JP2021065554A - 遊離端義歯とその取付けアタッチメント - Google Patents

遊離端義歯とその取付けアタッチメント Download PDF

Info

Publication number
JP2021065554A
JP2021065554A JP2019194764A JP2019194764A JP2021065554A JP 2021065554 A JP2021065554 A JP 2021065554A JP 2019194764 A JP2019194764 A JP 2019194764A JP 2019194764 A JP2019194764 A JP 2019194764A JP 2021065554 A JP2021065554 A JP 2021065554A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
denture
free end
abutment tooth
attachment
attached
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019194764A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6777801B1 (ja
Inventor
正 河北
Tadashi Kawakita
正 河北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2019194764A priority Critical patent/JP6777801B1/ja
Priority to PCT/JP2020/006652 priority patent/WO2020175295A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6777801B1 publication Critical patent/JP6777801B1/ja
Publication of JP2021065554A publication Critical patent/JP2021065554A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dental Prosthetics (AREA)

Abstract

【課題】義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与える義歯とその取付けアタッチメントを提供する。【解決手段】取付けアタッチメント20は、一本の支台歯に取り付ける金属冠200と、この周囲に備わった磁性体からなる突出部300を有し、義歯は遊離端義歯10からなり、支台歯80に隣接させる端部側に配置された凹み付き係合部130と、遊離端義歯との結合部側に収容された磁石140を有し、突出部が凹み付き係合部に係合することで遊離端義歯が支台歯に結合し、磁石の突出部に及ぼす磁気引っ張り力で遊離端義歯が支台歯から離れないようにし、凹み付き係合部には、突出部が嵌まり込むと共に、突出部の湾曲部の少なくとも一部が凹み付き係合部内に磁力で留まりながら、支台歯に対する遊離端義歯の相対位置や相対角度が所定範囲内で変化できるようになっている。【選択図】図1

