JP2021070864A - 電極触媒及びその製造方法、並びに水素の製造方法 - Google Patents

電極触媒及びその製造方法、並びに水素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過電圧の上昇が起こりにくく、長期安定性を有する電極触媒及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の電極触媒は、銅を含む電極基材上に触媒を備える電極触媒であって、前記触媒は少なくとも銅の酸化物と、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物とを含有し、前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。本発明の電極触媒の製造方法は、銅を含む電極基材を電気酸化処理して、電極基材上に銅を含む化合物を形成する工程1と、前記銅を含む化合物が形成された電極基材を、金属M1及び金属M2を含む溶液中で電着処理する工程2と、前記電着処理された電極基材を焼成処理する工程3とを備える。【選択図】なし

Description

本発明は、電極触媒及びその製造方法、並びに水素の製造方法に関する。
水素は燃焼時にCO排出がゼロであり、化石燃料に代わるクリーンなエネルギー源として期待されている。特に、水の電気分解法による水素製造方法は、太陽光、風力、水力等の再生可能なエネルギーを電力とするので、一切COを排出せず、クリーンな水素の製造方法として大きな期待が寄せられている。
水の電気分解用の電極としては、炭素基材等の電極基材上に白金粒子触媒を固定したものが知られている。しかしながら、白金は価格が高く、資源量にも限りがあるため、白金の使用量を低減する技術や白金代替触媒及び/又は電極の開発が求められている。
白金の使用量を低減する方法としては、例えば、特許文献1に、白金をアノード、炭素基材をカソードとして、希硫酸中で電解処理を行うことにより、希硫酸中に微量溶解した白金イオンを炭素基材上に析出させる技術が開示されている。また、水の電気分解用の白金代替電極としては、例えば、特許文献2に、導電性基材の表面に卑金属酸化物層を形成し、当該卑金属酸化物層上に金、銀等の貴金属を担持させた電極が開示されている。
国際公開第2010/029162号 国際公開第2013/005252号
しかしながら、近年、水の電気分解等に用いられる電極触媒に対しては、貴金属の使用量をできるだけ低減させると共に、従来の電極よりもさらに性能を向上させることが望まれている。特に、過電圧の上昇が起こりにくく、長期安定性を有する新規電極触媒の開発が強く望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、過電圧の上昇が起こりにくく、長期安定性を有する電極触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の金属酸化物と、ニッケル及びマンガンを含む複合酸化物とを組み合わせた触媒を使用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、例えば、以下の項に記載の主題を包含する。
項1
銅を含む電極基材上に触媒を備える電極触媒であって、
前記触媒は少なくとも銅の酸化物と、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物とを含有し、
前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、電極触媒。
項2
前記銅の酸化物はナノワイヤ状に形成されている、項1に記載の電極触媒。
項3
前記複合酸化物は、前記銅の酸化物を被覆するように形成されている、項1又は2に記載の電極触媒。
項4
電極触媒の製造方法であって、
銅を含む電極基材を電気酸化処理して、電極基材上に銅を含む化合物を形成する工程1と、
前記銅を含む化合物が形成された電極基材を、金属M1及び金属M2を含む溶液中で電着処理する工程2と、
前記電着処理された電極基材を焼成処理する工程3と、
を備え、
前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、電極触媒の製造方法。
項5
項1〜3のいずれか1項に記載の電極触媒を使用して電解処理を行う工程を含む、水素の製造方法。
本発明の電極触媒は、水素製造用の電極として使用した場合に、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性を有する。
