JP2021070301A - 繊維強化プラスチック成形品、低比重部材、及び木質系建築物 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形品、低比重部材、及び木質系建築物 Download PDF

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Abstract

【課題】片面に凹凸が形成されることにより、低比重部材との接着性を向上させることができるとともに、補強繊維自体で模様を形成することにより意匠性が高く、且つ傷や汚れが目立ち難い繊維強化プラスチック成形品、及びそれが接着された低比重部材及び木質系建築物を提供する。【解決手段】連続繊維補強材を補強繊維として、前記補強繊維の周りに樹脂を含侵させてプリプレグ3を形成し、そのプリプレグ3を硬化させて成形した繊維強化プラスチック成形品1において、補強繊維のヤーン2に疎密差を設けて配列し、硬化樹脂を含侵させてプリプレグ3を形成し、オートクレーブ成形やオーブン成形により成形品の片面を金型K1で押圧せずに、補強繊維のヤーン2の疎密差に起因する凹凸(凹凸面1a)をそのまま形成する。【選択図】図5

Description

本発明は、炭素繊維などの補強繊維で補強された繊維強化プラスチック成型品に関し、詳しくは、木質系建築物の構造材の接合部や家具の表面材に使用される炭素繊維強化プラスチック成型品、その炭素繊維強化プラスチック成型品が接着された木質系部材及び木質系建築物に関するものである。
従来、エンジニアードウッドである集成材は、製造時に割れや節等の木材の構造上の欠点を取り除くとともに、木材の繊維方向を交互に積層して適正に乾燥されることから反りや狂いが少なく、強度が安定した優れた木材として住宅建築などの多くの木質系建築物に使用されている。
また、炭素繊維は一般的なグレードでも、比重が鉄の4分の1、比強度が10倍、比弾性率が7倍と軽くて優れた力学的特性を有することから、集成材などの木質系部材に接着することにより、補強による重量増加を抑えて木材のさらなる強度向上ができることから注目されている。
特に、炭素繊維を開繊して樹脂と複合したプリプレグシートや炭素繊維強化プラスチックは、薄くて取り扱いが容易で、補強材として集成材等に貼り合わせても従来通り丸鋸等で切断加工ができるため、注目されている。このため、近年、炭素繊維と集成材などの木質系部材(木質系材料)との接着性研究されるようになってきている。
例えば、特許文献1には、本願の発明者が提案した補強具及び補強方法が開示されている。特許文献1に記載の補強具は、複数の構造部材を接合して構成された木造建築物の補強具であって、プラスチック複合材料から成る板状部材を備え、前記板状部材は、前記複数の構造部材に囲まれて形成された前記木造建築物の骨組みの開口部に架け渡され、前記開口部に架け渡された前記板状部材が非緊張状態で定着するよう、前記板状部材の両端部が、前記開口部を形成する前記複数の構造部材に接着され、簡単な作業で補強可能とするものである(特許文献1の特許請求の範囲の請求項7、明細書の段落[0022]〜[0031]、図面の図1〜図10等参照)。
特許文献1に記載の補強具は、簡単な作業で補強可能であると共に、性能劣化を抑制することができるという利点がある。しかし、繊維強化プラスチック成形品の表面の凹凸については、全く着目されておらず、炭素繊維シートなどの繊維強化プラスチック成形品と木材とを接着した場合、接着材層で剥離してしまうという問題を解決することはできなかった。
また、特許文献2には、木造建築物における既存梁の補強方法において、前記既存梁の下面に第一の繊維プレートを取り付ける工程と、前記第一の繊維プレートを取り付けた前記既存梁に、前記既存梁の両端から所定の長さ前記既存梁の中央に向かって第一の繊維シートを巻き付ける工程と、を含むことを特徴とする木造建築物補強方法が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0017]〜[0036]、図面の図1〜図4等参照)。
しかし、特許文献2に記載の木造建築物補強方法は、簡便で施工性が高いものの、一般に、木材と炭素繊維強化プラスチック板との接着は困難であるという問題があった。例えば、JISK6852に規定されている接着剤の圧縮せん断接着強さ試験方法で試験を行った場合、繊維シートと木材とを接着する接着材層で剥離してしまうという問題があった。
一方、プリプレグ自体の先行技術としては、例えば、特許文献3には、樹脂フィルムの片面又は両面に、面対称の繊維強化材を貼着したセミ含浸プリプレグ、及び樹脂フィルムの両面に、互いに面対称である繊維強化材を貼着したセミ含浸プリプレグが開示されている(特許文献3の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0016]〜[0033]、図面の図1〜図5等参照)。
特許文献3に記載のセミ含浸プリプレグは、真空バッグ成形を行っても、従来のプリプレグのようなボイドを生じることがなく、高品位の成形品を得ることができ、オートクレーブ成形を行うことが不可能な大型の成形品であっても一体成形を行うことができるとされている。
しかし、特許文献3に記載の発明では、繊維強化プラスチック成形品の表面の凹凸については、全く着目されておらず、炭素繊維シートなどの繊維強化プラスチック成形品と木材とを接着した場合、接着材層で剥離してしまうという問題を解決することはできなかった。
さらに、特許文献4には、熱硬化性樹脂フィルム5と、その少なくとも一面に貼着した繊維強化材2及び3とからなるセミ含浸プリプレグ1であって、前記セミ含浸プリプレグの周端部Sの少なくとも一部に突出繊維部9を有するセミ含浸プリプレグが開示されている(特許文献4の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0017]〜[0044]、図面の図1〜図3等参照)。
