JP2021066094A - 記録装置および記録装置の制御方法 - Google Patents

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泰雄 須永
Yasuo Sunaga
泰雄 須永
一俊 松▲崎▼
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Abstract

【課題】キャリッジが切替機構の接続に失敗した場合、ギャップ調整機構の駆動源が無駄に駆動されることを回避できる記録装置および記録装置の制御方法を提供する。【解決手段】記録装置は、ギャップ調整機構と、装置本体の一部を駆動するモーターとギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、キャリッジの位置を検出するリニアエンコーダーと、制御部と、不揮発性メモリーとを備える。制御部は、キャリッジが切替機構の被操作部を操作するときの負荷が閾値を超えると、キャリッジモーターを停止させる(S13,S14)。不揮発性メモリーは、切替機構を接続させるときのキャリッジの位置を示す接続位置の情報を記憶する。制御部は、キャリッジが接続位置にあれば、搬送モーターを駆動させ(S17,S21)、接続位置になければ、ギャップ調整機構を駆動させるための搬送モーターの駆動は行わない(S17,S18)。【選択図】図21

Description

本発明は、媒体を支持する支持部と媒体に記録する記録ヘッドとのギャップを調整するギャップ調整機構を備えた記録装置および記録装置の制御方法に関する。
特許文献1には、媒体を搬送する搬送部と、媒体を支持する支持部と、支持部に支持された媒体に液体を吐出して記録する記録ヘッドと、記録ヘッドを支持する状態で媒体の搬送方向と交差する走査方向に移動するキャリッジとを備える記録装置が開示されている。また、記録装置は、記録ヘッドと支持部との間のギャップを調整するギャップ調整機構を備える。
ギャップ調整機構は、記録装置に他の用途で備えられた駆動源を利用する方式のものである。この場合、駆動源の動力をギャップ調整機構へ伝達可能な接続と伝達不能な切断とに切替可能な切替機構が設けられる。切替機構は、例えば、キャリッジの移動経路上に、キャリッジにより操作される被操作部の一例としての切換えレバーを備える。切換えレバーは、ばねの付勢力により切替機構を構成する2つの歯車が噛み合わない切断位置(非噛合い位置)に保持される。ギャップ調整時には、キャリッジが切換えレバーを切断位置から接続位置(噛合い位置)まで押し込むことで、切替機構の2つの歯車が噛合する接続状態とされる。この状態で、搬送モーターが駆動されることによってギャップ調整機構が駆動され、記録ヘッドと支持部との間のギャップが調整される。
特開平10−211748号公報
しかしながら、キャリッジが切換えレバーを操作したときに2つの歯車の歯先同士が当たって噛合できない接続ミスが発生する場合がある。また、キャリッジが切換レバーを押し切って壁面に当たったときの負荷を検出してその検出した負荷が閾値を超えると、キャリッジモーターを停止させる構成においては、キャリッジの移動時の負荷変動等が原因でキャリッジが切換レバーを押し切る手前の位置で停止してしまい、切換機構を接続状態に切り換えることができない場合がある。これらの例のように、キャリッジが切替機構を接続状態に切り替えることができない接続ミスが発生した場合、搬送モーターを駆動してもギャップ調整機構が駆動されず、ギャップ調整ミスとなる。ギャップ調整ミスは検知することもできるが、その検知まで搬送モーターを無駄に駆動させなければならず、その無駄な駆動時間がギャップ調整所要時間を長くする原因ともなる。よって、搬送モーターを駆動させる前に、キャリッジが切替機構を接続状態に切り替える切替動作が成功したか失敗したかを判定できることが望まれる。
上記課題を解決する記録装置は、媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体を支持する支持部と、前記支持部に支持された前記媒体に記録する記録ヘッドと、前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、前記キャリッジを移動させる第2駆動源と、前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、前記キャリッジが移動経路上に設けられる被操作部を操作することで前記第1駆動源と前記ギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、前記第2駆動源の負荷を検出し、前記キャリッジが前記被操作部を操作するときの負荷が閾値を超えると、前記第2駆動源を停止させる制御部と、前記被操作部が前記切替機構を接続させる操作位置にあるときの前記キャリッジの位置を示す位置情報を記憶する不揮発性メモリーと、を備え、前記制御部は、前記被操作部を操作する動作で停止した前記キャリッジの位置が、前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動して前記ギャップ調整機構にギャップを切り替えさせ、前記位置情報の位置でなければ、前記ギャップ調整機構を駆動させるための前記第1駆動源の駆動は行わない。
上記課題を解決する記録装置の制御方法は、媒体を搬送する搬送機構と、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、前記キャリッジを駆動させる第2駆動源と、前記媒体のうち前記記録ヘッドと対向する部分を支持する支持部と、前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、前記キャリッジが移動経路上に設けられた被操作部を操作することで前記第1駆動源と前記ギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、前記切替機構を接続可能な前記キャリッジの位置を含む位置情報を記憶する不揮発性メモリーと、前記記録ヘッド、前記第1駆動源および前記第2駆動源を制御する制御部とを備える記録装置の制御方法であって、前記キャリッジを移動させて前記被操作部を操作させるとともに前記キャリッジの負荷が閾値を超えると停止させることと、前記キャリッジの停止位置が、前記不揮発性メモリーから読み出した前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動させて前記ギャップ調整機構に前記ギャップを切り替えさせ、前記キャリッジの停止位置が前記位置情報の位置でなければ、前記ギャップ調整機構を駆動させるための前記第1駆動源の駆動は行わないことと、を含む。
一実施形態における記録装置の斜視図。 筐体を取り外した状態にある記録装置を示す斜視図。 記録装置の要部を示す平面図。 記録ユニット及びその走査領域の周辺を示す正面図。 ギャップ調整機構を示す模式平面図。 ギャップ調整機構を示す模式平面図。 ギャップ調整機構を示す正面図。 ギャップ調整機構を示す側面図。 ギャップ調整機構におけるカムの回転角とギャップとの関係を示すタイミングチャート。 記録装置の電気的構成を示すブロック図。 2つの歯車の歯先が当たった切替ミスを示す模式平面図。 2つの歯車が噛合する切替状態を示す模式平面図。 2つの歯車の歯先が当たった切替ミスを示す模式側面図。 2つの歯車が噛合する切替状態を示す模式側面図。 切替機構を構成する2つの歯車の噛合範囲を説明する部分平面図。 キャリッジのメジャメント動作を説明するグラフ。 ギャップ調整機構の切替動作を説明するグラフ。 切替位置近傍におけるギャップ調整機構の切替動作を説明するグラフ。 切替機構を構成する2つの歯車の歯先が当たる切替ミスを説明するグラフ。 キャリッジの移動負荷に起因する切替ミス時の切替動作を説明するグラフ。 ギャップ切替処理を示すフローチャート。
以下、記録装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1では、記録装置11が水平面上に置かれているものとして、互いに直交する3つの仮想軸を、X軸、Y軸及びZ軸とする。X軸は後述する記録ヘッドの走査方向と平行な仮想軸であり、Y軸は印刷時の媒体の搬送方向と平行な仮想軸である。また、Z軸は鉛直方向Z1と平行な仮想軸である。Y軸と平行な一方向が、印刷時の媒体の搬送方向Y1である。なお、Y軸において筐体12Aにおける後述する操作パネルが配置される側の面を前面、前面とは反対側の面を背面ともいう。
<記録装置の構成>
図1に示す記録装置11は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターである。図1に示すように、記録装置11は、直方体状の装置本体12と、装置本体12の上部を覆う開閉可能なカバー13とを備える。本例の記録装置11は、複合機であり、印刷ユニット20と、印刷ユニット20の上側に配置される読取ユニット30とを有する。
装置本体12は、直方体状の筐体12Aを有する。筐体12Aの正面下部には、用紙等の記録媒体M(以下、単に「媒体M」ともいう。)を収納するカセット21が着脱可能な状態で凹部14に挿着されている。カセット21には、複数の媒体Mが収容される。なお、図1に示す例では、カセット21は鉛直方向Z1に並んで2段設けられている。カセット21の数は、1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。
記録装置11が印刷した媒体Mは、筐体12Aの前面に開口する排出口15から排出される。排出口15から排出された印刷後の媒体Mは、排出トレイ22上に積載される。排出トレイ22は、伸縮式で、図1に示す収納位置から引き延ばされた伸長位置で使用される。また、記録装置11は、筐体12Aの前面に操作パネル24を備える。操作パネル24は、ユーザーが記録装置11に指示を与える際に操作される複数のスイッチよりなる操作部25と、メニューや各種のメッセージ等が表示される表示部26とを備える。操作部25には、電源スイッチ25A及び選択スイッチ等が含まれる。ここで、表示部26をタッチパネルにより構成してもよく、その場合、表示部26の操作機能が操作部25の一部を兼ねてもよい。
図1に示すように、読取ユニット30は原稿台カバー31を備える。原稿台カバー31の上部には、原稿トレイ33を備えた自動原稿送り装置32(Auto Document Feeder)が設けられている。読取ユニット30は、原稿トレイ33上の原稿Gを1枚ずつ給送して読み取るシートフィーダー型のスキャナー機能と、原稿台カバー31を開けると露出する原稿台に載置された原稿Gを読取るフラットベッド型のスキャナー機能とを備える。複合機である記録装置11は、インクジェット方式で媒体Mに印刷する印刷機能の他に、読取ユニット30がスキャナー機能により読み取った原稿Gの画像を媒体Mに印刷するコピー印刷機能を備える。
図1に示すように、筐体12Aの前部一端部には、液体供給ユニット27が設けられている。液体供給ユニット27内には、インク等の液体をそれぞれ収容する複数の液体収容容器28(図2も参照)が配置されている。複数の液体収容容器28は、例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの色の異なるインクを収容する。液体収容容器28が収容する液体は、記録装置11が媒体Mに吐出して印刷するために用いられる。液体供給ユニット27は、前面に液体収容容器28ごとの液量を視認可能な複数の窓部27Aを有している。液体供給ユニット27は、上部に開閉可能な蓋部27Bを有している。液体収容容器28は、液体が収容された例えばタンクである。
窓部27Aを見て液量が少なくなると、ユーザーは蓋部27Bを開けて、液体収容容器28の供給口へ例えばインクボトル(いずれも図示略)からインク等の液体を注入することで補給する。なお、液体収容容器28は、液体を注入可能な注入式であることに限定されず、交換式のインクカートリッジ又はインクパックでもよい。
筐体12A内には、X軸に沿って往復移動可能な記録ユニット50が設けられている。記録ユニット50は、X軸に沿う方向である走査方向Xに移動するキャリッジ51と、キャリッジ51に設けられ、媒体Mに記録する記録ヘッド52とを備える。また、筐体12A内には、記録ヘッド52から印刷以外の目的で吐出又は排出されたインク等の液体を廃液として回収する廃液ユニット58が配置されている。廃液ユニット58は、記録ヘッド52から排出された液体を廃液として収容する着脱式の廃液ボックス59を有する。また、記録装置11は、印刷ユニット20及び読取ユニット30を制御する図1に示す制御部100を備える。なお、本実施形態の装置本体12は、搬送機構40、支持部16、キャリッジ51および記録ヘッド52を備える。