各実施例及び比較例で得られた電極触媒表面のSEM画像を示す。 各実施例及び比較例で得られた電極触媒のX線回折スペクトルを示す。 (A)は、実施例1〜3で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線を、(B)は、(A)に示すリニアスイープボルタンメトリー曲線から算出したターフェル勾配を示す。 (A)は、実施例1で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線を、(B)は、実施例1で得られた電極触媒の電気化学インピーダンス(EIS)測定結果を示す。 (A)は、実施例1及び比較例1〜4で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線を、(B)は(A)に示すリニアスイープボルタンメトリー曲線から算出したターフェル勾配を示し、(C)は実施例1及び比較例1〜4で得られた電極触媒の電気化学インピーダンス(EIS)測定結果を、(D)は実施例1で得られた電極触媒を用いて水の電気分解を行った場合のクロノポテンシオメトリーの結果を示す。 実施例1で得られた電極触媒を用いて水の電気分解を行ったときのクロノポテンシオメトリーの結果を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
1.電極触媒
本発明の電極触媒は、銅を含む電極基材上に触媒を備える。前記触媒は少なくとも銅の酸化物と、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物とを含有し、前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
本発明の電極触媒は、銅を含む金属酸化物と、前記複合酸化物とを含む触媒を備えるため、水素製造用の電極として使用した場合に、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性も有する。このため、本発明の電極触媒を水素製造用の電極として使用した場合に、長期間にわたって安定して水素を発生させることができる。
電極基材は、触媒を保持するための基材としての役割を果たす。電極基材は、少なくとも銅を含む。これにより、電極触媒は、基材上に銅を含むナノワイヤが形成されやすく、その結果、過電圧の上昇がより起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい。電極基材に含まれる銅は、銅単位、銅を含む合金であり、銅単体であることが好ましい。電極基材に含まれる銅の含有量は50質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。電極基材は銅のみで形成されていてもよい。ただし、不可避的に含まれる銅の化合物、銅を含む合金、その他の金属は許容される。
電極基材に含まれる銅は、少なくとも銅を含むことが好ましく、金属M1は銅のみであってもよい。
電極基材は銅を含む限りは特に限定されず、例えば、公知の導電性の基材を広く採用することができる。電極基材としては、銅単体で形成される基材、銅を含む合金で形成される基材等が挙げられる。中でも、銅で形成されるフォーム(多孔質基材)、つまり銅フォームを挙げることができ、この場合、電極触媒の製造が容易であり、また、得られる電極触媒は、過電圧の上昇がより起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい。
電極基材は、例えば、公知の製造方法で得ることができ、あるいは、市販品等から入手することもできる。電極基材の形状及び大きさは特に制限されず、使用目的や要求される性能により適宜選択することができる。例えば、電極基材の形状は、シート状、板状、棒状、メッシュ状等とすることができる。
本発明の電極触媒において、電極基材上には触媒が形成されている。斯かる触媒は、前述のように、銅を含む酸化物と、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物とを含んで形成される。銅を含む酸化物は、ただ1種の銅の酸化物(つまり、酸化銅CuO)、及び、銅と銅以外の他の金属を含む酸化物のいずれであってもよい。
銅の酸化物の形状は特に限定されず、例えば、ワイヤー状、膜状、粒子状、繊維状、針状、棒状、鱗片状等の種々の形状を挙げることができる。中でも、電極触媒の製造が容易であり、過電圧の上昇がより起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい電極触媒が得られやすい点で、銅の酸化物は、ワイヤー状であることが好ましく、特に、ナノワイヤであることが好ましい。なお、電極基材上に銅の酸化物を形成する方法は特に限定されず、例えば、公知の方法を広く採用できる。特に、後記するように本発明では、電気酸化を用いる方法で電極基材上に銅の酸化物を形成することが好ましい。
電極基材上に形成されている触媒において、酸化銅(CuO)はナノワイヤであることが特に好ましい。
電極基材上に形成されている触媒は、銅の酸化物に加えて、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物も含む。斯かる複合酸化物に含まれる金属は金属M1及び金属M2のみであってもよいし、金属M1及び金属M2以外の金属を含むこともできる。
触媒が金属M1及び金属M2を含む複合酸化物を備えることで、得られる電極触媒は、過電圧の上昇がより起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい。金属M1と金属M2とがどのような組み合わせであっても、本発明の効果は阻害されない。中でも、前記金属M1は、少なくともニッケルであることが好ましく、前記金属M2は、少なくともマンガンであることが好ましく、この場合、過電圧の上昇がより起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい。金属M1はニッケルのみであることがさらに好ましく、金属M2はマンガンのみであることがさらに好ましい。つまり、複合酸化物に含まれる金属は、ニッケル及びマンガンのみ、つまり、NiMnであってもよい。
