JP2021057953A - 熱収縮チューブ及び電線束 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による被覆対象物の損傷を抑制することができる熱収縮チューブを提供する。【解決手段】本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える熱収縮チューブであって、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。【選択図】図1
Description
本開示は、熱収縮チューブ及び電線束に関する。
自動車用や自動二輪用のワイヤハーネスとして、複数の絶縁電線を結束帯や粘着テープ等でまとめた電線束が用いられる。各絶縁電線は、通常1又は複数の銅合金等の導体からなる素線の束に絶縁体によって被覆して構成される。この電線束同士を接続する場合、接続部分(ジョイント部)は、素線が露出するため防水が必要である。この防水には、熱収縮チューブが広く用いられている。この熱収縮チューブは、例えば円筒状の基材層の内周面に接着剤層が設けられている。かかる熱収縮チューブによって上記接続部分を被覆して加熱すると、接続部分の形状に沿って収縮して密着するので、接続部分の防水が図られる(特開2012−200110号公報参照)。
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える熱収縮チューブであって、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
本開示の他の一態様に係る電線束は、束ねられる複数の絶縁電線と、これらの複数の絶縁電線を被覆するチューブ状又はキャップ状の被覆材とを備える電線束であって、上記被覆材が熱収縮チューブにより構成され、上記熱収縮チューブがチューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備え、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
[本開示が解決しようとする課題]
上記円筒状の基材層の内周面に接着剤層が設けられているような従来の熱収縮チューブは、通常横断面形状が円形状であり、熱収縮工程における加熱処理中に熱収縮チューブの両端側の開口部から内周面の接着剤層がはみ出した時点で熱収縮工程における加熱処理完了を判断している。しかしながら、熱収縮チューブの開口部から上記接着剤層がはみ出したか否かを判断することは容易ではなく、必要以上に熱収縮チューブを加熱することにより、熱収縮チューブによる被覆対象物である絶縁電線に損傷を与えるおそれがある。
上記円筒状の基材層の内周面に接着剤層が設けられているような従来の熱収縮チューブは、通常横断面形状が円形状であり、熱収縮工程における加熱処理中に熱収縮チューブの両端側の開口部から内周面の接着剤層がはみ出した時点で熱収縮工程における加熱処理完了を判断している。しかしながら、熱収縮チューブの開口部から上記接着剤層がはみ出したか否かを判断することは容易ではなく、必要以上に熱収縮チューブを加熱することにより、熱収縮チューブによる被覆対象物である絶縁電線に損傷を与えるおそれがある。
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による被覆対象物の損傷を抑制することが可能な熱収縮チューブを提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による被覆対象物の損傷を抑制することができる。
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による被覆対象物の損傷を抑制することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る熱収縮チューブは、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える熱収縮チューブであって、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
当該熱収縮チューブは、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、収縮度合が外観的に判別しやすくなる。さらに、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、絶縁電線間に接着剤層が入り込みやすくなり、少量の接着剤で良好な接着力を得ることができる。
従って、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による熱収縮チューブによる被覆対象物の損傷を抑制することができる。また、当該熱収縮チューブの接着剤層の容量及びコストを削減できる。
従って、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による熱収縮チューブによる被覆対象物の損傷を抑制することができる。また、当該熱収縮チューブの接着剤層の容量及びコストを削減できる。
上記基材層を押出成形した際の外周面形状が雄ネジ状を呈していることが好ましい。当該熱収縮チューブが押出成形の1工程により雄ネジ状の外周面形状が得られるので、熱収縮チューブの成形工程の時間の短縮化を図ることができる。また、上記基材層を押出成形した際の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、熱収縮工程時に上記基材層が捻じれながら、接着剤層が絞り出されるように3次元方向に押し出される。その結果、短時間で被覆対象物との良好な密着性を得ることができる。
