JP2021060521A - 調光フィルム及び調光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高価な材料を用いることなく、大型化や電極配置位置に起因する電圧降下が防止される調光フィルムを提供する。【解決手段】通電により光の透過及び散乱を変更可能な調光フィルム200であって、第1基材10、第1透明導電層20、高分子/液晶複合層30、第2透明導電層40、及び、第2基材50がこの順に積層された高分子分散型液晶層を有し、第1透明導電層20及び第2透明導電層40はいずれも、光透過性樹脂と異方性導電性繊維とを含み、第1透明導電層20及び第2透明導電層40における電気抵抗値が異方性を有し、第1透明導電層20及び第2透明導電層40は、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、上記第1の方向と直行する方向を第2の方向としたとき、第1の方向の電気抵抗値(R1)と、上記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が10Ω以上である調光フィルム200。【選択図】図2

Description

本発明は、調光フィルム及び調光装置に関する。
高分子分散型液晶素子は、電界印加の有無により液晶の配列状態が変化し、光の透過(透明状態)と、光の散乱及び吸収の少なくとも一方(不透明状態)と、を変更できる調光素子として知られており、例えば、建築物の窓や壁材、自動車、電車、飛行機等の乗り物の窓や、オフィスや展示会場等のパーテーション等、様々な場面で用いられている。
例えば、特許文献1には、高分子分散型液晶調光構成を、ビルのフランス窓や、車両の天窓及び一般の窓に取り付けることが開示されている。
また、特許文献2には、車両のフロントガラス上にPDLCフィルムを被着して、遮光装置として用いることが開示されている。
また、上記の他にも、高分子分散型液晶素子は、特許文献3のように液晶ディスプレイの視野角制御に用いられたり、特許文献4のようにプロジェクター用のスクリーンとしても用いられている。
このように、様々な場面で用いられている高分子分散型液晶素子であるが、求められる大きさも液晶ディスプレイのような小型なものから建築材のような大型なものまでさまざまであり、いずれの大きさにおいても電圧印加の有無により、透明状態と、不透明状態とを切り替えることが求められている。
特開2017−37115号公報 特表2016−505867号公報 特開平05−72529号公報 特開平06−301005号公報
しかしながら、高分子分散型液晶素子は、大型化すると透明導電層のシート抵抗による電圧降下により電圧が小さくなり、電圧印加状態における、透明性(ノーマルタイプ)、又は、遮光性(リバースタイプ)が低下するという問題があった。特に、意匠性や省スペース化の要請で、高分子分散型液晶素子の2つの電極端子は、高分子分散型液晶素子の同一端の両側で取られることが多いが、このような電極配置とする場合、電圧降下が大きくなる。電圧降下により電圧が低下すると、液晶駆動に必要な電界が得られないため、電圧印加状態において、高分子分散型液晶素子がリバースタイプである場合は遮光性が低下し、高分子分散型液晶素子がノーマルタイプである場合は透明性が低下することとなる。
すなわち、高分子分散型液晶素子の大型化や、電極配置位置に起因し、液晶駆動に必要な電圧が高圧化するという問題が生じていた。なお、低抵抗材料は、高分子分散型液晶素子の導電性基材としては高価であり、上記問題への解決手段として実用性に欠けていた。
そこで本発明は、かかる問題に鑑み、調光フィルムにおける高分子分散型液晶層の透明導電層に異方性を持たせ、調光フィルムの一方向において低抵抗を実現することで、高価な材料を用いることなく、大型化や電極配置位置に起因する電圧降下が防止される調光フィルムを提供することを目的とする。
本発明は、通電により光の透過及び散乱を変更可能な調光フィルムであって、第1基材、第1透明導電層、高分子/液晶複合層、第2透明導電層、及び、第2基材がこの順に積層された高分子分散型液晶層を有し、上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層はいずれも、光透過性樹脂と異方性導電性繊維とを含み、上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層における電気抵抗値が異方性を有し、上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層は、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、上記第1の方向と直行する方向を第2の方向としたとき、第1の方向の電気抵抗値(R1)と、上記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が10Ω以上であることを特徴とする調光フィルムである。
第1基材、第1透明導電層、第2基材及び第2透明導電層は、いずれも全光線透過率が75%以上であることが好ましい。
上記異方性導電性繊維の繊維長が、30μm以上であることが好ましい。
上記異方性導電性繊維の繊維径が、200nm以下であることが好ましい。
上記異方性導電性繊維は、銀ナノワイヤであることが好ましい。
本発明の調光フィルムは、第1透明導電層及び第2透明導電層における表面抵抗率が、350Ω/□以下であることが好ましい。
本発明の調光フィルムは、上記調光フィルムを法線方向から観察した場合に、第1透明導電層における第1の方向を基準として、第2透明導電層における第1の方向とが、±45°の範囲で積層されていることが好ましい。
また本発明は、本発明の調光フィルムと、第1透明導電層と第2透明導電層に対し電位を供給する電源とを備え、上記調光フィルムにおける第1透明導電層は第1電極を有し、上記調光フィルムにおける第2透明導電層は第2電極を有し、上記調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向に対し垂直方向に上記第1電極と上記第2電極とが配置されていることを特徴とする調光装置でもある。
本発明の調光装置は、調光フィルムの同一端面に第1電極と第2電極とが配置されていることが好ましい。
本発明の調光装置は、第1電極及び第2電極が配置されている同一端面に対し垂直な方向の長さが60cm以上であることが好ましい。
本発明によれば、高価な低抵抗材料を用いることなく、高分子分散型液晶素子の大型化や、電極配置位置に起因して生じる電圧降下を効果的に防止することができ、液晶駆動に必要な電圧の高圧化を防止することができる。
実施形態に係る調光フィルムの高分子分散型液晶層の好ましい一例を示す断面図である。(a)は、本発明の調光フィルムがノーマルタイプである場合の高分子分散型液晶層の断面を説明するための図であり、(b)は本発明の調光フィルムがリバースタイプである場合の高分子分散型液晶層の断面を説明するための図である。 実施形態に係る調光フィルムを支持体に貼り合わせた場合の断面模式図である。 実施形態に係る調光装置の概略構成図である。 実施形態で用いられる透明導電層からサンプルを切り出す際のサンプルのレイアウト図である。 調光フィルムに電圧印加電極を設置した調光装置300に、対辺電圧測定用電極を設置した場合の図である。 実施例1〜3で作成した調光フィルムと同様の等価回路のモデリングを説明する図である。 具体的な回路図画面を示すものである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面を参照する場合は参照符号を付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。図1は実施形態に係る調光フィルムの高分子分散型液晶層の好ましい一例を示す断面図である。図1(a)は、実施形態に係る調光フィルムがノーマルタイプである場合の高分子分散型液晶層の断面を説明するための図であり、図1(b)は実施形態に係る調光フィルムがリバースタイプである場合の高分子分散型液晶層の断面を説明するための図である。図2は、実施形態に係る調光フィルムを支持体に貼り合わせた場合の概略断面図である。図3は、実施形態に係る調光装置の概略構成図である。図4は、実施形態で用いられる透明導電層からサンプルを切り出す際のサンプルのレイアウト図である。
