JP2021067138A - 工事用締付具 - Google Patents
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Abstract
Description
即ち、本発明の工事用締付具は、保持部材とナットとを備えた工事用締付具であって、前記保持部材に対して、前記ナットが自由回転可能に連結されている、ことを特徴とする。
(1)保持部材に対して、ナットが自由回転可能に連結されているので、作業者は、片手でナットをスパナなどの工具で回転させる簡単な操作によって、保持部材を型枠の外側面に沿って水平姿勢で配置したバタ材に容易且つ迅速に当接させて締め付けることが可能となる。
(2)上記効果(1)に起因して、型枠による工事を安全に且つ短期間で能率良く行うことが可能となる。
また、保持部材は、例えば、金属板を曲げ加工して、全体がほぼ直方体形状、あるいは、正面視および背面視が長方形状で且つ側面視が円弧形状または扁平な山形形状を呈する箱状体であり、後述するように、その外側面と内側面との間を貫通する通し穴を有している。
また、工事に用いる型枠は、例えば、厚手の合板と、その外側面に垂直方向に沿ってほぼ等間隔状に固定した複数の木製角材とからなるものである。
加えて、工事に用いるバタ材は、角形または丸形鋼管、あるいは、これらと同様な断面形状を有するアルミニウム合金の押出形材などである。
これによれば、ナットは、そのナット本体の底面から雌ネジ穴の開口部を囲み且つ軸方向に沿って延びた挿入片が、保持部材に設けられた通し穴に挿入れると共に、挿入片の先端側からほぼ径方向に沿って張り出したアンカー片が、保持部材の内壁面に隣接している。そのため、ナットは、保持部材に対し、自由な回転が可能にして連結されている。従って、既述の効果(1)が確実に得られ、引いては、既述の効果(2)を奏することも可能となる。
連結部の挿入片の外周径は保持部材の通し穴の内周径より小さく、これにより前者は後者に対して自由嵌めの状態である。
アンカー片は挿入片の先端側を塑性変形したものが好ましい(第3の局面)。部品点数の増加を抑え、かつナットと保持部材との連結をカシメ等の方法で簡易に実行するためである。
アンカー片を挿入片と別体としてもよい。
アンカー片とナット本体部の底面との距離は保持部材の厚さより、少し長くして、アンカー部及びナット本体部の裏面と保持部材との接触抵抗を小さくし、ナットと保持部材との自由回転を確保する。
加えて、本発明の第5の局面による工事用締付具は、前記保持部材の重心は、前記通し穴の中心とは該保持部材の長辺方向において一致していない。
尚、保持部材の重心が、通し穴の中心とは該保持部材の長辺方向において一致しない形態には、通し穴の中心を保持部材の長辺方向における中央よりも何れか一端側に偏寄させた形態、あるいは、通し穴の中心を保持部材の長辺方向における中央部に設け、且つ何れか一端側の重量を他端側よりも大きくした形態が例示される。
図1は、本発明による工事用締付具(以下、単に締付具と称する)1の使用状態を示す部分垂直断面図である。
工事は、例えば、コンクリート壁を構築する場合、図1に示すように、所要の位置に平行に垂設された左右一対(右側は図示せず)の型枠15の外側において、各型枠15の外側面に垂直に固定された複数の角材14と直交し且つ水平姿勢で配置された上下一対の角形鋼管のバタ材13同士の間を貫通するボルト12にネジ結合して、バタ材13を保持する保持部材2を含む本発明の締付具1と、一対の型枠15間で各型枠15の内側面に配置されたコーン16同士間をネジ結合するセパレータ(タイボルト)18とにより、一対の型枠15同士間の間隔を維持した状態で、該間隔内に生コンクリート(図示せず)を充填した後、コンクリートになるように養生が行われる。
尚、各コーン16は、隣接する型枠15を貫通する小径のボルト17によって、同じ側のボルト12と個別にネジ結合している。
また、ボルト12の外側端には、締付具1の脱落を防ぐため、大径の円盤12aが一体に設けられている。
保持部材2は、例えば、厚みが約2mmの金属板をプレス(図示せず)により所定の形状に打ち抜き加工した後、折り曲げ加工したもので、上下一対の傾斜辺2a,2bと、これらの上端または下端から斜めに延びた上下一対のフランジ3と、これらに囲まれた前後一対の側壁4とを備えている。該側壁4ごとの内側縁5は、垂直な直線で構成され、該直線の長さは、図1で示したように、上下一対のバタ材12の縦寸法とボルト10の外径との総和よりも大とされている。
更に、上下一対の傾斜辺2a,2b間の頂部には、水平方向に沿った通し穴6が穿設されている。該通し穴6を介して、これを有する保持部材2に対して、ナット7が自由回転可能に連結されている。通し穴6における保持部材2の内側面2c側の周縁には、円錐形状のテーパー面6aが位置している。
また、一対の側壁4の中央部ごとには、外側にカーブして張り出した膨出部4aが前後対称に位置している。
加えて、保持部材2の重心は、通し穴6の中心とは、一致していない。そのため、例えば、図2(B)に示すように、下方側となる傾斜辺2bの内側面2cに重しwを溶接付けしておくか、あるいは、後述すいるように、傾斜辺2bの長さを傾斜辺2aの長さよりも長くした形態としている。
