JP2021061221A - 高分子電解質組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる高分子電解質組成物を提供することにある。【解決手段】本発明の高分子電解質組成物は、高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物と、を含むことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子電解質組成物、上記高分子電解質組成物を含む電極触媒層、上記電極触媒層を備える膜電極接合体、上記膜電極接合体を備える燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池を構成する膜電極接合体(MEA)には、白金等の触媒及び高分子電解質から形成される電極触媒層が設けられている。白金等の触媒は高価であるため、その使用量の低減が求められているが、触媒の使用量を削減すると電池の性能が低下する傾向がある。この不利益を回避するために、電極触媒層を形成する高分子電解質の酸素透過性を向上させて、電極中に酸素を行き渡らせる試みがなされてきた。
特許文献1には、酸素透過性が高く、カソード側触媒層高分子電解質として好適な高分子電解質として、ラジカル重合により主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーを与える含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位と、フッ素系スルホン酸含有モノマーに基づく繰り返し単位とを含む共重合体が記載されている。
特許文献2には、主鎖又は側鎖にフッ素系脂肪族環構造、スルホンイミド基、及びスルホン酸基を有することで、高酸素透過性と撥水性を保ったまま、高プロトン伝導性を発現できることが記載されている。
特開2002−260705号公報 特開2012−38515号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されている高分子電解質は、実際の燃料電池の運転環境に近い低加湿条件及び高加湿条件のいずれにおいても高い発電性能を発現することに対しては改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる高分子電解質組成物を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物と、を含むことを特徴とする、高分子電解質組成物。
[2]
上記ベンゾジオキソール誘導体骨格が、下記式(1)で表される構造を含む、[1]に記載の高分子電解質組成物。
Figure 2021061221
(式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、Xは、それぞれ独立にエーテル結合又はスルホンアミド結合を含む構造を表し、Yは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、a及びbは整数を表し、a+b=4、a≧1である。)
[3]
上記式(1)中、Xが、下記式(2)又は下記式(3)で表される構造を含む、[2]に記載の高分子電解質組成物。
Figure 2021061221
(式(2)、(3)中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、lは、1から10のいずれかの整数を表し、*は結合手を表す。)
[4]
上記高分子電解質組成物中に含まれる固形分(100質量%)に対する上記ベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物の質量割合が、1〜90質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質組成物。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載の高分子電解質組成物と、触媒とを含むことを特徴とする、電極触媒インク。
[6]
[5]に記載の電極触媒インクを含むことを特徴とする、電極触媒層。
[7]
[6]に記載の電極触媒層と電解質膜とを備えることを特徴とする、膜電極接合体。
[8]
[7]に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
本発明の高分子電解質組成物は、高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物と、を含むことで、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
[高分子電解質組成物]
本実施形態の高分子電解質組成物は、高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物とを含む。上記高分子電解質は、1種であってもよいし複数種の組み合わせであってもよい。上記ベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物は、1種であってもよいし複数種の組み合わせであってもよい。本実施形態の高分子電解質組成物は、高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物とを含むことで、低加湿と高加湿のいずれの条件でも高い発電性能を発現することができる。
上記高分子電解質組成物は、さらに、添加剤、溶媒等を含んでいてもよい。
なお、本明細書において、ベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物を、「化合物A」と称する場合がある。
(ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物(化合物A))
上記ベンゾジオキソール誘導体骨格としては、下記式(1)で表される構造を含む骨格が挙げられ、下記式(1)で表される構造である骨格が好ましい。
Figure 2021061221
式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表す。上記有機基としては、例えば、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、芳香族環等が挙げられる。上記R1、R2としては、合成の容易性から、水素原子、フッ素原子、メチル基が好ましい。
式(1)において、Xは、それぞれ独立にエーテル結合を含む構造又はスルホンアミド結合を含む構造を表し、Yは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、a及びbは整数を表し、a+b=4、a≧1である。上記有機基としては、例えば、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基等が挙げられる。Xは他の構造との連結基であってよく、Yはベンゼン環の末端置換基であってよい。
上記Xとしては、電極触媒層のひび割れを抑制し、酸素透過性を向上させる観点から、下記式(2)又は下記式(3)で表される構造を含むことが好ましく、下記式(2)又は下記式(3)で表される構造であることがより好ましい。
Figure 2021061221
ここで、式(2)(3)中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、lは、1から10のいずれかの整数を表し、*は結合手を表す。上記有機基としては、例えば、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基等が挙げられる。上記R3、R4、R5としては、合成の容易性から、水素原子、フッ素原子、メチル基が好ましい。
ここで、ベンゾジオキソール誘導体とは、ベンゾジオキソール骨格の少なくとも1つの水素原子が、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合又はスルホンアミド結合を含む構造、芳香族環等の置換基で置換された構造をいう。ベンゾジオキソール誘導体とは、例えば、上記式(1)で表される1、3ベンゾジオキソール骨格のジオキソール環の2個の水素原子、ベンゼン環の4個の水素原子の1つ以上が上記置換基で置換された構造が挙げられる。なお、上記式(1)で表される構造が、ベンゾジオキソール誘導体にa個のX、b個のY、R1及びR2が結合した構造である場合、式(1)において、1個のXを除き、R1、R2、a個のX、b個のYは存在しなくてもよく、例えば、a+b等は適宜変更してよい。
