JP2019128376A - 調光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜の配線抵抗が高いことに起因して、給電位置から離れた領域での調光層に印加される実効電圧が低下し、印加電圧の相違に基づいて領域毎の光散乱度(透過率)が均一にならない問題を解消して、面積の大きい調光シートであっても、駆動電圧に応じたシート内の光散乱度(透過率)の均一化の実現に供することを目的とする。【解決手段】透明導電膜上には、電気抵抗率が100nΩ・m以下の金属を含む単体または合金から選択される材料からなるワイヤー状配線が電気的接続されており、透明導電膜上における前記ワイヤー状配線の占有面積率は10%以下であり、前記ワイヤー配線を含めた透明導電膜全体の合成抵抗が90Ω/□以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電気的制御によって光の透過状態を制御する光学素子を備えた調光体に関し、特に、透明電極層付き透明基材により挟持された液晶素子を駆動するタイプの調光体における透明電極層の改良された調光体に関する。
以降の説明においては、調光体,調光素子,調光装置,調光シート,調光フィルムなど各種用語を混在して用いることもある。これは透明基材が、例えばガラス板,アクリル板などのリジッドな基材であったり、フレキシブルな樹脂フィルムであったり、フレキシブルな調光フィルムが厚さ,剛性確保のため、リジッドな基材に固定される(あるいは、挟持された合わせガラスの形態とされる)ことに伴う最終形態に伴う相違である。本願ではそれらを同義語として取扱うものとする。
不透明状態(あるいは白濁状態)と透明状態とを切り替える調光シートは様々な用途で用いられている。例えば、調光シートは、電極間に保持された液晶層を備え、電極に印加する電圧により液晶層に含まれる液晶分子の配向状態を変化させて、入射した光を散乱する不透明状態と、入射した光を透過する透明状態とを切り替え可能に構成されている。(例えば、特許文献1参照)調光シートは、例えばガラス等の透明基材に固定することにより、建築物のみならず車両等(鉄道,バス,船舶,航空機)向けの窓ガラスや展示ウィンドウ,間仕切りなどに採用することが可能となる。例えばプライベート空間とパブリック空間とを分離するため等、空間を分離する設備の他、自動車のサンルーフやサンバイザー用途としての利用についても好適な製品として調光シートは提案されている。
液晶材料を用いた液晶素子としては、TN(Twisted Nematic)モードが実用化されている。このモードでは、液晶の旋光特性を利用して、光のスイッチングを行うものであり、液晶素子として用いる際には、偏光板を用いる必要がある。しかし、偏光板を用いることで光の利用効率が低くなる。偏光板を用いずに光の利用効率の高い液晶素子として、液晶の透過状態(透明状態ともいう)と散乱状態との間でスイッチングを行う液晶素子がある。液晶素子としては、一般的に、液晶分子がポリマー中に分散配置された高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)や、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置された液晶分子を有するポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)を用いたものが知られている。PDLC,PNLCはいずれも、紫外線により重合する重合性化合物を含む液晶組成物の一部又は全体が液晶性を示している。そして、PDLC,PNLCのいずれも、紫外線照射により上記液晶組成物の硬化が行われ、液晶と重合性化合物との硬化物複合体を形成する工程を経て製造される。
上記液晶素子を調光層として用いる調光フィルムには、その使用態様により、ノーマルモードとリバースモードの二種が知られている。ノーマルモードとは、電圧印加(ON)により透過状態となり、電圧除去(OFF)により散乱状態となるモードを言う。また、リバースモードとは、電圧除去(OFF)により透過状態となり、電圧印加(ON)により散乱状態となるモードを言う。