当該熱収縮チューブにおいては、上記基材層が合成樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成され、上記接着剤層がホットメルト接着剤から構成され、上記樹脂組成物の融点が50℃以上200℃以下であり、上記ホットメルト接着剤の融点が40℃以上120℃以下であることが好ましい。上記基材層を構成する樹脂組成物の融点が上記範囲であることで、成型性を向上できる。また、上記ホットメルト接着剤の融点が上記範囲であることで、止水効果を良好にできる。
本開示の他の一態様に係る電線束は、束ねられる複数の絶縁電線と、これらの複数の絶縁電線を被覆するチューブ状又はキャップ状の被覆材とを備える電線束であって、上記被覆材が熱収縮チューブにより構成され、上記熱収縮チューブがチューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備え、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
当該電線束は、上記複数の絶縁電線を被覆するチューブが熱収縮チューブから形成され、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であるので、加熱による損傷が抑制された絶縁電線の電線束を得ることができる。また、熱収縮チューブから形成されたチューブの基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、熱収縮工程時に上記基材層が捻じれながら、接着剤層が絞り出されるように3次元方向に押し出される。そのため、絶縁電線間に接着剤層が深く浸透された電線束を得ることができる。従って、チューブの接着剤層の容量及びコストを削減できるとともに、当該電線束のコンパクト化を図ることができる。
なお、本開示において、「融点」とは、JIS−K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点ピーク温度をいう。また、「主成分」とは、例えば総質量に対して60質量%以上含まれる成分をいう。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の好適な実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。
本開示の好適な実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。
<熱収縮チューブ>
熱収縮チューブとは、加熱により径方向に収縮する性質を有するチューブであり、通常その両端が開口しており、単数の絶縁電線や複数の絶縁電線からなる電線束の電線露出部の防水等に用いられるものを言う。当該熱収縮チューブは、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える。本実施形態では図1及び図2に示すように、チューブ状の熱収縮チューブ10について説明する。後述するように、当該熱収縮チューブ10の熱収縮後における基材層1の外周面形状が雄ネジ状を呈している。当該熱収縮チューブ10の形状としては、特に限定されず、円筒、楕円筒、長円筒、角筒等、種々の形状が含まれる。当該熱収縮チューブ10は、これらの中でも円筒状であることが好ましい。当該熱収縮チューブの基材層1が円筒状であることで、基材層1の内周面側に容易に複数の絶縁電線を整列させた状態で収容することができる。
熱収縮チューブとは、加熱により径方向に収縮する性質を有するチューブであり、通常その両端が開口しており、単数の絶縁電線や複数の絶縁電線からなる電線束の電線露出部の防水等に用いられるものを言う。当該熱収縮チューブは、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える。本実施形態では図1及び図2に示すように、チューブ状の熱収縮チューブ10について説明する。後述するように、当該熱収縮チューブ10の熱収縮後における基材層1の外周面形状が雄ネジ状を呈している。当該熱収縮チューブ10の形状としては、特に限定されず、円筒、楕円筒、長円筒、角筒等、種々の形状が含まれる。当該熱収縮チューブ10は、これらの中でも円筒状であることが好ましい。当該熱収縮チューブの基材層1が円筒状であることで、基材層1の内周面側に容易に複数の絶縁電線を整列させた状態で収容することができる。
[基材層]
基材層1は、合成樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成される。基材層1は、複数の絶縁電線を外部から視認しやすいよう透明であってもよい。上記合成樹脂としては、例えばポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド等が挙げられる。合成樹脂としては、これらの中でも成型性の観点から、ポリエチレンが好ましい。これらの合成樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。基材層1は、本開示の効果を損なわない範囲で必要に応じて上記合成樹脂以外の他の成分を含有していてもよく、例えば難燃剤、酸化防止剤、銅害防止剤、滑材、着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
