JP2018206541A - 電池要素の封止方法及びそれを用いたフィルム外装電池の製造方法 - Google Patents

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春男 大塚
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Abstract

【課題】外装フィルムで覆われた電極積層体の外周部分を殆ど隙間が無い形で熱融着封止することが可能な封止方法を提供する。【解決手段】フィルム外装電池を製造するための電池要素の封止方法であって、正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含む、厚さ0.5mm以下の平板状の電池要素を、電池要素のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルムで挟み込む工程と、得られた積層体の外周部分の少なくとも1辺を、外装フィルムのはみ出し部分のみならずそれに隣接する電池要素の少なくとも一部を挟み込むように、1対の加圧治具で少なくとも1枚の弾性部材を介して挟み込む工程と、積層体を加熱しながらプレスして1対の外装フィルムをはみ出し部分で熱融着させ、それにより電池要素の外縁の少なくとも1辺を1対の外装フィルムで封止する工程とを含む、方法。【選択図】図2A

Description

本発明は、電池要素の封止方法及びそれを用いたフィルム外装電池の製造方法に関するものである。
近年、電池内蔵スマートカードが実用化されつつある。一次電池を内蔵したスマートカードの例としては、ワンタイムパスワード表示機能付きクレジットカードが挙げられる。二次電池を内蔵したスマートカードの例としては、無線通信IC、指紋解析用ASIC及び指紋センサを備えた、指紋認証・無線通信機能付きカードが挙げられる。スマートカード用電池には、厚さが0.45mm未満であること、高容量かつ低抵抗であること、耐曲げ性を有すること、プロセス温度に耐えうることといった特性が一般的に求められる。
かかる用途向けの液系薄型フィルム外装電池が提案されている。例えば、特許文献1(特開2013−97931号公報)及び特許文献2(特開2012−209124号公報)には、正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含む電極積層体がラミネートフィルム製の容器内に収容され且つ封止されたフィルム外装電池が開示されている。この特許文献1では、正極側のラミネートフィルムに正極集電体を接着し、かつ、負極側のラミネートフィルムに負極集電体を接着することで、封止後の容器内面に正極集電体及び負極集電体を固定し、それにより容器表面におけるシワの発生を抑制できるとされている。また、特許文献2(特開2012−209124号公報)では、密封封止部を形成するために、1対のラミネートフィルムを外周縁に沿って金型で挟み込んで熱溶着することが記載されている。特許文献1及び2に開示されるフィルム外装電池はいずれもリチウム一次電池である。
ところで、リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池とも称される)用の正極活物質層として、リチウム複合酸化物(典型的にはリチウム遷移金属酸化物)の粉末とバインダーや導電剤等の添加物とを混練及び成形して得られた、粉末分散型の正極が広く知られている。かかる粉末分散型の正極は、容量に寄与しないバインダーを比較的多量に(例えば10重量%程度)含んでいるため、正極活物質としてのリチウム複合酸化物の充填密度が低くなる。このため、粉末分散型の正極は、容量や充放電効率の面で改善の余地が大きかった。そこで、正極ないし正極活物質層をリチウム複合酸化物焼結体板で構成することにより、容量や充放電効率を改善しようとする試みがなされている。この場合、正極又は正極活物質層にはバインダーが含まれないため、リチウム複合酸化物の充填密度が高くなることで、高容量や良好な充放電効率が得られることが期待される。例えば、特許文献3(特許第5587052号公報)には、正極集電体と、導電性接合層を介して正極集電体と接合された正極活物質層とを備えた、リチウム二次電池の正極が開示されている。この正極活物質層は、厚さが30μm以上であり、空隙率が3〜30%であり、開気孔比率が70%以上であるリチウム複合酸化物焼結体板からなるとされている。
特開2013−97931号公報 特開2012−209124号公報 特許第5587052号公報
スマートカード等の薄型デバイスに液系薄型フィルム外装電池を実装する場合、デバイスを曲げた際に、電池の外形が、曲げられたデバイスに沿って変形する必要がある。しかしながら、特許文献1及び2に開示されるような従来の薄型フィルム外装電池では、正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含む電池要素の周囲に空間的余裕があり、繰り返しの曲げ変形によりシワが寄りやすく、それ故デバイスの表面形態が変形しやすいとの不具合があった。この空間的余裕の主たる部分は、ラミネートフィルム同士が熱融着された封止部分と、電池要素との間の隙間である。特に、スマートカードにおけるシワの発生は、外観の劣化をもたらすのみならず、データの書き込み等の処理において不具合を生じさせうる。
本発明者らは、今般、外装フィルムで覆われた電池要素からなる積層体の外周部分を加圧治具で挟み込んで熱融着で封止する際に、加圧治具と外装フィルムとの間に弾性部材を介在させながら、電池要素の少なくとも一部を挟み込むように加熱プレスを行うことで、殆ど隙間が無い形で封止することができ、液溜まりの発生も防止できるとの知見を得た。また、そのように殆ど隙間が無い形で封止されたフィルム外装電池は繰り返しの曲げ変形によってもシワが寄りにくいとの知見も得た。
したがって、本発明の目的は、外装フィルムで覆われた電極要素からなる積層体の外周部分を殆ど隙間が無い形で熱融着封止することが可能な封止方法を提供すること、さらには繰り返しの曲げ変形によってもシワが寄りにくいフィルム外装電池の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、フィルム外装電池を製造するための電池要素の封止方法であって、
正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含む、厚さ0.5mm以下の平板状の電池要素を、前記電池要素のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルムで挟み込み、それにより両面が前記外装フィルムで覆われ且つ前記外装フィルムの外周部分が前記電池要素の外縁からはみ出した積層体を得る工程と、
前記積層体の外周部分の少なくとも1辺を、前記外装フィルムのはみ出し部分のみならずそれに隣接する前記電池要素の少なくとも一部を挟み込むように、1対の加圧治具で少なくとも1枚の弾性部材を介して挟み込む工程と、
前記1対の加圧治具で前記弾性部材を介して前記積層体を加熱しながらプレスして、前記1対の外装フィルムを前記はみ出し部分で熱融着させ、それにより前記電池要素の外縁の少なくとも1辺を前記1対の外装フィルムで封止する工程と、
を含む、方法が提供される。
本発明の他の一態様によれば、フィルム外装電池の製造方法であって、
(a)正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含むが、電解液を含まない、厚さ0.5mm以下の平板状の電池要素を、前記電池要素のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルムで挟み込み、それにより両面が前記外装フィルムで覆われ且つ前記外装フィルムの外周部分が前記電池要素の外縁からはみ出した積層体を得る工程と、
(b)前記電池要素の外縁の所定の1辺以外の複数辺を、同時に又は別々に、前記方法により前記1対の外装フィルムで封止する工程と、
(c)未封止の前記所定の1辺から電解液を前記電池要素に注入する工程と、
(d)前記電解液が注入された前記電池要素の外縁の前記所定の1辺を前記方法により前記外装フィルムで封止する工程と、
を含む、方法が提供される。