前記複合酸化物において、金属M1及び金属M2の含有量は、複合酸化物の全質量に対し、50質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。
前記複合酸化物において、ニッケルとマンガンそれぞれの含有量の比率は特に限定されず、任意の割合とすることができる。例えば、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい電極触媒となりやすいという点で、複合酸化物におけるニッケルとマンガンとのモル比は、金属M1:金属M2=1:0.1〜1:10とすることができ、金属M1:金属M2=1:0.2〜1:5であることがより好ましく、金属M1:金属M2=1:0.25〜1:4であることがさらに好ましく、金属M1:金属M2=1:2〜1:4であることが特に好ましい。
前記複合酸化物は、例えば、前述の銅の酸化物を覆うように形成される。例えば、酸化銅ナノワイヤ表面を複合酸化物が被覆するように形成されている。この場合、触媒は、酸化銅をコア、複合酸化物をシェルとするコアシェル構造を形成し得る。触媒がこのようなコアシェル構造を形成している場合、電極触媒は、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすい。触媒は、電極基材の一部又は全面を覆うように形成される。
本発明の電極触媒の具体例としては、電極基材が銅フォームであり、この銅フォーム上に、酸化銅(CuO)とニッケル及びマンガンの複合酸化物(NiMn)とを含む触媒が形成された電極触媒を挙げることができる。
本発明の電極触媒において、触媒は、例えば、電極基材上に薄膜として形成されている。斯かる薄膜の厚みは特に限定されず、例えば、0.1〜500umである。触媒は、例えば、多孔質構造を有することもできる。
本発明の電極触媒において、触媒は、銅の酸化物と、複合酸化物以外に、他の化合物等を含むこともできる。通常、触媒中の酸化物と、複合酸化物の含有割合は、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、特に好ましくは99質量%以上である。
本発明の電極触媒は、電極基材及び触媒のみで形成されていてもよいし、本発明の効果が阻害されない程度である限りは、他の材料が組み合わされてもよい。電極触媒は、例えば、電極基材上に直接(他の層等を介さずに)触媒が形成され得る。電極触媒において、触媒上には何らの層も形成されていないことが好ましい。
本発明の電極触媒は、各種電気分解の電極への使用に適しており、特に、水の電気分解用の電極として使用した場合、優れた水素発生効率をもたらすことができることから、水素発生用の電極への使用に適している。
本発明の電極触媒の製造方法は特に制限されず、例えば、公知の製造方法を広く採用することができる。例えば、後記する工程1、工程2及び工程3を含む製造方法によって、本発明の電極触媒を製造することができる。
2.電極触媒の製造方法
本発明の電極の製造方法は、下記工程1、工程2及び工程3を備える。
工程1:銅を含む電極基材を電気酸化処理して、電極基材上に銅を含む化合物を形成する工程。
工程2:前記銅を含む化合物が形成された電極基材を、金属M1及び金属M2を含む溶液中で電着処理する工程。
工程3:前記電着処理された電極基材を焼成処理する工程。
ここで、前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記工程1、工程2及び工程3を含む製造方法により、電極触媒が製造され、例えば、前述の本発明の電極触媒が製造される。
工程1は、電極酸化によって、電極基材上に銅を含む化合物を形成するための工程である。
工程1で使用する銅を含む電極基材は、前述の「1.電極触媒」の項で説明した電極基材と同様である。電極基材としては、銅単体で形成される基材、銅を含む合金で形成される基材等が挙げられ、中でも銅フォームであることが特に好ましい。
工程1で使用する電極基材は、例えば、公知の製造方法で得ることができ、あるいは、市販品等から入手することもできる。電極基材の形状及び大きさは特に制限されず、使用目的や要求される性能により適宜選択することができる。例えば、電極基材の形状は、シート状、板状、棒状、メッシュ状等とすることができる。
工程1で使用する電極基材は、必要に応じて事前に洗浄処理がなされてもよい。例えば、塩酸等の酸水溶液中での超音波処理により、電極基材表面に付着している酸化物層を事前に取り除くことができる。
工程1において、電極基材を電気酸化する方法は特に限定されず、例えば、公知の電気化学的酸化処理の方法を広く採用することができる。電気化学的酸化処理の一例として、定電流法による電気酸化を挙げることができる。定電流法によって電極基材の電気酸化を行うことで、電極基材表面に銅を含むナノワイヤが形成され得る。例えば、電極基材が銅フォームである場合、銅フォームの電気酸化により、水酸化銅(Cu(OH))のナノワイヤが形成され得る。
