JP2021070713A - 発泡性樹脂粒子および発泡性樹脂粒子の製造方法 - Google Patents

発泡性樹脂粒子および発泡性樹脂粒子の製造方法 Download PDF

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Hironori Kobayashi
弘典 小林
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Abstract

【課題】発泡させた際に気泡の大きさにバラツキが生じ難い発泡性樹脂粒子を得ること。【解決手段】DSCチャートが特定の状態になる発泡性樹脂粒子を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、発泡性樹脂粒子および発泡性樹脂粒子の製造方法に関し、より詳しくは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと物理発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子とその製造方法とに関する。
従来、ビーズ発泡成形体などの形成材料として熱可塑性樹脂と物理発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子が広く用いられている。
また、近年、発泡性樹脂粒子を発泡させることによって作製された樹脂発泡粒子は、ビーズクッションなどの充填材などとしても利用されている。
ところで、このような発泡性樹脂粒子に関し、下記特許文献1には、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む発泡性樹脂粒子について記載されている。
国際公開 第2016/052387号
発泡性樹脂粒子は、発泡させた際に気泡の大きさにバラツキの少ない発泡状態となることが求められている。
しかしながら、ポリアミド系熱可塑性エラストマーを含む発泡性樹脂粒子については、そのような要望が十分に満たされる状況にはなっていない。
そこで、本発明は、上記のような要望を満足することを目的としており、気泡の大きさにバラツキの少ない発泡状態になり易い発泡性樹脂粒子を提供することを課題としている。
上記課題を解決すべく本発明者が鋭意検討したところ、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶が融解する温度よりも低温で融解する結晶を発泡性樹脂粒子中に形成させ、しかも、融解する温度がポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶にある程度近い温度となる結晶を一定以上の割合で発泡性樹脂粒子に含有させることがバラツキの少ない発泡状態にする上で有利となること、並びに、そのような発泡性樹脂粒子を製造するのに特定の製造方法を採用することが有利であることを見出して本発明を完成させるに至った。
上記課題を解決するために本発明は、
結晶性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーと物理発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子であって、
示差走査熱量分析での第1回目の測定チャートに、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解による第1の吸熱ピークと、該第1の吸熱ピークとは別の第2の吸熱ピークとが現れ、
前記第1の吸熱ピークのピーク温度(T1)と、前記第2の吸熱ピークのピーク温度(T2)とが下記関係式(1)を満たし、且つ、前記第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)が下記関係式(2)を満たす発泡性樹脂粒子を提供する。

(T1−35℃) ≦ T2 < T1 ・・・(1)
6mJ/mg ≦ Q2 ・・・(2)
上記課題を解決するために本発明は、
結晶性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むポリアミド系樹脂組成物で構成された樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる含浸工程を実施して発泡性樹脂粒子を製造する発泡性樹脂粒子の製造方法であって、
製造する前記発泡性樹脂粒子は、示差走査熱量分析での第1回目の測定チャートに、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解による第1の吸熱ピークと、該第1の吸熱ピークとは別の第2の吸熱ピークとが現れ、
前記第1の吸熱ピークのピーク温度(T1)と、前記第2の吸熱ピークのピーク温度(T2)とが下記関係式(1)を満たし、且つ、前記第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)が下記関係式(2)を満たす発泡性樹脂粒子であり、

(T1−35℃) ≦ T2 < T1 ・・・(1)
6mJ/mg ≦ Q2 ・・・(2)

前記含浸工程での前記樹脂粒子への前記物理発泡剤の前記含浸が、前記物理発泡剤の少なくとも一部が大気圧よりも高い圧力の気体となって存在する環境で前記樹脂粒子が加熱されることによって実施され、且つ、
前記含浸工程は、前記樹脂粒子100質量部に対して4質量部以上10質量部以下の割合となる水がさらに存在する前記環境で実施される発泡性樹脂粒子の製造方法を提供する。
本発明の発泡性樹脂粒子は、発泡させた際に気泡の大きさにバラツキが生じ難い。
また、本発明の発泡性樹脂粒子の製造方法では、発泡させた際に気泡が微細となり且つ気泡の大きさにバラツキが生じ難い発泡性樹脂粒子が得られ易くなる。
