JP2021059676A - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 臭気の改善しつつ、プラスチック感が抑えられ、溶融延展性の悪化が抑制されたポリプロピレン樹脂組成物を提供する。【解決手段】 ポリプロピレン樹脂組成物は、その溶融張力(MT)(単位:g)が、log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または、log(MT)≧1.15を満たすポリプロピレン樹脂(A1)5〜85質量%、融点が110℃以上150℃未満のポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含む(ただし(A1)、(B)および(C)の質量の合計を100質量%とする。)ことを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、バイオマス材料を含むポリプロピレン樹脂組成物、およびそのポリプロピレン樹脂組成物からなる押出発泡体、射出発泡体、シートおよび熱成形体、また、ブロー成形体に関する。
ポリプロピレンは耐熱性をはじめとする各種物性に優れ、かつ安価に製造できることからあらゆる産業界において用いられている。近年、地球温暖化、環境保護の観点より、CO2の排出削減が求められており、その対策として、大気中のCO2を吸着、固定化し得るバイオマス材料の活用が多方面で提案されている。例えば、ポリプロピレンに木粉をはじめとしたバイオマス材料を複合化した組成物が提案されている(特許文献1)。そしてポリプロピレンに木粉を複合化したポリプロピレン樹脂組成物は、プラスチックでは表現できない木の温もり等を感じさせるといった、半ばプラスチックでありながら,香り,色調等木材の性質を残すことができることもあり、人工木材等に用いられるなど用途に広がりをみせている。
ポリプロピレンにバイオマス材料を複合化し、また複合化したポリプロピレン樹脂組成物を各種成形品に成形加工する際には、例えば180〜200℃程度の加工温度が必要とされるが、このような高温ではバイオマス材料から著しい臭気が発生し、作業者に多大な悪影響を及ぼすことが問題となる。臭気の発生を抑えるために加工温度を低くすると、そもそも加工が困難になったり、得られる成形品の外観品質が悪化したりすることが問題となる。
このような成形加工時の問題を解決するために、融点が110〜150℃のプロピレン系樹脂10〜90重量部と、リグノセルロース系又はセルロース系物質90〜10重量部とからなるプロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。特許文献2のプロピレン系樹脂組成物によれば、成形加工温度を低くすることができ臭気の発生を抑えられるだけでなく、高い成形温度においても臭気の改善を図ることが示されている。
特開平6−80832号公報 特開2007−169612号公報
特許文献2のプロピレン系樹脂組成物は、臭気の点については改善されているものの、色調等においてプラスチックの感触が強まってしまうという問題がある。また、リグノセルロース系又はセルロース系物質の配合がプロピレン系樹脂の溶融延展性を悪化させてしまい成形加工法に制約が生じるという問題がある。そこで本発明は、臭気の改善しつつ、プラスチック感が抑えられ、溶融延展性の悪化が抑制されたポリプロピレン樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明の第1のポリプロピレン樹脂組成物は、下記の特性(a−1)を有するポリプロピレン樹脂(A1)5〜85質量%、融点が110℃以上150℃未満のポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含む(ただし(A1)、(B)および(C)の質量の合計は100質量%である。)ことを特徴とする。
特性(a−1):溶融張力(MT)(単位:g)が
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
log(MT)≧1.15を満たす
また、本発明の第2のポリプロピレン樹脂組成物は、下記の特性(a−1)を有するポリプロピレン樹脂(A1)および下記の特性(a−2)を有するポリプロピレン樹脂(A2)を合計で5〜85質量%、融点が110℃以上150℃未満のポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含む(ただし(A1)、(A2)、(B)および(C)の質量の合計は100質量%である。)ことを特徴とする。
特性(a−1):溶融張力(MT)(単位:g)が
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
log(MT)≧1.15を満たす
特性(a−2):溶融張力(MT)(単位:g)が
log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.7、および
log(MT)<1.15を満たす
ポリプロピレン樹脂(A1)、またはポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)は、それぞれ独立して、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であるとよい。
また、ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダムブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であるとよい。
さらに、ポリプロピレン樹脂(B)は、以下の特性(b−1)および/または(b−2)を有するとよい。
(b−1)Q値が5.0以下
(b−2)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分が4.0質量%以下
バイオマス材料(C)は、木、パルプ、竹、サトウキビ(バガス)、もみ殻、米(でんぷん)からなる群より選択される一種または二種以上の植物由来フィラーであるとよい。
また、上述したポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計、またはポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(A2)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計100質量%からなる100質量部に対して、熱可塑性エラストマー(D)1〜50質量部を含む、ポリプロピレン樹脂組成物が好ましい。
さらに、押出発泡成形体、射出発泡成形体、シート成形体、熱成形体、またはブロー成形体は、上述したポリプロピレン樹脂組成物からなることが好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、環境保護性能に優れ、臭気およびプラスチック感が抑えられ、かつ溶融延展性の悪化を抑制することができる。
本発明の第1のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)5〜85質量%、ポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含み、これらの合計が100質量%である。
本発明の第2のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)を合計で5〜85質量%、ポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含み、これらの合計が100質量%である。
第1のポリプロピレン樹脂組成物および第2のポリプロピレン樹脂組成物は、いずれもポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)を含有し、臭気を改善しつつ、プラスチック感が抑えられ、溶融延展性の悪化が抑制され、環境保護能に優れる。なお、本明細書において、第1のポリプロピレン樹脂組成物を構成する「ポリプロピレン樹脂(A1)」、および第2のポリプロピレン樹脂組成物を構成する「ポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)のブレンド物」を、単に「ポリプロピレン樹脂(A)」と記載することがある。
ポリプロピレン樹脂(A1)
ポリプロピレン樹脂(A1)は、好ましくは融点が150℃以上であり、より好ましくは153℃以上であり、さらに好ましく155℃以上である。ポリプロピレン樹脂(A1)の融点は、好ましくは170℃以下であるとよい。ポリプロピレン樹脂(A1)の融点を150℃以上にすることにより、剛性及び耐熱性が高くなる。また、融点は、プロピレン重合時に導入するエチレンやブテンといったコモノマー量により調整することができる。
ここで、本明細書において、融点は示差走査型熱量計(DSC)により測定する値である。セイコー社製示差走査型熱量計を用い、サンプル約5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で冷却し、続いて10℃/分の昇温スピードで融解させた時に得られる融解熱量曲線から融点を得る。すなわち、融解熱量曲線の最大ピーク温度を融点とする。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜150g/10分、より好ましくは1〜100g/10分である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定される値である。ポリプロピレン樹脂(A1)のMFRは、重合時の水素濃度等を制御することにより調整することができる。MFRが0.1g/10分以上であると、シートを押出成形する際に、押出機への負荷が抑えられ、生産性が向上し、好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、溶融張力とMFRとの関係が下記の特性(a−1)を有する。