特許文献4に記載のセミ含浸プリプレグは、バッグを用いてプリプレグを密封して減圧にする際に突出繊維部がエアの流路を確保するためプリプレグ内部のエアが抜けやすく、ボイドの少ない成形品を得ることができるとされている。
しかし、特許文献4に記載の発明では、特許文献3と同様に、繊維強化プラスチック成形品の表面の凹凸については、全く着目されておらず、繊維強化プラスチック成形品と木材とを接着した場合、接着材層で剥離してしまうという問題を解決することはできなかった。
特許第6150361号公報 特開2018−127795号公報 特開2004−35604号公報 特開2004−58610号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、片面にプラズマ処理などの高価な表面処理に依らず安価で凹凸が形成されることにより、木質系部材等の低比重部材との接着性を向上させることができるとともに、補強繊維自体で模様を形成することにより意匠性が高く、且つ傷や汚れが目立ち難い繊維強化プラスチック成形品、及びそれが接着された低比重部材及び木質系建築物を提供することにある。
第1発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、連続繊維補強材を補強繊維として、前記補強繊維の周りに樹脂を含侵させてプリプレグを形成し、そのプリプレグを硬化させて成形した繊維強化プラスチック成形品であって、前記補強繊維のヤーンに疎密差を設けて配列され、樹脂が含侵されて前記プリプレグが形成され、オートクレーブ成形又はオーブン成形により成形品の片面を金型で押圧せずに、前記補強繊維のヤーンの疎密差に起因する凹凸がそのまま形成されていることを特徴とする。
第2発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、第1発明において、前記補強繊維のヤーンに疎密差を設けて配列され、樹脂が含侵されて前記プリプレグが形成され、当該プリプレグの状態で、前記補強繊維の繊維方向が交差するように編み込んで片面に凹凸が形成されていることを特徴とする。
第3発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、第1発明又は2発明において、前記凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上となっていることを特徴とする。
第4発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、第1発明ないし第3発明のいずれかの発明において、前記補強繊維は、炭素繊維であることを特徴とする。
第5発明に係る低比重部材は、炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる木質系部材などの低比重部材であって、前記凹凸が形成された片面が表面に露出するように請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていることを特徴とする。
第6発明に係る低比重部材は、第5発明において、前記繊維強化プラスチック成形品が全ての外面を覆う形で接着されていることを特徴とする。
第7発明に係る低比重部材は、炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる木質系部材などの低比重部材であって、前記凹凸が形成された片面が裏面の前記低比重部材側となるように請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていることを特徴とする。
第8発明に係る木質系建築物は、木質系部材からなる複数の構造材が接合された木質系建築物であって、前記構造材同士の接合部において、前記凹凸が形成された片面が裏面の前記木質系部材側となるように前記構造材同士に跨って請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていることを特徴とする。
第1発明〜第4発明によれば、片面にプラズマ処理などの高価な表面処理に依らず安価に凹凸が形成されることにより、木質系部材との接着性を向上させることができるとともに、補強繊維自体で模様を形成することにより意匠性が高く、且つ傷や汚れが目立ち難い。
特に、第2発明によれば、プリプレグの状態で繊維方向が交差するように編み込んで片面に凹凸が形成されているので、編み込むことにより表面に形成する凹凸の最大高さを大きくすることができる。このため、木質系部材との接着性がさらに向上する。その上、編み込むことにより表面に市松模様などの模様を自由に形成することができる。このため、さらに意匠性を高くすることができる。
特に、第3発明によれば、凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上となっているので、木質系部材等の低比重部材との接着性がさらに向上する。
特に、第4発明によれば、補強繊維が炭素繊維であるので、比重が鉄の4分の1、比強度が10倍、比弾性率が7倍と軽くて優れた力学的特性を有する炭素繊維で木質系部材等を補強することができる。このため、第4発明によれば、補強による重量増加を抑えて木質系部材のさらなる強度向上を達成することができる。
また、第5発明によれば、繊維強化プラスチック成形品で補強した低比重部材の表面に、強繊維のヤーンの疎密差に起因する凹凸を露出して見せることができる。このため、低比重部材を繊維強化プラスチック成形品で補強できるだけでなく、プラズマ処理などの高価な表面処理の手間やコスト、及び模様等がプリントされたシート材を繊維強化プラスチック成形品の上に接着する手間やコストを低減することができる。また、一般には、接着性が悪く、繊維強化プラスチック成形品とプリントされたシート材が剥離するおそれを完全に払拭することができ、耐久性が格段に向上する。
