JP2013023184A - 輸送機器用外板パネル及び輸送機器用外板パネルの製造方法 - Google Patents

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誠 都築
Ryuta Kamiya
隆太 神谷
Masahiko Yasue
雅彦 安江
Ryohei Tsuji
良平 辻
Fujio Hori
藤夫 堀
Kitaru Iwata
来 岩田
Mari Kawahara
真梨 河原
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Abstract

【課題】意匠性に優れ、製造工程におけるプリフォームの賦形も容易でしかも低コストの輸送機器用外板パネルを提供する。
【解決手段】アウターパネル12は、強化繊維織物から成る表側層17と、強化繊維織物から成る裏側層18との間に不織布19が配置された状態で、表側層17、不織布19及び裏側層18がマトリックス樹脂と複合化されている。少なくとも表側層17を構成する強化繊維織物として炭素繊維織物が用いられている。表側層17及び裏側層18の表面が滑らかな面に形成されている。滑らかな面とは、JIS B 0601:2001の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである。
【選択図】図2

Description

本発明は、輸送機器用外板パネル及び輸送機器用外板パネルの製造方法に係り、詳しくは繊維強化樹脂(以下、FRPとも言う。)で構成された輸送機器用外板パネル及び輸送機器用外板パネルの製造方法に関する。
軽量、高強度の材料として繊維強化樹脂が使用されている。繊維強化樹脂は、強化繊維がマトリックス樹脂中に複合化されることにより、マトリックス自体に比べて力学的特性(機械的特性)が向上するため、構造部品として好ましい。そして、特に高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化樹脂が用いられ、強化繊維としては炭素繊維が、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、なかでもエポキシ樹脂が多く用いられている。
近年、軽量化を目的として、繊維強化樹脂製の自動車用パネルが開発されつつあり、中でも、強度や剛性向上の面から、特に炭素繊維強化樹脂製の自動車用パネルの検討が進められている。例えば、フードパネルのアウターパネル全体を炭素繊維強化樹脂で形成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ボンネットのパネル材(アウターパネル)を、芯材とその両面に設けられたFRPスキン層とを含むサンドイッチ構造とし、芯材に発泡材を用いたものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−7012号公報 特開2002−284038号公報
ところが、特許文献1のようにフードのアウターパネル全体に炭素繊維織物を積層してマトリックス樹脂と複合化させた構成を採用すると、コストが高くなる。
また、特許文献2のように、芯材とその両面に設けられたFRPスキン層とを含むサンドイッチ構造のアウターパネルを製造する場合、成形型の上に、芯材を挟んだ状態でFRPスキン層を載置し、さらに、ポリテトラフロロエチレンシートやシリコーンシート等の離型材を介してバッグフィルムで覆う。そして、周囲がシールされ、真空吸引されうる状態で、バッグフィルム内に、樹脂を注入して成形する。その結果、得られた製品は、成形型に面した側の表面は滑らかになるが、バッグフィルムに面した側の表面は、滑らかに成形されず意匠性が悪くなる。製品の表面にはクリア塗装を行うが、表面が滑らかでない状態でクリア塗装を行うと、表面の凹凸が目視で目立つようになり製品として不合格になるため、表面を研磨してクリア塗装を行う必要がある。しかし、研磨前の表面が滑らかでないと、研磨の工数が大きくなってコスト高になる。
また、芯材となる発泡材を強化繊維のシートあるいは織物で挟んだ状態で成形型のキャビティ内に配置し、RTM法で樹脂の含浸硬化を行って製品を得る場合は、発泡材が挟まれた状態の繊維強化基材を所望の形状に賦形するのが難しいという問題もある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、意匠性に優れ、製造工程におけるプリフォームの賦形も容易でしかも低コストの輸送機器用外板パネル及びその製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、強化繊維織物から成る表側層と、強化繊維織物から成る裏側層との間に不織布が配置された状態で、前記表側層、前記不織布及び前記裏側層がマトリックス樹脂と複合化され、かつ少なくとも前記表側層を構成する強化繊維織物として炭素繊維織物が用いられ、前記表側層及び裏側層の表面が滑らかな面に形成されている。ここで、「表側層」とは、製品の表面側になる層を意味する。