<記録装置の内部構造>
図2、図3は、読取ユニット30及び筐体12Aを取り外した状態の記録装置11の内部構造を示す。図2、図3に示すように、記録ユニット50は、液体収容容器28から液体の供給を受ける、いわゆるオフキャリッジタイプである。記録ユニット50は、走査領域SAを往復移動する。なお、記録ユニット50は、キャリッジ51に搭載されたカートリッジタイプの液体収容容器28から液体の供給を受ける、いわゆるオンキャリッジタイプでもよい。
また、図2、図3に示すように、走査領域SAの奥方の底部に支持部16が露出する。支持部16は、媒体Mを支持する。記録ヘッド52は、支持部16に支持された媒体Mに記録する。
図2、図3に示すように、記録装置11は、媒体Mを搬送する搬送機構40を備える。搬送機構40は、カセット21から媒体Mを1枚ずつ給送する給送部41(図2参照)と、給送された媒体Mを搬送方向Y1に搬送する搬送部42とを有する。搬送部42は、媒体Mを排出する排出部43を有する。
給送部41は、各カセット21に収容された媒体Mのうち最上位の一枚を奥方向へ送り出し、送り出された媒体Mを中間ローラー(図示略)の外周に沿って反転させたのち搬送方向Y1に搬送する。記録装置11は、給送部41の駆動源として給送モーター44を備える。
搬送部42は、媒体Mを記録開始位置まで搬送する頭出し動作と、印刷中の媒体Mを間欠的に搬送する搬送動作と、記録領域PAで記録がなされた記録済みの媒体Mを排出する排出動作とを行う。搬送部42によって媒体Mが搬送される領域が搬送領域FAである。搬送領域FAには記録ユニット50が印刷を施す対象の媒体Mを支持する前述の支持部16が配置されている。搬送部42は、搬送経路に沿って媒体Mを搬送方向Y1に搬送する図3に示す搬送ローラー対45を備える。搬送ローラー対45は、搬送方向Y1において記録ヘッド52の走査領域よりも上流位置に配置されている。
図3に示すように、排出部43は、搬送方向Y1の異なる位置に配置された第1排出ローラー対46と第2排出ローラー対47を備える。第1排出ローラー対46および第2排出ローラー対47は、記録ユニット50の走査領域SAよりも搬送方向Y1の下流の位置に配置されている。記録装置11は、搬送機構40を駆動させる第1駆動源の一例として搬送モーター48を備える。搬送モーター48は、搬送ローラー対45、第1排出ローラー対46および第2排出ローラー対47を駆動する。本例では、搬送機構40の駆動源は、給送モーター44と搬送モーター48とにより構成されるが、1つのモーターで駆動されてもよいし、給送部41、搬送部42及び排出部43がそれぞれ個別のモーターで駆動されてもよい。
図2に示すように、走査方向Xにおいて媒体Mへの記録が行われる記録領域よりもホーム位置HP側にはメンテナンス装置60が配置されている。メンテナンス装置60は不図示のキャップを有し、ホーム位置HPに移動した記録ユニット50の記録ヘッド52は、キャップがノズル開口面52Aに接触するキャッピング状態とされることで、ノズル内の液体の乾燥が防止される。
また、記録ユニット50は、走査方向Xにおいて記録領域PAよりもホーム位置HPと反対側の位置となる反ホーム位置AH側の領域にも移動可能である。
図2、図3に示すように、記録ユニット50は、走査方向Xに沿って延びる第2ガイド部材18を一部に有するメインフレームと、メインフレームの長手方向の両端部に固定された第1サイドフレーム35および第2サイドフレーム36とを備える。キャリッジ51は、ホーム位置HP側の端部に配置された第1サイドフレーム35と、反ホーム位置AH側の端部に配置された第2サイドフレーム36との間を移動する。第1サイドフレーム35は、ホーム位置HP側のエンド位置に移動したキャリッジ51が当接可能な第1規制面35Aを有する。第2サイドフレーム36は、反ホーム位置AH側のエンド位置に移動したキャリッジ51が当接可能な第2規制面36Aを有する。第1規制面35Aおよび第2規制面36Aは、走査方向Xと直交しかつ互いに対向して位置する。
図2に示すように、記録装置11には、走査方向Xの一端近傍位置に記録ユニット50の駆動源となるキャリッジモーター53が配設されている。キャリッジモーター53は、キャリッジ51を移動させる第2駆動源の一例である。キャリッジモーター53の駆動力は無端状のタイミングベルト54を介して記録ユニット50に伝達される。タイミングベルト54は歯付きベルトである。キャリッジモーター53が正転駆動されると、タイミングベルト54を介して記録ユニット50が第1方向X1に往動し、キャリッジモーター53が逆転駆動されると、タイミングベルト54を介して記録ユニット50が第2方向X2に復動する。キャリッジ51は、走査方向Xに往復移動可能である。
図2、図3では、記録ユニット50は、媒体Mに印刷を行わない非印刷時に待機する待機位置であるホーム位置HP(ホームポジション)に位置している。X軸においてホーム位置HPとは反対側となる端部の位置が、キャリッジ51の反ホーム位置AH(図7も参照)である。キャリッジ51は、媒体Mに印刷する場合、ホーム位置HPと反ホーム位置AHとの間の走査領域SAのうち支持部16は配置された記録領域を往復移動する。
図2、図3に示すように、記録装置11は、液体収容容器28から記録ヘッド52へ供給される液体が通るチューブ56を備える。チューブ56は、例えば可撓性を有する合成樹脂材料よりなる。チューブ56は複数本が束とされたチューブ束55の状態で、その一端部が接続された装着部29からX軸に沿って引き回されるとともにその途中でU字状の湾曲部57で折り返したのちその他端部が記録ユニット50に接続されている。複数の液体収容容器28とキャリッジ51との間は、複数のチューブ56を通じて接続されている。複数の液体収容容器28は装着部29に装着される。なお、装着部29は、液体収容容器28から液体を記録ユニット50へ供給するポンプを備えてもよい。
図3に示す記録ユニット50は、液体収容容器28からチューブ56を通じて供給される液体を、X軸に沿って往復動する途中で記録ヘッド52から媒体Mに向かって吐出することで媒体Mに画像又は文書を印刷する。詳しくは、記録ユニット50がX軸に沿って移動する過程で記録ヘッド52が液体を吐出して媒体Mに1走査分の印刷を施す記録動作と、搬送部42及び排出部43が媒体Mを次の印刷位置まで搬送する搬送動作とを交互に繰り返すことで、媒体Mに印刷がなされる。印刷済みの媒体Mは、排出部43によって排出口15から排出され、排出トレイ22(図1参照)上に積載される。
また、図2に示すように、記録装置11は、記録ヘッド52(図3参照)に対してメンテナンスを行うメンテナンス装置60を備える。本例のメンテナンス装置60は、ホーム位置HPに位置するときの記録ユニット50の直下に配置されている。メンテナンス装置60は、記録ヘッド52のノズル(図示略)から印刷とは関係のないインク等の液体を強制的に排出することでノズルをクリーニングする。
また、図2〜図4に示すように、記録装置11は、記録ヘッド52と支持部16とのギャップを調整するギャップ調整機構61を備える。ギャップ調整機構61は、支持部16に対する記録ヘッド52の高さ位置を変更して記録ヘッド52と媒体Mとのギャップを調整する。本実施形態のギャップ調整機構61は、キャリッジ51を支持するガイド部材17の高さ位置をZ軸に沿って移動させてキャリッジ51の高さ位置を変更することで、記録ヘッド52の高さ位置を調整する。キャリッジ51はガイド部材17に対して鉛直方向Z1に相対移動可能な状態で係合されている。
図4に示すように、ギャップ調整機構61は、ガイド部材17の走査方向Xの両端部を支持するカム機構62,63と、ガイド部材17を軸回転させる駆動機構64とを備える。本例の駆動機構64は、ガイド部材17の反ホーム位置AH側の端部の近傍に位置する。駆動機構64の駆動力でガイド部材17が軸回転すると、カム機構62,63を介してガイド部材17の位置が鉛直方向Z1に変化する。
本実施形態のギャップ調整機構61は、搬送機構40と駆動源を共通にする。つまり、ギャップ調整機構61は、搬送機構40と共通の駆動源である第1駆動源の一例としての搬送モーター48を駆動源とする。
図4に示すように、キャリッジ51は、記録を行っていな待機時にホーム位置HPに位置する。キャリッジ51は、ホーム位置HPから反ホーム位置AHへ移動する方向である第1方向X1と、第1方向X1と反対の方向である第2方向X2とに往復移動可能である。このホーム位置HPよりも僅かに第2方向X2側の位置に第1規制面35Aが位置する。制御部100は、キャリッジ51の走査方向Xにおける位置であるキャリッジ位置を計測する。制御部100は、キャリッジ51が第1規制面35Aに当接したときのキャリッジ位置を原点位置とする。
図4に示すように、第2サイドフレーム36には第2規制面36Aから第2方向X2に突出する被操作部70が設けられている。被操作部70は、ばね73(図5参照)の弾性力により第2方向X2に付勢されている。キャリッジ51は、第1方向X1に第2規制面36Aに当接するエンド位置まで移動することにより、被操作部70を第1方向X1に押込む押込み操作が可能である。
なお、図4に示すように、第1サイドフレーム35と第2サイドフレーム36のそれぞれの外側には、各サイドフレーム35,36を貫通した第1ガイド部材17の両端部を支持する一対の支持位置調整部材77が設けられている。一対の支持位置調整部材77を調整することにより、ガイド部材17の両端部の高さ位置が調整される。これにより、例えば、ガイド部材17の水平度が調整される。一対の支持位置調整部材77および駆動機構64は、ギャップ調整機構61を構成している。
図5に示すように、駆動機構64は、搬送機構40を構成する第1輪列65と、ギャップ調整機構61を構成する第2輪列66とを備える。第1輪列65は、搬送モーター48(図3参照)の動力を前述の搬送ローラー対45、第1排出ローラー対46および第2排出ローラー対47(図3参照)に伝達する。詳しくは、各ローラー対45〜47は、それぞれ駆動ローラーと従動ローラーとを備える。搬送モーター48から第1輪列65を介して伝達された動力によって駆動ローラーは回転し、各ローラー対45〜47にニップされた媒体Mは搬送される。また、第1輪列65を構成する第1歯車67と、第2輪列66を構成する第2歯車68とにより、切替機構71が構成される。第2歯車68はその軸方向と平行な走査方向Xに移動可能に設けられ、ばね73によって第2方向X2に向かって付勢されている。第2歯車68は、その側面から第2方向X2に向かって突出する被操作部70を有する。被操作部70は、軸状または筒状をなし、第2サイドフレーム36を貫通して規制面36Aから第2方向X2へ突出する。このように、切替機構71は、第1歯車67と、第1歯車67と噛み合い可能かつ第1歯車67の軸方向と平行な軸方向に移動可能な第2歯車68と、第2歯車68が第1歯車67と噛み合う位置までばね73の付勢力に抗して押し込み可能に第2歯車68に設けられた被操作部70とを備える。
図5に示すように、キャリッジ51が記録中に記録領域PAにあるときは、被操作部70は押されない。このため、被操作部70は、規制面35Aから突出した非操作位置にある。
図6に示すように、キャリッジ51は、ギャップ調整を行うときに反ホ−ム位置AHへ操作位置まで移動し、被操作部70を押込位置まで押し込む。被操作部70が押し込まれると、第1歯車67と第2歯車68とが噛合する。この噛合状態で搬送モーター48(図3参照)が駆動されると、その動力が第1輪列65および第2輪列66を介して第1ガイド部材17に伝達され、第1ガイド部材17が軸回転する。第1ガイド部材17が軸回転すると、第1カム機構62および第2カム機構63を介して第1ガイド部材17の高さ位置が変更される。第1ガイド部材17の高さ位置が変更されると、第1ガイド部材17に支持されたキャリッジ51の高さ位置が同じ分だけ変更される。これにより、記録ヘッド52と支持部16とのギャップが調整される。
被操作部70は、本例では、円筒状又は円柱状である。被操作部70は、ばね73の弾性力により走査領域SA側、つまり第2方向X2に向かって付勢されている。キャリッジ51が、第2サイドフレーム36の第2規制面36Aに当たる位置は、キャリッジ51の第1方向X1側の終点位置である。キャリッジ51が第2規制面36Aに当たるまで第1方向X1に移動することで、被操作部70が操作位置まで押し込まれ、切替機構71が接続状態に切り替えられる。
図7、図8に示すように、駆動機構64は、搬送機構40を構成する第1輪列65と、ギャップ調整機構61を構成する第2輪列66とを備える。第1歯車67と第2歯車68とにより、切替機構71が構成される。本例では、第1歯車67は、二段歯車74の小歯車部により構成される。切替機構71は、キャリッジ51が被操作部70を押し込む操作位置と操作位置からの退避とにより、搬送モーター48とギャップ調整機構61との動力伝達の接離を切り替える。