特に、第6発明によれば、前記作用効果に加え、強度の高い繊維強化プラスチック成形品で全ての外面が覆われる形となるので、断面性能が向上し、安価な低比重部材を使用しても耐久性の高い部材とすることができる。しかも、第6発明によれば、外部から視認できる表面にヤーンの疎密差に起因する凹凸を露出して市松模様などの任意の模様を見せることができ、前述のように表面処理や別材接着の手間やコストを省いて意匠性を向上させることができる。
第7発明によれば、凹凸が形成された片面が低比重部材側となるように繊維強化プラスチック成形品が接着されているので、低比重部材と繊維強化プラスチック成形品との接着性が向上し、強固に一体化させることができる。このため、重量増加を抑えて連続繊維補強材で低比重部材を補強して大きなスパンを飛ばして架設することができる強度の高い低比重部材を製造することができる。
第8発明によれば、繊維強化プラスチック成形品により重量増加を抑えつつ構造材同士を強固に接合することでき、自重に比例して入力される地震などの水平力に有効に対抗することができる木質系建築物を構築することができる。
本発明の実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品を斜め上方から見た斜視図で表す写真である。 同上の繊維強化プラスチック成形品を上方から見た平面図で示す写真である。 同上の繊維強化プラスチック成形品の炭素繊維のヤーン及びプリプレグを模式的に示す斜視図である。 同上の繊維強化プラスチック成形品のプリプレグを編み込んだ積層体を模式的に示す模式断面図である。 (a)は、繊維強化プラスチック成形品1のオーブン成形工程を示す工程説明図であり、(b)は、オーブン成形により成形された繊維強化プラスチック成形品1の断面を模式的に示す模式断面図である。 同上の繊維強化プラスチック成形品のある箇所の凹凸面を3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。 同上の繊維強化プラスチック成形品の他の箇所の凹凸面を3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。 (a)は、同上の繊維強化プラスチック成形品のある箇所の凹凸面を3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。(b)は、その凹凸のプロファイルと平面との位置関係を示す平面図である。(c)は、その凹凸のプロファイルである。 (a)は、同上の繊維強化プラスチック成形品の他の箇所の凹凸面を3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。(b)は、その凹凸のプロファイルと平面との位置関係を示す平面図である。(c)は、その凹凸のプロファイルである。 同上の繊維強化プラスチック成形品の凹凸面が表面に露出するように接着された木質系部材を模式的に示す模式断面図である。 同上の繊維強化プラスチック成形品が木質系材料の外面を覆う形で接着されている木質系部材を模式的に示す模式断面図である。 同上の繊維強化プラスチック成形品の凹凸面が裏面側となるように接着された木質系部材を模式的に示す模式断面図である。 同上の繊維強化プラスチック成形品の凹凸面が裏面側となるように土台と柱との接合部に両者に跨って接着された木質系建築物を示す概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品、そのプラスチック成型品が接着された低比重部材、及び木質系建築物について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<繊維強化プラスチック成形品>
先ず、図1〜図5を用いて、本発明の実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1を斜め上方から見た斜視図で表す写真であり、図2は、繊維強化プラスチック成形品1を上方から見た平面図で表す写真である。また、図3は、繊維強化プラスチック成形品1の炭素繊維のヤーン2及びプリプレグ3を模式的に示す斜視図であり、図4は、繊維強化プラスチック成形品1のプリプレグ3を編み込んだ積層体4を模式的に示す模式断面図である。
本実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1は、炭素繊維を補強繊維として、その周りに熱硬化性樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させて硬化させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber-Reinforced Plastics)成型品である。この繊維強化プラスチック成形品1は、図1,図2に示すように、所定厚さ(例えば、900mm〜1800mm)の矩形板状に成形されているとともに、炭素繊維の束である後述のヤーン2の疎密差に起因する凹凸が形成され、その凹凸が市松模様となっている。
補強繊維は、炭素繊維に限られず、アラミド繊維やガラス繊維であっても構わない、またボロン繊維や金属繊維など他の連続繊維補強材とすることもできる。要するに、補強繊維は、所定の引張強度を有する長尺の連続する繊維であればよい。但し、炭素繊維は、一般的なグレードでも引張強度が2690N/mm2程度と非常に高く、比重が鉄の4分の1、比強度が10倍、比弾性率が7倍と軽くて優れた力学的特性を有することから他の連続繊維補強材と比べて好適である。