この発明では、強化繊維織物に不織布が挟まれた状態の強化繊維基材がマトリックス樹脂と複合化されているため、強化繊維基材が強化繊維織物だけで構成された場合に比べて、製造時の樹脂含浸工程で樹脂が強化繊維基材に含浸し易く、強化繊維織物に発泡材が挟まれた場合に比べて、強化繊維基材を所望の形状に賦形し易い。また、表側層及び裏側層を構成する強化繊維織物を構成する繊維束として扁平な繊維束を使用することにより織物が薄くなって、表面を滑らかな面に形成し易く、表側層に炭素繊維織物が配置されているため、表側層から不織布が透けて見えず、意匠性が良くなる。したがって、意匠性に優れ、製造工程におけるプリフォームの賦形も容易でしかも低コストの輸送機器用外板パネルを提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記滑らかな面とは、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである。製造された輸送機器用外板パネルの表面粗さがこの範囲にあれば、製品の表面研磨を省略したり、研磨工数を小さくしたりすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記裏側層を構成する強化繊維織物としても炭素繊維織物が用いられている。この発明では、裏側層からも不織布が透けて見えず、意匠性がさらに良くなる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記表側層及び前記裏側層は、前記不織布の端部を囲繞する状態に形成されている。不織布が単に強化繊維織物で挟まれた状態で強化繊維基材に樹脂が含浸硬化された構成、即ち不織布の端部が露出した構成では、その部分から亀裂が入る虞がある。しかし、この発明では、不織布の端部が強化繊維織物で囲繞されているため、そのような虞がない。
請求項5に記載の発明は、輸送機器用外板パネルの製造方法であって、成形型のキャビティ内に、強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布が配置された状態で、かつ少なくとも製品の輸送機器用外板パネルの表側となる強化繊維織物として炭素繊維織物を用いて構成された強化繊維基材を配置し、RTM法により前記強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸硬化させる。この発明では、成形型としてキャビティ面が滑らかに形成されたものを使用することにより、表側層及び裏側層の表面が滑らかな面に形成された輸送機器用外板パネルを容易に製造することができる。また、強化繊維基材は強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布が配置された構成のため、所望の形状に容易に賦形することができ、しかも、不織布はマトリックス樹脂が含浸し易い。そのため、車両のフードのアウターパネル等の輸送機器用外板パネルに用いる広い面積でしかも厚さの薄い強化繊維基材にRTM法により樹脂を含浸させる際、フローメディアを用いずに樹脂を強化繊維基材全体に円滑に含浸させることができる。
本発明によれば、意匠性に優れ、製造工程におけるプリフォームの賦形も容易でしかも低コストの輸送機器用外板パネルを提供することができる。
フードの概略分解斜視図。 (a)はフードの模式断面図、(b)は部分模式断面図。 別の実施形態の部分模式断面図。 (a),(b)はそれぞれ別の実施形態の部分模式断面図。
以下、本発明を自動車のフードに具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、フード11は、繊維強化樹脂製のアウターパネル12と、アウターパネル12の内側に配置されるインナーパネル13とから構成されている。アウターパネル12が、本発明の輸送機器用外板パネルとなる。インナーパネル13は、アウターパネル12を補強する役割を果たし、フード11に必要な剛性を担う。アウターパネル12はその周縁部においてインナーパネル13に固定され、インナーパネル13を介して自動車の車体に取り付けられるようになっている。インナーパネル13は中央部に車体前後方向に延びる複数の凸状のビード14が形成され、後部に車体に取り付けるヒンジ取付け部15が複数設けられている。また、インナーパネル13の前部には、フード11の開閉時の係止動作のためのストライカー(図示せず)が設けられている。
図2(a)に示すように、アウターパネル12は湾曲形状に形成され、図2(b)に示すように、その周縁部においてインナーパネル13に締結具16により固定される。アウターパネル12がインナーパネル13に固定された状態において、アウターパネル12の内側面にインナーパネル13のビード14が接合している。ビード14の頂部とアウターパネル12との間に接着剤(図示せず)が介在してもよい。