(a−1):ポリプロピレン樹脂(A1)の溶融張力(MT)(単位:g)は、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
log(MT)≧1.15を満たす
ポリプロピレン樹脂(A1)の溶融張力(MT)は、好ましくは、log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9、またはlog(MT)≧1.15を満たす。さらに好ましくはlog(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1、またはlog(MT)≧1.15を満たす。
ポリプロピレン樹脂(A1)の溶融張力の上限には定めはないが、大きすぎると延展性が低下し、熱成形時において金型への賦形性が悪化し、極端な場合には成形体が裂けるなどの成形不良が発生するおそれがあるため、好ましくはlog(MT)≦1.48(MT≦30.2)である。
ここで、本明細書において、溶融張力(MT)は、キャピログラフを使用して測定される値である。樹脂を温度230℃に加熱した直径9.55mmのシリンダーに入れ、押し込み速度20mm/分で、溶融樹脂を直径2.0mm、長さ40mmのオリフィスから押し出す。押し出される樹脂を、速度4.0m/分で引き取る時にプーリーに検出される張力を測定し、これを溶融張力(MT)とする。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合であり上限値は100%である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度にアイソタクチックに制御されていることを意味する。mm分率が95%以上であると、熱成形時の耐ドローダウン性が向上する。
ポリプロピレン樹脂(A1)の13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定方法は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で、以下の条件で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32,768
mm分率の決定は、前記の条件により測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8巻,687頁やPolymer,30巻 1350頁(1989年)を参考に行う。なお、mm分率決定のより具体的な方法は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に詳細に記載されており、本発明においても、この方法に従って行うものとする。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求められるQ値(Mw/Mn)が好ましくは3.5〜10、より好ましくは3.7〜8、さらに好ましくは4〜6である。ポリプロピレン樹脂(A1)のQ値が上記範囲であることにより、シートを押出成形する際、成形加工性に特に優れ、好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたZ平均分子量(Mz)およびMwから求められる分子量分布Mz/Mwが好ましくは2.5〜10、より好ましくは2.8〜8、さらに好ましくは3〜6であるとよい。ポリプロピレン樹脂(A1)のMz/Mwが上記範囲であることにより、シートを押出成形する際、成形加工性に特に優れる。
なお本明細書において、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載された事項に基づくものとし、Mn、Mw、MzはGPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
本発明において、GPCの測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線(較正曲線)を用いて行う。標準ポリスチレンとしては、東ソー(株)製の以下の銘柄を用いる。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
標準ポリスチレン各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mα は、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、 α=0.7
PP:K=1.03×10−4、 α=0.78
ポリプロピレン樹脂(A1)は、好ましくは長鎖分岐構造を有する。
ポリプロピレン樹脂が長鎖分岐構造を有するか否かの直接的な指標として、分岐指数g’を挙げることができる。分岐指数g’は、長鎖分岐構造を有するポリマーの固有粘度[η]brと同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度[η]linの比、すなわち、[η]br/[η]lin、により与えられ、g’<1であると長鎖分岐構造を有するといえる。
分岐指数g’の定義は、例えば、「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に記載されており、当業者にとって公知の指標である。
分岐指数g’は、例えば、下記に記すような光散乱計と、粘度計を検出器に備えたGPCを使用することにより、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、分岐指数g’が0.30以上1.00未満であることが好ましく、より好ましくは0.55以上0.98以下、更に好ましくは0.75以上0.96以下、最も好ましくは0.78以上0.95以下である。
分岐指数g’の算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社製のAlliance GPCV2000を用いる。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(BASFジャパン社製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
移動相溶媒の流量は1mL/分で、カラムは、東ソー社製GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)および固有粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献1.Developments in Polymer Characterization−4(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
参考文献2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
参考文献3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
参考文献4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
分岐指数g’は、サンプルをViscometerで測定して得られる固有粘度([η]br)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる固有粘度([η]lin)との比([η]br/[η]lin)として算出する。
ここで、[η]linを得るための線状ポリマーとしては、市販のホモポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテック(登録商標)PPグレード名:FY6)を用いる。線状ポリマーの[η]linの対数は分子量の対数と線形の関係があることは、Mark−Houwink−Sakurada式として公知であるから、[η]linは、低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax(0.1))が好ましくは6.0以上、より好ましくは8.0以上である。
歪硬化度(λmax(0.1))は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、熱成形時において、複雑な形状の成形体であっても、過度な偏肉部分が形成される不良現象を防ぐことが出来、成形体の物性の向上、また、シート原反厚みの薄肉化(ゲージダウン)に寄与するため、自動車部材をはじめとした工業用部材を好適に成形することができる。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(A1)の歪硬化度が6.0以上であると、充分な偏肉抑制効果が発現する。また、歪硬化度が8.0以上であると、フィラー量、熱可塑性エラストマー量が多くなった場合でも、十分な偏肉抑制効果が発現する。
歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度λmax(0.1)の算出方法を、以下に記す。