フィルム外装電池の一例の模式断面図である。 本発明の封止方法を説明するための積層体外縁付近の模式断面図である。 本発明の封止方法を説明するための積層体外縁付近の模式斜視図である。 従来の封止方法を説明するための積層体外縁付近の模式断面図である。 従来の封止方法を説明するための積層体外縁付近の模式斜視図である。 フィルム外装電池の製造工程の一例の前半を示す図である。 フィルム外装電池の製造工程の一例の後半であって、図4Aに示される工程に続く工程を示す図である。図4Bの右端には本発明により製造されたフィルム外装電池の写真が含まれる。 例1において作製されたフィルム外装電池の外縁付近を撮影した写真である。 例1において作製されたフィルム外装電池の外縁付近の断面を撮影したレーザー顕微鏡画像である。 例2(比較)において作製されたフィルム外装電池の外縁付近を撮影した写真である。 例2(比較)において作製されたフィルム外装電池の外縁付近の断面を撮影したレーザー顕微鏡画像である。
電池要素の封止方法
本発明の一態様は、フィルム外装電池を製造するための電池要素の封止方法に関するものである。図1にフィルム外装電池10の一例が模式的に示される。図1に示されるように、電池要素12は、正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20、及び負極集電体22を含む、厚さ0.5mm以下の平板状の積層体である。電池要素12は製造プロセスにおける電解液24の注入前及び注入後のいずれの形態であってもよく、それ故製造段階に応じて電解液24を含むこともあれば含まないこともある。もっとも、電池要素12が電解液24を含む場合、電池要素12の外縁の複数辺(電解液24を注入するための所定の1辺を除く)が1対の外装フィルム26で封止されて袋状の形態を成し、その中に電解液24が注入されていることが前提となる。なお、図1においてフィルム外装電池10は電解液24の存在を分かりやすく示すため積層構造及び封止構造に空間的余裕を持たせて描かれているが、実際には本発明の封止方法によればそのような空間的余裕は最小化される点について留意されるべきである。いずれにしても、フィルム外装電池10は、電池要素12及び電解液24が外装フィルム26で包装され且つ封止された液系薄型電池である。フィルム外装電池10の外縁は外装フィルム26同士が熱融着されることで封止される。本明細書において「熱融着」は、熱溶着又はヒートシールと称されることもあり、そのような手法も包含する。
本発明の方法においては、図2A及び2Bに示されるように、電池要素12を、電池要素12のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルム26で挟み込み、それにより両面が外装フィルム26で覆われ且つ外装フィルム26の外周部分が電池要素12の外縁からはみ出した積層体28を得る。この積層体28の外周部分の少なくとも1辺を、外装フィルム26のはみ出し部分のみならずそれに隣接する電池要素12の少なくとも一部を挟み込むように、1対の加圧治具30で少なくとも1枚の弾性部材32を介して挟み込む。そして、1対の加圧治具30で弾性部材32を介して積層体28を加熱しながらプレスして、1対の外装フィルム26をはみ出し部分で熱融着させ、それにより電池要素12の外縁の少なくとも1辺を1対の外装フィルム26で封止する。このように、外装フィルム26で覆われた電池要素12からなる積層体28の外周部分を加圧治具30で挟み込んで熱融着で封止する際に、加圧治具30と外装フィルム26との間に弾性部材32を介在させながら、電池要素12の少なくとも一部を挟み込むように加熱プレスを行うことで、殆ど隙間が無い形で封止することができる。その結果、電解液24の注入後における液溜まりの発生も防止できる。また、そのように殆ど隙間が無い形で封止されたフィルム外装電池は繰り返しの曲げ変形によってもシワが寄りにくいものとなる。
この点、従来手法における封止は、図3A及び3Bに示されるように、加圧治具30(例えば金属製のヒートバー)で1対の外装フィルム26の端部を挟んで150〜250℃で数秒間加熱プレスすることにより行われてきた。このとき、封止箇所に均一に力が加わるよう、加圧治具30が電極部分を挟まないようにする必要があり、設計公差や、設備の精度の点で、隙間を0.5mm以下にすることは困難であった。また、電解液を閉じ込めるための最後の封止の際には、電解液を噛みながらプレスすることで、封止部に存在していた電解液が電極側へ押し出され、局所的に液溜まりが出来てしまい、それがフィルム外装電池に空間的余裕を生じさせていた。このような液溜まりや空間的余裕があると繰り返しの曲げ変形によってシワが寄りやすい。特にクレジットカード等のカードにおいては、一般的に多数回の繰り返しの曲げを含む所定の曲げ試験(例えばJIS X 6305−1を参照)に合格することが求められており、フィルム外装電池を内蔵したカードにおいてこの基準をクリアすることは難しかった。この点、フィルム外装電池の製造に本発明の封止方法を採用すれば、電池要素12の外縁部分の段差形状に弾性部材32が十分にフィットした形で加熱プレスを行うことができ、それにより殆ど隙間が無い形での封止を実現し、上記問題を好都合に解消することができる。
上記のとおり、本発明の方法は、(i)外装フィルムで覆われた電池要素の準備、(ii)加圧治具及び弾性部材の取り付け、及び(iii)加熱プレスによる封止の3段階を含む。具体的には以下のとおりである。
(i)外装フィルムで覆われた電池要素の準備
まず、電池要素12を、電池要素12のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルム26で挟み込み、それにより両面が外装フィルム26で覆われ且つ外装フィルム26の外周部分が電池要素12の外縁からはみ出した積層体28を得る。電池要素12は、厚さ0.5mm以下の平板状であり、正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20、及び負極集電体22を含む。好ましくは、電池要素12は正極端子15及び負極端子23をさらに備える。電池要素12は電解液24をさらに含んでいてもよい。正極集電体14、正極端子15、正極16、セパレータ18、負極20、負極集電体22及び負極端子23は、それぞれ、フィルム外装電池10の種類(例えばリチウム一次電池又はリチウム二次電池)に応じて公知のものを適宜選択すればよい。
例えば、リチウム二次電池の場合、各部材は以下のとおり説明される。正極16はリチウム複合酸化物(典型的にはリチウム遷移金属酸化物)の粉末とバインダーや導電剤等の添加物とを混練及び成形して得られた、粉末分散型の正極であってもよいし、リチウム複合酸化物焼結体板であってもよい。特に好ましくは加熱プレスによって変形、劣化及び反応が生じにくい点から、リチウム複合酸化物焼結体板である。リチウム複合酸化物焼結体板の好ましい形態については後述するものとする。負極20の例としては、炭素系材料や、Li、In、Al、Sn、Sb、Bi、Si等の金属若しくは半金属、又はこれらのいずれかを含む合金が挙げられる。その他、チタン酸リチウム(LiTi12)等の酸化物系負極を用いてもよい。酸化物系負極は、チタン酸リチウム等の負極活物質をバインダー及び導電助剤と混合及び塗工して作製されたものであってもよいし、チタン酸リチウム等の負極活物質を焼結させたセラミックス板であってもよい。後者の場合、セラミックス板は緻密であってもよいし、内部に開気孔を含んだものであってもよい。チタン酸リチウムを負極層として使用した場合、炭素系材料を使用した場合と比べて、信頼性及び出力性能が大きく向上するとの利点がある。また、チタン酸リチウム負極とリチウム複合酸化物焼結板を用いて作製したリチウム二次電池は、サイクル性能が良く、また、保存性能が良い(自己放電が少ない)など高信頼性を示すため、簡易な制御にて直列化することが可能である。セパレータ18は特に限定されず、ポリプロピレン製多孔質単層膜等、リチウム電池用の市販のセパレータを使用すればよい。正極集電体14及び負極集電体22も特に限定されないが、好ましくは銅箔である。電解液24も特に限定されず、有機溶媒(例えばエチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒やエチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒)にリチウム塩(例えばLiPF)塩を溶解させた液等、リチウム電池用の市販の電解液を使用すればよい。