図2(b)に示すように、アウターパネル12は、強化繊維織物から成る表側層17と、強化繊維織物から成る裏側層18との間に不織布19が配置された状態で表側層17、不織布19及び裏側層18がマトリックス樹脂(図示せず)と複合化されている。マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂が使用され、この実施形態ではエポキシ樹脂が使用されている。そして、表側層17及び裏側層18を構成する強化繊維織物として炭素繊維織物が用いられている。表側層17及び裏側層18の強化繊維織物は、一層ではなく、複数積層されてそれぞれ擬似等方性となるように構成されている。表側層17及び裏側層18は不織布19を挟んで対称に形成されている。
この強化繊維織物として、平織物や綾織物のように互いに交差するように配列された糸条の配列ピッチが同じものが使用されている。炭素繊維織物を構成する炭素繊維束は、細い繊維が数百〜数万本束ねられて1本の繊維束を構成しており、要求性能に適した繊維の本数の繊維束が選択される。そして、炭素繊維織物は、目付けが50g/m以上であり、好ましくは50g/m以上450g/m以下の範囲となる。
アウターパネル12に要求される機械的性能としては面剛性が挙げられ、引っ張り強度や圧縮強度は特別必要ではない。アウターパネル12の厚さは、例えば、1〜2.5mm程度であり、表側層17、不織布19、裏側層18の厚さの比は、表側層17:不織布19:裏側層18=1:0.5〜2:1程度であり、好ましくは1:1〜2:1である。したがって、表側層17及び裏側層18を構成する炭素繊維織物の厚さは1mm未満であるが、必要な面剛性を確保するには充分な厚さとなる。
表側層17及び裏側層18は表面が滑らかな面に形成されている。ここで、滑らかな面とは、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmであることを意味する。製造された輸送機器用外板パネルの表面粗さがこの範囲にあれば、製品の表面研磨を省略したり、研磨工数を小さくしたりすることができる。
炭素繊維織物を構成する繊維束は開繊された状態で織物を構成している。「開繊された状態」とは、繊維束を構成する繊維間隔が拡げられて繊維束が扁平な状態になることを意味する。表側層17及び裏側層18の表面は、炭素繊維織物を構成する繊維束の表面状態を反映し、太くて真円に近い繊維束で構成された織物では、表面の凹凸が大きくなる。そのため、樹脂含浸硬化工程において、樹脂含浸時に織物表面の凹部が樹脂リッチ部分となり、樹脂硬化の際に樹脂リッチ部分が収縮して凹み、その結果、表側層17及び裏側層18の表面の凹凸が目視で目立つようになり、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲外になり易い。しかし、繊維束が開繊されて扁平な状態で織物を構成している場合は、表側層17及び裏側層18の表面の凹凸が大きくなり難く、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmの範囲になり易い。
不織布19としては、炭素繊維やガラス繊維等の非溶融性繊維に低融点繊維が混合されて形成されたものが使用されている。
表側層17、不織布19及び裏側層18は、同じ大きさに形成されているのではなく、少なくとも表側層17及び裏側層18の一方が不織布19より大きく形成されている。そして、アウターパネル12は、表側層17及び裏側層18の少なくとも一方が不織布19の端部を囲繞する状態に形成されている。この実施形態では、図2(b)に示すように、表側層17の炭素繊維織物が不織布19の端面を覆う状態に形成されている。そして、不織布19の端部より外側に位置する表側層17及び裏側層18の部分に、アウターパネル12をインナーパネル13に固定する締結具16の挿入孔20が形成されている。
次に前記のように構成されたアウターパネル12の製造方法を説明する。
先ず、プリフォーム製造工程において、賦形型内に裏側層18となる所定枚数の炭素繊維織物と、不織布19と、表側層17となる所定枚数の炭素繊維織物とが積層配置され、賦形型により加圧・加熱されて目的の形状に賦形されてプリフォームが形成される。不織布19は、積層された炭素繊維織物に比べて変形し易いため、不織布19を省略して炭素繊維織物のみを必要な厚さに積層したものを賦形する場合に比べて所望の形状に容易に賦形することができる。なお、炭素繊維織物にはバインダーが付着されている。賦形の際の加熱温度は、バインダー及び不織布19に混合された低融点繊維が溶融する温度に設定され、加熱によりバインダー及び低融点繊維が溶融することで、所望の形状に賦形された表側層17、不織布19及び裏側層18が接着されてプリフォームが得られる。
