JP2930759B2 - 液晶構成体 - Google Patents

液晶構成体

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JP2930759B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶構成体に関し、さら
に詳しくは液晶滴、その会合体および/または液晶の3
次元網目状連続相を分散させた透明硬化樹脂からなる液
晶膜を2つの電極層で挾んだ構造を持ち、該電極層への
電圧の印加に応じて液晶層が透明、不透明に変化しうる
液晶構成体に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶分子をマイクロカプセル化したの
ち、該カプセルを液晶滴として樹脂膜中に分散させた液
晶膜において、その液晶滴による光の散乱による不透明
性、電場印加による液晶滴内の液晶分子の配向による透
明性を利用した液晶構成体は、既にファーガソンらによ
り提案され(米国特許明細書第4435047号)、あ
るものは実用に供されている。しかしながら、この方法
においては、マイクロカプセル化する工程を含むため生
産工程上煩雑である。
【0003】一方、ケント大においては、特表昭61−
502128号公報および特表昭63−501512号
公報において、熱硬化性樹脂と液晶分子の混合溶液から
の相分離によって液晶微小滴を熱硬化性樹脂透光性マト
リックス中に分散させて液晶層を作成することを提案し
ている。しかしながら、該公報記載の方法においては、
大面積で、例えば、窓などに用いた太陽光が直接照射さ
れる、いわゆる調光用途への応用などで満足のいく耐久
性を有する液晶構成体が得られていないのが実情であ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製造が容易
で、耐久性に優れた液晶構成体を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明な基板上
に設けられた第1の透明導電性電極層と、該透明導電性
電極層上に積層された、カーボネートウレタンアクリレ
ート系および/またはポリエーテルウレタンアクリレー
ト系の透明樹脂と該樹脂中に分散されたシアノビフェニ
ル系液晶滴、その会合体および/または液晶の3次元網
目状連続相とからなる2〜30μmの厚みを有する液晶
膜と、さらに該液晶膜に接して配置されたもう一方の第
2の電極層と、該電極層を支持する基板からなり、電極
層への電圧の印加を抑制することにより樹脂中に分散し
た液晶相内の液晶分子の配向を制御し、それによって液
晶層が不透明、透明状態をとりうる液晶構成体である。
【0006】以下本発明を図面に基づいて説明する。
【0007】本発明の液晶構成体の全体構成は、図1に
示すように、両側に相対配置される透明な基板10、1
0上にそれぞれ設けられた透明導電性電極層20、20
で液晶分子を分散させた透明樹脂からなる液晶膜30を
挾んだものである。
【0008】本発明の透明基板10としては、透明性に
優れたポリエステルフイルムが好適に用いられるが、ガ
ラス板や他の透明高分子フィルムを用いることも可能で
ある。
【0009】また、該基板10上に設けられる透明導電
性電極層20としては、スズなどの不純物を少量含有し
てもよいインジウムによる酸化インジウム膜が好ましい
が、酸化亜鉛、酸化チタンなどの無機酸化物層;金、白
金などの金属の薄膜;金属薄膜を透明透電体膜で挾んだ
積層体を使用することもできる。
【0010】前記電極層20の一方を厚い膜厚の金属膜
とすることによって反射率の高い非透明膜としてもよい
が、この場合は基板10も透明なものでなくともよい。
【0011】透明基板10上に公知の物理的方法、例え
ばスパッタリング法を用いて500Ω/□以下の抵抗、
好ましくは300Ω/□以下の抵抗を有する透明導電性
電極層20を設けることができる。
