以下、本発明に係る加熱調理器を、ビルトイン型の誘導加熱調理器に適用した場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す加熱調理器は、本発明の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本発明の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において「上流側」、「下流側」というときには、空気の流れにおける上流側、下流側をいうものとする。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図1に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれて使用される。キッチン家具200は、作業台として使用される平板状のキッチン天板を上面に有し、このキッチン天板の上に、加熱調理器100の天板2が露出している。キッチン家具200には、加熱調理器100の下側の位置に、収納庫が設けられる場合もある。なお、本明細書において加熱調理器100の「前面」、キッチン家具200の「前面」というときには、加熱調理器100またはキッチン家具200の使用者と対向する面をいう。
天板2は、鍋などの調理容器が載置される部材であり、例えば耐熱ガラス製である。天板2には、加熱口4が設けられている。加熱口4は、天板2の上に載置される被加熱物の加熱領域である。本実施の形態では、2つの加熱口4が設けられた例を示すが、1つあるいは3つ以上の加熱口4が設けられていてもよい。
加熱調理器100の後側には、筐体1内からの排気を流出させる排気風路12(図3参照)の上を覆う排気口カバー3が設けられている。排気口カバー3には、通風可能な開口が設けられている。排気口カバー3に設けられる開口は、例えば、排気口カバー3の幅と同じかやや小さい幅のスリット状の開口である。
加熱調理器100の前面には、加熱庫21の扉20が設けられている。本実施の形態の加熱調理器100には、2つの加熱庫21が設けられており、2つの扉20が左右に並んで配置されている。扉20は、加熱庫21から取り外し可能であるとよい。なお、加熱庫21の数は2つに限定されず、1つあるいは3つ以上の加熱庫21が設けられていてもよい。2つの加熱庫21の機能及び構造は、基本的には同じである。本実施の形態では、2つの加熱庫21に共通する機能及び構造については両者を区別することなく説明する。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の斜視図である。加熱調理器100は、天板2と、天板2の下側に設けられた筐体1とを有する。天板2と筐体1とによって、加熱調理器100の外郭が構成されている。
加熱調理器100には、使用者からの操作入力を受け付ける表示部6と操作部7とが設けられている。表示部6は、液晶ディスプレイ又はLED等の視覚的に情報を報知する装置を有し、加熱調理器100の火力、タイマの時間等の動作状態及び、使用者が操作部7で入力するための選択肢、使用者への警告及び注意喚起の報知を行う。操作部7は、例えば、押しボタン、ダイヤルスイッチ、又は静電容量式タッチスイッチ等で構成される。
筐体1の右側の側壁には、第1吸気口111が設けられている。第1吸気口111は、筐体1の内部と外部とを連通させる開口である。第1吸気口111は、筐体1の右側の側壁を左右に貫通している。
筐体1の前側の壁の上部は、階段状に形成されている。詳しくは、筐体1の前側の壁は、天板2の下面から下へ向かって延び、約90度曲がって前に向かって延びている。天板2の下面から下へ向かって延びる部分に、第4吸気口116が形成され、前に向かって延びる部分に、第3吸気口115が形成されている。第3吸気口115及び第4吸気口116は、筐体1の内部と外部とを連通させる開口である。第3吸気口115は、筐体1の前側の壁を上下に貫通している。第4吸気口116は、筐体1の前側の壁を前後に貫通している。第3吸気口115は、第4吸気口116よりも前側に配置されている。
第1吸気口111、第3吸気口115及び第4吸気口116は、加熱庫21内に供給される冷却風の入口となる。第1吸気口111、第3吸気口115及び第4吸気口116は、加熱調理器100の前後方向において前側に設けられているのが好ましく、本実施の形態では加熱庫21の扉20に隣接した位置に設けられている。第1吸気口111、第3吸気口115及び第4吸気口116を、キッチン空間に露出している加熱調理器100の前側に設けることで、加熱調理器100内の冷却に適した室温の空気が筐体1内に供給される。本実施の形態では、第1吸気口111、第3吸気口115及び第4吸気口116が複数の開口によって構成された例を示すが、開口の数及び形状は図示のものに限定されない。
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、天板2及び排気口カバー3が取り外された状態の斜視図である。図3では、扉20が引き出された状態を示している。筐体1の中には、副筐体5が設けられている。副筐体5は、筐体1内を上下に仕切る底板を有している。副筐体5内、すなわち副筐体5の上側には、天板用誘導加熱コイル8、コイルユニット冷却送風機9及び冷却ダクト10が設けられている。
天板用誘導加熱コイル8は、図2に示した天板2の上に載置される被加熱物を加熱する加熱装置の一例である。天板用誘導加熱コイル8は、図2に示した加熱口4の下に配置されている。天板用誘導加熱コイル8に代えて、あるいはこれに加えて、ラジエントヒーターなどの電気ヒーターを設けてもよい。また、本実施の形態では加熱装置として2つの天板用誘導加熱コイル8を設けた例を示すが、加熱装置の数は1つあるいは3つ以上であってもよい。
筐体1の左側の側壁には、第1連通口13が設けられている。第1連通口13は、副筐体5内に供給される冷却風の入口となる。第1連通口13は、筐体1の左側の側壁を左右に貫通している。第1連通口13は、加熱調理器100の前後方向において前側に設けられているのが好ましい。本実施の形態では、第1吸気口111の後側であって、筐体1の前後方向の中心よりも前側に第1連通口13が配置されている。第1連通口13を、キッチン空間に露出している加熱調理器100の前側に設けることで、副筐体5内の冷却に適した室温の空気が副筐体5内に供給される。
コイルユニット冷却送風機9は、副筐体5内に配置される発熱部品に冷却風を送るための送風機である。コイルユニット冷却送風機9が動作すると、筐体1の第1連通口13から筐体1内に空気が吸い込まれ、吸い込まれた空気が冷却風として送出される。コイルユニット冷却送風機9の冷却対象である発熱部品は、天板用誘導加熱コイル8と、図5に示す天板加熱制御回路17、駆動素子18及びヒートシンク19とを含む。本実施の形態では2つのコイルユニット冷却送風機9を設けた例を示すが、コイルユニット冷却送風機9の数は1つあるいは3つ以上であってもよい。
冷却ダクト10は、コイルユニット冷却送風機9から送出された冷却風を、発熱部品に導く。冷却ダクト10には、天板用誘導加熱コイル8の下に開口する図示しない吹出口が設けられている。コイルユニット冷却送風機9から送出され冷却ダクト10内に流入した冷却風は、冷却ダクト10の吹出口から出て天板用誘導加熱コイル8の下面に衝突し、天板用誘導加熱コイル8を冷却する。
副筐体5の後部には、副筐体5内を前後に仕切る仕切板11が設けられている。仕切板11は、天板用誘導加熱コイル8よりも後であって、排気風路12よりも前に配置されている。仕切板11は、排気風路12と、副筐体5の内部とを前後に仕切っている。
仕切板11には、第2連通口14が設けられている。第2連通口14は、排気風路12と副筐体5の内部とを連通させる。本実施の形態では、2つの第2連通口14が設けられている。第2連通口14は、天板用誘導加熱コイル8と概ね対向する位置に設けられており、天板用誘導加熱コイル8を冷却した後の冷却風が、第2連通口14を通って排気風路12に流入する。
加熱庫21内には、調理容器が収容されている。本実施の形態の調理容器は、第1容器27と第2容器28とで構成される。第1容器27の高さは、第2容器28の高さよりも大きい。第1容器27と第2容器28とは、一方が他方の蓋として機能する。図3において左側に示す調理容器は、深型の第1容器27が容器として、浅型の第2容器28が蓋として機能する。右側の調理容器は、深型の第1容器27が蓋として機能する。このように、深さが異なり、蓋としても容器としても機能する第1容器27と第2容器28からなる調理容器は、これ一つで多彩な調理を可能とする。深型の第1容器27を容器として使用する場合には、煮物又は炊飯などに適している。浅型の第2容器28を容器として使用する場合には、焼き物に適している。第1容器27と第2容器28を互いに組み合わせた状態における調理容器全体の高さは、いずれが上であっても同じである。
第1容器27及び第2容器28は、誘導加熱可能な材料で構成される。例えば第1容器27及び第2容器28は、鉄、ステンレス、カーボン含有率90%以上の炭素材、導電材料としてのシリコンを含有するセラミック素材、又は導電材料としてのフェロシリコンを含有するセラミック素材で構成される。
扉20の内面には、左右の両端に前後に延びる可動レール31が設けられている。可動レール31は、加熱庫21の左右の内壁に設けられた前後に延びる固定レール30に摺動可能に係合している。固定レール30及び可動レール31は、扉20を前後に開閉移動させる扉開閉手段である。扉20は、可動レール31が固定レール30上を摺動することによって、開閉される。また、左右の固定レール30に跨るようにして設けられた部材によって、調理容器が下方から支持されている。扉20の開閉に伴って、調理容器が加熱庫21内に出し入れされる。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の分解斜視図である。図4において上側に示す図は下側からの斜視図であり、下側に示す図は上側からの斜視図である。副筐体5の底には、第3連通口15と第4連通口16とが設けられている。第3連通口15は、副筐体5の底の後部に設けられ、底を上下に貫通する開口である。第3連通口15の上側には、図3に示した排気風路12が位置する。第4連通口16は、図3に示したコイルユニット冷却送風機9の吸込み口と対向する位置に設けられた開口である。第4連通口16は、副筐体5の底を上下に貫通しており、筐体1の第1連通口13と連通する。
筐体1の内部であって副筐体5の下側には、冷却送風機60と、排気送風機65とが設けられている。冷却送風機60及び排気送風機65は、1つの加熱庫21に対してそれぞれ1台ずつ設けられている。冷却送風機60は、加熱庫21における発熱部品を冷却するための送風機である。排気送風機65は、加熱庫21内の排気を行うための送風機である。加熱庫21の上部には、基板収容部26が設けられている。基板収容部26については後述する。
冷却送風機60は、入口ダクト61と、ファンケーシング62と、出口ダクト64とを有する。入口ダクト61は、ファンケーシング62へ空気を導くダクト、出口ダクト64は、ファンケーシング62からの空気を外へ導くダクトである。出口ダクト64の下流端は、副筐体5の底に設けられた第3連通口15に接続される。
排気送風機65は、入口ダクト66と、ファンケーシング67と、出口ダクト69とを有する。入口ダクト66は、ファンケーシング67へ空気を導くダクト、出口ダクト69は、ファンケーシング67からの空気を外へ導くダクトである。出口ダクト69の下流端は、副筐体5の底に設けられた第3連通口15に接続される。
図5は、実施の形態1に係る副筐体5内の構造を説明する斜視図である。副筐体5内には、天板加熱制御回路17と、駆動素子18と、ヒートシンク19とが設けられている。天板加熱制御回路17は、図3に示した天板用誘導加熱コイル8を用いた被加熱物の加熱動作を制御する電気回路である。駆動素子18は、図3に示した天板用誘導加熱コイル8に高周波電流を供給するインバータ回路に含まれるスイッチング素子である。ヒートシンク19は、駆動素子18に熱的に接続されており、駆動素子18からの熱を放出する機能を有する。駆動素子18及びヒートシンク19の少なくとも一部は、図3に示した冷却ダクト10によって上から覆われている。本実施の形態では、コイルユニット冷却送風機9からの冷却風の流れ方向において、駆動素子18及びヒートシンク19の下流側に、天板加熱制御回路17が配置されている。発熱量の大きい駆動素子18及びこれに接続されたヒートシンク19を、冷却風の流れにおいて天板加熱制御回路17よりも上流側に配置することで、より温度の低い冷却風にて効率よく駆動素子18を冷却することができる。