上記化合物Aは、プロトン伝導性基を含んでいてもよい。上記プロトン伝導性基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、スルホンアミド基等が挙げられる。プロトン伝導性の観点から、強酸であるスルホン酸基が好ましい。
上記化合物Aは、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。ここで、低分子化合物とは、重量平均分子量が2000未満の化合物をいい、高分子化合物とは重量平均分子量が2000以上の化合物をいう。
上記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフ)法により測定される値であり、例えば、以下に示す方法により、標準ポリスチレンを基準として重量平均分子量を算出することができる。
TOSOH社製 HLC−8020を用い、カラムはポリスチレンゲル製MIXカラム(東ソーGMHシリーズ、30cmサイズ)を3本、40℃、NMP(5mmol/L LiBr含有)溶剤、流速0.7mL/分で行うことができる。サンプル濃度は、0.1質量%で打ち込み量は500μLで行うことができる。
−低分子化合物−
低分子化合物である上記化合物Aとしては、末端にベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物が好ましく、ジオキソール環が末端側に配置されることがより好ましい。
低分子化合物である上記化合物Aとしては、電極触媒層のひび割れを抑制でき、発電性能、耐久性が良好な電池が得られる観点から、環状構造に連結基を介してベンゾジオキソール誘導体骨格が結合した化合物が好ましい。
上記環状構造としては、置換されていてもよい、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレン等の芳香族炭化水素環;置換されていてもよい、フラン、ピラン、ジオキシン、ジベンゾジオキシン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の芳香族複素環;置換されていてもよい、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、デカリン、ノルボルネン等の炭素数1〜10の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素環;等が挙げられる。上記置換としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10個の炭化水素基、エーテル基、ベンゼン等の芳香族環、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、スルホンアミド基、等が挙げられる。
上記連結基としては、エーテル基、スルホンアミド基、チオエーテル基、ケトン基、エステル基、イミド基、炭素−炭素結合、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10個のアルキレン基、又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
上記環状構造としては、電極触媒層のひび割れを抑制でき、発電性能、耐久性が良好な電池が得られる観点から、シクロペンテン、ベンゼンが好ましい。
上記環状構造がシクロペンテンである上記化合物Aとしては、合成の容易性から、シクロペンテン環を構成する5個の炭素原子の少なくとも1個に、上記連結基(例えば、式(2)又は(3)で表される構造)を介してベンゾジオキソール誘導体骨格が結合した構造が好ましい。シクロペンテン環を構成する5個の炭素原子は、部分的又は完全にフッ素化されていることが好ましい。
上記環状構造がシクロペンテンである上記化合物Aとしては、下記式(4)〜(7)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021061221
Figure 2021061221
Figure 2021061221
Figure 2021061221
式(4)〜(7)中、R1、R2、R6〜R11は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、芳香族環等の有機基を表し、R12〜R17は、それぞれ独立にフッ素原子、又は−OPh、−OCH3、−OPhOR等の炭素数1以上のエーテル基含有基(Phはフェニル基、Rは部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す)を表す。
上記式(4)〜(7)の化合物Aの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、オクタフルオロシクロペンテンを、水酸基を有するベンゾジオキソール誘導体(例えば、セサモール等)や、アルコール類やフェノール類と反応させることで合成できる。
上記環状構造がベンゼンである上記化合物Aとしては、合成の容易性から、ベンゼン環を構成する6個の炭素原子の少なくとも1個に、上記連結基(例えば、式(2)又は(3)で表される構造)を介してベンゾジオキソール誘導体骨格が結合した構造が好ましい。ベンゼン環を構成する6個の炭素原子は、部分的又は完全にフッ素化されていることが好ましい。
上記環状構造がベンゼンである上記化合物Aとしては、下記式(8)〜(10)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021061221
Figure 2021061221
Figure 2021061221
式(8)〜(10)中、R1、R2、R18〜R27は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、芳香族環等の有機基を表し、R28〜R32はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は−OPh、−OCH3、−OPhOR等の炭素数1以上のエーテル基含有基(Phはフェニル基、Rは部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表す)を表す。
上記式(8)〜(10)の化合物Aの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサフルオロベンゼンを、水酸基を有するベンゾジオキソール誘導体(例えば、セサモール等)や、アルコール類やフェノール類と反応させることで合成できる。
−高分子化合物−
高分子化合物である上記化合物Aとしては、以下に限定されないが、例えば、式(11)〜(13)で表される構造が挙げられる。
Figure 2021061221
Figure 2021061221
式(11)、(12)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、Arは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フルオレン、ヘリセン、ピレン等の芳香環を表す。R33は、エーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を表し、フッ素化炭化水素基の炭素数が2以上である場合は炭素−炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい。上記R33としては、例えば、−(CF22O(CF22SO3H、−OCF2CF2SO3H、−OCF2CFH−OCF2CF2SO3H等が挙げられる。上記有機基としては、例えば、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、芳香族環等が挙げられる。上記R1、R2としては、合成の容易性から、水素原子、フッ素原子、メチル基が好ましい。
Figure 2021061221
式(13)