温度180℃、歪み速度=0.1s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前までの時間と粘度との関係を直線で近似し、近似直線を得る。
具体的には、まず、伸長粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては、伸長粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。
伸長粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり、次第に一定値に漸近し、歪み硬化がなければ充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪み硬化のある場合には、一般的に歪み量(=歪み速度×時間)1程度から、伸長粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは、低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸長粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めて、その点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)及び最大値となる時間を求め、また、その時間の上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmax(0.1)と定義する。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合して得られるプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合してプロピレン単独重合体を得る重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンランダムブロック共重合体などを挙げることができる。また、ポリプロピレン樹脂(A1)としては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
α−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、チーグラーナッタ触媒により重合されるもの、メタロセン触媒により重合されるもの、ポストメタロセン触媒により重合されるもの等を挙げることができる。チーグラーナッタ触媒としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須とする固体成分、有機アルミニウム、および必要に応じて用いられる電子供与体を含んでなる触媒などが挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。ポストメタロセン触媒としては、周期表第4族金属のビスアミド化合物、周期表第8〜10族金属のビスイミノ化合物、周期表第4〜10族金属のサリチルアルジミナト化合物などの有機金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(A1)は、市販品を利用することができ、例えば、日本ポリプロ(株)社製WAYMAX(登録商標)シリーズなどが利用できる。
ポリプロピレン樹脂(A2)
ポリプロピレン樹脂(A2)は、好ましくは融点が150℃以上であり、より好ましくは153℃以上であり、さらに好ましく155℃以上である。ポリプロピレン樹脂(A2)の融点は、好ましくは170℃以下であるとよい。ポリプロピレン樹脂(A2)の融点を150℃以上にすることにより、剛性及び耐熱性が高くなる。また、融点は、プロピレン重合時に導入するエチレンやブテンといったコモノマー量により調整することができる。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜150g/10分、より好ましくは1〜100g/10分である。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定される値である。ポリプロピレン樹脂(A2)のMFRは、重合時の水素濃度等を制御することにより調整することができる。MFRが0.1g/10分以上であると、シートを押出成形する際に、押出機への負荷が抑えられ、生産性が向上し、好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、溶融張力とMFRとの関係が下記の特性(a−2)を有する。
特性(a−2):溶融張力(MT)(単位:g)が
log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.7、および
log(MT)<1.15を満たす
ポリプロピレン樹脂(A2)の溶融張力(MT)は、好ましくは、log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.6、およびlog(MT)<1.04(MT<11)を満たし、より好ましくはlog(MT)<−0.9×log(MFR)+0.5、およびlog(MT)<0.85(MT<7)を満たす。
ポリプロピレン樹脂(A2)の溶融張力の下限には定めはないが、小さすぎると耐ドローダウン性が低下し、熱成形時において成形可能な温度幅が狭くなるおそれがあるため、好ましくはlog(MT)>0.48(MT>3)である。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から求められるQ値(Mw/Mn)が好ましくは3.5〜10、より好ましくは3.7〜8、さらに好ましくは4〜6である。ポリプロピレン樹脂(A2)のQ値が上記範囲であることにより、シートを押出成形する際、成形加工性に特に優れ、好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、好ましくは長鎖分岐構造を有する。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、光散乱計により求める絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が好ましくは1である。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合して得られるプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合してプロピレン単独重合体を得る重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンランダムブロック共重合体などを挙げることができる。また、ポリプロピレン樹脂(A2)としては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
α−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、チーグラーナッタ触媒により重合されるもの、メタロセン触媒により重合されるもの、ポストメタロセン触媒により重合されるもの等を挙げることができる。チーグラーナッタ触媒としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須とする固体成分、有機アルミニウム、および必要に応じて用いられる電子供与体を含んでなる触媒などが挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。ポストメタロセン触媒としては、周期表第4族金属のビスアミド化合物、周期表第8〜10族金属のビスイミノ化合物、周期表第4〜10族金属のサリチルアルジミナト化合物などの有機金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(A2)は、市販品を利用することができ、例えば、日本ポリプロ(株)社製ノバテック(登録商標)PPシリーズなどが利用できる。
本発明の第2のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)とポリプロピレン樹脂(A2)とを含む態様であり、ポリプロピレン樹脂(A1)とポリプロピレン樹脂(A2)との質量割合は、例えば好ましくはポリプロピレン樹脂(A1):ポリプロピレン樹脂(A2)=5:95〜95:5、より好ましくはポリプロピレン樹脂(A1):ポリプロピレン樹脂(A2)=10:90〜85:15、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂(A1):ポリプロピレン樹脂(A2)=15:85〜70:30である。
本発明の第2のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)とポリプロピレン樹脂(A2)とを含む態様であり、ポリプロピレン樹脂(A1)の融点(Tm1/℃)とポリプロピレン樹脂(A2)の融点(Tm2/℃)とは、好ましくはTm2−Tm1≧1を満たし、より好ましくはTm2−Tm1≧3を満たし、さらに好ましくは10≧Tm2−Tm1≧3を満たす。
ポリプロピレン樹脂(B)
