JP2021063285A - 鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法 - Google Patents

鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた表面平滑性及び耐水性を有し、金属調意匠性を有する塗膜が得られる鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法の提供。【解決手段】X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1である鱗片状インジウム粒子を提供する。X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅が、0.2°以上0.5°以下である態様が好ましい。【選択図】図7

Description

本発明は、鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及び塗膜の製造方法に関する。
近年、水性塗料及び水性インクの目覚ましい技術的進歩により、従来、溶剤型塗料及び溶剤型インクでしか達し得なかった優れた金属調意匠性を有する塗膜が、水性塗料及び水性インクでも実現可能な状況になっている。
このような優れた金属調意匠性を有する塗膜を実現する方法として、水性塗料及び水性インクに鱗片状アルミニウム粒子を添加することが試みられている。しかし、鱗片状アルミニウム粒子を水性塗料及び水性インクに添加すると、鱗片状アルミニウム粒子が水性塗料及び水性インク中の水と反応して黒変したり、水素ガスを発生し、水性塗料及び水性インクの保存安定性が低下してしまうという問題がある。また、鱗片状アルミニウム粒子は高アスペクト比(約50)を有するため、アルミニウム塗膜中での配向性は高いものの、鱗片状アルミニウム粒子の重なり程度によっては乱反射が起きやすく、白っぽくなってしまうという課題がある。
そこで、前記課題を解決するため、例えば、X線回折において、[111]面の強度が最も高くなるか、又は2番目に高くなる、インクジェット用インク組成物に用いられるアルミニウム顔料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−23562号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、依然として耐水性に問題があり、鱗片状アルミニウム粒子の重なり程度によって乱反射が起きやすく、白っぽくなってしまうという課題は解消できていない。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた表面平滑性及び耐水性を有し、金属調意匠性を有する塗膜が得られる鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることを特徴とする鱗片状インジウム粒子である。
<2> X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅が、0.2°以上0.5°以下である、前記<1>に記載の鱗片状インジウム粒子である。
<3> 平均厚さが60nm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子である。
<4> 累積50%体積粒子径D50が0.7μm以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子である。
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子を含有することを特徴とする分散液である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子を含有することを特徴とするインクである。
<7> 鱗片状インジウム粒子を有してなり、
X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることを特徴とする塗膜である。
<8> X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅が、0.2°以上0.5°以下である、前記<7>に記載の塗膜である。
<9> 表面粗さRaが30nm以下である前記<7>から<8>のいずれかに記載の塗膜である。
<10> 鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクを基材上に付与し、
前記分散液又はインクの塗膜についてX線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1となるように、前記分散液又はインクの付与を行うことを特徴とする塗膜の製造方法である。
<11> 基材上に鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクをスピンコート法、インクジェット法、及びバーコート法のいずれかによって付与する前記<10>に記載の塗膜の製造方法である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた表面平滑性及び耐水性を有し、金属調意匠性を有する塗膜が得られる鱗片状インジウム粒子、分散液、インク、並びに塗膜及びその製造方法を提供することができる。
図1Aは、参考比較例1(No.1)の蒸着法によるアルミニウム蒸着膜のSEM写真である。 図1Bは、図1Aの拡大SEM写真である。 図2は、参考例1(No.2)の蒸着法によるインジウム蒸着膜のSEM写真である。 図3は、参考例1(No.2)のインジウム蒸着膜のXRDスペクトル図である。 図4は、X線回折法(XRD)による回折ピークの半値幅の求め方を示す図である。 図5Aは、比較例1(No.3)のスピンコート法によるアルミニウム塗膜のSEM写真である。 図5Bは、図5Aの拡大SEM写真である。 図6Aは、実施例1(No.4)のスピンコート法によるインジウム塗膜のSEM写真である。 図6Bは、図6Aの拡大SEM写真である。 図7は、実施例1(No.4)のスピンコート法によるインジウム塗膜のXRDスペクトル図である。 図8Aは、比較例2(No.5)のバーコート法によるアルミニウム塗膜のSEM写真である。 図8Bは、図8Aの拡大SEM写真である。 図9Aは、実施例2(No.6)のバーコート法によるインジウム塗膜のSEM写真である。 図9Bは、図9Aの拡大SEM写真である。 図10は、実施例2(No.6)のバーコート法によるインジウム塗膜のXRDスペクトル図である。 図11Aは、比較例3(No.7)のインクジェット法によるアルミニウム塗膜のSEM写真である。 図11Bは、図11Aの拡大SEM写真である。 