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器100の下側からの斜視図である。図6では、加熱庫21の扉20が取り外された状態を示している。筐体1の底は、平らではなく、一部が下方に突出した凸部112が設けられている。凸部112は、筐体1の左右に亘る幅を有し、筐体1の前側において下方に突出している。凸部112によって、筐体1の底には段差が形成されている。この凸部112の前側に、第2吸気口113が設けられている。第2吸気口113は、筐体1の内部と外部とを連通させる開口である。第2吸気口113は、筐体1の底を上下に貫通している。第2吸気口113は、加熱庫21内に供給される冷却風の入口となる。第2吸気口113は、加熱調理器100の前後方向において前側に設けられているのが好ましい。第2吸気口113を、キッチン空間に露出している加熱調理器100の前側に設けることで、加熱調理器100内の冷却に適した室温の空気が筐体1内に供給される。本実施の形態では、第2吸気口113が複数の開口によって構成された例を示すが、開口の数及び形状は図示のものに限定されない。
また、本実施の形態では、筐体1の底において下方に凸となっている凸部112の前側に第2吸気口113が設けられている。ビルトイン型の加熱調理器100が組み込まれるキッチン家具200(図1参照)の内部は高温の空気が滞留しやすいが、凸部112が第2吸気口113の後側に設けられていることで、凸部112が第2吸気口113に対する壁となる。したがって、キッチン家具200内の高温の空気は、凸部112に阻まれて、第2吸気口113に吸引されにくくなる。このため、第2吸気口113には主にキッチン空間内の室温の空気が吸い込まれ、第2吸気口113から吸い込まれる空気による冷却効率を向上させることができる。
加熱庫21の天井壁の前側部分には、加熱庫21に空気を流入させる流入口211が設けられている。流入口211は、本実施の形態では、加熱庫21の左右方向の幅全体に渡って設けられている。流入口211が、複数の開口で構成された例が示されているが、開口の数及び形状は図示のものに限定されない。
さらに本実施の形態では、加熱庫21の天井部が、2種類の部材によって構成されている。加熱庫21の天井壁のうちの前側部分が入口部43、後側の部分が、第2絶縁板42である。第2絶縁板42は、結晶化ガラス、セラミック、又は耐熱プラスチックなどの絶縁体で構成された板である。第2絶縁板42は、高周波磁界を阻害しない絶縁体材料で構成される。入口部43は、絶縁体でなくてもよく、例えば金属又はプラスチック等の流入口211を形成しやすい材料で構成することができる。すなわち、入口部43は、流入口211を形成するための加工を行いやすい材料で構成される。このように、流入口211を形成しやすいように加熱庫21の天井壁の材料を異ならせることで、加熱調理器100の製造コストを低減できる。
図7は、実施の形態1に係る調理容器及び扉20の後からの斜視図である。深型の第1容器27は、前後に取っ手271を有する。浅型の第2容器28もまた前後に取っ手281を有する。
扉20の後面には、外周に沿ってパッキン201が設けられている。パッキン201は、図2に示すように扉20が閉じられたときに筐体1の前面と密着し、扉20と筐体1との間に隙間が生じるのを防ぐ。パッキン201が扉20と筐体1との隙間を防ぐことで、当該隙間からの煙、蒸気又は臭い等の漏れを抑制している。
扉20の後面には、前後方向に延びる可動レール31が左右それぞれに設けられている。2本の可動レール31に対して左右に掛け渡されるようにして、調理容器保持部材32が設けられている。調理容器保持部材32は、調理容器を下方から支持する部材である。本実施の形態の調理容器保持部材32は、平板面が上下に向くようにして配置された板状の部材を有し、この板状部材の概ね中央に開口321が形成されている。開口321の縁に、調理容器の底が載置される。
調理容器保持部材32の開口321の縁の前後には、第1容器支持部33と第2容器支持部34とが設けられている。本実施の形態では、調理容器として、蓋としても容器としても機能する第1容器27と第2容器28とが用いられる。深型の第1容器27と浅型の第2容器28の双方を、調理容器保持部材32に対して位置決めするために、2種類の容器支持部が設けられている。
第2容器支持部34は、浅型の第2容器28を支持するための部材である。本実施の形態の第2容器支持部34は、調理容器保持部材32の上面から上下に延びる板状の部材であり、開口321の前後それぞれに設けられている。第2容器支持部34の上端が、第2容器28の上部開口の縁に形成されたフランジに接し、第2容器28のフランジを下方から支持する。第2容器支持部34は、取っ手281と第2容器28との間の隙間に挿入される大きさであり、取っ手281と第2容器28との間の隙間を通って第2容器28のフランジを支持する。
後側の第2容器支持部34には、赤外線通過窓341が設けられている。赤外線通過窓341は、第2容器支持部34を前後に貫通した開口である。
第1容器支持部33は、深型の第1容器27を支持するための部材である。本実施の形態の第1容器支持部33は、調理容器保持部材32に対して起立状態と倒伏状態とが切り換えられるように設けられている。図7において、左側の第1容器支持部33は起立状態を、右側の第1容器支持部33は倒伏状態を示している。第1容器支持部33が起立状態にあるとき、第1容器支持部33は第1容器27の取っ手271を下方から支持する。起立状態の第1容器支持部33の上部は、第2容器支持部34の上部よりも高い位置にある。このため、浅型の第2容器28の取っ手281よりも高い位置にある、深型の第1容器27の取っ手271を、第1容器支持部33によって支持することができる。
図8は、実施の形態1に係る第1容器支持部33の構造を説明する図である。図8は、第1容器支持部33を平面視した状態を示している。図8の上側の図は、第1容器支持部33が起立した状態を示し、下側の図は、第1容器支持部33が倒伏した状態を示している。
第1容器支持部33の起立状態を維持するための構造として、前後方向に延びる棒状の支持部固定部材331と、支持部固定部材331の前後の端部に設けられた爪332と、支持部固定部材331を左右に回動させる軸333とが設けられている。爪332は、支持部固定部材331からその軸方向と交差する方向に延びている。軸333によって支持部固定部材331が回動すると、爪332もまた回動する。図8の上側の図において、第1容器支持部33が起立状態にあるとき、爪332は、第1容器支持部33の外側に掛り、第1容器支持部33を起立状態に維持する。第1容器支持部33を倒伏状態にするときには、支持部固定部材331を回動させ、爪332と第1容器支持部33との係合状態を解除する。そうすると、第1容器支持部33は倒伏状態に保たれる。
図9は、実施の形態1に係る加熱庫21の斜視図である。図9では、空気の流れを破線矢印又は一点鎖線矢印で概念的に示している。加熱庫21の上部には、基板収容部26が設けられている。基板収容部26は、加熱庫21に関する電気回路部品を収容する空間である。基板収容部26は、カバー部材263と加熱庫21の上面との間に形成される空間によって構成されている。カバー部材263は、左右の側面、後面及び上面を有し、これらで囲まれる空間が基板収容部26である。基板収容部26の前側には、基板収容部26への空気の入口である流入口261が開口している。流入口261は、前に向かって開口しており、前から後ろに向かって基板収容部26に空気が流入する。
流入口261の前側には、第2収容部吸気ダクト47が設けられている。第2収容部吸気ダクト47は、図11に示す第2収容部25へ空気を導くダクトである。第2収容部吸気ダクト47は、図2〜図4に示した第3吸気口115と第2収容部25とを連通させる。第2収容部吸気ダクト47の入口は、上に向かって開口しており、上から下に向かって第2収容部吸気ダクト47に空気が流入する。
第2収容部吸気ダクト47の前側には、加熱庫吸気ダクト45が設けられている。加熱庫吸気ダクト45は、加熱庫21の左右方向に沿って延びるダクトであり、加熱庫21へ空気を導く。加熱庫吸気ダクト45の左右の端部のうち、図2〜図4に示した筐体1の第1吸気口111と対向する端部に、当該加熱庫吸気ダクト45への入口が形成されている。図9に示す加熱庫21は、左側の加熱庫21であり、加熱庫吸気ダクト45の入口は左に向かって開口していて、左から右に向かって加熱庫吸気ダクト45に空気が流入する。右側の加熱庫21に設けられた加熱庫吸気ダクト45は、図9に示したものとは入口が左右逆である。
図10は、実施の形態1に係る加熱庫21の後からの斜視図である。図10は、図9からカバー部材263が取り外された状態を示している。基板収容部26には、加熱庫制御回路50と、第1駆動手段51と、第1放熱手段52と、第2駆動手段53と、第2放熱手段54とを有する。第1駆動手段51は、加熱庫21の加熱手段の一つである第1誘導加熱コイル80(図14参照)に高周波電流を供給するインバータ回路である。第1駆動手段51に含まれるスイッチング素子は、第1放熱手段52に熱的に接続されている。第2駆動手段53は、加熱庫21の加熱手段の一つである第2誘導加熱コイル90(図11参照)に高周波電流を供給するインバータ回路である。第2駆動手段53に含まれるスイッチング素子は、第2放熱手段54に熱的に接続されている。基板収容部26は、加熱庫制御回路50、第1駆動手段51、第1放熱手段52、第2駆動手段53、及び第2放熱手段54を冷却する冷却風の風路としても機能する。基板収容部26は、冷却送風機60の入口ダクト61と連通する。
なお、本実施の形態では、第1駆動手段51を収容する第1駆動手段収容部と、第2駆動手段53を収容する第2駆動手段収容部とが、一つの基板収容部26にて実現されているが、第1駆動手段収容部と第2駆動手段収容部とが別に設けられていてもよい。
図11は、実施の形態1に係る加熱庫21の第2誘導加熱コイル90及びその周辺部材を説明する斜視図である。図11では、図10から基板収容部26及び基板収容部26の底板が取り外された状態を示している。図11に示すように、加熱庫21は、その上部に第2収容部25を有する。第2収容部25は、加熱庫21内を上から加熱する加熱装置である第2誘導加熱コイル90を収容する空間である。加熱庫21の天井部に設けられた第2誘導加熱コイル90は、平板状のコイル支持板91の上に取り付けられている。コイル支持板91には、第2誘導加熱コイル90の外形よりもやや大きい開口911が形成されている。この開口911の縁には、立壁部912が設けられている。
立壁部912は、開口911の縁の全周に設けられており、コイル支持板91の上面から上に向かって延びた壁である。立壁部912で囲まれた領域内に、第2誘導加熱コイル90が配置される。このようなコイル支持板91の平板面に対して交差する方向に延びる立壁部912を開口911の縁に設けることで、コイル支持板91の上下方向の曲げに対する剛性を高めることができる。コイル支持板91の下には、第2絶縁板42が設けられている。図11に示されるように、開口911の上側から第2絶縁板42が視認される。このように剛性が強化されたコイル支持板91が、その下面において第2絶縁板42を、当接部材94(図12参照)を介して支持している。このため、第2絶縁板42の下側に配置される調理容器が、第2絶縁板42に衝突した場合でも、第2絶縁板42が上からコイル支持板91によって支えられていることにより、衝突の衝撃による第2絶縁板42の変形及び損傷を軽減することができる。
コイル支持板91の上には、コイル保持部材92が取り付けられている。コイル保持部材92は、第2誘導加熱コイル90をその外形を維持した状態で収容する枠を有する。このコイル保持部材92を介して、第2誘導加熱コイル90がコイル支持板91に対して位置決めされている。コイル保持部材92は、鋼板等の金属材料又は耐熱プラスチックで形成される。本実施の形態では、コイル保持部材92には、扁平円形状の第2誘導加熱コイル90の中心から放射状に延びる4本の脚部921が設けられている。