図1は、実施形態に係る調光フィルムの高分子分散型液晶層の好ましい一例を示す断面図である。図1(a)に示すように、実施形態に調光フィルム200がノーマルタイプである場合、第1基材10、第1透明導電層20、高分子/液晶複合層30、第2透明導電層40、及び、第2基材50がこの順に積層された高分子分散型液晶層100を有する。また、図1(b)に示すように、実施形態に係る調光フィルム200がリバースタイプである場合、第1基材10、第1透明導電層20、配向膜60、高分子/液晶複合層30、配向膜60、第2透明導電層40、及び、第2基材50がこの順に積層された高分子分散型液晶層100を有する。
図2は、実施形態に係る調光フィルム200を支持体に貼り合わせた場合の断面模式図である。支持体80上に粘着層70を介して調光フィルム200が張り合わされている。上記粘着層70は、粘着層用支持体72を挟み込むようにUVカット粘着層71及び自己粘着層73を有している。支持体80は、建築物の窓や壁材、乗り物の窓等である。
図3は、実施形態に係る調光装置の概略構成図である。本発明の調光フィルム200における第1透明導電層20及び第2透明導電層40にそれぞれ第1電極及び第2電極が繋がれ、第1透明導電層及び第2透明導電層に対し電位を供給する電源を備える。上記第1電極及び第2電極が配置される方向をY方向とすると、調光フィルム200における電気抵抗が最も低い方向はX方向に配置されている。
<調光フィルム>
本発明の調光フィルムは、通電により光の透過及び散乱を変更可能な調光フィルムであって、第1基材10、第1透明導電層20、高分子/液晶複合層30、第2透明導電層40、及び、第2基材50がこの順に積層された高分子分散型液晶層100を有する。
上記第1透明導電層及び第2透明導電層は、いずれも、光透過性樹脂と異方性導電性繊維とを含み、上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層における電気抵抗値が異方性を有し、上記第1透明導電層及び上記第2透明導電層は、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、上記第1の方向と直行する方向を第2の方向としたとき、第1の方向の電気抵抗値(R1)と、前記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が10Ω以上である。このように電気抵抗値が異方性を有する透明導電層を、第1透明導電層及び第2透明導電層として用いることで、本発明の調光フィルムの面内において電気抵抗値の異方性が生じ、特定の方向において最も低い電気抵抗値が得られ、特定方向において低抵抗を実現することができる。以下、第1透明導電層20及び第2透明導電層40について、共通する説明については単に透明導電層と記載して説明する。
ここで、本発明の調光フィルムがノーマルタイプである場合、本発明の調光フィルムは、透明導電層20及び40により電界が印加されていない状態において、高分子/液晶複合層30における液晶材料の向きが不規則な不透明状態となっており、透明導電層20及び40により電界が印加された状態において、高分子/液晶複合層30における液晶材料が配列された透明な状態となる。
一方、本発明の調光フィルムがリバースタイプである場合、本発明の調光フィルムは、透明導電層20及び40により電界が印加されていない状態において、高分子/液晶複合層30における液晶材料(液晶分子)が配列した透明状態となっており、透明導電層20及び40により電界が印加された状態において、高分子/液晶複合層30における液晶材料の向きが不規則な不透明な状態となる。
なお、本発明の調光フィルムは、第1透明導電層及び第2透明導電層による高分子/液晶複合層への電界印加の有無に加え、通電される電圧を変えることで、透明状態(ヘイズ値が最低な低ヘイズ状態)から不透明状態(ヘイズ値が最高な高ヘイズ状態)へ連続して制御できるため、色濃度の濃淡を変化させる諧調制御が可能である。
ところで、調光フィルムは大型化すると、電気抵抗による電圧降下により電圧が小さくなり、液晶駆動に必要な電界が得られない可能性も生じる。調光フィルムがノーマルタイプである場合には、電界印加時の透明性(透視性)が低下し、調光フィルムがリバースタイプである場合には、電界印加時の不透明性(遮蔽性)が低下する。特に調光フィルムがリバースタイプである場合、ノーマルタイプの無印加時と同程度の不透明性(遮蔽性)を得ようとすると、より高い電圧が必要であり、調光フィルムが大型化すると充分な遮蔽性が得られない可能性が生じる。このような課題に対して、従来は調光フィルムに低抵抗透明導電膜を用いることが検討されているが、低抵抗とするために透過率が低下するなどの問題点が生じていた。一方で、透明導電膜については、電気抵抗値の異方性が生じない導電膜の開発が進められていた。
本発明の発明者らは、フィルム全面ではなく特定の一方向において最も低い電気抵抗値(例えば、35Ω以下)が得られると、上述のような大型化(例えば、長辺が60cm以上)による電圧降下を生じさせにくく、液晶駆動に必要な電界を得ることができる調光フィルムを実現することを発案し、本発明を完成させた。
なお、調光フィルムの長辺が60cm以上となる場合、調光フィルムの長辺と略平行になるように調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向を配置させることが好ましい。大型化による電圧降下をより効果的に防止できためである。なお、本発明において「調光フィルムの長辺と略平行になるように調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向を配置させる」とは、上記長辺に対し、調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向を±45°の範囲にすることであるが、好ましくは±15°にすることであり、より好ましくは±5°にすることであり、さらに好ましくは、重複させることである。
(高分子/液晶複合層30)
高分子/液晶複合層30は、高分子分散型液晶により形成されている。
上記高分子分散型液晶としては、特に限定されないが、例えば、透明な高分子材料の中に液晶の液滴を分散させたもの(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、液晶の連続層の中に高分子樹脂のネットワークが形成されたポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、コレステリック液晶を用いた高分子安定型コレステリック液晶(PSCT:Polymer Stabilized Cholesteric Texture)等を挙げることができる。
高分子/液晶複合層30が、上記PDLCにより形成された例について説明する。
一形態において高分子/液晶複合層30は、高分子マトリクス、及び、この高分子マトリクス中に分散された液晶材料を有する。
上記高分子/液晶複合層30は、一例として、重合性を有するモノマーと光重合開始剤、及び重合基を有しない液晶材料を混合し、モノマーが光重合する際に液晶が相分離することにより形成させることができる。これにより、モノマーが重合することで高分子/液晶複合層30の高分子マトリクスが形成され、該高分子マトリクス中に液晶材料が分散される。
上記液晶材料としては、例えば、重合性基を有さない、長手方向を有する液晶分子を含んだ液状の材料であることが好ましい。
上記長手方向を有する液晶分子は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、上記長手方向を有する液晶分子の長手方向に直交する方向での屈折率と、該液晶分子の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なっている。
上記重合基を有しない液晶材料としては、特に限定されないが、例えば、ネマティック材料等を好適に用いることができる。
上記液晶材料の市販品としては、例えば、メルク社製のE7等のネマティック材料等を用いることができる。
また、上記液晶材料としては、特開2007−009120号公報、特開2011−246411号公報に開示されているような種々のものを用いることができる。
