JP2021062651A - 車両の内装構造 - Google Patents
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Abstract
Description
通常、エアバッグ装置に用いるエアバッグモジュールは、収縮されて折り畳まれたエアバッグと、このエアバッグに供給される窒素ガスを発生するインフレータと、このインフレータを把持固定するリテーナと、これらの部材を包み込むケース等により構成されている。
これにより、第1,第2破断予定部が破断されたとき、カバー表面にエアバッグの膨張展開を許容する開口部が形成され、エアバッグの好適な膨張展開が実行される。
しかし、車両の仕様(設計コンセプト)によっては、エアバッグの展開抵抗(展開負荷)が増加する虞がある。
そして、リヤドア用開口が後席の前方側に形成された車両は、後席のシートバックが、リヤドアに対して車幅方向に隣り合うのではなく、車体側壁部に隣り合う隣接配置になり、着座乗員の肘を載置するアームレストが車体側壁部を覆うトリム部材に形成される。
一方、乗員の室内快適性を高めるため、乗員の周囲を取り囲む、所謂ラウンジ調に内装材を配置することがある。例えば、トリム部材に形成されたアームレストの後端部を車幅方向内側に湾曲延長してシートバックに連なるように構成し、乗員の安心感(安堵感)を改善している。特に、前席のシートバックに用いられる乗員の側部(肩、腕等)を支持するサイドサポートを後席に対して適用し、このサイドサポートを車幅方向外側まで延長することで、トリム部材(アームレスト)とシートバック(サイドサポート)の連続性を強調することができ、乗員の室内快適性を更に高めることが可能である。
しかも、室内仕様をラウンジ調に設定した車両では、シートバックから車幅方向外側に張り出したサイドサポートがエアバッグモジュールのリッド部表面に重複配置される。
それ故、エアバッグの膨張展開時、エアバッグモジュールは、リッド部を開放することに加えて、リッド部表面に重複されたサイドサポートをリッド部の動作領域から除去するため、エアバッグの展開抵抗が増加している。即ち、車両の仕様に拘らず側突安全性を担保するためには、エアバッグの膨張展開特性に対して影響が大きい展開抵抗を減少させる必要がある。
前記シートバックが、乗員の背中に当接する本体部と、乗員の腕部に当接すると共に前記本体部の上半部分の車幅方向外側端部から車幅方向外側に張り出して前記リッド部表面の少なくとも一部に重複する可撓性のサイド支持部とを有するため、エアバッグモジュールの配置スペースを車体側壁部側に確保しつつ、着座乗員の感覚を改善して室内快適性を高めることができる。前記サイド支持部の下端部と前記リッド部の下端部を略同じ高さ位置になるように設定したため、室内仕様に基づきサイド支持部がリッド部表面に重複配置されても、車両の側面衝突時、エアバッグの展開によりサイド支持部の下端部を容易に跳ね上げることができ、エアバッグの展開抵抗を低減してリッド部の動作領域からサイド支持部を迅速に除去することができる。
この構成によれば、車両の側面衝突時、サイド支持部を車幅方向外側端部から一層容易に跳ね上げることができ、サイド支持部の除去を早期化することができる。
この構成によれば、エアバッグの膨張圧を、リッド部の回動状態に拘らず、サイド支持部に対して効率良く伝達することができる。
この構成によれば、内装をラウンジ調にして室内快適性を改善しつつ、エアバッグの膨張展開性を向上することができる。
以下の説明は、本発明をセンタピラーが省略された車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
まず、車両Vの全体構成について説明する。
図1〜図3に示すように、車両Vは、車室床面を構成するフロアパネル(図示略)と、車室天井の左右両端部において前後に延びる左右1対のルーフサイドレール1と、これら1対のルーフサイドレール1の前端部とフロアパネルを夫々連結する左右1対のフロントピラー(図示略)と、ルーフサイドレール1の後端側部分とフロアパネルを夫々連結する左右1対のサイドピラー2と、1対のサイドピラー2の後側に配設され且つ左右に延びるリヤヘッダ(図示略)の左右端部から後側下方に延びる左右1対のリヤピラー3と、左右1対の後側ホイールハウス4等を備えている。以下、図において、矢印F方向を前方、矢印L方向を左方、矢印U方向を上方として説明する。
ホイールハウス4は、右側に膨出した部分椀状のホイールハウスアウタ4aと、左側に膨出した部分椀状のホイールハウスインナ4bとから構成され、各々が車両Vの側壁部7の下端部分に接合されている。
図1〜図5に示すように、右後席12は、着座乗員の下半身(腰部及び大腿部)を下方から支持するシートクッション12aと、着座乗員の上半身を後方から支持するシートバック12b等を主な構成要素としている。
