JP2021059236A - 車載ネックヒータの制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ネックヒータの吹き出し温度の制御に関し、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができるネックヒータの制御装置を提供する。【解決手段】ネックヒータ2から吹き出される温調風の目標吹出温度と、吹出温度センサ23によって検出された温調風の温度との偏差に基づき、この偏差を小さくするようにヒータ22の出力を制御し、該ヒータ22による温調風の加熱量を変更する。これにより、乗員Mの首部に向けて吹き出す温調風の温度を安定的に目標吹出温度近付で推移させることができ、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができる。【選択図】図1

Description

本発明はコンバーチブル車両(カブリオレ車両とも呼ばれる)等に搭載される車載ネックヒータ(以下、単にネックヒータという場合もある)の制御装置に係る。特に、本発明は、温調風の吹出温度の制御の改良に関する。
従来、開閉可能な可動ルーフを備えたコンバーチブル車両にあっては、可動ルーフの開放状態において乗員の首部周辺の快適性を確保するために、当該乗員の首部に向けて温調風を吹き出すようにしたネックヒータを備えたものが知られている。
特許文献1に開示されているネックヒータでは、吹き出し温度の制御において、該吹き出し温度が高過ぎる場合には、吹き出し温度を低くするかスイッチを切るようにしている。
国際公開WO2004/091966号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている吹き出し温度の制御にあっては、吹き出し温度を低くする場合の変更量の設定手法については具体的に特定されておらず、吹き出し温度を低くし過ぎた場合には乗員の首部周辺の快適性を十分に得ることができなくなる。また、スイッチを切った場合には、乗員の首部周辺の快適性を得ることができなくなる。このように、特許文献1のものでは、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することが困難であり、改良の余地があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネックヒータの吹き出し温度の制御に関し、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができるネックヒータの制御装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、加熱手段を備え、吹出口から乗員の首部に向けて吹き出す温調風の加熱量を該加熱手段によって制御する車載ネックヒータの制御装置を前提とする。そして、この車載ネックヒータの制御装置は、温度検出手段および目標吹出温度設定部を備えていることを特徴とする。前記温度検出手段は、前記吹出口の近傍に配設され、該吹出口近傍を流れる温調風の温度を検出する。前記目標吹出温度設定部は、前記温調風の目標吹出温度を設定し、該目標吹出温度に応じた出力信号を前記加熱手段に送信すると共に、現在設定されている前記温調風の目標吹出温度と、前記温度検出手段によって検出されている前記温調風の温度との偏差に基づき、この偏差を小さくするように前記加熱手段への出力信号を変更する。
この特定事項により、現在設定されている温調風の目標吹出温度と、温度検出手段によって検出されている温調風の温度との間に偏差が生じている場合、この偏差を小さくするように加熱手段への出力信号が変更される。つまり、目標吹出温度に対して、検出されている温調風の温度が低い場合には、加熱手段による温調風の加熱量を多くするように出力信号が変更される。逆に、目標吹出温度に対して、検出されている温調風の温度が高い場合には、加熱手段による温調風の加熱量を少なくするように出力信号が変更される。これにより、乗員の首部に向けて吹き出す温調風の温度を安定的に目標吹出温度近付で推移させることができ、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができる。
本発明では、温調風の目標吹出温度と、検出されている温調風の温度との偏差に基づき、この偏差を小さくするように加熱手段への出力信号を変更するようにしている。このため、乗員の首部に向けて吹き出す温調風の温度を安定的に目標吹出温度近付で推移させることができ、乗員の首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができる。
実施形態に係るコンバーチブル車両に搭載されたネックヒータ制御システムの概略構成を示すブロック図である。 ネックヒータを説明するための図である。 乗員のディスプレイ操作によるモード切り替えを説明するための図である。 オートモードカスタマイズ設定テーブルの一例を示す図である。 温調制御基本値決定マップの一例を示す図である。 温調制御テーブルの一例を示す図である。 ネックヒータ制御の手順を説明するためのフローチャート図である。 ネックヒータ吹出温度のフィードバック制御の手順を説明するためのフローチャート図である。 ネックヒータの制御モードが変化していく場合の吹出温度および吸込温度の推移の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、コンバーチブル車両に搭載された温調デバイスとしてのネックヒータから吹き出される温調風の吹出温度を制御する制御装置に本発明を適用した場合について説明する。