上記液晶材料の含有量は、高分子/液晶複合層30の形成に用いられる高分子/液晶複合層用組成物100質量部に対して、50質量部以上95質量部以下であることが好ましい。50質量部未満であると高分子/液晶複合層30の不透明状態での遮蔽性が低下し、本発明の調光フィルムにおいて充分な遮蔽性が得られない場合があるためである。
また、95質量部を超えると、高分子/液晶複合層30における高分子マトリクスの含有量が低下し、本発明の調光フィルムにおいて、充分な強度が得られない場合があるためである。
なお、上記液晶材料の含有量は、高分子/液晶複合層用組成物100質量部に対し、70質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明の調光フィルムをノーマルタイプとして用いる場合、上記液晶材料としては、ポジ型の液晶分子が使用される。この場合、高分子/液晶複合層30に電界が印加されていない状態において、液晶分子の向きは不規則となる。したがって、ノーマルタイプの調光フィルムは、電界が印加されていない状態において、高ヘイズ状態となり白濁し、視認性が低くなる。一方、高分子/液晶複合層30に電界が印加された状態において、液晶分子は配向されるようになる。したがって、ノーマルタイプの調光フィルムは、電界が印加された状態で無色透明又はこれに近い状態となり、これにより調光フィルムを介した視認性が高くなる。
また、本発明の調光フィルムをリバースタイプとして用いる場合、上記液晶材料としては、ネガ型の液晶分子が使用される。この場合、高分子/液晶複合層30に電界が印加された状態において、液晶分子の向きは不規則となる。したがって、リバースタイプの調光フィルムは、電界が印加されている状態において、高ヘイズ状態となり白濁し、視認性が低くなる。一方、高分子/液晶複合層30に電界が印加されていない状態において、液晶分子が配向されるようになる。したがって、リバースタイプの調光フィルムは、電界が印加されていない状態で無色透明又はこれに近い状態となり、これにより調光フィルムを介した視認性が高くなる。
上記高分子マトリクス(樹脂)としては、上記重合基を有しない液晶材料を相分離させることが可能であり、かつ、光透過性の高い材料であればよく、単官能、多官能いずれの重合性モノマー(重合性基)を有する樹脂をも使用することができる。
上記重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
また、上記アクリレート類以外にも、カチオン重合性モノマーとして、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート等の脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類等を用いることもできる。
上記重合性モノマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
本発明の調光フィルムの強度向上の観点から、1,10−デカンジオールジアクリレートが好適に用いられる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル化物、ベンジルケタール類、アセトフェノン類を用いることができる。
上記アセトフェノン類としては、例えば、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、ジアルコキシアセトフェノン、ハロゲン化アセトフェノン等を用いることができる。
これらの光重合開始剤の市販品としては、例えば、BASF社製のイルガキュア(登録商標)907、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュアTPO等を挙げることができる。
上記光重合開始剤は、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
高分子/液晶複合層30は、第1の基材10と第2の基材50との間隔を所定の間隔に保つためのスペーサが含まれていることが好ましい。
上記スペーサは、第1の基材10と第2の基材50との間隔を所定の間隔に保ち、これにより、高分子/液晶複合層30の厚さを所定の厚さに保持する機能を有する。
上記スペーサとしては、例えば、プラスチックビーズ等の光透過性の高い樹脂製のものを用いることができる。また、上記スペーサの形状は特に限定されず、球状であっても不定形であっても良い。
高分子/液晶複合層30は、二色性色素を含んでも良い。
上記二色性色素は、長手方向を有し、上記液晶材料を電界によって配向法を変化させた際に、上記液晶材料の向きの変化に従って向きを変化させ、それに応じて調光フィルムに色味を生じさせることができる材料である。
このため調光フィルムは、上記液晶材料が配列された状態(低ヘイズ状態)において、無色透明又は無色透明に近い状態が維持され、上記液晶材料が分散した状態(高ヘイズ状態)において、所定の色味を有しながら不可視化された状態となる。なお、高分子/液晶複合層30に二色性色素を含まない場合は、上記液晶材料が分散した状態(高ヘイズ状態)において、調光フィルムは単なる白濁により不可視化された状態となる。
ここで所定の色味を、本発明の調光フィルムの周囲の部分と同様の色にすると、本発明の調光フィルムの部分だけ周囲の部分と外観が異なることを防ぐことができる。
また、上記液晶材料が配列された状態(低ヘイズ状態)にある調光フィルムの色味が、周囲の部分の色味と異なるようにして、意匠性を積極的に付与しても良い。
このような二色性色素としては、例えば、特開2007−009120号公報、特開2011−246411号公報に開示されているような種々の公知のものを用いることができる。
高分子/液晶複合層30は、上述した材料のほかに、必要に応じてレベリング剤、重合禁止剤等を含んでも良い。
高分子/液晶複合層30の厚みとしては、上記液晶材料の配列状態を制御し、調光機能を好適に発現させる観点から1μm以上50μm以下であることが好ましく、1μm以上20μm以下であることがより好ましく、1μm以上15μm以下であることがさらに好ましい。
調光フィルムにおける高分子/液晶複合層30は、透明時の全光線透過率が75%以上であることが好ましい。全光線透過率が75%未満であると、光学的性能が不充分となるおそれがある。全光線透過率は、ISO13468(JIS K 7361−1・1997)に準拠して、ヘイズメーター(製品名「ヘイズガードII」、東洋精機製作所製)を用いて、測定することができる。全光線透過率は、高分子/液晶複合層全体で測定したときの値であり、また3回測定して得られた値の算術平均値とする。高分子/液晶複合層30の全光線透過率は、80%以上であることがより好ましく、85%以上であることがさらに好ましい。
また、調光フィルムにおける高分子/液晶複合層30は、透明時のヘイズ値(全ヘイズ値)が、10%以下であることが好ましい。ヘイズ値が10%を超えると、光学的性能が不充分となるおそれがある。ヘイズ値は、ISO14782(JIS K 7136・2000)に準拠して、ヘイズメーター(製品名「ヘイズガードII」、東洋精機製作所製)を用いて、測定することができる。ヘイズ値は、高分子/液晶複合層全体で測定したときの値であり、また3回測定して得られた値の算術平均値とする。高分子/液晶複合層30のヘイズ値は、5%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
調光フィルムにおける高分子/液晶複合層30は、不透明時の全光線透過率が85%以下であることが好ましい。全光線透過率が85%を超えると、光学的性能が不充分となるおそれがある。全光線透過率は、ISO13468(JIS K 7361−1・1997)に準拠して、ヘイズメーター(製品名「ヘイズガードII」、東洋精機製作所製)を用いて、測定することができる。全光線透過率は、高分子/液晶複合層全体で測定したときの値であり、また3回測定して得られた値の算術平均値とする。不透明時の高分子/液晶複合層30の全光線透過率は、80%以下であることがより好ましく、75%以下であることがさらに好ましい。