Description

本発明は、一本の支台歯に遊離端義歯の一端を取り外し可能に装着するタイプの義歯とその取付けアタッチメントに関するものである。
一本の支台歯に磁性体からなる取付けアタッチメントを備えて、この磁性体に引っ張り力を作用する磁石を基端側に設け、両者の磁気引っ張り力で義歯を支台歯に取り外し可能に装着する遊離端義歯については、従来から知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の遊離端義歯は、その図5及び図6に示すように支台歯の金属冠の表面にL型のキーパーを取り付け、このL型のキーパーの突出部に設けた半球状のキーパー凹み部に対して遊離端義歯の一端側に設けた凹み部及びこれに対向するL型キーパーの反対側の面にそれぞれ係合させる半球状のキーパー表面係合用突起部とキーパー表面の半球状凹み部に対向する部分に係合する半球状凹み部を備えると共に、この両者の間に磁石を挟み込んだ磁石ユニットが開示されている。そして磁石ユニットは、支台歯と隣接する義歯の表面に設けられ、L型キーパーと磁石ユニットとを互いに押し付けてラッチ係合させたり、支台歯から遊離端義歯を引っ張ってラッチ係合を解除させたりして遊離端義歯を支台歯から着脱させるようになっている。
以下にこの特許文献1のより具体的な構成について詳細に説明する。特許文献1の4欄20行目から40行目において、その具体的な構成として「部分義歯に関する本発明の他の具体例を図5に示す。図5において、L型のキーパー25は金属冠30の表面に備わっており、磁石ユニット35が取り外し可能な義歯に取り付けられている。キーパー25は、半球状の凹み部42と、半球状に突出したキーパー面43と、咬合ストッパー45を有している。磁石ユニット35は、磁石36と、上側に半球状に突出したポール端48と、下側に半球状に凹んだポール部材50を有している。本発明の両具体例は、同様な材質で形成されている。図5に示す別の具体例の磁石組立体に置き換えられたとき、対応する半球状の表面が図5に示すように形成され、図6に示す咬合力Oにより咬合ストッパー45が上側のポール端48に接触して更なる移動を阻止するまで磁石ユニットをヒンジ軸H回りに少しの角度だけ回転するように動かすことができる。このような配置を有することで、咬合力が作用している間、打ち返しや跳ね上がり等の煩わしい現象が生じるのを阻止する。咬合力Oが加わらなくなると、図5に示す位置まで義歯全体が元に戻る。」と記載されている。
米国特許第4508507号
食べ物を細かく咬み砕いて飲み込んだ後の消化器官への負担を減らすため、咬合の際には、約3MPa〜約9MPa(1cm当たり平均30kg〜90kg(1m当たり300トン〜900トン))と極めて大きい咬合力が上下の歯の間に作用する。
そのため、このような大きな咬合力が咬合の際に毎回作用することになるので、義歯装着後に数え切れないほどの回数で上述した咬合力が従来技術として紹介した特許文献1に記載された義歯とこれを装着する支台歯及びその連結部分に加わることになる。
そのため、従来技術の義歯の支台歯との接続部分の構成要素の実際上可能な範囲の寸法では、短い期間だけ咬合を行った段階でこれらの構成要素は互いにすぐに剥離してバラバラになったり、各構成要素自体が破断して細かい異物となったりして食べ物と一緒に飲み込んでしまう恐れが非常に高くなる。
この理由について以下により詳細に説明する。特許文献1において開示された内容からその構造の各部品の寸法を必然的に明らかにすることができる。その理由は以下の通りである。
義歯を装着する支台歯や義歯自体の大きさというものは大体一定の大きさとなっている。例えば、小臼歯の場合、一般的に幅が8mmから9mmであるため、上述した従来技術において開示された構成をこの小臼歯に適用しようとすると、従来技術としての特許文献1の図5におけるキーパー25の水平方向に延在する部分の図中縦方向の寸法は約1.76mm、キーパー25の湾曲部の直径は0.5mm、ポール部材50や磁石36を介してポール部材50と反対側に配置され端部に半球状のポール端部を有するポール部材50と等価的な部材の図中縦方向の寸法は約0.8mmとなる。
このようなことからも明らかなように、従来技術である先行文献に記載された義歯の接続部分の各構成要素は、非常に小さい寸法を有しどのような強度のある金属や樹脂等の材質を使っても少しでも大きな力が作用すると各構成部品同士が剥離したりそれぞれの構成部品自体が破損してバラバラになったりしてしまうことは明らかである。
以上に加えて、義歯を取り付けた後に食べ物を咬み砕くためには、歯を上下にするだけでなく、前後左右にいわゆるすり潰すように咬み砕くことが必要である。すなわち、いわゆる直交座標系でいうとX軸、Y軸、Z軸の3軸方向の動きが義歯に対して加わり、義歯もそれに応じて動くことが必要である。
特に食べ物を咬む段階においては、単に上の歯と下の歯を上下に咬み合わせるだけの単純な咬合動作を行うことはまず考えられず、食べ物を細かく砕いた後にすり潰して唾液と混ぜ合わせるため、上の歯と下の歯を横方向や前後方向に動かしながら上下動作を行ういわゆる3次元的な咬合力が咬合の際にそれぞれの歯に加わることになる。即ち例えば直交座標系で考えてみると単純な上下方向(Z軸方向)の咬合力が加わるだけでなく、前後方向(X軸方向)や左右方向(Y軸方向)の力が合わさって3次元的なベクトルの大きさと方向性を有した複雑な合力として加わることになる。これに起因して咬合時にはそれぞれの歯に曲げモーメントやねじれモーメントも作用することになる。
咬合に伴う非常に大きな力やモーメントがXYZの直交座標系で見て複雑なベクトルとして絶え間なく変化することに関してより詳細に説明する。食べ物を咀嚼するにあたって、固定され動かない上顎骨に対して、外側翼突筋や関節頭、関節窩同士が様々な組み合わせで互いに運動することで、食べ物をせん断して咬みちぎったり、圧願して噛み砕いたり、食べ物を臼磨してすりつぶしたりするという複雑な運動を行っている。
そして、このように食べ物を咀嚼していくにあたって、元々の大きさを有していた食べ物は、徐々に噛み砕かれて小さく粉々になって潰れていくので、これらの運動がこの咀嚼の過程で複雑な方向に変化しながら作用する。このような理由から、義歯を支台歯に装着して食べ物を咀嚼する場合であっても、通常の天然歯で咬合する場合と同様に、咬合力がXYZの直交座標系の複雑な合力のベクトルとなって大きさと方向を常に変化させながら作用する。このように食べ物を咀嚼する際の咀嚼動作を引き起こす下顎の咬み砕き動作を考えてみると、天然歯による咬合の場合と同様に義歯を装着した後の咬合も非常に複雑な運動になっていることが理解できる。
このような理由からも、咬合時に遊離端義歯や支台歯に単なる上下方向に作用するのではなく複雑な3次元方向に作用する非常に大きな咬合力を特許文献1に開示された構成で受け持つことが明らかに不可能であることが分かる。その結果、遊離端義歯を支台歯に装着した後に通常の咬合を何度か繰り返していくうちに、遊離端義歯を支台歯に取り付ける各構成要素がバラバラになったり粉々になったりしてしまう。
特に、近年では例えば工場の食品加工工程で生じた異物が食品に混入してそれを誤飲してしまうことが重大な社会問題化しており、特に金属片や樹脂片などの混入はその誤飲により健康上に重大な影響を与えるため、このような発生を防ぐことは最重要課題とされている。そして、上述の特許文献1において開示された発明を実施した場合も、以上の説明から明らかなように、これと同様の問題を発生させてしまう恐れが十分に考えられる。そのため、特許文献1において開示されたような構成では、義歯を支台歯に取り付けるための各構成要素を実際の歯科医療に適用することは現実問題としては不可能であることが明らかであると言える。
本発明の目的は、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えながら長期に亘って使い続けることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
一本の支台歯に一端が取り付けられるようになった義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端部側に突出した突出部を有する金属冠と、当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外し可能な遊離端義歯からなり、
前記金属冠の突出部は、磁性体からなる略球状体と、当該略球状体と前記金属冠との接続部をなす固定部を有し、
前記固定部は、前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、当該埋め込み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面から露出して前記略球状体を接続した接続固定部からなり、
前記接続固定部の太さは、前記略球状体の外径よりも小さく、かつ当該接続固定部の中心軸線方向は、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、
前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、前記略球状体が出し入れ可能に収容される収容凹み部が形成されると共に、当該収容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義歯の他端側に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記略球状体は、当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内周面に係合しながら、前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まることで、前記遊離端義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前記支台歯に取り付けられるようになっており、
前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、咬合時に前記遊離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて、前記遊離端義歯の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端としながら、前記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、前記咬合時に前記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端義歯の義歯床の底部が、前記義歯床を介して歯肉に押し付けられることで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記咬合力を吸収しながら咬合可能とすることを特徴としている。
これによって、突出部や収容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく長期間に亘って本発明に係る遊離端義歯を支台歯に装着して使用し続けることが可能となる。
また、本発明の請求項2に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記金属冠の突出部は、前記接続固定部の中心軸線の延長線が当該略球状体の中心又はその近傍を通過するように、当該接続固定部の他端に結合されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項3に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三次元方向に作用した場合であっても、前記遊離端義歯の前記支台歯に対する装着状態を維持できることを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記突状部に備わる略球状体の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面が、前記凹み部内の内周面に面接触していることを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が線接触していることを特徴としている。
また、本発明の請求項6に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が点接触していることを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突起部に備わったことを特徴としている。
また、本発明の請求項8に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記金属冠を前記歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利用して前記金属冠と共に支台歯を構成することを特徴としている。
また、本発明の請求項9に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯とその取付けアタッチメントに実際の義歯の装着状態や使用状況においては起こりえないほどの過大な咬合力が作用したことによって前記支台歯を形成する磁性材料の破壊降伏点を超える内部応力が生じた場合に、前記固定部の部分が破断して前記突出部が2分割する疲労破断開始部としての役目を当該固定部が果たしていることを特徴としている。
また、本発明の請求項10に係る金属冠は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項8の何れかに記載の金属冠である。
また、本発明の請求項11に係る遊離端義歯は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊離端義歯である。
本発明によると、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えながら長期に亘って使い続けることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。 図1に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である。 図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明するための図1に対応する側面図である。 第1の実施形態の変形例に係る義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 図1乃至図4に示した第1の実施形態及びその変形例に係る義歯とその取付けアタッチメントの取付け位置の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。 図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 図7に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である 本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。 図10に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。 図11に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。
以下、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントについて紹介する。本発明は、上述した通り片端が歯根膜負担型の遊離端義歯及びその取付けアタッチメントに関するものである。ここで本発明に係る遊離端義歯を取り付ける前提条件としての歯の組織の構造について説明する。
歯の組織に関して上顎と下顎のそれぞれの歯肉の内側に埋め込まれたそれぞれの歯の歯根の部分はその表面は堅いセメント質で覆われ、歯根膜という非常に硬い繊維結合組織によって上顎と下顎のそれぞれの歯根の周囲の骨とつながっている。
それぞれの歯がこのような組織となっていることで、約3MPa〜約9MPa(1cm当たり平均30kg〜90kg(1m当たり300トン〜900トン))と極めて大きい咬合力に耐えて食べ物を咬み砕くようになっている。
しかしながら、若い頃から強く咬む習慣のある人の場合、長年にわたって上述した大きな咬合力が歯根膜に加わり、歯根膜自体が圧迫されて損傷し顎骨の吸収を招き、歯の動揺が発生して高齢になるに従って歯の欠損が生じてしまう。
そのため、遊離端義歯を装着して咬合するにあたって支台歯の歯根膜に局所的な応力やモーメントを作用させず、健全な歯根膜については歯根膜自体はその健全な状態を保つように、あまり健全でない歯根膜についてはその歯根膜自体の損傷が極力進まないようにすることが大切である。
そして、本発明では支台歯自体、特に歯根とその周りの骨の間を全体的に結合させて歯根を顎骨にしっかりと固定する歯根膜を極力傷めることなく、かつ近年社会問題化している誤飲を生じさせないようにする遊離端義歯の構造について発明者は着想したため、その具体的構成を以下に説明する。