定電流法による電気酸化では、作用電極(Working Electrode)、対電極(Counter electrode)、参照電極(Reference electrode)及び電解液を備えた電解装置を使用することができる。作用電極(例えば陽極)としては、前記電極基材を使用することができる。対電極としては、例えば、公知の不溶性電極を使用することができ、炭素、白金族金属、金などを素材とする電極が挙げられる。白金族金属としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムが挙げられ、中でも白金(例えば、白金ワイヤー)が好ましい。対電極に含まれる白金族金属は、上記した金属種を1種単独で又は2種以上含んでいてもよい。また、白金族金属は、合金、金属酸化物等の状態で含まれていてもよい。参照電極としては、銀/塩化銀電極(Ag/AgCl電極)、水銀/塩化水銀電極(Hg/HgCl電極)、標準水素電極などを使用することができる。
電気酸化で使用する電解液の種類も特に限定されず、例えば、定電流法で使用され得る公知の電解液を広く使用することができ、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を使用することができる。電解液がアルカリ水溶液である場合、その濃度は特に限定されず、例えば、0.1〜6Mとすることができる。
電気酸化の条件(電流、電圧、電解時間等)も特に限定されず、例えば、公知の定電流法の条件を広く適用することができる。定電流法による電気酸化を行う場合、例えば、電流を10〜200mA、印加時間を100〜5000秒とすることができる。
工程2は、工程1において銅を含む化合物が形成された電極基材を、ニッケル及びマンガンを含む溶液中で電着処理するための工程である。
工程2で使用する金属M1及び金属M2を含む溶液の種類は特に限定されず、種々の金属M1の化合物及び金属M2の化合物を含む溶液を挙げることができる。
金属M1の化合物としては、金属M1を含む無機化合物及び金属M1を含む有機化合物等、種々の化合物を使用することができる。金属M1を含む無機化合物としては、金属M1のハロゲン化物、金属M1の無機酸塩、金属M1の水酸化物等が挙げられる。金属M1の無機酸塩としては、金属M1の硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及びリン酸水素塩等からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。金属M1の有機酸塩としては、金属M1の酢酸塩、シュウ酸塩、蟻酸塩、コハク酸塩等からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。金属M1を含む化合物は水和物であってもよい。金属M1の化合物としては、例えば、ニッケルの硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及びリン酸水素塩;ニッケルの酢酸塩、シュウ酸塩、蟻酸塩、コハク酸塩;を挙げることができる。
金属M2の化合物としては、金属M2を含む無機化合物及び金属M2を含む有機化合物等、種々の化合物を使用することができる。金属M2を含む無機化合物としては、金属M2のハロゲン化物、金属M2の無機酸塩、金属M2の水酸化物等が挙げられる。金属M2の無機酸塩としては、金属M2の硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及びリン酸水素塩等からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。金属M2の有機酸塩としては、金属M2の酢酸塩、シュウ酸塩、蟻酸塩、コハク酸塩等からなる群より選ばれる1種以上を挙げることができる。マンガンを含む化合物は水和物であってもよい。金属M1の化合物としては、例えば、マンガンの硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及びリン酸水素塩;マンガンの酢酸塩、シュウ酸塩、蟻酸塩、コハク酸塩;等を挙げることができる。
金属M1を含む化合物及金属M2を含む化合物はいずれも、無機酸塩であることが好ましく、この場合、工程2における電着処理が容易となり、電極基材上に所望の触媒が形成されやすい。中でも、金属M1を含む化合物及金属M2を含む化合物はいずれも硝酸塩であることが好ましい。もちろん、金属M1を含む化合物及金属M2を含む化合物は、異なる塩であってもよい。
金属M1及び金属M2を含む溶液において、溶媒は、例えば、水、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール化合物、水とアルコール化合物との混合溶媒等が挙げられ、中でも水であることが好ましい。
溶液の濃度も特に限定されず、電着処理が可能な範囲で適宜調整することができ、例えば、金属M1の化合物及び金属M2の化合物の濃度をそれぞれ、0.01〜5Mの範囲とすることができる。