シートクッション12aは、金属製パイプ材で形成された矩形状の骨格フレームと、付勢力を付与するスプリング材と、クッション材と、これらの周囲を覆う表皮材等により構成されている。このシートクッション12aは、側壁部7の下部に対応した高さ位置で且つその前端部が後側開口部6の近傍位置に配置されている。
本体部12sは、金属製パイプ材で形成された矩形状の骨格フレームと、付勢力を付与するスプリング材と、クッション材と、これらの周囲を覆う表皮材等により構成されている。この本体部12sは、ガセット8の前側近傍位置に配置され、シートクッション12aの左右両後端部に設けられたブラケットに回動自在に枢支されている。
具体的には、サイド支持部12tは、上端部が本体部12sの上端部に支持され、左端部が本体部12sの右端部に連結支持されている。そして、サイド支持部12tは、本体部12sの上端部相当位置からホイールハウスインナ4bの前側中段相当位置に亙って上下方向に延設されている。サイド支持部12tは、クッション材と、このクッション材の周囲を覆う表皮材等により構成され、右端部及び下端部が自由端に構成されているため、可撓性を備えている。尚、中央席13には、サイド支持部は形成されていない。
図5,図9に示すように、エアバッグモジュール20は、車両Vの側面衝突時、右後席12に着座した乗員とトリム部材30(側壁部7)との間にエアバッグ21を膨張させることにより、乗員の上半身、特に胸部及び腰部とトリム部材30との二次衝突を回避している。エアバッグモジュール20は、収縮されて折り畳まれた状態のエアバッグ21と、窒素ガスを発生させてエアバッグ21を膨張展開させるインフレータ(図示略)と、このインフレータを把持固定するリテーナ(図示略)と、このリテーナを包み込むアウタケース22等を備えている。
取付部材25は、上下に延びる金属製板材で構成され、上側脚部が前後方向に配列された1つのボルト26と2つのクリップ27とを用いてリヤピラー3のインナ部材に締結固定され、下側脚部が1つのボルト26を用いてリヤピラー3のインナ部材とホイールハウスインナ4bに固定されたブラケット28に締結固定されている。
エアバッグモジュール20は、アウタケース22の左右から突設された左右3対の爪を取付部材25に固定された取付座の嵌合穴に夫々嵌合させて車体に対して装着される。
アウタケース22の開口は、エアバッグ21の膨張展開方向に合致するように前方に向けて開放されている。
図2〜図4に示すように、トリム部材30は、側壁部7の左側表面を覆っている
トリム部材30は、合成樹脂材料(例えば、PP等)によって形成され、複数のクリップ(図示略)によって側壁部7に対して取り付けられている。
図6に示すように、トリム部材30は、着座乗員の肘を載置するためのアームレスト31と、エアバッグモジュール20を側壁部7との間に収容するための膨出部32とが一体的に形成されている。
肘置き部31aは、トリム部材30の前端部から膨出部32の前壁部に亙って前後に延びるように形成されている。湾曲部31bは、肘置き部31aの後端部から膨出部32の左側壁部に亙って左右に延びるように形成されている。
サイド支持部12tは、膨出部32の前壁部左側表面に部分的に重複している。また、サイド支持部12tの下端部と湾曲部31bの上端部が略一致すると共に、サイド支持部12tの表面と湾曲部31bの表面が連なるように形成されている(図2,図3参照)。
膨出部32の開口32aは、正面視にて、アウタケース22の外形よりも大きく形成されている。これにより、エアバッグモジュール20の補修や取り替え時、開口32aを介してエアバッグモジュール20の出し入れが行われる。
この蓋部材33は、横断面略S字状に形成され、サイド支持部12tの後側面に当接する左半部と、この左半部に緩やかに連なり左半部よりも前方に位置する右半部とを備えている。蓋部材33の下端部は、湾曲部31b(アームレスト31)の上端部と略一致するように高さ位置が設定されている。
リッド部34は、上下方向に並行状に延びる左辺部34a及び右辺部34bと、左右方向に並行状に延びる上辺部34c及び下辺部34dとによって構成されている。
左辺部34a及び右辺部34bは、蓋部材33の左端部及び右端部の近傍位置に夫々形成されている。上辺部34c及び下辺部34dは、左辺部34a及び右辺部34bの上端部同士及び下端部同士を夫々連結している。
右辺部34bは、サイド支持部12tの右端部よりも右方に形成されている。下辺部34dは、蓋部材33の下端部の近傍位置に配置され、下辺部34dの左端部は、湾曲部31bの上端部(サイド支持部12tの下端部)と略一致するように設定されている。
第1当接部34sは、リッド部34による開放動作前(破断前)において、サイド支持部12tの後側面に面接触状態で当接している。第2当接部34tは、リッド部34による開放動作直後(破断直後)において、サイド支持部12tの右端部に面接触状態で当接している。
車両Vが側方から衝突荷重を受けた場合、車体側壁(側壁部7)への衝突荷重はセンサ(図示略)に感知され、このセンサからインフレータに対して作動指令が出力される。