また、調光フィルムにおける高分子/液晶複合層30は、不透明時のヘイズ値(全ヘイズ値)が、85%以上であることが好ましい。ヘイズ値が85%を未満であると、遮蔽性能が不充分となるおそれがある。ヘイズ値は、ISO14782(JIS K 7136・2000)に準拠して、ヘイズメーター(製品名「ヘイズガードII」、東洋精機製作所製)を用いて、測定することができる。ヘイズ値は、高分子/液晶複合層全体で測定したときの値であり、また3回測定して得られた値の算術平均値とする。高分子/液晶複合層30のヘイズ値は、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
(第1透明導電層20、及び、第2透明導電層40)
第1透明導電層20、及び、第2透明導電層40(以下、共通する材料、性質等について記載するときは、単に透明導電層ともいう)は、通電されることにより上記高分子/液晶複合層30に電界を印加し、これにより上記高分子/液晶複合層30に含まれる液晶材料を駆動する電極として機能する層である。
ここで、液晶材料を「駆動」するとは、液晶材料に含まれる液晶分子の向きを変化させることを意味する。したがって、透明導電層を用いて高分子/液晶複合層に対して電界を印加することにより、上記高分子/液晶複合層の液晶材料に含まれる液晶分子の配向方向を変化させることができる。
上記透明導電層は、光透過性樹脂と異方性導電性繊維とを含み、さらに、上記高分子/液晶複合層に電界を印加することが可能であって、透明と知覚される構成のものを適用することができる。なお、第1透明導電層及び第2透明導電層はいずれも電気抵抗値が異方性を有する。
上記透明導電層は、全光線透過率が75%以上であることが好ましい。全光線透過率が、75%未満であると、調光フィルムとして必要な透明性が不充分となる可能性が生じ、また、上記透明導電層における全光線透過率が、94%以下であることが好ましい。全光線透過率が、94%を超える場合、異方性導電繊維が不足し、透明導電層における電気伝導性が不充分となる可能性が生じる。全光線透過率は、80%以上93%以下であることがより好ましく、90%以上93%以下であることがさらに好ましい。
本発明の調光フィルムを法線方向から観察した場合、第1透明導電層における第1の方向を基準として、第2透明導電層における第1の方向が±45°の範囲で積層されていることが好ましく、±15°の範囲で積層されていることがより好ましく、±5°の範囲で積層されていることがさらに好ましく、重複して積層されていることが最も好ましい。
第1透明導電層における第1の方向(電気抵抗値が最も低い方向)と第2透明導電層における第1の方向とを上記範囲で積層させることで、調光フィルムにおける最も低い電気抵抗値をより効果的に低くすることができるためである。
本発明において、上記異方性導電性繊維は、導電性を有し、かつ長さが太さ(例えば直径)に比べて充分に長い形状を持つものであり、例えば、概ね長さが太さの5倍以上のものは異方性導電性繊維に含まれる。上記透明導電層はこのような異方性導電性繊維を含むことで、透明導電層における電気抵抗が異方性を有する。
上記異方性導電性繊維は、繊維長が、30μm以上であることが好ましい。異方性導電性繊維の繊維長が、30μm以上であると、異方性導電性繊維を含む異方性導電性繊維含有組成物の塗布方向に沿って異方性導電性繊維が並びやすくなり、面内の方向に依存した電気抵抗値の相違が起こり、電気抵抗値が異方性を有しやすくなる傾向があるからである。異方性導電性繊維の繊維長の下限は35μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。また、異方性導電性繊維の繊維長の上限は特に限定されないが、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
上記異方性導電性繊維は、繊維径が200nm以下であることが好ましい。異方性導電性繊維の繊維径が200nmを超えると、透明導電層のヘイズ値が高くなり、光透過性能が不充分となるおそれがある。異方性導電性繊維の繊維径のより好ましい下限は透明導電層の導電性の観点から10nm以上であり、異方性導電性繊維の繊維径のより好ましい範囲は15nm以上180nm以下であり、50nm以上150nm以下であることがさらに好ましい。
上記異方性導電性繊維としては、導電性炭素繊維、金属ナノワイヤ等の金属繊維、金属被覆有機繊維、金属被覆無機繊維、及びカーボンナノチューブ等が挙げられ、中でも銀ナノワイヤを好適に用いることができる。
透明導電層における電気抵抗値は、透明導電層の正方形領域の向かい合う対辺間の電気抵抗値を測定することで得ることできる。なお、透明導電層には電極がついていないため、実際の測定では、長方形状に切り出された透明導電層サンプルに電極を作製し、正方形領域の向かい合う対辺間の電気抵抗値を測定する。具体的には、所定の大きさ(例えば、縦60mm×横50mmの長方形形状)のサンプルを透明導電層から切り出す。得られたサンプルの長手方向の両端部(例えば、各縦5mm×横50mm)の領域全面に、電気抵抗値の測定距離が変動するのを防ぐために、導電性接着剤(例えば、製品名「SX−ECA48」、セメダイン製)を塗布し、例えば縦5mm×横50mmの銅箔を、上記導電性接着剤を塗布した領域と重なるように置き、圧迫しながら室温で2時間放置して接着剤を硬化させ、両端部に銅箔電極が設けられたサンプルを得る。なお、銅箔電極が設けられたサンプルにおける電気抵抗値の測定距離は一定(例えば、50mm)とする。そして、両端部に銅箔電極が設けられたサンプルの電気抵抗値をテスター(例えば、製品名「デジタルマルチメータ CDM−2000D」、カスタム社製)を用いて測定する。電気抵抗値は、3回測定して得られた値の算術平均値とするのがよい。
本発明に用いられる透明導電層は、電気抵抗値が異方性を有し、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、上記第1の方向と直行する方向を第2の方向としたとき、上記第1の方向の電気抵抗値(R1)と、上記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が10Ω以上である。このような透明導電層は、電気抵抗値が充分な異方性を持っており、第1の方向の電気抵抗値(R1)を小さくすることができ、異方性がないものに比べて電圧降下が生じにくくなるためである。上記第1の方向の電気抵抗値(R1)と、上記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が、15Ω以上であることが好ましい。透明導電層における任意の方向の電気抵抗値は、例えば、以下の方法で求めることができる。
<電気抵抗値の異方性の測定>
図4に示されるように、透明導電層20、40の表面Aの面内において、任意の方向AD定め、この任意の方向ADに対しこの任意の方向ADを含め30°毎に6方向の所定の大きさ(例えば、縦60mm×横50mmの長方形形状)のサンプルSを透明導電層20、40から切り出す。透明導電層20、40からサンプルSを切り出した後、それぞれのサンプルSの長手方向の両端部の各縦5mm×横50mmの領域全面に、電気抵抗値の測定距離が変動するのを防ぐために、導電性接着剤(製品名「SX−ECA48」、セメダイン製)を塗布し、縦5mm×横50mmの銅箔を、上記導電性接着剤を塗布した領域と重なるように置き、圧迫しながら室温で2時間放置して接着剤を硬化させ、両端部に銅箔電極が設けられたサンプルSを得る。なお、銅箔電極が設けられた各サンプルにおける電気抵抗値の測定距離は50mmで一定とする。そして、両端部に銅箔電極が設けられた各サンプルの電気抵抗値をテスター(製品名「デジタルマルチメータ CDM−2000D」、カスタム社製)を用いて、測定する。具体的には、両端部に設けられた銅箔電極のそれぞれにテスターの端子を接触させて電気抵抗値を測定する。そして、透明導電層20、40から切り出したサンプルSの中から、電気抵抗値が最も低いサンプルSを見付ける。電気抵抗値が最も低いサンプルSを切り出した方向を第1の方向としたとき、第1の方向と直交する第2の方向から切り出したサンプルSを見付け、第1の方向から切り出したサンプルSの電気抵抗値に対する第2の方向から切り出したサンプルSの電気抵抗値の差を求める。電気抵抗値の差は、3回測定して得られた値の算術平均値とする。