また、マトリクス樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。勿論、マトリクス樹脂は、熱硬化性樹脂に限られず、熱可塑性樹脂や紫外線硬化樹脂とすることも可能である。
図3に示すように、この繊維強化プラスチック成形品1は、先ず、直径5μm〜7μm程度の炭素繊維の素線を数万本程度(一般的には、12000本〜24000本)束ねたヤーン2を複数本(図示形態では4本)配列し、熱硬化性樹脂等の樹脂を含侵させて一体化し未硬化のプリプレグ3を形成する。このとき、ヤーン2の間隔を密にしたり離したりすることにより、プリプレグ3の表面に凹凸を形成する。
また、本実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1では、図4に示すように、次に、未硬化状態のプリプレグ3と他のプリプレグ3’を、炭素繊維の繊維方向が交差するように編み込んで積層し、積層体4を形成する。
しかし、従来の繊維強化プラスチック成形品は、特許文献3や特許文献4に記載されているように、炭素繊維の素線を織り込んで織物を形成し、その織物に熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを貼着し、プリプレグを形成していた。このため、このプリプレグからオーブン成形(真空バッグ成形ともいう。以下同じ)により繊維強化プラスチック成形品を成形しても、金型K1側でない片面には、ヤーンの疎密差の間隔や高低差に配慮されていないため、不均一な凹凸しか形成されず、後述の低比重部材(木質系部材;木質系材料)との接着性や意匠性を向上させるための凹凸としては不十分であった。
繊維強化プラスチック成形品1では、前述の積層体4をオーブン成形により真空ポンプで吸引して繊維間の余分な空気を排気しつつ加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させて積層体4から繊維強化プラスチック成形品1を形成する。
図5(a)は、繊維強化プラスチック成形品1のオーブン成形工程を示す工程説明図であり、図5(b)は、オーブン成形により成形された繊維強化プラスチック成形品1の断面を模式的に示す模式断面図である。図5(a)に示すように、オーブン成形工程では、金型K1の上に前述の積層体4が載置され、その積層体4の上に所定厚さの適切な可撓性を有するフィルム状のシートS1が被さられて密閉される。そして、シートS1内の空気が、真空ポンプPで吸引されて排気されるとともに、積層体4に熱が加えられて、積層体4のプリプレグ3の樹脂が硬化して、図5(b)に示すように、金型K1で押圧されず、板状成型品の板面の片面(上面)に凹凸面1aが形成される。
このとき、図5(b)に示すように、繊維強化プラスチック成形品1の板面のもう一方の片面(下面)には、金型K1の平滑な上面が転写された平滑面1bが形成される。
このように形成される繊維強化プラスチック成形品1では、プリプレグ3の状態にしてから編み込むことにより、金型K1で押圧されずに、プリプレグ3間の隙間がそのまま凹凸面1aとなって現れる。このため、従来の繊維強化プラスチック成形品のように炭素繊維の素線の太さに起因する凹凸と比べて、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aの後述の凹凸の最大高さRzは、遥かに大きなものとなる。なお、繊維強化プラスチック成形品1を成形する方法として、オーブン成形(真空バッグ成形)を例示して説明したが、オートクレーブ成形にも適用できることは云うまでもない。
次に、図6〜図9を用いて、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aについてさらに詳細に説明する。図6は、繊維強化プラスチック成形品1のある箇所の凹凸面1aを3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像であり、図7は、繊維強化プラスチック成形品1の他の箇所の凹凸面1aを3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。
また、図8(a)は、繊維強化プラスチック成形品1のある箇所の凹凸面1aを3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。そして、図8(b)は、その凹凸のプロファイルと平面との位置関係を示す平面図であり、図8(c)は、その凹凸のプロファイルである。
また、図9(a)は、繊維強化プラスチック成形品1の他の箇所の凹凸面1aを3D形状測定機で計測した計測結果を表す3D画像である。そして、図9(b)は、その凹凸のプロファイルと平面との位置関係を示す平面図であり、図9(c)は、その凹凸のプロファイルである。
図6,図7から明らかなように、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aは、繊維方向が交差する位置、即ち、あるプリプレグ3が他のプリプレグ3’の下方に沈み込む境界において、凹凸の最大高さが大きくなっている(符号は、図4参照)。
図8に示す3D画像の計測結果では、図8(b)から、凹凸の最大高さRzは、0.1687mm−0.0354mm=0.1333mmであることが分かる。ここで、最大高さRzとは、粗面の凹凸の輪郭曲線の中で最も高い山の高さと最も深い谷の深さの和を指している。また、図8(c)から、プリプレグ3が他のプリプレグ3’の下方に沈み込む境界でない部分においても、ヤーン2同士の間隔(疎密差)に起因する凹凸として、隣接する山の高さと谷の深さの和は、0.05mm以上確保できていることが分かる。
また、図9に示す3D画像の計測結果では、図9(b)から、凹凸の最大高さRzは、0.1381mm−0.0121mm=0.1260mmであることが分かる。そして、図9(c)から、プリプレグ3が他のプリプレグ3’の下方に沈み込む境界でない部分においても、ヤーン2同士の間隔に起因する凹凸として、隣接する山の高さと谷の深さの和は、0.05mm以上確保できていることが分かる。