【0012】透明導電性電極層20上には、ポリカーボ
ネートウレタンアクリレート系透明樹脂膜またはポリエ
ーテルウレタンアクリレート系透明樹脂膜とその中に分
散されたシアノビフェニル系液晶滴、、その会合体およ
び/または液晶の3次元網目状連続相とからなる液晶膜
30が積層されている。
【0013】本発明で使用するポリカーボネートウレタ
ンアクリレート系透明樹脂またはポリエーテルウレタン
アクリレート系の透明樹脂としては、下記一般式(I)
【0014】
【化3】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基を、R2 は炭素
数2〜10のアルキル基を、R3 は2価、3価または4
価の炭化水素基を、Aは平均分子量500〜2,000
のポリカーボネートまたはポリエーテル残基を、mは1
〜8の数を、kは1〜3の数を表す)で表わされるポリ
カーボネートウレタンアクリレートオリゴマーまたはポ
リエーテルウレタンアクリレートオリゴマーを硬化して
得られる樹脂が好ましく使用される。
【0015】R2 で表される炭素数2〜10のアルキレ
ン基としては、直鎖または分岐鎖のアルキレン基が使用
でき、なかでもエチレン、イソプロピレン、テトラメチ
レンなどの炭素数2〜5のアルキレン基が好ましい。
【0016】R3 は2価、3価または4価の炭化水素基
を表す。この2価の炭化水素基としては、炭素数2〜1
5の脂肪族炭化水素基または同一もしくは異なる該脂肪
族炭化水素基が互いにエーテル結合で連結された基が挙
げられ、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタ
メチレン基などの炭素数4〜10の脂肪族炭化水素基が
好適に用いられる。
【0017】また、2価の炭化水素基の例として、炭素
数5〜15の脂肪族炭化水素基が挙げられ、例えば
【0018】
【化4】 などの5〜10の脂肪族炭化水素基が好ましく使用され
る。特に好ましくは、下記のイソホロンジイソシアネー
トである。
【0019】
【化5】 3 の表す2価の炭化水素基としてはまた、炭素数6〜
15の芳香族炭化水素基、同一もしくは異なる該芳香族
炭化水素基が酸素原子、硫黄原子、SO2 もしくはCH
2 基で連結された基が挙げられる。これらの基として
は、例えば、
【0020】
【化6】 を挙げることができる。
【0021】3価の基としては、例えば下記式
【0022】
【化7】 で表される化合物を挙げることができる。
【0023】これらの中で、R3 としては、芳香族炭化
水素基または脂環族炭化水素基が好ましい。
【0024】Aは平均分子量500〜2,000のポリ
カーボネートまたはポリエーテル残基を表す。本発明で
使用されるポリカーボネートは、一般式(イ)
【0025】
【化8】 で表される繰り返し単位を有し、その平均分子量が80
0〜1,200であるものが好ましい。
【0026】式(イ)中、R4 は炭素数2〜15の脂肪
族炭化水素基または同一もしくは異なる該脂肪族炭化水
素基が互いにエーテル結合で連結された基を表し、好ま
しくは炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基が使用され
る。
【0027】また、本発明で使用されるポリエーテル
は、一般式(ロ)
【0028】
【化9】 で表される繰り返し単位を有し、その平均分子量が80
0〜1,200であるものが好ましい。式(ロ)中、R
4 は前記定義に同じである。R4 としては、例えばテト
ラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、−CH
2 CH2 OCH2 CH2 −などが挙げられる。
【0029】本発明で使用するポリカーボネートウレタ
ンアクリレートオリゴマーまたはポリエーテルウレタン
アクリレートオリゴマーとしては、その平均分子量が
3,000〜8,000、特に5,000〜6,000
のものが好ましい。