Figure 2021061221
式(13)中、R34は、式(14)の構造を表し、R35は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表す。上記有機基としては、例えば、部分的又は完全にフッ素化されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル結合、芳香族環等が挙げられる。R36は、エーテル結合及びプロトン交換基を含む炭素数1以上のフッ素化炭化水素基を表し、フッ素化炭化水素基の炭素数が2以上である場合は炭素−炭素原子間にエーテル結合が挿入されていてもよい。上記R36としては、例えば、−(CF22O(CF22SO3H、−OCF2CF2SO3H、−OCF2CFH−OCF2CF2SO3H、−OCF2CFH−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3H、−OCF2CFH−OCF2CF(CF2OCF2CF2SO3H)−OCF2CF2SO3H等が挙げられる。
c〜gは整数を表し、c+d=5、c+e≧1、e+f+g=5、g≧1である。
上記式(11)の化合物Aの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、オクタフルオロシクロペンテンを、水酸基を2つ以上有するモノマーと重縮合させた後、水酸基を有するベンゾジオキソール誘導体(例えば、セサモール等)と反応させ、アリル位のフッ素原子を置換することで合成できる。
上記式(12)の化合物Aの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、まずオクタフルオロシクロペンテンを、水酸基を有するベンゾジオキソール誘導体(例えば、セサモール等)と反応させ、式(15)のようなモノマーを合成する。その後、このモノマーと、水酸基を2つ以上有するモノマーを重縮合させることで合成できる。スルホン酸基の導入方法としては、特に限定されないが、例えば、脱ハロゲンカップリング等で導入可能である。
Figure 2021061221
式(15)において、R1、R2はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表す。
上記式(13)の化合物Aの合成方法としては、特に限定されないが、例えば、ペンタフルオロスチレンモノマーをラジカル重合した後に、水酸基を有するベンゾジオキソール誘導体(例えば、セサモール等)を芳香族求核置換反応によって導入できる。スルホン酸基の導入方法は、特に限定されないが、例えば、得られたポリマーを水酸化カリウムや水酸化ナトリウムで処理し、芳香環に水酸基を導入した後に、二重結合を有するスルホン酸誘導体(例えば、CF2=CF−OCF2CF2SO3X、CF2=CF−OCF2CF(CF3)−OCF2CF2SO3X、CF2=CF−OCF2CF(CF2OCF2CF2SO3X)−OCF2CF2SO3X、Xは水素やアルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アンモニウム塩である)を付加させることで導入できる。
上記高分子電解質組成物中の上記化合物Aと上記高分子電解質の合計質量に対する上記化合物Aの質量割合は、電池性能の観点から、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。プロトン伝導性の観点から、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
なお、ここでいう質量割合は、下記計算式で計算したものとする。
質量割合(質量%)=(化合物Aの合計質量(g))/(高分子電解質の合計質量(g)+化合物Aの合計質量(g))×100
上記高分子電解質組成物中に含まれる固形分(100質量%)に対する上記化合物Aの質量割合は、低加湿と高加湿のいずれの条件でも、一層高い発電性能を発現することができる観点から、1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
上記化合物A中に含まれる上記ベンゾジオキソール誘導体骨格の数は、少ない化合物Aの添加量で多くのベンゾジキソール誘導体骨格を導入することができるため、1個以上が好ましく、複数個(2個以上で)あることがより好ましい。
上記高分子電解質組成物は、電極触媒層のひび割れを抑制でき、発電性能、耐久性が良好な電池が得られる観点から、上記高分子電解質組成物中に含まれる固形分(100質量%)に対する上記化合物Aの質量割合(質量%)と、上記化合物A中に含まれる上記ベンゾジオキソール誘導体骨格の数(個)との積が、1〜540であることが好ましく、10〜420であることがより好ましい。
例えば、複数種の化合物Aが含まれる場合、各化合物Aについて質量割合とベンゾジオキソール誘導体骨格の数との積を算出し、全種の化合物Aの和を上記積としてよい。
(高分子電解質)
上記高分子電解質としては、特に限定されず、既知の高分子電解質を使うことができる。
上記高分子電解質は、イオン交換基を含有することが好ましい。イオン交換基としては、−SO3H、−SO2NHSO2−等のプロトン交換基が挙げられる。また、イオン交換基は、部分的に又は全てが、金属イオンやアンモニウムイオン等で交換された塩を形成していてもよい。
上記高分子電解質は、耐久性の観点から、フッ素原子を含むことが好ましい。
上記高分子電解質は、プロトン伝導性の観点から、下記式(16)又は(17)で表わされる繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2021061221
式(16)
(式(16)中、Y31は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。kは0〜2の整数、nは0〜8の整数を表し、n個のY31は、同一でも異なっていてもよい。Y32は、F又はClを表す。mは2〜6の整数を表す。m個のY32は、同一でも異なっていてもよい。Z31は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR4を表す。Rは、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
Figure 2021061221
式(17)
(式(17)中、Y33は、F、Cl、又は炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基を表す。oは0〜1の整数を表す。Q31は、エーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基であり、Q32は、単結合又はエーテル結合を有していてもよい炭素数1〜6のパーフルオロアルキレン基である。R31は、エーテル結合を有していてもよいパーフルオロアルキル基である。Xは、O、N、又はCであって、XがOの場合はaは0であり、XがNの場合はaは1であり、XがCの場合はaは2である。Z32は、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はNR32 4を表す。R32は、それぞれ独立に、アルキル基又はHを表わす。)
上記繰り返し単位(16)について、Y31はF又はCF3であることが好ましい。kは0であることが好ましい。nは0又は1であることが好ましい。Y32はFであることが好ましい。mは2であることが好ましい。Z31はH、Na、K、又はNH4であることが好ましい。
上記繰り返し単位(16)は、上述したものの中でも特に、−CF2−CF(−O−CF2−CF2−SO3H)−、又は−CF2−CF(−O−CF2−CF(CF3)−O−CF2−CF2−SO3H)−が好ましい。
上記繰り返し単位(17)について、Y33はFであることが好ましい。oは0であることが好ましい。Q31は、−CF2−CF2−又は−CF2−O−CF2−CF2−であることが好ましい。Q32は、−O−CF2−CF2−であることが好ましい。R31は、−CF3又は−CF2−CF3であることが好ましい。XはOであることが好ましい。Z32は、H、Na、K、又はNH4であることが好ましい。
上記繰り返し単位(17)は、上述したものの中でも特に、−CF2−CF(−O−CF2−CF(−CF2−O−CF2−CF2−SO3H)(−O−CF2−CF2−SO3H)−が好ましい。