脚部921には、フェライト93が収容されている。本実施の形態では、4本の脚部921同士の隙間にもフェライト93が設けられており、合計で8本の棒状のフェライト93が放射状に配置されている。本実施の形態の第2誘導加熱コイル90は、前後方向に長い扁平円形状を有しており、第2誘導加熱コイル90の前後方向に沿って直線部が延びており、前部及び後部には曲線部が設けられている。第2誘導加熱コイル90の曲線部におけるフェライト93の密度は、直線部におけるフェライト93の密度よりも高い。このようにすることで、第2誘導加熱コイル90の前後の端部の曲線部における磁束密度を高めることができる。これにより、第2誘導加熱コイル90によって加熱される調理容器の上面の温度ムラが軽減され、調理容器内の食材の加熱ムラが抑制される。
コイル保持部材92は、脚部921に挿入された段付きネジ95によってコイル支持板91に結合されている。
第2誘導加熱コイル90の中央には、第2温度センサ72が設けられている。第2温度センサ72は、第2絶縁板42に接触するようにして設けられており、第2絶縁板42を介して加熱庫21内の温度を検知する。
ここで、第2収容部25への空気の入口は、図10に示した流入口251である。流入口251は、第2収容部25の前後方向において第2誘導加熱コイル90よりも前に設けられている。流入口251は、第2誘導加熱コイル90の左右の幅よりも広い範囲に設けられているのが望ましい。すなわち流入口251の左右の幅方向における右側の端部は、第2誘導加熱コイル90の右側の端部よりも外側に位置し、流入口251の左右の幅方向における左側の端部は、第2誘導加熱コイル90の左側の端部よりも外側に位置する。このようにすることで、流入口251から第2収容部25に流入する冷却風が、第2誘導加熱コイル90の左右の領域全体に供給され、第2誘導加熱コイル90を効率よく冷却することができる。また、流入口251は、第2収容部25の左右方向においてなるべく広い範囲に設けられているのが望ましい。このようにすることで、第2収容部25において冷却風が到達しにくい領域を減らすことができるので、第2収容部25における空気の淀みが軽減される。また、第2収容部25への吸気に係る圧力損失を低減できる。
第2収容部25の後部には、流出口252が設けられている。流出口252は、第2収容部25からの空気の出口である。本実施の形態では、第2収容部25を形成する後壁に設けられた前後に貫通する開口によって、流出口252が構成されている。流出口252は、第2誘導加熱コイル90よりも後ろ側に設けられている。また、流出口252の左右方向の幅は、第2誘導加熱コイル90の左右方向の幅よりも小さい。流出口252の右側の端部は、第2誘導加熱コイル90の右側の端部よりも中央側に位置し、流出口252の左側の端部は、第2誘導加熱コイル90の左側の端部よりも中央側に位置している。このように、第2誘導加熱コイル90の左右の幅よりも狭い流出口252を設けることで、流入口251から流入した空気を、温度が上昇しやすい第2誘導加熱コイル90の中央側へ導くことができる。これにより、第2収容部25を流れる空気による第2誘導加熱コイル90の冷却ムラを軽減することができる。また、流出口252と第2誘導加熱コイル90は、上下方向において重なる位置に設けられているとよい。これにより、流出口252へ向かって流れる空気の多くが第2誘導加熱コイル90と接触し、第2誘導加熱コイル90が効率よく冷却される。なお、流出口252を構成する開口の数及び形状は図示のものに限定されない。流出口252には、冷却送風機60の入口ダクト61の一部である接続口612が接続される。第2収容部25は、流出口252を介して、入口ダクト61の接続口612と連通する。
図12は、実施の形態1に係る第2誘導加熱コイル90の周辺部材の下からの斜視図である。図12では、図11に示した加熱庫21の後壁23及び第2誘導加熱コイル90を中心に示している。コイル支持板91の下面からは、コイル保持部材92の脚部921をネジ止めしている段付きネジ95の先端が露出している。脚部921の下面であって、段付きネジ95よりも第2誘導加熱コイル90に近い位置には、当接部材94が設けられている。当接部材94は、脚部921と第2絶縁板42(図6、図11参照)との間に介在する部材である。当接部材94は、弾性力を有する例えば耐熱ゴム等の軟質材料で構成されており、脚部921と第2絶縁板42との間に圧縮状態で配置される。弾性を有する当接部材94が、圧縮状態で脚部921と第2絶縁板42(図6、図11参照)との間に設けられる。このため、コイル支持板91、コイル保持部材92又は第2絶縁板42が上下に揺れた場合でも、第2誘導加熱コイル90と第2絶縁板42との距離を一定の範囲に保つことができる。
加熱庫21の後壁23には、第2収容部接続口232と、流出口212と、赤外線通過窓231と、流出口242という開口が設けられている。第2収容部接続口232は、後壁23の上部に設けられた開口であり、冷却送風機60の入口ダクト61の接続口612と接続される。図11に示した流出口252と対向する位置に、第2収容部接続口232が開口しており、第2収容部接続口232から流出した空気は、第2収容部接続口232及び接続口612を介して冷却送風機60の入口ダクト61に流入する。第2絶縁板42(図11参照)が設置された状態において、第2収容部接続口232は第2絶縁板42よりも上に位置する。
流出口212は、加熱庫21内から外部への空気の出口である。本実施の形態の流出口212は、複数の開口によって構成されている。後壁23の後側において、流出口212には排気送風機65の入口ダクト66が接続される。
赤外線通過窓231は、後壁23の後方に配置される第1赤外線センサ73(図17参照)の視野に形成された開口である。第1赤外線センサ73は、この赤外線通過窓231を介して取得される加熱庫21内の赤外線を検知する。
流出口242は、赤外線通過窓231の下側であって、後壁23の下部に設けられている。流出口242は、加熱庫21の底に設けられる第1誘導加熱コイル80を収容する第1収容部24(図14参照)から外部への空気の出口である。後壁23の後方において、流出口242は、冷却送風機60の入口ダクト61の接続口613と接続される。
図13は、実施の形態1に係る加熱庫21の内部構造を説明する斜視図である。図13では、第2収容部25及び第2絶縁板42が取り外された状態の加熱庫21の上からの斜視図を示している。加熱庫21の底には、第1絶縁板41が設けられている。第1絶縁板41は、結晶化ガラス、セラミック、又は耐熱プラスチックなどの絶縁体で構成された板である。この第1絶縁板41の上側に、図7に示した調理容器保持部材32及び調理容器が配置される。第1絶縁板41は、加熱庫21の底の全面を構成している。図12に示した流出口242は、第1絶縁板41の下に位置しているため、図13においては流出口242示されていない。
加熱庫21の側壁22には、赤外線通過窓221が設けられている。赤外線通過窓221は、二重壁構造である側壁22の壁同士の隙間に配置される第2赤外線センサ74(図16参照)の視野に形成された開口である。第2赤外線センサ74は、この赤外線通過窓221を介して取得される加熱庫21内の赤外線を検知する。
図14は、実施の形態1に係る加熱庫21の第1誘導加熱コイル80及びその周辺部材を説明する図である。図14では、図13から第1絶縁板41が取り外された状態を示している。第1絶縁板41(図13参照)の下側に相当する位置には、コイル支持板81が設けられている。コイル支持板81は、第1誘導加熱コイル80が固定される部材であり、平板状である。この平板状のコイル支持板81には、第1誘導加熱コイル80の外形よりもやや大きい開口811が形成されている。この開口811の縁には、立壁部812が設けられている。
立壁部812は、開口811の縁の全周に設けられており、コイル支持板81の下面から下に向かって延びた壁である。立壁部812で囲まれた領域内に、第1誘導加熱コイル80が配置される。コイル支持板81の平板面に対して交差する方向に延びる立壁部812を、開口811の縁に設けることで、コイル支持板81の上下方向の曲げに対する剛性を高めることができる。コイル支持板81の上には、第1絶縁板41(図13参照)が設けられている。このように剛性が強化されたコイル支持板81が、その上面において第1絶縁板41を、当接部材84を介して支持している。当接部材84は、弾性力を有する例えば耐熱ゴム等の軟質材料で構成されている。このため、第1絶縁板41の上に載置される調理容器が、第1絶縁板41に衝突した場合でも、第1絶縁板41が下からコイル支持板81によって支えられていることにより、衝突の衝撃による第1絶縁板41の変形及び損傷を軽減することができる。
コイル支持板81の下には、コイル保持部材82が取り付けられている。コイル保持部材82は、第1誘導加熱コイル80をその外形を維持した状態で収容する枠を有する。このコイル保持部材82を介して、第1誘導加熱コイル80がコイル支持板81に対して位置決めされている。コイル保持部材82は、鋼板等の金属材料又は耐熱プラスチックで形成される。本実施の形態では、コイル保持部材82には、扁平円形状の第1誘導加熱コイル80の中心から放射状に延びる4本の脚部821が設けられている。この脚部821の基本的な構成は、図11で説明したコイル保持部材92の脚部921と同じである。脚部821には、前述の当接部材84が設けられている。
第1誘導加熱コイル80の中央には、第1温度センサ71が設けられている。第1温度センサ71は、第1絶縁板41(図13参照)に接触するようにして設けられており、第1絶縁板41を介して、加熱庫21内に収容されている調理容器の温度を検知する。
図15は、実施の形態1に係る加熱庫21の第1誘導加熱コイル80及びその周辺部材を説明する図である。図15は、図14からコイル支持板81が取り外された状態を示している。コイル保持部材82は、脚部821に挿入された段付きネジ85によって図14に示したコイル支持板81に結合される。
加熱庫21の底部に形成された空間であって、第1誘導加熱コイル80を収容する空間を、第1収容部24と称する。第1収容部24は、第1絶縁板41(図13参照)及びコイル支持板81(図14参照)の下側であって、加熱庫21の底の上に形成された空間である。加熱庫21の底には、第1収容部24への空気の入口である流入口241が設けられている。流入口241は、加熱庫21の底を上下に貫通した開口である。流入口241は、第1収容部24の前後方向において第1誘導加熱コイル80よりも前に設けられている。流入口241は、図15に示すように第1誘導加熱コイル80の左右の幅よりも広い範囲に設けられているのが望ましい。すなわち流入口241の右側の端部は、第1誘導加熱コイル80の右側の端部よりも外側に位置し、流入口241の左側の端部は、第1誘導加熱コイル80の左側の端部よりも外側に位置する。このようにすることで、流入口241から第1収容部24に流入する冷却風が、第1誘導加熱コイル80の左右の領域全体に供給され、第1誘導加熱コイル80を効率よく冷却することができる。また、流入口241は、第1収容部24の左右方向においてなるべく広い範囲に設けられているのが望ましい。このようにすることで、第1収容部24において冷却風が到達しにくい領域を減らすことができるので、第1収容部24における空気の淀みが軽減される。また、第1収容部24への吸気に係る圧力損失を低減できる。
加熱庫21の後壁23には、前述のように流出口242が設けられている。第1収容部24内の空気は、流出口242を通って外部へ流出する。流出口242は、第1誘導加熱コイル80よりも後ろ側に設けられている。また、流出口242の左右方向の幅は、第1誘導加熱コイル80の左右方向の幅よりも小さい。流出口242の右側の端部は、第1誘導加熱コイル80の右側の端部よりも中央側に位置し、流出口242の左側の端部は、第1誘導加熱コイル80の左側の端部よりも中央側に位置している。このように、第1誘導加熱コイル80の左右の幅よりも狭い流出口242を設けることで、流入口241から流入した空気を、温度が上昇しやすい第1誘導加熱コイル80の中央側へ導くことができる。これにより、第1収容部24を流れる空気による第1誘導加熱コイル80の冷却ムラを軽減することができる。また、流出口242と第1誘導加熱コイル80は、上下方向において重なる位置に設けられているとよい。これにより、流出口242へ向かって流れる空気の多くが第1誘導加熱コイル80と接触し、第1誘導加熱コイル80が効率よく冷却される。
図16は、実施の形態1に係る加熱庫21の左右方向における縦断面模式図である。図16は、段付きネジ85及び段付きネジ95を通る断面を示している。加熱庫21の側壁22は、二重壁構造になっており、二重壁の隙間に第2赤外線センサ74が設けられている。