第1の吸熱ピークと第2の吸熱ピークとが現れたDSCチャートの一例を示す図。 実施例1の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。 実施例1の発泡性樹脂粒子を発泡させて得られた樹脂発泡粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。 実施例2の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。 比較例1の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。 比較例1の発泡性樹脂粒子を発泡させて得られた樹脂発泡粒子の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真。 実施例3の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。 実施例4の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。 実施例5の発泡性樹脂粒子のDSCチャートを示した図。
本発明の発泡性樹脂粒子やその製造方法に関し、以下にその実施の形態を例示する。
まず、発泡性樹脂粒子について説明する。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーと物理発泡剤とを含み、さらに水を含有している。
本実施形態の発泡性樹脂粒子では、結晶性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを含有している。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、ポリアミド系熱可塑性エラストマー本来の結晶(以下、「第1の結晶」ともいう)とともに別の結晶(以下、「第2の結晶」ともいう)を含有している。
本実施形態の発泡性樹脂粒子の第2の結晶は、直接的に確かめられてはいないが、結晶を構成する分子鎖の間に作用する分子間力が弱められることによって形成されているとみられる。
即ち、本実施形態の発泡性樹脂粒子は、前記物理発泡剤と前記水とが含有されることによってポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶で隣り合った状態になっている分子鎖の間の水素結合部分に前記水が介入することによってポリアミド系熱可塑性エラストマー本来の結晶よりも作用する分子間力が低い結晶が前記第2の結晶として存在していると考えられる。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、第1の結晶と第2の結晶とを含み、これらの結晶の融点が適度な近さを有することで、第2の結晶の大きさが気泡核の効果を発揮するのに適当な大きさとなり、気泡微細化と気泡バラツキの抑制につながるとみられる。
具体的には、本実施形態の発泡性樹脂粒子は、図1にも示すように、示差走査熱量分析(以下、「DSC」ともいう)での第1回目の測定チャート(以下、「DSCチャート」ともいう)に、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解による第1の吸熱ピークP1と、該第1の吸熱ピークとは別の第2の吸熱ピークP2とが現れ、前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)と、前記第2の吸熱ピークP2のピーク温度(T2)とが下記関係式(1)を満たし、且つ、前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)が下記関係式(2)を満たすものとなっている。
(T1−35℃) ≦ T2 < T1 ・・・(1)
6mJ/mg ≦ Q2 ・・・(2)
本実施形態における前記発泡性樹脂粒子に対してDSCチャートを最初に採取した際(ファーストスキャン)において測定される前記第1の吸熱ピークは、前記発泡性樹脂粒子を使って得られる樹脂発泡体に対して優れた耐熱性を発揮させる上において120℃以上に発現することが好ましく、130℃以上に発現することがより好ましく、140℃以上であることがより好ましい。
前記発泡性樹脂粒子の発泡を実施容易にする上において、前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)は、過度に高温ではない方が好ましい。
前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)は、190℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましく、170℃以下であることがさらに好ましい。
前記関係式(1)に示すように前記第2の吸熱ピークP2のピーク温度(T2)は、前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)よりも低温であって且つ温度差(T1−T2)が35℃以内である。
前記第2の吸熱ピークP2のピーク温度(T2)は、前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)とある程度、近い温度であることが好ましい。
前記温度差(T1−T2)は、34℃以下であることが好ましく、33℃以下であることがより好ましい。
前記第2の吸熱ピークP2のピーク温度(T2)は、前記第1の吸熱ピークP1のピーク温度(T1)に近すぎると前記第1の吸熱ピークP1と前記第2の吸熱ピークP2とが一つの吸熱ピークとなってしまうこととなる。
その場合、一定の温度範囲内で全ての結晶が融解されることになり、良好な発泡性が発揮され難くなる。
前記温度差(T1−T2)は、13℃以上であることが好ましく、14℃以上であることがより好ましく、15℃以上であることがさらに好ましい。
前記発泡性樹脂粒子のファーストスキャンでのDSCチャートにおける前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)は、前記関係式(2)に示す通り、本実施形態においては6mJ/mg以上となっている。
前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)は、7mJ/mg以上であることが好ましく、8mJ/mg以上であることがより好ましい。
前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)は、例えば、20mJ/mg以下であってもよい。
前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)は、10mJ/mg以上20mJ/mg以下であることが好ましい。