【0030】本発明で使用するカーボネートウレタンア
クリレートオリゴマーは、次のようにして製造すること
ができる。
【0031】すなわち、(1) 一般式(III)
【0032】
【化10】 (式中、R1 およびR2 は前記定義に同じであり、aは
1〜3の整数を表す)で表される水酸基含有(メタ)ア
クリレート100重量部、(2)(a)一般式(IV)
【0033】
【化11】 (式中、R4 は同一または異なってもよく前記定義に同
じであり、nは平均1〜60の数を表す)で表されるポ
リカーボネートジオールと、(b) アルキレングリコー
ル、そのオキシ酸エステル、ポリエーテルジオール、エ
ーテル結合含有複素環式ジオール、ポリエステルジオー
ル、チオエーテルグリコールおよびジチオールからなる
群から選ばれる活性水素原子含有二官能性化合物からな
り、(2) の総量に対し、(a) が1〜100重量%含有さ
れる二官能性有機化合物10〜4,500重量部、およ
び(3) 前記(1) または(2) に含有される活性水素原子の
合計量と反応する理論量の70〜100%のイソシアネ
ート基を有する一般式(V)
【0034】
【化12】 (式中、R3 は前記定義に同じ。bは2〜6の数を表
す)で表されるポリイソシアネートを反応させることに
よって製造することができる。
【0035】また、ポリエーテルウレタンアクリレート
オリゴマーは、ポリカーボネートウレタンアクリレート
オリゴマーの製造法において、一般式(IV)のポリカー
ボネートジオールにかえ、下記一般式(VI)
【0036】
【化13】 (式中、R4 は同一または異なり、前記定義に同じであ
り、nは平均1〜60の数を表す)で表されるポリエー
テルジオールを、ポリエーテルジオールに替えポリカー
ボネートジオールを使用することにより製造することが
できる。液晶構成体で電圧印加時の透明性を向上させる
ためには、樹脂中に分散する液晶相の屈折率が樹脂の屈
折率と一致することが理想的である。
【0037】そこで、硬化性樹脂としてはポリエステル
系、ウレタン系、エポキシ系、エンチオール系などの各
種樹脂が使用可能であるが、好ましくは硬化時の樹脂成
分の屈折率と液晶の分子長軸方向の屈折率(通常光屈折
率)との屈折率差が0.05以下である樹脂が選択され
る。樹脂の屈折率を調整する為に低屈折率であるフッ素
原子を含有したアクリレート系樹脂を適当量添加する事
も可能である。さらに、太陽光があたる惧れある調光用
途のためには、耐久性、特に耐光性に優れた樹脂が選択
されなければならない。
【0038】本発明のポリカーボネートウレタンアクリ
レート系樹脂およびポリエーテルウレタンアクリレート
系樹脂はこれらの点を満足するものである。
【0039】液晶滴を構成する液晶成分としては、誘電
異方性が高く、かつ通常光屈折率と異常光屈折率の屈折
率差が0.2以上のシアノビフェニル系の液晶成分が使
用される。
【0040】液晶構成体は、樹脂中に分散した微小な液
晶滴による光の散乱と液晶分子のランダムな配向によっ
て不透明状態を出現させるため、液晶滴の平均的な大き
さは可視光の波長より大きな0.8μm以上の平均直径
を有することが好ましく、また液晶分子のランダムさか
ら不透明性を得るためには通常光屈折率と異常光屈折率
の屈折率差が大きいほどよいからである。
【0041】一般に、樹脂と液晶を適当に混ぜて塗工し
た液晶膜でも電圧印加の有無によりなんらかの光学的変
化を示すことができる。しかしながら、良好なON−O
FF特性、すなわち電圧印加時のヘーズ値が小さく、例
えば100V印加時にヘーズ値が20%以下を示し、ま
た電圧無印加時のヘーズ値が大きい、例えばヘーズ値が
80%以上を示すような液晶構成体を得るためには、液
晶と樹脂の最適な組合せが必要である。本発明のポリカ
ーボネートウレタンアクリレート系樹脂またはポリエー
テルウレタンアクリレート系樹脂には、一般式(II)
【0042】
【化14】 (式中、Xはそれぞれ炭素数1〜12のアルキルまたは
