JP2021075723A - 香料前駆体としてのジエステル化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
OHおよびR1OHで表される香料アルコールとしてゲラニオールの徐放効果があると記載されており、特許文献6には、ラズベリーケトン(4−(3−オキソブチル)フェノールとも記載)を徐放するケイ酸エステルが記載されている。
[1] 下記式Aで表されるジエステル化合物。
[2] R1−OHで表される化合物がメントールまたはシクロヘキサノールである、[1]に記載のジエステル化合物。
[3] R−OHで表される香気化合物の炭素数が4〜12個である、[1]または[2]に記載のジエステル化合物。
[4] R−OHで表される香気化合物において、前記OHがフェノール性水酸基である、[1]〜[3]のいずれかに記載のジエステル化合物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物を含有する、香料組成物。[6] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物または[5]に記載の香料組成物を含有する、消費財。
[7] [1]〜[4]のいずれかに記載のジエステル化合物、または[5]に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の残香性付与または増強方法。
本発明のジエステル化合物は下記式Aで表される化合物であり、香料前駆体として使用できる。
以下、本明細書では、本発明のジエステル化合物を本発明の香料前駆体とも称する。香料前駆体とは、分子内に香気化合物部分を含み、その香気化合物をそれ単体として放出可能な化合物を意味する。
維状製品など前駆体が付着する基材との相互作用がより強くなり、水系溶媒による流出を抑制している可能性や、疎水性が向上することで、エステル基部分に対する水分子の作用が疎水性基によって阻害されるため、水系溶媒を用いた製品中でも加水分解を受けにくく、安定性が向上し、残香性の向上に寄与している可能性が考えられる(ただし、本発明は以上の原理に限定されるものではない)。
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)に使用可能なシクロヘキサノールまたはその誘導体は、以下に示す範囲内であれば任意である。すなわち、前記式Aにおいて、R1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体から水酸基を除いた残基を表し、R2、R3はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖型のアルキル基を表す。
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)に使用可能な香気化合物は、1個以上の水酸基を有する香気化合物であれば特に限定されない。なお、本明細書において、香気化合物とは、ヒト、動物、昆虫など、嗅覚を有する生物に当該香気化合物の香りを知覚させ得るものを意味する。
本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)の取得方法は任意である。例えば、以下の反応を含む合成法によって製造することができるが、この方法に限定されない。
反応(1) R1−OHで表されるシクロヘキサノールまたはその誘導体とジカルボン酸とのモノエステルまたはそのカルボン酸塩化物(酸クロリド)を合成する
反応(2) 反応(1)で得たシクロヘキサノールまたはその誘導体とジカルボン酸とのモノエステルまたはカルボン酸塩化物(酸クロリド)と、R−OHで表される水酸基を有する香気化合物とのジエステルを得る
反応(1)および(2)の具体的な反応条件や試薬については所望の反応産物が得られる限り任意であり、以下のように例示できるが、これらに限定されない。
ル化反応は酸または塩基触媒(例えば、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP))を用い、適宜各種縮合剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC))の存在下で行うことができる。または、シクロヘキサノール誘導体−ジカルボン酸モノエステルは、適宜市販のものを用いてもよく、例えば、モノ−l−メンチルグルタレートなどが市販されている。
本発明の香料組成物は、本発明のジエステル化合物(または本発明の香料前駆体)を所定量含有するものであって、各種物品に配合することができる。物品の例としては、香粧品、保健衛生品、医薬品、飲食品、その他各種嗜好品などの消費財が挙げられる(詳細は後述する)。本発明の香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物、カプセル化香料組成物などが例示できる。さらに残香性を高めたい場合には、公知の残香性向上技術を利用してよく、例えば公知のカプセル化技術が挙げられる。
るものではない。
以下に説明するように、本発明の各種ジエステル化合物(香料前駆体)を合成した。
下記式(1)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(1)に従って合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.93(s,1H),7.47(d,J=2.0Hz,1H),7.44(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),4.71(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.88(s,3H),2.65(br.t,J=6.8Hz,2H),2.45(br.t,J=8.0Hz,2H),2.00〜1.94(m,1H),1.95(d.sept,J=7,2.8Hz,1H),1.8〜1.7(m,2H),1.68〜1.61(m,2H),1.52〜1.40(m,1H),1