調光シートの電極としてITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、有機導電膜などの透明導電膜を用いると配線抵抗が高くなり、電極面上で電圧勾配が生じ、駆動する調光シートの面積が大きくなると、駆動電圧を高くする必要があった。ここで、ITOと銅の電気抵抗は以下の値をとる。
ITO:1.5〜22.0×10-4 [Ωcm]
銅:1.68 ×10-7 [Ωcm]
上記の通り、透明導電膜の電気抵抗値は銅のような導電性の良い金属に比べて格段に高く、シート抵抗値においても、プラスチック基板に成膜したITOでは膜厚に応じて80〜500Ω/□となり、駆動電圧においては、内部実効電圧20(V)を維持するために外部入力電圧70(V)が必要となる事例も確認されている。
図5は、給電部(電極端子)を含む調光シート10全体の一例を示す説明図である。
透明導電フィルムは、フィルム基材上に透明な導電材料からなる透明電極を成膜してなる透明導電フィルムを互いの透明電極側を対向した状態で調光層を挟持する。
透明導電フィルムを構成する透明基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,ポリエチレン(PE)フィルム,ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。透明基材の厚みは、約50〜200μm程度が望ましい。
透明電極(透明導電膜)には、一般的にITOなどの金属酸化物が用いられるが、ITOに替えて導電性ポリマーを採用することも可能である。導電性ポリマーとしては、PEDOT/PSSに例示されるπ共役系導電性高分子にドープされたポリアニオンを含む材料の採用が好適である。透明電極の好適な厚さは80nm以上150nm以下である。
図5(a)は、調光シート全面の表示(透過/散乱)が切り替わる用途・形態での、透明電極(透明導電膜)がフィルム基材全面にベタ状に成膜されてなる構成に係る説明図である。
全面を一括的に切り替える用途・形態では、液晶素子を挟持する2枚の透明導電フィルムには、フィルム基材全面にベタ状に成膜されてなる透明電極(透明導電膜)を具備する構成となり、電極サイズが大きいため、電極面上での電圧勾配の問題が顕著となる。
全面一括でなく領域毎に選択的に表示(透過/散乱)を切り替える用途・形態では、少なくとも一方の透明電極(透明導電膜)を領域分割してなる構成となり、分割された領域毎に給電部(電極端子)を要することになる。
一方の透明電極(透明導電膜)が領域分割され、他方は全面ベタ状の透明電極(透明導電膜)を有する透明導電フィルムを具備する調光シート(駆動による表示の切り替わりは分割領域毎に選択的となる)の構成例を図7(b)(c)に示す。
図2は、調光シートの電極の一端から印加する電圧に対する、調光シートの直進透過率の値を給電位置からの距離毎に例示するグラフである。この例では、調光シートの直進透過率は中間調を含めた3段階(透明,中間階調,白濁)で変化するものとする。
同図では、給電位置に最も近い調光シートの領域における、印加電圧に対する直進透過率の変化の一例を実線で示している。給電位置から近い順に、破線a,破線b,破線cにより、調光シートの領域における印加電圧に対する直進透過率の変化の一例を示している。
同図に示す例によれば、調光シートの給電位置から離れた領域ほど、給電電圧に対する直進透過率は低くなっている。これは、透明導電膜の配線抵抗により電圧降下が発生し、給電位置から離れた領域ほど調光層に印加される実効電圧が低下する為である。
上記のように、ノーマルモードの場合、面積の大きい調光シートの全ての領域が透明となるように駆動するには駆動電圧を高くする必要があり、駆動電力を低く抑えることは困難であった。そのため、面積の大きな調光シートについて、全面の透過率(透明性)の均一性を確保することが困難であり、調光モジュールの品質を低下させる可能性があった。
尚、大面積の調光シートにおいて、透明導電膜の配線抵抗が高いことに伴い、給電位置からの距離に応じた駆動電圧の相違に基づき領域毎の光散乱度(透過率)が均一にならず差異が生じる現象は、調光シートがリバースモードの場合も同様である。