ポリプロピレン樹脂(B)は、融点が110以上150℃未満であり、好ましくは115〜145℃であり、より好ましくは120〜140℃である。ポリプロピレン樹脂(B)の融点を110℃以上にすることにより、低結晶性成分起因のベタツキを低減することが可能になる。また、ポリプロピレン樹脂(B)の融点を150℃未満にすることにより、ポリプロピレン樹脂組成物を成形するときの温度を比較的低くすることができ、臭気の発生を抑制し、また成形性や製品の品質を確保することができる。融点は、ポリプロピレン樹脂(A1)と同様にプロピレン重合時に導入するエチレンやブテンといったコモノマー量により調整することができる。ここで、融点はポリプロピレン樹脂(A1)の融点を測定するのと同様の方法により測定する値である。
ポリプロピレン樹脂(B)は、230℃、2.16kg荷重で測定されるメルトフローレート(MFR)が好ましくは0.1〜150g/10分、より好ましくは1〜100g/10分である。MFRが0.1g/10分以上であると、シートを押出成形する際に、押出機への負荷が抑えられ、生産性が向上する。ここで、MFRは、JIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定される値である。ポリプロピレン樹脂(B)のMFRは、重合時の水素濃度等を制御することにより調整することができる。
ポリプロピレン樹脂(B)のMFRは、好ましくは次の関係を満足する。すなわち、ポリプロピレン樹脂(A)のメルトフローレートをMFRa、ポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレートをMFRbとするとき、MFRa/MFRbが好ましくは30>MFRa/MFRb>1を満たし、より好ましくは15>MFRa/MFRb>1.5を満たす。MFRa/MFRbを上記値の範囲にあるとき、偏肉をより小さくした成形体を得ることができる。
ポリプロピレン樹脂(B)は、メルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)(単位:g)との関係が、好ましくは、log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.7、およびlog(MT)<1.15を満たし、より好ましくは、log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.6、およびlog(MT)<1.04(MT<11)を満たし、さらに好ましくはlog(MT)<−0.9×log(MFR)+0.5、およびlog(MT)<0.85(MT<7)を満たす。
ポリプロピレン樹脂(B)の溶融張力の下限には定めはないが、小さすぎると耐ドローダウン性が低下し、熱成形時において成形可能な温度幅が狭くなるおそれがあるため、好ましくはlog(MT)>0.48(MT>3)である。ここで、溶融張力(MT)はポリプロピレン樹脂(A1)の溶融張力を測定するのと同様の方法により測定する値である。
(b−1)Q値
ポリプロピレン樹脂(B)は、Q値が好ましくは5.0以下であり、より好ましくは2.0〜4.0であり、さらに好ましくは2.3〜3.5であり、よりさらに好ましくは2.6〜3.3である。ここで、Q値とは、GPC測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で定義されるものである。ポリプロピレン樹脂(B)のQ値を5.0以下にすることにより、機械的特性に優れた成形品が得られ、好ましい。
(b−2)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分量
ポリプロピレン樹脂(B)は、昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量が、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分量を4.0質量%以下にすることにより、バイオマス材料(C)との親和性を良好にし、成形品からのブリードを抑制し、好ましい。
40℃のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分には、オリゴマーのような分子量の低い成分、アタクチックポリプロピレンのような立体規則性の低い成分、コモノマー含量が極端に高い成分等いわゆる低結晶成分を含む。ここでアタクチックポリプロピレンのような立体規則性の低い成分、コモノマー含量が極端に高い低結晶性成分は分子量が高いものであっても可溶分になりうる。したがって、本発明に好ましく用いられるポリプロピレン樹脂(B)を得るためには、立体規則性の低いポリプロピレンや、コモノマー含量が極端に高い低結晶性成分を含むことになる組成分布の広いポリプロピレンが得られる触媒の使用や重合方法を採用することは避けるべきである。
ここで、昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下のオルトジクロロベンゼンに可溶な成分の量は、以下の手順に従って測定される値である。
試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを、下記の条件で、140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.2mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
上記条件に従って得た溶出曲線から40℃で溶出する成分の量の試料全量に対する割合(質量%)を算出する。
ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合して得られるプロピレン単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単段重合又は二段以上の多段重合で単独重合してプロピレン単独重合体を得る重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合して得られるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(1)とプロピレンとα−オレフィンとを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る共重合工程(2−1)または二種以上のα−オレフィンを単段重合又は二段以上の多段重合で共重合してα−オレフィン間ランダム共重合体を得る共重合工程(2−2)を含む重合で得られるプロピレン・α−オレフィンランダムブロック共重合体などを挙げることができる。また、ポリプロピレン樹脂(B)としては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
α−オレフィンは、好ましくはエチレンまたは炭素数4〜18のα−オレフィンである。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種または2種以上の組み合わせでもよい。
ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダムブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン単位を85〜100モル%、好ましくは90〜99.5モル%、より好ましくは92〜98.5モル%、エチレン単位及び/又は1−ブテン単位を0〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1.5〜8モル%を含有している。
ここで、プロピレン単位及びエチレン及び/又は1−ブテン単位はフーリエ変換赤外分析法によって計測される値である。
ポリプロピレン樹脂(B)は、チーグラーナッタ触媒により重合されるもの、メタロセン触媒により重合されるもの、ポストメタロセン触媒により重合されるもの等を挙げることができる。チーグラーナッタ触媒としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須とする固体成分、有機アルミニウム、および必要に応じて用いられる電子供与体を含んでなる触媒などが挙げられる。メタロセン触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。ポストメタロセン触媒としては、周期表第4族金属のビスアミド化合物、周期表第8〜10族金属のビスイミノ化合物、周期表第4〜10族金属のサリチルアルジミナト化合物などの有機金属化合物、助触媒、および必要に応じて用いられる有機金属化合物や担体を含んでなる触媒などが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(B)は、市販品を利用することができ、例えば、日本ポリプロ(株)社製WINTEC(登録商標)シリーズなどが利用できる。
バイオマス材料(C)
バイオマス材料(C)は、動植物由来の有機性資源で化石資源を除いたものであり、好ましくは植物由来の有機性資源で化石資源を除いたものである。植物由来の有機性資源で化石資源を除いたものとしては、セルロース系材料、リグノセルロース系材料、でんぷん系材料などを挙げることができる。
セルロース系材料としては、木材パルプをアルカリ処理し、機械的に細断したアルファ繊維フロックや綿実から得られるコットンリンター、コットンフロック、人絹を細断した人絹フロック等を挙げることができる。リグノセルロース系材料としては、リグノセルロース系繊維、リグノセルロース系粉末が挙げられる。具体的には、木材パルプ、リファイナー・グラフト・パルプ(RGP)、製紙パルプ、古紙、粉砕処理した木片、木粉、果実殻粉等を挙げることができる。これらセルロース系材料、リグノセルロース系材料の形状には、特に制限はなく、繊維状、粉末状のものが使用できる。木粉の具体例としては、例えば、松、モミ、ポプラ、竹、バガス、オイルパーム樹幹等の粉砕物や鋸屑、カンナ屑などがあり、果実殻粉としては、クルミ、ピーナッツ、ヤシ等の果実の粉砕物がある。