.40〜1.32(m,1H),1.06〜0.98(m,1H),0.95(q,J=11Hz,1H),0.89(d,J=7Hz,3H),0.86(d,J=7Hz,3H),0.88〜0.79(m,1H),0.74(d,J=7Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.04、172.39、170.44、151.88、144.92、135.19、124.78、123.36、110.71、74.30、56.02、47.00、40.94、34.21、33.39、33.01、31.36、26.28、23.38、22.01、21.75、20.30、16.28
IR(液膜法):2950、2875、1765、1730、1700、1605、1500、1455、1420、1385、1280、1205、1130、1030、720cm−1
下記式(2)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル サクシネートを、下記反応経路(2)に従って合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.92(s,1H),7.47(d,J=2.0Hz,1H),7.45(dd,J=
8.0,2.0Hz,1H),7.21(d,J=8.0Hz,1H),4.71(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.87(s,3H),2.92(br.t,J=6.8Hz,2H)/2.71(br.t,J=6.8Hz,2H)),2.00〜1.94(m,1H),1.84(d.sept,J=7,2.8Hz,1H),1.68〜1.61(m,2H),1.52〜1.40(m,1H),1.40〜1.32(m,1H),1.08〜0.98(m,1H),0.95(q,J=11Hz,1H),0.87(d,J=7Hz,3H),0.85(d,J=7Hz,3H),0.88〜0.79(m,1H),0.72(d,J=7Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.01,171.43,169.86,151.88,144.83,135.17,124.72,123.39,110.72,74.74,56.05,46.95,40.82,34.17,31.34,29.34/29.01,26.22,23.37,21.98,20.71,16.26
IR(液膜法):2950、2860、2720、1770、1720、1700、1600、1500、1460、1420、1380、1270、1195、1120、1030、990、980、880、790、740cm−1
下記式(3)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル アジペートを、下記反応経路(3)に従って合成した。
ゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×34.5cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて精製し、目的物である4−ホルミル−2−メトキシフェニル
l−メンチル アジペート(1.75g)を得た(収率26%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.90(s,1H),7.45(d,J=1.6Hz,1H),7.44(dd,J=7.6,1.6Hz,1H),7.17(d,J=7.6Hz,1H),4.66(dt,J=11,4.5Hz,1H),3.86(s,3H),2.60(br.t,J=7.0Hz,2H),2.33(br.t,J=6.8Hz,2H),1.98〜1.92(m,1H),1.83(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.8〜1.7(m,4H),1.68〜1.60(m,2H),1.52〜1.39(m,1H),1.37〜1.29(m,1H),1.07〜0.97(m,1H),0.93(q,J=12Hz,1H),0.86(d,J=6.8Hz,3H)/0.85(d,J=6.8Hz,3H),0.87〜0.77(m,1H),0.72(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
190.98,172.76,170.65,151.88,144.92,135.10,124.68,123.31,110.68,74.05,55.96,46.93,40.88,34.17,34.17,33.52,31.29,26.21,24.29/24.26,23.32,21.96,20.69,16.22
IR(液膜法):2950、2860、2730、1770、1720、1700、1600、1500、1460、1420、1390、1270、1145、1120、1030、990、910、790、730cm−1
下記式(4)の4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル セバケートを、下記反応経路(4)に従って合成した。
mmol)をCH2Cl2(10mL)に溶かし、ピリジン4.07g(51.5mmol)を加え、さらに氷冷下、塩化セバコイル2.62g(11.0mmol)を加え、0℃で20分撹拌後、室温で19時間撹拌した。反応液中に水を加えて沈殿を溶かし、エーテル抽出を行った。有機層を1N HCl水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を溜去し、残渣(4.78g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(48mm i.d.×19cm L、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜5:1)にて精製し、5:1で、4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル セバケート(1.20g)を得た(収率25%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
