JP2021061215A - 積層型電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極板に電解液が供給される積層型電池の製造方法を提供する。【解決手段】積層型電池の製造方法は、第1開口部を有する外装体と、外装体の内部に収容され、電極板を含む複数の板状部材を有する膜電極接合体と、を準備する準備工程と、第1開口部を通して外装体の内部に電解液を注入する電解液注入工程と、外装体の内部を第1圧力に減圧した状態で、第1開口部を封止する第1封止工程と、膜電極接合体を充電する初期充電工程と、外装体に第2開口部を形成する第2開口形成工程と、外装体の内部を第1圧力よりも小さい第2圧力に減圧した状態で、第2開口部を封止する第2封止工程と、をこの順に備える。【選択図】図10

Description

本発明は、積層型電池の製造方法に関する。
例えば特許文献1で提案されているように、複数の電極板を有する積層型電池が広く普及している。積層型電池の一例として、リチウムイオン二次電池が例示され得る。リチウムイオン二次電池は、他の形式の積層型電池と比較して大容量であることを特徴の一つとしている。このような特徴を有するリチウムイオン二次電池は、今般、車載用途や定置住宅用途等の種々の用途での更なる普及を期待されている。
リチウムイオン二次電池に代表される積層型電池は、例えば、正極板及び負極板などの電極板を有する膜電極接合体を収容している、熱可塑性樹脂を含むフィルムによって構成された外装体の内部に電解液を注入し、電極板の表面に電解液を供給した後、膜電極接合体を充電することによって電解液を反応させ、電極板の表面に被膜を形成することによって、製造される。
特開2016−35916号公報
積層型電池の製造に際し、外装体の内部に電解液を注入した際に、電解液が、膜電極接合体の電極板の表面の広範囲に供給されず、電極板の表面の一部に局在する場合があった。電解液が、電極板の表面の一部に局在する場合、充電によって添加剤の反応により形成される被膜の分布に、ムラが生じるおそれがあった。この場合、電極利用率が低下するおそれがあった。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る積層型電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による積層型電池の製造方法は、第1開口部を有する外装体と、前記外装体の内部に収容され、電極板を含む複数の板状部材を有する膜電極接合体と、を準備する準備工程と、前記第1開口部を通して前記外装体の内部に電解液を注入する電解液注入工程と、前記外装体の内部を第1圧力に減圧した状態で、前記第1開口部を封止する第1封止工程と、前記膜電極接合体を充電する初期充電工程と、前記外装体に第2開口部を形成する第2開口形成工程と、前記外装体の内部を前記第1圧力よりも小さい第2圧力に減圧した状態で、前記第2開口部を封止する第2封止工程と、をこの順に備える。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記第1圧力は、3.0kPa以上12.5kPa以下であってもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記第2圧力は、1.0kPa以下であってもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記第1圧力は、前記第2圧力よりも2.0kPa以上小さくてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記電極板は、正極板と負極板とを有し、
複数の前記板状部材は、正極板と負極板との間に位置する絶縁体をさらに有してもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記絶縁体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系化合物及びアラミド繊維の少なくともいずれか一つを含んでもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記正極板及び前記負極板の面積は、400cm以上1200cm以下であってもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記電解液は、還元電位を有する添加剤を含み、前記初期充電工程において、前記負極板の電位が、前記添加剤が有する還元電位のうち最も低い還元電位よりも低くなるように、前記膜電極接合体を充電してもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記第1封止工程の後、初期充電工程の前に、前記膜電極接合体を、36時間以下の時間だけ放置する、放置工程をさらに備えてもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記放置工程において、前記膜電極接合体を2時間以上放置してもよい。
本発明による積層型電池の製造方法において、前記第1封止工程において、前記外装体の内部を前記第1圧力に減圧した状態を10秒以上維持した後に、前記第1開口部を封止してもよい。
本発明の積層型電池の製造方法によれば、電極板の表面に電解液を供給することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、積層型電池を示す斜視図である。 図2は、図1の積層型電池に含まれる膜電極接合体を示す斜視図である。 図3は、図1の積層型電池に含まれる膜電極接合体を示す平面図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面を示す断面図である。 図5は、図3のV−V線に沿った断面を示す断面図である。 図6は、第1開口部を有し、膜電極接合体を収容している外装体を示す図である。 図7は、図6に示す外装体に電解液を注入した様子を示す断面図である。 図8は、第1封止工程において外装体の内部を減圧する様子を示す図である。 図9は、第1封止工程において第1開口部を封止した様子を示す図である。 図10は、図9のX−X線に沿った断面を示す図である。 図11は、初期充電工程において膜電極接合体を充電した後の様子を示す図である。 図12は、第2開口形成工程において第2開口部を形成した様子を示す図である。 図13は、実施例1、2及び比較例1の評価結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