−ネックヒータ制御システムの概略構成−
図1は、本実施形態に係るコンバーチブル車両に搭載されたネックヒータ制御システム1の概略構成を示すブロック図である。この図1に示すようにネックヒータ2は、車両に搭載されている種々の温調デバイス(図示しない車室内空調装置、シート空調装置、ステアリングヒータ等)を統括的に制御するエアコンECU(Electronic Control Unit)6に接続されており、このエアコンECU6からの情報(後述する温調制御基本値の情報やモード指令情報等)を受信することで、自動制御(オートモードで制御)または手動制御(マニュアルモードで制御)されるようになっている。
(ネックヒータ)
図2は、ネックヒータ2を説明するための図である。ネックヒータ2は車両の前部座席(運転席および助手席)のヘッドレストHRの内部に収容され、乗員(図2では仮想線Mで示している)の首部に向けて温調風(温風)を吹き出すことで当該乗員Mの首部周辺の快適性を確保するための温調デバイスである。
図2に示すように、ネックヒータ2は、ヘッドレストHRに内蔵された送風ファン21、ヒータ(本発明でいう加熱手段)22、吹出温度センサ(本発明でいう温度検出手段)23を備えている。
具体的に、ヘッドレストHRの内部に配設された樹脂製のベース部材24およびインサートベゼル25の間に形成されたネックヒータ収容空間26に前記送風ファン21およびヒータ22が収容されている。
送風ファン21は電動ファンで構成されており、ネックヒータECU27(図1を参照)からの風量指令信号に従って作動してヒータ22に向けて送風を行う。ネックヒータECU27からの風量指令信号は、送風ファン21の回転速度(送風量)を多段階で切り替え可能とする信号(例えばPWM信号)であり、送風ファン21の回転速度は、この風量指令信号によって制御される。
また、ヒータ22は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータで構成されており、ネックヒータECU27からの温度指令信号に従って作動する。ネックヒータECU27からの温度指令信号は、ヒータ22の発熱量を多段階で切り替え可能とする信号であり、ヒータ22の発熱量は、この温度指令信号によって制御される。
このネックヒータ2における送風ファン21の制御およびヒータ22の制御の詳細については後述する。
また、ヘッドレストHRの前面において前記ヒータ22の吹出口に対応する部分には開口(本発明でいう吹出口)Hが形成されており、この開口Hには吹出口キャップ28が装着されている。この吹出口キャップ28は、ヒータ22の吹出口から吹き出された温調風を乗員Mの首部周辺に案内する部材である。また、この吹出口キャップ28には、乗員Mがヒータ22に直接的に触れることを防止するためのフィン28aが設けられている。このフィン28aに代えてメッシュ状の部材が設けられていてもよい。
また、吹出口キャップ28の内面には、ヒータ22から吹き出された温調風の温度を検出するための前記吹出温度センサ(サーミスタ)23が取り付けられている。この吹出温度センサ23の取り付け位置としては、吹出口キャップ28の天井面28b(温調風が流れる空間の上面)に設定されている。なお、吹出温度センサ23の取り付け位置としてはこれに限定されるものではなく。ヒータ22の輻射熱の影響を受け難く、吹き出された温調風の温度を検出可能な位置であればよい。
(エアコンECU)
エアコンECU6は、一般的に公知のECUとされており、図示していないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびバックアップRAM等を備えている。
本実施形態におけるエアコンECU6は、前記ネックヒータ2を含め、各種の温調デバイスに対して制御用の情報を出力する。これによって各温調デバイスでは、この情報に基づきそれぞれのECUによる制御が行われるようになっている。
具体的に、エアコンECU6には、車室内前面(インストルメントパネル)に設けられたディスプレイ7が接続されており、乗員Mによるディスプレイ7の操作に基づく操作情報が入力されるようになっている。
ディスプレイ7上に表示される各種スイッチとしては、各温調デバイスそれぞれを自動制御するためのオートモードスイッチや、各温調デバイスを手動制御(手動操作)するためのマニュアルモードスイッチ、各温調デバイスの温調状態を手動操作によって調整する(温調デバイスの温調状態を変更したい要求が乗員Mに生じた場合に該乗員Mが手動操作によって調整する)カスタマイズスイッチ等が挙げられる。これらスイッチは各温調デバイス毎に表示可能であって、各温調デバイスは、個別にオートモードとマニュアルモードとの間で切り替えが可能であると共に、各温調デバイスの温調状態を個別に調整すること(例えば後述するLoモード、Midモード、Hiモードの切り替え)が可能となっている。
また、このディスプレイ7上の表示としては、全ての温調デバイスをオートモードで作動させるためのオールオートモードスイッチも表示可能となっており、このオールオートモードスイッチが押された場合には、全ての温調デバイスが連携されてオートモードで作動するようになっている。これらオートモードでの温調制御およびマニュアルモードでの温調制御の詳細については後述する。
また、エアコンECU6に接続される各種センサとしては、車室内温度を検出する車室内温度センサ110、外気温度を検出する外気温度センサ111、車室内に照射される日射量を検出する日射量センサ112、車室内の湿度を検出する湿度センサ113、車両の走行速度を検出する車速センサ115等がある。また、エアコンECU6には、車両の可動ルーフの開閉動作を行う際に乗員Mによって操作されるルーフ開閉切替スイッチ114も接続されている。エアコンECU6は、ルーフ開閉切替スイッチ114からの出力信号(可動ルーフ開放指令信号または可動ルーフ閉鎖指令信号)を受信することで可動ルーフの状態(開放状態であるのか閉鎖状態であるのか)を把握することができる。