アルコキシ基を表す)で表されるシアノビフェニル系化
合物が最適である。これらの化合物は、2種以上を組み
合わせて使用してもよく、またシアノトリフェニル系シ
アノフェニルシクロヘキサン系化合物を20%以内で混
合してもよい。
【0043】この液晶としては、例えばBDH社製E−
8液晶を挙げることができる。
【0044】ポリカーボネートウレタンアクリレートオ
リゴマーまたはポリエーテルウレタンアクリレートオリ
ゴマーにシアノビフェニル系液晶を、液晶成分が好まし
くは50重量%以上、75重量%以下になるように混合
しこれを塗工液とすることで、0.8μm以上の平均直
径を有する液晶滴、その会合体および/または液晶の3
次元網目状連続相を得る事が出来る。
【0045】液晶成分が50重量%未満では、ポリカー
ボネートウレタンアクリレートオリゴマーまたポリエー
テルウレタンオクリレートオリゴマー中に溶解した液晶
分子が硬化中に相分離によって生じる液晶滴が小さく、
そのため良好な不透明性、すなわち遮光性が得られない
欠点がある。さらに、調光用途として使用中に、液晶膜
中に電圧印加に応答しない気泡状部分の発生がみられる
ことがある。
【0046】一方、75重量%を超えると、液晶成分が
溶解しきれずに、混合時点から微小滴を形成し、硬化に
よって樹脂中に含有しきれなくなった液晶成分が滲み出
すことになる。その結果、透明導電性電極との接着性の
低下、作業性の低下などの不都合を生じる。
【0047】このように、良好な遮光性、作業性および
耐久性を持った液晶膜を作成するためには、液晶成分を
50重量%以上75重量%以下とすることが好ましい。
さらに好ましい遮光性を得るためには、液晶成分を65
〜75重量%とする。
【0048】液晶膜は、マイクロカプセル化した液晶を
カーボネートウレタンアクリレートオリゴマーまたはポ
リエーテルウレタンアクリレートオリゴマーと混合し、
これを塗工液とし塗工後硬化させて形成することもでき
る。また、多孔膜化させた樹脂中に液晶を含浸させて形
成することもできる。
【0049】本発明の液晶構成体は、透明導電性電極層
20を例えばスパッタリングなどの公知の方法で、透明
基板10上に設け、ポリカーボネートウレタンアクリレ
ートオリゴマーもしくはポリエーテルウレタンアクリレ
ートオリゴマーおよびシアノビフェニル系液晶との混合
液(塗工液)を透明導電性電極層20上にバーコーター
を用いて均一の厚みに塗工したのち、別の透明導電性電
極層20付き透明基板10を透明導電性電極層20が液
晶層が30に接するように重ね合わせて積層体を得、そ
ののち例えば水銀ランプを光源とする紫外線照射装置下
で紫外線を該積層体に照射して、ポリカーボネートウレ
タンアクリレートオリゴマーまたはポリエーテルウレタ
ンアクリレートオリゴマーを硬化して製造することがで
きる。
【0050】塗工液を均一の厚みに塗工するためには、
バーコーター法以外の印刷法なども用いられる。
【0051】さらに、印刷を容易にするために液晶混合
液の粘度を調節する必要がある場合もあるが、その際に
は、液晶混合液を撹拌しながら紫外線などを適当時間照
射し一部を硬化させる方法も有効である。もちろん分子
量の小さなカーボネートウレタンアクリレート、または
エーテルウレタンアクリレートを添加して粘度を低下さ
せる事も出来る。
【0052】紫外線照射などの方法で硬化させた液晶膜
30は、2〜30μmの厚みを有するが、透明導電性電
極層20上に電圧を印加しない状態での液晶膜の不透明
さと、電圧を印加した時の透明性の兼ね合いで選択され
る。好ましくは、15〜25μmの厚みが用いられる。
【0053】このようにして得られる液晶構成体は、耐
久性に優れ、かつ製造が容易で、優れたON−OFF特
性、すなわち100V印加時のヘーズ値が20%以下の
透明性を示し、電圧無印加時のヘーズ値が80%以上の
値を示す透明−不透明の差が大きく、液晶シャッターな
どの調光材、表示材などに好適に利用できる。
【0054】