透明導電層における表面抵抗率は、350Ω/□以下であることが好ましい。透明導電層の表面抵抗率が350Ω/□を超えると、電圧降下が大きくなり高分子/液晶複合層における液晶材料を制御するのに充分な電圧が得られない等の不具合が発生するおそれがある。表面抵抗率は、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に準拠して、抵抗率計(製品名「ロレスタEP MCP−T360型」、三菱化学社製、端子形状:ESP)を用いて、測定することができる。
なお、透明導電層の表面抵抗率は、基材上に形成された透明導電層の表面に対し測定して得られた値である。
透明導電層においては、異方性導電性繊維が透明導電層中に均一に分散していることが好ましく、透明導電層の膜厚の半分の位置より高分子/液晶複合層側に偏在していることがより好ましい。透明導電層における異方性導電性繊維の分布は、次のように確認することができる。まず、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000〜50万倍にて導電部の断面写真を10箇所撮影する。なお、STEMやTEMによる撮影の際に用いられるサンプルの作製方法としては、一般的に知られている方法を用いることができる。導電部の断面写真を撮影した後、各断面写真において透明導電層の膜厚の半分の位置を求める。そして、断面写真に現れている異方性導電性繊維がこの半分の位置よりも高分子/液晶複合層側に存在するか否かを判断する。
上記光透過性樹脂は、電気的な導通が得られる程度に異方性導電性繊維を覆い、透明導電層を形成するものである。具体的に、光透過性樹脂として導電性高分子樹脂を用いる場合は、光透過性樹脂は上記異方性導電性繊維の全てを覆うように形成されてもよいが、光透過性樹脂として導電性高分子樹脂を用いない場合は、一部の異方性導電性繊維が、透明導電層の表面に露出するように光透過性樹脂により覆われていることが好ましい。一部の異方性導電性繊維が透明導電層の表面に露出するように異方性導電性繊維を光透過性樹脂で覆うためには、例えば、透明導電層の膜厚を調整すればよい。すなわち、透明導電層の膜厚が厚すぎると、全ての異方性導電性繊維が光透過性樹脂に埋もれてしまうことによって、一部の異方性導電性繊維が透明導電層の表面に露出しなくなってしまい、透明導電層の表面から電気的な導通が得られないおそれがある。また、透明導電層の膜厚が薄すぎると、透明導電層からの異方性導電性繊維の脱離、透明導電層の耐久性の悪化、耐擦傷性の低下が生ずるおそれがある。このため、光透過性樹脂として導電性高分子樹脂を用いない場合は、透明導電層の厚みを適度な厚み、例えば、10〜300nmに調節することが好ましい。透明導電層の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査透過型電子顕微鏡(STEM)、または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて1000〜50万倍にて撮影された透明導電層の断面写真からランダムに10箇所厚みを測定し、測定された10箇所の厚みの算術平均値とする。
上記光透過性樹脂としては、光透過性を有する樹脂であれば、特に限定されないが、重合性化合物の重合体や熱可塑性樹脂、導電性高分子樹脂等が挙げられる。
重合性化合物としては、電離放射線重合性化合物および/または熱重合性化合物が挙げられる。
電離放射線重合性化合物は、1分子中に電離放射線重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における「電離放射線重合性官能基」とは、電離放射線照射により重合反応し得る官能基である。電離放射線重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」および「メタクリロイル基」の両方を含む意味である。また、電離放射線重合性化合物を重合する際に照射される電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマー、電離放射線重合性オリゴマー、または電離放射線重合性プレポリマーが挙げられ、これらを適宜調整して、用いることができる。電離放射線重合性化合物としては、電離放射線重合性モノマーと、電離放射線重合性オリゴマーまたは電離放射線重合性プレポリマーとの組み合わせが好ましい。
電離放射線重合性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
電離放射線重合性オリゴマーとしては、2官能以上の多官能オリゴマーが好ましく、電離放射線重合性官能基が3つ(3官能)以上の多官能オリゴマーが好ましい。上記多官能オリゴマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
電離放射線重合性プレポリマーは、重量平均分子量が1万を超えるものであり、重量平均分子量としては1万以上8万以下が好ましく、1万以上4万以下がより好ましい。重量平均分子量が8万を超える場合は、粘度が高いため塗工適性が低下してしまい、得られる光透過性樹脂の外観が悪化するおそれがある。多官能プレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌレート(メタ)アクリレート、ポリエステル−ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
熱重合性化合物は、1分子中に熱重合性官能基を少なくとも1つ有するものである。本明細書における「熱重合性官能基」とは、加熱により同じ官能基同士または他の官能基との間で重合反応し得る官能基である。熱重合性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基、環状エーテル基、メルカプト基等が挙げられる。
熱重合性化合物としては、特に限定されず、例えば、エポキシ化合物、ポリオール化合物、イソシアネート化合物、メラミン化合物、ウレア化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
導電性高分子樹脂としては、例えば、ポリアセチレン系、ポリ(p−フェニレン)系、ポリ(p−フェニレンビニレン)系、ポリピロール系、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリアニリン、ポリアセン(仮想分子)、グラフェン等の繰返し共役構造を有する高分子に、ドーパントを付与して導電性を持たせたものを挙げることができ、なかでも、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)にポリスチレンスルホン酸(PSS)をドーパントにしたPEDOT/PSSが好ましい。
上記透明導電層における全光線透過率は、75%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
<配向膜60>
本発明の調光フィルム200をリバースモードとして用いる場合、高分子/液晶複合層30と第1透明導電層20との間、及び、高分子/液晶複合層30と第2透明導電層40との間に、配向膜を有する。
配向膜60は、上述した第1透明導電層20の第1基材10を有する面と反対側の面上、及び、第2透明導電層40の第2基材50を有する面と反対側の面上に配向膜用組成物からなる塗工液を塗工して硬化させることによって得られ、配向規制力を発現する。
ここで、配向規制力とは、液晶化合物を所定の方向に配列(配向)させる機能をいう。
配向膜60は、特に限定されないが、例えば、VA液晶表示装置等に適用される各種の垂直配向膜を適用することができ、例えば、ポリイミド配向膜、LB膜による配向膜等を適用することができる。
より具体的に、垂直配向膜としては、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング系垂直配向膜用組成物、長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有する可溶性ポリイミドや長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有するポリアミック酸等のポリイミド系垂直配向膜用組成物等の材料を用いて形成することができる。なお、垂直配向膜用組成物として、ジェイエスアール(株)製のポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS−2021」や「JALS−204」、日産化学工業(株)製の「RN−1517」、「SE−1211」、「EXPOA−018」等の市販品を適用することができる。