図12Aは、実施例3(No.8)のインクジェット法によるインジウム塗膜のSEM写真である。 図12Bは、図12Aの拡大SEM写真である。 図13は、実施例3(No.8)のインクジェット法によるインジウム塗膜のXRDスペクトル図である。 図14Aは、比較例4(No.9)のドリップコート法(60℃乾燥)によるインジウム塗膜のSEM写真である。 図14Bは、図14Aの拡大SEM写真である。 図15は、比較例4(No.9)のドリップコート法(60℃乾燥)によるインジウム塗膜のXRDスペクトル図である。 図16Aは、比較例5(No.10)のドリップコート法(室温乾燥)によるインジウム塗膜のSEM写真である。 図16Bは、図16Aの拡大SEM写真である。 図17は、比較例5(No.10)のドリップコート法(室温乾燥)によるインジウム塗膜のXRDスペクトル図である。 図18は、比較例1(No.3)のスピンコート法によるアルミニウム塗膜の断面SEM写真である。 図19は、実施例1(No.4)のスピンコート法によるインジウム塗膜の断面SEM写真である。 図20は、No.1〜No.8の膜についての鏡面性の官能評価と表面粗さRaとの相関を示すグラフである。 図21は、No.1〜No.8の膜についての鏡面性の官能評価とグロス値(G20)との相関を示すグラフである。 図22は、No.1〜No.8の膜についての鏡面性の官能評価とG20−G60との相関を示すグラフである。 図23は、No.1〜No.8の膜についての鏡面性の官能評価とG20/G60との相関を示すグラフである。 図24は、No.1〜No.8の膜についての鏡面性の官能評価とL(正反射)との相関を示すグラフである。 図25は、No.1〜No.8の膜についての異なる塗布方法に対する鏡面性の官能評価のレーダーチャートである。
(鱗片状インジウム粒子)
本発明の鱗片状インジウム粒子は、X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1である。即ち、「1.20X以上の高さのピーク」としては、結晶の[101]面に由来する最大ピークが該当し、本発明の鱗片状インジウム粒子は、X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークと、結晶の[101]面に由来するピークとの2つのピークを有する。
したがって、本発明の鱗片状インジウム粒子は、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることによって、鱗片状インジウム粒子の結晶面が基材に対して平行に存在(高配向)し、優れた表面平滑性及び耐水性を有し、金属調意匠性を有する塗膜が得られる。
上述したように、本発明の鱗片状インジウム粒子によると、表面平滑性が鱗片状アルミニウム粒子を上回る、優れた耐水性及び金属調意匠性を有する塗膜が得られる。
金属調意匠性(高グロス値)に関しては、インジウム粒子の形状が鱗片状であり、X線回折法(XRD)において基材と平行に位置する結晶面由来の回折ピーク(結晶の[202]面に由来するピークと、結晶の[101]面に由来するピーク)のみが現れる(高配向である)ことが重要であり、かつ結晶性の高い(半値幅の小さい)鱗片状インジウム粒子であることが好ましい。
ここで、粉末X線回折法は、粉末試料にX線を照射し、その物質中の電子を強制振動させることにより生じる干渉性散乱X線による回折強度を,各回折角について測定する方法であり。X線回折スペクトルから、大きく分けて、以下の3種類の情報が得られる。
(1)単位格子の種類と大きさに依存した回折線角度、(2)主として原子の種類と配列並びに試料中の粒子配向に依存した回折線強度、(3)及び試料の厚さに依存した回折線形状、特に鱗片状粉末をXRD分析する場合、粒子が基材に対して平行に並ぶ(配向する)ため、上記(2)の影響を強く受け、特定の結晶面に由来する回折ピークが強調される。
X線回折スペクトルは、例えば、X線回折分析装置を用い、所定の条件により、測定することができる。
鱗片状アルミニウム粒子及び鱗片状インジウム粒子のそれぞれにおける結晶構造は、アルミニウムが面心立方格子、インジウムが体心正方格子と異なっており、基材に対して平行に存在する結晶面は異なる。
XRD分析にて、鱗片状アルミニウム粒子は[111]面、[222]面に回折ピークを有し(2θ角度範囲:30°から90°)、鱗片状インジウム粒子は[101]面、[202]面に回折ピークを有する(2θ角度範囲:30°から80°)。
そして、鱗片状インジウム粒子は、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることにより、鱗片状インジウム粒子の結晶面が基材に対して平行に存在する(高配向である)ことで、光を効率的に反射し、鱗片状アルミニウム粒子を上回る光輝性が得られると考えられる。前記1.20X以上の高さのピークの数が2以上であると、鱗片状インジウム粒子の配向性が低下し、光輝性も低下する。
鱗片状インジウム粒子の結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることは、鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクを用いた塗布方法に依存する。例えば、スピンコート法、インクジェット法、バーコート法によると、1.20X以上の高さのピークの数が1を満たすが、ドリップコート法では、1.20X以上の高さのピークの数が1を満たさない。
また、鱗片状インジウム粒子は、X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅は、0.2°以上0.5°以下であることが好ましく、0.3°以上0.4°以下がより好ましい。これにより、結晶性が高くなる。結晶性が高くなると反射率が高くなる。つまり、透過が低くなるため、塗膜中の粒子同士における散乱(白っぽさの原因)が抑制されるということもあり、高い光輝性を発揮する要因の一つとなる。
なお、鱗片状アルミニウム粒子の結晶の[111]面に由来するピークの半値幅は0.5°より大きく、0.8°以下である。
前記半値幅は、例えば、図4に示す方法により測定することができる。
耐水性に関しては、アルミニウムはイオン化傾向(水溶液中における水和イオンと単体金属との間の標準酸化還元電位の順)が高く、水と反応して水素ガスを発生し、特に高温の水及び水蒸気に対しては高い反応性を示す金属である。また、金属粒子は平均粒径が小さくなるに従って比表面積(単位質量あたりの表面積又は単位体積あたりの表面積)が増大し、金属粒子と水溶媒の界面における接触面積の増加により、水素ガス発生を増長させる。これに対して、インジウムは水に対して安定で無毒であることが知られている。