上記高分子電解質組成物中に含まれる固形分(100質量%)に対する上記高分子電解質の質量割合は、発電性能が良好な電池が得られる観点から、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましい。また、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
(添加剤)
上記添加剤としては、有機系添加剤、無機系添加剤等が挙げられる。
上記有機系添加剤としては、例えば、3級炭素に結合した水素、炭素−ハロゲン結合等を構造中に有する化合物等の原子がラジカルにより引き抜かれやすい化合物が挙げられる。具体的には、ポリアニリンのような官能基で一部置換された芳香族化合物、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、フェニル化ポリキノキサリン、フェニル化ポリキノリン等の不飽和の複素環化合物を挙げることができる。
また、チオエーテル化合物も挙げられる。例えば、ジメチルチオエーテル、ジエチルチオエーテル、ジプロピルチオエーテル、メチルエチルチオエーテル、メチルブチルチオエーテルのようなジアルキルチオエーテル;テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロアピランのような環状チオエーテル;メチルフェニルスルフィド、エチルフェニルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジベンジルスルフィドのような芳香族チオエーテル;等が挙げられる。
上記高分子電解質組成物中の上記有機系添加剤の質量割合は、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。上記有機系添加剤を0.1質量%以上含有することで、燃料電池運転での化学耐久性を向上させることが可能となる。
上記無機系添加剤としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硝酸塩等が挙げられる。上記無機添加剤は、一種を単独で用いても良いし、2種以上の混合物を用いても良い。
上記金属酸化物としては、例えば、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、酸化鉄(Fe23、FeO、Fe34)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y23)、酸化ニオブ(Nb25)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In23、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta25)、酸化タングステン(WO3、W25)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化セリウム(CeO2、Ce23)、酸化アンチモン(Sb23、Sb25)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)、酸化ランタン(La23)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化マンガン(MnO)等が挙げられる。これら金属酸化物は、単独で用いても、混合物を用いてもよいし、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、アンチモン添加酸化スズ(ATO)、酸化アルミニウム亜鉛(ZnO・Al23)等に挙げられる複合酸化物を挙げることができる。
上記金属炭酸塩としては、例えば、炭酸ジルコニウム(Zr(CO32)、炭酸チタニウム(Ti(CO32)、炭酸鉄(FeCO3)、炭酸銅(Cu2CO3)、炭酸亜鉛(ZnCO3)、炭酸モリブデン、炭酸セリウム(CeCO3)、炭酸ニッケル(NiCO3)、炭酸コバルト(CoCO3)、炭酸マンガン(MnCO3)等が挙げられる。
上記金属硝酸塩としては、例えば、硝酸ジルコニウム(Zr(NO34)、硝酸鉄(Fe(NO33)、硝酸銅(Cu(NO32)、硝酸チタン(Ti(NO34)、硝酸セリウム(Ce(NO33)、硝酸ニッケル(Ni(NO32)、硝酸コバルト(Co(NO32)、硝酸マンガン(Mn(NO32)等が挙げられる。
中でも、親水性向上の観点からシリカ(SiO2)が好ましく、化学耐久性向上の観点から酸化セリウム(CeO2、Ce23)、酸化マンガン(MnO)、炭酸セリウム(CeCO3)、炭酸マンガン(MnCO3)、硝酸セリウム(Ce(NO33)、硝酸マンガン(Mn(NO32)、硝酸チタン(Ti(NO34)が好ましい。
無機系添加剤の形態としては、粒子状や繊維状といったものを用いても構わないが、特に非定形であることが望ましい。ここでいう非定形とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物が観察されないことをいう。特に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電極触媒層を数10万倍までに拡大して観察しても、粒子状や繊維状の金属酸化物は観察されない。また、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電極触媒層を数10万倍〜数100万倍に拡大して観察しても、明確に粒子状や繊維状の金属酸化物は観察することができない。このように現状の顕微鏡技術の範囲内では、金属酸化物の粒子状や繊維状を確認することができないことを指す。
上記高分子電解質組成物中の上記無機系添加剤の質量割合は、0.01〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜45質量%、更に好ましくは0.01〜25質量%、特に好ましくは0.5〜6.0質量%である。上記無機系添加剤を0.01質量%以上含有することで、燃料電池運転での化学耐久性を向上させることが可能となる。
(溶媒)
上記溶媒としては、水、有機溶媒が挙げられる。
上記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、グリセリン等のプロトン性有機溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、酢酸エチル等の非プロトン性溶媒;トリフルオロエタノール、バートレルXF、ノベック7100、ノベック7300等のフッ素系溶媒;等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
上記含高分子電解質組成物中の固形分の質量割合(固形分濃度)は、2〜50質量%であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、25質量%以下であることが特に好ましい。
(製造方法)
上記高分子電解質組成物の製造方法としては、例えば、上記高分子電解質と上記化合物Aとを、水や有機溶媒等の溶媒中、ホモジナイザーやビーズミル等で物理的に混合する方法や、上記高分子電解質と上記化合物Aとをそれぞれ溶媒に溶かしてから混合する方法等が挙げられる。ホモジナイザーやビーズミル等で混合する際は、化合物Aの凝集を防ぐため界面活性剤等を添加してもよい。
上記高分子電解質組成物は、所望の固形分濃度にするために、濃縮することが可能である。濃縮の方法としては特に限定されない。例えば、加熱し、溶媒を蒸発させる方法や、減圧濃縮する方法等がある。その結果得られる高分子電解質組成物の固形分濃度は、取り扱い性及び生産性を考慮して、最終的な高分子電解質組成物の固形分濃度は0.5〜50質量%が好ましい。