不織布19の表面には不織布19に混合された低融点繊維の一部が露出した状態で存在するため、賦形の際に溶融した低融点繊維が不織布19と表側層17及び裏側層18とを接着する。そのため、賦形されたプリフォームをRTM装置の成形型のキャビティ内に配置するまでのハンドリングの際に、表側層17、不織布19、裏側層18のずれが発生することが防止される。
次にRTM装置の成形型のキャビティ内に、プリフォームを配置した後、成形型を閉じて、マトリックス樹脂となる液状の熱硬化性樹脂がプリフォームに含浸硬化されてアウターパネル12が形成される。この実施形態では熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が使用される。
車両のフード11のアウターパネル12のように、広い面積でしかも厚さの薄い繊維強化複合材料の強化繊維基材にRTM法により樹脂を含浸させる際、強化繊維基材が強化繊維織物のみを積層して形成された構成の場合、樹脂の含浸が円滑に行われずにボイドが発生し易くなる。そのため、フローメディアと称されるネットを使用して樹脂流れを確保する方策が行われる場合がある。しかし、フローメディアは強化繊維織物の間に配置されるため、フローメディアの厚みがそのまま成形品の厚み増となってしまう。また、フローメディアの凹凸が成形品の表面に反映され、本願発明で目的とする滑らかな表面の成形品である輸送機器用外板パネル(アウターパネル12)を得ることができない。
一方、この実施形態(本願発明)では、強化繊維基材であるプリフォームは、表側層17(強化繊維織物)と裏側層18(強化繊維織物)との間に不織布19が配置された構成である。そして、不織布19は強化繊維織物に比べて樹脂が含浸し易く、フローメディアを用いなくても、厚さが薄くて広い面積の強化繊維基材全体に樹脂が円滑に含浸される。また、プリフォームをキャビティ内に配置する際に、プリフォームの表面、即ち表側層17あるいは裏側層18の表面に皺が生じても、不織布19が表側層17と裏側層18との間に存在することにより、成形型が閉じた状態で表側層17及び裏側層18の表面が成形型の内面に沿うように変形し易くなる。その結果、表側層17及び裏側層18の表面は、成形型の内面と同様の滑らかさに形成される。
<実施例>
目付けが300g/mで、厚さ0.75mmの炭素繊維織物と、厚さ0.7mmの不織布を使用してプリフォームを形成した。そのプリフォームに対してRTM法でマトリックス樹脂となる未硬化のエポキシ樹脂を含浸、硬化させて繊維強化複合材料を形成し、表面粗さ測定用の実施例試料を得た。また、同様に形成したプリフォームに対してVaRTM法でマトリックス樹脂となる未硬化のエポキシ樹脂を含浸、硬化させて繊維強化複合材料を形成し、表面粗さ測定用の比較例試料を得た。なお、VaRTM法では、プリフォームは一方の面が型と対向し、他方の面がバッグフィルムと対向する状態で樹脂の含浸、硬化が行われる。
得られた試料について、JIS B 0601:2001 により粗さの測定を9点測定で行った。そして、算術平均粗さRaを求めた。その結果、実施例試料の表側層の算術平均粗さRaは0.28μmで、裏側層の算術平均粗さRaは0.31μmであった。一方、比較例試料の型と対向する側の面の算術平均粗さRaは0.15μmで、型の無い側(バッグフィルム側)と対向する側の面の算術平均粗さRaは3.4μmであった。また、比較例試料の型の無い側と対向する側の面の最大高さRzは17.1μmであった。
即ち、同じプリフォームを用いて繊維強化複合材料を形成しても、バッグフィルムを使用するVaRTM法で製造した場合は、バッグフィルムと対向する側の面の算術平均粗さRaが、型と対向する面の算術平均粗さRaに比べて一桁悪かった。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)アウターパネル12は、強化繊維織物から成る表側層17と、強化繊維織物から成る裏側層18との間に不織布19が配置された状態で表側層17、不織布19及び裏側層18がマトリックス樹脂と複合化され、かつ少なくとも表側層17を構成する強化繊維織物として炭素繊維織物が用いられている。そして、表側層17及び裏側層18の表面が滑らかな面に形成されている。したがって、意匠性に優れ、製造工程におけるプリフォームの賦形も容易でしかも低コストのアウターパネル12を提供することができる。
(2)滑らかな面とは、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである。製造されたアウターパネル12の表面粗さがこの範囲にあれば、製品の表面研磨を省略したり、研磨工数を小さくしたりすることができる。
(3)裏側層18を構成する強化繊維織物としても炭素繊維織物が用いられている。したがって、裏側層18からも不織布19が透けて見えず、意匠性がさらに良くなる。