配向膜組成物中に用いる溶剤としては、基材(第1基材10及び第2基材50)及び透明導電層(第1透明導電層20及び第2透明導電層40)にダメージを与えない溶剤を適宜選択して用いることができる。
配向膜60の厚みとしては、特に限定されないが、例えば、下限が0.01μm、上限が1.0μmの範囲とすることが好ましく、下限が0.05μm、上限が0.7μmの範囲とすることがより好ましい。
本発明の調光フィルム200は、上記高分子分散型液晶層100を有するものであればよいが、上記高分子分散型液晶層の他に、粘着層、支持体、剥離層等を有していてもよい。
本発明の調光フィルム200は、図2に示すように、粘着層70を介して、建築物の窓や壁材、乗り物の窓等に貼り合わせることにより、好適に用いることができる。
上記粘着層は、本発明の属する分野において一般的に用いられる粘着剤により形成することができるが、例えば透明性に優れるアクリル系粘着剤、ウレタン粘着剤、シリコーン系粘着剤、及び、水系粘着剤等の粘着材や、施工時の貼り直し作業に対応するため再剥離性を有するアクリル系微粘着剤、シリコーン系微粘着剤、オレフィン系エストラマー自己粘着剤等の粘着剤を適宜選択して用いることができる。また、上記粘着層は耐光剤を有してもよい。
<調光装置>
本発明の一実施形態に係る調光装置は、本発明の調光フィルムと、第1透明導電層と第2透明導電層に対し電位を供給する電源とを備え、上記調光フィルムにおける第1透明導電層は第1電極を有し、上記調光フィルムにおける第2透明導電層は第2電極を有し、上記調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向に対し垂直方向に上記第1電極と上記第2電極とが配置されている。上述の通り本発明の調光フィルムは、特定の方向において最も低い電気抵抗値を有するため、本発明の調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向に対し垂直方向に第1電極及び第2電極が配置されることで、電圧降下による電圧低下を効果的に防止することができる。図3に示すように上記第1電極及び第2電極が配置される方向をY方向とすると、調光フィルム200における電気抵抗が最も低い方向は、Y方向に対し垂直方向であるX方向に配置されている。
なお、調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向は、調光フィルムを法線方向から観察した場合に、第1透明導電層における第1の方向と第2の透明導電層における第1の方向とが重複して積層されている場合は、第1透明導電層及び第2透明導電層における第1の方向と同じ方向である。一方、調光フィルムを法線方向から観察した場合に、第1透明導電層における第1の方向と第2の透明導電層における第1の方向とが角度をもって積層されている場合、第1透明導電層における第1の方向と第2の透明導電層における第1の方向とで形成される45°以下の角を二等分する線方向が、調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向に該当する。
上記第1電極と第2電極とは、調光フィルムの同一端側に配置されていることが好ましい。本発明の調光フィルムが利用されるのは、建築物の窓や壁材、乗り物の窓等であり、意匠性が重要視される部分である。そのため同一端側に第1電極と第2電極とを配置することにより電極部の小スペース化が図られ、意匠性が向上する。
なお、同一端側で電極をとると電圧降下が大きくなるが、本発明の調光装置では、調光フィルムの電極が配置される端に対し垂直な方向に、調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向が重複するため、電圧降下を効果的に抑制することができる。
本発明の調光フィルム装置は、第1電極と第2電極とが配置されている同一端面に対し垂直な方向の長さが、60cm以上であることが好ましく、600cm以下であることが好ましい。一般的に同一端側で電極をとると、電極が配置されている同一端面に対し垂直な方向の長さが60cm以上になると、電圧降下が顕著に生じ、調光フィルム全体において、電圧が低下する。しかし、本発明の調光フィルム装置においては、電極が配置されている同一端面に対し垂直な方向の長さが60cm以上であっても電圧降下が効果的に予防され、調光フィルム装置全体において電圧印加を制御できるためである。また、600cmを超えると電圧降下が顕著となり、相対的に本発明の効果が小さくなる。
<調光フィルムの製造方法>
本発明の調光フィルム200の製造方法の一例について説明する。
まず、第1基材の一方の面側にハードコート層を形成し、その上に異方性導電性繊維を含む異方性導電性繊維含有組成物を塗布し乾燥させ、その上に、光透過性樹脂を含む光透過性樹脂用組成物を塗布し乾燥させ、第1透明導電層20を形成する。
その一方で、第2基材50の一方の面側にハードコート層を形成し、その上に異方性導電性繊維を含む異方性導電性繊維含有組成物を塗布し乾燥させ、その上に、光透過性樹脂を含む光透過性樹脂用組成物を塗布し乾燥させ、第2透明導電層40を形成する。
次いで、液晶材料、重合性モノマー、及び、光重合開始剤を混合した高分子/液晶複合層用組成物を、第1透明導電層20上に塗布した後、上記高分子/液晶複合層用組成物の塗布層と、第2透明導電層40とが接するようにして、第2透明導電層40と第2基材50とを重ねる。
その後、露光して、高分子/液晶複合層用組成物の塗布層を硬化させて高分子/液晶複合層30を形成する。
得られた高分子分散型液晶層100を用途に応じて裁断し、必要に応じて粘着層70及び剥離層等を積層することで、調光フィルム200を得ることができる。
<調光装置の製造方法>
また、得られた調光フィルム200における透明導電層(第1透明導電層20及び第2透明導電層40)に対し電極加工を行い電源と接続することで、調光装置300を得ることができる。
以下、本発明の実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
<高分子/液晶複合層用組成物の作製>
ネガ型液晶材料(79.6質量部)、1,10−デカンジオールジアクリレート(20.0質量部)、光重合開始剤としてBASF社製イルガキュアTPO(0.4質量部)を混合し、高分子/液晶複合層用組成物を作製した。
<異方性導電性繊維含有組成物の作製>
還元剤としてエチレングリコール(EG)を、有機保護層としてポリビニルピロリドン(PVP:平均分子量130万、アルドリッチ社製)を使用し、下記に示した核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、異方性導電性繊維含有組成物を調製した。
1.核形成工程
反応容器内で160℃に保持したEG液100mLを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0モル/L)2.0mLを、一定の流量で1分間かけて添加した。その後、160℃で10分間保持しながら銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことを確認した。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)10.0mLを一定の流量で10分間かけて添加した。
2.粒子成長工程