前記発泡性樹脂粒子のファーストスキャンでのDSCチャートにおける前記第1の吸熱ピークP1の吸熱量(Q1)は、前記発泡性樹脂粒子を発泡させて得られる樹脂発泡体に対して優れた耐熱性を発揮させる上において、前記第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)よりも高い値を有することが好ましい。
前記第1の吸熱ピークP1の吸熱量(Q1)は、15mJ/mg以上であることが好ましく、17mJ/mg以上であることがより好ましく、19mJ/mg以上であることがさらに好ましい。
前記第1の吸熱ピークP1の吸熱量(Q1)は、50mJ/mg以下であることが好ましく、45mJ/mg以下であることがより好ましく、40mJ/mg以下であることがさらに好ましい。
前記第1の吸熱ピークP1の吸熱量(Q1)の前記第2の吸熱ピークP2の吸熱量(Q2)に対する割合(Q1/Q2)は、1.1以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。
前記発泡性樹脂粒子のファーストスキャンでの吸熱ピークの温度や吸熱量は、次のようにして求めることができる。
(DSCチャートの作成)
DSCチャートは、JIS K7122:2012「プラスチックの転移熱測定方法」に記載されている方法での示差走査熱量分析によって横軸を温度、縦軸を熱量としたグラフ上の曲線として得ることができる。
但し、示差走査熱量分析におけるサンプリング方法・温度条件に関しては以下のように行う。
まず、前記発泡性樹脂粒子を十分に脱脂したカミソリの刃などによって両端をカットして平坦にし、規定量になるよう形状を調整して、容器に詰める。
試料は、2粒以上の発泡性樹脂粒子から採取し、これらを1つの容器に詰めて、平均化する。
示差走査熱量計装置(株)日立ハイテクサイエンス製「DSC7000X、AS−3」を用いアルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう測定用の試料を約5mg充てん後、アルミニウム製の蓋をして、窒素ガス流量20mL/minのもと30℃から0℃まで降温した後10分間保持し、速度10℃/minで0℃から290℃まで昇温した時のDSC曲線を得る。
その時の基準物質はアルミナを用いる。
尚、仮に高温側のピークが早い段階で終了してDSCチャートにベースラインが形成されるようであれば終了温度を290℃よりも低温としてもよい。
(吸熱ピークの温度)
上記のようにして得られたDSCチャートにおいて観察される吸熱ピークのピークトップの温度を各吸熱ピークの温度として求める。
(吸熱量の測定:図1参照)
測定で得られたDSCチャートから、対応する微分曲線であるDDSC曲線を求める。
DSCチャートでの低温側のピーク(第2の吸熱ピークP2)よりも低温側に形成されるベースラインでは、DDSC曲線の傾きがゼロになる。
また、DSCチャートでの高温側のピーク(第1の吸熱ピークP1)よりも高温側に形成されるベースラインでは、DDSC曲線の傾きがゼロになる。
第2の吸熱ピークP2の低温側でDDSC曲線の傾きがゼロでなくなる地点を第2の吸熱ピークの開始温度Tsとする。
第1の吸熱ピークP1の高温側でDDSC曲線の傾きがゼロになる地点を第1の吸熱ピークの終了温度Tfとする。DDSC曲線において開始温度Tsと終了温度Tfとを結ぶ直線と、DDSC曲線とが交差する交差点を求める。
該交差点の内、温度が上昇する方向においてDDSC曲線が下から上に向かって交差する交差点で、且つ、最も低温側の交差点の温度を求め、該温度を第2の吸熱ピークの終了温度であり且つ第1の吸熱ピークの開始温度である分岐点温度Txとして定める。
DSCチャートでの開始温度Tsから分岐点温度Txまでの第2の吸熱ピークの積分値を第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)とし、分岐点温度Txから終了温度Tfまでの第1の吸熱ピークの積分値を第1の吸熱ピークの吸熱量(Q1)とする。
具体的には、吸熱量(Q1,Q2)は、DSCチャートの開始温度Tsにおける点と終了温度Tfにおける点とを結ぶ直線Lを描いた際の該直線LとDSCチャートとの間の面積として求めることができ、第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)を開始温度Tsから分岐点温度Txまでの面積として求めることができ、第1の吸熱ピークの吸熱量(Q1)を分岐点温度Txから終了温度Tfまでの面積として求めることができる。
本実施形態でのポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、その分子構造が特に限定されるわけではないが、前記の第1の結晶を発泡性樹脂粒子の内部に微分散させ易い点においてポリアミドブロックを備えたブロック共重合体であることが好ましく、ポリアミドブロック(ハードセグメント)とポリエーテルブロック(ソフトセグメント)とを有するブロック共重合体であることがより好ましい。
前記ポリアミドブロックを構成するポリアミドとしては、全芳香族ポリアミドや半芳香族ポリアミドのような芳香族ポリアミドであるよりは脂肪族ポリアミドであることが好ましい。
前記ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6I、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミドMXD6などが挙げられる。
ブロック共重合体を構成するポリアミドは、単独種類である必要はなく、複数種類であってもよい。
即ち、ブロック共重合体に複数のポリアミドブロックが存在する場合、該ブロック共重合体を構成する一つのポリアミドブロックと他のポリアミドブロックとは別のポリアミドによって構成されてもよい。
また、ブロック共重合体を構成する一つのポリアミドブロックが上記のようなポリアミドの2つ以上が組み合わされて構成されてもよい。
本実施形態における前記ポリアミドブロックは、ポリアミド11又はポリアミド12を含むことが好ましい。
前記ポリアミドブロックは、ポリアミド11かポリアミド12かの一方のみを含んでいてもよく両方を含んでいてもよい。
前記ブロック共重合体に含まれるポリアミドブロックは、ポリアミド11のみで構成されているかポリアミド12のみで構成されているかの何れかであることが好ましい。
前記ポリエーテルブロックとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)などが挙げられる。