表面平滑性に関しては、鱗片状アルミニウム粒子と鱗片状インジウム粒子について、様々な塗布方法により表面粗さRaを比較したところ、鱗片状アルミニウム粒子より鱗片状インジウム粒子の方が表面粗さRaは小さくなっており、光輝性が高い結果が得られる。
鱗片状インジウム粒子の表面粗さRaは30nm以下が好ましく、25nm以下がより好ましく、15nm以下が更に好ましい。
表面粗さRaは、例えば、走査型プローブ顕微鏡(AFM)を用い、30μm×30μmの範囲の算術平均表面粗さRaとして求めることができる。
表面平滑性に優れた本発明の鱗片状インジウム粒子を用いると、非常に密充填で表面粗さRaの低い塗膜が得られる。これは、充填度合いを示す空間率(粒子充填層内の粒子間に存在する空間の割合)は、超微小粒子と微小粒子の存在下において、微粒子間の隙間に超微小粒子が入り込むことで減少し、密充填されると考えられる。更に、塗膜の表面粗さRaは、鱗片状インジウム粒子の累積50%体積粒子径が小さいことに加え、前述の密充填により極めて低くすることができる。これにより、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できると考えられる。
本発明のインジウム粒子は、鱗片状粒子である。前記鱗片状粒子は、薄片状粒子、平板状粒子、フレーク状粒子などと称されることもある。
本発明において、鱗片状粒子とは、略平坦な面を有し、かつ該略平坦な面に対して垂直方向の厚さが略均一である粒子を意味する。また、前記鱗片状粒子とは、前記厚さが非常に薄く、略平坦な面の長さが非常に長い形状の粒子を意味する。なお、略平坦な面の長さは、前記鱗片状粒子の投影面積と同じ投影面積を持つ円の直径である。
略平坦な面の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、略円形、略楕円形、略三角形、略四角形、略五角形、略六角形、略七角形、略八角形等の多角形、ランダムな不定形などが挙げられる。これらの中でも、略円形であることが好ましい。
鱗片状インジウム粒子は、1層であってもよいし、2層以上が積層して一次粒子となっていてもよい。また、鱗片状インジウムの一次粒子が凝集し、二次粒子を形成していてもよい。
なお、鱗片状インジウム粒子は純度95%以上のインジウムからなり、微量の不純物を含んでいてもよいが、他の金属との合金については含まれない。
前記鱗片状インジウム粒子の累積50%体積粒子径D50としては、0.7μm以下が好ましく、0.6μm以下がより好ましく、0.5μm以下が更に好ましく、0.4μm以下が特に好ましい。
累積50%体積粒子径D50が0.7μm以下であると、塗膜の表面粗さRaが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できる。という利点がある。
前記累積50%体積粒子径(D50)は、レーザー回折法により得られる粒径分布曲線の体積分布累積量の50%に相当する粒径であり、非球形のインジウム粒子を完全な球体と仮定して測定した場合の、インジウム粒子の長径及び短径を平均化した長さである。しかし、実際のインジウム粒子は、球形ではなく、長辺及び短辺を有する鱗片状である。したがって、前記D50は、鱗片状インジウム粒子の実際の長辺方向の長さ(長径)及び短辺方向の長さ(短径)とは異なる値である。
前記レーザー回折法を用いた手段としては、例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器などが挙げられる。
前記鱗片状インジウム粒子の平均厚さは60nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、45nm以下が更に好ましい。前記平均厚さが60nm以下であると、塗膜の表面粗さRaが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
本発明における鱗片状インジウム粒子の平均厚さとは、鱗片状のインジウム粒子の3次元方向において、最も短い部分の長さと定義する。
前記平均厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、蛍光X線分析法(XRF)、紫外可視分光法などから求めることができ、インジウム粒子の平均厚さはインジウム蒸着膜の平均蒸着厚さと同じである。
走査型電子顕微鏡(SEM)観察を用いる場合、インジウム粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、断面観察を行い5〜10箇所のインジウム粒子の厚さを計測し、平均した値である。
蛍光X線分析法(XRF)を用いる場合、厚みとインジウムのX線強度における検量線を作成することで、XRFの定量分析によりインジウム蒸着膜の厚さを測定することができる。即ち、簡易的にインジウム粒子の平均厚みを測定することができる。
紫外可視分光法を用いる場合、紫外可視分光光度計によりインジウム蒸着膜の反射率を測定し、得られたスペクトルから膜厚を算出することができる。
前記累積50%体積粒子径(D50)(nm)と平均厚さ(nm)との比(D50(nm)/平均厚さ(nm))としては、50以上が好ましく、100以上がより好ましい。
なお、本発明における「D50(nm)/平均厚さ(nm)」の比は、レーザー回折法を用いて測定したD50を、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、又は蛍光X線分析法から求めた平均厚さで除することにより算出した比率である。したがって、前記「D50(nm)/平均厚さ(nm)」の比は、一般的にアスペクト比と呼ばれるパラメーターとは異なる比である。
本発明の鱗片状インジウム粒子は、その表面の少なくとも一部に、好ましくは剥離層側の一面に有機物層を有することが好ましい。有機物層は、鱗片状インジウム粒子の製造方法で剥離層として用いた有機物の層である。この有機物層は、鱗片状インジウム粒子が凝集することを抑制する機能を有しており、鱗片状インジウム粒子の表面全体でなくその一部に形成されていても十分に機能を発揮する。
鱗片状インジウム粒子の表面の少なくとも一部に、有機物層を有することは、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(Gas Chromatography−Mass spectrometry:GC/MS)やTG−DTA/DSC、走査透過型電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscope−Energy Dispersive X−ray Analysis:STEM−EDX)により分析することができる。
有機物層の材質としては、後述する剥離層を構成する有機物と同じものが挙げられる。
<鱗片状インジウム粒子の製造方法>