なお、以下の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態の説明において、各構成要素を図面においても示しているが、各図面における各構成要素の形状及び寸法についてはそれぞれを厳密に一致させていない。これは、これらの形状及び寸法のそれぞれの違いについては、当然に全て本発明の範囲内に含まれるため、説明の便宜上あえて分かり易く描いているためである。従って、各図面における各構成要素の形状や寸法関係の違いについては、本発明の範囲内に全く影響を与えるものでないことを付言しておく。
また、各図面と関連した説明において、上下方向は、上側を義歯の義歯本体側(人工歯側)、下側を義歯床側とした方向を基準として定める。また、平面視とは、義歯の歯の先端側から見た状態とする。また、図面中ハッチングすべきところを説明の理解の容易化のために適宜省略している。
最初に本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントについて図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。また、図2は、図1に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である。また、図3は、図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。また、図4は、第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明するための図1に対応する側面図である。また、以下の説明において、義歯と支台歯の係合部分の符号については、図3に特に詳しく示している。
なお、図1乃至図3において金属冠に備わった突出部の略球状体と義歯の凹み付き係合部に備わった係合用凹み部との間には隙間が描かれているが、これは説明の都合上示したもので、実際には磁石による十分な磁気引っ張り力が磁性体でできた略球状体に作用した場合、後に詳細に説明するように両者はそれぞれの所定の領域同士が面接触、線接触、点接触の何れかの状態で係合し合うようになっている。
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1(以下、適宜単に「義歯とその取付けアタッチメント1」とする)は、一本の支台歯80に取り付ける遊離端義歯10とその取付けアタッチメント20からなる。
そして、取付けアタッチメント20は、一本の支台歯80に取り付ける金属冠200と、金属冠200の周囲の所定位置に備わり少なくとも周面の一部が湾曲した磁性体からなる突出部300を有している。
金属冠200は、歯冠部分が虫歯などで損傷したときにその部分を治療して歯冠に被せる金属でできた冠(クラウン)である。
突出部300は、磁性体からなる略球状体310と、略球状体310と金属冠との接続部をなす固定部320を有している。固定部320は、金属冠内に配置された埋め込み固定部321と、埋め込み固定部321と一端が結合され金属冠200の表面から露出して略球状体310と接続した接続固定部322からなる。
なお、接続固定部322は、略球状体310と埋め込み固定部321との接続部分をなし、金属冠200の表面に接する部分の形態をなしたり、この表面から僅かに突出した部分をなしたり、或いは所定の長さを有する円柱部分をなしたりと、本発明においては様々な形態をとっている。
接続固定部322の太さは、略球状体310の外径よりも小さく、かつ接続固定部322の中心軸線方向は、遊離端義歯10を支台歯に取り付けた状態で見て、金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の金属冠200と対向する一端側に向かって延在している。
突出部300は上述したように磁性材でできており、かつ強度と耐久性や耐食性に優れた例えばステンレス鋼や金の合金、白金の合金等が用いられている。また、突出部300は、その埋め込み固定部321が金属冠200の周面の一部に金属冠200の鋳造時に第三合金による合着、鋳造金属による把持、又は蝋着され、この金属冠200の周面から突出部300が遊離端義歯10の装着方向に突出するようになっている。
そして、本実施形態においては、金属冠200の突出部300は、接続固定部の中心軸線の延長線が略球状体の中心又はその近傍を通過するように、接続固定部322の他端に結合されている。これによって、遊離端義歯10に加わった咬合力が略球状体310及び接続固定部322を介して金属冠200に伝わる際に接続固定部322において局所的な応力集中が生じるのを極力防止し、咬合力が金属冠全体に分散して歯冠81を介して歯根82や歯根膜83に極力均一に伝達するようにしている。
しかしながら、本発明においては、必ずしも金属冠200の突出部300は、接続固定部322の中心軸線の延長線が略球状体310の中心又はその近傍を通過するように構成されている必要は無い。即ち、このような構成でなくても遊離端義歯10に加わった咬合力を金属冠全体に伝え、この伝達した力が金属冠全体に分散して金属冠200が歯冠81を介して歯根82や歯根膜83にほぼ均一に伝達させることができる構成を有していれば本発明の範囲に属する。
突出部300の略球状体310は、図3に示すようにその基端側の下側部分、即ち接続固定部322との連結部分に下側凹み部323を有しており、同図から分かるように、この下側凹み部323に後述する凹み付き係合部130の下端から延在する下端部135の先端136が入り込んで係合するようになっている。
なお、図1における下端部135と図3における下端部135との図中左側の部分の形状が異なっているが、これは本発明では何れの形状でも良いことを表している。
そして、後述する磁石140が、磁性体からなる突出部300に磁気引っ張り力を作用させて遊離端義歯10が支台歯80から離れないようにしている。また、図3に示す状態においては、下端部135の先端136が突出部300の下側凹み部323に引っ掛かって遊離端義歯10が支台歯80から離れないようにするのを補助している。
遊離端義歯10は、少なくとも一本の義歯本体110(111,112,113,・・・)と、義歯本体110を支える義歯床120と、支台歯80に隣接させる端部に配置された凹み付き係合部130と、磁石ホルダー150に収容された上で義歯本体110や義歯床120に埋め込まれ遊離端義歯10との結合部側に備わる磁石140を有している。
磁石140は、本実施形態においては図1に示すように2本の義歯本体の内部に亘るように配置されており、十分な大きさの磁気引っ張り力を磁性材でできた突出部300に向かって遊離端義歯10の延在方向と一致する方向に作用させるようになっている。
なお、本実施形態においては、磁石140は義歯本体の内部に配置されているが、その一部が義歯床に配置されていたり、義歯本体の大きさが小さい場合は、その義歯本体の下側の義歯床120の内部のみに配置されたりしているようになっていても良い。
また、本発明においては、磁石140が遊離端義歯10の延在方向に合わせて延在するように配置されているので、遊離端義歯10に備わる義歯本体の本数に応じて磁石140の大きさ、即ち磁性材からなる略球状体310に及ぼす磁気引っ張り力の大きさを調節できる。これによって、義歯本体の本数が多く長手方向に亘って長さの長い遊離端義歯10を支台歯80に装着する際に簡単に外れにくい十分な大きさの磁気引っ張り力を支台歯80の金属冠200に備えた磁性体である突出部300に作用させることができる。
一方、凹み付き係合部130は、磁石ホルダー150と一体となって形成されている。凹み付き係合部130及び磁石ホルダー150は、耐久性や強度、耐食性に優れた例えばステンレス鋼でできており、磁石ホルダー150の部分は、義歯用樹脂でできた義歯本体110及び義歯床120の中に埋め込まれている。なお、凹み付き係合部130と磁石ホルダー150は、必ずしも一体に形成されている必要はなく、これらを別体に形成して互いにしっかりと結合しても良い。
本実施形態がこのような構成を有することで、磁石140が義歯装着者の口の中に露出することがなく、磁石140の材質によって味覚に違和感を憶えたり、磁石140の破片が口の中に入ったりするのを防いでいる。
凹み付き係合部130は、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、支台歯80と対向する面側に突出部300が嵌り込む係合凹み部131を有している。更には、凹み付き係合部130の義歯床側の下端部135(図1及び図3の下側端)に、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で歯肉85の表面と一定の間隔を隔てている(図1及び図3に示す空間S1参照)。
係合凹み部131の大きさは、係合凹み部131に突出部300を係合させるために挿入する際に互いに干渉しない寸法となっている。これにより、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、突出部300は、遊離端義歯10に備わった磁石140の吸引力や場合に応じてその下側凹み部323と下端部135の先端136との係合力によって係合凹み部131に押し付けられている。
そして、突出部300が略球状体310を有することで、凹み付き係合部130は、係合凹み部131に嵌合した突出部300を支点として、いわゆるユニバーサルジョイントのように動くようになっている。具体的には、突出部300を嵌合した状態で収容する凹み付き係合部130が、突出部300の中心を回転中心として所定の中心角度範囲内で動くことで、遊離端義歯10の延在方向が、支台歯80の中心軸線に対して所定の延在角度範囲内で変化できるようになっている。
なお、遊離端義歯10を支台歯80に装着した状態において、突出部300の略球状体310と係合凹み部131とは、磁石140の磁気引っ張り力によって互いに面接触するか、線接触するか、点接触するかの何れかの接触状態を保つようになっている。これについては後に詳細に説明する。
また、下端部135は、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、遊離端義歯10の義歯床120がその底面全体に唾液を介在させながら接触している歯肉85の上面に対して一定の空間S1を隔てて対向配置するようになっている。
また、係合凹み部131の下端部135と反対側の端部、即ち図1及び図3の上側端部は、義歯本体110の一部によって塞がれている。
以上のような構成に基づいて、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、咬合前においては、図1に示すように、突出部300が凹み付き係合部130に係合することで、遊離端義歯10が支台歯80に結合すると共に、遊離端義歯10の義歯床120の底面が口の中の唾液層(図1中ドットDで示す部分参照)を介して歯肉85の上面に全面的に密着することで、遊離端義歯10を支台歯80に所定の遊びを保ちながらしっかりと取り付けるようになっている。なお、図1及び図3にドットで示す唾液層Dの層の厚みは、本発明の作用の理解を容易化するために誇張して厚く描いている。
また、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態において、凹み付き係合部130には、突出部300が嵌まり込むと共に、突出部300の湾曲部の少なくとも一部(本実施形態ではかなりの部分)が凹み付き係合部130内に磁気引っ張り力によって留まりながら、支台歯80に対する遊離端義歯10の相対位置や相対角度が所定の範囲内で変化可能となっている。
なお、遊離端義歯10は、咬合時に咬合力が義歯本体110に作用した際(図4に示す力F1参照)、義歯床120の支台歯80と反対側の端部(図4における右側端部)が歯肉85に押し付けられて動かなくなるまで、凹み付き係合部130に嵌合した突出部300を回転中心として動くようになっている。
これにより、咬合前に義歯床120の下面全体に介在する唾液層Dのうち、咬合の際には支台歯80と反対側の義歯床120と歯肉85との間に介在した唾液がかなり押し出され、この部分の義歯床120と歯肉85とが密着することになる(図4に示すドット状の唾液層Dの介在位置参照)。
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1が上述のような構成を有することで、以下の作用効果を発揮することができる。具体的には、図4に示すように咬合時において、遊離端義歯10の支台歯80と反対側の端部が歯肉85に押し付けられて押さえられると共に、遊離端義歯10の支台歯側の端部が咬合力の一部を支台歯80のほぼ軸線方向のみに作用させることができる(図1に示す状態から図4に示す状態の変化及び図4における咬合力F1参照)。
これにより、遊離端義歯10に加わる咬合力を支台歯80と遊離端義歯10の歯肉85に押し付けられる部分で均等に負担することができ、咬合力が支台歯80のみに加わるのを阻止でき、支台歯80の負担軽減に貢献する。
また、従来例として説明したような特許文献1の構成では、その各構成要素の具現化可能な寸法に鑑みると、現実には人間の義歯として適用不可能となる機械的強度の小ささを持ち合わせているのに過ぎない。即ち、実際の歯科医療に利用できない構造上の脆弱性を要しているという致命的欠点があると言える。
そのため、現実の歯科医療に実際に用いることができる義歯としては、金属冠200の突出部300と凹み付き係合部130の係合凹み部131が特有の構成を有した本発明のような義歯とその取付けアタッチメントの結合構造を有していることが必須要件であることが理解できる。
また、遊離端義歯10の延在方向が支台歯80の中心軸線に対して咬合時においても角度変化することなく咬合前と同じような状態を維持する形態を有する遊離端義歯において生じる好ましくないモーメント、即ち支台歯80をその咬合前の中心軸線に対して傾けるモーメントの発生を抑制する。
その結果、歯根膜83の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮応力が発生したり、歯根膜83の遊離端義歯10と反対側が無理やり引っ張られて過度の引っ張り応力が発生したりするのを防止する。
即ち、支台歯80に対して、これに遊離端義歯10を取り付ける前の咬合力が作用する力のかかり具合(作用する力の大きさ及びその作用方向)と同等の力のかかり具合(作用する力の大きさ及びその作用方向)を維持することができる。これによって、歯根膜83の健全な状態を保ち、支台歯80を傷めることなく長持ちさせると共に、支台歯80に取り付けた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
また、強く咬む癖のある人であっても、残存歯の多い状態でこの歯根膜負担型の遊離端義歯10を支台歯80に取り付けると共に強く咬む習慣を改めていけば、更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、この支台歯の歯根膜の状態を悪化させずに支台歯80の欠損を防ぎ、かつ支台歯80に取り付けられた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
また、遊離端義歯10の咬合時の傾きによって生じる突出部300に及ぼす力を、義歯を備えない通常の咬合時と同じように支台歯80の軸線方向に作用させることができる。この作用により、突出部300を遊離端義歯10に向かって引っ張るような方向、即ち支台歯80の軸線方向と交差する横方向に作用するのを抑える。これにより、咬合時においても支台歯80を遊離端義歯10に向かって引っ張りながら倒すような歯根膜83を破壊させるに至る深刻な現象を生じさせずに済む。
即ち、支台歯80の遊離端義歯側の歯根膜(図4における右側の歯根膜)83aの線維組織を無理矢理潰したり、支台歯80の遊離端義歯10と反対側の歯根膜(図4における左側の歯根膜)83bの線維組織を無理矢理引き延ばしたりすることなく、義歯を装着した後に長期間の咬合によって歯根膜83が傷むのを阻止し、義歯を長期に亘って使用し続けることができる。
また、凹み付き係合部130と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉85の間に空間S1を形成することで、遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける際や取り外す際に凹み付き係合部130が歯肉85に押し付けられることなく、遊離端義歯10の支台歯80に対する着脱を簡単かつ快適に行うことができる。
また、凹み付き係合部130と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉85の間に空間S1が形成されていることで、義歯を外した後に金属冠200の突出部300とこれに対向する歯肉85との間には更に広い隙間が存在することになる。このような隙間を生じさせることで、義歯を外して支台歯80を歯ブラシ等で磨く際にこの隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができる。その結果、この部分にこれら食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