前記ポリエーテルブロックについてもポリアミドブロックと同様に、ブロック共重合体に複数のポリエーテルブロックが存在する場合、該ブロック共重合体を構成する一つのポリエーテルブロックと他のポリエーテルブロックとは別のポリエーテルによって構成されてもよい。
また、ブロック共重合体を構成する一つのポリエーテルブロックが上記のようなポリエーテルの2つ以上が組み合わされて構成されてもよい。
本実施形態における前記ポリエーテルブロックは、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)を含むことが好ましい。
前記ブロック共重合体に含まれる前記ポリエーテルブロックは、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)のみで構成されていることが好ましい。
ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは300〜15000であることが好ましい。
ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは600〜5000であることがより好ましい。
ポリエーテルブロックの数平均分子量Mnは100〜6000であることが好ましい。
ポリエーテルブロックの数平均分子量Mnは200〜3000であることがより好ましい。
本実施形態の発泡性樹脂粒子が含有する前記物理発泡剤は、既知の揮発性発泡剤や無機発泡剤とすることができる。
前記揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素やそのハロゲン化物などが挙げられる。
前記無機発泡剤としては、例えば、炭酸ガス、窒素ガス、空気、不活性ガス(ヘリウム、アルゴン等)等が挙げられる。
前記物理発泡剤は、沸点が常温(23℃)以下であることが好ましい。
前記物理発泡剤は、ポリアミド系熱可塑性エラストマーに対する可塑化効果を発現が良好である点において、脂肪族炭化水素であることが好ましく、ブタンやペンタン等が好ましい。
前記ブタンは、ノルマルブタンである必要は無く、イソブタンであってもよい。
前記ペンタンについても同様である。
本実施形態においては、2種以上の物理発泡剤を発泡性樹脂粒子に含有させるようにしてもよい。
本実施形態における発泡性樹脂粒子は、1以上の揮発性発泡剤と1以上の無機発泡剤とを含んでもよい。
本実施形態における発泡性樹脂粒子は、前記物理発泡剤とともに水を含有していることが好ましい。
尚、ポリアミド系熱可塑性エラストマーは、通常、吸湿性が高く水分を含み易いポリマーであり、JIS K7209:2000(ISO62:1999)「プラスチック−吸水率の求め方」に従って求められる温度20℃、相対湿度65%での平衡吸水率が0.5質量%〜1.0質量%で、20℃の水に24時間浸漬した際の吸水率が0.8質量%〜1.5質量%となって観測されるようなポリマーである。
本実施形態における発泡性樹脂粒子は、このような平衡吸水率を超える量の水を含有することが好ましい。
具体的には、発泡性樹脂粒子は、1.5質量%を超える水を含有していることが好ましく、2.0質量%を超える水を含有していることがより好ましく、2.5質量%を超える水を含有していることがさらに好ましい。
発泡性樹脂粒子における水分含有量は、例えば、GC−MSなどによって発泡性樹脂粒子における物理発泡剤の含有率(X:質量%)を求めるとともに熱質量分析(TGA)などによって200℃以下の温度での質量減少率(ΔM:%)を求め、これらの差(ΔM−X)を計算することによって求めることができる。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー、前記物理発泡剤、及び、前記水とは別に各種添加剤を含有してもよい。
該添加剤としては、例えば、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外のポリマーや、各種機能性薬剤などが挙げられる。
前記ポリアミド系熱可塑性エラストマー以外のポリマーとしては、例えば、非晶性のポリアミド系熱可塑性エラストマーや、ポリアミド6やポリアミド66などといった一般的なポリアミド樹脂が挙げられる。
また、本実施形態の発泡性樹脂粒子は、ポリアミド系以外のオレフィン系ポリマーやスチレン系ポリマーなどを含有してもよい。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、ポリアミド系以外のポリマーとしてタッキファイヤーなどを含有してもよい。
本実施形態の発泡性樹脂粒子に含有される前記添加剤としては、例えば、気泡調整剤(気泡核剤)などとして機能するタルクなどの無機フィラーやポリテトラフロロエチレンパウダーなどの有機フィラーが挙げられる。
発泡性樹脂粒子は、前記気泡調整剤として、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩などを含んでいてもよい。
発泡性樹脂粒子に含有させ得る前記添加剤としては、例えば、可塑剤、滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、抗菌剤、防鼠剤、防虫剤等が挙げられる。
尚、前記発泡性樹脂粒子にポリアミド系熱可塑性エラストマーに由来する特性を顕著に発揮させる上において、前記添加剤が発泡性樹脂粒子において占める割合は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
本実施形態における発泡性樹脂粒子は、その粒子の形状や大きさに対して特に限定が加えられるものではなく、前記形状としては、例えば、真球状、楕円球状(長球状、扁平球状)、円柱状、角柱状、板状又は不定形状などが挙げられる。
発泡性樹脂粒子は、例えば、その体積と同じ体積の球体の直径が0.5mm〜2.5mmとなる大きさを有することが好ましい。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、発泡させることによってキメ細かな発泡状態となり得る点においてビーズ発泡成形体の原材料として好適である。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、一旦発泡させて「予備発泡粒子」と称される状態を経てビーズ発泡成形体とされたり、成形型内で発泡させるなどして直接的にビーズ発泡成形体を形成したりする際の原材料として好適に用いられ得る。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、種々の方法で得ることができるが、前記のようなDSCチャートを描く状態に調製することが容易である点において、特定の製法によって作製されることが好ましい。