第2容器支持部34に設けられた赤外線通過窓341と正面視において重なる位置に、後壁23の赤外線通過窓231が位置している。後壁23の後側に設けられた第1赤外線センサ73(図17参照)は、赤外線通過窓231及び赤外線通過窓341を介して赤外線を検知する。第1赤外線センサ73は、加熱庫21の左右方向において、概ね中央に配置されている。
加熱庫21の底の下側から挿入された段付きネジ85は、コイル保持部材82の脚部821にネジ止めされている。段付きネジ85は、コイル保持部材82を上下方向に位置決めしている。段付きネジ85の周囲には、例えばコイルばねである弾性体86が設けられている。段付きネジ85とコイル保持部材82の脚部821との間に、弾性体86が配置されている。段付きネジ85が止められた状態において、弾性体86は上下方向に圧縮された状態である。このため、コイル保持部材82は、上へ付勢された状態となっている。この付勢力も作用して、当接部材84は、コイル支持板81及び第1絶縁板41に接触してこれらを下から支持している。弾性体86を介してコイル保持部材82を第1絶縁板41に押し当てることで、第1絶縁板41に対して調理容器の接触圧力がかかった場合でも、この圧力を弾性体86が吸収する。このため、第1絶縁板41における当接部材84の接触箇所への応力の集中が抑制され、第1絶縁板41の変形及び損傷が抑制される。
これと同様にして、加熱庫21の天井に設けられたコイル保持部材92も、段付きネジ95との間に弾性体96が設けられている。弾性体96は、上下方向に圧縮されるようにして段付きネジ95とコイル保持部材92との間に設けられている。コイル保持部材92は、弾性体96の付勢力によって上から下へ第2絶縁板42に対して押し当てられている。
脚部821には、フェライト83が設けられている。フェライト83は、図11に示したフェライト93と同様に、放射状に配置されたコイル保持部材82の脚部821に設けられている。
図17は、実施の形態1に係る加熱庫21における空気の流れを説明する図である。図17は、加熱庫21の冷却送風機60を通る前後方向における縦断面を示している。冷却送風機60の動作によって生じる空気の流れを破線矢印で概念的に示し、排気送風機65(図15等参照)の動作によって生じる空気の流れを一点鎖線矢印で概念的に示している。
冷却送風機60の構造について説明する。冷却送風機60のファンケーシング62の中には、本実施の形態では遠心式のファン63が設けられている。ファン63は、吸込み面が前を向くようにして、ファンケーシング62内に収容されている。ファンケーシング62の前側には、入口ダクト61が接続されており、ファン63の吹出し方向に沿って出口ダクト64が設けられている。入口ダクト61は、基板収容部26と連通する接続口611と、第2収容部25と連通する接続口612と、第1収容部24と連通する接続口613とを有する。入口ダクト61には、基板収容部26、第2収容部25及び第1収容部24から流出した空気が流入する。
ファン63が回転すると、入口ダクト61に吸引力が生じ、これと連通する流入口241、流入口251、及び流入口261にも吸引力が生じる。そうすると、第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26に、空気が流入し、冷却送風機60が配置された加熱庫21の後部に向かって空気が流れる。この過程において、第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26に収容された部品が冷却される。第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26には、前側から空気が流入する。すなわち、キッチン空間における室温の空気が、冷却風として第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26に供給されるので、冷却対象を効率よく冷却することができる。第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26内の部材を冷却した空気は、ファン63に吸い込まれ、出口ダクト64から送出される。
基板収容部26の流入口261は、基板収容部26の前側に設けられており、前に向かって開口している。流入口261は、第1放熱手段52及び第2放熱手段54(図10参照)よりも前側に設けられている。基板収容部26の流出口262(図18参照)は、第1放熱手段52及び第2放熱手段54(図10参照)よりも後側に設けられている。このため、流入口261から入って基板収容部26を流れる空気は、第1放熱手段52及び第2放熱手段54の前後方向の全体に渡って流れ、これらを効率よく冷却することができる。また、流入口261と流出口262とを前後につなぐ直線で囲まれる範囲内に、第1放熱手段52及び第2放熱手段54の少なくとも一部が配置されているとよい(図9及び図10参照)。流入口261から流出口262に至る直線状の流路に、第1放熱手段52及び第2放熱手段54の少なくとも一部が配置されていることにより、第1放熱手段52及び第2放熱手段54により多くの空気が接触し、冷却効率が高まる。また、上下方向において、流入口261の少なくとも一部が、第1放熱手段52及び第2放熱手段54(図10参照)と重なっているとよい。このようにすることで、基板収容部26に流入した空気と第1放熱手段52及び第2放熱手段54との接触をより多くすることができる。
次に、一点鎖線矢印で示す空気の流れを説明する。図17には図視されていないが、加熱庫21の後部に設けられた排気送風機65(図15等参照)が動作すると、一点鎖線矢印で示す空気の流れが生じる。すなわち、加熱庫21の前方上部に設けられた加熱庫吸気ダクト45(図9参照)に空気が流入し、加熱庫吸気ダクト45から流入口211を介して加熱庫21内に空気が流入する。流入口211から加熱庫21に流入した空気は、加熱庫21内の上部を後へ向かって流れ、流出口212に接続された入口ダクト66に入る。流入口211は、加熱庫21の前側に設けられており、流出口212は加熱庫21の後壁23に設けられていることから、加熱庫21の上部を前から後ろへ向かって空気が流れる。加熱庫21において加熱調理されている場合、食材から生じた煙は加熱庫21に向かって流れるが、このような煙が、排気送風機65(図15等参照)の作用によって、加熱庫21から外へと排気される。
加熱庫21の後壁23の下部後方には、第1赤外線センサ73が設けられている。第1赤外線センサ73は、加熱庫21内の上下方向において、中心よりも下側に設けられている。他方、側壁22に設けられた第2赤外線センサ74(図16参照)は、加熱庫21内の上下方向において、中心よりも上側に設けられている。このように、本実施の形態では、加熱庫21の下部の赤外線を検知する第1赤外線センサ73と、上部の赤外線を検知する第2赤外線センサ74とを設けている。このため、加熱庫21内に収容される調理容器の容器部分と蓋部分の両方の温度を、精度よく検知することができる。第2赤外線センサ74は、加熱庫21の前後方向において、概ね中央に配置されている。
図18は、実施の形態1に係る加熱調理器100の前後方向における縦断面模式図である。図18では、冷却送風機60を通る断面を、キッチン家具200並びに加熱庫21に収容された第1容器27及び第2容器28と併せて図示している。また、冷却送風機60の動作によって生じる空気の流れを破線矢印で概念的に示している。
加熱庫21には、深型の第1容器27が容器として機能し、浅型の第2容器28が蓋として機能するようにして組み合わされ状態で、第1容器27及び第2容器28が収容されている。第1容器27の開口の縁に設けられたフランジの内側に、第2容器28の開口の縁に設けられたフランジが嵌合している。これらフランジは、好ましくは面で接している。このようにすることで、調理容器内の密閉性が高まり、調理容器からの蒸気漏れ及び汁漏れが抑制される。
第1容器27の底は、図7に示した調理容器保持部材32の開口321に挿入されている。加熱庫21の底においては第1絶縁板41が露出していることから、開口321に挿入された第1容器27の底は、第1絶縁板41に接した状態となる。第1容器支持部33は、起立状態であり、第1容器支持部33の上端部が第1容器27の取っ手271に接して下から支持している。つまり、取っ手271が第1容器支持部33の上に載置された状態である。第1容器支持部33は、第1容器27の前面及び後面に隣接した位置に設けられており、加熱庫21内において第1容器27を前後方向に位置決めしている。
第2容器28は、第1容器27の蓋として、第1容器27の上に載せられている。この状態における第2容器28の上面と、加熱庫21の天井に設けられた第2絶縁板42との間には、隙間が設けられている。すなわち、第2容器28の上面と第2絶縁板42とは接していない。第1容器27の底の外表面から第2容器28の上部の外表面までの距離は、第1絶縁板41から第2絶縁板42までの距離よりも短いということである。このように、上側の第2容器28は第2絶縁板42と接触しないので、加熱庫21への調理容器の出し入れがスムーズに行われる。扉20が開閉されて、この扉20とともに調理容器が移動する場合でも、調理容器の上面は第2絶縁板42と擦れることがない。
第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90に高周波電流が供給されて生じる高周波磁界によって、第1容器27及び第2容器28が誘導加熱される。すなわち、高周波磁界により第1容器27及び第2容器28に生じる渦電流によって発生するジュール熱で、第1容器27及び第2容器28が高温化し、これらに収容された食材が加熱される。第2容器28の上面と第2絶縁板42との間には隙間が設けられているため、高温化した第2容器28の熱は、第2絶縁板42に伝わりにくい。すなわち蓋として機能する第2容器28から第2絶縁板42への熱漏洩が抑制されている。このため、第2容器28による食材の加熱効率を向上させることができる。また、第2絶縁板42の高温化が抑制されるので、第2絶縁板42の上に配置された第2誘導加熱コイル90、基板収容部26内の部材、及びこれらの上に配置された副筐体5内の部材への伝熱も抑制される。したがって、これらの部材の冷却に係る負荷が軽減される。
加熱庫21において第1誘導加熱コイル80と第2誘導加熱コイル90のいずれか又は両方による加熱調理が行われているときには、冷却送風機60が動作する。冷却送風機60のファン63が回転すると、流入口241、流入口251、及び流入口261に吸引力が生じることは図17にて説明したとおりである。加熱調理器100は、扉20がキッチン空間に露出するようにして配置されており、扉20の上端とキッチン家具200との隙間を通って、キッチン空間の室温の空気が流入口251及び流入口261に流入する。また、扉20の下端とキッチン家具200との間にも隙間があり、この隙間を通って、キッチン空間の室温の空気が流入口241に流入する。筐体1の底に設けられた凸部112の前側に開口した第2吸気口113と、流入口241とは、重なっている。凸部112が、第2吸気口113の前後を仕切る壁として機能するため、筐体1の前方からの空気が第2吸気口113及び流入口241に流入しやすい。
筐体1の後壁は、上端から鉛直方向下方に延び、前側は向かって曲がった形状をしている。すなわち筐体1の後壁の下部は、下側ほど前に位置するようにして、鉛直方向に対して傾斜している。筐体1の後壁の前側に、排気風路12があり、排気風路12の下側に冷却送風機60が配置されている。冷却送風機60は、傾斜した筐体1の後壁の下部の傾斜角度よりも、鉛直方向に近い角度で配置されている。冷却送風機60の出口ダクト64は、鉛直方向に近い角度で排気する。また、出口ダクト64の下流端は、排気風路12に直線的に連通している。このため、冷却送風機60から送出された排気の圧力損失が低減され、冷却送風機60の負荷が軽減されている。
図19は、実施の形態1に係る加熱調理器100の左右方向における縦断面模式図である。図19では、コイルユニット冷却送風機9を通る断面を、加熱庫21に収容された調理容器と併せて図示している。また、コイルユニット冷却送風機9の動作によって生じる空気の流れを破線矢印で概念的に示している。