第1輪列65は、第1歯車67を含む歯車74の他、複数の歯車75等を備える。複数の歯車75等のうちの動力伝達方向の最上流に位置するピニオン(図示せず)が搬送モーター48の回転軸に固定されている。
第2輪列66は、第2歯車68と、第2歯車68と噛合する歯車72、歯車72と噛合する歯車76、歯車76と噛合するとともに第1ガイド部材17の一端部に固定された歯車(図示略)を備える。よって、第1歯車67と第2歯車68とが噛合すると、搬送モーター48の動力が第1輪列65および第2輪列66を介して第1ガイド部材17に伝達され、第1ガイド部材17が軸回転する。
ギャップ調整機構61が駆動されることで、記録ヘッド52と媒体Mとのギャップが、媒体Mの種類に応じた適切な値に調整される。ギャップ調整機構61は、軸状のガイド部材17を偏心回動させることで記録ヘッド52と支持部16との間のギャップを調整する。ここで、媒体Mの種類には、普通紙(薄紙)、厚紙、写真紙、封筒等がある。媒体Mの厚さの異なる種類に応じてギャップ調整機構61が調整するギャップPGの値が設定されている。記録ヘッド52のノズル開口面52Aと媒体Mの表面との間隔であるペーパーギャップは、印刷物のドット位置ずれを抑えるためには小さい方が好ましい。よって、厚さが大きい媒体Mの種類ほど、ギャップPGは大きな値に設定されている。
次に、図7および図8を参照して、搬送機構40とギャップ調整機構61の構成を詳細に説明する。
図8に示すように、カム機構62は、第1ガイド部材17と共に同軸回転可能な状態で第1ガイド部材17の端部に固定された略円板状のカム部材79を有する。カム部材79は、その外周面に、第1ガイド部材17の軸線からの径方向の距離が周方向の位置が変わることで変化するカム面79Aを有している。第2サイドフレーム36には不図示のねじ等により支持位置調整部材77が固定されている。支持位置調整部材77は、第1ガイド部材17を支持する高さ位置を調整する部材である。第1ガイド部材17は、カム機構62を介して支持位置調整部材77によって支持されている。支持位置調整部材77は、カム部材79のカム面79Aと係合可能なカムフォロア部78を有している。第1ガイド部材17は、カム部材79のカム面79Aが、支持位置調整部材77のカムフォロア部78に接触する状態で支持されている。
支持位置調整部材77は、その下部に回動軸77Aを有し、回動軸77Aを中心に所定角度範囲内で回動可能に設けられている。支持位置調整部材77は、回動軸77Aから上方へ延出する腕部77Bと、腕部77Bの先端部に設けられた調整部77Cとを有する。調整部77Cは、その上縁部に一定のピッチで形成された位置調整用の歯部と、歯部の下側の部分に空けられた円弧状の長孔77Dとを有する。支持位置調整部材77は、長孔77Dに挿通したねじ95を締め付けることで、回動軸77Aを中心とする所定角度の姿勢に固定される。
ここで、カムフォロア部78は、カム面79Aと接触可能な円弧面を有する。この円弧面の円弧を一部に含む仮想の円の中心は回動軸77Aとずれている。よって、支持位置調整部材77の姿勢角が変化すれば、カムフォロア部78がカム部材79と接触する高さ位置が変化する。なお、第1ガイド部材17のホーム位置HP側の端部を支持する支持位置調整部材77についても基本的な構造は同じである。作業者は一対の支持位置調整部材77の姿勢角をそれぞれ調整することで、ガイド部材17の両端部を支持する高さ位置を調整する。これにより第1ガイド部材17の高さおよび水平度が調整される。
図8に示すように、第1ガイド部材17の端部には、第1ガイド部材17の回転角を検出可能な検知部80が設けられている。検知部80は、ガイド部材17の端部に周方向に間隔を空けて固定された複数の被検知部81〜84と、複数の被検知部81〜84を1つずつ検知するセンサー85とを備える。複数の被検知部81〜84のうちどの1つを検知しているかを識別できるように、複数の被検知部81〜84の周方向の間隔が不等間隔となっている。複数の被検知部81〜84は、それぞれ異なるギャップと対応している。制御部100は、複数の被検知部81〜84のうち目標とするギャップに対応する1つを検知部80が検知したときに、搬送モーター48の駆動を停止して第1ガイド部材17を所望の回転角で停止させる。これにより、記録ヘッド52と支持部16とのギャップが目標ギャップに調整される。
また、検知部80は、ギャップ調整機構61が駆動されていることを検知する。つまり、検知部80は、そのセンサー85のオンからオフへの切り替わり、さらにオフからオンへの切り替わりによって、ギャップ調整機構61が駆動していることを検知できる。制御部100は、検知部80を構成するセンサー85の検知結果のオン・オフの切り替わりをもって、ギャップ調整機構61が駆動していることを検知する。
<第1ガイド部材の回転角とギャップとの関係>
図9は、第1ガイド部材17の回転角と、ギャップPGと、センサー85の出力との関係を示す。図9に示すように、第1ガイド部材17が1回転の軸回転をする間に、記録ヘッド52と支持部16とのギャップPGが、ギャップPG1〜PG4に順次変化する。ここで、ギャップPGの大きさは、PG1<PG2<PG3<PG4の関係にある。カム部材79のカム面79Aは、周方向に径の異なる部分が4つあり、4つの部分の間の領域では径が緩やかに変化する。このため、第1ガイド部材17が1回転する間に、ギャップPGは、図9に示すように変化する。すなわち、第1ガイド部材17が1回転する間に、ギャップPGは、第1ギャップPG1、第2ギャップPG2、第3ギャップPG3、第4ギャップPG4の順に変化し、さらに第1ギャップPG1に復帰する。複数の被検知部81〜84の間隔に相当する回転角θ0〜θ3はそれぞれ異なる値である。
図9に示すように、センサー85が、複数の被検知部81〜84のうち第1被検知部81を検知した状態では、ギャップPGは第1ギャップP1となる。センサー85が第2被検知部82を検知した状態では、ギャップPGは第2ギャップP2となる。また、センサー85が第3被検知部83を検知した状態では、ギャップPGは第3ギャップP3となる。さらに、センサー85が第4被検知部84を検知した状態では、ギャップPGは第4ギャップP4となる。
図9に示すように、センサー85は、被検知部81〜84を検知する領域でオンする。センサー85がオンする角度範囲である第1角度範囲αよりも少しマージンを見込んだ範囲である第2角度範囲βに亘りカム面79Aの同一径部分が形成されている。搬送モーター48は、センサー85がオンする領域の中心で停止する。
<記録装置の電気的構成>
次に、図10を参照して、記録装置11の電気的構成について説明する。図10に示すように、記録装置11は制御部100を備える。制御部100は、記録装置11に対する記録制御を含む各種の制御を行う。制御部100は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
図10に示すように、制御部100には、出力系として、給送モーター44、搬送モーター48、キャリッジモーター53、記録ヘッド52及びギャップ調整機構61が、電気的に接続されている。制御部100は、給送モーター44、搬送モーター48、キャリッジモーター53、記録ヘッド52及びギャップ調整機構61を制御する。
制御部100には、入力系として、媒体検出器91、搬送系のエンコーダー92、リニアエンコーダー93及びセンサー85が電気的に接続されている。媒体検出器91は、記録領域PAよりも搬送方向Y1の上流側となる搬送経路上の所定位置で媒体Mの有無を検知し、検出信号を制御部100に出力する。制御部100は、媒体検出器91からの検出信号が媒体Mを検知しない非検知信号から媒体Mを検知する検知信号へ切り替わることをもって、媒体Mの先端を検知する。また、制御部100は、媒体検出器91からの検出信号が媒体Mを検知する検知信号から媒体Mを検知しない非検知信号へ切り替わることをもって、媒体Mの後端を検知する。
搬送系のエンコーダー92は、ロータリーエンコーダーにより構成される。エンコーダー92は、搬送ローラー対45の回転量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。また、リニアエンコーダー93は、図示しないリニアスケールと、キャリッジ51に設けられた光学センサーとを備え、光学センサーがリニアスケールを光学的に読み取ることで、記録ユニット50の移動量に比例する数のパルスを含む検出信号を出力する。
センサー85は、ガイド部材17の端部に周方向に間隔を空けて固定された複数の被検知部81〜84を1つずつ検知する。センサー85は、第1ガイド部材17の軸回転と共に複数の被検知部81〜84を順番に検知する。センサー85は、被検知部81〜84を検知していないときは非検知信号を出力し、被検知部81〜84のうちのいずれか1つを検知しているときに検知信号を出力する。複数の被検知部81〜84の間隔は、不等間隔になっている。制御部100は、1つの被検知部を検知しなくなってから次の被検知部を検知するまでの回転量を、エンコーダー92からの検出信号のパルスエッジを計数することで計測する。制御部100は、被検知部81〜84の間隔に相当する回転量を基に現在検知中の被検知部が、全ての被検知部81〜84のうちのどの被検知部であるかを特定し、その特定した被検知部に対応するギャップを取得する。このように、制御部100は、センサー85が検出する被検知部を特定することで現在のギャップを取得する。
図10に示すように、制御部100は、第1カウンター101、第2カウンター102、第3カウンター103および不揮発性メモリー104を有する。第1カウンター101は、給送部41により給送された媒体Mの先端が媒体検出器91により検知されたときの媒体Mの位置を原点位置とし、媒体Mの先端又は後端の位置に相当する値を計数する。媒体検出器91が媒体Mの先端又は後端を検知すると、第1カウンター101はリセットされる。第1カウンター101は、搬送ローラー対45の駆動ローラー(図示略)の回転を検出するエンコーダー92から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第1カウンター101の計数値は、搬送方向Y1における媒体Mの先端又は後端の位置を示す。制御部100は、第1カウンター101の計数値を基に搬送系のモーター44,48を制御することにより、媒体Mの給送、搬送、および排出を制御する。
第2カウンター102は、キャリッジ51の位置に相当する値を計数する。キャリッジ51がホーム位置HP側の第1規制面35Aに接触して原点位置に達した時に、第2カウンター102はリセットされる。第2カウンター102は、リニアエンコーダー93から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、第2カウンター102の計数値は、キャリッジ51のホーム位置HP側の端の位置を原点とする走査方向Xにおけるキャリッジ位置を示す。制御部100は、第2カウンター102の計数値を基にキャリッジモーター53を制御することにより、記録ユニット50の速度制御および位置制御を行う。なお、本実施形態では、リニアエンコーダー93および第2カウンター102が、キャリッジ51の移動経路上の位置を検出する検出部の一例に相当する。
第3カウンター103は、被検知部81〜84のうち現在検知中の被検知部から次に検知される被検知部までの間隔に相当する回転角を計数する。ガイド部材17が原点角度に達した時に、第3カウンター103はリセットされる。第3カウンター103は、エンコーダー92から入力する検出信号のパルスエッジの数を計数する。このため、制御部100は、前の被検知部を検知してから次の被検知部を検知するまでの間隔に相当する値を第3カウンター103の計数値から取得し、そのときの間隔に相当する計数値を基に現在検知中の被検知部を特定する。制御部は、その特定した被検知部を基に対応する現在のギャップを取得する。制御部100は、ギャップ調整処理を行うときは、キャリッジ51が操作位置に到達した後、搬送モーター48を駆動する。制御部100は、被検知部81〜84のうち目標のギャップに対応する被検知部が検知され、さらにその被検知部の検知域の角度中心に達すると、搬送モーター48の駆動を停止する。こうして、制御部100は、第3カウンター103の計数値とセンサー85からの信号に基づいて、記録ヘッド52のノズル開口面52Aと支持部16の支持面とのギャップPGを目標ギャップに調整する。