鱗片状インジウム粒子の製造方法は、剥離層形成工程と、真空蒸着工程と、剥離工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
<剥離層形成工程>
前記剥離層形成工程は、基材上に剥離層を設ける工程であり、剥離層形成手段により実施される。
−基材−
基材としては、平滑な表面を有するものであれば特に制限はなく、各種のものを用いることができる。これらの中でも、可撓性、耐熱性、耐溶剤性、及び寸法安定性を有する樹脂フィルム、金属、金属と樹脂フィルムの複合フィルムを適宜使用できる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。また金属としては、銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、鉄箔、合金箔などが挙げられる。また金属と樹脂フィルムの複合フィルムとしては、上記樹脂フィルムと金属をラミネートしたものが挙げられる。
−剥離層−
剥離層としては、後の剥離工程で溶解可能な各種の有機物を用いることができる。また、剥離層を構成する有機物材料を適切に選択すれば、島状構造膜表面に付着・残留した有機物を、鱗片状インジウム粒子の保護層として機能させることができるので、好適である。
保護層とは、鱗片状インジウム粒子の凝集、酸化、溶媒への溶出等を抑制する機能を有する。特に、剥離層に用いた有機物を保護層として利用することにより、表面処理工程を別途設ける必要がなくなるので好ましい。
保護層として利用可能な剥離層を構成する有機物としては、例えば、セルロースアセテートブチレート(CAB)、その他のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アクリル酸共重合体、変性ナイロン樹脂、ロジン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、保護層としての機能の高さから、セルロースアセテートブチレート(CAB)が好ましい。
前記剥離層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法、有機蒸着法、CVD法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<真空蒸着工程>
前記真空蒸着工程は、前記剥離層上に鱗片状インジウム粒子を含有する金属層を真空蒸着する工程であり、真空蒸着手段により実施される。
鱗片状インジウム粒子を含有する金属層の平均蒸着厚さは60nm以下が好ましく、55nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましく、45nm以下が特に好ましい。なお、鱗片状インジウム粒子を含有する金属層の平均蒸着厚さは、インジウム粒子の平均厚さと同じである。
前記金属層の平均蒸着厚さが60nm以下であると、塗膜の表面粗さRaが下がり、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
前記平均蒸着厚さは、例えば、蛍光X線分析法(XRF)や紫外可視分光光度計を用いる、もしくは鱗片状インジウム粒子にした後に走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、断面観察を行い、5〜10箇所の鱗片状インジウム粒子の厚さを計測し、平均した平均値である。
金属層は島状構造膜であることが好ましい。島状構造膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、めっき法などの各種の方法によって形成することができる。これらの中でも、真空蒸着法が好ましい。
真空蒸着法は、樹脂製基材にも成膜可能である点、廃液が出ない点等においてめっき法より好ましく、真空度を高くできる点、成膜速度(蒸着レート)が大きい点から、スパッタリング法より好ましい。
真空蒸着法における蒸着レートは、10nm/sec以上が好ましく、40nm/sec以上がより好ましく、60nm/sec以上が更に好ましい。
剥離層上にインジウム粒子の薄膜を成膜すると、蒸着源から飛来した個々のインジウム原子は、基材表面に到達すると、基材との相互作用によって、エネルギーを失って基材に吸着し、基材表面上で拡散、インジウム原子同士の衝突、結合し、三次元的な核が形成される。形成された三次元的な核は基材上の表面拡散原子の獲得により、原子数がある臨界値を超えると、隣接する三次元的な核と合体し島状に成長し島状構造膜を形成する。このような島状構造膜は、基材上にあるときは膜の形態を保持しているが、基材から剥がされると分裂して個々の島がインジウム粒子となる。
最終的に得られるインジウム粒子の形状や累積50%体積粒子径、超微小粒子と微小粒子の体積比率(V1/V2)×100は、島状構造膜の平均膜厚(以下単に「膜厚」ということがある)を変えることによって制御することができる。島状構造膜の平均膜厚は、成膜中に膜の干渉を利用して測定することができるので、インジウム粒子の形状や大きさとの関係を予め求めておくことにより、所望の形状と大きさを有するインジウム粒子を容易に得ることができる。また、インジウム粒子の形状や累積50%体積粒子径、超微小粒子と微小粒子の体積比率に影響する操業要因としては、成膜方法、基材に飛来するインジウムのエネルギー(運動エネルギー・温度など)、基材や剥離層の表面自由エネルギー、基材の冷却方法・温度、成膜速度、成膜時の圧力などが挙げられる。
<剥離工程>
前記剥離工程は、前記剥離層を溶解することにより前記金属層を剥離する工程であり、剥離手段により実施される。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、剥離層を溶解可能な溶剤であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光輝性顔料分散液の溶媒としてそのまま用いることができるものが好ましい。水性塗料や水性インクの場合、水との相溶性を有することが好ましい。
前記剥離層を溶解可能な溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸フェニル等のエステル類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル類;フェノール、クレゾール等のフェノール類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、オクタデセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメシン、ニトロベンゼン、アニリン、メトキシベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の脂肪族もしくは芳香族塩化炭化水素;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等の含窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