基材層1は、合成樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成される。基材層1は、複数の絶縁電線を外部から視認しやすいよう透明であってもよい。上記合成樹脂としては、例えばポリエチレン等のポリオレフィン、ポリアミド等が挙げられる。合成樹脂としては、これらの中でも成型性の観点から、ポリエチレンが好ましい。これらの合成樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。基材層1は、本開示の効果を損なわない範囲で必要に応じて上記合成樹脂以外の他の成分を含有していてもよく、例えば難燃剤、酸化防止剤、銅害防止剤、滑材、着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
上記難燃剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリフェニル、パークロルペンタシクロデカン等の塩素系難燃剤、1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタン、エチレンビスペンタブロモベンゼン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、テトラブロモエタン、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、テトラブロモ無水フタル酸、ポリジブロモフェニレンオキサイド、ヘキサブロモシクロデカン、臭化アンモニウム等の臭素系難燃剤が好ましい。臭素系難燃剤及び塩素系難燃剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
上記酸化防止剤としては、例えばヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられ、特に架橋抑制効果に優れたヒンダードアミン系化合物が好適に使用される。これら酸化防止剤を用いることにより、耐銅害性をさらに向上できる。なお、酸化防止剤としては、上述した以外に硫黄系化合物及び亜リン酸エステル系化合物等を単独又は併用で用いることができる。
上記銅害防止剤としては、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、2,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド等を挙げることができる。
上記基材層1を構成する樹脂組成物の融点の下限としては、50℃が好ましい。一方、上記融点の上限としては、200℃が好ましい。基材層1を構成する樹脂組成物の融点が上記範囲であることで、成型性を向上できる。
基材層1の熱収縮温度の下限としては、70℃が好ましく、90℃がより好ましい。一方、基材層1の熱収縮温度の上限としては、200℃が好ましく、150℃がより好ましい。基材層1の熱収縮温度が上記下限未満であると、未収縮となり絶縁不良のおそれがある。一方、基材層1の熱収縮温度が上記上限温度を超えると、当該熱収縮チューブ10を熱収縮させる際に、高熱により被覆対象の絶縁電線を損傷するおそれや、加熱のための熱エネルギーが不要に大きくなり、絶縁電線被覆のコストが上昇するおそれがある。
(接着剤層)
接着剤層2はホットメルト接着剤から構成される。熱収縮チューブ10は、内層に接着剤層2を備えることによって、熱収縮チューブ10と、この熱収縮チューブ10による被覆対象物となる絶縁電線との密着性を高め、絶縁電線における導体露出部分の防水性をより高めることができる。
接着剤層2はホットメルト接着剤から構成される。熱収縮チューブ10は、内層に接着剤層2を備えることによって、熱収縮チューブ10と、この熱収縮チューブ10による被覆対象物となる絶縁電線との密着性を高め、絶縁電線における導体露出部分の防水性をより高めることができる。
上記ホットメルト接着剤の主成分としては、例えばポリエチレン等のポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドなどが挙げられる。
ホットメルト接着剤の融点の下限としては、40℃が好ましい。一方、上記融点の上限としては、120℃が好ましい。上記ホットメルト接着剤の融点が上記下限未満であると、当該熱収縮チューブ10の使用時にホットメルト接着剤が軟化し、止水効果が維持できないおそれがある。一方、上記ホットメルト接着剤の融点が上記上限を超えると、熱圧縮時にホットメルト接着剤の粘度が十分に下がらず、止水効果が不十分となるおそれがある。上記ホットメルト接着剤の融点が上記範囲であることで、止水効果を良好にできる。
上記ホットメルト接着剤の上記熱収縮温度における剪断速度1s−1での粘度の下限としては、1500Pa・sが好ましく、1000Pa・sがより好ましい。上記粘度が上記下限に満たないと、熱収縮チューブ10の熱収縮時における上記ホットメルト接着剤の流動を十分に抑制することができないおそれがある。また、上記ホットメルト接着剤の上記熱収縮温度における剪断速度1s−1での粘度の上限としては、4000Pa・sが好ましく、2000Pa・sがより好ましい。上記粘度が上記上限を超えると、熱収縮チューブ10の熱収縮時における上記ホットメルト接着剤の流動性が低下して十分な接着力が得られないおそれがある。
なお、剪断速度1s−1の時の粘度は、回転式レオメーターを用いて測定される。具体的には、回転式レオメーター(アントンパール社製の「レオメーター」)を用い、治具PP−12を使用して所定の熱収縮温度(例えば125℃)で測定した値である。なお、剪断速度は、回転子の形状及び回転速度により定められ、回転式レオメーターが自動的に設定するようになっている。