また、係合凹み部131の開口部の大きさが突出部300を係合させるために挿入する際に干渉しない寸法となっており、磁石140の吸引力のみで突出部300を係合凹み部131に嵌め込むようにすることで、係合凹み部131の開口部と突出部300の間の寸法公差を厳密に管理する必要がなくなる。これにより、遊離端義歯10のコストダウンを図ることができると共に、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に簡単に着脱することができる。
また、略球状体310と金属冠200の下部に形成された凹み部222を利用して、この凹み部222に下端部135の先端136を係合させ、磁石140の吸引力に加えてこの係合力を補助的な力として利用することで、突出部300が係合凹み部131から離れるのを確実に防止することができる。
その結果、義歯装着者に快適な装着感や咬み心地を与えることができ、食べ物を咬む間中気持ち良く咬み続けることができ、ストレスを受けることなく遊離端義歯10を装着し続けかつ食事を楽しむことができるようになる。これによって、食べ物をきちんと消化することができ、特に高齢者にとって重要な健康の維持を図りつつ良好な体調の維持や向上に貢献することができる。
また、咬合時に支台歯80と遊離端義歯10の間に余分な隙間ができることはなく、このような隙間に挟まって咬み潰すことができない食べ物がそのまま飲み込まれて胃腸における消化不良を招く虞もない。
以上の通り、遊離端義歯10の延在方向を支台歯80の中心軸線に対して所定の角度範囲内で無理なく変化させることができる。これにより、咬合時に支台歯80と遊離端義歯10の接続部分に無理な力を加えずに済む。同様に、義歯装着者に快適な装着感を与えることができると共に、支台歯80に過大な応力がかからずに支台歯80を長持ちさせることができる。
その結果、支台歯80に過大な力がかかって歯根膜83を痛めたり歯根膜自体を潰したりしてしまうのを回避し、貴重な支台歯80の欠損を防ぐことができる。また、義歯の結合部の破損によって歯肉85を傷つけることなくかつ破損部分の誤飲という問題も生じさせずに済む。
また、咬合時に遊離端義歯10の支台歯80と反対側の端部が歯肉85に押し付けられて押さえられると共に、遊離端義歯10の支台歯側の端部が咬合力の一部を支台歯80のほぼ軸線方向のみに作用させることができる。これにより、遊離端義歯10の延在方向が支台歯80の中心軸線に対して角度変化することなく、咬合前と同じような状態を維持し、従来例の特許文献1で開示されたような遊離端義歯の使用に伴う好ましくないモーメント、即ち支台歯をその中心軸線に対して傾けるモーメントの発生を抑制する。
その結果、歯根膜83の遊離端義歯側が押し潰されて過度の圧縮応力が発生したり、歯根膜83の遊離端義歯と反対側が無理やり引っ張られて過度の引っ張り応力が発生したりするのを防止する。
これにより、歯根膜83の健全な状態を保ち、支台歯80を傷めることなく長持ちさせると共に、支台歯80に取り付けた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
また、強く咬む癖のある人であっても、残存歯の多い状態でこの歯根膜負担型の遊離端義歯10を支台歯80に取り付けると共に強く咬む習慣を改めていけば、更なる残存歯の欠損を防ぐと共に、支台歯80の歯根膜83の状態を悪化させずに支台歯80の欠損を防ぎ、かつ支台歯80に取り付けられた遊離端義歯10を長期に亘って使い続けることができる。
なお、遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける際には、遊離端義歯10を指先でその延在方向周りに捻りながら支台歯80の突出部300に遊離端義歯10の一方の端部に備わった係合凹み部131を押し付けて遊離端義歯10を支台歯80に取り付ける。一方、遊離端義歯10を支台歯80から取り外す際には、遊離端義歯10を指先でその延在方向周りに捻りながら支台歯80の突出部300から遊離端義歯10の一方の端部に備わった係合凹み部131を外すことで遊離端義歯10を支台歯80から取り外す。このような装着方法を身に付けることで、高齢者で指先の感覚が衰えた人であっても簡単かつ確実に義歯の装着を行うことができる。
また、上述した支台歯80に対する遊離端義歯10の着脱の際に、下端部135と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉85の間に空間S1が形成されているので、下端部135が歯肉85に押し付けられることなく、遊離端義歯10の支台歯80の着脱を簡単かつ痛みを伴うことなく快適に行うことができる。
特に、突出部300が略球状体310の形態をなしていることで、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に略球状体310の湾曲面を利用して抵抗を受けることなく滑らかに着脱を行うことができる。また、義歯の着脱に伴って遊離端義歯10を支台歯80に対して押し付けたり引っ張ったりする際に、この押し付け方向や引っ張り方向にある程度の自由度を持たせることができ、義歯の着脱が行い易くなる。その結果、特に指先を器用に動かすことのできない義歯装着者が遊離端義歯10の支台歯80の着脱を一人で簡単に行うことができる。
以上のことにより、通常の使用状態では遊離端義歯10が支台歯80から外れにくく、遊離端義歯10を指でつまんで取り付ける際や取り外す際の着脱が大変行い易くなっている。
また、上述したように、下端部135と遊離端義歯10の義歯床120が接触する歯肉85の間に空間S1が形成されていることで、遊離端義歯10を外した後に金属冠200の突出部300とこれに対向する歯肉85との間には更に広い隙間が存在することになる。このような隙間を生じさせることで、遊離端義歯10を外した後に支台歯80を歯ブラシ等で磨く際に、突出部300と歯肉85上面との間に十分な隙間を確保することができる。その結果、この隙間に溜まった食べ物の食べカスを容易に取り除くことができ、これらの食べカスが詰まったままとならず、その後の虫歯や口臭の発生を防止することができる。
また、係合凹み部131の下端部135と反対側の端部(図1及び図3中上側端部)が義歯本体110の一部で塞がれていることで、食べ物を咬んでいる最中に係合凹み部131の中に食べ物が入り込んで詰まるのを確実に防止できる。
また、係合凹み部131の溝幅が突出部300を係合させるために挿入する際に干渉しない寸法となっており、磁石140の吸引力のみで突出部300を係合凹み部131によって保持するようにすることで、係合凹み部131と突出部300の間の寸法公差を厳密に管理する必要がなくなる。これにより、義歯10の凹み部加工上のコストダウンを図ることができると共に、義歯10を支台歯80に取り付けたり取り外したりする際に簡単に着脱することができる。
なお、磁石140の磁力をそれなりに強力なものとすれば、磁力の吸引力のみであっても遊離端義歯10を支台歯80にしっかりと結合させておくことができる。
これは、従来技術では見られない本発明特有の特徴点である。具体的には、上述した本発明特有の遊離端義歯10の内部に配置された磁石140の特別な配置構造(配置場所及び配置方向並びにこれらに基づく磁力線を利用した磁気引っ張り力が遊離端義歯10の長手方向に合致して磁性材からなる突出部300に作用することから十分理解できる。
また、接続固定部322の太さは、略球状体310の外径よりも小さく、かつ接続固定部322の中心軸線方向は、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、金属冠200の側方外周面から遊離端義歯10の金属冠200と対向する一端側に向かって延在している。
本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを用いた場合、このような特有の構成に基づいて通常の咬合力を長期間受け続けても、義歯の支台歯に対する取付け部の破損を回避することが可能であることが分かる。
即ち、通常の咬合を長期間続けても、特に咬合力が大きく影響しやすい金属冠200に備わった突出部300やこれが係合する遊離端義歯側の係合凹み部131に強度上の許容範囲を超える機械適応力を生じさせることがない。
これによって、突出部300や係合凹み部131に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく長期間に亘って本発明に係る遊離端義歯を支台歯に装着して使用し続けることが可能となる。
一方、万が一、義歯を支台歯に装着して日常生活を送る上でありえない状況、例えば災害発生等の緊急時において思いっきり歯を食いしばって極めて重たい家具が倒れたりするのを防止したり通常では運び切れない重たい荷物を移動させるようないわゆる火事場の馬鹿力をもって行動するような場合に、その際の日常生活ではありえない想定外の状況に応じて遊離端義歯に尋常でない大きさの咬合力が加わり、仮に突起部を形成する磁性材料の破壊降伏点を超える内部応力が生じたとしても、接続固定部322の部分が破断して突出部300が2分割する疲労破断開始部としての役目を接続固定部322が果たすようになっている。
これによって、金属冠200から分離した略球状体310とこれにつながる接続固定部322の一部は磁石140から受ける磁気引っ張り力によって係合用凹み部内に留まり、口腔内に脱落することがない。また、接続固定部322の金属冠側の部分は、埋め込み固定部321と一体となって金属冠200に固定されたままとなる。その結果、分離した突出部300の一部が口腔内に脱落して誤って飲み込んでしまうような事態を避けることができる。
図5は、第1の実施形態の変形例に係る義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。この変形例においては、第1の実施形態の下端部135の形状をより簡単な構成の下端部137に変更して示している。この場合、同図からも明らかなように第1の実施形態の突出部300の下側部分であって略球状体310と接続固定部322との間に形成された下側凹み部323に下端部137の先端139が入り込む構成とはなっていない。
しかしながら、第1の実施形態に比べてより大きな磁気引っ張り力を生じさせる磁石140を用いることで、この変形例のような形状でも遊離端義歯10を支台歯80にしっかりと装着さしておくことができる。即ち、上述した第1の実施形態のように突出部300の接続固定部322と略球状体310との結合部に形成された下側の凹み部分に下端部135の先端136を係合させて磁石140の吸引力に加えてこの係合力を補助的な力として利用する必要がなくなる。これによって、突出部300が係合凹み部131から離れるのを防止する複雑な構造を取らずに済む。即ち、下端部135の形状をより簡単なものとすることができ、この部分の加工コストの低減を図ることができる。
本発明においては、磁石140が遊離端義歯中において上述したような特別な配置形態を有することで、磁石140の設計の自由度が高まり、このような変形でも容易に実現できることが分かる。
図6は、図1乃至図3に示した本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメント1の取付け位置の一例を示す説明図である。この図においては、この第1の実施形態に係る遊離端義歯10を支台歯80に下側の歯の両側の欠損した奥歯の部分に取り付けているが、これと同じように上側の歯の欠損した部分に取り付けても良い。
即ち、遊離端義歯10を取り付ける支台歯80が1本でも適当な場所に残っていれば、同図の取り付け状態には限定されず、あらゆる部分に本発明を適用することができる。なお、図6に示す遊離端義歯の配置の態様は、後述する本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにも適用可能であることは言うまでもない。
なお、場合に応じて遊離端義歯10の支台歯80との結合側と反対になる自由端部であって口を大きく開いても外から見えにくい位置にクラスプ等の固定具を備え、この自由端部側の残存歯にも係合させて遊離端義歯10をよりしっかりと取り付けるようにしても良い。
続いて、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントについて図面に基づいて説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。また、図8は、図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。また、図9は、図8に示した義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である
なお、上述の実施形態と同等の構成に関しては、必要に応じて対応する符号を付してその構造の詳細な説明については省略する。また、図9においては説明の理解の容易化を図るために断面ハッチングを省略する。また、第1の実施形態と同様の構成については、図面中符号の表示を適宜省略する。
この第2の実施形態においては、突出部400の略球状体410の最大外径が係合凹み部161の略球状体挿入側開口部162の幅162aよりも僅かに大きくなっている。また、突出部300の接続用固定部322の形状も第1の実施形態と異なり、円柱状をなし、その周囲は外部に露出する形態をとっている。
即ち、係合凹み部161の支台歯側開口部の幅161a(図9参照)は、義歯装着者の指による押し込み力や引っ張り力によって支台歯80に対して遊離端義歯10Aを着脱可能とするために、遊離端義歯10Aの装着時において磁石140が突出部400に及ぼす磁気引っ張り力に加えて、係合凹み部161の開口部が突出部400に及ぼす係合力によって突出部400が凹み部161から外れるのを防止する程度に寸法決めされている。
図9に基づいて説明すると、凹み付き係合部160の係合凹み部161の支台歯側開口部の幅161aは、突出部400の最も幅広の部分、即ち図8における略球状体410の直径410aよりも若干狭く、かつその凹み部内の幅161bは、略球状体410の最大外径である直径410aよりも若干広くなっている。
凹み部161と突出部400のそれぞれの大きさの相対関係がこのような互いにいわゆるラッチ係合するような寸法関係を有することで、突出部400が凹み部161に一旦係合すると、磁石140から受ける吸引力と相まって突出部400が凹み部161から抜けにくくなる。
これによって、遊離端義歯10Aを支台歯80に一旦取付ければ支台歯80から遊離端義歯10Aが簡単に外れることはなくなり、比較的硬い食べ物でも十分に味わいつつかつ消化し易いようにしっかりと咬み込んで食べることができる。また、磁石140の小型化を図ることができ、例えば義歯本体の数が1本や2本と少なく義歯自体の大きさが小さい場合に好適に対応できる。
なお、この第2の実施形態においても、図5に示した先端がフック状となっていない下端部137の形態を適用可能であることは言うまでもない。
最後に、義歯を支台歯に装着した状態において、上述した第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態のそれぞれにおいて共通する金属冠に備わった突出部の略球状体と義歯の凹み付き係合部に備わった係合凹み部との係合状態がどのようになっているかについて図面に基づいて説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。また、図11は、図10に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。また、図12は、図11に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。
なお、第1の実施形態と異なる第2の実施形態の上述した特有の構成部分(略球状体と係合凹み部の挿入開口部の部分の構造)については、図示を省略する。
図10乃至図12において、金属冠に備わった突出部の略球状体及びこれを金属冠に固定する接続固定部と埋め込み固定部からなる固定部や、義歯の凹み付き係合部に備わった係合用凹み部のそれぞれの寸法や形状の大きさや各構成要素の相互の接触関係については、本発明の理解の容易化のために実際とは異なる寸法関係や相互の接触関係でそれぞれ描いている。
特に接触関係については、あえて実際とは異なり隙間を描いて相互の配置関係を分かり易くしている。同様に、上述した各要素のうち特に突出部の略球状体と凹み付き係合部に備わった係合凹み部同士の大小関係及び密着や関係については、本発明の理解の容易化のために実際とは異なった模式的な関係図として描いている。
また、図10乃至図13に示すXYZの矢印はそれぞれにおける直交座標系の方向を示し、遊離端義歯を下顎側の支台歯に装着した状態を前提として、X方向は、装着した遊離端義歯の長手方向と直交する前方方向、Y方向は、装着した遊離端義歯10の長手方向、Z方向は、下顎の支台歯80(図10乃至図13では一部のみ図示)に装着した遊離端義歯10の上方向、即ちこれと垂直上方の上顎に備わった上側の歯の方向を示している。