−ネックヒータの温調制御−
次に、ネックヒータ2の温調制御について説明する。このネックヒータ2の温調制御では、ヒータ22の発熱量の制御による吹出温度の制御(ヘッドレストHRの開口Hから吹き出される温調風の温度の制御)、および、送風ファン21の回転速度の制御による吹出風量の制御(ヘッドレストHRの開口Hから吹き出される温調風の風量の制御)が行われる。
また、これら吹出温度の制御および吹出風量の制御の制御モードとしては、乗員Mの手動操作によるマニュアルモードと、エアコンECU6およびネックヒータECU27によって行われるオートモードとがある。マニュアルモードとオートモードとの切り替えは、前記ディスプレイ7上に表示されるモード選択画面での操作によって行われる。
図3は、乗員Mのディスプレイ操作によるモード切り替えを説明するための図である。この図3に矢印で示すように、乗員Mのディスプレイ操作によって、マニュアルモード、オートモード、OFF(ネックヒータ2の作動停止)の切り替えが可能となっている。また、マニュアルモードにあっては、更に、吹出温度および吹出風量が互いに異なるLoモード、Midモード、Hiモードの間で切り替えが可能となっている。Loモードは、乗員Mによる温調要求(要求する温調風の吹出温度および吹出風量)が比較的低い場合に選択され、所定の範囲内(ネックヒータ2における温調風の吹出温度および吹出風量の制御範囲内)において吹出温度が比較的低く、吹出風量が比較的少なく設定される。また、Hiモードは、乗員Mによる温調要求が比較的高い場合に選択され、吹出温度が比較的高く、吹出風量が比較的多く設定される。Midモードは、これらLoモードとHiモードとの中間のモードであって、吹出温度および吹出風量それぞれがLoモードとHiモードとの中間の値に設定される。また、オートモードにあっては、後述するように環境情報を含む複数のパラメータに応じて、これらLoモード、Midモード、Hiモードが自動的に設定され、その設定されたモードに従って吹出温度および吹出風量それぞれが設定されることになる。
以下、オートモードにおける吹出温度および吹出風量それぞれの設定動作を行うための構成について説明する。
エアコンECU6にはオート/マニュアルモード指令部61が備えられており、ディスプレイ7の操作によってオートモードが選択された場合には、このオート/マニュアルモード指令部61からオートモード指令信号が送信され、ネックヒータ2がオートモードで作動する。一方、ディスプレイ7の操作によってマニュアルモードが選択された場合には、このオート/マニュアルモード指令部61からマニュアルモード指令信号が送信され、ネックヒータ2がマニュアルモードで作動することになる。
また、このエアコンECU6において、オートモードにおける吹出温度および吹出風量それぞれの設定動作に寄与する機能部として、パラメータ取得部62、必要温調制御量算出部63、必要温調制御量補正部64および温調制御基本値決定部65を備えている。
パラメータ取得部62は、環境情報を含むパラメータを取得する。具体的には、車室内温度センサ110によって検出された車室内温度、外気温度センサ111によって検出された外気温度、日射量センサ112によって検出された日射量、湿度センサ113によって検出された車室内の湿度、車速センサ115によって検出された車両の走行速度(車速)を取得する。また、このパラメータ取得部62は、乗員Mのディスプレイ操作によって設定された設定温度(乗員Mが要求する車室内温度)の情報も取得する。更に、このパラメータ取得部62は、ルーフ開閉切替スイッチ114の出力信号(可動ルーフ開放指令信号または可動ルーフ閉鎖指令信号)も受信する。この出力信号を受信することによって現在の可動ルーフの状態(開放状態であるのか閉鎖状態であるのか)を把握できるようになっている。
必要温調制御量算出部63は、前記パラメータ取得部62によって取得されたパラメータに基づいて必要温調制御量(TAOBiseat)を算出すると共に、この必要温調制御量(TAOBiseat)からネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出する。このネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)は、現在、乗員Mが要求している温調状態を得るために必要となるネックヒータ2から吹き出される温調風の制御量である。
前記必要温調制御量(TAOBiseat)の算出手法としては、以下の式(1)によって基本項を算出した後に、この算出した基本項を以下の式(2)に当て嵌めることによって算出する。なお、この必要温調制御量(TAOBiseat)の算出動作は所定時間毎に繰り返されて更新されていく。
基本項=設定温度項−車室内温度項−外気温度項−定数 …(1)
必要温調制御量(TAOBiseat)=基本項−日射量補正項−湿度補正項−仕向地補正項 …(2)