なお、剪断速度1s−1の時の粘度は、回転式レオメーターを用いて測定される。具体的には、回転式レオメーター(アントンパール社製の「レオメーター」)を用い、治具PP−12を使用して所定の熱収縮温度(例えば125℃)で測定した値である。なお、剪断速度は、回転子の形状及び回転速度により定められ、回転式レオメーターが自動的に設定するようになっている。
基材層の製造においては、始めに基材層を形成するための上記樹脂組成物をいわゆるねじり構造である雄ネジ状に押し出す。このように、上記基材層を押出成形した際の外周面形状としては雄ネジ状を呈していることが好ましい。当該熱収縮チューブが押出成形することにより雄ネジ状の外周面形状が得られるので、熱収縮チューブの成形工程の時間の短縮化を図ることができる。また、上記基材層を押出成形した際の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、熱収縮工程時に上記基材層が捻じれながら、接着剤層が絞り出されるように3次元方向に押し出される。その結果、当該熱収縮チューブの熱収縮工程の時間の短縮化を図ることができる。そして、押し出された外周面形状が雄ネジ状の樹脂組成物を電離性放射線の照射によって架橋構造を形成し、一旦固定して外周面形状が雄ネジ状の基材層を備える雄ネジ状筒状体を形成した後、この雄ネジ状筒状体を外方に拡張することで基材層が得られる。図3は、図1の熱収縮チューブの熱収縮後の形状の例を示す模式的斜視図である。つまり、熱収縮チューブ10は、図3に示す外周面形状が雄ネジ状の雄ネジ状筒状体20を外方に拡張することで得られたものである。熱収縮チューブ10は、加熱されることで、電離性放射線によって固定された外周面形状が雄ネジ状の雄ネジ状筒状体20に戻るよう収縮する。また、この熱収縮においては、熱収縮温度が上記樹脂組成物の融点以上であることが好ましい。熱収縮温度が上記樹脂組成物の融点以上であることで、当該熱収縮チューブ10を容易に元の形状の雄ネジ状の雄ネジ状筒状体20に収縮させることができる。
当該熱収縮チューブ10は、上記基材層の熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状である。当該熱収縮チューブ10は、基材層の外周面形状が加熱により雄ネジ状に収縮するので、複数の絶縁電線を配設した後に加熱することで、雄ネジ状を呈している被覆材として設置できる。当該熱収縮チューブは、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、収縮度合が外観的に判別しやすくなる。さらに、熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、絶縁電線間に接着剤層が入り込みやすくなり、少量の接着剤で良好な接着力を得ることができる。従って、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による熱収縮チューブによる被覆対象物の損傷を抑制することができる。また、当該熱収縮チューブの接着剤層の容量及びコストを削減できる。
基材層1は均一な厚さを有する構成とすることができる。基材層1の平均厚さの下限としては、例えば0.1mmが好ましく、0.5mmがより好ましい。一方、基材層1の平均厚さの上限としては、5.0mmが好ましく、2.0mmがより好ましい。なお、「平均厚さ」とは、任意の10点の厚さの平均値をいう。
上述のように、当該熱収縮チューブ10は、複数の絶縁電線をまとめて結束するために用いられる。当該熱収縮チューブ10の基材層1が円筒状の場合、平均内径の下限としては、結束する電線のサイズや本数等によって設定可能であるが、基材層1の平均内径の下限としては、例えば3.0mmが好ましく、6.0mmがより好ましい。一方、基材層1の平均内径の上限としては、例えば30mmが好ましく、20mmがより好ましい。上記平均内径が上記下限に満たないと、複数の絶縁電線の挿入作業が容易でなくなるおそれがある。逆に、上記平均内径が上記上限を超えると、当該熱収縮チューブが不必要に大きくなるおそれがある。なお、「平均内径」とは等面積の真円に換算した内径をいう。
当該熱収縮チューブによれば、複数の絶縁電線の外周を被覆する上記基材層の熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状であるので、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であり、過剰な加熱による被覆対象物の損傷を抑制することができる。当該熱収縮チューブは、例えば、エレクトロニクス分野における複数の電装機器相互間を接続する用途での止水手段や、自動車等の車両分野におけるバッテリ又はインバータ回路などの電力供給源と電装機器との間を接続する用途での止水手段に用いることができる。
[熱収縮チューブの製造方法]
次に、図4を参照して上記熱収縮チューブの製造方法について説明する。上記熱収縮チューブの製造方法は、合成樹脂を主成分とする樹脂組成物を雄ネジ状に押出す工程と、上記押出す工程で押し出された外周面形状が雄ネジ状を呈しているチューブに電離性放射線を照射する工程と、上記照射する工程後の雄ネジ状を呈しているチューブを上記樹脂組成物の融点以上に加熱する工程と、上記加熱する工程による加熱後の雄ネジ状を呈しているチューブを外方に拡張する工程と、上記拡張する工程による拡張後の筒状体を冷却する工程とを備える。
次に、図4を参照して上記熱収縮チューブの製造方法について説明する。上記熱収縮チューブの製造方法は、合成樹脂を主成分とする樹脂組成物を雄ネジ状に押出す工程と、上記押出す工程で押し出された外周面形状が雄ネジ状を呈しているチューブに電離性放射線を照射する工程と、上記照射する工程後の雄ネジ状を呈しているチューブを上記樹脂組成物の融点以上に加熱する工程と、上記加熱する工程による加熱後の雄ネジ状を呈しているチューブを外方に拡張する工程と、上記拡張する工程による拡張後の筒状体を冷却する工程とを備える。