(4)表側層17及び裏側層18は、不織布19の端部を囲繞する状態に形成されている。不織布19が単に強化繊維織物で挟まれた状態、例えば、不織布19の両面に不織布19と同じ大きさの強化繊維織物が配置された状態で強化繊維基材に樹脂が含浸硬化された構成では、不織布19の端部が露出した状態になり、その部分から亀裂が入る虞がある。しかし、不織布19の端部が強化繊維織物で囲繞されているため、そのような虞がない。
(5)表側層17及び裏側層18は不織布19に対して対称に形成されている。したがって、プリフォームに樹脂が含浸、硬化されてアウターパネル12が形成された状態で、反りや捩れが生じ難い。
(6)アウターパネル12は、成形型のキャビティ内に、強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布19が配置された状態で、かつ少なくとも製品のアウターパネル12の表側層17となる強化繊維織物として炭素繊維織物を用いて強化繊維基材を配置し、RTM法により前記強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸硬化させることで製造される。したがって、成形型としてキャビティ面が滑らかに形成されたものを使用することにより、表側層17及び裏側層18の表面が滑らかな面に形成されたアウターパネル12を容易に製造することができる。
(7)RTM法で熱硬化性樹脂を含浸、硬化させるプリフォームは、強化繊維基材が強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布が配置された構成である。そのため、全てが強化繊維織物で構成された強化繊維基材や、強化繊維織物と強化繊維織物との間に発泡材が芯材として配置されて構成された強化繊維基材を賦形する場合に比べて、強化繊維基材を所望の形状に容易に賦形することができる。
(8)RTM法で熱硬化性樹脂をプリフォームに含浸、硬化させる際、プリフォームは、表側層17(強化繊維織物)と裏側層18(強化繊維織物)との間に不織布19が配置された構成であるため、プリフォームが強化繊維織物だけで構成された場合と異なり、フローメディアを用いなくても、樹脂の含浸が短時間で円滑に行われ、生産性が高くなる。また、不織布19の密度や不織布19の材質により樹脂の含浸特性を調整することができる。
(9)不織布19には低融点繊維が混合されており、表側層17、不織布19及び裏側層18は賦形型でプリフォームに賦形された後、RTM装置の成形型のキャビティ内に配置される。したがって、プリフォームの状態では、表側層17及び裏側層18は不織布19に低融点繊維を介して接着された状態にあり、賦形されたプリフォームをRTM装置の成形型のキャビティ内に配置するまでのハンドリングの際に、表側層17、不織布19、裏側層18間におけるずれの発生が防止される。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 表側層17及び裏側層18が不織布19の端部を囲繞する構成は前記実施形態の構成に限らない。例えば、図3に示すように、裏側層18及び不織布19を同じ大きさに形成し、表側層17が不織布19の端面を覆い、かつ裏側層18の端部と重なるように折り曲げ形成された構成にしてもよい。
○ アウターパネル12は、表側層17及び裏側層18が不織布19の端部を囲繞する構成ではなく、不織布19が単に強化繊維織物で挟まれた状態、例えば、不織布19の両面に不織布19と同じ大きさの表側層17及び裏側層18が配置された状態で樹脂が含浸、硬化された構成でもよい。この場合、露出状態の不織布19の端面(端部)から亀裂が発生するのを防止するため、不織布19の端面を樹脂で被覆するなどの亀裂防止処理を施すこと好ましい。
○ 輸送機器用外板パネルは車両(自動車)のフード11のアウターパネル12に限らない。例えば、車両のドアパネル、ルーフパネル、フロアパネル等に適用してもよい。また、自動車以外の輸送機器である鉄道車両、船舶あるいは航空機の外板パネルに適用してもよい。いずれの場合も、表面が滑らかで見栄えの良い外板パネルが得られる。
○ 輸送機器用外板パネルは、製品を輸送機器に取り付けるためのブラケット等の部品をインサート成形してもよい。例えば、図4(a)に示すように、L字状のブラケット21の一部を不織布19の端部に挿入した状態で、樹脂含浸工程において樹脂の含浸、硬化を行うことにより、ブラケット21がインサート成形される。ブラケット21のインサート部に孔21aを形成しておけば、樹脂が孔21aを貫通する状態で硬化され、ブラケット21が輸送機器用外板パネルに対して強固に固定される。なお、ブラケット21の形状はL字状に限らない。
○ 図4(b)に示すように、ブラケット21を表側層17と裏側層18とに挟持された状態で輸送機器用外板パネルにインサート成形してもよい。
○ アウターパネル12の裏側層18を構成する強化繊維織物として、炭素繊維織物以外の強化繊維織物、例えば、ガラス繊維織物を用いてもよい。この構成では、ガラス繊維織物が炭素繊維織物に比べて安価なため、コスト低減となる。
○ 表側層17及び裏側層18は、不織布19に対して対称に形成されていなくてもよい。