ここで、設定温度項は、乗員Mのディスプレイ操作によって設定された前記設定温度に対し、車種毎に予め設定された係数を乗算するなどして規定された値である。また、車室内温度項は、車室内温度センサ110によって検出された車室内温度に対し、車種毎に予め設定された係数を乗算するなどして規定された値である。外気温度項は、外気温度センサ111によって検出された外気温度に対し、車種毎に予め設定された係数を乗算するなどして規定された値である。日射量補正項は、日射量センサ112によって検出された日射量に対し、車種毎に予め設定された係数を乗算するなどして規定された値である。湿度補正項は、湿度センサ113によって検出された車室内の湿度に対し、車種毎に予め設定された係数を乗算するなどして規定された値である。なお、前記各係数は、車種毎に実験またはシミュレーションによって予め設定されている。また、式(1)の定数も、実験またはシミュレーションによって車種毎に予め設定されている。また、式(2)の仕向地補正項は、車両が寒冷地仕様であるか否か、また、車両の輸出国に応じて、実験またはシミュレーションによって予め設定されたものである。
前記式(1)によれば、乗員Mが要求する温調風の設定温度に対して車室内温度項が小さいほどまた外気温度項が小さいほど、基本項は大きな値として算出され、それに伴って必要温調制御量(TAOBiseat)も大きい値として算出されることになる。これは、乗員Mが要求する温調風の設定温度に対して車室内温度が低いほどまた外気温度が低いほど、乗員Mの暖房要求は高くなる傾向にあるため、この場合、必要温調制御量(TAOBiseat)を大きい値として算出して、温調風の目標吹出温度を高くすると共に、温調風の目標吹出風量を多くすることで、乗員Mの暖房要求に十分に応えられるようにするためである(必要温調制御量と、温調風の目標吹出温度および目標吹出風量との関係については後述する)。
同様に、前記式(2)によれば、日射量補正項が小さいほど、必要温調制御量(TAOBiseat)は大きい値として算出されることになる。これは、例えば冬季において日射量が少ないほど乗員Mの暖房要求は高くなる傾向にあるため、この場合も、必要温調制御量(TAOBiseat)が大きい値として算出され、温調風の目標吹出温度を高くすると共に、温調風の目標吹出風量を多くすることで、乗員Mの暖房要求に十分に応えられるようにするためである。
また、湿度補正項が大きいほど、必要温調制御量(TAOBiseat)は小さい値として算出されることになる。これは、例えば冬季において、乗員Mに比較的高温の温調風を吹き付けたとしても、その温調風の湿度が高い場合には、乗員Mが不快感を覚える可能性がある。このため、車室内の湿度が高い場合(送風ファン21が吸い込む車室内の空気の湿度が高い場合)には、必要温調制御量(TAOBiseat)を小さい値として算出し、温調風の目標吹出温度を低くすると共に、温調風の目標吹出風量を少なくすることで、乗員Mに不快感を与えないようにするためである。
また、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)は、前述の如く算出された必要温調制御量(TAOBiseat)が補正されることによって算出される。この必要温調制御量(TAOBiseat)に対する補正は、必要温調制御量補正部64が受信したカスタマイズ情報に従って行われる。このカスタマイズ情報は、ネックヒータ2からの温調風の吹出温度および吹出風量を変更したい要求が乗員Mに生じた場合、該乗員Mがディスプレイ7を操作することによって入力される情報である。
図4は、このカスタマイズ情報が存在する場合(乗員Mがディスプレイ7を操作してカスタマイズ情報を入力した場合)に、必要温調制御量(TAOBiseat)を補正してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を求めるための補正項の値を決定するオートモードカスタマイズ設定テーブルの一例を示す図である。乗員Mのディスプレイ操作によるカスタマイズ操作は、温調制御能力を高くする側に2段階、温調制御能力を低くする側に2段階それぞれ操作が可能となっている。図4では、温調制御能力を1段階だけ高くする操作入力を「1」とし、温調制御能力を2段階高くする操作入力を「2」とし、温調制御能力を1段階だけ低くする操作入力を「−1」とし、温調制御能力を2段階低くする操作入力を「−2」としている。
そして、前記操作入力が「1」の場合には補正項の値を「5」として必要温調制御量(TAOBiseat)に「5」を加算してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出し、前記操作入力が「2」の場合には補正項の値を「10」として必要温調制御量(TAOBiseat)に「10」を加算してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出し、前記操作入力が「−1」の場合には補正項の値を「−5」として必要温調制御量(TAOBiseat)から「5」を減算してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出し、前記操作入力が「−2」の場合には補正項の値を「−10」として必要温調制御量(TAOBiseat)から「10」を減算してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出するようになっている。
このようにして算出されたネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)は温調制御基本値決定部65に出力されることになる。つまり、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)は、カスタマイズ情報が存在しない場合には必要温調制御量(TAOBiseat)と同一の値として温調制御基本値決定部65に出力され、カスタマイズ情報が存在する場合には必要温調制御量(TAOBiseat)が前記補正項(オートモードカスタマイズ設定テーブルによって決定された補正項)によって補正された値として温調制御基本値決定部65に出力されることになる。