また、図面においては、本発明の説明と図示の都合上、面接触や線接触の状態であっても、略球状体310の外周面と係合凹み部131の内周面との間に僅かな隙間を介して描いている。
図10(a−1)及び図10(a−2)においては、これらの図面から明らかなように、遊離端義歯10を下顎の支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に突出部300に備わる略球状体310の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面(これらの図面においては、球状体全体の湾曲面の内、かなりの領域の湾曲面)が、凹み部内の内周面に面接触していることを示している。
そして、この状態によって、図中右側の遊離端義歯が咬合に応じていわゆるユニバーサルジョイントの動作のように実際の義歯の可動範囲で略球状体310が凹み付き係合部130の係合凹み部131の内周面に面接触を保って互いに摺動しながら、遊離端義歯10が動くようになっている。
そして、遊離端義歯10に作用した咬合力は、遊離端義歯10の義歯床120が歯肉を押し付けることによって生じる歯肉(図10乃至図13では図示せず)からの反発力で吸収されると共に、残りの咬合力は、略球状体全体に伝達され、固定部320を介して金属冠全体に伝わる。これによって、遊離端義歯10に作用した咬合力が金属冠全体において分散され、金属冠200を介して支台歯を下方に均一に押し込むようになっている。
このように、遊離端義歯10に加わり、略球状体310及び固定部320を介して金属冠全体に拡散伝達された一部の咬合力は支台歯80の歯根膜全体によって均一に支持されて吸収され、歯根(図10乃至図13では図示せず)の周囲全体を覆う歯根膜(図10乃至図13では図示せず)の一部に局所的に応力が集中してその部分の歯根膜83の線維組織が潰されて破壊されたり、この部分と反対側の歯根膜の線維組織が無理矢理引っ張られたりして歯根膜自体が永久損傷してしまうのを回避することができる。
また、図10(b−1)乃至図10(b−4)においては、これらの図面から明らかなように、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て咬合の際に略球状体310の湾曲部の外周面と遊離端義歯10の凹み部内の内周面の一部が線接触している。
なお、図10(a−1)乃至10(b−4)においては、固定部320における接続固定部322の長さが図1乃至図9に比べて若干長くなって円柱状として形成されているが、遊離端義歯10の咬合での通常の僅かな動きを阻害しなければ、特にこのような形を限定されるものではなく、図1乃至図9と同様の形態をとっていても問題ないことは言うまでもない。
図10(b−1)においては、略球状体310の湾曲部の外周面と遊離端義歯10の凹み部内の内周面の一部(実際にはかなりの部分)が線接触している一方、図10(b−2)においては、略球状体310の最も突出した部分において略球状体310の湾曲面と係合凹み部131の内周面は、点接触していることを示している。また、図10(b−3)及び図10(b−4)においては、上記の図10(b−1)及び図10(b−2)の説明と逆の状態となって図面に描かれている。
このような略球状体310の湾曲面と係合凹み部131の内周面とが線接触する部分は、遊離端義歯10が咬合した状態において咬合の態様に応じてどのような3次元方向の咬合力が作用するかに応じて、略球状体310の湾曲面と係合凹み部131の内周面との間において逐次変化していく。
また、図11(c−1)乃至図11(c−6)においては、これらの図面から明らかなように、遊離端義歯10を支台歯80に取り付けた状態で見て、咬合の際に略球状体310の湾曲部の外周面と遊離端義歯10の係合凹み部131の内周面の一部が点接触している。
以下、図11(c−1)乃至図11(c−6)の略球状体310の湾曲部の外周面と遊離端義歯10の係合凹み部131の係合態様の変化の過程について図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各係合状態の説明はあくまで参考的なもので、その記載内容に限定されないことを付言しておく。
図11(c−1)及び図11(c−2)に関しては、上述したように遊離端義歯10を支台歯80に装着し咬合前の状態を示している。同図から分かるように、略球状体310の湾曲面の先端部(図中右側の部分)が磁石140の磁気引っ張り力によって係合凹み部131の内周面のもっとも奥側の位置において点接触している。
また、図11(c−3)及び図11(c−4)に関しては、遊離端義歯10を支台歯80に装着した後に上下の支台歯80と遊離端義歯10を咬合して、遊離端義歯10の義歯床120を歯肉に向かって押し付けている状態を示している。これは、凹み付き係合部130が、図11(c−3)に示すように下方向(Z軸方向の−側)に移動していることからも分かる。
次いで、図11(c−5)及び図11(c−6)に関しては、図11(c−3)及び図11(c−4)に示す状態から遊離端義歯10を支台歯80からずらして咬んでいる食べ物をすり潰している状態を示している。
即ち、図11(c−6)の点接触の位置から分かるように、図11(c−4)に示す状態から義歯10がX軸の−方向に向かうと共に、Y軸の+方向に向かうように歯肉と平行に義歯をずらしながら食べ物をすり潰すように咬み砕いていることが理解できる。
次いで、図12(c−7)及び図12(c−8)に関しては、図11(c−5)及び図11(c−6)に示す状態から、遊離端義歯10を支台歯80から離れる方向に引き戻すようにずらして咬んでいる食べ物を先ほどの状態と逆方向にすり潰している状態を示している。
即ち、図11(c−8)の点接触の位置から分かるように、図11(c−6)に示す状態から義歯10がX軸の+方向に向かうと共に、Y軸の−方向に向かうように歯肉と平行に義歯をずらしながら食べ物をすり潰すように咬み砕いていることが理解できる。
次いで、図12(c−9)及び図12(c−10)に関しては、図12(c−7)及び図12(c−8)に示す状態から遊離端義歯10を口の中の内側(つまり支台歯80)に向かって(即ちYの−方向に向かって)引き戻すようにずらして咬んでいる食べ物を先ほどの状態と逆方向にすり潰している状態を示している。
即ち、図11(c−10)の点接触の位置から分かるように、図11(c−8)に示す状態から義歯10がX軸の+方向に向かうと共に、Y軸の+方向に向かうように歯肉と平行に義歯をずらしながら食べ物をすり潰すように咬み砕いていることが理解できる。
なお、図12(d−1)及び図12(d−2)は、突出部300に備わる略球状体310の代わりに(いわゆるキノコ型の)略半球状をなす略半球状体350を用いた場合の遊離端義歯10の凹み付き係合部130の係合凹み部131との係合状態を示した説明図である。
このような形態であっても、上述した略半球状体350の少なくとも一部に形成された湾曲部と係合凹み部131の内面の湾曲面とが、上述したように面接触、線接触、点接触を適宜行うことによって咬合時に遊離端義歯10に及ぼす非常に大きな咬合力を吸収して支台歯80の損傷を防ぎながら遊離端義歯10を長期に亘って使用し続けることが可能である。
以上説明したことからも明らかなように、遊離端義歯10を実際に支台歯80に取り付けて咬合する際には、中間欠損歯用義歯のように両端の支台歯で固定されている訳ではないので、上述したように一方の端部が支台歯80の突出部300にユニバーサルジョイント的に接続され、他方の端部が自由端部として遊離端義歯10の義歯床120が歯肉85に押し付けられてずれる範囲内で絶え間なく移動していることが分かる。
そして、咬合に際しては、上述した通り、X軸Y軸Z軸の3次元方向のあらゆる方向にその方向の合力として約3MPa〜約9MPa(1cm当たり平均30kg〜90kg(1m当たり300トン〜900トン))と極めて大きい咬合力が作用する。
その結果、特許文献1に記載されたような遊離端義歯10の支台歯80に対する結合の構成では、実際の歯科医療に全く適用できないことが十分に理解できる。そればかりか、もしもこのような特許文献1に記載された義歯とその取付けアタッチメントを実際の歯科医療に適応したとすると、咬合時に取り付け対象である義歯に対して比較的上側に備わった棒状部材の先端の極めて小さな半球状凹み部に対して上述した極めて大きい咬合力が作用するため、上述したような遊離端義歯における食べ物のすり潰し動作に伴って咬合時に咬合力が局所的に作用したこの部分が支台歯から離される方向に作用してしまう。
これによって、支台歯80の金属冠200の比較的上方部分に引っ張り力が作用してしまい、支台歯自体が倒れる方向にモーメントが加わり、支台歯80の歯根膜83の一部(歯根の周囲を被う歯根膜83の遊離端義歯側の線維組織が潰れてしまうと共に、これと反対方向の歯根膜83の線維組織が引っ張られてしてしまう。即ち、特許文献1に記載の遊離端義歯を装着したが故に、返って歯根膜83を痛めて支台歯自体に揺動が生じてしまい、これを放置すると支台歯80の歯根82ごと抜け落ちてしまうという最悪の結果を招いてしまう。
しかしながら、本願発明の場合、金属冠200の側面のほぼ中央部から突出した突出部300を介してこれに遊離端義歯10の係合凹み部131を係合させて咬合の際の遊離端義歯特有の複雑な動きに対応させながら、非常に大きな咬合力を突出部300の略球状体310及び接続固定部322を介して金属冠全体に咬合力を分散させ、金属冠全体を介して支台歯80を上方から歯根に向かって下方に向けて咬合力の一部をほぼ垂直に作用させることができる。
これによって、咬合時において中間欠損歯用義歯とは異なり遊離端義歯10に対して特別に及ぼす3次元的な咬合力によって支台歯自体の破損が進んでしまうのを防止することができる。
その結果、本発明によると遊離端義歯及びその取付けアタッチメントを実際の歯科医療において用いることで、支台歯80の損傷を防ぎながら長期に亘って遊離端義歯を使用することができるという非常に大きなメリットを義歯装着者は享有することが可能となる。
以上に加えて、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを利用することで、食事中の咬合の際に享有できるメリットに加えて、遊離端義歯10の装着者は日常生活においても非常に大きなメリットを享有することができる。この点について以下に詳細に説明する。
クラスプ(鉤)を支台歯に装着した従来の義歯と比較した場合、本発明の解決すべき課題の欄で説明した審美性の問題に加えて以下の義歯装着力不足の問題も同時に解決できる。
具体的には、特許文献1に記載された遊離端義歯は、磁石の力が極めて小さく、以下のような問題が生じる。また、クラスプ(鉤)を支台歯に装着した従来の義歯において、審美性の観点からクラスプ(鉤)を例えばその太さを遅くして口を開けたときにあまり目立たないようにすると、義歯の支台歯への係合力が不十分となる。
以上のような構成によると、義歯の支台歯に対する保持力が小さくなってしまうので、咬合の際とは関係ない日常生活において極めて不便な問題を生じる。具体的には、義歯を前歯のあたりに装着した場合、くしゃみをした際にその際の体の口の周辺の急激な動きや肺の中から口の中を介して口の外に勢い良く出る息により義歯自体が外れて口から脱落してしまう恐れがある。特に遊離端義歯を上顎の前歯のあたりに装着しているとそのような恐れが高くなる。
このような不都合な状態が家の中で起こって義歯が床に落ちてしまう場合はまだしも、くしゃみ自体はいつ何時起こるか分からないので、外出時に公共の場でこのようなことが生じると、周囲の人たちに見られて大変恥ずかしい思いをしてしまう。
また、人々の行き交う公共の場であると、周囲の人たちに対して大変恥ずかしい思いをしてしまう。また、その場に落ちた遊離端義歯を慌てて洋服等で拭いて再び装着し直すようなことは、当然のことながら衛生上行うことができず、義歯を装着しないままでいなければならず、その後に人と喋るのに難儀する。
これと同じような不都合なことが生じる場合が他にも考えられる。具体的には、例えば知り合い同士で会話をしている最中に、相手の聴覚能力が年齢と共に低下して自分の話をなかなか理解してもらえなくなり、思わず大きな声で話している最中に遊離端義歯が勢い余って口から飛び出して脱落してしまう恐れがある。このようなことが起こると、友人たちとの楽しい会話中には大変恥ずかしい思いをしてしまい、この楽しい一時が後々恥ずかしい思い出と化してしまう恐れがある。同様に、親しい友人同士でカラオケを楽しんでいて熱唱したあまり、義歯が思わず外れて口から出てしまう恐れもある。
また、講演中や講義中に熱心に喋り続けるあまり口の中が乾き、唾液を介した義歯床と歯肉との間の密着力が低下した場合もこのようなことが起こる恐れがある。このように、義歯の支台歯に対する係合力が不十分であると、義歯が口から脱落するに至らなくても支台歯から外れ易くなり、講演中や講義中にこれを中断せずに話し続けた場合、口の中の舌で義歯を押さえながら話し続けなければならなくなり、聴講者にとって極めて聞き取りにくくなる恐れが生じる。
一方、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントによると、義歯に備わって支台歯の磁性体である突出部に磁気引っ張り力を作用する棒状の磁石が義歯の延在方向に合わせて延在するように配置されている。具体的には、図1、図2、図4、図7、及び図9に示すように、義歯床の延在方向に沿って磁石が遊離端義歯の内部に配置されている。これによって、磁石の左端から磁性体である突出部に向かう方向に十分な大きさの磁気引っ張り力を効率的に作用させるようになっている。
このような配置形態に基づいて、義歯に備わる義歯本体の本数に応じて磁石の大きさ、即ち磁性材からなる略球状体に及ぼす磁気引っ張り力の大きさを調節できる。これによって、義歯本体の本数が多く長手方向に亘って長さの長い遊離端義歯を支台歯に装着する際に簡単に外れにくい十分な大きさの磁気引っ張り力を支台歯の金属冠に備えた磁性体である突出部に作用させることができる。
その結果、上述した本発明特有の構成とこれに伴う十分な磁力による義歯の支台歯へのしっかりした装着状態の維持により、上述したような咬合以外に日常生活で突発的に起こり得る好ましくない現象、即ち遊離端義歯が予期せず口の中から口の外に飛び出して脱落するようなことを回避することができる。
義歯の脱落に伴う上述したような非常に恥ずかしい思いを一旦してしまうと、それが記憶に残って思い出す度に嫌な感情に支配されてしまい、その後に家を出て様々な場所に外出したり旅行したり、イベントに参加したり、若しくは旧知の友人達と会話を楽しんだりするのが億劫になってしまう。
しかしながら、本発明によると、義歯とその取付けアタッチメントを装着することで、このような事態に陥ることなく、高齢になっても家の中に閉じ籠ることなく外に出ていろいろな場所に行ったり、知り合いとの会話を楽しんだりして活動的な日々を送ることができ、肉体的な健康を保つ上でもかつ精神的な充実感を味わう上でも非常に有用な役割を果たす。これによって、目の前に近付きつつある高齢化社会において、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを利用することで十分なクオリティー・オブ・ライフを堪能することができる。
なお、上述の各実施形態及びこれに関連する各変形例は、本発明のあくまで例示的な態様を示したものに過ぎず、本発明の作用効果を発揮し得る範囲内であれば、これらの形態と等価的な更なる各種変形例についても本発明に含まれることを言うまでもない。
従って、例えば上述の各実施形態及びその変形例において、義歯本体は2本以上として説明したが、これが1本だけでも本発明の範囲に含まれる。また、第1の実施形態やその変形例、第2の実施形態における略球状体や略円形の定義は、いわゆる卵型や楕円形を含むことは言うまでもない。
また、本発明の場合、磁石は、いわゆる棒磁石としての永久磁石の形態をとって上述した特別な構造で配置されていれば良く、磁石自体は細長い四角柱の棒磁石、賽子形状の磁石、細長い円柱形状や端面視多角形の細長い柱状の何れの形態であっても構わない。
更には、上述の各実施形態及びその各種変形例において支台歯として天然歯であることを前提に説明したが、支台歯として天然歯の代わりにインプラントが用いられる場合であっても、インプラントを利用して本発明に係る金属冠を用いて本発明に記載した支台歯を構成するようにしても本発明の効果を十分に発揮することができる。
具体的には、上述したように義歯装着後、咬合時において支台歯に対してこれを倒そうとするモーメントの発生を抑えることができるので、インプラントを用いて支台歯を構成した場合でも咬合時にインプラントの埋め込み部の破損を防止することができる。
その結果、強く咬合する癖をなかなか直すことができない義歯装着者に対して、一旦破損してしまうと更なる処置が非常に困難となるインプラントを長持ちさせることができ、インプラントの破損に起因して埋め込み部全体が欠損歯の部位として恒久的に残ってしまう最悪の事態を回避しつつ、インプラントを長く使用することができる。