左側の加熱庫21に収容された調理容器は、第1容器27が下に配置され、蓋として機能する第2容器28が第1容器27の上に載置されている。右側の加熱庫21に収容された調理容器は、第2容器28が下に配置され、蓋として機能する第1容器27が第2容器28の上に載置されている。第1容器27と第2容器28とが組み合わされた状態において、いずれが上であっても調理容器全体の高さは同じである。このため、加熱庫21の天井に配置された第2誘導加熱コイル90から調理容器までの距離は、第1容器27が上にある場合と第2容器28が上にある場合とで同じである。したがって、調理容器の上面は、第1容器27であるか第2容器28であるかにかかわらず、第2誘導加熱コイル90によって同様に誘導加熱される。このため、使用者は、いずれの状態で調理容器を使用するかによって第2誘導加熱コイル90の出力を変更する必要がなく、第2誘導加熱コイル90の出力調整が容易になる。したがって、第2誘導加熱コイル90の出力調整に起因する調理の失敗が軽減される。
なお、調理容器の上面と第2絶縁板42との間に隙間が設けられていることは、図18を参照して説明した通りであるが、図19に示すように当該隙間と高さが重なる位置に、加熱庫21の流出口212が設けられている。
コイルユニット冷却送風機9が動作すると、筐体1の左側の側壁に設けられた第1連通口13から筐体1の中へ空気が吸い込まれる。筐体1に吸い込まれた空気は、副筐体5の底に形成された第4連通口16を通って、コイルユニット冷却送風機9に吸引される。コイルユニット冷却送風機9に吸引された空気は、冷却ダクト10内を流れ、冷却ダクト10内に収容されたヒートシンク19を冷却する。これにより、ヒートシンク19に熱的に接続された駆動素子18(図5参照)が、冷却される。冷却ダクト10を流出した冷却風は、天板加熱制御回路17の周囲を流れ、これを冷却する。その後冷却風は、副筐体5内を後方に向かって流れ、図3に示す天板用誘導加熱コイル8を冷却した後に第2連通口14を通って排気風路12に流入し、排気風路12から加熱調理器100の外へと排出される。
図20は、実施の形態1に係る加熱調理器100の前後方向の横断面模式図である。図20は、加熱庫21の流出口212を通る断面を示している。また図20では、排気送風機65の動作によって生じる空気の流れを一点鎖線矢印で概念的に示している。
加熱庫吸気ダクト45は、加熱庫21と扉20との間に設けられている。左側の加熱庫21の加熱庫吸気ダクト45は、左側に入口が設けられており、右側の加熱庫21の加熱庫吸気ダクト45は、右側に入口が設けられている。加熱庫吸気ダクト45の内部に、加熱庫21の流入口211が設けられている。排気送風機65が動作すると、加熱庫吸気ダクト45に空気が吸い込まれる。加熱庫吸気ダクト45の入口は、筐体1の側面の前部に設けられた第1吸気口111と対面する位置に設けられている。したがって、キッチン空間に面した扉20の周囲の室温の空気が、加熱庫吸気ダクト45内に流入する。
加熱庫吸気ダクト45に流入した空気は、流入口211を通って加熱庫21に入り、後壁23に設けられた流出口212に向かって流れる。流入口211は、加熱庫21の左右方向の概ね全体に渡って設けられており、流出口212は加熱庫21の左右方向の中心部分に設けられている。このため、流入口211から加熱庫21に流入した空気は、後方へ向かって概ねまっすぐ流れる。
また、図19で示したように、調理容器の上面と第2絶縁板42との隙間と高さ方向において重なる位置に、流出口212の少なくとも一部が設けられている。このため、流出口212に向かって加熱庫21内を流れる空気は、調理容器の上を通過する。したがって、調理容器の上に生じた煙を、効率よく排出することができる。また、調理容器の上に空気を通過させることで、調理容器からの吹きこぼれを抑制することができる。調理容器の上に、室温の空気を通過させることで、調理容器の上面を冷やし、これによって調理容器からの吹きこぼれが抑制される。
さらに本実施の形態では、排気送風機65の入口ダクト66内に、湿度センサ75が設けられている。湿度センサ75は、加熱庫21の外に設けられており、加熱庫21から流出した排気の湿度を検知する。湿度センサ75が検知する湿度は、排気に含まれる蒸気量を示す情報として扱われる。本実施の形態では、湿度センサ75は、加熱庫21の後壁23の後ろ側であって、平面視において流出口212の延長線上に配置されている。加熱庫21から流出した排気の湿度は、入口ダクト66を流れる過程で変化しうるため、湿度センサ75の位置は、加熱庫21の内部に近いほうが望ましい。このようにすることで、湿度センサ75は加熱庫21の内部の空気の湿度をより正確に検知することができる。
図21は、実施の形態1に係る加熱庫21での加熱調理制御に関する機能ブロック図である。加熱庫21の底に配置された第1絶縁板41を介して調理容器の温度を検知する第1温度センサ71と、加熱庫21の天井に配置された第2絶縁板42を介して加熱庫21の温度を検知する第2温度センサ72が設けられている。第1赤外線センサ73は、加熱庫21内の下部の赤外線を検知する。第1赤外線センサ73は、加熱庫21の下部に配置される調理容器の容器部分から放射される赤外線を検知し、検知された赤外線の情報から調理容器の容器部分の温度が検知される。第2赤外線センサ74は、加熱庫21内の上部の赤外線を検知する。第2赤外線センサ74は、加熱庫21の上部に配置される調理容器の蓋から放射される赤外線を検知し、検知された赤外線の情報は調理容器の蓋の温度が検知される。湿度センサ75は、加熱庫21内の湿度を検知する。第1温度センサ71、第2温度センサ72、第1赤外線センサ73、第2赤外線センサ74及び湿度センサ75が検知した情報の信号は、加熱庫制御回路50に入力される。
加熱庫21の底に設けられた第1誘導加熱コイル80は、第1駆動手段51から高周波電流の供給を受ける。第1誘導加熱コイル80と第1駆動手段51との間には、第1コイル電流検知回路88が電気的に接続されている。第1コイル電流検知回路88は、第1誘導加熱コイル80に流れる電流を検知し、検知した電流値に応じた信号を出力する。商用電源と第1駆動手段51との間には、第1入力電流検知回路87が電気的に接続されている。第1入力電流検知回路87は、第1駆動手段51に入力される電流を検知し、検知した電流値に応じた信号を出力する。第1入力電流検知回路87及び第1コイル電流検知回路88が出力した信号は、加熱庫制御回路50に入力される。
加熱庫21の天井に設けられた第2誘導加熱コイル90は、第2駆動手段53から高周波電流の供給を受ける。第2誘導加熱コイル90と第2駆動手段53との間には、第2コイル電流検知回路98が電気的に接続されている。第2コイル電流検知回路98は、第2誘導加熱コイル90に流れる電流を検知し、検知した電流値に応じた信号を出力する。商用電源と第2駆動手段53との間には、第2入力電流検知回路97が電気的に接続されている。第2入力電流検知回路97は、第2駆動手段53に入力される電流を検知し、検知した電流値に応じた信号を出力する。第2入力電流検知回路97及び第2コイル電流検知回路98が出力した信号は、加熱庫制御回路50に入力される。
操作部7は、操作入力に応じた信号を加熱庫制御回路50に出力する。
加熱庫制御回路50は、加熱庫21における加熱調理に関わる機器を制御する制御手段である。加熱庫制御回路50は、タイマ回路55及びメモリ56を有する。加熱庫制御回路50は、CPU(Central Processing Unit)を有し、このCPUがメモリ56に格納されたプログラムを実行することで、各種機能が実現される。メモリ56は、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。
加熱庫制御回路50は、表示部6に制御信号を出力することで、表示部6に表示する情報を制御する。加熱庫制御回路50は、冷却送風機60及び排気送風機65の、動作開始、動作停止、及び回転数を制御する。また加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51及び第2駆動手段53の駆動周波数を制御する。
図22は、実施の形態1に係る加熱庫21における入力電流とコイル電流との関係に基づく調理容器の判別機能を説明する図である。図22の縦軸は、第1入力電流検知回路87または第2入力電流検知回路97によって検知される入力電流値を示す。図22の横軸は、第1コイル電流検知回路88または第2コイル電流検知回路98によって検知されるコイル電流値を示す。入力電流とコイル電流との関係は、誘導加熱コイルに対する負荷の有無及び負荷の材質によって異なる。
第1誘導加熱コイル80を例にとると、第1誘導加熱コイル80の高周波磁界が及ぶ範囲の負荷の有無及び負荷の材質によって、入力電流に対するコイル電流の値が異なる。言い換えると、第1絶縁板41の上に調理容器が載置されているか否か、及び調理容器の材質が何であるかによって、入力電流とコイル電流との関係が変化する。また、第2誘導加熱コイル90を例にとると、第2誘導加熱コイル90の高周波磁界が及ぶ範囲の負荷の有無及び負荷の材質によって、入力電流に対するコイル電流の値が異なる。第2絶縁板42の下に位置する調理容器に、蓋があるか否か、及びその蓋の材質が何であるかによって、入力電流とコイル電流との関係が変化する。第1入力電流検知回路87及び第1コイル電流検知回路88の検知結果に基づいて、調理容器のうちの容器部分の負荷判定が行われる。第2入力電流検知回路97及び第2コイル電流検知回路98の検知結果に基づいて、調理容器のうちの蓋部分の負荷判定が行われる。すなわち第2入力電流検知回路97及び第2コイル電流検知回路98からなる電流検知手段が、調理容器の蓋の有無を検知する蓋検知手段として機能する。調理容器の容器部分と蓋部分の負荷判定がそれぞれ行われ、両者の判定結果に基づいて、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90のいずれか又は両方による誘導加熱が行われる。
図22において、適正領域は、誘導加熱に適した調理容器が、加熱庫21内に収容されているときの状態を示している。本実施の形態では、深型の第1容器27と浅型の第2容器28の一方が、容器として第1絶縁板41の上に載置されているときに、第1入力電流検知回路87が検知した入力電流と第1コイル電流検知回路88が検知したコイル電流が、適正領域に示す状態となる。また、深型の第1容器27と浅型の第2容器28の他方が、蓋として配置されているときに、第2入力電流検知回路97が検知した入力電流と第2コイル電流検知回路98が検知したコイル電流が、適正領域に示す状態となる。
図22において、領域Aは、誘導加熱可能な材料で構成された調理容器が加熱庫21内に収容されているものの、その位置及び形状が、誘導加熱に適していないときの状態を示している。具体的には例えば、第1容器27又は第2容器28が容器として加熱庫21内に配置されているものの、蓋が設けられていないときに、第2入力電流検知回路97が検知した入力電流と第2コイル電流検知回路98が検知したコイル電流との関係は、領域Aに属する。この場合、第2誘導加熱コイル90の作用によって蓋を発熱体として機能させる加熱調理はできない。
図22において、領域Bは、加熱庫21内に調理容器が収容されていない状態を示している。入力電流とコイル電流との関係が、領域Bに属する場合には、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による加熱調理は行われない。
図22において、領域Cは、誘導加熱に適さない材料で構成された調理容器が加熱庫21内に収容されている状態を示している。入力電流とコイル電流との関係が、領域Cに属する場合には、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による加熱調理は行われない。
図22において、領域Dは、アルミで構成された調理容器が加熱庫21内に収容されている状態を示している。アルミは、誘導加熱される材料であるが、鉄及びステンレス等の磁性体及び高抵抗非磁性体と比べて誘導加熱効率が低い。そこで本実施の形態では、入力電流とコイル電流との関係が、領域Dに属する場合には、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による加熱調理は行われない。
図22に示した入力電流とコイル電流との関係を利用して、加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51及び第2駆動手段53を制御する。
以下、加熱庫21における加熱調理時の各部の動作を説明する。加熱庫21内での加熱調理を行うための操作入力が操作部7に加えられると、操作部7から加熱庫制御回路50へ加熱開始の信号が入力される。