温調制御基本値決定部65は、前記算出されたネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)に基づいて温調制御基本値を決定する。この温調制御基本値は、ネックヒータ2の制御モードをLoモード、Midモード、Hiモードの何れに設定するかを決定するための値である。この温調制御基本値は、図5に示す温調制御基本値決定マップにネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を当て嵌めることによって決定される。
また、この温調制御基本値決定マップは、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)に応じて、ネックヒータ2の制御モードをOFF、Loモード、Midモード、Hiモードのうちの何れかに設定するものである。本実施形態では、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)が上昇していく状況において、その値が図中のA2に達した時点でネックヒータ2の制御モードをOFFからLoモードに切り替え、図中のB2に達した時点でネックヒータ2の制御モードをLoモードからMidモードに切り替え、図中のC2に達した時点でネックヒータ2の制御モードをMidモードからHiモードに切り替えるようになっている。また、これらモードの切り替えにはヒステリシスが設けられており、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)が下降していく状況において、その値が図中のC2よりも小さいC1に達するまではHiモードが維持され、図中のB2よりも小さいB1に達するまではMidモードが維持され、図中のA2よりも小さいA1に達するまではLoモードが維持されるようになっている。このようにして決定されたネックヒータ2の制御モードの情報は、エアコンECU6からネックヒータECU27に出力される。
ネックヒータECU27において、オートモードにおける吹出温度および吹出風量それぞれの設定動作に寄与する機能部として、目標吹出温度設定部27aおよび目標吹出風量設定部27bを備えている。
目標吹出温度設定部27aは、温調制御基本値決定部65によって決定された温調制御基本値に応じて、ネックヒータ2の温調風の目標吹出温度を設定する。具体的には、図6に示す温調制御テーブルに、温調制御基本値を当て嵌めることによって目標吹出温度を設定する。この温調制御基本値決定マップでは、温調制御基本値が大きいほど目標吹出温度が高い値として設定されるようになっている。具体的には、温調制御基本値に従い、Loモードに設定された場合の目標吹出温度はA(例えば37℃)、Midモードに設定された場合の目標吹出温度はB(例えば40℃)、Hiモードに設定された場合の目標吹出温度はC(例えば43℃)に設定される。これらの値はこれに限定されるものではなく適宜設定される。
また、本実施形態の特徴として、目標吹出温度設定部27aは、ネックヒータ2の吹出温度のフィードバック制御を行う。具体的には、前述の如く設定された温調風の目標吹出温度(現在設定されている温調風の目標吹出温度)と、吹出温度センサ23によって検出されている温調風の温度(実際に吹き出されている温調風の温度)との偏差に基づき、この偏差を小さくするようにヒータ22への出力信号(温度指令信号)を変更するようになっている。この吹出温度のフィードバック制御は、オートモード時だけでなくマニュアルモード時においても実施される。この吹出温度のフィードバック制御の手順については後述する。
目標吹出風量設定部27bは、温調制御基本値決定部65によって決定された温調制御基本値、ルーフ開閉切替スイッチ114からの出力信号、および、車速センサ115によって検出された車両の走行速度それぞれに応じて、温調風の目標吹出風量を設定する。具体的には、図6に示す温調制御テーブルに、温調制御基本値、ルーフ状態、車速を当て嵌めることによって送風ファン出力(目標吹出風量)を設定する。この温調制御基本値決定マップでは、温調制御基本値が大きいほど送風ファン出力が大きい値として設定され、可動ルーフの閉鎖状態よりも開放状態の方が送風ファン出力が大きい値として設定され、更に、可動ルーフが開放状態にある場合において車速が所定値(例えば50km/h)未満である場合よりも所定値以上である方が送風ファン出力が大きい値として設定されるようになっている。また、可動ルーフが閉鎖状態にある場合には、車速に関わりなく送風ファン出力は可動ルーフが開放状態にある場合よりも小さい値として設定されるようになっている。
また、前述したようにディスプレイ7の操作によってマニュアルモードが選択された場合には、オート/マニュアルモード指令部61からマニュアルモード指令信号が送信され、ネックヒータ2がマニュアルモードで作動することになる。
このマニュアルモードでは、図示しないマニュアルモードカスタマイズ設定テーブルに従って送風ファン出力(目標吹出風量)および目標吹出温度が設定されることになる。