外装フィルム26は、市販の外装フィルムを使用すればよい。好ましい外装フィルム26は、樹脂フィルムと金属箔とを含むラミネートフィルムであり、より好ましくは樹脂フィルムとアルミニウム箔とを含むアルミラミネートフィルムである。ラミネートフィルムはアルミニウム箔等の金属箔の両面に樹脂フィルムが設けられているのが好ましい。この場合、金属箔の一方の側の樹脂フィルムがナイロン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の補強性に優れた材料で構成され、金属箔の他方の側の樹脂フィルムがポリプロピレン、ポリエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のヒートシール材料で構成されるのが好ましい。このような各種のアルミラミネートフィルムがリチウム電池用に市販されている。外装フィルム26の厚さは20〜160μmが好ましく、より好ましくは40〜120μm、さらに好ましくは40〜65μmである。
電池要素12の厚さは0.5mm以下であり、より好ましくは0.1〜0.5mm、さらに好ましくは0.1〜0.4mm、特に好ましくは0.15〜0.35mmである。電池要素12のサイズは特に限定されないが、好ましくは1cm角以上6cm角以下であり、より好ましくは1cm角以上4cm角以下である。図2Aに示されるように、負極20のサイズは正極16のサイズよりも若干大きく設計されるのが一般的であり、その場合、電池要素12のサイズは負極20のサイズを反映されたものとなる。電解液24を含むか否かで電池要素12の厚さは有意に変わるものではないが、電池要素12の厚さは電解液24を含まない固形物の状態で測定されるのが好ましい。電池要素12の形状は特に限定されないが、電池要素12の概形(正極端子15及び負極端子23の延出した部分を除いた主要部分の形状)が、正方形、長方形等の四角形、又はその他の多角形であるのが好ましく、より好ましくは正方形又は長方形である。一方、外装フィルム26のサイズは、外周部分に外装フィルム26同士の熱融着を可能とするマージンを与えるように、電池要素12のサイズよりも大きいサイズであれば特に限定されない。外装フィルム26の不要な外周部分は熱融着後に切除すればよいので、外装フィルム26の形状は特に限定されない。
積層体28はいかなる順序で作製されてもよい。例えば、予め作製された電池要素12を上下から1対の外装フィルム26で挟み込んでもよいし、外装フィルム26の取り付けを電池要素12の組立プロセスの中で行ってもよい。後者の好ましい例としては、図4Aに示されるように、1枚の外装フィルム26に正極集電体14、正極16及び所望により正極端子15を予め接着させる一方、もう1枚の外装フィルム26に負極集電体22、負極20及び所望により負極端子23を予め接着させておき、その後、セパレータ18を挟む形で積層体28を組み立てる工法が挙げられる。この工法によれば、外装フィルム26の電池要素12からのズレや浮き上がりを効果的に抑制できるので、繰り返しの曲げ変形によるシワの発生をより一層低減可能なフィルム外装電池10を効率良く作製することができる。
上述したように、電池要素12(特にその最外層である正極集電体14及び負極集電体22)は外装フィルム26に接着されているのが好ましく、より好ましくは全面にわたって接着される。接着手法の好ましい例としては接着剤の塗布による接着が挙げられ、そのような接着剤としては耐電解液性及び耐酸化還元性に優れるものが好ましい。こうすることで、外装フィルム26の電池要素12からのズレは浮き上がりを効果的に抑制できるので、繰り返しの曲げ変形によるシワの発生をより一層低減することができる。
(ii)加圧治具及び弾性部材の取り付け
図2A及び2Bに示されるように、積層体28の外周部分の少なくとも1辺を、外装フィルム26のはみ出し部分のみならずそれに隣接する電池要素12の少なくとも一部を挟み込むように、1対の加圧治具30で少なくとも1枚の弾性部材32を介して挟み込む。したがって、弾性部材32は1対の加圧治具30の少なくとも一方と外装フィルム26との間に挿入されていればよく、他方の加圧治具30と外装フィルム26との間には弾性部材32が無くてもよいし、別の部材が介在していてもよい。好ましくは、図2A及び2Bに示されるように、弾性部材32が、加圧治具30の一方と外装フィルム26との間及び加圧治具30の他方と外装フィルム26との間にそれぞれ介在する。すなわち、1対の弾性部材32(合計2枚の弾性部材32)が1対の加圧治具30に挟まれる構成とするのが好ましい。加圧治具30は後続の工程で積層体28の外周部分に適切な圧力を加えられるように、金属製の長尺部材であるのが好ましい。また、加圧治具30は、後続の工程で積層体28を適切な温度に加熱できるように、加熱機能を有する、又は加熱手段が付設されているのが好ましい。したがって、加圧治具30は、ヒートシール用途で一般的に使用される、ヒートバー(加熱バーとも称される)であるのが好ましい。弾性部材32は、積層体28をプレスした際に、電池要素12を破損させることなく電池要素12の厚さを吸収できるものであれば特に限定されず、ゴム、テフロン(登録商標)シート、ポリイミドシート、ガラスクロス等の様々な材料が使用可能である。好ましい弾性部材32はゴムであり、特に高耐熱の観点からシリコーンゴムが好ましい。弾性部材32の厚さは0.5mm以上であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜3mmである。弾性部材32を加圧治具30の一方の面に予め固定させておき1つの複合部材とするのが、使い勝手が良く好ましい。
1対の加圧治具30で一度に挟み込まれる積層体28の外周部分の辺の数は、典型的には1辺である。これは加圧治具30が典型的には金属製の長尺部材(例えばヒートバー)であるため、その長尺形状に沿って挟み込める辺の数が典型的には1つになるためである。もっとも、加圧治具30及び弾性部材32が複数辺(例えば2辺又は3辺)を同時に挟み込める形状(例えばL字型又はコ字型形状)を有する場合、1対の加圧治具30で積層体28の外周部分を一度に複数辺(例えば2辺又は3辺)挟み込んでもよい。
(iii)加熱プレスによる封止
図2A及び2Bに示されるように、1対の加圧治具30で弾性部材32を介して積層体28を加熱しながらプレスして、1対の外装フィルム26をはみ出し部分で熱融着させ、それにより電池要素12の外縁の少なくとも1辺を1対の外装フィルム26で封止する。この加熱は120〜250℃で行われるのが好ましく、より好ましくは140〜230℃、さらに好ましくは150〜210℃、特に好ましくは160〜200℃である。プレス圧力は外装フィルム26同士の望ましい熱融着をもたらし、かつ、電池要素12を圧縮破壊しない程度の圧力であれば特に限定されない。正極16がリチウム複合酸化物焼結体板である場合、焼結体板は比較的高いプレス圧力にも耐えうることから、プレス圧力は好ましくは0.1〜10MPa、さらに好ましくは0.2〜5MPa、特に好ましくは0.5〜2MPaとすることができる。
電池要素12が電解液24を含んでいない場合、この封止工程(iii)において、電池要素12の外縁の所定の1辺以外の複数辺が同時に又は別々に封止されるのが好ましい。こうすることで、未封止の所定の1辺から電池要素12に電解液24が注入可能となる。もっとも、電池要素12の外縁の全ての辺(例えば4辺)を封止してもよく、その場合は、電解液24の注入に先立ち、電池要素12の外縁の所定の1辺の封止部分を切除することで、再び電解液24を注入するための未封止の1辺を形成すればよい。電池要素12が電解液24を含んでいない場合、加圧治具30によるプレスは常圧下で行えばよい。