不揮発性メモリー104は、図21にフローチャートで示されるプログラムを含む各種のプログラムPRを記憶する。また、不揮発性メモリー104は、被操作部70が操作位置にあるときのキャリッジ51の走査方向Xにおける位置を示す位置情報として接続位置CPの情報を記憶する。この接続位置CPは、キャリッジ51が第2サイドフレーム36に当接するまで被操作部70を押し込んで第1歯車67と第2歯車68とが正しく噛合したときのキャリッジ位置xcに相当する。但し、本実施形態では、接続位置CPは、第1歯車67と第2歯車68とが噛合したとみなしうる範囲で示され、第1歯車67と第2歯車68とが幅中心を一致させて正しく噛合したときのキャリッジ位置xcを含む。
制御部100は、ギャップ調整機構61でギャップ切替えを行う場合、キャリッジ位置xcに応じて搬送モーター48の駆動の可否を判断する。制御部100は、第2カウンター102の計数値から得られるキャリッジ位置xcが、不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPであれば、搬送モーター48を駆動させ、キャリッジ位置xcが接続位置CPでなければ、搬送モーター48を駆動させない。ここでいう搬送モーター48の駆動とは、ギャップ切替え動作を行うための搬送モーター48の駆動を指す。後述するように、切替機構71の接続ミス発生時に、その後のリトライ動作の条件変更処理として、搬送モーター48を少し駆動させる場合はある。
<切替機構>
次に、図11〜図14を参照して切替機構71の詳細を説明する。
図11に示すように、キャリッジ51が非操作位置から操作位置へ移動するときに、図11および図13に示すように、第2歯車68の歯部68Aが、第1歯車67の歯部67Aに当たる歯先当たりが発生する場合がある。歯先当たりが発生すると、第1歯車67と第2歯車68とが噛み合わないので、搬送モーター48を駆動しても、ギャップ調整機構61を駆動させることができない。
図12に示すように、キャリッジ51が非操作位置から操作位置へ移動するときに、図12および図14に示すように、第2歯車68の歯部68Aが、第1歯車67の歯部67Aと噛み合った場合、搬送モーター48を駆動すれば、ギャップ調整機構61を駆動させることができる。
図13、図14に示すように、第1歯車67は、歯部67Aの側面に一対の斜面67Bを有する。第1歯車67の歯部67Aと第2歯車68の歯部68Aとが当たっても、両者のずれが小さいうちは、歯部68Aが斜面67Bに沿って案内されることで歯部67Aと噛み合う。例えば、歯部67Aと歯部68Aとのずれ量が歯部67Aのピッチの1/3以下であれば、歯部68Aが斜面67Bに案内されて歯部67Aと噛み合うことができる。一方、図13に示すように、第1歯車67の歯部67Aと第2歯車68の歯部68Aとが大きくずれて当たった場合、歯部68Aは斜面67Bに案内されないので、歯部67Aと噛み合わない。例えば、歯部67Aと歯部68Aとが当たったときのずれ量が歯部67Aのピッチの1/2である場合は、歯部68Aが斜面67Bに案内されないので、歯部67Aと噛み合わない。なお、第2歯車68の歯部68Aも、第1歯車67と対向する面側に一対の斜面を有してもよい。
<歯車の噛み合い条件>
図15は、第1歯車67と第2歯車68との噛み合い条件を示す。図15に示すように、第1歯車67の幅中心をxg0、第2歯車68の幅中心をxg2とする。図15では、両歯車67,68の幅中心xg0,xg2が一致する状態を実線で示す。第2歯車68が図15に二点鎖線で示す位置にあるとき、すなわち第2歯車68の幅中心xg2が第1歯車67の幅中心xg0に対して第2方向X2側に最大許容距離KAだけずれているときは噛み合っているとみなす。また、第2歯車68の幅中心xg2が、第1歯車67の幅中心xg0よりも第1方向X1側に若干ずれた位置xg1にあるときも噛み合っているとみなす。よって、第2歯車68の幅中心xgが、xg1≦xg≦xg2を満たす位置にあるとき、第1歯車67と第2歯車68が噛み合っているとみなす。
第2歯車68の幅中心xgが位置xg1にあるときのキャリッジ位置xcをx1、第2歯車68の幅中心xgが位置xg2にあるときのキャリッジ位置xcをx2とする。すると、第1歯車67と第2歯車68との噛み合い条件は、キャリッジ位置cxが、x1≦xc≦x2を満たすときとなる。
<切替機構の接続ミス>
切替機構71の接続ミスには、次の2つの場合がある。第1は、図11、図13に示すように、第1歯車67の歯部67Aと第2歯車68の歯部68Aとが当たる歯先当たりの場合である。この場合、キャリッジ51は、第1歯車67と第2歯車68との歯先当たりの状態で停止する。第2は、キャリッジ51の移動負荷が過大となり、キャリッジ51が被操作部70を操作する途中で停止してしまう場合である。この場合、キャリッジ51が被操作部70を押し込む操作の途中で、キャリッジ51の負荷が、キャリッジ51が第2規制面36Aに当たったとみなす閾値を超え停止してしまう。キャリッジ51の移動負荷が大きくなる原因は、キャリッジ51とガイド部材17,18との摺動箇所のグリス不足等である。
キャリッジ51の移動負荷は、記録装置11ごとに異なる。そのため、本実施形態では、キャリッジ51の移動負荷を測定するメジャメント動作を行う。メジャメント動作は、記録装置11の電源オン時の初期動作の1つとして行うが、印刷ジョブ受信時など他のタイミングに行ってもよい。
<メジャメント動作>
図16は、メジャメント動作と閾値について説明するグラフである。このグラフにおいて、横軸はキャリッジ位置xc、縦軸はキャリッジモーター53の電流値を示す。キャリッジ位置xcは、第2カウンター102の値で示される。本例では、電流値は、制御部100がキャリッジモーター53の駆動回路に指令する電流指令値を用いる。例えば、制御部100は、キャリッジモーター53をPWM(Pulse Width Modulation)制御で制御する。この場合、電流値はPWMデューティー値である。なお、電流値は、キャリッジモーター53の電流値を不図示のセンサーで検出した値を用いてもよい。
図16に示すように、キャリッジ51は、走査領域SAの全域のうち両端部を外したメジャメント領域でメジャメント動作を行う。メジャメント領域は、キャリッジ位置xcがxm1≦xc≦xm2を満たす範囲である。位置xm1は、キャリッジ51が第1規制面35Aに接触する位置である原点よりも大きな値(xm1>0)の位置であり、例えばホーム位置HPまたはそれよりも記録領域PA側の位置である。また、位置xm2は、キャリッジ51が被操作部70に接触しない位置である。メジャメント領域は、例えば、記録領域PAであってもよい。要するに、メジャメント領域は、キャリッジ51がホーム位置側で規制面35Aに当たるのを避け、かつ被操作部70を押し込む操作領域を避けた領域であれば任意に設定できる。
メジャメント動作によって図16にグラフで示す電流値プロファイルが得られたとする。制御部100は、電流値プロファイルのうち最大電流値Dmaxにオフセット値を加算して閾値D1を設定する。オフセット値は、キャリッジ51が被操作部70を押し込むときの押込み負荷に相当する電流値とマージン値との和である。制御部100は、キャリッジモーター53を所定の速度プロファイルに従ってフィードバック制御で速度制御を行う。フィードバック制御では、キャリッジ51の実速度と目標速度との差分に応じて電流値の増分が決まる。このため、キャリッジ51が被操作部70の押し込みを完了して第2規制面36Aに接触したときに、電流値が閾値D1を超える。この閾値D1は、タイミングベルト54の歯飛びトルクに相当する電流値Dts、すなわち歯飛びトルク電流換算値Dts未満の範囲内の値に設定される。メジャメント動作に基づき設定される閾値D1は、閾値の初期値である。第1歯車67と第2歯車68とが噛み合わない切替機構71の接続ミスが発生したとき、閾値D1は、タイミングベルト54の歯飛びトルク電流換算値Dts未満の範囲内で増大される。なお、メジャメント動作は、複数回の電源投入につき1回の割で行うことが好ましいが、電源投入時に毎回行ってもよい。
次に、記録装置11の作用について説明する。
閾値D1は、その初期値に設定される。記録装置11の電源オン時に、制御部100はキャリッジ51のメジャメント動作を行う。メジャメント動作では、キャリッジ51は、メジャメント領域の範囲内で駆動される。このメジャメント動作で、制御部100は、キャリッジ51に働く負荷を測定する。制御部100は、メジャメント動作で測定した測定結果に基づいて初期の閾値D1を決定する。詳しくは、制御部100は、図16に示すように、キャリッジ51を一定速度で移動させるときに必要な電流値をキャリッジ位置ごとに測定し、メジャメント領域におけるキャリッジモーター53の電流値をプロットした電流値プロファイルを取得する。制御部100は、電流値プロファイルのうちの最大電流値Dmaxに、押込み負荷に相当する電流値分を含む電流値であるオフセット値ΔDmを加算して、初期の閾値D1を求める。ここで、オフセット値ΔDmは、押込み負荷に相当する電流値ΔD1とマージン電流値ΔD2との和で与えられる。つまり、閾値D1は、電流値プロファイルのうちの最大電流値Dmaxに、押込み負荷に相当する電流値ΔD1を加算して得られる電流値Dp(=Dmax+ΔD1)に対して、さらにマージン電流値ΔD2を加算した値である。初期の閾値D1は、D1=Dmax+ΔD1+ΔD2で与えられる。
また、不揮発性メモリー104には、接続位置CP(図10参照)の情報の他、タイミングベルト54の歯飛びトルクを電流値に換算した値である歯飛びトルク電流換算値が記憶されている。制御部100は、閾値D1を、歯飛びトルク電流換算値未満の値に設定する。
よって、初期の閾値D1は、ガイド部材17,18から摺動抵抗を負荷として受けるキャリッジ51を一定速度で移動させるために必要な最大電流値Dmaxにキャリッジ51が被操作部70を押し込むときに必要な押込み負荷ΔD1に相当する電流換算値を加えた電流値にマージン電流値ΔD2を加えた値に設定される。また、閾値D1は、タイミングベルト54の歯飛びトルクに相当する電流値Dts未満の値に設定される。このように閾値D1は、Dmax<D1<Dtsに設定される。そして、初期の閾値D1は、予め決められた増分値ΔDで1回または複数回の増大をしても、歯飛びトルク電流換算値Dtsを超えない値である。
以下、図21に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明において図11〜図20を適宜参照する。
まず、ステップS11では、制御部100は、キャリッジ51を接続位置近傍まで第1方向X1に移動させる。ここで、接続位置CPの近傍位置とは、キャリッジ51が被操作部70の押込みを開始する押込み操作開始位置xsである。つまり、キャリッジ51が押込み操作領域での押込みを開始する位置である。押込み操作開始位置xsは、キャリッジ51が被操作部70に接触する位置よりも手前(第2方向X2側)の位置、被操作部70に丁度接触する位置、あるいは被操作部70に接触したのち僅かに押し込んだ位置のいずれかである。本例では、第1歯車67と第2歯車68との噛合開始位置Xhよりも1〜30mmの範囲内の所定距離だけ第2方向X2側の位置に設定されている。キャリッジ51は、ホーム位置HPから印刷時と同様の高速度で、第1方向X1に向かって、接続位置CPの近傍位置である押込み操作開始位置xsまで移動する。
次のステップS12では、制御部100は、キャリッジ51を接続位置CPまで移動させる。制御部100は、キャリッジモーター53をフィードバック制御し、キャリッジ51を所定の速度プロファイルに沿って制御する。制御部100は、キャリッジ51の実速度と目標速度との差分を小さくする演算により電流指令値を求め、その求めた電流指令値をキャリッジモーター53に電流を供給する駆動回路(図示略)に指令する。制御部100を自身が出力する電流指令値を監視することで、キャリッジモーター53に流れる電流の値を監視する。キャリッジモーター53に流れる電流の値は、キャリッジ51に働く負荷に応じて変化する。キャリッジモーター53の電流値は、キャリッジ51に働く負荷が大きいほど大きくなる。
ステップS13では、制御部100は、電流値が閾値を超えたか否かを判定する。すなわち、制御部100は、キャリッジ51が接続位置近傍の押込み操作開始位置xsから第1方向X1に移動を開始したその移動中にキャリッジモーター53の電流値が閾値を超えたか否かを判定する。制御部100は、電流値が閾値を超えなければ、キャリッジモーター53の駆動を継続し、電流値が閾値を超えると、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、制御部100は、キャリッジ51を停止させる。制御部100は、キャリッジモーター53の駆動を停止させる。
ステップS15では、制御部100は、キャリッジ位置xcを取得する。制御部100は、キャリッジ51が停止したときのキャリッジ位置xcを、第2カウンター102の計数値から取得する。