まず、本発明による積層型電池の製造方法の一実施の形態によって製造される積層型電池について説明する。図1〜図12は、本発明による積層型電池の製造方法の一実施の形態によって製造される積層型電池を説明するための図である。図1は、積層型電池の一具体例を示す斜視図である。積層型電池1は、膜電極接合体2と、膜電極接合体2を収容する外装体3と、膜電極接合体2に取り付けられたタブ16,26と、タブ16,26に取り付けられたシーラント18,28と、を備える。タブ16,26及びシーラント18,28は、外装体3の内部から部分的に外部へと延び出している。
図2は、図1において外装体3に収容されている膜電極接合体2を示す斜視図であり、外装体3が二点鎖線で示されている。図3は、積層型電池1を示す平面図である。以下、積層型電池1の各構成要素について説明する。
(膜電極接合体)
膜電極接合体2は、電極板を含む積層された複数の板状部材を有する。図2に示す例において、膜電極接合体2の板状部材は、電極板として、交互に積層された第1電極板10及び第2電極板20を含む。本実施の形態においては、膜電極接合体2がリチウムイオン二次電池を構成する例について説明する。この例において、第1電極板10は正極板10Xを構成し、第2電極板20は負極板20Yを構成するものとする。ただし、以下に説明する作用効果の記載からも理解され得るように、ここで説明する一実施の形態は、リチウムイオン二次電池に限定されることなく、第1電極板10及び第2電極板20を交互に積層してなる膜電極接合体2に広く適用され得る。
図4は、図3のIV−IV線に沿った膜電極接合体2を示す断面図である。図2〜図4に示すように、膜電極接合体2は、板状部材60として、複数の正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)を有している。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dL(図4参照)に沿って交互に配列されている。膜電極接合体2及び積層型電池1は、全体的に偏平形状を有し、積層方向dLへの厚さが薄く、積層方向dLに直交する方向d1,d2に広がっている。
図示された非限定的な例において、正極板10X及び負極板20Yは、長方形形状の外輪郭を有している。正極板10X及び負極板20Yは、積層方向dLに直交するとともにタブ16,26が延びる方向である第1方向d1に長手方向を有し、積層方向dL及び第1方向d1の両方に直交する第2方向d2に短手方向を有する。正極板10X及び負極板20Yは、第1方向d1にずらして配置されている。より具体的には、複数の正極板10Xは、第1方向d1における一側(図2の右上側)に寄って配置され、複数の負極板20Yは、第1方向d1における他側(図2の左下側)に寄って配置されている。正極板10X及び負極板20Yは、第1方向d1における中央において、積層方向dLに重なり合っている。
正極板10X(第1電極板10)は、図示するように、シート状の外形状を有している。正極板10X(第1電極板10)は、正極集電体11X(第1電極集電体11)と、正極集電体11X上に設けられた正極活物質層12X(第1電極活物質層12)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、正極板10Xは、放電時にリチウムイオンを放出し、充電時にリチウムイオンを吸蔵する。
正極集電体11Xは、互いに対向する第1面11a及び第2面11bを主面として有している。正極活物質層12Xは、正極集電体11Xの第1面11a及び第2面11bの少なくとも一方の面上に形成される。図示はしないが、例えば正極集電体11Xの第1面11a又は第2面11bが、膜電極接合体2のうちの積層方向dLにおける最外面を形成する場合には、正極集電体11Xの当該面には正極活物質層12Xが設けられない。この正極集電体11Xの配置に関連した構成を除き、積層型電池1に含まれる複数の正極板10Xは、正極集電体11Xの両側に正極活物質層12Xを有し、互いに同一に構成され得る。
正極集電体11X及び正極活物質層12Xは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、正極集電体11Xは、アルミニウム箔によって形成され得る。正極活物質層12Xは、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダーとなる結着剤を含んでいる。正極活物質層12Xは、正極活物質、導電助剤及び結着剤を溶媒に分散させてなる正極用スラリーを、正極集電体11Xをなす材料上に塗工して固化させることで、作製され得る。正極活物質として、例えば、一般式LiM(ただし、Mは金属であり、x及びyは金属Mと酸素Oの組成比である)で表される金属酸リチウム化合物が用いられる。金属酸リチウム化合物の具体例として、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム等が例示され得る。導電助剤としては、アセチレンブラック等が用いられ得る。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン等が用いられ得る。一例として、正極活物質層12Xは、内部に液体が含浸し得る間隙を有する層である。
図2に示すように、正極集電体11X(第1電極集電体11)は、第1接続領域a1及び第1接続領域a1に隣接する第1有効領域b1を有している。正極活物質層12X(第1電極活物質層12)は、正極集電体11Xの第1有効領域b1のみに配置されている。第1接続領域a1及び第1有効領域b1は、正極板10Xの長手方向に配列されている。第1接続領域a1は、第1有効領域b1よりも正極板10Xの長手方向における外側(図2における右上側)に位置している。複数の正極集電体11Xは、第1接続領域a1において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。一方、第1有効領域b1は、負極板20Yの後述する負極活物質層22Yに対面する領域内に位置している。このような第1有効領域b1の配置により、正極活物質層12Xからのリチウムの析出を防止することができる。