剥離層を溶解することによって、基材から島状構造膜が剥離し、該島状構造膜が分裂して個々の島がインジウム粒子となる。これにより、特に粉砕工程を経ることなく鱗片状インジウム粒子分散液が得られるが、必要に応じて粉砕、分級を行ってもよい。また、鱗片状インジウム粒子の一次粒子が凝集している場合には、必要に応じてこれを解砕してもよい。
更に必要に応じて、鱗片状インジウム粒子の回収や物性の調整のために種々の処理を行ってもよい。例えば、分級によって鱗片状インジウム粒子の粒度を調整してもよいし、遠心分離、吸引ろ過などの方法で鱗片状インジウム粒子を回収することや、分散液の固形分濃度を調整してもよい。また、溶媒置換を行ってもよいし、添加剤を用いて粘度調整等を行ってもよい。なお、分散剤を添加してもよいが、本発明では、剥離層として適切な有機物を選択しておけば分散性の良い鱗片状インジウム粒子からなる光輝性顔料分散液が得られるので、新たに分散剤を添加しなくてもよい。
<その他の工程>
前記その他の工程としては、例えば、剥離した金属層を分散液として取り出す工程、分散液から島状の金属層を鱗片状インジウム粒子として回収する工程などが挙げられる。
(分散液)
本発明の分散液は、本発明の鱗片状インジウム粒子を含有し、有機溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記鱗片状インジウム粒子の含有量は、分散液の全量に対して、0.1質量%以上50質量%以下が好ましい。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、架橋剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、重合禁止剤、表面調整剤、帯電防止剤、消泡剤、粘度調整剤、耐光安定剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤などが挙げられる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
(インク)
本発明のインクは、本発明の鱗片状インジウム粒子を含有し、有機溶剤及びバインダーを含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
本発明のインクは、水性及び溶剤性のいずれであってもよいが、環境性の点から水性が好ましい。なお、鱗片状インジウム粒子は、水に対して安定であるため、水性インクに好適に用いられる。
−鱗片状インジウム粒子−
前記鱗片状インジウム粒子の含有量は、インクの全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
前記鱗片状インジウム粒子以外の光輝性顔料を含んでいてもよい。他の光輝性顔料としては、金属製の顔料(例えば、アルミニウム顔料)や、天然マイカから得られる顔料(例えば、パール顔料)や、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。
−有機溶剤−
前記インクにおける有機溶剤としては、前記分散剤における有機溶剤と同様である。
−バインダー−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリル−シリコーン系樹脂などが挙げられる。
前記インクが前記バインダーを含むと、定着性及び分散性に優れたインクが得られる。
前記バインダーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インク全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。
−その他の成分−
前記インクにおけるその他の成分としては、前記分散剤におけるその他の成分と同様である。
(塗膜)
本発明の塗膜は、鱗片状インジウム粒子を有してなり、X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1である。
X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅は、0.2°以上0.5°以下であることが好ましい。
前記塗膜の表面粗さRaは30nm以下であり、25nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましい。
表面粗さRaが30nm以下であると、金属調意匠性を示す指標となるグロス値を高くすることができ、表面が平滑であり、優れた金属調意匠性を発現できるという利点がある。
表面粗さRaは、例えば、走査型プローブ顕微鏡(AFM)を用い、30μm×30μmの範囲の算術平均表面粗さRaとして求めることができる。
前記塗膜の入射角20°でのグロス値は300以上が好ましく、500以上がより好ましく、700以上が更に好ましく、900以上が特に好ましい。
前記塗膜の入射角20°でのグロス値が300以上であると、鏡面性が高いことを示し、金属調意匠性に優れている。
前記塗膜の入射角60°でのグロス値は、320以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が更に好ましい。
前記塗膜の入射角60°でのグロス値が320以上であると、鏡面性が高いことを示し、金属調意匠性に優れている。
前記塗膜のグロス値は、例えば、光沢計を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角を20°及び60°として測定することができる。
(塗膜の製造方法)
本発明の塗膜の製造方法は、鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクを基材上に付与し、前記分散液又はインクの塗膜についてX線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1となるように、前記分散液又はインクの付与を行う。
前記基材としては、特に制限はなく、各種のものを用いることができ、例えば、樹脂フィルム、ガラス、金属、金属と樹脂フィルムの複合フィルムなどが挙げられる。
本発明の塗膜は、本発明の分散液又は本発明のインクを用いて製造することができる。