上記熱収縮チューブの製造方法は、上記照射する工程で、上記押出す工程で押し出された雄ネジ状を呈しているチューブに電離性放射線を照射する。そして、上記電離性放射線の照射による架橋によって形状記憶された後に外方に拡張され、この拡張状態で冷却固定されるものである。従って、上記熱収縮チューブの製造方法で得られる熱収縮チューブは加熱された場合にこの雄ネジ状を呈しているチューブに戻るように収縮する。
(押出す工程)
押出す工程では、例えば2層成形を行うことができる。この場合、基材層1を形成するための合成樹脂を主成分とする樹脂組成物及び接着剤層2を形成するためのホットメルト接着剤を雄ネジ状に押し出すことで、基材層1及び接着剤層2を同時に成形する。
押出す工程では、例えば2層成形を行うことができる。この場合、基材層1を形成するための合成樹脂を主成分とする樹脂組成物及び接着剤層2を形成するためのホットメルト接着剤を雄ネジ状に押し出すことで、基材層1及び接着剤層2を同時に成形する。
上記樹脂組成物は、基材層1の主成分となる上述の合成樹脂及び必要に応じて含まれる添加剤を加えて、例えば溶融混合機により混合することで調製される。溶融混合機としては、公知のもの、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、単軸混合機、多軸混合機等を使用できる。
接着剤層2は、熱収縮チューブ10の内周面に積層される。この場合、接着剤層2は、基材層1の軸方向における基材層1の両端部まで存在していることが好ましい。接着剤層2が基材層1の両端部まで存在していることで、熱収縮チューブ10の端部開口部周辺まで接着剤層2が行き渡り、水の流入を抑制することができる。
上記樹脂組成物を溶融押出成形機を用いて押出成形することで、雄ネジ状を呈している押出成形品が形成される。基材層を押出成形した際の外周面形状としては、雄ネジ状を呈していることが好ましい。当該熱収縮チューブが押出成形の1工程により雄ネジ状の外周面形状が得られるので、熱収縮チューブの成形工程の時間の短縮化を図ることができる。また、上記基材層を押出成形した際の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、熱収縮工程時に上記基材層が捻じれながら、接着剤層が絞り出されるように3次元方向に押し出される。その結果、短時間で被覆対象物との良好な密着性を得ることができる。
当該熱収縮チューブ10の熱収縮後の雄ネジ状の形状を成形するために、押出成形機としては、例えばダイス及びマンドレルに螺旋状の溝が配置される。そして、樹脂組成物の流動に変化を与えながら樹脂組成物を押出成形し、上記樹脂組成物を外周面形状が雄ネジ状を呈している筒状体として押し出す。これにより図3に示すような当該熱収縮チューブ10の熱収縮後の形状である雄ネジ状筒状体20(押出体)が得られる。
上記押出す工程におけるダイス温度は、特に限定されないが、例えば基材層1を形成する樹脂材料の融点より10℃以上100℃以下高い温度とすることができる。
(照射する工程)
上記照射する工程では、上記押出す工程で押し出された雄ネジ状筒状体20に電離性放射線を照射する。雄ネジ状筒状体20を構成する樹脂組成物を照射により架橋させることで、雄ネジ状筒状体20の形状が固定される。これにより、上記熱収縮チューブの製造方法で得られる熱収縮チューブ10は、加熱されると熱収縮して雄ネジ状筒状体20に戻ることになる。
上記照射する工程では、上記押出す工程で押し出された雄ネジ状筒状体20に電離性放射線を照射する。雄ネジ状筒状体20を構成する樹脂組成物を照射により架橋させることで、雄ネジ状筒状体20の形状が固定される。これにより、上記熱収縮チューブの製造方法で得られる熱収縮チューブ10は、加熱されると熱収縮して雄ネジ状筒状体20に戻ることになる。
上記照射する工程で用いる電離性放射線としては、例えば電子線、γ線、X線、α線等が挙げられ、中でも電子線が好ましい。
上記電離性放射線の照射線量は上記樹脂組成物を十分に架橋できる限り特に限定されないが、上記照射線量の下限としては、例えば30kGyが好ましく、180kGyがより好ましい。一方、上記照射線量の上限としては、例えば500kGyが好ましく、360kGyがより好ましい。
(加熱する工程)
上記加熱する工程では、上記照射する工程後の雄ネジ状筒状体20を上記樹脂組成物の融点以上に加熱する。上記加熱する工程により次工程の拡張する工程で雄ネジ状筒状体20を容易に外方に拡張できる。上記加熱する工程では、雄ネジ状筒状体20を軸方向に搬送しつつ上記樹脂組成物の融点以上に加熱する。上記加熱する工程における加熱温度としては、上記樹脂組成物の融点に対応して設定可能であるが、上記加熱温度の下限としては、例えば70℃が好ましく、150℃がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、例えば230℃が好ましく、200℃がより好ましい。また、加熱時間としては、例えば30秒以上5分以下とできる。本工程での加熱方法としては、特に限定されないが、ヒートガン、オーブン等を用いることができる。