特開2014−146051号公報
本発明は、透明導電膜の配線抵抗が高いことに起因して、給電位置から離れた領域での調光層に印加される実効電圧が低下し、印加電圧の相違に基づいて領域毎の光散乱度(透過率)が均一にならない問題を解消して、面積の大きい調光シートであっても、駆動電圧に応じたシート内の光散乱度(透過率)の均一化の実現に供することを目的とする。延いては、調光シートの駆動電圧〜消費電力の低下に寄与する調光シートを提供することを目的とする。
本発明の調光体は、
少なくとも透明導電膜が形成された透明基材に調光層が挟持されてなり、調光層への印加電圧に応じてヘイズを2段階以上に切替可能な調光体において、
透明導電膜上には、電気抵抗率が100nΩ・m以下の金属を含む単体または合金から選択される材料からなるワイヤー状配線が電気的接続されており、
透明導電膜上における前記ワイヤー状配線の占有面積率は10%以下であり、前記ワイヤー配線を含めた透明導電膜全体の合成抵抗が90Ω/□以下であることを特徴とする。
給電部の形成箇所を増やす(あるいは、変更する)ことを要さず、または、透明導電膜の配線抵抗(シート抵抗)を低下させるために、透明導電膜の厚さを増加する成膜処理を要さずに、配線抵抗の低い(電気抵抗率の低い)金属を含む単体または合金から選択される材料からなるワイヤー状配線が、配線抵抗の高い透明導電膜に電気的接続してサポートする構成を採用することにより、給電位置から離れた領域での調光層に印加される実効電圧の低下を解消し、印加電圧の相違に基づいて領域毎の光散乱度(透過率)が不均一になる問題が解消されるため、面積の大きい調光シートであっても、駆動電圧に応じたシート内の光散乱度(透過率)の均一化が実現される。これにより、調光シートの駆動電圧〜消費電力の低下に寄与する調光シートが提供される。
本発明による調光体における透明導電膜の構造例を示す説明図。 調光シートの電極の一端から印加する電圧に対する、調光シートの直進透過率の値を給電位置からの距離毎に例示するグラフ。 金属配線幅,金属配線占有率の変化に応じたITO透明導電膜の合成抵抗値の変化を示すシミュレーションデータ(表)。 金属配線幅,金属配線占有率の変化に応じたITO透明導電膜の合成抵抗値の変化を示すシミュレーションデータ(グラフ)。 給電部(電極端子)を含む調光シート全体の一例を示す説明図。(従来技術) 金属配線幅,金属配線占有率の変化に応じたITO透明導電膜の合成抵抗値の変化を示す実測データ(グラフ)。
以下、本発明の実施形態について図示を用いて説明するが、本発明は以下の図示・説明によって限定されるものではない。図1は本発明の実施形態の調光体における透明導電膜の構造を概念的に示す説明図である。図1に示すように、調光体10の透明導電膜(駆動電極)11〜16は、画面(ビューエリア)内で縦長6枚の短冊状に領域分割されている。図1(a)は、ITO,IZO,有機導電膜などの透明導電膜から構成され、領域分割された状態にある駆動電極を示す図示である。図1(b)は図1(a)に示す駆動電極の上部(あるいは、周辺部)に低電気抵抗の金属材料からなるワイヤー状配線41〜46を電気的接続してサポートした状態を例示する説明図である。図1(c)は、図1(b)の対向電極となる他方の透明電極(透明導電膜)が全面ベタ状の単一電極である場合について、駆動電極の上部全面に低電気抵抗の金属材料からなるワイヤー状配線40を形成した状態を例示する説明図である。
低電気抵抗の金属材料としては、電気抵抗率が100nΩ・m以下の金属を含む単体または合金から選択される材料が選択され、銅,銀,アルミニウム,ニッケルから選択される主材料が代表的である。
図1(b)では、駆動電極11,14ではワイヤー状配線によるストライプパターン41,44、駆動電極12,15ではワイヤー状配線によるメッシュパターン42,45、駆動電極13,16では、平面視で矩形の駆動電極の4辺周囲にワイヤー状配線による帯状メッシュパターン43,46を配置した、3例のワイヤー状配線パターンを例示している。ワイヤー状配線パターンは透明導電膜(駆動電極)の合成抵抗を下げることが目的であり、同図に示す様に複数種類の組合せでなく共通したパターンでも良く、駆動電極11〜16のそれぞれが如何なるパターン形状であっても良いが、駆動電極11〜16を含めた表示画面全体が視覚的に均一に見えると共に、ワイヤー状配線パターンが過度に視認されてしまい、金属反射によるぎらつき,不透明な金属配線の配置密度の相違に伴う濃淡,金属配線の過剰な占有率に応じた画面の透明性(あるいは、ヘイズ)の低下が問題とされない構成が要求される。