ステップS16では、制御部100は、不揮発性メモリー104から接続位置CPの情報を読み出す。この接続位置CPは、キャリッジ51が切替機構71を非接続状態から接続状態へ切り替える切替えが成功したときのキャリッジ51の停止位置を示す位置情報である。接続位置CPは、記録装置11の出荷検査時に検査員により不揮発性メモリー104に書き込まれる。本例では、接続位置CPは、x1≦CP≦x2を満たす範囲を含む位置情報である。
ステップS17では、制御部100は、キャリッジ位置が接続位置CPであるか否かを判定する。ここで、接続位置CPとは、切替機構71が接続状態にあることを保証できるキャリッジ51の位置または位置範囲を指す。本例では、x1≦CP≦x2であることから、制御部100は、キャリッジ位置xcが、x1≦xc≦x2を満たすか否かを判定する。制御部100は、キャリッジ位置xcが接続位置CPでなければステップS18に進み、キャリッジ位置xcが接続位置CPであればステップS21に進む。
図17に示すように、制御部100は、キャリッジ51を目標速度で移動させるべく速度制御する。このとき、制御部100は、キャリッジ51の実速度と目標速度との差を小さくするフィードバック制御を行うので、キャリッジ51の移動中の負荷に応じてキャリッジモーター53の駆動回路へ指令する電流値が増減する。キャリッジ51が押込み操作開始位置xsから被操作部70を操作し始めると、その押込み負荷が加わるので、さらに電流値が上昇する。そして、キャリッジ51が、被操作部70を押し込んで規制面36Aに接触する接続位置CPに達すると、電流値が閾値D1を超える。つまり、キャリッジ51が規制面36Aに当たって急減速すると、フィードバック制御によりキャリッジモーター53の電流値が急上昇し、閾値D1を超える。
図18は、図17における押込み操作領域の周辺を拡大したグラフである。図18に示すように、キャリッジ位置xcが、操作開始位置xsを過ぎると、キャリッジ51は押込み操作による押込み負荷を受けるため、電流値は上昇する。キャリッジ51の押込み操作によって、図12、図14に示すように、第2歯車68は第1歯車67と噛み合う。キャリッジ51が規制面36Aに接触して電流値が閾値D1を超えると、キャリッジモーター53への電流の供給が停止され、キャリッジ51は停止する。
第1歯車67と第2歯車68とが噛み合って切替機構71の接続に成功した場合、キャリッジ位置xcが、不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPと一致する。すなわち、キャリッジ位置xcが、x1≦xc≦x2を満たす位置にある(ステップS17で肯定判定)。
ステップS21では、制御部100は、搬送モーター48を駆動させてギャップ切替え動作を行う。すなわち、制御部100は、搬送モーター48を駆動させると、その動力は第1輪列と第2輪列を介して第1ガイド部材17に伝達され、第1ガイド部材17が軸回転する。第1ガイド部材17が軸回転することにより、カム機構62を介して第1ガイド部材17の高さ位置が変化する。この結果、第1ガイド部材17に支持されたキャリッジ51の高さ位置が変化する。
ステップS22では、制御部100は、センサー85がオンしたか否かを判定する。制御部100は、現在のギャップに対応する被検知部を検知しなくなった後、次の被検知部を検知したセンサー85がオンすると、ステップS23に進む。一方、制御部100は、現在のギャップに対応する被検知部を検知しなくなった後、次の被検知部を検知できる回転量だけ搬送モーター48を駆動したにも関わらずセンサー85がオンしなかった場合はステップS24に進む。
ステップS23では、制御部100は、目標ギャップに到達したか否かを判定する。制御部100は、目標ギャップに到達していなければ、ステップS22に戻り、次にセンサー85がオンすると、再びステップS23で、制御部100は、目標ギャップに到達したか否かを判定する。そして、ステップS24で、目標ギャップに到達したと判定するまで、ステップS22,S23の処理を繰り返し、目標ギャップに到達すると、ステップS25に進む。
ステップS25では、制御部100は、搬送モーター48を駆動停止させる。この結果、キャリッジ51は、記録ヘッド52と支持部16とのギャップが目標ギャップとなる高さ位置で停止する。この結果、記録ヘッド52と支持部16とのギャップは、目標ギャップに調整される。
一方、ステップS24では、制御部100は、エラー判定とする。エラーとする理由は、キャリッジ位置xcが接続位置CPにあるにも関わらず、センサー85がオンしない場合は、センサー85の故障と推定される。よって、制御部100は、検知部80の故障としてエラー判定を行う。エラー判定の場合、制御部100は、表示部26にエラーの原因および解決方法を、文字情報や画像により表示する。
一方、ステップS17で、キャリッジ位置xcが接続位置CPでないケースとして、次の2つの場合がある。第1に、図11、図13に示すように、切替機構71を構成する第1歯車67と第2歯車68との歯先が当たり、第1歯車67と第2歯車68とが噛み合うことができない場合である。この場合、図19に示すように、押込み操作開始位置xsから押込み操作を開始したキャリッジ51は、2つの歯車67,68の歯先が当たったキャリッジ位置xhで、負荷が急激に大きくなって電流値が閾値D1を超え(ステップS13で肯定判定)、キャリッジモーター53の駆動が停止されることで停止する(ステップS14)。この場合、ステップS17で、キャリッジ位置xcは、2つの歯車67,68の歯先が当たった位置xhにあり、接続位置CPにある条件であるx1≦xc≦x2を満たしていない。よって、制御部100は、キャリッジ位置xcは接続位置CPにはないと判定する。
第2に、図20に示すように、キャリッジ51の移動負荷が過度に大きい場合である。この場合、キャリッジ51が押込み操作開始位置xsから押込み操作を開始すると、過大な移動負荷によって正常時より電流値が過大に上昇し、押込み操作途中のキャリッジ位置xnで電流値が閾値D1を超えてしまう(ステップS13で肯定判定)。この場合、制御部100が、キャリッジモーター53の駆動を停止させることにより(ステップS14)、キャリッジ51は接続位置CPに到達する手前のキャリッジ位置xnで停止する。よって、ステップS17で、制御部100は、キャリッジ位置xcは接続位置CPではないと判定する。なお、キャリッジ51の移動負荷が大きくなる原因は、キャリッジ51とガイド部材17,18との摺動箇所のグリス不足や経年劣化によるがたつき等によるキャリッジ51の過大な摺動抵抗が挙げられる。
以上説明した2つの例によりキャリッジ51が接続位置CPの手前で停止した場合、制御部100は、ステップS18に進む。ステップS18では、制御部100は、キャリッジ51を第2方向X2に微小駆動させる。すなわち、制御部100は、キャリッジモーター53を逆転駆動させてキャリッジ51を微小距離だけ第2方向X2へ移動させる。ここで、キャリッジ51を微小距離だけ第2方向X2へ戻すのは、仮に第1歯車67と第2歯車68との歯先当たりが原因である場合を想定し、その当たった歯先同士を離間させるためである。微小距離は、例えば0.5〜10mmの範囲内の所定距離である。例えば、キャリッジ51は押込み操作開始位置xsよりも第1方向X1側の位置まで戻される。なお、キャリッジ51を戻す距離は短いほど所要時間が短く済むので好ましいが、キャリッジ51を押込み操作開始位置xsまで戻してもよいし、さらに押込み操作開始位置xsよりも第2方向X2側の位置までへ戻してもよい。
ステップS19では、制御部100は、搬送モーター48を駆動させ、第1歯車67と第2歯車68とを半歯ずらす。詳しくは、制御部100は、搬送モーター48を駆動させ、第1歯車67を歯部67Aのピッチの半分に相当する半歯分だけ回転させる。例えば、図13に示すように、第1歯車67と第2歯車68とが歯先当たりの状態にある場合、第1歯車67を回転させて半歯ずらすことで、図14に示すように、2つの歯車67,68が噛み合い可能な回転位置の関係となる。このように、制御部100は、キャリッジ51が不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPにいない場合、搬送モーター48を駆動させて、第2歯車68に対する第1歯車67の位相を歯部67A,68Aの1ピッチ未満の回転量の分だけずらす条件変更処理を行う。歯部67A,68Aの1ピッチ未満の回転量の分だけずらす構成であればよく、歯部67A,68Aの半ピッチ分ずらす構成に限定されない。もっとも、2つの歯車67,68は、どのような歯先当たりの状態にあっても、歯部67A,68Aの位相が半歯分ずれれば、第2歯車68の歯部68Aが第1歯車67の斜面67Bに案内されることで両歯車67,68が噛み合い可能な回転位置の関係となる。
ステップS20では、制御部100は、閾値を増大する。現在は閾値D1であるので、この閾値D1を増分値ΔDだけ増大する。例えば、閾値Dn(但し、添字nは自然数)とすると、閾値Dnの初期値はD1であり、増分値ΔDを増分する度に、閾値Dnは、D2,D3,…と大きくなる。ここで、増分値ΔDは、初期の閾値D1と歯飛びトルク電流換算値Dtsとの差分よりも小さな値であり、初期の閾値D1に増分値ΔDを加算しても、歯飛びトルク電流換算値Dts(以下、単に「電流値ts」ともいう。)を超えない値に設定されている。本例では、初期の閾値D1を複数回増大させても、電流値Dtsを超えない値に設定されている。制御部100は、ステップS12〜S21の処理において、キャリッジ51が不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPにある場合、搬送モーター48を駆動してギャップ調整機構61によるギャップ切替えを行い(S21)、キャリッジ51が接続位置CPにいない場合、閾値D1を増大させる条件変更処理を行う(S20)。制御部100は、ステップS20の処理を終えると、ステップS12に戻る。
そして、ステップS12〜S17において、前述の同様の処理を行う。つまり、制御部100は、ステップS18におけるキャリッジ51の第2方向X2への移動と、ステップS19およびS20における条件変更処理とを行った後、キャリッジモーター53を制御し、キャリッジ51が被操作部70を押し込む押込み操作をリトライする(S12〜S14)。このように、制御部100は、条件変更処理(S19,S20)の後、キャリッジ51に被操作部70を操作する動作をリトライさせる。
例えば、切替機構71を構成する2つの歯車67,68の歯先当たりが原因で、2つの歯車67,68が噛み合っていない場合、先のステップS19で半歯ずらした後に、ステップS12で、接続位置までキャリッジ51を移動させるので、図12、図14に示すように、2つの歯車67,68は噛み合う。すなわち、キャリッジ51は、被操作部70を押し込んで規制面36Aに当たったときに電流値が閾値D1を超えることで(ステップS13で肯定判定)停止する(ステップS14)。このとき、ステップS17で、キャリッジ位置xcが接続位置CPであると判定されるので、以後、制御部100は、ステップS21〜S23,S25の処理を行う。この結果、ギャップ調整機構61によってキャリッジ51の高さ位置が切り替えられ、これによりギャップPGが目標ギャップに切り替えられる。
また、キャリッジ51の過度な負荷変動が原因で電流値が閾値D1を超えてしまい、キャリッジ51が接続位置CPに到達する前に停止した場合、条件変更処理として、閾値Dnを初期の閾値D1から増分値ΔDだけ増大させた閾値D2(=D1+ΔD)とする(ステップS20)。この結果、図20に示すように、キャリッジ51の負荷変動が原因で電流値が閾値D1を超えキャリッジ位置xcが接続位置CPに到達する前に停止しても、今度の閾値D2を超える前に、キャリッジ51は被操作部70を押し込んで規制面36Aに当たる。キャリッジ51は、規制面36Aに当たったときに電流値が閾値D2を超えると(ステップS13で肯定判定)、停止する(ステップS14)。このとき、ステップS17で、キャリッジ位置xcが接続位置CPであると判定されるので、以後、制御部100は、ステップS21〜S23,S25の処理を行う。この結果、ギャップ調整機構61によってキャリッジ51の高さ位置が切り替えられ、これによりギャップPGが目標ギャップに調整される。