セルロース系材料またはリグノセルロース系材料は、セルロース系材料又はリグノセルロース系材料の水酸基に、多塩基酸無水物が付加されてなるエステル化セルロース系材料又はエステル化リグノセルロース系材料、セルロース系材料又はリグノセルロース系材料の水酸基に、多塩基酸無水物とモノエポキシ化合物とが付加されてなるオリゴエステル化セルロース系材料又はオリゴエステル化リグノセルロース系材料、およびセルロース系材料又はリグノセルロース系材料の水酸基に、多塩基酸無水物と多価アルコールとが付加されてなるオリゴエステル化セルロース系材料又はオリゴエステル化リグノセルロース系材料であってもよい。
多塩基酸無水物としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ジクロロマレイン酸、無水イタコン酸、無水テトラブロモフタル酸、無水ヘット酸、無水トリメット酸、無水ピロメリット酸、等が挙げられるが,特に工業的に有利で安価な無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましい。
モノエポキシ化合物としては、分子中に1個のエポキシ基を含む化合物であればよく、例えば、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテール、スチレンオキサイド、オクチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、ヒドロベンゾイン、ベンズピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール400等があげられる。
エステル化を行なわせる一般的な方法としては、セルロース系材料又はリグノセルロース系材料の存在下で前記多塩基酸無水物(もしくは前記多塩基酸無水物と前記モノエポキシ化合物、もしくは前記多塩基酸無水物と前記多価アルコール)を混合し60〜150℃の温度で0.5〜8時間反応させる。
セルロース系材料又はリグノセルロース系材料成分中の水酸基に前記多塩基酸無水物と前記モノエポキシ化合物を交互に付加エステル化させる反応の場合は、無触媒下でも充分に進行するが、反応を促進させるために炭酸ナトリウム、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、ビリジン等の塩基性触媒を用いてもよい。また、付加エステル化触媒を使用してもよい。
そして、前記多塩基酸無水物及び前記モノエポキシ化合物のオリゴマーの分子量は、利用のしやすさ、効果の点から、液状を示しうる20〜1000程度(重合度は5以下が好ましく、1のものも含む)であることが好ましい。
また、前記多塩基酸無水物と前記モノエポキシ化合物の配合量は次の通りである。まず、前記多塩基酸無水物は、乾燥したセルロース系材料又はリグノセルロース系材料100質量部に対して、5〜120質量部、好ましくは、10〜100質量部使用する。そして、前記モノエポキシ化合物は、使用する前記多塩基酸無水物の無水酸基1当量に対しエポキシ基0.5〜2.0当量にするのが好ましい。これは、前記多塩基酸無水物を、乾燥したセルロース系材料又はリグノセルロース系材料100質量部に対し120質量部より多く使用すると、リグノセルロース系又はセルロース系物質成分の含量が低くなり、熱圧成形時にしみ出しが起こり好ましくなく、また、5質量部未満の少量では熱圧流動性が低下し、更に、均一な成形品が得られなくなるので好ましくないことによる。
セルロース系材料又はリグノセルロース系材料の水酸基に前記多塩基酸無水物と前記多価アルコールを交互に付加エステル化させる反応の場合は、前述したモノエポキシ化合物を前記多価アルコールに替えて行なえばよい。
でんぷん系材料の具体例としては、例えば、米、小麦、とうもろこし、サトウキビ、馬鈴薯、甘藷、タピオカ、コーンでんぷん、馬鈴薯でんぷん、芋でんぷん、タピオカでんぷん及びそれらの軽度アセチル化物などを広く用いることができる。でんぷんを含有する農作物であれば、これらに限定されることはなく用いることができる。またこれらでんぷん系材料は、備蓄される時の一般的な状態そのままであったり、洗浄したり、外皮等のでんぷんを含まない部分を取り除いたり、適当な大きさに切断したりするなどの簡単な前処理を施す程度で用いることができる。でんぷん系材料は、通常、顆粒状で得られるが、これらをそのまま用いることができる。
また、原料として用いられるでんぷん系材料は、このような簡単な前処理を施した後、下記の要領でα化処理が行われるとさらに好ましい。つまり、でんぷん系材料を構成するでんぷんは、当初において結晶構造(β構造)を有しているが、適当な量の水分の存在下で70℃以上の温度環境におくと、このβ構造が崩れて非晶構造(α構造)に変化する。このように、生のでんぷんが水分を含んで加熱されることにより、β構造からα構造に変化することを糊化するという。この糊化した系材料のα構造を示すでんぷん粒は、当初の被加熱状態(生状態)のβ構造であった場合と比較して、熱流動するポリプロピレン樹脂中ででんぷんの分子レベルで解れて微細に均一に分散しやすい状態になる。
このような、β構造を有するでんぷんをα構造にする具体的な処理としては、水に浸漬させて煮沸させたり、水蒸気で蒸して行ったりするような、一般に食用に供する際に行う熱処理を加える方法が挙げられる。
ところで、α構造の非晶状態を有するでんぷんは、水分を含んだまま低温に放置されると、時間経過とともに、もとのβ構造の結晶状態に戻る現象(老化という)が観測されることが一般に知られている。一方、α構造の非晶状態を有するでんぷんから水分を取り除けば、その後、低温で長期間放置してもでんぷんはα構造を維持したままβ構造に可逆転移しない(老化しない)ことが知られている。
そこで、本発明の原料として用いられるでんぷん系材料は、でんぷんの構造がα構造(非晶構造)であるもので、水分を含んだ状態、及び、水分を含まない(脱水された)状態の両方をも含むこととする。いずれにしても、ポリプロピレン樹脂に配合されるでんぷん系材料のでんぷん構造がα構造(非晶構造)であれば、後記する混練処理の際、ポリプロピレン樹脂のマトリックスの中ででんぷんの分子鎖がほぐれて、微細化して分散されやすくなる。これは、でんぷん構造がβ構造(結晶構造)である非加熱のでんぷん系材料を配合した場合には得られない効果である。
ところで、脱水されたα構造のでんぷん系材料を得る方法は、具体的には、水分の存在下で加熱して糊化させた後、そのまま真空装置により雰囲気を減圧することによる。このような、脱水されたα構造のでんぷん系材料を使用することにすれば、老化しにくいのででんぷん系材料を単体で長期保存することが可能になり、ポリプロピレン樹脂組成物の製造期間短縮や製造コスト削減に寄与することとなる。
なお、前記した、β構造を有するでんぷんをα構造にする際に用いられる水には、トレハロースが溶解されていることとする。このことの効果は、例えば、でんぷん系材料として米を適用した場合にあっては、トレハロース水溶液が生米に含浸することにより、米の脂質成分の分解をトレハロースが抑える作用が得られ、製造された米を用いたポリプロピレン樹脂組成物の経時的な劣化が抑制されることである。この理由は、トレハロースが、米成分をコーティングして、酸化分解から脂肪酸を護る作用を有するためといわれている。
このような効果は、米に限定されることなく一般的なでんぷん系材料においても発揮されるといえ、またそのような作用を有するものとして、前記したトレハロース以外に、塩、ショ糖、酸化防止剤、たんぱく質分解促進剤、セルロース分解促進剤等が挙げられる。なお、これらのものを水に添加してα構造にしたでんぷん系材料を配合することにより、製造されたポリプロピレン樹脂組成物の特有の臭気、焦げ、色付を防止する効果も得られる。
さて、これまで原料として配合されるでんぷん系材料として、すでにα化処理が施されたものを用いることについて説明してきたが、後記する製造方法により、β構造を有するでんぷん系材料が水分を含むものである場合も用いることができる。
具体的には、生米を水に所定時間だけ浸漬させ、水切りを行ってから、混練機に、ポリプロピレン樹脂と共に投入し、ポリプロピレン樹脂の熱流動温度で混練する。この熱流動温度(通常は100〜170℃)は、生米のでんぷん構造をβ構造からα構造に転移させるのに充分な温度であるため、混練の過程において生米はα化処理されることになる。このように、生米がα構造に変化した後に関しては、既に前記したように、でんぷんの分子鎖がほぐれて、微細化してポリプロピレン樹脂のマトリックス中に分散していく。
ここで、β構造の生米が加熱されてα化構造になるのには、水分含有量が17%質量以上であることが望まれ、このためには水への浸漬時間を5分以上にする必要がある。また、例えば馬鈴薯のような、自身ででんぷんをα構造にするのに充分な水分を含む、でんぷん系材料に関しては、米のように水に浸漬させる処理は必要なくそのまま混練機に投入することができる。
バイオマス材料(C)は、木、パルプ、竹、サトウキビ(バガス)、もみ殻、米(でんぷん)からなる群より選択される一種または二種以上の植物由来フィラーであることが好ましい。