上記核形成工程を終了した後の核粒子を含む反応液を、攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)100mLと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.0×10−1モル/L)100mLを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。この粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた銀ナノワイヤの繊維径および繊維長を測定したところ、銀ナノワイヤの繊維径は30nmであり、繊維長は40μmであった。銀ナノワイヤの繊維径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1000〜50万倍にて50本の導電性繊維の繊維径を測定し、その50本の導電性繊維の繊維径の算術平均値として求めた。また、銀ナノワイヤの繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、1000〜50万倍にて50本の導電性繊維の繊維長を測定し、その50本の導電性繊維の繊維長の算術平均値として求めた。なお、以下の銀ナノワイヤの繊維径および繊維長も同様にして求めた。
3.脱塩水洗工程
粒子成長工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、分画分子量0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施すとともに、溶媒をエタノールに置換した。そして、液量を100mLまで濃縮して銀ナノワイヤ分散液を得た。最後に、銀ナノワイヤ濃度が0.1質量%となるようにエタノールとイソプロピルアルコール(IPA)で希釈し、異方性導電性繊維含有組成物を得た。IPAの比率は組成物全体の30質量%とした。
<光透過性樹脂用組成物>
下記に示す組成となるように各成分を配合して、光透過性樹脂用組成物を得た。
(光透過性樹脂用組成物)
・ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(製品名「KAYARAD−PET−30」、日本化薬社製):5質量部
・重合開始剤(製品名「イルガキュア184」、BASFジャパン社製):0.25質量部
・メチルエチルケトン(MEK):70質量部
・シクロヘキサノン:24.75質量部
<配向膜用組成物の作製>
重合性モノマー5.3質量部、重合性液晶材料2.4質量部、光重合開始剤0.3質量部、ケトン系溶剤46質量部、脂肪族炭化水素系溶剤46質量部を混合し、配向膜材料を作製した。
<調光フィルム1の作製>
120μm厚のPETフィルム基材上に厚さ2μmのハードコート層を形成し、次いでハードコート層表面に上記異方性導電性繊維含有組成物を塗布し乾燥させ、さらにその上から上記光透過性樹脂用組成物を塗布し乾燥させ、透明導電層を得た。透明電極層の導電側に、ポリイミド系垂直配向膜用組成物をダイコーターで塗工した後、120℃で2分間乾燥させ、そのまま室温まで冷却することにより配向膜付透明電極基材を得た。なお、硬化後の配向膜の膜厚は、約300nmであった。
次に、得られた配向膜付透明電極基材の配向膜上に、ビーズスペーサ(積水化学株式会社製 ミクロパールSP208)を散布し、上記高分子/液晶複合層用組成物を滴下し、もう一枚の配向膜付透明電極基材とラミネート後、紫外線を0.2mW/cmの強度で30分間にわたって照射し、高分子/液晶複合層用組成物を硬化させて、基材、透明導電層、配向膜、高分子/液晶複合層、配向膜、透明導電層及び基材がこの順に積層された積層体1を作製した。このとき、2枚の透明電極基材の電気抵抗値が最も低い方向が平行となるようにした。積層体1を縦10cm×横10cmの矩形に裁断し、矩形の4辺のうち、対向する2辺は電気抵抗値が最も低い方向と平行で、もう2辺が垂直となるようにした。電気抵抗値が最も低い方向と垂直となる2辺の表裏に2対の電極を作製し、1対を電源用電極、もう1対を電圧測定用電極として、実施例1に係る調光フィルム1を作製した。
(電極作製)
図5は、調光フィルム1に電圧印加電極を設置した調光装置300に、対辺電圧測定用電極を設置した場合の図である。図5に示すように、電源電圧を印加するための電圧印加電極と対辺電圧測定用電極とは、調光フィルム1において、第1の方向(X方向)と垂直な辺に設置される。
電極は、実施例1に係る調光フィルム1の端部において、角を含む1cm×3cmの矩形範囲で第1基材と第1透明導電層を切り取り、高分子/液晶複合層を露出させ、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)等の溶剤を染込ませたウエス等で高分子/液晶複合層と配向膜を拭き取り、第2の透明導電層を露出させ、露出した領域からはみ出ないように導電性接着剤(製品名「SX−ECA48」、セメダイン社製)を塗布し、銅箔を、導電性接着剤を塗布した領域と重なるように置き、圧迫しながら室温で2時間放置して接着剤を硬化させ電極を作製した。実施例1に係る調光フィルム1の電気抵抗値が最も低い第1の方向に対し、電極用電源の配置方向が垂直になるように、調光フィルム1の角を含む1cm×3cmの矩形範囲で第2基材と第2透明導電層を切り取り、上述と同様の方法で第1の透明導電層を露出させ、ここに電極を作製した。すなわち、調光フィルム1を表裏で挟むように電源用電極を作製し、調光フィルム1の電気抵抗値が最も低い方向と垂直となる2辺のうち1辺の表裏に1対を電源用電極を設けた。次に、電気抵抗値が最も低い方向と垂直となる2辺の、残りの1辺の表裏に、上記と同様にして1対の対辺電圧測定用電極を設けた。
(実施例2及び3)
積層体1を裁断した寸法と電極の寸法が下記表1に記載の寸法となるように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2、3に係る調光フィルム2、3を作製した。
(電気抵抗値の測定)
なお、実施例1〜3に係る調光フィルム1〜3の製造において、PETフィルム基剤上に透明導電層が形成された時点で、下記方法により透明導電層の電気抵抗値が最も低い第1の方向(X方向)及び第1の方向に垂直な第2の方向(Y方向)を決定し、各方向における電気抵抗値を測定し記録した。測定結果を下記表1に記載する。
透明導電層の面内において、任意の方向を定め、この任意の方向に対しこの任意の方向を含め30°毎に6方向の縦60mm×横50mmの長方形状のサンプルを透明導電層から切り出した。透明導電層からサンプルを切り出した後、それぞれのサンプルの長手方向の表面の両端部の縦5mm×横50mmの領域全面に導電性接着剤(製品名「SX−ECA48」、セメダイン製)を塗布し、縦5mm×横50mmの銅箔を、導電性接着剤を塗布した領域と重なるように置き、圧迫しながら室温で2時間放置して接着剤を硬化させ、両端部に銅箔電極が設けられたサンプルを得た。なお、両端部に銅箔電極が設けられた各サンプルにおける電気抵抗値の測定距離は50mmで一定とした。そして、両端部に銅箔電極が設けられた各サンプルの電気抵抗値をテスター(製品名「デジタルマルチメータ CDM−2000D」、カスタム社製)を用いて、測定した。具体的には、両端部に設けられた銅箔電極のそれぞれにテスターの端子を接触させて電気抵抗値を測定した。そして、この6方向から切り出したサンプルの中から、電気抵抗値が最も低いサンプルを見付け電気抵抗値を記録した。このサンプルが透明導電層の第1の方向から切り出したものであるとしたとき、第1の方向と直交する第2の方向から切り出したサンプルを見付け電気抵抗値を記録した。電気抵抗値は、3回測定して得られた値の算術平均値とした。測定結果を下記表1に示す。
(表面抵抗率の測定)
また、実施例1〜3に係る調光フィルム1〜3の製造において、PETフィルム基剤上に透明導電層が形成された時点で、接触式の抵抗率計(製品名「ロレスタEP MCP−T360型」、三菱化学社製、端子形状:ESP)を用いて、JIS K7194:1994(導電性プラスチックの4深針法による抵抗率試験方法)に従って透明導電層の表面抵抗率を測定した。測定結果を下記表1に示す。
(調光フィルムの表裏電圧の測定)
また、得られた実施例1〜3に係る調光フィルム1〜3について、電源用電極に交流50Hz100Vを印加したときの、対辺電圧測定用電極での電圧をテスター(製品名「デジタルマルチメータ CDM−2000D」、カスタム社製)を用いて測定し、記録した。具体的には、表裏に設けられた1対の対辺電圧測定用電極にテスターの端子を接触させて電圧を測定した。測定結果を下記表1に示す。
Figure 2021060521
(実施例及び比較例に係るシミュレーション)