前記基材上に鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクの付与方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、ドリップコート法などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた金属調意匠性を有する塗膜が形成できる点から、スピンコート法、インクジェット法、バーコート法が特に好ましい。
本発明の塗膜は、例えば、本発明の分散液を基板(例えば、ガラス板)上に供給し、スピンコート法などにより形成することができる。
具体的には、まず、低速回転状態で分散液を回転中心付近に供給し、その後、回転数を上げて、遠心力を利用して光輝性顔料分散液を振り切りながら基板表面に薄膜を形成したのち、残留溶剤を乾燥させて塗膜を得る。
回転数は300rpm以上1,000rpm以下の範囲で適宜調整することができる。
使用する光輝性顔料分散液の固形分や希釈溶剤は必要に応じて調整して使用した。安定した光学特性の評価結果を得るために、作製した塗膜の全光線透過率は1%以下になるようにして隠蔽性を有する状態にした。
<用途>
本発明の鱗片状インジウム粒子は、表面が平滑であり、及び優れた耐水性及び金属調意匠性を有する塗膜が得られるので、各種分野に幅広く用いられ、例えば、インクジェット用又はその他の印刷用光輝性インク、自動車内外装部材、家電、建材等の用途における塗装用光輝性塗料、導電性ペーストの導電性顔料、加飾フィルムに金属調意匠性を付与する光輝性顔料、3Dプリンタ用金属調フィラメントに使用される光輝性顔料、溶融押し出し、及びキャスティング工法における金属調意匠性シートやフィルムの練り込み光輝性顔料などに適用される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
<蒸着法による鱗片状アルミニウム粒子の作製>
平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗布し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗布量は0.06g/m±0.01g/mであった。剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、蒸着レート40nm/secで平均蒸着厚さが20nmのNo.1のアルミニウム蒸着膜を形成した。
次に、剥離層及びアルミニウム蒸着膜を形成したPETフィルム面にジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)をスプレーして剥離層を溶解し、アルミニウム蒸着膜をドクターブレードで掻き落とした。得られたアルミニウム粒子は鱗片状であった。
次に、得られた鱗片状アルミニウム粒子とジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)の混合物に対して、微粉砕機を用いて一次粒子になるまで粉砕した。以上により、製造例1の鱗片状アルミニウム粒子を得た。
(製造例2)
<蒸着法による鱗片状インジウム粒子の作製>
平均厚さが12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、5質量%のセルロースアセテートブチレート(CAB)を含む溶液をグラビアコート法で塗布し、110℃以上120℃以下で乾燥して、剥離層を形成した。セルロースアセテートブチレート(CAB)の塗布量は0.06g/m±0.01g/mであった。
次に、剥離層上に、高周波誘導加熱・真空蒸着法によって、蒸着レート30nm/secで平均蒸着厚さが40nmのNo.2のインジウム蒸着膜を形成した。
次に、剥離層及びインジウム蒸着膜を形成したPETフィルム面にプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)をスプレーして剥離層を溶解し、インジウム蒸着膜をドクターブレードで掻き落とした。得られたインジウム粒子は鱗片状であった。
次に、得られた鱗片状インジウム粒子とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)の混合物に対して、超音波ホモジナイザーを用いて一次粒子になるまで解砕した。以上により、製造例2の鱗片状インジウム粒子を得た。
次に、得られた鱗片状インジウム粒子及び鱗片状アルミニウム粒子について、以下のようにして、粒子の厚み、及び累積50%体積粒子径(D50)を測定した。なお、粒子の厚みは蒸着膜の厚みと同じである。結果を表1に示した。
<累積50%体積粒子径(D50)>
レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(装置名:レーザーマイクロンサイザーLMS−2000e、株式会社セイシン企業製、湿式分散ユニット)を用いて、エタノール(商品名:エキネンF−1、日本アルコール販売株式会社製、屈折率:1.360)を分散媒とし、スターラーで撹拌しながら、鱗片状金属粒子を含むサンプルを測定セルへ送り、鱗片状金属粒子の累積50%体積粒子径(D50)を測定した。
Figure 2021063285
(参考例1及び比較参考例1)
<No.1の蒸着法によるアルミニウム蒸着膜、No.2の蒸着法によるインジウム蒸着膜の作製>
上記No.1の平均厚み20nmのアルミニウム蒸着膜を比較参考例1とし、上記No.2の平均厚み40nmのインジウム蒸着膜を参考例1とした。
No.1のアルミニウム蒸着膜のSEM写真を図1A(20,000倍)及び図1B(50,000倍)に示した。
No.2のインジウム蒸着膜のSEM写真を図2(20,000倍)に示した。
(比較例1及び実施例1)
<No.3のスピンコート法によるアルミニウム塗膜、No.4のスピンコート法によるインジウム塗膜の作製>
No.3は、鱗片状アルミニウム粒子10質量%のジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)分散液を用いた。
No.4は、鱗片状インジウム粒子17質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)分散液を用いた。
スピンコーター(MS−A150、ミカサ株式会社製)を用い、基板(スライドガラス)上に、上記の各分散液を回転中心付近に供給し、得られる塗膜の全光線透過率が1%以下になるように分散液の固形分量、希釈溶剤、スピンコーター回転数を調整(No.3は回転数1,000rpm、No.4は回転数500rpm)し、回転による遠心力を利用して、各分散液を振り切りながら基板表面に薄膜を形成した。その後、残留溶剤を乾燥させて、No.3のスピンコート法によるアルミニウム塗膜、及びNo.4のスピンコート法によるインジウム塗膜を得た。
No.3のスピンコート法によるアルミニウム塗膜のSEM写真を図5A(20,000倍)及び図5B(50,000倍)に示した。