9.93(s,1H),7.47(d,J=1.7Hz,1H),7.45(dd,J=7.6,1.7Hz,1H),7.19(d,J=7.6Hz,1H),4.65(dt,J=11,4.7Hz,1H),3.87(s,3H),2.58(br.t,J=7.6Hz,2H),2.26(br.t,J=7.6Hz,2H),1.99〜1.93(m,1H),1.84(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.74(br.quint,J=7.7Hz,2H),1.7〜1.6(m,2H),1.60〜1.55(m,2H),1.5〜1.35(m,2H),1.35〜1.3(m,8H),1.08〜0.97(m,1H),0.93(q,J=12Hz,1H),0.88(d,J=6.8Hz,3H),0.87(d,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.79(m,1H),0.73(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
191.08,173.40,171.18,151.98,145.07,135.10,124.80,123.42,110.71,73.88,56.04,47.00,40.95,34.71,34.25,33.95,31.36,29.10/29.08/29.05/28.94,26.22,25.08/24.87,23.37,22.02,20.77,16.27
下記式(5)のl−メンチル テトラヒドロリナリル グルタレートを、下記反応経路(5)に従って合成した。
テトラヒドロリナリル グルタレート(2.02g)を得た(収率49%)。得られた化合物の物性値を以下に示す。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
4.64(dt,J=11,4.4Hz,1H),2.29(br.t,J=7.2Hz,2H),2.24(t,J=7.2Hz),1.96〜1.90(m,1H),1.86(br.quint,J=7.2Hz),1.85〜1.75(m,1H),1.85〜1.65(m,2H),1.8〜1.6(m,2H),1.66〜1.58(m,2H),1.52〜1.37(m,2H),1.35〜1.3(m,1H),1.33(s,3H),1.24〜1.16(m,2H),1.13〜1.08(m,2H),1.06〜0.95(m,1H),0.91(br.q,J=11Hz,1H),0.86〜0.80(m,16H),0.70(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.54,172.07,85.23,74.04,46.91,40.86,39.16,37.94,34.47,34.19,33.73,31.30,30.82,27.73,26.17,23.31,23.28,22.54/22.54,21.96,21.27,20.71,20.52,16.20,7.94
IR(液膜法):2950、2865、1730、1460、1420、1320、1240、1180、1135、1020、980cm−1
下記式(6)のcis−3−ヘキセニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(6)に従って合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
5.50〜5.43(m,1H),5.30〜5.24(m,1H),4.65(dt,J=11,4.4Hz,1H),4.04(t,J=6.8Hz,2H),2.36〜2.29(m,6H),2.02(br.quint,J=7.6Hz,2H),1.96〜1.9(m,1H),1.89(br.quint,J=7.2Hz,2H),1.81(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.67〜1.60(m,2H),1.51〜1.38(m,1H),1.36〜1.29(m,1H),1.07〜0.95(m,1H),1.0〜0.9(m,1H),0.93(t,J=7.6Hz,3H),0.86(t,J=6.8Hz,3H)/0.85(t,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.77(m,1H),0.71(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.93,172.44,134.52,123.61,74.12,63.88,46.92,40.87,34.19,33.63/33.27,31.32,29.67,26.21,23.34,21.97,20.71,20.55/20.25,16.23,14.19
IR(液膜法):3010、2955、2925、2870、1735、1460、1420、1385、1365、1305、1240、1175、1140、1060、1135、1015、980cm−1
下記式(7)のl−メンチル 4−(3−オキソブチル)フェニル グルタレートを、下記反応経路(7)に従って合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