具体的には、ディスプレイ7の操作によってLoモードに設定された場合であってカスタマイズ情報が存在していない場合には目標吹出温度がA(例えば37℃)に、温調制御能力を1段階だけ低くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がA−(例えば36℃)に、温調制御能力を1段階だけ高くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がA+(例えば38℃)にそれぞれ設定される。また、Midモードに設定された場合であってカスタマイズ情報が存在していない場合には目標吹出温度がB(例えば40℃)に、温調制御能力を1段階だけ低くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がB−(例えば39℃)に、温調制御能力を1段階だけ高くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がB+(例えば41℃)にそれぞれ設定される。また、Hiモードに設定された場合であってカスタマイズ情報が存在していない場合には目標吹出温度がC(例えば43℃)に、温調制御能力を1段階だけ低くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がC−(例えば42℃)に、温調制御能力を1段階だけ高くするカスタマイズ情報が存在する場合には目標吹出温度がC+(例えば44℃)にそれぞれ設定される。
また、このマニュアルモードにおいても、制御モード、ルーフ開閉切替スイッチ114からの出力信号、および、車速センサ115によって検出された車両の走行速度それぞれに応じて、温調風の目標吹出風量が設定される。具体的には、図示しないマニュアルモードカスタマイズ設定テーブルに、制御モード、カスタマイズ情報、ルーフ状態、車速を当て嵌めることによって送風ファン出力(目標吹出風量)を設定する。このマニュアルモードカスタマイズ設定テーブルでは、制御モードに応じて送風ファン出力が設定され、可動ルーフの閉鎖状態よりも開放状態の方が送風ファン出力が大きい値として設定され、更に、可動ルーフが開放状態にある場合において車速が所定値(例えば50km/h)未満である場合よりも所定値以上である方が送風ファン出力が大きい値として設定されるようになっている。また、可動ルーフが閉鎖状態にある場合には、車速に関わりなく送風ファン出力は可動ルーフが開放状態にある場合よりも小さい値として設定されるようになっている。
(ネックヒータ制御の手順)
次に、ネックヒータ制御の手順を図7のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、ネックヒータ制御システム1が作動され、乗員Mのディスプレイ操作によって設定温度が設定された状態においてエアコンECU6およびネックヒータECU27によって所定時間毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、現在のネックヒータ2の制御モードがオートモードとなっているか否かを判定する。具体的には、乗員Mのディスプレイ操作によって各温調デバイスの制御モードが個別に選択される状況において、ネックヒータ2の制御モードがオートモードに選択されている場合には、このステップST1でYES判定される。また、前記オールオートモードスイッチが押された場合(全ての温調デバイスの制御モードをオートモードに設定する操作が行われた場合)にも、このステップST1でYES判定されることになる。
現在のネックヒータ2の制御モードがオートモードとなっており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、各種パラメータを取得する。具体的には、車室内温度センサ110によって検出された車室内温度、外気温度センサ111によって検出された外気温度、日射量センサ112によって検出された日射量、湿度センサ113によって検出された車室内の湿度、車速センサ115によって検出された車両の走行速度、ルーフ開閉切替スイッチ114の出力信号から得られる可動ルーフ状態情報を取得する。
その後、ステップST3に移り、前記式(1)(2)によって必要温調制御量(TAOBiseat)を算出する。
その後、ステップST4に移り、乗員Mのディスプレイ操作によるカスタマイズ情報が存在する場合には該カスタマイズ情報を取得してステップST5に移る。また、カスタマイズ情報が存在しない場合にはそのままステップST5に移る。
ステップST5にあっては、このカスタマイズ情報の有無に応じてネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出する。この際、カスタマイズ情報が存在しない場合には、ネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)は必要温調制御量(TAOBiseat)に一致する。これに対し、カスタマイズ情報が存在している場合には、図4で示したオートモードカスタマイズ設定テーブルから求められる補正項による補正が行われてネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)が算出される。
その後、ステップST6に移り、図5で示した温調制御基本値決定マップにネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を当て嵌めることによって温調制御基本値が決定される。つまり、ネックヒータ2の制御モードが、Loモード、Midモード、Hiモードの何れかに設定される。
このようにしてネックヒータ2の制御モードが設定された後、ステップST7に移り、ルーフ状態情報および車速情報を取得して、ステップST8に移り、図6で示した温調制御テーブルに従って、送風ファン出力および目標吹出温度が取得され、これらを目標吹出風量および目標吹出温度として設定して送風ファン21およびヒータ22が制御され、ネックヒータ2がオートモードで作動することになる(ステップST9)。