以上の測定結果により、繊維強化プラスチック成形品1では、プリプレグ3が他のプリプレグ3’の下方に沈み込む境界では、凹凸の最大高さRzが、0.1260mm以上確保できている。また、繊維強化プラスチック成形品1では、ヤーン2同士の間隔(疎密差)に起因する凹凸だけでも、凹凸の最大高さRzが0.05mm以上確保できている。
これらの事実を踏まえると、本発明に係る繊維強化プラスチック成形品では、補強繊維のヤーンの疎密差に起因する凹凸がそのまま形成され、凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上となっている。このため、本発明に係る繊維強化プラスチック成形品の凹凸は、後述の低比重部材との接着性や意匠性を向上させるための凹凸として充分であると考えられる。これに対して、従来の繊維強化プラスチック成形品は、ヤーンの疎密差の間隔や高低差に配慮されていないため、炭素繊維(補強繊維)の素線の太さに起因する程度の凹凸(素線の直径5μm〜7μmの数倍程度が限度)が形成されているに過ぎず、凹凸の最大高さ(最大山高さ、最大谷深さも同じ)としては不十分であった。なお、最大高さRzの上限値は、特に限定されないが、一般には、0.5mm以下と考えられる。
以上説明した繊維強化プラスチック成形品1によれば、板状成形品の板面の片面(上面)に凹凸が形成されることにより、後述の低比重部材(特に、木質系部材)との接着性を向上させることができる。また、繊維強化プラスチック成形品1によれば、プリプレグ3,3’の状態で編み込むことにより凹凸面1aの凹凸の最大高さRzを深くすることができる。このため、低比重部材との接着性がさらに向上することができる。その上、編み込むことにより表面に市松模様などの任意の模様を自由に形成することができ、プラズマ処理などの高価な表面処理に依らず安価に意匠性を高くすることができる。
<低比重部材:家具などの面板に適用した場合>
次に、図10を用いて、前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが表面に露出するように接着された低比重部材である木質系部材5について説明する。図10は、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが表面に露出するように接着された木質系部材5を模式的に示す模式断面図である。
本実施形態では、木質系部材5は、家具などの木製の面板を想定している。ここで、木質系部材とは、木材、集成材、単板積層材(LVL:Laminated Veneer Lumber)、グルーラム、直交集成板(CLT:Cross laminated timber)などの木軸材、合板、配向性ストランドボード(OSB:Oriented Strand Board)、パーティクルボードなどの木製の面板などが挙げられる。つまり、木質系部材(木質系材料)とは、木材を大小のカケラに分解し、このカケラを接着剤を用いて軸材や面材につくり直した部材(材料)のことを指している。
しかし、本発明に係る低比重部材は、木質系部材に限られず、家具などの面板に使用される部材には本発明を適用することができる。ここで、低比重部材とは、前述の炭素繊維補強プラスチック(CFRP:Carbon Fiber-Reinforced Plastics)より比重が小さい材質からなる部材を指している。
炭素繊維強化プラスチックの比重は、一般に、1.5〜1.8程度である。よって、低比重部材は、比重が1.5以下となる材質からなる部材を指している。例えば、低比重部材は、補強繊維(フィラー)を含まない樹脂単体である生樹脂からなる部材、発泡樹脂、又はハニカム構造などの空洞を有した部材であっても構わない。低比重部材が、生樹脂や木材の場合、その比重は、おおよそ1.0以下となり、低比重部材が、発泡樹脂や軽量木材の場合、その比重は、おおよそ0.5以下となる。このような低比重部材であっても、炭素繊維強化プラスチックで補強することにより、家具などの面板として使用することができるからである。
本実施形態に係る木質系部材5は、図10に示すように、前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが表面に露出するように接着されている。即ち、木質系部材5には、繊維強化プラスチック成形品1の平滑面1bが接着されている。このため、木質系部材5は、前述の炭素繊維のプリプレグ3から形成された市松模様が外部から視認できるため、意匠性が高いものとなる。
また、このような木製の面板は、従来、木質系部材を心材として、その表面に木目調の模様等がプリントされた樹脂シートが接着されていた。このため、樹脂シートに傷が付いた場合、非常に目立ち、見栄えが悪いという問題があった。
しかし、繊維強化プラスチック成形品1の平滑面1bが接着された低比重部材である木質系部材5によれば、視認可能な表面に黒色の補強繊維である炭素繊維補自体で模様を形成することができ、凹凸面1aの影響により、傷や汚れが目立ち難い。また、木質系部材5によれば、繊維強化プラスチック成形品1で補強できるため、パーティクルボードのような安価で強度が弱い木質系部材を使用した場合でも、耐久性の高いものとすることができる。
その上、木質系部材5によれば、プラズマ処理などの高価な表面処理や模様等がプリントされたシート材を繊維強化プラスチック成形品の上に接着することを行わなくても家具などの面板を意匠上見栄えの良いもとすることができる。このため、表面処理やシート材を貼着する手間やコストを低減することができる。また、一般には、接着性が悪く、繊維強化プラスチック成形品1と樹脂シートなどのシート材が剥離するおそれを完全に払拭することができ、耐久性が格段に向上する。