該発泡性樹脂粒子の製造方法としては、例えば、発泡性樹脂粒子の出発原料となる樹脂粒子を調製する粒子調製工程と、該樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる含浸工程とを実施する方法が挙げられる。
前記粒子調製工程は、一般的な樹脂ペレットの製造方法によって実施でき、ポリアミド系熱可塑性エラストマーや添加剤を含むポリアミド系樹脂組成物を押出機などの溶融混練装置で混練し、該混練装置に装着したストランドダイやフラットダイなどから混練物を押出して冷却し、押出した前記混練物でストランド状や帯状の樹脂連続体を形成させ、該樹脂連続体をペレタイズする方法によって実施することができる。
前記粒子調製工程は、ダイから吐出された直後の加熱状態の混練物をダイからの吐出直後に切断して樹脂粒子を得るホットカット造粒法によっても実施できる。
本実施形態における粒子調製工程は、得られる樹脂粒子の結晶化の程度を適切な状態に調整し易い点において混練物を水中に吐出しつつ吐出直後に切断して造粒する水中ホットカット造粒法によって実施されることが好ましい。
水中ホットカット造粒法では、加熱溶融状態の混練物がダイから吐出されると同時に切断されてストランド状の樹脂連続体などに比べて熱容量のはるかに小さな樹脂粒子とされ、該樹脂粒子が大過剰の水で冷却されるために当該樹脂粒子中でポリアミドの結晶が大きく成長することが抑制され得る。
後述するようにこのようにして得られた樹脂粒子に対しては、含浸工程において物理発泡剤で結晶に可塑化作用を発揮させるとともに水を進入させることが行われる。
従って、ポリアミドの結晶が大きく成長することが抑制され得る水中ホットカット法は、本実施形態において粒子調製工程を実施するための具体的な手法として好適であると言える。
尚、水中ホットカット造粒法において混練物を吐出する水の温度は、例えば、10℃以上80℃以下とすることができる。
前記水温は、20℃以上であることが好ましい。
前記水温は、70℃以下であることが好ましい。
樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させるための方法としては、従来、「湿式含浸法」と「乾式含浸法」とが知られている。
前者は、大量の水に樹脂粒子を加えて該樹脂粒子のほぼ全体が水に浮遊している状態を圧力容器中に形成させて該圧力容器中に加圧状態の物理発泡剤を導入して樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる方法である。
一方で、「乾式含浸法」は、水を殆ど用いず、用いたとしても少量で、圧力容器中に樹脂粒子と水とを収容しただけでは堆積されている樹脂粒子の底部に水が溜まっているか、全ての水が一部の樹脂粒子に付着してしまって底部には水が全く溜まっていない状態となる条件下で樹脂粒子への物理発泡剤の含浸が行われる方法である。
言い換えると、「乾式含浸法」では、圧力容器に樹脂粒子と水とを収容しただけでは圧力容器の底部に水面が形成され得るものの該水面よりもはるか上まで樹脂粒子が堆積し、堆積した樹脂粒子の重みで底部の樹脂粒子が容器底部についてしまい、到底樹脂粒子が水に浮遊しているとは言えない状態で圧力容器中に物理発泡剤が導入されて樹脂粒子に物理発泡剤が含浸される。
本実施形態における前記含浸工程は、水を一定以上の割合で存在させた状態での乾式含浸法によって実施されることが好ましい。
前記のように本実施形態では発泡性樹脂粒子においてポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶に水が入り込んだ状態の第2の結晶を存在させることで気泡のばらつきを抑制させるようにしている。
このようにポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶中に水分子を進入させるためには前記物理発泡剤による可塑化効果が大きく寄与する。
即ち、前記物理発泡剤による可塑化効果が発揮されている状況においては、ポリアミド系熱可塑性エラストマーへの水の侵入も容易となる。
本実施形態の発泡性樹脂粒子の製造方法では、湿式含浸法のように水処理を伴う多量のプロセス水を用いることがない乾式含浸法を採用することが好ましい。
前記乾式含浸法での含浸工程を実施するには、内部に大気圧以上に加圧された環境を形成でき、しかも、加圧した状態を保持することができる圧力容器を用いることができる。
本実施形態での前記含浸工程における前記樹脂粒子への前記物理発泡剤の前記含浸は、前記物理発泡剤の少なくとも一部が大気圧よりも高い圧力の気体となって存在する環境で前記樹脂粒子が加熱されることによって実施され得る。
しかも、本実施形態での前記含浸工程は、例えば、前記樹脂粒子100質量部に対して4質量部以上10質量部以下の割合となる水がさらに存在する前記環境で実施され得る。
本実施形態での前記含浸工程(乾式含浸)は、例えば、前記樹脂粒子と前記水とを100:4〜100:10の質量比率で前記圧力容器に仕込み、さらに、必要量の物理発泡剤を前記圧力容器に仕込んで当該圧力容器ごと内部の樹脂粒子を加熱する方法によって実施できる。
前記圧力容器内での前記樹脂粒子100質量部に対する前記水の割合は、4.5質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、5.5質量部以上であることがさらに好ましい。
前記水の割合は、9質量部以下であることが好ましく、8.5質量部以下であることがより好ましい。
前記圧力容器内での前記物理発泡剤の仕込み量は、製造する発泡性樹脂粒子に求められる発泡性によっても異なるが、例えば、前記樹脂粒子100質量部に対して5質量部以上20質量部以下となる割合とすることができる。
前記含浸工程では、物理発泡剤と水との同時並行的な樹脂粒子への侵入をスムーズに実施する上において前記樹脂粒子が90℃以上110℃以下の温度となるように加熱されることが好ましい。