上記高分子電解質組成物は、粗大粒子成分を除去する観点から、濾過されることがより好ましい。濾過方法は、特に限定されず、従来行われている一般的な方法が適用できる。例えば、通常使用されている定格濾過精度を有する濾材を加工したフィルターを用いて、加圧濾過する方法が代表的に挙げられる。フィルターについては、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10〜100倍の濾材を使用することが好ましい。この濾材は濾紙でもよいし、金属焼結フィルターのような濾材でもよい。特に濾紙の場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の10〜50倍であることが好ましい。金属焼結フィルターの場合は、90%捕集粒子径が粒子の平均粒子径の50〜100倍であることが好ましい。当該90%捕集粒子径を平均粒径の10倍以上に設定することは、送液するときに必要な圧力が高くなりすぎることを抑制したり、フィルターが短期間で閉塞したりすることを抑制し得る。一方、平均粒子径の100倍以下に設定することは、フィルムで異物の原因となるような粒子の凝集物や樹脂の未溶解物を良好に除去する観点から好ましい。
(特性)
上記高分子電解質組成物は、80℃30%RH条件でPt厚膜法により測定した酸素溶解度が7.0mol/m3以上であることが、電池性能の観点から好ましい。触媒表面を覆う高分子電解質組成物の薄膜は数nm程度であり、そこでの酸素透過性はバルクでの挙動とは異なる。すなわち、バルクでは酸素拡散性が律速となるが、薄膜では酸素溶解性が律速となる。上記酸素溶解度は、後述の実施例に記載の方法により、算出することができる。
上記高分子電解質組成物は、燃料電池の電極触媒層(例えば、カソード用電極触媒層)を形成する原料として好適に用いることができる。上記高分子電解質組成物は、燃料電池の電極触媒層形成用高分子電解質組成物であることが好ましい。
(電極触媒インク)
上記高分子電解質組成物は、電極触媒インクを形成する原料として好適に用いることができる。上記電極触媒インクは、上記高分子電解質組成物と触媒とを含むことが好ましく、さらに水及び/又は有機溶媒を含んでいてもよい。上記電極触媒インクは、燃料電池の電極触媒層(例えば、カソード用電極触媒層)を形成する原料として好適に用いることができる。上記電極触媒インクは、燃料電池の電極触媒層形成用電極触媒インクであることが好ましい。
上記触媒としては、電極触媒層において活性を有し得るものであれば特に限定されず、上記電極触媒層が用いられる燃料電池の使用目的に応じて適宜選択される。上記触媒は、触媒金属であることが好ましい。
上記触媒としては、水素の酸化反応及び酸素の還元反応を促進する金属であることが好ましく、白金、金、銀、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、タングステン、マンガン、バナジウム、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属であることがより好ましい。中でも、白金が好ましい。触媒金属の粒子径は限定されないが、10〜1000オングストロームが好ましく、より好ましくは10〜500オングストローム、最も好ましくは15〜100オングストロームである。
上記電極触媒インク中の上記高分子電解質組成物の含有量は、上記電極触媒インクに対して、5〜30質量%であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
上記電極触媒インク中の上記触媒の含有量は、上記高分子電解質組成物に対して、50〜200質量%であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%以上であることが更に好ましく、150質量%以下であることがより好ましく、130質量%以下であることが更に好ましい。
上記電極触媒インクは、更に、導電剤を含むことが好ましい。上記触媒及び上記導電剤は、上記触媒の粒子を担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)であることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質組成物は、バインダーとしても機能する。
導電剤としては、導電性を有する粒子(導電性粒子)であれば限定されないが、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、黒鉛及び各種金属(触媒金属を除く。)からなる群より選択される少なくとも1種の導電性粒子であることが好ましい。これら導電剤の粒子径としては、好ましくは10オングストローム〜10μm、より好ましくは50オングストローム〜1μm、最も好ましくは100〜5000オングストロームである。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対する触媒粒子の含有量が、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E、TEC10E50E、TEC10E50HT等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
複合粒子の含有量は、上記高分子電解質組成物に対して、1.0〜3.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.4〜2.9質量%、更に好ましくは1.7〜2.9質量%、特に好ましくは1.7〜2.3質量%である。
上記電極触媒インクは、更に、撥水剤を含んでもよい。
上記電極触媒インクは、撥水性の向上のため、更にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(2,2−ジメチル―1,3−ジオキソール)の共重合体を含有してもよい。この場合、撥水剤の形状としては特に限定されないが、定形性のものであればよく、粒子状、繊維状であることが好ましく、これらが単独で使用されても混合して使用されていてもよい。
上記撥水剤の含有量は、上記高分子電解質組成物に対して、0.01〜30.0質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜25.0質量%、更に好ましくは2.0〜20.0質量%、特に好ましくは5.0〜10.0質量%である。
(電極触媒層)
本実施形態の電極触媒層としては、上記高分子電解質組成物を含む電極触媒層であることが好ましい。上記電極触媒層は、上記電極触媒インクを含むことが好ましく、上記電極触媒インクからなることがより好ましい。上記電極触媒層は、安価に製造することができる上、酸素透過性が高い。上記電極触媒層は、カソード用電極触媒層として用いることができ、燃料電池用として好適に用いることができる。
上記電極触媒層は、上記高分子電解質組成物及び上記触媒からなることが好ましい。上記電極触媒層は、電極面積に対する上記高分子電解質組成物の担持量が、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2である。
上記電極触媒層は、高分子電解質組成物、触媒及び導電剤からなるものであることが好ましい。上記電極触媒層は、高分子電解質組成物と、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子(例えば、Pt担持カーボン等)と、からなるものであることも好ましい形態の一つである。この場合、上記高分子電解質組成物は、バインダーとしても機能する。
上記導電剤としては、上述のものが挙げられ、上述と同様のものが好ましい。
上記複合粒子としては、導電性粒子に対して触媒粒子が、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは10〜90質量%、最も好ましくは30〜70質量%である。具体的には、田中貴金属工業(株)製TEC10E40E等のPt触媒担持カーボンが好適な例として挙げられる。
上記複合粒子の含有率は、電極触媒層の全質量に対し、20〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%、特に好ましくは60〜80質量%である。電極触媒層が燃料電池の電極触媒層として用いられる場合、電極面積に対する触媒金属の担持量としては、電極触媒層を形成した状態で、好ましくは0.001〜10mg/cm2、より好ましくは0.01〜5mg/cm2、更に好ましくは0.1〜1mg/cm2、更により好ましくは0.2〜0.5mg/cm2である。
上記電極触媒層の厚みとしては、好ましくは0.01〜200μm、より好ましくは0.1〜100μm、最も好ましくは1〜50μmである。