調光体の視野を妨げず十分な開口面積を確保する上では、金属配線の線幅を細く、透明導電膜上での配置密度を低くすることが望ましく、パターン41〜46の何れの場合においても、配線を構成するワイヤー幅は10μm以下の細線であり、金属配線の占有率(100−開口率)は10%以下であることが望ましい。駆動電極13,16での例示と異なり、駆動電極11,12,14,15では金属配線(ワイヤーメッシュ)が画面(ビューエリア)を覆って配置されているため、「透過−散乱」の状態変化が実現される液晶層を直に不透明な金属配線が覆った構造である。そのため、ワイヤー配線を極力視認させにくくする上での配慮はより重要視される。そのため本実施形態では、ワイヤー配線の線幅を10μmという細さに制限し、調光体を使用した状態の有効画面内におけるワイヤー配線の占有面積率を10%以下(好ましくは、4%以下)にまで低く抑えている。
低電気抵抗の金属配線による透明導電膜の電気的サポート機能は、駆動電極の給電箇所からの離間距離に応じた電圧降下に伴う光散乱度(透明性)のムラの解消が目的の一つであり、画面(ビューエリア)内で個々の透明導電膜(駆動電極)が領域分割されていないベタ状の大面積の単一電極の場合に、透明導電膜上で電圧降下の影響が生じる離間距離となりやすいため有効性が顕著である。しかし、仮に画面(ビューエリア)内で領域分割さ
れた個々の透明導電膜(駆動電極)が電圧降下に与える影響が小さい微小なサイズであったとしても、上記サポート機能に起因する省電力化は有効である。
ここで、透明導電膜に金属配線を導入することにより、合成抵抗値を低下する手法,原理について説明する。
厚さ50μmのPETフィルム上に厚さ500Å(50nm)のITO膜を蒸着法にて成膜してなる透明導電フィルムの表面抵抗値が200Ω/□であった。
このITO透明導電膜上に厚さ3000Å(300nm)のアルミニウム,モリブデン,ニオブの合金からなる金属層を成膜し、フォトリソ法によって任意の線幅,開口率(100−金属占有率)にパターニングして、ITO透明導電膜の補助電極として機能するワイヤ状の金属配線パターンを形成した。各種の金属配線幅,金属配線占有率の変化に応じたITO透明導電膜の合成抵抗値の変化を図3(表),図4(グラフ)に示す。表における合成抵抗値は実測値でなく、以下の計算によるシミュレーション結果である。
異なる2種類の抵抗値(R,R)を持つ金属材料の合成抵抗値Rは、並列接続の時の合成抵抗の公式から、1/R=1/R1+1/Rで表される。
ITO透明導電膜の抵抗値をRi,金属配線パターン材料の抵抗値をRmとし、ITO透明導電膜の面積における金属配線パターンの占有面積をnとする場合、1/R=1/Ri+n/Rmと表すことができる。合成抵抗Rは、R=(Ri・Rm)/(Rm+n・Ri)となる。
図3,4のシミュレーションでは、ITO透明導電膜上における金属配線の占有面積率が0.2%〜9.75%の範囲の場合で、透明導電膜全体の合成抵抗値が85.74Ω/□〜3.03Ω/□の値となっており、ITO透明導電膜単独(補助配線なし)の場合(200Ω/□)に比べて低下しており、金属配線による透明導電膜の電気的サポート機能が十分であることが伺える。
実用上は、ITO透明導電膜単独での抵抗値の半減以下であれば、電気的サポート機能は十分であろうと推察されるが、トレードオフの関係にある金属配線の占有面積率(増加に伴う開口率=画面の透明性やヘイズの低下)を考慮して、用途や実用性に応じた設計が求められる。本発明では、金属配線の占有面積率が10%以下であり、金属配線を含めた透明導電膜全体の合成抵抗が90Ω/□以下の場合を合格基準と判定する。
図6(b)のグラフは、上記シミュレーションを検証した実測データである。