次に、負極板20Y(第2電極板20)について説明する。負極板20Yも、正極板10Xと同様に、シート状の外形状を有している。負極板20Y(第2電極板20)は、負極集電体21Y(第2電極集電体21)と、負極集電体21Y上に設けられた負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)と、を有している。リチウムイオン二次電池において、負極板20Yは、放電時にリチウムイオンを吸蔵し、充電時にリチウムイオンを放出する。
負極集電体21Yは、互いに対向する第1面21a及び第2面21bを主面として有している。負極活物質層22Yは、負極集電体21Yの第1面21a及び第2面21bの少なくとも一方の面上に形成される。積層型電池1に含まれる複数の負極板20Yは、負極集電体21Yの両側に設けられた一対の負極活物質層22Yを有するものとして、互いに同一に構成され得る。
負極集電体21Y及び負極活物質層22Yは、積層型電池1(リチウムイオン二次電池)に適用され得る種々の材料を用いて種々の製法により、作製され得る。一例として、負極集電体21Yは、例えば銅箔によって形成される。負極活物質層22Yは、例えば、炭素材料からなる負極活物質、及び、バインダーとして機能する結着剤を含んでいる。負極活物質層22Yは、例えば、炭素粉末や黒鉛粉末等からなる負極活物質とポリフッ化ビニリデンのような結着剤とを溶媒に分散させてなる負極用スラリーを、負極集電体21Yをなす材料上に塗工して固化することで、作製され得る。一例として、負極活物質層22Yは、内部に液体が含浸し得る間隙を有する層である。
図2に示すように、負極集電体21Y(第2電極集電体21)は、第2接続領域a2及び第2接続領域a2に隣接する第2有効領域b2を有している。負極活物質層22Y(第2電極活物質層22)は、負極集電体21Yの第2有効領域b2に配置されている。第2接続領域a2及び第2有効領域b2は、負極板20Yの長手方向に配列されている。第2接続領域a2は、第2有効領域b2よりも負極板20Yの長手方向における外側(図2における左下側)に位置している。複数の負極集電体21Yは、第2接続領域a2において、抵抗溶接や超音波溶接、テープによる貼着、融着等によって接合され、電気的に接続している。一方、第2有効領域b2は、正極板10Xの正極活物質層12Xに対面する領域に広がっている。
図4に示すように、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の少なくとも一方が、絶縁層30を有していてもよい。絶縁層30は、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の短絡を防止する。図示された例においては、負極板20Yが絶縁層30を有している。絶縁層30は、各負極板20Yに含まれる一対の負極活物質層22Yを覆うようにして、設けられている。そして、負極板20Yは、正極板10Xの正極活物質層12Xと積層方向dLに対面する面を、絶縁層30によって形成されている。ただし、図示された絶縁層30に代えて或いは図示された絶縁層30に加えて、各正極板10Xに含まれる一対の正極活物質層12Xを覆う絶縁層30を設置することも可能である。図示された例において、絶縁層30は、電解質層30Aとしても機能する。本実施の形態において、絶縁層30は、後述する初期充電工程において膜電極接合体が充電されることによって、後述する電解液を活物質層12,22上で固化又はゲル化させることによって形成される被膜である。
本実施の形態においては、図3に示すように、正極板10Xの第2方向d2における幅が、負極板20Yの第2方向における幅よりも小さくなっている。また、本実施の形態においては、図3に示すように、正極板10Xの面積は負極板20Yの面積よりも小さくなっており、正極活物質層12Xの面積は負極活物質層22Yの面積よりも小さくなっている。
図4に示す例において、膜電極接合体2は、板状部材60として、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の他に、さらに絶縁体40を含む。絶縁体40は、正極板10X(第1電極板10)及び負極板20Y(第2電極板20)の短絡を防止する。図4に示す例においては、絶縁体40は、交互に積層された正極板10Xと負極板20Yとの間に位置する。絶縁体40は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系化合物及びアラミド繊維の少なくともいずれか一つを含む板状の部材である。図3に示す例においては、膜電極接合体2に含まれる、絶縁体40の輪郭を、一点鎖線にて示している。図3に示す非限定的な例において、絶縁体40は、長方形形状の外輪郭を有している。図3に示す例において、絶縁体40の第2方向d2における幅は、正極板10X及び負極板20Yの第2方向d2における幅よりも大きい。
(タブ)
タブ16,26は、複数の電極板のうち少なくとも一つの電極板に電気的に接続されている。図2に示す例において、タブ16,26は、正極板10Xと電気的に接続した第1タブ16と、負極板20Yと電気的に接続した第2タブ26と、を有する。図5は、図3のV−V線に沿った断面を示す断面図である。図5に示す二点鎖線は、外装体3の第1部材4及び第2部材5の位置の一例を示している。図5に示すように、第1タブ16は、正極板10Xのうち、正極集電体11Xに電気的に接続されている。また、図示はしないが、第2タブ26は、負極板20Yのうち、負極集電体21Yに電気的に接続されている。図5に示す例において、第1タブ16は、第1接続領域a1において最も下側に位置する正極集電体11Xの第2面11b(下面)に接続されている。図示はしないが、第2タブ26も、第2接続領域a2において最も下側に位置する負極集電体21Yの第2面21b(下面)に接続されている。なお、正極集電体11Xと第1タブ16とが電気的に接続され得る限りにおいて、第1タブ16の取り付け方は任意である。同様に、負極集電体21Yと第2タブ26とが電気的に接続され得る限りにおいて、第2タブ26の取り付け方は任意である。