上記電極触媒層は、必要に応じて撥水剤を含んでもよい。
上記撥水剤としては、上述のものが挙げられ、上述と同様のものが好ましい。
電極触媒層が撥水剤を含有する場合、PTFE並びにテトラフルオロエチレンとパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)の共重合体の含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記電極触媒層は、親水性向上及び化学耐久性向上のため、無機系添加剤を配合しても良い。
無機系添加剤としては、上述のものが挙げられ、上述と同様のものが好ましい。
上記無機系添加剤の含有率としては、電極触媒層の全質量に対し、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%である。
上記電極触媒層の空隙率としては特に限定されないが、好ましくは10〜90体積%、より好ましくは20〜80体積%、最も好ましくは30〜60体積%である。
上記電極触媒層の製造方法は、得られた高分子電解質組成物に上記触媒を分散させて上記電極触媒インクを調製する工程と、電極触媒インクを基材に塗布する工程と、基材に塗布した電極触媒インクを乾燥させて電極触媒層を得る工程と、を含む。
得られた高分子電解質組成物に上記触媒を分散させて電極触媒インクを調製する工程は、得られたエマルジョン又は溶液である高分子電解質組成物に、触媒の粒子及びこれを担持した導電剤からなる複合粒子を分散させた電極触媒インクを調製するものであることが好ましい。
上記電極触媒インクの塗布は、スクリーン印刷法、スプレー法等の一般的に知られている各種方法を用いることが可能である。
(膜電極接合体)
本実施形態の膜電極接合体(membrane/electrode assembly)(以下、「MEA」ともいう。)は、上記電極触媒層を備えることが好ましい。上記膜電極接合体は、上記電極触媒層を備えるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。上記膜電極接合体は、燃料電池用として好適に用いることができる。
電解質膜の両面にアノードとカソードの2種類の電極触媒層が接合したユニットは、膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)と呼ばれる。電極触媒層のさらに外側に一対のガス拡散層を対向するように接合したものについても、MEAと呼ばれる場合がある。電極触媒層はプロトン伝導性を有することが必要となる。
アノードとしての電極触媒層は、燃料(例えば水素)を酸化して容易にプロトンを生じさせる触媒を包含し、カソードとしての電極触媒層は、プロトン及び電子と酸化剤(例えば酸素や空気)を反応させて水を生成させる触媒を包含する。アノードとカソードのいずれについても、触媒としては上述した触媒金属を好適に用いることができる。
ガス拡散層としては、市販のカーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等を用いることができる。これらのガス拡散層にはポリテトラフルオロエチレン等により撥水処理されていることが好ましい。
具体例として、炭素繊維トレカ(東レ社製)、パイロフィル(三菱ケミカル社製)、SIGRACET GDL(MFCテクノロジー社製)等が挙げられる。
MEAは、例えば、電極触媒層の間に電解質膜を挟みこみ、熱プレスにより接合することにより作製することができる。より具体的には、上記高分子電解質組成物に、触媒として市販の白金担持カーボン(例えば、田中貴金属(株)製TEC10E40E)を分散させてペースト状にする。これを2枚のPTFEシートのそれぞれの片面に一定量塗布して乾燥させて電極触媒層を形成する。次に、各PTFEシートの塗布面を向かい合わせにして、その間に電解質膜を挟み込み、100〜200℃で熱プレスにより転写接合してから、PTFEシートを取り除くことにより、MEAを得ることができる。当業者にはMEAの作製方法は周知である。MEAの作製方法は、例えば、JOURNAL OF APPLIED ELECTROCHEMISTRY,22(1992)p.1−7に詳しく記載されている。
上記MEA(一対のガス拡散電極が対向した構造のMEAを含む。)は、更にバイポーラプレートやバッキングプレート等の一般的な燃料電池に用いられる構成成分と組み合わされて、燃料電池が構成される。
(燃料電池)
本実施形態の燃料電池は、上記膜電極接合体を備えることが好ましい。上記燃料電池は、固体高分子形燃料電池であることが好ましい。上記燃料電池は、上記膜電極接合体を有するものであれば特に限定されず、通常、燃料電池を構成するガス等の構成成分を含むものであってよい。上記燃料電池は、上記電極触媒層を有する膜電極接合体を備えるものであるため、電池特性並びに機械的強度に優れ、安定性に優れる。
バイポーラプレートとは、その表面に燃料や酸化剤等のガスを流すための溝を形成させたグラファイトと樹脂との複合材料、又は金属製のプレート等を意味する。バイポーラプレートは、電子を外部負荷回路へ伝達する機能の他、燃料や酸化剤を電極触媒近傍に供給する流路としての機能を持っている。こうしたバイポーラプレートの間にMEAを挿入して複数積み重ねることにより、燃料電池が製造される。
次に本発明を、実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(イオン交換容量)
イオン交換基の対イオンがプロトンの状態となっている高分子電解質組成物の膜、およそ2〜20cm2を、25℃、飽和NaCl水溶液30mlに浸漬し、攪拌しながら30分間放置した。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液として中和滴定した。中和後に得られた、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの状態となっている高分子電解質組成物の膜を、純水ですすぎ、更に真空乾燥して秤量した。中和に要した水酸化ナトリウムの物質量をM(mmol)、イオン交換基の対イオンがナトリウムイオンの高分子電解質組成物の膜の重量をW(mg)とし、下記式により当量重量EW(g/eq)を求めた。
EW=(W/M)−22
(酸素溶解度)
高分子電解質組成物の膜の酸素溶解度を、クロノアンペロメトリー法を用いて測定した。ガラス封入した100μmφの白金微小電極を厚さ200μm程度のサンプルに押し当てて、温度、湿度を調整した。窒素又は酸素雰囲気下にて、電位を1100mV(vs.SHE)に保持した後、400mVにステップして電流値を測定した。窒素及び酸素雰囲気下で観測された電流値の差分を印加時間の−1/2乗に対してプロットし、直線性が得られた範囲において下記式を用いて酸素溶解度を算出した。
I=4πFrDc[1+r/(πDt)1/2+0.2732exp{−0.3911r/(Dt)1/2}]
ただし、Iは電流値(A)、Fはファラデー定数(96500C/mol)、rは電極半径(cm)、Dは酸素拡散係数(cm2/s)、cは酸素溶解度(mol/m3)、tは時間(s)である。
本検討では評価温度80℃、湿度30%での酸素溶解度を示した。
(SEM観察)
ダイコーターで作製した触媒層の表面を、走査型電子顕微鏡(製品名:VE8800、キーエンス社製)を用い、倍率50倍、加速電圧1kVの条件で観察した。観察の結果、触媒層表面にひび割れがなかった場合を「A」(良好)、ひび割れが見られた場合を「B」(不良)と表記した。
(燃料電池評価)
高温低加湿条件下におけるMEAの性能を評価するため、以下のような手順で発電試験を実施した。
(1)電極触媒インクの調製
濃縮や溶媒希釈の操作により固形分濃度を15質量%とした高分子電解質組成物、電極触媒(TEC10E40E、田中貴金属工業(株)製、白金担持量36.7wt%)を白金/高分子電解質組成物の固形分が1/1.15(質量)となるように配合し、次いで、固形分が11wt%となるようにエタノールやアセトニトリル等の溶媒を加え、ホモジナイザー(アズワン社製)により回転数が3000rpmで10分間、撹拌することで電極触媒インクを得た。
(2)電極触媒層の作製