前記含浸工程で前記樹脂粒子が上記のような温度に加熱される時間は、例えば、30分以上6時間以下とすることができる。
前記含浸工程では、圧力容器内に樹脂と水、物理発泡剤の他に、含浸後の発泡性樹脂粒子を発泡させて予備発泡粒子とする際に粒子同士の合着を防ぐための合着防止剤や、発泡粒子表面への帯電防止剤などを同時に添加することができる。
前記合着防止剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのようなノニオン性界面活性剤などが使用でき、帯電防止剤としては例えば低分子量ポリエチレングリコールのようなポリエーテルを使用することができる。
前記合着防止剤の添加量は、樹脂100質量部に対して0.1〜0.8質量部が好ましく、0.3〜0.5質量部がより好ましい。
前記帯電防止剤の添加量は樹脂100質量部に対して0.05〜0.3質量部が好ましく、0.05〜0.2質量部がより好ましい。
前記含浸工程で前記樹脂粒子に物理発泡剤と水とが含浸されることによって得られる本実施形態での発泡性樹脂粒子は、前記含浸工程に、一旦、冷却して前記圧力容器から取り出してからビーズ発泡体の原材料として利用することもできるが、別の圧力容器に移送し、該圧力容器に加圧水蒸気を吹き込むなどして予備発泡粒子としてもよい。
該発泡性樹脂粒子により得られる予備発泡粒子やビーズ発泡成形体では、高い発泡倍率で発泡しながらも気泡の大きさが整った状態になり得る。
即ち、本実施形態の発泡性樹脂粒子は、良質な樹脂発泡体を形成するのに有効である。
本実施形態で製造される樹脂発泡体は、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーが、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを備えたブロック共重合体であることで良好な緩衝性を発揮する。
また、本実施形態で製造される樹脂発泡体は、前記ブロック共重合体の前記ポリアミドブロックがポリアミド11又はポリアミド12を含むことで良好な発泡状態にすることがより一層容易になり得る。
尚、本実施形態の発泡性樹脂粒子は、ビーズ発泡成形体として用いるだけでなく、単なる粒子状の樹脂発泡体としても利用可能である。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、車両、航空機、船舶などの座席やソファーなどの椅子の芯材、ベッドマットレスの芯材、クッションなどにおける充填材、スポーツ用途などにおける各種緩衝材等の幅広い用途において利用可能である。
本実施形態の発泡性樹脂粒子から得られる樹脂発泡体は、緩衝用とのみならず断熱材などとしても利用可能である。
本実施形態の発泡性樹脂粒子は、用途についてだけでなく、一つの実施形態として上記に例示した具体的な態様に対して種々の変更を加えることができる。
即ち、本発明は、上記例示に何等限定されるものではない。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
次いで、実施例、比較例について説明する。
(実施例1)
(樹脂粒子の作製:粒子調製工程)
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとして第1のポリアミド系熱可塑性エラストマー(以下、「TPAE1」ともいう)と、第1のポリアミド系熱可塑性エラストマーとは別の第2のポリアミド系熱可塑性エラストマー(以下、「TPAE2」ともいう)を用意した。
これらの詳細は次の通りである。
TPAE1:
ポリアミド12をハードセグメントとし、PTMGをソフトセグメントとして備えたブロック共重合体であるアルケマ社製の商品名「Pebax4533」、融点147℃(カタログ値)
TPAE2:
ポリアミド12をハードセグメントとし、PTMGをソフトセグメントとして備えたブロック共重合体であるアルケマ社製の商品名「Pebax5533」、融点159℃(カタログ値)
25質量部のTPAE1と75質量部のTPAE2とで構成されている混合樹脂原料100質量部に対し、気泡調整剤としてエチレンビスステアリン酸アミド(花王社製、商品名「カオーワックスEB」)を0.3質量部添加した配合原料を40mm単軸押出機にて溶融混練し、水中ホットカット法による造粒を実施し、平均粒子径が約1.4mmの樹脂粒子を作製した。
(発泡性樹脂粒子の作製:含浸工程)
粒子調製工程で作製した樹脂粒子60kgと水3kgとノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、第1工業製薬社製 商品名「エパン450」)240gとを乾式含浸装置に付属の150Lの圧力容器に投入した。
なお、ノニオン性界面活性剤は、発泡時の合着を防止するために圧力容器に投入した。
樹脂粒子、水、及び、ノニオン性界面活性剤が収容されている圧力容器に液化ブタンを圧入した。
液化ブタンは、樹脂100質量部に対して18質量部の割合で圧入した。
前記乾式含浸装置の圧力容器を回転させながら100℃の温度で内部の樹脂粒子を2時間加熱して樹脂粒子にブタンと水とを含浸させて発泡性樹脂粒子を作製した。
(DSCチャートの確認)
乾式含新装置から発泡性樹脂粒子を抜き出した後、含浸されているブタンの内の余分なブタンを樹脂粒子の内部から放出させるため1昼夜放置した後、示差走査熱量分析を行なった。
その結果を図2に示す。
このDCSチャートでは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解に伴う第1の吸熱ピークがピークトップの温度が160℃となる位置に観測された。
また、このDSCチャートでは、第1のピークよりも低温側に第2の吸熱ピークが観られ、該ピークのピークトップ温度は、133.7℃であった。
即ち、第1の吸熱ピークと第2の吸熱ピークとの温度差は26.3℃であった。
また、第2の吸熱ピークの吸熱量を求めたところ9.5mJ/mgであった。
(樹脂発泡粒子の作製)
乾式含浸装置の圧力容器に別の圧力容器を接続し、物理発泡剤が含浸した発泡性樹脂粒子をこの圧力容器に移し、該圧力容器を発泡機に接続し、一定量計量して発泡機内へ投入した後、蒸気を発泡機内へ送り込み、0.14MPaの蒸気圧で40秒間加熱して発泡性樹脂粒子を発泡させることで、嵩密度0.09g/cmの樹脂発泡粒子を作製した。