なお、木質系部材5では、繊維強化プラスチック成形品1の平滑面1bと木質系部材5が接着されている。このため、木質系部材5との接着性は、いいとは言えない。しかし、家具などの面板に適用した場合、木質系部材5には、そこまで高い強度を要求されないことから、木質系部材5との接着性の悪さは、さほど問題とならない。
次に、図11を用いて、前述の繊維強化プラスチック成形品1が木質系材料50’の外面を覆う形で接着されている前述の木質系部材5の変形例である木質系部材5’について説明する。本実施形態に係る木質系部材5’は、前述の木質系部材5と同様に、家具などの木製の面板を想定している。図11は、繊維強化プラスチック成形品1が木質系材料50’の外面を覆う形で包み込むように接着されている木質系部材5’を模式的に示す模式断面図である。
図11に示すように、本実施形態に係る木質系部材5’は、前述の繊維強化プラスチック成形品1が、木質系材料50’の外面を覆う形で包み込むように接着されている。図11に示すように、木質系部材5’では、断面矩形の板状の六面体である木質系材料50’の六面全面に前述の繊維強化プラスチック成形品1が凹凸面1aが外表面に露出するように接着されている。但し、露出する面積の少ない木質系部材5’の小口面や小端面は、特に凹凸面1aが形成されていなくても構わない。外部から見える面積が小さく、外観に占める影響が小さいからである。
この木質系材料50’は、前述の木質系部材5と同様に、木材を大小のカケラに分解し、このカケラを接着剤を用いて面材につくり直した材料のことを指している。但し、木質系材料50’は、前述の炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい比重が1.5以下となる材質から構成しても構わない。
木質系部材5’によれば、前述の木質系部材5と同様に、繊維強化プラスチック成形品1で補強できるため、パーティクルボードのような安価で強度が弱い木質系材料などの低比重材料を使用した場合でも、強度が高く耐久性の高いものとすることができる。つまり、木質系部材5’によれば、曲げ応力が作用した際の中立軸から遠い木質系部材5’の外縁に、強度の高い繊維強化プラスチック成形品1が配置されることとなり、断面性能が格段に向上し、安価な低比重部材を使用しても耐久性の高い部材とすることができる。
しかも、木質系部材5’では、繊維強化プラスチック成型品1をプリプレグ状態で木質材料50’の表面に積層接着した後、真空ポンプで吸引しつつ加熱して樹脂を硬化させることで、繊維強化プラスチック成型品1の成形と木質材料50’との一体化を同時に行うことができる。このため、木質系部材5’を短時間で製造することが可能となり、製造コストも低減することができる。
しかも、木質系部材5’では、外部から視認できる外表面にヤーンの疎密差に起因する凹凸面1aが現れるように繊維強化プラスチック成形品1が接着されている。このため、木質系部材5’によれば、凹凸面1aに形成された市松模様などの任意の模様を見せることができ、前述のように表面処理や別材接着の手間やコストを省いて木質系部材5’の意匠性を向上させることができる。
<低比重部材:軸材に適用した場合>
次に、図12を用いて、前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが裏面となるように接着された低比重部材である木質系部材6について説明する。図12は、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが裏面側となるように接着された木質系部材6を模式的に示す模式断面図である。本実施形態では、木質系部材6は、梁や桁などの木軸材を想定している。
本実施形態に係る木質系部材6は、図12に示すように、前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが裏面となり、木質系部材6側となるように接着されている。即ち、この木質系部材6には、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが背着されえいる。このため、木質系部材6と繊維強化プラスチック成形品1との接着性が向上し、強固に一体化させることができる。
つまり、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aには、前述のように、凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上確保されているとともに、繊維方向が直交するように交差して凹凸の溝の方向が垂直に交わることとなる。このため、接着材が、この凹凸に入り込んで喰い込むとともに、凹凸の溝が引掛り接着材層との界面でずれるおそれが無く、木質系部材6と繊維強化プラスチック成形品1との接着性が向上する。
また、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが接着された木質系部材6によれば、引張力を受ける部分に、極めて引張強度の高い炭素繊維で補強することができ、大きなスパンを飛ばして架設することができるだけでなく、重量増加を抑えることができる。その上、木質系部材6によれば、繊維強化プラスチック成形品1が接着されていても、従来通り丸鋸等で切断加工ができ、施工性が極めて高いものとすることができる。
<木質系建築物:構造材同士の接合部に適用した場合>
次に、図13を用いて、構造材同士の接合部において前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが裏面となるように構造材同士に跨って接着された木質系建築物10について説明する。図13は、土台11と柱12との接合部に繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが両者に跨って接着されている木質系建築物10を示す概略斜視図である。