ダイコーター(製品名:理化ダイ、伊藤忠ファインテクノ社製)を用い、膜厚100μmのテフロン(登録商標)基材(製品名:ナフロンテープ、ニチアス社製)上に上記電極触媒インクを、白金量が0.2mg/cm2となる様に塗布し、160℃、5分の条件で乾燥・固化させることで電極触媒層を得た。
(3)MEAの作製
プレス機(製品名:SFA−37、神藤金属工業社製)を用い、電解質膜(製品名:NafionHP、ケマーズ社製)の両面に、アノード側に高分子電解質としてNafionDE2020CSを用いた電極触媒層を、カソード側に本実施形態の高分子電解質組成物を用いた電極触媒層を、温度160℃、圧力13MPaの条件で熱プレスすることで、MEAを得た。
(4)燃料電池単セルの作製
上記MEAの両極にガス拡散層(製品名:GDL35BC、MFCテクノロジー社製)を重ね、次いでガスケット、バイポーラプレート、バッキングプレートを重ねることで燃料電池単セルを得た。
(5)発電試験
上記燃料電池単セルを評価装置(東陽テクニカ社製燃料電池評価システム890CL)にセットして、発電試験を実施した。
発電の試験条件は、高加湿条件が、セル温度65℃、アノード及びカソードの加湿ボトル60℃に設定し、低加湿条件が、セル温度90℃、アノード及びカソードの加湿ボトル61℃に設定し、アノード側に水素ガス、カソード側に空気ガスを、それぞれ900ml/minの条件で供給した。また、アノード側とカソード側の両方を無加圧(大気圧)とした。
上記高加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.830V以上であれば「A」(優れる)、0.820V超0.830V未満であれば「B」(普通)、0.820V以下であれば「C」(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.685V以上であれば「A」(優れる)、0.675V超0.685V未満であれば「B」(普通)、0.675V以下であれば「C」(劣る)として表記した。
また、上記低加湿条件において、電流密度0.2A/cm2において電圧値が0.750V以上であれば「A」(優れる)、0.720V超0.750V未満であれば「B」(普通)、0.720V以下であれば「C」(劣る)、電流密度0.8A/cm2において電圧値が0.550V以上であれば「A」(優れる)、0.440V超0.550V未満であれば「B」(普通)、0.440V以下であれば「C」(劣る)として表記した。
(化学耐久性)
上記燃料電池単セルを評価装置(東陽テクニカ製燃料電池評価システム890CL)にセットして、セル温度90℃、加湿ボトル61℃(相対湿度30%RH)、アノード側に水素ガス、カソード側に空気ガスを、それぞれ300cc/minの条件で流通させることでOCV試験を実施した。
上記OCV試験の終点を判定するために、カソード側にマイクロガスクロマトグラフ(製品名:CP−4900、GLサイエンス社製)を接続し、アノード側より透過するH2ガスの濃度を測定した。上記H2ガスの濃度が1000ppmを越えた時点を終点とした。上記終点が200時間以上を「A」(良好)、200時間未満を「B」(不良)と表記した。
(実施例1)
300ml三つ口フラスコに、オクタフルオロシクロペンテン10g(47mmol)、炭酸カリウム26g(188mmol)、脱水N,N−ジメチルアセトアミド40mlを入れ、キャップをした後、0℃に冷やし、窒素下で撹拌混合した。セサモール26g(188mmol)を脱水N,N−ジメチルアセトアミド40mlで溶かし、上記の混合液に0℃で添加した。0℃で1時間攪拌後、室温で1時間攪拌、70℃で6時間撹拌混合した。
反応終了後、放冷し、反応液にイオン交換水200mLと酢酸エチル200mlを加え、有機層を抽出した。抽出した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた後、ガラスフィルターで減圧ろ過後、溶媒をエバポレーターで除去した。その後、カラムクロマトグラフィーで精製し、式(18)で表される化合物A1を白色固体で、収量18g(収率56%)で得た。19F−NMR(CDCl3)では、−117ppmに積分比2、−127ppmに積分比2のピークが各々見られた。
Figure 2021061221
テトラフルオロエチレン及びCF2=CFO(CF22−SO2Fから得られたパーフルオロスルホン酸樹脂前駆体ペレットを、水酸化カリウム(15質量%)とメチルアルコール(50質量%)を溶解した水溶液中に、80℃で20時間接触させて、加水分解処理を行った。その後、60℃水中に5時間浸漬した。次に60℃の2N塩酸水溶液に1時間浸漬させる処理を、毎回新しい塩酸水溶液を用いて5回繰り返した後、イオン交換水で水洗、乾燥した。これにより、スルホン酸基(SO3H)を有する含フッ素高分子電解質のペレットを得た。
このペレットをエタノールと共に5Lオートクレーブ中に入れて密閉し、窒素下で、撹拌翼で攪拌しながら160℃まで昇温して5時間保持した。その後、オートクレーブを自然冷却して、5質量%の均一なパーフルオロスルホン酸樹脂溶液を調製した。
次に、この溶液1200gを2Lのナスフラスコに移し、湯浴を80℃に設定したロータリーエバポレータ―(BUCHI社製 Rotavapor R−200)に設置し、固形分濃度が20質量%になるように減圧濃縮し、パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1を調製した。
このパーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1に対して、パーフルオロスルホン酸樹脂と化合物A1の組成が質量比で70:30になるように、化合物A1を加え、高分子電解質組成物AS1を得た。高分子電解質組成物AS1に含まれる固形分(100質量%)に対する上記化合物A1の質量割合は、30質量%であった。
上記AS1を用いて上述の方法によりキャスト製膜して、厚み200μmの膜AM1を作製した。AM1のEW及び酸素溶解度を表1に示す。またAS1を含む電極触媒層のひび割れ有無、電池性能及び化学耐久試験の結果を表2に示す。
AM1は高い酸素溶解度を示す。またAS1を含む電極触媒層にはひび割れがなく、電池性能及び化学耐久性が比較の材料よりも高いことが分かる。
(実施例2)
300ml三つ口フラスコに、セサモール24g(174mmol)、ヘキサフルオロベンゼン4.0g(22mmol)、炭酸カリウム24g(174mmol)、トルエン25ml、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン40mlを入れ、ディーン・スターク管をつけキャップをした。窒素下で、90℃で4時間攪拌した後、150℃で2時間攪拌した。トルエンを除いた後、220℃まで温度を上げ、220℃で24時間反応させた。
反応終了後、放冷し、反応液を10w%水酸化ナトリウム水溶液に添加し、沈殿物を濾過にて集めた。その後、カラムクロマトグラフィーで精製し、式(19)で表される化合物A2を白色固体で、収量10g(収率52%)で得た。1H−NMR(CDCl3)では、6.1ppmに積分比12、6.6〜7.0ppmに積分比18のピークが各々見られた。
Figure 2021061221
上記パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1に対して、パーフルオロスルホン酸樹脂と化合物A2の組成が質量比で90:10になるように、化合物A2を加え、高分子電解質組成物AS2を得た。高分子電解質組成物AS2に含まれる固形分(100質量%)に対する上記化合物A2の質量割合は、10質量%であった。
上記AS2を用いて上述の方法によりキャスト製膜して、厚み200μmの膜AM2を作製した。AM2のEW及び酸素溶解度を表1に示す。またAS2を用いた電極触媒層のひび割れ有無、電池性能及び化学耐久試験の結果を表2に示す。
AM2は高い酸素溶解度を示す。またAS2を用いた電極触媒層にはひび割れがなく、電池性能及び化学耐久性が比較の材料よりも高いことが分かる。
(実施例3)