金属M1及び金属M2を含む溶液において、金属M1の含有量と金属M2の含有量との比率は特に限定されず、任意の割合とすることができる。例えば、得られる電極触媒は、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性も向上しやすいという点で、金属M1及び金属M2を含む溶液における金属M1及び金属M2とのモル比は、金属M1:金属M2=1:0.1〜1:10とすることができ、金属M1:金属M2=1:0.2〜1:5であることがより好ましく、金属M1:金属M2=1:0.25〜1:4であることがさらに好ましく、金属M1:金属M2=1:2〜1:4であることが特に好ましい。
金属M1及び金属M2を含む溶液は、本発明の効果が阻害されない限り、他の添加剤、例えば、pH調整剤等を含有することもできる。
工程2において、電着処理の方法は特に限定されず、例えば、公知の電着処理の方法を広く採用することができる。例えば、ニッケル及びマンガンを含む溶液に、工程1にて処理された電極基材を浸漬し、電着処理を実施することができる。
工程2の電着処理では、工程1で処理された電極基材をカソードとして使用して、電着処理を行うことができる。
工程2で行う電着処理は、各種の電着法を挙げることができる。電着法としては、定電流法(GM)、定電圧法(PM)、サイクリックボルタンメトリー法(CV)、パルス電着処理法などの電着処理方法などが挙げられる。パルス電着処理法は、金属イオンの電着速度を制御できる電着処理法であり、例えば、高端電圧と低端電圧とを一定周期で印加するパルス電圧法(PPM)、高端電流と低端電流とを一定周期で印加するパルス電流法(PGM)、高端電圧の印加と開回路状態とを一定周期で繰り返し行う単極性パルス電圧法(UPED)などが挙げられる。
工程2における電着処理では、電着法としてパルス電着処理法を使用すること好ましく、中でも単極性パルス電圧法(UPED)がより好ましい。
電着処理における電着法として、単極性パルス電圧法(UPED)を採用する場合、単極性パルス電圧法の条件としては特に制限されず、公知の電極触媒の製造で採用され得る単極性パルス電圧法の条件を広く採用することができる。例えば、印加電圧として−2〜1.8V、定電流は0〜15mA、パルスのオン/オフ時間は0.5〜3秒、サイクル回数は100〜5000の条件を採用することができ、より具体的な例としては、印加電圧が−1V、定電流は10mA、オン/オフ時間が1sの条件にて単極性パルス電圧法を行うことができる。サイクル回数は500〜2000サイクルであることが好ましく、800〜1800サイクルであることがより好ましい。
電着処理を行う際の溶液の温度は特に制限されず、例えば0〜50℃程度、好ましく
は20〜30℃とすることができる。
電着工程において、電着処理は、アノードの他、カソード、参照電極、電解装置、電源、制御ソフトウェア等を使用することができる。これらの種類は、特に制限されず、目的に応じて公知のものを使用することができる。例えば、参照電極としては、銀/塩化銀電極(Ag/AgCl電極)、水銀/塩化水銀電極(Hg/HgCl電極)、標準水素電極などを使用することができる。
電着処理で使用するカソードとしては、例えば、公知の不溶性電極を使用することができる。カソードとしては、例えば、炭素、白金族金属、金などを素材とする電極を用いることができる。白金族金属としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムが挙げられ、中でも白金が好ましい。カソードに含まれる白金族金属は、上記した金属種を1種単独で又は2種以上含んでいてもよい。また、白金族金属は、合金、金属酸化物等の状態で含まれていてもよい。
カソードの形状は特に制限されず、使用目的や要求される性能により適宜選択することができる。形状としては、例えば、金属線、シート状、板状、棒状、メッシュ状などが挙げられる。具体的には、螺旋状白金線、白金板などを例示することができる。
工程2における電着処理によって、電極基材に形成された銅の水酸化物上に金属M1及び金属M2を含む複水酸化物が形成される。
工程3は、工程2において電着処理された電極基材を焼成処理するための工程である。これにより、電極基材上の水酸化物及び複水酸化物が焼成され、それぞれ酸化物及び複合酸化物に変化する。
工程3において、焼成処理の方法は特に限定的ではなく、公知の焼成方法を広く採用することができる。例えば、焼成処理の温度は、100℃以上とすることができ、150〜450℃とすることが好ましく、200〜400℃とすることがより好ましい。焼成時間は、焼成温度によって適宜選択すればよく、例えば、1.5〜5時間とすることができる。工程1において、焼成を行う際の昇温速度も特に限定されず、所望の酸化物が形成される程度に適宜設定することができる。
焼成処理は、空気中及び不活性ガス雰囲気中のいずれで行ってもよい。好ましくは、空気中で焼成処理を行うことである。焼成処理は、例えば、市販の加熱炉等の公知の加熱装置を使用することができる。
焼成処理を行う前に必要に応じて、電着工程で電着処理された銅フォームを、空気中又は真空中で50℃〜150℃で乾燥処理を行うこともできる。
工程3において、焼成処理は、空気中及び不活性ガス雰囲気中のいずれで行ってもよい。不活性ガスの種類は特に限定されず、例えば、アルゴン、窒素等である。