また、閾値D2でも、キャリッジ51の負荷変動によって、キャリッジ51が接続位置CPに到達する手前の位置で停止した場合、キャリッジ位置xcが接続位置CPでないと判定されるので(ステップS17で否定判定)、制御部100は、ステップS20で閾値Dnをさらに増大させる。すなわち、制御部100は、現在の閾値D2に増分値ΔDを加算して閾値D3を設定する(ステップS20)。こうして、制御部100が、閾値Dnを歯飛びトルク電流換算値Dts未満の範囲内で段階的に増大させることにより、キャリッジ51は2つの歯車67,68が噛み合う位置まで被操作部70を押し込み操作することができる。また、閾値Dnは、歯飛びトルク電流換算値Dts未満の値に留められるので、キャリッジ51が押込み操作を行うときにタイミングベルト54の歯飛びを防止できる。
制御部100は、ギャップ切替え動作を成功した場合、その成功したキャリッジ51が停止しているキャリッジ位置xcを含む接続位置CPの情報を不揮発性メモリー104に記憶する。こうして、ギャップ切替え動作が成功する度に不揮発性メモリー104に記憶される接続位置CPの情報が更新される。なお、ギャップ切替え動作が成功したときのキャリッジ位置xcを位置x0として決まる位置x1,x2を用いて、接続位置CPの情報としてx1≦CP≦x2を更新する。
キャリッジ51のリトライ動作は、例えば0.1秒程度の短い所要時間で済む。これに対して、2つの歯車67,68の噛み合いを確認することなく、搬送モーター48を駆動させ、センサー85が次の検知状態に切り替わらないことをもって、切替機構71の接続の失敗を判定することはできる。しかし、搬送モーター48を低速駆動させる必要があり、切替機構71の接続の失敗を判定するまでに約1秒程度の時間を要する。これは、キャリッジ51のリトライ動作を行う場合に比べ,約10倍の時間を費やすことになる。
搬送モーター48を低速駆動させる理由は、第1輪列65および第2輪列66が重く、特に第1ガイド部材17を上昇させるときの負荷が大きいので、大きなトルクを得るために搬送モーター48を低速度で駆動させる必要があるからである。このため、搬送モーター48を駆動させて検知部80の検出信号の変化から切替機構71の接続が成功か失敗かを判定する方法は、搬送モーター48を無駄に駆動させるだけでなくその判定に長時間を要する。また、2つの歯車67,68の歯先が当たった状態で搬送モーター48が駆動されると、歯車67,68が擦れて異音が発生する。この種の異音を抑制するためにも、搬送モーター48を低速駆動させる必要がある。
これに対して、本実施形態では、キャリッジ51の位置情報から切替機構71の接続が成功か失敗かを判定し、接続が失敗した場合は、接続失敗の原因を取り除く半歯ずらし処理および閾値増大処理を含むリトライ用の条件変更処理を行う。このとき、キャリッジ51を微小距離、例えば0.5〜10mmの範囲内の所定距離だけ戻してリトライするので、ギャップ調整に要する所要時間が短く済む。よって、ギャップPGを目標ギャップに速やかに切り替えることができる。
また、記録装置11を購入してはじめて使用する初期には、不揮発性メモリー104に接続位置CPの情報が記憶されていなくてもよい。この場合、接続位置CPの情報がなく、ステップS17の判定ができないので、制御部100はステップS21へ進む。制御部100は、ステップS21で、搬送モーター48を駆動させてギャップ切替え動作を行う。搬送モーター48の駆動開始後、制御部100は、複数の被検知部81〜84のうち次の1つをセンサー85が検知してオンするか否かを判定する(ステップS22)。さらに、制御部100は、センサー85がオンし、かつ目標ギャップに到達すると(ステップS23で肯定判定)、搬送モーター48の駆動を停止するとともに、そのときのキャリッジ位置xcを位置x0とする接続位置CPの情報、つまりx1≦CP≦x2を不揮発性メモリー104に記憶する。すなわち、制御部100は、搬送モーター48を駆動させたときにギャップ調整機構61の駆動が検知されたときのキャリッジ51の位置を不揮発性メモリー104に記憶する。もし、搬送モーター48を所定の回転量だけ駆動させてもセンサー85がオンしなかった場合(ステップS22で否定判定)、切替機構71が接続されていないことになるので、その時点でステップS18へ進む。そして、ステップS18〜S20の条件変更処理を行った後、ステップS12〜S17の処理を同様に行う。このとき、まだ接続位置CPの情報がないことからステップS17では判定できないので、ステップS21へ進み、ステップS21〜S23,S25の処理を行う。搬送モーター48の駆動開始後(S21)、センサー85がオンして(S22)、かつ目標ギャップに到達し(S23)、切替機構71の接続およびギャップ切替え動作が成功すれば、そのときのキャリッジ位置xcを位置x0とした接続位置CPの情報を不揮発性メモリー104に記憶する。このように、制御部100は、搬送モーター48を所定の駆動量だけ駆動させても検知部80の検知が無かった場合、キャリッジ51に被操作部70を押す動作をリトライさせる。このリトライの後、制御部100は、搬送モーター48を駆動させて検知部80がギャップ調整機構61の駆動を検知すると、第2カウンター102が計数しているキャリッジ位置xcを含む接続位置CPの情報を不揮発性メモリー104に記憶する。
不揮発性メモリー104に接続位置CPの情報が記憶された状態において、制御部100は、キャリッジ51のリトライにおいて再び切替機構71の接続に失敗すると(ステップS17で否定判定)、失敗の度に閾値Dnをさらに大きな値に変更し(ステップS20)、前記リトライ(ステップS12〜S17)を複数回繰り返す。このため、切替機構71の接続に複数回失敗しても、複数回のリトライによって切替機構71を接続できる頻度を一層高くすることが可能である。
上記実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)制御部100は、第2駆動源の一例であるキャリッジモーター53の負荷を検出し、キャリッジ51が被操作部70を操作するときの負荷が閾値D1を超えると、キャリッジモーター53を停止させる。このとき、キャリッジ51の移動中の過大な負荷、あるいは切替機構71の2つの歯車67,68の歯先当たりを原因とする切替機構71の接続ミスによって、キャリッジ51が接続位置CPに達する前に停止する場合がある。制御部100は、被操作部70を操作する動作で停止したキャリッジ51の位置が、不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPであれば、装置本体12の一部(本例では搬送機構40)を駆動する第1駆動源の一例である搬送モーター48を駆動してギャップ調整機構61にギャップPGを切り替えさせる。一方、制御部100は、キャリッジ51の位置が接続位置CPでなければ、ギャップ調整機構61を駆動させるための搬送モーター48の駆動は行わない。
この結果、切替機構71の接続に失敗した場合、搬送モーター48を無駄に駆動させることを回避できる。一方、キャリッジ位置xcが接続位置CPであれば、制御部100は、搬送モーター48を駆動させる。この結果、ギャップ調整機構61が駆動され、記録ヘッド52と支持部16とのギャップPGが切り替えられる。よって、キャリッジ51が切替機構71の接続に失敗した場合、ギャップ調整機構61の駆動源である搬送モーター48を無駄に駆動させることを回避できる。
(2)第1駆動源が、搬送機構40を駆動させる駆動源であるので、搬送機構40を駆動させる駆動源の動力を利用して、ギャップ調整機構61を駆動させることができる。
(3)制御部100は、キャリッジ51が不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPにいない場合、キャリッジモーター53を駆動してキャリッジ51を被操作部70が操作される方向と反対の方向へ移動させた後、前回と条件を変更してキャリッジ51に被操作部70を操作する動作をリトライさせる。このため、キャリッジ51のリトライによって切替機構71の接続に成功する頻度が高まる。また、前回と同じ条件でキャリッジ51がリトライする場合に比べ、切替機構71の接続に成功する頻度が高まる。
(4)制御部100は、キャリッジ51が不揮発性メモリーに記憶された接続位置CPにいない場合、閾値D1を大きくする条件変更処理を行う。よって、キャリッジ51が移動中の負荷変動が原因で操作位置に至る手前で停止してしまい、切替機構71の接続に失敗した場合、制御部100は、閾値D1を大きくする条件変更処理を行った後、キャリッジ51に被操作部70を操作する動作をリトライさせる。よって、切替機構71の接続に成功する頻度が高まる。
(5)切替機構71は、第1歯車67と、第1歯車67と噛み合い可能かつ第1歯車67の軸方向と平行な軸方向に移動可能な第2歯車68と、第2歯車68が第1歯車67と噛み合う位置まで付勢力に抗して押し込み可能に第2歯車68に設けられた被操作部70とを備える。制御部100は、キャリッジ51が不揮発性メモリー104に記憶された接続位置CPにいない場合、キャリッジモーター53を駆動してキャリッジ51を被操作部70が操作される第1方向X1と反対の第2方向X2へ移動させた後、搬送モーター48を駆動して、第1歯車67と第2歯車68とのうち一方を回転させる条件変更処理を行う。よって、第1歯車67と第2歯車68との歯先当たりが原因で接続に失敗した場合でも、両歯車67,68の位相をずらした後に、キャリッジ51が被操作部70を付勢力に抗して押し込むリトライ動作を行うことで、第1歯車67と第2歯車68とを噛み合わせることができる。この結果、搬送モーター48を駆動させてギャップ調整機構61によるギャップ切替えを行うことができる。
(6)制御部100は、条件変更処理において、第1歯車67と第2歯車68との位相を歯部67Aの1ピッチ未満の回転量の分だけずらす。よって、条件変更処理で2つの歯車67,68の位相が必ずずれるので、キャリッジ51が被操作部70を操作する動作をリトライしたときに切替機構71が接続される頻度が高まる。
(7)キャリッジ51はキャリッジモーター53と歯付きベルトよりなるタイミングベルト54を介して動力伝達可能に接続される。制御部100は、条件変更処理において、タイミングベルト54の歯飛びが発生する歯飛びトルク未満の範囲内で閾値Dnを大きな値に変更する。つまり、制御部100は、タイミングベルト54の歯飛びトルク電流換算値Dts未満の範囲内で閾値Dnを大きな値に変更する。よって、切替機構71の接続に成功する頻度が高まるうえ、キャリッジ51が被操作部70を操作する動作を行うときにタイミングベルト54が歯飛びする事態を回避できる。
(8)制御部100は、キャリッジ51がリトライで再び切替機構71の接続に失敗すると、失敗の度に閾値Dnをさらに大きな値に変更し、キャリッジ51のリトライを複数回繰り返す。よって、切替機構71の接続に複数回失敗しても、複数回のリトライによって切替機構71の接続に成功する頻度が一層高まる。
(9)記録装置11は、ギャップ調整機構61が駆動されていることを検知する検知部80を備える。制御部100は、搬送モーター48を駆動させたときにギャップ調整機構61の駆動が検知されたときのキャリッジ51の位置を含む接続位置CPの情報を不揮発性メモリー104に記憶する。よって、記録装置11をはじめて使用するときなど、不揮発性メモリー104に接続位置CPの情報がまだ記憶されていない場合、切替機構71の接続に成功したときのキャリッジ51の位置を含む適切な位置情報を不揮発性メモリー104に記憶させることができる。不揮発性メモリー104が、接続位置CPの情報が記憶されないまま放置される期間を短縮できる。
(10)制御部100は、搬送モーター48を駆動させても検知部80の検知が無かった場合、キャリッジ51に被操作部70を操作する動作をリトライさせ、このリトライの後、搬送モーター48を駆動させて検知部80の検知があると、そのときのキャリッジ位置xcを含む接続位置CPの情報を、不揮発性メモリー104に記憶する。よって、キャリッジ51が切替機構71の接続に失敗しても、その後のリトライによって切替機構71を接続できる頻度が高まる。また、記録装置11がはじめて使用されるときなど不揮発性メモリー104に接続位置CPの情報がまだ記憶されていない場合、切替機構71の接続に成功したときのキャリッジ位置を含む接続位置CPの情報を不揮発性メモリー104に記憶させることができる。この場合、不揮発性メモリー104が、位置情報が記憶されないまま放置される期間を短縮できる。