図2及び図5に示すように、第1タブ16は、外装体3の後述する第1部材4及び第2部材5の間を通って外装体3の内部から外部へと第1方向d1に延び出している。また、図2に示すように、第2タブ26は、外装体3の第1部材4及び第2部材5の間を通って外装体3の内部から外部へと第1方向d1に延び出している。第1タブ16は、積層型電池1における正極端子として機能し、第2タブ26は、積層型電池1における負極端子として機能する。
第1タブ16及び第2タブ26は、例えばアルミニウム、ニッケル、銅合金又はニッケルメッキ銅等を用いて形成され得る。例えば、正極集電体11Xがアルミニウム箔によって形成され、負極集電体21Yが銅箔によって形成される場合には、アルミニウムを用いて第1タブ16を形成し、銅合金を用いて第2タブ26を形成することができる。第1タブ16及び第2タブ26の厚みは、例えば0.2mm以上であり、2.0mm以下であってもよい。
(シーラント)
シーラント18,28は、外装体3と溶着可能な材料から構成された部材である。シーラント18,28の材料としては、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を挙げることができる。シーラント18,28の厚みは、例えば0.05mm以上であり、0.4mm以下であってもよい。
シーラント18,28は、第1タブ16と外装体3との間に位置する第1シーラント18と、第2タブ26と外装体3との間に位置する第2シーラント28と、を有する。図5に示すように、後述する外装体3の第1部材4と第2部材5とが接合されている領域である封止領域7において、外装体3と第1タブ16との間には第1シーラント18が介在している。また、図示はしないが、外装体3と第2タブ26との間には第2シーラント28が介在している。これにより、タブ16,26の周囲において外装体3をより強固に封止することができる。また、外装体3に含まれているアルミニウム箔やステンレス箔などの金属箔とタブ16,26とが短絡してしまうことを抑制することができる。
(外装体)
外装体3は、膜電極接合体2を外部から封止するための包装材である。外装体3は、図1に示すように、膜電極接合体2の上側に位置するシート状の第1部材4と、膜電極接合体2の下側に位置するシート状の第2部材5と、を有する。第1部材4及び第2部材5は、平面視において膜電極接合体2を囲むように外縁に沿って互いに接合されている。図3に示すように、外装体3の第1部材4及び第2部材5は、平面視において、第1辺3cと、第1辺3cに対向する第2辺3dと、第1辺3cが延びる方向とは異なる方向に延びる第3辺3e及び第4辺3fと、を含む矩形状の形状を有する。図3に示す例においては、第1辺3c及び第2辺3dは第2方向d2に沿って延びる。また、第3辺3e及び第4辺3fは第1方向d1に沿って延びる。
以下の説明において、外装体3のうち、第1部材4と第2部材5との間に膜電極接合体2を収容する収容空間6aを画成している領域のことを、収容領域6とも称する。また、外装体3のうち、収容領域6の外周に位置し、第1部材4と第2部材5とが接合されている領域のことを、封止領域7とも称する。図3においては、封止領域7がハッチングで表されている。
第1部材4及び第2部材5は、一例として、基材と、基材よりも収容空間6a側に位置する熱可塑性樹脂層と、を含む。基材は、ナイロン、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの、剛性を有するプラスチックフィルムを備える。基材は、プラスチックフィルムよりも収容空間6a側に位置する金属箔を更に備えていてもよい。金属箔の例としては、アルミニウム箔、ステンレス箔等を挙げることができる。熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む層である。熱可塑性樹脂層は、封止領域7において加熱されることにより溶融して、第1部材4と第2部材5とを接合する接合部を形成している。熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン、変性ポリプロピレン、低密度ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル等を挙げることができる。
次に、リチウムイオン二次電池として構成された本実施の形態に係る積層型電池1の製造方法について説明する。以下に説明する積層型電池1の製造方法は、第1開口部を有する外装体3と膜電極接合体2とを準備する準備工程と、第1開口部を通して外装体3の内部に電解液を注入する電解液注入工程と、第1開口部を封止する第1封止工程と、膜電極接合体2を充電する初期充電工程と、外装体3に第2開口部を形成する第2開口形成工程と、第2開口部を封止する第2封止工程と、をこの順に備える。また、本実施の形態に係る積層型電池の製造方法は、上述の工程に加えて、第1封止工程の後、初期充電工程の前に、膜電極接合体2を放置する、放置工程をさらに備える。以下、各工程について説明する。
(準備工程)
準備工程においては、図6に示すように、第1開口部3aを有する外装体3と、外装体3の内部に収容されている膜電極接合体2とを準備する。本実施の形態においては、準備工程において、外装体3及び膜電極接合体2とともに、膜電極接合体2の少なくとも一つの電極板10,20に電気的に接続しているタブ16,26を準備する。本実施の形態に係る準備工程は、膜電極接合体2及び膜電極接合体2の少なくとも一つの電極板10,20に電気的に接続しているタブ16,26を準備する工程と、外装体3の内部に膜電極接合体2を収容する工程と、を含む。
膜電極接合体2とタブ16,26とは、例えば、正極板10Xおよび負極板20Yをそれぞれ作製する工程と、正極板10Xと負極板20Yと絶縁体40とを積層する工程と、タブ16,タブ26を、膜電極接合体2の正極板10Xの少なくとも一つ、又は負極板20Yの少なくとも一つに電気的に接続する工程と、によって、準備することができる。
また、以下の方法によって、第1開口部3aを有する外装体3の内部に膜電極接合体2を収容することができる。まず、膜電極接合体2を第1部材4と第2部材5との間に配置する。続いて、第1辺3c、第2辺3d及び第3辺3eにおいて、第1部材4と第2部材5とを熱溶着によって接合する。図6に示す例において、外装体3は、収容領域6及び封止領域7のほかに、製造される積層型電池1において第4辺3fが形成される位置を示す破線L1からみて収容領域6とは反対側に広がる、外部領域9を有する。また、図6に示す外装体3は、第3辺3eと対向する外部領域辺3gを有する。図6に示す例において、第1開口部3aは、外部領域辺3gの位置に設けられている。