一方、現在のネックヒータ2の制御モードがオートモードではなく、ステップST1でNO判定された場合には、ステップST10に移り、現在のネックヒータ2の制御モードがマニュアルモードとなっているか否かを判定する。具体的には、乗員Mのディスプレイ操作によってネックヒータ2の制御モードがマニュアルモードに設定されているか否かを判定する。現在のネックヒータ2の制御モードがマニュアルモードではなく、ステップST10でNO判定された場合、つまり、ネックヒータ2の制御モードがオートモードおよびマニュアルモードの何れでもない場合には、ステップST11に移り、ネックヒータ2を停止(OFF)させる。
一方、現在のネックヒータ2の制御モードがマニュアルモードとなっており、ステップST10でYES判定された場合には、ステップST12に移り、乗員Mのディスプレイ操作によって指示されている制御モード(マニュアル指示モード)を取得する。また、ステップST13に移り、乗員Mのディスプレイ操作によるカスタマイズ情報が存在する場合には該カスタマイズ情報を取得してステップST14に移る。また、カスタマイズ情報が存在しない場合にはそのままステップST14に移る。
ステップST14にあっては、ステップST12で取得したマニュアル指示モードおよびステップST13で取得したカスタマイズ情報の有無に応じ、前述したマニュアルモードカスタマイズ設定テーブルに従って、送風ファン出力および目標吹出温度が取得され、これらを目標吹出風量および目標吹出温度として設定して送風ファン21およびヒータ22が制御され、ネックヒータ2がマニュアルモードで作動することになる(ステップST14)。
以上の動作が繰り返され、ネックヒータ2はオートモードまたはマニュアルモードで制御され、乗員Mの首部に向けて温調風を吹き出すことで当該乗員Mの首部周辺の快適性が確保される。
(ネックヒータ吹出温度のフィードバック制御の手順)
次に、前記目標吹出温度設定部27aによって実行されるネックヒータ2の吹出温度のフィードバック制御の手順を図8のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、ネックヒータ2の作動時(オートモードまたはマニュアルモードでの作動時)に実行される。
先ず、ステップST21において、吹出温度センサ23からの出力信号に基づき、現在、前記開口Hから吹き出されている吹出温度(実吹出温度)Trを取得する。前述したように、吹出温度センサ23は、吹出口キャップ28の天井面28bに取り付けられているため、この吹出温度センサ23で検出される温度は開口Hから吹き出されている吹出温度と略同一の値である。
その後、目標吹出温度設定部27aが現在設定している温調風の目標吹出温度Ttと、前記実吹出温度Trとを比較する。具体的には、目標吹出温度Ttから実吹出温度Trを減算し、その値が所定値α(正の値)を超えているか、つまり、実吹出温度Trは目標吹出温度Ttよりも低くなっており、その偏差が所定値αを超えているか否かを判定する。この所定値αの値は任意に設定が可能である。
目標吹出温度Ttから実吹出温度Trを減算した値が所定値αを超えており、ステップST22でYES判定された場合には、実吹出温度Trが本来得られるべき値よりも低くなっていると判断してステップST23に移り、ヒータ22の発熱量を増大させるべく、目標吹出温度設定部27aから、ヒータ出力を増加させる出力信号を送信する(ヒータ出力増加制御)。ここで送信される出力信号は、開口Hから吹き出される温調風の温度(吹出温度)を目標吹出温度Tt付近まで上昇させるための信号(デューティ制御される場合にはデューティ比を高くした信号)であり、実験またはシミュレーションによって予め設定されたものである。より具体的には、以下の式(3)における感度(前記偏差をヒータ出力に反映させる値)を実験またはシミュレーションによって予め設定しておくと共に、ヒータ出力のベース値I(例えば現在の実吹出温度に対応するヒータ出力)を設定しておき、目標吹出温度Ttおよび実吹出温度Trを式(3)に当て嵌めることによって前記ヒータ出力を決定する。
ヒータ出力=P(目標吹出温度Tt−実吹出温度Tr)+I …(3)
これにより、ヒータ22の発熱量が増大し、開口Hから吹き出される温調風の温度(吹出温度)が目標吹出温度Ttに向けて上昇することになる。
一方、ステップST22でNO判定され、目標吹出温度Ttから実吹出温度Trを減算した値が所定値β(負の値)を下回っており、ステップST24でYES判定された場合には、実吹出温度Trが本来得られるべき値よりも高くなっていると判断してステップST25に移り、ヒータ22の発熱量を減少させるべく、目標吹出温度設定部27aから、ヒータ出力を減少させる出力信号を送信する(ヒータ出力減少制御)。ここで送信される出力信号は、開口Hから吹き出される温調風の温度(吹出温度)を目標吹出温度Tt付近まで下降させるための信号(デューティ制御される場合にはデューティ比を低くした信号)であり、実験またはシミュレーションによって予め設定されたものである。この場合のヒータ出力も前記式(3)によって決定される。これにより、ヒータ22の発熱量が減少し、開口Hから吹き出される温調風の温度(吹出温度)が目標吹出温度Ttに向けて下降することになる。
また、目標吹出温度Ttから実吹出温度Trを減算した値が所定値β以上となっており、ステップST24でNO判定された場合には、実吹出温度Trが目標吹出温度Tt近付で推移しているとして、ヒータ22の現在の発熱量を維持するように、前記ヒータ出力増加制御およびヒータ出力減少制御の何れも行うことなくリターンされる。