(11)記録装置11は、キャリッジ51が被操作部70を操作することで装置本体12の一部を駆動する第1駆動源の一例である搬送モーター48とギャップ調整機構61との動力伝達の接離が切り替えられる切替機構71と、キャリッジ51の位置を検出する検出部(リニアエンコーダー93)とを備える。また、記録装置11は、接続位置CPの情報を記憶する不揮発性メモリー104と、制御部100とを備える。記録装置11の制御方法は、キャリッジ51を移動させて被操作部70を操作させるとともにキャリッジ51の負荷が閾値Dnを超えると停止させること(S12〜S14)を含む。さらに、この制御方法では、以下の処理を含む。キャリッジ51の停止位置が、不揮発性メモリー104から読み出した接続位置CPにあれば、搬送モーター48を駆動させてギャップ調整機構61にギャップPGを切り替えさせる(S17,S21〜S23,S25)。一方、キャリッジ51の停止位置が接続位置CPでなければ、ギャップ調整機構61を駆動させるための搬送モーター48の駆動は行わない(S17,S18)。後者の場合、本実施形態では、キャリッジ51が被操作部70を操作する動作で停止した停止位置にあるうちは搬送モーター48を駆動させない。キャリッジ51が停止位置から第2方向X2へ移動した後、条件変更処理のための搬送モーター48の駆動は行う。よって、キャリッジ51が切替機構71の接続に失敗した場合、搬送モーター48が無駄に駆動されることを回避できる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
・ステップS19の処理は、2つの歯車67,68の歯部67A,68Aの1ピッチ未満の回転量の分だけ位相をずらす条件変更処理であればよい。例えば、歯部67A,68Aの1ピッチ未満の回転量の分だけ位相をずらせられれば、第1歯車67の回転量は、歯部67Aの1ピッチを超えてもよい。例えば、1.5ピッチ、2.5ピッチでもよい。さらには第1歯車67の回転角の高精度の制御が困難な場合は、第1歯車67を微量回転させる制御としてもよい。この構成でも、第1歯車67を回転させれば、元の位相と異なる位相となる確率の方が十分高いので、ほぼ同様の効果が得られる。
・切替機構71の接続に失敗した場合、第1歯車67と第2歯車68との回転位置をずらす動作をまず行い、それでもリトライ動作で切替機構71の接続に失敗すると、次に閾値を大きくする処理を行ったうえでリトライ動作を行う構成でもよい。
・切替機構71の接続に失敗した場合、閾値を大きくする処理をまず行ったうえでリトライ動作を行い、それでもリトライ動作で接続に失敗すると、次に第1歯車67と第2歯車68との回転位置をずらす動作を行ったうえでリトライ動作を行う構成でもよい。
・第1歯車67と第2歯車68との回転位置をずらす動作と、閾値Dnを大きくする処理とのうち一方のみ実施してもよい。
・キャリッジ51のリトライ動作回数に制限を設けてもよい。例えば、1回、2回、3回のうちの1つを制限回数に設定してもよい。
・条件変更処理は、2つの歯車67,68の位相をずらす処理や、閾値Dnを大きくする処理に限定されず、キャリッジ51が切替機構71を接続するときの条件を変更することができれば、他の処理でもよい。キャリッジ51の動作条件と、切替機構71の状態条件のうち少なくとも一方の条件を変更する処理を採用することができる。キャリッジ51の動作条件としては、移動開始位置等の位置条件、速度条件、停止条件などが挙げられる。閾値の増大は、停止条件を変更する1つの処理である。停止条件を変更する他の処理を採用してもよい。切替機構71の状態条件としては、振動を発生させる処理でもよい。
・接続位置CPは、x1≦CP≦x2を満たす範囲を含む位置情報に限定されず、例えば、CP=x0のような所定の位置を示す位置情報でもよい。但し、キャリッジ位置xcのばらつき誤差aを考慮し、CP=x0±aの範囲にある場合を、CP=x0とみなすことが好ましい。
・被操作部70は、押込み式に限定されず、キャリッジ51によりレバー操作される切換えレバーでもよい。例えば、切換えレバーは、キャリッジ51の移動経路空間である走査領域SA内に突出する状態で、走査領域SAの背面側または前面側に設けられる。キャリッジ51が走査方向Xに移動して切換えレバーをばねの付勢力に抗して第1方向X1または第2方向X2に押すことで切替機構71は切り替えられる。なお、切換えレバーは、記録動作中のキャリッジ51が操作できないように記録領域PAの外側に配置されることが好ましい。
・切替機構71は、歯車式に限定されない。クラッチ式でもよい。例えば、キャリッジ51が被操作部70を操作位置に操作すると、クラッチ式の切替機構71が接続される構成でもよい。
・切替機構71の被操作部70は、操作位置に操作されたのちキャリッジ51が離れても操作位置に保持され、キャリッジ51が操作位置にある被操作部70を押すと、被操作部70が操作位置から非操作位置へ復帰する構成でもよい。
・ギャップ調整機構61を駆動させる第1駆動源は、搬送モーター48に限らず、給送系または排出系のモーターでもよい。例えば、第1駆動源は給送モーター44でもよい。また、排出部43を専用のモーターで駆動し、この排出用のモーターを第1駆動源としてもよい。
・ギャップ調整機構61を駆動させる第1駆動源は、搬送モーター48、給送モーター44および排出用モーターなどの搬送系のモーターに限定されない。例えば、記録ヘッド52のメンテナンスを行うメンテナンス装置を駆動させるメンテナンス系のモーターでもよい。また、搬送系およびメンテナンス系以外の他のモーターでもよい。要するに、第1駆動源は、記録装置11の装置本体12の一部を駆動する、第2駆動源以外の駆動源であればよい。
・第1駆動源は、モーター以外のアクチュエーターでもよい。例えば、電動シリンダーやソレノイド等でもよい。この場合、第1駆動源が出力する直線運動を回転運動に変換する変換機構を用いて、第1ガイド部材17を軸回転させればよい。
・切替機構71の2つの歯車67,歯車68が噛合位置と非噛合位置とに相対移動する方向は、歯車の軸方向に限定されない。例えば、特許文献1に記載された切替機構のように、遊星歯車が中間歯車に対して歯車の軸方向と交差する方向に移動する構成でもよい。
・第2駆動源は、キャリッジモーター53等のモーターに限定されず、例えば、電動シリンダーやソレノイド等でもよい。
・搬送機構40は、ローラー搬送方式に替え、ベルト搬送方式でもよい。
・記録装置11は、用紙等の媒体に印刷する印刷装置に限定されず、布に印刷する捺染装置でもよい。
・記録装置11は、記録ユニット50が走査方向Xに往復移動するシリアルプリンターに限定されず、記録ユニット50が主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターでもよい。
・記録装置11は、複合機に限定されず、読取ユニット30を搭載しないプリンターでもよい。
・媒体Mは、用紙に限らず、可撓性のプラスチックフィルムや、布、不織布などであってもよいし、ラミネートでもよい。
・記録装置は、印刷用のプリンターに限定されない。例えば、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体を吐出し、媒体の一例である基板に電気配線パターン、又は、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)及び面発光などの各種の方式のディスプレイの画素を製造するものでもよい。
・記録装置11は、インクジェット方式に限定されず、ワイヤインパクト式の記録装置、熱転写式の記録装置であってもよい。記録ヘッドと支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構を備える記録装置であれば、記録方式は特に限定されない。
前記実施形態および変更例から把握される技術思想を、その作用効果と共に以下に記載する。
記録装置は、媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体を支持する支持部と、前記支持部に支持された前記媒体に記録する記録ヘッドと、前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、前記キャリッジを移動させる第2駆動源と、前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、前記キャリッジの移動経路に設けられる被操作部を操作することで前記第1駆動源と前記ギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、前記第2駆動源の負荷を検出し、前記キャリッジが前記被操作部を操作するときの前記負荷が閾値を超えると、前記第2駆動源を停止させる制御部と、前記被操作部が前記切替機構を接続させる操作位置にあるときの前記キャリッジの位置を示す位置情報を記憶する不揮発性メモリーと、を備え、前記制御部は、前記被操作部を操作する動作で停止した前記キャリッジの位置が、前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動して前記ギャップ調整機構にギャップを切り替えさせ、前記位置情報の位置でなければ、前記ギャップ調整機構を駆動させるための前記第1駆動源の駆動は行わない。
この構成によれば、制御部は、キャリッジが被操作部を操作する動作で第2駆動源の負荷が閾値を超えると、第2駆動源を停止させる。このとき、キャリッジは、正常時よりも過大な負荷変動、あるいは切替機構の2つの歯車の歯先当たりを原因とし、切替機構の接続に失敗する場合がある。このときのキャリッジの停止位置は、不揮発性メモリーに記憶された位置情報の位置ではないので、制御部は、ギャップ調整機構を駆動させるための第1駆動源の駆動は行わない。一方、切替機構の接続に成功した場合、キャリッジの位置は、不揮発性メモリーに記憶された位置情報の位置であるので、制御部は、第1駆動源を駆動させる。この結果、ギャップ調整機構が駆動され、ギャップが切り替えられる。よって、キャリッジが切替機構の接続に失敗した場合、ギャップ調整機構の駆動源が無駄に駆動されることを回避できる。
上記記録装置において、前記第1駆動源は、前記搬送機構を駆動させる駆動源であってもよい。
この構成によれば、搬送機構を駆動させる駆動源の動力を利用してギャップ調整機構を駆動させることができる。
上記記録装置は、前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記第2駆動源を駆動して前記キャリッジを前記被操作部が操作される方向と反対の方向へ移動させた後、前回と条件を変更して前記キャリッジに前記被操作部を操作する動作をリトライさせてもよい。
この構成によれば、キャリッジが切替機構の接続に失敗した場合、キャリッジを操作する方向と反対の方向へ移動させた後、前回と条件を変更してキャリッジが被操作部を操作する動作をリトライするので、リトライによって切替機構の接続に成功する頻度が高まる。また、前回と同じ条件でリトライする場合に比べ、切替機構の接続に成功する頻度が高まる。
上記記録装置は、前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記閾値を大きくする条件変更処理を行ってもよい。
この構成によれば、キャリッジが移動中の負荷変動により操作位置に至る手前で停止してしまい、キャリッジが不揮発性メモリーに記憶された位置情報の位置にいない場合、第1駆動源は駆動されない。このとき、閾値が大きくされる。その後、キャリッジが被操作部を押し込む動作をリトライすると、キャリッジは操作位置で停止する。よって、キャリッジの移動負荷によってキャリッジが被操作部の操作に失敗しても、キャリッジをリトライ動作によって操作位置まで移動させることができる。よって、切替機構の接続ミスを低減し、高い頻度でギャップ切替えを行うことができる。
上記記録装置は、前記切替機構は、第1歯車と、前記第1歯車と噛み合い可能かつ前記第1歯車の軸方向と平行な軸方向に移動可能な第2歯車と、前記第2歯車が前記第1歯車と噛み合う位置まで付勢力に抗して押し込み可能に当該第2歯車に設けられた前記被操作部とを備え、前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記第2駆動源を駆動して前記キャリッジを前記被操作部が操作される方向と反対の方向へ移動させた後、前記第1駆動源を駆動して前記第1歯車と前記第2歯車とのうち一方を回転させる条件変更処理を行ってもよい。
この構成によれば、第1歯車と第2歯車との歯先当たりが原因で噛み合わなかった場合でも、第1歯車と第2歯車とのうち一方を回転させた後に、キャリッジが被操作部を操作する動作をリトライしたときに、第1歯車と第2歯車とを噛合できる頻度が高まる。
上記記録装置では、前記制御部は、前記条件変更処理において、前記第1歯車と前記第2歯車との位相を歯部の1ピッチ未満の回転量の分だけずらしてもよい。
この構成によれば、第1歯車と第2歯車の位相を確実に変えることができるので、キャリッジが再び被操作部を操作する動作をリトライしたときに、第1歯車と第2歯車とを噛合できる頻度が高まる。
上記記録装置は、前記キャリッジは前記第2駆動源と歯付きベルトを介して動力伝達可能に接続され、前記制御部は、前記条件変更処理において、前記歯付きベルトの歯飛びが発生する歯飛びトルク未満の範囲内で前記閾値を大きく変更してもよい。