(電解液注入工程)
電解液注入工程においては、第1開口部3aを通して外装体3の内部に電解液を注入する。図7は、図6に示す外装体3に電解液を注入した様子を示す、図6のVII−VII線に沿った断面図である。電解液の注入は、図7に示すように、外装体3の第1開口部3aが上側に位置するように、外装体3を支持した状態で行う。この場合、外装体3を支持する方法は、特に限定されない。外装体3は、図示はしないが、例えば外装体3の第1部材4側に接触する部分と第2部材5側に接触する部分とを有するスタンドによって、第1部材4側と第2部材5側との両側から外装体3を支持することによって、第1開口部3aが上側に位置するように支持される。図7に示す例において、注入された電解液は、重力の作用のために、外装体3の第1開口部3aとは反対側に位置する第3辺3e側において、液溜まり70を形成している。
本実施の形態においては、電解液として、後述する初期充電工程において膜電極接合体2が充電されることによって、電極板10,20の表面で固化又はゲル化して、図4に示すような絶縁層30となる被膜を形成するものを用いる。一例として、電解液は、電極板10,20の表面で固化又はゲル化した場合に、電極板10,20に対する粘着性を有するものである。また、電解液は、電極板10,20の板面から分離しない自立膜を形成するものであることが好ましい。電解液は、例えば溶媒と、電解質塩と、添加剤とを含む。この場合、例えば電解液に含まれる添加剤が、電極板10,20の表面で固化又はゲル化して被膜を形成する。
溶媒は、例えば有機溶媒である。この場合、溶媒としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のアルキレンエーテルをはじめ、ポリエステル、ポリアミン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン等が用いられる。
電解質塩としては、特に限定されないが六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム等のリチウム塩等が使用できる。
一例として、添加剤は、還元電位を有する。この場合、負極板の電位が還元電位以下の電位になると、還元されることによって、電極板の表面に被膜を形成する。添加剤を還元することによって電極板の表面に被膜を形成する場合、電解液は、還元電位の異なる複数の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、γ−ブチロラクトン等のラクトン化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニレンカーボネート(VC)等の炭酸エステル化合物;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等のカルボン酸エステル化合物;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;スルホラン等のスルホン化合物;ジメチルホルムアミド等のアミド化合物等が、単独で、または2種類以上が混合されて用いられる。特に、電解液を固化して、固体電解質膜の被膜を形成する場合、添加剤は、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の炭酸エステル化合物;アセトニトリル等のニトリル化合物;テトラヒドロフラン等のエーテル化合物:ジメチルホルムアミド等のアミド系化合物のいずれか1種類、または2種類以上の混合物を含んでいてもよい。
(第1封止工程)
第1封止工程においては、外装体3の内部を減圧した状態で、第1開口部3aを封止する。図8は、第1封止工程において外装体3の内部を減圧する様子を示す図である。第1封止工程においては、電解液が注入された外装体3を、図示しないスタンドによって第1開口部3aが上側に位置するように支持された状態にて、図8に示すように減圧チャンバ80内に配置し、減圧チャンバ80に設けられているポンプ81を用いて、減圧チャンバ80内を減圧する。これによって、外装体3の内部を、第1圧力P1に減圧する。第1圧力P1は、例えば3.0kPa以上12.5kPa以下である。
次に、外装体3の内部を第1圧力P1に減圧した状態で、第1開口部3aを封止する。本実施形態においては、外装体3の外部領域辺3gにおいて、第1部材4と第2部材5とを熱溶着によって接合することによって、図9に示すように、外部領域辺3gにおいて第1部材4と第2部材5との間に封止領域7を形成して、第1開口部3aを封止する。図10は、図9のX−X線に沿った断面を示す断面図である。第1封止工程においては、例えば外装体3の内部を第1圧力P1に減圧した状態を10秒以上維持した後に、第1開口部3aを封止する。
第1封止工程において、外装体3の内部を減圧することによって、電極板10,20を含む板状部材60同士の間に位置する気体が除かれ、電極板10,20同士の間隔が狭められる。このため、電極板10,20同士の間に多くの空気が残存した状態、又は電極板10,20同士の間隔が広がった状態で、後述する初期充電が行われることが抑制される。これによって、後述する初期充電の際に、正極板10Xと負極板20Yとの間隔が広がっていることに起因して正極板10Xから負極板20Yへ移動するリチウムイオンの量が減少することを抑制することができる。また、電極板10,20同士の間に空気が残存し、残存した空気中の水分とリチウムイオンとが反応することを抑制することができる。以上の理由から、製造される積層型電池1の容量が小さくなることを抑制することができる。また、第1封止工程において外装体3の内部を減圧する際には、外装体3の内部の気体は、外装体3の第3辺3e側から第1開口部3a側へ移動する。このとき、液溜まり70の電解液が、外装体3の第3辺3e側から第1開口部3a側へ移動する気体に押されることによって、外装体3の第3辺3e側から第1開口部3a側へ移動してもよい。これによって、第1封止工程において、電極板10,20の表面の、より広範囲に、電解液を供給することができる。