表面抵抗値15Ω/□のITO表面に、表面抵抗値0.35Ω/□のMAM(Mo/Nb−Al−Mo合金/Nbの3層構造)からなるワイヤ状の金属配線を格子状に形成した場合(図6(a)参照)について、MAM占有率に応じたITO電極の表面抵抗値の変化を示している。
電気的サポート機能の反面で、上記した通り、低電気抵抗の金属配線(ワイヤー配線)の混在による最大の弊害は、表示画面の隠蔽,金属反射のギラツキである。
ワイヤー配線幅と占有面積率により表示画面の隠蔽への対策を講じても、金属特有の光反射のため視認しやすく、金属細線によるパターンが見えやすいという問題は依然として残る。そのため、金属を形成材料とする配線の表面反射を抑制する(無反射処理,黒化処理)ことにより視認されにくくすることが望ましい。
例えば、ワイヤー配線を銅(Cu)で形成する場合、銅配線を形成した後、黒,青,緑などの暗色系色相を呈する様に、銅配線の表面に各種薬品を用いた湿式処理による皮膜を形成することが考えられる。また、ワイヤー配線は単層の銅配線でなく、銅層の上下少なくとも一方に銅層よりも反射率の低い酸窒化銅層(CuNO)を形成することが有効である。
加えての弊害(危惧)は、透明導電膜上に良導体の金属配線を「積層」する構造を採用することになるため、調光素子(液晶)を挟持して対向する電極間での短絡リスクが向上する問題である。
透明導電フィルムは、フィルム基材上にITOやIZOや有機導電膜などの透明な導電材料からなる透明電極を成膜してなり、調光層(液晶)は、透明導電フィルムを互いの透明電極側を対向して、5μm〜50μm(好適には10μm〜25μm程度)の厚さで挟持される。透明電極の好適な厚さは略80nm以上150nm以下である。
透明導電膜間のギャップ(液晶厚さ)が10μm以下の場合、透明導電膜上に良導体の金属配線を積層する場合、体積抵抗率を低下させる目的から金属配線の厚さをある程度確保する必要が生じることもあり、ギャップ維持用スペーサを持たない液晶素子の場合、接触,変形に伴う電極間の短絡リスクは、高抵抗の透明導電膜のみに比べて格段に高まることになる。金属配線表面を無反射処理,黒化処理することでも電気抵抗は高まり、短絡対策の上では有効であるが、絶縁性の一層高い透明材料にて露出する金属配線表面を被覆することが一層有効である。
本発明では、例示される透明導電フィルムにより調光層を挟持した構成の調光体とされる。調光層としては、三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に液晶分子が配置されたタイプのPNLC(ポリマーネットワーク液晶)、またはポリマー中に分散配置される液晶分子を有するタイプのPDLC(高分子分散液晶)の何れかを採用する。
以下、PNLCで代表して本実施形態を説明する。
<PNLCによる調光体>
PNLCからなる調光層を具備する調光体(フィルム)の製造にあたっては、液晶と光重合性化合物(モノマー)との混合物を一対の透明電極基板(透明導電膜の形成された透明基板)の間に挟み、一定の条件下で紫外線を照射し、光重合によって光重合性化合物が高分子に変化すると共に、光重合および架橋結合により、微細なドメイン(高分子の空隙)を無数に有するポリマーネットワークが液晶中に形成する。
PNLCの駆動電圧は、一般にポリマーネットワークの構造上の特性(ドメインの大きさや形状,ポリマーネットワークの膜厚など)に依存しており、ポリマーネットワークの構造と、得られる光透過/散乱度との関係において、駆動電圧が決定されている。
100V以下の電圧領域において、十分な光透過/散乱度が得られるようなPNLCを構成するには、各ドメインがいずれも適正な大きさで均一となるように、かつ、形状も均一となるようにポリマーネットワークを形成する必要がある。
本発明では、ポリマーネットワーク構造に依存するドメインサイズを3μm以下、好ましくは2μm以下、一層好ましくは0.3以上1.7μm以下のサイズとなる様に制御する。
本実施形態による調光体では、PNLCからなる調光層と透明導電フィルム(透明導電膜の形成された透明基板)とを備えている。透明導電フィルムは、調光層(PNLC)を挟持しており、調光層(PNLC)に電圧を印加して、高ヘイズ(散乱状態),低ヘイズ(透過状態)を変化させる。