加熱開始の信号が入力されると、加熱庫制御回路50は、加熱庫21内の負荷検知を行う。具体的には、負荷判定用の特定の駆動信号にて第1駆動手段51及び第2駆動手段53を駆動する。加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51を駆動したときの第1入力電流検知回路87及び第1コイル電流検知回路88の検知結果と、図22に示した入力電流とコイル電流との関係とに基づいて、第1絶縁板41の上の負荷判定を行う。また、加熱庫制御回路50は、第2駆動手段53を駆動したときの第2入力電流検知回路97及び第2コイル電流検知回路98の検知結果と、図22に示した入力電流とコイル電流との関係とに基づいて、第2絶縁板42の下側の負荷判定を行う。
加熱庫21内の調理容器の容器部分及び蓋の双方について、図22の適正領域であることが検知された場合には、加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51及び第2駆動手段53を、操作部7に入力された加熱力が得られるような周波数で駆動する。本実施の形態では、図18及び図19に示すように、第1容器27と第2容器28の一方が容器として第1絶縁板41に載置され、その容器に他方が蓋として載せられた状態である場合に、第1駆動手段51及び第2駆動手段53が動作を開始する。以下、第1容器27が下に配置され、第2容器28が蓋として第1容器27の上に載置されている場合を例に説明する。
第1駆動手段51が動作すると、第1誘導加熱コイル80に高周波電流が供給される。第1誘導加熱コイル80に高周波電流が供給されると、第1誘導加熱コイル80の周囲に高周波磁界が発生し、第1容器27が誘導加熱される。図18及び図19に示すように、第1容器27と第1誘導加熱コイル80との間には、第1絶縁板41が配置されているが、この第1絶縁板41は高周波磁界を妨げない。第1容器27が発熱することにより、第1容器27内の食材が加熱される。第1誘導加熱コイル80の上側は、加熱庫21内に対して第1絶縁板41によって覆われている。このため、第1容器27からの吹きこぼれが発生したとしても、吹きこぼれた液体が第1誘導加熱コイル80に付着しない。したがって、第1誘導加熱コイル80の腐食及び劣化による、第1誘導加熱コイル80の電気絶縁性の低下が抑制される。
また、第2駆動手段53が動作すると、第2誘導加熱コイル90に高周波電流が供給される。第2誘導加熱コイル90に高周波電流が供給されると、第2誘導加熱コイル90の周囲に高周波磁界が発生し、第1容器27の蓋としての第2容器28が誘導加熱される。図18及び図19に示すように、第2容器28と第2誘導加熱コイル90との間には、第2絶縁板42が配置されているが、この第2絶縁板42は高周波磁界を妨げない。第1容器27の蓋である第2容器28が発熱することにより、第1容器27及び第2容器28によって形成される空間内にある食材が、上から加熱される。すなわち第2容器28は、食材を上から加熱する加熱手段として機能する。したがって、第2容器28という蓋で食材を覆った状態で、その食材の上面を加熱し、焦げ目をつけることも可能となる。このように、本実施の形態によれば、加熱された食材から飛散した油煙又は蒸気が、加熱庫21の内部に飛散するのを防ぐことができる。また、第2誘導加熱コイル90の下側は、加熱庫21内に対して第2絶縁板42によって覆われている。このため、第1容器27と第2容器28の隙間からの吹きこぼれにより蒸気が発生しても、この蒸気は第2誘導加熱コイル90に付着しない。したがって、第2誘導加熱コイル90の腐食及び劣化による、第2誘導加熱コイル90の電気絶縁性の低下が抑制される。
第1駆動手段51及び第2駆動手段53は、第1温度センサ71、第2温度センサ72、第1赤外線センサ73及び第2赤外線センサ74からの出力に基づいて制御される。第1温度センサ71は第1絶縁板41に接触しており、第1絶縁板41を介して第1容器27の温度を検知する。第1赤外線センサ73は、第1容器27から放射される赤外線エネルギー量により、第1容器27の温度を検知する。このように、本実施の形態では、接触式の第1温度センサ71と、非接触式の第1赤外線センサ73の両方を用いて、第1容器27の温度を検知する。第1温度センサ71と第1容器27との間には第1絶縁板41が介在していることから、第1赤外線センサ73の検知結果を用いて第1温度センサ71の検知結果を補正することで、精度よく第1容器27の温度を検知することができる。
第2温度センサ72は第2絶縁板42に接触しており、第2絶縁板42と第2容器28との間には空気層があるため、第2温度センサ72は第2絶縁板42及び空気層を介して第2容器28の温度を検知する。第2赤外線センサ74は、第2容器28から放射される赤外線エネルギー量により、第2容器28の温度を検知する。このように、本実施の形態では、第2温度センサ72と第2赤外線センサ74の両方を用いて、第2容器28の温度を検知する。第2温度センサ72と第2容器28との間には第2絶縁板42及び空気層が介在していることから、第2赤外線センサ74の検知結果を用いて第2温度センサ72の検知結果を補正することで、精度よく第2容器28の温度を検知することができる。
加熱調理器100には、煮物及び炊飯を含む調理メニューを設定する調理メニュー設定部が設けられていてもよい。この調理メニュー設定部は、操作部7に設けられうる。ここで、煮物とは、例えば、みそ汁、肉じゃが、ポトフ、カレー、シチュー等である。加熱庫制御回路50は、調理メニューとして煮物又は炊飯が設定された場合には、蓋として機能する第2容器28の温度が、第1容器27の温度よりも低くなるように、第1駆動手段51及び第2駆動手段53を制御する。このように蓋である第2容器28の温度を第1容器27よりも低く保つことで、調理容器からの吹きこぼれを抑制することができる。
加熱調理器100には、焼き物の調理メニューを設定する調理メニュー設定部が設けられていてもよい。この調理メニュー設定部は、操作部7に設けられうる。ここで、焼き物とは、例えば、ハンバーグ、姿焼き、切り身、鶏もも焼き、ローストビーフ、トースト、ノンフライから揚げ、干物等である。加熱庫制御回路50は、調理メニューとして焼き物が設定された場合には、蓋として機能する第2容器28の温度が、第1容器27の温度以上になるように、第1駆動手段51及び第2駆動手段53を制御する。例えば第2容器28の温度は350℃に維持され、第1容器27の温度は230℃に維持される。このように蓋である第2容器28の温度を第1容器27の温度以上にすることで、食材の上面及び下面に適度な焼き色をつけることができる。調理容器内に収容される食材は、第1容器27の底に置かれることから、第1誘導加熱コイル80による加熱作用の方が、第2誘導加熱コイル90による加熱作用よりも大きい。このため、第1容器27の温度を抑制することにより、食材の下面温度の過度な上昇による食材の焦げ付きを抑制することができる。また、第2容器28の温度を高くすることにより、食材の上面の加熱が促進され、食材を裏返すことなく加熱調理することができる。
第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による誘導加熱を行っているときに、加熱庫制御回路50は、冷却送風機60を動作させる。冷却送風機60が動作すると、図17及び図18で説明したように、第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26内に冷却風が供給されて発熱部品が冷却される。発熱部品を冷却した後の冷却風は、冷却送風機60に吸い込まれ、出口ダクト64から排気風路12に流れる。排気風路12を流れた冷却風は、排気口カバー3を通った後に加熱調理器100の外へ排出される。第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26に供給される冷却風は、キッチン空間に面した加熱調理器100の前面側から吸い込まれた室温の空気であるので、発熱部品を効率よく冷却することができる。
第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による誘導加熱を終了すると、加熱庫制御回路50は、排気送風機65を動作させる。排気送風機65が動作すると、図17及び図20で説明したように、流入口211から加熱庫21内へ空気が流入する。流入した空気は主に、第2容器28と第2絶縁板42との間を流れる。このため、加熱庫21内に蒸気又は油煙が発生した場合でも、これらを加熱庫21の外へ排出することができる。また、図17に示すように、流入口211は加熱庫21の天井と同一面にある。また、図19に示すように、流出口212は高さ方向において蓋である第2容器28の上面と第2絶縁板42との間に位置している。このため、流入口211から流出口212に向かって流れる空気の主流は、調理容器の上側を通る。したがって、蒸気、臭気及び煙が加熱庫21の上部に滞留するのを抑制することができる。これにより、加熱庫21の扉20が開けられたときに蒸気、臭気及び煙が加熱庫21から放出されることによる使用者の不快感を軽減できる。また、加熱庫21の内面への蒸気、臭気及び煙の付着を抑制できるので、加熱庫21内の電機部品の電気絶縁性の低下による漏電等が抑制され、また加熱庫21の衛生性を高めることができる。
なお、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による誘導加熱を行っているときに、排気送風機65が動作してもよい。例えば、操作部7にて煮物の調理メニューの実行が指示された場合、排気送風機65を動作させて第2容器28の上に空気を通過させることで、第2容器28の上面に対する冷却効果が得られる。このように第2容器28の上面を冷却することで、調理容器からの吹きこぼれを抑制することができる。吹きこぼれを抑制することで、吹きこぼれた液体の付着による第1絶縁板41及び第2絶縁板42の腐食及び損傷が抑制され、また加熱庫21内の汚れが抑制される。
また、第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による誘導加熱を行っているときに、湿度センサ75の検知結果に基づいて、排気送風機65のファン68の回転数が制御されてもよい。具体的には、湿度センサ75が、加熱庫21の湿度が閾値以上であることを検知した場合、すなわち加熱庫21内に多くの蒸気が発生している場合には、調理容器から吹きこぼれが生じやすい状況であるといえる。このため、湿度センサ75が、閾値以上の湿度を検知した場合には、加熱庫制御回路50は、排気送風機65のファン68の回転数を上昇させる。また、加熱庫制御回路50は、第2駆動手段53の動作を停止させることにより、第2誘導加熱コイル90による第2容器28の誘導加熱を停止させる。第2駆動手段53の動作を停止させることに代えて、第2駆動手段53の出力を低下させてもよい。さらに、加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51を制御して、第1誘導加熱コイル80による第1容器27の加熱力を低下させる。このようにすることで、調理容器からの吹きこぼれを抑制することができる。
なお、流入口211及び流出口212の配置は、図示したものに限定されないが、流入口211及び流出口212は加熱庫21の上下方向の中心よりも上側に配置されているとよい。このようにすることで、加熱庫21の上部に空気の流れを形成することができる。また、深型の第1容器27と浅型の第2容器28とを加熱庫21の専用調理容器として用いる場合、下に配置された第1容器27とその上に配置された第2容器28との接触部よりも上に、流入口211及び流出口212が設けられていてもよい。第1容器27と第2容器28は、いずれもが容器としても蓋としても機能するが、浅型の第2容器28を蓋として用いた調理が多くある。このため、蓋としての第2容器28と同じ高さ又はこれよりも上に流入口211及び流出口222を設けることで、吹きこぼれ抑制のために排気送風機65を動作させたときに、効率よく第2容器28を冷却することができる。
第1誘導加熱コイル80及び第2誘導加熱コイル90による誘導加熱を終了した後も、冷却送風機60の動作を継続させてもよい。このようにすることで、第1収容部24、第2収容部25及び基板収容部26内にある高温化した発熱体を、より速やかに冷却することができる。