(放置工程)
本実施の形態においては、第1封止工程の後、後述する初期充電工程の前に、膜電極接合体2を放置する、放置工程を行う。放置工程においては、外装体3を、図示しないスタンドによって第1開口部3aが上側に位置するように支持された状態にて、36時間以下の時間だけ、外装体3及び膜電極接合体2を放置する。放置工程において膜電極接合体2を放置する時間は、例えば2時間以上である。放置工程の間に、液溜まり70を形成している電解液が電極板10,20の内部の間隙に含浸する。電解液の含浸によって、電解液が電極板10,20の表面に供給される。放置工程における電解液の電極板10,20への含浸は、例えば絶縁体40が内部に間隙を有する場合、図7に示す液溜まり70の電解液が、毛細管現象によって絶縁体40の内部の間隙を通って電極板10,20の表面まで移動し、電極板10,20に含浸することによって進行する。この場合、絶縁体40の内部の間隙を電解液が移動しやすくする観点からは、絶縁体40は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系化合物及びアラミド繊維の少なくともいずれか一つを含むことが好ましい。また、電解液の電極板10,20への含浸は、電解液が毛細管現象によって電極板10,20の内部の間隙を移動することによって、進行してもよい。この場合、電解液は、例えば電極板10,20の活物質層12,22の内部の間隙に含浸してもよい。
(初期充電工程)
初期充電工程においては、膜電極接合体2を充電する。本実施の形態においては、図9及び図10に示すように外装体3の内部に収容された膜電極接合体2を、第1タブ16及び第2タブ26を介して充電する。初期充電工程においては、充電用の電源を用意し、電源の正極を第1タブ16に、電源の負極を第2タブ26に、それぞれ電気的に接続する。次に、電源を用いて、積層型電池1に電流を流す。これによって、積層型電池1が初期充電される。膜電極接合体2を充電することによって、電解液に含まれる添加剤の反応のために、図11に示すように、電極板の表面に、絶縁層30として被膜が形成される。例えば、電解液が還元電位を有する添加剤を含む場合、初期充電工程において、負極板20Yの電位が、添加剤が有する還元電位のうち最も低い還元電位よりも低くなるように、膜電極接合体2を充電する。これによって、負極板20Yの表面において添加剤が還元されることで、図11に示すように、負極板20Yの、正極板10Xの正極活物質層12Xと積層方向dLに対面する面に、絶縁層30が形成される。また、初期充電工程における電解液の反応、例えば電解液に含まれる添加剤の反応に伴って、外装体3の内部の収容空間6aを含む空間内にガスが発生する。
(第2開口形成工程)
第2開口形成工程においては、外装体3に第2開口部3bを形成する。第2開口形成工程においては、外装体3を破線L1に沿って裁断する。これによって、図12に示すように、外装体3を裁断した位置に、第2開口部3bが形成される。第2開口部3bによって、収容空間6aを、第2開口部3bを通して外部に連通させ、初期充電によって発生したガスを収容空間6aから抜くことができる。なお、外装体3を破線L1に沿って裁断することによって、外装体3に第4辺3fが形成される。
(第2封止工程)
第2封止工程においては、外装体3の内部を第1圧力P1よりも小さい第2圧力P2に減圧した状態で、第2開口部3bを封止する。第2封止工程において外装体3の内部を第2圧力P2に減圧する方法は、第1封止工程において外装体3の内部を第1圧力P1に減圧する方法と同様である。第1封止工程における第1圧力P1は、例えば第2封止工程における第2圧力P2よりも2.0kPa以上小さい。また、第2圧力P2は、例えば1.0kPa以下である。上述の通り、第2圧力P2を十分に小さくすることによって、製造される積層型電池1の板状部材60の間に気体が残って、板状部材60同士の間隔が大きくなることを抑制することができる。これによって、製造される積層型電池1のエネルギー密度を、より高くすることができる。また、電極板10,20同士の間に多くの空気が残存した状態、又は電極板10,20同士の間隔が広がった状態で積層型電池1の充放電が行われることが、抑制される。これによって、正極板10Xと負極板20Yとの間隔が広がっていることに起因して、充放電時に正極板10Xと負極板20Yとの間を移動するリチウムイオンの量が減少することを抑制することができる。また、電極板10,20同士の間に空気が残存し、残存した空気中の水分とリチウムイオンとが反応することを抑制することができる。以上の理由から、製造される積層型電池1について充放電を繰り返す場合に、積層型電池1の容量が低下することを抑制することができる。
本実施の形態に係る積層型電池1の製造方法の開発の経緯について説明する。従来、電解液注入工程において外装体3の内部に電解液を注入する際、電解液が電極板10,20の表面の広範囲に供給されず、電極板10,20の表面の一部に局在している状態となるおそれがあった。電解液が電極板10,20の表面の一部に局在している場合、初期充電の際に電解液に含まれる添加剤の反応によって形成される被膜の分布に、ムラが生じるおそれがあった。この場合、電極板10,20の利用率が低下するおそれがあった。
電解液を電極板10,20の表面の広範囲に供給する方法としては、複数の板状部材60を積層して膜電極接合体2を形成する前に、電極板10,20の表面の広範囲に電解液を付着させることも考えられる。しかしながら、この場合には、電極板10,20の表面に電解液を付着させる工程が加わる分、積層型電池1の製造に要するタクトタイムが増大してしまう。また、外装体3の内部に電解液を注入してから初期充電を開始するまでの間の時間を長くとり、電極板10,20に電解液が含浸するのを待つことも考えられる。しかしながら、この場合にも、電極板10,20に電解液が含浸するのを待つ時間が長くなる分、積層型電池1の製造に要するタクトタイムが増大してしまう。また、電解液の含浸を待つ間、長時間にわたって膜電極接合体2を収容した外装体3を置くことができる場所の確保が必要になってしまう。