尚、ナット本体8の底面と保持部材2との間、通し穴6の内周面と挿入片10の外周面との間、および、アンカー片11と傾斜辺2a,2bの内側面2cとの間には、後述するように、それぞれ最小限の隙間(クリアランス)が設定されている。
予め、図3(B1)に示すように、ステンレス鋼の棒素材を温間鍛造によって六角柱体のナット本体8と、該本体8の底面から円筒形に延びた薄肉の筒形部9aとを一体に有するナット中間素材7aを成形する。次いで、中間素材7aのナット本体8の中心軸に沿って、筒形部9aの内径よりも若干小径な貫通孔を穿孔した後、該貫通孔の内周面にタップ加工を施して雌ネジを刻設する。
更に、筒形部9aを保持部材2の通し穴6に挿入した状態で、中間素材7aの筒形部9aの先端側に対し、扁平な円錐形の押し型(図示せず)を該筒形部9aの軸方向に沿って押し付けて塑性加工を施す。
その結果、図2(B)のように、該アンカー片11が保持部材2の貫通穴6のテーパー面6aに隣接すると共に、筒形部9aの基端側は、挿入片10となって図2(B)のように保持部材2の通し穴6内に挿入される。これによって、挿入片10とアンカー片11とからなる連結部9が形成されることで、ナット7が得られると共に、該ナット7が保持部材2に対して、自由回転可能に連結された締付具1が製作される。
かかる状態で、予め、ボルト12ごとの雄ネジに雌ネジnとネジ結合してある締付具1のナット7の本体8を片手で掴んだスパナなどで回転させる。
この間において、保持部材2は、重しwによって、ナット7の回転に同調することなく、傾斜辺2bを下側に位置した垂直姿勢を維持している。
その結果、図1に示したように、ボルト12とネジ結合したナット7によって、保持部材2が上下一対のバタ材13を型枠15側に押すように締め付けることができる。これによって、左右一対の型枠15を、スペーサ18などによる一定の間隔を保ちつつ、互いに強固に連結することができる。
よって、締付具1によれば、効果(1)が得られ、且つ該効果(1)に起因して効果(2)を奏することも容易に理解される。また、効果(3)を併有していることも明らかである。
上記締付具1xは、図4(A)、(B)に示すように、ナット7を自由回転可能に連結する保持部材2xを備えている。該保持部材2xは、図示のように、上下一対の傾斜辺2a,2bと、同様の左右一対の側壁4と、を備え、該側壁4ごとの内側縁5には、上下一対の円弧形の凹部r1,r2が形成されている。該凹部r1,r2には、図示しない丸い鋼管のバタ材の外周面が挿入される。また、図示で上側の傾斜辺2aの長さ(丈寸法)L1は、下側の傾斜辺2bの長さL2よりも短い。即ち、ボルト7の連結部9における挿入片10が挿入される通し穴6の中心は、当該保持部材2xの重心(図示せず)よりも上側に位置している。
尚、隙間sは、0.10〜0.50mmの範囲内で適宜選定される。但し、ナット本体8の底面と保持部材2の傾斜辺2a,2bとの隙間sは、0.05〜2.00mmの範囲としても良い。
締付具1xによれば、各型枠15の外側面に固定された複数の角材14に上下一対の丸形鋼管からなるバタ材が水平に配置された場合の型枠工事において、前記効果(1),(2)を得ることが可能となり、且つ前記効果(3)も有する。
尚、通し穴6の中心と保持部材2xの重心とが一致するように、傾斜辺2a,2bの長さL1,L2を同じとし、下側の傾斜辺2bの内側面2cに同様の重しwを固着した形態としても、前記効果(1),(2)を得ることが可能である。
例えば、保持部材2,2xの傾斜辺2a,2bは、側面視で外側に僅かに突出した扁平な三角形状を呈する形態としても良い。
また、保持部材2xにおいて、上下一対のフランジ3を付設した形態としても良い。
加えて、ナット7の連結部9は、挿入片10の軸方向とアンカー片11の径方向とに沿って、2つ以上のスリットが対称に形成された形態としても良い。
2,2x………保持部材
2c……………保持部材の内側面
6………………通し穴
6a……………テーパー面
7………………ナット
8………………ナット本体
9………………連結部
10……………挿入片
11……………アンカー片
Claims (5)
- 保持部材とナットとを備えた工事用締付具であって、
前記保持部材に対して、前記ナットが自由回転可能に連結されている、
ことを特徴とする工事用締付具。 - 前記ナットは、ナット本体部と、該ナット本体部の底面に延設された連結部とを備え、
前記保持部材には、通し穴が設けられ、
前記ナットの連結部は、前記通し穴に挿入される挿入片と、前記保持部材の内壁面に隣接するアンカー片とを有する、
請求項1に記載の工事用締付具。 - 前記アンカー片は、前記連結部の先端側が塑性変形したものである、
請求項2に記載の工事用締付具。 - 前記保持部材において、前記通し穴の前記内壁面側の周縁はテーパー面である、
請求項3に記載の工事用締付具。 - 前記保持部材の重心は、前記通し穴の中心とは該保持部材の長辺方向において一致していない、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の工事用締付具。
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