次に、実施例1〜3で作製した調光フィルムと同様の等価回路を作成し、電気回路計算ソフト(製品名「LTspice XVII」 Analog Devices社製)を用いて、電源100V50Hzを印加した際の調光フィルムについて、電極が設けられた一辺と相対する対辺における電圧をシミュレーションにより求めた。図6は、実施例1〜3で作成した調光フィルムと同様の等価回路のモデリングを説明する図である。モデリングにおいては、調光フィルムを10cm×10cmで構成されるセルの集合体と想定し、図6に示すように、1つのセル(モデリングイメージ400)について、第1透明導電層420及び第2透明導電層440の第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)における電気抵抗値と、高分子/液晶複合層(PDLC)の静電容量、シート抵抗(並列電流)及び透過電流とを考慮し設計した。図7は具体的な回路図画面を示すものである。図7に示されるように、1つのセル(10cm×10cm)が縦×横に複数配置されることにより、実施例1〜3で作製した調光フィルムと同様の等価回路のモデリングを作成した。
(計算実施例1〜9)
計算実施例では、上述のように設計された調光フィルムの各透明導電層の1つのセル(10cm×10cm)当たりのX方向抵抗値を30Ω、Y方向抵抗値を45Ωとし、高分子/液晶複合層の静電容量64.5nF、並列抵抗87.7kΩとして、Y方向に電圧電源を配置するように設計し、2枚の透明導電膜の電位差を縦1セル×横1セル分をシミュレーションにより計算した。
各計算実施例では、調光フィルムの、縦セル数と横セル数とを下記表2に記載の個数とし、計算実施例毎に大きさの異なる調光フィルムを設計し、これに対し上述のシミュレーションを適用した。シミュレーション結果は、以下表2に示す通りである。また、表2には、下記で説明する調光フィルムの大きさが同じ計算参考例に対する差を記載する。
(計算比較例1〜6)
計算比較例では、上述のように設計された調光フィルムの各透明導電層の1つのセル(10cm×10cm)当たりのX方向抵抗値を45Ω、Y方向抵抗値を30Ωとし、高分子/液晶複合層の静電容量64.5nF、並列抵抗87.7kΩとして、Y方向に電圧電源を配置するように設計し、2枚の透明導電膜の電位差を縦1セル×横1セル分をシミュレーションにより計算した。
各計算比較例では、調光フィルムの、縦セル数と横セル数とを下記表2に記載の個数とし、計算比較例毎に大きさの異なる調光フィルムを設計し、これに対し上述のシミュレーションを適用した。シミュレーション結果は、以下表2に示す通りである。また、表2には、下記で説明する調光フィルムの大きさが同じ計算参考例に対する差を記載する。
(計算参考例1〜6)
計算参考例では、上述のように設計された調光フィルムの各透明導電層の1つのセル(10cm×10cm)当たりのX方向抵抗値を37.5Ω、Y方向抵抗値を37.5Ωとし、高分子/液晶複合層の静電容量64.5nF、並列抵抗87.7kΩとして、透明導電層に異方性を有さない調光フィルムのY方向に電圧電源を配置するように設計し、2枚の透明導電膜の電位差を縦1セル×横1セル分をシミュレーションにより計算した。
各計算参考例では、調光フィルムの、縦セル数と横セル数とを下記表2に記載の個数とし、計算参考例毎に大きさの異なる調光フィルムを設計し、これに対し上述のシミュレーションを適用した。シミュレーション結果は、以下表2に示す通りである。
Figure 2021060521
表1の結果から、透明導電層の電気抵抗値が最も低い第1の方向に対し、垂直となるように電極を配置することで、上記第1の方向の大きさが増えた場合においても対辺電圧の電圧降下は大きくみられなかった。
また、表2の計算実施例1〜3で得られたシミュレーションによる対辺電圧は、表1の実施例1〜3で実際に得られた対辺電圧の電圧降下傾向と似ており、シミュレーションによる計算の信頼性を確認した。
また、表2の計算実施例1〜9の結果から、透明導電層に異方性を有し、透明導電層の電気抵抗値が最も低い第1の方向に対し垂直になるように電極を配置することで、調光フィルムの電圧電極方向と垂直な方向(第1の方向)の長さが600cmまで増加した場合でも対辺電圧が20V以上に維持されており、高分子/液晶複合層中の液晶の向きを制御するには充分な電圧が得られることを確認した。
一方、透明導電層の電気抵抗値が異方性を有しても、透明導電層の電気抵抗値が低い第1の方向に対して平行に電極が配置されている計算比較例1〜6、及び、透明導電層の電気抵抗値が異方性を有さない計算参考例1〜6に係る調光フィルムは、電極方向と垂直な方向の長さが600cmまで増加した場合に、対辺電圧が20Vに維持されていない。これにより、高分子/液晶複合層中の液晶の向きを制御するには充分な電圧が得られないことを確認した。
本発明によれば、調光フィルムの大型化による電圧降下を効果的に予防することが可能であるため、建築物の窓や壁材、自動車、電車、飛行機等の乗り物の窓や、オフィスや展示会場等のパーテーション等に加え、持ち運びが可能な可動式パーテーションや、表示ボード及び看板等に好適な調光フィルム及び調光装置を提供することができる。
10 第1基材
20 第1透明導電層
30 高分子/液晶複合層
40 第2透明導電層
50 第2基材
60 配向膜
70 粘着層
71 UVカット粘着層
72 粘着層支持体
73 自己粘着層
80 支持体
100 高分子分散型液晶層
200 調光フィルム
300 調光装置
400 モデリングイメージ
420 モデリングにおける第1透明導電層
440 モデリングにおける第2透明導電層
A 透明導電層20、40の表面
S サンプル

Claims (10)

  1. 通電により光の透過及び散乱を変更可能な調光フィルムであって、
    第1基材、第1透明導電層、高分子/液晶複合層、第2透明導電層、及び、第2基材がこの順に積層された高分子分散型液晶層を有し、
    前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層はいずれも、光透過性樹脂と異方性導電性繊維とを含み、前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層における電気抵抗値が異方性を有し、
    前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層は、最も低い電気抵抗値が得られる方向を第1の方向とし、前記第1の方向と直行する方向を第2の方向としたとき、第1の方向の電気抵抗値(R1)と、前記第2の方向の電気抵抗値(R2)との差が10Ω以上である
    ことを特徴とする調光フィルム。
  2. 第1基材、第1透明導電層、第2基材及び第2透明導電層は、いずれも全光線透過率が75%以上である請求項1に記載の調光フィルム。
  3. 異方性導電性繊維の繊維長が、30μm以上である請求項1又は2に記載の調光フィルム。
  4. 異方性導電性繊維の繊維径が、200nm以下である請求項1、2又は3に記載の調光フィルム。
  5. 異方性導電性繊維は、銀ナノワイヤである請求項1、2、3又は4に記載の調光フィルム。
  6. 第1透明導電層及び第2透明導電層における表面抵抗率が、350Ω/□以下である請求項1、2、3、4又は5に記載の調光フィルム。
  7. 調光フィルムを法線方向から観察した場合に、第1透明導電層における第1の方向を基準として、第2透明導電層における第1の方向が、±45°の範囲で積層されている請求項1、2、3、4、5又は6に記載の調光フィルム。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載の調光フィルムと、
    第1透明導電層と第2透明導電層に対し電位を供給する電源とを備え、
    前記調光フィルムにおける第1透明導電層は第1電極を有し、
    前記調光フィルムにおける第2透明導電層は第2電極を有し、
    前記調光フィルムの電気抵抗値が最も低い方向に対し垂直方向に前記第1電極と前記第2電極とが配置されていることを特徴とする調光装置。
  9. 調光フィルムの同一端側に第1電極と第2電極とが配置されている請求項8に記載の調光装置。
  10. 第1電極と第2電極とが配置されている同一端面に対し垂直な方向の長さが60cm以上である請求項9に記載の調光装置。
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