○ 不織布19を挟んで位置する表側層17及び裏側層18をそれぞれ複数の強化繊維織物を積層して擬似等方性とする構成に限らない。例えば、繊維束が0度方向と、±60度方向とに配列された3軸織物を使用したり、繊維束が0度方向と、±45度方向と90度方向とに配列された4軸織物を使用したりしてもよい。これらの場合、1枚の強化繊維織物で擬似等方性が得られるため、プリフォーム製造工程において、強化繊維織物を積層する作業が簡単になる。
○ 表側層17及び裏側層18を構成する強化繊維織物は全体として擬似等方性でなくてもよい。
○ 強化繊維織物として、平織物や綾織物のように互いに交差するように配列された糸条の配列ピッチが同じものではなく、すだれ織物のように経糸の配列ピッチに比べて緯糸の配列ピッチが極端に大きな織物を使用してもよい。緯糸は経糸に比べて細い糸条が使用されるのが好ましい。強化繊維織物として用いられるすだれ織物の緯糸は、すだれ織物が繊維強化複合材料の強化材を構成する状態で強化繊維の機能をほとんど果たさず、経糸が強化繊維の機能を果たし、すだれ織物は一方向材として機能する。
○ プリフォーム時に表側層17及び裏側層18と不織布19との接着性を確保する構成は、不織布19に低融点繊維を混合する代わりに、プリフォームの製造時に、表側層17及び裏側層18と、不織布19との間に低融点繊維を配置して加圧加熱により低融点繊維を溶融させて、表側層17及び裏側層18と不織布19とを接着してもよい。この場合、少ない量の低融点繊維で表側層17及び裏側層18と不織布19との接着性を確保することができる。
○ 輸送機器用外板パネルを構成する繊維強化複合材料のマトリックス樹脂としエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂や不飽和ポリエステル樹脂等を使用してもよい。また、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を使用してもよく、熱可塑性樹脂としてはモノマーキャストナイロンや他のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
○ インナーパネル13は、アウターパネル12が面剛性以外の引っ張り強度や圧縮強度等の機械的強度に優れなくても良いように、アウターパネル12を補強する機能があればよく、その形状は特に限定されず、中央部に車体前後方向に延びる複数の凸状のビード14が形成されたものに限らない。例えば、複数の凸状のビードが車体の左右方向に延びるように形成された構成や、凹部が格子状に形成された構成としてもよい。なお、アウターパネル12が面剛性以外の引っ張り強度や圧縮強度等の機械的強度にも優れている場合は、インナーパネル13はビード14等を省略して、枠部分だけで構成されてもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)請求項5に記載の発明において、前記強化繊維基材は、強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布が配置された状態でプリフォームに賦形されており、前記不織布は前記賦形の際の加熱温度で溶融する低融点繊維が混合されている。
17…表側層、18…裏側層、19…不織布。

Claims (5)

  1. 強化繊維織物から成る表側層と、強化繊維織物から成る裏側層との間に不織布が配置された状態で、前記表側層、前記不織布及び前記裏側層がマトリックス樹脂と複合化され、かつ少なくとも前記表側層を構成する強化繊維織物として炭素繊維織物が用いられ、前記表側層及び裏側層の表面が滑らかな面に形成されていることを特徴とする輸送機器用外板パネル。
  2. 前記滑らかな面とは、JIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである請求項1に記載の輸送機器用外板パネル。
  3. 前記裏側層を構成する強化繊維織物としても炭素繊維織物が用いられている請求項1又は請求項2に記載の輸送機器用外板パネル。
  4. 前記表側層及び前記裏側層は、前記不織布の端部を囲繞する状態に形成されている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の輸送機器用外板パネル。
  5. 成形型のキャビティ内に、強化繊維織物と強化繊維織物との間に不織布が配置された状態で、かつ少なくとも製品の輸送機器用外板パネルの表側となる強化繊維織物として炭素繊維織物を用いて構成された強化繊維基材を配置し、RTM法により前記強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸硬化させることを特徴とする輸送機器用外板パネルの製造方法。
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