一方、電池要素12が電解液24をさらに含む場合、加圧治具30によるプレスは減圧下で行われるのが好ましい。こうすることで、電解液24中への気泡の混入を低減することができる。好ましい減圧度は、絶対圧で0.01〜50kPaであり、より好ましくは0.1〜20kPaである。また、電池要素12が電解液24をさらに含む場合、加圧治具30によるプレスは、電解液24の余剰分を電池要素12の外側に押し出すように行われるのが好ましい。こうすることで、フィルム外装電池10における液溜まりの発生をより効果的に防止することができる。例えば、加圧治具30及び/又は弾性部材32にテーパーを設けておき、そのテーパーが積層体28の内側から外側に向かって接触面積を増やしていく形で加圧治具30による加熱プレスを行うことで、電解液24の余剰分を電池要素12の外側に効率良く押し出すことができる。
フィルム外装電池の製造方法
上述した本発明の封止方法を用いることで、繰り返しの曲げ変形によってもシワが寄りにくいフィルム外装電池10を製造することができる。フィルム外装電池10の好ましい製造方法は、(a)外装フィルム26で覆われた電池要素12からなる積層体28を準備し、(b)電池要素12の外縁の所定の1辺以外の複数辺を1対の外装フィルム26で封止し、(c)未封止の所定の1辺から電解液24を電池要素12に注入し、(d)上記所定の1辺を外装フィルム26で封止することを含む。これらの一連の製造方法は、(b)工程及び(d)工程で上述した本発明の封止方法を採用することを除けば、フィルム外装電池に関して一般的に採用される公知の手順に従って行うことができる。これらの工程を図4A及び4Bに基づき図2A及び2Bをも適宜参照しながら以下に説明する。
(a)外装フィルムで覆われた電池要素の準備
まず、外装フィルム26で覆われた電池要素12からなる積層体28を準備する。電池要素12は、厚さ0.5mm以下の平板状であり、正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20、及び負極集電体22を含む。もっとも、この時点においては、電池要素12は電解液24を含んでいない。外装フィルム26で覆われた電池要素12からなる積層体28は本発明の封止方法に関して前述したとおりである。したがって、電池要素12は正極端子15及び負極端子23をさらに備えるのが好ましい。
正極16がリチウム複合酸化物焼結体板である場合、リチウム複合酸化物焼結体板をレーザー加工機等でチップ状に加工して用いるのが好ましい。こうすることで大面積のリチウム複合酸化物焼結体板から、多数のチップを得られるので生産性が向上する。この場合、図4Aに示されるように、チップ状の正極16/正極集電体14を複数枚配列して所望の面積の正極領域を確保することができる。
積層体28はいかなる順序で作製されてもよい。例えば、予め作製された電池要素12を上下から1対の外装フィルム26で挟み込んでもよいし、外装フィルム26の取り付けを電池要素12の組立プロセスの中で行ってもよい。後者の好ましい例としては、図4Aに示されるように、1枚の外装フィルム26に正極集電体14、正極16及び所望により正極端子15を予め接着させる一方、もう1枚の外装フィルム26に負極集電体22、負極20及び所望により負極端子23を予め接着させておき、その後、セパレータ18を挟む形で積層体28を組み立てる工法が挙げられる。この工法によれば、外装フィルム26の電池要素12からのズレや浮き上がりを効果的に抑制できるので、繰り返しの曲げ変形によるシワの発生をより一層低減可能なフィルム外装電池10を効率良く作製することができる。
上述したように、電池要素12(特にその最外層である正極集電体14及び負極集電体22)は外装フィルム26に接着されているのが好ましく、より好ましくは全面にわたって接着される。接着手法の好ましい例としては接着剤の塗布による接着が挙げられ、そのような接着剤としては耐電解液性及び耐酸化還元性に優れるものが好ましい。こうすることで、外装フィルム26の電池要素12からのズレは浮き上がりを効果的に抑制できるので、繰り返しの曲げ変形によるシワの発生をより一層低減することができる。
(b)外装フィルムでの封止I(電解液注入前)
電池要素12の外縁の所定の1辺B以外の複数辺Aを、同時に又は別々に、上述した本発明の封止方法(特に工程(ii)及び(iii))により1対の外装フィルム26で封止する。こうすることで、未封止の所定の1辺Bから電池要素12に電解液24が注入可能となる。例えば、図4Aに示されるように電池要素12が四角形の場合、電池要素12の外縁3辺Aのみを上述した本発明の封止方法により封止すればよい。特に、本発明の封止方法に関する、電池要素12が電解液24を含まない場合の態様がこの工程(b)に当てはまる。したがって、加圧治具30によるプレスは常圧下で行えばよい。
こうして所定の1辺B以外の複数辺Aが封止された積層体28は、次工程(c)(すなわち電解液の注入)に先立ち、乾燥させるのが好ましい。これにより、積層体28に含まれることがある水分を除去するとともに、所望により使用される接着剤を乾燥させることができる。この乾燥は真空乾燥機内で行われるのが好ましい。
(c)電解液の注入
次いで、未封止の所定の1辺Bから電解液24を電池要素12に注入する。すなわち、図4Bに示されるように、未封止の所定の1辺Bにおいて1対の外装フィルム26間の隙間を形成し、その隙間から注入器具36を用いて電解液24を注入すればよい。この操作は減圧下で行われるのが好ましい。こうすることで、電解液24中への気泡の混入を低減することができる。好ましい減圧度は、絶対圧で0.01〜50kPaであり、より好ましくは0.1〜20kPaである。
本発明の好ましい態様によれば、(c)工程後で、かつ、(d)工程前に、所定の1辺Bの仮封止、初期充電、及びガス抜きのための仮封止の切除が順に行われる。所定の1辺Bの仮封止は、電解液24の注入に用いた未封止の1辺Bを初期充電のために一旦封止するものである。この仮封止も減圧下にて行われるのが好ましい。もっとも、この仮封止は本発明の封止方法に従って行う必要はなく、より簡素かつ慣用的な封止手法で行えば足りる。こうすることで、電解液24中への気泡の混入を低減することができる。好ましい減圧度は、絶対圧で0.01〜50kPaであり、より好ましくは0.1〜20kPaである。そして、仮封止された積層体28内の電池要素12に対して初期充電を行う。初期充電後はエージングを1週間程度行うのが好ましい。初期充電及びエージング後、仮封止を切除してガス抜きを行う。こうしてガス抜きされた積層体28は再び電池要素12の外縁の所定の1辺B’が未封止の形態に戻る。
(d)外装フィルムの封止II(電解液注入後)
電解液24が注入された電池要素12の外縁の所定の1辺B’を上述した本発明の封止方法により外装フィルム26で封止する。こうしてフィルム外装電池10を得る。特に、本発明の封止方法に関する、電池要素12が電解液24を含む場合の態様がこの工程(d)に当てはまる。すなわち、加圧治具30によるプレスは減圧下で行われるのが好ましい。こうすることで、電解液24中への気泡の混入を低減することができる。好ましい減圧度は、絶対圧で0.01〜50kPaであり、より好ましくは0.1〜20kPaである。また、加圧治具30によるプレスは、電解液24の余剰分を電池要素12の外側に押し出すように行われるのが好ましい。こうすることで、フィルム外装電池10における液溜まりの発生をより効果的に防止することができる。例えば、加圧治具30及び/又は弾性部材32にテーパーを設けておき、そのテーパーが積層体28の内側から外側に向かって接触面積を増やしていく形で加圧治具30による加熱プレスを行うことで、電解液24の余剰分を電池要素12の外側に効率良く押し出すことができる。最後に、外装フィルム26の外周の余分な箇所を切除して、フィルム外装電池10の形状を整えるのが望ましい。
リチウム複合酸化物焼結体板
好ましい正極であるリチウム複合酸化物焼結体板は、層状岩塩構造を有する複数の一次粒子が結合した構造を有している。また、好ましいリチウム複合酸化物焼結体板は、気孔率が3〜30%であり、平均気孔径が15μm以下であり、開気孔比率が70%以上であり、厚さが40〜200μmであり、複数の一次粒子の平均粒径である一次粒径が20μm以下である。かかる条件を満たすことで、高いエネルギー密度を有し、かつ、充放電性能に優れた、厚いリチウム複合酸化物焼結体板を提供することができる。
リチウム複合酸化物焼結体板を特定するために用いられるパラメータの定義を以下に示す。