【実施例】以下実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明する。
【0055】
【実施例1】125μm厚さのポリエステルフイルムを
透明基板とし、この上に透明導電性電極としてスズを微
量含んだ酸化インジウム膜を約200オングストローム
の厚みでスパッタリング法で堆積した。
【0056】シアノビフェニル系液晶としてBDH社製
のE−8を使用し、ポリエーテルウレタンアクリレート
オリゴマーとして根上工業(株)製のUN−1010H
PGを用いて、液晶成分が70重量%になるように混合
したのち良く撹拌し、脱気して塗工液とした。
【0057】透明導電性電極層上に#22のバーコータ
ーを用いて前記塗工液を塗工した。
【0058】次に、別の透明導電性電極付きポリエステ
ルフィルムを透明導電性電極層が液晶塗工膜に接するよ
うに重ね合わせたのち、水銀ランプを光源とする紫外線
照射機を用いて6mW/cm2 の紫外光を約10分間照射
した。紫外光により液晶塗工層は透明導電性電極層間で
硬化し、約20μmの液晶膜を形成し液晶シャッターを
形成した。
【0059】得られた液晶シャッターの2つの透明導電
性電極層に100Vの交流電圧を印加したところ、図2
に示した平行光線透過率の如く、不透明から透明に変化
し、液晶シャッターとして有効に働くことが判った。
【0060】また、この液晶シャッターのヘーズ値を表
1に示す。
【0061】この液晶シャッターの片面の導電性電極付
フィルムをはがし、液晶膜から液晶成分を抽出した後、
走査電子顕微鏡(SEM)で液晶膜を観察した結果液晶
分子が、液晶滴が互いに連続した3次元網目状の連続相
を形成している事、言葉をかえれば、液晶中で高分子樹
脂が3次元網目状を形成している事が観察された。
【0062】
【実施例2】実施例1と同じく、125μm厚さのポリ
エステルフィルムを基板としこの上に200オングスト
ロームの酸化インジウム膜を堆積して導電性電極層とし
た。
【0063】液晶としてE−8を、樹脂成分として根上
工業(株)製のポリカーボネートウレタンアクリレート
オリゴマー(UN−9200)と2−ヒドロキシプロピ
ルアクリレートの等量混合物を用いた。重合開始剤とし
てはダルキュア1173(メルク社製)を3重量%添加
した。
【0064】液晶成分が70重量%になるように混合し
たのちよく撹拌し、脱気して塗工液として、前記導電性
電極層上に#22のバーコーターを用いて塗工した。
【0065】次に、実施例1と同じ方法で、液晶シャッ
ターを作成し、その性能を測定した。
【0066】この液晶シャッターのヘーズ値を第1表に
示す。
【0067】この液晶シャッターの場合も、その液晶膜
を実施例1と同じくSEMで観察した結果、液晶相が高
分子樹脂中で3次元網目状を形成している事が認められ
た。
【0068】
【比較例1〜2】カーボネートウレタンアクリレートオ
リゴマーにかえて、アデカオプトマーBY300B(旭
電化工業(株)製:エンチオール系紫外線硬化樹脂)
(比較例1)、またはエポキシ主剤としてEPON樹脂
(シェル社製:エポキシ系紫外線硬化樹脂)とエポキシ
硬化剤としてFC−508(3M社製)(比較例2)を
使用するほかは実施例2と同様にして液晶シャッターを
作成した、得られたシャッターについてヘーズ値を調べ
た。
【0069】結果を表1に併せて示す。
【0070】
【表1】 表1から明らかに比較例1または2の液晶シャッター
は、電圧無印加時のヘーズ値は80%以上を示すが、電
圧を印加しても20%以上のヘーズ値を示し透明性に欠
けるが、実施例1および2の液晶シャッターは100V
印加時のヘーズ値が両実施例とも10%以下であり優れ
たON−OFF特性を示し、本発明の組合せがすぐれて
いることが判る。
【0071】
【実施例3】実施例1で作成した液晶シャッターに電圧
を印加した状態で50mW/cm2 の模擬太陽光を30時
間照射したのち、電圧印加時および無印加時の平行光線
透過率を調べ耐光テストとした。この結果を表2に示