本実施の形態に係る発明の発明者等は、第1圧力P1を第2圧力P2よりも大きくした場合には、例えば第1圧力P1を第2圧力P2と同じとした場合と比較して、第1封止工程において外装体3を封止した後、より短時間のうちに、電極板10,20の広範囲に電解液が含浸することを見出した。また、発明者等は、第1封止工程において、第1圧力P1を第2圧力P2よりも大きくして第1開口部3aを封止した場合でも、初期充電における積層型電池1の容量の低下を抑制する効果が十分に得られることを見出した。発明者等は、以上の得られた知見に基づき、本実施の形態に係る発明を完成させた。
本実施の形態においては、第1封止工程における第1圧力P1と、第2封止工程における第2圧力P2とを別々に制御して、第1圧力P1を第2圧力P2よりも大きくする。この場合に、より短時間のうちに電極板10,20の広範囲に電解液が含浸する理由として考えらえる事項について説明する。
電解液注入工程において外装体3の内部に電解液を注入する際、外装体3の内部には、図7に示すように、電解液の液溜まり70が形成される。液溜まり70を形成する電解液は、第1開口部3aの封止後に、電極板10,20の広範囲に含浸する。電解液の電極板10,20への含浸は、前述のとおり、例えば電解液が毛細管現象によって絶縁体40の内部の間隙を通って電極板10,20の表面まで移動し、電極板10,20に含浸することによって、進行すると考えられる。ここで、第1圧力P1をより大きくした場合には、第1封止工程における外装体3の内部の減圧中、及び第1開口部3aの封止後に、絶縁体40を含む板状部材60同士の間隔(例えば、図10に示す間隔W1)が、大きくなりやすい。この場合、絶縁体40を含む板状部材60同士の間隔が小さい場合と比較して、絶縁体40と、絶縁体40に隣接する板状部材60との間に、液溜まり70の電解液が入り込みやすくなると考えられる。この場合、絶縁体40と電解液とが接する面積が増加し、より多くの電解液が、液溜まり70から絶縁体40の内部の間隙を通って電極板10,20へと流れると考えられる。このために、より短時間のうちに、電解液が電極板10,20に含浸すると考えられる。
また、仮に、第1封止工程における第1圧力P1が特に小さい場合、液溜まり70を形成している電解液が、第1封止工程における外装体3の内部の圧力の低下に伴って揮発する量が、多くなり得る。この場合、第1開口部3aを封止する前に、揮発した電解液が、第1開口部3aを通じて外装体3の外部に漏れ出たり、外装体3の内部に存在する電解液の量のうち液体として存在する電解液の量の比率が小さくなったりして、電極板10,20に含浸し得る電解液の量が少なくなり得る。これに対して、本実施の形態においては、第1圧力P1を十分に大きくして、第1封止工程の間及び第1封止工程の後における、電解液の揮発を抑制することができる。これによって、第1封止工程において第1開口部3aを封止した後においても、外装体3の内部に、液体状態の電解液が存在する液溜まり70を、より多量に残すことができる。このために、液溜まり70の電解液が、電極板10,20の広範囲に含浸しやすいと考えられる。
また、本実施の形態においては、第1封止工程における第1圧力P1を、第2封止工程における第2圧力P2よりも大きくする。このため、第1封止工程において外装体3の内部の減圧に用いる装置として、第2封止工程において減圧に用いる装置よりも、減圧の能力の低い安価な装置を用いることができる。
本実施の形態に係る積層型電池の製造方法によれば、電極板10,20の面積が特に大きな積層型電池1を製造する場合においても、電極板10,20の表面の広範囲に電解液を供給することができる。このため、本実施の形態に係る積層型電池の製造方法は、面積の大きな電極板10,20を有する積層型電池1の製造に、特に適している。本実施の形態に係る積層型電池の製造方法に特に適している積層型電池1の正極板10X及び負極板20Yの面積は、例えば400cm以上1200cm以下である。また、正極活物質層12X及び負極活物質層22Yの面積は、例えば300cm以上1000cm以下である。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1として、本実施の形態に記載の積層型電池の製造方法によって、積層型電池を作製した。準備工程においては、図6に示すような外装体3、及び外装体3の内部に収容されている膜電極接合体2を準備した。膜電極接合体2としては、複数の正極板10Xと、複数の負極板20Yと、複数の絶縁体40とを、図2に示す順に積層したものを用いた。
電解液注入工程においては、外装体3の内部に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含む電解液を注入した。
第1封止工程においては、図8に示すような減圧チャンバ80内に外装体3を配置し、減圧チャンバ80内を5.6kPaまで減圧して、20秒間保持した。その後、減圧チャンバ80内の圧力を5.6kPaに維持した状態で、外装体3の第1開口部3aを封止し、減圧チャンバ80内から取り出した。減圧チャンバ80内に外装体3を配置してから外装体3の第1開口部3aを封止するまでの時間は、合計で60秒程度であった。
放置工程においては、外装体3を、第1封止工程において第1開口部3aを封止してから12時間だけ、放置した。
初期充電工程においては、負極板20Yの電位が、電解液に含まれる添加剤が有する還元電位のうち最も低い還元電位よりも低くなるまで、膜電極接合体2を充電した。
第2封止工程においては、減圧チャンバ80内を0.5kPaまで減圧して、20秒間保持した後、減圧チャンバ80内の圧力を0.5kPaに維持した状態で、外装体3の第2開口部3bを封止した以外は、第1封止工程と同様の方法によって、外装体3の内部の減圧、及び第2開口部3bの封止を行った。
(実施例2)
実施例2として、第1封止工程において、減圧チャンバ80内を10.5kPaまで減圧して、20秒間保持した後、減圧チャンバ80内の圧力を10.5kPaに維持した状態で、外装体3の第1開口部3aを封止した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法によって、積層型電池を作製した。
(比較例1)
