JP2006051813A - 強化繊維基材、繊維強化プラスチック部材および繊維強化プラスチック部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
軽量であり、強度や弾性率などの機械特性が優れ、なおかつ、平滑な表面を有する繊維強化プラスチック部材を提供する。また、軽量であり、強度や弾性率などの機械特性が優れ、なおかつ、平滑な表面を有する繊維強化プラスチック部材を容易に製造可能な強化繊維基材、および繊維強化プラスチックの製造方法を提供する。
【解決手段】
次の構成要素[A]、[B]、[C]を含み、構成要素[A]の少なくとも片面に構成要素[B]を介して、構成要素[C]が配設されていることを特徴とする繊維強化プラスチック部材。
[A]繊維強化プラスチック
[B]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率表面層
[C]引張弾性率が1000〜30000MPaである高弾性率表面層
【選択図】 なし
Description
(1) 次の構成要素[A]、[B]、[C]を含み、構成要素[A]の少なくとも片面に構成要素[B]を介して、構成要素[C]が配設されていることを特徴とする繊維強化プラスチック部材。
[B]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率表面層
[C]引張弾性率が1000〜30000MPaである高弾性率表面層
(2)構成要素[C]の引張弾性率に対する構成要素[B]の引張弾性率の比が0.000003〜0.01であることを特徴とする前記(1記載の繊維強化プラスチック部材。
[B1]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C1]強化繊維のマット
(15) 構成要素[B1]の目付が10〜500g/m2であることを特徴とする前記(14)記載の繊維強化基材。
(18) 次の構成要素[A2]、[B2]、[C2]を含み、構成要素[A2]の少なくとも片面に構成要素[B2]を介して、構成要素[C2]を配設し、構成要素[A2]を加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
[B2]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C2]熱硬化性樹脂フィルムおよび/または熱可塑性樹脂フィルム
[B]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率表面層
[C]引張弾性率が1000〜30000MPaである高弾性率表面層
構成要素[A]の表面に構成要素[C]のみを配設した繊維強化プラスチック部材では、高弾性率表面層により、表面の凹凸が低減される。しかし、マトリックス樹脂の収縮により生じる応力は大きく、この応力によりへこみが生じないためには、構成要素[C]を相当に厚くする必要があった。しかしながら、構成要素[C]をへこみが目立たないほどに厚くすることは、表面層の重量増加、ひいては繊維強化プラスチック部材の重量増加が避けられず、軽量であるという繊維強化プラスチック部材の特徴が損なわれる。
また、引張弾性率が測定困難なサンプルの場合、硬度で代用することもできる。この場合、JIS K 6253に準拠して測定した、ショアA硬度が、1〜100の範囲内であることが好ましく、1〜80の範囲内であればより好ましく、1〜50の範囲内であればさらに好ましい。
なお、ここでのエラストマーの融点は、DSC(Differntial Scanning Calorimetry)により求める。昇温速度10℃/minで測定し、得られたDSC曲線における融解ピークのピーク点での温度を融点とする。
[B2]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C2]熱硬化性樹脂組成物フィルムおよび/または熱可塑性樹脂フィルム
プリプレグを用いる場合、例えば、次のような手順で製造することができる。まず、意匠面側に構成要素[C2]として熱硬化性樹脂組成物フィルムを配置し、次に、構成要素[B2]を配置し、その次に構成要素[A2]としてプリプレグの順で積層する。バグフィルムでバギングした後、オートクレーブを用いて、加熱、加圧しながら硬化させ、繊維強化プラスチック部材を製造する。このとき、熱硬化性樹脂組成物フィルムが硬化して構成要素[C]になり、プリプレグが硬化して構成要素[A]になる。また、構成要素[C2]としては、熱可塑性樹脂フィルムを用いても良い。この場合、予め所望の形状に賦形した熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。本発明で、熱硬化性樹脂組成物フィルムとは、熱硬化性樹脂組成物を含むフィルムであり、熱可塑性樹脂、無機粒子、強化繊維等を含んでいても良く、構成要素[A2]の加熱硬化時に、架橋が生じ硬化するものであれば良い。また、本発明で、熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂を主成分とする(50%以上含む)フィルムであり、熱硬化性樹脂、無機粒子、強化繊維等を含んでいても良い。
[B1]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C1]強化繊維のマット
RTM法を用いる場合、例えば、次のような手順で製造することができる。まず、型内の意匠面側に[C1]である強化繊維のマットを配置し、次に、構成要素[B1]、[A1]である強化繊維の織物および/または編み物を配置する。型を閉じ、液状の熱硬化性樹脂組成物を[A1]および[C1]に含浸させた後、硬化させ、繊維強化プラスチック部材を製造する。このとき、[C1]に含浸させた液状の熱硬化性樹脂組成物が硬化して構成要素[C]になり、[A1]に含浸させた液状の熱硬化性樹脂組成物が硬化して構成要素[A]になる。
本発明の構成要素[A1]である強化繊維の織物には、炭素繊維織物であるCO6343B(品番、“トレカ(登録商標)”T300−3K使用、炭素繊維目付け:198g/m2、東レ(株)製)を用いた。