上記加熱する工程では、上記照射する工程後の雄ネジ状筒状体20を上記樹脂組成物の融点以上に加熱する。上記加熱する工程により次工程の拡張する工程で雄ネジ状筒状体20を容易に外方に拡張できる。上記加熱する工程では、雄ネジ状筒状体20を軸方向に搬送しつつ上記樹脂組成物の融点以上に加熱する。上記加熱する工程における加熱温度としては、上記樹脂組成物の融点に対応して設定可能であるが、上記加熱温度の下限としては、例えば70℃が好ましく、150℃がより好ましい。一方、上記加熱温度の上限としては、例えば230℃が好ましく、200℃がより好ましい。また、加熱時間としては、例えば30秒以上5分以下とできる。本工程での加熱方法としては、特に限定されないが、ヒートガン、オーブン等を用いることができる。
(拡張する工程)
上記拡張する工程では、上記加熱する工程で加熱され、軸方向に搬送される雄ネジ状筒状体20を外方に拡張する。上記拡張する工程は、例えば楕円柱状の内部空間を有するサイジング管を用いて行うことができる。上記拡張する工程では、例えば雄ネジ状筒状体20の端部開口からこの雄ネジ状筒状体20内に気体を供給しつつ、上記サイジング管の内部空間を減圧する。これにより、上記拡張する工程では、雄ネジ状筒状体20の内圧と、上記サイジング管の内部空間の圧力との差圧に基づいて雄ネジ状筒状体20を外方に拡張する。
上記拡張する工程では、上記加熱する工程で加熱され、軸方向に搬送される雄ネジ状筒状体20を外方に拡張する。上記拡張する工程は、例えば楕円柱状の内部空間を有するサイジング管を用いて行うことができる。上記拡張する工程では、例えば雄ネジ状筒状体20の端部開口からこの雄ネジ状筒状体20内に気体を供給しつつ、上記サイジング管の内部空間を減圧する。これにより、上記拡張する工程では、雄ネジ状筒状体20の内圧と、上記サイジング管の内部空間の圧力との差圧に基づいて雄ネジ状筒状体20を外方に拡張する。
上記拡張する工程では、上述したように、拡張後の形態は特に限定されず、例えば円筒、楕円筒、長円筒、角筒等、種々の形状に拡張してもよい。これらの中でも、図1に示すように、円筒状体に拡張することが好ましい。このように、上記拡大する工程で、上記雄ネジ状を呈しているチューブを円筒状に拡張することで、当該熱収縮チューブを容易に製造できるとともに、複数の絶縁電線を効率よく当該熱収縮チューブに収容できる。
(冷却する工程)
上記冷却する工程では、上記拡張する工程で拡張された筒状体を上記樹脂組成物の融点以下に冷却する。拡張された筒状体を上記樹脂組成物の融点以下に冷却することで、拡張された筒状体の形状を固定できる。上記冷却する工程における冷却温度の上限としては、例えば23℃が好ましく、10℃がより好ましい。一方、上記冷却温度の下限としては、例えば−40℃が好ましく、0℃がより好ましい。上記冷却工程における冷却方法として、例えば水冷方式の方法を用いることができる。
上記冷却する工程では、上記拡張する工程で拡張された筒状体を上記樹脂組成物の融点以下に冷却する。拡張された筒状体を上記樹脂組成物の融点以下に冷却することで、拡張された筒状体の形状を固定できる。上記冷却する工程における冷却温度の上限としては、例えば23℃が好ましく、10℃がより好ましい。一方、上記冷却温度の下限としては、例えば−40℃が好ましく、0℃がより好ましい。上記冷却工程における冷却方法として、例えば水冷方式の方法を用いることができる。
なお、上記熱収縮チューブの製造方法は、上記冷却する工程後の筒状体を巻き取る工程をさらに備えていてもよい。また、上記熱収縮チューブの製造方法は、上記冷却する工程後、又は巻き取る工程後の筒状体を所望の長さに切断する工程をさらに備えていてもよい。
<電線束>
当該電線束は、束ねられる複数の絶縁電線と、これらの複数の絶縁電線を被覆するチューブ状又はキャップ状の被覆材とを備える。被覆材は、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に形成される接着剤層とを備える当該熱収縮チューブにより構成される。上述したように、当該熱収縮チューブは、熱収縮後の基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
当該電線束は、束ねられる複数の絶縁電線と、これらの複数の絶縁電線を被覆するチューブ状又はキャップ状の被覆材とを備える。被覆材は、チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に形成される接着剤層とを備える当該熱収縮チューブにより構成される。上述したように、当該熱収縮チューブは、熱収縮後の基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している。
図5及び図6を参照して、チューブ状の基材層を備える熱収縮チューブ10を用いた一実施形態に係る電線束30について説明する。図5は、図1の熱収縮シートの使用態様を説明するための模式的縦断面図である。図6は、一実施形態に係る電線束を示す模式的縦断面図である。当該電線束30は、導体4及び導体4の外周面側に積層される絶縁層5を有する複数の絶縁電線3、13と、複数の絶縁電線3、13に被覆される被覆材25とを備える。図5及び図6に示すように、本実施形態においては、複数の絶縁電線3、13は、被覆材25の内周面側でコネクタ8を介して対向するように配設されている。この複数の絶縁電線3の導体4の露出部分及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分は、コネクタ8により連結されている。各絶縁電線3は端部において導体4が露出しており、各絶縁電線13は端部において導体14が露出している。被覆材25は、基材層26と、この基材層26の内周面に積層される接着剤層27とを備え、絶縁電線3、13における導体露出部分を被覆する。当該電線束30は、当該熱収縮チューブ10に、コネクタ8を介して接続された複数の絶縁電線3、13が挿入された後に、熱収縮チューブ10が雄ネジ状に熱収縮されることで得られる。なお絶縁電線3、13の本数や構成は図5及び図6に限定されるものではない。