図9は、ネックヒータ2の制御モードが変化していく場合の吹出温度(実吹出温度)および吸込温度の推移の一例(例えばマニュアルモードにおける吹出温度および吸込温度の推移の一例)を示す図である。この図9に示すものでは、ネックヒータ2の作動開始時からタイミングT1までの期間がHiモードであり、その後、タイミングT1からMidモードとなり、その後、タイミングT2からLoモードとなった場合を示している。
この図9に示すように、何れの期間においても、前述したフィードバック制御によって吹出温度(実吹出温度)が各モードそれぞれにおける目標吹出温度に向かって収束している。つまり、何れの制御モードにおいても、目標吹出温度設定部27aで設定された目標吹出温度が得られ、乗員Mの首部周辺の快適性が得られている。
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態では、ネックヒータ2から吹き出される温調風の目標吹出温度と、吹出温度センサ23によって検出された温調風の温度との偏差に基づき、この偏差を小さくするようにヒータ22の出力を制御し、該ヒータ22による温調風の加熱量を変更するようにしている。このため、乗員Mの首部に向けて吹き出す温調風の温度を安定的に目標吹出温度近付で推移させることができ、乗員Mの首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができる。特に、ネックヒータ2にあっては、送風ファン21に吸い込まれる空気の温度は、車室内温度、外気温度、車速(可動ルーフの開放状態において車室内に流れ込む外気の量を変化させる要因となるパラメータ)に応じて大きく変動する可能性があり、これに起因して実吹出温度も変動してしまう可能性があるが、前述したフィードバック制御によって、実吹出温度を安定的に目標吹出温度近付で推移させることができ、乗員Mの首部周辺の快適性を長期に亘って維持することができる。
また、本実施形態では、ネックヒータ2から吹き出される温調風の吹出温度の制御は、温調制御基本値決定部65によって決定された温調制御基本値に基づいて行われることになる。また、可動ルーフの開放状態での温調風の吹出風量の制御および可動ルーフの閉鎖状態での温調風の吹出風量の制御についても、温調制御基本値決定部65によって決定された温調制御基本値に基づいて(当該温調制御基本値、可動ルーフの開閉状態、車速に基づいて)行われることになる。つまり、何れの制御も温調制御基本値に応じて行われる。このため、可動ルーフの開閉動作を行った際に可動ルーフの状態変化に応じて(可動ルーフの開閉動作の前後で)ネックヒータ2における温調状態が大きく変化するといったことがない。その結果、乗員Mに違和感を与えてしまうことが抑制される。以上のことから、可動ルーフの開放状態および閉鎖状態の何れにおいても、乗員Mに違和感を与えることのない温調制御を行うことができる。また、この温調制御は、目標吹出温度設定部27aおよび目標吹出風量設定部27bによって自動で行われるため、乗員Mに煩わしい操作を強いることがない。このため、実用性の高い温調デバイス制御装置を提供することができる。
また、本実施形態では、乗員Mの手動操作により入力されるカスタマイズ情報に応じて必要温調制御量(TAOBiseat)を補正してネックヒータ必要温調制御量(NeckTAOi)を算出するようにしている。これにより、乗員Mによる温調風の変更要求に対して良好に応えることが可能である。
−他の実施形態−
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲および該範囲と均等の範囲で包含される全ての変形や応用が可能である。
例えば、前記実施形態では、パラメータ取得部62によって取得される環境情報を含むパラメータとして、車室内温度、外気温度、日射量、車室内の湿度を例示したが、これらに限定されるものではない。例えば、これらパラメータのうちの少なくとも一つであってもよいし、これら以外のパラメータであってもよい。
また、前記実施形態では、車両の前部座席に適用されるネックヒータ2について説明したが、後部座席を有する車両における当該後部座席にもネックヒータを適用し、このネックヒータの制御装置として本発明を適用してもよい。
また、前記実施形態では、必要温調制御量補正部64および温調制御基本値決定部65をエアコンECU6に備えさせるようにしていたが、この必要温調制御量補正部64および温調制御基本値決定部65をネックヒータECU27に備えさせるようにしてもよい。
本発明は、コンバーチブル車両に搭載されたネックヒータ等の温調デバイスから吹き出される温調風の吹出温度および吹出風量それぞれを制御する温調デバイス制御装置に適用可能である。
1 ネックヒータ制御システム
2 ネックヒータ
22 ヒータ(加熱手段)
23 吹出温度センサ(温度検出手段)
27 ネックヒータECU
27a 目標吹出温度設定部
H 開口(吹出口)
M 乗員

Claims (1)

  1. 加熱手段を備え、吹出口から乗員の首部に向けて吹き出す温調風の加熱量を該加熱手段によって制御する車載ネックヒータの制御装置において、
    前記吹出口の近傍に配設され、該吹出口近傍を流れる温調風の温度を検出する温度検出手段と、
    前記温調風の目標吹出温度を設定し、該目標吹出温度に応じた出力信号を前記加熱手段に送信する目標吹出温度設定部とを備え、
    前記目標吹出温度設定部は、現在設定されている前記温調風の目標吹出温度と、前記温度検出手段によって検出されている前記温調風の温度との偏差に基づき、この偏差を小さくするように前記加熱手段への出力信号を変更するよう構成されていることを特徴とする車載ネックヒータの制御装置。
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