比較例1として、第1封止工程において、減圧チャンバ80内を0.5kPaまで減圧して、20秒間保持した後、減圧チャンバ80内の圧力を0.5kPaに維持した状態で、外装体3の第1開口部3aを封止した以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法によって、積層型電池を作製した。換言すれば、比較例1においては、第1封止工程においても、第2封止工程においても、減圧チャンバ80内の圧力を0.5kPaに維持した状態で、外装体3の第1開口部3a及び第2開口部3bを封止した。
(評価)
上記の実施例1、2及び比較例1の方法によって作製した積層型電池1において、電極板10,20に電解液が含浸している度合いを評価するために、以下の測定を行った。まず、外装体3から、一枚の負極板20Yを取り出した。次に、取り出した負極板20Yの一部を打ち抜き、打ち抜いた部分に含まれるリン(P)の濃度を、ICP質量分析計(アジレント・テクノロジー社製、商品名「ICP質量分析装置 7700」)を用いて、ICP質量分析によって測定した。
リンは、実施例1、2及び比較例1において用いた電解液の添加剤であるヘキサフルオロリン酸リチウムに含まれるが、電解液の添加剤の還元によって形成される被膜の部分を除いて、電極板10,20中には含まれない。このため、電極板10,20に電解液が含浸した量は、電極板10,20のリン濃度と比例すると考えられる。そこで、実施例1、2及び比較例1のリン濃度の比率から、比較例1における電解液の含浸量を基準にした場合における、実施例1、2及び比較例1における電解液の含浸量の比率を百分率(%)で求めた(以下、「相対含浸率」とも称する。)。また、電解液中のリン濃度と、一定の範囲の負極板20Yに理論上含浸し得る電解液の最大量とから、負極板20Yに理論上含浸し得る最大量の電解液が含浸した状態における、負極板20Yのリン濃度の最大値を求めた。そして、当該リン濃度の最大値と、実施例1、2及び比較例1のリン濃度との比率から、負極板20Yに理論上含浸し得る電解液の最大量を基準にした場合における、実施例1、2及び比較例1における電解液の含浸量の比率を百分率(%)で求めた(以下、「含浸率」とも称する。)。実施例1、2及び比較例1における相対含有率及び含有率を、図13に示す。図13に示す相対含有率及び含有率から、実施例1、2のように、第1圧力P1を第2圧力P2よりも大きくした場合には、比較例1のように、第1圧力P1を第2圧力P2と同じとした場合よりも、電極板10,20が電解液を多く含有するようになることがわかった。
以上において、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、上述した具体例が一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1 積層型電池
2 膜電極接合体
3 外装体
3a 第1開口部
3b 第2開口部
4 第1部材
5 第2部材
6 収容領域
6a 収容空間
7 封止領域
10 第1電極板
10X 正極板
11 第1電極集電体
11X 正極集電体
11a 第1面
11b 第2面
12 第1電極活物質層
12X 正極活物質層
16 第1タブ
18 第1シーラント
20 第2電極板
20Y 負極板
21 第2電極集電体
21Y 負極集電体
21a 第1面
21b 第2面
22 第2電極活物質層
22Y 負極活物質層
26 第2タブ
28 第2シーラント
30 絶縁層
30A 電解質層
40 絶縁体
60 板状部材
70 液溜まり

Claims (11)

  1. 第1開口部を有する外装体と、前記外装体の内部に収容され、電極板を含む複数の板状部材を有する膜電極接合体と、を準備する準備工程と、
    前記第1開口部を通して前記外装体の内部に電解液を注入する電解液注入工程と、
    前記外装体の内部を第1圧力に減圧した状態で、前記第1開口部を封止する第1封止工程と、
    前記膜電極接合体を充電する初期充電工程と、
    前記外装体に第2開口部を形成する第2開口形成工程と、
    前記外装体の内部を前記第1圧力よりも小さい第2圧力に減圧した状態で、前記第2開口部を封止する第2封止工程と、をこの順に備える、積層型電池の製造方法。
  2. 前記第1圧力は、3.0kPa以上12.5kPa以下である、請求項1に記載の積層型電池の製造方法。
  3. 前記第2圧力は、1.0kPa以下である、請求項1又は2に記載の積層型電池の製造方法。
  4. 前記第1圧力は、前記第2圧力よりも2.0kPa以上小さい、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  5. 前記電極板は、正極板と負極板とを有し、
    複数の前記板状部材は、正極板と負極板との間に位置する絶縁体をさらに有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  6. 前記絶縁体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素系化合物及びアラミド繊維の少なくともいずれか一つを含む、請求項5に記載の積層型電池の製造方法。
  7. 前記正極板及び前記負極板の面積は、400cm以上1200cm以下である、請求項5又は6に記載の積層型電池の製造方法。
  8. 前記電解液は、還元電位を有する添加剤を含み、
    前記初期充電工程において、前記負極板の電位が、前記添加剤が有する還元電位のうち最も低い還元電位よりも低くなるように、前記膜電極接合体を充電する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  9. 前記第1封止工程の後、初期充電工程の前に、前記膜電極接合体を、36時間以下の時間だけ放置する、放置工程をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
  10. 前記放置工程において、前記膜電極接合体を2時間以上放置する、請求項9に記載の積層型電池の製造方法。
  11. 前記第1封止工程において、前記外装体の内部を前記第1圧力に減圧した状態を10秒以上維持した後に、前記第1開口部を封止する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の積層型電池の製造方法。
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