本明細書において「気孔率」とは、リチウム複合酸化物焼結体板における、気孔(開気孔及び閉気孔を含む)の体積比率である。この気孔率は、焼結体板の断面SEM像を画像解析することにより測定することができる。例えば、焼結体板をクロスセクションポリッシャ(CP)で加工して研磨断面を露出させる。この研磨断面を所定の倍率(例えば1000倍)及び所定の視野(例えば125μm×125μm)でSEM(走査電子顕微鏡)により観察する。得られたSEM像を画像解析し、視野内の全ての気孔の面積を視野内の焼結体板の面積(断面積)で除し、得られた値に100を乗じることにより気孔率(%)を得る。
本明細書において「平均気孔径」とは、リチウム複合酸化物焼結体板について測定された、横軸を気孔径、縦軸を(全気孔容積100%に対する)累積体積%とした気孔径分布(積算分布)における体積基準D50気孔径である。体積基準D50気孔径は粉末の粒度分布において広く知られる体積基準D50径と同義である。したがって、体積基準D50気孔径は、累積気孔容積が全気孔容積の50%となる気孔径を意味する。気孔径分布は、水銀ポロシメーターを用いて水銀圧入法により測定することができる。
本明細書において「開気孔比率」とは、リチウム複合酸化物焼結体板に含まれる気孔(開気孔及び閉気孔を含む)の全体に対する、開気孔の体積比率(体積%)である。「開気孔」は、焼結体板に含まれる気孔のうち、焼結体板の外部と連通するものを指す。「閉気孔」は焼結体板に含まれる気孔のうち、焼結体板の外部と連通しないものを指す。開気孔比率は、嵩密度から求められる開気孔と閉気孔との合計に相当する全気孔率と、見かけ密度から求められる閉気孔に相当する閉気孔率とから、計算により求めることができる。開気孔比率の算出に用いられるパラメータは、アルキメデス法等を用いて測定され得る。例えば、閉気孔率(体積%)をアルキメデス法で測定した見かけ密度より求めることができる一方、全気孔率(体積%)をアルキメデス法で測定した嵩密度より求めることができる。そして、開気孔比率を、閉気孔率と全気孔率から以下の計算によって求めることができる。
(開気孔比率)=(開気孔率)/(全気孔率)
=(開気孔率)/[(開気孔率)+(閉気孔率)]
=[(全気孔率)−(閉気孔率)]/(全気孔率)
本明細書において「一次粒径」とは、リチウム複合酸化物焼結体板を構成する複数の一次粒子の平均粒径である。この一次粒径は、焼結体板の断面SEM像を画像解析することにより測定することができる。例えば、焼結体板をクロスセクションポリッシャ(CP)で加工して研磨断面を露出させる。この研磨断面を所定の倍率(例えば1000倍)及び所定の視野(例えば125μm×125μm)でSEM(走査電子顕微鏡)により観察する。このとき、視野内に20個以上の一次粒子が存在するように視野を設定する。得られたSEM像中の全ての一次粒子について外接円を描いたときの当該外接円の直径を求め、これらの平均値を一次粒径とする。
本明細書において「気孔径分布のピーク数」とは、リチウム複合酸化物焼結体板について測定された、横軸を気孔径、縦軸を体積%とした気孔径分布(頻度分布)におけるピークの数である。ピークは気孔径分布における変極点であって、その前後で10点以上連続して増加又は減少しているものとして定義される。気孔径分布は、水銀ポロシメーターを用いて水銀圧入法により測定することができる。
本明細書において「体積基準D10、D50及びD90気孔径」とは、リチウム複合酸化物焼結体板について測定された、横軸を気孔径、縦軸を(全気孔容積100%に対する)累積体積%とした気孔径分布(積算分布)における体積基準D10、D50及びD90気孔径である。体積基準D10、D50及びD90気孔径は粉末の粒度分布において広く知られる体積基準D10、D50及びD90径と同義である。したがって、体積基準D10、D50及びD90気孔径は、累積気孔容積が全気孔容積のそれぞれ10%、50%及び90%となる気孔径を意味する。気孔径分布は、水銀ポロシメーターを用いて水銀圧入法により測定することができる。
典型的なリチウム複合酸化物焼結体板は、層状岩塩構造を有する複数の(すなわち多数の)一次粒子が結合した構造を有している。したがって、これらの一次粒子は層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物で構成される。リチウム複合酸化物とは、典型的には、LiMO(0.05<x<1.10、Mは少なくとも1種類の遷移金属、例えばCo、Ni及びMnから選択される1種以上を含む)で表される酸化物である。典型的なリチウム複合酸化物は層状岩塩構造を有する。層状岩塩構造とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造をいう。すなわち、層状岩塩構造は、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)であるといえる。
層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の好ましい例としては、コバルト酸リチウムLiCoO(式中、1≦p≦1.1)、ニッケル酸リチウムLiNiO、マンガン酸リチウムLiMnO、ニッケルマンガン酸リチウムLi(Ni0.5,Mn0.5)O、一般式:Li(Co,Ni,Mn)O(式中、0.97≦p≦1.07,x+y+z=1)で表される固溶体、Li(Co,Ni,Al)O(式中、0.97≦p≦1.07、x+y+z=1、0<x≦0.25、0.6≦y≦0.9及び0<z≦0.1)で表される固溶体、並びにLiMnOとLiMO(MはCo、Ni等の遷移金属である)との固溶体が挙げられ、特に好ましくはコバルト酸リチウムLiCoO(式中、1≦p≦1.1)、例えばLiCoOである。なお、リチウム複合酸化物焼結体板は、Mg、Al、Si、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Bi等の元素を1種以上さらに含んでいてもよい。
リチウム複合酸化物焼結体板を構成する複数の一次粒子の平均粒径である一次粒径は20μm以下であるのが好ましく、好ましくは15μm以下である。一次粒径は0.1μm以上が典型的であり、より典型的には0.5μm以上である。一般に一次粒子径が小さくなるほど、粒界の数が増加する。そして、粒界の数が多いほど、充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮の際に発生する内部応力が、良好に分散される。また、クラックが生じた際にも、粒界の数が多いほど、クラックの伸展が良好に抑制される。一方、本発明の好ましい態様においては、焼結体板内部の粒子の配向方位が揃っており、その結果粒界に応力がかかりにくく、大きい粒子径においてもサイクル性能が優れる。また、粒子径が大きい場合、充放電時のリチウムイオンの拡散が粒界で遮られることが少なくなり、高速充放電に好ましい。
リチウム複合酸化物焼結体板は気孔を含んでいるのが好ましい。焼結体板が気孔を含むことで、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮によって発生する応力が、当該気孔によって良好(均一)に開放される。このため、充放電サイクルの繰り返しに伴う粒界クラックの発生が可及的に抑制される。また、導電性接合層との界面に含まれる気孔(開気孔)により、接合強度が高まる。このため、充放電サイクルにおけるリチウムイオンの出入りに伴う結晶格子の伸縮による、リチウム複合酸化物焼結体板の形状変化を起因とする、上述の接合界面剥離の発生が、良好に抑制される。したがって、良好なサイクル特性を維持しつつ、高容量化を図ることができる。
リチウム複合酸化物焼結体板の開気孔比率は70%以上であるのが好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。開気孔比率は100%であってもよく、典型的には98%以下、より典型的には95%以下である。開気孔比率を70%以上とすることで、より応力が開放されやすくなり、粒界クラックの発生が効果的に抑制される。これは、以下の理由によるものと考えられる。正極における体積の膨張収縮は、上述のとおり、結晶格子におけるリチウムイオンの出入りが原因である。開気孔は、リチウムイオンの出入りする面によって囲まれた気孔である。このため、開気孔は、閉気孔に比べて、応力を開放する効果が高いものと考えられる。また、開気孔比率を70%以上とすることで、上述の接合界面剥離が、効果的に抑制される。これは、開気孔は表面粗さと見立てることができるところ、開気孔の導入により、表面粗さが大きくなることに起因するアンカー効果で接合強度が高まるからと考えられるためである。また、開気孔内に電解質や導電材等を内在することで、当該開気孔の内壁面は、リチウムイオンの出入りする面として良好に機能する。したがって、開気孔比率を70%以上とすると、単なる気孔(充放電に寄与しない部分)として存在する閉気孔の比率が大きい場合に比べて、レート特性が改善する。