従って、義歯が天然歯の代わりにインプラントであっても本発明をその十分な作用効果を伴いながら適用可能であり、本発明の範囲内に属することは明らかである。
1 義歯とその取付けアタッチメント
10,10A (遊離端)義歯
20 取付けアタッチメント
80 支台歯
81 歯冠
82 歯根
83(83a,83b) 歯根膜
85 歯肉
110(111,112,113,・・・) 義歯本体
120 義歯床
130 凹み付き係合部
131 係合凹み部
135 下端部
136 先端
137 下端部
140 磁石
150 磁石ホルダー
160 凹み付き係合部
161 係合凹み部
161a 支台歯側開口部の幅
161b 凹み部内の幅
200 金属冠
222 凹み部
300 突出部
310 略球状体
320 固定部
321 埋め込み固定部
322 接続固定部
323 下側凹み部
350 略半球状体
400 突出部
410 略球状体
410a 直径
S1 空間
D 唾液層
特に食べ物を咬む段階においては、単に上の歯と下の歯を上下に咬み合わせるだけの単純な咬合動作を行うことはまず考えられず、食べ物を細かく砕いた後にすり潰して唾液と混ぜ合わせるため、上の歯と下の歯を横方向や前後方向に動かしながら上下動作を行ういわゆる3次元的な咬合力が咬合の際にそれぞれの歯に加わることになる。即ち例えば直交座標系で考えてみると単純な上下方向(Z軸方向)の咬合力が加わるだけでなく、前後方向(X軸方向)や左右方向(Y軸方向)の力が合わさって3次元的なベクトルの大きさと方向性を有した複雑な合力として加わることになる。これに起因して咬合時にはそれぞれの歯に曲げモーメントやねじモーメントも作用することになる。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
一本の支台歯に一端が取り付けられるようになった遊離端義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端部側に突出した突出部を有する金属冠と、当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外し可能な遊離端義歯からなり、
前記金属冠の突出部は、磁性体からなる略球状体と、当該略球状体と前記金属冠との接続部をなす固定部を有し、
前記固定部は、前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、当該埋め込み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面から露出して前記略球状体を接続した接続固定部からなり、
前記接続固定部の太さは、前記略球状体の外径よりも小さく、かつ当該接続固定部の中心軸線方向は、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、
前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、前記略球状体が出し入れ可能に収容される収容凹み部が形成されると共に、当該収容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義歯の他端側に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記略球状体は、当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内周面に係合しながら、前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まることで、前記遊離端義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前記支台歯に取り付けられるようになっており、
前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、咬合時に前記遊離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて、前記遊離端義歯の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端としながら、前記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、前記咬合時に前記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端義歯の義歯床の底部が、前記義歯床を介して歯肉に押し付けられることで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記突出部や前記収容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく前記前記咬合力を吸収しながら咬合可能となっており、
前記遊離端義歯を前記支台歯に装着して咬合した際、咬合力の作用する方向の変化に応じて、前記突出部の外周面の少なくとも一部が前記収容凹み部の内周面の少なくとも一部に直接接触しながら互いの相対的接触状態を常に変化させ、これによって咬合力の作用方向が上下方向のみならず前後方向や左右方向に変化することに基づいて前記遊離端義歯に生じる曲げモーメントのみならずねじりモーメントが発生しても、前記遊離端義歯の義歯床が前記歯肉に押し付けられた際に生じる当該歯肉からの反発力と、前記突出部の外周面と前記収容凹みの内周面との間の直接接触部に生じる係合力を介してこれらのモーメントを直接支台歯に作用させないようにした構造を有することを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記突部に備わる略球状体の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面が、前記凹み部内の内周面に面接触していることを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項6の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突部に備わったことを特徴としている。
また、本発明の請求項8に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記金属冠を歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利用して前記金属冠と共に支台歯を構成することを特徴としている。
本発明は、一本の支台歯に遊離端義歯の一端を取り外し可能に装着するタイプの遊離端義歯とその取付けアタッチメントに関するものである。
本発明の目的は、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えながら長期に亘って使い続けることが可能な遊離端義歯とその取付けアタッチメントを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントは、
一本の支台歯に一端が取り付けられるようになった遊離端義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端部側に突出した突出部を有する金属冠と、当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外し可能な遊離端義歯からなり、
前記金属冠の突出部は、磁性体からなる略球状体と、当該略球状体と前記金属冠との接続部をなす固定部を有し、
前記固定部は、前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、当該埋め込み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面から露出して前記略球状体を接続した接続固定部からなり、
前記接続固定部の太さは、前記略球状体の外径よりも小さく、かつ当該接続固定部の中心軸線方向は、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、
前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、前記略球状体が出し入れ可能に収容される収容凹み部が形成されると共に、当該収容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義歯の他端側に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、
前記収容凹み部は、その内周面が前記略球状体の外周面に合致した形状に形成されたことに加えて、前記内周面と前記外周面とが互いに摺動可能かつ前記略球状体が前記収容凹み部内で前記支台歯の先端と基端とを結ぶ方向に沿ってスライド移動するのを妨げるように形成されており、
前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記略球状体は、当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内周面に係合しながら、前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まることで、前記遊離端義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前記支台歯に取り付けられるようになっており、
前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、咬合時に前記遊離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて、前記遊離端義歯の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端としながら、前記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、前記咬合時に前記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端義歯の義歯床の底部が、前記義歯床を介して歯肉に押し付けられることで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記突出部や前記収容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく前記咬合力を吸収しながら咬合可能となっており、
前記遊離端義歯を前記支台歯に装着して咬合した際、咬合力の作用する方向の変化に応じて、前記突出部の外周面の少なくとも一部が前記収容凹み部の内周面の少なくとも一部に直接接触しながら互いの相対的接触状態を常に変化させ、これによって咬合力の作用方向が上下方向のみならず前後方向や左右方向に変化することに基づいて前記遊離端義歯に生じる曲げモーメントのみならずねじりモーメントが発生しても、前記遊離端義歯の義歯床が前記歯肉に押し付けられた際に生じる当該歯肉からの反発力と、前記突出部の外周面と前記収容凹みの内周面との間の直接接触部に生じる係合力を介してこれらのモーメントを直接支台歯に作用させないようにした構造を有し、
咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三次元方向に作用した場合であっても、前記遊離端義歯の前記支台歯に対する装着状態を維持できるようになっており、
前記遊離端義歯は、咬合時に咬合力が前記義歯本体に作用した際、前記義歯床の前記支台歯と反対側の端部が前記歯肉に押し付けられて動かなくなるまで、前記凹み付き係合部に嵌合した前記突出部を回転中心として動くようになっており、これによって前記支台歯に対する前記遊離端義歯の動きは、咬合に際して前記遊離端義歯が前記歯肉から受ける反力が最大限に達したときにおいて初めて当該遊離端義歯のそれまでの動きを止めるようになっており、
前記磁石は、前記遊離端義歯の内部において前記遊離端義歯の延在方向に合わせて延在するように収容配置され、その表面は前記遊離端義歯の使用中に当該遊離端義歯の外部に露出することがなく、かつ、前記遊離端義歯の内部に配置された前記磁石の配置状態に基づく磁気引っ張り力を前記遊離端義歯の長手方向に合致して磁性材からなる前記突出部に作用する構造を有し、これによって、前記磁石の磁気引っ張り力が前記磁性体からなる略球状体に作用することで、義歯装着者の咬合動作に伴って前記遊離端義歯が前記支台歯に対してその向き合う姿勢の変化中に常に前記支台歯と前記遊離端義歯との間であってこれらの歯並び方向の隙間を最小にするように前記磁気引っ張り力が作用するようになっており、
前記突出部の略球状体を嵌合した状態で収容する前記収容凹み部が、略球状体の中心を回転中心として所定の中心角度範囲内で動くことで、前記遊離端義歯の延在方向が、前記支台歯の中心軸線に対して所定の延在角度範囲内で変化できるようになっており、かつ前記遊離端義歯は、咬合時に咬合力が前記義歯本体に作用した際に、前記義歯床の前記支台歯と反対側の端部が前記歯肉に押し付けられて動かなくなるまで、前記収容凹み部に嵌合した前記略球状体を回転中心として動くようになったことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1に記載の遊離端義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突出部に備わったことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1又は請求項2に記載の遊離端義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記金属冠を歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利用して前記金属冠と共に支台歯を構成することを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る金属冠は、請求項1乃至請求項の何れかに記載の遊離端義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項の何れかに記載の金属冠である。
また、本発明の請求項に係る遊離端義歯は、請求項1乃至請求項の何れかに記載の遊離端義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項の何れかに記載の遊離端義歯である。
本発明によると、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えながら長期に亘って使い続けることが可能な遊離端義歯とその取付けアタッチメントを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。 図1に示した遊離端義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である。 図1に示した遊離端義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 第1の実施形態に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明するための図1に対応する側面図である。 第1の実施形態の変形例に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 図1乃至図4に示した第1の実施形態及びその変形例に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントの取付け位置の一例を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントの構造を一部断面で示す側面図である。 図7に示した遊離端義歯とその取付けアタッチメントの部分拡大図である。 図7に示した遊離端義歯とその取付けアタッチメントを一部断面で示す平面図である 本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する遊離端義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。 図10に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する遊離端義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。 図11に続き、本発明の第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態に共通する遊離端義歯とその取付けアタッチメントの係合状態を示す様々な説明図である。
以下、本発明に係る遊離端義歯とその取付けアタッチメントについて紹介する。本発明は、上述した通り片端が歯根膜負担型の遊離端義歯及びその取付けアタッチメントに関するものである。ここで本発明に係る遊離端義歯を取り付ける前提条件としての歯の組織の構造について説明する。