7.16(br.d,J=8.8Hz,2H),6.96(br.d,J=8.8Hz,2H),4.68(dt,J=11,4.4Hz,1H),2.86(t,J=7.4Hz,2H),2.72(t,J=7.4Hz,2H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.41(br.t,J=7.4Hz,2H),2.12(s,3H),2.04(br.quint,J=7.4Hz,2H),1.98〜1.94(m,1H),1.84(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.69〜1.62(m,2H),1.53〜1.40(m,1H),1.39〜1.32(m,1H),1.09〜0.98(m,1H),0.95(br.q,J=11Hz,1H),0.88(t,J=6.8Hz,3H)/0.86(t,J=6.8Hz,3H),0.9〜0.79(m,1H),0.74(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
207.67,172.37,172.40,148.84,138.55,129.2
4,129.24,121.44,121.44,74.28,46.95,45.06,40.89,34.19,33.49/33.30,31.34,30.07,28.98,26.26,23.36,21.99,20.73,20.12,16.27
IR(KBr錠剤法):2950、2895,2860、1750、1725、1710、1510、1450、1420、1380、1370、1320、1295、1230、1210、1190、1165、1140、1020、970
下記式(8)のオイゲニル l−メンチル グルタレートを、下記反応経路(8)に従って合成した。
1H−NMR(400MHz、CDCl3):δppm
6.91(d,J=8.0Hz,1H),6.76(d,J=2.0Hz,1H),6.73(dd,J=8.0,2.0Hz,1H),5.93(ddt,J=17,10,6.8Hz,1H),5.11〜5.04(m,2H),4.68(dt,J=11,4.4Hz,1H),3.78(s,3H),3.35(br.d,J=6.8Hz,2H)
,2.61(t,J=7.2Hz,2H),2.44(br.t,J=7.2Hz,2H),2.06(br.quint,J=7.2Hz,2H),2.00〜1.95(m,1H),1.85(d.sept,J=6.8,2.8Hz,1H),1.69〜1.62(m,2H),1.53〜1.41(m,1H),1.39〜1.32(m,1H),1.09〜0.98(m,1H),0.95(br.q,J=11Hz,1H),0.9〜0.79(m,1H),0.88(t,J=6.4Hz,3H),0.87(t,J=6.8Hz,3H),0.74(d,J=6.8Hz,3H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
172.41,171.11,150.68,138.84,137.83,136.94,122.34,120.54,116.04,112.54,74.07,55.60,46.92,40.85,39.98,34.15,33.40,32.97,31.28,26.17,23.30,21.94,20.68,20.36,16.20
IR(液膜法):2980、2950、2865、1760、1730、1640、1605、1510、1455、1420、1370、1200、1130、1035、980、915cm−1
下記式(9)のシクロヘキシル 4−ホルミル−2−メトキシフェニル グルタレートを、下記反応経路(9)−1〜2に従って合成した。
発物質とした。
9.90(s,1H),7.45(d,J=1.6Hz,1H),7.43(dd,J=8.0,1.6Hz,1H),7.17(d,J=8.0Hz,1H),4.75(tt,J=8.8,4.3Hz,1H),3.85(s,3H),2.65(t,J=7.4Hz,2H),2.43(t,J=7.4Hz,2H),2.05(br.quint,J=7.4Hz,2H),1.85〜1.79(m,2H),1.73〜1.65(m,2H),1.54〜1.46(m,1H),1.43〜1.28(m,4H),1.26〜1.17(m,1H)
13C−NMR(100MHz、CDCl3):δppm
190.97,172.19,170.39,151.81,144.85,135.11,124.67,123.29,110.67,72.67,55.95,33.36,32.92,31.57/31.57,25.27,23.65/23.65,20.19
IR(液膜法):2938、2855、2720、1760、1725、1700、1600、1500、1450、1420、1380、1270、1120、1030、910、870、830、780、735cm−1
本実施例では、各種香料前駆体の残香性について試験を行った。まず、市販の無香料の柔軟剤を基材として用意し、この柔軟剤基材に、実施例1で合成した各香料前駆体のうちフェノール性水酸基を有するもの、または当該香料前駆体を構成する香気化合物単体(すなわち、式AのR−OHで表される分子)を、当該基材の全質量に対しその量が1%となるように配合した。次いで、この柔軟剤0.5gを1.5Lの水(20℃)に溶かし(3000倍希釈)、そこに木綿100%のタオルを浸漬させ、20回手で攪拌したのち、10分間放置した。次いで、タオルの水気を手で搾り、日光の当たる室内で吊り下げた。この際、タオルは、24時間吊り下げた状態で放置する群と、50〜60℃の熱風を30分間当てる群とに分けた。
気化合物単体の場合の香気強度を1点として、香気化合物単体と比べた香気の強さについて以下の基準で点数づけを行った。
1点:同等に感じられる
2点:わずかに強く感じられる
3点:強く感じられる
4点:明らかに強く感じられる
5点:非常に強く感じられる
以上の平均的な結果を下記表2に示す。表2において、「室内」とは上述の日光の当たる室内で24時間放置したタオルの場合、「熱」とは50〜60℃の熱風を30分間当てたタオルの場合を示す。
本発明の香料前駆体の残香性の優位性について、以下のように成分分析を行って確認した。
