示す。帯電安定性の評価基準の評価基準は下記の通りとした。
◎:最大帯電量と最小帯電量の差が−3μC/g未満
○:最大帯電量と最小帯電量の差が−3μC/g以上−6μC/g未満
△:最大帯電量と最小帯電量の差が−6μC/g以上−9μC/g未満
×:最大帯電量と最小帯電量の差が−9μC/g以上−12μC/g未満
実施例9−14及び比較例5−9
ハイブリッド樹脂H−1の代わりに表5及び6に示す樹脂を用いた他は実施例8と同様にしてトナーを調製し、評価した。結果を表5及び6に示す。
Figure 2021076668
Figure 2021076668

Claims (9)

  1. 主鎖及び前記主鎖に結合する2種以上の側鎖を有し、
    前記主鎖が、芳香族ビニル化合物由来の構造単位と不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有し、
    前記側鎖として、結晶性ポリエステルユニットを含む側鎖及び非晶性ポリエステルユニットを含む側鎖を有し、
    前記結晶性ポリエステルユニット及び前記非晶性ポリエステルユニットが、前記不飽和カルボン酸無水物の酸無水環が開環したカルボン酸とエステル結合を形成しているトナー用結着樹脂。
  2. 下記式(1)で表される構造を有する請求項1に記載のトナー用結着樹脂。
    Figure 2021076668
    (前記式(1)中、
    xは1〜8の整数であり、yは0〜5の整数であり、nは8〜12の整数である。
    は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。
    は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。
    及びUは、それぞれ独立に、前記結晶性ポリエステルユニット又は前記非晶性ポリエステルユニットである。U及びUは、n個の繰り返し単位中に少なくとも1つの前記結晶性ポリエステルユニットと少なくとも1つの前記非晶性ポリエステルユニットを含む。)
  3. 前記結晶性ポリエステルユニットと前記非晶性ポリエステルユニットの質量比が、結晶性ポリエステルユニット:非晶性ポリエステルユニット=90:10〜30:70である請求項1又は2に記載のトナー用結着樹脂。
  4. 結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物由来の構造単位を有する重合体とを反応原料とする共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のトナー用結着樹脂。
  5. 前記芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物の構造単位を有する重合体が、下記式(G−1)で表される重合体である請求項4に記載のトナー用結着樹脂。
    Figure 2021076668
    (前記式(G−1)中、
    xは1〜8の整数であり、yは0〜5の整数であり、nは8〜12の整数である。
    は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜6のアルキル基である。
    は、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
  6. 結晶性ポリエステル樹脂と、非晶性ポリエステル樹脂と、芳香族ビニル化合物由来の構造単位及び不飽和カルボン酸無水物の構造単位を有する重合体とを含む反応原料を130℃以上200℃未満で反応させるトナー用結着樹脂の製造方法。
  7. 前記反応を無溶剤で行う請求項6に記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のトナー用結着樹脂を含む静電荷像現像用トナー。
  9. 請求項8に記載の静電荷像現像用トナー及びキャリアを含む静電荷像現像剤。
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