上記焼成処理によって、電極基材上の銅を含む水酸化物は銅の酸化物に変化し、また、金属M1及び金属M2を含む複水酸化物は複合酸化物(例えば、ニッケルとマンガンとを含む複合酸化物)へと変化する。これにより、電極基材が触媒で被覆される。特に、電極基材として銅フォームを使用した場合は、触媒は、酸化銅ナノワイヤが金属M1及び金属M2の複合酸化物で被覆された構造を有する。
本発明の製造方法では、電着工程を備えることで、従来の化学合成法に比べて合成時間を短縮することができる。従来の化学合成法では、反応時間が長い上に反応温度も高くする必要があり、また、反応後は洗浄が必要であったのに対して、電着工程を備える本発明の製造方法では、反応時間が短く、反応後の洗浄等も必ずしも必要でない。
本発明の製造方法で得られる電極触媒は、電極基材上に酸化銅と、金属M1及び金属M2の複合酸化物を含む触媒を備えるので、水素製造用の電極として使用した場合に、過電圧の上昇が起こりにくく、また、長期安定性を有する。
3.水素の製造方法
本発明の水素の製造方法は、前述の本発明の電極触媒を使用して電解処理を行う工程を含む。あるいは、本発明の水素の製造方法は、前述の本発明の製造方法で得られた電極触媒を使用して電解処理を行う工程を含む。
本発明の水素の製造方法は、電極触媒を、例えば、カソードとして使用することができる。
一方、本発明の水素の製造方法において、アノードとしては、一般に水の電気分解においてアノードとして用いられる電極を使用することができる。例えば、炭素、白金、金などの貴金属などを素材とする電極をカソードとして用いることができる。
本発明の水素の製造方法において、電気分解で使用する水溶液としては、一般に水の電気分解において用いられる成分を含む水溶液を使用することができる。水溶液は、ヨウ素、臭素などのハロゲン、硫酸イオンなどを含むこともできる。なお、ヨウ素を含む水溶液を用いる場合、アノードにおいてヨウ素酸イオンが生成される。
水素の製造方法の具体的な例を挙げると、本発明の電極触媒をカソード、白金板をアノードとし、KOH、HSO又はPBS水溶液を電解液として、電圧を印加する。これにより、カソードにおいて水素を生成させることができる。また、印加電圧を増加させることにより、水素の生成速度を上昇させることができる。
水素の製造方法により製造された水素は、燃料電池や水素エンジンなどの燃料として好ましく使用することができる。
本発明の水素の製造方法では、前記電極触媒を電極として使用することから、過電圧の上昇が起こりにくく、水素を効率よく製造することができ、また、電極触媒の耐久性に優れることから、長時間使用しても性能の低下が起こりにくい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
Cuフォーム(1.5cm×1.5cm)を1M塩酸に浸漬して10分間の超音波前処理を行い、Cuフォーム表面の酸化物層を除去した後、エタノール及び水の順に数回洗浄した。このCuフォームを作用電極に、Ptワイヤーを対電極に、Ag/AgClを参照電極に使用した三電極システムを用いた電気化学的参加(陽極酸化)プロセスによって、銅フォーム上に銅を含む化合物のナノワイヤを形成させた(工程1)。この陽極酸化プロセスでは、3MのKOH水溶液40mL中で電位差測定法を用い、電流80mAで、1200秒の条件とした。このようにして得られたCu(OH)ナノワイヤ被覆銅フォームを、脱イオン水で数回洗浄し、室温で一晩乾燥させた。
次いで、工程1で得たCu(OH)ナノワイヤ被覆銅フォームを、ニッケル及びマンガンを含む溶液100mLを用いて電着処理を行った(工程2)。工程2でのニッケル及びマンガンを含む溶液は、脱イオン水と、Ni(NO・6HOと、Mn(NO・4HOとを用いて調製し、NiとMnとのモル比Ni:Mn=1:4とし、かつ、ニッケル及びマンガンそれぞれの濃度が0.1Mとなるようにした。工程2で行う電着処理は、三電極システムを用いた単極パルス電着法(UPED)を採用した。このUPEDでは、作用電極として工程1で得られたCu(OH)ナノワイヤ被覆銅フォーム、対電極としての白金ワイヤ、参照電極としてのAg/AgClを用いた。パルス印加電位は−1V、オン・オフ時間は1秒とした。また、UPEDにおけるサイクル時間は500、1000、1500及び2000サイクルそれぞれで実施した。斯かるUPEDにより得られた銅フォーム(Cu(OH)NWs@NiMn/CF)を純水で数回洗浄してから、80℃の真空オーブンで12時間乾燥した。その後、このCu(OH)NWs@NiMn/CFを、電気炉を用いて空気中350℃で2時間にわたり焼成処理を行った(昇温速度は2℃/分)。これにより、銅フォーム上に、酸化銅ナノワイヤ及びNi/Mn複合酸化物を含む触媒が形成された電極触媒を得た。得られた電極触媒を「CuONWs@NiMn oxide/CF」と命名した。
(実施例2)
工程2で使用した溶液において、NiとMnとのモル比Ni:Mn=1:1に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で電極触媒を得た。
(実施例3)
工程2で使用した溶液において、NiとMnとのモル比Ni:Mn=4:1に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で電極触媒を得た。