本発明の第1のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)5〜85質量%、ポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含み、好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)10〜75質量%、ポリプロピレン樹脂(B)10〜75質量%、およびバイオマス材料(C)15〜70質量%を含み、より好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)15〜65質量%、ポリプロピレン樹脂(B)15〜65質量%、およびバイオマス材料(C)20〜60質量%を含み、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)20〜55質量%、ポリプロピレン樹脂(B)20〜55質量%、およびバイオマス材料(C)25〜55質量%を含む。ここで(A1)、(B)および(C)の質量割合の合計量は100質量%である。
本発明の第2のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)の合計5〜85質量%、ポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、並びにバイオマス材料(C)10〜80質量%を含み、好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)の合計10〜75質量%、ポリプロピレン樹脂(B)10〜75質量%、並びにバイオマス材料(C)15〜70質量%を含み、より好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)の合計15〜65質量%、ポリプロピレン樹脂(B)15〜65質量%、並びにバイオマス材料(C)20〜60質量%を含み、さらに好ましくはポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)の合計20〜55質量%、ポリプロピレン樹脂(B)20〜55質量%、並びにバイオマス材料(C)25〜55質量%を含む。ここで(A1)、(A2)、(B)および(C)の質量割合の合計量は100質量%である。
熱可塑性エラストマー(D)
ポリプロピレン樹脂組成物には、任意であるが、熱可塑性エラストマー(D)を配合してもよい。熱可塑性エラストマー(D)としては、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等を挙げることができる。これらを単独又は2種以上を混合して用いることができる。
オレフィン系エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)、エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体等のエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体(CEBC)等の水添ポリマー系エラストマー等を挙げることができる。なかでもエチレン・プロピレン共重合体エラストマー、エチレン・ブテン共重合体エラストマー、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマーが好ましい。
スチレン系エラストマーとしては、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体エラストマー、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体エラストマー等を挙げることができる。
熱可塑性エラストマー(D)は、190℃、2.16kg荷重で測定されるMFRが好ましくは0.01〜10g/10分、より好ましくは0.1〜3g/10分である。熱可塑性エラストマー(D)のMFRが、0.1g/10分以上であると、シートを押出成形する際に、押出機への負荷が抑えられ生産性が向上する。また、MFRが10g/10分以下であると、シートの溶融張力を高く保つことができ、押出成形や熱成形する際に成形体が自重で垂れることがないため好ましい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計、またはポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(A2)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計100質量%からなる100質量部に対し、好ましくは熱可塑性エラストマー(D)を1〜50質量部、より好ましくは2〜44質量部、さらに好ましくは4〜38質量部、さらにより好ましくは8〜32質量部を含むことができる。
(3)相溶化剤
ポリプロピレン樹脂組成物においては、必要に応じて、相溶化剤を配合することができる。好ましく使用される相溶化剤としては、飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸又はそれらの誘導体、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された熱可塑性樹脂、並びに不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたセルロース系材料、リグノセルロース系材料、でんぷん系材料などが挙げられる。さらに、油変性アルキッド樹脂又はそれらの誘導体、加工でんぷん又はそれらの誘導体を用いることもできる。
飽和カルボン酸としては、無水コハク酸、コハク酸、無水フタル酸、フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水アジピン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、無水ナジック酸、無水イタコン酸、イタコン酸、無水シトラコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アンゲリカ酸、ソルビン酸、アクリル酸等が挙げられる。飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸の誘導体としては、飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸の金属塩、アミド、イミド、エステル等を使用することができる。
また、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された熱可塑性樹脂、並びに不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたセルロース系材料、リグノセルロース系材料、でんぷん系材料などを使用することができる。不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性された熱可塑性樹脂に用いる変性前の熱可塑性樹脂としては、本発明の効果を著しく損なうものでなければ特に限定はなく、具体的には、低密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体などを挙げることができる。このうち、ポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(A2)および/またはポリプロピレン樹脂(B)と同一のものであることが好ましい。
これらは、熱可塑性樹脂又はセルロース系材料、リグノセルロース系材料、でんぷん系材料などと不飽和カルボン酸又はその誘導体と、ラジカル発生剤とを溶媒の存在下又は不存在下に加熱混合することにより得られる。不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、0.1〜15質量%が好ましく、特に1〜10質量%が好ましい。本発明で使用される相溶化剤としては、臭気が無く、酸性度が小さい不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した熱可塑性樹脂、並びに不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性したセルロース系材料、リグノセルロース系材料、でんぷん系材料などが好ましい。
ポリプロピレン樹脂組成物には、任意成分として、必要に応じて、本発明の効果が著しく損なわれない範囲で、各種添加剤、例えば造核剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、界面活性剤、相溶化剤、着色剤、抗菌・防黴剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、充填剤、導電剤、防腐剤、芳香剤、消臭剤、防虫剤、エラストマーなどを配合することができる。これらの任意成分は、2種以上を併用してもよい。
また、これらの任意成分は、ポリプロピレン樹脂(A1)および/またはポリプロピレン樹脂(A2)に配合されていてもよいし、ポリプロピレン樹脂(B)に配合されていてもよく、それぞれの樹脂成分においても、2種以上併用することもできる。