木質系建築物10としては、木軸材を主要構造材としてフレーム状に組み立てられた在来構法である木造軸組構法により建造された木造の建築物を例示して説明する。勿論、本発明に係る木質系建築物は、木造軸組構法により建造された建築物に限られず、木質パネル工法で建造された建築物や木軸材を金物を介して組み立てた建築物を含む概念である。
図13に示すように、木質系建築物10は、木軸材からなる土台11の上に、木軸材からなる柱12が立設され、これらの主要構造材の接合部に前述の繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが構造材側となるように接着されている。
このため、繊維強化プラスチック成形品1と木質系部材でもある構造材との接着性が向上され、繊維強化プラスチック成形品1により重量増加を抑えつつ構造材同士を強固に接合することでき、自重に比例して入力される地震などの水平力に対して効果的に対抗することができる。
また、繊維強化プラスチック成形品1が接着された木質系建築物10によれば、繊維強化プラスチック成形品1が腐食するおそれがない。このため、鎹(かすがい)などの金物で主要構造材同士を接合する場合と比べて格段に建築物の耐久性が向上する。その上、繊維強化プラスチック成形品1が接着された木質系建築物10によれば、金物を使用しない「ほぞ」と「ほぞ穴」により接合する場合と比べて、構造材の加工手間を各段に低減することができる。
なお、本発明を土台11と柱12との接合部に適用する場合を例示して説明したが、本発明は、柱と梁、柱と胴差や桁などの他の主要構造材同士の接合部にも適用できることは云うまでもない。また、木質系建築物10の増改築だけでなく、木質系建築物10の新築時にも適用することができる。但し、増改築の際は、間仕切りや設計変更を伴う場合が多く、繊維強化プラスチック成形品1で補強することにより、既存の構造材を利用して増改築を行うことができるため、特に好適に適用することができる。
以上、本発明の実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1、繊維強化プラスチック成形品1の平滑面1bが接着された木質系部材5、木質系材料が繊維強化プラスチック成形品1で包み込むように覆われた木質系部材5’、繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが接着された木質系部材6、及び構造材の接合部に繊維強化プラスチック成形品1の凹凸面1aが接着された木質系建築物10について詳細に説明した。しかし、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、例示した実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
1:(炭素)繊維強化プラスチック成形品
1a:凹凸面
1b:平滑面
2:ヤーン
3,3’:プリプレグ
4:積層体
5,5’:木質系部材(低比重部材:平滑面接着)
50’:木質系材料(低比重材料)
6:木質系部材(低比重部材:凹凸面接着)
10:木質系部材(低比重部材:木質系材料)
11:土台(主要構造材:構造材)
12:柱(主要構造材:構造材)
K1:金型
S1:シート
P:真空ポンプ
第1発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、連続繊維補強材を補強繊維として、前記補強繊維の周りに樹脂を含侵させてプリプレグを形成し、そのプリプレグを硬化させて成形した繊維強化プラスチック成形品であって、前記補強繊維の一方向ヤーンに樹脂が含侵されて一方向プリプレグが形成され、未硬化の前記一方向プレプリグ内の前記補強繊維は疎密差が設けられており、オートクレーブ成形又はオーブン成形により成形品の片面を金型で押圧せずに、前記疎密差に起因する凹凸がそのまま硬化されて、前記補強繊維自体で前記凹凸に起因した模様が形成されていることを特徴とする。
第2発明に係る繊維強化プラスチック成形品は、第1発明において、一方向プリプレグが形成された後、前記補強繊維の繊維方向が交差するように一方向プリプレグが編み込まれて片面に前記凹凸が形成されていることを特徴とする。
第5発明に係る低比重部材は、炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる低比重部材であって、前記凹凸が形成された片面が表面に露出するように請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていることを特徴とする。
第7発明に係る低比重部材は、炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる低比重部材であって、前記凹凸が形成された片面が裏面の前記低比重部材側となるように請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形品が接着されていることを特徴とする。
また、第5発明によれば、繊維強化プラスチック成形品で補強した低比重部材の表面に、強繊維の疎密差に起因する凹凸を露出して見せることができる。このため、低比重部材を繊維強化プラスチック成形品で補強できるだけでなく、プラズマ処理などの高価な表面処理の手間やコスト、及び模様等がプリントされたシート材を繊維強化プラスチック成形品の上に接着する手間やコストを低減することができる。また、一般には、接着性が悪く、繊維強化プラスチック成形品とプリントされたシート材が剥離するおそれを完全に払拭することができ、耐久性が格段に向上する。