作動指令を入力したインフレータは、窒素ガスを発生してエアバッグ21の膨張展開が開始される。
膨張展開初期から終期に亙ってリッド部34の回動状態に拘らず、リッド部34とサイド支持部12tとの当接角度を最適化することができ、リッド部34の回動力をサイド支持部12tに対して効率良く伝達している。また、リッド部34の回動角が微小角度であっても、大きな開度を確保することができる。
膨張展開後のエアバッグ21は、下半部が略立方体状に形成され、その前後範囲がアームレスト31の前端部近傍位置から本体部12sの前面に対応するよう設定されている。
また、上半部の前部は、下半部の前部上端から徐々に本体部12sの前面に接近するように後退している。
本実施形態によれば、トリム部材30が、膨張するエアバッグ21が通過可能で且つリッド部34の左辺部34a、右辺部34b、上辺部34c及び下辺部34dで規定される開口部と、この開口部を閉塞すると共にエアバッグ21の膨張圧によって開口部を開放するリッド部34とを有するため、乗員の胸部及び腰部とトリム部材30との間にトリム部材30の開口部を介してエアバッグ21を適切に膨張展開させることができる。
シートバック12bが、乗員の背中に当接する本体部12sと、乗員の腕部に当接すると共に本体部12sの上半部分の右側端部から右側に張り出してリッド部30表面の左側部分に重複する可撓性のサイド支持部12tとを有するため、エアバッグモジュール20の配置スペースを側壁部7側に確保しつつ、着座乗員の感覚を改善して室内快適性を高めることができる。サイド支持部12tの下端部とリッド部34の下辺部34dを略同じ高さ位置になるように設定したため、室内仕様に基づきサイド支持部12tがリッド部34表面に重複配置されても、車両Vの側面衝突時、エアバッグ21の展開によりサイド支持部12tの下端部を容易に跳ね上げることができ、エアバッグ21の展開抵抗を低減してリッド部34の動作領域からサイド支持部12tを迅速に除去することができる。
1〕前記実施形態においては、サイド支持部12tの下端部が、湾曲部31bの上端部と略同じ高さ位置になるように設定された例について説明したが、サイド支持部12tの下端部を湾曲部31bよりも下方に形成しても良く、湾曲部31bよりも上方に形成しても良い。また、仕様に応じて湾曲部31bを省略することも可能である。
この場合、蓋部材の外側縁部に形成された係合部にノッチ等の離脱機構を形成する。
12 (右)後席
12b シートバック
12s 本体部
12t サイド支持部
20 エアバッグモジュール
21 エアバッグ
30 トリム部材
31 アームレスト
31a 肘置き部
31b 湾曲部
34 リッド部
34a 左辺部
34b 右辺部
34c 上辺部
34d 下辺部
33s 第1当接部
33t 第2当接部
V 車両
Claims (4)
- 後席に着座した乗員の上半身を支持するシートバックと、このシートバックの車幅方向外側に形成された車体側壁部の表面を覆うトリム部材と、車体側に設けられ且つ車両の側面衝突時に着座乗員の胸部及び腰部に向けて膨張可能なエアバッグ及び前記エアバッグを展開可能なインフレータを有するエアバッグモジュールとを備えた車両の内装構造において、
前記トリム部材が、膨張する前記エアバッグが通過可能な開口部と、前記開口部を閉塞すると共に前記エアバッグの膨張圧によって前記開口部を開放するリッド部とを有し、
前記シートバックが、乗員の背中に当接する本体部と、乗員の腕部に当接すると共に前記本体部の上半部分の車幅方向外側端部から車幅方向外側に張り出して前記リッド部表面の少なくとも一部に重複する可撓性のサイド支持部とを有し、
前記サイド支持部の下端部と前記リッド部の下端部を略同じ高さ位置になるように設定したことを特徴とする車両の内装構造。 - 前記リッド部の車幅方向内側端部に上下方向に延びる回動部回りに前記リッド部を回動可能な回動機構を設けると共に、前記リッド部の車幅方向外側端部が前記サイド支持部の車幅方向外側端部よりも車幅方向外側に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の内装構造。
- 前記リッド部は、前記サイド支持部の車体前後方向後側面に当接可能な第1当接部と、前記第1当接部の車幅方向外側端部に連なり且つ前記サイド支持部の車幅方向外側端部に当接可能な第2当接部とを有することを特徴とする請求項2に記載の車両の内装構造。
- 前記トリム部材の中段部にアームレストを設け、
前記アームレストが、車体前後方向に延びる肘置き部と、前記肘置き部の後端部から前記本体部の車幅方向外側端部に亙って湾曲状に回り込む湾曲部とを有し、
前記サイド支持部の下端部が、前記湾曲部の上端部と略同じ高さ位置になるように設定されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両の内装構造。
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