本発明のプロピレン樹脂組成物の調製方法としては、パウダー状もしくはペレット状のポリプロピレン樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)、バイオマス材料(C)および必要に応じて用いるその他の配合剤をドライブレンド、ヘンシェルミキサー等で混合する方法を挙げることができる。ポリプロピレン樹脂(A)がポリプロピレン樹脂(A1)とポリプロピレン樹脂(A2)とを含む態様においては、ポリプロピレン樹脂(A1)とポリプロピレン樹脂(A2)を予め混合してもよいし、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)とともに混合してもよい。また、状況に応じて、ゲレーション法などによりあらかじめバイオマス材料(C)とポリプロピレン樹脂(A)および/またはポリプロピレン樹脂(B)を固着せしめてもよい。また、これらを単軸、もしくは2軸押出機などにより混錬しておく、または高濃度のフィラー含有量として混錬しておきマスターバッチとし、成形時に必要濃度に希釈してもよい。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)、またはポリプロピレン樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)、バイオマス材料(C)および熱可塑性エラストマー(D)と、必要に応じて配合される任意の成分を、混合または単軸押出機、二軸押出機などにより加熱混練して製造することができる。加熱混練の樹脂温度は、100℃〜300℃の範囲で混練の負荷、樹脂組成物の色目や臭気などを考慮して適宜定めることができる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、加圧成形、フィルム成形、真空成形、押出成形、射出成形等の手段により、適宜、所望の形状に成形して各種成形品を製造することができる。この際の成形温度は、100℃〜300℃の範囲で混練の負荷、樹脂組成物の色目や臭気などを考慮して適宜定めることができる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、各種のフィルム・シート材料、ディスポーザブル成形加工品(例えば、容器、パイプ、角材、棒材、人工木材、トレイ、コンクリート・パネル、発泡体等)、家具、建材、自動車用内装材・外装材、家電製品の筐体・ハウジング、土木建築資材、農業・酪農業・水産業用資材、リクリエーション用資材、スポーツ用資材等の素材として有効に用いることができる。
また本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、電気絶縁材料、工業用部品材料、建築用材料等の分野にも好適に利用され、中でも住宅部材、建築材料、家電製品の原料として好適に利用される。具体例としては、トレー、食器類、スピーカー、バスユニット床パン、桶、便座、キャビネット、ステレオキャビネット、巾木、ドアー材、カウンター材、窓枠、遮音板、棚板、土木角材、柱、構造材、厨房部材、床、バス、下地板、ピアノオルガンの親板、建具天井材等を挙げることができる。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物によれば、処分に困っている農作物の過剰在庫を大量に有効処分するとともに、化石燃料から製造されるポリプロピレン樹脂の使用量を低減させることができる。さらに、本発明のポリプロピレン樹脂組成物の成形品は、使用後に焼却処分しても炭が残留物として残るので、燃焼熱や二酸化炭素の発生量が少なく地球環境の保全に大きく貢献する。また埋立処分する場合にあっても土への還元率が高くなり環境に優しいといえる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.評価方法
(1)融点(Tm)
セイコー社製示差走査型熱量計DSC6200を使用して測定した。シート状にしたサンプル約5mgをアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で40℃まで降温して、その後、10℃/分で200℃まで昇温させたときに得られる融解熱量曲線から、融解最大ピーク温度を融点Tm(℃)とした。
(2)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂(A1),(A2),(B)のMFRはJIS K7210に準拠して230℃、2.16kg荷重で測定した。熱可塑性エラストマー(D)のMFRはJIS K6922−2に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。単位はg/10分である。
(3)溶融張力MT
東洋精機製作所社製キャピログラフを使用して測定した。
(測定条件)
・キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
・シリンダー径:9.55mm
・シリンダー押出速度:20mm/分
・引き取り速度:4.0m/分
・温度:230℃
溶融張力MTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまうことがある。このようなときには、引取り速度を0.1m/分ずつ下げ、引き取りのできる最高の速度における溶融張力をMTとした。単位はグラムである。
(4)Q値(Mw/Mn)
下記の方法に従って、GPC測定により求めた。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/分
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られる保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線(較正曲線)を用いて行う。標準ポリスチレンとしては、東ソー(株)製の以下の銘柄を用いる。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
(5)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分
上述した方法に従って、測定した。
(6)ペレット臭気
ペレットを100g秤量し、500mlガラス製容器に封入後、80℃で3時間保持した後に、ガラス製容器の蓋を開封し、内部のペレットの臭気を官能的に評価した。臭気の強弱判定は次の通りである。
◎:臭気を殆ど感じない。
○:やや臭気を感じる。
△:臭気を感じる。
×:臭気を強く感じる。
(7)押出シート成形品およびそのプラ感
ペレットをスクリュー口径40mmの押出機に投入し、樹脂温度200℃にてT型ダイスより押出し、表面温度が60℃の鏡面仕上げの金属製キャストロ−ルにて挟み、冷却固化させながら1.2m/分の速度で連続的に引き取り、幅500mm、厚さ1.0mmのポリプロピレン樹脂組成物のシートを得た。
得られた成形体のプラ感はバイオマス材料起因である光沢の低下や、模様の付与によって、評価した。プラ感の強弱の判定は次の通りである。
○:プラ感が殆ど無い。
△:プラ感がややある。
×:プラ感そのものである。
また、ダイ出口延展性は、上記押出シート成形において、引き取り速度を増大させ、厚さ0.5mmのシートを得た際の状態を評価した。延展性の判定は次の通りである。
○:シートの厚さが均一である。
△:シートの一部が薄肉化し、厚さが不均一である。
×:シートが破れ、引き取りが困難である。
(8)熱成形品
熱成形品の最小厚みは、以下のとおり測定した。
各実施例及び各比較例で得られたポリプロピレン樹脂シートから、200mm×200mmの大きさの試験片を切り出し、内寸半径80mmの円状枠に固定した。三鈴エリー社製垂れ試験機を用いて、ヒーターが上下に配列してある試験機内の加熱炉に導いて雰囲気温度200℃で加熱し、最大張り戻り時から2秒後シート上部に設置したプラグをエアシリンダー圧により0.1m/秒で降下させ、シートの深絞り成形を行った。得られた高さ200mmのコーン状の成形体について、高さ方向25mm〜175mmの間の25mmの間隔に設けた11か所の基準点における胴部の厚みをマイクロメーターにより測定し、最小の測定値を胴部最小厚みとした。
熱成形品のドローダウン性は、以下のとおり測定した。
各実施例及び各比較例で得られたポリプロピレン樹脂シートから、300mm×300mmの大きさの試験片を切り出し、内寸260mm×260mmの枠に水平に固定した。三鈴エリー社製垂れ試験機を用いて、ヒーターが上下に配列してある試験機内の加熱炉に導いて雰囲気温度200℃で加熱し、加熱開始からのサンプル中央部の鉛直方向の変位の経時変化をレーザー光線により逐次測定した。
加熱とともにシートは、一旦垂れ下がり(マイナス方向へ変位)、応力緩和によって張り戻った(プラス方向へ変位)後に再び垂れ下がる。加熱開始時のシート位置(変位)をA(mm)、最大張り戻り時の位置(変位)をB(mm)、最大張り戻り時から10秒後の位置(変位)をC(mm)として、耐ドローダウン性を、以下の基準で評価した。
◎:B−A≧0mmかつC−B≧−5mm
○:B−A≧−5mmかつC−B≧−10mm(B−A≧0mmかつC−B≧−5mmの場合を除く)
△:B−A≧−5mmかつC−B<−10mm、または、B−A<−5mmかつC−B≧−10mm
×:B−A<−5mmかつC−B<−10mm
ここで、B−A≧−5mmであることは、容器成形時にシートが緊張し、皺のない美麗な外観形成が可能であることを意味し、C−B≧−10mmであることは、良好な成形体を得るための成形時間範囲が充分広いことを意味する。
(9)押出発泡成形品およびそのプラ感
ポリプロピレン樹脂組成物のペレット100質量部および気泡調整剤として化学発泡剤(商品名:ハイドロセロールCF40E−J、クラリアントジャパン社製)0.5質量部をリボンブレンダーにより均一に攪拌混合し、得られた混合物をバレルの途中に物理発泡剤注入用のバレル孔を有する単軸押出機に投入した。押出機の前段で加熱溶融して可塑化するとともに気泡調整剤を分解させながら、ポリプロピレン樹脂組成物100質量部に対して、0.50質量部の液化二酸化炭素を高圧ポンプで注入混練した後、押出機の後段でそのポリプロピレン樹脂発泡成形材料を速やかに冷却し、幅750mm、リップ幅0.4mmのT型ダイスから押し出した。押し出された発泡シートは、ダイ直近に設置されたロールでまず片面が冷却され、その後に設置されたロール3本で両面を冷却し、ピンチロールにより一定速度で引き取り、厚み1.3mmの発泡シートを得た。押出機の運転条件は以下の通りである。