特に、第6発明によれば、前記作用効果に加え、強度の高い繊維強化プラスチック成形品で全ての外面が覆われる形となるので、断面性能が向上し、安価な低比重部材を使用しても耐久性の高い部材とすることができる。しかも、第6発明によれば、外部から視認できる表面に補強繊維の疎密差に起因する凹凸を露出して市松模様などの任意の模様を見せることができ、前述のように表面処理や別材接着の手間やコストを省いて意匠性を向上させることができる。
本実施形態に係る繊維強化プラスチック成形品1は、炭素繊維を補強繊維として、その周りに熱硬化性樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させて硬化させた炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber-Reinforced Plastics)成型品である。この繊維強化プラスチック成形品1は、図1,図2に示すように、所定厚さ(例えば、900mm〜1800mm)の矩形板状に成形されているとともに、炭素繊維の束である後述の一方向ヤーン2を配列して形成した一方向プリプリグ3内の補強繊維の疎密差に起因する凹凸が形成され、その凹凸が市松模様となっている。
図3に示すように、この繊維強化プラスチック成形品1は、先ず、直径5μm〜7μm程度の炭素繊維の素線を数万本程度(一般的には、12000本〜24000本)一方向に束ねたヤーン2を複数本(図示形態では4本)配列し、熱硬化性樹脂等の樹脂を含侵させて一体化し未硬化の一方向プリプレグ3を形成する。このとき、炭素繊維の間隔を密にしたり離したりすることにより、プリプレグ3の表面に炭素繊維の疎密差に起因する凹凸を形成する。
しかし、従来の繊維強化プラスチック成形品は、特許文献3や特許文献4に記載されているように、炭素繊維の素線を織り込んで織物を形成し、その織物に熱硬化性樹脂からなる樹脂フィルムを貼着し、プリプレグを形成していた。このため、このプリプレグからオーブン成形(真空バッグ成形ともいう。以下同じ)により繊維強化プラスチック成形品を成形しても、金型K1側でない片面には、補強繊維の疎密差に配慮されていないため、不均一な凹凸しか形成されず、後述の低比重部材(木質系部材;木質系材料)との接着性や意匠性を向上させるための凹凸としては不十分であった。
これらの事実を踏まえると、本発明に係る繊維強化プラスチック成形品では、補強繊維の疎密差に起因する凹凸がそのまま形成され、凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上となっている。このため、本発明に係る繊維強化プラスチック成形品の凹凸は、後述の低比重部材との接着性や意匠性を向上させるための凹凸として充分であると考えられる。これに対して、従来の繊維強化プラスチック成形品は、ヤーンを配列して形成した一方向プレプリグ内の補強繊維の疎密差に配慮されていないため、炭素繊維(補強繊維)の素線の太さに起因する程度の凹凸(素線の直径5μm〜7μmの数倍程度が限度)が形成されているに過ぎず、凹凸の最大高さ(最大山高さ、最大谷深さも同じ)としては不十分であった。なお、最大高さRzの上限値は、特に限定されないが、一般には、0.5mm以下と考えられる。

Claims (8)

  1. 連続繊維補強材を補強繊維として、前記補強繊維の周りに樹脂を含侵させてプリプレグを形成し、そのプリプレグを硬化させて成形した繊維強化プラスチック成形品であって、
    前記補強繊維のヤーンに疎密差を設けて配列され、樹脂が含侵されて前記プリプレグが形成され、オートクレーブ成形又はオーブン成形により成形品の片面を金型で押圧せずに、前記補強繊維のヤーンの疎密差に起因する凹凸がそのまま形成されていること
    を特徴とする繊維強化プラスチック成形品。
  2. 前記補強繊維のヤーンに疎密差を設けて配列され、樹脂が含侵されて前記プリプレグが形成され、当該プリプレグの状態で、前記補強繊維の繊維方向が交差するように編み込んで片面に凹凸が形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  3. 前記凹凸の最大高さRzが、0.05mm以上となっていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形品。
  4. 前記補強繊維は、炭素繊維であること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形品。
  5. 炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる木質系部材などの低比重部材であって、
    前記凹凸が形成された片面が表面に露出するように請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていること
    を特徴とする低比重部材。
  6. 前記繊維強化プラスチック成形品が全ての外面を覆う形で接着されていること
    を特徴とする請求項5に記載の低比重部材。
  7. 炭素繊維強化プラスチックより比重が小さい材質からなる木質系部材などの低比重部材であって、
    前記凹凸が形成された片面が裏面の前記低比重部材側となるように請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていること
    を特徴とする低比重部材。
  8. 木質系部材からなる複数の構造材が接合された木質系建築物であって、
    前記構造材同士の接合部において、前記凹凸が形成された片面が裏面の前記木質系部材側となるように前記構造材同士に跨って請求項1ないし4のいずれかの繊維強化プラスチック成形品が接着されていること
    を特徴とする木質系建築物。
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