Claims (11)

  1. 一本の支台歯に一端が取り付けられるようになった義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
    残存歯に被せられることで前記支台歯を形成する金属冠であって、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の周面の所定位置から遊離端義歯の当該支台歯と対向する端部側に突出した突出部を有する金属冠と、当該金属冠の突出部に一端が取り付け取り外し可能な遊離端義歯からなり、
    前記金属冠の突出部は、磁性体からなる略球状体と、当該略球状体と前記金属冠との接続部をなす固定部を有し、
    前記固定部は、前記金属冠内に配置された埋め込み固定部と、当該埋め込み固定部と一端が結合され前記金属冠の表面から露出して前記略球状体を接続した接続固定部からなり、
    前記接続固定部の太さは、前記略球状体の外径よりも小さく、かつ当該接続固定部の中心軸線方向は、前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記金属冠の側方外周面から前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側に向かって延在し、
    前記遊離端義歯の前記金属冠と対向する一端側には、前記略球状体が出し入れ可能に収容される収容凹み部が形成されると共に、当該収容凹み部の近傍であって当該収容凹み部より前記遊離端義歯の他端側に位置するように前記遊離端義歯の内部に設けられた磁石とを有し、
    前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、前記略球状体は、当該略球状体の外周面が前記収容凹み部の内周面に係合しながら、前記収容凹み部内に磁気引っ張り力で留まることで、前記遊離端義歯の義歯床の底部が歯肉の表面に接した状態で当該遊離端義歯が前記支台歯に取り付けられるようになっており、
    前記遊離端義歯の一端と反対側の端部を他端とした場合、咬合時に前記遊離端義歯に対して作用する咬合力に合わせて、前記遊離端義歯の一端に備わる凹み部を支点として前記他端を自由端としながら、前記咬合力が作用する範囲内において前記遊離端義歯自体が動き、前記咬合時に前記遊離端義歯が咬合力の作用する方向に合わせて当該遊離端義歯の義歯床の底部が、前記義歯床を介して歯肉に押し付けられることで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって前記突出部や前記収容凹み部に強度上の許容範囲を超える機械的応力を生じさせることなく前記前記咬合力を吸収しながら咬合可能とすることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
  2. 前記金属冠の突出部は、前記接続固定部の中心軸線の延長線が当該略球状体の中心又はその近傍を通過するように、当該接続固定部の他端に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  3. 咬合時に前記遊離端義歯に対して咬合力が三次元方向に作用した場合であっても、前記遊離端義歯の前記支台歯に対する装着状態を維持できることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  4. 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記突状部に備わる略球状体の湾曲外周面の少なくとも一部の湾曲面が、前記凹み部内の内周面に面接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  5. 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が線接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  6. 前記遊離端義歯を前記支台歯に取り付けた状態で見て、咬合の際に前記略球状体の湾曲部の外周面と前記遊離端義歯の凹み部内の内周面の一部が点接触していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  7. 前記略球状体の代わりに略半球状体が前記突起部に備わったことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  8. 前記金属冠を前記歯冠に被せて支台歯を構成する代わりにインプラントを利用して前記金属冠と共に支台歯を構成することを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  9. 前記義歯とその取付けアタッチメントに実際の義歯の装着状態や使用状況においては起こりえないほどの過大な咬合力が作用したことによって前記支台歯を形成する磁性材料の破壊降伏点を超える内部応力が生じた場合に、前記固定部の部分が破断して前記突出部が2分割する疲労破断開始部としての役目を当該固定部が果たしていることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  10. 前記請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項8の何れかに記載の金属冠。
  11. 前記請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにのみ使用可能な請求項1乃至請求項8の何れかに記載の遊離端義歯。
JP2019194764A 2019-02-27 2019-10-25 遊離端義歯とその取付けアタッチメント Active JP6777801B1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019194764A JP6777801B1 (ja) 2019-10-25 2019-10-25 遊離端義歯とその取付けアタッチメント
PCT/JP2020/006652 WO2020175295A1 (ja) 2019-02-27 2020-02-19 義歯とその取付けアタッチメント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019194764A JP6777801B1 (ja) 2019-10-25 2019-10-25 遊離端義歯とその取付けアタッチメント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6777801B1 JP6777801B1 (ja) 2020-10-28
JP2021065554A true JP2021065554A (ja) 2021-04-30