300ml三つ口フラスコに、5−ブロモレソルシノール4.2g(22mmol)、脱水N,N−ジメチルアセトアミド50ml、トリエチルアミン4.9g(49mmol)を入れ、窒素置換してキャップをした後、常温で撹拌混合した。オクタフルオロシクロペンテン4.7g(22mmol)を入れ、室温で30分攪拌後、50℃で30分攪拌、80℃で30分攪拌し、100℃で24時間撹拌混合した。反応終了後、放冷し、反応液をイオン交換水500mL中に投入し、ガラスフィルターで減圧ろ過後、イオン交換水で十分に洗浄し、60℃で12時間減圧乾燥した。得られたポリマーは薄茶色固体で、収量6.0g(収率77%)であった。19F−NMR(d−DMSO)では、−113〜−121ppmに積分比4、−133〜−137ppmに積分比2のブロードなピークが各々見られた。
次にベンゾジオキソール誘導体の導入反応を下記の通り実施した。
300ml三つ口フラスコに、上記ポリマー 5.0g、脱水N,N−ジメチルアセトアミド50ml、セサモール5.7g(42mmol)、炭酸カリウム5.7g(42mmol)を入れ、窒素置換してキャップをした。その後、100℃で24時間撹拌混合した。反応終了後、放冷し、反応液をイオン交換水500mL中に投入し、ガラスフィルターで減圧ろ過後、イオン交換水で十分に洗浄し、60℃で12時間減圧乾燥した。得られたポリマーは薄茶色固体で、収量5.0g(収率61%)であった。19F−NMR(d−DMSO)では−113〜−121ppmに積分比2、−133〜−137ppmに積分比2のブロードなピークが各々見られた。
次にスルホン酸基の導入反応を下記の通り実施した。
300mL三つ口フラスコに、上記ポリマー 4.0g、直径100nmの銅粉3.0g、ジメチルスルホキシド20mLを入れ、窒素置換してキャップをした後、120℃で2時間撹拌混合した。次に、Macromolecules,2009年,Vol.42,p.9302−9306を参考に、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホニルフルオライドを加水分解して得られた1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヨードエトキシ)エタンスルホン酸カリウム6.0g(13mmol)をジメチルスルホキシド20mlに溶解し、上記反応液に滴下し、120℃で6時間撹拌混合した。反応終了後、放冷し、反応液をセライトろ過し銅粉を除去した。その後、ろ液を5N塩酸500mLに滴下し、遠心分離を行った後、減圧ろ過することで沈殿物を回収した。これをさらに3回繰り返した。その後、イオン交換水によって、上澄み液のpHが中性になるまで洗浄を行った。得られた固体を50℃12時間減圧乾燥した。得られた高分子化合物A3は黒色固体で、収量2.8g(収率52%)であった(式(20))。
Figure 2021061221
式(20)
上記パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1に対して、パーフルオロスルホン酸樹脂と化合物A3の組成が質量比で20:80になるように、化合物A3を加え、高分子電解質組成物AS3を得た。高分子電解質組成物AS3に含まれる固形分(100質量%)に対する上記化合物A3の質量割合は、80質量%であった。
上記AS3を用いて上述の方法によりキャスト製膜して、厚み200μmの膜AM3を作製した。AM3のEW及び酸素溶解度を表1に示す。またAS3を用いた電極触媒層のひび割れ有無、電池性能及び化学耐久試験の結果を表2に示す。
AM3は高い酸素溶解度を示す。またAS3を用いた電極触媒層にはひび割れがなく、電池性能及び化学耐久性が比較の材料よりも高いことが分かる。
(比較例1)
市販のナフィオン溶液(Nafion DE2020CS、SIGMA−ALDRICH社製)を用いて、実施例1と同様にして、厚さ200μmのキャスト膜を製膜し、EW、酸素溶解度を測定した。結果を表1に示す。
また上記ナフィオン溶液を用い実施例1と同様に電極触媒層を作製し、ひび割れ有無、電池性能及び化学耐久性試験を行った。結果を表2に示す。
Nafion DE2020CSは、酸素溶解度が低い。また電極触媒層にひび割れが生じており、電池性能及び化学耐久性が低くなる。
(比較例2)
化合物A1を加えずに、実施例1に記載のパーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ200μmのキャスト膜を製膜し、EW、酸素溶解度及び酸素透過係数を測定した。結果を表1に示す。
また上記パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1を用い実施例1と同様に電極触媒層を作製し、ひび割れ有無、電池性能及び化学耐久性試験を行った。結果を表2に示す。
パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−1を用いたキャスト膜は、酸素溶解度が低い。また電極触媒層にひび割れが生じており、電池性能及び化学耐久性が低くなる。
(比較例3)
実施例1の含フッ素高分子電解質の代わりに、ラジカル重合法で得られた、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)とCF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2Fとの共重合体(69.8mol%/30.2mol%)を用いてパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)/CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3Hからなるパーフルオロスルホン酸樹脂溶液−2を調製し、化合物A1を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、厚さ200μmのキャスト膜を作製した。キャスト膜のEW及び酸素溶解度を表1に示す。
また上記パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−2を用いて実施例1と同様に電極触媒層を作製し、ひび割れ有無、電池性能及び化学耐久性試験を行った。結果を表2に示す。
パーフルオロスルホン酸樹脂溶液−2を用いたキャスト膜は、酸素溶解度は高いものの、電極触媒層にひび割れが生じており、電池性能及び化学耐久性が低くなる。
Figure 2021061221
Figure 2021061221

Claims (8)

  1. 高分子電解質と、ベンゾジオキソール誘導体骨格を含有する化合物と、を含むことを特徴とする、高分子電解質組成物。
  2. 前記ベンゾジオキソール誘導体骨格が、下記式(1)で表される構造を含む、請求項1に記載の高分子電解質組成物。
    Figure 2021061221
    (式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、Xは、それぞれ独立にエーテル結合又はスルホンアミド結合を含む構造を表し、Yは、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、a及びbは整数を表し、a+b=4、a≧1である。)
  3. 前記式(1)中、Xが、下記式(2)又は下記式(3)で表される構造を含む、請求項2に記載の高分子電解質組成物。
    Figure 2021061221
    (式(2)、(3)中、R3、R4、R5は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は有機基を表し、lは、1から10のいずれかの整数を表し、*は結合手を表す。)
  4. 前記高分子電解質組成物中に含まれる固形分(100質量%)に対する前記ベンゾジオキソール誘導体骨格を有する化合物の質量割合が、1〜90質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子電解質組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の高分子電解質組成物と、触媒とを含むことを特徴とする、電極触媒インク。
  6. 請求項5に記載の電極触媒インクを含むことを特徴とする、電極触媒層。
  7. 請求項6に記載の電極触媒層と電解質膜とを備えることを特徴とする、膜電極接合体。
  8. 請求項7に記載の膜電極接合体を備えることを特徴とする、燃料電池。
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