本発明のRTM用樹脂組成物としては、“エピコート(登録商標)”828(ジャパンエポキシレジン社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)100wt%に、“キュアゾール(登録商標)”2E4MZ(品番、四国化成工業(株)製、2ーエチルー4ーメチルイミダゾール)3wt%を配合した、液状のエポキシ樹脂組成物を用いた。
本発明の構成要素[A2]であるプリプレグには、炭素繊維プリプレグであるP2053−12(品番、“トレカ(登録商標)”T800H使用、炭素繊維目付け:125g/m2、繊維重量含有率:70%、東レ(株)製)を用いた。
本発明の構成要素[B1]として、以下の3つのものを用いた。
(1)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)シートA
中高ニトリルグレードであるアクリロニトリルブタジエンゴム、INー120ー6(品番、入間川ゴム(株)製、引張弾性率:4MPa、ショアA硬度:60、ガラス転移温度:ー30℃、融点:なし)の、厚みが300μm、500μm、600μmの3種類を用いた。
(2)アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)シートB
中高ニトリルグレードであるアクリロニトリルブタジエンゴム(クレハエラストマー(株)製、引張弾性率:3MPa、ショアA硬度:40、ガラス転移温度:ー40℃、融点:なし)の、厚みが150μm、300μmの2種類を用いた。
(3)ポリウレタンエラストマー(PUE)シート
ポリウレタンエラストマー、DUS605−CER(品番、シーダム(株)製、引張弾性率:95MPa、ショアA硬度:96、ガラス転移温度:ー9℃、融点:164℃)の、厚みが300μmのものを用いた。
本発明の構成要素[C1]としては、炭素繊維マット、BO030(品番、30g/m2、東レ(株)製)を用いた。
本発明の構成要素[C1]としては、ガラス繊維マット、EPMー4025(品番、25g/m2、日本バイリーン(株)製)
7.熱硬化性樹脂組成物フィルム
本発明の構成要素[C2]として、AF126−2(品番、エポキシ樹脂系フィルム接着剤、目付:149g/m2、厚み:130μm、住友スリーエム社製)を用いた。
繊維体積含有率は、ASTM D 3171に準拠して求めた。
繊維強化プラスチック部材を長さ5cm、幅2cmのサイズにダイヤモンドカッターを用いてカットし、長さ方向の切断面を顕微鏡で50倍に拡大し、異なる5箇所の写真を撮影した。顕微鏡としては、光学顕微鏡を用いた。次に、撮影した5枚の写真のそれぞれについて、厚みが最小となる箇所での構成要素[B]の厚みを測定し、平均値を算出した。
構成要素[B]を長さ5cm、幅2cmのサイズにカッターを用いてカットし、ノギスを用いて長さ、幅を正確に計測し、面積を求めた。次に、天秤を用いてサンプルの重量を測定した。得られた面積、試験片の重量から[B]層の目付を算出した。
引張弾性率は、“インストロン(登録商標)”5565(インストロン社製)を用い、ASTM D 638−02に準拠して測定した。ただし、測定温度は23℃とし、測定スピードは10mm/minとした。また、歪み−応力曲線における歪みが0.1%から0.3%の間での傾きから引張弾性率を求めた。
ガラス転移温度は、粘弾性測定装置ARES(Rheometric Scientific社製)を用い、SACMA SRM 18R−94に準拠して測定した。ただし、測定はRectangular Torsionモードで行い、測定振動数は1Hzとし、昇温速度は5℃/minとした。得られた温度−貯蔵弾性率曲線において、ガラス領域での接線と、ガラス領域からゴム領域への転移領域での接線との交点を求め、この交点の温度をガラス転移温度とした。
融点は、DSC(Differntial Scanning Calorimetry)により求めた。測定装置には、Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用いた。昇温速度10℃/minで測定し、得られたDSC曲線における融解ピークのピーク点での温度を融点とした。
厚みは、構成要素[B]の厚みを測定したものと同じ試験片を用い、同様の方法で測定する。
構成要素[C]を長さ5cm、幅2cmのサイズにダイヤモンドカッターを用いてカットし、ノギスを用いて長さ、幅を正確に計測し、面積を求めた。次に、天秤を用いてサンプルの重量を測定した。得られた面積、試験片の重量から[B]層の目付を算出した。
引張弾性率は、“インストロン5565(登録商標)”(インストロン社製)を用い、ASTM D 638−02に準拠して測定した。ただし、測定温度は23℃とし、測定スピードは10mm/minとした。また、歪み−応力曲線における歪みが0.1%から0.3%の間での傾きから引張弾性率を求めた。
ガラス転移温度は、粘弾性測定装置ARES(Rheometric Scientific社製)を用い、SACMA SRM 18R−94に準拠して測定した。ただし、測定はRectangular Torsionモードで行い、測定振動数は1Hzとし、昇温速度は5℃/minとした。得られた温度−貯蔵弾性率曲線において、ガラス領域での接線と、ガラス領域からゴム領域への転移領域での接線との交点を求め、この交点の温度をガラス転移温度とした。
繊維体積含有率は、ASTM D 3171に準拠して求めた。
繊維強化プラスチックを長さ5cm、幅2cmのサイズにダイヤモンドカッターを用いてカットし、ノギスを用いて長さ、幅を計測し、面積を求めた。次に、天秤を用いて試験片の重量を測定した。得られた面積、試験片の重量から繊維強化プラスチックの目付を算出した。
サンプルには、構成要素[B]の厚みを測定したものと同じ試験片を用いた。まず、サンプルの任意の5箇所で、接触式の表面粗さ計、(株)小坂研究所製のサーフコーダーSE3400を用い、表面凹凸のプロファイルを得た。この際、測定の方向を変えながら測定を行った。この際、測定距離は10mm、測定速度は2mm/秒とした。また、表面凹凸のプロファイルは、凹凸の高さが十分に認識できるように5000〜20000倍に拡大して出力した。次に、図1に示すように、凹凸の隣り合う凹部を結ぶ線と凸部頂点から垂直に下ろした線の交点と、凸部頂点までの高さRを、各プロファイルにつき3ヶ所、合計15カ所計測し、平均値を算出し、表面粗さとした。
構成要素[A]のみからなる繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