次に、加熱庫21内に収容された調理容器の負荷判定において、蓋がないと判定された場合の動作を説明する。第2駆動手段53を負荷判定用の周波数で駆動したときの第2入力電流検知回路97及び第2コイル電流検知回路98の検知結果と、図22に示した入力電流とコイル電流との関係とに基づいて、蓋としての第1容器27又は第2容器28が無いと判定されたとする。この場合、加熱庫制御回路50は、第1駆動手段51及び第2駆動手段53の駆動を停止させ、表示部6に、蓋がないことを示す警告を表示させる。このようにすることで、使用者に容器への蓋の設置を促すことができる。また、使用者が蓋を設置し忘れた場合に、蓋がない状態で加熱することによる加熱庫21内の汚れを回避することができる。
なお、表示部6に蓋がない旨の警告を表示した後に、操作部7に加熱開始の指示が入力された場合には、第1駆動手段51及び第2駆動手段53の駆動を開始してもよい。このようにすることで、蓋がない状態での加熱調理を望む使用者の利便性を確保することができる。なお、表示部6による報知に代えて、あるいはこれに加えて、聴覚的な報知を行うスピーカを報知手段として備えてもよい。
調理容器の負荷判定において、加熱庫21に調理容器が収容されていないと検知された場合、又は調理容器が誘導加熱されない材料で構成されていると検知された場合には、表示部6にてその旨を表示してもよい。このようにすることで、使用者に対して適切な調理容器の使用を促すことができる。なお、表示部6による報知に代えて、あるいはこれに加えて、聴覚的な報知を行うスピーカを報知手段として備えてもよい。
複数の加熱庫21に対し、同時に同じ調理メニュー又は加熱条件を設定する設定部が設けられていてもよい。この設定部は、操作部7に設けられうる。複数の加熱庫21に対して、同時に同じ調理メニューまたは加熱条件を設定することで、使用者の利便性を向上させることができる。例えば、調理容器の容積は一定であるため、調理メニュー「鶏もも焼き」の場合、一つの調理容器で2枚しか焼けず、4人家族の家庭で4枚調理するためには2枚ずつ2回調理する必要がある。そうなると、最初の2枚の調理は作り置きすることになり、後の2枚を調理する間に冷めてしまい食味が低下し、再加熱するとパサつきが生じうる。しかし、複数の加熱庫21に対して同時に同じ調理メニューまたは加熱条件を設定することで、4枚同時に調理することができ、調理時間を半分に短縮できるとともに、できたての料理を同時に提供できることができる。
複数の加熱庫21に対し、同時に異なる調理メニューまたは加熱条件を設定する設定部が設けられていてもよい。この設定部は、操作部7に設けられうる。複数の加熱庫21に対し、異なる調理メニューまたは加熱条件を設定することで、複数の調理を同時に調理できる。例えば、一方の加熱庫21で煮物を調理し、他方の加熱庫21で焼き物を調理するということもできる。このようにすることで、一食の献立を同時に仕上げることができる。また、一方の加熱庫21での調理メニューと、他方の加熱庫21での調理メニューとで、調理時間が異なる場合に、仕上がり時刻を同時にしてもよい。具体的には、同時仕上がりの指示が設定された場合に、加熱庫制御回路50は、設定された複数の調理メニューそれぞれの仕上がり時刻が同じになるように、各加熱庫21での加熱開始タイミングを制御する。このようにすることで、使用者は、できたての複数の料理を同時に得ることができる。
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、実施の形態1で説明した加熱庫21における加熱調理制御は、実施の形態2に組み合わせられる。
図23は、実施の形態2に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。本実施の形態の加熱調理器100は、加熱庫21の扉20が開かれたときに、扉20を下降させるプルダウン機構を備えている。プルダウン機構は、プルダウンアーム35と保持アーム36とを主な構成要素としている。プルダウンアーム35及び保持アーム36は、可動レール31と扉20とを接続する接続部材である。このプルダウン機構により扉20が開かれたときに扉20が下降し、調理容器保持部材への調理容器の載置と取り出しが容易となる。
図24は、実施の形態2に係る加熱庫21の斜視図である。加熱庫21の後壁23の後ろには、レール収容部311が設けられている。レール収容部311は、加熱庫21内と連通する空間であり、可動レール31(図23参照)の後端を収容する。
図25は、実施の形態2に係る加熱庫21の後からの斜視図である。図25は、基板収容部26が取り外された状態を示している。本実施の形態のコイル支持板91には、実施の形態1と同様に開口911が設けられているが、実施の形態1における立壁部912は設けられていない。開口911の下には第2絶縁板42が設けられている。
本実施の形態の第2誘導加熱コイル90は、平面形状が角丸矩形である。第2誘導加熱コイル90の長辺及び短辺の両方が、直線的である。第2誘導加熱コイル90の上には、フェライト93が設けられている。フェライト93は、第2誘導加熱コイル90の短辺の上と、短辺と長辺とを接続する曲線部分の上と、に設けられている。このように、第2誘導加熱コイル90の短辺側のフェライト93の密度を、長辺側よりも高めることで、加熱庫21内に収容される調理容器の長手方向の両端部の磁束密度を高めることができる。これにより、調理容器の上面の温度ムラを軽減することができる。
本実施の形態では、第2温度センサ72に加え、第4温度センサ77が設けられている。第4温度センサ77は、接触式の温度センサである。第4温度センサ77は、コイル支持板91を上下に貫通する孔に挿入されており、バネなどの弾性体によって下へ付勢されている。第4温度センサ77は、加熱庫21の左右の中心に配置されているのが望ましい。第4温度センサ77は、加熱庫21に収容される調理容器の蓋の上面に接触し、蓋の温度を検知する。
第2温度センサ72は、実施の形態1と同様に第2絶縁板42に接触しており、第2絶縁板42を介して加熱庫21内の調理容器の温度を検知する。なお、第2温度センサ72を、第4温度センサ77と同様に、調理容器の蓋に接触するよう構成してもよい。具体的には、第2絶縁板42に上下に貫通する孔を設け、バネなどの弾性体によって下へ付勢された状態で、第2温度センサ72を孔に挿入する。このようにすることで、加熱庫21内に収容される調理容器の蓋の温度をより精度よく検知することができる。
本実施の形態の冷却送風機60は、ファンケーシング62及びファンケーシング62内のファン63が、入口ダクト61及び出口ダクト64に対して取り外し可能である。また排気送風機65は、ファンケーシング67及びファンケーシング67内のファン68が、入口ダクト66及び出口ダクト69に対して取り外し可能である。図25では、ファンケーシング62及びファンケーシング67が取り外された状態を示している。このようにファンケーシング62及びファンケーシング67を取り外し可能な構成とすることで、ファン63及びファン68のメンテナンス性を向上させることができ、加熱調理器100の製品寿命を長くすることができる。ファンケーシング62及びファンケーシング67は、筐体1の背面の一部を構成するメンテナンス用のパネルを取り外すことにより、取り外される。
図26は、実施の形態2に係る加熱庫21の内部構造を説明する斜視図である。図27は、実施の形態2に加熱庫21の内部構造を説明する斜視図であって、扉20が引き出された状態を示した図である。
本実施の形態では、実施の形態1の調理容器保持部材32に代えて、調理容器保持部材38が設けられている。調理容器保持部材38は、調理容器を下から支持し、扉20とともに加熱庫21から引出されるという基本機能においては、実施の形態1の調理容器保持部材32と同じであるが、具体的な構造が異なる。調理容器保持部材38は、枠状の容器支持部381と、容器支持部381の後方に設けられた開口382と、開口382の前方に設けられた保持部絶縁板383とを有する。保持部絶縁板383は、結晶化ガラス、セラミック、又は耐熱プラスチックなどの絶縁体で構成された板である。保持部絶縁板383は、枠状の容器支持部381の開口の中に嵌め込まれている。言い換えると、保持部絶縁板383の外周部に、容器支持部381が設けられている。容器支持部381は、その上部の縁において調理容器を下から支持する。容器支持部381を構成する枠における前後左右の4辺のうち、左右及び前の3辺の内面と、保持部絶縁板383とが接している。保持部絶縁板383と、容器支持部381の後の1辺の内面とは、接しておらず、保持部絶縁板383の後端と容器支持部381との間には開口382が設けられている。
調理容器保持部材38の下側には、第1絶縁板41が設けられている。本実施の第1絶縁板41は、実施の形態1と形状が異なる。実施の形態1の第1絶縁板41は、加熱庫21の底全体を覆う大きさ及び形状であった。しかし、本実施の形態の第1絶縁板41は、その後端が後壁23に接触しておらず、加熱庫21の前後方向の長さよりも第1絶縁板41の前後方向の長さの方が短い。第1絶縁板41と加熱庫21の後壁23との間には、絶縁板支持部39が設けられている。絶縁板支持部39は、第1絶縁板41の後端に接触し、第1絶縁板41を前後方向に位置決めする平板状の部材である。
また本実施の形態では、第3温度センサ76が設けられている。第3温度センサ76は、接触式の温度センサである。第3温度センサ76は、絶縁板支持部39を上下に貫通する孔に挿入されており、バネなどの弾性体によって上へ付勢されている。第3温度センサ76は、加熱庫21の左右の中心に配置されているのが望ましい。第3温度センサ76は、加熱庫21に収容される調理容器の底に接触し、調理容器の底の温度を検知する。
図26に示すように、調理容器保持部材38が加熱庫21に収容された状態において、第3温度センサ76は、開口382の中に位置している。ここで、枠状の調理容器保持部材38の内表面のうち、左右に延びる後ろ側の内表面を、背面381aと称する。背面381aの下端は、保持部絶縁板383の上面よりも高い位置にある。したがって、図27に示すような調理容器保持部材38が加熱庫21から引き出された状態から、調理容器保持部材38が加熱庫21内に移動するときに、背面381aの下端は、第3温度センサ76に接触しない。第3温度センサ76は、第1絶縁板41よりも上に突出しているが、調理容器保持部材38が移動しても背面381aに衝突しない構成となっている。
図28は、実施の形態2に係る加熱庫21の第1誘導加熱コイル80及びその周辺部材を説明する図である。図28は、図26から第1絶縁板41及び調理容器保持部材38が取り外された状態を示している。本実施の形態のコイル支持板81には、実施の形態1と同様に開口811が設けられているが、実施の形態1における立壁部812は設けられていない。開口811の下には第1誘導加熱コイル80が設けられている。
本実施の形態の第1誘導加熱コイル80は、平面形状が角丸矩形である。第1誘導加熱コイル80の長辺及び短辺の両方が、直線的である。コイル保持部材82の形状は、第1誘導加熱コイル80の外形に沿った形状となっている。
図29は、実施の形態2に係る加熱庫21の第1誘導加熱コイル80及びその周辺部材を説明する図である。図29は、図28から絶縁板支持部39及び調理容器保持部材38が取り外された状態を示している。加熱庫21の後壁23には、実施の形態1で設けられていた赤外線通過窓231が設けられていない。また実施の形態1で示した第1赤外線センサ73も、本実施の形態では設けられていない。
加熱庫21の第1誘導加熱コイル80を収容する第1収容部24の基本構成は、実施の形態1と同様である。加熱庫21の底において第1誘導加熱コイル80よりも前側に、流入口241が設けられ、後壁23に流出口242が設けられている。
図30は、実施の形態2に係る加熱庫21のプルダウン機構の構造を説明する図である。図30では、上から順に、扉20が閉められた状態、扉20が引き出された状態、引き出された扉20が下降した状態を示している。プルダウン機構は、長尺状のプルダウンアーム35と、可動レール31に対してプルダウンアーム35を保持する保持アーム36とを有している。
プルダウンアーム35の前端は、扉20の内面に固定されている。プルダウンアーム35と扉20との固定状態は、扉20の開閉状態にかかわらず同じである。プルダウンアーム35の後端は、ピン371によって可動レール31に回動自在に軸支されている。プルダウンアーム35の長手方向において、扉20の近傍には、長穴351が設けられている。