複数の絶縁電線3、13の導体4の材質としては、導電性を有する限り特に限定されるものではなく、例えば銅、銅合金、アルミニウム、ニッケル、銀、軟鉄、鋼、ステンレス鋼等が挙げられる。複数の絶縁電線3、13の絶縁層5の主成分としては、例えばポリビニルホルマール、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリエステルアミドイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン等の合成樹脂が挙げられる。
なお、個々の絶縁電線3、13のサイズや、本数等は特に限定されるものではない。絶縁電線3、13のそれぞれの本数としては、一般的には例えば2本以上10本以下とすることができる。
当該電線束によれば、上記複数の絶縁電線を被覆するチューブが熱収縮チューブから形成され、熱収縮工程における加熱処理完了の判断が容易であるので、加熱による損傷が抑制された絶縁電線の電線束を得ることができる。また、熱収縮チューブから形成されたチューブの基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈していることで、絶縁電線間に接着剤層が深く浸透された電線束を得ることができる。そのため、チューブの接着剤層の容量及びコストを削減できるとともに、当該電線束のコンパクト化を図ることができる。
当該電線束は、例えば、エレクトロニクス分野における複数の電装機器相互間を接続する用途や、自動車等の車両分野におけるバッテリ又はインバータ回路などの電力供給源と電装機器との間を接続する用途に用いることができる。
当該電線束は、例えば、エレクトロニクス分野における複数の電装機器相互間を接続する用途や、自動車等の車両分野におけるバッテリ又はインバータ回路などの電力供給源と電装機器との間を接続する用途に用いることができる。
[電線束の製造方法]
当該熱収縮チューブを用いた電線束の製造方法は、導体露出部分被覆工程と、熱収縮チューブ加熱工程と、冷却工程とを備える。なお、以下では、図5に示すように2本の絶縁電線3、13同士を接続する場合について説明するが、絶縁電線3、13の本数や構成は図5に限定されるものではない。
当該熱収縮チューブを用いた電線束の製造方法は、導体露出部分被覆工程と、熱収縮チューブ加熱工程と、冷却工程とを備える。なお、以下では、図5に示すように2本の絶縁電線3、13同士を接続する場合について説明するが、絶縁電線3、13の本数や構成は図5に限定されるものではない。
(導体露出部分被覆工程)
導体露出部分被覆工程では、複数の絶縁電線3の導体4及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分を覆うように複数の絶縁電線3、13に当該熱収縮チューブ10を被せる。具体的には、チューブ状の基材層1と、この基材層1の内周面に形成される接着剤層2とを備える当該熱収縮チューブ10の内側に、コネクタ8を介して接続された複数の絶縁電線3、13を挿入する。そして、複数の絶縁電線3、13の導体露出部分及びコネクタ8を覆う位置に当該熱収縮チューブ10を移動させる。
導体露出部分被覆工程では、複数の絶縁電線3の導体4及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分を覆うように複数の絶縁電線3、13に当該熱収縮チューブ10を被せる。具体的には、チューブ状の基材層1と、この基材層1の内周面に形成される接着剤層2とを備える当該熱収縮チューブ10の内側に、コネクタ8を介して接続された複数の絶縁電線3、13を挿入する。そして、複数の絶縁電線3、13の導体露出部分及びコネクタ8を覆う位置に当該熱収縮チューブ10を移動させる。
(熱収縮チューブ加熱工程)
熱収縮チューブ加熱工程では、当該熱収縮チューブ10を加熱し、当該上記熱収縮チューブ10を雄ネジ状に収縮させる。そして、複数の絶縁電線3、13間に接着剤層2が入り込み、良好な接着力を得ることができる。上記電線束の製造方法は、導体露出部分に被覆した熱収縮チューブ10を熱収縮する熱収縮チューブ加熱工程を備えるので、導体露出部分の防水性を高めることができる。
熱収縮チューブ加熱工程では、当該熱収縮チューブ10を加熱し、当該上記熱収縮チューブ10を雄ネジ状に収縮させる。そして、複数の絶縁電線3、13間に接着剤層2が入り込み、良好な接着力を得ることができる。上記電線束の製造方法は、導体露出部分に被覆した熱収縮チューブ10を熱収縮する熱収縮チューブ加熱工程を備えるので、導体露出部分の防水性を高めることができる。
加熱方法としては、例えば当該熱収縮チューブ10をヒートガンによる加熱、コンベア式オーブンによる加熱などが挙げられる。筒状の熱収縮チューブ10を雄ネジ状に収縮させる工程においては、全方向にわたって均一に加熱して収縮させることが好ましい。また、加熱温度としては、当該熱収縮チューブ10の熱収縮温度により決まるが、例えば上記連続使用温度の最高温度よりも20℃以上高い温度とすることができる。
当該熱収縮チューブ10は、加熱されると収縮して小径化しようとする。この収縮力によって、当該熱収縮チューブ10が、複数の絶縁電線3の導体4、コネクタ8及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分に密着してこれを締め付けるとともに、接着剤層2のホットメルト接着剤が流動し、広がる。熱収縮チューブ10の接着剤層2を構成するホットメルト接着剤は熱収縮チューブ10の熱収縮温度で高い流動性を有しており、熱収縮チューブ10の熱収縮時に導体4、コネクタ8及び導体14の露出部分の外周面に密着しつつ、熱収縮チューブ10の両端側の開口部11に向けて複数の導体4及び導体14から離間する方向に流動する。そして、熱収縮チューブ10の両端側の開口部11が塞がれる。