この時に得られた樹脂発泡粒子を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図3に示す。
(ビーズ発泡成形体の製造)
前記の樹脂発泡粒子を予備発泡粒子として用いてビーズ発泡成形体を作製した。
まず、予備発泡粒子を圧力容器内に入れ、容器内が0.3MPaとなるように圧縮空気で加圧して室温にて24時間放置した後、容器内を減圧して予備発泡粒子を取り出した。
この予備発泡粒子を、300mm×400mm×20mmの扁平な直方体状の内部空間を有する成形型に収容し、高圧成形機にて成形蒸気圧0.25MPaで65秒加熱して成形し、板状のビーズ発泡成形体を作製した。
この時作製されたビーズ発泡成形体の見掛け密度は、0.1g/cmであった。
また、得られたビーズ発泡成形体の断面における気泡は、微細な状態で、比較的均一な大きさを有し、平均気泡径が60μmであった。
(実施例2)
乾式含浸での加熱温度を100℃に代えて98℃としたこと以外は実施例1と同条件で発泡性樹脂粒子を作製し、実施例1と同様にDSCチャートを採取した。
結果を図4に示す。
ここでは、第1の吸熱ピークのピーク温度が160.4℃で、第2の吸熱ピークのピーク温度が127.5℃となっていることが確かめられ、実施例1と同様の発泡性樹脂粒子が形成されていることが分かった。
また、この実施例2での発泡性樹脂粒子のDSCチャートでは、第2の吸熱ピークの吸熱量が7.3mJ/mgであることが確認できた。
さらに、この実施例2の発泡性樹脂粒子を使ってビーズ発泡成形体を作製したところ、実施例1と同様に微細で比較的均一な気泡を有するビーズ発泡成形体が得られた。
(比較例1)
前記粒子調製工程でのTPAE1とTPAE2との使用比率25:75(TPAE1:TPAE2)に代えて60:40(TPAE1:TPAE2)としたこと、
前記含浸工程で物理発泡剤を導入する前の圧力容器に水を導入せず樹脂粒子60kgとノニオン性界面活性剤240gとだけを圧力容器に導入して樹脂粒子への物理発泡剤の含浸を実施したこと、及び、
含浸工程での加熱時間を2時間に代えて80分としたこと、
以外は実施例1と同様に発泡性樹脂粒子を作製し、実施例1と同様にDSCチャートを採取した。
結果を図5に示す。
ここでは、第1の吸熱ピークのピーク温度が159.4℃で、第2の吸熱ピークのピーク温度が123.1℃(温度差36.3℃)となっていることが確かめられた。
また、この比較例1での発泡性樹脂粒子のDSCチャートでは、第2の吸熱ピークの吸熱量が9.4mJ/mgであることが確認できた。
尚、この比較例1の発泡性樹脂粒子を発泡させた発泡粒子の気泡は粗大で、気泡のばらつきも大きいものであった。
この時に得られた樹脂発泡粒子を切断し、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を図6に示す。
(実施例3)
含浸工程での加熱時間を80分に代えて4時間としたこと以外は比較例1と同様に発泡性樹脂粒子を作製し、比較例1と同様にDSCチャートを採取した。
結果を図7に示す。
ここでは、発泡性樹脂粒子は、第1の吸熱ピークのピーク温度が159.5℃で、第2の吸熱ピークのピーク温度が124.9℃(温度差34.6℃)となっており、比較例1に比べて第1の吸熱ピークのピーク温度と第2の吸熱ピークのピーク温度との差が縮まっていることが確かめられた。
また、この実施例3での発泡性樹脂粒子のDSCチャートでは、第2の吸熱ピークの吸熱量が8.4mJ/mgであることが確認できた。
従って、この実施例3と前記の比較例1との結果からは、含浸工程での加熱を強化すると温度差が縮まって第2の吸熱ピークの吸熱量が増大する傾向がみられることが分かった。
尚、この実施例3の発泡性樹脂粒子を使ってビーズ発泡成形体を作製したところ、微細で比較的均一な気泡を有するものの実施例1などに比べてやや気泡のバラツキが大きいビーズ発泡成形体が得られた。
(実施例4)
含浸工程で用いる樹脂粒子の量を60kgに代えて20kgとしたこと以外は実施例3と同様に発泡性樹脂粒子を作製し、実施例3と同様にDSCチャートを採取した。
結果を図8に示す。
ここでは、発泡性樹脂粒子は、第1の吸熱ピークのピーク温度が159.6℃で、第2の吸熱ピークのピーク温度が130.4℃(温度差29.2℃)となっており、実施例3に比べて第1の吸熱ピークのピーク温度と第2の吸熱ピークのピーク温度との差がさらに縮まっていることが確かめられた。
また、この実施例4での発泡性樹脂粒子のDSCチャートでは、第2の吸熱ピークの吸熱量が9.1mJ/mgであることが確認できた。
従って、この実施例4での結果についても、含浸工程での加熱を強化すると温度差が縮まって第2の吸熱ピークの吸熱量が増大する傾向がみられることが分かった。
尚、この実施例4の発泡性樹脂粒子を使ってビーズ発泡成形体を作製したところ、微細で比較的均一な気泡を有するものの実施例1などに比べてやや気泡のバラツキが大きいビーズ発泡成形体が得られた。
(実施例5)
(樹脂粒子の作製:粒子調製工程)
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとして第1、第2のポリアミド系熱可塑性エラストマーとは別の第3のポリアミド系熱可塑性エラストマー(以下、「TPAE3」ともいう)と、第1〜第3のポリアミド系熱可塑性エラストマーとは別の第4のポリアミド系熱可塑性エラストマー(以下、「TPAE4」ともいう)を用意した。
これらの詳細は次の通りである。
TPAE3:
ポリアミド11をハードセグメントとし、PTMGをソフトセグメントとして備えたブロック共重合体であるアルケマ社製の商品名「Pebax RNEW40R53」、融点148℃(カタログ値)
TPAE4:
ポリアミド11をハードセグメントとし、PTMGをソフトセグメントとして備えたブロック共重合体であるアルケマ社製の商品名「Pebax RNEW55R53」、融点167℃(カタログ値)
60質量部のTPAE3と40質量部のTPAE4とで構成されている混合樹脂原料を40mm単軸押出機にて溶融混練し、水中ホットカット法による造粒を実施し、平均粒子径が約1.4mmの樹脂粒子を作製した。
(発泡性樹脂粒子の作製:含浸工程)
粒子調製工程で作製した樹脂粒子60kgと水3kgとノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、第1工業製薬社製 商品名「エパン450」)240gとを乾式含浸装置に付属の150Lの圧力容器に投入した。