・押出機
口径:65mmφ、L/D=42、物理発泡剤注入口:L/D=20の位置
スクリュ回転数:75rpm
吐出量:約65kg/h
得られたプラ感の評価は、上記(7)に記載の通り行った。
発泡倍率は、発泡体を切断した後、それらを、半径1.9cmの底面を持つ高さ4.5cmの円筒状容器に隙間無く充填し、該発泡体の質量、容積、密度の測定およびガス圧縮による空隙率の測定により、発泡倍率を算出した。
発泡形態は、発泡シートから、サンプルを切り出し、実体顕微鏡(ニコン社製:SMZ−1000−2型)を用いて発泡層断面を拡大投影し、断面中の気泡形態について、下記の判定を実施した。
○:微細かつ均一である。
×:粗大気泡が存在する。
(10)射出発泡成形品およびそのプラ感
ポリプロピレン樹脂組成物のペレット100質量部および気泡調整剤として化学発泡剤(商品名:ハイドロセロールCF40E−J、クラリアントジャパン社製)0.5質量部をリボンブレンダーにより均一に攪拌混合し、得られた混合物を使用し、以下の通り型開き射出発泡成形法による射出発泡成形を行った。
射出成形機として、FANUC社製「α−300」を用い、シリンダー温度200℃、射出時間1.0秒にて射出成形を実施した。射出成形用金型として、発泡成形体を成形するための成形品部寸法が400mm×200mm、厚さが可変の平板形状を(今回は金型キャビティ・クリアランス(T0)を2.0mmtとした)有するものを用いて発泡成形を実施した。
本金型温度は40℃に設定した。
得られたプラ感の評価は、上記(7)に記載の通り行った。
発泡倍率は、型開動作による発泡後の成形体厚さと金型キャビティ・クリアランス(T0)との比とした。
気泡形態は、発泡体から、サンプルを切り出し、実体顕微鏡(ニコン社製:SMZ−1000−2型)を用いて発泡層断面を拡大投影し、断面中の気泡形態について、下記の判定を実施した。
○:微細かつ均一である。
×:粗大気泡が存在する。
(11)ブロー成形品およびそのプラ感
口径50mmφ、L/D22のスクリュー及びダイスがクロスヘッド構造である(株)日本製鋼所社製小型ダイレクトブロー成形機JB105型を用い、成形温度200℃、ブロー金型冷却温度15℃、冷却時間24秒の条件にて、ボトル重量30gの内容量550ccのポリプロピレン系ブロー成形体(円筒ボトル)を成形した。
得られたプラ感の評価は、上記(7)に記載の通り行った。
パリソン降下度合いは、上記小型ダイレクトブロー成形機より押し出されるパリソンを長さ0.5m押し出した時のパリソン下部肉厚に対するパリソン上部肉厚の比より下記の通り判定した。
○:パリソン下部肉厚に対するパリソン上部肉厚の比が0.8〜1.0
△:パリソン下部肉厚に対するパリソン上部肉厚の比が0.6〜0.8未満
×:パリソン下部肉厚に対するパリソン上部肉厚の比が0.6未満
最小厚みは、円筒ボトルの胴部中央(底面から高さ15cmの箇所)で、周4方向の肉厚をミツトヨ社製マイクロメーターで測定し、その最大値と最小値の差を求めた。この数値が小さいほど、円筒ボトル肉厚が均一で、偏肉が小さい、製品として良質なものであることを意味する。
(12)引張弾性率
成形機(東芝機械社製EC20型射出成形機)及び下記の金型を用い、下記条件にて物性評価用平板状試験片を作製し、後述する「引張弾性率」の評価に用いた。
・金型=物性評価用平板状試験片(10×80×4t(mm))2個取り。
・成形条件=成形温度220℃、金型温度30℃、射出圧力50MPa、射出時間5秒、冷却時間20秒。
上記作成した平板状試験片を用い、JIS K7162に準拠し、試験温度=23℃にて測定した。引張弾性率の高低の判定は次の通りである。
○:引張弾性率が1,200MPa以上
×:引張弾性率が1,200MPa未満
2.原材料
評価に用いた原材料は以下のとおり。また原材料の物性値等を表1にまとめた。
−ポリプロピレン樹脂(A1−1):日本ポリプロ社製ウェイマックスMFX6(商品名)
−ポリプロピレン樹脂(A2−1):日本ポリプロ社製ノバテックBC6C(商品名)
−ポリプロピレン樹脂(A2−2):日本ポリプロ社製ノバテックBC03C(商品名)
−ポリプロピレン樹脂(B−1):日本ポリプロ社製ウィンテックWFX6(商品名)
−ポリプロピレン樹脂(B−2):日本ポリプロ社製ウィンテックWSX03(商品名)
−バイオマス材料(C−1):木粉(100メッシュ)、カジノ社製
−バイオマス材料(C−2):木粉(45メッシュ)、カジノ社製
−熱可塑性エラストマー(D−1):三井化学社製タフマー(登録商標)AO405
Figure 2021059676
(実施例1〜24、比較例1〜5)
表2,3に示す29種類のポリプロピレン樹脂組成物(実施例1〜24、比較例1〜5)を秤量し、リボンブレンダーにより均一に攪拌混合した。得られた混合物をスクリュー口径15mmの二軸押出機に投入し、樹脂温度200℃で混練し、ストランド状に押出し水冷してペレタイズして、ポリプロピレン樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン樹脂組成物のペレット臭気、押出シート成形品(プラ感、ダイ出口延展性)、熱成形品(ドローダウン性、最小厚み)、押出発泡成形品(プラ感、発泡倍率、気泡形態)、射出発泡成形品(プラ感、発泡倍率、気泡形態)、ブロー成形品(プラ感、パリソン降下度合い、最小厚み)、及び強度を上述した方法で評価した。評価結果を表2および表3にまとめた。
Figure 2021059676
Figure 2021059676

Claims (8)

  1. 下記の特性(a−1)を有するポリプロピレン樹脂(A1)5〜85質量%、融点が110℃以上150℃未満のポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含む(ただし(A1)、(B)および(C)の質量の合計は100質量%である。)ことを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(a−1):溶融張力(MT)(単位:g)が
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
    log(MT)≧1.15を満たす
  2. 下記の特性(a−1)を有するポリプロピレン樹脂(A1)および下記の特性(a−2)を有するポリプロピレン樹脂(A2)を合計で5〜85質量%、融点が110℃以上150℃未満のポリプロピレン樹脂(B)5〜85質量%、およびバイオマス材料(C)10〜80質量%を含む(ただし(A1)、(A2)、(B)および(C)の質量の合計は100質量%である。)ことを特徴とするポリプロピレン樹脂組成物。
    特性(a−1):溶融張力(MT)(単位:g)が
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または
    log(MT)≧1.15を満たす
    特性(a−2):溶融張力(MT)(単位:g)が
    log(MT)<−0.9×log(MFR)+0.7、および
    log(MT)<1.15を満たす
  3. ポリプロピレン樹脂(A1)、またはポリプロピレン樹脂(A1)およびポリプロピレン樹脂(A2)は、それぞれ独立して、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. ポリプロピレン樹脂(B)は、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダムブロック共重合体からなる群より選ばれる一種または二種以上のポリプロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  5. ポリプロピレン樹脂(B)は、以下の特性(b−1)および/または(b−2)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
    (b−1)Q値が5.0以下
    (b−2)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分が4.0質量%以下
  6. バイオマス材料(C)は、木、パルプ、竹、サトウキビ(バガス)、もみ殻、米(でんぷん)からなる群より選択される一種または二種以上の植物由来フィラーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  7. ポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計、またはポリプロピレン樹脂(A1)、ポリプロピレン樹脂(A2)、ポリプロピレン樹脂(B)およびバイオマス材料(C)の合計100質量%からなる100質量部に対し、更に、熱可塑性エラストマー(D)1〜50質量部を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリプロピレン樹脂組成物からなる押出発泡成形体、射出発泡成形体、シート成形体、熱成形体、またはブロー成形体。
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