透明導電フィルムは、フィルム基材上に透明な導電材料からなる透明電極を成膜してなる透明導電フィルムを互いの透明電極側を対向して調光層を挟持する。
透明導電フィルムを構成する透明基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,ポリエチレン(PE)フィルム,ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。透明基材の厚みは、約50〜200μm程度が望ましい。
本発明は、光散乱(白濁)系から電圧を印加(ON)にすることで透明状態へ変化するノーマルモード方式に加えて、電圧の印加で透明から白濁系へと状態が変化するリバースモード方式にも適用可能である。リバースタイプの調光層(PNLC)を具備する調光体では、調光層の上側の透明導電フィルムの間に配向膜を積層するとともに、調光層の下側の透明導電フィルムの間にも配向膜が積層される(図示せず)。リバースタイプの場合、透明電極上に配向膜が形成されるため、上下双方の電極同士が液晶層を介して直接対向することがなく、電気的短絡の問題は軽減される。
ポリマーネットワーク及び液晶分子は、一対の配向膜の間に配置されている。
配向膜は、いわゆる垂直配向膜であり、調光層に電圧を印加していないときに、液晶分子の長手方向が配向膜の法線方向に沿うように、当該液晶分子を配向する。このため、リバースタイプの調光層(PNLC)は、電圧を印加していないときに低ヘイズ状態となり、透過性が高くなる。
本発明の主要な目的は、大面積の透明導電フィルム(透明導電膜の形成された透明基板)における透明導電膜の電気抵抗的なサポートにある。
透明導電膜上への低電気抵抗金属の積層〜パターニングにあたっては、金属箔,金属メッキ,スパッタ膜が施されてなるフィルムの金属面をパターニングした上で導電性粘着層を介してラミネートする方法,透明導電膜上に直接成膜してなる金属層をフォトリソ法によりパターニングする方法,銅箔上に導電性粘着層を有する導電テープを所望形状に断裁した上で貼着する方法など、用途,形状に応じて適宜採用可能である。
ITO,IZO,有機導電膜(導電性ポリマー)などの透明導電膜では配線抵抗が高いことに起因する各種弊害を低減する目的で、透明導電膜からなる配線パターンの側部(周囲)に低抵抗(良導電性)の金属パターンを接触させて形成し、補助配線とする対策が特許文献2,3において採用されている。
特許文献2(特開平10−106751号公報)は、
透光性の基板上に、陽極と、少なくとも有機発光薄膜を1層以上含む単層または複数の有機積層薄膜と、陰極とを順次積層形成された有機薄膜エレクトロルミネッセンス素子構造からなる発光画素を複数箇所に有する有機薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置であって、前記陽極は、透明電極からなるパターンと、良導電性金属からなるパターンとで構成され、良導電性金属のパターンは、前記透明電極からなるパターンの両側面に接して設けられ、その高さが透明電極の高さ以下で、外側のパターンエッジがテーパ状で断面形状が三角形であることを特徴とする有機薄膜エレクトロルミネッセンス表示装置の電極構造(請求項1)であり、特許文献2における解決課題は、高度なエッチング技術を用いずに、陽極のパターンエッジにおける有機薄膜の段差切れに起因する陽極と陰極とのショートを防止する加工が可能で、また、不要箇所からの正孔注入によって発光効率を損なうことのない陽極構造を提供することにある。
特許文献3(特開2017−106981号公報)による接触検出機能付き調光パネルでは、操作スイッチを設けるための追加の空間を必要とせず、操作が容易化された調光パネルを提供することを目的としており、
第1基材と、前記第1基材と対向して配置された第2基材と、前記第1基材及び前記第2基材の間に配置された液晶層と、を備え、前記第1基材及び前記第2基材の少なくとも一方の前記液晶層と対向する面側に、前記液晶層の駆動用の透明電極、並びに、前記透明電極の周囲に接続される金属補助電極及び前記金属補助電極と同一材料で形成された検出電極、が設けられている。