リチウム複合酸化物焼結体板の気孔率が3〜30%であるのが好ましく、より好ましくは5〜30%、さらに好ましくは7〜30%、特に好ましくは10〜25%である。気孔率が3%未満では、気孔による応力開放効果が不十分となる。また、気孔率が30%を超えると、高容量化の効果が著しく減殺されるため好ましくない。
リチウム複合酸化物焼結体板の平均気孔径が15μm以下であるのが好ましく、好ましくは12μm以下、より好ましくは10μm以下である。平均気孔径が15μmを超えると、比較的大きな気孔が生じることとなる。かかる大きな気孔は、通常、きれいな球形ではなく、いびつな形状である。このため、かかる大きな気孔の局所において応力集中が発生しやすくなる。よって、焼結体内で応力を均一に開放する効果が得られにくくなる。平均気孔径の下限値は特に限定されないが、気孔による応力開放効果の観点から、平均気孔径は0.03μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上である。したがって、上述した範囲内であると、粒界クラックの発生と接合界面剥離が良好に抑制される。
本発明の好ましい態様によれば、リチウム複合酸化物焼結体板における気孔径分布のピーク数は1つである。また、リチウム複合酸化物焼結体板における体積基準D10、D50及びD90気孔径は、D50/D10≧2.5、D90/D50≧2.5及びD90/D10≧8.0の関係を満たすものである。ピーク数が1における上記関係は、気孔径分布がなだらかな(ブロードな)正規分布又はそれに類する分布であることを意味している。すなわち、D50/D10≧2.5の関係はD10気孔径とD50気孔径が有意に離れていることを意味する。D90/D50≧2.5の関係もまたD50気孔径とD90が有意に離れていることを意味する。D90/D10≧8.0の関係もまたD10気孔径とD90気孔径がより一層有意に離れていることを意味する。したがって、上記3つの関係は、総じて、D10気孔径、D50気孔径、及びD90気孔径が互いに有意に離れている、すなわち気孔径分布がブロードであることを意味するといえる。そして、かかる特有の気孔径分布が、曲げた際の応力や充放電した際の応力を好都合に分散させることで、耐曲げ性や急速充電性能等の優れた性能を実現するものと考えられる。D50/D10は2.5以上であり、好ましくは2.8〜20、より好ましくは3.0〜18.5、さらに好ましくは3.5〜17である。D90/D50は2.5以上であり、好ましくは2.7〜20、より好ましくは2.8〜18.5、さらに好ましくは3.0〜17.1である。D90/D10は8.0以上であり、好ましくは10〜150、より好ましくは20〜135、さらに好ましくは30〜120である。
本発明の別の好ましい態様によれば、リチウム複合酸化物焼結体板における気孔径分布は少なくとも2つのピークを有する。少なくとも2つのピークは、0μmを超え1.2μm以下の気孔径に対応する第一のピークと、第一のピークに対応する気孔径よりも大きく且つ20μm以下の気孔径に対応する第二のピークとを含む。そして、このように少なくとも2つのピークを有する特有の気孔径分布が、曲げた際の応力や充放電した際の応力を好都合に分散させることで、耐曲げ性や急速充電性能等の優れた性能を実現するものと考えられる。第二のピークに対応する気孔径の、第一のピークに対応する気孔径に対する比は、1.2以上25.0以下であるのが好ましく、より好ましくは1.3以上22.0以下、さらに好ましくは1.4以上20.0以下、特に好ましくは2.0以上17.0以下である。また、上記少なくとも2つのピークは、第二のピークに対応する気孔径よりも大きく且つ20μm以下の気孔径に対応する第三のピークをさらに含んでいてもよい。この場合、第三のピークに対応する気孔径の、第一のピークに対応する気孔径に対する比が、1.2以上25.0以下であるのが好ましく、より好ましくは1.3以上22.0以下、さらに好ましくは1.4以上20.0以下、特に好ましくは2.0以上17.0以下である。
リチウム複合酸化物焼結体板は、X線回折における、(104)面による回折強度(ピーク強度)に対する(003)面による回折強度(ピーク強度)の比率[003]/[104]が5.0以下であるのが好ましく、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下、特に好ましくは2.0以下である。なお、上記X線回折はリチウム複合酸化物焼結体板の板面(すなわち板厚方向と直交する表面)に対して行われるものである。そして、このようにピーク強度比[003]/[104]が低いとサイクル特性が向上する。その理由は以下のように考えられる。充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮(体積膨張収縮)は、(003)面に垂直な方向(すなわち[003]方向)についてのものが、最も大きくなる。このため、充放電サイクルに伴う結晶格子の伸縮を起因とするクラックは、(003)面と平行に入りやすい。また、(003)面は、酸素の最密充填面であって、リチウムイオン及び電子が出入りできない、化学的にも電気化学的にも不活性な面である。この点、上述のように、ピーク強度比[003]/[104]が上記のように低いということは、リチウム複合酸化物焼結体板の板面や正極集電体との接合界面に、さらにはリチウム複合酸化物焼結体板の内部にて板面と平行に、(003)面が出現している割合が、減っていることを意味する。そして、(003)面が接合界面に出現する割合が減ることで、接合界面の接着強度が高まって剥離が抑制されるとともに、容量低下に特に影響する、板面と平行な粒界クラックの発生が、効果的に抑制される。したがって、サイクル特性が向上する。ピーク強度比[003]/[104]は、その下限値は特に限定されないものの、典型的には1.16以上であり、より典型的には1.2以上である。
リチウム複合酸化物焼結体板の厚さは、40〜200μmであるのが好ましく、好ましくは50〜200μm、より好ましくは80〜200μm、さらに好ましくは100〜200μmである。前述のとおり、リチウム複合酸化物焼結体板が厚いほど、高容量及び高エネルギー密度の電池を実現しやすくなる。リチウム複合酸化物焼結体板の厚さは、例えば、リチウム複合酸化物焼結体板の断面をSEM(走査電子顕微鏡)によって観察した場合における、略平行に観察される板面間の距離を測定することで得られる。
製造方法
上述したリチウム複合酸化物焼結体板はいかなる方法で製造されたものであってもよいが、好ましくは、(a)リチウム複合酸化物含有グリーンシートの作製、(b)過剰リチウム源含有グリーンシートの作製、並びに(c)これらのグリーンシートの積層及び焼成を経て製造される。
(a)リチウム複合酸化物含有グリーンシートの作製