Family

ID=72938102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019194764A Active JP6777801B1 (ja) 2019-02-27 2019-10-25 遊離端義歯とその取付けアタッチメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6777801B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6982211B1 (ja) * 2021-04-17 2021-12-17 正 河北 義歯とこの義歯を支台歯に取り付ける取付けアタッチメント

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4362509A (en) * 1980-11-20 1982-12-07 Sulc Josef M Dental attachment structure
JPS612210U (ja) * 1984-06-11 1986-01-08 株式会社 モルテン 部分床義歯のダルボ・アタツチメント構造
JP3054058U (ja) * 1998-05-14 1998-11-17 曾 憲 榮 固定具付義歯
JP2001170081A (ja) * 1999-12-20 2001-06-26 Gc Corp 有床義歯用アタッチメント
JP2003135490A (ja) * 2001-11-08 2003-05-13 Masaharu Araki 歯冠補綴具、有床義歯固定具及びそれを備えた有床義歯、並びに歯冠補綴具の製造方法
JP2004097591A (ja) * 2002-09-11 2004-04-02 Hitachi Metals Ltd 義歯用磁性アタッチメント
JP2004130127A (ja) * 2002-09-20 2004-04-30 Bunso Kyo 義歯の維持装置及び維持方法、これに用いる樹脂製型部材及び維持装置用バネ部材
WO2008069086A1 (ja) * 2006-12-04 2008-06-12 Wen-Long Lin 歯科用磁性アタッチメント
JP2011092273A (ja) * 2009-10-27 2011-05-12 O Plan Laboratory Co Ltd 部分義歯

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4362509A (en) * 1980-11-20 1982-12-07 Sulc Josef M Dental attachment structure
JPS612210U (ja) * 1984-06-11 1986-01-08 株式会社 モルテン 部分床義歯のダルボ・アタツチメント構造
JP3054058U (ja) * 1998-05-14 1998-11-17 曾 憲 榮 固定具付義歯
JP2001170081A (ja) * 1999-12-20 2001-06-26 Gc Corp 有床義歯用アタッチメント
JP2003135490A (ja) * 2001-11-08 2003-05-13 Masaharu Araki 歯冠補綴具、有床義歯固定具及びそれを備えた有床義歯、並びに歯冠補綴具の製造方法
JP2004097591A (ja) * 2002-09-11 2004-04-02 Hitachi Metals Ltd 義歯用磁性アタッチメント
JP2004130127A (ja) * 2002-09-20 2004-04-30 Bunso Kyo 義歯の維持装置及び維持方法、これに用いる樹脂製型部材及び維持装置用バネ部材
WO2008069086A1 (ja) * 2006-12-04 2008-06-12 Wen-Long Lin 歯科用磁性アタッチメント
JP2011092273A (ja) * 2009-10-27 2011-05-12 O Plan Laboratory Co Ltd 部分義歯

Also Published As

Publication number Publication date
JP6777801B1 (ja) 2020-10-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4686541B2 (ja) 部分義歯
JP6777801B1 (ja) 遊離端義歯とその取付けアタッチメント
JP6990493B1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
US20170189144A1 (en) Removable denture with metal denture tooth or teeth
WO2021085095A1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
CN109640875A (zh) 义齿系统及义齿系统中使用的假体
WO2020175295A1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP6598267B1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
CN115581533A (zh) 一种机械力学固位的全口吸附义齿装置
JP6598275B1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP6982211B1 (ja) 義歯とこの義歯を支台歯に取り付ける取付けアタッチメント
CN211409472U (zh) 前牙缺失杆卡半固定义齿
JP6906115B1 (ja) 遊離端義歯とその取付けアタッチメント
JP2021069942A (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP6609394B1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP6722420B2 (ja) 中間欠損歯用義歯とその取付けアタッチメント
WO2021085094A1 (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP2021069943A (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP2021069669A (ja) 義歯とその取付けアタッチメント
JP3112453U (ja) 人工歯根を顎骨に埋め込まないインプラント
JP2006095245A (ja) 無呼吸症候群又はいびき症改善用のマウスピース
JP3928102B2 (ja) 部分義歯用クラスプ
CN201029948Y (zh) 一种牙科修复用纯钛支架基托
US5848898A (en) Denture that facilitates chewing action
JP3176624U (ja) 上顎用入れ歯

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191127

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20191127

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20191210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200326

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200521

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200616

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200826

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200826

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200904

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201002

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201008

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6777801

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250