実施例1(1)で得られた本発明の香料前駆体である4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレートを、実施例2に記載の柔軟剤基材に、当該柔軟剤基材全量に対して1質量%の濃度となるよう配合した。また、同様にしてバニリン単体も当該柔軟剤基材全量に対して1質量%の濃度となるように配合した。このようにして、以下の柔軟剤AおよびBを調製した。
柔軟剤A:本発明の香料前駆体(4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレート(以下MVGとも称する))を配合した柔軟剤
柔軟剤B:バニリン単体を配合した柔軟剤
そして、実施例2と同様にして浸漬および熱風処理(50〜60℃の熱風を30分間当てる)を行い、以下のタオルサンプルAおよびBを調整した。
タオルサンプルA:柔軟剤A(MVG1%含有)を用いたタオル(本発明品)
タオルサンプルB:柔軟剤B(バニリン単体1%含有)を用いたタオル(比較品)
(2)分析および結果
タオルサンプルAおよびBに残存する各化合物の定量を行った。以下に、分析用サンプル液を調製した際の手順を示す。
1)サンプルタオルA、Bをはさみで8等分に切断した
2)1L容オープンカラムに、切断したタオルを4つ折りにして充填した
3)テトラヒドロフラン(THF)(500mL)をカラムに仕込んだ
4)1時間静置し、浸漬抽出を行った
5)カラムコックを開放し、THFを回収した
6)カラム上からポンプによってタオルを5分加圧して、タオルに浸漬して5)で回収できなかったTHFを絞り出し、回収した
7)5)と6)で回収したTHFを合わせ、回収液1とした
8)上記操作(3〜5)をさらに2回繰り返し、回収液2および回収液3を得た
9)回収液1〜3を合わせて分析用回収液とした
得られた分析用回収液を、以下の分析に供した。
標準液調製
メスフラスコに、4−ホルミル−2−メトキシフェニル l−メンチル グルタレート(MVG)およびバニリンを精密に量りとり、50%テトラヒドロフラン(THF)水溶液でメスアップした後にさらに50%THFで適宜精密に希釈し、標準液を調製した。
HPLC測定試料調製
タオルを抽出したTHF溶液を適宜メスフラスコに精密に量りとり、50%THFでメスアップした後、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブランフィルタ(ラボラボカンパニー社、孔径0.45μm)処理を行った。この調製液をHPLC分析に供した。HPLC−PDA測定条件
機種 :SHIMADZU PROMINENCE(島津製作所)
カラム :LunaOmega C18(Phenomenex社製)
内径2.1mm×長さ150mm、粒子径1.6μm
カラム温度 :40℃
移動相 :A液…水:リン酸=1000:1、B液…アセトニトリル:リン酸=1000:1
グラジェント条件:(A):(B)=90:10(0分),10:90(12分)〜10:90(18分)
流速 :0.45mL/min
注入量 :2μL
測定時間 :25分
検出器 :PDA(MVGの検出波長:260nm、バニリンの検出波長300nm)
得られた分析結果から、タオルへの吸着率および徐放バニリン量を算出した。その結果を、図1〜2を参照しつつ以下に説明する。
図1は、タオルへのMVG(本発明の香料前駆体)またはバニリンの吸着率を示す図である。当該吸着率は、以下の式にて算出した。
(A)タオルに吸着した香料前駆体量+バニリン量をそれぞれモル換算した値の合計
(B)5mg(柔軟剤使用量×1%(配合率))/香料前駆体の分子量(香料前駆体の添加モル数)
なお、それぞれの値は回収液1〜3における量を合計したものであり、それぞれの回収液での量は、HPLCで測定した化合物の濃度に回収液の重さを乗じて計算したものである。また、本発明の香料前駆体(MVG)がタオルに吸着した後、タオルの乾燥中に分解してバニリンを徐放するとして、タオルから検出されたバニリンも、室内放置前にタオルに吸着された前駆体内に存在していたものであるとみなして、上記式で計上した。
図2は、徐放バニリン量を示す図である。徐放バニリン量とは、前記回収液1〜3に含まれていたバニリン量の合計(mg)、すなわち、タオルに吸着していた本発明の香料前駆体(MVG)から放出され、タオルに吸着していたバニリン量(本発明品)、またはバニリン自体のタオル吸着量(比較品)とし、タオルから放出され得るバニリン量と見なすことができ、残香性の指標とすることができる。
着性、優れた放出率などによって顕著に優れた残香性を獲得したものと考えられる。
Claims (7)
- R1−OHで表される化合物がメントールまたはシクロヘキサノールである、請求項1に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物。
- R−OHで表される香気化合物の炭素数が4〜12個である、請求項1または2に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物。
- 香気前駆体がフェノール性水酸基を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物。
- 前記香気化合物がバニリン、ラズベリーケトン、オイゲノール、シス−3−ヘキセノール、またはテトラヒドロリナロールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物を含有する、消費財。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のジエステル化合物からなる香料前駆体を有効成分として含有する残香性向上用香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の残香性付与または増強方法。
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