No.4のスピンコート法によるインジウム塗膜のSEM写真を図6A(20,000倍)及び図6B(50,000倍)に示した。
また、No.3のスピンコート法によるアルミニウム塗膜の断面SEM写真を図18に示した。No.4のスピンコート法によるインジウム塗膜の断面SEM写真を図19に示した。
(比較例2及び実施例2)
<No.5のバーコート法によるアルミニウム塗膜、No.6のバーコート法によるインジウム塗膜の作製>
No.5は、鱗片状アルミニウム粒子5質量%のジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDE)分散液を用いた。
No.6は、鱗片状インジウム粒子5質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)分散液を用いた。
ローランドD.G.社製の記録メディア(光沢塩化ビニル、MV−G−18G)上に、バーコーター(#4、株式会社丸協技研製)を用い、各分散液を常温(25℃)にて塗布し、100℃の乾燥機内で1分間乾燥し、No.5及びNo.6のバーコート塗膜を得た。
No.5のバーコート法によるアルミニウム塗膜のSEM写真を図8A(20,000倍)及び図8B(50,000倍)に示した。
No.6のバーコート法によるインジウム塗膜のSEM写真を図9A(20,000倍)及び図9B(50,000倍)に示した。
(比較例3及び実施例3)
<No.7のインクジェット法によるアルミニウム塗膜、No.8のインクジェット法によるインジウム塗膜の作製>
インクジェットプリンタ(SP−300V、ローランドD.G.社製)を用い、表2に示す組成のNo.7及びNo.8のインクをマゼンタ列に充填した。
次に、上記インクジェットプリンタを用いて、ローランドD.G.社製の記録メディア(光沢塩化ビニル、MV−G−18G、グレー糊付き、幅460mm、長さ20m)に常温(25℃)でベタ印刷した。
Figure 2021063285
*DEGDE:ジエチレングリコールジエチルエーテル
*PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
*TEGDM:テトラエチレングリコールジメチルエーテル
No.7のインクジェット法によるアルミニウム塗膜のSEM写真を図11A(20,000倍)及び図11B(50,000倍)に示した。
No.8のインクジェット法によるインジウム塗膜のSEM写真を図12A(20,000倍)及び図12B(50,000倍)に示した。
(比較例4及び5)
<No.9のドリップコート法によるインジウム塗膜、No.10のドリップコート法(漂白型)によるインジウム塗膜の作製>
スライドガラス上へ、鱗片状インジウム粒子20質量%のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGM)分散液をスポイトで5〜10滴程度、滴下後、No.9は、60℃の乾燥機内で10〜15分間乾燥した。No.10は、室温(25℃)湿度70%RH以上で乾燥した。以上により、No.9のドリップコート法(60℃乾燥)によるインジウム塗膜、及びNo.10のドリップコート法(室温乾燥)によるインジウム塗膜を得た。
No.9のドリップコート法(60℃乾燥)によるインジウム塗膜のSEM写真を図14A(20,000倍)及び図14B(50,000倍)に示した。
No.10のドリップコート法(室温乾燥)によるインジウム塗膜のSEM写真を図16A(20,000倍)及び図16B(50,000倍)に示した。
次に、得られた各蒸着膜及び各塗膜について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表3から表5に示した。
<SEM観察>
各蒸着膜及び各塗膜について、下記の測定条件により走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて、断面観察を行い、5箇所の厚みを計測し、平均厚みを算出した。
[測定条件]
・装置:S−4700(株式会社日立製作所製)
・観察サンプル前処理:Ptスパッタ/10sec〜20sec
・観察条件:加速電圧5−10kV、各種倍率及び角度
<X線回折法(XRD)分析>
各蒸着膜及び各塗膜について、以下の分析装置を用い、以下の分析条件により、X線回折法(XRD)分析を行い、以下の基準により「回折ピークの要件」を評価し、以下のようにして「半値幅」を算出した。
分析装置:
XRD−6100(株式会社島津製作所製)
分析条件:
X−ray tube
target=Cu
voltage =40.0(kV)
current =30.0(mA)
Slits
divergence slit =1.00000(deg)
scatter slit =1.00000(deg)
receiving slit =0.30000(mm)
Scanning
drive axis =Theta〜2Theta
scan range =5.000〜90.000(Al)、
=5.000〜80.000(In)
scan mode =Continuous Scan
scan speed =2.0000(deg/min)
sampling pitch =0.1000(deg)
preset time =3.00(sec)
−XRDの回折ピークの要件の評価−
No.2のインジウム蒸着膜、及びNo.4、6、8、9、及び10のインジウム塗膜についてのXRDスペクトルを図3、図7、図10、図13、図15、及び図17に示した。なお、XRDの回折ピークは基材のピークを差し引いた結果である。これらの結果から、以下の基準により、「回折ピークの要件」を評価した。
[評価基準]
〇:結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1である
×:結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が2以上である
−半値幅の算出−
図4に示す方法により最大ピーク(アルミニウム膜については結晶の[111]面に由来するピーク、インジウム膜については結晶の[101]面に由来するピーク)についての半値幅を求めた。
まず、結晶子面最大ピーク(a)−基材ピーク(c)から最大強度を算出した。
次に、最大強度の半分に基材ピークcを加算して、b1及びb2における角度を求めた。次に、b1及びb2における角度から、(b2−b1)にて簡易的な積分法による半値幅の算出を行った。
<グロス値の測定>
各蒸着膜及び各塗膜について、鏡面光沢度(グロス値)を測定した。グロス値の測定は、光沢計(日本電色工業株式会社製、VG−7000)を用い、JIS Z8741「鏡面光沢度−測定方法」に準拠した平行光方式で、入射角20°(G20)及び入射角60°(G60)のグロス値を測定し、これらの値から「G20−G60」、「G20/G60」を算出した。