透明導電膜が調光体全面に渡ってベタ状に形成された大面積の電極である場合、低電気抵抗のワイヤー配線による透明導電膜のサポートは、透明導電膜上のビューエリア内部にて行なわれる必要があり、不透明で金属光沢を有するワイヤー配線がユーザーに視認され、違和感,不快感を抱かせないように配慮することも要求される。
ワイヤー配線を極力視認させずに透明導電膜の高電気抵抗を補佐する上では、ワイヤー配線を細く,調光体画面内での占有面積率を低くする必要がある。
ワイヤー配線幅は10μm以下,透明導電膜上におけるワイヤー配線の占有面積率は5%以下が望ましい。
視覚特性上は、ワイヤー配線幅は細ければ細いほど,占有面積率は低ければ低いほど望ましいのは当然であるが、製造(ワイヤー配線のパターニング)の難易度や低電気抵抗な特性発揮の上での実行性(ワイヤーの断線を招いてしまったり、電気的サポートが不十分であれば、無意味である)を考慮して、ある程度の下限は設定されることになる。
本発明者による経験上の限度としては、Cu箔,Cuメッキ(スパッタ)のサブトラクティヴ法によるパターニング手法の場合、ワイヤー配線幅は3μm以上,ワイヤー配線の占有面積率では透明導電膜面積の2%以上は必要である。
透明導電膜上に直接成膜してなる金属層をフォトリソ法によりパターニングする方法では、透明導電フィルムに形成された透明電極(透明導電膜)表面に、後に低抵抗金属がパターニングされてなるワイヤー配線となるべき金属層を形成する。
この金属層は、例えば、銅,銀,アルミニウム,ニッケルおよびそれらの合金からなる群から選択される層を、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD法),化学的気相成長法(CVD法),めっき法等の液相成長法、圧延等で作製された金属箔の貼着、またはこれらの2以上を組み合わせた方法を用いて形成することができる。
この金属層を公知のフォトリソグラフィー技術を用いて、所望の補助電極(ワイヤー配線)のパターンを有するようにパターニングすることにより、透明導電膜上に、透明導電膜の高電気抵抗を補佐するワイヤー配線が形成される。
ワイヤー配線上に電気的短絡防止のための絶縁層を被覆する場合、液晶層を介して対向する透明導電フィルム側のワイヤー配線および透明導電膜と万一接触しても電機的短絡が生じない程度の厚さ(100nm以下)で絶縁性皮膜が形成されていれば良く、ワイヤー
配線および透明導電膜に成膜あるいは表面処理する際の密着性などの適性が求められる。また、絶縁層の種類によっては、ワイヤー配線の混在による金属反射のギラツキを抑制する上での無反射処理,黒化処理の機能を併せ持たせることも可能である。無反射処理の手段としては、黒,青,緑などの暗色系色相を呈する金属めっき処理やワイヤー配線の表面に各種薬品を用いた湿式処理による酸化皮膜形成、あるいは着色された絶縁性樹脂の塗布が例示される。
10 調光シート
11〜16 透明導電膜(駆動電極)
21〜28 白抜け欠陥(液晶の表示ムラ:遮光時)
31〜38 遮光状態の箇所が残った欠陥(液晶の表示ムラ:透過時)
40〜46 低電気抵抗の金属材料からなるワイヤー状配線
41,44 ストライプパターン
42,45 メッシュパターン
43,46 帯状メッシュパターン

Claims (3)

  1. 少なくとも透明導電膜が形成された透明基材に調光層が挟持されてなり、調光層への印加電圧に応じてヘイズを2段階以上に切替可能な調光体において、
    透明導電膜上には、電気抵抗率が100nΩ・m以下の金属を含む単体または合金から選択される材料からなるワイヤー状配線が電気的接続されており、
    透明導電膜上における前記ワイヤー状配線の占有面積率は10%以下であり、前記ワイヤー配線を含めた透明導電膜全体の合成抵抗が90Ω/□以下であることを特徴とする調光体。
  2. 前記ワイヤー状配線が絶縁性材料により被覆されてなる構成の請求項1記載の調光体。
  3. 少なくとも一方の透明基材に形成される透明導電膜は、一定方向に沿って複数の領域に分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の調光体。
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