構成要素[A]と構成要素[C]のみからなる繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
構成要素[A]と構成要素[C]のみからなる繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例1)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例2)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例3)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例4)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例5)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例6)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例7)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例8)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例9)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例10)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(実施例11)
構成要素[A]、[B]、[C]からなり、構成要素[A]の片側に構成要素[B]を介し、構成要素[C]が配設されている繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
(比較例4)
構成要素[A]のみからなる繊維強化プラスチック部材を製造し、各種測定を行った。
Claims (18)
- 次の構成要素[A]、[B]、[C]を含み、構成要素[A]の少なくとも片面に構成要素[B]を介して、構成要素[C]が配設されていることを特徴とする繊維強化プラスチック部材。
[A]繊維強化プラスチック
[B]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率表面層
[C]引張弾性率が1000〜30000MPaである高弾性率表面層 - 構成要素[C]の引張弾性率に対する構成要素[B]の引張弾性率の比が0.000003〜0.01であることを特徴とする請求項1記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[A]の繊維体積含有率が10〜85%であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[A]が炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[B]の厚みが10〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[B]がエラストマーを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- エラストマーがシリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴムから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項6記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[C]が強化繊維を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[C]の繊維体積含有率が1〜50%であることを特徴とする請求項8記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[C]に含まれる強化繊維がランダム配向していることを特徴とする請求項8、9のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[C]が炭素繊維および/またはガラス繊維を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 構成要素[C]の厚みが50〜500μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 表面粗さが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の繊維強化プラスチック部材。
- 次の構成要素[A1]、[B1]、[C1]を含み、構成要素[A1]の少なくとも片面に構成要素[B1]を介して、構成要素[C1]が配設されていることを特徴とする強化繊維基材。
[A1]強化繊維の織物および/または編み物
[B1]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C1]強化繊維のマット - 構成要素[B1]の目付が10〜500g/m2であることを特徴とする請求項14記載の繊維強化基材。
- 構成要素[C1]の目付が1〜450g/m2であることを特徴とする請求項14または15に記載の繊維強化基材。
- 請求項14〜16のいずれかに記載の強化繊維基材を型内に配置し、液状の熱硬化性樹脂組成物を含浸させた後、加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチック部材の製造法。
- 次の構成要素[A2]、[B2]、[C2]を含み、構成要素[A2]の少なくとも片面に構成要素[B2]を介して、構成要素[C2]を配設し、構成要素[A2]を加熱して硬化させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
[A2]プリプレグおよび/またはシート・モールディング・コンパウンド
[B2]引張弾性率が0.1〜500MPaである低弾性率シート
[C2]熱硬化性樹脂組成物フィルムおよび/または熱可塑性樹脂フィルム
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