す。
【0072】
【比較例3】カーボネートウレタンアクリレートオリゴ
マーにかえて、LR−574(三菱レーヨン社製:熱硬
化性のアクリル樹脂)を使用するほかは実施例2と全く
同様にして液晶シャッターを作成した、得られたシャッ
ター約20μmの液晶膜を形成し液晶シャッターを形成
し、実施例3と同様ににして耐光テストを行った(比較
例3)。
【0073】また、現在市販されているエポキシ系樹脂
を用いた調光液晶シート“アクト”(タキロン(株)
製)についても実施例3と同様に耐光テストを行った
(比較例4)。
【0074】これらの結果を第2表に併せて示す。
【0075】
【表2】 表2から実施例3においては耐光テスト後も何ら性能の
低下がみられないことが判る。
【0076】一方、比較例3および4においては、それ
ぞれの初期特性、すなわちON−OFF特性は実施例3
と同じ程度の性能を示すが、耐光テスト後では、電圧無
印加時の平行光線透過率が上昇し、シャッター機能が損
なわれていることが判る。
【0077】
【発明の効果】本発明は、容易に製造でき、耐久性に優
れた液晶構成体であり、液晶シャッター、調光材または
表示材などに広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶構成体の断面模式図である。
【図2】実施例1の液晶シャッターに電圧を印加したと
きおよび無印加時の平行光線透過率の変化を示すグラフ
である。
【符号の説明】
10 透明基板 20 透明導電性電極層 30 液晶膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1333 610

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明な基板上に設けられた第1の透明導電
    性電極層と、該透明導電性電極層上に積層された、ポリ
    カーボネートウレタンアクリレート系および/またはポ
    リエーテルウレタンアクリレート系の透明樹脂と該樹脂
    中に分散されたシアノビフェニル系液晶滴、その会合体
    および/または液晶の3次元網目状連続相とからなる2
    〜30μmの厚みを有する液晶膜と、さらに該液晶膜に
    接して配置されたもう一方の第2の電極層と、該電極層
    を支持する基板からなり、電極層への電圧の印加を抑制
    することにより樹脂中に分散した液晶相内の液晶分子の
    配向を制御し、それによって液晶層が不透明、透明状態
    をとりうる液晶構成体。
  2. 【請求項2】ポリカーボネートウレタンアクリレート系
    および/またはポリエーテルウレタンアクリレート系の
    透明樹脂が一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基を、R2 は炭素
    数2〜10のアルキル基を、R3 は2価、3価または4
    価の炭化水素基を、Aは平均分子量500〜2,000
    のポリカーボネートおよび/またはポリエーテル残基
    を、mは1〜8の数を、kは1〜3の数を表す)で表わ
    されるポリカーボネートウレタンアクリレートオリゴマ
    ーおよび/またはポリエーテルウレタンアクリレートオ
    リゴマーを硬化して得られる樹脂である請求項1記載の
    液晶構成体。
  3. 【請求項3】シアノビフェニル系液晶相が一般式(II) 【化2】 (式中、Xはそれぞれ炭素数1〜12のアルキルまたは
    アルコキシ基を表す)で表される化合物を主成分とする
    液晶相からなる請求項1または2記載の液晶構成体。
JP6533091A 1991-03-07 1991-03-07 液晶構成体 Expired - Fee Related JP2930759B2 (ja)

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