なお、ノニオン性界面活性剤は、発泡時の合着を防止するために圧力容器に投入した。
樹脂粒子、水、及び、ノニオン性界面活性剤が収容されている圧力容器に液化ブタンを圧入した。
液化ブタンは、樹脂100質量部に対して18質量部の割合で圧入した。
前記乾式含浸装置の圧力容器を回転させながら100℃の温度で内部の樹脂粒子を2時間加熱して樹脂粒子にブタンと水とを含浸させて発泡性樹脂粒子を作製した。
(DSCチャートの確認)
乾式含新装置から発泡性樹脂粒子を抜き出した後、含浸されているブタンの内の余分なブタンを樹脂粒子の内部から放出させるため1昼夜放置した後、示差熱量分析を行なった。
その結果を図9に示す。
このDCSチャートでは、ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解に伴う第1の吸熱ピークがピークトップの温度が167.2℃となる位置に観測された。
また、このDSCチャートでは、第1のピークよりも低温側に第2の吸熱ピークが観られ、該ピークのピークトップ温度は、135.7℃であった。
即ち、第1の吸熱ピークと第2の吸熱ピークとの温度差は31.5℃であった。
また、第2の吸熱ピークの吸熱量を求めたところ18.0mJ/mgであった。
(樹脂発泡粒子の作製)
乾式含浸装置の圧力容器に別の圧力容器を接続し、物理発泡剤が含浸した発泡性樹脂粒子をこの圧力容器に移し、該圧力容器を発泡機に接続し、一定量計量して発泡機内へ投入した後、蒸気を発泡機内へ送り込み、0.17MPaの蒸気圧で40秒間加熱して発泡性樹脂粒子を発泡させることで、嵩密度0.110g/cmの樹脂発泡粒子を作製した。
(ビーズ発泡成形体の製造)
前記の樹脂発泡粒子を予備発泡粒子として用いてビーズ発泡成形体を作製した。
まず、予備発泡粒子を圧力容器内に入れ、容器内が0.2MPaとなるように圧縮空気で加圧して室温にて18時間放置した後、容器内を減圧して予備発泡粒子を取り出した。
この予備発泡粒子を、330mm×125mm×10mmの扁平な直方体状の内部空間を有する成形型に収容し、高圧成形機にて成形蒸気圧0.25MPaで50秒加熱して成形し、板状のビーズ発泡成形体を作製した。
この時作製されたビーズ発泡成形体の見掛け密度は、0.13g/cmであった。
また、得られたビーズ発泡成形体の断面における気泡は、微細な状態で、比較的均一な大きさを有し、平均気泡径が70μmであった。
以上のことからも本発明によれば発泡させた際に気泡の大きさにバラツキが生じ難い発泡性樹脂粒子が得られることが分かる。
P1:第1の吸熱ピーク、P2:第2の吸熱ピーク

Claims (7)

  1. 結晶性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーと物理発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子であって、
    示差走査熱量分析での第1回目の測定チャートに、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解による第1の吸熱ピークと、該第1の吸熱ピークとは別の第2の吸熱ピークとが現れ、
    前記第1の吸熱ピークのピーク温度(T1)と、前記第2の吸熱ピークのピーク温度(T2)とが下記関係式(1)を満たし、且つ、前記第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)が下記関係式(2)を満たす発泡性樹脂粒子。

    (T1−35℃) ≦ T2 < T1 ・・・(1)
    6mJ/mg ≦ Q2 ・・・(2)
  2. 前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーが、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを備えたブロック共重合体である請求項1記載の発泡性樹脂粒子。
  3. 前記ポリアミドブロックがポリアミド11又はポリアミド12を含む請求項2記載の発泡性樹脂粒子。
  4. 結晶性を有するポリアミド系熱可塑性エラストマーを含むポリアミド系樹脂組成物で構成された樹脂粒子に物理発泡剤を含浸させる含浸工程を実施して発泡性樹脂粒子を製造する発泡性樹脂粒子の製造方法であって、
    製造する前記発泡性樹脂粒子は、示差走査熱量分析での第1回目の測定チャートに、前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーの結晶融解による第1の吸熱ピークと、該第1の吸熱ピークとは別の第2の吸熱ピークとが現れ、
    前記第1の吸熱ピークのピーク温度(T1)と、前記第2の吸熱ピークのピーク温度(T2)とが下記関係式(1)を満たし、且つ、前記第2の吸熱ピークの吸熱量(Q2)が下記関係式(2)を満たす発泡性樹脂粒子であり、

    (T1−35℃) ≦ T2 < T1 ・・・(1)
    6mJ/mg ≦ Q2 ・・・(2)

    前記含浸工程での前記樹脂粒子への前記物理発泡剤の前記含浸が、前記物理発泡剤の少なくとも一部が大気圧よりも高い圧力の気体となって存在する環境で前記樹脂粒子が加熱されることによって実施され、且つ、
    前記含浸工程は、前記樹脂粒子100質量部に対して4質量部以上10質量部以下の割合となる水がさらに存在する前記環境で実施される発泡性樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記含浸工程では、前記樹脂粒子が90℃以上110℃以下の温度となるように加熱される請求項4記載の発泡性樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記ポリアミド系熱可塑性エラストマーが、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを備えたブロック共重合体である請求項4又は5記載の発泡性樹脂粒子の製造方法。
  7. 前記ポリアミドブロックがポリアミド11又はポリアミド12を含む請求項6記載の発泡性樹脂粒子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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