保持アーム36の一端は、プルダウンアーム35の長穴351に挿入されたピン372によって、回動自在にプルダウンアーム35に軸支されている。保持アーム36の他端は、ピン373によって可動レール31に回動自在に軸支されている。長穴351に挿入されたピン372は、長穴351内をその長手方向に沿って摺動自在である。ピン372が長穴351内を摺動することにより、保持アーム36とプルダウンアーム35との位置関係が変化する。図30の中央の図に示されているように、ピン372が、長穴351の前端に位置しているときには、保持アーム36の長手方向とプルダウンアーム35の長手方向とが一致するようにして、保持アーム36とプルダウンアーム35とが重なった状態になる。また、プルダウンアーム35、保持アーム36及び可動レール31の長手方向がすべて一致しており、これらが重なっている。図30の最下図に示されているように、ピン372が、長穴351の後端に位置しているときには、プルダウンアーム35及び保持アーム36は、可動レール31に対して傾斜している。詳しくは、プルダウンアーム35は、ピン371に支持された部分から前に向かうほど下へ傾斜している。保持アーム36は、ピン373に支持された部分から前に向かうほど下へ傾斜している。ピン371に吊り下げられたプルダウンアーム35と、ピン373に吊り下げられた保持アーム36とが、ピン372において連結された状態である。
図30の最上図に示す、扉20が閉められた状態から、扉20が前に引かれると、可動レール31が固定レール30上を摺動し、前に移動する。そして、図30の中央図に示すように、扉20が最も引き出された状態において、第1容器27及び第2容器28からなる調理容器が、加熱庫21の外に出る。この状態で使用者が扉20から手を離すと、扉20の自重によりピン371を軸にプルダウンアーム35が回動し、プルダウンアーム35に連結された扉20も下降する。プルダウンアーム35の下降に伴い、ピン372が長穴351の前端から後端に向かって移動し、ピン373を軸に保持アーム36が回動する。そして、ピン372が長穴351の後端に当接すると、扉20、プルダウンアーム35及び保持アーム36の移動が停止し、図30の最下図に示す状態となる。この状態において、使用者は、蓋である第2容器28を外して第1容器27内を確認したり、第1容器27及び第2容器28を取り出したりといったことが可能になる。
扉20が最下端まで下降した状態において、扉20の上端は、蓋として機能している浅型の第2容器28の取っ手281よりも低い位置にあるのが望ましい。このようにすることで、使用者は、蓋である第2容器28の取っ手281を把持するときに、扉20が邪魔にならず、作業を行いやすい。蓋の着脱を容易にすることで、加熱庫21での調理の途中で食材及び調味料等を投入する場合の、使用者の調理の作業性を向上させることができる。
さらに、扉20が最下端まで下降した状態において、扉20の上端が、第2容器28の下にある第1容器27の取っ手271よりも低い位置にあるのが望ましい。このようにすることで、使用者は、取っ手271を把持して第1容器27を持ち上げる作業が行いやすくなる。
また、扉20が最も引き出された状態において、第1容器27の取っ手271及び第2容器28の取っ手281が、加熱庫21の外側に出るように、可動レール31の摺動距離が定められているとよい。このようにすることで、使用者は、取っ手271又は取っ手281を把持しやすくなる。さらに、扉20が最も引き出された状態において、取っ手271及び取っ手281と、加熱庫21の前面との間に、使用者の手が挿入されうる隙間が形成されるように、可動レール31の摺動距離が定められているとよい。このようにすることで、使用者はさらに取っ手271及び取っ手281を把持しやすくなる。
ここで、上記のように調理容器の取っ手271及び取っ手281を含めて加熱庫21の外に引き出されるようにする場合、可動レール31の長さは、加熱庫21の前後方向の長さよりも大きくなければならない。本実施の形態では、加熱庫21の背面に、内部に収容空間を有するレール収容部311を備えたので、加熱庫21の前後方向の長さよりも長い可動レール31の後端を、レール収容部311に収容することができる。このため、加熱庫21の前後方向の長さを大きくすることなく、可動レール31の長さを確保することができる。また、可動レール31の移動量を大きくするために加熱庫21の前後方向の長さを大きくする必要がないので、加熱庫21の表面積の増大も回避できる。加熱庫21の表面積が大きくなると、加熱庫21の外への熱漏洩が大きくなって加熱効率が低下するが、本実施の形態によればそのような不具合が生じない。また、加熱庫21の外郭を構成する材料の増加を防ぐことができるので、軽量で安価な加熱庫21を得ることができる。
図31は、実施の形態2に係る加熱庫21の左右方向における縦断面模式図である。図31は、扉20(図30参照)が閉じられた状態の、ピン372を通る断面を示している。調理容器保持部材38と、側壁22に設けられた固定レール30との間に、可動レール31と、保持アーム36と、プルダウンアーム35と、が設けられている。長穴351(図30参照)に挿入されたピン372の左右の両端部には、長穴351の上下の長さより径の長い拡径部が設けられており、この拡径部が長穴351からの抜け止めとして機能している。ピン372は、調理容器保持部材38の側面と接触しない長さであるので、ピン372が移動するときの摩擦が少ない。
図32は、実施の形態2に係る加熱庫21の左右方向における縦断面模式図である。図32は、扉20(図30参照)が引き出された状態の、ピン372の前側における断面を示している。保持アーム36は、段差部361を有している。保持アーム36の前側部分に対し、後ろ側部分の方が、プルダウンアーム35から離れており、これら前側部分と後ろ側部分とを接続しているのが段差部361である。段差部361を境にして保持アーム36の前側部分は、プルダウンアーム35に接触しており、後ろ側部分は、可動レール31に接触している。保持アーム36は、前側部分がプルダウンアーム35に接触した状態で摺動し、後ろ側部分が可動レール31に接触した状態で摺動する。保持アーム36の段差部361よりも後ろ側の部分は、ピン373によって可動レール31に軸支されている。ピン373と保持アーム36との間には隙間があるので、ピン373はプルダウンアーム35の下降動作を阻害することがない。また、保持アーム36は、プルダウンアーム35と可動レール31の双方に接触しているので、プルダウンアーム35が下降した状態にあるときに、プルダウンアーム35及び保持アーム36の左右方向へのがたつきが抑制される。
図33は、実施の形態2に係る加熱庫21の、前後方向の横断面模式図である。図33は、断面を下側から見た状態を示している。プルダウンアーム35には、ピン371の近傍に、段差部352が設けられている。段差部352の後ろ側部分は可動レール31に接触し、段差部352の前側部分は可動レール31から離れている。段差部352の前側部分において、プルダウンアーム35と可動レール31との間に隙間があるので、当該隙間に保持アーム36を収容することができる。また、プルダウンアーム35において段差部352の後ろ側部分は、可動レール31に接触した状態で摺動するので、プルダウンアーム35が摺動するときの左右のがたつきが抑制される。
図34は、実施の形態2に係る加熱調理器100の前後方向における縦断面模式図である。まず、調理容器を支持する構造を説明する。調理容器保持部材38に設けられた、上下に延びる背面381aは、第1容器27の後部の底に近い外表面に、面で接している。背面381aにより、第1容器27が後ろ方向に位置決めされる。第1容器27の下部は、調理容器保持部材38の枠内に配置され、第1容器27の底は、調理容器保持部材38に設けられた保持部絶縁板383の上に載置される。保持部絶縁板383の下には、第1絶縁板41が配置される。第1絶縁板41の上に保持部絶縁板383が重ねられており、この保持部絶縁板383の上に第1容器27が載置される。なお、第2容器28が容器として使用される場合にも、第1容器27の下部は、調理容器保持部材38の枠内に配置され、第2容器28の底は保持部絶縁板383の上に載置される。このように本実施の形態では、第1容器27と第2容器28のいずれが容器として使用される場合であっても、調理容器保持部材38によって加熱庫21内において位置決めされる。このため、第1容器27を容器として用いる場合と、第2容器28を容器として用いる場合とで、容器を位置決めするための調理容器保持部材を切り替える必要がなく、使用者の手間を軽減できる。
また、第1誘導加熱コイル80と調理容器との間には、第1絶縁板41及び保持部絶縁板383が設けられている。すなわち第1誘導加熱コイル80は、調理容器に対して第1絶縁板41及び保持部絶縁板383によっておおわれている。したがって、調理容器からの吹きこぼれが発生した場合でも、吹きこぼれた液体が第1誘導加熱コイル80には接触しない。したがって、実施の形態1と同様に、第1誘導加熱コイル80の腐食及び劣化による、第1誘導加熱コイル80の電気絶縁性の低下が抑制される。
第3温度センサ76は、保持部絶縁板383の後方に設けられ、バネなどの弾性体によって上へ付勢されている。第3温度センサ76は、調理容器保持部材38の保持部絶縁板383に載置された第1容器27の底に押し当てられる。このように第3温度センサ76は、温度検知対象である第1容器27の底に接触して温度を検知するので、第1容器27の温度が精度よく検知される。また、第3温度センサ76は、弾性体によって付勢されて第1容器27に対して圧力をかけた状態で接触するので、接触熱抵抗が減少し、温度検知精度が高まる。
第4温度センサ77は、第2絶縁板42よりも下に突出するようにして、第2収容部25内に設けられている。第4温度センサ77は、バネなどの弾性体によって下へ付勢されている。第4温度センサ77は、蓋として設けられた第2容器28の天面に押し当てられる。このように第4温度センサ77は、温度検知対象である第2容器28の天面に接触して温度を検知するので、第2容器28の温度が精度よく検知される。また、第4温度センサ77は、弾性体によって付勢されて第2容器28に対して圧力をかけた状態で接触するので、接触熱抵抗が減少し、温度検知精度が高まる。
第3温度センサ76は、第1誘導加熱コイル80よりも後方に配置されている。また、第4温度センサ77は、第2誘導加熱コイル90よりも後方に配置されている。第3温度センサ76及び第4温度センサ77は、なるべく後方に設けられているのが好ましい。このようにすることで、扉20が引き出されて第1容器27及び第2容器28が移動するときに、第1容器27と第3温度センサ76との摺動距離が短くなり、第2容器28と第4温度センサ77との摺動距離が短くなる。このため、扉20が開閉されるときに、第3温度センサ76及び第4温度センサ77に開閉方向の荷重がかかる時間を短くすることができ、第3温度センサ76及び第4温度センサ77の変形及び損傷を軽減することができる。また、第3温度センサ76と第1容器27との摩擦によって生じる変形及び損傷が抑制され、第3温度センサ76の部品寿命を長くすることができる。また、第4温度センサ77と第2容器28との摩擦によって生じる変形及び損傷が抑制され、第4温度センサ77の部品寿命を長くすることができる。
図35は、実施の形態2に係る加熱庫21の扉20の開閉状態を示す図である。図35は、左側の加熱庫21については扉20が引き出された状態を示し、右側の加熱庫21については扉20が閉められた状態を示している。図35の右側に示す扉20が閉められた状態の加熱庫21において、調理容器は取っ手も含めて加熱庫21内に収容されている。図35の左側に示す扉20が引き出された状態において、扉20は、その上端が前へ向かって傾斜している(図30参照)。このため、扉20の上部の後面と、調理容器の取っ手との間には、使用者が取っ手を把持するときに手を挿入可能な隙間が形成され、使用者は調理容器の取っ手を把持しやすい。
また、扉20が引き出された状態において、加熱庫21の底は、第1絶縁板41で覆われており、第1誘導加熱コイル80は加熱庫21内に対して露出していない。このため、加熱調理の吹きこぼれた液体又は蒸気が結露した液体が、扉20の開放に伴って加熱庫21の底に落下したとしても、その液体は第1絶縁板41に付着するものの第1誘導加熱コイル80には接触しない。したがって、実施の形態1と同様に、第1誘導加熱コイル80の腐食及び劣化による、第1誘導加熱コイル80の電気絶縁性の低下が抑制される。