(比較例1)
Cuフォーム(1.5cm×1.5cm)を1M塩酸に浸漬して10分間の超音波前処理を行い、Cuフォーム表面の酸化物層を除去した後、エタノール及び水の順に数回洗浄した。このCuフォームを電極触媒として得た。得られた電極触媒を「Cu foam」と命名した。
(比較例2)
工程2の電着処理及び工程3の焼成処理をしなかったこと以外は実施例1と同様の方法で電極触媒を得た。得られた電極触媒を「Cu(OH)NWs/CF」と命名した。
(比較例3)
工程2で使用する溶液を、マンガンを含み、ニッケルを含まない溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で電極触媒を得た。この溶液は、脱イオン水と、Mn(NO・4HOとを用いて調製し、マンガンの濃度が0.1Mとなるようにした。得られた電極触媒を「CuONWs@Mn oxide/CF」と命名した。
(比較例4)
工程2で使用する溶液を、ニッケルを含み、マンガンを含まない溶液に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で電極触媒を得た。この溶液は、脱イオン水と、Ni(NO・6HOとを用いて調製し、ニッケルの濃度が0.1Mとなるようにした。得られた電極触媒を「CuONWs@Ni oxide/CF」と命名した。
<評価結果>
図1は、各実施例及び比較例で得られた電極触媒表面のSEM(走査型電子顕微鏡)画像を示している。具体的に図1のAは比較例2、Bは比較例3、Cは比較例4、D及びEは実施例1で得られた電極触媒表面のSEM画像であって、特には電極に形成された触媒表面のSEM画像である。また、図1のFは、実施例1で得られた電極触媒のEDSマッピング結果の画像を示す。なお、SEM観察は、日立ハイテクノロジーズ社製「走査電子顕微鏡SU8010」を使用して行った。
図1から、実施例1で得られた電極触媒CuONWs@NiMn oxide/CFの表面の触媒は、ナノワイヤ状の薄膜状に形成されていることがわかった。また、EDSマッピングの結果から、触媒中にCu、O、Ni、Mnが全体に均一に分布していることがわかった。
図2は、各実施例及び比較例で得られた電極触媒のX線回折(XRD)スペクトルを示している。なお、X線回折測定には、Rigaku社製の「SmartLab」を使用した。
図2のXRDパターンにおいて、回折ピーク(111)がCuOに対応し、回折ピーク(222)、(400)、(511)、(531)及び(533)がNiMnに対応すると認められる。よって、実施例1で得られた電極触媒の触媒は、酸化銅と、ニッケル及びマンガンを含む複合酸化物を有していることがわかった。図1及び図2の結果から考えると、実施例1で得られた電極触媒は、酸化銅ナノワイヤ上に、ニッケル及びマンガンを含む複合酸化物が形成されたものであることがわかった。
図3(A)は、実施例1〜3で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線(スキャン速度2mV/s、電解液は1MのKOH水溶液)を示し、図3(B)は、図3(A)に示すリニアスイープボルタンメトリー曲線から算出したターフェル勾配を示している。リニアスイープボルタンメトリー曲線は、陰極として白金板、参照電極としてAg/AgCl電極を使用した水素発生(HER)試験により得た。リニアスイープボルタンメトリー曲線を得るための測定装置は、標準3電極セルと共に米国VersaSTAT4 ポテンションスタットガルバノスタット電気化学ワークステーションを用いた。
図3(A)から、各実施例で得られた電極触媒は、低い過電圧で高い電流密度を生成可能であることがわかった。特に、触媒中のNi/Mn(モル比)が1/4である場合(実施例1)、電極触媒は71.6mVの低い過電圧で10mA/cmの電流密度を生成可能であることがわかった。また、この場合のターフェル勾配も62.1mV dec−1であり、実施例1〜3の中では最小であり、はるかに小さいことがわかった(実施例2及び3(Ni/Mn=4:1及び1:1の電極)それぞれのTafel勾配は97.3および104mVdec−1)。
図4(A)は、実施例1で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線(スキャン速度2mV/s、電解液は1MのKOH水溶液)を示し、工程2の電着処理におけるサイクル数をそれぞれ500,1000,1500,2000サイクルとしたときの結果を示している。リニアスイープボルタンメトリー曲線を得るための測定条件は図3(A)と同様とした。
図4(A)から、いずれのサイクル数でも低い過電圧で高い電流密度を生成可能であることがわかった。中でも、サイクル数が1500である場合に、電極触媒は71.6mVの低い過電圧で10mA/cmの電流密度を生成可能であることがわかった。