<表面粗さ(Ra)>
各蒸着膜及び各塗膜について、走査型プローブ顕微鏡(AFM、株式会社島津製作所製、SPM−9600)を用い、30μm×30μmの範囲の算術平均表面粗さRaを算出した。
<分光測色計(正反射及び拡散反射)>
各蒸着膜及び各塗膜について、分光測色計(コニカミノルタ株式会社製、CM3600−A)を用い、SCIモードで全反射(正反射光込み)成分とSCEモードで拡散反射(正反射光カット)成分におけるL値を測定し、SCI(L値)−SCE(L値)から正反射成分のL値を求めた。
<鏡面性の官能評価>
各蒸着膜については黒ABS板に貼り付け、裏打ちした状態で、以下のようにして鏡面性を官能評価した。各塗膜についてはそのままの状態で、以下のようにして鏡面性を官能評価した。
・光源:D65光源(標準光源BOX内)
・採点方法:鏡の鏡面性を10とし、No.1〜No.8の8サンプルをそれぞれ10段階で採点し、平均点を求めた。点数の高い方が、鏡面性が高いことを表す。
・採点者:17名(男性:11名、女性:6名)
Figure 2021063285
Figure 2021063285
Figure 2021063285
表3〜表5の結果から、「X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であること」を満たしている参考例1のインジウム蒸着膜及び実施例1〜3のインジウム塗膜は、いずれも、「X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であること」を満たさない比較例4及び5に比べて、グロス値(G20、G60)が高く、G20がG60よりも高く、優れた金属調意匠性を有することがわかった。
ここで、参考例1のインジウム蒸着膜では、図2に示すように、鱗片状インジウム粒子が基材(PETフィルム)に平行に配向していることが分かる。そのインジウム蒸着膜において、「X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であること」を満たすということは、鱗片状インジウム粒子自体が、「X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であること」を満たすことと等価であり、インジウム蒸着膜と鱗片状インジウム粒子とは等価な物性値(XRDの回折ピーク、半値幅、グロス値、表面粗さ、正反射(L値)、拡散反射(L))を有すると推察される。
また、実施例1〜3のインジウム塗膜についても参考例1のインジウム蒸着膜と同様の結果が得られていることから、インジウム塗膜と鱗片状インジウム粒子とは等価な物性値(XRDの回折ピーク、半値幅、グロス値、表面粗さ、正反射(L値)、拡散反射(L))を有すると推察される。
ドリップコート法による塗膜である比較例4及び5は、グロス値(G20、G60)が低く、G20よりG60の方が高く、L(正反射)も低くなっており、特にドリップコート法(室温乾燥)による塗膜である比較例5は、塗膜が白化してしまった。
スピンコート法による塗膜である比較例1と実施例1では、グロス値(G20、G60)については、比較例1のアルミニウム塗膜の方が実施例1のインジウム塗膜よりも高い結果が得られたが、正反射(鏡面反射)及び鏡面性の官能評価については実施例1のインジウム塗膜の方が比較例1のアルミニウム塗膜よりも良好な結果が得られた。
バーコート法による塗膜である比較例2と実施例2、インクジェット法による塗膜である比較例3と実施例3では、グロス値(G20、G60)、L(正反射)、及び鏡面性の官能評価のいずれも、実施例2、3の方が比較例2、3よりも高い良好な結果が得られ、優れた金属調意匠性を有することがわかった。
塗膜の表面粗さRaについては、実施例1〜3の方が比較例1〜3よりも大幅に小さくなり、表面平滑性に優れていることがわかった。
次に、表3〜表5の結果から、表面が平滑であり、優れた金属調意匠性を有することが認められたNo.1〜8の膜について、鏡面性の官能評価と表面粗さRaとの相関を図20に示した。鏡面性の官能評価とグロス値(G20)との相関を図21に示した。鏡面性の官能評価と(G20−G60)との相関を図22に示した。鏡面性の官能評価と(G20/G60)との相関を図23に示した。鏡面性の官能評価とL(正反射)との相関を図24に示した。異なる塗布方法に対する鏡面性の官能評価のレーダーチャートを図25に示した。

Claims (11)

  1. X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることを特徴とする鱗片状インジウム粒子。
  2. X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅が、0.2°以上0.5°以下である、請求項1に記載の鱗片状インジウム粒子。
  3. 平均厚さが60nm以下である請求項1から2のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子。
  4. 累積50%体積粒子径D50が0.7μm以下である請求項1から3のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子を含有することを特徴とする分散液。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の鱗片状インジウム粒子を含有することを特徴とするインク。
  7. 鱗片状インジウム粒子を有してなり、
    X線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1であることを特徴とする塗膜。
  8. X線回折法で測定した際に、結晶の[101]面に由来するピークの半値幅が、0.2°以上0.5°以下である、請求項7に記載の塗膜。
  9. 表面粗さRaが30nm以下である請求項7から8のいずれかに記載の塗膜。
  10. 鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクを基材上に付与し、
    前記分散液又はインクの塗膜についてX線回折法で測定した際に、2θが30°から80°までの範囲において、結晶の[202]面に由来するピークを有し、前記結晶の[202]面に由来するピークのピーク高さをXとしたとき、1.20X以上の高さのピークの数が1となるように、前記分散液又はインクの付与を行うことを特徴とする塗膜の製造方法。
  11. 基材上に鱗片状インジウム粒子を含む分散液又はインクをスピンコート法、インクジェット法、及びバーコート法のいずれかによって付与する請求項10に記載の塗膜の製造方法。

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