まず、リチウム複合酸化物で構成される原料粉末を用意する。この粉末は、LiMOなる組成(Mは前述したとおりである)の合成済みの粒子(例えばLiCoO粒子)であるのが好ましい。リチウム複合酸化物焼結体板における気孔径分布に少なくとも2つのピークを持たせる場合には、少なくとも2種類の原料粉末を用意すればよく、これら少なくとも2種類の原料粉末は、最終製品である焼結体板の気孔径分布において少なくとも2つのピークをもたらすように、互いに異なる体積基準D50粒径を有するように選択される。いずれにしても、各原料粉末の体積基準D50粒径は0.1〜20.0μmが好ましく、より好ましくは0.5〜15.0μmである。原料粉末の粒径が大きいと気孔が大きくなる傾向がある。少なくとも2種類の原料粉末を用いる場合は、均一に混合して混合粉末を得る。次いで、原料粉末又は混合粉末を、分散媒及び各種添加剤(バインダー、可塑剤、分散剤等)と混合してスラリーを形成する。スラリーには、後述する焼成工程中における粒成長の促進ないし揮発分の補償の目的で、LiMO以外のリチウム化合物(例えば炭酸リチウム)が0.5〜30mol%程度過剰に添加されてもよい。スラリーには造孔材を添加しないのが望ましい。スラリーは減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000〜10000cPに調整するのが好ましい。得られたスラリーをシート状に成形してリチウム複合酸化物含有グリーンシートを得る。こうして得られるグリーンシートは独立したシート状の成形体である。独立したシート(「自立膜」と称されることもある)とは、他の支持体から独立して単体で取り扱い可能なシートのことをいう(アスペクト比が5以上の薄片も含む)。すなわち、独立したシートには、他の支持体(基板等)に固着されて当該支持体と一体化された(分離不能ないし分離困難となった)ものは含まれない。シート成形は、周知の様々な方法で行いうるが、ドクターブレード法により行うのが好ましい。リチウム複合酸化物含有グリーンシートの厚さは、焼成後に上述したような所望の厚さとなるように、適宜設定すればよい。
(b)過剰リチウム源含有グリーンシートの作製
一方、上記リチウム複合酸化物含有グリーンシートとは別に、過剰リチウム源含有グリーンシートを作製する。この過剰リチウム源は、Li以外の成分が焼成により消失するようなLiMO以外のリチウム化合物であるのが好ましい。そのようなリチウム化合物(過剰リチウム源)の好ましい例としては炭酸リチウムが挙げられる。過剰リチウム源は粉末状であるのが好ましく、過剰リチウム源粉末の体積基準D50粒径は0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.2〜15μmである。そして、リチウム源粉末を、分散媒及び各種添加剤(バインダー、可塑剤、分散剤等)と混合してスラリーを形成する。得られたスラリーを減圧下で撹拌して脱泡するとともに、粘度を4000〜10000cPに調整するのが好ましい。得られたスラリーをシート状に成形して過剰リチウム源含有グリーンシートを得る。こうして得られるグリーンシートもまた独立したシート状の成形体である。シート成形は、周知の様々な方法で行いうるが、ドクターブレード法により行うのが好ましい。過剰リチウム源含有グリーンシートの厚さは、リチウム複合酸化物含有グリーンシートにおけるCo含有量に対する、過剰リチウム源含有グリーンシートにおけるLi含有量のモル比(Li/Co比)が好ましくは0.1以上、より好ましくは0.1〜1.1となるような厚さに設定するのが好ましい。
(c)グリーンシートの積層及び焼成
下部セッターに、リチウム複合酸化物含有グリーンシート(例えばLiCoOグリーンシート)、及び過剰リチウム源含有グリーンシート(例えばLiCOグリーンシート)を順に載置し、その上に上部セッターを載置する。上部セッター及び下部セッターはセラミックス製であり、好ましくはジルコニア又はマグネシア製である。セッターがマグネシア製であると気孔が小さくなる傾向がある。上部セッターは多孔質構造やハニカム構造のものであってもよいし、緻密質構造であってもよい。上部セッターが緻密質であると焼結体板において気孔が小さくなり、気孔の数が多くなる傾向がある。そして、これらのグリーンシートをセッターで挟んだ状態で、所望により脱脂した後、中温域の焼成温度(例えば700〜1000℃)で熱処理(焼成)することで、リチウム複合酸化物焼結体板が得られる。こうして得られる焼結体板もまた独立したシート状である。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)フィルム外装電池の作製
図4A及び4Bに示される手順に従って、図2A及び2Bに示される封止工程を採用しながら、図1に模式的に示されるような構成のフィルム外装電池10を作製した。具体的には以下のとおりである。
まず、厚さ90μmのLiCoO焼結体板を用意した。このLiCoO焼結体板は前述したリチウム複合酸化物焼結体板の製造方法に従って製造されたものであり、前述したリチウム複合酸化物焼結体板の好ましい諸条件を満たすものである。図4Aに示されるように、この焼結体板を、レーザー加工機で10mm×10mm角の正方形に切断して、複数のチップ状の正極16を得た。
外装フィルム26として、アルミラミネートフィルム(昭和電工パッケージング製、厚さ61μm、ポリプロピレンフィルム/アルミニウム箔/ナイロンフィルムの3層構造)を2枚用意した。図4Aに示されるように、1枚の外装フィルム26に正極集電体14(厚さ9μmの銅箔)を介して複数個のチップ状正極16を積層して、正極組立品17とした。このとき、正極集電体14が外装フィルム26に接着剤で固定された。なお、正極集電体14には、正極端子15が溶接により正極集電体14から延出する形で固定されている。一方、もう1枚の外装フィルム26に、負極集電体22(厚さ10μmの銅箔)を介して、負極20(厚さ130μmのカーボン層)を積層して、負極組立品19とした。このとき、負極集電体22が外装フィルム26に接着剤で固定された。なお、負極集電体22には、負極端子23が溶接により負極集電体22から延出する形で固定されている。
セパレータ18として、ポリプロピレン製多孔質単層膜(Celgard社製、Celgard(登録商標)2500、厚さ25μm)を用意した。図4Aに示されるように、正極組立品17、セパレータ18及び負極組立品19を、正極16及び負極20がセパレータ18と向かい合うように順に積層して、両面が外装フィルム26で覆われ且つ外装フィルム26の外周部分が電池要素12の外縁からはみ出した積層体28を得た。こうして積層体28内に構築された電池要素12(正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20及び負極集電体22)の厚さは0.3mmであり、その形状及びサイズは2.3cm×3.2cmの四角形であった。
図4Aに示されるように、得られた積層体28の3辺Aの封止を行った。この封止は本発明の封止方法を用いて行った。具体的には、図2A及び2Bに示されるように、積層体28の外周部分の1辺Aを、1対の弾性部材32(各厚さ0.5mmの白色半透明シリコーンゴム)を介して、1対の加圧治具30(金属製ヒートバー)で挟み込んだ。この状態で積層体28を200℃、1.5MPaで10秒間加熱プレスして、外周部分で外装フィルム26(アルミラミネートフィルム)同士を熱融着させた。なお、図2AにおいてLはmmであり、Lは0.5mmである。このとき、図2Aに示されるように、外装フィルム26のはみ出し部分のみならずそれに隣接する電池要素12の一部(正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20及び負極集電体22を含む部分)を挟み込むようにして加熱プレスを行った。こうして電池要素12の外縁1辺Aを1対の外装フィルム26で封止した。電池要素12の外縁の他の2辺Aについても同様にして外装フィルム26で封止した。3辺Aの封止後、積層体28を真空乾燥器34に入れ、水分を除去するとともに接着剤を乾燥させた。
図4Bに示されるように、グローブボックス38内において、外縁3辺Aが封止された積層体28の未封止の残り1辺Bにおいて1対の外装フィルム26間の隙間を形成し、その隙間に注入器具36を挿入して電解液24を注入し、絶対圧5kPaの減圧雰囲気下にて簡易シーラーを用いて辺Bを仮封止した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)を3:7(体積比)で混合した有機溶媒にLiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解させたものを用いた。こうして辺Bが仮封止された積層体に初期充電を施し、7日間のエージングを行った。最後に封止した残り1辺Bの外周部分(電池要素を含まない末端部分)を切除して、ガス抜きを行った。