図4(B)は、実施例1で得られた電極触媒の電気化学インピーダンス(EIS)測定結果を示し、工程2の電着処理におけるサイクル数をそれぞれ500,1000,1500,2000サイクルとしたときの結果を示している。この測定は、電気化学インピーダンス分光法(Electrochemical impedance spectroscopy(EIS)により、過電圧を0.2Vとし、1MのKOH溶液中で行った。図4(B)から、いずれのサイクル数で作製された電極触媒にあっても小さいインピーダンス(電気抵抗)も示し、特に、サイクル数が1500である場合に最小のインピーダンスであることがわかった。
図5(A)は、実施例1及び比較例1〜4で得られた電極触媒を陽極として使用したリニアスイープボルタンメトリー曲線(スキャン速度2mV/s、電解液は1MのKOH水溶液)を示し、図5(B)は、図5(A)に示すリニアスイープボルタンメトリー曲線から算出したターフェル勾配を示している。リニアスイープボルタンメトリー曲線は、陰極として白金板、参照電極としてAg/AgCl電極を使用した水素発生(HER)試験により得た。リニアスイープボルタンメトリー曲線を得るための測定装置は、標準3電極セルと共に米国VersaSTAT4 ポテンションスタットガルバノスタット電気化学ワークステーションを用いた。また、図5(A)及び(B)には参考として、銅フォーム上に白金触媒を形成した従来の電極触媒(図5中「Pt/C on Cu foam」と表記)の結果も示している。
図5(A)から、実施例1で得られた電極触媒は、比較例1〜4よりも低い過電圧で高い電流密度を生成可能であることがわかり、特に、貴金属ベースの電極(Pt/C on Cu foam)と同等の性能を有していることがわかった。
図5(C)は実施例1及び比較例1〜4で得られた電極触媒の電気化学インピーダンス(EIS)測定結果を示している。この測定は、電気化学インピーダンス分光法(Electrochemical impedance spectroscopy(EIS)により、過電圧を0.2Vとし、1MのKOH溶液中で行った。図5(C)から、実施例1の電極触媒は最小のインピーダンスであることがわかり、貴金属ベースの電極(Pt/C on Cu foam)と同等の性能を有していることがわかった。
図5(D)は、実施例1で得られた電極触媒を用いて水の電気分解を行った場合のクロノポテンシオメトリーの結果を示している。測定条件はそれぞれリニアスイープボルタンメトリー曲線を得るための試験と同様の条件とし、測定装置は、2電極セルと共に米国VersaSTAT4 ポテンションスタットガルバノスタット電気化学ワークステーションを用いて測定を行った。
図5(D)において、10mA/cmの電流密度での電位は500秒間にわたって一定値を示し、その後、300mA/cmまでに段階的に電流密度を上げても同様の傾向を示した。この結果から、実施例1で得られた電極触媒は、良好な導電率と良好な機械的堅牢性を有していることが示された。
図6は、実施例1で得られた電極触媒を用いて水の電気分解(1M KOH水溶液)を行った場合のクロノポテンシオメトリーの結果を示している。具体的に、10mA/cmの電流密度で80時間にわたって電解を続け、その後、新たな1M KOH水溶液に取り替えて引き続き電解を行ったときの結果を示している。測定条件はそれぞれリニアスイープボルタンメトリー曲線を得るための試験と同様の条件とし、測定装置は、2電極セルと共に米国VersaSTAT4 ポテンションスタットガルバノスタット電気化学ワークステーションを用いて測定を行った。
図6の結果から、実施例1で得た電極触媒は、10mA/cmの電流密度で80時間経過した後も安定であった。さらに、図6の挿入図にも示すように、アルカリ媒体溶液でのサイクリックボルタンメトリー1000サイクル後でも、LSV曲線はほとんど変化しなかった。従って、実施例1で得られたCuONWs@NiMn oxide/CFは良好な長期安定性を有することがわかった。

Claims (5)

  1. 銅を含む電極基材上に触媒を備える電極触媒であって、
    前記触媒は少なくとも銅の酸化物と、金属M1及び金属M2を含む複合酸化物とを含有し、
    前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、電極触媒。
  2. 前記銅の酸化物はナノワイヤ状に形成されている、請求項1に記載の電極触媒。
  3. 前記複合酸化物は、前記銅の酸化物を被覆するように形成されている、請求項1又は2に記載の電極触媒。
  4. 電極触媒の製造方法であって、
    銅を含む電極基材を電気酸化処理して、電極基材上に銅を含む化合物を形成する工程1と、
    前記銅を含む化合物が形成された電極基材を、金属M1及び金属M2を含む溶液中で電着処理する工程2と、
    前記電着処理された電極基材を焼成処理する工程3と、
    を備え、
    前記金属M1は、ニッケル、鉄及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記金属M2は、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種である、電極触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極触媒を使用して電解処理を行う工程を含む、水素の製造方法。
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