この構成によれば、切替機構の接続に成功する頻度が高まるうえ、キャリッジが被操作部を操作する動作において歯付きベルトの歯飛びを抑制することができる。
上記記録装置において、前記制御部は、前記リトライで再び前記切替機構の接続に失敗すると、当該失敗の度に前記閾値をさらに大きな値に変更し、前記リトライを複数回繰り返してもよい。
この構成によれば、切替機構の接続に複数回失敗しても、複数回のリトライによって切替機構を接続できる頻度を一層高くすることができる。
上記記録装置は、前記ギャップ調整機構が駆動されていることを検知する検知部を備え、前記制御部は、前記第1駆動源を駆動させたときに前記ギャップ調整機構の駆動が検知されたときの前記キャリッジの位置を含む位置情報を前記不揮発性メモリーに記憶してもよい。
この構成によれば、記録装置がはじめて私用されるときなど、不揮発性メモリーに位置情報がまだ記憶されていない場合、ギャップ調整機構が駆動されているときのキャリッジの位置を含む位置情報を不揮発性メモリーに記憶することができる。
上記記録装置において、前記制御部は、前記第1駆動源を駆動させても前記検知部の検知が無かった場合、前記キャリッジに前記被操作部を操作する動作をリトライさせ、リトライの後、前記第1駆動源を駆動させて前記検知部の検知があると、当該検知されたときの前記キャリッジの位置を含む位置情報を前記不揮発性メモリーに記憶してもよい。
この構成によれば、記録装置がはじめて使用されるときなど、不揮発性メモリーに位置情報が記憶されていない状態で、キャリッジが切替機構の接続に失敗した場合、キャリッジは被操作部を操作する動作をリトライするので、切替機構を接続できる頻度が高まる。また、切替機構の接続に成功したときのキャリッジの位置を含む位置情報を不揮発性メモリーに記憶させることができる。この場合、不揮発性メモリーが、位置情報が記憶されないまま放置される期間を短縮できる。
記録装置の制御方法は、媒体を搬送する搬送機構と、媒体に記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、前記キャリッジを駆動させる第2駆動源と、前記媒体のうち前記記録ヘッドと対向する部分を支持する支持部と、前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、前記キャリッジが移動経路上に設けられた被操作部を付勢力に抗して押し込むことにより前記第1駆動源の動力を前記ギャップ調整機構に伝達不能な非接続位置から伝達可能な接続位置へ切り替えられる切替機構と、前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、前記切替機構を非接続位置から接続位置へ切り替え可能な前記キャリッジの位置である接続位置を記憶する不揮発性メモリーと、前記記録ヘッド、前記第1駆動源および前記第2駆動源を制御する制御部とを備える記録装置の制御方法であって、前記キャリッジを移動させて前記被操作部を操作させるとともに前記キャリッジの負荷が閾値を超えると停止させることと、前記キャリッジの停止位置が、前記不揮発性メモリーから読み出した前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動して前記ギャップ調整機構に前記ギャップを切り替えさせ、前記キャリッジの停止位置が前記位置情報の位置でなければ、前記キャリッジが当該停止位置にあるうちは、前記第1駆動源を駆動させないことと、を含む。この方法によれば、上記記録装置と同様の作用効果を得ることができる。
11…記録装置、12…装置本体、12A…筐体、13…カバー、15…排出口、16…支持部、17…第1ガイド部材、18…第2ガイド部材、20…印刷ユニット、21…カセット、22…排出トレイ、24…操作パネル、25…操作部、26…表示部、27…液体供給ユニット、28…液体収容容器、29…装着部、30…読取ユニット、32…自動原稿送り装置、33…原稿トレイ、35…第1サイドフレーム、35A…第1規制面、36…第2サイドフレーム、36A…第2規制面、40…搬送機構、41…給送部、42…搬送部、43…排出部、44…給送モーター、45…搬送ローラー対、46…第1排出ローラー対、47…第2排出ローラー対、48…第1駆動源の一例としての搬送モーター、50…記録ユニット、51…キャリッジ、52…記録ヘッド、52A…ノズル開口面、53…第2駆動源の一例としてのキャリッジモーター、54…歯付きベルトの一例としてのタイミングベルト、55…チューブ束、56…チューブ、57…湾曲部、58…廃液ユニット、59…廃液ボックス、60…メンテナンス機構、61…ギャップ調整機構、64…駆動機構、62,63…カム機構、65…第1輪列、66…第2輪列、67…第1歯車、67A…歯部、68…第2歯車、68A…歯部、70…被操作部、71…切替機構、73…ばね、80…検知部、81〜84…被検知部、85…センサー、91…媒体検出部、92…エンコーダー、93…検出部の一例を構成するリニアエンコーダー、100…制御部、101…第1カウンター、102…第2カウンター、103…第3カウンター、104…不揮発性メモリー、G…原稿、M…媒体、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置、SA…走査領域、PA…記録領域、X1…第1方向、X2…第2方向、X…走査方向、Y1…搬送方向、Z1…鉛直方向、xc…キャリッジ位置、CP…位置情報の一例である接続位置、D1,D2,D3,Dn…閾値、Dmax…最大電流値、PG,PG1〜PG4…ギャップ、HP…ホーム位置、AH…反ホーム位置。

Claims (11)

  1. 媒体を搬送する搬送機構と、
    前記媒体を支持する支持部と、
    前記支持部に支持された前記媒体に記録する記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、
    前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、
    前記キャリッジを移動させる第2駆動源と、
    前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、
    前記キャリッジが移動経路上に設けられる被操作部を操作することで前記第1駆動源と前記ギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、
    前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、
    前記第2駆動源の負荷を検出し、前記キャリッジが前記被操作部を操作するときの負荷が閾値を超えると、前記第2駆動源を停止させる制御部と、
    前記被操作部が前記切替機構を接続させる操作位置にあるときの前記キャリッジの位置を示す位置情報を記憶する不揮発性メモリーと、を備え、
    前記制御部は、前記被操作部を操作する動作で停止した前記キャリッジの位置が、前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動して前記ギャップ調整機構にギャップを切り替えさせ、前記位置情報の位置でなければ、前記ギャップ調整機構を駆動させるための前記第1駆動源の駆動は行わない、ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記第1駆動源は、前記搬送機構を駆動させる駆動源であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記第2駆動源を駆動して前記キャリッジを前記被操作部が操作される方向と反対の方向へ移動させた後、前回と条件を変更して前記キャリッジに前記被操作部を操作する動作をリトライさせる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
  4. 前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記閾値を大きくする条件変更処理を行う、ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
  5. 前記切替機構は、第1歯車と、前記第1歯車と噛み合い可能かつ前記第1歯車の軸方向と平行な軸方向に移動可能な第2歯車と、前記第2歯車が前記第1歯車と噛み合う位置まで付勢力に抗して押し込み可能に当該第2歯車に設けられた前記被操作部とを備え、
    前記制御部は、前記キャリッジが前記不揮発性メモリーに記憶された前記位置情報の位置にいない場合、前記第2駆動源を駆動して前記キャリッジを前記被操作部が操作される方向と反対の方向へ移動させた後、前記第1駆動源を駆動して前記第1歯車と前記第2歯車とのうち一方を回転させる条件変更処理を行う、ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記制御部は、前記条件変更処理において、前記第1歯車と前記第2歯車との位相を歯部の1ピッチ未満の回転量の分だけずらす、ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. 前記キャリッジは前記第2駆動源と歯付きベルトを介して動力伝達可能に接続され、
    前記制御部は、前記条件変更処理において、前記歯付きベルトの歯飛びが発生する歯飛びトルク未満の範囲内で前記閾値を大きく変更する、請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の記録装置。
  8. 前記制御部は、リトライで再び前記切替機構の接続に失敗すると、当該失敗の度に前記閾値をさらに大きな値に変更し、リトライを複数回繰り返す、ことを特徴とする請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載の記録装置。
  9. 前記ギャップ調整機構が駆動されていることを検知する検知部を備え、
    前記制御部は、前記第1駆動源を駆動させたときに前記ギャップ調整機構の駆動が検知されたときの前記キャリッジの位置を含む位置情報を前記不揮発性メモリーに記憶する、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の記録装置。
  10. 前記制御部は、前記第1駆動源を駆動させても前記検知部の検知が無かった場合、前記キャリッジに前記被操作部を操作する動作をリトライさせ、リトライの後、前記第1駆動源を駆動させて前記検知部の検知があると、当該検知されたときの前記キャリッジの位置を含む位置情報を前記不揮発性メモリーに記憶する、ことを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
  11. 媒体を搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構の第1駆動源と、
    媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    前記記録ヘッドが設けられるとともに走査方向に移動するキャリッジと、を備える装置本体と、
    前記装置本体の一部を駆動する第1駆動源と、
    前記キャリッジを駆動させる第2駆動源と、
    前記媒体のうち前記記録ヘッドと対向する部分を支持する支持部と、
    前記記録ヘッドと前記支持部とのギャップを調整するギャップ調整機構と、
    前記キャリッジが移動経路上に設けられた被操作部を操作することで前記第1駆動源と前記ギャップ調整機構との動力伝達の接離を切り替える切替機構と、
    前記キャリッジの移動経路上の位置を検出する検出部と、
    前記切替機構を接続可能な前記キャリッジの位置を含む位置情報を記憶する不揮発性メモリーと、
    前記記録ヘッド、前記第1駆動源および前記第2駆動源を制御する制御部と
    を備える記録装置の制御方法であって、
    前記キャリッジを移動させて前記被操作部を操作させるとともに前記キャリッジの負荷が閾値を超えると停止させることと、
    前記キャリッジの停止位置が、前記不揮発性メモリーから読み出した前記位置情報の位置であれば、前記第1駆動源を駆動させて前記ギャップ調整機構に前記ギャップを切り替えさせ、前記キャリッジの停止位置が前記位置情報の位置でなければ、前記ギャップ調整機構を駆動させるための前記第1駆動源の駆動は行わないことと、
    を含むことを特徴とする記録装置の制御方法。
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