図4Bに示されるように、グローブボックス38内において、絶対圧5kPaの減圧雰囲気下、仮封止の切除により生じた辺B’の封止を以下のとおり行った。この封止もまた本発明の封止方法を用いて行った。具体的には、図2A及び2Bに示されるように、積層体28の外周部分の1辺B’を、1対の弾性部材32(各厚さ0.5mmの白色半透明シリコーンゴム)を介して、1対の加圧治具30(金属製ヒートバー)で挟み込んだ。この状態で積層体28を200℃、1.5MPaで10秒間加熱プレスして、外周部分で外装フィルム26(アルミラミネートフィルム)同士を熱融着させた。なお、図2AにおいてLは1mmであり、Lは0.5mmである。このとき、図2Aに示されるように、外装フィルム26のはみ出し部分のみならずそれに隣接する電池要素12の一部(正極集電体14、正極16、セパレータ18、負極20及び負極集電体22を含む部分)を挟み込むようにして加熱プレスを行った。このとき、電解液24の余剰分を電池要素12の外側に押し出すようにしてプレスを行った。こうして辺B’を1対の外装フィルム26で封止して、フィルム外装電池10とした。フィルム外装電池10をグローブボックス38から取り出し、外装フィルム26の外周の余分な箇所を切除して、フィルム外装電池10の形状を整えた。こうして、電池要素12の外縁4辺が1対の外装フィルム2で封止され、かつ、電解液24が注入された、フィルム外装電池10を得た。フィルム外装電池10の写真が図4Aに示される。得られたフィルム外装電池10はサイズ38mm×27mmの長方形であり、厚さ0.45mm以下、容量30mAhであった。
(2)評価
作製されたフィルム外装電池を以下のとおり評価した。
<封止部分の観察>
フィルム外装電池の封止部分を観察したところ、図5Aに示されるように、シワや液溜まりも無く、きれいな形状であることが確認された。また、フィルム外装電池の外縁近傍の断面をレーザー顕微鏡で撮影したところ、図5Bに示されるように、隙間や液溜まりが無いことが確認された。
<繰り返し曲げ試験>
得られたフィルム外装電池をエポキシ樹脂に埋設して、厚さ0.76mm、サイズ86cm×54cmの長方形の電池内蔵カードを作製した。この電池内蔵カードに対してJIS X 6305−1に準拠して曲げ試験を行った。具体的には、曲げ試験機のカードホルダにカードをセットして、カードに対し、長手方向で表面を凸にする曲げ250回、短手方向で表面を凸とする曲げ250回、長手方向で裏面を凸にする曲げ250回、短手方向で裏面を凸にする曲げ250回の、合計1000回の曲げ試験を行った。繰り返し曲げ試験後のカードを観察したところ、本例のフィルム外装電池にはシワや液溜まりが観察されなかった。
例2(比較)
加圧治具30(ヒートバー)を用いた外縁3辺Aの封止及び残り1辺B’の封止を、図3A及び3Bに示されるように、外装フィルム26(アルミラミネートフィルム)のみを挟み込み(すなわち電池要素12を挟み込まず)、かつ、弾性部材32(シリコーンゴム)を用いないで行ったこと以外は例1と同様にして、フィルム外装電池の作製及び評価を行った。外縁3辺Aの封止及び残り1辺B’の封止は、図3A及び3Bに示されるように、正極16の端からL(=1mm)離れ、かつ、負極20の端からL(=0.5mm)離れた外装フィルム26(アルミラミネートフィルム)の外周部分を加圧治具30(ヒートバー)で加熱プレスすることにより行った。
こうして作製されたフィルム外装電池の封止部分を観察したところ、図6Aに示されるように、シワが存在することが確認された。また、フィルム外装電池の外縁近傍の断面をレーザー顕微鏡で撮影したところ、図6Bに示されるように、隙間や液溜まりの存在が確認された。さらに、繰り返し曲げ試験後のカードを観察したところ、本例のフィルム外装電池にはシワや液溜まりの存在が観察された。
10 フィルム外装電池
12 電池要素
14 正極集電体
15 正極端子
16 正極
17 正極組立品
18 セパレータ
19 負極組立品
20 負極
22 負極集電体
23 負極端子
24 電解液
26 外装フィルム
28 積層体
30 加圧治具
32 弾性部材
34 真空乾燥器
36 注入器具
38 グローブボックス
40 充電器

Claims (15)

  1. フィルム外装電池を製造するための電池要素の封止方法であって、
    正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含む、厚さ0.5mm以下の平板状の電池要素を、前記電池要素のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルムで挟み込み、それにより両面が前記外装フィルムで覆われ且つ前記外装フィルムの外周部分が前記電池要素の外縁からはみ出した積層体を得る工程と、
    前記積層体の外周部分の少なくとも1辺を、前記外装フィルムのはみ出し部分のみならずそれに隣接する前記電池要素の少なくとも一部を挟み込むように、1対の加圧治具で少なくとも1枚の弾性部材を介して挟み込む工程と、
    前記1対の加圧治具で前記弾性部材を介して前記積層体を加熱しながらプレスして、前記1対の外装フィルムを前記はみ出し部分で熱融着させ、それにより前記電池要素の外縁の少なくとも1辺を前記1対の外装フィルムで封止する工程と、
    を含む、方法。
  2. 前記弾性部材がゴムである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記弾性部材の厚さが0.5mm以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記外装フィルムが、樹脂フィルムと金属箔とを含むラミネートフィルムである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記加熱が120〜250℃で行われる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記加圧治具が加熱機能を有する、又は前記加圧治具に加熱手段が付設されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記加圧治具がヒートバーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記電池要素が電解液を含んでおらず、前記封止工程において、前記電池要素の外縁の所定の1辺以外の複数辺が同時に又は別々に封止され、それにより未封止の前記所定の1辺から前記電池要素に電解液が注入可能とされる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記電池要素が電解液をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記加圧治具によるプレスが減圧下で行われる、請求項9に記載の方法。
  11. 前記加圧治具によるプレスが、前記電解液の余剰分を前記電池要素の外側に押し出すように行われる、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記正極がリチウム複合酸化物焼結体板である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記電池要素のサイズが1cm角以上6cm角以下である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. フィルム外装電池の製造方法であって、
    (a)正極集電体、正極、セパレータ、負極、及び負極集電体を含むが、電解液を含まない、厚さ0.5mm以下の平板状の電池要素を、前記電池要素のサイズよりも大きいサイズの1対の外装フィルムで挟み込み、それにより両面が前記外装フィルムで覆われ且つ前記外装フィルムの外周部分が前記電池要素の外縁からはみ出した積層体を得る工程と、
    (b)前記電池要素の外縁の所定の1辺以外の複数辺を、同時に又は別々に、請求項1〜8、12及び13のいずれか一項に記載の方法により前記1対の外装フィルムで封止する工程と、
    (c)未封止の前記所定の1辺から電解液を前記電池要素に注入する工程と、
    (d)前記電解液が注入された前記電池要素の外縁の前記所定の1辺を請求項1〜7及び9〜13のいずれか一項に記載の方法により前記外装フィルムで封止する工程と、
    を含む、方法。
  15. 前記(c)工程後で、かつ、前記(d)工程前に、前記所定の1辺の仮封止、初期充電、及びガス抜きのための前記仮封止の切除が順に行われる、請求項14に記載の方法。


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