(冷却工程)
冷却工程では、熱収縮後の当該熱収縮チューブ10を冷却する。冷却方法としては、特に限定されないが、例えば自然放置による冷却や冷風等による強制冷却を利用することができる。この冷却により接着剤層2を構成するホットメルト接着剤が複数の絶縁電線3の導体4、コネクタ8及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分に密着するとともに、固化する。そして、複数の絶縁電線3の導体4、コネクタ8及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分の防水と、絶縁電線3、13間の止水とが図られる。
冷却工程では、熱収縮後の当該熱収縮チューブ10を冷却する。冷却方法としては、特に限定されないが、例えば自然放置による冷却や冷風等による強制冷却を利用することができる。この冷却により接着剤層2を構成するホットメルト接着剤が複数の絶縁電線3の導体4、コネクタ8及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分に密着するとともに、固化する。そして、複数の絶縁電線3の導体4、コネクタ8及び複数の絶縁電線13の導体14の露出部分の防水と、絶縁電線3、13間の止水とが図られる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該熱収縮チューブは、本開示の効果を損なわない範囲で、上記基材層及び接着剤層以外の他の層を有していてもよい。
上記実施形態においては、基材層を形成するための樹脂組成物及び接着剤層を形成するためのホットメルト接着剤を雄ネジ状に押し出す2層成形を行うことにより、当該熱収縮チューブの熱収縮後の形状である雄ネジ状筒状体を形成していたが、この方法に限定されない。例えば、基材層を形成するための樹脂組成物及び接着剤層を形成するためのホットメルト接着剤を円筒状に押し出し、得られた円筒体をねじることにより、雄ネジ状筒状体を形成してもよい。
絶縁電線の導体露出領域が絶縁電線の端部に形成されている場合、熱収縮後の外周面形状が雄ネジ状を呈している有底筒状のキャップ状の基材層を有する熱収縮チューブから構成される被覆材を備える電線束としてもよい。この熱収縮キャップとしては、例えば上述の熱収縮チューブの一方側の開口を接着剤によって封止することで、有底筒状にしたものを用いることができる。より詳細には、本実施形態においては、当該熱収縮チューブは、キャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える。この実施形態によれば、当該電線束は、導体露出領域が複数の絶縁電線の導体の端部に形成されており、この導体露出領域を熱収縮キャップが被覆している。当該電線束における熱収縮キャップの基材層及び接着剤層の構成としては、上述の図6の電線束30と同様とすることができる。
当該電線束の上記実施形態においては、絶縁電線同士を電気的に接続する為の接続部品としてコネクタを用いていたがこれに限定されず、スプライス端子等のその他の接続部品を用いてもよい。
絶縁電線には、複数の絶縁電線をシース層で束ねたケーブルも含まれる。
上記実施形態では、当該電線束として、複数の絶縁電線を被覆する場合を説明したが、当該熱収縮チューブにより被覆される絶縁電線は単数であってもよい。
1、21、26 基材層
2、22、27 接着剤層
3、13 絶縁電線
4、14 導体
5、15
8 コネクタ
10 熱収縮チューブ
11 開口部
20 雄ネジ状筒状体
25 被覆材
30 電線束
2、22、27 接着剤層
3、13 絶縁電線
4、14 導体
5、15
8 コネクタ
10 熱収縮チューブ
11 開口部
20 雄ネジ状筒状体
25 被覆材
30 電線束
Claims (4)
- チューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える熱収縮チューブであって、
熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している熱収縮チューブ。 - 上記基材層を押出成形した際の外周面形状が雄ネジ状を呈している請求項1に記載の熱収縮チューブ。
- 上記基材層が合成樹脂を主成分とする樹脂組成物から構成され、
上記接着剤層がホットメルト接着剤から構成され、
上記樹脂組成物の融点が50℃以上200℃以下であり、
上記ホットメルト接着剤の融点が40℃以上120℃以下である請求項1又は請求項2に記載の熱収縮チューブ。 - 束ねられる複数の絶縁電線と、これらの複数の絶縁電線を被覆するチューブ状又はキャップ状の被覆材とを備える電線束であって、
上記被覆材が熱収縮チューブにより構成され、
上記熱収縮チューブがチューブ状又はキャップ状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備え、
熱収縮後の上記基材層の外周面形状が雄ネジ状を呈している電線束。
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---|---|---|---|
JP2019177569A JP2021057953A (ja) | 2019-09-27 | 2019-09-27 | 熱収縮チューブ及び電線束 |
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